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特許7154144オーバーピン径測定用機器及びマイクロメータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】オーバーピン径測定用機器及びマイクロメータ
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/18 20060101AFI20221007BHJP
【FI】
G01B3/18 102
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019009127
(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公開番号】P2020118529
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】598125291
【氏名又は名称】池原 康次
(73)【特許権者】
【識別番号】501481436
【氏名又は名称】佐々木 等
(74)【代理人】
【識別番号】100181881
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 俊一
(72)【発明者】
【氏名】池原 康次
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 等
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-043701(JP,A)
【文献】特開2016-114449(JP,A)
【文献】実開昭51-127067(JP,U)
【文献】実開昭56-061404(JP,U)
【文献】実開昭52-019245(JP,U)
【文献】米国特許第6219932(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/00- 3/08
G01B 3/11- 3/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロメータのアンビルとスピンドルに装着されるオーバーピン径測定用機器であって、
前記アンビル及び前記スピンドルの先端部を収容する透孔と、前記透孔と交差して貫通するガイド孔を備え、
前記透孔は、前記アンビル又は前記スピンドルの端面を前記ガイド孔に至るまで誘導し、
前記ガイド孔は、当該接触ピンを遊嵌させる奥行きを備え、前記ガイド孔に装填された接触ピンの側面を前記透孔の両開口部に向けて保持することを特徴とするオーバーピン径測定用機器。
【請求項2】
前記ガイド孔は、前記アンビル及び前記スピンドルの端面の直径以下の幅であることを特徴とする請求項1に記載のオーバーピン径測定用機器。
【請求項3】
前記透孔と、当該透孔と直交し前記ガイド孔として機能するガイド溝を備えるメインフレームと、
前記ガイド溝の両端に渡し掛けられて前記ガイド孔の側壁の一部を形作るガイドフレームを備え、
前記メインフレームにガイドフレームが取り外し可能に定着されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のオーバーピン径測定用機器。
【請求項4】
前記透孔をそれぞれ横断しその中央部で交差する複数のガイド溝を、それぞれが前記透孔と直交する配置となるように備えるメインフレームと、前記接触ピンが装填されたガイド溝の両端に渡し掛けられて前記ガイド孔の側壁の一部を形作るガイドフレームを備えることを特徴とする請求項3に記載のオーバーピン径測定用機器。
【請求項5】
前記透孔を二等分して備える形状を持つ一対の分割部材と、当該一対の分割部材の端部をそれぞれ束ねて保持する一対の結束部材を備え、
前記結束部材は、前記ガイド孔として機能するガイド部を備え、
一対の結束部材のガイド部は、当該ガイド部に装填された接触ピンの側面を、結束された一対の分割部材が形作る前記透孔に面して配置させることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のオーバーピン径測定用機器。
【請求項6】
前記ガイド孔に、ゴム弾性を有する抜け止めチューブを装着した接触ピンを装填したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のオーバーピン径測定用機器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のオーバーピン径測定用機器を使用し、前記アンビルとスピンドルに、前記ガイド孔に接触ピンを一本装填した前記オーバーピン径測定用機器と、前記ガイド孔に接触ピンを二本装填した前記オーバーピン径測定用機器を対にして装着したオーバーピン径測定用マイクロメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ軸の溝の深さや歯車の有効径の測定を容易にする機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オーバーピン径の測定は、今日、ねじ軸や歯車の有効径を測定する方法として一般化されている手法である。
オーバーピン径とは、ねじ軸、歯車又はスプロケット等(以下「被測定部材」という)の有効径との関係で用いられる寸法であって、前記被測定部材の歯の谷間に、規定の径のピンを入れ、前記被測定部材を挟んで対向するピンの外縁間の距離である。
【0003】
例えば、図15に示す三針法と呼ばれる有効径測定法は、ねじ軸の有効径を測定する際には、歯厚マイクロゲージの測定子として三本のピンを用い、そのうちの一本のピンと、残る二本のピンの間に測定しようとするねじ軸を挟み、当該ねじ軸を挟む両者がとる最小幅を測定する手法である(例えば、下記特許文献5参照)。
【0004】
従来、ノギス用測定子又はアタッチメントとして下記特許文献1、特許文献2及び特許文献3が開示され、マイクロメータ用アタッチメントとして下記特許文献4が開示されている。揺動自在な三針ゲージを有するマイクロメータとして下記特許文献5に記載の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭61-56506号公報
【文献】特開2003-4437号公報
【文献】実用新案登録第3162576号公報
【文献】実開平3-104801号公報
【文献】特許第5846514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の測定子は、ねじ軸に対する適応性が無く、前記特許文献2及び特許文献3に記載の測定子は、先端部が球状のボール又は軸の凸条に対して交差する線状であるため測定者の操作に応じて精度に欠けるという問題がある。
一方、前記特許文献4に記載の測定子では、被測定部材を挟持する測定子の位置関係が限られるという問題があり、前記特許文献5に記載の測定機器では、測定の便宜や精度を良好に保つために、測定器を固定するスタンドを要するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、ねじ軸や歯車の有効径を測定する際の適応性が高く、且つ容易な操作で高い精度の測定を可能とするオーバーピン径測定用機器及びマイクロメータの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明によるオーバーピン径測定用機器は、
マイクロメータのアンビルとスピンドルに装着されるオーバーピン径測定用機器であって、前記アンビル及び前記スピンドルの先端部を収容する透孔と、前記透孔と交差して貫通するガイド孔を備え、前記透孔は、前記アンビル又は前記スピンドルの端面を前記ガイド孔に至るまで誘導し、前記ガイド孔は、当該接触ピンを遊嵌(遊びをもった状態に嵌めること)させる奥行きを備え、前記ガイド孔に装填された接触ピンの側面を前記透孔の両開口部に向けて保持することを特徴とする。
前記ガイド孔を、前記アンビル及び前記スピンドルの端面の直径以下の幅を持つ構成を採ることができる。例えば、前記ガイド孔が並列で装填できる接触ピンは三本未満であることが望ましい。
【0009】
本発明によるオーバーピン径測定用機器は、例えば、前記透孔と、当該透孔と直交し前記ガイド孔として機能するガイド溝を備えるメインフレームと、前記ガイド溝の両端に渡し掛けられて前記ガイド孔の側壁の一部を形作るガイドフレームを備え、前記メインフレームとガイドフレームを取り外し可能に定着されている構成を採ることができる。
かかる構成において、更に、前記透孔をそれぞれ横断しその中央部で交差する複数のガイド溝を、それぞれが前記透孔と直交する配置となるように備えるメインフレームと、前記接触ピンが装填されたガイド溝の両端に渡し掛けられて前記ガイド孔の側壁の一部を形作るガイドフレームを備える構成を採ることができる。
【0010】
一方では、前記透孔を二等分して備える形状を持つ一対の分割部材と、当該一対の分割部材の端部をそれぞれ束ねて保持する一対の結束部材を備え、前記結束部材は、前記ガイド孔として機能するガイド部を備え、一対の結束部材のガイド部は、当該ガイド部に装填された接触ピンの側面を、結束された一対の分割部材が形作る前記透孔に面して配置させる構成を採ることができる。
【0011】
上記いずれかのオーバーピン径測定用機器において、前記ガイド孔に、ゴム弾性を有する抜け止めチューブを装着した接触ピンを装填することが望ましい。
また、アンビルとスピンドルに、上記いずれかのオーバーピン径測定用機器を使用し、前記アンビルとスピンドルに、前記ガイド孔に接触ピンを一本装填した前記オーバーピン径測定用機器と、前記ガイド孔に接触ピンを二本装填した前記オーバーピン径測定用機器を対にして装着したオーバーピン径測定用マイクロメータとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるオーバーピン径測定用機器によれば、前記アンビル及び前記スピンドルの先端部を収容する透孔と、前記透孔と交差して貫通するガイド孔を備え、前記ガイド孔に装填された接触ピンの側面を前記透孔の両開口部に向けて保持することによって、複数の接触ピンをそれぞれ適正な位置で保持するという煩雑な作業を要することなく、被測定部材の溝へ確実に押し当て、正確な計測を行うことができる。
【0013】
前記透孔を二等分して備える形状を持つ一対の分割部材と、当該一対の分割部材の端部をそれぞれ束ねて保持する一対の結束部材を備え、前記結束部材は、前記ガイド孔として機能するガイド部を備え、一対の結束部材のガイド部は、当該ガイド部に装填された接触ピンの側面を、結束された一対の分割部材が形作る前記透孔に面して配置させる構成を採ることによって、前記アンビル又は前記スピンドルの先端部が如何なる形態であっても、当該先端部を取り外すこと無く挟持具の着脱を行うことができ、測定制度の向上に寄与する。
【0014】
また、前記透孔は、前記アンビル又は前記スピンドルの端面を前記ガイド孔に至るまで誘導し、前記ガイド孔は、前記アンビル及び前記スピンドルの端面の直径以下の幅と、当該接触ピンを遊嵌する奥行きを備えることによって、特段の操作を行わなくとも前記ガイド孔に装填された接触ピンを前記アンビル及び前記スピンドルの端面から外れることなく、両者の端面によって当該接触ピンに対し、確実に圧力を加えることができる。
【0015】
また、前記長孔に、ゴム弾性を有する抜け止めチューブを装着した接触ピンを装填する構成を採ることによって、当該抜け止めチューブの端面をガイド孔の縁に当接させ、そのゴム弾性をもって接触ピンの位置をガイド孔の一定の位置に保持しつつ、被測定部材の側面に刻まれた溝による誘導での位置修正も許容されることとなる。
【0016】
本発明によるオーバーピン径測定用機器及びマイクロメータによれば、採用した構成に応じ、上記効果が相俟って、ねじ軸や歯車の有効径を測定する際の適応性が高く、且つ高い精度の測定を可能とする簡易なオーバーピン径測定用機器及びマイクロメータの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明によるオーバーピン径測定用マイクロメータの一例を示す側面図である。
図2】本発明によるオーバーピン径測定用機器の一例を示す装着時における、(A)裏面図及び(B)A-A矢視断面図である。
図3】本発明によるオーバーピン径測定用機器の装着例を示す説明図である。
図4】本発明によるオーバーピン径測定用機器のメインフレームの一例を示す、(A)裏面図、(B)B-B矢視断面図、(C)C-C矢視断面図及び(D)平面図である。
図5】本発明によるオーバーピン径測定用機器のガイドフレームの一例を示す、(A)平面図及び(B)正面図である。
図6】本発明によるオーバーピン径測定用マイクロメータの一例を示す側面図である。
図7】本発明によるオーバーピン径測定用機器(複挟持具)の一例を示す装着時における、(A)D-D矢視断面図、(B)裏面図、(C)E-E矢視断面図及び(D)右側面図である。
図8】本発明によるオーバーピン径測定用機器(単挟持具)の一例を示す装着時における、(A)F-F矢視断面図、(B)裏面図、(C)G-G矢視断面図及び(D)右側面図である。
図9】本発明によるオーバーピン径測定用機器(複挟持具)の、(A)メインフレームのH-H矢視断面図、(B)メインフレームの平面図、(C)分割部材の接合面側の側面図、(D)分割部材の外側面図、(E)メインフレームのI-I矢視断面図、(F)メインフレームのJ-J矢視断面図、(G)メインフレームの正面図である。
図10】本発明によるオーバーピン径測定用機器(単挟持具)の、(A)メインフレームのK-K矢視断面図、(B)メインフレームの平面図、(C)分割部材の接合面側の側面図、(D)分割部材の外側面図、(E)メインフレームのL-L矢視断面図、(F)メインフレームのM-M矢視断面図、(G)メインフレームの正面図である。
図11】本発明によるオーバーピン径測定用機器(複挟持具)の一例を示す分解図である。
図12】本発明によるオーバーピン径測定用機器(単挟持具)の一例を示す分解図である。
図13】本発明によるオーバーピン径測定用機器の結束部材(複挟持具)の一例を示す、(A)正面図、(B)N-N矢視断面図、(C)O-O矢視断面図及び(D)側面図である。
図14】本発明によるオーバーピン径測定用機器の結束部材(単挟持具)の一例を示す、(A)正面図、(B)P-P矢視断面図、(C)Q-Q矢視断面図及び(D)側面図である。
図15】三針法と呼ばれるねじ軸の有効径を測定する手法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明によるオーバーピン径測定用機器及びそれを具備するオーバーピン測定用マイクロメータの実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図1又は図6に示すマイクロメータは、周知の構造を備えるマイクロメータのアンビル1とスピンドル2に、それぞれ本発明によるオーバーピン径測定用機器(以下「挟持具」という)を装着したオーバーピン径測定用マイクロメータの一例である。
【実施例1】
【0019】
図1に示す例は、前記挟持具3のベースとなるメインフレーム4と、被測定部材Sに直接接触する接触ピンNが装填されるガイド孔6の側壁の一部を形作るガイドフレーム5を備える(図2参照)。
図1に示す挟持具3は、複数の合成樹脂製部材を組み立てた例であるが、ステンレス等の金属を用いることもでき、又は単一の部材で構成することができる。
【0020】
前記メインフレーム4は、その中央部を表裏にわたって貫通し前記アンビル1及び前記スピンドル2を収容する透孔7と、その中央部をそれぞれ横断し、且つ十字状に交差する二筋のガイド溝6a,6aを前記透孔7と直交する配置で備え、残余の部分は、ネジ止め用のビス孔8aを備えた支持部8としたものである(図4参照)。
【0021】
前記透孔7は、前記アンビル1及び前記スピンドル2が遊嵌する直径の均一な円断面の部分を備え、前記アンビル1及び前記スピンドル2を前記ガイド溝(ガイド孔6)6aへ進入させる長さを備える。尚、前記遊びによる挟持具3のぐらつきを緩和するために、予め前記アンビル1及び前記スピンドル2にゴム弾性を持つスリーブ9を装着し、前記挟持具3を装着した後にそのメインフレーム4に当接させてもよい(図3参照)。
【0022】
前記ガイド溝6aの深さ(ガイド孔6の奥行き)は、装填された接触ピンNが過度にぐらつかない様に、装填する接触ピンNの径に応じて、当該接触ピンNの直径よりも僅かに大きい適切な深さであることが望ましい。そのため、前記メインフレーム4には、用途の広い深さ(奥行き)が選択されたガイド溝(又はガイド孔6)6aを段階的に複数具備することが望ましい(図2及び図4参照)。
【0023】
即ち、前記挟持具(メインフレーム4)3の形態は、図に示すような正方形のみならず、六角形や八角形などの多角形を選択し、それぞれの対辺間を横切るガイド溝(ガイド孔6)6aをそれぞれ異なる深さ(奥行き)で設けることができる。そのような形態を採用する際も、残余の部分に、ネジ止め用の支持部8を適宜設けることができる(図示省略)。
【0024】
前記ガイドフレーム5は、前記挟持具3において、接触ピンNが装填された対辺の両端に設けられた支持部8,8を結ぶように(横断するように)ビス止めされ、前記ガイド溝6aの開口部が閉鎖されることで、前記透孔7と交差するガイド孔6が、前記接触ピンNを装填した前記挟持具3の裏面側が開口する態様で形作られる。
この例のガイドフレーム5は、その両端部に前記支持部8,8のビス孔8a,8aに対向するビス孔5a,5aを設けた平板であって、その厚みは、被測定部材Sの雄ねじ谷径の略二分の一以下であることが求められる。
【0025】
以上の如く構成された挟持具3は、被測定部材Sの径に適した厚みのガイドフレーム5を選択すると共に、当該被測定部材Sの適針径を満たす接触ピンNを選択し、被測定部材Sの適針径に適した深さのガイド溝6aを横断するように当該ガイド溝6aの両側に存在する支持部8,8へのビス止めを行う。
尚、前記適針径は、図15に基づいて、適針径=P÷2cos(α/2)から導くことができる。
【0026】
前記接触ピンNは、この作業によって閉じられたガイド溝(ガイド孔6)6aに、当該ガイド溝(ガイド孔6)6aと交差する透孔7を横切るように装填し、前記ガイド溝(ガイド孔6)6aの深さ(奥行き)より装着時の直径が大きいゴム弾性を有する抜け止めチューブ11を、抜け止め手段として接触ピンNに装着する(図2参照)。
前記抜け止めチューブ11が接触ピンNと一体構造となっている場合には、ガイドフレーム5を固定する作業は、接触ピンNを装填する作業の後で行えばよい。
【0027】
次に、前記アンビル1及び前記スピンドル2の基部にゴム弾性を持つスリーブ9を装着した上で、前記アンビル1及び前記スピンドル2を、上記挟持具3,3のメインフレーム4の透孔7へ表側から裏側へ挿入し、遊びによる挟持具3のぐらつきを緩和するために、前記アンビル1及び前記スピンドル2の基部に装着したスリーブ9を当該挟持具3の上面に当接させる(図3参照)。
【0028】
以上をもって、本発明によるオーバーピン測定用マイクロメータの一例が組み上げられる。
上記オーバーピン測定用マイクロメータの前記アンビル1及び前記スピンドル2の間に被測定部材Sを挟み、ラチェットストップ10を回すと、前記アンビル1及び前記スピンドル2の端面が、前記透孔7と前記ガイド孔6が交差する空間において、前記被測定部材Sを挟む挟持具3が保持する接触ピンNの側面に当接することとなる(図1参照)。
【0029】
更にラチェットストップ10を回して適度な圧力を一定時間にわたって加えると、前記アンビル1及び前記スピンドル2の各々に装着された挟持具3各々が保持する接触ピンNが、当該接触ピンNに対して特別な支持をほどこさなくとも、当該被測定部材Sの側面に穿設された溝の向きに倣って配列し、当該溝の凹部へ容易に誘導される。
【0030】
その際、前記ガイド孔6は、当該接触ピンNを遊嵌する奥行き(長孔の短径)を備える長孔であるものの、二本以上の接触ピンNを並列させる幅(長孔の長径)、実質的には、被測定部材Sに刻まれた溝のピッチを隔てて二本以上の接触ピンNを並列させる幅以上であって、且つ前記アンビル1及び前記スピンドル2の端面(この例では鍔部1a,2aの端面)の直径以下の幅に設定されているために、ガイド孔6の内部に装填された接触ピンNは、常に、前記アンビル1及び前記スピンドル2の端面上に維持される。
その様な加圧状態において、全ての接触ピンNの端部を軽く指で触れてもガタツキがなければ、ダイヤルゲージの読みで得た値がオーバーピン径となる(図1参照)。
【実施例2】
【0031】
図6は、本発明によるオーバーピン径測定用機器及びそれを具備するオーバーピン測定用マイクロメータの別の実施例を示したものである。
図6乃至図8に示す挟持具13は、メインフレーム14を構成する部材(以下「分割部材14a,14a」という)のそれぞれが、前記アンビル1及び前記スピンドル2が挿入される前記透孔17を二等分した溝16を備える。
この例の挟持具13は、同じ形態を持つ一対の分割部材14a,14aが、その接合面α,αを合わせて一体化したものである(図7乃至図10参照)。
【0032】
前記分割部材14aは、前記透孔17を二分割した断面が半円形の溝16が中央部に配置され、その両側に接合相手の分割部材14aに定着する接合面α,αを対称的に備え、前記挟持具13として連結した際に束ねられた一対の分割部材14a,14aの一体性を維持する結束部材15,15が装着される保持部β,βを対称的に備える。
【0033】
前記溝16を挟む一対の接合面α,αには、連結時の位置決めのために、円柱状の凸部と、当該凸部が嵌る凹部が対称的に設けられ、一対の分割部材14a,14aの凸部と凹部を嵌め合わせることによって、両分割部材14a,14aの溝16,16が向合し、前記アンビル1及び前記スピンドル2が挿入される円断面の透孔17が形成される。
前記保持部β,βは、前記結束部材を一定長挿入した際の位置決めの便宜となるストッパーγ,γをそれぞれ備える。この例は、分割部材14a,14aの外側面に、前記溝16を挟んで一対のストッパーγ,γを対称的に備える(図9及び図10参照)。
【0034】
前記結束部材15は、前記一対の分割部材14a,14aを装填する結束部15aと、前記接触ピンNを装填するガイド部15bを上下二段に配置して備える(図7及び図8参照)。
この例の前記分割部材14a,14aは、当該分割部材14a,14aの構成及び上記結束部材15の構成によって、接触ピンNを一本装填する挟持具(以下「単挟持具(図10及び図12参照)」という)13として構成することができる他、前記接触ピンNを二本装填する挟持具(以下「複挟持具」という)13として構成することができる(図9及び図11参照)。
【0035】
前記単挟持具13に用いる結束部材15は、当該接触ピンNが一本遊嵌する幅と長さに設定されたガイド部15bを備える。
一方、前記複挟持具13に用いる前記結束部材15は、前記ガイド部15bとして、二つの接触ピンNを傾き無く保持するために、前記結束部15aの段違い中央に仕切板15cを配置し、当該仕切板15cを挟んでガイド溝を水平に二つ並べた構成を備える。
【0036】
前記複挟持具13に用いる前記結束部材15のガイド溝の幅は、当該ガイド溝一つにつき、被測定部材Sに刻まれた溝のピッチを隔てて二本以上の接触ピンNを並列させる長さ以上であって、且つ前記アンビル1及び前記スピンドル2の端面(又は下記鍔部1a,2aの端面)の直径以下の長さを備える。
【0037】
即ち、前記複挟持板13に用いる前記結束部材15は、当該結束部材15の厚みを出来る限り薄くするために、前記結束部15aとガイド部15bとを仕切る隔壁が省かれており、前記結束部15aに装填された前記分割部材14a,14aの保持部β,βが同じ結束部材15のガイド部15bへ侵入することを回避し結束を安定させる必要があるため、複挟持板13に用いる分割部材14a,14aの保持部β,βは、前記ガイド部15bの幅よりも広く拡幅されている。
【0038】
その結果、一対の分割部材14a,14aの保持部β,βは、それぞれの両側端部が、ガイド部15bの両側壁に掛かり、前記結束部15aに装填された分割部材14a,14aの保持部β,βが安定的に結束部15aに止められる。
【実施例3】
【0039】
先端部に逆傘状などに拡幅した鍔部1a,2aを取り外し可能に具備するアンビル1とスピンドル2を備えるマイクロメータに、前記挟持具3,3又は挟持具13,13を装着する場合には、実施例1に係る挟持具3の、メインフレーム4の裏面中央部の前記ガイド溝6a,6aが交差する前記透孔7の同心円領域、又は実施例2に係る挟持具13の分割部材14aの裏面の、前記断面半円形の溝16の同心半円領域に、前記鍔部1a,2aを前記ガイド溝(又はガイド孔6)6aへ進入させる傘状の空間7a又は一対の分割部材14a,14aを接合して傘状となる半傘状の空間17aを、前記透孔7,17の端部として設ける(図4及び図7乃至図10参照)。
【0040】
尚、前記アンビル1及び前記スピンドル2の鍔部1a,2aを取り外し可能とする構造とは、例えば、鍔部1a,2aの末端側端面に雄ねじを突設し、それを連結する前記アンビル1及び前記スピンドル2の基部の端面に雌ねじが切られた連結孔を形成する構造などを、測定精度を害しない程度で採られたものである(図3参照)。
【0041】
以上の如く構成された挟持具3,13は、実施例1では、一旦、前記アンビル1及び前記スピンドル2の鍔部1a,2aをはずし、メインフレーム4の透孔7へ表側から裏側へ挿入し、その後、再び双方の鍔部1a,2aを取り付ける。それによって、当該メインフレーム4は、前記アンビル1及び前記スピンドル2から離脱不能となる。
【0042】
一方、実施例2では、鍔部1a,2aを取り外すことなく、当該鍔部1a,2aを前記半傘状の空間17aで挟むように、アンビル1とスピンドル2の先端部に一対の分割部材14a,14aを装着し、その正面側及び裏面側の保持部β,βに結束部材15,15を装着することによりメインフレーム14は、前記アンビル1及び前記スピンドル2から離脱不能となる。
【0043】
最後に、先に記したとおり、遊びによる挟持具3,13のぐらつきを緩和するために、前記アンビル1及び前記スピンドル2の基部に予め装着しておいたゴム弾性を持つスリーブ9を当該挟持具3,13の上面に当接させる。
【0044】
以上をもって、本発明によるオーバーピン測定用マイクロメータのひとつが組み上げられ、上記オーバーピン測定用マイクロメータの前記アンビル1及び前記スピンドル2の間に被測定部材Sを挟み、ラチェットストップ10を回すと、前記アンビル1及び前記スピンドル2が具備する鍔部1a,2aの端面が、当該鍔部1a,2aを前記ガイド孔6へ進入させる空間で、前記被測定部材Sを挟む挟持具3,13が保持する接触ピンNの側面に当接することとなる(図1及び図6参照)。
【符号の説明】
【0045】
N 接触ピン,S 被測定部材,
1 アンビル,1a 鍔部,
2 スピンドル,2a 鍔部,
3 挟持具,
4 メインフレーム,
5 ガイドフレーム,5a ビス孔,
6 ガイド孔,6a ガイド溝,
7 透孔,7a 空間,
8 支持部,8a ビス孔,
9 スリーブ,
10 ラチェットストップ,
11 抜け止めチューブ,
13 挟持具,
14 メインフレーム,14a 分割部材,
15 結束部材,15a 結束部,15b ガイド部,
16 溝,17 透孔,17a 半傘状の空間,
図1
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