(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】携帯型端末装置、情報処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20221007BHJP
G06Q 20/38 20120101ALI20221007BHJP
G06Q 20/40 20120101ALI20221007BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
G06Q20/38 300
G06Q20/40
(21)【出願番号】P 2020535658
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2019025984
(87)【国際公開番号】W WO2020261579
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2020-06-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】長沼 義人
(72)【発明者】
【氏名】赤鹿 秀樹
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-097487(JP,A)
【文献】特開2010-186405(JP,A)
【文献】特開2010-140332(JP,A)
【文献】特開2005-218029(JP,A)
【文献】特開2000-148936(JP,A)
【文献】特開2014-215763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが携帯可能な携帯型端末装置であって、
電子マネーシステムで使用される通貨価値情報であるバリューを第1のファイル構造で管理する第1のICチップに対して通信を行う第1の通信部と、
前記バリューを前記第1のファイル構造とは異なる第2のファイル構造で管理する第2のICチップに対して通信を行う第2の通信部と、
前記第1のICチップを前記
携帯型端末装置に近接させた状態で、前記第1の通信部を介して、前記第1のICチップに記憶されている第1のバリューを減算させる減算処理部と、
前記第1のバリューを、前記第2のICチップに記憶させるための第2のバリューに変換する変換バリュー管理部と、
前記ユーザが前記第1のICチップに代えて前記第2のICチップを前記
携帯型端末装置に近接させた状態で実行指示の操作を行うことに応じて、前記第2の通信部を介して、前記第2のICチップに前記第2のバリューを加算させる加算処理部と、
を備える携帯型端末装置。
【請求項2】
前記変換バリュー管理部が管理する前記第2のバリューは、
前記第1のバリューを前記第2のバリューに変換する際に取得されている最新の変換レート情報を用いて変換されたものである
請求項1に記載の携帯型端末装置。
【請求項3】
前記変換レート情報は、為替レート情報である
請求項2に記載の携帯型端末装置。
【請求項4】
前記変換バリュー管理部が管理する前記第2のバリューは、
前記第1のバリューを前記第2のバリューに変換する際に、前記第1のICチップを含む電子マネー媒体の使用名義人に対する本人確認処理が行われたうえで変換されたものである
請求項1から請求項3のいずれかに記載の携帯型端末装置。
【請求項5】
前記
減算処理部は、前記第1の通信部を介して、前記第1のICチップに記憶されている第1のバリューの額の範囲内でユーザ指定に係る額に相当するバリュー
を減算させ、
前記変換バリュー管理部は、前記額に相当するバリューを前記第2のバリューに変換する
請求項1から請求項4のいずれかに記載の携帯型端末装置。
【請求項6】
前記変換バリュー管理部は、前記携帯型端末装置内に設けられた耐タンパ装置で変換を行う
請求項1から請求項5のいずれかに記載の携帯型端末装置。
【請求項7】
電子マネーシステムで使用される通貨価値情報であるバリューを第1のファイル構造で管理する第1のICチップ、及び前記バリューを前記第1のファイル構造とは異なる第2のファイル構造で管理する第2のICチップに対してユーザが携帯可能な携帯型端末装置が行う情報処理方法であって、
前記第1のICチップを前記
携帯型端末装置に近接させた状態で、前記第1のICチップに対して通信を行って前記第1のICチップに記憶されている第1のバリューを減算させる減算ステップと、
前記第1のバリューを、前記第2のICチップに記憶させるための第2のバリューに変換する変換バリュー管理ステップと、
前記ユーザが前記第1のICチップに代えて前記第2のICチップを前記
携帯型端末装置に近接させた状態で実行指示の操作を行うことに応じて、前記第2のICチップに対して通信を行って前記第2のICチップに前記第2のバリューを加算させる加算ステップと、
を行う情報処理方法。
【請求項8】
電子マネーシステムで使用される通貨価値情報であるバリューを第1のファイル構造で管理する第1のICチップ、及び前記バリューを前記第1のファイル構造とは異なる第2のファイル構造で管理する第2のICチップに対してユーザが携帯可能な携帯型端末装置が行う処理として、
前記第1のICチップを前記
携帯型端末装置に近接させた状態で、前記第1のICチップに対して通信を行って前記第1のICチップに記憶されている第1のバリューを減算させる処理と、
前記第1のバリューを、前記第2のICチップに記憶させるための第2のバリューに変換する処理と、
前記ユーザが前記第1のICチップに代えて前記第2のICチップを前記
携帯型端末装置に近接させた状態で実行指示の操作を行うことに応じて、前記第2のICチップに対して通信を行って前記第2のICチップに前記第2のバリューを加算させる処理と、
を携帯型端末装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯型端末装置、情報処理方法に関し、特に電子マネーの利用に適した処理を行う情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子マネーカードとして例えばプラスチックカード(説明上「板カード」ともいう)にICチップが埋め込まれているものや、ICチップを内蔵した携帯端末などの電子マネー媒体が知られている。
板カードや携帯端末を電子マネー媒体として機能させるICチップは、例えば所定のリーダ/ライタ装置との間でNFC(Near Field Communication)などの近距離無線通信規格による通信を行うとともに、内部の記憶部に対し電子マネーとしての通貨価値情報であるバリューを記憶するチップである。
リーダ/ライタ装置と電子マネー媒体に内蔵されたICチップが通信を行うことで、バリューを加算する更新(いわゆるチャージ等)や、バリューを減算する更新(バリューの使用による決済等)を行うことができる。
【0003】
下記特許文献1には、電子マネー機能を備えたICカード間でのバリュー移動に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで電子マネーシステムとしては各種の通信方式やファイル構造を採用するものが実用化されており、国や地域によって普及しているタイプが異なっている。
具体的な例を挙げると、同じNFC通信を行うものでも、ICチップ内のフォーマットとしてFeliCa(登録商標)カードフォーマットを採用するものや、ISO7816カードフォーマットを用いるものがある。FeliCa(登録商標)カードフォーマットを利用する場合には、NFC通信部分は「TypeF」と呼ばれるものを利用し、ISO7816カードフォーマットを採用する場合にはNFC通信部分は「TypeA」または「TypeB」と呼ばれるものを利用している。
【0006】
現状、電子マネーカードを扱う事業や通貨が異なると、所有している電子マネーカードが使用できない可能性がある。これは、各事業の加盟店毎に使用可能な電子マネーカードが決まっていることや、電子マネーカードのフォーマットの違い等に起因する。このため、ユーザにとっては、例えば自国で使用している電子マネー媒体にチャージしたバリューを、訪問先の国では使用できないといったことも生じている。
仮に自国で使用する電子マネーカードと、訪問先の国で普及している電子マネーカードを所有していたとしても、わざわざ自国で使用する電子マネーカードとは別個に訪問先の国で普及している電子マネーカードにチャージを行って使用しなければならない。
またこのような場合、訪問先の電子マネーカードにおけるバリューが帰国後に使用できないといったことも生ずる。
【0007】
そこで本発明は、これらの不便を解消するため、異なるタイプの電子マネー媒体間でバリュー移行が簡易に実行できるようにし、電子マネーの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯型端末装置は、ユーザが携帯可能な携帯型端末装置であって、電子マネーシステムで使用される通貨価値情報であるバリューを第1のファイル構造で管理する第1のICチップに対して通信を行う第1の通信部と、前記バリューを前記第1のファイル構造とは異なる第2のファイル構造で管理する第2のICチップに対して通信を行う第2の通信部と、前記第1のICチップを前記携帯型端末装置に近接させた状態で、前記第1の通信部を介して、前記第1のICチップに記憶されている第1のバリューを減算させる減算処理部と、前記第1のバリューを、前記第2のICチップに記憶させるための第2のバリューに変換する変換バリュー管理部と、前記ユーザが前記第1のICチップに代えて前記第2のICチップを前記携帯型端末装置に近接させた状態で実行指示の操作を行うことに応じて、前記第2の通信部を介して、前記第2のICチップに前記第2のバリューを加算させる加算処理部と、を備えるようにする。
即ち異なるファイル構造が採用されている電子マネー媒体(例えば電子マネーカードや端末装置)間において、一方からバリューを読み出し、それを他方に移行させることができるようにする。
【0009】
上記した携帯型端末装置において前記変換バリュー管理部が管理する前記第2のバリューは、前記第1のバリューを前記第2のバリューに変換する際に取得されている最新の変換レート情報を用いて変換されたものであることが考えられる。
例えば第1,第2のICチップによる電子マネーシステムが使用される国や地域、或いは第1,第2のICチップによる電子マネーシステムでの変換相場などが参照される。
【0010】
上記した携帯型端末装置においては、前記変換レート情報は、為替レート情報であることが考えられる。
第1,第2のICチップによる電子マネーシステムが使用される国や地域に応じて為替レートを基準にバリュー変換する。
【0011】
上記した携帯型端末装置においては、前記変換バリュー管理部が管理する前記第2のバリューは、前記第1のバリューを前記第2のバリューに変換する際に、前記第1のICチップを含む電子マネー媒体の使用名義人に対する本人確認処理が行われたうえで変換されたものであることが考えられる。
ここでは電子マネー媒体とは、ICチップを内蔵するカード媒体や、ICチップを内蔵する携帯端末など、電子マネー使用時に用いるものを指す。電子マネー媒体の使用名義人とは、いわゆる正当な持ち主のことである。
【0014】
上記した携帯型端末装置においては、前記減算処理部は、前記第1の通信部を介して、前記第1のICチップに記憶されている第1のバリューの額の範囲内でユーザ指定に係る額に相当するバリューを減算させ、前記変換バリュー管理部は、前記額に相当するバリューを第2のバリューに変更することが考えられる。
即ち第1のICチップの全額に限らず、ユーザ指定に係る額に相当するバリューを移行できるようにする。
上記した携帯型端末装置においては、前記変換バリュー管理部は、前記携帯型端末装置内に設けられた耐タンパ装置で変換を行うことが考えられる。
【0015】
本発明の情報処理方法は、電子マネーシステムで使用される通貨価値情報であるバリューを第1のファイル構造で管理する第1のICチップ、及び前記バリューを前記第1のファイル構造とは異なる第2のファイル構造で管理する第2のICチップに対してユーザが携帯可能な携帯型端末装置が行う情報処理方法である。そして前記第1のICチップを前記携帯型端末装置に近接させた状態で、前記第1のICチップに対して通信を行って前記第1のICチップに記憶されている第1のバリューを減算させる減算ステップと、前記第1のバリューを、前記第2のICチップに記憶させるための第2のバリューに変換する第2のバリューを管理する変換バリュー管理ステップと、前記ユーザが前記第1のICチップに代えて前記第2のICチップを前記携帯型端末装置に近接させた状態で実行指示の操作を行うことに応じて、前記第2のICチップに対して通信を行って前記第2のICチップに前記第2のバリューを加算させる加算ステップとを行う。
これにより異なるファイル構造が採用されている電子マネー媒体間に対して一方からバリューを読み出し、それを他方に移行させる。
本発明のプログラムは、上記各ステップに相当する処理を携帯型端末装置に実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、異なるタイプの電子マネー媒体間でのバリュー移行を簡易に実行できるようになることで、電子マネーシステムの利便性が向上される。即ちユーザは複数タイプの電子マネー媒体を所有していても、事情に合わせてバリュー移行を行うことができ、例えば異なる国や地域でも手軽に電子マネー決済ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態のシステム構成のブロック図である。
【
図2】実施の形態の情報処理装置の機能構成の説明図である。
【
図3】実施の形態の情報処理装置のハードウェア構成のブロック図である。
【
図4】実施の形態で対応する異なるタイプのICチップのファイル構造の説明図である。
【
図5】第1の実施の形態のバリュー移行処理の概要の説明図である。
【
図6】第1の実施の形態のバリュー移行処理のフローチャートである。
【
図7】第1の実施の形態のバリュー移行処理のフローチャートである。
【
図8】第2の実施の形態のバリュー移行処理の概要の説明図である。
【
図9】第2の実施の形態のバリュー移行処理のフローチャートである。
【
図10】第2の実施の形態のバリュー移行処理のフローチャートである。
【
図11】第3の実施の形態のバリュー移行処理の概要の説明図である。
【
図12】第3の実施の形態のバリュー移行処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<1.システム構成>
図1により実施の形態の情報処理システム1を実現するネットワークシステムの例を説明する。
この情報処理システム1は電子マネーサービスを行うシステムであり、ここではバリュー交換サーバ3、ユーザ端末4、第1電子マネーサーバ6、第2電子マネーサーバ7を有する例としている。
【0019】
なおこの構成は後述する第1の実施の形態に合わせて示したものである。
第2の実施の形態では、情報処理システム1はバリュー交換サーバ3、ユーザ端末4を有するものとなり、第3の実施の形態では、情報処理システム1はユーザ端末4を有するものとする例を挙げる。
【0020】
この情報処理システム1は、第1タイプカード10、及び第2タイプカード20に対して例えばNFC規格など近距離無線通信を行うことができる。
第1タイプカード10は第1のファイル構造や通信変調方式でバリューの書き込みや読み出しが可能とされるICチップを内蔵した電子マネーカードである。
第2タイプカード20は第2のファイル構造や通信変調方式でバリューの書き込みや読み出しが可能とされるICチップを内蔵した電子マネーカードである。
【0021】
例えば具体例を当てはめるとすると、第1タイプカード10が上述のFeliCa(登録商標)カードフォーマットで「TypeF」と呼ばれるものであるとしたら、第2タイプカード20は例えば上述のISO7816カードフォーマットで「TypeA」と呼ばれるものであることが考えられる。
また例えば仮に第1タイプカード10が上述の「TypeA」と呼ばれるものであるとしたら、第2タイプカード20は例えば上述の「TypeF」と呼ばれるものであることが考えられる。
【0022】
なお実施の形態の説明では、電子マネー媒体の例として、板カードとしての第1タイプカード10、第2タイプカード20を挙げて説明するが、スマートホン等の端末装置がICチップを内蔵する電子マネー媒体とされてもよい。
【0023】
また
図1の例では、ユーザ端末4(例えばスマートホン等)を情報処理システム1の構成要素としているが、これはユーザ端末4に限らず、例えば店舗等に配置されるリーダ/ライタ装置であってもよい。
実施の形態では、ユーザ端末4が第1タイプカード10、第2タイプカード20に対するリーダ/ライタ装置として機能することで、ユーザがより手軽にバリュー移行を行うことができる例として説明する。
【0024】
情報処理システム1を構成するバリュー交換サーバ3、ユーザ端末4、第1電子マネーサーバ6、第2電子マネーサーバ7は、ネットワーク2により相互に通信可能とされている。
【0025】
ネットワーク2の構成は多様な例が想定される。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(Local Area Network)、CATV(Community Antenna TeleVision)通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が想定される。
またネットワーク2の全部又は一部を構成する伝送媒体についても多様な例が想定される。例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、電話線等の有線でも、IrDA(Infrared Data Association)のような赤外線、ブルートゥース(登録商標)、802.11無線、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【0026】
第1電子マネーサーバ6、及び第2電子マネーサーバ7は、それぞれ例えば電子マネーサービスを提供する組織が運営するサーバであり、電子マネーサービスシステムを統括管理するための各種処理を行う情報処理装置である。
【0027】
例えば第1電子マネーサーバ6は、第1タイプカード10を用いた電子マネーサービスに参加する店舗の管理や通信処理、電子マネーサービスを利用するユーザの申請等の受付や登録や管理のための処理、電子マネーにおける残高情報であるバリューの流通を管理する処理、各ユーザの電子マネーによる支払いに対応した決済のための処理などを行う。
【0028】
また第2電子マネーサーバ7は、第2タイプカード20を用いた電子マネーサービスに参加する店舗の管理や通信処理、電子マネーサービスを利用するユーザの申請等の受付や登録や管理のための処理、電子マネーにおける残高情報であるバリューの流通を管理する処理、各ユーザの電子マネーによる支払いに対応した決済のための処理などを行う。
【0029】
バリュー交換サーバ3は、第1タイプカード10と第2タイプカード20の間でのバリュー移行のための処理を行うサーバである。
例えばバリュー交換サーバ3は、第1タイプカード10と第2タイプカード20のファイル構造や通信変調方式等の違いに応じたデータ変換等の処理を行う。
【0030】
ユーザ端末4は、例えばユーザが所持するスマートホン等の端末装置である。本実施の形態の場合、ユーザ端末4にバリュー交換のためのアプリケーションプログラムがインストールされることで、ユーザ端末4は、バリュー移行のための第1タイプカード10及び第2タイプカード20との近距離無線通信や、バリュー交換サーバ3との間のネットワーク通信、さらに各種必要な処理を行う機能が実装されることになる。
【0031】
なお実施の形態でユーザ端末4の処理として説明する処理機能は、スマートホン以外の情報処理装置(例えばパーソナルコンピュータやタブレット機器等)で実行するものとしても良いし、リーダ/ライタ装置等の専用機器により実行するものとしても良い。
【0032】
第1タイプカード10と第2タイプカード20は、例えば上述したFeliCa(登録商標)カードフォーマットで「TypeF」と呼ばれるものや、ISO7816カードフォーマットで「TypeA」と呼ばれるもののように、ファイル構造等が異なり直接的な互換性のないカードである。
説明上の例として、これら第1タイプカード10と第2タイプカード20の両方を、ユーザ端末4を所有するユーザが所有しているものとする。
【0033】
図2に情報処理システム1が備える機能構成を示している。
情報処理システム1は、演算部30としての構成と通信部40としての構成を備える。
通信部40は、第1タイプカード10及び第2タイプカード20のそれぞれに対して近距離無線を行う機能としている。
この通信部40には、ファイル構造や変調方式の違いなどに対応して、第1タイプカード10との通信処理機能として第1タイプ通信部41が実装されるとともに、第2タイプカード20との通信処理機能として第2タイプ通信部42が実装される。
【0034】
演算部30は、第1タイプカード10と第2タイプカード20の間でのバリュー移行のための演算処理を行う機能を示している。演算部30としては、変換バリュー管理部31、読み込み処理部32、書き込み処理部33を備える。
【0035】
読み込み処理部32は、第1タイプ通信部41を介して、第1タイプカード10に記憶されているバリューを読み込む処理を行う。
或いは読み込み処理部32は、第2タイプ通信部42を介して、第2タイプカード20に記憶されているバリューを読み込む処理を行う。
説明上、第1タイプカード10をバリュー移行元のカードとし、第2タイプカード20をバリュー移行先のカードとする。この場合、バリュー移行の際には、読み込み処理部32は、第1タイプ通信部41を介して、第1タイプカード10に記憶されているバリューを読み込む処理を行うことになる。
【0036】
変換バリュー管理部31は、読み込み処理部32が一方のカード(第1タイプカード10又は第2タイプカード20)のICチップから読み込んだバリューを、他方のカードのICチップに記憶させるために変換したバリューを取得して管理する処理を行う。
変換バリュー管理部31が、変換したバリューを取得するためにバリュー変換演算を行う場合もあるし、外部装置でバリュー変換演算を行った結果を受信する場合もある。
【0037】
書き込み処理部33は、変換バリュー管理部31が取得し管理する変換バリューを、読み込み処理部32がバリューを読み込んだ一方のカードに対する他方のカードのICチップに書き込む処理を、第1タイプ通信部41又は第2タイプ通信部42を介して行う。
第2タイプカード20をバリュー移行先のカードとする場合、バリュー移行の際には、書き込み処理部33は、第2タイプ通信部42を介して、第2タイプカード20にバリューを書き込む処理を行うことになる。
【0038】
これら
図2に示す機能は、情報処理システム1においていずれかの情報処理装置に実装される。
例えばバリュー交換サーバ3、ユーザ端末4、第1電子マネーサーバ6、第2電子マネーサーバ7に分散して実装されることが想定される。
或いはバリュー交換サーバ3とユーザ端末4に分散して実装されることが想定される。
或いはユーザ端末4において全て実装されるようにすることも想定される。
【0039】
少なくとも通信部40は、第1タイプカード10及び第2タイプカード20と近距離無線通信を行う機能であるため、
図1の場合、ユーザ端末4が備えることになる。演算部30の機能は、例えばユーザ端末4に備えられてもよいし、バリュー交換サーバ3に備えられてもよい。即ち
図2に示す情報処理システム1は、1つの情報処理装置で構成されてもよいし、複数の情報処理装置により構成されてもよい。
【0040】
<2.ハードウェア構成>
図1の構成の各部、即ちバリュー交換サーバ3、ユーザ端末4、第1電子マネーサーバ6、第2電子マネーサーバ7を構成する情報処理装置(コンピュータ装置)のハードウェア構成例を
図3に示す。
【0041】
図3において、コンピュータ装置のCPU(Central Processing Unit)101は、ROM( Read Only Memory)102に記憶されているプログラム、または記憶部108からRAM( Random Access Memory )103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM103にはまた、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU101、ROM102、及びRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104には、入出力インターフェース105も接続されている。
【0042】
入出力インターフェース105には、入力部106、出力部107、記憶部108、通信部109が接続されている。
入力部106はキーボード、マウス、タッチパネルなどにより構成される。コンピュータ装置の使用者は、入力部106により各種の入力を行うことができる。
【0043】
出力部107はLCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)、有機EL(Electroluminescence)パネルなどよりなるディスプレイデバイスを有して画像の表示出力が可能に構成される。
また出力部107はスピーカを有して音声出力が可能に構成される。
コンピュータ装置の使用者は、出力部107により各種の情報を見聞きすることができる。
【0044】
記憶部108はHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ装置などにより構成される。
通信部109はネットワーク2を介しての通信処理や機器間通信を行う。
入出力インターフェース105にはまた、必要に応じてメディアドライブ110が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブル記憶媒体111が適宜装着され、リムーバブル記憶媒体111に対する情報の書き込みや読み出しが行われる。
CPU101は必要に応じて記憶部108に対する情報の記録再生や、通信部109を介した通信(ネットワーク通信等)を行うことができる。
【0045】
また入出力インターフェース105には、必要に応じてメディアドライブ110が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア111が適宜装着され、リムーバブルメディア111に対する情報の書き込みや読み出しが行われる。
【0046】
このようなコンピュータ装置では、通信部109による通信によりデータやプログラムのアップロード、ダウンロード、及びリムーバブルメディア111を介したデータやプログラムの受け渡しが可能である。
このようなコンピュータ装置は、CPU101が各種のプログラムに基づいて処理動作を行うことで、バリュー交換サーバ3、ユーザ端末4、第1電子マネーサーバ6、第2電子マネーサーバ7として、それぞれ必要な情報処理や通信が実行される。
【0047】
即ち
図2に示した変換バリュー管理部31、読み込み処理部32、書き込み処理部33としての機能は、コンピュータ装置においてCPU101でプログラムに応じて実行される処理により実現される機能である。但し上記機能の全部又は一部の構成の処理をハードウェアにより実現してもよい。
また各機能をソフトウェアで実現する場合に、各機能がそれぞれ独立したプログラムで実現される必要はない。1つのプログラムにより複数の機能の処理が実行されてもよいし、1つの機能が複数のプログラムモジュールの連携で実現されてもよい。
また各機能は複数の情報処理装置に分散されていてもよい。さらに機能の1つが、複数の情報処理装置によって実現されてもよい。
【0048】
また
図1のユーザ端末4の場合、即ち第1タイプカード10及び第2タイプカード20との近距離無線通信を行う機能を備える機器としては、
図3に示す近距離無線通信部120が設けられる。
近距離無線通信部120は、第1タイプカード10及び第2タイプカード20におけるICチップとの通信を行うためのアンテナ及び送受信回路を備えて構成される。
この近距離無線通信部120により、
図2の第1タイプ通信部41、第2タイプ通信部42が実現されることになる。
【0049】
なお、バリュー交換サーバ3、ユーザ端末4、第1電子マネーサーバ6、第2電子マネーサーバ7としては、
図3のような構成のコンピュータ装置が単一で構成されることに限らず、複数のコンピュータ装置がシステム化されて構成されてもよい。
複数のコンピュータ装置は、LAN等によりシステム化されていてもよいし、インターネット等を利用したVPN等により遠隔地に配置されたものでもよい。複数のコンピュータ装置には、クラウドコンピューティングサービスによって利用可能なサーバ群(クラウド)としてのコンピュータ装置が含まれてもよい。
【0050】
<3.ICチップのファイル構造>
第1タイプカード10及び第2タイプカード20は、バリューを記憶管理するファイル構造が互いに異なるICチップを備えた電子マネー媒体の例としている。
ファイル構造の例として、FeliCa(登録商標)カードフォーマット(「TypeF」)の例を
図4A、ISO7816カードフォーマット(「TypeA」「TypeB」)の例を
図4Bに示す。
【0051】
図4AのようにFeliCa(登録商標)カードフォーマットでは、システムフォルダ(System)下に1又は複数のエリアフォルダ(例えばArea0)が配置される。
そしてエリアフォルダ下に、実データを格納するサービスフォルダ(例えばService0、Service1、Service2)が配置される。
各フォルダのデータはDES鍵やAES鍵を用いて解読することができる。
サービスフォルダによっては、データの書き込み/読み出しについてランダムサービス、パースサービス、サイクリックサービスが提供される。
【0052】
ランダムサービスでは、任意のデータを格納する単位であるブロックデータについて、ブロック番号を任意に指定可能とされる。つまり記憶するデータについてはシステムで任意にブロック番号を指定して、そのブロック番号のブロックデータとして格納できる。例えば、ランダムサービスは、ブロックデータのグループの管理に使用される。
サイクリックサービスでは、読み出し時には任意のブロック番号が指定可能とされる。書き込み時には、自動的にその時点で最も古いデータが上書きされ、ブロックのグループを循環的に使用するものとされる。例えば、サイクリックサービスは、残高データの履歴の管理に使用される。
パースサービスとは、ブロックデータの一部を正の数値とみなして、その値を減算する機能を持つサービスである。パースサービスでは、キャッシュバックデータを有し、当該キャッシュバックデータに格納されている値を上限として、パースデータに加算可能とされる。デクリメント機能としてアクセス時に自動的な減算が行われたり、キャッシュバック機能としてアクセス時にコマンドで指定された値を加算することが行われたりする。例えば、パースサービスは、残高データの更新などのバリューデータの管理に使用される。
【0053】
一方、
図4BのようにISO7816カードフォーマットでは、マスターファイル(MF)を根幹にして専用ファイル(DF:dedicated File)の階層構造を採る。
ファイルは専用ファイル(DF)と基礎ファイル(EF:Elementary File)に分類される。
基礎ファイルEFとしては、作業用基礎ファイル(WEF:Working Elementary File)と内部基礎ファイル(IEF:Internal Elementary File)に大別される。
専用ファイル(DF:dedicated File)はファイル制御情報及び任意選択の割り付け可能メモリを含むファイルである。作業用基礎ファイル(WEF)にアプリケーションが使用するデータが格納される。作業用基礎ファイル(WEF)には透過構造とレコード構造の2つの構造があり、レコード構造として固定長順編成、固定長循環編成、可変長順編成がある。また内部基礎ファイル(IEF)により鍵が管理される。
【0054】
作業用基礎ファイル(WEF)内の個々のレコードはレコード番号により管理される。レコード番号は作業用基礎ファイル(WEF)内で唯一かつ連続とされ、“1”から順に割り付けられる。
固定長順編成、可変長順編成の場合、レコード番号は、追記した順番、即ち生成した順番で割り当てられる。そのため最初のレコード番号“1”は最初に生成されたレコードとなる。固定長順編成はレコードサイズが固定長、可変長順編成はレコードサイズが可変長となる。
固定長循環編成では、レコード番号は、逆の順番で割り当てられる。従ってレコード番号“1”は最後に生成されたレコードとなる。
【0055】
例えばこのように異なるファイル構造が採用されることで、一方の電子マネー媒体のデータ(バリューを含むデータ)を読み出して他方の電子マネー媒体にコピーしても、バリュー移行は実現されない。
一方の電子マネー媒体のデータを他方の電子マネー媒体に移行させる場合、バリューデータを含むカードデータについてデータ構造の変換処理を行うことが必要である。
例えば上記の
図4A、
図4Bのように異なるタイプの電子マネー媒体でのバリュー移行を想定すると、データ単位であるブロックデータ形式とレコード形式の変換や、サービス/編成を対応させた変換などが必要となる。
【0056】
一例として「TypeF」の電子マネー媒体のバリューを「TypeA」の電子マネー媒体に移行するには、サービスフォルダにおけるランダムサービスのブロックデータ、及びパースサービスのブロックデータについては、固定長順編成のレコード形式に変換し、固定長順編成の作業用基礎ファイル(WEF)のレコードとして書き込むことが適切である。
また、サービスフォルダにおけるサイクリックサービスのブロックデータについては、固定長循環編成のレコード形式に変換して、固定長循環編成の作業用基礎ファイル(WEF)のレコードとして書き込むことが適切である。
【0057】
実施の形態で例示する第1タイプカード10、第2タイプカード20は、この
図4A、
図4Bのように互いに異なるファイル構造を有する電子マネー媒体の例である。
従って、バリュー移行の際には、上記例のように機能を対応づけた上でデータ形式の変換を行い、書き込みデータを生成するような変換処理が必要になる。
【0058】
<4.第1の実施の形態のバリュー移行>
第1の実施の形態としてのバリュー移行の処理を説明する。
図5は第1タイプカード10、第2タイプカード20、ユーザ端末4、バリュー交換サーバ3、第1電子マネーサーバ6、第2電子マネーサーバ7の間の通信を示している。
ここでは第1タイプカード10のバリューを第2タイプカード20に移行するときの通信の手順を示している。
図5に示す通信TR1から通信TR16の内容は次のとおりである。
【0059】
・通信TR1:ユーザ端末4からバリュー交換サーバ3にバリュー移行の処理の開始要求が送信される。
・通信TR2:バリュー交換サーバ3から第1電子マネーサーバ6に対し、バリュー移行の処理を開始するため第1タイプカード10の認証(カードID(identification)の確認)を行うことを要求する。
【0060】
・通信TR3:第1電子マネーサーバ6が認証のための第1タイプカード10のID要求をユーザ端末4を介して行う。
・通信TR4:ID要求に応じて第1タイプカード10のカードIDがユーザ端末4を介して読み出され、第1電子マネーサーバ6に送信される。
【0061】
・通信TR5:第1タイプカード10の認証OKの場合に、第1電子マネーサーバ6が第1タイプカード10に対するデータ読み出しコマンドを作成し(S303)、そのデータ読み出しコマンドが第1電子マネーサーバ6からユーザ端末4を介して第1タイプカード10へ送信される。
・通信TR6:第1タイプカード10からユーザ端末4を介して読み出されたカードデータが第1電子マネーサーバ6に送信される。
なお「カードデータ」とは、第1タイプカード10や第2タイプカード20に記憶されているデータを指し、特にバリューデータを含むものとする。バリューデータとは第1タイプカード10や第2タイプカード20に格納されているバリューの金額を示す数値のことである。
【0062】
・通信TR7:第1タイプカード10から読み出されたデータが第1電子マネーサーバ6で復号され、バリュー交換サーバ3に送信される。また減算コマンドが第1電子マネーサーバ6からバリュー交換サーバ3に送信される。減算コマンドは、移行元の第1タイプカード10からバリューデータを減算することを指示するコマンドである。この減算コマンドは、バリュー全額を移行する場合は、バリューデータ全てに相当する値を減算し、バリューデータを“0”とするコマンドとなる。
・通信TR8:バリュー交換サーバ3から復号データがユーザ端末4に送信される。また第1電子マネーサーバ6からの減算コマンドは、バリュー交換サーバ3で中継され、ユーザ端末4を介して、第1タイプカード10に送信されることになる。第1タイプカード10は、受信した数値データに基づいて、バリューを減算させる。なお、減算コマンドは、バリュー交換サーバ3を介さずに第1電子マネーサーバ6から、ユーザ端末4を介して、第1タイプカード10に送信されてもよい。
・通信TR9:ユーザ端末4からデータ移行の指示が送信される。
・通信TR10:バリュー交換サーバ3が、移行元の第1タイプカード10から読み出したバリューを含む復号データを、移行先の第2タイプカード20のデータ構造に対応したデータに変換するための管理を行う(S208)。バリュー交換サーバ3は、第1電子マネーサーバ6から受信した復号された第1タイプカード10のカードデータ(復号カードデータ)内の必要な情報を第2電子マネーサーバ7に送信する。第2電子マネーサーバ7は、複号カードデータ内の必要な情報に基づいて、第2タイプカード20に対する書き込みデータを生成する。
【0063】
・通信TR11:第2電子マネーサーバ7が認証のための第2タイプカード20のID要求をユーザ端末4を介して行う。
・通信TR12:ID要求に応じて第2タイプカード20のカードIDがユーザ端末4を介して読み出され、第2電子マネーサーバ7に送信される。
【0064】
・通信TR13:第2タイプカード20の認証OKの場合に、第2電子マネーサーバ7が第2タイプカード20に対するデータ書き込みコマンドを作成し(S403)、そのデータ書き込みコマンド及び書き込みデータ(変換したバリュー等)が第2電子マネーサーバ7からユーザ端末4を介して第2タイプカード20へ送信され、書き込みが行われる。具体的には、第2電子マネーサーバ7は、ユーザ端末4を介して、移行させるバリューの金額分、バリューを加算させる指示を第2タイプカード20に送信する。第2タイプカード20は、受信した数値データに基づいて、バリューを加算する。
・通信TR14:第2タイプカード20からユーザ端末4を介して書き込み結果を示すデータが第2電子マネーサーバ7に送信される。
・通信TR15:第2電子マネーサーバ7からバリュー交換サーバ3にデータ移行の結果通知がされる。
・通信TR16:バリュー交換サーバ3からユーザ端末4にデータ移行の結果通知がされる。
【0065】
以上の通信過程での各部の処理を
図6,
図7で説明する。以下の処理は情報処理システム1が
図2の機能を備えることで実行される。
図6はユーザ端末4、バリュー交換サーバ3、第1電子マネーサーバ6の処理を示している。
【0066】
バリュー移行を行う際、ユーザは、ユーザ端末4においてバリュー移行のためのアプリケーションソフトウェアを起動し、バリュー移行を指示する操作を行う。
ユーザ端末4は、
図6のステップS101として、このようなバリュー移行の開始操作に応じて、バリュー交換サーバ3に対してバリュー移行の処理の開始要求を送信する(通信TR1)。
【0067】
バリュー交換サーバ3は、通信TR1の開始要求を受信したら、ステップS201で第1タイプカード10に対する認証を行うことの要求を第1電子マネーサーバ6に対して送信する(通信TR2)。
第1電子マネーサーバ6はこれに応じてステップS301で認証コマンドを送信する(通信TR3)。
この認証コマンドは、例えばバリュー交換サーバ3に送信され、バリュー交換サーバ3の中継処理(ステップS202)を介してユーザ端末4に送信される。或いは認証コマンドは、バリュー交換サーバ3の中継を介さずに第1電子マネーサーバ6から直接ユーザ端末4に送信されるようにしてもよい。
【0068】
ユーザ端末4は受信した認証コマンドを近距離無線通信により第1タイプカード10に送信する(ステップS102)。
なお、このためユーザは、最初にステップS101で開始操作を行ったら、ユーザ端末4と第1タイプカード10を近接させるようにする。ユーザ端末4(アプリケーションソフトウェア)は、ユーザに対して、ユーザ端末4と第1タイプカード10(移行元としたい電子マネー媒体)を近接させるようにガイダンス表示等を行うようにすることが想定される。
【0069】
第1タイプカード10のICチップは、認証コマンドに応じて認証データ(カードID等)をユーザ端末4に送信する。
ユーザ端末4はステップS103で第1タイプカード10からの認証データの受信、及び送信を行う。ユーザ端末4からの認証データは、バリュー交換サーバ3の中継処理(ステップS203)を介して、又は中継を介さずに直接、第1電子マネーサーバ6に送信される(通信TR4)。
【0070】
第1電子マネーサーバ6は、認証データを受信したらステップS302で認証処理を行う。なお図示していないが、もし認証OKとならなければ、バリュー移行はエラー終了される。
【0071】
認証OKであった場合、第1電子マネーサーバ6はステップS303でデータ読み出しコマンドを作成する。即ち第1タイプカード10からバリューデータを含むカードデータを読み出すコマンドである。
そして第1電子マネーサーバ6はステップS304でデータ読み出しコマンドを送信する(通信TR5)。このデータ読み出しコマンドは、例えばバリュー交換サーバ3の中継処理(ステップS204)を介して、又は中継を介さずに直接、ユーザ端末4に送られる。
【0072】
ユーザ端末4は受信したデータ読み出しコマンドを近距離無線通信により第1タイプカード10に送信する(ステップS104)。
第1タイプカード10のICチップは、データ読み出しコマンドに応じてバリューデータを含むカードデータを送信する。
ユーザ端末4はステップS105で第1タイプカード10からのカードデータの受信、及び送信を行う。ユーザ端末4からのカードデータは、バリュー交換サーバ3の中継処理(ステップS205)を介して、又は中継を介さずに直接、第1電子マネーサーバ6に送信される(通信TR6)。
【0073】
カードデータを受信した第1電子マネーサーバ6は、ステップS305でカードデータ復号を行う。例えば暗号鍵を用いてデータ復号を行い、読み出したバリュー等の情報を得る。
そして第1電子マネーサーバ6はステップS306で復号カードデータ及び減算コマンドをバリュー交換サーバ3に送信する(通信TR7)。
バリュー交換サーバ3はステップS206で、受信した復号カードデータを記憶するとともに復号カードデータと減算コマンドをユーザ端末4に送信する(通信TR8)。
【0074】
ユーザ端末4はステップS106で、減算コマンドを第1タイプカード10に送信し、バリューデータ減算を行わせる。またユーザ端末4は復号カードデータを受信することに応じてステップS107で、例えば画面上にバリューを表示し、またこのバリューを第2タイプカード20に移行する通信の実行指示をユーザに求める。
【0075】
以降は第2タイプカード20との通信が必要になるため、ユーザは、第1タイプカード10に代えて第2タイプカード20をユーザ端末4に近接させた状態としたうえで実行指示の操作を行う。ユーザ端末4はユーザの指示をバリュー交換サーバ3に通知する(通信TR9)。
なお、ユーザ端末4(アプリケーションソフトウェア)は、ユーザに対して、ユーザ端末4と第2タイプカード20(移行先としたい電子マネー媒体)を近接させるようにガイダンス表示等を行うようにすることが想定される。
【0076】
なお、例えばここまでの処理の途中でユーザが移行キャンセルの指示を行うことができるようにしてもよいが、その場合は、第1タイプカード10に対する減算コマンドの送信前のタイミングでキャンセル可能とすることが望ましい。
【0077】
図6のユーザ端末4、バリュー交換サーバ3の以降の処理は、「C1」「C2」で示すように
図7に続けて示している。
図7ではユーザ端末4、バリュー交換サーバ3、第2電子マネーサーバ7の処理を示している。
【0078】
バリュー交換サーバ3はユーザ端末4からの移行指示に応じて、ステップS207で変換レート情報を取得する。
変換レート情報は、バリュー交換サーバ3が所定のサーバから逐次取得する情報であり、現在の各通貨間の為替レートや、電子マネーシステム間のバリュー交換相場などの情報である。
例えば第1タイプカード10がA国通貨として使用される電子マネー媒体、第2タイプカード20がB国通貨として使用される電子マネー媒体である場合、バリュー交換サーバ3はA国通貨とB国通貨の最新の為替レートを取得する。
【0079】
ステップS208でバリュー交換サーバ3は、第1タイプカード10のカードデータを第2タイプカード20向けに変換するための管理を行う。
例えば変換する復号カードデータと変換レート情報など、変換処理に必要な情報を第2電子マネーサーバ7に提供できるようにする。
【0080】
ステップS209でバリュー交換サーバ3は、変換すべき復号カードデータや変換レート情報を第2電子マネーサーバ7に送信する(通信TR10)。この場合、バリュー交換サーバ3は、第2電子マネーサーバ7に対し第2タイプカード20の認証も要求する。
【0081】
第2電子マネーサーバ7はステップS400で、第1タイプカード10と第2タイプカード20のファイル構造の違いに応じてカードデータフォーマットを変換する。
例えば上述した「TypeF」の電子マネー媒体のバリューを「TypeA」に移行する場合で説明したブロックデータ形式とレコード形式の間での変換など、データ形式の変換を行う。特にはこの場合のデータ変換処理では、同等又は類似の機能が維持される状態でのデータ変換処理を行う。例えば上述の例でいえば、サイクリックサービスのブロックデータが固定長循環編成のレコード形式に変換されるようにする変換処理や、ランダムサービスやパースサービスのブロックデータが固定長順編成のレコード形式に変換されるようにする変換処理などが行われる。
【0082】
より具体的には、まず読み出したカードデータに基づいて、データ構造を特定する処理が行われる。
またカードデータを復号する。この場合、バリュー交換サーバ3から提供される復号カードデータは、既に第1電子マネーサーバ6で暗号鍵を使って復号された復号カードデータである。
但し、第1電子マネーサーバ6で暗号鍵を使って復号しない場合、バリュー交換サーバ3又は第2電子マネーサーバ7に復号前のカードデータが提供される。このため、バリュー交換サーバ3又は第2電子マネーサーバ7で暗号鍵を取得して第1タイプカード10のカードデータの復号を行ってもよい。
そしてバリュー交換サーバ3は、復号されたカードデータに対し、移行先でのデータ形式に対応する暗号鍵を決定する処理を行う。
なお、「TypeF」の場合は複合鍵を持つことができる。例えば
図4Aのシステムフォルダ(System)、エリアフォルダ(Area0)、サービスフォルダ(Service0)を一度に復号する複合鍵を持つことができる。
一方、「TypeA」「TypeB」の場合は、複合鍵を持つことができない。そのため、例えば、サービスフォルダ(Service0)に対応する作業用基礎ファイル(WEF)を特定するためには、マスターファイル(MF)の鍵、専用ファイル(DF)の鍵、というように複数の暗号鍵を使用しなければならないことになる。
【0083】
またこのとき、第1タイプカード10が使用される国/地域と第2タイプカード20が使用される国/地域での通貨単位や通貨価値の違いなどに応じて、バリューデータも書き換えることになる。その場合、第2電子マネーサーバ7は、バリュー交換サーバ3から送信された最新の変換レート情報を用いて新たなバリューデータの数値を算出する。なお、第2電子マネーサーバ7が変換レート情報の取得を行ってもよい。
第2電子マネーサーバ7はステップS400で以上の変換処理を行って得た変換後のカードデータを第2タイプカード20に対する書き込みデータとする。
【0084】
続いて第2電子マネーサーバ7は、認証要求に応じてステップS401で認証コマンドを送信する(通信TR11)。
この認証コマンドは、例えばバリュー交換サーバ3に送信され、バリュー交換サーバ3の中継処理(ステップS210)を介してユーザ端末4に送信される。或いは認証コマンドは、バリュー交換サーバ3の中継を介さずに第2電子マネーサーバ7から直接ユーザ端末4に送信されるようにしてもよい。
【0085】
ユーザ端末4は受信した認証コマンドを近距離無線通信により第2タイプカード20に送信する(ステップS108)。
【0086】
第2タイプカード20のICチップは、認証コマンドに応じて認証データ(カードID等)を送信する。
ユーザ端末4はステップS109で第2タイプカード20からの認証データの受信、及び送信を行う。ユーザ端末4からの認証データは、バリュー交換サーバ3の中継処理(ステップS211)を介して、又は中継を介さずに直接、第2電子マネーサーバ7に送信される(通信TR12)。
【0087】
第2電子マネーサーバ7は、認証データを受信したらステップS402で認証処理を行う。図示していないが、もし認証OKとならなければ、バリュー移行はエラー終了される。
【0088】
認証OKであった場合、第2電子マネーサーバ7はステップS403でデータ書き込みコマンドを作成する。即ち第2タイプカード20へ、バリュー交換サーバ3が作成した書き込みデータ(変換したバリューデータを含むカードデータ)を書き込むコマンドである。
そして第2電子マネーサーバ7はステップS404でデータ書き込みコマンド及び書き込みデータを送信する(通信TR13)。このデータ書き込みコマンド及び書き込みデータは、例えばバリュー交換サーバ3の中継処理(ステップS212)を介して、又は中継を介さずに直接、ユーザ端末4に送られる。
【0089】
ユーザ端末4は受信したデータ書き込みコマンド及び書き込みデータを近距離無線通信により第2タイプカード20に送信する(ステップS110)。
第2タイプカード20のICチップは、データ書き込みコマンドに応じて、同時に送信されてくる書き込みデータを記憶する処理を行い、書き込み結果データを送信する。
【0090】
ユーザ端末4はステップS111で第2タイプカード20からの書き込み結果データの受信、及び送信を行う。ユーザ端末4からの書き込みデータは、バリュー交換サーバ3の中継処理(ステップS213)を介して、又は中継を介さずに直接、第2電子マネーサーバ7に送信される(通信TR14)。
【0091】
第2電子マネーサーバ7はステップS405で書き込み結果を確認する処理を行い、ステップS406でバリュー交換サーバ3に対して結果通知を行う(通信TR15)。
バリュー交換サーバ3は、結果通知に応じて、結果管理処理(例えばバリュー移行の成否の情報や移行履歴の保存など)を行うとともに、ユーザ端末4にデータ移行の結果通知をおこなう(通信TR16)。
ユーザ端末4では結果通知に応じてステップS112で移行結果表示を行い、ユーザに移行結果を提示する。
【0092】
以上により第1タイプカード10から第2タイプカード20へのバリュー移行が完了したことになる。
なお、第2タイプカード20から第1タイプカード10へのバリュー移行も同様に行われる。第2タイプカード20からのバリューの読み出しは第2電子マネーサーバ7によるコマンドにより実行され、第1タイプカード10への変換したバリューの書き込みは第1電子マネーサーバ6によるコマンドにより実行されることになる。
【0093】
<5.第2の実施の形態のバリュー移行>
第2の実施の形態として、第1電子マネーサーバ6と第2電子マネーサーバ7が介在しない例を説明する。
図1の情報処理システム1は、ユーザ端末4とバリュー交換サーバ3により構成される例となる。
そしてバリュー交換サーバ3が、第1の実施の形態において第1電子マネーサーバ6、第2電子マネーサーバ7が行っていた処理を実行する。
【0094】
図8はバリュー移行の際の通信手順として、第1タイプカード10、第2タイプカード20、ユーザ端末4、バリュー交換サーバ3間の通信を示している。
図8に示す通信TR1、TR3、TR4、TR5、TR6、TR8、TR9、TR11、TR12、TR13、TR14、TR16は、
図5と同様の通信内容となるが、通信主体が異なる。また通信TR20を追加している。
【0095】
・通信TR1:ユーザ端末4からバリュー交換サーバ3にバリュー移行の処理の開始要求が送信される。
【0096】
・通信TR3:バリュー交換サーバ3が認証のための第1タイプカード10のID要求をユーザ端末4を介して行う。
・通信TR4:ID要求に応じて第1タイプカード10のカードIDがユーザ端末4を介して読み出され、バリュー交換サーバ3に送信される。
【0097】
・通信TR20:バリュー交換サーバ3とユーザ端末4の間でユーザに対する本人確認(この場合のバリュー移行元である第1電子マネーサーバ6の所有者の確認)のための通信が行われる。
【0098】
・通信TR5:認証及び本人確認がOKの場合に、バリュー交換サーバ3が第1タイプカード10に対するデータ読み出しコマンドを作成し(S223)、そのデータ読み出しコマンドがバリュー交換サーバ3からユーザ端末4を介して第1タイプカード10へ送信される。
・通信TR6:第1タイプカード10からユーザ端末4を介して読み出されたデータ(バリュー等)がバリュー交換サーバ3に送信される。
【0099】
・通信TR8:バリュー交換サーバ3から復号データ及び減算コマンドがユーザ端末4に送信される。減算コマンドはユーザ端末4を介して第1タイプカード10に送信される。第1タイプカード10は、受信した数値データに基づいて、バリューを減算させる。
・通信TR9:ユーザ端末4からデータ移行の指示が送信される。
【0100】
・通信TR11:バリュー交換サーバ3が、移行元の第1タイプカード10から読み出したバリューを含む復号データを、移行先の第2タイプカード20のデータ構造に対応したデータに変換し、変換したデータを書き込みデータとする(S228)。
例えば上述した「TypeF」の電子マネー媒体のバリューを「TypeA」に移行する場合で説明したブロックデータ形式とレコード形式の間での変換など、データ形式の変換を行う。
なお、第2の実施の形態では、暗号鍵の特定手段まで第1の実施の形態と同様の処理を行うため、当該処理に関する説明は省略する。
第2の実施の形態では、バリュー交換サーバ3は、暗号鍵を特定したのち、特定したデータと同等又は類似の機能が維持されるデータへのデータ変換処理を行う。例えば上述の例でいえば、「TypeF」のサイクリックサービスのブロックデータを「TypeA」の固定長循環編成のレコード形式に変換する際、バリュー交換サーバ3は、「TypeF」の複合鍵のうちからサイクリックサービスを含む複合鍵を特定する。次に、バリュー変換サーバ3は、当該複合鍵に含まれる複数の暗号鍵に対応するように、「TypeA」のMFの暗号鍵、DFの暗号鍵、及びWEFの暗号鍵を特定する。その後、バリュー交換サーバ3は、「TypeF」のサイクリックサービスのブロックデータを、当該サイクリックサービスと対応する「TypeA」の固定長循環編成のレコード形式に変換する。変換方法としては、例えば、ブロックデータに対し、ゼロパディングを行い、固定長データの桁数に変換することや、固定長データの所定の役割を示すバイトをブロックデータの対応する役割で書き換えることなどが考えられる。なお、ランダムサービスやパースサービスのブロックデータに関しても同様の処理を行う。
バリュー交換サーバ3は、この書き込みデータの書き込み先である第2タイプカード20に対するID要求をユーザ端末4を介して行う。
・通信TR12:ID要求に応じて第2タイプカード20のカードIDがユーザ端末4を介して読み出され、バリュー交換サーバ3に送信される。
【0101】
・通信TR13:認証OKの場合に、バリュー交換サーバ3が第2タイプカード20に対するデータ書き込みコマンドを作成し(S231)、そのデータ書き込みコマンド及び書き込みデータ(バリュー等)がバリュー交換サーバ3からユーザ端末4を介して第2タイプカード20へ送信される。
・通信TR14:第2タイプカード20からユーザ端末4を介して書き込み結果を示すデータがバリュー交換サーバ3に送信される。
・通信TR16:バリュー交換サーバ3からユーザ端末4にデータ移行の結果通知がされる。
【0102】
以上の通信過程でのユーザ端末4、バリュー交換サーバ3の処理を
図9,
図10で説明する。
なおユーザ端末4の処理として
図6,
図7と同様の処理は同一のステップ番号を付しており、重複した詳細な説明は避ける。
【0103】
ユーザ端末4のステップS101の処理により、バリュー交換サーバ3に対してバリュー移行の処理の開始要求が送信(通信TR1)されると、バリュー交換サーバ3は、これに応じてステップS220で認証コマンドを送信する(通信TR3)。
この認証コマンドは、ユーザ端末4に送信され、ユーザ端末4は受信した認証コマンドを近距離無線通信により第1タイプカード10に送信する(ステップS102)。
【0104】
第1タイプカード10のICチップは、認証コマンドに応じて認証データ(カードID等)をユーザ端末4に送信する。
ユーザ端末4はステップS103で第1タイプカード10からの認証データを受信し、バリュー交換サーバ3に送信する(通信TR4)。
【0105】
バリュー交換サーバ3は、認証データを受信したらステップS221で認証処理を行う。図示していないが、認証OKとならなければ、バリュー移行はエラー終了される。
【0106】
認証OKとなったら、バリュー交換サーバ3とユーザ端末4は本人確認のための通信(通信TR20)を行う(ステップS222、ステップS120)。
これはユーザ端末4からユーザに対して何らかの入力を求め、ユーザが第1タイプカード10の所有者本人であることを確認するための処理である。
【0107】
この処理を行うのは、バリューを移行する際に本人確認が法律的に必要になることがあることに基づく。例えば、免許証を送る、eKYC(electronic Know Your Customer:オンライン本人確認方法)など、公的な証明書を用いて、氏名、住所、及び生年月日の確認を行う方法である。公的な証明書とは、運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証、パスポート等である。
一度本人確認を行ったユーザについては、所定の条件を満たす場合、本人確認済みのユーザとして認められ、次回以降は、公的な証明書を用いた本人確認を省略できる。
【0108】
なお、本人確認済みのユーザとして認められたユーザが本システムを使用する場合、当該ユーザか否かを認証する方法としては、パスワード入力、生体認証(顔認証、声紋認証、指紋認証など)、特定情報入力、その他各種の手法が想定される。
例えば、eKYCでは、写真付きの公的な証明書と、本人の容貌の画像とが必要になる。オンラインで完結する本人確認の方法では、写真付きの公的な証明書を、特定事業者が提供するソフトウェアを使用して撮影されたものが必要となる。このため、当該ソフトウェアは、カメラなどの入力装置を起動させて画像を取得したり、既に撮影された画像を選択したりすることで、上記二つの必要書類を特定事業者に送信し、本人確認を行う。
なお、第1の実施形態においても同様の本人確認を行ってもよい。
図示していないが、本人確認OKとならなければ、バリュー移行はエラー終了される。
【0109】
本人確認OKであった場合、バリュー交換サーバ3はステップS223でデータ読み出しコマンドを作成する。即ち第1タイプカード10からバリューデータを含むカードデータを読み出すコマンドである。
そしてバリュー交換サーバ3はステップS224でデータ読み出しコマンドをユーザ端末4に送信する(通信TR5)。
ユーザ端末4は受信したデータ読み出しコマンドを近距離無線通信により第1タイプカード10に送信する(ステップS104)。
【0110】
第1タイプカード10のICチップは、データ読み出しコマンドに応じてバリューデータを含むカードデータを送信する。
ユーザ端末4はステップS105で第1タイプカード10からのカードデータの受信、及びバリュー交換サーバ3への送信を行う(通信TR6)。
【0111】
カードデータを受信したバリュー交換サーバ3は、ステップS225でカードデータ復号を行う。例えば暗号鍵を用いてデータ復号を行い、読み出したバリュー等の情報を得る。
またバリュー交換サーバ3はステップS226で復号カードデータと減算コマンドをユーザ端末4に送信する(通信TR8)。
【0112】
ユーザ端末4はステップS106で、減算コマンドを第1タイプカード10に送信し、バリューデータ減算を行わせる。またユーザ端末4は復号カードデータを受信することに応じてステップS107で、例えば画面上にバリューを表示し、またこのバリューを第2タイプカード20に移行する通信の実行指示をユーザに求める。ユーザは、第1タイプカード10に代えて第2タイプカード20をユーザ端末4に近接させた状態としたうえで実行指示の操作を行う。ユーザ端末4はユーザの指示をバリュー交換サーバ3に通知する(通信TR9)。
【0113】
図9のユーザ端末4、バリュー交換サーバ3の以降の処理は、「C11」「C12」で示すように
図10に続けて示している。
【0114】
バリュー交換サーバ3はステップS227で変換レート情報を外部サーバ等から取得する。これは
図7のステップS207と同様の処理である。
そしてバリュー交換サーバ3はステップS228で、第1タイプカード10のカードデータを第2タイプカード20向けに変換し、第2タイプカード20への書き込みデータとする。このステップS227は
図7で第2電子マネーサーバ7によるステップS400と同様の変換処理である。そしてバリュー交換サーバ3は変換処理を行って得た変換後のカードデータを第2タイプカード20に対する書き込みデータとする。
【0115】
バリュー交換サーバ3は、ステップS229で第2タイプカード20に対する認証コマンドをユーザ端末4に送信する(通信TR11)。
ユーザ端末4は受信した認証コマンドを近距離無線通信により第2タイプカード20に送信する(ステップS108)。
第2タイプカード20のICチップは、認証コマンドに応じて認証データ(カードID等)を送信する。
ユーザ端末4はステップS109で第2タイプカード20からの認証データの受信、及びバリュー交換サーバ3への送信を行う(通信TR12)。
【0116】
バリュー交換サーバ3は、認証データを受信したらステップS230で認証処理を行う。図示していないが、もし認証OKとならなければ、バリュー移行はエラー終了される。
【0117】
認証OKであった場合、バリュー交換サーバ3はステップS231でデータ書き込みコマンドを作成する。即ち第2タイプカード20へ書き込みデータ(変換したバリューデータを含むカードデータ)を書き込むコマンドである。
そしてバリュー交換サーバ3はステップS232でデータ書き込みコマンド及び書き込みデータをユーザ端末4に送信する(通信TR13)。
【0118】
ユーザ端末4は受信したデータ書き込みコマンド及び書き込みデータを近距離無線通信により第2タイプカード20に送信する(ステップS110)。
第2タイプカード20のICチップは、データ書き込みコマンドに応じて、同時に送信されてくる書き込みデータを記憶する処理を行い、書き込み結果データを送信する。
ユーザ端末4はステップS111で第2タイプカード20からの書き込み結果データの受信、及びバリュー交換サーバ3への送信を行う(通信TR14)。
【0119】
バリュー交換サーバ3はステップS233で書き込み結果を確認する処理を行い、結果管理処理(例えばバリュー移行の成否の情報や移行履歴の保存など)を行うとともに、ステップS234でユーザ端末4にデータ移行の結果通知を行う(通信TR16)。
ユーザ端末4では結果通知に応じてステップS112で移行結果表示を行い、ユーザに移行結果を提示する。
以上により第1タイプカード10から第2タイプカード20へのバリュー移行が完了したことになる。
【0120】
<6.第3の実施の形態のバリュー移行>
第3の実施の形態としてのユーザ端末4のみでバリュー移行を実行させる例を説明する。
図1の情報処理システム1がユーザ端末4のみで構成される例となる。例えばユーザ端末4におけるアプリケーションソフトウェアに基づいて、ユーザ端末4がバリュー移行に必要な処理を実行する。
なお、ユーザ端末4がバリュー移行に必要な処理を実行する場合、ユーザ端末4は不正防止のために、例えば、耐タンパ装置などを備える。耐タンパ装置は、暗号鍵の保護を目的とした専用の暗号化プロセッサであり、データの暗号化やデジタル署名の生成時に使用する暗号鍵を安全に保護するための装置である。ユーザ端末4は、耐タンパ装置を使用することで、ユーザ端末4が暗号鍵を持つ場合であっても暗号鍵を保護することができ、安全にバリューの変換を行うことができる。以下の処理では、ユーザ端末4は、耐タンパ装置を備えているものとする。
【0121】
図11はバリュー移行の際の通信手順として、第1タイプカード10、第2タイプカード20、ユーザ端末4の間の通信を示している。
図11に示す通信TR3、TR4、TR5、TR6、TR8、TR11、TR12、TR13、TR14は、
図5や
図8と同様の通信内容となるが、全てユーザ端末4とカード(10,20)間の近距離無線通信となる。
【0122】
・通信TR3:ユーザ端末4がカード認証のため第1タイプカード10にID要求を送信する。
・通信TR4:ID要求に応じて第1タイプカード10のカードIDがユーザ端末4に読み出される。
【0123】
・通信TR5:認証OKの場合に、ユーザ端末4が第1タイプカード10に対するデータ読み出しコマンドを作成し(S153)、第1タイプカード10へ送信する。
・通信TR6:読み出しコマンドにより第1タイプカード10からユーザ端末4にカードデータが読み出される。
・通信TR8:減算コマンドがユーザ端末4から第1タイプカード10に送信される。第1タイプカード10は、受信した数値データに基づいて、バリューを減算させる。
【0124】
・通信TR11:ユーザ端末4が、移行元の第1タイプカード10から読み出したバリューを含む復号データを、移行先の第2タイプカード20のデータ構造に対応したデータに変換し、変換したデータを書き込みデータとする(S158)。ユーザ端末4は、この書き込みデータの書き込み先である第2タイプカード20に対してID要求を送信する。
・通信TR12:ID要求に応じて第2タイプカード20のカードIDがユーザ端末4に読み出される。
【0125】
・通信TR13:認証OKの場合に、ユーザ端末4は第2タイプカード20に対するデータ書き込みコマンドを作成し(S161)、データ書き込みコマンド及び書き込みデータ(バリュー等)を第2タイプカード20へ送信する。
・通信TR14:第2タイプカード20からユーザ端末4に書き込み結果を示すデータがバリュー交換サーバ3に送信される。
【0126】
以上の通信過程でのユーザ端末4の処理を
図12で説明する。
ユーザ端末4は、アプリケーションソフトウェアが起動され、バリュー移行が開始されると、ステップS150で認証コマンドを近距離無線通信により第1タイプカード10に送信する(通信TR3)。
【0127】
第1タイプカード10のICチップは、認証コマンドに応じて認証データ(カードID等)をユーザ端末4に送信する(通信TR4)。
ユーザ端末4は認証データを受信したらステップS151で認証処理を行う。図示していないが、認証OKとならなければ、バリュー移行はエラー終了される。
【0128】
認証OKとなったら、ユーザ端末4はステップS152で本人確認処理を行う。
例えばユーザ端末4はユーザに対して何らかの入力を求め、操作しているユーザが第1タイプカード10の所有者本人であることを確認する。
図示していないが、本人確認OKとならなければ、バリュー移行はエラー終了される。
【0129】
本人確認OKであった場合、ユーザ端末4はステップS153で第1タイプカード10に対するデータ読み出しコマンドを作成する。
そしてユーザ端末4はステップS154でデータ読み出しコマンドを第1タイプカード10に送信する(通信TR5)。
【0130】
第1タイプカード10のICチップは、データ読み出しコマンドに応じてバリューデータを含むカードデータを送信する(通信TR6)。
ユーザ端末4はステップS155で第1タイプカード10からのカードデータを受信して取得し、カードデータ復号を行う。
またユーザ端末4はステップS156で減算コマンドを第1タイプカード10に送信する(通信TR8)。
【0131】
ユーザ端末4はステップS157で所定のサーバとの通信などにより変換レート情報を取得する。
そしてステップS158でユーザ端末4は、第1タイプカード10のカードデータを第2タイプカード20向けに変換し、第2タイプカード20への書き込みデータとする。
例えば上述した「TypeF」の電子マネー媒体のバリューを「TypeA」に移行する場合で説明したブロックデータ形式とレコード形式の間での変換など、データ形式の変換を行う。特にはこの場合のデータ変換処理では、同等又は類似の機能が維持される状態でのデータ変換処理を行う。例えば上述の例でいえば、サイクリックサービスのブロックデータが固定長循環編成のレコード形式に変換されるようにする変換処理や、ランダムサービスやパースサービスのブロックデータが固定長順編成のレコード形式に変換されるようにする変換処理などが行われる。
第3の実施の形態は、第2の実施の形態と同様の変換処理を行うため、説明は省略する。
なお、データ形式の変換処理の際には、ユーザ端末4は、耐タンパ装置を用いて、データの改ざんを防止する。
【0132】
ユーザ端末4は、ステップS159で第2タイプカード20に対して認証コマンドを送信する(通信TR11)。
第2タイプカード20のICチップは、認証コマンドに応じて認証データ(カードID等)をユーザ端末4に送信する(通信TR12)。
ユーザ端末4は第2タイプカード20からの認証データを受信したら、ステップS160で認証処理を行う。図示していないが、もし認証OKとならなければ、バリュー移行はエラー終了される。
なおユーザ端末は、少なくともステップS159の送信は、ユーザが第1タイプカード10に代えて第2タイプカード20をユーザ端末4に近接させた状態としたうえで実行指示の操作を行うことを待機することが好適である。
【0133】
認証OKであった場合、ユーザ端末4はステップS161で第2タイプカード20に対するデータ書き込みコマンドを作成する。
そしてユーザ端末4はステップS162でデータ書き込みコマンド及び書き込みデータを第2タイプカード20に送信する(通信TR13)。
第2タイプカード20のICチップは、データ書き込みコマンドに応じて、同時に送信されてくる書き込みデータを記憶する処理を行い、書き込み結果データを送信する(通信TR14)。
ユーザ端末4はステップS163で第2タイプカード20からの書き込み結果データの受信し、書き込み結果を確認する処理を行う。そしてユーザ端末4はステップS164で移行結果表示を行い、ユーザに移行結果を提示する。
以上により第1タイプカード10から第2タイプカード20へのバリュー移行が完了したことになる。
なお、以上の第3の実施形態においても、第2の実施の形態のステップS222、ステップS120で説明した本人確認を行うようにしてもよい。例えばユーザ端末4で
図12の処理を実行するには、それに先だって、例えばバリュー交換サーバ3等との間で本人確認を行うことを要するようにすることが考えられる。
【0134】
<7.バリューの一部移行>
ところで、以上の第1,第2,第3の実施の形態の処理は、例えば第1タイプカード10のバリューを全て第2タイプカード20に移行させることだけでなく、例えばユーザが指定した額のバリューデータを移行させるものとしてもよい。
例えばユーザ端末4の操作において所定のタイミングで移行させたい額を指定する入力を行うことができるようにする。そしてユーザ端末4は、例えば通信TR1、或いは通信TR9などのタイミングで移行させる額をバリュー交換サーバ3に通知することが考えられる。
【0135】
第1の実施の形態においては、ユーザ端末4、バリュー交換サーバ3、第1電子マネーサーバ6、第2電子マネーサーバ7は、その指定された額を対象として上記の
図6,
図7の処理でバリュー移行を実行する。
第2の実施の形態では、ユーザ端末4とバリュー交換サーバ3が、指定された額を対象として上記の
図9,
図10の処理でバリュー移行を実行する。
第3の実施の形態では、ユーザ端末4がユーザの入力に応じて指定された額を対象として上記の
図12の処理でバリュー移行を実行する。
このようにすることで、ユーザは必要と考える任意の額の移行を行うことができる。
なお、当然この場合に移行元からバリューデータを減算させる減算コマンドは、指定された移行する額の減算を指示するコマンドとなる。
【0136】
<8.まとめ及び変形例>
以上の実施の形態では次のような効果が得られる。
実施の形態の情報処理システム1は、電子マネーシステムで使用される通貨価値情報であるバリューを第1のファイル構造で管理する第1タイプカード10(第1のICチップ)に対して通信を行う第1タイプ通信部41と、バリューを第1のファイル構造とは異なる第2のファイル構造で管理する第2タイプカード20(第2のICチップ)に対して通信を行う第2タイプ通信部42を備える。
また情報処理システム1は、第1タイプ通信部41を介して第1タイプカード10のICチップに記憶されている、移行元のバリュー(第1のバリュー)を読み込む読み込み処理部32を備える。
また情報処理システム1は、移行元の第1のバリューを、移行先のICチップに記憶させるために変換した第2のバリューを取得する変換バリュー管理部31を備える。
また情報処理システム1は、第2タイプ通信部42を介して移行先となる第2タイプカード20のICチップに第2のバリューを書き込む書き込み処理部33を備える。
これにより異なるファイル構造が採用されている電子マネー媒体として第1タイプカード10と第2タイプカード20の間でバリューを移行させることができる。
例えば或るユーザが、本国であるA国で使用されている第1タイプカード10と、B国で使用されている第2タイプカード20とを有することを想定する。このユーザがB国を訪れたときに、第1タイプカード10が使えないとしても、第1タイプカード10のバリューをユーザ端末4を用いて第2タイプカード20に移行させることで、その第2タイプカード20を用いた決済ができるようになる。
このように異なるファイル構造のカード間のバリュー移動を可能とすることで、ユーザの電子マネー決済での使用性を著しく向上させることができる。
【0137】
なお、このような情報処理システム1は、第1の実施の形態では、ユーザ端末4、バリュー交換サーバ3、第1電子マネーサーバ6、第2電子マネーサーバ7により構成される。即ち複数のコンピュータ装置による情報処理システムとして構成される。
またこのような情報処理システム1は、第2の実施の形態では、ユーザ端末4、バリュー交換サーバ3による情報処理システムとして構成される。
またこのような情報処理システム1は、第3の実施の形態では、ユーザ端末4により構成される。
以上のように1又は複数の情報処理装置により構成される情報処理システム1が、本発明でいう情報処理装置に相当することになる。
【0138】
実施の形態では、変換バリュー管理部31が取得する第2のバリュー(移行先に書き込むバリュー)は、移行処理の際の最新の変換レート情報を用いて変換されたものであるとした。
最新の変換レート情報を適切に更新していることで、第1,第2のICチップによる電子マネーシステム間でバリューとしての数値の価値が不適切に変化してしまうようなことを防止できる。
【0139】
実施の形態では、変換レート情報は、為替レート情報、又は電子マネーシステム間での変換レート相場情報であるとした。
第1タイプカード10,第2タイプカード20を用いる各電子マネーシステムが使用される国や地域が異なる場合は、為替レートに基づいてバリューの値を変換することで、同等の価値でバリュー移行ができる。
また第1のICチップを用いる電子マネーシステムと第2のICチップを用いる電子マネーシステムにおいて、バリューの数値の価値が異なるような場合、その変換レート相場の情報を参照してバリューの値を変換することで、同等の価値でバリュー移行ができる。
【0140】
実施の形態では、変換バリュー管理部31が取得する第2のバリューは、第1のバリューを第2のバリューに変換する際に、第1のICチップを含む電子マネー媒体の使用名義人に対する本人確認処理が行われたうえで変換されたものであるとした。
バリュー変換及びバリュー移行を行う際に、正当な持ち主に対する本人確認処理が行われることで、不正なバリュー変換/移行が防止できる。例えば他人の第1タイプカード10から無断でバリューを読み出し、自分の第2タイプカード20にバリューを移行させるといったようなことが防止される。
【0141】
実施の形態では、変換バリュー管理部31は、第1のバリューを外部サーバに送信し、外部サーバにおいて変換された前記第2のバリューを受信することで第2のバリューを取得する例を挙げた。
例えば
図2の構成をユーザ端末4が備えることを想定したときに、第1のバリューから第2のバリューへの変換処理自体は外部サーバ(例えばバリュー交換サーバ3、或いは他のサーバ)において行うようにすることで、ユーザ端末4における処理負担を軽減できる。
特にスマートホン等の携帯型ユーザ端末では、ユーザによって他の機能も多く利用されていることが想定される。そのような場合に、処理負担の削減はシステム動作の安定化や、汎用機としてのユーザ端末において演算能力を過度に占有せずに、各種の他の動作機能にとっても望ましいものとなる。
また例えば
図2の構成を
図1の情報処理システム1内で分散して備える(例えばユーザ端末4やバリュー交換サーバ3において分散して備える)ことを想定した場合でも、第1のバリューから第2のバリューへの変換処理自体はさらに外部サーバにおいて行うことも考えられる。
【0142】
実施の形態では、変換バリュー管理部31は、第1のバリューを第2のバリューに変換する変換処理を行う例を挙げた。
例えば第3の実施の形態では、
図2の構成をユーザ端末4が備えることが想定されるが、変換バリュー管理部31が第1のバリューから第2のバリューへの変換処理自体も行うことで、外部サーバとの通信を行わずにバリュー移行が可能となる。この場合、ユーザ端末4における処理負担は増えるが、通信ができない環境或いは通信が安定しない環境などでもバリュー移行ができるようになるという利点が得られる。
【0143】
実施の形態の処理によれば、第1タイプカード10のバリュー全部を第2タイプカード20に移行させるだけでなく、ユーザ指定の額のバリュー移行もできる。
読み込み処理部32は、第1タイプ通信部41を介して第1タイプカード10のICチップに記憶されている第1のバリューの額の範囲内でユーザ指定に係る額に相当するバリューのデータを読み込むようにする。変換バリュー管理部31は、ユーザ指定の額に相当するバリューのデータを第2タイプカード20のICチップに記憶させるために変換した第2のバリューを取得する。これにより書き込み処理部33が第2タイプ通信部42を介して移行先となる第2タイプカード20のICチップに第2のバリューを書き込むことで、ユーザが指定した額のバリュー移行ができる。
従って、ユーザは使用目的などに合わせて任意の額のバリュー移行ができることになり、電子マネー媒体の使用性を著しく向上させることができる。
【0144】
実施の形態のプログラムは、第1のICチップ(例えば第1タイプカード10)に対して通信を行って第1のICチップに記憶されている第1のバリューを読み込む処理と、第1のバリューを、第2のICチップ(例えば第2タイプカード20)に記憶させるために変換した第2のバリューを取得する処理と、第2のICチップに対して通信を行って第2のICチップに第2のバリューを書き込む処理とを情報処理装置に実行させるプログラムである。
【0145】
例えば第3の実施の形態のようにユーザ端末4がバリュー移行の処理を行う場合、アプリケーションソフトウェアとしてこのようなプログラムが適用される。
このようなプログラムにより、ユーザ端末4として述べたようなバリュー移行を実現する情報処理装置を実現できる。
また第1,第2の実施の形態の場合、バリュー交換サーバ3の処理として、このようなプログラムを用いることもできる。
【0146】
そしてこのようなプログラムはコンピュータ装置等の機器に内蔵されている記憶媒体としてのHDDや、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記憶しておくことができる。あるいはこのようなプログラムは、半導体メモリ、メモリカード、光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスクなどのリムーバブル記憶媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記憶)しておくことができる。またこのようなプログラムを記憶したリムーバブル記憶媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記憶媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
【符号の説明】
【0147】
1 情報処理システム、2 ネットワーク、3 バリュー交換サーバ、4 ユーザ端末、6 第1電子マネーサーバ、7 第2電子マネーサーバ、10 第1タイプカード、20 第2タイプカード、30 演算部、31 変換バリュー管理部、32 読み込み処理部、33 書き込み処理部、40 通信部、41 第1タイプ通信部、42 第2タイプ通信部