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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/04 20060101AFI20221007BHJP
【FI】
A63H3/04 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020077231
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021171297
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】誉田 恒之
【審査官】大隈 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特許第6568621(JP,B1)
【文献】特許第6668535(JP,B1)
【文献】特開平9-290072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00~37/00
G09B 23/00~25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1形態と第2形態とに変化可能な玩具であって、
玩具の一方端部を成す第1主体要素と、他方端部を成し、前後方向の長さが前記第1主体要素よりも大きい第2主体要素と、前記第1主体要素と前記第2主体要素との間に配置され、前後方向の長さが前記第1主体要素及び前記第2主体要素よりも小さい第3主体要素と、を含む主体部と、
前記第1主体要素に回動可能に連結されている第1副体部を含む副体部と、を備え、
前記第1主体要素には第1切欠き部が形成されると共に、前記第2主体要素には第2切欠き部が形成され、前記第1切欠き部と前記第2切欠き部との対面状態において開口部が形成され、
前記第1形態において、前記主体部は、転動可能な球形状を成し、前記第1主体要素は、その外表面の一部が、前記第2主体要素の内表面に接するように係合し、前記第1副体部が前記開口部に収まることにより前記主体部の外表面の少なくとも一部と前記第1副体部の外表面の少なくとも一部とは、略連続する曲面を形成するように構成され、
前記第2形態において、前記第1主体要素と前記第2主体要素とが離間するように構成されている、
玩具。
【請求項2】
請求項1に記載の玩具であって、
前記主体部は、前記主体要素同士の位置を変位可能にする連結部にて連結されている、
玩具。
【請求項3】
請求項2に記載の玩具であって、
前記連結部は、前記主体要素の内表面側に突出する連結ブロックを有し、
前記連結ブロックには、前記連結ブロック同士を回動可能に連結する連結支持部が設けられている、
玩具。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の玩具であって、
前記第1形態は、少なくとも前記第1主体要素の第1端縁部と前記第2主体要素の第2端縁部とが近接して外殻を形成する形態であり、第2形態は、少なくとも前記第1端縁部と前記第2端縁部とが離間した形態である、
玩具。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の玩具であって、
前記第1形態および前記第2形態において、前記第1主体要素は、前記第3主体要素の一端部を覆い、前記第3主体要素の他端部は、前記第2主体要素の一端部を覆うように構成されている、
玩具。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の玩具であって、
前記第1形態において、前記第1主体要素及び前記第3主体要素は、一方の略片側半分を形成し、前記第2主体要素は、他方の略片側半分を形成する、
玩具。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の玩具であって、
前記第3主体要素は、その幅方向の端部が前記第1主体要素の幅方向の端部の内側に位置する、
玩具。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の玩具であって、
前記第3主体要素は、複数設けられ、前記第1形態および前記第2形態において、隣り合うもの同士で一方が他方の一部を覆うように重なり合って配置されている、
玩具。
【請求項9】
請求項に記載の玩具であって、
前記第3主体要素は、前記第1形態における重なり合いの面積が、第2形態における重なり合いの面積より小さくなるよう構成されている、
玩具。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の玩具であって、
前記主体部は、前記主体要素同士の位置を変位可能にする連結部にて連結され、
前記連結部は、前記主体要素の内表面側に突出する連結ブロックを有し、
前記連結ブロックには、前記連結ブロック同士を回動可能に連結する連結支持部が設けられ、
前記複数の第3主体要素の前記連結ブロックは、前記連結支持部以外の箇所がブロック側面方向から見て重なるように配置されている、
玩具。
【請求項11】
請求項10に記載の玩具であって、
前記連結部は、前記主体要素側とは反対側からプレートにて覆われている、
玩具。
【請求項12】
請求項11に記載の玩具であって、
前記プレートは、複数に分割されている、
玩具。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載の玩具であって、
前記副体部は、さらに第2副体部を含み、
前記第2副体部は、前記第1主体要素と前記第2主体要素にそれぞれ一対ずつで、前記第1形態において略対面する位置に設けられている、
玩具。
【請求項14】
請求項13に記載の玩具であって、
前記第2副体部は、前記第1形態において、一方の前記一対の第2副体部が他方の前記一対の第2副体部の間に収容可能に配置されている、
玩具。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の玩具であって、
前記第2副体部は、前記第1主体要素及び前記第2主体要素に回動可能に連結されている、
玩具。
【請求項16】
請求項1~15の何れか一項に記載の玩具であって、
前記玩具は、生物を模した形状であり、
前記第1形態は、生物が球状に丸まった形態であり、前記第2形態は、生物が伸張した形態である、
玩具。
【請求項17】
請求項1~16の何れか一項に記載の玩具であって、
前記第1形態は、前記主体要素を外殻とし、転動可能な形状に構成されている、
玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形態変化を可能とした玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、形態変化玩具においては、殻体が縮退状態と展開状態とに変化する物がある(例えば、特許文献1に参照)。
【0003】
特許文献1に記載された形態変化玩具は、並設された複数の殻片を有し、隣接する殻片同士が屈伸可能に連結され、屈伸によって、丸まった状態の縮退状態と伸びた状態の展開状態とを取り得る殻体を備え、付勢力によって殻体を縮退状態とさせる付勢手段を備えている。更に、殻体の一面側には展開手段が設けられ、展開手段は、付勢手段による付勢力に抗して殻体を一面側から押圧して殻体に一時的かつ間欠的に展開状態を取らせるように構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-247657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、殻体を閉じ状態にするための付勢手段やこの付勢手段の力に抗して展開する展開手段など構造が複雑化している。このため、構造の簡素と共にコンパクトし難いという課題を抱えている。また、殻体は、閉じ状態(縮退状態)において、内部の殆どを殻体で覆うような構造となっておらず、展開状態との形態変化の差が少なく形態変化を楽しむといった興趣性に課題があった。
【0006】
本発明は、模倣対象に相応の形態変化を可能とした従来よりも興趣性の高い玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、第1形態と第2形態とに変化可能な玩具であって、玩具の一方端部を成す第1主体要素と、他方端部を成す第2主体要素と、を含む主体部を備え第1形態において第1主体要素は、その外表面の一部が第2主体要素の内表面に接するように構成され第2形態において第1主体要素第2主体要素とが離間するように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、模倣対象に相応の形態変化を可能とした興趣性の高い玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態である玩具の第1形態を示す一部を破断した斜視図である。
図2】本発明の一実施形態である玩具の第2形態を示す斜視図である。
図3】本発明の玩具の分解斜視図である。
図4図3に示す連結部の分解斜視図である。
図5図1に示す玩具の側面図である。
図6図1に示す玩具の背面図である。
図7図1に示す玩具の上面図である。
図8図1に示す玩具の底面図である。
図9図7のA-A線に沿った部分の概略断面図である。
図10図7のB-B線に沿った部分の断面概略図である。
図11】第1形態から第2形態に移行するときの初期段階の状態を示す概略図である。
図12】玩具の第2形態を示す側面図である。
図13】玩具の第2形態における前後方向に沿って切断した断面図である。
図14】本発明の第1変形例の要部を示す斜視図である。
図15図14に示す要部の分解斜視図である
図16】本発明の第2変形例の要部を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態である玩具について、図面を参照して説明する。
先ず、図1及び図2を参照して玩具の第1形態と第2形態について簡単に説明する。
図1は、玩具1の第1形態1Aの斜視図であり、図2は、玩具1の第2形態1Bの斜視図である。
【0011】
玩具1は生物、具体的には動物のアルマジロを模した造形物である。そして、例えば、図1に示すように、アルマジロが外敵から身を守るときの丸まった形態を第1形態1Aとする。一方、図2に示すように、アルマジロが通常の状態を、第2形態1Bとしている。すなわち、玩具1は、後述する構成によって、外殻1shによって覆われる略球状形態となる第1形態1Aと、第1形態1Aとは形状が大きく異なる、アルマジロが伸張した形態となる第2形態1Bとに自在に変化することができる。
【0012】
第1形態1Aは、図1に示すように、図中上側の第1主体要素11と、下側の第2主体要素12と、両主体要素11,12間に配置された第3主体要素13と、を有する複数の主体要素が主体部10を構成し、この主体部10によって第1形態1Aの外殻1shが形成される。第1主体要素11と第2主体要素12は共に球欠形状である。そして、第1形態1Aにおいては、第1主体要素11の第1端縁部11eと第2主体要素12の第2端縁部12eとが近接することで略球形に近い外殻1shを形成している。
【0013】
一方、第2形態1Bは、図2に示すように、第1端縁部11eと第2端縁部12eとが離間して、第1主体要素11と第2主体要素12とが前後に並ぶ形態である。詳細には、第1主体要素11は、アルマジロの肩甲を模した肩甲部(一方端部)を成し、第2主体要素12は、腰甲を模した腰甲部(他方端部)を成す。また、第3主体要素13は、第1主体要素11と第2主体要素12との間に位置し、帯甲を模した帯甲部を成す。
【0014】
次に、図3及び図4を参照して玩具1の全体構成について説明する。
図3は、玩具1の分解斜視図であり、図4は、連結部の分解斜視図である。
玩具1の構造は、図3に示すように、大きく分けて、外殻1shを形成する主体部10と、アルマジロの肢部を模した副体部20と、主体部10及び副体部20を連結する連結部30と、により構成される。
【0015】
主体部10は、横断面形状が略半円形に構成されている。また、玩具1の前側に配置される第1主体要素11は、前後方向の長さが第2主体要素12よりも小さく構成されている。第1主体要素11の後側に配置される3つの第3主体要素13は、前後方向の長さが最も小さく構成されている。第3主体要素13の後側に配置される第2主体要素12は、その前後方向の長さが最も大きく構成されている。そして、主体部10の各主体要素は、前後方向に並んだ状態で連結部30により後述するように回動可能に連結される。
なお、第3主体要素13は、例えば、前方側から順に、前方第3主体要素13a、中央第3主体要素13b、後方第3主体要素13cにて構成されている。
【0016】
第1主体要素11には、前側に第1切欠き部11kが形成されている。この第1切欠き部11kに対応する位置には、後述する第1副体部21が設けられている。第1副体部21は、第1切欠き部11kから第1主体要素11の外側に突出可能である。また、第2主体要素12には、後側に第2切欠き部12kが形成されている。この第2切欠き部12kに対応する位置には、後述する第3副体部23が設けられている。第3副体部23は、第2切欠き部12kから第2主体要素12の外側に突出可能である。
【0017】
副体部20は、大きく分けて、例えば、頭甲部である第1副体部21と、前肢部及び後肢部である第2副体部22と、尾甲部である第3副体部23と、を備える。
第1副体部21は、その頭部表面が第1切欠き部11kを塞ぐように外殻1shを形成可能に構成されている。また、第1副体部21の後部には、略球形の嵌合凹部21cが形成されている。嵌合凹部21cは、取付けブロック41から前方に突設する張出し軸41tの先端に嵌合される。要するに、張出し軸41tの先端は、球形に形成され嵌合凹部21cと嵌合することで、第1副体部21は向きを変えられるように回動可能に取付けられる。なお、第1副体部21には、耳に相当する一対の耳部21eが取付けられる。
【0018】
第2副体部22は、一対の前肢22fと一対の後肢22rとを備える。前肢22fは、副体部本体である前肢脚部22fbと副体部副体である前肢足部22ftとを備えている。
前肢脚部22fbは、図中上側の嵌合凹部22cが後述する第1連結ブロック31の支持アーム31mの張出し軸31tに取付けられる。すなわち、支持アーム31mから左右に張出した張出し軸31tの左右先端には球状先端部が形成されており、前肢脚部22fbは、嵌合凹部22cが球状先端部に嵌合することで回動可能に取付けられる。また、前肢脚部22fbと前肢足部22ftとは、両端が球状先端部に形成された連結軸22gにより連結されている。したがって、前肢脚部22fbは自在に動くことができ、更に、前肢脚部22fbと前肢足部22ftとはその向きを自在に変えることができる。
【0019】
また、後肢22rは、副体部本体である後肢脚部22rbと副体部副体である後肢足部22rtとを備えている。また、後肢22rも前肢脚部22fbと同様に、嵌合凹部22cが後述する第5連結ブロック35の支持アーム35mの張出し軸35tに回動可能に取付けられる。また、後肢脚部22rbと後肢足部22rtとの連結構造についても、前肢脚部22fbと前肢足部22ftの取付け構造と全く同様に構成されている。したがって、後肢脚部22rbは自在に動くことができ、後肢脚部22rbと後肢足部22rtの向きも自在に変えることができる。
【0020】
第3副体部23は、第2主体要素12の内側に設けられた取付け部42に取付けられる。詳細には、取付け部42に形成された半球状の嵌合凹部42cと、第3副体部23の基端側に設けられた半球状の嵌合凹部23cとに対して、両端が球状先端部に形成された連結軸23gが嵌合することで、回動可能に取付けられる。
【0021】
連結部30は、主体部10の主体要素の数と一致する数の連結ブロックを備えている。詳細には、前方側から第1連結ブロック31、第2連結ブロック32、第3連結ブロック33、第4連結ブロック34及び第5連結ブロック35の順に前後方向に繋がっている。そして、各連結ブロックが各主体要素に対して、例えば嵌合や接着などにより適宜接続される。したがって、連結部30によって、各主体要素は連結状態が維持される。
【0022】
ここで、連結ブロックの連結構造について図4を参照して説明する。
図4は、連結部30の分解斜視図である。
連結部30は、図4に示すように、各連結ブロック同士を前後方向で繋ぐ連結支持部30jが設けられている。この連結支持部30jは、連結ブロックにおける前後方向の一端側の凹部30c内に被挟持部30pが設けられ、この被挟持部30pを挟持可能な上下一対の挟持片30qが隣接する連結ブロックに設けられた構成である。すなわち、挟持片30qが隣接する連結ブロックの被挟持部30pを挟持して、第1~第5連結ブロック31,32,33,34,35が前後方向に連結される。
【0023】
したがって、連結部30を組み立てる際には、例えば、挟持片30qと被挟持部30pとを押し込むことで、連結支持部30jは、挟持片30qの弾性変形によって被挟持部30pを挟持し連結することができる。
この連結状態においては、例えば、第2形態1Bから第1形態1Aに移行するときは、連結部30は、第1主体要素11と第2主体要素12を近づけるように曲げられる。このとき、連結部30が容易に曲がることで、主体部10の主体要素同士の位置を変位可能にしている。
【0024】
以下、図1及び図5図10を参照して、第1形態1Aについて説明する。
図5は、第1形態1Aにおける側面図、図6は第1形態1Aにおける背面図、図7は、第1形態1Aにおける上面図であり、図8は第1形態1Aにおける底面図である。
【0025】
第1形態1Aにおいては、前掲のように第2主体要素12は、図5及び図8に示すように、略下側半分をカバーする外殻1shとして構成されている。一方、図5図6及び図7に示すように、第1主体要素11は、第2主体要素12よりも小さいく構成され、第1主体要素11と3つの第3主体要素13とによって略上側半分をカバーする外殻1shとして構成されている。なお、第1主体要素11と第2主体要素12との間に配置された3つの第3主体要素13によって、第1形態1Aにおける背面側の外殻1shの連続性が維持されている。
【0026】
また、第1形態1Aにおいては、図1及び図5に示すように、第1主体要素11は、その一部が第2主体要素12の内側に入り込んだ状態となっている。すなわち、図1の破断部分に示すように、第1主体要素11の外表面10usの一部は、第2主体要素12の内表面10isに接するように内側に係合している。
【0027】
図9は、第1形態1Aにおける図7のA-A線に沿った断面図を示す。
図9に示すように、第1形態1Aにおいて、第1切欠き部11kと第2切欠き部12kとが対面状態で開口部1hが形成される。この開口部1hには、第1副体部21が収まるように位置することで、第1副体部21の頭部外表面21usが外殻1shの一部を成している。また、第2副体部22(22fb,22ft,22rb,22rt)は、外殻1shの内側に収容されている。
【0028】
また、第1形態1Aにおいては、図9に示すように、主体部10の外表面10usと第1副体部21の外面の一部を構成する頭部外表面21usとは、略連続する曲面を形成している。これにより、第1形態1Aにおいては、主体部10で形成される外殻1shによって転動し易い状態(転動可能)といえる。
【0029】
第3主体要素13は、図9に示すように、隣り合うもの同士間で一方が他方の一部を覆うように重なり合って配置されている。すなわち、前方第3主体要素13a、中央第3主体要素13b、後方第3主体要素13cにおいて、後方側の主体要素の一端部である先端部13itが、前方の主体要素の他端部である後端部13ttの内側に入り込むように重ねられている。また、前方第3主体要素13aの先端部13itは、第1主体要素11の内側に位置し、後方第3主体要素13cの後端部13ttは、第2主体要素12の外側に位置している。
【0030】
図10は、第1形態1Aにおける図7のB-B線に沿った断面概略図を示す。
図10に示すように、第1形態1Aにおいて、前肢22f(22fb,22ft)が後肢22r(22rb,22rt)の間に収容可能に設けられている。
【0031】
図11は、玩具1が第1形態1Aから第2形態1Bに移行するときの初期段階の状態を示す概略図である。
第1形態1Aの玩具1を展開する際には、第1主体要素11と第2主体要素12とを持って、開口部1hを開くように操作する。この操作により、第1主体要素11と第2主体要素12とは、第1端縁部11eと第2端縁部12eの距離が離れるよう開く。これにより、各主体要素(11,12,13)は連結部30に繋げられた状態のまま、湾曲した状態から伸張していく。
【0032】
図12は、玩具1の第2形態1Bの側面図を示す。図13は、第2形態1Bの断面図を示す。
前掲のごとく第1形態1Aから第2形態1Bに移行したときには、第3主体要素13は、その重なり合いを大きくするように移動する。すなわち、第3主体要素13同士は、第2形態1Bの重なり合う幅W2が、第1形態1Aの重なり合う幅W1よりも大きくなるように移動する。
【0033】
第1主体要素11と第2主体要素12の展開後には、第1副体部21、第2副体部22及び第3副体部23を適宜回転させて開く。これにより、図12及び図13に示すような伸張したアルマジロとすることができる。
【0034】
また、図12に示すように、第3主体要素13は、その幅方向の端部13wtが第1主体要素11の幅方向の端部11wtの内側に位置している。
【0035】
以上述べたように、本実施形態の玩具1によれば、主体部10は、第1形態1Aにおいては、外殻1shを構成して略球状形態となることができる。そして、第1形態1Aにおいて、第1主体要素11の第1端縁部11eの一部が第2主体要素12の第2端縁部12eの内側に位置し、第1主体要素11の外表面10usの一部が、第2主体要素12の内表面10isに接する。したがって、第1主体要素11と第2主体要素12とが接した状態で略連続する外殻1shを形成することができる。更に、第1主体要素11が第2主体要素12の内側に係合することで、両主体要素が位置ずれし難く第1形態1Aを維持し易くできる。
一方、第2形態1Bにおいては、玩具1は、第1主体要素11と第2主体要素12とが離間できるので、第1主体要素11と第2主体要素12とが並んだ形状の造形物を表現できる。
【0036】
また、本実施形態の玩具1では、主体部10は、各主体要素同士の位置を変位可能に連結されているので、各主体要素の位置関係を変る第1形態1A及び第2形態1Bに形態を変えることができる。
【0037】
また、本実施形態の玩具1では、連結部30は、主体要素同士を回動可能に連結することで、主体部10が連結された状態のまま主体要素の接近・離間を行うことができる。
【0038】
また、本実施形態の玩具1では、主体部10は、第1形態1Aでは、第1主体要素11と第2主体要素12とをその端縁部(第1端縁部11e,第2端縁部12e)同士を接近させることでコンパクトな形状にできる。一方、第2形態1Bでは、第1主体要素11と第2主体要素12は、連結された状態でその端縁部同士を開くように大きな形状に展開することができる。
【0039】
また、本実施形態の玩具1では、主体部10は、第1主体要素11と第2主体要素12との間に配置される第3主体要素13を備えることで、第1主体要素11と第2主体要素12との間をすき間無く繋ぐことができ、外殻1shを構成し易くできる。また、主体要素が多くなることで、第2形態1Bにおいて主体部10による造形物の形状を細かく表現できる。
【0040】
また、本実施形態の玩具1では、第3主体要素13は、その先端部13itが第1主体要素11の内表面側に位置する一方で後端部13ttが第2主体要素12の外表面側に位置するように構成、すなわち、隣合う主体要素同士がその表裏を交互に重ね合うように配置されることで、第1主体要素11と第2主体要素12との位置関係が大きく変化する場合(第1形態1Aと第2形態1B)においても、第1、第2主体要素11,12間の外殻1shの連続性が維持される。この結果、常に外殻1shの連続性を維持しつつ主体要素間の重なる面積を変えながら第1形態1Aと第2形態1Bとの変更を円滑に行うことができる。
【0041】
また、本実施形態の玩具1では、第1形態1Aにおいては、第1主体要素11と第3主体要素13で一方の半球が形成され、他方の半球が第2主体要素12により形成されることで、略連続する外殻1shからなる一つの球形状を構成することができる。
【0042】
また、本実施形態の玩具1では、第3主体要素13は、その幅方向(アルマジロの横幅方向)の端部13wtが第1主体要素11の幅方向の端部11wtの内側に位置する。これにより、第1形態1Aにおいて、第1端縁部11eと第2端縁部12eとを接近させるときに、第3主体要素13の両端部13wtが邪魔することがなく、第1端縁部11eが第2端縁部12eの内側に入り込み易くなる。
【0043】
また、本実施形態の玩具1では、第3主体要素13は、複数設けられ、第1形態1Aおよび第2形態1Bにおいて、隣り合うもの同士で一方が他方の一部を覆うように重なり合って配置されていることで、外殻1shの曲率変化に対応でき常時連続性のある部分として一つの部位を表現できる。
【0044】
また、本実施形態の玩具1では、第3主体要素13は、第1形態1Aにおける重なり合いの面積が、第2形態1Bにおける重なり合いの面積より小さくなるよう構成されている。したがって、第1形態1Aでは、第1主体要素11と第2主体要素12との間隔が大きくなる開く形状に対応し、第2形態1Bでは、第1主体要素11と第2主体要素12との間隔が小さく縮む形状に対応することができる。
【0045】
また、本実施形態の玩具1では、主体部10に連結される副体部20を備えることで更に複雑な造形物を表現できる。また、主体部10の外表面10usの少なくとも一部と副体部20の外表面の少なくとも一部(頭部外表面21us)とが、略連続する曲面を形成する。この構成により、第1形態1Aにおける主体部10と副体部20とで外殻1shを形成することができる。
【0046】
また、本実施形態の玩具1では、副体部20が複数設けられることで、より複雑な造形物を表現できる。
【0047】
また、本実施形態の玩具1では、第1副体部21は、第1主体要素11に回動可能に連結されていることで、第1主体要素11に対して、移動することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態の玩具1では、第1副体部21が開口部1hに対応する位置に設けられていることで、第1形態1Aにおいて、第1副体部21によって、開口部1hを閉じることが可能になる。
【0049】
また、本実施形態の玩具1では、第2副体部22は、前後に一対ずつ設けられているので、第1主体要素11に前肢22fとして、第2主体要素12に後肢22rとして形成できる。
【0050】
また、本実施形態の玩具1では、第1形態1Aにおいて、一対の前肢22fが一対の後肢22rの間に収容可能であるので、第2副体部22の省スペースができ第1形態1Aをよりコンパクトにできる。
【0051】
また、本実施形態の玩具1では、第2副体部22は、副体部本体である脚部(前肢脚部22fb,後肢脚部22rb)と副体部副体である足部(前肢足部22ft,後肢足部22rt)との複数部材にて構成されるので、複雑な形状並びに細かい動きを表現することができる。
【0052】
また、本実施形態の玩具1では、前肢脚部22fb及び後肢脚部22rbは、主体部10に回動可能に連結されているので、第1形態1A及び第2形態1Bの形態変化に対応して自在に動くことができる。
【0053】
また、本実施形態の玩具1では、第1形態1Aにおいて転動可能な球形状を維持し易い構成(第1主体要素11と第2主体要素12とが係合した構成)であることで、第1形態1Aにおいて、自動販売機の搬送経路を転がるような動作にも充分対応でき流通性が良い。
【0054】
本実施形態の第14変形例を図14及び図15に示す。図14は、連結部30を示す斜視図であり、図15は、連結部30の分解斜視図である。
【0055】
第1変形例は、図14及び図15に示すように、複数(3個)の第3主体要素13の連結ブロックには、隣り合う主体要素を回動可能にする2つの連結支持部30jが設けられている。より詳細には、第1連結ブロック31と第2連結ブロック32との間の連結支持部30jは、第1連結ブロック31の凸部31dが第2連結ブロック32の凹部32cに受容された状態において、凸部31dと凹部32cの左右両側面に設けられた、例えば半球状の凹凸嵌合部によって構成される。
【0056】
これと同じ凹凸嵌合部は、第2連結ブロック32の凸部32dと第3連結ブロック33の凹部33cとの間、第3連結ブロック33の凸部33dと第4連結ブロック34の第1凹部34cとの間、第4連結ブロック34の第2凹部34eと第5連結ブロック35の凸部35dとの間において同様に構成されている。
【0057】
また、連結ブロックにおいては、連結支持部30jのところ以外の箇所がブロック側面方向(左右方向)から見て重なるように配置されている。詳細には、第3連結ブロック33は、例えば湾曲して前後方向に延びる一対の第3アーム部33amを備えている。そして、この第3アーム部33amは、第2連結ブロック32の左右側面側まで前方へ延びている。また、第4結ブロック34は、第3アーム部33amと同様に湾曲した一対の第4アーム部34amを備えている。そして、この第4アーム部34amは、第3連結ブロック33の左右側面まで延びている。更に第4アーム部34amは、第3アーム部33amの下側に重なるように延びている。
【0058】
このように、本変形例の玩具1では、前方第3主体要素13a、中央第3主体要素13b及び後方第3主体要素13cの各連結ブロック32,33,34は、上記のごとく重なるように配置されていることで、狭い領域に集約可能であり、また、連結ブロック同士の回転角度大きくすることが可能になる。
【0059】
本実施形態の第2変形例を図16に示す。図16は、第2形態1Bにおける底面図である。
第2変形例は、図16に示すように、連結部30を、主体部10側とは反対側(裏面側)から覆う覆いプレート50が設けられている。また、覆いプレート50は、前後方向において、例えば、第1プレート51,第2プレート52,第3プレート53に分割されている。なお、覆いプレート50は、例えば、それぞれが別の連結ブロックに取付けられている。また、第3プレート53には、左右一対の切欠き53kが設けられている。この切欠き53kは、第1形態1Aにおいて、前肢22fの先端部分が進入するのを許容することができる。
【0060】
また、本変形例における玩具1では、連結部30を、裏面側から覆う覆いプレート50が取付けられていることで、連結部30を覆い保護することができる。また、第2形態1Bにおいて連結部30が見えないようにできる。
【0061】
また、覆いプレート50は、第2形態1Bにおいて、前後方向において複数に分割されているので、第1形態1Aにおいて分割部分で折り畳まれ、コンパクトにすることができる一方、第2形態1Bにおいては連結部30上に並ぶように展開された状態にできる。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば、上記実施形態においては、第3主体要素13は、3つとしたが、これに限定されるものではなくい。
【0063】
また、上記実施形態においては、連結部30の連結支持部30jの構造は、被挟持部30pと挟持片30qによる構造や嵌合凹凸部による構造としたが、これに限定されるものではなく、例えば、連結ブロック間を貫通する支軸等によって回転可能にする構造であっても良い。
【0064】
また、上記実施形態においては、前肢脚部22fb並びに後肢脚部22rbは、連結部30の支持アーム31m,35mに取付けるように構成したが、この構成に限るものではなく、連結部30とは別の支持構造であっても良い。
【0065】
また、上記実施形態においては、第1形態1Aにおいて、一対の前肢22fが一対の後肢22rの間に収容する構成としたが、これに限らず、一対の前肢22fの間に一対の後肢22rが収容される構成であっても良い。
【0066】
また、上記実施形態においては、第3副体部23を設ける構成としたが、第3副体部23を設けない構成であっても良い。
【0067】
また、本発明を適用した玩具の一例としてアルマジロを模したものを説明したが、主体部と副体部の形状、数および位置を変更することにより、他の生物、例えば、ハリネズミ等の生物を模倣対象とすることもできる。
【符号の説明】
【0068】
1 玩具
1A 第1形態
1B 第2形態
1h 開口部
1sh 外殻
10 主体部
10us 外表面
10is 内表面
11 第1主体要素
11e 第1端縁部
11k 第1切欠き部
11wt 第1主体要素の幅方向の端部
12 第2主体要素
12e 第2端縁部
12k 第2切欠き部
13 第3主体要素
13wt 第3主体要素の幅方向の端部
20 副体部
21 第1副体部
22 第2副体部
22fb 前肢脚部(副体部本体)
22ft 前肢足部(副体部副体)
22rb 後肢脚部(副体部本体)
22rt 後肢足部(副体部副体)
23 第3副体部
30 連結部
30j 連結支持部
31 第1連結ブロック(連結ブロック)
32 第2連結ブロック(連結ブロック)
33 第3連結ブロック(連結ブロック)
34 第4連結ブロック(連結ブロック)
35 第5連結ブロック(連結ブロック)
50 覆いプレート
図1
図2
図3
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