(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】洗車機
(51)【国際特許分類】
B60S 3/06 20060101AFI20221007BHJP
【FI】
B60S3/06
(21)【出願番号】P 2019053173
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 健二
(72)【発明者】
【氏名】竹内 龍司
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3088806(JP,U)
【文献】特開2014-024377(JP,A)
【文献】特開2000-351357(JP,A)
【文献】特開2003-182539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗車処理装置を備えた洗車機本体の走行に伴い、停車させた自動車の車体に洗浄・乾燥の処理を施す洗車機であって、
前記洗車機本体を水平枠と左右脚枠とで門型に形成し、左右脚枠の前面から内面に及んで、自動車のドア開閉操作を可能とするドア回避部を形成したことを特徴とする洗車機。
【請求項2】
前記ドア回避部は、洗車機本体内に乗り入れられた自動車の運転席側ドアと対面する側の側面枠に形成したことを特徴とする上記請求項1記載の洗車機。
【請求項3】
前記ドア回避部は、車体側面に送風するサイドノズルを備え、該サンドノズルは乾燥動作中に、車体側面に向けて進退する機能を備えたことを特徴する上記請求項1又は2記載の洗車機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車を跨ぐように門型に形成した洗車機本体を走行して、自動車の車体に洗浄・乾燥の処理を施す洗車機に関し、限られたスペースでの洗車を実現する洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られる洗車機は、門型に形成した洗車機本体を床面に敷設した左右の走行レールに沿って往復走行し、走行レールの間に停車した自動車の車体面に洗浄・乾燥の処理を施すものである。洗車機本体には、車形センサ・トップノズル・サイドノズル・トップブラシ・サイドブラシが前方から後方にかけて順次配置されており、洗車機本体の前進に伴う往行時に、車形センサにより自動車の上面輪郭形状を検出しながら、検出した上面輪郭形状に沿ってトップブラシとサイドブラシを制御して車体を洗浄する洗浄処理を実行し、洗車機本体の後進に伴う復行時に、検出した上面輪郭形状に沿ってトップノズルとサイドノズルを制御して車体を乾燥する乾燥処理を実行する。
【0003】
このような洗車機では、車形センサで自動車の形状を検出するため、自動車の前端が車形センサよりも手前になるように停車させて洗車を実行することが望ましいが、大型車の洗浄に対応するには洗車機本体の走行範囲が長くなってしまい、走行レールの敷設による設置スペースが広くなることから、洗車機の設置を断念するケースが見られた。
【0004】
特許文献1では、こうした課題に対処し、自動車をできるだけ洗車機本体に乗り込ませた状態で停車させ、洗車機本体の走行範囲を短くする構成を提案している。このような対応で、洗車機本体の走行範囲を短くすることが可能になるが、自動車前端から運転席側ドアまでの距離が短いワンボックス車の場合、洗車機本体に乗り込ませると運転席側ドアを開けることができないという問題が生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、省スペース化を実現しながら、幅広い範囲の車種が洗車可能な洗車機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために本発明は、洗車処理装置を備えた洗車機本体の走行に伴い、停車させた自動車の車体に洗浄・乾燥の処理を施す洗車機であって、洗車機本体を水平枠と左右脚枠とで門型に形成し、左右脚枠の前面から内面に及んで、自動車のドア開閉操作を可能とするドア回避部を形成したことを特徴とする。
【0008】
ドア回避部は、洗車機本体内に乗り入れられた自動車の運転席側ドアと対面する側の側面枠に形成した。このドア回避部は、車体側面に送風するサイドノズルを備え、サイドノズルは乾燥動作中に、車体側面に向けて進退する機能を備えた。
【発明の効果】
【0009】
本発明の洗車機によれば、自動車の前方部を洗車機内に乗り入れた状態で洗車を実行することができるので、限られたスペースで車長の長い自動車を洗車することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】ワンボックス車の乗り入れ状態を示す説明図である。
【
図6】ドア回避部Aの実施態様を示す説明図である。
【
図7】左サイドノズル6の構造を示す説明図である。
【
図10】ワンボックス車の洗車動作を締めか説明図である。
【
図11】仮想車形データの作成方法を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施態様について図面を基に説明する。
図1は洗車機の外観図、
図2は平面図、
図3は側面図である。
1は本体フレームで、左右一対のレール2・2上を往復走行し、レール2・2間に停車される自動車Cを跨ぐように移動する。3,4・4は車体の洗浄をはかる回転ブラシで、3は自動車Cの上面に沿って昇降動作し、主に車体上面を洗浄するトップブラシ、4・4は自動車Cの側面に沿って開閉動作し、車体側面および車体前後面を洗浄する左右一対のサイドブラシである。5,6・6は車体の乾燥をはかるブロワノズルで、5は自動車Cの上面に沿って昇降動作し、主に車体上面を乾燥するトップノズル、6・6は主に車体側面を乾燥する左右一対のサイドノズルである。
【0012】
7はレール2・2上を走行する本体フレーム1の車輪で、左右の前輪7aと後輪7bを合わせて四輪で構成され、左右の前輪7aにそれぞれ走行モータ8・8を連係して駆動輪とし、左右の後輪7bを従動輪としている。一方の走行モータ8の出力軸には、走行エンコーダ9が設けられ、本体フレーム1が単位距離走行する毎にパルス出力する。尚、走行エンコーダ9は、従動輪や計測専用の車輪に取り付けても良い。10は走行スイッチで、レール2・2の後方端に取り付けたドッグ11aと前方端に取り付けたドッグ11bでスイッチングし、本体フレーム1の走行限界を検出する。
【0013】
12は第1車形検出装置で、サイドノズル6よりも前方の本体フレーム1に配置され、複数の発光素子を上下に配列した発光部12aと、同発光素子と対をなす複数の受光素子を上下に配列した受光部12bとを自動車を幅方向に挾んで対向させ、各発光素子・受光素子間で形成される光軸が自動車の車体によって遮られたのを検知して車体の上面位置を検出するものである。
【0014】
13は第2車形検出装置で、トップノズル5とトップブラシ3の間の本体フレーム1に配置され、複数の発光素子を上下に配列した発光部13aと、同発光素子と対をなす複数の受光素子を上下に配列した受光部13bとを自動車を幅方向に挾んで対向させ、各発光素子・受光素子間で形成される光軸が自動車の車体によって遮られたのを検知して車両を検出して車体の上面位置を検出するものである。
【0015】
本体フレーム1内のレイアウトは、前方から後方にかけて、第1車形検出装置12・サイドノズル6・トップノズル5・第2車形検出装置13・トップブラシ3・サイドブラシ4の順に配置されている。この本体フレーム1は、
図4・5に示すように、走行スイッチ10がドッグ11aでスイッチングするポジションP1から、ドッグ11bでスイッチングするポジションP2までの走行範囲Sで往復走行を行い、通常、ポジションP1に待機して走行を開始し、走行範囲S内に停車した自動車Cに洗車処理を施すものである。
【0016】
この洗車機で洗車処理を行うには、本体フレーム1がポジションP1にあるときに自動車の前端が第1車形検出装置12よりも前方にあり、本体フレーム1がポジションP2に来たときに自動車の後端がサイドブラシ4の後方になる走行範囲Sを設定することが望ましい。一方、本体フレーム1が整備工場の認証指定基準に定められる建屋スペース(幅4m×長さ8m)に設置されるような場合、車長が5m以上ある自動車を洗車するには、本体フレーム1の走行範囲Sが制限されるため、自動車の前端を本体フレーム1内に乗り入れてから洗車処理を実行する必要がある。このとき、普通車であれば、
図4の示すように、自動車を乗り入れた状態で運転席のドアが本体フレーム1と干渉することがないため、乗降に影響はないが、ワンボックス車のようにボンネットがない車種であれば、
図5に示すように、自動車を乗り入れた状態で運転席のドアが本体フレーム1と干渉するため、乗降することが困難となる。
【0017】
そこで本発明の洗車機では、本体フレーム1の前面から内面に至るコーナー部に、運転者が自動車の運転席ドアを開けて乗降できるようにドアと干渉する箇所を面取りもしくは凹陥させたドア回避部Aを形成している。本体フレーム1は、水平枠1aと左右脚枠1b・1cとで門型に形成しており、左右脚枠1b・1cのうち、右ハンドルの運転席ドアと対面する左脚枠1bにドア回避部Aを形成している。それにより、本体フレーム1は、左脚枠1bの前面幅が右脚枠1cの前面幅よりも幅狭となるため、左脚枠1bの前面には、洗車機の洗車開始/停止、洗車メニュー選択等の基本操作を可能とした操作パネル14が設けられ、右脚枠1cの前面には、集計/メンテナンス等の洗車管理操作を可能とした管理パネル15が設けられる。むろん、操作パネル14に管理機能を持たせることもできる。
【0018】
ドア回避部Aは、平面視で右ハンドルの自動車の運転席ドアと対面する左脚枠1bの前面から内面に至るコーナー部をL型に切り欠いた形状で形成され、ボンネットが短い車種の自動車を乗り入れたときに運転席からの乗降を可能にする。ドア回避部Aにおいて、運転席ドアを開いたときに、ドアが接触する可能性のある箇所には緩衝材Mが設けられる。尚、ドア回避部Aの形状は、C面状に面取りした形状(
図6a)、R面状に面取りした形状(
図6b)でも良く、ワンボックス車のようにボンネットが短い車種において乗降に必要なドアの開放角度θ(=30~40°)を確保する。また、左ハンドルが多い環境においては、右脚枠1c側にドア回避部Aを設けることもでき、更に、左右脚枠1b・1cのどちらにもドア回避部Aを設けることもできる。尚、ドア回避部Aの内面壁に操作パネル14や管理パネル15を設けるようにしてもよい。
【0019】
ドア回避部Aには、第1車形検出装置12の発光部12aと、左サイドノズル6が設けられる。左サイドノズル6は、右サイドノズル6よりも車体から離れる位置に設けられることになるため、待機位置と乾燥位置まで進退する機能を備えている。ここで、待機位置はドア回避部Aの内側面位置であり、乾燥位置は左脚枠1bの内側面位置となる。
【0020】
図7は左サイドノズル6の構造を示す説明図である。
左サイドノズル6は、送風口を有するノズル体16と、このノズル体16を自動車側面に対して接離自在に進退するノズル進退装置17と、ノズル体16と車体との接触を未然に防ぐための車体検知装置18とを備える。
【0021】
ノズル体16は、上面に送風ブロワ(図示しない)と連通する可撓性のダクトホース19が接続される接続筒20を備え、本体フレーム1の内面側にノズル長にわたって送風口21を開口している。これにより、送風ブロワ19から供給される高圧風が送風口21から車体側面に吹き付けられる。
【0022】
ノズル進退装置17は、先端をノズル体16に連係したエアシリンダ22と、進退を案内するガイドフレーム23とを備え、エアシリンダ22へのエアの供給でノズル体16をガイドフレーム23に沿って移動する。尚、ノズル体16の駆動手段は、エアシリンダに限らず、モータ等でも置き換えできる。
【0023】
車体検知装置18は、特に詳細に図示しないが、ノズル体16の上面に取り付けた上ブラケットに水平に取り付けられる上支持アームと、ノズル体16の下面に取り付けた下ブラケットに水平に取り付けられる下支持アームと、上支持アームの先端に取り付けた上端支持体と下支持アームの先端に取り付けた下端支持体との間に、上下端を回動自在に支持された状態で取り付けられる検知バーと、上支持アームと上下平行になるように上端支持体に取り付けられる作動板と、作動板の接近・離間を検出する上ブラケットに取り付けられた近接スイッチとから構成されている。上支持アームと下支持アームは、バネ等の弾性部材からなり、検知バーをサイドノズル6の進退方向の先行する側に位置させ、検知バーが車体に接触することで変位し、連動する作動板が近接スイッチから離間することで車体接触を検出するものである。これは、本出願人が提案している特許5624483号と同様である。
【0024】
24・25はタイヤ停止板で、本体フレーム1がポジションP1にいる際に自動車を所定の停車位置に停車させる目安となるよう床面に設置されている。タイヤ停止板24は、自動車の乗り入れ方向に対して奥側に設けられ、主に普通車の停車位置を与える。タイヤ停止板25は、自動車の乗り入れ方向に対して手前に設けられ、主に軽自動車やワンボックス車の停車位置を与える。尚、目安ラインを床面に表示したり、車種毎に細かく分けたりしても良い。このタイヤ停止板24・25は、停車させた自動車の前端からトップブラシ3が作用できる位置に設定される。
【0025】
このような洗車機で洗車を受ける際、自動車を本体フレーム1の前方より進入させ、所定の停車位置に乗り入れたら自動車から降車し、操作パネル14で希望する洗車コースを選んでスタートさせる。本体フレーム1の走行範囲Sが制限される設置状況では、車種によって停車位置が異なる。
【0026】
洗車する自動車が普通車であれば、
図4に示すように、タイヤ停車板24で与える停車位置に停車させる。普通車の場合、この停車位置に停車させた状態で自動車の前方が本体フレーム1内に乗り入れられるが、運転席のドアが本体フレーム1内に入り込むことはないため、降車に影響はない。
【0027】
また、洗車する自動車が軽自動車のように車長の短い車種であれば、タイヤ停車板25で与える停車位置に停車させることで、運転席のドアが本体フレーム1内に入り込むことはないため、降車に影響はない。
【0028】
一方、洗車する自動車がワンボックス車のように車長が長くボンネットが短い車種であれば、
図5に示すように、タイヤ停車板25で与える停車位置に停車させる。ワンボックス車の場合、この停車位置に停車させた状態で自動車の前方が本体フレーム1内に乗り入れられたときに、運転席のドアが本体フレーム1内に入り込むことになるが、ドア回避部Aにより運転席ドアを開くことができるため、降車が可能になる。
【0029】
続いて、洗車動作について説明する。洗車コースとして、例えば1往復洗車を選ぶと、本体フレーム1の往行でブラッシング洗浄が実行され、復行でブロー乾燥が実行される。洗車が開始すると、まず左サイドノズル6の車体検知装置18で停止した自動車が洗車可能な車幅範囲であるか、片寄った位置に停車されていないかを検出するため、左サイドノズル6を乾燥位置まで延出しておく。
【0030】
以下、図面を用いて車種毎の洗車動作を説明する。
図8は軽自動車を洗車処理する動作、
図9は普通車を洗車処理する動作、
図10はワンボックス車を洗車処理する動作を示している。
【0031】
(軽自動車の洗車処理)
軽自動車を洗車処理する場合、タイヤ停車板25で与える停車位置に停車させた状態で洗車が開始する。自動車の前端は、第2車形検出装置13よりも前方に来るため、本体フレーム1の往行に伴い、第1車形検出装置12と第2車形検出装置13で自動車の上面形状を検出していき、この検出された車体形状に沿ってトップブラシ3の昇降とサイドブラシ4・4の接離を制御しながら、車体面をブラッシング洗浄する。次に、本体フレーム1の復行に伴い、検出した車形に沿ってトップノズル5を昇降し、サイドノズル6とともに車体に高圧風を吹き付けて車体面をブロー乾燥する。本体フレーム1がポジションP1まで復行すると、洗車が終了する。
【0032】
ブロー乾燥において、左サイドノズル6は、ノズル進退装置17を介して右サイドノズル6の取付位置である右脚枠1aの内側面位置と同レベルの乾燥位置まで延出しており、車体側面に対する左右の乾燥性能は差が生じない。左サイドノズル6は、進退する関係上、車体との接触を防止する安全装置として、送風口よりも前方に車体検知装置18を備えており、洗車中はこの車体検知装置18で車体を検知すると、本体フレーム1の走行停止やノズル進退装置17によるサイドノズルの後退を行い、未然に車体とサイドノズル6との接触が防止される。
【0033】
(普通車の洗車処理)
普通車を洗車処理する場合、タイヤ停車板24で与える停車位置に停車させる。自動車の前端は、第2車形検出装置13よりも本体フレーム1内に乗り入れられるため、自動車の前方部に第1車形検出装置12や第2車形検出装置13で車形検出されない車形不検出部Dが生じる。この車形不検出部Dに対して、トップブラシ3を作用させるため、この車形不検出部Dの車体について仮想車形データを作成する。仮想車形データは、第1車形検出装置12から第2車形検出装置13までの車形不検出部D1と、第2車形検出装置13からトップブラシ3までの車形不検出部D2に分けて作成される。
【0034】
図11に示すように、車形不検出部D1の仮想車形データは、自動車を停車位置に停車させた状態で、第1車形検出装置12の中で車体を検出せずに透光となる受光素子のうち、最も下にある受光素子12Rnと、第2車形検出装置13の中で車体を検出せずに透光となる受光素子のうち、最も下にある受光素子13Rnとを結んだ直線DL1を仮想車形として記憶する。
【0035】
車形不検出部D2の仮想車形データは、トップブラシ3の中心垂直線YLと第2車形検出装置13の中で車体を検出せずに透光となる受光素子のうち、最も下にある受光素子13Rnの水平線XLとの交点Piから所定高さh下の点Pyと、第2車形検出装置13の中で車体を検出せずに透光となる受光素子のうち、最も下にある受光素子13Rnとを結んだ直線DL2を仮想車形として記憶する。
【0036】
本体フレーム1の往行に伴い、トップブラシ3が下降し、車形不検出部D2の範囲では仮想車形データDL2に沿って昇降制御され、車形不検出部D1の範囲では仮想車形データDL1に沿って昇降制御され、車形不検出部D1よりも後方では第1車形検出装置12で検出される車体形状に沿って昇降制御され、サイドブラシ4・4は各車形データに沿って開閉制御されて車体のブラッシングが実行される。
【0037】
次に、本体フレーム1の復行に伴い、検出した車形に沿ってトップノズル5を昇降するとともに、左サイドノズル6を乾燥位置まで延出し、車体に高圧風を吹き付けて車体面をブロー乾燥する。本体フレーム1が待機位置に達すると、トップノズル5と左サイドノズル6を待機位置まで戻して洗車を終了する。
【0038】
(ワンボックス車の洗車処理)
ワンボックス車を洗車処理する場合、タイヤ停車板25で与える停車位置に停車させる。ワンボックス車の中で、普通車よりもフロントオーバーハング(タイヤ中心から車体前端までの部位)が長い車種への対応として手前側のタイヤ停止板25で停車させる。その以外の洗車動作及び仮想車形データの作成については、上記した普通車と同じである。
【0039】
さて、普通車やワンボックス車の場合、本体フレーム内に乗り入れられた自動車の前方部にトップノズル5とサイドノズル6・6からの送風が十分に作用せず乾燥不足部Wが生じる。その乾燥不足部Wへの対処として、希望に応じ、一旦自動車を所定距離後進させて本体フレーム1から乗り出し、乾燥不足部Wを追加乾燥する機能を備えている。
【0040】
追加乾燥は、
図12に示すように、作業者が自動車を第1車形検出装置12で車体が非検出になる位置まで後進させてから操作パネル14で選択できる。尚、第1車形検出装置12で車体が非検出になったことを報知する表示灯26等を設けることが望ましい。
【0041】
追加乾燥が開始すると、本体フレーム1が往行し、第1車形検出装置12で自動車の上面形状を検出していく。往行に伴い、第1車形検出装置12で車体のルーフスタートを検出すると、トップノズル5がそのポイントに達するまで本体フレーム1を走行させる。トップノズル5が車体のルーフスタートに達すると、本体フレーム1は走行を停止し、第1車形検出装置12で検出した自動車の上面形状に基づいてトップノズル5を車体上面まで下降させ、本体フレーム1が復行する。そして、本体フレーム1が待機位置まで復行する間、検出した上面形状に沿ってトップノズル5を昇降するとともに、左サイドノズル6を乾燥位置まで延出し、車体に高圧風を吹き付けて自動車の前方部をブロー乾燥する。
【0042】
この追加乾燥は、各洗車コースに一体的に登録しておき、洗車処理後に一旦停止し、自動車を後進させた後に再スタートさせて実行するようにしても良い。また、追加乾燥は、乾燥済みの車体面に水滴を飛ばさないよう、本体フレーム1の往行時には行わないが、本体フレーム1を上記範囲(トップノズル5が車体前端からルーフスタートまで移動する範囲)において2往復以上させる場合は、その限りではない。
【0043】
本発明は以上に構成されるものであるが、本体フレーム内に装備される洗車処理装置の種類は特に限定されるものではなく、車体側面下部をブラッシングするロッカーブラシを設けたり、安全装置として車幅センサを設けたりしても良い。また、この1往復洗車以外にも洗車機を2往復・3往復させて様々なニーズに応じた洗車動作をさせることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 本体フレーム
3 トップブラシ
4・4 サイドブラシ
5 トップノズル
6・6 サイドノズル
12 第1車形検出装置
13 第2車形検出装置
17 ノズル進退装置
24・25 タイヤ停止板
A ドア回避部