(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】温度調節弁及び該温度調節弁を有する熱管理システム
(51)【国際特許分類】
F16K 31/68 20060101AFI20221007BHJP
F16H 57/04 20100101ALI20221007BHJP
【FI】
F16K31/68 E
F16H57/04 G
(21)【出願番号】P 2020554861
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(86)【国際出願番号】 CN2019083821
(87)【国際公開番号】W WO2019206118
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-10-06
(31)【優先権主張番号】201810396377.1
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810396358.9
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810396235.5
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810391922.8
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518379566
【氏名又は名称】ジャージャン サンフア オートモーティヴ コンポーネンツ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】チウ ハオミン
(72)【発明者】
【氏名】チャン シャオジュン
(72)【発明者】
【氏名】ルー シャオダン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ハーイポー
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0185738(US,A1)
【文献】特開2011-007321(JP,A)
【文献】特開2009-275861(JP,A)
【文献】特開2007-333068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/68
F16H 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主弁ボディと、エンドキャップと、熱応動素子と、第1バネとを有する温度調節弁であって、前記主弁ボディには第1接続口部と、第2接続口部と、第3接続口部とが設けられ、前記第1接続口部には第1接続口通路が設けられ、前記第2接続口部には第2接続口通路が設けられ、前記第3接続口部には第3接続口通路が設けられ、前記熱応動素子の一端が前記エンドキャップに直接または間接的に当接され、他端が前記第1バネに直接または間接的に当接され、前記第1バネが圧縮状態にある前記温度調節弁において、
さらに第1弁座と第2弁座とが設けられ、前記第1弁座には、前記第1接続口通路と第2接続口通路との間に位置する第1弁口が設けられ、前記第2弁座には、前記第1接続口通路と第3接続口通路との間に位置する第2弁口が設けられ、
前記温度調節弁は前記エンドキャップ内に位置する第1室を有し、前記熱応動素子は一端が前記エンドキャップに入り込む弁棒を有し、前記第1室には、前記弁棒と前記第1室の対応する底壁との間の領域に位置する熱融着物が設けられ、
前記温度調節弁は充填状態と第1作動状態とを有し、前記充填状態の場合に、前記弁棒の一端が前記熱融着物を介して前記第1室の対応する底壁と、一定の距離を保持し、前記第1弁口が開放され、前記第2弁口が閉鎖されまたは小開度で開放されており、前記第1作動状態の場合に、前記第1弁口が開放され、前記第2弁口が閉鎖され、前記第1作動状態の場合における前記弁棒の端部と前記第1室の対応する底部との間の距離は、前記充填状態の場合における前記弁棒の端部と前記第1室の対応する底部との間の距離より小さいことを特徴とする温度調節弁。
【請求項2】
さらに、初期位置にあるように前記熱融着物を制限する位置制限構成を有し、前記熱融着物が加熱され溶融してから、初期位置から離れることで、前記第1作動状態の場合における前記弁棒の端部と前記第1室の対応する底部との間の距離が、前記充填状態の場合における前記弁棒の端部と前記第1室の対応する底部との間の距離より小さいことを特徴とする請求項1に記載の温度調節弁。
【請求項3】
前記位置制限構成は位置制限部材であり、前記位置制限部材と前記第1室の対応する内壁とが隙間嵌めされ、または摺り嵌めされ、前記弁棒における前記エンドキャップ部分に入り込む端部が前記位置制限部材と当接され、または固定され、或いは一体としての構成であり、前記第1室の対応する内壁と前記弁棒の対応する内壁との間は一定の距離を保持し、前記第1室には熱融着物が設けられ、
前記充填状態の場合に、前記熱融着物が前記位置制限部材の一端部と前記第1室の対応する底壁との間に位置し、前記位置制限部材の端部が前記熱融着物に当接され、前記熱融着物が前記第1室の対応する底壁に当接され、前記第1弁口が開放され、前記第2弁口が閉鎖されまたは小開度で開放されており、前記第1作動状態の場合に、前記第1弁口が開放され、前記第2弁口が閉鎖され、前記第1作動状態の場合における前記位置制限部材の端部と前記第1室の底部との間の距離が、前記充填状態の場合における前記位置制限部材の端部と前記第1室の底部との間の距離より小さいことを特徴とする請求項2に記載の温度調節弁。
【請求項4】
さらに第2室を有し、前記第1室と第2室とが前記エンドキャップ内に位置して、前記第1室が前記第1弁口から相対的に離れて、前記第2室が前記第1弁口に相対的に近接しており、前記第1室の内径が第2室の内径より小さく、前記第1室の対応する内壁と前記第2室の対応する内壁との接続箇所には第1段部が形成され、
前記弁棒の一端における前記エンドキャップ側に入り込む端部には熱融着物収容室が設けられ、前記位置制限構成は支持部材であり、前記支持部材と前記熱融着物収容室の底部との間には前記熱融着物が設けられ、前記充填状態の場合に、前記第1弁口が開放され、前記第2弁口が閉鎖されまたは小開度で開放され、前記熱融着物が前記支持部材の端部と前記熱融着物収容室の対応する底壁との間に位置し、前記支持部材の端部が前記熱融着物に当接され、前記熱融着物が前記熱融着物収容室の対応する底壁に当接されており、前記第1作動状態の場合に、前記第1弁口が開放され、前記第2弁口が閉鎖され、前記第1作動状態の場合における前記弁棒の端部と前記第1段部との間の距離が、前記充填状態の場合における前記弁棒の端部と前記第1段部との間の距離より小さく、前記支持部材の外壁と前記熱融着物収容室の対応する内壁とが隙間嵌めされることを特徴とする請求項2に記載の温度調節弁。
【請求項5】
さらに第2室が設けられ、前記第1室と第2室とが前記エンドキャップ内に位置し、前記第1室の内径が第2室の内径より小さく、前記第1室の対応する内壁と前記第2室の対応する内壁との接続箇所には第1段部が形成され、前記位置制限構成は前記第1段部を有し、前記弁棒の一端が前記第2室に入り込み、前記弁棒における前記第2室部分に入り込む端部の外径が、前記第1室の対応する内壁の内径より大きく、前記第2室には熱融着物が設けられ、
前記充填状態の場合に、前記熱融着物が前記弁棒の端部と前記第1段部との間に位置し、前記弁棒の端部が前記熱融着物に当接され、前記熱融着物が前記第1段部に当接され、前記第1弁口が開放され、前記第2弁口が閉鎖されまたは小開度で開放されており、前記第1作動状態の場合に、一部の前記熱融着物が前記第1室に位置し、前記第1作動状態の場合における前記弁棒の端部と前記第1段部との間の距離が、前記充填状態の場合における前記弁棒の端部と前記第1段部との間の距離より小さく、前記第1弁口が開放され、前記第2弁口が閉鎖されることを特徴とする請求項2に記載の温度調節弁。
【請求項6】
さらに位置制限部が設けられ、前記位置制限構成は前記第1室の対応する内壁に突出する前記位置制限部を有し、前記弁棒の一端が前記エンドキャップに入り込み、前記弁棒における前記エンドキャップ部分に入り込む端部と前記位置制限部とが摺り嵌めされ、または隙間嵌めされ、
前記充填状態の場合に、前記熱融着物が前記弁棒の端部と前記
第1室の底部との間に位置し、前記弁棒の端部が前記熱融着物に当接され、前記熱融着物が前記
第1室の底部に当接され、前記第1弁口が開放され、前記第2弁口が閉鎖されまたは小開度で開放されており、前記第1作動状態の場合に、前記第1弁口が開放され、前記第2弁口が閉鎖され、前記第1作動状態の場合における前記弁棒の端部と前記
第1室の底部との間の距離が、前記充填状態の場合における前記弁棒の端部と前記
第1室の底部との間の距離より小さいことを特徴とする請求項2に記載の温度調節弁。
【請求項7】
さらに前記エンドキャップ内に位置する第2室を有し、前記エンドキャップ内にはさらに軸スリーブと第1段部とが設けられ、前記第1段部の内径が前記第2室の内径より小さく、前記第2室には圧縮状態にある密閉リングが設けられ、前記密閉リングの一端が前記軸スリーブに当接され、前記軸スリーブが第1段部に当接され、前記熱応動素子は第1コア部と本体部とを有し、前記第1コア部が前記第1弁座に対応し、前記第1コア部が前記第1弁座に当接される場合に、前記第1弁口が閉鎖され、前記弁棒の一端が前記第1コア部を通過し、前記本体部と第1コア部との外部に張り出し、前記弁棒は大径部を有し、前記大径部の外径が前記第1コア部の内径より大きく、前記大径部が前記本体部と第1コア部との外部に位置し、前記熱応動素子はさらに、前記第1コア部における前記エンドキャップに向かう側に設けられる突起部を有し、前記弁棒が前記突起部を通過し、前記突起部の外径が前記第1弁口の内径より小さく、前記突起部が前記第1弁座内に入り込み、前記第1弁座における第1弁口に対応する部分の内壁と前記突起部の外壁との間の部分が前記第1弁口を形成し、前記大径部の外径が前記突起部の内径より大きく、前記温度調節弁が前記充填状態にある場合に、前記大径部が前記突起部に当接されることを特徴とする請求項3に記載の温度調節弁。
【請求項8】
前記熱応動素子は第1弁座に対応する第1コア部と、前記第2弁座に対応する第2コア部とを有し、前記第1コア部が前記第1弁座に当接される場合に、前記第1弁口が閉鎖されており、前記第2コア部が前記第2弁座に当接される場合に、前記第2弁口が閉鎖され、
前記温度調節弁はさらに第2作動状態を有し、前記第2作動状態の場合に、一部の前記熱融着物が前記弁棒と前記第1室の対応する内壁との間の領域に位置し、前記第2作動状態の場合における前記位置制限部材の端部と前記第1室の底部との間の距離が、前記充填状態の場合における前記位置制限部材の端部と前記第1室の底部との間の距離より小さく、前記第1弁口が閉鎖され、前記第2弁口が開放されることを特徴とする請求項
3に記載の温度調節弁。
【請求項9】
前記第2作動状態の場合における前記第2弁座と前記第2コア部との間の距離(h1)は、前記充填状態の場合における前記熱融着物の厚さ(h2) の以上であり、前記第2作動状態の場合における前記第2弁座と前記第2コア部との間の距離(h1)と、前記充填状態の場合における前記熱融着物の厚さ(h2)との間の差分値の範囲は0~0.5mmであり、
前記充填状態の場合における前記第2コア部と前記第2弁座との間の距離と、前記第1作動状態の場合における前記第2コア部と前記第2弁座との間の距離との差分値の範囲は0~0.5mmであることを特徴とする請求項8に記載の温度調節弁。
【請求項10】
さらに第2バネと内部ハウジングとを有し、前記エンドキャップはエンドキャップ収容室が設けられた主体部を有し、前記第2バネと内部ハウジングとが前記エンドキャップ収容室に設けられ、前記第1室が前記内部ハウジング内に設けられ、前記内部ハウジングが係止バネを介して前記エンドキャップ収容室内に位置制限され、前記第2バネの一端が前記エンドキャップ収容室の対応する底壁に当接され、他端が前記内部ハウジングに当接され、前記第2バネが圧縮状態にあり、前記第2バネの初期弾性変形力が、前記第2弁口が閉鎖される時の前記第1バネが発生した弾性変形力の以上であることを特徴とする請求項1~9のいずれかの1項に記載の温度調節弁。
【請求項11】
さらに第2バネと内部ハウジングとを有し、前記エンドキャップはエンドキャップ収容室が設けられた主体部を有し、前記第2バネと内部ハウジングとが前記エンドキャップ収容室に設けられ、前記第1室と第2室とが前記内部ハウジング内に設けられ、第1段部が前記内部ハウジングの一部であり、前記内部ハウジングが係止バネを介して前記エンドキャップ収容室内に位置制限され、前記第2バネの一端が前記エンドキャップ収容室の対応する底壁に当接され、他端が前記内部ハウジングに当接され、前記第2バネが圧縮状態にあり、前記第2バネの初期弾性変形力が、前記第2弁口が閉鎖される時の前記第1バネが発生した弾性変形力の以上であることを特徴とする請求項7~9のいずれかの1項に記載の温度調節弁。
【請求項12】
前記内部ハウジングの壁部は第1外壁部と第2外壁部とを有し、前記第1外壁部の外径が前記第2外壁部の外径より小さく、前記第1外壁部と前記第2外壁部との接続箇所には第2段部が形成され、前記第2バネの一部が第1外壁部に外嵌され、且つ前記第2バネの一端が前記第2段部に当接され、前記温度調節弁は第4接続口通路が設けられた第4接続口部を有し、前記第4接続口通路が前記第3接続口通路に連通し、前記第1弁座と前記エンドキャップとが一体としての構成であり、前記第1弁座と主体部との間には、一端が前記第1弁座に接続され、他端が前記主体部に接続される少なくとも一つの柱部が設けられ、前記主体部と前記柱部との接続箇所の外壁面と、前記柱部の外壁面とが同一面であり、前記第2弁座と前記主弁ボディとが一体としての構成であり、前記主弁ボディには弁ボディ収容室が設けられ、前記熱応動素子が弁ボディ収容室に設けられ、前記第1弁座と前記弁ボディ収容室の対応する内壁とが締まり嵌めされ、隙間嵌めされ、または中間嵌めされ、
前記熱融着物が固形ワックスまたは可溶合金であり、前記内部ハウジングが感温材料から製造されることを特徴とする請求項11に記載の温度調節弁。
【請求項13】
温度調節弁と、トランスミッションと熱交換装置とを有する熱管理システムであって、 前記温度調節弁は請求項1~12のいずれかの1項に記載の温度調節弁であり、前記温度調節弁の第1接続口通路が前記トランスミッションの出口に連通し、前記第3接続口通路が前記トランスミッションの入り口に連通し、前記第2接続口通路が前記熱交換装置の入り口に連通し、前記熱交換装置の出口が前記トランスミッションの入り口に連通し、
温度調節弁が前記充填状態にある場合に、前記トランスミッションの出口が前記温度調節弁の第1接続口通路と第2接続口通路を介して前記熱交換装置の入り口に連通し、前記熱交換装置の出口が前記トランスミッションの入り口に連通し、
前記温度調節弁が第1作動状態にある場合に、前記トランスミッションの出口が前記温度調節弁の第1接続口通路と第2接続口通路を介して前記熱交換装置の入り口に連通し、前記熱交換装置の出口が前記トランスミッションの入り口に連通することを特徴とする熱管理システム。
【請求項14】
温度調節弁と、トランスミッションと熱交換装置とを有する熱管理システムであって、前記温度調節弁は請求項8~9のいずれかの1項に記載の温度調節弁であり、前記温度調節弁の第1接続口通路が前記トランスミッションの出口に連通し、前記第3接続口通路が前記トランスミッションの入り口に連通し、前記第2接続口通路が前記熱交換装置の入り口に連通し、前記熱交換装置の出口が前記トランスミッションの入り口に連通し、
温度調節弁が前記充填状態にある場合に、前記トランスミッションの出口が前記温度調節弁の第1接続口通路と第2接続口通路を介して前記熱交換装置の入り口に連通し、前記熱交換装置の出口が前記トランスミッションの入り口に連通し、
前記温度調節弁が第1作動状態にある場合に、前記トランスミッションの出口が前記温度調節弁の第1接続口通路と第2接続口通路を介して前記熱交換装置の入り口に連通し、前記熱交換装置の出口が前記トランスミッションの入り口に連通し、
前記温度調節弁が第2作動状態にある場合に、前記トランスミッションの出口が前記温度調節弁の第1接続口通路と第3接続口通路を介して前記トランスミッションの入り口に連通し、前記熱交換装置の入り口が前記温度調節弁の第1接続口通路に連通していないことを特徴とする熱管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体制御という分野に関わり、具体的には温度調節弁及び該温度調節弁を有する熱管理システムに関わる。
【0002】
本出願は2018年04月27日にて中国特許庁に提出され、
1、出願番号が201810396377.1であり、発明名称が「温度調節弁及び該温度調節弁を有する熱管理システム」であり、
2、出願番号が201810396358.9であり、発明名称が「温度調節弁及び該温度調節弁を有する熱管理システム」であり、
3、出願番号が201810396235.5であり、発明名称が「温度調節弁及び該温度調節弁を有する熱管理システム」であり、
4、出願番号が201810391922.8であり、発明名称が「温度調節弁及び該温度調節弁を有する熱管理システム」であるという四つの中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は援用されることで、本出願に結合される。
【背景技術】
【0003】
自動車の走行過程で、各部品の間は適時に潤滑油で潤滑されることで、自動車の正常運転を保証しなければならなくて、そのうち、主に熱管理システムを介して温度調節という機能を実現するミッションオイルを有する。トランスミッションの油路の温度が上昇する際、温度調節弁における熱応動素子の感熱物質が加熱され膨脹し、温度調節弁におけるミッションオイルの、直接的にトランスミッションに戻る通路が封じされ、または通路の流量が降下し、この場合、高温の油が温度調節弁を介して熱交換装置に入って冷却されてから、トランスミッションに戻る。その逆、油温が低すぎる時、熱応動素子の感熱物質が固まって収縮し、押棒が復帰し、ミッションオイルの、直接的にトランスミッションに戻る通路が開放される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、温度調節弁における、熱交換装置に連通するための通路は、潤滑油が高温状態にある場合に開放され、潤滑油の温度が設定温度より低いと、該通路が閉鎖状態にある。熱管理システムに潤滑油を充填する際、一部の潤滑油が熱交換装置に注入されるために、一部の潤滑油が熱交換装置に注入されることができるように、高温の潤滑油を充填する必要があるから、従来のミッションオイルの充填手順は複雑である。充填された潤滑油の温度が不十分であれば、潤滑油が熱交換装置に注入されることができず、このように、熱管理システムの潤滑油の量の不足を招致し、例えば、正常の使用過程で、一部の潤滑油が熱交換装置及び接続管路に滞留し、トランスミッションにおける潤滑油の量の不十分に繋がる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題を解決するために、本発明の技術案は、主弁ボディと、エンドキャップと、熱応動素子と、第1バネとを有する温度調節弁を提供し、前記主弁ボディには第1接続口部と、第2接続口部と、第3接続口部とが設けられ、前記第1接続口部には第1接続口通路が設けられ、前記第2接続口部には第2接続口通路が設けられ、前記第3接続口部には第3接続口通路が設けられ、前記熱応動素子の一端が前記エンドキャップに直接または間接的に当接され、他端が前記第1バネに直接または間接的に当接され、前記第1バネが圧縮状態にあり、前記温度調節弁において、前記温度調節弁にはさらに第1弁座と第2弁座とが設けられ、前記第1弁座には、前記第1接続口通路と第2接続口通路との間に位置する第1弁口が設けられ、前記第2弁座には、前記第1接続口通路と第3接続口通路との間に位置する第2弁口が設けられ、
前記温度調節弁は、前記エンドキャップ内に位置する第1室を有し、前記熱応動素子は、一端が前記エンドキャップに入り込む弁棒を有し、前記第1室には、前記弁棒と前記第1室の対応する底壁との間の領域に位置する熱融着物が設けられ、
前記温度調節弁は充填状態と第1作動状態とを有し、前記充填状態の場合に、前記弁棒の一端が、前記熱融着物を介して前記第1室の対応する底壁と、一定の距離を保持して、前記第1弁口が開放され、前記第2弁口が閉鎖されまたは小開度で開放され、前記第1作動状態の場合に、前記第1弁口が開放され、前記第2弁口が閉鎖され、前記第1作動状態の場合における前記弁棒の端部と前記第1室の対応する底部との間の距離は、前記充填状態の場合における前記弁棒の端部と前記第1室の対応する底部との間の距離より小さいことを特徴とする温度調節弁。
【0006】
温度調節弁のエンドキャップに熱融着物を配置することで、充填状態で、熱融着物が固体であり、熱融着物が配置されたため、熱応動素子を第1弁座に当接させず、第1弁口が開放状態にあり、この際、温度調節弁を熱管理システムに装着した後、第1弁口が開放状態にあるから、潤滑油の充填過程で、潤滑油が第1接続口通路、第1弁口、第2接続口通路を介して熱交換装置に流入し、熱管理システムの潤滑油の充填が簡単であり、潤滑油を充填する時、熱交換装置及びその接続管路には漏れがあれば、即時に発見できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一つの実施例の温度調節弁の立体模式図である。
【
図3】
図2に示される温度調節弁の充填時のA-A断面模式図である。
【
図5】
図3に示される温度調節弁のエンドキャップの断面模式図である。
【
図6】
図3に示される温度調節弁の内部ハウジング及び軸スリーブのユニットの断面模式図である。
【
図7】
図2に示される温度調節弁の、熱融着物が溶融した後、油温が高温状態にある場合のA-A断面模式図である。
【
図8】
図2に示される温度調節弁の、熱融着物が溶融した後、油温が正常状態にある場合のA-A断面模式図である。
【
図9】本発明の熱管理システムの一つの実施例の、温度調節弁が充填状態にある場合の模式図である。
【
図10】本発明の他の実施例の温度調節弁の充填場合のA-A断面模式図である。
【
図11-2】
図10に示される温度調節弁の内部ハウジング及び軸スリーブユニットの断面模式図である。
【
図12】本発明のさらなる実施例の温度調節弁の充填場合のA-A断面模式図である。
【
図13-2】
図12に示される温度調節弁の内部ハウジング及び軸スリーブユニットの断面模式図である。
【
図14】本発明のさらなる実施例の温度調節弁の充填場合のA-A断面模式図である。
【
図15-2】
図14に示される温度調節弁の内部ハウジング及び軸スリーブのユニットの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下は図面を結合して、本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0009】
図1~3に示すように、温度調節弁は主弁ボディ1と、エンドキャップ2と、主弁ボディ1内に収容された熱応動素子3と、第2バネ4と、第1バネ5とを有する。主弁ボディ1には第1接続口部11と、第2接続口部12と、第3接続口部131と、第4接続口部132とが設けられ、第1接続口部11には第1接続口通路111が設けられ、第2接続口部12には第2接続口通路121が設けられ、第3接続口部131には第3接続口通路133が設けられ、第4接続口部132には第4接続口通路134が設けられる。主弁ボディ1にはさらに弁ボディ収容室15が設けられ、エンドキャップ2が主弁ボディ1に固定され、且つ接続箇所が密閉されることで、エンドキャップ2が弁ボディ収容室15の一端を封ずる。熱応動素子3が弁ボディ収容室15内に収容され、その一端が第2バネ4に直接または間接的に当接され、第2バネ4が圧縮状態にあり、他端が第1バネ5に直接または間接的に当接され、第1バネ5が圧縮状態にある。第2バネ4の初期弾性変形力が第2弁口141が閉鎖される時、第1バネ5が発生した弾性変形力の以上である。ここで指摘すべきのは、他の実施例において、第4接続口部132を配置していなくてもよく、本実施例において、第3接続口131に連通する第4接続口部132を配置することで、温度調節弁の外部で管路と三方継手を介して熱交換装置とトランスミッションに接続する必要ない。ここで、間接的に当接することは、両者の間は直接的に接触し当接することではなく、両者の間は一つまたは複数の物体を介して当接することを指し、例えば、本実施例において、弁棒の一端が内部ハウジングと第2バネなどを介してエンドキャップに当接されることに対して、間接的に当接されるとも呼ばれ、主弁ボディは一体としての構成であってもよく、複数の部品を装着することで組み合わせてもよく、例えば、接続口部は組み合わせることで形成されたクイック継手などである。
【0010】
温度調節弁にはさらに第1弁座21と第2弁座14とが設けられ、第1弁座21には第1弁口211が設けられ、第2弁座14には第2弁口141が設けられ、第1弁口211が第1接続口通路111と第2接続口通路121との間に位置し、第1接続口通路111が第1弁口211を介して第2接続口通路121に連通し、第2弁口141が第1接続口通路111と第3接続口通路121との間に位置し、第1接続口通路111が第2弁口141を介して第3接続口通路133に連通する。本実施例において、第1弁座21とエンドキャップ2とが一体としての構成であり、即ち、第1弁座21がエンドキャップ2の一部であり、第2弁座14と主弁ボディ1とが一体としての構成であり、即ち、第2弁座14が主弁ボディ1の一部であり、第1弁座21と弁ボディ収容室15の対応する内壁との間は締まり嵌めされ、隙間嵌めされまたは中間嵌めされる。ここで指摘すべきのは、第1弁座21及び/または第2弁座14についても、単独の部品として主弁ボディ1内に設けられてもよく、本実施例において、第1弁座21とエンドキャップ2とが一体としての構成であり、第2弁座14と主弁ボディ1とが一体としての構成であることは、加工が簡単である上に、各々部品の組立も相対的に簡単である。
【0011】
熱応動素子3は本体部30と、弁棒33と、第1コア部31と第2コア部32とを有し、第1コア部31と第2コア部32とが本体部30の両端に位置し、弁棒33の一端が第1コア部31を貫通するとともに、本体部30と第1コア部31との外部に張り出し、他端が本体部30内に入り込み、第1コア部31の外径が第1弁口211の内径より大きく、第2コア部32の外径が第2弁口141の内径より大きく、第1コア部31が第1弁座21に当接される場合に、第1弁口211が閉鎖され、第2コア部32が第2弁座141に当接される場合に、第2弁口141が閉鎖される。
【0012】
本実施例において、熱応動素子3はさらに、第1コア部31のエンドキャップ2に向かう側に設けられる突起部311を有し、弁棒3が突起部311を貫通し、突起部311の外径が第1弁口211の内径より小さく、突起部311が第1弁座21内に入り込むことができる。本実施例において、突起部311が第1弁座21内に入り込み、第1弁座21の第1弁口211に対応する部分の内壁と突起部311の外壁との間の部分は第1弁口211を形成する。ここで説明すべきのは、突起部を配置していなくてもよいが、突起部311を配置することで、弁棒33の安定性を向上させ、突起部311はさらに案内という作用を果たす。
【0013】
弁棒33は、弁棒33の、本体部30と第1コア部31との外部に張り出す部分に位置する大径部331を有し、大径部331の外径が突起部331の内径及び/または第1コア部31の内径より大きい。大径部331と突起部311との協力によって、弁棒33の移動ストロークを制限し、弁棒33のストロークが大きすぎることによる熱応動素子の損壊を防止する。本実施例において、大径部331は、弁棒の、本体部30と第1コア部31との外部に張り出す部分の一部であり、このような配置方式は、エンドキャップ部分と弁棒などの部分の材料に対する省略に寄与する。
【0014】
図4~6に示すように、エンドキャップ2は主体部20と第1弁座21とを有し、主体部20にはエンドキャップ収容室23、及びエンドキャップ収容室23部分の一端の開口が設けられ、第1弁座21と主体部20との間には、一端が第1弁座21に接続され、他端が主体部20に接続される少なくとも一つの柱部22が設けられる。
【0015】
本実施例において、主体部20と柱部22との接続箇所は柱部22に滑らかに接続され(即ち、主体部20と柱部22との接続箇所の外壁面と、柱部22の外壁面とは同一面である)、このような配置方式の加工が簡単である。主体部20と柱部22との接続箇所の外径が、第1弁座21の外径より小さく、主体部20の少なくとも一部と弁ボディ収容室15の対応する内壁との間は、一定の距離を保持し、柱部22と弁ボディ収容室15の対応する内壁との間は、一定の距離を保持し、このように、潤滑油は該部分領域を経た後、第2接続口通路121に流れる。
【0016】
エンドキャップ2のエンドキャップ収容室23内には第2バネ4と、内部ハウジング6と、軸スリーブ8とが設けられる。内部ハウジング6は係止バネ9を介してエンドキャップ収容室23内に位置制限され、第2バネ4の一端がエンドキャップ収容室23の対応する底壁に当接され、他端が内部ハウジング6の外壁に当接され、第2バネ4が圧縮状態にある。
【0017】
内部ハウジング6は第1室60を有し、内部ハウジング6内にはさらに位置制限部材69が設けられ、位置制限部材69が第1室60内に収容され、第1室60の対応する内壁との間は隙間嵌めされ、または摺り嵌めされる。弁棒33の一端が第1室60内に入り込むとともに、位置制限部材69に当接され、弁棒33の第1室60に入り込む一端の端部の外壁と第1室60の対応する内壁との間は、一定の距離を保持する。ここで説明すべきのは、位置制限部材69はさらに弁棒と一体としての構成、または弁棒に固定されてもよく、本実施例において、位置制限部材69はウェーハ状の構成であり、弁棒33の一端に当接され、このような配置方式の構成が簡単で、装着が便利であり、位置制限部材69は位置制限及び案内という作用を有し、弁棒33のずれを防止でき、作動状態で、位置制限部材69の一端が第1室60の対応する底部に直接または間接的に当接されることができる。下記の熱融着物7が第1室60の対応する底壁に当接され、一部の熱融着物7が、位置制限部材69と第1室60の対応する底壁との間の領域に位置制限され、熱融着物7が溶融した後、位置制限部材69が室の対応する方向に移動することに連れて、一部の熱融着物7が位置制限部材と第1室60の対応する内壁との間の隙間から、弁棒33と第1室60の対応する内壁との間の領域に流れ、無論、熱融着物7が他の経路を介して位置制限部材7と第1室60の対応する底部との間の領域から流出してもよい。
【0018】
本実施例において、内部ハウジング6はさらに第2室63を有し、内部ハウジング6における第2室63に近接する部分には第1段部65が設けられ、第1段部65の内径が第2室63の内径より小さい。内部ハウジング6の壁部が第1外壁部67と第2外壁部68とを有し、第1外壁部67の外径が第2外壁部68の外径より小さく、第1外壁部67と第2外壁部68との接続箇所には第2段部66が形成され、第2バネ4の一部が第1外壁部67に外嵌されるとともに、その一端が第2段部66に当接される。このような配置方式は、第2バネ4と内部ハウジング6との安定性を向上させると同時に、エンドキャップの高さを短くして、温度調節弁全体の高さを低減させる。
【0019】
ここで指摘すべきのは、内部ハウジング6はエンドキャップ2の一部であってもよく、例えば、エンドキャップ2内には第2バネ4を配置していない場合に、内部ハウジング6とエンドキャップ2とは一体としての構成であり、エンドキャップ2に対してエンドキャップ収容室23を配置していなくてもよく、係止バネ9を介して内部ハウジング6を固定する必要がない。
【0020】
図4及び
図6に示すように、軸スリーブ8の一部が第2室63内に入り込み、第2室63内にはさらに密閉リング91が設けられ、密閉リング91が圧縮状態にあり、その一端が軸スリーブ8に当接されることで、軸スリーブ8を第1段部65に当接させる。
【0021】
弁棒33の一端が軸スリーブ8、密閉リング91を通じた後、第1室60内に入り込み、弁棒33の第1室60に入り込む部分と第1室60の対応する内壁との間は一定の距離を保持することで、弁棒33の外壁と第1室60の対応する内壁との間に形成された空間は、溶融したまたは半溶融した後の一部の熱融着物7に対する収容に適用されることができる。
【0022】
内部ハウジング6内にはさらに熱融着物7が設けられ、熱融着物7の一端が第1室60の対応する底壁に当接され、熱融着物7の溶融した後の体積が弁棒33の外壁と第1室60の対応する内壁との間に形成された空間の容積の以下である。ここで、熱融着物7に対して以下のように定義し、即ち、熱融着物7は温度がT1の以上である時に溶融し得て、熱融着物7の温度がT1より小さい時、例えば、固形ワックス、可溶合金などの固体状態である。温度調節弁に流入した潤滑油の温度の、高温状態(この場合、第2弁口141が閉鎖状態にある)にある温度がT2になる(T1がT2の以下である)際、熱融着物7は加熱され溶融し得て、内部ハウジング6には密閉リング91が設けられるため、溶融状態にある熱融着物7は相変わらず内部ハウジング6内に位置できる。
【0023】
熱融着物7をできる限り早く溶融させるために、内部ハウジング6は感温材料から製造され、高温の潤滑油の熱が内部ハウジング6を介して熱融着物7に伝達されることで、熱融着物7が加熱され溶融する。
【0024】
本実施例において、熱融着物7は常温で固体である固形ワックスであり、温度調節弁はシステムに潤滑油を充填していない前または熱管理システムに高温潤滑油を流入させていない前に、固形ワックス7が第1室60の対応する底壁と位置制限部材69との間に設けられ、その一端が第1室60の底部に当接され、他端が位置制限部材69の一端部に当接され、固形ワックス7の厚さh2(即ち、この場合、位置制限部材69の一端部と第1室60の底部との間の距離である)が第2弁口部の最大ストロークh1の以下であり(第1弁口211が閉鎖される場合、第2コア部32と第2弁口部14との間の距離である)、且つ0≦h1-h2≦0.5mmである。第2バネ4の初期弾性変形力は、第2弁口141が閉鎖される際、第1バネ5が発生した弾性変形力より大きいから、第2バネ4と第1バネ5とがともに圧縮状態にあり、h2がh1の以下であるから、この場合、固形ワックス7が設けられたため、熱応動素子3全体が第2弁口141に近接し、第2バネ4がさらに圧縮され、この場合、第1コア部31が第1弁座21から離れ、第1弁口211が開放状態にあり、第2コア部32と第2弁座14とが小さい距離を保持し、または第2コア部32が第2弁座14に接触し、第2弁口141が小開度で開放され、または閉鎖状態にあり、且つ第2弁口141の開度が第1弁口211の開度より小さい。従って、このような配置方式で、固形ワックス7によって第1弁口211を開放させると同時に、第2弁口141が小開度で開放され、または閉鎖状態にあり、温度調節弁に流入した潤滑油が高温ではない場合にも、第1接続口通路111と第2接続口通路121との間を連通させることができ、このように、潤滑油を充填する時、高温の潤滑油を充填する限り第1弁口を開放させることではなく、第1弁口211が開放状態にあるから、システムに適用される際、潤滑油の充填が簡単である。
【0025】
ここで指摘すべきのは、小開度で開放されることは、第2弁口141の開度が第1弁口211の開度より小さいことを指し、例えば、本実施例において、第2コア部32と第2弁座14との間の距離の、充填状態と第1作動状態との差分値の範囲が0~0.5mmである。第2弁口141の開度が大きすぎると、多い潤滑油が直接的に第2弁口141と第3接続口通路133を介してトランスミッションに戻って、第1弁口211と第2接続口通路121を介して熱交換装置に流入する潤滑油が少量またはないことを招致し、潤滑油の充填効果が相対的に劣る。
【0026】
本実施例において、大径部331の外径が突起部311の内径より大きいから、このような配置方式は、あるシステムの要求で、例えば第1バネ5の弾力が大きすぎることで、第1弁口211が開放されていなく、弁棒3が本体部30内に押し込まれることを防止できる。このような配置方式によって、充填状態で、大径部331が突起部311に当接され、弁棒33がさらに本体部30内に入り込むことができず、固形ワックス7を配置することで第1弁口211を開放させる。
【0027】
以下は温度調節弁の使用中の状態を紹介し、充填状態と、第1作動状態と、第2作動状態とを含む。
【0028】
図3に示すように、充填状態で、固体状態での固形ワックス7は第1室60に設けられ、大径部331が突起部311に当接され、第1弁口211が開放状態にあり、第2弁口141が小開度で開放される。温度調節弁の使用中で、第1弁口211が開放状態にあるから、熱管理システムに潤滑油を充填する時、一部の潤滑油が第1接続口通路111と第2接続口通路121を経た後、熱交換装置に流入する。このような配置方式は、潤滑油の充填が簡単である一方で、潤滑油を充填する際、熱交換装置及びその接続管路に対して漏洩検出を行うという機能を有し、熱交換装置に対して余分に漏洩検出を行うという工程を省略できる。また、高温の潤滑油によって漏洩検出を行うと、潤滑油の温度が高いため、漏洩検出のリスクも相対的に大きくなる。
【0029】
図7に示すように、第1作動状態で、高温の潤滑油が第1接続口通路111から流入し、この際、潤滑油の温度が高いから、熱応動素子が加熱され膨脹し、本体部30が第2弁口141側に運動し、第2弁口141が閉鎖され、第2弁口141が閉鎖された後、弁棒33がエンドキャップ2側に運動し第2バネ4を圧縮する。ここで指摘すべきのは、第2弁口141が充填状態で閉鎖されると、充填後、初めて第1作動状態を経る際、本体部30が運動せず、弁棒33がエンドキャップ2側に運動し、第2バネ4を圧縮する。
【0030】
充填後、初めて第1作動状態を経ると、この際、潤滑油の熱が内部ハウジング6を介して固形ワックス7に伝達され、固形ワックス7が加熱され溶融し、固形ワックス7の、半溶融状態または溶融状態での硬さが小さくなり、バネ力の作用で、半溶融状態または溶融状態にある大部分の固形ワックス7が位置制限部材69を介して第1室60の対応する内壁との間の隙間が弁棒33と第1室60の対応する内壁との間の領域に押し込まれ、半溶融状態または溶融状態にあるわずかな部分の固形ワックス7が位置制限部材69と第1室60の対応する底壁との間に存在し得る。固形ワックス7の溶融後の体積が、弁棒33と第1室60の対応する内壁との間の領域の容積より小さいから、弁棒33が第1室60の底部の方向に運動することに連れて、大部分の固形ワックス7が引き続いて第1室60に収容され、具体的に、弁棒33の外壁と第1室60の内壁との間の空間に流入し、位置制限部材69と第1室60の対応する底壁との間の熱融着物7の量が少ない。内部ハウジング6内には密閉リング91が設けられたから、固形ワックス7が内部ハウジング6の外部に染み出すことを防止できる。
【0031】
ここで指摘すべきのは、第1室60には多い熱融着物7が保存してもよいが、第2室62に流入した熱融着物7の対応する部分の高さが第2弁口部の最大ストロークの以下であることを満たさなければならない。本実施例が採用した方式はこのような方式に比べると、構成が簡単であり、密閉性能及び耐圧性能も相対的に低い。
【0032】
図8に示すように、第2作動状態で、非高温の潤滑油が第1接続口通路111から流入し、この際、熱応動素子3が収縮し、第2バネ4と第1バネ5との復帰力という作用で、本体部30が第1弁口211側に運動し、第2弁口141が開放される。
【0033】
第1作動状態を既に経たと、大部分の固形ワックス7がすでに弁棒33と第1室60の対応する内壁との間の領域に収容され、位置制限部材69の一端部と第1室60底部との間の距離が小さくなり、弁棒33の内部ハウジング6の内側に入り込む端部と第1室60の底部との間の距離が小さくなり、位置制限部材69の一端部と第1室60の底部との間に残留した固形ワックス7の量が無視してもいいほど少なくて、第1バネ5の弾力作用で、第1コア部31が第1弁座21に当接され、第1弁口211が閉鎖される。温度調節弁内において、第1接続口通路111が第3接続口通路133に連通し、第1接続口通路111が第2接続口通路121に連通していない。
【0034】
このように、該実施例において、位置制限部材69が熱融着物7に接触し、熱融着物7を初期位置に制限し、熱融着物7が溶融した後、弁棒33の付勢作用で、初期位置から離れて、他の空間に入ることができ、本実施例において、他の空間は主に弁棒33と第1室61との間の隙間を指す。
【0035】
図9は熱管理システムの一つの実施例を示し、熱管理システムは前記温度調節弁と、トランスミッション101と、熱交換装置102とを有し、温度調節弁の第1接続口通路111がトランスミッション101の出口に連通し、第3接続口通路133がトランスミッション101の入り口に連通し、第2接続口通路121が熱交換装置102の入り口に連通し、熱交換装置102の出口が第4接続口通路134と第3接続口通路133を介してトランスミッション101の入り口に連通する。ここで指摘すべきのは、熱交換装置102の出口は直接的に管路を介してトランスミッション101の入り口に連通してもよく、この場合、第4接続口通路134を配置する必要がない。
【0036】
温度調節弁が充填状態にある場合に、トランスミッションの出口が温度調節弁の第1接続口通路111と第2接続口通路121を介して熱交換装置102の入り口に連通し、熱交換装置102の出口が第4接続口通路134と第3接続口通路133を介してトランスミッション101の入り口に連通する。
図10及び
図11-1、
図11-2は他の実施例を示し、前記実施例と違って、本実施例において、内部ハウジング6内には第1室61と、第2室62と第3室63とが設けられ、第1室61の内径が第2室62の内径より小さく、第1室61の対応する内壁と第2室62の対応する内壁との接続箇所には第1段部64が形成され、第2室62の内径が第3室63の内径より小さい。内部ハウジング6の、第3室63に近接する部分には第2段部65が設けられ、
図11-2において、第3室63の端部に設けられ、第2段部65の内径が第3室63の内径より小さい。内部ハウジング6の壁部は第1外壁部67と第2外壁部68とを有し、第1外壁部67の外径が第2外壁部68の外径より小さく、第1外壁部67と第2外壁部68との接続箇所には第3段部66が形成され、第2バネ4の一部が第1外壁部67に外嵌され、第2バネ4の一端が第3段部66に当接される。このような配置方式は、第2バネ4と内部ハウジング6との安定性を向上させると同時に、エンドキャップの高さを短くして、温度調節弁全体の高さを低減させる。
【0037】
内部ハウジング6内にはさらに、一端が第1室61に収容され、他端が弁棒33に直接または間接的に当接される支持部材35が設けられる。支持部材35における前記第1室61に位置する部分と前記第1室61の対応する内壁との間は隙間嵌めされる。ここで説明すべきのは、支持部材35は内部ハウジング6と一体としての構成であってもよい。
【0038】
弁棒33における前記内部ハウジング6の内側に入り込む端部には熱融着物収容室332が設けられ、熱融着物収容室332内には熱融着物7が収容される。弁棒33の一端が軸スリーブ8、密閉リング91を通じた後、第2室62内に入り込み、弁棒33における第2室62に入り込む部分と第2室62の対応する内壁との間は隙間嵌めされ、または摺り嵌めされる。支持部材35の一端が熱融着物収容室332に入り込むことができ、支持部材35と熱融着物収容室332の対応する内壁との間は隙間嵌めされ、または摺り嵌めされ、このような配置方式によって、熱融着物収容室332の対応する内壁が位置制限と案内作用を具備する。
【0039】
本実施例において、弁棒33における第2室62に入り込む部分の端部の外径が、第1室61の対応する内壁の内径より大きいから、弁棒33が第1室61内に入り込むことができず、作動状態で、弁棒33の一端が第1段部64に当接されることができる。
【0040】
内部ハウジング6内にはさらに熱融着物7が設けられ、熱融着物7の溶融後の体積は熱融着物収容室332の容積の以下である。ここで、熱融着物7に対して以下のように定義し、即ち、熱融着物7は温度がT1の以上である時溶融し得て、熱融着物7の温度がT1より小さい時、例えば固形ワックス、可溶合金などの固体状態である。温度調節弁に流入した潤滑油の温度の、高温状態(この場合、第2弁口141が閉鎖される)にある温度がT2になる(T1がT2の以下である)際、熱融着物7が加熱され溶融し、内部ハウジング6には密閉リング91が設けられたから、溶融状態にある熱融着物7が相変わらず内部ハウジング6内に位置して、密閉リング91が第3室63内に位置する。
【0041】
本実施例において、熱融着物7は常温で固体である固形ワックスであり、温度調節弁はシステムには潤滑油を充填していない前、または熱管理システムに高温潤滑油を流入させていない前に、固形ワックス7が熱融着物収容室332に設けられ、その一端が熱融着物収容室332の対応する底壁に当接され、他端が支持部材35の一端部に当接され、固形ワックス7の厚さが第2弁口部の最大ストロークh1の以下であり(第1弁口が閉鎖される際、第2コア部32と第2弁口部14との間の距離である)、且つ0≦h1-h2≦0.5mmであり、または充填状態で、弁棒33の内部ハウジング6の内側に入り込む端部と第1段部64との間の距離が第2弁口部の最大ストロークh1の以下である(第1弁口が閉鎖される際、第2コア部32と第2弁口部14との間の距離である)。
【0042】
本実施例において、支持部材35の一端の少なくとも一部が熱融着物収容室332に入り込み、即ち、固形ワックス7の厚さが熱融着物収容室332の高さより小さい。このような配置方式は、弁棒33に対して位置制限という作用を果たし、弁棒のずれを防止し、温度調節弁が正常に作動できないことを防止する。
【0043】
以下は温度調節弁の使用中の状態を紹介し、充填状態と、第1作動状態と、第2作動状態とを含む。
【0044】
図10に示すように、充填状態で、固体状態での固形ワックス7は熱融着物収容室332に設けられ、大径部331が突起部311に当接され、弁棒33の内部ハウジング6側に入り込む端部が第1段部に直接または間接的に当接され、及び/または支持部材35の熱融着物収容室332側に入り込む端部が熱融着物収容室332の対応する底壁に直接または間接的に当接され、第1弁口211が開放状態にあり、第2弁口141が小開度で開放される。温度調節弁の使用中で、第1弁口211が開放状態にあるから、熱管理システムに潤滑油を充填する時、一部の潤滑油が第1接続口通路111と第2接続口通路121を経た後、熱交換装置中に流入する。このような配置方式は、潤滑油の充填が簡単である一方で、潤滑油を充填する際、熱交換装置及びその接続管路に対して漏洩検出をを行うという機能を有し、熱交換装置に対して余分に漏洩検出を行うという工程を省略できる。また、高温の潤滑油によって漏洩検出を行うと、潤滑油の温度が高いため、漏洩検出のリスクも相対的に大きくなる。本実施例において、弁棒33の内部ハウジング6側に入り込む端部が第1段部に直接または間接的に当接され、このような配置方式の構成は相対的に簡単で、コンパクトである。
【0045】
第1作動状態で、高温の潤滑油が第1接続口通路111から流入し、この際、高温の潤滑油の温度が高いから、熱応動素子が加熱され膨脹し、本体部30が第2弁口141側に運動し、第2弁口141が閉鎖され、第2弁口141が閉鎖された後、弁棒33がエンドキャップ2側に運動し第2バネ4を圧縮する。ここで指摘すべきのは、第2弁口141が充填状態で閉鎖されると、充填後、初めて第1作動状態を経る際、本体部30が運動せず、弁棒33がエンドキャップ2側に運動し第2バネ4を圧縮する。
【0046】
充填後、初めて第1作動状態を経ると、この際、潤滑油的の熱が内部ハウジング6を介して固形ワックス7に伝達され、固形ワックス7が加熱され溶融し、固形ワックス7の半溶融状態または溶融状態での硬さが小さくなり、バネ力の作用で、半溶融状態または溶融状態にある大部分の固形ワックス7は、第1室61、第2室62及び支持部材35と熱融着物収容室332の対応する内壁のと間の領域に押し込まれ、支持部材35と熱融着物収容室332の底部との間の距離が小さくなる。今回の変化後、バネ力の作用で、大部分の固形ワックス7は引き続き第1室61に収容される。内部ハウジング6内には密閉リング91が設けられたから、固形ワックス7が内部ハウジング6の外部に染み出すことを防止できる。
【0047】
第2作動状態で、非高温の潤滑油が第1接続口通路111から流入し、この際、熱応動素子が収縮し、第2バネ4と第1バネ5との復帰力の作用で、本体部30が第1弁口211側に運動し、第2弁口141が開放される。
【0048】
第1作動状態をすでに経たと、大部分の固形ワックス7が既に第1室61、第2室62及び支持部材35と熱融着物収容室332の対応する内壁との間の領域に収容され、弁棒33の内部ハウジング6の内側に入り込む端部と第1段部64との間の距離が小さくなり、支持部材35と熱融着物収容室332の底部との間の距離が小さくなり、弁棒33の内部ハウジング6の内側に入り込む端部と第1段部64との間に残留した固形ワックス7の量は無視してもいいほど少なくて、第1バネ5の弾力作用で第1コア部31が第1弁座21に当接され、第1弁口211が閉鎖される。温度調節弁内において、第1接続口通路111が第3接続口通路133に連通し、第1接続口通路111が第2接続口通路121に連通していない。
【0049】
このように、該実施例において、支持部材35は熱融着物7に接触し、熱融着物7を初期位置、即ち熱融着物収容室332内に制限し、熱融着物7が溶融したまたは半溶融した後、弁棒33の付勢作用で初期位置から離れて、他の空間に入ることができ、本実施例において、他の空間は主に支持部材35と第1室61、第2室62との間の隙間を指す。
【0050】
該実施例の他の構成及び作動原理は前記実施例と同様または類似するから、ここで逐一贅言していない。
【0051】
図12及び
図13-1、13-2は他の実施例を示し、前記実施例と違って、本実施例において、内部ハウジング6内には、連結する第1室61と、第2室62と第3室63とを有する室が設けられ、第1室61の内径が第2室62の内径より小さく、第1室61の対応する内壁と第2室62の対応する内壁との接続箇所には第1段部64が形成され、第2室62の内径が第3室63の内径より小さい。内部ハウジング6における第3室63に近接する部分には第2段部65が設けられ、
図13-2において、第3室63の端部に設けられ、第2段部65の内径が第3室63の内径より小さい。内部ハウジング6の壁部は第1外壁部67と第2外壁部68とを有し、第1外壁部67の外径が第2外壁部68の外径より小さく、第1外壁部67と第2外壁部68との接続箇所には第3段部66が形成され、第2バネ4の一部が第1外壁部67に外嵌され、且つ第2バネ4の一端が第3段部66に当接される。このような配置方式は第2バネ4と内部ハウジング6との安定性を向上させると同時に、エンドキャップの高さを短くし、温度調節弁全体の高さを低減させる。
【0052】
本実施例において、熱融着物7は常温で固体である固形ワックスであり、温度調節弁はシステムには潤滑油を充填していない前、または熱管理システムに高温の潤滑油を流入させていない前に、固形ワックス7が第2室62に設けられ、その一端が第1段部64に当接され、他端が弁棒33の一端部に当接され、固形ワックス7の厚さh2(即ち、この場合、弁棒33の内部ハウジング6の内側に入り込む端部と第1段部64との間の距離である)が第2弁口部の最大ストロークh1の以下であり(第1弁口が閉鎖される時、第2コア部32と第2弁口部14との間の距離である)、且つ0≦h1-h2≦0.5mmである。前記充填状態の場合における前記第2コア部と前記第2弁座との間の距離と、前記第1作動状態の場合における前記第2コア部と前記第2弁座との間の距離との差分値の値の範囲は0~0.5mmである。
【0053】
ここで熱融着物7に対して以下のように定義し、即ち、熱融着物7は温度がT1の以上である時に溶融し得て、熱融着物7の温度がT1より小さい場合に、例えば固形ワックス、可溶合金などの固体状態である。温度調節弁に流入した潤滑油の温度の、高温状態(この際、第2弁口141が閉鎖される)にある温度がT2になる(T1がT2の以下である)際、熱融着物7が加熱され溶融し、内部ハウジング6には密閉リング91が設けられたから、溶融状態にある熱融着物7が相変わらず内部ハウジング6内に位置し得て、密閉リング91が第3室63内に位置する。
【0054】
以下は温度調節弁の使用中の状態を紹介し、充填状態と、第1作動状態と、第2作動状態とを含む。
【0055】
図12に示すように、充填状態で、固体状態での固形ワックス7が第2室62に設けられ、大径部331が突起部311に当接され、第1弁口211が開放状態にあり、第2弁口141が小開度で開放される。温度調節弁の使用中で、第1弁口211が開放状態にあるから、熱管理システムに潤滑油を充填する際、一部の潤滑油は第1接続口通路111と第2接続口通路121を経た後、熱交換装置に流入する。このような配置方式は、潤滑油の充填が簡単である一方で、潤滑油を充填する時、熱交換装置及びその接続管路に対して漏洩検出を行うという機能を具備し、熱交換装置に対して余分に漏洩検出を行うという工程を省略できる。また、高温の潤滑油によって漏洩検出を行うと、潤滑油の温度が高いため、漏洩検出のリスクも相対的に大きくなる。
【0056】
第1作動状態で、高温の潤滑油が第1接続口通路111から流入し、この際、高温の潤滑油の温度が高いから、熱応動素子が加熱され膨脹し、本体部30が第2弁口141側に運動し、第2弁口141が閉鎖され、第2弁口141が閉鎖された後、弁棒33がエンドキャップ2側に運動し、第2バネ4を圧縮する。ここで指摘すべきのは、第2弁口141が充填状態で閉鎖されると、充填後、初めて第1作動状態を経る時、本体部30が運動せず、弁棒33がエンドキャップ2側に運動し第2バネ4を圧縮する。
【0057】
充填後、初めて第1作動状態を経ると、この際、潤滑油的の熱が内部ハウジング6を介して固形ワックス7に伝達され、固形ワックス7が加熱され溶融し、固形ワックス7の半溶融状態または溶融状態での硬さが小さくなり、バネ力の作用で、半溶融状態または溶融状態にある大部分の固形ワックス7が第1室61に押し込まれて、半溶融状態または溶融状態にあるわずかな部分の固形ワックス7が第2室62に存在できる。固形ワックス7の溶融後の体積が第1室61の容積より小さく、弁棒33の第2室62に入り込む部分の端部の外径が第1室61の対応する内壁の内径より大きいから、大部分の固形ワックス7が引き続き第1室61に収容される。内部ハウジング6内には密閉リング91が設けられたから、固形ワックス7が内部ハウジング6の外部に染み出すことを防止できる。
【0058】
第2作動状態で、非高温の潤滑油が第1接続口通路111から流入し、この際、熱応動素子が収縮し、第2バネ4と第1バネ5との復帰力の作用で、本体部30が第1弁口211側に運動し、第2弁口141が開放される。
【0059】
第1作動状態をすでに経たと、大部分の固形ワックス7が既に第1室61に収容され、弁棒33の内部ハウジング6の内側に入り込む端部と第1段部64との間の距離が小さくなり、弁棒33の内部ハウジング6の内側に入り込む端部と第1段部64との間に残留した固形ワックス7の量は無視してもいいほど少なくて、第1バネ5の弾力作用で第1コア部31が第1弁座21に当接され、第1弁口211が閉鎖される。温度調節弁内において、第1接続口通路111が第3接続口通路133に連通し、第1接続口通路111が第2接続口通路121に連通していない。
【0060】
このように、該実施例において、第1段部64は位置制限構成として、熱融着物7に接触し、弁棒33とともに熱融着物7を初期位置に制限し、熱融着物7が溶融したまたは半溶融した後、弁棒33の付勢作用で初期位置から離れて、他の空間に入ることができ、本実施例において、他の空間は主に第1室61、及び弁棒33と第2室62との間の隙間を指す。
【0061】
該実施例の他の構成及び作動原理は前記実施例と同様または類似するから、ここで逐一贅言していない。
【0062】
図14及び
図15-1、15-2は他の実施例を示し、前記実施例と違って、本実施例において、内部ハウジング6は室を有し、内部ハウジング6内にはさらに、室の対応する内壁に突出する位置制限部69が設けられる。弁棒33の一端が室内に入り込み、弁棒33と位置制限部69との間は摺り嵌めされ、または隙間嵌めされ、位置制限部69は位置制限と案内作用を有する。ここで説明すべきのは、位置制限部69は室の対応する底壁までに延伸し、下記の熱融着物7が室の対応する底壁に当接され、一部の熱融着物7が位置制限部69に対応する空間に位置制限され、または位置制限部69は室の対応する底壁と一定の距離を保持してもよく、下記の熱融着物7が室の対応する底壁に当接され、一部の熱融着物7が位置制限部69の対応する空間に位置制限され、または熱融着物7の厚さが、位置制限部69と室の対応する底壁との間の距離より小さい。位置制限部69は一つ(例えば円環状)または複数であってもよい(例えば複数の半円環状)。
【0063】
本実施例において、内部ハウジング6内には、連結する第1室61と、第2室62と第3室63とを有する室が設けられ、位置制限部69は第1室61の対応する内壁の一部であり、第1室61の内径が第2室62の内径より小さく、第1室61の対応する内壁と第2室62の対応する内壁との接続箇所には第1段部64が形成され、第2室62の内径が第3室63の内径より小さい。内部ハウジング6の第3室63に近接する部分には第2段部65が設けられ、
図15-2において、第3室63の端部に設けられ、第2段部65の内径が第3室63の内径より小さい。内部ハウジング6の壁部は第1外壁部67と第2外壁部68とを有し、第1外壁部67の外径が第2外壁部68の外径より小さく、第1外壁部67と第2外壁部68との接続箇所には第3段部66が形成され、第2バネ4の一部が第1外壁部67に外嵌され、且つ第2バネ4の一端が第3段部66に当接される。このような配置方式は、第2バネ4と内部ハウジング6との安定性を向上させると同時に、エンドキャップの高さを短くし、温度調節弁全体の高さを低減させる。
【0064】
内部ハウジング6内にはさらに熱融着物7が設けられ、熱融着物7の一端が第1室61の対応する底壁に当接され、熱融着物7の溶融後の体積が弁棒33の外壁と第2室62の対応する内壁との間に形成された空間の容積の以下である。ここで熱融着物7に対して以下のように定義し、即ち、熱融着物7は温度がT1の以上である時に溶融し得て、熱融着物7の温度がT1より小さい場合、例えば固形ワックス、可溶合金などの固体状態である。温度調節弁に流入した潤滑油の温度の、高温状態(この際、第2弁口141が閉鎖される)にある温度がT2になる(T1がT2の以下である)際、熱融着物7が加熱され溶融し、内部ハウジング6には密閉リング91が設けられたから、溶融状態にある熱融着物7が相変わらず内部ハウジング6内に位置し得て、密閉リング91が第3室63内に位置する。
【0065】
本実施例において、熱融着物7は常温で固体である固形ワックスであり、温度調節弁はシステムには潤滑油を充填していない前、または熱管理システムに高温の潤滑油を流入させていない前に、固形ワックス7が第1室61に設けられ、第1室61底壁と弁棒33に当接され、固形ワックス7の厚さが第2弁口部の最大ストロークh1の以下であり(第1弁口が閉鎖される時、第2コア部32と第2弁口部14との間の距離である)、且つ0≦h1-h2≦0.5mmであり、または充填状態で、弁棒33の内部ハウジング6の内側に入り込む端部と第1室61の底壁との間の距離が第2弁口部の最大ストロークh1の以下である(第1弁口が閉鎖される時、第2コア部32と第2弁口部14との間の距離である)。
【0066】
以下は温度調節弁の使用中の状態を紹介し、充填状態と、第1作動状態と、第2作動状態とを含む。
【0067】
図14に示すように、充填状態で、固体状態での固形ワックス7が第1室61に設けられ、大径部331が突起部311に当接され、第1弁口211が開放状態にあり、第2弁口141が小開度で開放される。温度調節弁の使用中で、第1弁口211が開放状態にあるから、熱管理システムに潤滑油を充填する際、一部の潤滑油は第1接続口通路111と第2接続口通路121を経た後、熱交換装置に流入する。このような配置方式は、潤滑油の充填が簡単である一方で、潤滑油を充填する時、熱交換装置及びその接続管路に対して漏洩検出を行うという機能を具備し、熱交換装置に対して余分に漏洩検出を行うという工程を省略できる。また、高温の潤滑油によって漏洩検出を行うと、潤滑油の温度が高いため、漏洩検出のリスクも相対的に大きくなる。
【0068】
第1作動状態で、高温の潤滑油が第1接続口通路111から流入し、この際、潤滑油の温度が高いから、熱応動素子が加熱され膨脹し、本体部30が第2弁口141側に運動し、第2弁口141が閉鎖され、第2弁口141が閉鎖された後、弁棒33がエンドキャップ2側に運動し、第2バネ4を圧縮する。ここで指摘すべきのは、第2弁口141が充填状態で閉鎖されると、充填後、初めて第1作動状態を経る時、本体部30が運動せず、弁棒33がエンドキャップ2側に運動し第2バネ4を圧縮する。
【0069】
充填後、初めて第1作動状態を経ると、この際、潤滑油の熱が内部ハウジング6を介して固形ワックス7に伝達され、固形ワックス7が加熱され溶融し、固形ワックス7の半溶融状態または溶融状態での硬さが小さくなり、バネ力の作用で、半溶融状態または溶融状態にある大部分の固形ワックス7が第2室62に押し込まれ、半溶融状態または溶融状態にあるわずかな部分の固形ワックス7が第2室62に存在し得る。固形ワックス7の溶融後の体積が弁棒と第2室62の対応する内壁との間の空間の容積より小さいから、弁棒が第1室61の底部の方向に運動することに連れて、大部分の固形ワックス7が引き続き第1室61に収容され、第1室61に保存する熱融着物7の量が少ない。内部ハウジング6内には密閉リング91が設けられたから、固形ワックス7が内部ハウジング6の外部に染み出すことを防止できる。
【0070】
ここで指摘すべきのは、第1室61には多い熱融着物7が保存してもよいが、第2室62に流入した熱融着物7に対応する部分の高さが第2弁口部の最大ストロークの以下であることを満たさなければならない。本実施例が採用した方式はこのような方式に比べると、構成が簡単であり、密閉性能及び耐圧性能も相対的に低い。
【0071】
第2作動状態で、非高温の潤滑油が第1接続口通路111から流入し、この際、熱応動素子が収縮し、第2バネ4と第1バネ5との復帰力の作用で、本体部30が第1弁口211側に運動し、第2弁口141が開放される。
【0072】
第1作動状態をすでに経たと、大部分の固形ワックス7がすでに第2室62に収容され、弁棒33の内部ハウジング6の内側に入り込む端部と第1室61の底部との間の距離が小さくなり、弁棒33の内部ハウジング6の内側に入り込む端部と第1室61の底部との間に残留した固形ワックス7の量が無視してもいいほど少なくて、第1バネ5の弾力作用で第1コア部31が第1弁座21に当接され、第1弁口211が閉鎖される。温度調節弁内において、第1接続口通路111が第3接続口通路133に連通し、第1接続口通路111が第2接続口通路121に連通していない。
【0073】
このように、該実施例において、第1段部64は位置制限構成として、熱融着物7に接触し、径方向で、弁棒33とともに熱融着物7を初期位置に制限し、熱融着物7が溶融したまたは半溶融した後、弁棒33の付勢作用で初期位置から離れて、他の空間に入ることができ、本実施例において、他の空間は主に第2室62の内壁と弁棒33との間の隙間を指す。
【0074】
該実施例の他の構成及び作動原理は前記実施例と同様または類似するから、ここで逐一贅言していない。
【0075】
説明すべきのは、以上の全ての実施例はいずれも第1室内に熱融着物を配置することで、使弁棒と第1室の底部との間に一定の距離を保持させ、そうすると、充填状態にある場合に、熱融着物がまだ溶融していなく、第1弁口が開放されることができ、熱融着物が溶融した後、初期位置から離れて、弁棒と第1室の底部との間は熱融着物によって制限されず、正常に第1作動状態または第2作動状態にあることができる。
【0076】
以上のは、本発明に対するいかなる形式での限定ではなく、本発明の具体的な実施例のみである。本発明は好適な実施例で以上のように開示されたが、本発明を限定していない。当業者であれば、本発明の技術案の範囲から逸脱していない場合に、前記開示された技術内容によって、本発明の技術案に対していろんな変更及び修飾をしてもよく、または等価変更の等価実施例になるように補正してもよい。従って、本発明の技術案から逸脱していない内容であれば、本発明の技術実質に応じて、以上の実施例に対するいかなる簡単な補正、等価変更及び修飾は、いずれも本発明の技術案の保護範囲に該当すべきである。