(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】エアバッグ及びエアバッグの製造方法
(51)【国際特許分類】
B60R 21/235 20060101AFI20221007BHJP
B60R 21/231 20110101ALI20221007BHJP
D03D 1/02 20060101ALI20221007BHJP
D06C 15/08 20060101ALI20221007BHJP
D06M 15/21 20060101ALI20221007BHJP
D06M 15/507 20060101ALI20221007BHJP
D06M 15/564 20060101ALI20221007BHJP
D06M 15/59 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
B60R21/235
B60R21/231
D03D1/02
D06C15/08
D06M15/21
D06M15/507
D06M15/564
D06M15/59
(21)【出願番号】P 2020517914
(86)(22)【出願日】2018-09-27
(86)【国際出願番号】 US2018053009
(87)【国際公開番号】W WO2019067655
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-05-25
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317013603
【氏名又は名称】インヴィスタ テキスタイルズ(ユー.ケー.)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハント,ニール
(72)【発明者】
【氏名】シャーマ,ヴァルネシュ
(72)【発明者】
【氏名】タウンソン,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ゴティエ,アン
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0151882(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0026740(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0087848(KR,A)
【文献】特表2008-507455(JP,A)
【文献】特表2009-536125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16
D03D 1/00-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワンピース織布(OPW)エアバッグからの空気漏れを低減させる方法であって、
シームを有するOPWエアバッグを形成することと、
前記OPWエアバッグの1つ以上の
シームにホットメルトシーラント材料を塗布することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記シーラント材料を前記1つ以上の
シームに塗布する前に、前記OPWエアバッグをカレンダー加工することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シーラント材料を前記1つ以上の
シームに塗布した後に、前記OPWエアバッグ上に軽量コーティングを適用することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記軽量コーティングが、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン及びポリエステルから選択される軽量フィルムの形態であるか、又は≧5g/m
2~≦40g/m
2、及び≧5g/m
2~≦20g/m
2からなる群から選択される範囲から選択される単位面積あたり重量を有する、ポリ-ジメチレンシロキサンなどのシリコーン系コーティング、ポリウレタン及びポリクロロプレンなどのゴム組成物の分散体から形成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ホットメルトシーラント材料が、≧50℃~≦180℃、又は≧120℃~≦160℃などの、前記OPWエアバッグの布地よりも低い溶融範囲を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記シーラント材料を前記OPWエアバッグ
シームに溶融、接着、及び圧縮することと、必要に応じて前記シーラント材料の塗布後に前記OPWエアバッグをカレンダー加工することと、を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ホットメルトシーラント材料が、可視光範囲内の紫外線蛍光によって照射されたときに、前記方法が紫外線による前記ホットメルトシーラント材料の塗布をトレーシングすることを更に含む、トレーサー化合物を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ホットメルトシーラント材料が、微小孔貫通性、低粘度、低表面張力シーラント、低厚フィルム、接着剤ウェブ、又は不透過性多層フィルムから選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ホットメルトシーラント材料が、熱、光、又は化学架橋(大気湿気への曝露によるものを含む)によって硬化可能な低粘度シーラントである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記OPWエアバッグが、その膨張状態の持続時間の増加を呈する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
例えば前記OPW
シームから離れて前記OPWチャンバ内に0.3cmなど、前記OPW
シームから離れて前記OPWチャンバ内に≧0.2~≦0.4cmに配置された、
シーム全体の周囲にダブルステッチを形成することを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
OPWエアバッグであって、
ワンピース織布布地を備え、複数の織布層を有する前記布地の主部分と、前記主部分よりも少ない織布層を有する前記布地の副部分と、主部分の縁と、主部分及び副部分との間の
シームと、を有し、
前記
シームが、ホットメルトシーラント材料によってコーティングされる、OPWエアバッグ。
【請求項13】
前記
シームが、前記OPWエアバッグの前記表面積の≧2%且つ≦14%を構成する、請求項12に記載のOPWエアバッグ。
【請求項14】
前記ホットメルトシーラント材料が、≧50℃~≦180℃、又は≧120℃~≦160℃の融点範囲を有する反応性ポリウレタンである、請求項12又は13に記載のOPWエアバッグ。
【請求項15】
前記エアバッグが、前記ホットメルトシーラント材料の塗布前にカレンダー加工される、請求項12~14のいずれか一項に記載のOPWエアバッグ。
【請求項16】
前記エアバッグの前記主部分、前記副部分及び前記
シームの部分が、シリコーン系コーティング(ポリ-ジメチレンシロキサンなど)、ウレタン(ポリウレタンなど)及びゴム組成物(ポリクロロプレンなど)から選択される軽量コーティングによってコーティングされ、前記軽量コーティングが、
a.≧5g/m
2~≦40g/m
2、及び
b.≧5g/m
2~≦20g/m
2、からなる範囲の群から選択される単位面積あたり重量を有する、請求項12~15のいずれか一項に記載のOPWエアバッグ。
【請求項17】
前記布地の前記主部分が、100cm
2の試験面積及び500Paの試験圧力による静的空気透過率によって測定される、≦1l/dm
2/分のガス透過率によって特徴付けられる、請求項12~16のいずれか一項に記載のOPWエアバッグ。
【請求項18】
前記布地の前記主部分が、<70μmのRMS表面粗さ値を与えるレーザ表面形状測定によって特徴付けられるような低い表面平坦性を呈する、請求項12~17のいずれか一項に記載のOPWエアバッグ。
【請求項19】
前記ホットメルトシーラント材料が、100g/m
2未満のレベルで存在する、請求項12~18のいずれか一項に記載のOPWエアバッグ。
【請求項20】
シーム封止と組み合わせて、コーティングされていない布地から作製される、請求項12~19のいずれか一項に記載のOPWエアバッグ。
【請求項21】
以下からなる範囲の群から選択される前記エアバッグの表面全体にわたる平均コーティング重量を有する、請求項12~19のいずれか一項に記載のOPWエアバッグ。
a.≧10g/m
2~≦65g/m
2、
b.≧10g/m
2~≦35g/m
2、及び、
c.≧10g/m
2~≦25g/m
2。
【請求項22】
前記エアバッグ布地がカレンダー加工されており、軽量フィルムが、前記カレンダー加工されたエアバッグ布地に適用されている、請求項12に記載のOPWエアバッグ。
【請求項23】
前記軽量フィルムが、別個の
シーム封止の不在下で適用されている、請求項22に記載のOPWエアバッグ。
【請求項24】
前記軽量フィルムが、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン及びポリエステルから選択される少なくとも1つを含む、請求項22又は23に記載のOPWエアバッグ。
【請求項25】
前記軽量フィルムが、例えば≧20g/m
2~≦40g/m
2など、≧10g/m
2~≦50g/m
2の単位面積あたり重量を有する、請求項24に記載のOPWエアバッグ。
【請求項26】
例えば前記OPW
シームから離れて前記OPWチャンバ内に0.3cmなど、前記OPW
シームから離れて前記OPWチャンバ内に≧0.2~≦0.4cmに配置された、前記
シーム全体の周囲にダブルステッチを更に含む、請求項12~25のいずれか一項に記載のOPWエアバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグ及びそれによって製造されるエアバッグの製造方法に関する。本明細書に開示される方法は、それらの縫い目からの漏れが減少したエアバッグを製造するために使用されることができ、したがって、エアバッグの膨張状態の持続時間の増加をもたらす。
【背景技術】
【0002】
膨張式エアバッグは、車両安全システムの主要構成要素である。エアバッグは、自動車用途において現在標準的な膨張式受動的安全拘束装置の一形態である。近年、エアバッグの数及びこれらエアバッグのカバレッジの面積が増加している。使用中の複数のエアバッグ構成は、前側座席領域のため、側方衝撃保護のため、後部座席使用のため、ヘッドライナ領域の膨張式カーテンにおける使用のため、及び膨張式シートベルトにおける使用のためのエアバッグを含む。
【0003】
より最近では、とりわけ、側方及び横方向の車両衝突中の頭部及び上半身保護に対するより大きな需要が存在している。側方衝撃クラッシュで死亡した乗員は、典型的には、頭部、首、及び上半身の傷害の発生がより高い。既存の運転手側、乗員側、及びより最近では、側方衝撃クッションは、傷害を防止又は制限するのに役立つが、特にロールオーバー状態又は他の車両からのクリアサイドストライクの場合、乗員の頭部を保護するようには設計されていない。
【0004】
ロールオーバー状態の間に頭部及び上半身を保護するために、典型的には自動車の屋根又は屋根支持体に設置されるエアバッグカーテンが設計されている。センサがエアバッグカーテンを作動させるようにトリガされると、カーテンは、車両の窓の部分を少なくとも部分的に覆うか、又は場合によっては、車両の内側全体を覆うように拡張する。ロールオーバーバ保護用に設計されたエアバッグは、好ましくは膨張したバッグを跳ね返すのを可能にするのではなく打撃を緩衝するためにバッグとの乗員の衝撃中にいくらかの空気を失う前部衝撃エアバッグと比較して、より長期間にわたって膨張したままであるように設計されている点で、従来の前部エアバッグ及び側方エアバッグとは異なる。
【0005】
有効な膨張の要件を満たすために、ロールオーバー保護用エアバッグ布地は、空気透過率及び気孔率の異なる測定によって特徴付けられる空気の通過に抵抗する能力を有しなければならない。したがって、織布ナイロン又はポリエステルロールオーバーバーエアバッグは、非常に低い気孔率及びそれに応じて低い空気透過率を有することが望ましい。糸の線密度、ツイスト係数、織布構造並びに厚さ及び重量などの布地特性は、全て空気透過率に影響を及ぼすが、通常、工業規格を満たすために、コーティング又は追加層をエアバッグ布地に追加することが必要である。
【0006】
しかしながら、自動車の傾向がより小さくて軽い車両に移行するのにつれて、エアバッグなどの必須の安全項目にとって利用可能な空間が少ないことがある一方で、エアバッグの一部は、進化した自動車安全基準を満たすために物理的により大きくされる必要がある。これは、一部のエアバッグがより大きくされる必要がある一方で、より小さくされる必要がある一部のエアバッグモジュールの問題のある状況がもたらされている。より高い圧力及び/又は温度でエアバッグを詰め込む方法が進化している。そのような方法は、モジュール内のエアバッグの収納性の改善をもたらすが、それらはまた、高価であり、エアバッグモジュールの製造プロセスに複雑さを追加する傾向がある。
【0007】
空気及び液体不透過性構造体を作製することは、従来、ギャップコーティング、リバースロール、ロータリースクリーン、転写、押出、ホットメルト、ラミネーション、含浸及び計量ロッドのようなプロセスから、様々な形態のコーティングされた布地を介して達成されてきた。得られた構造体の全ては、ベース布地に著しいコスト及び厚さを加える。
【0008】
それらの複雑さに応じて、エアバッグは、切断されて縫合される平織り布地、又は織布縫い目を有するワンピース(ワンピース織布又はOPW)から作製されることができる。これらのOPWエアバッグは、パターン及び設計を作製する際に設計者に甚大な柔軟性を与える。それらはまた、製造工程の数を低減し、それによって製造時間を最小化する。OPWエアバッグは、様々なパターン及び形状で様々な縦糸及び横糸材料から、現代の高速製織機において製織される。
【0009】
従来のOPW概念の問題は、ロールオーバーバ状況において必要とされる期間にわたって空気を保持することができないということである。いくつかのOPW設計は、膨張時間要件を満たすためにクッションの外面上にコーティングを利用し、これは、クッションの各側面上に最大150g/m2でコーティングされる必要がある。これは、バッグの平織り領域からバッグの縫い目領域への遷移に起因する。バッグが膨張するのにつれて主焦点であるこの移行領域は、織布の表面から外部コーティングを分離する傾向があり得て、バッグの縫い目に漏れをもたらす。エアバッグ布地(OPWエアバッグ布地を含む)は、例えば、ナイロン-6,6などのポリアミドエアバッグ布地など、エアバッグ布地の合成繊維内でフィラメントを少なくとも部分的に変形させて融合させる条件下でカレンダー加工されることができる。移行領域の挙動は、カレンダー加工が、「縫い目」とも呼ばれるこれらの移行領域の空気透過率を十分に改善しない点で、特に問題があることが判明している。エアバッグ布地(特に、OPWエアバッグ布地)の他の(非移行又は非縫い目)領域における空気透過率を低減するために許容可能であることが証明されているコーティングは、移行領域(「縫い目」)において許容可能に良好に実施されていない。カレンダー加工されたエアバッグ布地の例は、2017年5月11日に公開された国際公開第2017/079499号、及び2018年4月26日に出願されたPCT/US2018/029504号に開示されている。
【0010】
米国特許出願公開第2002/0140218号明細書は、上層、下部層、及び接合縁を有するワンピース織布エアバッグを開示している。コーティング又はラミネート層は、上層及び下層の内側に関連付けられ、接合縁は、バッグの内部に位置付けられる。エアバッグを製造する方法は、ワンピースバッグを形成することと、バッグを切断することと、バッグを内側に回転させることと、バッグを閉じることと、を含む。バッグは、層のコーティングされた側及び接合縁がバッグの内部に配置されるように、切断部を介して裏返される。
【0011】
米国特許第7,780,194号明細書及び同第8,733,788号明細書は、その
図1及び
図4において、それぞれ、2つの層が単一層に織られている、ワンピース織布エアバッグの断面図を示している。米国特許第7,686,331号明細書は、その
図2及び
図3において、側方カーテンエアバッグの位置及び構成を示している。
【0012】
しかしながら、膨張状態の安全な持続時間を依然として示す、詰め込み容積が低減された改良されたロールオーバーエアバッグに対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、エアバッグの膨張状態の持続時間の増加を有するエアバッグ及びその製造方法に関する。したがって、本発明の態様は、ワンピース織布(OPW)エアバッグからの空気漏れを低減させる方法に関する。
【0014】
本明細書では、ワンピース織布(OPW)エアバッグからの空気漏れを低減させる方法であって、当該方法が、縫い目を有するOPWエアバッグを形成することと、ホットメルトシーラント材料をOPWエアバッグの1つ以上の縫い目に塗布することと、を含む、方法が提示される。
【0015】
一形態では、本方法は、更に、シーラント材料を1つ以上の縫い目に塗布する前に、OPWエアバッグをカレンダー加工することを含む。
【0016】
他の形態では、本方法は、更に、シーラント材料を1つ以上の縫い目に塗布した後に、OPWエアバッグ上に軽量コーティングを塗布することを含む。
【0017】
この形態では、軽量コーティングは、≧5g/m2~≦40g/m2、及び≧5g/m2~≦20g/m2からなる群から選択される範囲から選択される単位面積あたり重量を有する、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン及びポリエステルから選択される軽量フィルムの形態とすることができ、又はポリ-ジメチレンシロキサン、ポリウレタン及びポリクロロプレンなどのゴム組成物などのシリコーン系コーティングから形成されることができる。
【0018】
他の形態では、ホットメルトシーラント材料は、≧50℃~≦180℃、又は≧120℃~≦160℃などのOPWエアバッグの布地の溶融範囲よりも低い溶融範囲を有する。
【0019】
更に他の形態では、本方法は、更に、シーラント材料をOPWエアバッグ縫い目に溶融、接着、及び圧縮することと、必要に応じてシーラント材料の塗布後にOPWエアバッグをカレンダー加工することと、を含む。
【0020】
有利には、ホットメルトシーラント材料は、更に、可視光範囲内の紫外線蛍光によって照射されたときに、本方法が更に紫外線によるホットメルトシーラント材料の塗布をトレーシングすることを含む、トレーサー化合物を含む。
【0021】
便宜上、ホットメルトシーラント材料は、微小孔貫通性、低粘度、低表面張力シーラント、低厚フィルム、接着剤ウェブ、又は不透過性多層フィルムから選択される。
【0022】
他の形態では、ホットメルトシーラント材料は、熱、光、又は化学架橋(大気湿気への曝露によるものを含む)によって硬化可能な低粘度シーラントである。
【0023】
有利には、OPWエアバッグは、その膨張状態の持続時間の増加を呈する。
【0024】
一形態では、本方法は、更に、例えばOPW縫い目から離れてOPWチャンバ内に0.3cmなど、OPW縫い目から離れてOPWチャンバ内に≧0.2~≦0.4cmに配置された、縫い目全体の周囲にダブルステッチを形成することを含むことができる。
【0025】
また、本明細書では、布地の主部分は複数の織布層を有し、布地の副部分は主部分よりも少ない織布層を有し、移行部又は縫い目が、別個の主部分を、及び主部分を副部分に接続し、縫い目はホットメルトシーラント材料によってコーティングされる、ワンピース織布を含むOPWエアバッグが提示される。
【0026】
この形態では、縫い目(移行部)は、OPWエアバッグの表面積の≧2%及び≦14%を構成する。
【0027】
一形態では、ホットメルトシーラント材料は、≧50℃~≦180℃、又は≧120℃~≦160℃の融点範囲を有する反応性ポリウレタンである。
【0028】
他の形態では、エアバッグは、ホットメルトシーラント材料の塗布前にカレンダー加工される。
【0029】
有利には、OPW全体は、更に、≧5g/m2~≦40g/m2及び≧5g/m2~≦20g/m2からなる群から選択される範囲から選択される単位面積あたり重量を有する、ポリ-ジメチレンシロキサン、ポリウレタン及びポリクロロプレンなどのゴム組成物などのシリコーン系コーティングから選択される軽量コーティングを含む。
【0030】
更に、布地の主部分は、100cm2の試験面積及び500Paの試験圧力による静的空気透過率によって測定される、<1l/dm2/分のガス透過率によって特徴付けることができる。
【0031】
一形態では、布地の主部分は、<70μmのRMS表面粗さ値を与えるレーザ表面形状測定によって特徴付けられるような低い表面平坦性を呈する。
【0032】
他の形態では、ホットメルトシーラント材料は、100g/m2未満のレベルで存在する。
【0033】
膨張したOPWエアバッグからの漏れの主部位は、漏れ試験中に定性的に観察されることができるが、エアバッグの特定の部分を介して正確な漏れ率を定量化することは困難である。
【0034】
他の形態では、エアバッグは、縫い目封止と組み合わせて、コーティングされていない布地から作製されることができる。
【0035】
一形態では、エアバッグは、≧10g/m2~≦65g/m2、又は≧10g/m2~≦35g/m2、更には≧10g/m2~≦25g/m2の平均コーティング重量を有することができる。
【0036】
いくつかの形態では、エアバッグ布地は、カレンダー加工され、軽量フィルムは、カレンダー加工されたエアバッグ布地に適用される。
【0037】
この形態では、軽量フィルムは、別個の縫い目封止の不在下で適用されることができ、軽量フィルムは、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、及びポリエステルから選択される少なくとも1つとすることができる。
【0038】
有利には、軽量フィルムは、例えば≧20g/m2~≦40g/m2など、≧10g/m2~≦50g/m2の単位面積あたり重量を有する。
【0039】
他の形態では、エアバッグは、更に、例えばOPW縫い目から離れてOPWチャンバ内に0.3cmなど、OPW縫い目から離れてOPWチャンバ内に≧0.2~≦0.4cmに配置された、縫い目全体の周囲にダブルステッチを含むことができる。
【0040】
更に、本明細書では、OPWエアバッグからの空気漏れを低減するための方法であって、当該方法が、OPWエアバッグをカレンダー加工することと、OPWエアバッグにフィルムをラミネートすることと、を含む、方法が提示される。
【0041】
有利には、OPWエアバッグのカレンダー加工は、許容可能な漏れ特性を維持しながら、より軽量のフィルムがエアバッグに適用されることを可能にする。
【0042】
一形態では、OPWエアバッグのカレンダー加工は、面内ガス流によってエアバッグの切断縁を通る漏れ率を低減する。
【0043】
この形態では、布地中の孔サイズの分布は、単一層領域の厚さを介して不均質である。
【0044】
他の形態では、フィルムは、軽量フィルムがラミネーションに使用されることができるように布地の厚さ透過率が変更されるように、熱及び/又は圧力によって適用される。
【0045】
本開示は、様々な変更形態及び代替形態を受けやすいものであり、その特定の例示的な実装が図面に示されており、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、特定の例示的な実装の本明細書の説明は、本開示を本明細書に開示される特定の形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【発明を実施するための形態】
【0047】
エアバッグの膨張状態の持続時間の増加を伴うエアバッグの製造方法が本明細書に開示される。
定義
【0048】
本明細書で使用される場合、「エアバッグ」とは、軍事及び航空用途を含む、自動車及び多くの他の形態の輸送体用の膨張式受動的安全拘束を意味する。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「軽量フィルム」とは、例えば、≧20g/m2~≦40g/m2など、≧10g/m2~≦50g/m2の重量を有するフィルムを意味する。好適な化学物質は、単に少数の非限定的な例を指すと、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン及びポリエステルを含む。軽量フィルムは、追加の接着剤層を必要とすることがあるか、又は自己接着性であってもよいことを理解されたい。
【0050】
用語「縫い目」は、織布布地の複数の層を有するエアバッグの別個の主部分間、又はエアバッグの主部分とより少ない布地層を有する副部分との間の移行部を表すOPWエアバッグの一部を指す。縫い目又は移行部は、別個の主部分間、及び主部分と副部分との間に延在して縁を接続する。例えば、エアバッグの主部分は、布地の2つの織布層を有することができ、縫い目は、織布の1つの層のみを有することができるが、縫い目が主部分よりも少ない層を有する限り、織布の任意数の層が存在することができる。縫い目の面積は、OPWエアバッグ表面の例えば≧4%~≦18%、例えば≧6%~≦16%、例えば≧10%~≦15%、例えば14%未満など、OPWエアバッグの表面積の約≧2%~約≦20%とすることができ、エアバッグ表面の主部分及び副部分は、表面の残りの部分とすることができる。用語「縫い目」及び「移行部」は、互換的に使用されることができる。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「低粘度シーラント」は、塗布条件下で、織布中の空隙を少なくとも部分的に充填して空気透過率を減少させる材料を意味する。好適な粘度範囲の例は、例えば、≧10,000mPa・s~≦40,000mPa・s、更には≧20,000mPa・s~≦40,000mPa・sなど、≧6,000mPa・s~≦50,000mPa・sを含む。
説明
【0052】
本明細書に開示される方法は、OPWエアバッグからの空気漏れを低減させることを目的とし、縫い目を有するOPWエアバッグを形成することと、ホットメルトシーラント材料をOPWエアバッグの1つ以上の縫い目に塗布することと、を含む。有利には、ホットメルト封止材料は、1つ以上の縫い目にのみ塗布され、エアバッグの残部には塗布されない。
【0053】
本方法は、更に、OPWエアバッグ上に軽量コーティングを塗布することを含むことができる。この非限定的な実施形態では、ホットメルトシーラント材料は、例えばシリコーンエラストマ又はポリウレタンコーティングとすることができる軽量コーティングを塗布する前に1つ以上の縫い目に塗布されることができる。
【0054】
エアバッグは、縫い目封止材料の塗布前又は後のいずれかでカレンダー加工されることができ、必要に応じて縫い目封止材料を縫い目に塗布する前に擦り取ることができる。例えば、OPWエアバッグは、ホットメルトシーラント材料及び/又は軽量コーティングの塗布後にカレンダー加工されることができる。OPWエアバッグのカレンダー加工は、5m/分の線速度、225℃のシリンダ温度、及び布地幅の力400N/mmを有する57MPaのニップ圧力で行うことができる。布地の擦り取りは、浴中の温度を85℃~95℃に上昇させ、12m/分で布地を通過させた後、10m/分の線速度で120℃の4つのゾーンテンターオーブン内で布地を乾燥させることによって行うことができる。その後、コーティングが塗布されることができる。
【0055】
塗布されることができるホットメルトシーラント材料の非限定的な例は、SIKAからの反応性ポリウレタンSikaMelt 9676などの熱可塑性樹脂、並びに、溶融ビーズ、溶融粉末、又は溶融ペレットの形態のものなど、Gluetex GmbHからのSST 800などの単一層又は多層接着テープなどの押出フィルムを含む。また、ホットメルトシーラント材料が、可視光範囲内の紫外線蛍光によって照射されるときにストークスシフト染料又は顔料などのトレーサー化合物を含む場合に有利とすることができる。そのようなトレーサー化合物を含めることにより、ホットメルトシーラント材料のカバレッジ範囲は、縫い目へのその塗布中に紫外線によってトレースされることができる。
【0056】
他の非限定的な実施形態では、縫い目封止材材料は、OPWエアバッグ縫い目の孔内に浸透することができる低粘度シーラントとすることができる。負圧の印加及び流体粘度と表面張力との組み合わせによる毛細管力の調整など、低粘度流体によって微孔性材料を充填することが知られている様々な技術が使用されてシーラントを塗布することができる。ホットメルトシーラント材料は、溶融ビーズ、溶融粉末、溶融ペレット、微小孔貫通性、低粘度、低表面張力シーラント、低厚フィルム、接着剤ウェブ、又は不透過性多層フィルムから選択され、有利には、熱、光、又は化学架橋(例えば、大気湿気への曝露によって硬化可能)によって硬化可能な低粘度シーラントである。好適な低粘度シーラントは、架橋性シリコーンシーラント、低厚フィルム、接着剤ウェブ、又はコポリアミド、コポリエステル、ポリオレフィン、又はポリウレタンのフィルムなどの不透過性多層フィルムとすることができる。
【0057】
有利には、縫い目シーラントは、熱、光又は化学架橋(大気湿気への曝露を含む)によって硬化されることができるものであり、≧50℃~≦180℃、又は≧120℃~≦160℃などのOPWエアバッグの布地の溶融範囲よりも低い溶融範囲を有するものとすることができる。縫い目封止化合物又は縫い目封止接着剤は、例えば≧30g/m2~≦80g/m2、例えば≧40g/m2~≦60g/m2など、≧20g/m2~≦100g/m2のレベルで存在することができる。
【0058】
本方法は、更に、OPWエアバッグ上に軽量コーティングを塗布することを含むことができる。好適な軽量コーティングの非限定的な例は、ポリジメチレンシロキサン、ポリウレタン系コーティング、及びポリクロロプレンなどのゴム組成物などのシリコーン系エラストマを含む。あるいは、軽量コーティングは、低厚フィルム、接着剤ウェブ、又は例えば、コポリイミド、コポリエステル、ポリオレフィン、又はポリウレタンフィルムなどの不透過性多層フィルムの形態で塗布されることができる。軽量コーティングは、約≧5g/m2~≦40g/m2、又は約≧8g/m2~≦30g/m2、更には約≧10g/m2~≦20g/m2の単位面積あたり重量で塗布されることができる。軽量コーティング材料供給元は、Shin-Etsu、Bluestar及びDow Comingを含む。
【0059】
有利には、ホットメルトシーラント材料は、OPWエアバッグ全体に軽量コーティングを塗布する前に、1つ以上の縫い目に塗布されることができる。必要に応じて、軽量コーティングは、主部分のみに、又は主部分及び副部分のみに添加されてもよい。
【0060】
限定量のコーティングを使用する本開示の方法は、典型的なより高い重量のコーティングされた布地の機能的特性と一致する布地を提供する。シーラントのより重いコーティング量は、OPWエアバッグのより小さい区分、即ち縫い目に限定されるため、本方法は、エアバッグ全体にわたって低い平均コーティング重量を有するOPWエアバッグをもたらす。例えば、エアバッグ上の平均コーティング重量は、約35g/m2~約50g/m2、更には約25g/m2~約35g/m2など、約65g/m2以下とすることができる。低平均コーティング重量は、エアバッグの総重量を制限する際に有利であり、また、エアバッグの詰め込み能力を少量に拡張する際に有利である。
【0061】
他の非限定的な実施形態では、この方法は、更に、OPWエアバッグの1つ以上の縫い目に軽量コーティングを塗布する前に、OPWエアバッグのカレンダー加工を含み得る。エアバッグのカレンダー加工は、圧力を印加することによって、布地の面内多孔性の変更をもたらすことができる。同様に、カレンダー加工及びラミネーションの組み合わせは、布地の面内の空気流の機構が大幅に低減されるように、布地の面内多孔性を変更することができ、したがって、改善された膨張寿命を有するより多くのOPWエアバッグが作製されることができる。
【0062】
更に、エアバッグ布地の主部分の面内多孔性の低減は、エアバッグのその部分の不透過率を向上させるために塗布される必要があり得る任意量の軽量コーティングを低減することができ、全体の重量削減及び向上した詰め込み性をもたらす。
【0063】
開示される発明から生じる望ましい技術的効果は、透過率を低減するために非常に軽量のフィルム又は軽量コーティングを適用することを可能にする布地及びより平坦な布地表面のより低い透過率を含むことができる。
【0064】
他の非限定的な実施形態では、本方法は、更に、縫い目の前方のOPWエアバッグの領域内にダブルステッチ部分を織ること、又は例えば、OPW縫い目から離れてOPWチャンバ内に0.3cmなど、OPW縫い目から離れてOPWチャンバ内に≧0.2~≦0.4cmに配置された縫い目全体の周囲にダブルステッチを形成することと、を含むことができる。
【0065】
図1A及び
図1Bは、より多い数の層を有する主布地領域110と、1つ以上の縫い目(移行領域)120と、より少ない数の層を有する副布地領域130とを有する、本発明にかかるOPWエアバッグ100の反対側を示している。縫い目120及び必要に応じて副領域130は、縫い目シーラント材料(図示せず)によってコーティングされる。
【0066】
本発明の他の態様は、OPWエアバッグからの空気漏れを低減させるための方法を目的とし、当該方法は、OPWエアバッグをカレンダー加工することと、フィルム、特に軽量フィルムをエアバッグにラミネートすることと、を含む。上述したように、エアバッグのカレンダー加工は、その布地の面内多孔性を変更する。あるいは、エアバッグへのラミネーション中の圧力の印加は、その布地の面内多孔性を変更することができ、エアバッグのカレンダー加工及びラミネーションの組み合わせは、その布地の面内多孔性を変更する。OPWエアバッグのカレンダー加工は、許容可能な漏れ特性を維持しながら、より軽量のフィルムがエアバッグに適用されることを可能にする。カレンダー加工はまた、面内ガス流によってエアバッグの切断縁を通る漏れ率を低減することができる。
【0067】
本明細書ではまた、これらの方法に従って製造された布地から形成された物品も開示される。本発明の1つの非限定的な実施形態では、布地は、自動車エアバッグ、サニクロス、膨張式スライド、一時的な棚、テント、ダクト、カバー及び印刷媒体などの不透過性製品を製造するために使用される。1つの非限定的な実施形態では、物品は、OPWエアバッグである。
【0068】
更に、本明細書では、軽量コーティングを更に含む、上述した方法のいずれかによって製造されるエアバッグ布地が開示される。1つの非限定的な実施形態では、エアバッグ布地は、≧5g/m2~≦40g/m2の単位面積あたり重量を有する軽量コーティングを有する。軽量コーティングは、これらに限定されるものではないが、ポリクロロプレン、シリコーン系コーティング、ポリジメチレンシロキサン、ポリウレタン及びゴム組成物から選択される。他の非限定的な実施形態では、エアバッグ布地の主部分は、100cm2の試験面積及び500Paの試験圧力を有する静的空気透過率によって測定される、<1l/dm2/分のガス透過率を有することによって特徴付けられ、<70μmのRMS表面粗さ値を与えるレーザ表面形状測定によって特徴付けられる低表面平坦性を呈する。
【0069】
本明細書に開示されたカレンダー加工は、布地を通るより少ない漏れを生み出すが、全体的なコーティングと組み合わせたときに、縫い目を通じた驚くほど高い漏れを生み出すことが観察される。開示されたエアバッグは、縫い目封止と組み合わせて、カレンダー加工されたコーティングされていない布地を含むことができる。開示されたカレンダー加工された布地は、必要に応じて、コーティングされた状態又はコーティングされていない状態のいずれかで縫い目封止されることができる。
【0070】
また、本明細書では、上述したエアバッグ布地のいずれかを含むOPWエアバッグも提示される。1つの非限定的な実施形態では、エアバッグは、側方カーテンエアバッグとすることができ、縫い目封止化合物又は縫い目封止接着剤を有することができ、縫い目封止化合物又は縫い目封止接着剤は、100g/m2未満のレベルで存在する。
【0071】
一形態では、OPWエアバッグは、ワンピース織布布地とすることができ、布地の主部分は、複数の織布層を有し、布地の副部分は、主部分よりも少ない織布層を有し、移行部又は縫い目は、別個の主部分の縁を、及び主部分を副部分に接続し、縫い目、必要に応じて副部分は、ホットメルトシーラント材料によってコーティングされる。例えば、縫い目部は、OPWエアバッグの表面積の≧2%及び≦14%を構成する。OPWエアバッグは、上記開示されたように、エアバッグ布地の特性から作製され、それに従って、及びそれを有することができる。
【0072】
例えば、ホットメルトシーラント材料は、≧50℃~≦180℃、又は≧120℃~≦160℃の融点範囲を有する反応性ポリウレタンとすることができ、100g/m2未満のレベルで存在することができる。
【0073】
OPWエアバッグ全体は、≧5g/m2~≦40g/m2及び≧5g/m2~≦20g/m2からなる群から選択される範囲から選択される単位面積あたり重量を有する、ポリ-ジメチレンシロキサンなどのシリコーン系コーティング、ポリウレタン及びポリクロロプレンなどのゴム組成物から選択される軽量コーティングを有することができ、100cm2の試験面積及び500Paの試験圧力による静的空気透過率によって測定される、<1l/dm2/分のガス透過率によって特徴付けられることができる。
【0074】
更に、エアバッグは、エアバッグ布地の主部分が<70μmのRMS表面粗さ値を与えるレーザ表面形状測定によって特徴付けられるような低い表面平坦性を呈するように、ホットメルトシーラント材料の塗布前にカレンダー加工されることができる。
【0075】
あるいは、OPWエアバッグは、縫い目封止と組み合わせて、コーティングされていない布地から作製されることができる。しかしながら、いずれの場合も、エアバッグの表面全体にわたる、即ち、主部分、副部分及び縫い目部にわたる平均コーティング重量は、約65g/m2未満、約35g/m2未満、更には約25g/m2未満である。
【0076】
他の形態では、OPWエアバッグは、エアバッグ布地がカレンダー加工されるように形成されることができる、軽量フィルムは、カレンダー加工されたエアバッグ布地に適用されている。軽量フィルムは、別個の縫い目封止の不在下で適用されることができ、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン及びポリエステルから選択されるものとすることができる。有利には、軽量フィルムは、例えば≧20g/m2~≦40g/m2など、≧10g/m2~≦50g/m2の単位面積あたり重量を有する。
【0077】
OPWエアバッグは、更に、例えばOPW縫い目から離れてOPWチャンバ内に0.3cmなど、OPW縫い目から離れてOPWチャンバ内に≧0.2~≦0.4cmに配置された、縫い目全体の周囲にダブルステッチを含むことができる。
【0078】
本開示を読むことによって当業者によって理解されるように、永久的に変更された断面を有する繊維を有する上面における糸の少なくとも一部又は下面における糸の少なくとも一部をもたらし、且つ少なくとも部分的に一体に溶融された、本明細書に例示されるものに対する代替的な方法及び装置が利用可能であり、その使用が本発明に包含される。
【0079】
本明細書に引用される全ての特許、特許出願、試験手順、優先書類、物品、刊行物、マニュアル、及び他の文書は、そのような開示が本発明と矛盾しない範囲で、及びそのような組み込みが許可される全ての権限について、参照により完全に組み込まれる。
【実施例】
【0080】
以下の実施例は、本発明及びその使用能力を実証する。本発明は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、様々な明らかな点で変更可能である。したがって、実施例は、性質及び非限定的な例示としてみなされるべきである。
略語
【0081】
DAP 動的空気透過率
dtx デシテックス
N66 ナイロン6,6
SAP 静的空気透過率
OPW ワンピース織布
試験方法及び手順
【0082】
膨張時の透過率を低減する際のOPWエアバッグの様々な構成の有効性を評価するために、以下の工程を実施した。
(1)多くのOPWクッション、同じ基本設計の全てを、20端/cm×18ピック/cm構造の136フィラメントを有する470デシテックスの強力ナイロン6,6糸を使用したジャカードによってエアジェット織機に織り込んだ。
(2)製織プロセスに続いて、従来の水性擦り取り液を収容する浴中で85℃~95℃まで温度を上昇させ、12m/分で浴に布地を通過させた後、10m/分の線速度で120℃の4つのゾーンテンターオーブン内で布地を乾燥させることにより、OPWエアバッグを慣習的に擦り取った。
(3)反応性ポリウレタンホットメルト接着剤をOPWエアバッグ縫い目の上面又は下面のうちの少なくとも一方に塗布することによってOPWクッションの一部を処理した。ホットメルト接着剤は、≧50℃~≦180℃の範囲の融点を有し、ホットメルト接着剤の溶融粘度は、7,000mPa・s~40,000mPa・sであった(Brookfield Thermoselブランドの恒温槽を使用して≧90℃~≦130℃の範囲で測定)。使用した好ましいホットメルト接着剤は、130℃で30,000mPa・sの粘度、及び≧120℃~≦160℃の範囲の融点を有した。この種のホットメルト接着剤は、大気湿気への曝露に伴って硬化し、耐久性のあるエラストマを形成する。160℃に手動で加熱した接着剤ガンを使用して接着剤を塗布した。UVトレーサーをホットメルト接着剤に添加した。接着剤による縫い目の完全な被覆を確実にするために、UV光を塗布中に使用した。このようにして、縫い目全体への接着剤の一貫した完全な塗布が確保されることができる。
(4)ホットメルト接着剤の塗布後、縫い目構造への接着剤の浸透を可能にするために、高温でクッションに外部圧力を印加した。これは、任意の従来の圧力/加熱プロセス装置を使用して実行されることができる。好適な方法の1つの非限定的な例は、カレンダー加工とすることができる。カレンダー加工が使用される場合、圧力は、≧50℃~≦250℃のカレンダー加工ローラ表面温度によって≧1MPa~≦45MPaとすることができる。例えば、カレンダー加工は、約170℃のローラ表面温度と組み合わせて、50Nの力(約7MPa)で行うことができる。
【0083】
いくつかの実験では、縫い目シーラントが以前にカレンダー加工されたOPWクッションに塗布された。これらの場合、クッションは、225℃の熱間ロール温度、及び布地幅の力400N/mmを有する57MPaのニップ圧力で、5m/分の線速度で両側にカレンダー加工された。そのような条件は、布地内のフィラメントを圧縮し、縫い目を含むOPWクッション全体のエアバッグ布地内の表面フィラメントを永久的に変形させて少なくとも部分的に融合させる。そして、カレンダー加工されたOPWクッションを、カレンダー加工されていないサンプルと同じホットメルト接着剤塗布及び熱/圧力プロセスによって処理し、縫い目への浸透を可能にした。
【0084】
OPWクッションの一部は、以下の方法を使用してコーティングされた:まず、OPWクッションを工程(2)に記載されたように擦り取った後、150℃で1分間ヒートセットした。コーティングされたサンプルについて、例えばDow Corning LCF 3600などの業界典型的なシリコーンコーティングを、ナイフオーバーエア技術を使用して布地に塗布した。コーティング重量は、布地とナイフとの間の間隙を調整することによって制御された。コーティングを150℃で2分間硬化した。
【0085】
予めカレンダー加工されたOPWクッションの一部は、両面にラミネートされた軽量多層フィルムを有した。フィルムを、熱及び圧力技術によってOPWクッション表面上にラミネートした。2種類のフィルムを以下のように研究した:
【表1】
【0086】
クッション全体をコーティングする代替として、カレンダー加工されていない及びカレンダー加工されたOPWクッションの一部は、縫い目に直接塗布された同じ従来のシリコーンコーティングを有した。コーティング方法は、露出した縫い目領域のみを残して、マスクをOPWクッションに適用したことを除いて、上述したとおりであった。コーティングの後、マスクを除去し、局所的な縫い目のみのコーティングを得た。この局所的なコーティングは、典型的には、40g/m2~80g/m2であった。クッションの一部は、局所的な縫い目のみのコーティング後に、それらに追加された20g/m2~40g/m2の全体的なコーティングを有した。
【0087】
カレンダー加工されていない及びカレンダー加工されたOPWクッションの一部は、熱及び圧力技術を使用して縫い目に直接適用されたテープを有した。テープは、2層-ポリアミド接着剤層(融点120℃)及び低透過性ポリウレタン膜障壁層(融点190℃)からなるものであった。
【0088】
そして、上述した方法によって調製されたOPWクッションサンプルは、様々な縫い目封止技術のそれぞれの相対的有効性を判定することができるように、比較漏れ試験を受けた。
漏れ試験:
【0089】
OPWクッションは、フレーム内に支持され、クッションの開口は、気密封止が形成されるように、圧力制御された空気パイプにクランプされた。フレームを水タンク内に配置した。クッションが水中になったら、流量制御弁を使用して空気圧を増加した。試験は、クッション内の空気圧を増加させ、特定の圧力を達成するために全空気容積を測定するように設計される。圧力の増加率、及びその後の減衰が各クッションについて測定された。減衰時間は、クッションがその最高達成可能圧力から大気圧、即ち、完全収縮まで収縮するための秒の時間である。圧力を最大145kPaまで上昇させた。最大圧力に到達すると、空気供給を中断し、クッションが収縮するのを可能にした。この方法は、様々に処理されたOPWクッションの圧力保持能力の相対的な指標を与えるように意図される。更に、膨張及びその後の収縮を高速カメラによって記録した。記録検査は、初期漏れの部位など、漏れ機構を判定することを可能にした。初期漏れの部位は、以下の各場合にあった。OPWクッションチャンバの面布地を通って、縫い目を通って、又は面内ガス流によってOPWクッションの切断縁を通って。
実施例1(a-d):
【0090】
以下の表1の試験データは、OPWクッション[サンプル1d]のカレンダー加工が、双方とも40g/m
2の一般的なコーティング重量を有する場合、カレンダー加工されていないOPWクッション[サンプル1c]と比較して、漏れ率の低下をもたらすことを示している。OPWクッションがコーティングされていない場合、カレンダー加工されたクッション[サンプル1b]は、カレンダー加工されていないOPWクッション[サンプル1a]の漏れ性能よりも改善された漏れ性能を有する。この証拠は、設定圧力及び達成されたより高い絶対圧力(kPa)を達成するために必要とされる、より低い容積の空気(リットル)である。カレンダー加工されてコーティングされたOPWの漏れの主部位は、縫い目を通る。
【表2】
実施例2(a-d):
【0091】
以下の表2の試験データは、コーティング全体が40g/m
2[サンプル2b]及び20g/m
2[サンプル2c]によってコーティングされた場合、縫い目に塗布されたホットメルト接着剤を有するカレンダー加工されていないOPWクッションが、75g/m
2[サンプル2a]の全体コーティング重量を有する、縫い目上にホットメルト接着剤を有しないカレンダー加工されていないOPWクッションと比較したときに、著しくより良好な漏れ止めを与えることを示している。これは、ホットメルト接着剤を縫い目に塗布することによって、全体コーティング重量が低減されることができることを示している。以下の表はまた、縫い目への局所的なテープ適用の結果を示している[サンプル2d]。同様の傾向が観察されているが、テープは、ホットメルト接着剤として縫い目シーラントに有効ではない。これの証拠は、特定の圧力に到達するために同様の容積の空気が必要であったが、最大圧力からの減衰時間は、サンプル2dについて測定されたものよりもサンプル2b又は2cについて長くなった。これは、テープが縫い目及び低粘度ホットメルト接着剤に浸透しないためであり得る。
【表3】
実施例3(a-f):
【0092】
以下の表3は、予めカレンダー加工されたOPWクッションの縫い目にホットメルト接着剤、テープ又は局所的な従来のコーティングを適用した結果を示している。各場合において、観察された効能の順序は、ホットメルト接着剤が最良であり[サンプル3a及び3d]、続いて局所的な縫い目コーティング[サンプル3b及び3e]、続いて縫い目テープ[サンプル3c及び3f]であった。OPW布地がカレンダー加工されていない場合[サンプル3d-f]に対する予めカレンダー加工された場合[サンプル3a-c]、結果は、各場合において、最大圧力に到達するのに必要な空気量が少なくなる点で優れていた。
【表4】
実施例4(a-c):
【0093】
以下の表4の試験データは、予めカレンダー加工されたOPWクッションを使用し、ホットメルト接着剤を縫い目に塗布することによって、20g/m
2[サンプル4c]及び40g/m
2[サンプル4a]のより軽量の全体コーティング重量を使用することができ、75g/m
2の全体コーティング重量を有するカレンダー加工されていない通常のOPWクッション[表2のサンプル2a]よりも著しく良好な漏れ性能を更に達成することができることを示している。これらの結果は、表2と比較して、OPWクッションを予めカレンダー加工した後にホットメルト接着剤を縫い目に塗布することが優れた漏れ性能を与えることを示している。表4のサンプル4aは、特に良好な漏れ性能を示した。この結果は、これが、展開後に数秒間膨張したままである必要があるロールオーバー側方カーテンエアバッグの現在の技術と比較して、改善された解決策であろうことを示している。縫い目にテープを適用した表4のサンプル4bは、カレンダー加工されていないバージョンと比較して改善された性能を与えたが、試験したホットメルト接着剤サンプルと比較して効果は低かった。
【表5】
実施例5(a-b):
【0094】
以下の表5は、その後に全体的なOPWクッションへのコーティング塗布を有する、カレンダー加工されていないOPWクッションの縫い目への従来のコーティングの塗布後の結果を示している。縫い目への局所的なコーティングの添加は、局所的なコーティングなしでより重度にコーティングされたOPWクッション[表2のサンプル2a]と比較して、設定圧力に到達するのに必要なガス容積を改善する。興味深いことに、20g/m
2の全体コーティングを有するOPWクッションの漏れ性能は、40g/m
2の全体コーティングによるものと同等であった。しかしながら、縫い目の局所的なコーティングから得られる改善は、縫い目へのホットメルト接着剤の塗布から得られる改善[表2のサンプル2b及び2c]に劣っていた。これは、ホットメルト接着剤が縫い目内に更に浸透して、空気漏れに対するより良好な障壁を形成するためであると考えられる。
【表6】
実施例6(a-b):
【0095】
以下の表6は、従来のコーティングが予めカレンダー加工されたOPWエアバッグの縫い目に局所的に塗布された場合の結果を示している。漏れ性能は、局所的なコーティングの塗布によって改善され、それにより、重い全体コーティング重量が使用された場合、表2のサンプル2aと同様に、より低い全体コーティング重量を使用することが可能になった。しかしながら、結果は、ホットメルト接着剤を予めカレンダー加工されたOPWクッションに塗布して縫い目封止を達成した場合、表4のサンプル4a及び4cの結果よりも劣っている。この観察は、縫い目へのホットメルト接着剤の改善された浸透と一致する。
【表7】
実施例7(a-f):
【0096】
以下の表7は、様々な軽量多層フィルムが、予めカレンダー加工されたOPWクッションに接着されたときの漏れ試験結果を示している。これらの実施例で使用される2種類のフィルム、即ち、フィルム1及びフィルム2とラベル付けされたフィルムは、上記の試験方法及び手順の項に記載されている。試験データは、予めカレンダー加工されたOPWクッション[サンプル7a、7c、7e]への軽量フィルムの適用が、同一のフィルムが通常のカレンダー加工されていないOPWクッション[サンプル7b、7d、7f]に適用された場合と比較して、改善された漏れ性能をもたらすことを示している。
【表8】
実施例8(a-b):
【0097】
これらの実施例では、上述した全ての実施例で使用されていた通常のOPW設計は、例えば≧0.2~≦0.4cmなど、OPW縫い目から離れてOPWチャンバ内に0.3cmに配置された、縫い目全体の周囲にダブルステッチを含むように変更された。16ピック領域あたり8つの端部に6つの縫い目が存在した(0.18mm
2面積)。試験データを以下の表8に示す。サンプル8a及び8bのデータは、表2の通常のコーティングされたOPWサンプル2aの結果と比較したとき、より軽量の全体コーティングを有するサンプル8bについては、より低い容積が設定圧力に到達するのに必要とされ、サンプル2aと同等の全体コーティング重量におけるサンプル8aについては、達成された収縮時間及び最大圧力の増加もまた得られたことを示している。
【表9】
産業上の適用可能性
【0098】
本明細書に開示されるシステム及び方法は、自動車産業に利用可能である。
【0099】
上記開示は、独立した有用性を有する複数の別個の発明を包含すると考えられる。これらの発明のそれぞれは、その好ましい形態で開示されているが、本明細書に開示及び例示されるその特定の実施形態は、多くの変形が可能であるため、限定的な意味で考慮されるべきではない。本発明の主題は、本明細書に開示される様々な要素、特徴、機能、及び/又は特性の全ての新規且つ非自明の組み合わせ及び部分的組み合わせを含む。同様に、特許請求の範囲が「a」又は「第1の」要素又はその均等物を記載する場合、そのような特許請求の範囲は、2つ以上のそのような要素を必要とすることも除外することもせず、1つ以上のそのような要素の組み込みを含むことを理解すべきである。
【0100】
以下の特許請求の範囲は、開示される発明の1つを対象とする、特定の組み合わせ及び部分的組み合わせを特に指摘し、新規且つ非自明であると考えられる。特徴、機能、要素、及び/又は特性の他の組み合わせ及び部分的組み合わせで具現化された発明は、本特許出願又は関連特許出願における現在の特許請求の範囲の補正又は新たな特許請求の範囲の提示によって、特許請求されることができる。そのような補正された請求項、又は新たな請求項もまた、それらが異なる発明を対象とするか、同一の発明を対象とするかに関わらず、当初の請求項に対してそれらの範囲が異なるか、より広いか、より狭いか、等しいかに関わらず、本開示の発明の主題に含まれるものとみなされる。