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特許7154170電気掃除機の延長管およびそれを備えた電気掃除機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】電気掃除機の延長管およびそれを備えた電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/24 20060101AFI20221007BHJP
【FI】
A47L9/24 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019060546
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020156843
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】大西 裕二
(72)【発明者】
【氏名】中川 敦史
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/087936(WO,A1)
【文献】米国特許第03572778(US,A)
【文献】特開2018-149256(JP,A)
【文献】特開2014-042733(JP,A)
【文献】特開2017-192436(JP,A)
【文献】特開平10-295600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/24
F16L 25/00~25/14
F16B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライカーボン製の細長いパイプ本体と、前記パイプ本体の少なくとも一端に設けられた接続管部とを備え、
前記接続管部は、前記パイプ本体の前記一端に挿入される筒状の挿入部および前記パイプ本体の外部に突出して掃除機本体側または吸込具側と接続される筒状の接続部を有する本体部と、前記本体部に固定具にて取り付けられる湾曲板状の押え部材とを備え、
前記押え部材は、前記パイプ本体の前記一端の外面に当接可能な凹曲面部を有し、
前記パイプ本体の前記一端を、前記一端に挿入された前記接続管部の前記挿入部の外面と前記押え部材の前記凹曲面部とで挟み込み、かつ、この挟み込み状態を前記固定具にて維持するように構成されており、
前記パイプ本体は、前記接続管部を位置決めする切欠き部を前記一端の開口端縁に有し、
前記接続管部は、前記挿入部が前記パイプ本体の前記一端に挿入された状態において前記切欠き部と係合する位置決め凸部を前記挿入部の外面に有すると共に、前記固定具としてのネジを螺着させるボス部を前記位置決め凸部上に有していることを特徴とする電気掃除機の延長管。
【請求項2】
前記接続部が、前記挿入部に連設されている請求項1に記載の延長管。
【請求項3】
前記押え部材は、前記ボス部を挿通させる取付け孔を有し、
前記本体部は、前記取付け孔に前記ボス部を挿通した前記押え部材の前記ボス部を軸とする回動を規制する回動規制リブを、前記挿入部と前記接続部との境界に有する請求項に記載の延長管。
【請求項4】
ドライカーボン製の細長いパイプ本体と、前記パイプ本体の少なくとも一端に設けられた接続管部とを備え、
前記接続管部は、前記パイプ本体の前記一端に挿入される筒状の挿入部および前記パイプ本体の外部に突出して掃除機本体側または吸込具側と接続される筒状の接続部を有する本体部と、前記本体部に固定具にて取り付けられる湾曲板状の押え部材とを備え、
前記押え部材は、前記パイプ本体の前記一端の外面に当接可能な凹曲面部を有し、
前記パイプ本体の前記一端を、前記一端に挿入された前記接続管部の前記挿入部の外面と前記押え部材の前記凹曲面部とで挟み込み、かつ、この挟み込み状態を前記固定具にて維持するように構成されており、
前記パイプ本体の外面の長手方向に沿って設けられるカバー部材と、前記パイプ本体と前記カバー部材との間に設けられた導電線とをさらに備え、
前記カバー部材の前記一端側の端部が前記固定具にて前記押え部材へ押し付けられるように構成されたことを特徴とする延長管。
【請求項5】
前記導電線は、前記一端側および前記一端側とは反対の他端側にそれぞれ端子部を有し、
前記押え部材は、前記導電線の前記一端側の前記端子部を位置決めする位置決めリブを外面に有する請求項に記載の延長管。
【請求項6】
前記接続部が、前記挿入部に連設されている請求項4または5に記載の延長管。
【請求項7】
前記接続管部が、前記パイプ本体の長手方向の前記一端および前記一端とは反対側の他端の両方に設けられている請求項1~6のいずれか1つに記載の延長管。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の延長管と、前記延長管の前記一端と着脱可能に接続される掃除機本体と、前記延長管の前記一端とは反対側の他端と着脱可能に接続される吸込具とを備えた電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機の延長管およびそれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機の延長管として、特許文献1には、ドライカーボンで構成されたパイプ本体と、パイプ本体の長手方向の両端にそれぞれ設けられた第1および第2接続管部と、パイプ本体内に設けられた導電ユニットとを備え、軽量化および高強度化が図られた延長管が公知である。
【0003】
この延長管において、第1接続管部は、パイプ本体の一端に挿入される円筒形の挿入部と、挿入部からパイプ本体の一端側の外部へ突出する円筒形の露出部とを有する本体部と、本体部にネジにて取り付けられる第1カバー部材とを備える。
また、第2接続管部は、パイプ本体の他端に挿入される円筒形の挿入部および挿入部からパイプ本体の他端側の外部へ突出する円筒形の露出部を有する本体部と、本体部にネジにて取り付けられる第2カバー部材とを備える。
【0004】
第1接続管部において、露出部は、挿入部に連設されて導電ユニットの一端側のピン形受電端子を保持する端子保持部と、端子保持部に連設された接続部とを有し、端子保持部に第1カバー部材がピン形受電端子の保持部分を覆うように取り付けられる。
第2接続管部において、露出部は、挿入部に連設された接続部と、接続部の外面に設けられて導電ユニットの他端のクリップ形給電端子を保持する端子保持部とを有し、端子保持部に第2カバー部材がクリップ形給電端子を覆うように取り付けられる。
【0005】
また、この延長管において、パイプ本体の両端と第1および第2接続管部とは、第1および第2接続管部の各挿入部がパイプ本体に挿入され、かつ、各挿入部とパイプ本体との間が接着剤によって接着されることにより連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開WO2018/087936A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来の延長管において、パイプ本体と第1および第2接続管部の各挿入部とは接着剤にて接着されて連結されているが、パイプ本体と第1および第2接続管部とが互いに離れる引っ張り方向の力に対して引張強度がより高められることが望ましい。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされた電気掃除機の延長管およびそれを備えた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、ドライカーボン製の細長いパイプ本体と、前記パイプ本体の少なくとも一端に設けられた接続管部とを備え、
前記接続管部は、前記パイプ本体の前記一端に挿入される筒状の挿入部および前記パイプ本体の外部に突出して掃除機本体側または吸込具側と接続される筒状の接続部を有する本体部と、前記本体部に固定具にて取り付けられる湾曲板状の押え部材とを備え、
前記押え部材は、前記パイプ本体の前記一端の外面に当接可能な凹曲面部を有し、
前記パイプ本体の前記一端を、前記一端に挿入された前記接続管部の前記挿入部の外面と前記押え部材の前記凹曲面部とで挟み込み、かつ、この挟み込み状態を前記固定具にて維持するように構成した電気掃除機の延長管が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パイプ本体の一端と接続管部の挿入部とを接着剤にて接着した場合、この接着剤による接着強度に加えて、パイプ本体の一端を接続管部の挿入部と押え部材とで挟み込んで保持することができるため、パイプ本体と接続管部とが互いに離れる引っ張り方向の力に対して引張強度をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態の電気掃除機を示す斜め後方から視た斜視図である。
図2】第1実施形態の電気掃除機における延長管を示す斜視図である。
図3図2の延長管の分解図である。
図4】第1実施形態の延長管のパイプ本体を軸心直交方向に切断した横断面図である。
図5】第1実施形態の延長管のパイプ本体の積層構造を説明する図である。
図6】第1実施形態の延長管における第1接続管部の本体部を示す斜視図である。
図7】第1実施形態の延長管における第1接続管部の押え部材の外側から視た斜視図である。
図8図7の押え部材の内側から視た斜視図である。
図9】第1実施形態の延長管の第1接続管側の縦断面図である。
図10】第1実施形態の延長管の第1接続管側の横断面図である。
図11】第1実施形態の延長管の第2接続管側の縦断面図である。
図12】(A)~(D)は第1実施形態の延長管の第1接続管側の組み立て工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態の電気掃除機を示す斜め後方から視た斜視図である。なお、図1において電気掃除機の前後左右上下の方向を矢印にて示し、図2図3において延長管の前後左右上下の方向を矢印にて示している。
この電気掃除機1は、図1に示すように、掃除機本体10と、吸込口体100と、掃除機本体10と吸込口体100とを接続する延長管30とを備える。
【0013】
<掃除機本体について>
図1に示すように、掃除機本体10は、電動送風機(不図示)を内蔵する駆動装置11と、駆動装置11に着脱可能に装着されるサイクロン方式の集塵装置12と、駆動装置11に着脱可能に装着されるバッテリ13とを備える。
駆動装置11は、前部に設けられた筒形の吸引管部11aと、吸引管部11aの後方に連設された操作スイッチ(不図示)を有するハンドル11bと、ハンドル11bの上端と下端とに連結された電動送風機収容部11cと、電動送風機収容部11cの下部に設けられたバッテリ装着部11dと、回路基板(不図示)とを有する。
なお、バッテリ13、電動送風機、操作スイッチおよび後述の一対のクリップ形給電端子(不図示)は、リード線を介して回路基板に電気的に接続されている。
【0014】
吸引管部11aの下部には集塵装置12を着脱可能に装着する集塵装置装着部11eが設けられると共に、吸引管部11aの先端側にはロック解除ボタン11fを有する第1ロック機構部が設けられている。
また、吸引管部11aの先端面には、延長管30の後述する一対のピン形受電端子82(図3参照)を挿入させる一対の挿入孔が設けられると共に、一対の挿入孔内には一対のピン形受電端子82と電気的に接続するクリップ形給電端子(不図示)が設けられている。
なお、集塵装置装着部11eの電動送風機収容部11c側には、集塵装置12の後述の第2係止爪(不図示)と係脱可能に係合する係合凹部(不図示)が設けられている。
【0015】
第1ロック機構部は、吸引管部11aに挿入された延長管30の後述の第1接続管部50の係止凹部51ba(図2参照)と係脱可能に係止する第1係止爪(不図示)と、第1係止爪と連設された前記ロック解除ボタン11fと、第1係止爪を係止凹部51baに係止させる方向に付勢する付勢部材(不図示)とを有し、ロック解除ボタン11fを押すことにより係止凹部51baから第1係止爪を離脱させるようになっている。
【0016】
集塵装置12は、集塵容器12aと、集塵容器12bの開口部に着脱可能に取り付けられるフィルター部12bと、フィルター部12bの外面に設けられたロック解除レバー12cを有する第2ロック機構部とを有する。
フィルター部12bは、メッシュ部材を有する内筒部(不図示)と、内筒部と連結されたフィルター本体(不図示)とを有する。
【0017】
第2ロック機構部は、前記ロック解除レバー12cと連設された第2係止爪(不図示)と、駆動装置11の集塵装置装着部11eに集塵装置12が装着された状態において第2係止爪を前記係合凹部に係合させる方向に付勢する付勢部材(不図示)とを有し、ロック解除レバー12cをスライドさせることにより係合凹部から第2係止爪を離脱させるようになっている。
【0018】
<吸込口体について>
図1に示すように、吸込口体100は、床面上を前後方向に走行する吸込口本体101と、吸込口本体101に連通連結された関節部102と、関節部に102に連通連結された接続管部103とを有する。
【0019】
吸込口本体101は、底部に設けられた吸込口101aと、吸込口101a近傍に回転可能に設けられた回転ブラシ101bと、回転ブラシ101bを回転させる駆動モータ(不図示)と、モータ駆動回路(不図示)とを有する。なお、駆動モータおよび後述の一対のピン形受電端子は、リード線を介してモータ駆動回路と電気的に接続している。
関節部102は、前後方向の第1軸心を中心に回動可能に吸込口本体101に連結されると共に、吸込口101aと連通している。
【0020】
接続管部103は、第1軸心と直交する方向の第2軸心を中心に揺動可能に関節部102に連結された基端103aを有すると共に、延長管30と着脱可能に接続する先端103bを有する。
また、先端103bの外面には、延長管30の後述するロック機構部90の係止爪91c(図3図11参照)と係脱可能に係止する係止凹部(不図示)が設けられている。
また、先端103bにおける延長管30の後述する第2接続管部60の端面に突き当たる段部には、第2接続管部60に設けられた一対のクリップ形給電端子83(図3図11参照)と電気的に接続する前記一対のピン形受電端子(不図示)が設けられている。
【0021】
<延長管について>
図2は第1実施形態の電気掃除機における延長管を示す斜視図であり、図3図2の延長管の分解図である。
延長管30は、パイプ本体40と、パイプ本体40の長手方向の一端40a(後方端)に設けられた第1接続管部50およびパイプ本体40の長手方向の他端40b(前方端)に設けられた第2接続管部60と、パイプ本体40の外面の長手方向に沿って設けられるカバー部材70と、パイプ本体40とカバー部材70との間に設けられた一対の導電線80と、パイプ本体40の長手方向に沿って設けられるロック機構部90とを備える。
なお、以下の説明において、延長管30の長手方向の一端側(後方側)は掃除機本体10と接続される側(気流方向の下流側)であり、他端側(前端側)は吸込口体100と接続される側(気流方向の上流側)である。
【0022】
[パイプ本体]
図4は第1実施形態の延長管のパイプ本体を軸心直交方向に切断した横断面図であり、図5は第1実施形態の延長管のパイプ本体の積層構造を説明する図である。
図4図5に示すように、パイプ本体40は、筒形炭素繊維層41が複数積層してなるドライカーボンで構成されている。第1実施形態の場合、複数積層した筒形炭素繊維層41は、第1筒形炭素繊維層41a、第2筒形炭素繊維層41bおよび第3筒形炭素繊維層41cが内側からこの順に積層されてなる。なお、第3筒形炭素繊維層41cの外周面には最外層として樹脂コーティング層42が積層されている。そして、ドライカーボンとして加工する。ドライカーボンは、内部を高圧力にすることが可能な耐圧性の装置を用いて、加圧可能な窯で成型するものである。
【0023】
図5に示すように、第1筒形炭素繊維層41aは、管長手方向と平行に延びる複数の炭素繊維を有する1方向炭素繊維シートからなる。
第2筒形炭素繊維層41bおよび第3筒形炭素繊維層41cは、複数の炭素繊維の経糸および緯糸を有する2方向炭素繊維シートからなる。
1方向炭素繊維シートおよび2方向炭素繊維シートとしては、炭素繊維間に予め樹脂(例えば、エポキシ樹脂)が含浸された市販のプリプレグシートを用いることができる。なお、複数の炭素繊維は、経糸および緯糸以外に、斜め方向のようにクロスした糸状で構成することができる。また、クロスしたものや経糸および緯糸などの組合せを自由に組み替えてもよい。
【0024】
パイプ本体40は、市販のプリプレグシートを用いて第1~第3筒形炭素繊維層41a、41b、41cを1層ずつ型を用いた公知の方法によって成形し積層することによって製造することができる。例えば、金属棒のような軸棒に巻き付けていく方法がある。
また、形成後のパイプ本体40の両端部の各開口端縁の対向位置には、第1および第2接続管部50、60との連結位置を位置決めするための切欠き部43、44が切削によって形成されている。なお、本実施形態の場合、パイプ本体40の第1接続管部50と連結される一端40a側の切欠き部43は、第2接続管部60と連結される他端40b側の切欠き部44よりも大きく形成されている。
【0025】
パイプ本体40において、第1筒形炭素繊維層41aの厚みT1は約0.1mmであり、第2および第3筒形炭素繊維層41b、41cの厚みT2、T3はそれぞれ約0.2mmであり、樹脂コーティング層42の厚みT4は約0.1mmであり、全体的な厚みT5は約0.6mmである。なお、第1~第3筒形炭素繊維層41a、41b、41cの厚みは、それらの形成時に用いた1方向および2方向炭素繊維シートの厚みに由来する。なお、それぞれの厚み(T1、T2、T3、T4)は上記に限定されるものではない。
【0026】
また、各筒形炭素繊維層41は、管の周方向側に配置されて長手方向に延びる両端部を有すると共に、この両端部の端面同士が当接した端面当接部41xを有する。なお、端面当接部41xは、各筒形炭素繊維層41の形成時に用いた1方向および2方向炭素繊維シートの両端部の端面同士が融着した部分である。
パイプ本体40において、一の筒形炭素繊維層41の端面当接部41xと隣接する他の筒形炭素繊維層41の端面当接部41xとは相互に重ならない位置に配置されている。第1実施形態の場合、各端面当接部41xは中心角度120°ずれた位置に配置されている。このように各端面当接部41xの位置を周方向に均等にずらすことにより、パイプ本体40に剛性の強弱部分を作らず均一化することができる。
【0027】
各筒形炭素繊維層41はそれぞれ端面当接部41xを有するため、各筒形炭素繊維層41は段差のない均一な厚みの層となって形成されている。つまり、パイプ本体の製造時に金属棒に炭素繊維シートを単に3重巻きした場合では、1重巻きの終端部と2重巻きの始端部の間および2重巻きの終端部と3重巻きの始端部の間に段差が生じるが、第1実施形態のパイプ本体40では第1~第3筒形炭素繊維層41a、41b、41cの3層が独立した層であるため、このような段差が生じない。そのため、パイプ本体40は均一な厚みで形成され、全体的に均一な剛性を有するものとなる。
【0028】
[第1接続管部]
図6は第1実施形態の延長管における第1接続管部の本体部を示す斜視図であり、図7は第1実施形態の延長管における第1接続管部の押え部材の外側(外面側)から視た斜視図であり、図8図7の押え部材の内側(内面側)から視た斜視図である。また、図9は第1実施形態の延長管の第1接続管側の縦断面図であり、図10は第1実施形態の延長管の第1接続管側の横断面図である。
図3図6図10に示すように、第1接続管部50は、本体部51と、押え部材52と、押え部材52を本体部51に取り付ける固定具としてのネジ53とを備える。
【0029】
《本体部》
図3図6図9および図10に示すように、本体部51は、パイプ本体40の一端40aに挿入される筒形の挿入部51aと、挿入部51aに連設されパイプ本体40の外部に突出して掃除機本体10と接続される筒形の接続部51bと、挿入部51aと接続部51bとの境界の外面に設けられた鍔部51cおよび回動規制リブ51dとを有する。
【0030】
また、本体部51は、挿入部51aがパイプ本体40の一端40aに挿入された状態において切欠き部43と係合する位置決め凸部51eを挿入部51aの外面51aaに有すると共に、ネジ53を螺着させる円筒形のボス部51fを位置決め凸部51e上に有している。なお、ボス部51fは、位置決め凸部51eから本体部51の径方向外方へ向かって突出している。
位置決め凸部51eは、回動規制リブ51dから挿入部51aの外面51aaの長手方向に延びており、挿入部51aの外面51aaからの高さHはパイプ本体40の厚みT5(図4参照)よりも僅かに高く設定されている。なお、本実施形態の場合、挿入部51aの外面51aaにU字形リブを形成することによって位置決め凸部51eを構成し、そのU字形リブの内側スペースを含む位置決め凸部51e上にボス部51fを形成している。
【0031】
挿入部51aに連設された接続部51bは、その全体が掃除機本体10の吸引管部11a内(図1参照)に挿入される部分である。すなわち、挿入部51aと接続部51bとの間には、従来の延長管(特許文献1参照)における第1接続管部の端子保持部が存在しない。そのため、本実施形態の第1接続管部50の本体部51の全長は短縮化されており、その分重量も軽量化されている。
【0032】
また、接続部51bの外面には、掃除機本体10の吸引管部11a内に設けられた前記第1ロック機構部の係止爪と係脱可能に係止する前記係止凹部51baと、掃除機本体10の吸引管部11a内に設けられた管長手方向に延びる一対の溝部(不図示)にスライド可能に係合する一対のガイド突条部51bbとが設けられている。なお、本実施形態の場合、係止凹部51baは接続部51bの外面における開口端部の近傍であってボス部51fと周方向の同じ位置(対応位置)に配置されており、一対のガイド突条部51bbは接続部51bの外面における回動規制リブ51dの近傍であってボス部51fに対して周方向の両側位置に配置されている。
【0033】
鍔部51cに連設された回動規制リブ51dは、ボス部51fに取り付けた後述の押え部材52のボス部51fを軸とする回動を規制するリブである。
回動規制リブ51dは、鍔部51cの厚みよりも薄く形成されており、鍔部51cに隣接する一対の平坦部51daと、一対の平坦部51daの間の弧状部51dbとを有する。
【0034】
《押え部材》
図7図8図10に示すように、押え部材52は、本体部51に押え部材52が取り付けられた状態において、パイプ本体40の外面に沿う湾曲した部材であり、パイプ本体40の外面と接触可能な一対の凹曲面部52aを内面(図8参照)側に有すると共に、一対の導電線80の各一端に設けられた後述のピン形受電端子82を位置決めする位置決めリブ52bを外面(図7参照)側に有している。
位置決めリブ52bは、一対のピン形受電端子82を嵌め込んで位置決めする一対の位置決め凹部52baを有する。
【0035】
押え部材52は、本体部51に押え部材52が取り付けられた状態において、ボス部51fを挿通させる取付け孔52cを一対の凹曲面部52aの間に有し、第1接続管部50の本体部51の回動規制リブ51dと係合する係合溝52dを一対の凹曲面部52aに隣接して有している。
また、一対の凹曲面部52aの間の取付け孔52cが設けられる部分は、係合溝52dと概ね同じ深さで窪んでおり、この窪んだスペースに本体部51の位置決め凸部51eの内側スペース内に嵌り込む一対のリブ52fが設けられている。
【0036】
また、押え部材52は、本体部51に押え部材52が取り付けられた状態において、カバー部材70の後述の第2部材72にてパイプ本体40側へ押圧される一対の凸曲面部52eを外面に有している。なお、各凸曲面部52eと各凹曲面部52aとは互いに対応する位置に配置されている。
押え部材52の外面において、一対の凸曲面部52eの周囲にはリブが設けられており、各凸曲面部52eは周囲をリブで囲まれた凹部の底面となっている。これらの凹部の底面は、取付け孔52cから周方向に離れた箇所が深くなっており、凹部の深くなった箇所に隣接する一対のリブ52ea(図10参照)によって、カバー部材70の後述の第2部材72の一対の押圧リブ72d(図10参照)を位置決めするようにしている。なお、これについて詳しくは後述する。
【0037】
[第2接続管部]
図11は第1実施形態の延長管の第2接続管側の縦断面図である。
図3図11に示すように、第2接続管部60は、本体部61と、カバー部62と、カバー部62を本体部61に取り付ける固定具としてのネジ63とを備える。
【0038】
本体部61は、パイプ本体40の他端に挿入される円筒形の挿入部61aと、挿入部61aからパイプ本体40の外部へ突出する円筒形の露出部と、露出部と挿入部61aの境界における外面に設けられた鍔部61dとを有する。
【0039】
挿入部61aは、鍔部61dから管長手方向に突出する位置決め凸部61aaを外面に有している。なお、この位置決め凸部61aaは、パイプ本体40の他端40b側の切欠き部44に嵌り込む箇所である。
【0040】
露出部は、挿入部61aに連設された接続部61bと、接続部61bの外面に設けられて一対の導電線80の各他端に設けられた端子保持部61cとを有する。
接続部61bは、端子保持部61c側の周壁に、ロック機構部90の構成部品の1つである後述の揺動部材91の係止爪91cを挿通させる孔部61baを有している。
【0041】
端子保持部61cは、後述の一対のクリップ形給電端子83およびロック機構部90の後述の構成部品を保持するリブ構造部を有すると共に、ネジ63を螺着させるボス部61caをリブ構造部内に有している。また、リブ構造の他端側の端部には、第2接続管部60に接続された吸込口体100の接続管部103の前記一対のピン形受電端子を挿入させる一対の孔部(不図示)を有している。
【0042】
カバー部62は、ロック機構部90の前記揺動部材91のロック解除ボタン91bを挿通させる孔部62aおよびネジ63を挿通させる孔部62bを有し、ボス部61caに螺着されたネジ63によって端子保持部61cに取り付けられることによってクリップ形給電端子83を覆うように構成されている。
【0043】
[カバー部材]
図3図9図10に示すように、カバー部材70は、パイプ本体40と略同じ長さを有する長細い第1部材71と、第1部材71の一端側に設けられる第2部材72とを有する。
第1部材71は、一対の導電線80およびロック機構部90の後述の線材94を覆う部分であり、第1部材71の内面側には、一対の導電線80を第1部材71内の両側に配置し、かつ、線材94を一対の導電線80の間に区画して配置できるよう、長手方向に延びる一対のリブ(不図示)が設けられている。なお、各リブは、断続的に長手方向に設けられてもよい。
【0044】
また、第1部材71の一端側には幅広く形成された幅広部71aが設けられており、この幅広部71a上にロック機構部90の後述する第2スライド部材93のロック解除レバー93aがスライド可能に支持されるようになっている。なお、幅広部71aの一端には、第1接続管部50のボス部51fを挿通させる孔部71aaと、ロック機構部90の線材94の一端を挿通させる孔部71abとが設けられている。
【0045】
第2部材72は、ロック解除レバー93aを挿通させる孔部72aおよびネジ53を挿通させる筒形孔部72bを有している。筒形孔部72bは、第1接続管部50のボス部51fの外径より大きい内径を有し、その内面にはボス部51fの上面に当接する内鍔部72baが設けられている。
第1接続管部50のボス部51fに螺着されたネジ53によって第2部材72が第1接続管部50に取り付けられることによって、パイプ本体40の一端40a側の第2スライド部材93の一部および押え部材52が覆われる。またこれにより、押え部材52と第2部材72によって一対のピン形受電端子82の一部(長手方向の中間部付近からリード線81との接続部に亘る部分)が挟み込まれて固定される。このとき、一対のピン形受電端子82の中間部付近は、押え部材52の位置決め凹部52baと第2部材72のU字形切欠き部72caとによって囲むように挟み込まれている。なお、第2部材72の一端側には、一対のピン形受電端子を挿通させる一対のU字形切欠き部72caを有する端部壁72cが設けられている。
【0046】
また、第2部材72は、その内面から突出して管長手方向に延びる一対の押圧リブ72dを有している。第2部材72の一対の押圧リブ72dは、第1接続管部50のボス部51fから離れた左右位置に設けられているため、一対の押圧リブ72dの間のスペースに後述する一対の導電線80およびロック機構部90の後述の線材94を通すことができる。
【0047】
第1接続管部50に第2部材72が取り付けられることによって、一対の押圧リブ72dが押え部材52の一対の凸曲面部52eに当接して押圧する。このとき、各押圧リブ72dと各凸曲面部52eとがなす角度が直角ではないため、各押圧リブ72dの各凸曲面部52eにかかる押圧力が周方向に分散しやすい。そのため、本実施形態では、押え部材52の前記一対のリブ52eaによって各押圧リブ72dが位置決めされ、一対のリブ52eaと各凸曲面部52eとの間の隅部Nに各押圧リブ72dの押圧力が集中してかかるようにしている。
【0048】
これにより、押え部材52の一対の凹曲面部52aがパイプ本体40の外面40cに強い力で接触することができる。またこれにより、パイプ本体40の一端40aに挿入された第1接続管部50の挿入部51aの外面51aaと押え部材52の内面である一対の凹曲面部52aとでパイプ本体40の一端40aを挟み込み、かつ、この挟み込み状態を固定具としてのネジ53にて保持することができる。
【0049】
したがって、パイプ本体40の一端40aと第1接続管部50の挿入部51aとを接着剤にて接着した場合、この接着剤による接着強度に加えて、パイプ本体40の一端40aを第1接続管部50の挿入部51aと押え部材52とで挟み込んで保持することができるため、パイプ本体40と第1接続管部50とが互いに離れる引っ張り方向の外力に対して引張強度を高めることができる。
なお、それに加えて、パイプ本体40と第1接続管部50の挿入部51aとをビス止めしてさらに引張強度を高めるようにしてもよい。
【0050】
[導電線]
一対の導電線80は、絶縁材にて被覆されたリード線81と、リード線81の一端にハンダ付けされたピン形受電端子82と、リード線81の他端にハンダ付けされたクリップ形給電端子83とをそれぞれ備える。なお、リード線81とピン形受電端子82との接合はハンダ付け以外にも、スポット溶接やカシメなどで行ってもよい。
【0051】
[ロック機構部]
図2図3図9図11に示すように、ロック機構部90は、第2接続管部60の本体部61とカバー部62との間に配置される揺動部材91および第1スライド部材92と、カバー部材70の第1部材71の幅広部71aと第2部材72との間に一部が配置される第2スライド部材93と、第1スライド部材92と第2スライド部材93とを連結する線材94と、付勢部材95とを有する。
【0052】
揺動部材91は、軸部91aと、軸部91aの他端側に連設された前記ロック解除ボタン91bと、軸部91aの一端側に連設された前記係止爪91cとを有する。
揺動部材91は、第2接続管部60の本体部61の端子保持部61c内に設置され、カバー部62にて押さえられることにより、ロック解除ボタン91bがカバー部62の孔部62aから外部に露出すると共に、係止爪91cが本体部61の孔部61baから管内部に突出する。また、揺動部材91は、軸部91aを支点としてロック解除ボタン91bと係止爪91cが揺動する。
【0053】
付勢部材95は、本体部61の端子保持部61cと揺動部材91のロック解除ボタン91bとの間に設けられており、ロック解除ボタン91bを孔部61baから外部へ突出させ、かつ、係止爪91cを管内部へ突出させる方向に付勢する。本実施形態では、付勢部材95として圧縮コイルバネを用いているが、トーションバネ、板バネ等を用いてもよい。
第1スライド部材92は、略U字形に形成されており、第2接続管部60の本体部61の端子保持部61c内に管長手方向にスライド可能に設けられる。なお、第1スライド部材92の役割について詳しくは後述する。
【0054】
第2スライド部材93は、前記ロック解除レバー93aを有しており、ロック解除レバー93aがカバー部材70の第2部材72の孔部72aから外部へ突出する。
線材94は、本実施形態では針金が用いられているが、可撓性のワイヤが用いられてもよい。
【0055】
このロック機構部90によれば、ロック解除レバー93aを矢印A方向(図2参照)へ引いて第2スライド部材93を一端側へ移動させることによって、線材94を介して第1スライド部材92が揺動部材91に摺接しながら一端側へ移動する。このとき、第1スライド部材92が付勢部材95の付勢力に抗して揺動部材91を揺動させ、それによって係止爪91cが管内部から突出する方向と逆方向に移動する。
【0056】
したがって、延長管30から吸込口体100を取り外す際、ユーザーは足で吸込口体100の吸込口本体101を床面に押さえ付け、指でロック解除レバー93aを引くことにより、吸込口体100の接続管部103の先端103b(図1参照)の前記係止凹部から係止爪91cが離脱し、この状態で延長管30を引き上げることにより延長管30を吸込口体100の接続管部103から引き抜くことができる。つまり、ユーザーは腰を屈めることなく立ったままの楽な姿勢で延長管30から吸込口体100を取り外すことができる。なお、ロック解除ボタン91bを押して延長管30から吸込口体100を取り外すこともできる。
【0057】
<延長管の第1接続管側の組み立てについて>
図12(A)~(D)は第1実施形態の延長管の第1接続管側の組み立て工程を説明する図である。
延長管の第1接続管部50側の組み立てに際しては、図3図6図12(A)に示すように、第1接続管部50の本体部51の挿入部51aの外面51aaに接着剤を塗布する。
【0058】
次に、図3図6図12(B)に示すように、パイプ本体40の一端40aに本体部51の挿入部51aを挿入する。このとき、挿入部51aの位置決め凸部51eをパイプ本体40の切欠き部43に嵌め込む。
なお、予め挿入部51aおよびパイプ本体40にビス挿通用の小孔51ax、40xを形成し、挿入部51aをパイプ本体40に挿入した後(図12(B)の状態)で互いに重なった各小孔51ax、40xにビスを螺着させてもよい。
【0059】
次に、図3図6図8および図12(C)に示すように、本体部51のボス部51fを押え部材52の取付け孔52cを挿通させるようにして、押え部材52をパイプ本体40上に設置する。このとき、押え部材52の係合溝52dを本体部51の回動規制リブ51dに嵌め込んで位置決めする。
【0060】
次に、図3図6図8および図12(D)に示すように、カバー部材70の第1部材71内に一対の導電線80およびロック機構部90の線材94を設置し、第1部材71の一端側の孔部71aaにボス部51fを挿通させると共に、一対の導電線80の各ピン形受電端子82を押え部材52の一対の位置決め凹部52baに嵌め込んで位置決めする。
【0061】
続いて、図3図9図12(D)に示すように、ロック機構部90の第2スライド部材93を第1部材71の幅広部71a上に設置し、線材94の一端の折れ曲がり部分を第2スライド部材93に引っ掛ける。その後、図3図10に示すように、第2スライド部材93の一部および押え部材52をカバー部材70の第2部材72にて覆い、ネジ53をボス部51fに螺着することにより、押え部材52および第2部材72をパイプ本体40の一端40a側に固定する。
【0062】
これにより、第2部材72の一対の押圧リブ72dが、押え部材52の外面側の一対の凸曲面部52eと一対のリブ52eaとの間の各隅部Nを押圧し、それによって、押え部材52の内面側の一対の凹曲面部52aと本体部51の挿入部51aの外面51aaとでパイプ本体40の一端40aを挟み込むことができる。
【0063】
<延長管の第2接続管側の組み立てについて>
延長管の第2接続管部60側の組み立てに際しては、図3図11に示すように、第2接続管部60の本体部61の挿入部61aの外面に接着剤を塗布する。
次に、パイプ本体40の他端40bに本体部61の挿入部61aを挿入する。このとき、挿入部61aの位置決め凸部61aaをパイプ本体40の切欠き部44に嵌め込む。
なお、予め挿入部61aおよびパイプ本体40にビス挿通用の小孔を形成し、挿入部61aをパイプ本体40に挿入した後で、互いに重なった各小孔にビスを螺着させてもよい。
【0064】
次に、本体部61の端子保持部61c内に、一対の導電線80の各クリップ形給電端子83と、ロック機構部90の線材94に連結された第1スライド部材92と揺動部材91と付勢部材95とを設置する。その後、端子保持部61cをカバー部62にて覆い、ネジ63をボス部61caに螺着することにより、カバー部62を本体部61に固定する。これにより、カバー部62の一端側の端部にてカバー部材70(第1部材71)の他端側の端部がパイプ本体40側に押さえ込まれる。
【0065】
<電気掃除機の動作について>
図1に示すように、掃除機本体10の駆動装置11の操作スイッチをONにして電動送風機を駆動させることにより、床面上の塵埃が空気と共に吸込口体100の吸込口101aに吸い込まれ、吸込口体100および延長管30を介して駆動装置11の吸引管部11a内に流入する。吸引管部11a内に流入した塵埃を含む空気は集塵容器12a内に送られ、比較的大きな第1の塵埃は遠心分離されて集塵容器12a内に溜まるか、内筒部のメッシュ部材にて捕捉される。また、第1の塵埃よりも小さい第2の塵埃を含む空気は内筒部内に侵入し、第2の塵埃はフィルター本体にて捕捉される。フィルター本体を通過した空気は、駆動装置11の電動送風機収容部11c内を通って図示しない排気口から外部に排出される。
【0066】
電気掃除機による掃除時において、バッテリ13からの電力が、駆動装置11と延長管30とを電気的に接続する端子接続部および延長管30と吸込口体100とを電気的に接続する端子接続部を含む配線系を介して吸込口体100内の駆動モータに供給され、それによって駆動モータが駆動して回転ブラシ101bを回転させる。
なお、前記のようにロック解除レバー93aを引いて延長管30から吸込口体100を取り外す、あるいはロック解除ボタン91bを押して延長管30から吸込口体100を取り外し、延長管30に他の吸込具としてのブラシノズル、口細ノズル等を接続してもよい。
【0067】
(第2実施形態)
第1実施形態において、延長管30の第2接続管部60は、本体部61の接続部61bの外面に端子保持部61cが設けられているが、この端子保持部61cは第1接続管部50の押え部材52のように別部材として設けられてもよい。
すなわち、第2実施形態の延長管(不図示)は、第1実施形態における第1接続管部50と同様に構成されてパイプ本体40の一端40aに接続される第1接続管部を備えると共に、第1実施形態における第1接続管部50と概ね同様に(押え部材を含んで)構成されてパイプ本体40の他端40bに接続される第2接続管部を備えるものであってもよい。なおこの場合、第1実施形態で設けられていたロック機構部90の第1および第2スライド部材92、93およびこれらを連結する線材94が省略される。
【0068】
第2実施形態における第2接続管部の場合、第1実施形態の第2接続管部60における本体部61の接続部61bの外面に設けられている第1スライド部材92を設置するスペースを省略することができる。そのため、第2実施形態では、接続部の長さおよびカバー部の長さを短くすることができると共に、第2接続管部全体の軽量化を図ることができる。また第2実施形態の場合、第2接続管部には押え部材が備えられるため、この押え部材の外面に一対のクリップ形給電端子を保持するリブを設け、ロック機構部90の揺動部材91および付勢部材95も押え部材のリブにて保持するように構成すればよい。また、カバー部にて押え部材をパイプ本体40の外面に押し付けるようにすればよい。
第2実施形態の延長管によれば、第2接続部の短縮化およびロック機構部の部品点数の削減により、延長管のさらなる軽量化を図ることができる。
【0069】
(第3実施形態)
第2実施形態の延長管における導電線80およびカバー部材70を省略してもよい。
第3実施形態の場合、第1接続管部において、ネジ53にて直接押え部材52をパイプ本体40の外面に押し付けるようにすればよい。また、押え部材52の外面は、位置決めリブ52bを省略してパイプ本体40の外面と滑らかに繋がる凸曲面とすればよい。
第3実施形態の延長管によれば、さらなる軽量化を図ることができると共に、モータ駆動方式の回転ブラシを備えていない吸込口体に適用可能である。
【0070】
(まとめ)
本発明の電気掃除機の延長管は、ドライカーボン製の細長いパイプ本体と、前記パイプ本体の少なくとも一端に設けられた接続管部とを備え、
前記接続管部は、前記パイプ本体の前記一端に挿入される筒状の挿入部および前記パイプ本体の外部に突出して掃除機本体側または吸込具側と接続される筒状の接続部を有する本体部と、前記本体部に固定具にて取り付けられる湾曲板状の押え部材とを備え、
前記押え部材は、前記パイプ本体の前記一端の外面に当接可能な凹曲面部を有し、
前記パイプ本体の前記一端を、前記一端に挿入された前記接続管部の前記挿入部の外面と前記押え部材の前記凹曲面部とで挟み込み、かつ、この挟み込み状態を前記固定具にて維持するように構成したものである。
この構成によれば、パイプ本体の一端と接続管部の挿入部とを接着剤にて接着した場合、この接着剤による接着強度に加えて、パイプ本体の一端を接続管部の挿入部と押え部材とで挟み込んで保持することができるため、パイプ本体と接続管部とが互いに離れる引っ張り方向の外力に対して引張強度を高めることができる。
【0071】
本発明の電気掃除機の延長管は、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
【0072】
・前記接続部が、前記挿入部に連設されているものであってもよい。
この構成によれば、接続管部の全長を短くして軽量化することができる。そのため、ドライカーボンよりも比重の大きい樹脂にて接続管部を形成する場合は、接続管部の軽量化によって延長管全体の重量をさらに軽量化することができる。つまり、従来の延長管(特許文献1参照)では、接続管部の挿入部と接続部との間に端子保持部が設けられているため、接続管部の全長は端子保持部の長さ分長くなっているが、本発明における接続管部の全長は前記端子保持部の長さ分短くなっているため、長さを短縮した分の軽量化を実現することができる。
【0073】
・前記パイプ本体は、前記接続管部を位置決めする切欠き部を前記一端の開口端縁に有し、
前記接続管部は、前記挿入部が前記パイプ本体の前記一端に挿入された状態において前記切欠き部と係合する位置決め凸部を前記挿入部の外面に有すると共に、前記固定具としてのネジを螺着させるボス部を前記位置決め凸部上に有しているものであってもよい。
この構成によれば、パイプ本体に対して接続管部の位置決め(回動止め)を行う位置決め凸部上に、押え部材を接続管部に取り付ける固定具としてのネジを螺着させるボス部を配置することができるため、接続管部の構造が簡素化できて好都合となる。
【0074】
・前記押え部材は、前記ボス部を挿通させる取り付け孔を有し、
前記本体部は、前記取り付け孔に前記ボス部を挿通した前記押え部材の前記ボス部を軸とする回動を規制する回動規制リブを、前記挿入部と前記接続部との境界に有するものであってもよい。
この構成によれば、押え部材をボス部の位置に容易に位置決めすることができる。
【0075】
・前記パイプ本体の外面の長手方向に沿って設けられるカバー部材と、前記パイプ本体と前記カバー部材との間に設けられた導電線とをさらに備え、
前記カバー部材の前記一端側の端部が前記固定具にて前記押え部材へ押し付けられるように構成されたものであってもよい。
この構成によれば、電動モータによって回転駆動する回転ブラシを備えた吸込口体と、掃除機本体とを接続し、掃除機本体から延長管の導電線を介して吸込口体の電動モータに電力を供給可能な延長管とすることができる。また、延長管の導電線をカバー部材によって覆うことができると共に、固定具によるカバー部材の固定と押え部材への押し付けの両方を1箇所で行うことができて好都合となる。
【0076】
・前記導電線は、前記一端側および前記一端側とは反対の他端側にそれぞれ端子部を有し、
前記押え部材は、前記導電線の前記一端側の前記端子部を位置決めする位置決めリブを外面に有するものであってもよい。
この構成によれば、導電線の端子部を支持する支持部材として押え部材を利用することができて好都合となる。
【0077】
・前記接続管部が、前記パイプ本体の長手方向の前記一端および前記一端とは反対側の他端の両方に設けられているものであってもよい。
この構成によれば、パイプ本体の一端に設けられる接続管部によって得られる前記作用効果と同様の作用効果を、パイプ本体の他端に設けられる接続管部によっても得ることができる。
【0078】
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0079】
1 電気掃除機
10 掃除機本体
30 延長管
40 パイプ本体
40a パイプ本体の一端
40b パイプ本体の他端
43、44 切欠き部
50 第1接続管部
51、61 本体部
51a、61a 挿入部
51aa 挿入部の外面
51b、61b 接続部
51d 回動規制リブ
51e、61aa 位置決め凸部
51f、61ca ボス部
52 押え部材
52a 凹曲面部(押え部材の内面)
52b 位置決めリブ
52ba 位置決め凹部
52c 取付け孔
53、63 ネジ(固定具)
60 第2接続管部
70 カバー部材
71 第1部材
72 第2部材(カバー部材の一端側の端部)
80 導電線
82 ピン形受電端子(端子部)
83 クリップ形給電端子(端子部)
100 吸込口体(吸込具)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12