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特許7154307ビード幅調整装置と共に使用される自動調整シリンダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】ビード幅調整装置と共に使用される自動調整シリンダ
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20221007BHJP
   G01M 1/02 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
B60C19/00 H
G01M1/02
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020550651
(86)(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 US2019019510
(87)【国際公開番号】W WO2019203932
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-09-07
(31)【優先権主張番号】15/958,226
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597000191
【氏名又は名称】アクロン・スペシャル・マシナリー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AKRON SPECIAL MACHINERY INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】2740 Cory Avenue,Akron,Ohio ,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】リント チャールズ エイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルマン ベンジャミン イー
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル ブライアン ディー
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-295359(JP,A)
【文献】実開昭53-012986(JP,U)
【文献】実開平04-117905(JP,U)
【文献】実開昭61-017520(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-19/12
B29D 30/00-30/72
G01M 1/00- 1/38
F15B 15/00-15/28
F16J 1/00- 1/24,
7/00-10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤユニフォミティマシン内にタイヤを位置決めするためのチャッキング装置であって、
上部チャックアセンブリと、
前記上部チャックアセンブリと協働してタイヤをそれらの間に捕捉する下部チャックアセンブリと、
前記タイヤを前記上部チャックアセンブリと係合させるように移動させる前記下部チャックアセンブリに結合されたデュアルピストンシリンダと、
を備え、
前記デュアルピストンシリンダは、軸方向に伸びる内側ピストンロッドを有しており、そこから軸方向に、現場で交換可能な内側ピストンステムが延びており、
前記内側ピストンロッドは、ロッド内面を有する軸方向ステム開口を有しており、
前記内側ピストンステムは、前記軸方向ステム開口に取り外し可能に受容されるネジ付きシャフトを有している
ことを特徴とするチャッキング装置。
【請求項2】
タイヤユニフォミティマシン内にタイヤを位置決めするためのチャッキング装置であって、
上部チャックアセンブリと、
前記上部チャックアセンブリと協働してタイヤをそれらの間に捕捉する下部チャックアセンブリと、
前記タイヤを前記上部チャックアセンブリと係合させるように移動させる前記下部チャックアセンブリに結合されたデュアルピストンシリンダと、
を備え、
前記デュアルピストンシリンダは、軸方向に伸びる内側ピストンロッドを有しており、そこから軸方向に、現場で交換可能な内側ピストンステムが延びており、
前記下部チャックアセンブリは、更に、
軸方向に貫通して延びるノーズコーン開口を有するノーズコーンシャフトであって、前記ノーズコーン開口は内壁によって形成されており、ベースシートが前記内壁から内向きに延びている、ノーズコーンシャフトと、
前記現場で交換可能な内側ピストンステムの一端に固定されたロックナットと、
前記ベースシートによって支持されたニードルスラストベアリングと、
前記ロックナットと前記ニードルスラストベアリングとの間に介在されたバネと、
を有している
ことを特徴とするチャッキング装置
【請求項3】
前記ノーズコーンシャフトは、それを横切って延在して前記ニードルスラストベアリングと位置合わせされてその近傍に潤滑流体を供給するバネ潤滑穴を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のチャッキング装置。
【請求項4】
前記現場で交換可能な内側ピストンステムは、前記内側ピストンロッドに固定されるカラーとは反対側にナット端部を有するステム本体を有しており、
前記ステム本体は、それを横切って延在して前記バネ潤滑穴と実質的に位置合わせされた中央クロス穴を有する
ことを特徴とする請求項3に記載のチャッキング装置。
【請求項5】
前記ステム本体は、前記バネ潤滑穴と交差してそれを通る潤滑流体の通過を促す軸方向オリフィスを有する
ことを特徴とする請求項4に記載のチャッキング装置。
【請求項6】
タイヤユニフォミティマシン内にタイヤを位置決めするためのチャッキング装置であって、
上部チャックアセンブリと、
前記上部チャックアセンブリと協働してタイヤをそれらの間に捕捉する下部チャックアセンブリと、
前記タイヤを前記上部チャックアセンブリと係合させるように移動させる前記下部チャックアセンブリに結合されたデュアルピストンシリンダと、
を備え、
前記デュアルピストンシリンダは、軸方向に伸びる内側ピストンロッドを有しており、そこから軸方向に、現場で交換可能な内側ピストンステムが延びており、
前記下部チャックアセンブリは、更に、
軸方向に貫通して延びるノーズコーン開口を有するノーズコーンシャフトであって、前記ノーズコーン開口は内壁によって形成されており、スペーサシートが前記内壁から内向きに延びている、ノーズコーンシャフトと、
スペーサであって、それを横切って延在するスペーサクロス穴を有し、前記スペーサシートに隣接して位置決めされた、スペーサと、
前記スペーサと前記スペーサシートとの間に受容されたニードルスラストベアリングと、
を有しており、
前記現場で交換可能な内側ピストンステムは、前記ニードルスラストベアリングと前記スペーサとを通って延びている
ことを特徴とするチャッキング装置
【請求項7】
前記ノーズコーンシャフトは、それを横切って延在して前記スペーサクロス穴と位置合わせされてその近傍に潤滑流体を供給するスペーサ潤滑穴を有する
ことを特徴とする請求項6に記載のチャッキング装置。
【請求項8】
前記現場で交換可能な内側ピストンステムは、前記内側ピストンロッドに固定されるカラーとは反対側にナット端部を有するステム本体を有しており、
前記ステム本体は、それを横切って延在して前記スペーサクロス穴と実質的に位置合わせされた下方クロス穴を有する
ことを特徴とする請求項7に記載のチャッキング装置。
【請求項9】
前記ステム本体は、前記下方クロス穴と交差してそれを通る潤滑流体の通過を促す軸方向オリフィスを有する
ことを特徴とする請求項8に記載のチャッキング装置。
【請求項10】
タイヤユニフォミティマシン内にタイヤを位置決めするためのチャッキング装置であって、
上部チャックアセンブリと、
前記上部チャックアセンブリと協働してタイヤをそれらの間に捕捉する下部チャックアセンブリと、
前記タイヤを前記上部チャックアセンブリと係合させるように移動させる前記下部チャックアセンブリに結合されたデュアルピストンシリンダと、
を備え、
前記デュアルピストンシリンダは、軸方向に伸びる内側ピストンロッドを有しており、そこから軸方向に、現場で交換可能な内側ピストンステムが延びており、
前記下部チャックアセンブリは、更に、
軸方向に貫通して延びるノーズコーン開口を有するノーズコーンシャフトであって、前記ノーズコーン開口は内壁によって形成されており、前記内壁を横切って延在するバネ潤滑穴及びスペーサ潤滑穴を有している、ノーズコーンシャフト
を有しており、
前記現場で交換可能な内側ピストンステムは、前記ノーズコーン開口内に延びており、
前記現場で交換可能な内側ピストンステムは、軸方向オリフィスを有し、それを横切って延在して前記軸方向オリフィスと交差する中央クロス穴及び下方クロス穴を有し、
前記中央クロス穴は、前記バネ潤滑穴と実質的に位置合わせされており、
前記下方クロス穴は、前記スペーサ潤滑穴と実質的に位置合わせされている
ことを特徴とするチャッキング装置
【請求項11】
タイヤユニフォミティマシンのチャッキング装置内で用いられる下部チャックアセンブリであって、
軸方向に移動可能な外側ピストンロッドと、当該外側ピストンロッドに対して軸方向に移動可能であってステム開口を有する内側ピストンロッドと、を有するデュアルピストンシリンダと、
前記ステム開口内に取り外し可能に受容され、前記内側ピストンロッドから軸方向に延びる内側ピストンステムと、
前記内側ピストンステムを摺動可能に受け入れるノーズコーン開口を有するノーズコーンシャフトと、
前記内側ピストンステムを前記ノーズコーン開口内に固定する付勢機構と、
を備え
前記内側ピストンステムは、軸方向オリフィスと、それを貫通して延在して前記軸方向オリフィスと交差して潤滑流体がそれを通過することを許容する少なくとも1つのクロス穴と、を有している
ことを特徴とする下部チャックアセンブリ。
【請求項12】
前記ノーズコーン開口は、内壁によって形成され、
ベースシートが、前記ノーズコーンシャフトの一端に近位の前記内壁から内向きに延在しており、
グリースフィッティングを有するノーズコーンプラグが、前記ベースシートとは反対側の一端で前記ノーズコーン開口内に受容されており、
潤滑流体が、前記グリースフィッティングを介して、前記ノーズコーン開口内に供給される
ことを特徴とする請求項11に記載の下部チャックアセンブリ。
【請求項13】
前記ノーズコーンシャフトは、それを横切って延在して前記ノーズコーン開口と連通する少なくとも1つの潤滑穴を有しており、
前記少なくとも1つのクロス穴は、前記少なくとも1つの潤滑穴と実質的に整列されている
ことを特徴とする請求項11に記載の下部チャックアセンブリ。
【請求項14】
前記ノーズコーンシャフトは、前記ノーズコーンプラグとは反対側の一端で前記内壁から延在するスペーサシートを有しており、
スペーサが、前記スペーサシートに受容されており、
前記スペーサは、スペーサスラストベアリングを保持すると共に、それを貫通するスペーサクロス孔を有しており、
前記スペーサクロス孔は、前記少なくとも1つのクロス穴及び前記少なくとも1つの潤滑穴と実質的に整列されている
ことを特徴とする請求項13に記載の下部チャックアセンブリ。
【請求項15】
前記付勢機構は、
前記内側ピストンステムの一端に固定されたネジ付きナットと、
前記ベースシートによって支持されたシートスラストベアリングと、
前記ネジ付きナットと前記シートスラストベアリングとの間に介在されたバネと、
を有する
ことを特徴とする請求項14に記載の下部チャックアセンブリ。
【請求項16】
前記内側ピストンステムは、中央クロス穴及び下方クロス穴を有しており、それらの両方がそれを通って横方向に延在しており、及び、それらの両方が前記軸方向オリフィスと交差しており、
前記ノーズコーンシャフトは、前記中央クロス穴と実質的に整列されたバネ潤滑穴と、前記下方クロス穴と実質的に整列されたスペーサ潤滑穴と、を有している
ことを特徴とする請求項15に記載の下部チャックアセンブリ。
【請求項17】
前記内側ピストンステムを前記ノーズコーン開口内に固定する付勢機構
を更に備え、
前記内側ピストンステムは、軸方向オリフィスと、それを横切って延在して前記軸方向オリフィスと交差する中央クロス穴及び下方クロス穴と、を有しており、
前記ノーズコーンシャフトは、それを横切って延在して前記中央クロス穴と実質的に整列されたバネ潤滑穴と、それを横切って延在して前記下方クロス穴と実質的に整列されたスペーサ潤滑穴と、を有しており、
前記ノーズコーン開口内に充填された潤滑流体が、前記軸方向オリフィスを通って、前記中央クロス穴及び前記バネ潤滑穴内、並びに、前記下方クロス穴及び前記スペーサ潤滑穴内、に流入可能であって、前記ノーズコーンの外部へと流動可能である
ことを特徴とする請求項12に記載の下部チャックアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ試験、及び、そのような試験を実施するために使用されるタイヤユニフォミティマシン、に関しており、より具体的には、異なるビード幅間隔のタイヤに対応するように試験に先立ってそのようなマシン内で迅速かつ正確にタイヤをチャッキングするための自動調整シリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、必ずしもタイヤユニフォミティマシンに限定されないが、そのようなマシンに特に適用可能である。そのようなタイヤユニフォミティマシンは、一般に、対向する関係で配置された上リムと下リムとを含み、下リムは、上リムに向かうように、または上リムから離れるように、移動可能である。
【0003】
下リムは、最初は、コンベヤの高さに配置され、試験対象の各タイヤを当該コンベヤから受容し、タイヤビードが当該リム上に着座する。これに続いて、当該リム及びタイヤが上昇され、タイヤの反対側のビードが上リムに係合する。このために、下リムは、一般に、上リムの中央凹部と係合可能なセンタリングコーンを保持しており、それらのリムを互いに対して正確に位置決めする。
【0004】
タイヤが位置決めされて膨張されると、上リムは所定の速度で回転され、タイヤに負荷をかけるべくロードホイールがタイヤのトレッドとの係合状態に入って出るように移動され、実際の動作条件をシミュレートする。このようにシミュレーションされる動作条件の下で、タイヤの様々な特性を測定するべく、複数の感知及び試験装置が通常これらの機械に関連付けられている。
【0005】
精度は、勿論、あらゆる試験手順において最も重要である。従って、タイヤの適切な着座は、当該手順での正確な試験にとって重要である。更に、この精度を達成するという問題は、通常のタイヤ製造施設では悪化される。なぜなら、タイヤは、多かれ少なかれ連続ベースで試験機のコンベヤに提供され、あるタイヤから次のタイヤへと様々な異なるビード幅の間隔での試験要求を有するからである。これらの異なるビード幅の間隔に対応するための手段を提供することが望ましいため、上リムと下リムとの間のギャップを何らかの態様で調整することが必要である。
【0006】
ビード幅の間隔を変更する最も基本的な方法は、特定の固定されたビード幅の間隔を有する複数のリムを製造することである。この時、リムは、様々なビード幅の間隔に対応するべく、交換される。従来技術において一般的な別の実践法は、下リムアセンブリのソケットからコーンを取り外し、それらを異なる長さのものと交換することによって、ビードの幅を調整することである。この態様では、ユニットが閉じられる時、上リムと下リムとの間の間隔が調整され得る。しかしながら、明らかに、両方法ともに時間を要し、動作が実質的に連続的であることが意図されてダウンタイムが回避されるべきである生産シナリオでは、実際には実践的ではない。
【0007】
この問題に対する別の従来技術の解決策は、上リムと下リムとの間のスペースが要求されるビード幅の間隔よりも小さくなるまで下リムを持ち上げ、タイヤを膨張させ、次いで、下リムを要求されるビード幅の間隔まで下げることである。これは、タイヤの幅を感知して所望のリム間隔に調整する一連のセンサ及び制御デバイスによって達成される。このアプローチの難点は、主に速度の欠如である。生産環境では、生産ラインの動作に干渉しない程度に迅速に当該調整を実施可能であることが望まれる。
【0008】
前述の問題を解決する1つの試みが、タイヤユニフォミティマシンのためのビード幅調整装置という名称の米国特許第5,719,331号に開示されている。当該特許文献は、当該参照により本明細書に組み込まれる(incorporated by reference)。当該従来技術の構成が、図1に示されている。ビード幅調整装置が、全体として符号10で示されており、タイヤユニフォミティマシンによって保持されている。タイヤユニフォミティマシンの一部が、フレーム12によって示されている。装置10は、大文字Tで示されたタイヤを受容する。タイヤは、対向するビードを有しており、その各々が、大文字Bで示されている。当該対向するビードが、タイヤの内径を形成している。装置10は、対向するビードと係合して、膨張、試験及び検査のためにタイヤを密封する。タイヤは、コンベアテーブル(不図示)によって、装置10に送られる。
【0009】
装置10は、コンベヤテーブル(不図示)上に位置決めされた上部チャックアセンブリ14と、テーブルの下方に位置決めされた下部チャックアセンブリ16と、を備えている。テーブルは、それを貫く開口を有している。下部チャックアセンブリ16が、必要に応じて、当該開口内に伸長し得て、及び、当該開口から後退し得て、タイヤTが当該チャックアセンブリ16の直上に位置決めされたときに当該タイヤTに係合し得る。
【0010】
図1及び図2に最も良く見られるように、符号20によって全体的に示されるデュアルピストンシリンダが、下部チャックアセンブリ16に接続され、下部チャックアセンブリ16を支持している。デュアルピストンシリンダ20は、シリンダハウジング22を有しており、当該シリンダハウジング22は、油圧流体ポート24を提供している。当該油圧流体ポート24は、ピストンシリンダ20内に維持されたピストンを操作するための油圧流体を受容する。
【0011】
特に、デュアルピストンシリンダは、内側ピストンシリンダ26を含み、当該内側ピストンシリンダ26から軸方向に内側ピストンロッド28が延びている。シリンダハウジング22は、外側チャンバ32を形成しており、当該外側チャンバ32は、外側ピストンシリンダ34を摺動可能に受容している。当該外側ピストンシリンダ34から、外側ピストンロッド36が延びている。外側ピストンロッド36は、外側チャンバ32内で環状に維持される。外側ピストンロッド36が、内側チャンバ40を形成し、当該内側チャンバ40内で、内側ピストンシリンダ26及び内側ピストンロッド28が摺動可能に受容され、軸方向に移動可能となっている。外側ピストンロッド36はまた、内側チャンバシート42を形成しており、内側ピストンシリンダ26がその上に載っている。内側チャンバ40はまた、内側チャンバシート42から軸方向に離れた内側チャンバシール44を提供する。
【0012】
当該シート42及び当該シール44が、外側ピストンロッド36に対する内側ピストンロッド28の伸長及び後退を許容するストロークを規定する。換言すれば、油圧流体がデュアルピストンシリンダを満たす時、油圧流体は最初に内側ピストンシリンダ26に作用して、それを軸方向上方に移動する。内側ピストンシリンダが移動を開始した後、油圧流体は、外側ピストンシリンダ34及びそれに取り付けられた外側ピストンロッド36を軸方向上方に移動するような態様で、デュアルピストンシリンダを満たす。後に詳細に説明されるように、内側ピストンロッドと外側ピストンロッドとによるこの作用は、タイヤと係合するように下部チャックアセンブリ16を持ち上げるように機能する。
【0013】
内側ピストンロッド28は、軸方向に延びるステム48を含んでおり、当該ステム48は、ステム棚部50から延びている。当該ステム48は、ステム棚部50の反対側においてネジ付き端部52を含み得る、ないし、提供し得る。
【0014】
図1を再び参照して、下部チャックアセンブリ16は、一端で外側ピストンロッド36に固定された外側スピンドル装置56を含んでいる。当該スピンドル装置56の反対側の端部は、下リム60に接続されている。下リム60は、半径方向に延びるリップ62を提供している。当該リップ62は、アセンブリが組み合わされる時、タイヤの下部ビードをシールする。
【0015】
内側スピンドル装置66が、外側スピンドル装置56内に回転可能に受容されている。当該内側スピンドル装置66は、内側ピストンロッド28、特にステム48、に付勢的に固定されている。細長ノーズコーンシャフト68が、内側スピンドル装置66からステム48と反対側の端部で軸方向に延びている。細長ノーズコーンシャフト68は、先細ノーズ69を有しており、当該先細ノーズ69は、内側スピンドル装置と共に、軸方向に移動して回転する。ノーズコーンシャフト68は、それを貫く軸方向コーン開口70を有している。ベースシート72が、コーン開口70を形成するノーズコーンシャフト68の内面から半径方向内向きに延びている。当該ベースシート72は、ステム48を摺動可能に受容するステム開口73を提供している。詳細図の図1Aで最も良く分かるように、ファスナ74が、内側ピストンロッド28を内側スピンドル装置66に固定するように、ネジ付き端部52に接続している。図示の実施形態では、バネ76が、ファスナ74の下面とベースシート72との間に介在していてもよい。
【0016】
下リム60の反対側に位置決めされた内側スピンドル装置66の一端に、端部ボア78が設けられ得る。当該端部ボア78は、軸方向端部ボア面80を含み得て、当該軸方向端部ボア面80から端部ボア側壁82が実質的に垂直に延びている。スペーサ84が、内側ピストンロッドのステム棚部50によって保持され得る。当該スペーサ84は、スペーサ棚部86を提供する。シール88が、当該スペーサの外側半径方向面と端部ボア側壁82との間に環状に延び得る。スラストベアリング90が、端部ボア面80とスペーサ棚部86との間に位置決めされ得る。
【0017】
グリースフィッティング91を有するプラグが、コーン開口70内に受容されている。当該フィッティング91とベースシート72との間の当該開口の領域70’が、ステム開口73内のステム48の摺動可能な動きを潤滑するようにグリースで満たされている。ノーズコーンシャフトはまた、グリースが領域70’とノーズコーンシャフト68の外面との間で流動的に移送され得るように、選択された位置にクロス潤滑穴93を有する。
【0018】
内側チャックアセンブリ16及びノーズコーン68は、上部チャックアセンブリ14と軸方向に整列している。上部チャックアセンブリ14は、ノーズコーン68を受容するように軸方向に整列された凹部94を有する本体部92を含んでいる。当業者は、空気供給部が当該凹部94を通して接続され、タイヤT内にその膨張のために流入する、ということを理解するであろう。本体部92は、チャックアセンブリが組み合わされる時、タイヤの上部ビードと係合してそれをシールする上リム96を提供する。
【0019】
作動時、チャッキング装置10は、タイヤユニフォミティマシンに関連する制御システムに関連付けられる。タイヤがチャッキング装置に入る前に、タイヤのサイズ及びタイヤに関する他の関連情報が制御システムによって受信される。この情報は、受け取ったタイヤのビード幅を決定するために使用される。タイヤが上部チャックアセンブリと下部チャックアセンブリの間に位置決めされると、制御システムは、油圧油または油圧流体をデュアルピストンシリンダ20内に流入させて、内側ピストンが上方に延びるようにする。これにより、ノーズコーンがすぐに上向きに延び、その後すぐに、外側ピストンロッドが延び始め、タイヤが下リム60に受け入れられるようにする。ピストンロッド28、36が延びているとき、ユニフォミティマシンに関連付けられたセンサが下部チャックアセンブリ16の動きを追跡し、その情報を制御システムにフィードバックする。次に、ノーズコーンが上部チャックアセンブリの凹部にしっかりと着座されるまで、下部チャックアセンブリは上昇し続ける。この時、ノーズコーンと上部チャックアセンブリとの間に適切な力が発生するまで、油圧油はデュアルピストンシリンダ内に送られ続ける。ノーズコーンがしっかりと着座されると、下リムが所定のタイヤ膨張位置に到達して、そこでタイヤが膨張され得る。タイヤが凹部94を通じて膨張されると、制御システムは、必要に応じて、外側ピストンロッド36及び内側ピストンロッド28を介して、下リムを所定の情報で提供されるような設定位置に移動させる。結果として、タイヤは、様々なビード幅の間隔に対応するように正確に位置決めされる。この時、膨張されたタイヤに対して任意の適切な試験及び検査が行われ得る。
【0020】
試験が完了すると、流体は、デュアルピストンシリンダから抜き出される。これが生じると、ファスナ74及び関連するバネ76が細長いノーズコーンを下向きに引っ張り、有意な(大きな)力が内側ピストンロッド28及び関連する付勢構成要素、すなわち、バネ及びスラストベアリング90、に加えられる。
【0021】
前述のチャッキングアセンブリ及び装置は有効であるが、ノーズコーンへの取り付けのための内側ピストンロッド及び関連機構の設計及び構成は、幾つかの問題を呈している。具体的には、内側ピストンロッド及び関連する付勢機構に適用される動作応力により、内側ピストンロッドが破損し得る。別の欠点は、バネ76とスラストベアリング90の周りの不十分な潤滑剤到達領域の結果であると考えられる。結果として、バネ76とベアリング90は、長期間の使用後には壊れてしまい、壊れた部品がステムの破損を招いてしまう。結果として、内側ピストンロッドを交換するために、有意な(顕著な)ダウンタイムが発生し、また、当該交換部品は非常に高価である。更に、内側ピストンロッドを外側ピストンロッドに正確に位置決めするために、内側ピストンシリンダが、デュアルピストンシリンダの他の構成要素に対してサイズ決定されなければならない。従って、内側ピストンシリンダ及び/または内側ピストンロッドが破損する場合、デュアルピストンシリンダ70の全体が交換される必要がある。
【0022】
従って、応力をより良好に吸収し、潤滑を改善し、破損しにくく、デュアルピストンシリンダの全体の交換ではなく内側ピストンシリンダのみまたは内側ピストンシリンダの一部のみの現場での交換を許容するような、デュアルピストンシリンダ内で利用される内側ピストンロッドに対するニーズが、当該技術分野において存在している。
【発明の概要】
【0023】
前記に照らして、本発明の第1の特徴は、ビード幅調整装置と共に使用される自動調整シリンダを提供することである。
【0024】
本発明の別の特徴は、タイヤユニフォミティマシン内にタイヤを位置決めするためのチャッキング装置であって、上部チャックアセンブリと、前記上部チャックアセンブリと協働してタイヤをそれらの間に捕捉する下部チャックアセンブリと、前記タイヤを前記上部チャックアセンブリと係合させるように移動させる前記下部チャックアセンブリに結合されたデュアルピストンシリンダと、を備え、前記デュアルピストンシリンダは、軸方向に伸びる内側ピストンロッドを有しており、そこから軸方向に、現場で交換可能な内側ピストンステムが延びていることを特徴とするチャッキング装置を提供することである。
【0025】
本発明の更に別の特徴は、タイヤユニフォミティマシンのチャッキング装置内で用いられる下部チャックアセンブリであって、軸方向に移動可能な外側ピストンロッドと、当該外側ピストンロッドに対して軸方向に移動可能であってステム開口を有する内側ピストンロッドと、を有するデュアルピストンシリンダと、前記ステム開口内に取り外し可能に受容され、前記内側ピストンロッドから軸方向に延びる内側ピストンステムと、前記内側ピストンステムを摺動可能に受け入れるノーズコーン開口を有するノーズコーンシャフトと、を備えたことを特徴とする下部チャックアセンブリを提供することである。
【0026】
本発明のこれらの及び他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、及び、添付の図面に関連して、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】従来技術のビード幅調整装置の正面図である。
図1A】従来技術のビード幅調整装置内で用いられる内側ピストンロッド及び関連する付勢機構の詳細図である。
図2】従来技術のビード幅調整装置と共に用いられる従来技術のデュアルピストンシリンダの断面図である。
図3】本発明の概念に従う、部分断面で示された、チャッキング装置の一部である下部チャックアセンブリの正面図である。
図4】本発明の概念に従う、畳み位置にある下部チャックアセンブリ内で用いられるデュアルピストンシリンダの正面図である。
図4A】本発明の概念に従う、デュアルピストンシリンダから延びる内側ピストンロッドの拡大分解図である。
図5】本発明の概念に従う、部分断面で示された、チャッキング装置の一部である、部分的に延びた内側ピストンロッドである。
図6】本発明の概念に従う、完全に延びた位置での、下部チャックアセンブリ内で用いられる内側ピストンロッド及び外側ピストンロッドである。
図7】本発明の概念に従う、デュアルピストンシリンダの内側ピストンロッドに接続されたノーズコーンシャフトの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図3を参照すると、下部チャックアセンブリが全体として符号100で示されている。下部チャックアセンブリ100は、図1及び図2に示されるチャッキング装置10において利用され得る。詳細な説明が進むにつれて理解されるように、下部チャックアセンブリ100は、前述の下部チャックアセンブリ16とは異なる多くの修正点を有する。全体として、下部チャックアセンブリ100及び選択された構成要素は、前述の従来技術のチャックアセンブリで指摘された欠陥を克服する利点を提供する。
【0029】
図3図4図4A図5及び図6を参照すると、デュアルピストンシリンダが全体として符号102で示されている。当該シリンダ102は、下部チャックアセンブリと共に用いられ得て、従来技術と同じ構成要素のほとんどを組み込んでいるが、幾つかの構成要素は、後で説明されるように、異なって構成されている。そして、デュアルピストンシリンダ102は、下部チャックアセンブリを介して上部チャックアセンブリ14に対して依然として協働する。特に、デュアルピストンシリンダ102は、内側ピストンロッド106を提供する。デュアルピストンシリンダ102の多くの外側の構成要素は、デュアルピストンシリンダ20と類似または同一である。特に、シリンダハウジング22、作動流体ポート24、内側ピストンシリンダ26、外側チャンバ32、外側ピストンシリンダ34、外側ピストンロッド36、内側チャンバ40、内側チャンバシート42、及び、内側チャンバシール44は、デュアルピストンシリンダ20と同様に、デュアルピストンシリンダ102でも実質的に同様である。様々な構成要素の配置に幾つかの変更があり得るが、デュアルピストンシリンダ102の全体的な動作は、背景技術の欄で説明したように上部チャックアセンブリ14と協働するように下部チャックアセンブリ16を上昇させるために用いられるという点でデュアルピストンシリンダ20のそれと同様である、ということを当業者は理解するであろう。
【0030】
内側ピストンロッド106は、従来技術の構成によって提供される内側ピストンロッド28と区別可能である。特に、ロッド106は、軸方向ステム開口112を提供する。当該開口112は、ステムボア114によって形成されており、当該ステムボア114は、ボア半径方向面116を含んでいる。ボア軸方向面118が、ボア半径方向面116から実質的に垂直に延びている。ボア114は、更に、幾つかの実施形態において、雌ネジが設けられ得るロッド内面120を含み得る。
【0031】
全体として符号130で示される現場で交換可能な内側ピストンステムが、ステム開口112内に受容されている。ステム130は、ステム本体132を含み、当該ステム本体132は、一端において、ネジ切りされ得るナット端部134を有している。ランディング面136が、ステム本体132から実質的に垂直に延在している。当該ランディング面は、ナット端部134に近接し得て、特にネジが設けられている場合には、最も下方のネジ山に近接し得る。カラー142もまた、ステム本体132から実質的に垂直に延在している。当該カラー142は、ボア半径方向面116内に嵌合し、当該カラー142の下縁143が、ボア軸方向面118と接触する。カラー142から更に、ネジ付きシャフト144が延在し得る。当該ネジ付きシャフト144は、ステムボア114内に受容されて、ロッド内面120と噛み合い得る。
【0032】
図4Aで最も良く理解されるように、ネジ付きシャフト144は、軸方向ステム開口112、特にロッド内面120、に取り外し可能に受容される。これにより、使用中に損傷または破損した場合に、内側ピストンステム130の現場での交換が可能である。
【0033】
内側ピストンステム130はまた、ナット端部134からカラー142の上方の位置までステム本体132を通って内側に延びる軸方向オリフィス150を提供する。幾つかの実施形態では、中央クロス穴152が、ステム本体132を通って横方向に延びて、軸方向オリフィス150と交差している。また、幾つかの実施形態では、下方クロス穴154が、ステム本体132を通って横方向に延びて、軸方向オリフィス150と交差している。下方クロス穴154は、中央クロス穴152とカラー142との間に配置され得る。軸方向オリフィス150、中央クロス穴152、及び、下方クロス穴154の目的は、詳細な説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【0034】
図7を参照すると、ノーズコーンシャフトが、全体として符号160で示されている。当該シャフト160は、前述の従来技術のシャフトすなわち細長ノーズコーン68と類似している。但し、説明されるように、内側ピストンロッド106及び他の特徴部と共に使用するための幾つかの修正点が存在する。当該シャフト160は、一端において、円錐形ノーズコーン162を有する。ノーズクロス穴164が、ノーズコーンシャフト160を横切って延びている。ノーズコーン開口166が、ノーズコーンシャフト160を通って軸方向に延びている。シャフト160は、外壁168と、ノーズコーン開口166を形成し得る内壁170と、を提供する。円錐形ノーズ162とは反対側の開口166の端部には、内向きに延びるベースシート174がある。図示の実施形態では、ベースシート174は、内壁170から実質的に垂直に内向きに延びている。
【0035】
円錐形ノーズ162とは反対側の端部で、ノーズコーンシャフト160は、ステム端176を提供する。ノーズコーン開口166と同軸であるステム開口177が、ベースシート174からステム端176まで延在している。当該開口177は、内側ピストンステム130のステム本体132を摺動可能かつ回転可能に受容している。スペーサ側壁180が、ステム端部176から軸方向内向きに延びている。スペーサシート178が、スペーサ側壁180からステム開口177まで半径方向内側に延びている。
【0036】
ステム端部176と円錐形ノーズ162との間のほぼ中間点に位置決めされたシャフト潤滑穴184が、外壁168から内壁170までノーズコーンシャフト160を貫通して延在し得る。図示のように、シャフト潤滑穴184は、ノーズコーンシャフトを通って直径方向に延在し得るが、幾つかの実施形態では、任意の数の穴184が設けられ得て、それらは任意の半径方向に延在し得る。また、ベースシート174の僅かに上方に位置するように位置決めされたバネ潤滑穴186が、ノーズコーンシャフト160を通って横方向に外壁から内壁まで延在し得る。また、スペーサシート178の僅かに下方に位置するように位置決めされたスペーサ潤滑穴188が、ステム端部176の近位でノーズコーンシャフト160を通って延在し得る。他の潤滑穴184、186と同様に、当該穴188は、ノーズコーンシャフト160を通って横方向に外壁から内壁170まで延在し得る。そして、潤滑穴184と同様に、潤滑穴186、188は、ノーズコーンシャフトを通って直径方向に延在し得て、任意の数であり得て、任意の半径方向に延在し得る。
【0037】
ノーズコーンシャフト160はまた、その両側に、潤滑チャネル190を提供する。潤滑チャネル190は、シャフト潤滑穴184からバネ潤滑穴186及びスペーサ潤滑穴188まで延在している。当該チャネル190は、前記穴184、186、188によって提供される開口と交差するように構成され、それによって、内側スピンドル装置66内に受容される時に、ノーズコーンシャフト160の外面上の潤滑材料の流れを促す。これは、図1の従来技術の図で最も良く理解される。また、チャネル190は、選択された潤滑穴184、186、188のみと交差してもよい、ということも理解されよう。そして、幾つかの実施形態では、潤滑チャネル190は、潤滑穴184、186、188の全てと流体的に接続されるように、シャフト160の減少した直径の形態であり得る。
【0038】
それを通って軸方向に延在するプラグ穴196を有するノーズコーンプラグ194が、ノーズコーン開口166内に受容されている。グリースザークとも呼ばれるグリースフィッティング200が、ノーズコーンプラグ194の上端に固定されている。延長部202が、プラグ194とフィッティング200との間に延びている。当該延長部は、デブリが開口166内に蓄積した場合に、フィッティング200へのより容易なアクセスを提供するように機能する。当業者は、汚染物が内部に入るのを防止するために、ザーク200を包囲するためにザークキャップ204が用いられ得る、ということを理解するであろう。当該キャップはまた、タイヤの試験中に生成される空気圧がグリースザークを強制的に開いてキャビティからグリースを除去してしまうことを防止する。下部チャックアセンブリの動作の前に、当業者は、プラグ194からベースシート174までのノーズコーンシャフトの内部が潤滑流体で満たされる、ということを理解するであろう。これは、ノーズコーンプラグ194によってシールされたノーズコーン開口166の内部を、フィッティング200を介して潤滑流体で満たすことによって、達成される。潤滑流体がノーズコーンシャフト内に満たされると、当該潤滑流体はシャフト潤滑穴184及びバネ潤滑穴186からチャネル190内に外向きに発散する。さらに、潤滑流体は、軸方向オリフィス150内に受容され、そこを通ってリブクロス穴152及び下方クロス穴154内に流れる、ということが理解されよう。ノーズコーンシャフト160の動き並びに当該シャフトの外部及び内部の構成要素の動きに応じて、潤滑流体はまた、様々な穴、ボア、チャネル及びオリフィスを通って、任意の方向に流れることができる。
【0039】
付勢機構が、全体として符号210で示され、ステム本体132上に受容され得る。特に、付勢機構210は、ステム本体132の周りに嵌合し得るバネ212を有する。
ロックナット214が、当該ロックナット214とベースシート174との間にバネ212を保持するべく、ネジ付きナット端部134上に受容され得る。ベースニードルスラストベアリング216が、バネ212の一端とベースシート174との間に位置決めされ得る。また、バネ212とベースシート174との間に、シートブッシュ220も設けられており、当該シートブッシュ220は、ニードルスラストベアリング216とバネ212の一端との間に介在している。ステム本体は、ベースニードルスラストベアリング216とスペーサとによって提供される開口を通って延在している。さらに、ニードルスラストベアリング216及びシートブッシュ220は、バネ潤滑穴186及びステム本体132の中央クロス穴152と整列(位置合わせ)されていることが理解されよう。結果として、潤滑流体は、下部チャックアセンブリの動作中に有意な量の機械的応力を受ける付勢機構210内に意図的に(合目的的に)向けられる。
【0040】
スペーサ側壁180とスペーサシート178とによって形成される領域内に、スペーサニードルスラストベアリング222と、当該ニードルスラストベアリング222を部分的に包囲し得るステムスペーサ224と、が受容されている。下方クロス穴154及びスペーサ潤滑穴188と全体的に整列(位置合わせ)されたスペーサクロス穴226が、ステムスペーサ224を横切って延在している。クロス穴226、下方クロス穴154及びスペーサ潤滑穴188のこの整列(位置合わせ)は、下部チャックアセンブリの動作中に有意な機械的応力を受ける領域に潤滑流体を供給する。実際、潤滑穴186、188の対応するクロス穴152、154との整列(位置合わせ)は、ノーズコーン開口166から潤滑チャネル190を介してノーズコーンシャフト160の外部への潤滑流体の流れを促す。この整列(位置合わせ)は、スラストベアリング及びバネ212の内部及び周囲の潤滑流体の流れを促す。
【0041】
前述のように、作動時、内側ピストンステムは、内側ピストンロッドのネジ付き開口内に螺合されている。内側スピンドル装置の一部であるノーズコーンシャフトは、ステム130に対して摺動可能に組み付けられており、ロックナット214によって所定位置に保持されている。チャッキング動作中、内側ピストンロッド28が外側ピストンロッドに対して伸長及び後退される時、ノーズコーンシャフトもまた伸長及び後退される。換言すれば、内側ピストンロッドが後退される時、バネ212が僅かに圧縮され、これらの力が、ニードルスラストベアリング222及びベースニードルスラストベアリング216によって更に吸収される。このノーズコーンシャフトの伸長及び後退の動きは、ノーズコーン開口とノーズコーンシャフトの外部との間の潤滑流体の動きを促す。更に、ノーズコーンシャフトは、外側スピンドル装置に対する内側スピンドル装置による回転を経験している可能性があることも理解されよう。これは、それらの間の潤滑流体の流れを更に促す。潤滑穴186、188に対するクロス穴152、154の整列(位置合わせ)により、(2種類の)スラストベアリングは、バネ212と共に十分に潤滑される。これにより、内側ピストンステムによって吸収される応力の量が顕著に減少する。異常な応力が内側ピストンステムにかかって、それが曲がったり壊れたりする場合、従来技術の構成とは対照的に、内側ピストンステムが容易に交換され得る。これは、ノーズコーン開口166からノーズコーンプラグを取り外し、残っている潤滑剤を排出し、ロックナット214を緩めることで、達成される。その後、ノーズコーンシャフトが取り外され、壊れた内側ピストンステムが取り外され得る。そして、新しい内側ピストンステムが設置され得て、ノーズコーンシャフトが再設置され得る。これは、デュアルピストンシリンダ全体が下部チャック装置から分解される必要がなく、従ってタイヤユニフォミティマシンのダウンタイムの有意な量を節約できるという点で有利である、ということを当業者は理解するであろう。
【0042】
従って、本発明の目的が以上に提示された構造及びその使用方法によって満たされることが、理解され得る。特許法に従って、最良の実施形態及び好適な実施形態のみが提示され詳細に説明されたが、本発明はそれらに限定されないことが理解される。本発明の真の範囲及び広さを理解するためには、以下の特許請求の範囲が参照されるべきである。
図1
図1A
図2
図3
図4
図4A
図5
図6
図7