(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】切断装置及び切断品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20221007BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221007BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20221007BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20221007BHJP
B24B 55/06 20060101ALI20221007BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20221007BHJP
【FI】
H01L21/78 P
H01L21/78 F
H01L21/304 644E
H01L21/304 651G
H01L21/304 651L
H01L21/68 N
B24B27/06 J
B24B55/06
B24B41/06 A
(21)【出願番号】P 2019137767
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】片岡 昌一
(72)【発明者】
【氏名】宇澤 秀俊
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-214288(JP,A)
【文献】特開2003-163180(JP,A)
【文献】特開2011-181936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/304
H01L 21/683
B24B 27/06
B24B 55/06
B24B 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂封止されたパッケージ基板を複数の半導体パッケージに切断する切断装置であって、
前記パッケージ基板を切断する切断機構と、
前記切断機構により切断された前記半導体パッケージを吸着保持し、搬送する搬送機構と、
前記搬送機構により搬送された前記半導体パッケージを洗浄する洗浄機構と、
前記洗浄機構により洗浄された前記半導体パッケージを吸引乾燥する吸引乾燥機構と、
を備え
、
前記吸引乾燥機構は、複数の吸引穴を有する吸引プレートを備え、
前記吸引プレートは、前記半導体パッケージと向き合う面において、前記複数の吸引穴を互いに接続するように形成された溝部を有する、
切断装置。
【請求項2】
前記溝部は、前記半導体パッケージが並ぶ方向に対して傾斜して形成されている、
請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記洗浄機構により洗浄された前記半導体パッケージに対して気体を噴射して乾燥する噴射乾燥機構をさらに具備する、
請求項1又は請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
樹脂封止されたパッケージ基板を複数の半導体パッケージに切断する切断工程と、
前記切断工程において切断された前記半導体パッケージを搬送する搬送工程と、
前記搬送工程において搬送された前記半導体パッケージを洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程において洗浄された前記半導体パッケージを吸引乾燥する吸引乾燥工程と、
を含み、
前記吸引乾燥工程では、
複数の吸引穴と、
前記半導体パッケージと向き合う面において、前記複数の吸引穴を互いに接続するように形成された溝部と、
を有する吸引プレートを用いて吸引乾燥が行われる、
切断品の製造方法。
【請求項5】
前記吸引乾燥工程では、前記半導体パッケージを所定の方向に移動させる、
請求項4に記載の切断品の製造方法。
【請求項6】
前記吸引乾燥工程の前又は後に、前記洗浄工程において洗浄された前記半導体パッケージに対して気体を噴射して乾燥する噴射乾燥工程をさらに含む、
請求項4又は請求項5に記載の切断品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置及び切断品の製造方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ダイシングされたワーク(半導体パッケージ)を洗浄後、後処理工程へ搬送するダイシング装置が開示されている。このダイシング装置では、噴射ノズルにより洗浄液を噴出させて、ワークに付着した粉塵などを洗浄した後、乾燥ノズルによりエアを噴出させてワークの乾燥を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたダイシング装置のようにエアを噴出させてワークの乾燥を行う場合、例えば半導体パッケージ間の距離が短いと、水滴がワーク同士の隙間内を移動するだけで、水滴を除去することが困難な場合がある。すなわち、十分な乾燥が行えず、ワークに水跡が残るなどの外観不良が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、半導体パッケージの乾燥を効果的に行うことが可能な切断装置及び切断品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、この課題を解決するため、本発明に係る切断装置は、樹脂封止されたパッケージ基板を複数の半導体パッケージに切断する切断装置であって、前記パッケージ基板を切断する切断機構と、前記切断機構により切断された前記半導体パッケージを吸着保持し、搬送する搬送機構と、前記搬送機構により搬送された前記半導体パッケージを洗浄する洗浄機構と、前記洗浄機構により洗浄された前記半導体パッケージを吸引乾燥する吸引乾燥機構と、を備え、前記吸引乾燥機構は、複数の吸引穴を有する吸引プレートを備え、前記吸引プレートは、前記半導体パッケージと向き合う面において、前記複数の吸引穴を互いに接続するように形成された溝部を有するものである。
【0007】
また、本発明に係る切断品の製造方法は、樹脂封止されたパッケージ基板を複数の半導体パッケージに切断する切断工程と、前記切断工程において切断された前記半導体パッケージを搬送する搬送工程と、前記搬送工程において搬送された前記半導体パッケージを洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程において洗浄された前記半導体パッケージを吸引乾燥する吸引乾燥工程と、を含み、前記吸引乾燥工程では、複数の吸引穴と、前記半導体パッケージと向き合う面において、前記複数の吸引穴を互いに接続するように形成された溝部と、を有する吸引プレートを用いて吸引乾燥が行われるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、半導体パッケージの乾燥を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一実施形態に係る切断装置の全体的な構成を示した平面模式図。
【
図3】搬送機構及び吸引乾燥機構の構成を示した正面断面図。
【
図6】(a)吸引プレートを示した平面図。(b)A-A断面図。
【
図7】(a)搬送機構が下方に移動する様子を示した正面断面図。(b)搬送機構が上方及び右方に移動する様子を示した正面断面図。(c)搬送機構が再び下方に移動する様子を示した正面断面図。
【
図8】吸引乾燥を行う際の搬送機構及び吸引乾燥機構を示した正面断面図。
【
図9】第二実施形態に係る吸引プレートを示した平面図。
【
図10】(a)第二実施形態に係る溝部と半導体パッケージの位置関係を示した平面図。(b)第一実施形態に係る溝部と半導体パッケージの位置関係を示した平面図。
【
図11】第三実施形態に係る噴射乾燥機構による乾燥の様子を示した正面断面図。
【
図12】第三実施形態に係る切断品の製造方法を示した図。
【
図13】変形例に係る切断品の製造方法を示した図。
【
図14】第四実施形態において、吸引乾燥を行う際の搬送機構及び吸引乾燥機構を示した正面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
まず、
図1及び
図2を用いて、第一実施形態に係る切断装置1の構成、及び切断装置1を用いた切断品の製造方法について説明する。本実施形態においては、例えば、切断装置1による切断対象物として、半導体チップが装着された基板を樹脂封止したパッケージ基板Pを用いる場合の、切断装置1の構成について説明する。
【0011】
パッケージ基板Pとしては、例えば、BGA(Ball grid array)パッケージ基板、LGA(Land Grid Array)パッケージ基板、CSP(Chip size package)パッケージ基板、LED(Light emitting diode)パッケージ基板等が使用される。また、切断対象物としては、パッケージ基板Pだけでなく、半導体チップが装着されたリードフレームを樹脂封止した封止済みリードフレームが使用されることもある。
【0012】
なお、以下では、パッケージ基板Pの両面のうち、樹脂封止される側の面をモールド面、モールド面と反対側の面をボール/リード面と、それぞれ称する。
【0013】
切断装置1は、構成要素として、切断モジュールA及び検査モジュールBを具備する。各構成要素は、他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。以下、切断モジュールA及び検査モジュールBの構成、切断モジュールA及び検査モジュールBによる作業工程について順に説明する。
【0014】
切断モジュールAは、主にパッケージ基板Pの切断を行う構成要素である。切断モジュールAは、主として基板供給機構2、位置決め機構3、切断テーブル4、スピンドル5、第一クリーナ6、搬送機構20、第二クリーナ30及び制御部9を具備する。
【0015】
切断モジュールAにおいて、まず供給工程S2が行われる。供給工程S2は、基板供給機構2を用いて、パッケージ基板Pを供給する工程である。基板供給機構2は、複数のパッケージ基板Pが収容されたマガジンMから、パッケージ基板Pを1つずつ押し出して後述する位置決め機構3へと供給する。パッケージ基板Pは、ボール/リード面を上に向けて配置されている。
【0016】
次に、切断モジュールAにおいて、位置決め工程S4が行われる。位置決め工程S4は、位置決め機構3を用いて、基板供給機構2から供給されたパッケージ基板Pの位置決めを行う工程である。位置決め機構3は、基板供給機構2から押し出されたパッケージ基板Pをレール部3aに配置し、位置決めを行う。その後、位置決め機構3は、位置決めされたパッケージ基板Pを、後述する切断テーブル4へと搬送する。
【0017】
次に、切断モジュールAにおいて、切断工程S6が行われる。切断工程S6は、切断テーブル4及びスピンドル5を用いて、パッケージ基板Pを切断し、切断品である半導体パッケージSを得る工程である。
【0018】
切断テーブル4は、切断されるパッケージ基板Pを保持するものである。本実施形態では、2個の切断テーブル4を有するツインカットテーブル構成の切断装置1を例示している。切断テーブル4には、位置決め機構3によって搬送されたパッケージ基板Pを下方から吸着して保持する保持部材4aが設けられる。また、切断テーブル4には、保持部材4aを図のθ方向に回転させることが可能な回転機構4bと、保持部材4aを図のY方向に移動させることが可能な移動機構4cと、が設けられる。
【0019】
切断機構であるスピンドル5は、パッケージ基板Pを切断して複数の半導体パッケージS(
図3参照)に個片化するものである。本実施形態では、2個のスピンドル5を有するツインスピンドル構成の切断装置1を例示している。スピンドル5は、図のX方向及びZ方向に移動することができる。スピンドル5には、パッケージ基板Pを切断するための回転刃5aが装着される。
【0020】
スピンドル5には、高速回転する回転刃5aに向かって切削水を噴射する切削水用ノズル、冷却水を噴射する冷却水用ノズル、切断屑などを洗浄する洗浄水を噴射する洗浄水用ノズル(いずれも図示なし)等が設けられる。
【0021】
切断テーブル4がパッケージ基板Pを吸着した後、第一位置確認カメラ4dによって、パッケージ基板Pの位置が確認される。その後、切断テーブル4は、図のY方向に沿ってスピンドル5に近づくように移動する。切断テーブル4がスピンドル5の下方に移動した後、切断テーブル4とスピンドル5とを相対的に移動させることによって、パッケージ基板Pが切断される。スピンドル5によってパッケージ基板Pが切断される度に、第二位置確認カメラ5bによって、パッケージ基板Pの位置等が確認される。
【0022】
ここで、第一位置確認カメラ4dによる確認は、例えば、パッケージ基板Pに設けられた切断位置を示すマークの位置を確認することができる。第二位置確認カメラ5bによる確認は、例えば、パッケージ基板Pの切断された位置、切断された幅等を確認することができる。なお、上記確認カメラによる確認は、第一位置確認カメラ4dを使用せずに、第二位置確認カメラ5bのみで確認を行ってもよい。
【0023】
次に、切断モジュールAにおいて、第一洗浄工程S8及び第一乾燥工程S10が行われる。第一洗浄工程S8は、第一クリーナ6を用いて、パッケージ基板Pを切断することによって個片化された複数の半導体パッケージSを洗浄する工程である。また第一乾燥工程S10は、第一クリーナ6を用いて、洗浄された半導体パッケージSを乾燥させる工程である。
【0024】
切断テーブル4は、パッケージ基板Pの切断が完了した後、個片化された複数の半導体パッケージSを吸着したまま図のY方向に沿ってスピンドル5から離れるように移動する。この際、第一クリーナ6は、適宜の洗浄液を用いて半導体パッケージSの上面(ボール/リード面)の洗浄(第一洗浄工程S8)を行う。また第一クリーナ6は、半導体パッケージSの上面に気体(空気)を噴射して、半導体パッケージSの上面の乾燥(第一乾燥工程S10)を行う。
【0025】
次に、切断モジュールAにおいて、搬送工程S12、洗浄工程である第二洗浄工程S14、及び吸引乾燥工程である第二乾燥工程S16が行われる。搬送工程S12は、搬送機構20を用いて半導体パッケージSを検査モジュールBの検査テーブル11へと搬送する工程である。また第二洗浄工程S14は、第二クリーナ30を用いて、半導体パッケージSを洗浄する工程である。また第二乾燥工程S16は、第二クリーナ30を用いて、洗浄された半導体パッケージSを乾燥させる工程である。
【0026】
搬送機構20は、切断テーブル4に保持された半導体パッケージSを上方から吸着し、検査モジュールBへと搬送する(搬送工程S12)。また、搬送機構20が半導体パッケージSを検査モジュールBへと搬送する経路の途中で、第二クリーナ30によって半導体パッケージSの下面(モールド面)の洗浄(第二洗浄工程S14)及び乾燥(第二乾燥工程S16)が行われる。
【0027】
具体的には、第二クリーナ30は、洗浄機構40及び吸引乾燥機構50を具備している。洗浄機構40は、回転可能なブラシ(図示なし)を具備する。洗浄機構40は、半導体パッケージSの下面(モールド面)に、洗浄液を含ませたブラシを回転させながら当てることで、半導体パッケージSの洗浄(第二洗浄工程S14)を行う。また、吸引乾燥機構50は、半導体パッケージSの下面(モールド面)に付着した洗浄液を吸引することで、半導体パッケージSの乾燥(第二乾燥工程S16)を行う。
【0028】
なお、吸引乾燥機構50による半導体パッケージSの乾燥の様子については、後で詳細に説明する。
【0029】
上述のような切断モジュールAの各部(基板供給機構2、位置決め機構3、切断テーブル4、スピンドル5、第一クリーナ6、搬送機構20及び第二クリーナ30等)の動作は、制御部9によって制御される。また制御部9を用いて、切断モジュールAの各部の動作を任意に変更(調整)することができる。
【0030】
検査モジュールBは、主に半導体パッケージSの検査を行う構成要素である。検査モジュールBは、主として検査テーブル11、第一光学検査カメラ12、第二光学検査カメラ13、配置機構14、抽出機構15及び制御部16を具備する。
【0031】
検査モジュールBにおいて、まず検査工程S18が行われる。検査工程S18は、検査テーブル11、第一光学検査カメラ12及び第二光学検査カメラ13を用いて、半導体パッケージSを光学的に検査する工程である。
【0032】
検査テーブル11は、半導体パッケージSを光学的に検査するために保持するものである。検査テーブル11は、図のX方向に沿って移動可能である。また検査テーブル11は、上下反転することができる。検査テーブル11には、半導体パッケージSを吸着して保持する保持部材11aが設けられる。
【0033】
第一光学検査カメラ12及び第二光学検査カメラ13は、半導体パッケージSの表面(ボール/リード面及びモールド面)を光学的に検査するものである。第一光学検査カメラ12及び第二光学検査カメラ13は、検査テーブル11の近傍に、上に向けて配置される。第一光学検査カメラ12及び第二光学検査カメラ13には、検査の際に光を照射可能な照明装置(図示なし)がそれぞれ設けられる。
【0034】
第一光学検査カメラ12は、搬送機構20によって検査テーブル11へと搬送される半導体パッケージSのモールド面を検査する。その後、搬送機構20は、検査テーブル11の保持部材11aに半導体パッケージSを載置する。保持部材11aが半導体パッケージSを吸着して保持した後、検査テーブル11は上下反転する。検査テーブル11は第二光学検査カメラ13の上方へと移動し、半導体パッケージSのボール/リード面が第二光学検査カメラ13によって検査される。
【0035】
例えば、第一光学検査カメラ12は、半導体パッケージSの欠けや半導体パッケージSにマーキングされた文字等を検査することができる。また、例えば、第二光学検査カメラ13は、半導体パッケージSのサイズや形状、ボール/リードの位置等を検査することができる。
【0036】
配置機構14は、検査が完了した半導体パッケージSを配置するためのものである。配置機構14は、図のY方向に沿って移動可能である。検査テーブル11は、第一光学検査カメラ12及び第二光学検査カメラ13による検査が完了した半導体パッケージSを配置機構14に配置する。
【0037】
次に、検査モジュールBにおいて、収容工程S20が行われる。収容工程S20は、抽出機構15を用いて、配置機構14に配置された半導体パッケージSをトレイに移送して収容する工程である。第一光学検査カメラ12及び第二光学検査カメラ13による検査結果に基づいて、良品と不良品とに区別された半導体パッケージSは、抽出機構15によってトレイに収納される。この際、抽出機構15は、半導体パッケージSのうち、良品を良品用トレイ15aに、不良品を不良品トレイ15bに、それぞれ収納する。トレイが半導体パッケージSで満たされると、別の空のトレイが適宜供給される。
【0038】
上述のような検査モジュールBの各部(検査テーブル11、第一光学検査カメラ12、第二光学検査カメラ13、配置機構14及び抽出機構15等)の動作は、制御部16によって制御される。また制御部16を用いて、検査モジュールBの各部の動作を任意に変更(調整)することができる。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る切断装置1は、パッケージ基板Pを切断して、複数の半導体パッケージSに個片化することができる。
【0040】
次に、
図3から
図6を用いて、前述の第二乾燥工程S16で用いられる搬送機構20及び吸引乾燥機構50の構成について説明する。なお以下では、図中に示した矢印U、矢印D、矢印L、矢印R、矢印F及び矢印Bで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、左方向、右方向、前方向及び後方向と定義して説明を行う。また、図に示す各部材は、説明の便宜上、適宜簡略化して図示されたものである。実際の各部材(搬送機構20及び吸引乾燥機構50)の構成(例えば、各部材の形状、大きさ、穴の個数や配置等)は、図に示すものに限らない。
【0041】
図3に示す搬送機構20は、前述のように、半導体パッケージSを吸着し、搬送するものである。搬送機構20は、主として搬送ベース21及び樹脂シート22を具備する。
【0042】
搬送ベース21は、適宜の駆動機構(動力源となるモータ、モータからの動力を伝達するギヤ等)により所定の方向に移動可能なものである。搬送ベース21は、平面視で略矩形板状に形成される。搬送ベース21は、厚み方向が上下方向となるように配置されている。
【0043】
図3及び
図4に示す樹脂シート22は、半導体パッケージSを吸着して保持するものである。樹脂シート22の素材としては、例えば、シリコーン系の樹脂やフッ素系の樹脂等が用いられる。樹脂シート22は、平面視で略矩形板状に形成される。樹脂シート22は、厚み方向が上下方向となるように配置されている。樹脂シート22の前後幅及び左右幅は、それぞれ搬送ベース21の前後幅及び左右幅よりも小さく形成される。樹脂シート22には、主として吸着穴22aが形成される。
【0044】
吸着穴22aは、半導体パッケージSを吸着するための穴である。吸着穴22aは、樹脂シート22を上下方向(厚み方向)に貫通するように形成される。吸着穴22aは、前後及び左右に一定の間隔をあけて並ぶように複数形成される。吸着穴22aの下端部(樹脂シート22の下面に開口する部分)は、上方のその他の部分に比べて拡がるように形成される。
【0045】
樹脂シート22は、搬送ベース21の下面の略中央に固定される。樹脂シート22の吸着穴22aは、搬送ベース21に形成された接続穴(図示なし)を介して、真空ポンプ等の吸引装置(図示なし)に接続される。この吸引装置によって空気が吸引されることによって、半導体パッケージSが吸着されて、樹脂シート22の下面に接触した状態で保持される。半導体パッケージSは、吸着穴22aごとに1つずつ吸着されることで、前後及び左右に並んで配置される。
【0046】
図3及び
図5に示す吸引乾燥機構50は、前述のように、半導体パッケージSの乾燥を行うものである。吸引乾燥機構50は、主として吸引ベース51、吸引プレート52及び支持部材53を具備する。
【0047】
吸引ベース51は、後述する吸引プレート52を支持するものである。吸引ベース51は、上方に向かって開口された略直方体状(箱状)に形成される。吸引ベース51は、主として凹部51a、貫通穴51b及びシール部材51cを具備する。
【0048】
凹部51aは、吸引ベース51の上面に形成された窪みである。凹部51aは、平面視略矩形状に形成される。凹部51aの上部は、下部に比べて広がるように(前後幅及び左右幅が大きくなるように)形成される。これによって、凹部51aの上下中途部には、段差が形成される。
【0049】
貫通穴51bは、吸引ベース51を上下方向に貫通する穴である。貫通穴51bは、吸引ベース51の略中央に形成される。これによって、貫通穴51bは、吸引ベース51の下面側と、吸引ベース51の凹部51aとを接続する。
【0050】
シール部材51cは、吸引ベース51と搬送ベース21とが接した際に、吸引ベース51と搬送ベース21との間の気密性を向上させるものである。シール部材51cは、例えば弾性を有するゴム等により形成される。シール部材51cは、吸引ベース51の上面において、凹部51aを囲むように形成された溝内に配置される。
【0051】
図3、
図5及び
図6に示す吸引プレート52は、半導体パッケージSに付着した水分を吸引するための空気の通路が形成されたものである。吸引プレート52は、平面視で略矩形板状に形成される。吸引プレート52は、厚み方向が上下方向となるように配置されている。吸引プレート52の前後幅及び左右幅は、吸引ベース51の凹部51aの上部と略同一となるように形成される。これによって、吸引プレート52を凹部51a内に配置すると、吸引プレート52が凹部51aの段差に載置され、凹部51aの上下中途部で保持される。吸引プレート52には、主として吸引穴52a及び溝部52bが形成される。
【0052】
吸引穴52aは、吸引プレート52を上下方向(厚み方向)に貫通する穴である。吸引穴52aは、前後及び左右に一定の間隔をあけて並ぶように複数形成される。
【0053】
溝部52bは、吸引プレート52の上面(半導体パッケージSと向き合う面)に形成された窪みである。溝部52bは、平面視(
図6(a)参照)において、複数(少なくとも2つ以上)の吸引穴52aを外側から囲むような形状に形成される。溝部52bは、前後に隣接する吸引穴52aを接続するように形成される。溝部52bは、長手方向を前後に向けた長手状(直線状)となるように形成される。溝部52bの幅(長手方向に垂直な方向の幅)は、乾燥する半導体パッケージSの幅よりも小さく形成される。溝部52bは、左右に一定の間隔をあけて複数形成される。
【0054】
図3及び
図5に示す支持部材53は、吸引プレート52を支持するものである。支持部材53は、平面視で格子状に形成される。支持部材53の上下幅は、凹部51aの段差の高さと略同一となるように形成される。支持部材53は、凹部51a内(吸引プレート52の下方)に配置される。これによって、支持部材53は、吸引プレート52の略全面を下方から支持することができる。なお、
図7以降は、簡略化のため、支持部材53の図示を省略している。
【0055】
吸引ベース51の貫通穴51bは、真空ポンプ等の吸引装置(図示なし)に接続される。この吸引装置によって空気が吸引されることによって、吸引プレート52に形成された吸引穴52a及び溝部52bを介して、吸引プレート52の上方の空気が吸引プレート52の下方へと吸引される。
【0056】
次に、前述の第二乾燥工程S16における搬送機構20及び吸引乾燥機構50の動作について説明する。
【0057】
まず、
図7(a)に示すように、吸引乾燥機構50の上方に位置した搬送機構20は、下方に向かって移動し、半導体パッケージSを吸引プレート52に接触させる。この際、吸引ベース51の上面と、搬送ベース21の下面とが接触する。吸引ベース51と搬送ベース21との隙間はシール部材51cによって埋められ、気密性が保たれる。
【0058】
次に、
図8に示すように、吸引ベース51の貫通穴51bに接続された吸引装置(図示なし)を駆動させ、貫通穴51bを介して吸引ベース51内の空気を吸引する。これによって、吸引プレート52の吸引穴52a及び溝部52bを介して、吸引プレート52の上方の空気が下方へと吸引される。この吸引力によって、溝部52bと向き合う部分(具体的には、半導体パッケージSの下面(モールド面)や、隣接する半導体パッケージS同士の隙間など)の水分(洗浄液)が吸引プレート52の下方へと吸引され、半導体パッケージSを乾燥させることができる。
【0059】
この際、搬送ベース21と吸引ベース51との間のシール部材51cによって、外部から空気が流入するのを防止することができる。これによって、吸引力(負圧)が低下するのを防止することができる。
【0060】
また、溝部52bの幅を半導体パッケージSの幅(左右幅)よりも小さく形成したことにより、吸引プレート52の上面によって半導体パッケージSの下面を下方から押さえることができる。これにより、吸引プレート52を介する吸引力によって、半導体パッケージSが搬送機構20から脱落するのを防止することができる。
【0061】
また、支持部材53(
図3及び
図5参照)によって吸引プレート52を下方から支持することで、乾燥のための吸引力によって吸引プレート52が変形する(下方に向かってたわむ)のを防止することができる。
【0062】
図7(a)に示す状態で任意の時間だけ乾燥(吸引)させた後、
図7(b)に示すように、搬送機構20は上方に向かって移動し、半導体パッケージSが吸引プレート52から離される。さらに搬送機構20は、溝部52bの長手方向(前後方向)とは異なる方向(
図7の例では右方向)に移動する。この際、搬送機構20は、溝部52bの幅だけ右方向に移動する。
【0063】
次に、
図7(c)に示すように、搬送機構20は、再び下方に向かって移動し、半導体パッケージSを吸引プレート52に接触させる。この状態で、吸引装置を駆動させ、吸引プレート52を介して空気を吸引し、半導体パッケージSを乾燥させる。
【0064】
このように第二乾燥工程S16では、搬送機構20による移動と、吸引乾燥機構50による吸引と、を任意の回数だけ交互に繰り返すことで、半導体パッケージSの乾燥が行われる。なお、半導体パッケージSの下面全域を吸引する観点から、搬送機構20の移動と吸引の回数は、少なくとも「(溝部52bのピッチ)/(溝部52bの幅)+1」回以上行われることが望ましい。
【0065】
以上の如く、本実施形態に係る切断装置1は、
樹脂封止されたパッケージ基板Pを複数の半導体パッケージSに切断する切断装置1であって、
前記パッケージ基板Pを切断する切断機構(スピンドル5)と、
前記切断機構により切断された前記半導体パッケージSを吸着保持し、搬送する搬送機構20と、
前記搬送機構20により搬送された前記半導体パッケージSを洗浄する洗浄機構40と、
前記洗浄機構により洗浄された前記半導体パッケージSを吸引乾燥する吸引乾燥機構50と、
を備えたものである。
【0066】
このように構成することにより、半導体パッケージSの乾燥を効果的に行うことができる。すなわち、半導体パッケージSに対して気体を噴出させて行う乾燥では、半導体パッケージS同士の隙間内を水滴(洗浄液)が移動するだけで、水滴を除去することが困難な場合がある。しかし、本実施形態のように半導体パッケージSを吸引乾燥することで、上記のような水滴の移動が発生し難く、半導体パッケージSを効果的に乾燥させることができる。
【0067】
また、前記吸引乾燥機構50は、複数の吸引穴52aを有する吸引プレート52を備えるものである。
【0068】
このように構成することにより、複数の吸引穴52aを介して半導体パッケージSの水分を吸引することができる。このように、半導体パッケージSを直接吸引するのではなく、吸引穴52aを介することで、吸引力(負圧)を向上させ、半導体パッケージSの乾燥を効果的に行うことができる。また、複数の吸引穴52aの配置を、乾燥の対象となる半導体パッケージSの配置等に応じて適宜設定する(例えば、水滴の付着し易い半導体パッケージS同士の隙間に向き合う位置に配置する)ことで、半導体パッケージSを効果的に乾燥させることもできる。
【0069】
また、前記吸引プレート52は、前記半導体パッケージSと向き合う面において、前記複数の吸引穴52aを互いに接続するように形成された溝部52bを有するものである。
【0070】
このように構成することにより、半導体パッケージSの乾燥を効率的に行うことができる。すなわち、溝部52bを形成することで、水分を吸引可能な範囲を拡大することができ、半導体パッケージSを効率的に乾燥させることができる。
【0071】
また、本実施形態に係る切断品の製造方法は、
樹脂封止されたパッケージ基板Pを複数の半導体パッケージSに切断する切断工程S6と、
前記切断工程S6において切断された前記半導体パッケージSを搬送する搬送工程S12と、
前記搬送工程S12において搬送された前記半導体パッケージSを洗浄する洗浄工程(第二洗浄工程S14)と、
前記洗浄工程において洗浄された前記半導体パッケージSを吸引乾燥する吸引乾燥工程(第二乾燥工程S16)と、
を含むものである。
【0072】
このように構成することにより、半導体パッケージSの乾燥を効果的に行うことができる。
【0073】
また、前記吸引乾燥工程では、前記半導体パッケージSを所定の方向に移動させるものである。
【0074】
このように構成することにより、半導体パッケージSの乾燥を効果的に行うことができる。すなわち、半導体パッケージSを移動させることで、水分を吸引する範囲を拡大することができ、半導体パッケージSを効率的に乾燥させることができる。
【0075】
<第二実施形態>
次に、
図9及び
図10を用いて、第二実施形態について説明する。
【0076】
第二実施形態に係る吸引プレート152は、主として吸引穴152a及び溝部152bを具備する。第二実施形態に係る吸引プレート152は、吸引穴152a及び溝部152bの位置や形状等が、第一実施形態に係る吸引プレート52(
図6参照)と異なっている。
【0077】
具体的には、吸引穴152aは、前後方向に対して傾斜する方向に並ぶように複数形成されている。本実施形態では、吸引穴152aは、左後方から右前方に向かって並ぶように形成されている。
【0078】
また溝部152bは、前後方向に対して傾斜するように並んだ吸引穴152a同士を接続するように形成されている。すなわち溝部152bは、長手方向を、前後方向に対して傾斜する方向に向けた直線状となるように形成される。つまり溝部152bは、半導体パッケージSが並ぶ方向(前後方向及び左右方向)に対して傾斜して形成される。
【0079】
次に、第二実施形態に係る吸引プレート152を用いて第二乾燥工程S16を行う様子について説明する。
【0080】
第二乾燥工程S16において、搬送機構20によって半導体パッケージSが吸引プレート152と接触させられた状態では、
図10(a)に示すように、平面視において、溝部152bは半導体パッケージSが並ぶ方向(前後方向及び左右方向)に対して傾斜するように配置される。
【0081】
ここで、
図10(b)に示すように、第一実施形態に係る吸引プレート52の溝部52bは、半導体パッケージSが並ぶ方向(前後方向)と平行になる。このため、左右に隣接する半導体パッケージSの間に溝部52bが位置した場合、溝部52bの大部分が半導体パッケージS同士の隙間と向き合うことになる。
【0082】
このような状態で吸引プレート52を介する吸引が行われると、半導体パッケージS同士の隙間から比較的大量の空気が溝部52bから吸引されることになる。このため、吸引のための負圧が低下し、ひいては吸引力が低下するおそれがある。
【0083】
これに対して
図10(a)に示す第二実施形態に係る吸引プレート52の溝部152bは、半導体パッケージSが並ぶ方向に対して傾斜するように配置される。このため、溝部152bは少なくとも一部が半導体パッケージSと向き合うことになる。これによって、半導体パッケージS同士の隙間から大量の空気が吸引されるのを防止することができる。したがって、吸引のための負圧が低下し、吸引力が低下するのを抑制することができる。
【0084】
以上の如く、本実施形態に係る溝部152bは、前記半導体パッケージSが並ぶ方向に対して傾斜して形成されているものである。
【0085】
このように構成することにより、半導体パッケージSの乾燥を効果的に行うことができる。すなわち、溝部152bの少なくとも一部を半導体パッケージSと向き合わせることで、負圧の低下を抑制し、ひいては吸引力の低下を抑制することができる。
【0086】
<第三実施形態>
次に、
図11及び
図12を用いて、第三実施形態について説明する。
【0087】
第三実施形態に係る切断装置1は、吸引乾燥機構50に加えて、噴射乾燥機構60を具備している(
図11参照)。噴射乾燥機構60は、半導体パッケージSに対して気体を噴射することで、半導体パッケージSの乾燥を行うものである。噴射乾燥機構60は、主として噴射ノズル61を具備する。
【0088】
噴射ノズル61は、気体を噴射する部材である。噴射ノズル61の内部には、気体を案内する穴が形成される。噴射ノズル61は、ブロワ等の圧縮機(図示なし)に接続される。この圧縮機によって空気が圧送されると、その空気が噴射ノズル61を介して噴射される。本実施形態においては、噴射ノズル61は上方に向かって気体を噴射するように配置されている。
【0089】
次に、第三実施形態に係る切断装置1を用いた切断品の製造方法について説明する。
図12に示すように、第三実施形態に係る切断品の製造方法は、噴射乾燥工程である第三乾燥工程S17を含む点で、第一実施形態に係る切断品の製造方法(
図2参照)と異なっている。
【0090】
第三乾燥工程S17は、第二乾燥工程S16の後で行われる。第三乾燥工程S17では、噴射ノズル61を半導体パッケージSの下面に向き合わせた状態で、噴射ノズル61から半導体パッケージSに向かって気体が噴射される。これによって、半導体パッケージSに付着した水滴を除去し、乾燥を行うことができる。この際、半導体パッケージS(搬送機構20)又は噴射ノズル61(噴射乾燥機構60)を適宜移動させることで、半導体パッケージSの広い範囲に対して気体を噴射することもできる。
【0091】
以上の如く、本実施形態に係る切断装置1は、
前記洗浄機構40により洗浄された前記半導体パッケージSに対して気体を噴射して乾燥する噴射乾燥機構60をさらに具備するものである。
【0092】
このように構成することにより、半導体パッケージSの乾燥をより効果的に行うことができる。すなわち、吸引乾燥機構50に加えて、噴射乾燥機構60による乾燥を行うことで、半導体パッケージSをより効果的に乾燥させることができる。
【0093】
また、本実施形態に係る切断品の製造方法は、
前記吸引乾燥工程(第二乾燥工程S16)の後に、前記洗浄工程(第二洗浄工程S14)において洗浄された前記半導体パッケージSに対して気体を噴射して乾燥する噴射乾燥工程(第三乾燥工程S17)をさらに含むものである。
【0094】
このように構成することにより、半導体パッケージSの乾燥をより効果的に行うことができる。
【0095】
なお、本実施形態では、第二乾燥工程S16の後に、第三乾燥工程S17を行う例を示したが、これに限るものではない。例えば、
図13に示す変形例のように、第二乾燥工程S16の前に、第三乾燥工程S17を行ってもよい。
【0096】
<第四実施形態>
次に、
図14を用いて、第四実施形態について説明する。
【0097】
第四実施形態に係る切断品の製造方法は、第二乾燥工程S16における搬送機構20の動作が、第一実施形態と異なっている。具体的には、第四実施形態に係る第二乾燥工程S16において、貫通穴51bを介して吸引ベース51内の空気が吸引される際に、搬送機構20による半導体パッケージSの吸着が解除される。すなわち、搬送ベース21に接続された吸引装置(図示なし)が停止される。
【0098】
このように半導体パッケージSの吸着を解除することで、貫通穴51bを介する吸引ベース51内の空気の吸引に伴って、樹脂シート22の吸着穴22a内の空気も、樹脂シート22と半導体パッケージSの隙間から下方へと吸引される。これによって、樹脂シート22の吸着穴22a内に侵入した水分や不純物等を外部へと排出することができる。
【0099】
なお、吸着穴22a内の水分等をより排出し易くするために、吸着穴22aにブロワ等の圧縮機(図示なし)を接続し、下方に向かって空気を送るように構成してもよい。
【0100】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0101】
例えば、上記実施形態で例示した切断装置1の構成は一例であり、具体的な構成は適宜変更することが可能である。
【0102】
例えば、上記実施形態では、切断モジュールA及び検査モジュールBのそれぞれが制御部(制御部9及び制御部16)を備えるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、それぞれの制御部を1つの制御部にまとめることや、3つ以上の制御部に分割することも可能である。また、本実施形態の切断装置1は、2個の切断テーブル4を有するツインカットテーブル構成であるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、切断テーブル4を1つだけ有するものであってもよい。また、本実施形態の切断装置1は、2個のスピンドル5を有するツインスピンドル構成であるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、スピンドル5を1つだけ有するものであってもよい。
【0103】
また、上記実施形態で示した吸引プレート52及び吸引プレート152(以下、「吸引プレート52等」と称する)の構成は一例であり、本発明はこれに限るものではない。例えば、溝部52bの形状は直線状ではなく、任意の形状とすることが可能である。一例として、半導体パッケージS同士の隙間に対応した形状(格子状)の溝部を形成することで、半導体パッケージS同士の隙間の水分を一度に吸引することも可能である。
【0104】
また、上記実施形態で示した吸引プレート52等を、複数の部材を組み合わせて形成することも可能である。例えば、吸引穴52aが形成された板状の部材と、溝部52bが形成された板状の部材と、を組み合わせて(互いに固定して)吸引プレート52を形成してもよい。
【0105】
また、上記実施形態では、吸引プレート52に吸引穴52a及び溝部52bを形成する例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば吸引穴52aのみを形成することも可能である。
【0106】
また、上記実施形態では、半導体パッケージSを吸引プレート52に接触させた状態で、吸引乾燥を行う例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば半導体パッケージSと吸引プレート52を離した状態で吸引乾燥を行うことも可能である。
【0107】
また、上記実施形態では、吸引プレート52等を支持部材53によって下方から支持する例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、必ずしも支持部材53を使用する必要はない。
【0108】
また、上記実施形態では、搬送ベース21と吸引ベース51との隙間をシール部材51cによって埋めることで、気密性を保つ例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、シール部材51cを用いることなく吸引乾燥を行うことも可能である。この場合、吸引力(負圧)は低下するものの、吸引ベース51の外部から内部(凹部51a)へと流入した空気の流れ(風圧等)によって、半導体パッケージSの乾燥が促されることが期待できる。
【0109】
また、上記実施形態では、吸引プレート52等を介して洗浄液を吸引する例を示したが、吸引による乾燥を行うことができれば、必ずしも吸引プレート52等を用いる必要はない。
【0110】
また、上記実施形態の第二乾燥工程S16における搬送機構20の動作は一例であり、本発明はこれに限るものではない。すなわち、搬送機構20は、任意の方向に、任意の距離だけ移動させることが可能であり、移動の回数も任意に設定することが可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 切断装置
5 スピンドル
20 搬送機構
40 洗浄機構
50 吸引乾燥機構
52 吸引プレート
52a 吸引穴
52b 溝部
60 噴射乾燥機構
A 切断モジュール
B 検査モジュール
P パッケージ基板
S 半導体パッケージ