(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】異なる色のLEDを含むモノリシックマルチカラー直視型ディスプレイおよびそれを製造する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/08 20100101AFI20221007BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20221007BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20221007BHJP
H01L 33/06 20100101ALI20221007BHJP
H01L 33/24 20100101ALI20221007BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20221007BHJP
【FI】
H01L33/08
G09F9/33
H01L21/205
H01L33/06
H01L33/24
H01L33/32
(21)【出願番号】P 2018558223
(86)(22)【出願日】2017-05-03
(86)【国際出願番号】 US2017030758
(87)【国際公開番号】W WO2017192667
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-04-30
(32)【優先日】2016-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521535962
【氏名又は名称】ナノシス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NANOSYS, INC.
【住所又は居所原語表記】233 S. Hillview Drive, Milpitas, CA 95035, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー ジュニア., リチャード ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ルアン, ベンジャミン
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-195529(JP,A)
【文献】特開昭60-202971(JP,A)
【文献】特開昭55-148477(JP,A)
【文献】特開平11-074566(JP,A)
【文献】特開2011-224749(JP,A)
【文献】国際公開第2016/022824(WO,A1)
【文献】特表2014-533897(JP,A)
【文献】国際公開第2015/061325(WO,A1)
【文献】特開2014-007291(JP,A)
【文献】特開2012-033893(JP,A)
【文献】特開2007-123878(JP,A)
【文献】特開2004-179493(JP,A)
【文献】特開2002-217454(JP,A)
【文献】特開2002-176198(JP,A)
【文献】特開平11-087773(JP,A)
【文献】特開平08-088408(JP,A)
【文献】特開平08-088407(JP,A)
【文献】特開平06-005915(JP,A)
【文献】特開平05-347432(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0093665(US,A1)
【文献】国際公開第2015/150281(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/197799(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0203240(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0094414(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0133156(US,A1)
【文献】米国特許第05684309(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
H01L 21/205
H01S 5/00 - 5/50
G09F 9/30 - 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の青色、緑色および赤色発光ダイオード(LED)であって、前記複数の青色、緑色および赤色LEDのそれぞれが第1導電タイプの少なくともひとつの半導体領域と第2導電タイプの少なくともひとつの半導体領域とを含む、複数の青色、緑色および赤色発光ダイオード(LED)を備える発光デバイスであって、
前記青色LEDのそれぞれがさらに、前記第1導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域と前記第2導電タイプの少なくともひとつの半導体領域との間に設けられた青色アクティブ領域を含み、前記青色アクティブ領域が、バルクのまたは準バルクのIn
xGa
1-xNレイヤまたはGaNあるいはAlGaNバリアレイヤとIn
xGa
1-xNウェルレイヤとを有するひとつ以上の量子井戸を含み、ここでxは0と1との間の実数であり、
前記緑色LEDのそれぞれがさらに、前記青色アクティブ領域と、前記第1導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域と前記第2導電タイプの少なくともひとつの半導体領域との間に設けられた緑色アクティブ領域と、を含み、前記緑色アクティブ領域が、バルクのまたは準バルクのIn
yGa
1-yNレイヤまたはGaNあるいはAlGaNバリアレイヤとIn
yGa
1-yNウェルレイヤとを有するひとつ以上の量子井戸を含み、ここでyは0と1との間の実数であり、
前記赤色LEDのそれぞれがさらに、前記青色アクティブ領域と、前記緑色アクティブ領域と、前記第1導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域と前記第2導電タイプの少なくともひとつの半導体領域との間に設けられた赤色アクティブ領域と、を含み、前記赤色アクティブ領域が、アルミニウムガリウムヒ化物、アルミニウムガリウムインジウムリン化物、ガリウムヒ素リン化物、ガリウムリン化物、In
zGa
1-zNここで0.4≦z≦0.5でxおよびyは0.3以下、In
wGa
1-wP
1-u-vAs
uN
vという化学式を有する赤色発光希薄III族窒化物半導体ここでwおよびuは0と1との間の実数であり0.01≦v≦0.1、およびユーロピウムドープガリウム窒化物、から選択される少なくともひとつのバルク、準バルク、または量子井戸レイヤを含
み、前記赤色アクティブ領域が、前記緑色アクティブ領域に接している発光デバイス。
【請求項2】
前記緑色アクティブ領域および前記赤色アクティブ領域がそれぞれ1から100nmの厚さを有し、
前記デバイスが、各ピクセルに前記青色LEDと前記緑色LEDと前記赤色LEDとを含む直視型マルチカラー発光デバイスを含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域が前記第1導電タイプの複数の半導体ナノワイヤを含み、
前記青色、緑色および赤色アクティブ領域が前記複数の半導体ナノワイヤを覆って設けられるシェルを含み、
前記第2導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域が、前記青色、緑色および赤色アクティブ領域および前記複数の半導体ナノワイヤの周りに設けられた前記第2導電タイプのアウタシェルを含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域が前記第1導電タイプの平板半導体レイヤを含み、
前記青色、緑色および赤色アクティブ領域が前記第1導電タイプの前記平板半導体レイヤを覆って設けられるレイヤを含み、
前記第2導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域が、前記青色、緑色および赤色アクティブ領域を含む前記レイヤを覆って設けられる前記第2導電タイプの少なくともひとつの平板半導体レイヤを含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
発光デバイス(LED)アレイを作成する方法であって、
第1導電タイプの少なくともひとつの半導体領域を形成することと、
前記第1導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域の上の青色、緑色および赤色LED領域に青色アクティブ領域を形成することであって、前記青色アクティブ領域が、バルクのまたは準バルクのIn
xGa
1-xNレイヤまたはGaNあるいはAlGaNバリアレイヤとIn
xGa
1-xNウェルレイヤとを有するひとつ以上の量子井戸を含み、ここでxは0と1との間の実数であることと、
前記緑色および赤色LED領域の前記青色アクティブ領域の上に緑色アクティブ領域を形成することであって、前記緑色アクティブ領域が、バルクのまたは準バルクのIn
yGa
1-yNレイヤまたはGaNあるいはAlGaNバリアレイヤとIn
yGa
1-yNウェルレイヤとを有するひとつ以上の量子井戸を含み、ここでyは0と1との間の実数であることと、
前記赤色LED領域の前記緑色アクティブ領域の上に
、前記緑色アクティブ領域に接する赤色アクティブ領域を形成することであって、前記赤色アクティブ領域が、アルミニウムガリウムヒ化物、アルミニウムガリウムインジウムリン化物、ガリウムヒ素リン化物、ガリウムリン化物、In
zGa
1-zNここで0.4≦z≦0.5でxおよびyは0.3以下、In
wGa
1-wP
1-u-vAs
uN
vという化学式を有する赤色発光希薄III族窒化物半導体ここでwおよびuは0と1との間の実数であり0.01≦v≦0.1、およびユーロピウムドープガリウム窒化物、から選択される少なくともひとつのバルク、準バルク、または量子井戸レイヤを含むことと、
前記青色、緑色および赤色LED領域の前記青色、緑色および赤色アクティブ領域の上に第2導電タイプの少なくともひとつの半導体領域を形成することと、を含む方法。
【請求項6】
前記緑色アクティブ領域および前記赤色アクティブ領域がそれぞれ1から100nmの厚さを有し、
前記アレイが、各ピクセルに前記青色LEDと前記緑色LEDと前記赤色LEDを含む直視型マルチカラー発光デバイスを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域を形成することが、前記第1導電タイプの複数の半導体ナノワイヤを形成することを含み、
前記青色、緑色および赤色アクティブ領域が前記複数の半導体ナノワイヤを覆って設けられるシェルを含み、
前記第2導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域を形成することが、前記青色、緑色および赤色アクティブ領域および前記複数の半導体ナノワイヤの周りに、前記第2導電タイプのアウタシェルを形成することを含む請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域を形成することが、前記第1導電タイプの平板半導体レイヤを形成することを含み、
前記青色、緑色および赤色アクティブ領域が前記第1導電タイプの前記平板半導体レイヤを覆って設けられるレイヤを含み、
前記第2導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域を形成することが、前記青色、緑色および赤色アクティブ領域を含む前記レイヤの上に前記第2導電タイプの少なくともひとつの平板半導体レイヤを形成することを含む請求項5に記載の方法。
【請求項9】
第1ピーク波長の光を発するよう構成された第1発光ダイオードであって、xが0と1との間の実数であるIn
xGa
1-xNを含む第1タイプアクティブ領域を含む第1スタックを含む第1発光ダイオードと、
前記第1波長とは異なる第2波長の光を発するよう構成された第2発光ダイオードであって、前記第1タイプアクティブ領域と、前記第1タイプアクティブ領域とは異なる組成を有し、xが0と1との間の実数であるIn
xGa
1-xNを含む第2タイプアクティブ領域と、を含む第2スタックを含む第2発光ダイオードと、
前記第1波長とも前記第2波長とも異なる第3波長の光を発するよう構成された第3発光ダイオードであって、前記第1タイプアクティブ領域と、前記第2タイプアクティブ領域と、前記第1タイプアクティブ領域とも前記第2タイプアクティブ領域とも異なる組成を有し、ガリウムを含む第3タイプアクティブ領域
であって、前記第2タイプアクティブ領域に接している第3タイプアクティブ領域と、を含む第3スタックを含む第3発光ダイオードと、を備える発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2016年5月4日に出願された米国特許仮出願第62/331,859号および2017年2月28日に出願された米国特許仮出願第62/464,504号の優先権の利益を享受する。それらの出願の開示全体は、参照により本明細書に組み入れられる。
分野
【0002】
本発明は、モノリシックマルチカラーディスプレイデバイスに関し、特に異なる色のLEDを含むモノリシックマルチカラー直視型ディスプレイデバイスおよびそれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発光ダイオード(LED)などの発光デバイスについて、放射波長は、厚さで決定される閉じ込め効果と共にLEDのアクティブ領域のバンドギャップによって決定される。多くの場合、アクティブ領域はひとつ以上のバルク半導体レイヤまたは量子井戸(QW)を含む。GaNベースデバイスなどのIII窒化物ベースのLEDデバイスでは、アクティブ領域(例えば、バルク半導体レイヤまたはQW井戸レイヤ)物質は、InxGa1-xN(ここで0<x<1)などの三元系であることが好ましい。
【0004】
そのようなIII窒化物のバンドギャップはアクティブ領域に組み入れられたInの量に依存する。インジウム組み入れが大きいとより小さなバンドギャップが生じ、これはしたがって発せられる光の波長をより長くする。本明細書で用いられる場合、用語「波長」はLEDのピーク放射波長を指す。半導体LEDの典型的な放射スペクトルはピーク波長を中心とする波長狭帯域であることは理解されるべきである。
【0005】
従来技術のマルチカラーLEDアレイはいくつかの欠点に苦しむ。いくつかのマルチカラーLEDは、同じナノワイヤの異なる部分から異なる色の光(すなわち、異なる波長)を発するナノワイヤLEDを形成するが、これは、同じナノワイヤLEDから異なる放射波長を制御して選択的に活性化することを難しくする。
【発明の概要】
【0006】
本開示のある態様によると、基板上に設けられた複数の発光ダイオードを含む発光デバイスが提供される。複数の発光ダイオードは、第1ピーク波長の光を発するよう構成された第1タイプアクティブ領域を含む第1発光ダイオードと、前記第1ピーク波長と同じか異なる第2ピーク波長の光を発するよう構成された第2タイプアクティブ領域を含む第2発光ダイオードと、前記第1および第2ピーク波長より大きな第3ピーク波長の光を発するよう構成された第3発光ダイオードと、を含む。
【0007】
本開示の他の態様によると、発光デバイスを形成する方法が提供され、該方法は、第1ピーク波長の光を発するよう構成された第1タイプアクティブ領域を含む第1発光ダイオードを基板上に形成するステップと、前記第1ピーク波長と同じか異なる第2ピーク波長の光を発するよう構成された第2タイプアクティブ領域を含む第2発光ダイオードを前記基板上に形成するステップと、前記第1および第2ピーク波長より大きな第3ピーク波長の光を発するよう構成された第3発光ダイオードを形成するステップと、を含む。
【0008】
本開示のある態様によると、発光デバイスは、第1ピーク波長の光を発するよう構成された第1発光ダイオードであって、第1タイプアクティブ領域を含む第1スタックを含む第1発光ダイオードと、前記第1波長とは異なる第2波長の光を発するよう構成された第2発光ダイオードであって、前記第1タイプアクティブ領域と、前記第1タイプアクティブ領域とは異なる組成を有する第2タイプアクティブ領域と、を含む第2スタックを含む第2発光ダイオードと、前記第1波長とも前記第2波長とも異なる第3波長の光を発するよう構成された第3発光ダイオードであって、前記第1タイプアクティブ領域と、前記第2タイプアクティブ領域と、前記第1タイプアクティブ領域とも前記第2タイプアクティブ領域とも異なる組成を有する第3タイプアクティブ領域と、を含む第3スタックを含む第3発光ダイオードと、を備える。
【0009】
本開示のある態様によると、半導体デバイスを製造する方法は、第1半導体レイヤを形成するステップと、前記第1半導体レイヤの第1部分に第1マスキングレイヤを形成するステップと、前記第1マスキングレイヤが前記第1半導体レイヤの前記第1部分に設けられている間に前記第1マスキングレイヤから露出している前記第1半導体レイヤの第2部分に第2半導体レイヤを形成するステップと、前記第2半導体レイヤの第1部分に第2マスキングレイヤを形成するステップと、前記第1マスキングレイヤが前記第1半導体レイヤの前記第1部分に設けられかつ前記第2マスキングレイヤが前記第2半導体レイヤの前記第1部分に設けられている間に前記第2マスキングレイヤから露出している前記第2半導体レイヤの第2部分に第3半導体レイヤを形成するステップと、前記第3半導体レイヤの第2部分が露出している間に前記第3半導体レイヤの第1部分に第3マスキングレイヤを形成するステップと、前記第1、第2および第3半導体レイヤをエッチングすることで第1、第2および第3スタックを形成するステップと、を含む。
【0010】
本開示のある態様によると、発光デバイスは、前記基板上に設けられた複数の発光ダイオードであって、前記複数の発光ダイオードのそれぞれが、第1導電タイプの半導体ナノワイヤと、対応するナノワイヤを囲むアクティブ領域と、対応するアクティブ領域を横方向に囲む半導体接合レイヤと、を含み、前記半導体接合レイヤが前記第1導電タイプの逆の第2導電タイプのドーピングを有する、複数の発光ダイオードを備える。前記複数の発光ダイオードは第1ピーク波長の光を発する第1タイプアクティブ領域を含む第1発光ダイオードと、前記第1ピーク波長と同じか異なる第2ピーク波長の光を発する第2タイプアクティブ領域を含む第2発光ダイオードと、第3タイプアクティブ領域を含む第3発光ダイオードと、前記第3タイプアクティブ領域を覆って設けられる発光構造と、を含む。前記発光構造は、前記第1および第2ピーク波長より大きな第3ピーク波長の光を発する。
【0011】
本開示の他の態様によると、発光デバイスアレイの形成方法は以下を含む。半導体物質レイヤを含む基板を提供することと、前記基板の上面に複数の貫通開口を含むパターン化成長マスクを形成することと、前記パターン化成長マスクを通じて第1半導体ナノワイヤ、第2半導体ナノワイヤおよび第3半導体ナノワイヤを形成することであって、前記第1、第2および第3半導体ナノワイヤのそれぞれが前記基板の前記上面に実質的に垂直な方向に沿って前記パターン化成長マスク内の対応する開口を通って延びる、形成することと、前記第1、第2および第3ナノワイヤのそれぞれの周りに、第1タイプアクティブ領域と、第2タイプアクティブ領域の第1インスタンスと、前記第2タイプアクティブ領域の第2インスタンスと、を形成することと、前記第1タイプアクティブ領域、前記第2タイプアクティブ領域の前記第1インスタンス、および前記第2タイプアクティブ領域の前記第2インスタンスのそれぞれの上に、第1半導体接合レイヤと、第2半導体接合レイヤと、第3半導体接合レイヤおよび発光構造の組み合わせと、を形成すること。第1タイプアクティブ領域は、第1ピーク波長の光を発するよう構成され、前記第2タイプアクティブ領域の各インスタンスは、前記第1ピーク波長と同じか異なる第2ピーク波長の光を発するよう構成され、前記発光構造は、前記第1および第2ピーク波長より大きな第3ピーク波長の光を発するよう構成される。
【0012】
本開示の他の態様によると、半導体デバイスを作成する方法は、第1半導体レイヤを形成することと、前記第1半導体レイヤの第1部分の上に第1マスキングレイヤを形成することと、前記第1マスキングレイヤにではなく前記第1マスキングレイヤから露出する前記第1半導体レイヤの第2部分に第2半導体レイヤを選択的に成長させることと、前記第2半導体レイヤの第1部分の上に第2マスキングレイヤを形成することと、前記第2マスキングレイヤにではなく前記第2マスキングレイヤから露出する前記第2半導体レイヤの第2部分に第3半導体レイヤを選択的に成長させることと、を含む。
【0013】
本開示の他の態様によると、発光デバイスは、複数の青色発光ナノワイヤ発光ダイオードと、複数の緑色発光ナノワイヤ発光ダイオードと、複数の赤色発光有機発光ダイオードと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の実施の形態に係る、複数色の発光ダイオードを伴う基板の平面図である。
【0015】
【
図2】本開示の実施の形態に係る、パターン化成長マスクの形成後の、モノリシックマルチカラーピクセルを形成するための例示的な第1構造の垂直断面図である。
【0016】
【
図3】本開示の実施の形態に係る、半導体ナノワイヤを形成した後の例示的な第1構造の垂直断面図である。
【0017】
【
図4】本開示の実施の形態に係る、インナシェルを形成した後の例示的な第1構造の垂直断面図である。
【0018】
【
図5】本開示の実施の形態に係る、二つの異なるタイプのアクティブ領域の形成後の例示的な第1構造の垂直断面図である。
【0019】
【
図6】本開示の実施の形態に係る、緑色および青色発光領域をカバーするためのパターン化マスキングレイヤスタックの形成後の例示的な第1構造の垂直断面図である。
【0020】
【
図7】本開示の実施の形態に係る、赤色光を発するアクティブ領域の形成後の例示的な第1構造の垂直断面図である。
【0021】
【
図8】本開示の実施の形態に係る、パターン化マスキングレイヤスタックの除去後の例示的な第1構造の垂直断面図である。
【0022】
【
図9】本開示の実施の形態に係る、半導体接合レイヤの形成後の例示的な第1構造の垂直断面図である。
【0023】
【
図10】本開示の実施の形態に係る、半導体接合レイヤの堆積およびパターン化による半導体接合レイヤの形成後の例示的な第1構造の代替的な実施の形態の垂直断面図である。
【0024】
【
図11】本開示の実施の形態に係る、半導体接合レイヤの形成後の例示的な第2構造の垂直断面図である。
【0025】
【
図12】本開示の実施の形態に係る、赤色発光領域における赤色発光物質部分の形成後の例示的な第2構造の垂直断面図である。
【0026】
【
図13】本開示の実施の形態に係る、半導体接合レイヤのパターン化後の例示的な第2構造の垂直断面図である。
【0027】
【
図14】本開示の実施の形態に係る、発光デバイスアレイの代替的な実施の形態の垂直断面図である。
【0028】
【
図15】本開示の実施の形態に係る、第1、第2および第3発光領域における第1タイプアクティブ領域の形成後の例示的な第3構造の垂直断面図である。
【0029】
【
図16】本開示の実施の形態に係る、第2および第3発光領域における第2タイプアクティブ領域の形成後の例示的な第3構造の垂直断面図である。
【0030】
【
図17】本開示の実施の形態に係る、第3発光領域における第3タイプアクティブ領域の形成後の例示的な第3構造の垂直断面図である。
【0031】
【
図18】本開示の実施の形態に係る、半導体接合レイヤの形成後の例示的な第3構造の垂直断面図である。
【0032】
【
図19】本開示の実施の形態に係る、複数色の発光ダイオードを伴う基板の平面図である。
【0033】
【
図20A】
図20Aは、本開示の実施の形態に係る、半導体物質レイヤを基板に提供した後の例示的な第4構造の平面図である。
図20Bは、
図20Aの垂直平面B-B’に沿った垂直断面図である。
【
図20B】
図20Aは、本開示の実施の形態に係る、半導体物質レイヤを基板に提供した後の例示的な第4構造の平面図である。
図20Bは、
図20Aの垂直平面B-B’に沿った垂直断面図である。
【0034】
【
図21A】本開示の実施の形態に係る、第1タイプアクティブ領域レイヤの形成後の例示的な第4構造の平面図である。
【0035】
【0036】
【
図22A】本開示の実施の形態に係る、第1マスキングレイヤおよび第2タイプアクティブ領域レイヤの形成後の例示的な第4構造の平面図である。
【0037】
【0038】
【
図23A】本開示の実施の形態に係る、第2マスキングレイヤおよび第3タイプアクティブ領域レイヤの形成後の例示的な第4構造の平面図である。
【0039】
【0040】
【
図24A】本開示の実施の形態に係る、第3マスキングレイヤの形成後の例示的な第4構造の平面図である。
【0041】
【0042】
【
図25A】
図25Aは、本開示の実施の形態に係る、アクティブ領域レイヤのパターン化後の例示的な第4構造の平面図である。
図25Bは、
図25Aの垂直平面B-B’に沿った垂直断面図である。
【
図25B】
図25Aは、本開示の実施の形態に係る、アクティブ領域レイヤのパターン化後の例示的な第4構造の平面図である。
図25Bは、
図25Aの垂直平面B-B’に沿った垂直断面図である。
【0043】
【
図26A】本開示の実施の形態に係る、マスキングレイヤの除去後の例示的な第4構造の平面図である。
【0044】
【0045】
【
図26C】
図26C-26Gは、本開示の実施の形態に係る、複数タイプのアクティブ領域の形成中の、例示的な第4構造の代替的な実施の形態の連続垂直断面図である。
【
図26D】
図26C-26Gは、本開示の実施の形態に係る、複数タイプのアクティブ領域の形成中の、例示的な第4構造の代替的な実施の形態の連続垂直断面図である。
【
図26E】
図26C-26Gは、本開示の実施の形態に係る、複数タイプのアクティブ領域の形成中の、例示的な第4構造の代替的な実施の形態の連続垂直断面図である。
【
図26F】
図26C-26Gは、本開示の実施の形態に係る、複数タイプのアクティブ領域の形成中の、例示的な第4構造の代替的な実施の形態の連続垂直断面図である。
【
図26G】
図26C-26Gは、本開示の実施の形態に係る、複数タイプのアクティブ領域の形成中の、例示的な第4構造の代替的な実施の形態の連続垂直断面図である。
【0046】
【
図26H】
図26H-26Jは、本開示の実施の形態に係る、複数タイプのアクティブ領域の形成中の、例示的な第4構造の別の代替的な実施の形態の連続垂直断面図である。
【
図26I】
図26H-26Jは、本開示の実施の形態に係る、複数タイプのアクティブ領域の形成中の、例示的な第4構造の別の代替的な実施の形態の連続垂直断面図である。
【
図26J】
図26H-26Jは、本開示の実施の形態に係る、複数タイプのアクティブ領域の形成中の、例示的な第4構造の別の代替的な実施の形態の連続垂直断面図である。
【0047】
【
図27A】本開示の実施の形態に係る、連続的半導体接合レイヤを堆積した後の例示的な第4構造の平面図である。
【0048】
【0049】
【
図28A】本開示の実施の形態に係る、連続的半導体接合レイヤのパターン化後の例示的な第4構造の平面図である。
【0050】
【0051】
【
図29A】本開示の実施の形態に係る、透明導電レイヤの形成後の例示的な第4構造の平面図である。
【0052】
【0053】
【
図30A】本開示の実施の形態に係る、構造を介した接点の形成後の例示的な第4構造の平面図である。
【0054】
【発明を実施するための形態】
【0055】
本明細書で用いられる場合、「p平面」は「ピラミッド平面」を意味し、これはIII窒化物系の
平面のいずれかであってもよく、「c平面」は{0001}平面を表し、「m平面」は
平面のいずれかを表す。成長レートは、そうでないと指定されない場合、成長面に垂直な方向に沿ったレイヤ成長レートを意味する。
【0056】
本明細書において、「動力学的に制限された成長レジーム」は、成長レートが熱力学的平衡に到達するのが主としてエネルギバリア(低温、ソース物質のクラッキング、表面結合の解放など)によって妨げられる成長レジームを意味する。「マスフロー制限された成長レジーム」は、成長エリアの沈殿は主に妨げられないが成長レートが成長エリアにおけるソース物質の濃度により制限される成長レジームを意味する。「III族制限された成長レジーム」は、III列元素に関してマスフロー制限された成長レジームを意味し、一方、「V族制限された成長レジーム」は、V列元素に関してマスフロー制限された成長レジームを意味する。
【0057】
単一半導体基板上に、すなわち、複数の基板を互いに積み重ねることなく、複数の異なるピーク波長を有する発光ダイオードを形成する方法は、例えば、Ohlssonらに付与された米国特許第9,054,233号に開示されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。単一の半導体基板を用いるそのようなモノリシック発光ダイオードは直視型ディスプレイデバイスの製造中のダイ移送プロセスを取り除くという顕著な利点を提供するものの、そのプロセスは、ピクセルごとに、三つの異なる幾何学フィーチャに基づく各ピクセルからの、赤色、緑色および青色放射スペクトル用の三種類の発光ダイオードのピーク放射波長を提供することを含む。
【0058】
本開示の実施の形態では、マルチカラー(例えば、三色以上)直視型ディスプレイの製造方法は、ピクセルごとに二つの異なる幾何学フィーチャなどのピクセルごとに3より少ない数の異なる幾何学フィーチャを用いることによって、または、各ピクセルの全ての発光デバイスに同じ幾何学フィーチャを伴わせることによって、実行されてもよい。ある実施の形態では、ナノワイヤ発光ダイオード(LED)において、赤色アクティブ領域は青色または緑色アクティブ領域の上に形成されてもよい。他の実施の形態では、青色または緑色発光LEDの上にダウンコンバーティング要素(例えば、赤色放射蛍光体や染料や量子ドット)が形成される。他の実施の形態では、各ピクセルの青色または緑色発光ナノワイヤLEDは、有機または無機赤色放射平板LEDなどの再成長赤色放射平板LEDに置き換えられる。
【0059】
成長系は通常、これらのパラメータの部分集合の組み合わせによって制限される、すなわち、成長レートは、厳しい動力学的反応バリアが系に存在する場合でも、ソース濃度によって制限されることが多い。III族制限された成長レートに対するV族制限された成長レートの相対重みは、トータルのV/III比を変えることで最も容易に調整される。マスフロー制限された成長レートに対する動力学的に制限された成長レートの相対重みは、動力学的バリアの元に依存するので、より複雑である。通常、これを変えるパラメータは温度、全圧、全フロー、キャリアガス、およびV/III比である。また、堆積を進めるために各元素グループの50%が必要となるV/III成長において、ひとつのグループの元素が動力学的に制限されうる一方で、他のグループの元素がマスフロー的に制限され、その場合それらのグループのうちのひとつのみが成長レート制限を引き起こしうることを認識することは重要である。従来のV/III成長におけるMOVPEおよび同様の成長方法において、多くの場合、高品質の物質がV族物質の大きなオーバフローで成長され、例えば、GaNにおいては1000から10000などの少なくとも1000のV/IIIソースガスマスフロー比が用いられる。これらの条件下で、成長面に対するV族物質の飽和オーバフローを維持するためにV族濃度は高いのであるが、成長レートはIII族制限される。対照的に、V族制限成長モードでは、V/III比は0.001から100などの1000よりも小さいことが好ましく、例えば0.001から0.1などの1より小さいものである。
【0060】
ある成長条件における成長レート制限のタイプを決めることは比較的単純であり、条件パラメータを変えた上で成長レートの変化を記録する(例えば、厚さ測定)ことによりなされる。動力学的バリアのエネルギ高さは、温度依存成長レート測定により導出可能である。
【0061】
ひとつのステップで数色のLEDを同時に成長させることについては、白色演出のためのRGB(赤緑青)やYB(黄青)やYGB(黄緑青)組み合わせ(すなわち、RGB、YBまたはYGBピーク波長放射の組み合わせに基づく白色発光LED)や少なくともひとつのLED放射光色が人間の観測者によって直接視られる直視型マルチカラーディスプレイにおいてだけでなく、高効率GB(緑青)においても、商業的な関心が高い。他の物質系に基づく有望な緑色蛍光体も緑色LEDも実現することが困難であったからである。従来のデバイスの欠点に鑑み、本発明者らはLEDアレイなどの光電子デバイスを形成するために使用可能な選択的成長構造を生み出した。本明細書で用いられる場合、ひとつのステップでの同時成長という用語は、異なる色を発するLEDの対応するレイヤや構造がひとつのステップで成長することを意味する。したがって、例えば、異なる色を発するLEDのナノ構造コアは同じ第1ステップで成長し、異なる色を発するLEDのアクティブ領域は同じ第2ステップで成長し、異なる色を発するLEDの接合形成要素またはシェルは同じ第3ステップで成長してもよい。
【0062】
好適ではあるが必ずしも必要ではないものとして、半導体LED要素のアレイは、アクティブ領域とボリューム要素シェルとを含むシェルによって囲まれたナノ構造化(例えば、ナノワイヤまたはナノピラミッド)コアを含み、これは本明細書ではテンプレートと称される。そのようなナノ構造LEDは光またはUV放射の「点光源」として考えられてもよく、これは、長尺ストライプや平板バルク半導体レイヤを含む従来のLED構造とは異なる。後述するように、テンプレートはナノワイヤコアなどの単一の成長レイヤを含んでもよいし、また複数レイヤから形成されてもよい。あるいはまた、半導体LED要素のアレイは、それぞれ一様な厚さを有する横広がりのレイヤを含む平板モノリシック発光レイヤスタックを含んでもよい。
【0063】
以下の実施の形態のいくつかでは、V族制限された条件/レジームがマスクの開口を通じたナノワイヤコアの成長ステップで例示される。しかしながら、VLS成長や他の選択的成長方法などの、製品として十分に高品質な物質を伴うV族制限が達成される任意の他の適切な成長レジームが用いられてもよい。したがって、選択的ナノワイヤ成長としてのV族制限された成長ステップは、単に例示のために用いられるのであって、本発明を限定するものではない。
【0064】
図1は、基板20に形成可能な直視型ディスプレイデバイス200のコンセプトを示す。本明細書で用いられる場合、直視型ディスプレイデバイス200は、各ピクセル25が適切な電気的バイアスが印加されたとき内部から光を生成する少なくともひとつの光源を含むディスプレイデバイスである。その少なくともひとつの光源は、赤色光、青色光および緑色光などの異なる波長の光放射を提供する複数の発光ダイオードであってもよい。ピクセル25のアレイは、追加的な基板の結合や発光ダイオードダイなどのダイの移送を用いない半導体製造方法によって、基板20上に直接的に製造されうる。したがって、製造プロセスは、堆積プロセスと、エッチングプロセスと、リソグラフィパターン化プロセスと、オプションの平坦化プロセス(化学機械的平坦化やリセスエッチングなど)と、のみを含み、他の基板の結合も他の基板に形成されたダイの移送も含まない。
【0065】
基板20上にひとつ以上の直視型ディスプレイデバイス200が製造可能である。各直視型ディスプレイデバイス200はピクセル25のアレイを含む。各ピクセルは、異なる波長の光を発する発光ダイオードを含んでもよい。例えば、各ピクセル25は、第1ピーク波長(495nmから570nmまでの範囲にあるピーク波長など)の光を発する少なくともひとつの第1タイプ発光ダイオード10G(例えば二つの緑色発光ダイオードなどの少なくともひとつの緑色発光ダイオードなど)と、第2ピーク波長(400nmから495nmまでの範囲にあるピーク波長など)の光を発する少なくともひとつの第2タイプ発光ダイオード10B(少なくともひとつの青色発光ダイオードなど)と、第3ピーク波長(600nmから700nmまでの範囲にあるピーク波長など)の光を発する少なくともひとつの第3タイプ発光ダイオード10R(少なくともひとつの赤色発光ダイオード10Rなど)と、を含みうる。ひとつのピクセル25内の各タイプの発光ダイオードの数はピクセルごとの適切な照明レベルを提供するよう選択されてもよい。例えば、ピクセル25の各緑色、青色および赤色発光エリアに、それぞれ緑色光、青色光および赤色光を発する複数のナノワイヤLEDを形成する。オプションで、ピクセル25のサイトのうちのひとつ(例えば、緑色放射LED10Gのうちのひとつのサイト)は修復サイトとして空きのままとされてもよく、これは、特定のピクセル25において、欠陥または機能しないLEDデバイス10G、10Bまたは10Rを補償するための修復LEDデバイスを後に取り付けるためである。空きのサイトは、赤外光ダイオードの使用を通じたタッチ認識などのディスプレイデバイスのひとつ以上の追加的機能のために用いられてもよい。
【0066】
ピクセルのそれぞれが発光ダイオード(10G、10B、10R)の少なくとも二つのタイプ(三つおよびオプションで四つなど)の発光ダイオードを含み、そのようなピクセルの製造が完了すると、基板20はダイシングされ、少なくともひとつの直視型ディスプレイデバイス200が提供される。したがって、各直視型ディスプレイデバイスはモノリシックマルチカラーピクセルのアレイを含む。本明細書で用いられる場合、「マルチカラー」ピクセルは、電気的バイアスの印加に依存して異なるピーク波長の光を発することができる、したがって、生来的に複数の色を表示できる、ピクセルを指す。本明細書で用いられる場合、「モノリシック」マルチカラーピクセルは、同じ基板に直接的に形成されるマルチカラーピクセルを指す。単一の基板20上に複数の直視型ディスプレイデバイス200が製造される場合、直視型ディスプレイデバイス200は同じサイズおよび/またはタイプのものであってもよいし、異なるサイズおよび/またはタイプのものであってもよい。直視型ディスプレイデバイス200は成長基板20からダイシングされ、種々の電極および電気接点を含むバックプレーンに取り付けられてもよい。あるいはまた、ひとつ以上のピクセルが個々に基板20からダイシングされ、バックプレーンに取り付けられてもよい。
【0067】
図2を参照すると、例示的な第1構造が示され、これは基板20上にモノリシックマルチカラーピクセルを製造するためのプロセス中の構造である。本明細書で用いられる場合、「プロセス中の(in-process)」構造は、最終的な構造を作るために後に変更される構造を指す。基板20が提供され、この基板20は、ハンドル基板22(サファイア基板など)と、バッファ半導体レイヤ24(GaNレイヤ、AlNレイヤ、AlGaNレイヤ、それらのグレードされた変形例、またはそれらのスタックなど)と、ベース半導体レイヤ26(nドープGaNレイヤなど)と、を含む成長基板であってもよい。ベース半導体レイヤ26は、後に形成される発光ダイオードのそれぞれのひとつのノードとして機能するドープ半導体物質を含む半導体物質レイヤである。バッファ半導体レイヤ24およびベース半導体レイヤ26はエピタキシャル堆積プロセスによって形成されてもよい。この場合、バッファ半導体レイヤ24およびベース半導体レイヤ26のそれぞれは、ハンドル基板22(これは単結晶サファイア(Al
2O
3)基板を含みうる)の単結晶構造にエピタキシャルに整列した単結晶半導体物質を含む。ベース半導体レイヤ26は、pタイプまたはnタイプであってもよい第1導電タイプのドーピングを有してもよい。図示の例では、ベース半導体レイヤ26はnドープGaNを含みうる。
【0068】
続いて、ベース半導体レイヤ26の上面に成長マスク42が形成される。成長マスク42は誘電体物質または金属物質を含んでもよい。成長マスク42に誘電体物質が用いられる場合、例えば化学蒸着によって窒化珪素や酸化珪素を堆積し、続いてリソグラフィによりパターン化してもよい。金属物質が用いられる場合、成長マスク42のためにチタンなどの高融点金属を堆積し、続いてリソグラフィによりパターン化してもよい。成長マスク42の厚さは10nmから500nmの範囲内であってもよいが、より小さいまたはより大きい厚さを用いてもよい。
【0069】
成長マスク42を通じた開口43G、43Bおよび43Rは、例えば、フォトレジストレイヤ(不図示)の塗布およびパターン化、ならびに後続の、パターン化されたフォトレジストレイヤをエッチングマスクとして用いて成長マスク42の露出部分を物理的にエッチングするエッチングプロセスによって、形成される。続いて、フォトレジストレイヤは、例えば灰化により除去されてもよい。開口は円形、楕円形または多角形であってもよい。開口の最大横方向寸法は種々の発光領域のなかで異なるように選択されてもよい。種々の発光領域は、第1発光領域30G(緑色発光領域であってもよい)、第2発光領域30B(青色発光領域であってもよい)、および/または第3発光領域30R(赤色発光領域であってもよい)、を含んでもよい。例えば、第1発光領域30Gの各開口43Gは第1最大横方向寸法(例えば、円形開口の直径や、偶数個の頂点を有する正多角形の外接円の直径)を有してもよく、第2発光領域30Bの各開口43Bは第2最大横方向寸法を有してもよく、第3発光領域30Rの各開口43Rは第3最大横方向寸法を有してもよい。第2最大横方向寸法は第1最大横方向寸法よりも小さくてもよく、第3最大横方向寸法は第1最大横方向寸法以下であってもよい。第3最大横方向寸法は第2最大横方向寸法と同じか、それよりも小さいか、それよりも大きくてもよい。
図2に示される図示の例では、第1最大横方向寸法は200nmから2ミクロンまでの範囲内にあってもよく、第2および第3最大横方向寸法は50nmから500nmまでの範囲にあってもよく、しかしながらそれぞれについてより小さいまたはより大きい最大横方向寸法が用いられてもよい。あるいはまた、第1および第3最大横方向寸法は200nmから2ミクロンまでの範囲内にあってもよく、第2最大横方向寸法は50nmから500nmまでの範囲内にあってもよい。
【0070】
明確性のため、各領域30G、30Bおよび30Rにおいてそれぞれひとつの開口43G、43Bおよび43Rを示しているが、各領域30G、30Bおよび30Rはそのなかに配置される複数の対応する開口43G、43Bおよび43Rを有することにより、各領域30G、30Bおよび30RにおいてナノワイヤLED10G、10Bおよび10Rのアレイを形成してもよいことは理解されるべきである。各開口43G、43Bおよび43R間の間隔および/または各開口43G、43Bおよび43Rのサイズ(例えば、直径や幅)は各領域において異なっていてもよい。例えば、領域30Gにおける開口43G間の間隔は領域30Bにおける開口43B間の間隔よりも大きくてもよい。領域30Rにおける開口43R間の間隔は、領域30Bにおける開口43B間の間隔と同じであってもよく、または領域30Gにおける開口43G間の間隔と同じであってもよく、または領域30Bにおける開口43B間の間隔とも領域30Gにおける開口43G間の間隔とも異なってもよい。他の実施の形態では、領域30Gにおける開口43Gのサイズは領域30Bにおける開口43Bのサイズよりも大きくてもよい。領域30Rの開口43Rのサイズは、領域30Bにおける開口43Bのサイズと同じであってもよく(
図2に示されるように)、または領域30Gの開口43Gのサイズと同じであってもよく、または領域30Bにおける開口43Bのサイズとも領域30Gにおける開口43Gのサイズとも異なってもよい。他の実施の形態では、開口間の間隔および開口のサイズの両方が上述のように変化してもよい。
【0071】
あるいはまた、上述の、種々の発光領域(30G、30B、30R)に亘る開口の間隔および開口のサイズの変動は、各領域において開口を通じて露出されるベース半導体レイヤ26の露出量で説明されてもよい。例えば、第1発光領域30Gの総面積に対する第1発光領域30Gにおいて物理的に露出しているベース半導体レイヤ26の面積の比は、第2発光領域30Bの総面積に対する第2発光領域30Bにおいて物理的に露出しているベース半導体レイヤ26の面積の比よりも大きく、また、第3発光領域30Rの総面積に対する第3発光領域30Rにおいて物理的に露出しているベース半導体レイヤ26の面積の比よりも大きいか、小さいか、または同じである。第2発光領域30Bの総面積に対する第2発光領域30Bにおいて物理的に露出しているベース半導体レイヤ26の面積の比は、第3発光領域30Rの総面積に対する第3発光領域30Rにおいて物理的に露出しているベース半導体レイヤ26の面積の比よりも大きいか、小さいか、または同じであってもよい。
【0072】
図3を参照すると、選択的エピタキシャルプロセスにより、パターン化成長マスク42の開口32G、32Bおよび32Rを通じて、少なくともひとつの第1半導体ナノワイヤ32G、少なくともひとつの第2半導体ナノワイヤ32Bおよび少なくともひとつの第3半導体ナノワイヤ32Rを成長させてもよい。第1、第2および第3半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)のそれぞれは基板20の上面に実質的に垂直な方向に沿ってパターン化成長マスク42の対応する開口を通じて延びる。半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)は選択的エピタキシャルプロセスにより、ベース半導体レイヤ26の物理的に露出した面から成長してもよい。このプロセスは、c平面に垂直な方向に沿った、第1導電タイプのドーピングを有する単結晶ドープ半導体物質(例えば、nドープGaN)のエピタキシャル成長を提供するプロセス条件の下で行われる。c平面はベース半導体レイヤ26の上面に平行であってもよい。半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)の成長は、成長マスク42の表面から半導体物質を成長させることなく、主としてc方向、すなわちc平面に垂直な方向、に沿って、物理的に露出した半導体表面から単結晶半導体物質を成長させる選択的半導体堆積プロセスにより実行されてもよい。ある実施の形態では、各領域30G、32Bおよび32Rにおいて複数のナノワイヤ32G、32Bおよび32Rを成長させる。
【0073】
一例では、半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)の成長はIII族制限された(例えば、マスフロー制限された)MOCVD成長レジームにおいて行われてもよい。開口43Gのサイズが開口43Bおよび43Rのサイズと比べて大きいことにより、第1発光領域30Gの第1半導体ナノワイヤ32Gのそれぞれの高さは、第2発光領域30Bの第2半導体ナノワイヤ32Bのそれぞれの高さよりも小さくなり、また、第3発光領域30Rの第3半導体ナノワイヤ32Rのそれぞれの高さよりも小さくなり、これは
図3に示される。例えば、米国特許第9,054,233号公報(参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)に記載される方法を用いて、異なる高さを有する半導体ナノワイヤを形成してもよい。代替的な実施の形態では、開口43Rのサイズが開口43Gのサイズと同じ場合、第2発光領域30Bの第2半導体ナノワイヤ32Bのそれぞれの高さは、各領域30G、30Rの第1、第3ナノワイヤ32G、32Rのそれぞれの高さよりも高くてもよい。
【0074】
ある実施の形態では、第2半導体ナノワイヤ32Bの高さが第1半導体ナノワイヤ32Gの高さよりも大きくなるように、成長マスク42の開口の種々の寸法および半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)の最終的な高さを選択してもよい。第3半導体ナノワイヤ32Rの高さは第1半導体ナノワイヤ32Gの高さと同じか、それよりも大きいか小さくてもよく、第3半導体ナノワイヤ32Rの高さは第2半導体ナノワイヤ32Bの高さと同じか、それよりも大きいか小さくてもよい。例えば、ナノワイヤ32Rの高さはナノワイヤ32Bのそれと同じである。代替的な実施の形態では、開口43G、43Bおよび43Rのサイズが同じである場合、全てのナノワイヤ(32G、32B、32R)の高さは同じとなろう。
【0075】
本明細書で用いられる場合、各半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)のアスペクト比は、成長マスク42を通じた対応する開口の最大横方向寸法以上であってもよい半導体ナノワイヤのベースにおける最大横方向寸法に対する、半導体ナノワイヤの最終的な高さの比として定義される。ある実施の形態では、第2半導体ナノワイヤ32Bのアスペクト比は、1.5倍から10倍(例えば、2倍から5倍まで)の範囲内のファクタで第1半導体ナノワイヤ32Gのアスペクト比よりも大きくてもよいが、より小さなまたはより大きなファクタが用いられてもよい。同様に、第3半導体ナノワイヤ32Rのアスペクト比は、1.5倍から10倍(例えば、2倍から5倍まで)の範囲内のファクタで第1半導体ナノワイヤ32Gのアスペクト比よりも大きくてもよい。代替的な実施の形態では、全てのナノワイヤ32G、32Bおよび32Rのアスペクト比は同じであってもよい。
【0076】
図4を参照すると、半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)の上に、半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)と同じタイプのドーピングを有するオプションのインナシェル(34G、34B、34R)が形成されてもよい。第1インナシェル34Gは第1半導体ナノワイヤ32Gのそれぞれの周りにかつそれを覆って形成され、第2インナシェル34Bは第2半導体ナノワイヤ32Bのそれぞれの周りにかつそれを覆って形成され、第3インナシェル34Rは第3半導体ナノワイヤ32Rのそれぞれの周りにかつそれを覆って形成される。第1、第2および第3インナシェル(34G、34B、34R)のそれぞれは、例えばnドープGaNであってもよい第1導電タイプのドーピングを有するドープ半導体物質を含む。インナシェル(34G、34B、34R)を、誘電体表面(例えば、成長マスク42の表面)から半導体物質を成長させることなく、物理的に露出した半導体表面から単結晶半導体物質を成長させる選択的半導体堆積プロセスにより成長させてもよい。インナシェル(34G、34B、34R)の厚さは50nmから10ミクロンの範囲(例えば、200nmから4ミクロンであってもよい)内であってもよいが、より小さいまたはより大きい厚さを用いてもよい。
【0077】
例えば、ナノワイヤ32をCVDベースプロセスにより成長させてもよく、そこでは前駆ソースフローは連続的で、前駆ソースフローレートは成長ゾーンにおいて低い過飽和を達成するよう調整され、そこでは比較的低温(例えば、800度より下)において、V/III比が100以下であり、これは例えば1-100の範囲内、好適には1-50の範囲内、より好適には5-50の範囲内である。GaNインナシェル34は、より高温(800度より上、例えば900度-1200度)およびより高いV/III比(100より高く、例えば200-1000)で形成されてもよい。インナシェル34はIII族制限されたレジームで成長されることが好ましい。
【0078】
第2発光領域30Bの総面積に対する第2発光領域30Bにおいて物理的に露出している第2インナシェル34Bの総表面積の比(平面図で見た場合の)は、第1発光領域30Gにおいて物理的に露出している第1インナシェル34Gの総表面積の比より大きい。第1インナシェル34Gが垂直m平面側壁と傾斜p平面先端との両方を有するように描かれているが、第1インナシェルはピラミッド形状を有してもよく、この場合、垂直m平面側壁を欠く一方、傾斜p平面先端は成長マスク42まで延びる。この構成では、第1発光領域における第1インナシェル34Gのm平面面積に対するp平面面積の比は、第2発光領域30Bにおける第2インナシェル34Bのm平面面積に対するp平面面積の比よりも大きい。さらに、上述のように、領域30Gにおいてナノワイヤ32Gの上にある第1インナシェル34G同士の間隔は、領域30Bにおいてナノワイヤ32Bの上にある第2インナシェル34B同士の間隔よりも大きい(すなわち、より大きなピッチを有する)ことが好ましい(が、必須ではない)。
【0079】
特定の理論に縛られることを望むわけではないが、パターン化成長マスク42を通じた開口のサイズの差違および/または開口間のピッチの差違により、第1発光領域30Gの第1インナシェル34G上に形成されるアクティブ領域に、第2発光領域30Bの第2インナシェル34B上に形成されるアクティブ領域よりも多くのインジウムが組み入れられる結果となると信じる。ある実施の形態では、領域30GのLEDのアクティブ領域において、p平面先端領域へと、および、p平面先端領域とm平面側壁との接合におけるナノリング(例えば、環状または軒天)領域へと、領域30Bにおけるものよりも多くのインジウムが組み入れられうる。これは、米国特許第9,281,442号公報(2016年3月8日発行)およびPCT国際出願公開第WO2016/025325号(2016年2月18日公開)に記載されており、それらは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。領域30Gにおける、LEDのアクティブ領域への領域30Bにおけるものよりも高いインジウム組み入れにより、第1発光領域30GにおけるLEDからの光放射のピーク波長は、第2発光領域30Bにおけるものよりも長く(例えば、より低いエネルギ)となってもよい。したがって、領域30GのLEDは緑色光を発し、領域30BのLEDは青色光を発してもよい。
【0080】
オプションのインナシェル34G、34Bおよび34Rが省略される場合、第2発光領域30Bの総面積に対する第2発光領域30Bにおいて物理的に露出している第2ナノワイヤ32Bの総表面積の比(平面図で見た場合の)は、第1発光領域30Gにおいて物理的に露出している第1ナノワイヤ32Gの総表面積の比より大きい。さらに、上述のように、領域30Gにおける第1ナノワイヤ32G同士の間隔は、領域30Bにおけるナノワイヤ32B同士の間隔よりも大きい(すなわち、より大きなピッチを有する)ことが好ましい(が、必須ではない)。各領域30G、30BにおいてLEDのアクティブ領域がナノワイヤ32G、32B上に直接的に堆積される場合、領域30Gのアクティブ領域は領域30Bのアクティブ領域よりも高いインジウム含有量を有してもよく、これにより、領域30GのLEDからの光放射のピーク波長が、領域30Bにおけるものよりもある程度長くなりうる。
【0081】
第3インナシェル34Rに関して、第3発光領域30Rの総面積に対する第3発光領域30Rにおいて物理的に露出している第3インナシェル34Rの総表面積の比(平面図で見た場合の)は、第1または第2発光領域30G、30Bにおいて物理的に露出している第1または第2インナシェル34G、34Bの総表面積の比より大きいか、小さいか、または同じであってもよい。同様に、第3発光領域における第3インナシェル34Rのm平面面積に対するp平面面積の比は、第1または第2発光領域30G、30Bにおける第1または第2インナシェル34G、34Bのm平面面積に対するp平面面積の比より大きいか、小さいか、または同じであってもよい。例えば、
図4に示されるように、第3インナシェル34Rは第2インナシェル34Bと同じ構成を有してもよい。あるいはまた、第3インナシェル34Rは第1インナシェル34Gと同じ構成を有してもよく、または第1インナシェルとも第2インナシェルともことなる構成を有してもよい。
【0082】
図5を参照すると、異なる波長の光を発する半導体物質を堆積することによって、少なくとも二つの異なるタイプのアクティブ領域(361、362)をインナシェル(34G、34B、34R)上(または、インナシェルが省略される場合はナノワイヤ上)に形成する。第1タイプアクティブ領域361は第1インナシェル34Gのそれぞれの周りにかつそれを覆って直接的に形成され、第2タイプアクティブ領域362は第2インナシェル34Bのそれぞれの周りにかつそれを覆って直接的に形成されると共にオプションで第3インナシェル34Rのそれぞれの周りにかつそれを覆って直接的に形成される。例えば、第2タイプアクティブ領域362の第1インスタンスは第2インナシェル34Bのそれぞれの上に形成され、第2タイプアクティブ領域362の第2インスタンスは第3インナシェル34Rのそれぞれの上に形成されてもよい。
【0083】
第1タイプおよび第2タイプアクティブ領域(361、362)は少なくともひとつの選択的エピタキシャルプロセスにより形成されてもよい。第1タイプアクティブ領域361の各インスタンスおよび第2タイプアクティブ領域362の各インスタンスは、ターゲット波長の光を発する物質組成を有しうる。ある実施の形態では、第1タイプアクティブ領域361の各インスタンスはIn
xGa
1-xNレイヤを有してもよく、ここで、xは0と1との間の実数であり、第2タイプアクティブ領域362の各インスタンスはIn
yGa
1-yNレイヤを有してもよく、ここで、yは0と1との間の実数である。ある実施の形態では、yとxとは異なる。他の実施の形態では、yはxと同じであってもよく、これは
図15-18を参照して後に詳述される。xの値とyの値との間の差分は、インジウムガリウム窒化物レイヤの選択的エピタキシャルプロセス中のIn原子の組み入れレートが、第1発光領域30Gと第2および第3発光領域(30B、30R)との間で異なることにより誘起されてもよく、このように異なるのは、パターン化成長マスク42を通じた開口の幾何形状が異なることに起因する。ある実施の形態では、第1タイプアクティブ領域361は第2タイプアクティブ領域362よりも多くのインジウムを有してもよい。オプションで、性能を強化するために、バッファレイヤやキャップレイヤや少なくともひとつのバリアレイヤやおよび/または少なくともひとつの層間レイヤなどの種々の他のレイヤを組み入れてもよい。総じて、第1タイプアクティブ領域361、第2タイプアクティブ領域362および/または種々の他の組み入れレイヤの厚さは比較的薄くてもよく、1nmから20nmまでなどの1nmから100nmまでの範囲内の厚さを有してもよく、これにより、マスクのエッジにおけるビルドアップ効果を避けることができるが、より小さいまたはより大きい厚さを用いてもよい。
【0084】
第1タイプおよび第2タイプアクティブ領域(361、362)は、生来的または軽度にドープされた上述のインジウムガリウム窒化物レイヤなどのバルクまたは準バルク半導体レイヤを含んでもよい。準バルク半導体レイヤは、量子井戸レイヤではない(すなわち、二つのバリアレイヤの間に設けられていない)薄いレイヤ(例えば、100nm以下の厚さを有する)である。あるいはまた、第1タイプおよび第2タイプアクティブ領域(361、362)は、単一のまたは複数の量子井戸を含んでもよい。ある実施の形態では、第1タイプおよび第2タイプアクティブ領域(361、362)は、実質的に、より高いバンドギャップを伴うGaN、InGaN、またはAlGaNバリアレイヤ間に設けられたGa原子、In原子およびN原子(例えば、異なる領域で同じか異なるインジウム含有量を伴うひとつ以上のInGaN井戸領域)から構成されうる。ある実施の形態では、第1タイプアクティブ領域361は、それに亘って適切な電気的バイアス電圧が印加されると、495nmから570nmの範囲内にある第1ピーク波長の光(例えば、緑色光)を発するよう構成され、第2タイプアクティブ領域362は、400nmから495nmの範囲内にある第2ピーク波長の光(例えば、青色光)を発するよう構成されてもよい。第2ピーク波長は第1ピーク波長より小さくてもよい。第1および第2タイプアクティブ領域(361、362)間の組成の差は、インジウムガリウム窒化物レイヤの選択的エピタキシャルプロセス中のIn原子の組み入れレートが、第1発光領域30Gと第2および第3発光領域(30B、30R)との間で異なることにより誘起されうる。例えば、第1タイプアクティブ領域361(例えば、緑色発光アクティブ領域)のp平面とm平面との間の接合(すなわち、構造的不連続性)に設けられたいわゆる「ナノリング」(すなわち「軒天」)領域に、第2発光領域362(例えば、青色発光アクティブ領域)のナノリング領域へのものよりも少なくとも5原子パーセントだけ多いインジウムが組み入れられてもよい。ナノリング(すなわち、軒天)領域の形成は、米国特許仮出願第62/036,363号(2014年8月12日出願)およびPCT国際出願公開第WO2016/025325号(2016年2月18日公開)に記載されており、それら両方は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0085】
図6を参照すると、領域30G、30Bのアクティブ領域361、362はマスクされ、一方、アクティブ領域(例えば、361、362または他のアクティブ領域)はマスクされないまま残される。例えば、各第1タイプアクティブ領域361および第2発光領域30Bの第2タイプアクティブ領域362の各第1インスタンスはマスクされ、一方、第3発光領域30Rの第2タイプアクティブ領域362の各第2インスタンスは物理的に露出するようにされてもよい。例えば、コンフォーマル堆積法によって、例示的な第1構造の上に、マスキングレイヤ46またはマスキングレイヤスタック(44、46)を形成してもよい。マスキングレイヤスタック(44、46)は誘電体物質レイヤのスタックを含んでもよい。例えば、マスキングレイヤスタック(44、46)は酸化珪素レイヤ44および窒化珪素レイヤ46を含んでもよい。図示の例では、酸化珪素レイヤ44は6nmから100nmの範囲内の厚さを有し、窒化珪素レイヤ46は4nmから100nmの範囲内の厚さを有してもよいが、酸化珪素レイヤ44および窒化珪素レイヤ46のそれぞれについてより小さなまたはより大きな厚さを用いてもよい。ある実施の形態では、成長マスク42および窒化珪素レイヤ46は窒化珪素を含み、窒化珪素レイヤ46の厚さは成長マスク42の厚さよりも小さくてもよい。この場合、窒化珪素レイヤ46の厚さは成長マスク42の厚さの10%から80%の範囲内にあってもよい。
【0086】
例えば、第3発光デバイス領域30Rをカバーしないようにしつつ第1および第2発光デバイス領域(30G、30B)をカバーするようにフォトレジストレイヤを塗布してそれをパターン化し、パターン化されたフォトレジストレイヤによってカバーされていないマスキングレイヤ46またはスタック(44、46)の部分を除去することによって、マスキングレイヤまたはスタック(44、46)をパターン化してもよい。例えば、窒化珪素レイヤ46のうち物理的に露出した部分を、酸化珪素レイヤ44に対して選択的に除去してもよい。続いて、酸化珪素レイヤ44のうち物理的に露出した部分(もしあれば)を、成長マスク42の物質(例えば、窒化珪素を含みうる)に対して選択的に除去してもよい。続いて、パターン化フォトレジストレイヤは、例えば灰化により除去されてもよい。
【0087】
図7を参照すると、アクティブ領域361および362によって発せられる波長よりも長い波長を有する光を発する発光構造363が領域30Rに形成される。第1の実施の形態では、発光構造363は、領域30Rに設けられたアクティブ領域(例えば、第2タイプアクティブ領域362、アクティブ領域361、または他のアクティブ領域)のインスタンスのうち物理的に露出している外面のそれぞれ上にエピタキシャルに成長した第3タイプアクティブ領域363である。第3タイプアクティブ領域363は第1および第2タイプアクティブ領域(361、362)とは異なる組成を有し、第3発光領域30Rにある(したがって、マスキングレイヤ46またはスタック(44、46)によってマスクされていない)アクティブ領域(例えば、362または361などの他のアクティブ領域)の上およびその周りに形成されてもよい。第3タイプアクティブ領域363を形成するために、選択的エピタキシャル半導体堆積プロセスを用いてもよい。図示の例では、第3タイプアクティブ領域363はバルクのまたは準バルクのIn
xGa
1-zNレイヤを含んでもよく、ここでzは0と1との間の実数であり、xともyとも異なる。あるいはまた、第3タイプアクティブ領域363は、第1アクティブ領域361とも第2アクティブ領域362とも異なる波長の光を発するよう構成されたIn
xGa
1-zN井戸レイヤを有する単一の量子井戸または複数の量子井戸を含んでもよい。オプションで、性能を強化するために、バッファレイヤやキャップレイヤや少なくともひとつのバリアレイヤやおよび/または少なくともひとつの層間レイヤなどの種々の他のレイヤを組み入れてもよい。総じて、第3タイプアクティブ領域363および/または種々の他の組み入れレイヤの厚さは比較的薄くてもよく、1nmから20nmまでなどの1nmから100nmまでの範囲内の厚さを有してもよく、これにより、マスクのエッジにおけるビルドアップ効果を避けることができるが、より小さいまたはより大きい厚さを用いてもよい。
【0088】
第3タイプアクティブ領域363のそれぞれは、第2ピーク波長よりも大きな第3ピーク波長の光を発するよう構成された発光構造である。ある実施の形態では、第3ピーク波長は600nmから700nmの範囲内にあり、領域30Rにおいて赤色発光LEDを形成してもよい。第3タイプアクティブ領域363のそれぞれは領域30Rに設けられたアクティブ領域の側壁に直接的に形成されてもよい。第3タイプアクティブ領域は、第3ピーク波長の光を発するよう構成されたIII-V族化合物半導体物質を有してもよい。ある実施の形態では、発光構造は、第1タイプアクティブ領域361にも第2タイプアクティブ領域362にも存在しない元素周期表における元素を含んでもよい。ある実施の形態では、第1タイプアクティブ領域361はInxGa1-xNレイヤを有してもよく、ここで、xは0と1との間の実数であり、第2タイプアクティブ領域362はInyGa1-yNレイヤを有してもよく、ここで、yは0と1との間の実数であってxとは異なり、第3タイプアクティブ領域363はアルミニウムガリウムヒ化物、アルミニウムガリウムインジウムリン化物、アルミニウムインジウムガリウム窒化物、ガリウムヒ素リン化物、ガリウムリン化物、インジウム高含有InGaN(例えば、アクティブ領域361および362よりも高いインジウム含有量を有するものであって、例えば、InzGa1-zNレイヤであり、ここで、0.3≦z≦0.5であってxおよびyは0.3以下である)、赤色発光希薄III族窒化物半導体(例えば、InwGa1-wP1-u-vAsuNv、ここで、wおよびuは0と1との間の実数であって0.01≦v≦0.1)、または赤色発光希土類イオンドープガリウム窒化物(例えば、ユーロピウムまたはユーロピウムおよびマグネシウムドープガリウム窒化物またはインジウムガリウム窒化物)から選択された少なくともひとつの物質を含んでもよい。ある実施の形態では、第1タイプおよび第2タイプアクティブ領域(361、362)は、実質的に、Ga原子、In原子およびN原子からなり、第3タイプアクティブ領域363として具現化されている発光構造はAl、AsおよびPのうちの少なくともひとつを含んでもよい。領域363が少なくともひとつのInGaN量子井戸を含む場合、アクティブ領域363のバリアレイヤは、InGaN、AlGaNまたはGaNなどのより高いバンドギャップを伴う物質を含んでもよい。総じて、アクティブ領域363は赤色発光物質を含む。
【0089】
図8を参照すると、マスキングレイヤスタック(44、46)が除去されてもよい。マスキングレイヤスタック(44、46)の除去の間、成長マスク42が副次的に薄化しうるが、成長マスク42の残りの部分は、ベース半導体レイヤ26の上面のうち半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)に接しない部分全体をカバーすることができる。例えば、成長マスク42が窒化珪素を含み、マスキングレイヤスタック(44、46)が酸化珪素レイヤ44と窒化珪素レイヤ46とのスタックを含む場合、窒化珪素レイヤ46の厚さが成長マスク42の厚さの10%から80%の範囲内にあってもよく、成長マスク42の残りの部分が、マスキングレイヤスタック(44、46)の除去後に半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)と物理的に接していないベース半導体レイヤ26の上面全体をカバーすることができる。図示の例では、マスキングレイヤスタック(44、46)が酸化珪素レイヤ44と窒化珪素レイヤ46とを含む場合、熱いリン酸を用いるウェットエッチングを用いて窒化珪素レイヤ46をエッチングし、フッ化水素酸を用いるウェットエッチングを用いて酸化珪素レイヤ44をエッチングしてもよい。エッチングマスク42は各第3タイプアクティブ領域363の周りに段付き周辺部を有してもよく、この場合、エッチングマスク42は段付き周辺部内では元の厚さを有しつつ、段付き周辺部の外ではより小さな厚さを有する。
【0090】
図9を参照すると、物理的に露出している外面アクティブ領域(361、362、363)上に半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)を形成してもよい。あるいはまた、半導体接合レイヤ40GがGaNレイヤである場合、それはマスキングレイヤスタック(44、46)の除去の前に形成されてもよい。本明細書で用いられる場合、「半導体接合レイヤ」は、pタイプドーピングまたはnタイプドーピングを有し、p-n接合またはp-i-n接合の片側を形成するドープ半導体物質レイヤを指す。アクティブ領域が真性半導体物質を含む場合、半導体接合レイヤは、アクティブ領域の反対側に設けられた反対の導電タイプの半導体レイヤを伴うp-i-n接合を形成するアクティブ領域が、半導体接合レイヤの導電タイプとは反対の導電タイプのpタイプまたはnタイプドープ半導体物質を含む場合、アクティブ領域および半導体接合レイヤはp-n接合を形成する。この実施の形態では、半導体接合レイヤはコア-シェルナノワイヤLEDのアウタシェルを備える。特に、第1半導体接合レイヤ40Gは、第1発光領域30Gの各第1タイプアクティブ領域361の外面上に形成されてもよく、第2半導体接合レイヤ40Bは、第2発光領域30Bの各第2タイプアクティブ領域362の外面上に形成されてもよく、第3半導体接合レイヤ40Rは、各第3タイプアクティブ領域363の外面上に形成されてもよい。したがって、第1タイプアクティブ領域361、第2タイプアクティブ領域362の第1インスタンス、および第2タイプアクティブ領域362の第2インスタンスのそれぞれの上に、第1半導体接合レイヤ40Gと、第2半導体接合レイヤ40Bと、第3半導体接合レイヤ40Rおよび発光構造(第3タイプアクティブ領域363として具現化される)の組み合わせと、を形成する。
【0091】
第1、第2および第3半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)は、第1導電タイプとは反対の第2導電タイプのドーピングを有するドープ半導体物質を含んでもよい。第1導電タイプがnタイプの場合、第2導電タイプはpタイプであり、逆もしかりである。例えば、第1、第2および第3半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)はpドープGaNおよび/またはpドープAlGaNを含んでもよい。ある実施の形態では、第1、第2および第3半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)は、物理的に露出した半導体表面、すなわち物理的に露出したアクティブ領域(361、362、363)の表面、のみからドープ半導体物質を成長させる選択的半導体堆積プロセスによって形成されてもよい。それぞれが物理的に接触している(接している)半導体ナノワイヤ(32G、32Bまたは32R)、インナシェル(34G、34Bまたは34R)、少なくともひとつのアクティブ領域(361、362または(362、363))、および半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)の組み合わせが発光ダイオードを構成する。必要に応じて各発光ダイオードが他の発光ダイオードから電気的に隔てられるように、または共通の半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)を共有可能なように、成長マスク42を通じた開口の位置および半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)を形成する選択的エピタキシャルプロセスの継続期間を選択してもよい。各半導体接合レイヤは、p-GaNサブシェルおよびp-AlGaNサブシェルなどの複数のサブシェルを含んでもよい。
【0092】
図10を参照すると、例示的な第1構造の代替的な実施の形態が示される。この場合、第2導電タイプのドーピングを有するドープ半導体物質はアクティブ領域(361、362、363)の物理的に露出している表面上に選択的または非選択的に堆積され、連続的な(例えば、癒合したp-GaN)半導体接合レイヤを形成してもよい。半導体接合レイヤの上面は、半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)の上になる位置にバンプを有してもよい。例えば、パターン化フォトレジスト部分を形成するリソグラフィ方法と、パターン化フォトレジスト部分によってマスクされていない半導体接合レイヤの部分を除去する異方性エッチングと、の組み合わせによって、半導体接合レイヤをパターン化してもよい。半導体接合レイヤの各連続的残余部分はアウタシェル半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)を構成し、これは少なくともひとつの半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)を囲む。したがって、第1タイプアクティブ領域361、第2タイプアクティブ領域362、および領域30Rのアクティブ領域(例えば、361または362)のそれぞれの上に、第1半導体接合レイヤ40Gと、第2半導体接合レイヤ40Bと、第3半導体接合レイヤ40Rおよび発光構造(第3タイプアクティブ領域363として具現化される)の組み合わせと、を形成することができる。
【0093】
図11を参照すると、
図6-8の処理ステップを省略し(すなわち、アクティブ領域363を形成することを省略し)、半導体接合レイヤ40L(例えば、癒合したp-GaNレイヤ)または上述の別個の半導体接合レイヤを形成することによって、
図5の例示的な第1構造から例示的な第2構造を導くことができる。半導体接合レイヤ40Lは、
図10に示される例示的な第1構造の実施の形態を形成するために用いられる半導体接合レイヤと同じであってもよい。明示的には図示されていないが、半導体接合レイヤ40Lの上面は、半導体接合レイヤ40Lの厚さに依存して、半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)の上になる位置に凸バンプを含んでもよい。
【0094】
図12を参照すると、半導体接合レイヤ40Lの上に透明導電性物質レイヤ137Lを形成してもよい。透明導電性物質レイヤ137Lは、インジウムスズ酸化物、ドープ酸化亜鉛、透明導電性ポリマなどの透明導電性物質を含んでもよく、電極のひとつとして機能する(例えば、p側電極)。第2電極136は、LEDの反対の導電側と接するよう形成されてもよい(例えば、nタイプレイヤ26と接してn側電極を形成する)。
【0095】
第2の実施の形態の発光構造138は、透明導電性物質レイヤ137Lの上に、かつ、第3発光領域30Rの各第3タイプ半導体ナノワイヤ32Rの上に、形成されてもよい。各発光構造138は少なくともひとつの第3タイプ半導体ナノワイヤ32Rの上にある領域に亘って連続的に広がる一方、第1タイプ半導体ナノワイヤ32Gにも第2タイプ半導体ナノワイヤ32Bにも重ならない。
【0096】
第2の実施の形態では、各発光構造138は、LED10Rのアクティブ領域(例えば、362)からより高いエネルギ(例えば、より短い波長)の光が発せられた場合、より低いエネルギ(例えば、より長い波長)の光を発する無機蛍光体、有機染料、または半導体量子ドットを含んでもよい。例えば、構造138は、LED10Rのアクティブ領域(例えば、362)から発せられたより短い波長(すなわち、より高いエネルギの)の緑色光または青色光が構造に入射するとき、赤色光を発する。例えば、構造138は、ダウンコンバーティング無機蛍光体粒子のレイヤまたは無機蛍光体粒子を含む透明母材(例えば、ポリマ封入材)を含んでもよい。ダウンコンバーティング赤色放射蛍光体の非限定的例は、CaAlSiN3:Eu2+、CaAlSi4N7:Eu2+またはSrSi5N8:Eu2+などの、青色光により励起されるユーロピウム活性窒化物蛍光体を含む。透明導電性物質レイヤ137Lの上に発光構造138が形成される実施の形態を用いて本開示を説明しているが、基板が光学的に透明で光が基板を通じてアクティブ領域から発せられる(例えば、ボトム放射LEDを形成する)場合、発光構造138が基板の下側に形成される実施の形態も、本明細書において明示的に想定されている。
【0097】
ある実施の形態では、発光構造138は、第1タイプアクティブ領域361にも第2タイプアクティブ領域362にも存在しない元素周期表における元素を含んでもよい。例えば、発光構造138が有機染料物質を含む場合、発光構造138は炭素を含んでもよく、発光構造138が無機蛍光体を含む場合、発光構造138は希土類金属および/または遷移金属を含んでもよい。発光構造138は、第2ピーク波長より長い第3ピーク波長の光を発してもよい。ある実施の形態では、第3ピーク波長が600nmから700nmの範囲にあってもよい。ある実施の形態では、発光構造138は赤色放射物質部分であってもよく、第3発光領域30Rは赤色光放射領域であってもよい。
【0098】
図13を参照すると、発光構造138および半導体接合レイヤ40Lの上にフォトレジストレイヤ(不図示)を塗布し、リソグラフィでパターン化することにより、半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)が形成されるべきエリアをカバーしてもよい。発光構造138、透明導電性物質レイヤ137L、および半導体接合レイヤ40Lは、例えば、パターン化されたフォトレジストレイヤをエッチングマスクとして用いる異方性エッチングプロセスでパターン化されてもよい。透明導電性物質レイヤ137Lの各残余部分は上部電極を構成し、この上部電極を対応する半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)に電気的に接続された下部電極(不図示)と併せて用いることで、各発光ダイオードの二端子を提供することができる。半導体接合レイヤ40Lの各残余部分は、アウタシェル半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)を構成する。第1半導体接合レイヤ40Gは第1タイプアクティブ領域361の上に直接的に形成され、第2半導体接合レイヤ40Bは第2タイプアクティブ領域362の第1インスタンス上に直接的に形成され、第3半導体接合レイヤ40Rは第2タイプアクティブ領域362の第2インスタンス上に直接的に形成される。
【0099】
それぞれが物理的に接触している(接している)半導体ナノワイヤ(32G、32Bまたは32R)、インナシェル(34G、34Bまたは34R)、アクティブ領域(361、362)、アウタシェル半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)、およびもしあれば半導体接合レイヤ40R上の発光構造138、の組み合わせが発光ダイオードを構成する。必要に応じて各発光ダイオードが他の発光ダイオードから電気的に隔てられるように、または共通の半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)を共有可能なように、成長マスク42を通じた開口の位置および半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)を形成する選択的エピタキシャルプロセスの継続期間を選択してもよい。第3発光ダイオードの発光構造138は、第3発光ダイオードの半導体接合レイヤ40Rの上に設けられた発光物質部分を含む。
【0100】
代替的な実施の形態では、
図12および13のステップの順序は逆にされてもよく、そこでは構造138はレイヤ40Lのパターン化の後に形成される。他の代替的な実施の形態では、構造138は癒合されたp-GaNレイヤ40Lを欠いているデバイスにおいて形成される。例えば、構造138は、領域30Rの個々のナノワイヤLEDの半導体接合レイヤの上に形成されてもよい。
【0101】
本開示の種々の例示的構造は発光デバイスへと組み入れられてもよく、これは基板20上にあってもよいし、ダイシングされてバックプレーンに取り付けられ、直視型ディスプレイデバイス200を形成してもよい。発光デバイスのアレイは、半導体物質レイヤ(例えば、ベース半導体レイヤ26)を含む基板20と、基板20の上面に設けられ、複数の貫通開口を含むパターン化成長マスク42と、基板20上に設けられた複数の発光ダイオードと、を含んでもよい。複数の発光ダイオードのそれぞれは、パターン化成長マスク42を通じた対応する開口を通って延びる第1導電タイプの半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)と、第1導電タイプのドーピングを有するドープ半導体物質を含み対応する半導体ナノワイヤ(32G、32Bまたは32R)を横方向に囲むと共にその上に重なるオプションのインナシェル(34G、34Bまたは34R)と、対応するインナシェル(34G、34Bまたは34R)(またはインナシェルが省略される場合は対応するナノワイヤ)を横方向に囲むと共にその上に重なるアクティブ領域(361、362)と、対応するアクティブ領域(361、362)を横方向に囲むと共にその上に重なり、第1導電タイプとは反対の第2導電タイプのドーピングを有する半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)と、を含む。複数の発光ダイオードは、第1ピーク波長の光を発する第1タイプアクティブ領域361のインスタンスを含む第1発光ダイオードと、第2ピーク波長の光を発する第2タイプアクティブ領域362の第1インスタンスを含む第2発光ダイオードと、第2ピーク波長より大きな第3ピーク波長の光を発するアクティブ領域(例えば、361または362)および発光構造(363または138)を含む第3発光ダイオードと、を含む。
【0102】
ある実施の形態では、第3発光ダイオードの発光構造は領域30Rのアクティブ領域とは異なる組成を有する第3タイプアクティブ領域363を含んでもよい。他の実施の形態では、第3発光ダイオードの発光構造は、第3発光ダイオードの半導体接合レイヤ40Rの上に設けられた発光物質部分138を含んでもよい。ある実施の形態では、半導体物質レイヤ26、半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)のそれぞれ、およびインナシェル(34G、34B、34R)のそれぞれが単結晶であって互いにエピタキシャルに揃えられていてもよい。ある実施の形態では、アクティブ領域(361、362)のそれぞれおよび半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)のそれぞれは単結晶であってもよく、半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)およびインナシェル(34G、34B、34R)を通じて半導体物質レイヤ26にエピタキシャルに揃えられてもよい。
【0103】
図14を参照すると、本開示の発光デバイスの第3の実施の形態が示され、これは、第3発光ダイオード10Rのうちのひとつ以上を有機発光ダイオード10ROで置き換えることにより、上述の本開示の種々の発光デバイスアレイから導出可能であり、これは例えば下部電極410と、有機発光物質420と、上部電極430と、を含んでもよい。したがって、第3の実施の形態では、発光構造は有機LED(「OLED」)10ROを含み、これは赤色放射OLEDであることが好ましい。有機発光物質420は、ポリマおよび/または小分子半導体発光レイヤなどのひとつ以上の有機発光レイヤを含んでもよい。ポリマ半導体エレクトロルミネセンスレイヤは、非ドープポリマ(例えば、ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)やポリ(ナフタレンビニレン)やポリフルオリンの誘導体)またはドープポリマ(例えば、有機金属錯体(例えば、白金錯体またはイリジウム錯体)ドーパントを伴うポリ(N-ビニルカーバゾル)ホスト物質であって、そのようなドーパントは燐光発光を用いることで電気エネルギを光に変換する)を含んでもよい。対照的に、無機発光ダイオード10G、10Bは、IV族、III-V族、またはIIーV族無機半導体発光物質を含む。例えば、発光物質として、ガリウム窒化物、インジウムガリウム窒化物、またはアルミニウムガリウム窒化物を用いてもよい。無機半導体発光ダイオードはナノワイヤを含んでもよい。
【0104】
OLED 10ROは、緑色光および青色光を発するLED10G、10Bの上の領域30G、30Rにマスクを形成し、領域30Rに堆積された物質を除去し、領域30RにOLED 10ROレイヤ410、420および430を形成することにより形成されてもよい。レイヤ(410、420、430)のいずれかの一部がマスク上に形成された場合、それはマスクを剥がすことによって、および/または、エッチングや平坦化によって、除去されてもよい。
【0105】
他の代替的なデバイスでは、緑色および青色LED10Gおよび10Bは、米国特許出願第14/865,459号(2015年9月25日出願)の方法を用いて形成されてもよく、この出願は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。上述のように領域10Gおよび10Bにおいて異なるインジウム濃度でナノワイヤLEDを形成するのではなく、領域30Gおよび30Bに同一のLEDを形成し、その後、領域30BのLEDの先端部分を取り除き、領域30GのLEDの先端部分を取り除かないようにしてもよい。先端(例えば、p平面)部分のアクティブ領域およびLEDのナノリング部分のアクティブ領域が側壁(例えば、m平面)部分よりも多くインジウムを含有すると信じられている。領域30BのLEDから先端部分を取り除くことによって、LED10Bの先端部分から発せられる緑色光が領域30Bにおいて排除され、アクティブ領域の残りのm平面部分からの青色光のみを発する青色発光LED10Bが残される。対照的に、LED10Gの先端部分は残り、領域30Gから緑色光を発する。
【0106】
図15を参照すると、例示的な第3構造が示され、それは例示的な第1構造や第2構造の場合のように第1タイプアクティブ領域361と第2タイプアクティブ領域362との間の組成の違いを誘起するいかなる幾何学的考慮によっても制限されない。したがって、
図2の処理ステップにおいて、成長マスク42を通じた開口のサイズや形状に制限はない。
【0107】
続いて、
図3および
図4の処理ステップは、選択的エピタキシャルプロセスにより、パターン化成長マスク42の開口32G、32Bおよび32Rを通じて、少なくともひとつの第1半導体ナノワイヤ32G、少なくともひとつの第2半導体ナノワイヤ32Bおよび少なくともひとつの第3半導体ナノワイヤ32Rを成長させて形成するよう実行される。半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)の上に、半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R)と同じタイプのドーピングを有するオプションのインナシェル(34G、34B、34R)が形成されてもよい。第1インナシェル34Gは第1半導体ナノワイヤ32Gのそれぞれの周りにかつそれを覆って形成され、第2インナシェル34Bは第2半導体ナノワイヤ32Bのそれぞれの周りにかつそれを覆って形成され、第3インナシェル34Rは第3半導体ナノワイヤ32Rのそれぞれの周りにかつそれを覆って形成される。
【0108】
第1タイプアクティブ領域461は各インナシェル(34G、34B、34B)(またはインナシェルがない場合は各半導体ナノワイヤ(32G、32B、32R))上に形成されてもよい。第1タイプアクティブ領域461は発光領域(30G、30B、30R)に亘って同じ組成を有してもよいし、異なる組成を有してもよい。第1タイプアクティブ領域461は、第1および第2の実施の形態の第1タイプおよび第2タイプアクティブ領域(361、362)と同じ方法を用いて形成されてもよい。ある実施の形態では、第1タイプアクティブ領域461の堆積中の処理条件は、後に追加的なアクティブ領域が形成されない発光領域(例えば、第2発光領域30B)において第1タイプアクティブ領域461から発せられる光の波長を最適化するように選択されてもよい。ある実施の形態では、第1タイプアクティブ領域461から発せられる光の波長は、後に形成される直視型ディスプレイデバイスで用いられる波長の集合のなかで最も短い波長であってもよい。例えば、RGBデバイスについて、第1タイプアクティブ領域461は青色光を発するよう構成されてもよい。
【0109】
図16を参照すると、第1マスキングレイヤ444は、第2発光領域30Bをカバーするように、一方で第1発光領域30Gおよび第3発光領域30Rをカバーしないように、堆積されてパターン化される。第1マスキングレイヤ444は、成長マスク42の誘電体物質とは異なる誘電体物質を含む。例えば、成長マスク42は窒化珪素を含んでもよく、第1マスキングレイヤ444は酸化珪素(例えば、酸化珪素レイヤまたは酸化珪素レイヤを含むレイヤスタック)を含んでもよい。第1マスキングレイヤ444の厚さは3nmから100nmの範囲内であってもよいが、より小さいまたはより大きい厚さを用いてもよい。
【0110】
第2タイプアクティブ領域462は物理的に露出した第1タイプアクティブ領域461のそれぞれの上に形成されてもよい。第2タイプアクティブ領域462は第1タイプアクティブ領域461とは異なる組成を有する。第2タイプアクティブ領域462は発光領域(30G、30R)に亘って同じ組成を有してもよいし、異なる組成を有してもよい。第2タイプアクティブ領域462は、InGaNなどのドープ化合物半導体物質の選択的エピタクシにより形成されてもよい。ある実施の形態では、第2タイプアクティブ領域462の堆積中の処理条件は、後に追加的なアクティブ領域が形成されない発光領域(例えば、第1発光領域30G)において第2タイプアクティブ領域462から発せられる光の波長を最適化するように選択されてもよい。ある実施の形態では、第2タイプアクティブ領域462から発せられる光の波長は、後に形成される直視型ディスプレイデバイスで用いられる波長の集合のなかで二番目に短い波長であってもよい。例えば、RGBデバイスについて、第2タイプアクティブ領域462は緑色光を発するよう構成されてもよい。
【0111】
図17を参照すると、エッチングプロセスを用いることで、全ての発光領域(30G、30B、30R)において成長マスク42の少なくとも一部を残しつつ、第1マスキングレイヤ444を取り除くことができる。例えば、第1マスキングレイヤ444が酸化珪素を含み、成長マスク42が窒化珪素を含む場合、フッ化水素酸を用いることで第1マスキングレイヤ444を取り除くことができる。第2マスキングレイヤ446は、第1発光領域30Gおよび第2発光領域30Bをカバーするように、一方で第3発光領域30Rをカバーしないように、堆積されてパターン化される。あるいはまた、第1マスキングレイヤ444が除去されず、第2マスキングレイヤ446は第1マスキングレイヤ444の上に堆積される。第2マスキングレイヤ446は、成長マスク42の誘電体物質とは異なるかそれと同じであってもよい誘電体物質を含む。例えば、成長マスク42は窒化珪素を含んでもよく、第2マスキングレイヤ446は酸化珪素(例えば、酸化珪素レイヤまたは酸化珪素レイヤを含むレイヤスタック)または窒化珪素を含んでもよい。第2マスキングレイヤ446の厚さは3nmから100nmの範囲内であってもよいが、より小さいまたはより大きい厚さを用いてもよい。
【0112】
第3タイプアクティブ領域463は物理的に露出した第1タイプアクティブ領域461(および462?)のそれぞれの上に形成されてもよい。第3タイプアクティブ領域463は第1タイプアクティブ領域461とも第2アクティブ領域462とも異なる組成を有する。第3タイプアクティブ領域463は、InGaNなどの化合物半導体物質の選択的エピタクシにより形成されてもよい。ある実施の形態では、第3タイプアクティブ領域463から発せられる光の波長は、後に形成される直視型ディスプレイデバイスで用いられる三つの波長の集合のなかで三番目に短い波長であってもよい。直視型ディスプレイデバイスがRGBデバイスである場合、第3タイプアクティブ領域463は赤色光を発するよう構成されてもよく、これは赤色光、緑色光および青色光のなかで最も長い波長を有する。この実施の形態では、アクティブ領域461、462および463は異なるインジウム含有量(例えば、領域463に最も大きなインジウム含有量、領域461に最も小さなインジウム含有量、領域462に中間のインジウム含有量)を伴うインジウムガリウム窒化物を含んでもよい。したがって、赤色LEDにおいて、第1の追加的赤色半導体アクティブ領域463は第2の追加的緑色半導体アクティブ領域462の上に設けられ、この第2の追加的緑色半導体アクティブ領域462は青色アクティブ領域461の上に設けられる。緑色LEDにおいて、第2の追加的緑色半導体アクティブ領域462は青色アクティブ領域461の上に設けられる。青色LEDにおいて、追加的半導体アクティブ領域は青色アクティブ領域461の上に設けられない。
【0113】
ある実施の形態では、青色LEDアクティブ領域が最初に形成され、緑色LEDアクティブ領域が次に形成され、赤色LEDアクティブ領域が三番目に形成される。これは、青色InGaNアクティブ物質の格子定数がナノワイヤGaN物質の格子定数と青色アクティブ物質のインジウム含有量よりも大きなインジウム含有量を有する緑色InGaNアクティブ物質の格子定数との間にあるので、有利である。緑色アクティブ物質の格子定数は青色InGaNの格子定数と(緑色および青色InGaNアクティブ物質のインジウム含有量よりも大きなインジウム含有量を有する)赤色InGaNアクティブ物質の格子定数との間にある。アクティブ領域形成のこの順序は、下地の物質の格子定数に次に最も近い格子定数のアクティブ領域を順番に堆積することによって、デバイスの領域間のひずみ管理を改善する(すなわち、格子ひずみを低減する)ための「ステップアップ」InGaN組成を生じさせる。
【0114】
図18を参照すると、物理的に露出している外面アクティブ領域(461、462、463)上に半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)を、上述の方法のいずれかを用いて、形成する。上述の通り、後に、半導体接合レイヤ(40G、40B、40R)およびベース半導体レイヤ26に接点が形成されてもよい。オプションで、各アクティブレイヤの各側に、追加的なスペーサ/バッファレイヤおよびキャップレイヤが形成されてもよい。
【0115】
本開示の発光デバイスアレイを用いることでRGB直視型ディスプレイデバイスを提供することができる。この場合、第1ピーク波長は400nmから495nmの範囲内にあり、第2ピーク波長は495nmから570nmの範囲内にあり、第3ピーク波長は600nmから700nmの範囲内にあってもよい。また、赤色、緑色および青色に加えて、またはその代わりに、他の中間色光(例えば、オレンジ、シアンおよび/または黄色など)を発するピクセルを用いてもよい。
【0116】
ナノワイヤデバイスが上で説明されたが、本開示はナノワイヤデバイスに限定されず、ひとつ以上の平板半導体レイヤを含む平板半導体LEDを含んでもよい。したがって、本開示のある実施の形態は発光デバイス(LED)を作成する方法を提供し、該方法は、第1導電タイプの少なくともひとつの半導体領域を形成することと、前記第1導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域の上の青色、緑色および赤色LED領域に青色アクティブ領域を形成することと、前記緑色および赤色LED領域の前記青色アクティブ領域の上に緑色アクティブ領域を形成することと、前記赤色LED領域の前記緑色アクティブ領域の上に赤色アクティブ領域を形成することと、前記青色、緑色および赤色LED領域の前記青色、緑色および赤色アクティブ領域の上に第2導電タイプの少なくともひとつの半導体領域を形成することと、を含む。
【0117】
前記アレイが、各ピクセルに前記青色LEDと前記緑色LEDと前記赤色LEDとを含む直視型マルチカラー発光デバイスを含んでもよい。ある実施の形態では、前記第1導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域を形成することが、前記第1導電タイプの複数の半導体ナノワイヤを形成することを含み、前記青色、緑色および赤色アクティブ領域が前記複数の半導体ナノワイヤを覆って設けられるシェル(例えば、量子井戸または複数の量子井戸シェルであってもよいラジアルシェル)を含み、前記第2導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域を形成することが、前記青色、緑色および赤色アクティブ領域および前記複数の半導体ナノワイヤの周りに、前記第2導電タイプのアウタシェル半導体接合レイヤを形成することを含む。
【0118】
他の実施の形態では、前記第1導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域を形成することが、前記第1導電タイプの平板半導体レイヤを形成することを含み、前記青色、緑色および赤色アクティブ領域が前記第1導電タイプの前記平板半導体レイヤを覆って設けられるレイヤ(バルクレイヤ、量子井戸または複数の量子井戸)を含み、前記第2導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域を形成することが、前記青色、緑色および赤色アクティブ領域を含む前記レイヤの上に前記第2導電タイプの少なくともひとつの平板半導体レイヤを形成することを含む。
【0119】
結果として得られる発光デバイスは、複数の青色、緑色および赤色発光ダイオード(LED)であって、前記複数の青色、緑色および赤色LEDのそれぞれが第1導電タイプの少なくともひとつの半導体領域と第2導電タイプの少なくともひとつの半導体領域とを含む、複数の青色、緑色および赤色発光ダイオード(LED)を備える。前記青色LEDがさらに、前記第1導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域と前記第2導電タイプの少なくともひとつの半導体領域との間に設けられた青色アクティブ領域を含む。前記緑色LEDがさらに、前記青色アクティブ領域と、前記第1導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域と前記第2導電タイプの少なくともひとつの半導体領域との間に設けられた緑色アクティブ領域と、を含む。前記赤色LEDがさらに、前記青色アクティブ領域と、緑色アクティブ領域と、前記第1導電タイプの前記少なくともひとつの半導体領域と前記第2導電タイプの少なくともひとつの半導体領域との間に設けられた赤色アクティブ領域と、を含む。
【0120】
図19は、基板20に形成可能な直視型ディスプレイデバイス200を示す。直視型ディスプレイデバイス200は、各ピクセル25が適切な電気的バイアスが印加されたとき内部から光を生成する少なくともひとつの光源を含むディスプレイデバイスである。
図1に示される直視型ディスプレイデバイス200のように、ピクセル25のアレイは、追加的な基板の結合や発光ダイオードダイなどのダイの移送を用いない半導体製造方法によって、基板20上に直接的に製造されうる。各ピクセル25は、第1ピーク波長(400nmから495nmまでの範囲にあるピーク波長など)の光を発する少なくともひとつの第1タイプ発光ダイオード10B(例えば少なくともひとつの青色発光ダイオードなど)と、第2ピーク波長(495nmから570nmまでの範囲にあるピーク波長など)の光を発する少なくともひとつの第2タイプ発光ダイオード10B(例えば二つの緑色発光ダイオードなどの少なくともひとつの緑色発光ダイオードなど)と、第3ピーク波長(600nmから700nmまでの範囲にあるピーク波長など)の光を発する少なくともひとつの第3タイプ発光ダイオード10R(少なくともひとつの赤色発光ダイオード10Rなど)と、を含む。各発光ダイオード(10B、10G、10R)は平板構造を有してもよく、該構造では、各物質レイヤが平板物質レイヤであり、各接合が対応する水平面内にある水平p-i-n接合またはp-n接合である(すなわち、水平面が基板の上面と平行である)。ピクセルごとに、例えば4つから6つのサブピクセルなどの3つ以上のサブピクセルなどの任意の適切な数のサブピクセルがあってもよい。例えば、各ピクセルはひとつの赤色発光サブピクセルとひとつの青色発光サブピクセルと2つの緑色発光サブピクセルとを含んでいて、トータルでピクセル当たり4つのサブピクセルを含んでもよい。
【0121】
図20Aおよび20Bを参照すると、例示的な第4構造が示され、それは製造プロセスの開示時の、すなわちその上に発光デバイスを形成する前の、
図19の直視型ディスプレイデバイス200内の単一ピクセル25のエリアに対応する。基板20が提供され、この基板20は、成長基板22(サファイア基板など)と、バッファ半導体レイヤ24(GaNレイヤ、AlNレイヤ、AlGaNレイヤ、それらのグレードされた変形例、またはそれらのスタックなど)と、ベース半導体レイヤ26と、であってもよい。ベース半導体レイヤ26は、例えばnドープGaNレイヤなどのnタイプレイヤなどの第1導電タイプの半導体レイヤであってもよい。ベース半導体レイヤ26およびバッファ半導体レイヤ24は半導体物質レイヤである。基板20は、ベース半導体レイヤ26の上面が水平面内にある(すなわち、基板20の上面と平行)ように位置決めされてもよい。基板20は、第1発光領域30Bと、第2発光領域30Gと、第3発光領域30Rと、を有してもよい。各ピクセルの形状(
図20Aに示されるエリアに対応する)は、矩形、三角形、六角形等であってもよく、あるいは二次元平面において周期性を伴って複製可能な任意の幾何形状であってもよい。ある実施の形態では、各ピクセルは矩形形状を有してもよく、この場合、各辺は3ミクロンから30ミクロンの範囲内の長さを有し、しかしながら、より小さなまたはより大きな長さが用いられてもよい。
【0122】
図21Aおよび21Bを参照すると、第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lが、半導体物質レイヤであるベース半導体レイヤ26の上に形成されてもよい。第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lは上述の第1タイプアクティブ領域461と同じ組成を有してもよく、第1タイプアクティブ領域461を形成するために用いられた堆積方法と同じ堆積方法を用いて形成されてもよい。第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lは一様な厚さを有する平板レイヤとして形成され、その厚さは5nmから30nmの範囲内にあってもよいが、より小さなまたはより大きな厚さが用いられてもよい。第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lは、ベース半導体レイヤ26の単結晶半導体物質とエピタキシャルに揃えられた単結晶ドープ半導体物質レイヤとして形成されてもよい。
【0123】
図22Aおよび22Bを参照すると、第1発光領域30Bの第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lの一部の上に第1マスキングレイヤ571が形成されてもよい。第1マスキングレイヤ571は、上述のマスキングレイヤ46やマスキングレイヤスタック(44、46)と同じ組成および同じ厚さを有してもよい。第1マスキングレイヤ571はブランケットフィルム(すなわち、非パターン化フィルム)として堆積されてもよく、例えば、第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lの半導体物質に対して選択的に第1マスキングレイヤ571の物質をエッチングする、リソグラフィ方法およびエッチングプロセスの組み合わせによって、第1発光領域30Bのエリアをカバーするようパターン化されてもよい。
【0124】
第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lは第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lの物理的に露出した表面の上に形成されてもよい。第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lは上述の第2タイプアクティブ領域462と同じ組成を有してもよく、第2タイプアクティブ領域462を形成するために用いられた堆積方法と同じ堆積方法を用いて形成されてもよい。第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lは一様な厚さを有する平板レイヤとして形成され、その厚さは5nmから30nmの範囲内にあってもよいが、より小さなまたはより大きな厚さが用いられてもよい。第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lは、第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lの単結晶半導体物質とエピタキシャルに揃えられた単結晶ドープ半導体物質レイヤとして形成されてもよい。
【0125】
図23Aおよび23Bを参照すると、第2発光領域30Gの第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lの一部の上に第2マスキングレイヤ572が形成されてもよい。第2マスキングレイヤ572は、上述のマスキングレイヤ46やマスキングレイヤスタック(44、46)と同じ組成および同じ厚さを有してもよい。第2マスキングレイヤ572はブランケットフィルム(すなわち、非パターン化フィルム)として堆積されてもよく、例えば、第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lの半導体物質に対して選択的に第2マスキングレイヤ572の物質をエッチングする、リソグラフィ方法およびエッチングプロセスの組み合わせによって、第2発光領域30Bのエリアをカバーするようパターン化されてもよい。
【0126】
第3タイプアクティブ領域レイヤ563Lは第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lの物理的に露出した表面の上に形成されてもよい。第3タイプアクティブ領域レイヤ563Lは上述の第3タイプアクティブ領域463と同じ組成を有してもよく、第3タイプアクティブ領域463を形成するために用いられた堆積方法と同じ堆積方法を用いて形成されてもよい。第3タイプアクティブ領域レイヤ563Lは一様な厚さを有する平板レイヤとして形成され、その厚さは5nmから30nmの範囲内にあってもよいが、より小さなまたはより大きな厚さが用いられてもよい。第3タイプアクティブ領域レイヤ563Lは、第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lの単結晶半導体物質とエピタキシャルに揃えられた単結晶ドープ半導体物質レイヤとして形成されてもよい。
【0127】
第4の実施の形態の第1タイプアクティブ領域レイヤ561L、第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lおよび第3タイプアクティブ領域レイヤ563Lは、第3の実施の形態の第1タイプアクティブ領域461、第2タイプアクティブ領域462および第3タイプアクティブ領域463と同じ組成を有してもよい。第4の実施の形態では、第1タイプアクティブ領域レイヤ561L、第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lおよび第3タイプアクティブ領域レイヤ563Lは、それぞれの水平上面がベース半導体レイヤ26(半導体物質レイヤである)の水平上面と平行となる平板レイヤとして形成される。第3の実施の形態では、
図15に示されるように、ベース半導体レイヤ26(半導体物質レイヤである)の上面から垂直に延びる半導体ナノワイヤ(32B、32G、32R)が形成され、各半導体ナノワイヤ(32B、32G、32R)の側壁に第1タイプアクティブ領域461を含む第1タイプアクティブ領域レイヤが形成される。第3の実施の形態では、
図16に示されるように、物理的に露出した第1タイプアクティブ領域レイヤのそれぞれの側壁に第2タイプアクティブ領域462を含む第2タイプアクティブ領域レイヤが形成される。第3の実施の形態では、
図17に示されるように、物理的に露出した第2タイプアクティブ領域レイヤのそれぞれの側壁に第3タイプアクティブ領域463を含む第3タイプアクティブ領域レイヤが形成される。
【0128】
図24Aおよび24Bを参照すると、第3発光領域30Rの第3タイプアクティブ領域レイヤ563Lの一部の上に第3マスキングレイヤ573が形成されてもよい。第3マスキングレイヤ573は、上述のマスキングレイヤ46やマスキングレイヤスタック(44、46)と同じ組成および同じ厚さを有してもよい。第3マスキングレイヤ573はブランケットフィルム(すなわち、非パターン化フィルム)として堆積されてもよく、例えば、第3タイプアクティブ領域レイヤ563Lの半導体物質に対して選択的に第3マスキングレイヤ573の物質をエッチングする、リソグラフィ方法およびエッチングプロセスの組み合わせによって、第3発光領域30Rのエリアをカバーするようパターン化されてもよい。
【0129】
図25Aおよび25Bを参照すると、オプションでエッチングプロセスが行われてもよい。第1、第2および第3マスキングレイヤ(571、572、573)の物質に対して選択的に第3タイプアクティブ領域レイヤ563L、第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lおよび第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lの物質をエッチングするエッチングプロセスを行うことで、第1、第2および第3マスキングレイヤ(571、572、573)によってカバーされていないフィールド領域580において、アクティブ領域レイヤ(561L、562L、563L)の部分を除去することができる。第1、第2および第3マスキングレイヤ(571、572、573)によってカバーされるエリアの間のフィールド領域580において、ベース半導体レイヤ26の上面が物理的に露出してもよい。第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lの残りの部分のそれぞれは第1タイプアクティブ領域561のインスタンスを構成する。第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lの残りの部分のそれぞれは第2タイプアクティブ領域562のインスタンスを構成する。第3タイプアクティブ領域レイヤ563Lの残りの部分のそれぞれは第3タイプアクティブ領域563のインスタンスを構成する。マスキングレイヤ571および572の側壁に隣接するレイヤ562Lおよび563Lのエッジ部分で過度の成長が生じうる。しかしながら、
図25Bに示されるエッチングステップ中にこれらのレイヤのエッジ部分が除去されるので、過度の成長は完成品に大きな影響を与えない。
【0130】
図15、16、17、25Aおよび25Bをまとめて参照すると、第3の実施の形態および第4の実施の形態は、異なる発光領域(30B、30G、30R)に異なる物質スタックを提供する。第1タイプアクティブ領域(461、561)の第1インスタンスは第1発光領域30Bのベース半導体レイヤ26の上に形成される。第1タイプアクティブ領域561の第2インスタンスと第2タイプアクティブ領域562の第1インスタンスとのスタックは、第2発光領域30Gのベース半導体レイヤ26の上に形成される。第1タイプアクティブ領域561の第3インスタンスと第2タイプアクティブ領域562の第2インスタンスと第3タイプアクティブ領域563のインスタンスとのスタックは、第3発光領域30Rのベース半導体レイヤ26の上に形成される。
【0131】
第3および第4の実施の形態では、第1タイプアクティブ領域(461、561)の各インスタンスはインジウムガリウム窒化物アクティブ領域を含み、第2タイプアクティブ領域(462、562)の各インスタンスは第1タイプアクティブ領域よりも低いインジウム濃度を有するインジウムガリウム窒化物アクティブ領域を含み、第1タイプアクティブ領域(461、561)の各インスタンスと第2タイプアクティブ領域(462、562)の各インスタンスと第3タイプアクティブ領域(463、563)の各インスタンスと、は単結晶であって互いにエピタキシャルに揃えられてもよい。したがって、領域561は青色放射LEDの一部であり、領域561および562は緑色放射LEDの一部であり、領域561、562および563は赤色放射LEDの一部である。
【0132】
ある実施の形態では、前記第1タイプアクティブ領域(461、561)が、バルクのまたは準バルクのInxGa1-xNレイヤまたはGaNあるいはAlGaNバリアレイヤとInxGa1-xNウェルレイヤとを有するひとつ以上の量子井戸を含んでもよく、ここでxは0と1との間の実数である。前記第2タイプアクティブ領域(462、562)が、バルクのまたは準バルクのInyGa1-yNレイヤまたはGaNあるいはAlGaNバリアレイヤとInyGa1-yNウェルレイヤとを有するひとつ以上の量子井戸を含んでもよく、ここでyは0と1との間の実数である。前記第3タイプアクティブ領域(463、563)が、アルミニウムガリウムヒ化物、アルミニウムガリウムインジウムリン化物、ガリウムヒ素リン化物、ガリウムリン化物、InzGa1-zNここで0.4≦z≦0.5でxおよびyは0.3以下、InwGa1-wP1-u-vAsuNvという化学式を有する赤色発光希薄III族窒化物半導体ここでwおよびuは0と1との間の実数であり0.01≦v≦0.1、およびユーロピウムドープガリウム窒化物、から選択される少なくともひとつのバルク、準バルク、または量子井戸レイヤを含んでもよい。
【0133】
図26Aおよび26Bを参照すると、アクティブ領域(561、562、563)およびベース半導体レイヤ26の半導体物質に対して選択的にマスキングレイヤ(571、572、573)を取り除くことができる。例えば、マスキングレイヤ(571、572、573)が酸化珪素を含む場合、フッ化水素酸を用いるウェットエッチングを用いることでマスキングレイヤ(571、572、573)を取り除くことができる。マスキングレイヤ(571、572、573)が窒化珪素を含む場合、リン酸を用いるウェットエッチングを用いることでマスキングレイヤ(571、572、573)を取り除くことができる。
【0134】
図26C-26Gに示される代替的な実施の形態では、マスキングレイヤ571、572および573のエッチングを用いる代わりに、リフトオフマスキングレイヤ(571、572)が用いられてもよい。この実施の形態では、下地の半導体レイヤの露出部分の上に第2タイプおよび第3タイプアクティブ領域レイヤ562Lおよび563Lの半導体を選択的に成長させるのではなく、リフトオフマスキングレイヤ(571、572)が形成され、その後まず、リフトオフマスキングレイヤ(571、572)および下地の半導体レイヤ(561L、562L)の上に非選択的にアクティブ領域レイヤ(562L、563L)が形成され、続いてリフトオフプロセスが行われる。
【0135】
例えば、
図26Cに示されるように、第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lは、第1、第2および第3タイプ領域(30B、30G、30R)において一様な厚さを有する平板レイヤとして形成される。第1タイプ領域30Bの第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lの上に第1リフトオフマスキングレイヤ571が形成される。次いで、第1タイプ領域30Bの第1リフトオフマスキングレイヤ571の上の、および、第2タイプ領域30Gおよび第3タイプ領域30Rにおける第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lの露出部分の上の、平板レイヤとして第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lが形成される。
【0136】
図26Dを参照すると、第1リフトオフマスキングレイヤ571を取り除くための第1リフトオフプロセスが行われ、これにより第1タイプ領域30Bから第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lの一部が取り除かれる。
【0137】
図26Eを参照すると、第2タイプ領域30Gの第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lの上に、および、第1タイプ領域30Bの第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lの上に、第2リフトオフマスキングレイヤ572が形成される。次いで、第1および第2タイプ領域(30B、30G)の第2リフトオフマスキングレイヤ572の上の、および、第3タイプ領域30Rにおける第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lの露出部分の上の、平板レイヤとして第3タイプアクティブ領域レイヤ563Lが形成される。
【0138】
図26Fを参照すると、第2リフトオフマスキングレイヤ572を取り除くための第2リフトオフプロセスが行われ、これにより第1タイプ領域30Bおよび第2タイプ領域30Gから第3タイプアクティブ領域レイヤ563Lの一部が取り除かれる。
【0139】
図26Gを参照すると、リソグラフィ的にパターン化されたエッチングマスク267(パターン化フォトレジストレイヤであってもよい)は、種々のアクティブ領域レイヤ(561L、562L、563L)のスタックの上に形成される。(反応性イオンエッチングなどの異方性エッチングやウェットエッチングなどの等方性エッチングを含んでもよい)エッチングプロセスを行うことで、
図26Aおよび26Bに示される種々のアクティブ領域(561、562、563)を形成することができる。続いて、リソグラフィ的にパターン化されたエッチングマスク267は、例えば灰化により除去されてもよい。
【0140】
図26H-26Jに示される他の代替的な実施の形態では、エッチングマスキングレイヤ571、572および573の代わりに、誘電体マスキングレイヤ(671、672)を用いてもよい。この場合、選択的エピタキシャル(例えば、選択的エリア成長)プロセスを用いることで、誘電体マスキングレイヤ(671、672)上への単結晶半導体物質の堆積を防ぐ。
【0141】
例えば、
図26Hに示されるように、第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lは、第1、第2および第3タイプ領域(30B、30G、30R)において一様な厚さを有する平板レイヤとして形成される。酸化珪素などの誘電体物質を含む第1誘電体マスキングレイヤ671は、第1タイプ領域30Bの第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lの上に形成される。第1誘電体マスキングレイヤ671は第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lの上全体に堆積され、次いで光リソグラフィおよびエッチングにより、第1タイプ領域30Bにのみ残り、かつ、第2および第3タイプ領域(30G、30R)を露出させるようパターン化されてもよい。次いで、第1の選択的エピタキシャルプロセスにより、第2タイプ領域30Gおよび第3タイプ領域30Rにおける第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lの露出部分の上の、および、第1誘電体マスキングレイヤ671の上にはない、平板レイヤとして、第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lを形成する。
【0142】
図26Iを参照すると、酸化珪素などの誘電体物質を含む第2誘電体マスキングレイヤ672は、第2タイプ領域30Gの第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lの上に、および、オプションで第1タイプ領域30Bの第1誘電マスキングレイヤ671の上に、形成される。第2誘電体マスキングレイヤ672は、第2タイプアクティブ領域レイヤ562L(およびオプションで第1誘電体マスキングレイヤ671の上)の上全体に堆積され、次いで光リソグラフィおよびエッチングにより、第1および第2タイプ領域(30B、30G)にのみ残り、かつ、第3タイプ領域30Rを露出させるようパターン化されてもよい。次いで、第2の選択的エピタキシャルプロセスにより、第3タイプ領域30Rにおける第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lの露出部分の上の、および、第2誘電体マスキングレイヤ672の上にはない、平板レイヤとして、第3タイプアクティブ領域レイヤ563Lを形成する。第2タイプおよび/または第3タイプアクティブ領域レイヤは、堆積の選択性を高めるためにパルスMOCVDにより形成されてもよい。
【0143】
続いて、第2誘電体マスキングレイヤ672および第1誘電体マスキングレイヤ671は、例えば等方性エッチングにより除去される。例えば、第2誘電体マスキングレイヤ672および第1誘電体マスキングレイヤ671が酸化珪素を含む場合、フッ化水素酸を用いるウェットエッチングを用いることで、第2誘電体マスキングレイヤ672および第1誘電体マスキングレイヤ671を除去することができる。
【0144】
あるいはまた、第1誘電体マスキングレイヤ671は第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lの形成の後、かつ、第2誘電体マスキングレイヤ672の形成の前に除去される。この場合、第2誘電体マスキングレイヤ672は、露出した第1タイプアクティブ領域レイヤ561Lの上、および、第2タイプアクティブ領域レイヤ562Lの一部の上、に形成される。次いで、上述の通り、第2誘電体マスキングレイヤ672は第3タイプアクティブ領域レイヤ563Lの成長の後に除去される。第2マスキングレイヤ672は第3半導体レイヤを選択的に成長させるステップの後に除去され、一方、第1マスキングレイヤ671は第2マスキングレイヤ672を除去するステップの前、後、および/またはその最中に除去されてもよい。
【0145】
図26Jを参照すると、リソグラフィ的にパターン化されたエッチングマスク267(パターン化フォトレジストレイヤであってもよい)は、種々のアクティブ領域レイヤ(561L、562L、563L)のスタックの上に形成される。(反応性イオンエッチングなどの異方性エッチングやウェットエッチングなどの等方性エッチングを含んでもよい)エッチングプロセスを行うことで、
図26Aおよび26Bに示される種々のアクティブ領域(561、562、563)を形成することができる。続いて、リソグラフィ的にパターン化されたエッチングマスク267は、例えば灰化により除去されてもよい。
【0146】
代替的な実施の形態では、
図26C-26Gのリフトオフ方法と
図26H-26Jの選択的エリア成長方法との組み合わせが用いられてもよい。例えば、第2タイプおよび/または第3タイプアクティブ領域レイヤが下地のガリウム窒化物物質の上に堆積されたインジウムガリウム窒化物を含む場合、これらのアクティブ領域レイヤは、選択的エリア成長方法において、対応する第1および第2マスキングレイヤをすこし超えて広がってもよい。この場合、
図26C-26Gに関して説明したようにマスキングレイヤをリフトオフすることで、第2タイプおよび/または第3タイプアクティブ領域レイヤのその一部を対応する第1および第2マスキングレイヤから取り除くことができる。
【0147】
図26A、26B、26Gおよび26Jに示される種々のアクティブ領域(561、562、563)のそれぞれの横方向寸法は、3ミクロンから30ミクロンなどの、1ミクロンから100ミクロンの範囲内にあってもよい。種々のアクティブ領域(561、562、563)における各レイヤの厚さは2nmから60nmの範囲内(例えば6nmから20nmの範囲内)であってもよいが、より小さいまたはより大きい厚さを用いてもよい。
【0148】
図27Aおよび27Bを参照すると、上述のエッチングまたはリフトオフ方法により形成されたアクティブ領域(561、562、563)の物理的に露出している上面の上に、連続的半導体接合レイヤ50Lを堆積させてもよい。連続的半導体接合レイヤ50Lは、既述の実施の形態の半導体接合レイヤ(40B、40G、40R)と同じ物質を含んでもよい。連続的半導体接合レイヤ50Lは、ベースレイヤ26とは反対のタイプのドーピングを有するドープ半導体物質を含む(例えば、レイヤ26がnタイプレイヤであればレイヤ50LはpタイプGaNレイヤなどのpタイプレイヤであり、逆もしかりである)。アクティブ領域(561、562、563)が真性半導体領域を含む場合、連続的半導体接合レイヤ50Lと半導体ベースレイヤ26との間にp-i-n接合が形成される。アクティブ領域がドープ半導体領域を含む場合、連続的半導体接合レイヤ50Lとアクティブ領域(561、562、563)との間の各界面にp-n接合が形成される。連続的半導体接合レイヤ50Lの厚さは30nmから300nmの範囲内であってもよいが、より小さいまたはより大きい厚さを用いてもよい。
【0149】
図28Aおよび28Bを参照すると、連続的半導体接合レイヤ50Lの上にマスキングレイヤ579を形成し、発光領域(30B、30G、30R)のエリアをカバーする。マスキングレイヤ579は、上述のマスキングレイヤ46やマスキングレイヤスタック(44、46)と同じ組成および同じ厚さを有してもよい。ある実施の形態では、マスキングレイヤ579のパターンは、第1、第2および第3マスキングレイヤ(571、572、573)を組み合わせたパターンと実質的に同じであってもよい。マスキングレイヤ579によってカバーされていないフィールド領域580における連続的半導体接合レイヤ50Lの部分は、マスキングレイヤ579の物質に対して選択的に連続的半導体接合レイヤ50Lの半導体物質をエッチングする隔離エッチングプロセスによって除去されてもよい。第1発光領域30Bに残っている連続的半導体接合レイヤ50Lの部分は本明細書において第1半導体接合レイヤ50Bと称され、第2発光領域30Gに残っている連続的半導体接合レイヤ50Lの部分は本明細書において第2半導体接合レイヤ50Gと称され、第3発光領域30Rに残っている連続的半導体接合レイヤ50Lの部分は本明細書において第3半導体接合レイヤ50Rと称される。
図25Aおよび25Bの処理ステップが省略される場合、
図28Aおよび28Bのエッチングプロセスの継続期間は、発光領域(30B、30G、30R)の外側の領域からアクティブ領域レイヤ(561L、562L、563L)の部分を取り除くように延長されてもよい。
【0150】
図29Bおよび30Bに示されるように、発光デバイスは第1、第2および第3発光ダイオード(10B、10G、10R)を含む。第1発光ダイオード10Bは、第1タイプアクティブ領域561と、半導体接合レイヤ50Lの第1部分50Bと、透明導電性レイヤ137の第1部分と、を含む第1スタックを含む。第1LED10Bは第1ピーク波長(例えば、青色光波長)の光を発するよう構成される。
【0151】
第2発光ダイオード10Gは、第1タイプアクティブ領域561と、第1タイプアクティブ領域とは異なる組成を有する第2タイプアクティブ領域562と、半導体接合レイヤ50Lの第2部分50Gと、透明導電性レイヤ137の第2部分と、を含む第2スタックを含む。第2LED10Gは、第1波長とは異なる第2波長(例えば、緑色光波長)の光を発するよう構成される。
【0152】
第3発光ダイオード10Rは、第1タイプアクティブ領域561と、第2タイプアクティブ領域562と、第1および第2タイプアクティブ領域とは異なる組成を有する第3タイプアクティブ領域563と、半導体接合レイヤ50Lの第3部分50Rと、透明導電性レイヤ137の第3部分と、を含む第3スタックを含む。第3LEDは、第1および第2波長とは異なる第3波長(例えば、赤色光波長)の光を発するよう構成される。第3LED10Rに設けられる第3スタックにおいて、第2タイプアクティブ領域562は、第3タイプアクティブ領域563に接する。
【0153】
デバイスは、また、第1、第2および第3スタックの下に設けられた第1導電タイプの半導体ベースレイヤ26を含んでもよい。半導体ベースレイヤ26は第1導電タイプの連続レイヤを含む。
【0154】
上述の通り、第2導電タイプの半導体接合レイヤ50Lの第1部分50B、第2部分50Gおよび第3部分50Rは、対応する第1、第2および第3スタックの対応する第1タイプアクティブ領域561、第2タイプアクティブ領域562、第3タイプアクティブ領域563の上に設けられる。半導体接合レイヤの第1部分50B、第2部分50Gおよび第3部分50Rは、同じ組成および同じ厚さを有する。
【0155】
半導体ベースレイヤ26と半導体接合レイヤの第1部分50B、第2部分50Gおよび第3部分50Rとは、対応する第1、第2および第3スタックにおいて第1、第2および第3p-i-n接合を形成する。第1、第2および第3p-i-n接合のそれぞれは、半導体ベースレイヤ26の上面に平行な対応する水平面を含む。
図30Aおよび30Bに示されるように、第2p-i-n接合にある水平面Y-Y’は、第1p-i-n接合にある水平面X-X’の上に設けられる。第2p-i-n接合にある水平面Y-Y’は、第3p-i-n接合にある水平面Z-Z’の下に設けられる。
【0156】
透明導電性レイヤ137の第1、第2および第3部分は、半導体接合レイヤ50Lの対応する第1部分50B、第2部分50Gおよび第3部分50Rに接する。接点ビア構造192は、透明導電性レイヤ137の第1、第2および第3部分に接する。
【0157】
例示的な第3および第4構造の場合、第2波長(例えば緑色光波長)は第1波長(例えば、青色光波長)よりも長く、第3波長(例えば、赤色光波長)よりも短くてもよい。ある実施の形態では、発光デバイスは直視型ディスプレイデバイスを含み、第1タイプアクティブ領域(461、561)の各インスタンスはインジウムガリウム窒化物アクティブ領域を含み、第2タイプアクティブ領域(462、562)の各インスタンスは第1タイプアクティブ領域(461、561)よりも低いインジウム濃度を有するインジウムガリウム窒化物アクティブ領域を含み、半導体ベースレイヤ26と第1タイプアクティブ領域(461、561)と第2タイプアクティブ領域(462、562)と第3タイプアクティブ領域(463、563)と、は単結晶であって互いにエピタキシャルに揃えられてもよい。
【0158】
第4の実施の形態の代替的態様では、アクティブ領域のうちのひとつ以上のみが平板レイヤを含み、アクティブ領域の他のひとつ以上が前の実施の形態に関して説明したようにナノワイヤの周りのシェルを含んでもよい。したがって、デバイスは、ひとつ以上の光の色を発する平板アクティブ領域と、ひとつ以上の追加的色を発するナノワイヤシェルアクティブ領域と、を含んでもよい。
【0159】
上述の方法は発光デバイスに向けられているが、方法は任意の他のタイプの半導体デバイスについて用いられてもよい。半導体デバイスを作成する方法は、
図22Aおよび22Bに示されるように、第1半導体レイヤ561を形成することと、第1半導体レイヤの第1部分の上に第1マスキングレイヤ571を形成することと、を含んでもよい。
【0160】
方法はまた、
図23Aおよび23Bに示されるように、第1マスキングレイヤ571が第1半導体レイヤ561の第1部分の上に設けられている間に、第1マスキングレイヤ571から露出している第1半導体レイヤ561の第2部分の上に第2半導体レイヤ562を形成することと、第2半導体レイヤ562の第1部分の上に第2マスキングレイヤ572を形成することと、を含んでもよい。
【0161】
方法はまた、第1マスキングレイヤ571が第1半導体レイヤの第1部分の上に設けられ、かつ、第2マスキングレイヤ572が第2半導体レイヤの第1部分の上に設けられている間に、第2マスキングレイヤ572から露出している第2半導体レイヤの第2部分の上に第3半導体レイヤ563を形成すること、を含んでもよい。
図24Aおよび24Bに示されるように、第3マスキングレイヤ573は第3半導体レイヤ563の第1部分の上に形成され、第3半導体レイヤの第2部分は露出する。
【0162】
図25Aおよび25Bに示されるように、第1、第2および第3半導体レイヤ(561、562、563)は、次いで、エッチングされ、第1、第2および第3スタックが形成される。したがって、上述の方法では、個々のマスキングレイヤを用いて各レイヤを別個にエッチングするのではなく、半導体レイヤとマスキングレイヤとを交互に形成し、その後、異なるデバイスレベルにある全てのマスキングレイヤを用いて全ての半導体レイヤをエッチングする。このプロセスは、個々のマスクを用いて各レイヤを独立にエッチングする方法よりも少ない数のステップを用いる。
【0163】
ある実施の形態では、
図25Bに示されるように、第1、第2および第3半導体レイヤをエッチングすることで第1、第2および第3スタックを形成することは、第3マスキングレイヤ573をマスクとして用いて第3半導体レイヤ563の露出する第2部分をエッチングすることと、第3および第2マスキングレイヤをマスクとして用いて、第3および第2マスキングレイヤ(573、572)から露出している第2半導体レイヤ562の第2部分の一部をエッチングすることと、第3、第2および第1マスキングレイヤをマスクとして用いて、第3、第2および第1マスキングレイヤ(573、572、571)から露出している第1半導体レイヤ561の第2部分の一部をエッチングすることと、を含む。
図26Bに示されるように、第1、第2および第3マスキングレイヤは次いで除去される。
【0164】
半導体デバイスが直視型ディスプレイなどの発光デバイスを含む場合、発光デバイスの第1タイプアクティブ領域は第1半導体レイヤ561を含み、発光デバイスの第2タイプアクティブ領域は第1および第2半導体レイヤ(561、562)を含み、発光デバイスの第3タイプアクティブ領域は第1、第2および第3半導体レイヤ(561、562、563)を含む。
【0165】
第1半導体レイヤは、基板22を覆って設けられる(例えば、単結晶半導体ベースレイヤ26の上にエピタキシャルに成長する)単結晶半導体レイヤである。第2半導体レイヤ562は、第1マスキングレイヤ571の側方に隣接する第1半導体レイヤ561の第2部分の上にエピタキシャルに成長する。第3半導体レイヤ563は、第2マスキングレイヤ572の側方に隣接する第2半導体レイヤ562の第2部分の上にエピタキシャルに成長する。第2導電タイプの単結晶半導体接合レイヤ50Lは第1タイプアクティブ領域、第2タイプアクティブ領域および第3タイプアクティブ領域の上に形成され、パターン化されてもよい。この場合、半導体接合レイヤの第1部分50Bは第1タイプアクティブ領域の第1半導体レイヤ561の上に設けられ、半導体接合レイヤの第2部分50Gは第2タイプアクティブ領域の第2半導体レイヤ562の上に設けられ、半導体接合レイヤの第3部分50Rは第3タイプアクティブ領域の第3半導体レイヤ563の上に設けられる。
【0166】
本開示の他の態様によると、種々の発光ダイオードの例示的な第1構造と、例示的な第2構造と、例示的な第3構造とのミックス-マッチ構成が提供される。この場合、例示的な第1、第2および第3構造のうちのひとつにおいて対応するピーク波長の光を発する少なくともひとつの発光ダイオードを同じ基板上の異なるピーク波長の光を発する少なくともひとつの他の発光ダイオードと組み合わせることで、直視型ディスプレイピクセルを提供する。図示の例では、直視型ディスプレイピクセルの色のうちのひとつ以上(例えば、赤色)用の少なくともひとつの平板LEDエピタキシャル構造を、直視型ディスプレイデバイスの残りの色(例えば、青色および緑色)用の少なくともひとつのナノワイヤLED構造と組み合わせる。
【0167】
開示される実施の形態の上述の記載は、当業者が本発明を作るか利用することができるようにするために提供される。これらの実施の形態に対する種々の変形例は当業者には容易に明らかであろうし、本明細書で定義される一般的原理は、本発明の精神および範囲から逸脱すること無く、他の実施の形態に適用されうる。したがって、本発明は本明細書に示される実施の形態に限定されることが意図されるものではなく、本明細書で開示される原理および新規フィーチャならびに以下の請求の範囲と矛盾のない最も広いスコープと調和すべきものである。