IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェイド バード ディスプレイ(シャンハイ) リミテッドの特許一覧

特許7154227LED-OLEDハイブリッド自己発光ディスプレイ
<>
  • 特許-LED-OLEDハイブリッド自己発光ディスプレイ 図1
  • 特許-LED-OLEDハイブリッド自己発光ディスプレイ 図2A
  • 特許-LED-OLEDハイブリッド自己発光ディスプレイ 図2B
  • 特許-LED-OLEDハイブリッド自己発光ディスプレイ 図3
  • 特許-LED-OLEDハイブリッド自己発光ディスプレイ 図4
  • 特許-LED-OLEDハイブリッド自己発光ディスプレイ 図5A
  • 特許-LED-OLEDハイブリッド自己発光ディスプレイ 図5B
  • 特許-LED-OLEDハイブリッド自己発光ディスプレイ 図6
  • 特許-LED-OLEDハイブリッド自己発光ディスプレイ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】LED-OLEDハイブリッド自己発光ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/46 20060101AFI20221007BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20221007BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20221007BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20221007BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20221007BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20221007BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20221007BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20221007BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
G09F9/46 Z
G09F9/30 365
G09F9/33
H01L27/04 A
H01L27/32
H01L33/00 L
H05B33/12 B
H05B33/14 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019555823
(86)(22)【出願日】2018-04-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 US2018027381
(87)【国際公開番号】W WO2018191551
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-02-15
(31)【優先権主張番号】62/484,979
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520510771
【氏名又は名称】ジェイド バード ディスプレイ(シャンハイ) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レイ ジャン
(72)【発明者】
【氏名】リー チーミン
(72)【発明者】
【氏名】オウ ファン
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0084671(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105070744(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0064363(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0357315(US,A1)
【文献】中国実用新案第205944093(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0223875(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0025484(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0092863(US,A1)
【文献】国際公開第2013/064800(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30-9/46
H01L27/32
33/00
33/48-33/64
51/50
H05B33/00-33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積マルチカラーマイクロLEDディスプレイチップであって、
基板と、
前記基板によって支持された、ピクセルドライバのアレイと、
前記基板によって支持されかつ前記ピクセルドライバのアレイに電気的に接続された、複数の異なるカラーマイクロLEDのアレイであって、該アレイの少なくとも1つは第1のカラーの有機マイクロLEDを含み、および、該アレイの他の1つは異なる色の無機マイクロLEDを含む、前記複数の異なるカラーマイクロLEDのアレイと
を備え、
前記異なる色のマイクロLEDは、隣接する階層間の平坦化インターフェースを伴って、前記基板および前記ピクセルドライバの上部に積層された2つ以上の階層内に配置され、および、同一カラーの全てのマイクロLEDは前記階層のうちの1つに含まれ、
異なる階層の前記マイクロLEDは、マルチカラーピクセルに分類され、および
前記マイクロLEDディスプレイチップは、前記階層内に、隣接するマルチカラーピクセルを光学的に分離する構造をさらに備えたことを特徴とする集積マルチカラーマイクロLEDディスプレイチップ。
【請求項2】
前記複数のアレイは、赤色マイクロLEDのアレイと、緑色マイクロLEDのアレイと、および青色マイクロLEDのアレイとを含み、
前記青色マイクロLEDは無機マイクロLEDであり、前記赤色および緑色マイクロLEDは有機マイクロLEDであることを特徴とする請求項1記載の集積マルチカラーマイクロLEDディスプレイチップ。
【請求項3】
前記青色マイクロLEDは、無機マイクロLEDをベースとした窒化ガリウムであることを特徴とする請求項2記載の集積マルチカラーマイクロLEDディスプレイチップ。
【請求項4】
前記複数のアレイは、赤色マイクロLEDのアレイと、緑色マイクロLEDのアレイと、および青色マイクロLEDのアレイとを含み、
前記青色および赤色マイクロLEDは無機マイクロLEDであり、前記緑色マイクロLEDは有機マイクロLEDであることを特徴とする請求項1記載の集積マルチカラーマイクロLEDディスプレイチップ。
【請求項5】
前記異なる色のマイクロLEDは、紫外、青色、緑色、オレンジ色、赤色、又は、赤外のマイクロLEDであることを特徴とする請求項1記載の集積マルチカラーマイクロLEDディスプレイチップ。
【請求項6】
各階層は、無機マイクロLEDのみ、又は有機マイクロLEDのみを含むが、両方は含まず、
無機マイクロLEDを含む前記階層は、前記積層の下部であり、および、有機マイクロLEDを含む前記階層は、前記積層の上部であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の集積マルチカラーマイクロLEDディスプレイチップ。
【請求項7】
無機マイクロLEDを含む前記階層は、単一色のみの無機マイクロLEDを含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の集積マルチカラーマイクロLEDディスプレイチップ。
【請求項8】
全ての有機マイクロLEDは、単一の階層内に含まれることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の集積マルチカラーマイクロLEDディスプレイチップ。
【請求項9】
無機マイクロLEDを含む前記階層は、
前記マイクロLEDの下部に電気的に接続された下側接触金属パッドと、
前記マイクロLEDの上部に電気的に接続された上側接触金属パッドと
を備え、
前記下側接触金属パッドは、前記ピクセルドライバのアレイにも電気的に接続され、および、前記上側接触金属パッドは、共通電極にも電気的に接続されたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の集積マルチカラーマイクロLEDディスプレイチップ。
【請求項10】
前記共通電極は、全ての前記階層の上部上の上部電極を含み、各上側接触金属パッドは、いずれかの介在する階層を通してビアによって前記上部電極に電気的に接続されたことを特徴とする請求項9記載の集積マルチカラーマイクロLEDディスプレイチップ。
【請求項11】
前記共通電極は、その階層の上部上に位置する各階層についての分離共通電極構造を備え、各階層についての各上側接触金属パッドは、その階層についての前記分離共通電極構造に電気的に接続されたことを特徴とする請求項9記載の集積マルチカラーマイクロLEDディスプレイチップ。
【請求項12】
全ての前記マイクロLEDは、前記基板および前記ピクセルドライバの上方の前記2つ以上の階層内に前記基板に対して平行に置かれたことを特徴とする請求項1記載の集積マルチカラーマイクロLEDディスプレイチップ。
【請求項13】
前記マイクロLEDは、いずれかの横方向寸法において50ミクロン以下であることを特徴とする請求項1記載の集積マルチカラーマイクロLEDディスプレイチップ。
【請求項14】
赤色マイクロLEDのアレイ、緑色有機マイクロLEDのアレイ、および青色無機マイクロLEDのアレイであって、これら全てのマイクロLEDのアレイが、前記基板によって支持されかつ前記ピクセルドライバのアレイに電気的に接続され、
異なる色の前記マイクロLEDのアレイは、隣接する階層間の平坦化インターフェースを伴って、前記基板および前記ピクセルドライバの上部に積層された2つ以上の階層内に配置され、前記青色無機マイクロLEDは前記階層の1つの下部内にあり、および、前記緑色有機マイクロLEDは前記階層の1つの上部内にあり、
前記ピクセルドライバは、薄膜トランジスタピクセルドライバ又はシリコンCMOSピクセルドライバを含むことを特徴とする請求項1記載の集積マルチカラーマイクロLEDディスプレイチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、集積マルチカラーLEDディスプレイチップに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2017年4月13日に出願された「LED-OLED Hybrid Self-Emissive Display」という名称の米国特許仮出願第62/484979号明細書に対する米国特許法第119条(e)項に基づく優先権を主張する。前述のすべての主題は、それら全体で参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
薄膜トランジスタ(TFT)技術と組み合わされたアクティブマトリクス液晶ディスプレイ(LCD)および有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイが、今日の民生電子デバイスにおいてますます普及している。これらのディスプレイは、ラップトップパーソナルコンピュータ、スマートフォン、および携帯情報端末に広く使用されている。数百万個のピクセルが共に、画像をディスプレイ上に生み出す。TFTは、各ピクセルのオンとオフを個々に切り替え、ピクセルを明るく、または暗くするためのスイッチとして働き、各ピクセルおよびディスプレイ全体を都合よく効率的に制御することを可能にする。
【0004】
しかし、従来のLCDディスプレイには、光効率が低く、高い電力消費および限られたバッテリ動作時間をもたらすという問題がある。アクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)ディスプレイパネルは、一般にLCDパネルより電力の消費が少ないが、AMOLEDディスプレイパネルは、依然としてバッテリ動作型デバイスにおいて支配的な電力消費体とすることができる。バッテリ寿命を延ばすために、ディスプレイパネルの電力消費を削減することが望ましい。
【0005】
従来の無機半導体発光ダイオード(LED)は、より良好な光効率を示しており、これは、アクティブマトリクスLEDディスプレイをバッテリ動作型エレクトロニクスにとってより望ましいものにしている。数百万個のピクセルを制御し、ディスプレイ上に画像をレンダリングするために、ドライバ回路のアレイおよび発光ダイオードが使用される。しかし、数千個、さらには数百万個のマイクロLEDをピクセルドライバ回路アレイと集積することは非常に困難である。
【0006】
その結果、より良好なディスプレイパネルが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願第12/214395号明細書
【文献】米国特許出願第15/135217号明細書
【文献】米国特許出願第15/269954号明細書
【文献】米国特許出願第15/269956号明細書
【文献】米国特許出願第15/272410号明細書
【文献】米国特許出願第15/701450号明細書
【文献】PCT/US2018/023172
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、無機LEDと有機LEDを単一のチップ内で集積することによって従来技術の制限を克服する。
【0009】
一例は、異なる色のマイクロLEDのアレイが、対応するドライバ回路と共に集積される集積マルチカラーマイクロLEDディスプレイパネルである。マイクロLEDのいくつかの色は無機マイクロLEDによって実装され、他の色は有機マイクロLEDによって実装される。無機対有機は、たとえば青色ピクセル用に無機マイクロLED、赤色ピクセルおよび緑色ピクセル用に有機マイクロLEDを使用して、効率に基づいて選択することができる。
【0010】
一手法では、最初にピクセルドライバのアレイが支持基板上で作製される。次いで、多階層のマイクロLEDがベース基板の上部に積み重ねられる。無機マイクロLEDを含む階層が最初に、階層当たり1色で作製される。次いで、有機マイクロLEDのすべてを含む単一の階層が、積層(stack)の上部階層として作製される。
【0011】
他の態様は、上記のいずれかに関係する構成要素、デバイス、システム、改良、方法、プロセス、応用例、および他の技術を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示の実施形態は、添付の図面と併せ読むとき、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲からより容易に明らかになるであろう他の利点および特徴を有する。
【0013】
図1】一実施形態による、ディスプレイパネルのピクセルの回路図である。
図2A】様々な実施形態による、集積マルチカラーLEDディスプレイパネルのいくつかのピクセルの断面図である。
図2B】様々な実施形態による、集積マルチカラーLEDディスプレイパネルのいくつかのピクセルの断面図である。
図3】別の実施形態による、集積マルチカラーLEDディスプレイパネルのいくつかのピクセルの断面図である。
図4】さらに別の実施形態による、集積マルチカラーLEDディスプレイパネルのいくつかのピクセルの断面図である。
図5A】一実施形態による、共通電極の上面図である。
図5B】一実施形態による、共通電極の上面図である。
図6】一実施形態による、光分離のための構造を示す断面図である。
図7】一実施形態による、ピクセルのアレイを有する例示的なディスプレイパネルの上面図である。
【0014】
図は、例示のためだけに様々な実施形態を示す。当業者は、以下の考察から、本明細書に記載の原理から逸脱することなしに本明細書に示されている構造および方法の代替実施形態が使用されてよいことを容易に理解するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図および以下の説明は、例示のためだけとして好ましい実施形態に関する。以下の考察から、本明細書に開示されている構造および方法の代替実施形態は、特許請求されているものの原理から逸脱することなしに使用されてよい実行可能な代替として容易に理解されよう。
【0016】
図1は、ディスプレイパネルのピクセルの回路図であり、これは、ピクセルドライバと、マイクロLEDなどLED140を含む。マイクロLEDは、典型的には50ミクロン(μm)以下の横方向寸法を有し、10μm未満、さらにはわずか数μmの横方向寸法を有することができる。この例では、ピクセルドライバは、2つのトランジスタと1つのキャパシタ130とを含み、一方のトランジスタは、制御トランジスタ120であり、他方は、駆動トランジスタ110である。この例では、制御トランジスタ120は、そのゲートが走査信号バスライン150に接続され、その一方のソース/ドレインがデータ信号バスライン170に接続され、他方のドレイン/ソースが記憶キャパシタ130に、および駆動トランジスタ110のゲートに接続されて構成されている。駆動トランジスタ110の一方のソース/ドレインは、電圧供給Vddに接続され、他方のドレイン/ソースは、LED140のp電極に接続される。LED140のn電極は、キャパシタ130および接地に接続される。この例では、走査信号150が制御トランジスタ120のゲートを開いたとき、データ信号170は、記憶キャパシタ130を充電し、駆動トランジスタ110のゲート電圧を設定し、これは、LED140を通る電流の流れを制御する。ここでの記憶キャパシタ130は、駆動トランジスタ110のゲート電圧を維持し、したがって走査信号150が他のピクセルを設定している時間中、LED140を通って流れる電流を維持するために使用される。他のピクセルドライバ設計は、たとえば参照により本明細書に組み込まれる特許文献1「Monolithic Active or Passive Matrix LED Array Display Panels and Display Systems Having the Same」に記載されているように明らかになろう。
【0017】
以下の例は、主に、無機および有機マイクロLEDのアレイがTFTまたはCMOSピクセルドライバと共に集積される集積マイクロLEDディスプレイチップを使用するが、これらは例にすぎず、記載の技法は、この特定の応用例に限定されない。無機マイクロLEDの例は、GaNベースのUV/青色/緑色マイクロLED、AlInGaPベースの赤色/オレンジ色マイクロLED、およびGaAsまたはInPベースの赤外(IR)マイクロLEDを含む。有機マイクロLEDの例は、正孔輸送材料用のトリフェニルアミン誘導体(TPD)ベースの材料、電子輸送材料用のオキサジアゾール誘導体(PBD)、青色発光用のTBP、緑色発光用のクマリン545TまたはDMQA、黄色発光用のルブレン、および赤色発光用のDCMまたはIr(piq)3のドーパントを伴うホスト材料としてのAlq3を含む。無機マイクロLEDの追加の例および他のマイクロ構造は、特許文献2「Semiconductor Devices with Integrated Thin-Film Transistor Circuitry」、特許文献3「Making Semiconductor Devices with Alignment Bonding and Substrate Removal」、特許文献4「Display Panels with Integrated Micro Lens Array」、特許文献5「Manufacturing Display Panels with Integrated Micro Lens Array」、および特許文献6「Multi-Color Micro-LED Array Light Source」に記載されている。前述のすべては、参照によりその全体が組み込まれる。
【0018】
図2Aは、一実施形態による集積マルチカラーLEDディスプレイパネルのいくつかのピクセルの断面図である。図2Aでは、個々のドライバ回路のアレイが、支持基板102上で作製される。図2Aに示されている黒い矩形110は、ドライバ回路への電気接続、たとえば図1Aにおける駆動トランジスタ110とLED140との間の接続を表す。便宜上、これらの接続110は、ドライバ回路110またはピクセルドライバ110と称されてもよい。ドライバ回路110は、それらが赤色ピクセル、緑色ピクセル、および青色ピクセルに対応するので、接尾語R、G、Bでラベル付けされている。ピクセルドライバ110のアレイは、無機マイクロLED141と有機マイクロLED142の混在に電気的に接続される。これらのマイクロLED141、142もまた、それらの色を示すために接尾語R、G、Bでラベル付けされている。この例では、無機LED141は青色ピクセルのために使用され、有機LED142は、赤色ピクセルおよび緑色ピクセルのために使用される。なぜなら、これらの異なるタイプのLEDは、これらの波長でより高い外部量子効率を有するからである。有機マイクロLEDと無機マイクロLEDの混在を使用することによって、全体効率を増大することができる。たとえば、このディスプレイパネルは、各色のマイクロLEDが少なくとも15%の外部量子効率(EQE)を有するように設計することができる。青色無機LEDは、50%以上のEQEを有することができる。赤色および緑色有機LEDは、15%以上のEQEを有することができる。
【0019】
この例では、マイクロLED141、142は、基板およびピクセルドライバの上部に積み重ねられた異なる階層151、152に含まれる。下部階層151は、無機マイクロLED141Bを含み、上部階層は、有機マイクロLED142R、Gを含む。どの色がどの階層にあるかは、設計に応じて様々とすることができる。便宜上、基板102から離れることを意味するために「上」が使用され、「下」は、基板に向かうことを意味し、上部、下部、上方、下方、の下(under)、の真下(beneath)など他の方向用語は、それに応じて解釈される。
【0020】
最も左側のマイクロLED141Bを例として使用すると、無機マイクロLEDは、エピタキシャル構造から形成される。例は、III-V族窒化物、III-V族ヒ化物、III-V族リン化物、およびIII-V族アンチモン化物エピタキシャル構造を含む。上側コンタクト金属パッド146は、マイクロLED141の上部に電気的に接続され、必要に応じてビア(vias)147を使用して介在する階層を通って共通電極165にも電気的に接続される。マイクロLED141Bについては、ビア147は、階層151の残りの部分を通って共通電極165に接続し、これは、有機階層152内の開口エリアを通って接触する。下側コンタクト金属パッド148は、マイクロLED141Bの下部に電気的に接続され、必要に応じてビア149を使用して介在する階層を通って対応するピクセルドライバ110にも電気的に接続される。マイクロLED141Bは下部階層にあるので、介在する階層がなく、ビア149は使用されない。
【0021】
最も右側の有機マイクロLED142Gについては、ビア149は、下側コンタクト金属パッド148を、介在する階層151を通って対応するピクセルドライバ110に電気的に接続する。マイクロLED142Gの上部コンタクトを共通電極165に接続するために、ビアは必要とされない。この例では、各マイクロLED141、142は、単一の共通電極165に接続されているが、下記に示されている代替設計において明らかになるように、これは必要とされない。
【0022】
この例では、無機LEDのための階層151は、隣り合う階層間の界面157が平面であるように材料153で充填される。これは、次の階層の作製を容易にする。充填材料153の例は二酸化ケイ素であり、これは、非導電性かつ透明である。これは、マイクロLEDとビアとの間の電気的分離をもたらすが、マイクロLEDによって下側階層内で生成される光が階層を通って伝搬することをも可能にする。充填材料153の別の例は、窒化ケイ素である。有機マイクロLED142のための上部階層152もまた、材料154、たとえば無機層に使用されるものと同様の誘電材料またはポリマー材料で充填されてもよい。各階層のための充填物153、154は、単一の均質な材料である必要はない。材料または構造の組合せをも、使用することができる。この詳細な構造にかかわらず、好ましくは、各階層は、下側階層のマイクロLEDの上方で横方向に位置する領域において透明であり、その結果、下側階層のマイクロLEDによって生成される光は、そのような領域を通って伝搬することが可能である。
【0023】
より詳細には、ドライバ回路は、以下のように作製される。支持基板102は、個々のドライバ回路110のアレイが作製される基板である。一実施形態では、基板102は、Si基板である。別の実施形態では、支持基板102は、透明基板、たとえばガラス基板である。他の例示的な基板は、GaAs、GaP、InP、SiC、ZnO、およびサファイア基板を含む。ドライバ回路110は、マイクロLEDを駆動するための個々のピクセルドライバを形成する。基板102上の回路は、表面に突出する、各個々のピクセルドライバへのコンタクト110を含む。この回路は、各個々のピクセルドライバのための共通電極コンタクトを含んでもよい。各マイクロLEDもまた2つのコンタクト、すなわち、ピクセルドライバに接続された一方、および接地(すなわち、共通電極)に接続された他方を有する。
【0024】
示されていない代替実施形態では、ドライバ回路は、CMOSドライバ回路以外のドライバ回路を含むことができる。一例として、ドライバ回路は、薄膜トランジスタ(TFT)ドライバ回路を含んでよい。別の例として、ドライバ回路は、III-V族化合物半導体を使用する回路とすることができる。
【0025】
見やすくするために、図2Aは、6つのマイクロLEDおよび対応するピクセルドライバだけを示す。任意の数のマイクロLEDおよびピクセルドライバを使用することができることを理解されたい。完全にプログラム可能なディスプレイパネルでは、LEDおよびドライバ回路はアレイで配置され、個々にアドレス可能なピクセル、好ましくはマルチカラーピクセルのアレイを形成する。代替実施形態では、ディスプレイパネルは、より限られたプログラム可能性を有してよく、これらのピクセルは、異なる幾何形状で配置されてよい。さらに、ドライバ回路とLEDとの間の1対1対応は必要でない。たとえば、冗長性を生み出すために、2つ以上のLEDが同じピクセルドライバ出力に接続されることが可能であり、その結果、LEDの1つが故障した場合、残りのLEDは、依然としてピクセルを光らせることが可能である。
【0026】
また、マイクロLEDは、異なる手法で階層に分散されることができ、異なる数の階層があることもできる。一手法では、各階層は、無機マイクロLEDだけ、または有機マイクロLEDだけを含み、両方は含まない。1つの作製手法では、無機マイクロLEDを含む階層が最初に積層の下部において作製され、次いで、その後に有機マイクロLEDを含む上部階層が続く。無機階層は、階層当たり1色だけのマイクロLEDで作製され、その後に有機マイクロLEDのすべてを含む単一の上部階層が続いてもよい。
【0027】
色が無機マイクロLEDによって生成されるか、それとも有機マイクロLEDによって生成されるかの選択は、様々であってもよい。色は、紫外、青色、緑色、オレンジ色、赤色、および赤外を含むことができる。ここで、光、光の(optical)、および色などの用語は、紫外と赤外を共に含むことが意図されている。上記の例では、青色は、無機マイクロLEDによって生成され、赤色および緑色は、有機LEDによって生成された。場合によっては、無機マイクロLEDによってより短い波長が生成され、有機LEDによってより長い波長が生成される。
【0028】
図2Bは、代替設計を示し、ここでは、必ずしもすべてのマイクロLED141、142が構造のまさにその上部において共通電極に接続されていない。そうではなく、各階層151、152のマイクロLED141、142は、その特定の階層の上部に位置する構造167によって共通電極164に電気的に接続されている。この例では、赤色マイクロLED142Rは、構造167Rによって接続され、緑色マイクロLED142Gは、構造167Gによって接続され、青色マイクロLED141Bは、構造167Bによって接続される。異なるマイクロLED141、142を互いに接続されていない共通電極に接続することは、マイクロLEDの別々のバイアスを可能にする。
【0029】
図3は、別の実施形態による、集積マルチカラーLEDディスプレイパネルのいくつかのピクセルの断面図である。先の図2では、1つの色(青色)が無機マイクロLEDによって生成され、他の2つの色は、有機マイクロLEDによって生成された。図3では、2つの色(青色および赤色)が無機マイクロLED141によって生成され、第3の色(緑色)が有機マイクロLED142によって生成される。この例では、異なる色の無機LED141B、Rが別々の階層151B、R内で作製され、その結果、合計3つの階層151、152がある。無機マイクロLED141B、Rは、上側コンタクト金属パッド146および下側コンタクト金属パッド148を有する。必要に応じてビア147、149を使用して、一方148は、ピクセルドライバ110に接続され、他方146は、共通電極165に接続される。有機マイクロLED142Gは、ピクセルドライバ110に接続するために、下側コンタクト金属パッド148を有する。有機マイクロLEDは上部階層152内にあるので、LEDの上側は、共通電極165に直接接続されることができる。
【0030】
図2および図3に示されている構造は、以下のように作製することができる。最初に、ピクセルドライバ110が基板102上で作製される。次いで、無機マイクロLED141を含む階層151が、階層当たり1色で作製される。各階層は、最初にパターニングされていないエピタキシャル層を既存の構造に接合し、エピタキシャル層を個々のマイクロLEDへとパターニングし、ボンディング金属層を個々のパッドへとパターニングし、次いでビアを作製し、階層を充填および平坦化することによって作製される。図3の構造を例として使用すると、無機青色マイクロLEDのための階層151Bは、以下のように作製される。最初に、金属ボンディング層が、青色マイクロLED141Bのためのパターニングされていないエピタキシャル層、およびピクセルドライバに接触する基板に追加される。これらは、エピタキシャル層を基板に接合し、ピクセルドライバと電気接触するために使用される。エピタキシ基板を除去した後、エピタキシャル層および金属ボンディング層は、個々のマイクロLED141Bおよび下側コンタクト金属パッド148を形成するようにパターニングされる。上側コンタクト金属パッド146もまた追加される。充填材料153が追加され平坦化される。ビア147、149が作製される。このプロセスは、無機赤色マイクロLEDのための階層151Rを形成するように繰り返される。より詳細には、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願、特許文献7「Making Semiconductor Devices by Stacking Strata of Micro LEDS」を参照されたい。
【0031】
無機階層151のすべてが作製された後、有機マイクロLED142のすべてを含む単一の上部階層152が作製される。電子注入材料、電子輸送材料、異なるドーパントを有する発光層、正孔輸送材料、および正孔注入材料を含む有機LED層が、スピンコート法を使用して層ごとに堆積され、垂直方向にダイオード構造を形成する。次いで、有機LED層が個々のメサへとパターニングおよびエッチングされる。その後、別の絶縁ポリマー材料が、平坦化のためにコーティングされる。有機LEDメサの上部、および他の階層のビアが存在するエリアにコンタクト窓が開かれる。最後に、上部共通カソードコンタクト165が堆積される。
【0032】
代替手法では、有機マイクロLEDは、無機マイクロLEDと同じ層内に作製することができる。図4は、そのような設計を示す。ここでは、青色無機マイクロLED141Bが最初に基板102およびピクセルドライバ110Bの上部に作製される。次いで、これらの後に、赤色および緑色有機マイクロLED142が続き、これらは、青色LED間に位置決めされる。共通電極165がマイクロLED141、142に電気的に接続される。別々の階層、または階層を通るビアはない。
【0033】
図2図4では、共通電極165は、図5Aに示されているように、(不透明な)金属トレースのグリッドであることが可能である。図5Aは、デバイスを見下ろす上面図である。図5Aは、大きな方形で表される3つのマイクロLED140R、G、Bを示す。これらのマイクロLEDのそれぞれは、マイクロLEDの上部を階層の積層の上部に電気的に接続するビアおよび金属パッドの構造143を有する。これらは、図5Aにおいて小さな方形143によって表されている。長い矩形165は、ビア/金属パッド143に電気的に接続する共通カソードとして働く金属トレースである。
【0034】
あるいは、共通電極165は、図5Bに示されているように、インジウムスズ酸化物など透明電極であることが可能である。図5Bもまた、マイクロLED140R、G、Bおよびそれらの相互接続143を示す上面図である。この例では、共通電極165は、境界165によって画定された矩形の全体である。電極165は透明であるので、マイクロLEDのすべてを覆うことが許容される。矩形の輪164は、回路に接続する共通カソード金属パッドである。共通電極165はすべての階層の上方であり、一方、金属パッド164はすべての階層の下方であることに留意されたい。それらは、ビア163によって電気的に接続される。
【0035】
図6は、異なるピクセルの光分離を提供する追加の構造を示す。この例では、赤色ピクセル、緑色ピクセル、および青色ピクセルがマルチカラーピクセル610にグループ化され、階層内の構造は、隣り合うピクセルを光学的に分離するように機能する。これは、隣り合うマルチカラーピクセル610間のクロストークを低減することができる。図6では、この構造は、不透明な(吸収性の)仕切り622のグリッドである。あるいは、構造622は反射性であることが可能であり、これもまた、マイクロLEDによる光生成の方向性効率を増大するように機能することができる。各マイクロLEDのための下側コンタクト金属パッドもまた、反射性であることが可能である。
【0036】
図7は、一実施形態による、例示的なマイクロLEDディスプレイパネル700の上面図である。ディスプレイパネル700は、データインターフェース710と、制御モジュール720と、ピクセル領域740とを含む。データインターフェース710は、表示されることになる画像を定義するデータを受信する。このデータのソースおよびフォーマットは、応用例に応じて様々になる。制御モジュール720は、入来データを受信し、それをディスプレイパネル内のピクセルを駆動するのに適した形態に変換する。制御モジュール720は、受信されたフォーマットからピクセル領域740に適したものに変換するためのデジタル論理および/またはステートマシンと、データを記憶および転送するためのシフトレジスタまたは他のタイプのバッファおよびメモリと、デジタル-アナログコンバータおよびレベルシフタと、クロッキング回路を含む走査コントローラとを含んでよい。
【0037】
ピクセル領域740は、ピクセルのアレイを含む。これらのピクセルは、たとえば上記のように、ピクセルドライバと共にモノリシックに集積されたマイクロLED734を含む。この例では、ディスプレイパネル700は、カラーRGBディスプレイパネルである。それは、列で配置された赤色ピクセル、緑色ピクセル、および青色ピクセルを含む。列732Rは、赤色ピクセルであり、列732Gは、緑色ピクセルであり、列732Bは、青色ピクセルである。各ピクセル内では、LED734がピクセルドライバによって制御される。ピクセルは、先に示されている実施形態に従って、供給電圧(図示せず)、および接地パッド736を介しての接地に、また制御信号にも接続する。図7には示されていないが、LEDのp電極および駆動トランジスタの出力は、LED734の下で位置決めされ、それらは、ボンディング金属によって電気的に接続される。LED電流駆動信号接続(LEDのp電極とピクセルドライバの出力との間)、接地接続(n電極とシステム接地との間)、Vdd接続(ピクセルドライバのソースとシステムVddとの間)、およびピクセルドライバのゲートへの制御信号接続は、先に記載の様々な実施形態に従ってなされる。
【0038】
図7は、単に代表的な図である。他の設計が明らかになろう。たとえば、色は、赤色、緑色、および青色である必要はなく、等しい数の各色ピクセルである必要はない。また、それらは列またはストライプで配置される必要もない。4色ピクセルのセットが、たとえば2×2の方形として配置されることが可能である。個々のピクセルセルは、行または列アドレッシングを共有し、したがって行または列トレースの総数を削減するように配置されることも可能である。一例として、図7に示されているピクセルの方形マトリクスの配置は別として、ディスプレイパネル700を形成するために、ピクセルの六角形マトリクスの配置をも使用することができる。
【0039】
いくつかの応用例では、ピクセルの完全にプログラム可能な矩形アレイは、必要ない。様々な形状およびディスプレイを有するディスプレイパネルの他の設計が、本明細書に記載のデバイス構造を使用して形成されてもよい。例の1つの部類は、サイネージおよび自動車を含む特殊応用例である。たとえば、複数のピクセルが星または渦巻きの形状で配置され、ディスプレイパネルを形成してよく、LEDをオンとオフに切り替えることによって、ディスプレイパネル上の異なるパターンを生成することができる。別の特殊例は、自動車のヘッドライトおよびスマートライティングであり、ここでは、いくつかのピクセルが共にグループ化され、様々な照明形状を形成し、LEDピクセルの各グループは、個々のピクセルドライバによってオンもしくはオフに切り替えられ、または別の方法で調整されることができる。
【0040】
各ピクセル内のデバイスの横方向配置さえ、様々とすることができる。図2図4では、LEDおよびピクセルドライバは、垂直に配置される。各LEDは、対応するピクセルドライバ回路の「上部に」位置する。他の配置も可能である。たとえば、ピクセルドライバは、LEDの「背後」、「前面」、または「隣」に位置することも可能である。
【0041】
異なるタイプのディスプレイパネルを作製することができる。たとえば、ディスプレイパネルの解像度は、典型的には、8×8から3840×2160の範囲とすることができる。一般的なディスプレイ解像度は、320×240の解像度および4:3のアスペクト比を有するQVGA、1024×768の解像度および4:3のアスペクト比を有するXGA、1280×720の解像度および16:9のアスペクト比を有するHD、1920×1080の解像度および16:9のアスペクト比を有するFHD、3840×2160の解像度および16:9のアスペクト比を有するUHD、ならびに4096×2160の解像度を有する4Kを含む。サブミクロン以下から10mm以上に及ぶ広範なピクセルサイズがあることもできる。全体的なディスプレイ領域のサイズもまた広く様々とすることができ、数十ミクロン以下の小さい対角から数百インチ以上まで及ぶ。
【0042】
異なる応用例は、光の明るさについて異なる要件をも有することになる。例示的な応用例は、直視型ディスプレイ画面、家庭/オフィスプロジェクタ用のライトエンジン、ならびに、スマートフォン、ラップトップ、ウェアラブルエレクトロニクス、および網膜投影などポータブルエレクトロニクスを含む。電力消費は、網膜プロジェクタについての数ミリワットと低いものから大画面屋外ディスプレイ、プロジェクタおよびスマート自動車ヘッドライトについて数キロワットと高いものまで様々とすることができる。フレームレートの点では、無機LEDの高速応答(ナノ秒)により、フレームレートは、小解像度について、KHz、さらにはMHzと高いものとすることができる。
【0043】
詳細な説明は、多数の細目を含むが、これらは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでなく、本発明の異なる例および態様を例示するものにすぎないと解釈されてよい。本発明の範囲は、上記で詳細に論じられていない他の実施形態を含むことを理解されたい。たとえば、上記の手法は、LEDに加えて、およびピクセルドライバ以外の制御回路との機能デバイスの集積に適用することができる。非LEDデバイスの例は、垂直共振器面発光型レーザ(VCSEL)、光検出器、微小電気機械システム(MEMS)、シリコンフォトニックデバイス、パワー電子デバイス、および分布帰還型レーザ(DFB)を含む。他の制御回路の例は、電流ドライバ、電圧ドライバ、トランスインピーダンス増幅器、および論理回路を含む。
【0044】
当業者に明らかになるであろう様々な他の修正、変更、および変形が、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明の精神および範囲から逸脱することなしに本明細書に開示されている本発明の方法および装置の配置、動作、および詳細に加えられてよい。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの合法的な均等物によって決定されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7