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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】スクリーン振動方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/56 20060101AFI20221007BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
G03B21/56
G03B21/14 Z
【請求項の数】 30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021033544
(22)【出願日】2021-03-03
(62)【分割の表示】P 2019145907の分割
【原出願日】2014-05-09
(65)【公開番号】P2021107925
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】61/821,311
(32)【優先日】2013-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516242301
【氏名又は名称】アイマックス シアターズ インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】コマーニッキー、 オリバー ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ヘラチ、 ハメド
(72)【発明者】
【氏名】トレンブレー、 デニス ギレス
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-060745(JP,A)
【文献】特開2005-107150(JP,A)
【文献】特開2008-102316(JP,A)
【文献】特開昭55-065940(JP,A)
【文献】実開平05-038639(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0010356(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0035826(US,A1)
【文献】米国特許第03125927(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00-21/10
21/12-21/30
21/56-21/64
33/00-33/16
H04N 5/66-5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が表示されるスクリーンの表面の領域に近接して配置可能な複数のバイブレータアセンブリであって、前記スクリーンを変位させるように構成された複数のバイブレータアセンブリを含み、
前記複数のバイブレータアセンブリのうちの少なくとも一つのバイブレータアセンブリの位置は、前記スクリーンのたるみからのスクリーンの位置の変化に基づいて前記少なくとも一つのバイブレータアセンブリと前記スクリーンとの間の距離について調整可能であるスクリーン振動システム。
【請求項2】
前記少なくとも一つのバイブレータアセンブリは、前記少なくとも一つのバイブレータアセンブリの位置が変更可能であるように、パンタグラフ機構によって移動可能である請求項1に記載のスクリーン振動システム。
【請求項3】
前記スクリーンに対する前記バイブレータアセンブリの各バイブレータアセンブリの位置は、前記複数のバイブレータアセンブリの他のバイブレータアセンブリとは独立して調整可能である請求項1に記載のスクリーン振動システム。
【請求項4】
前記複数のバイブレータアセンブリは、前記スクリーンを振動させて、前記スクリーンの平均変位が自然な静止状態の前記スクリーンと同じ位置になるように構成された請求項1に記載のスクリーン振動システム。
【請求項5】
前記複数のバイブレータアセンブリは、前記スクリーンの少なくとも一部を振動させて変位させ、前記スクリーンの一部を移動させるように構成された複数の電磁アクチュエータアセンブリを含む請求項1に記載のスクリーン振動システム。
【請求項6】
前記複数のバイブレータアセンブリは、前記スクリーンに、前記スクリーンの少なくともある部分が前記複数のバイブレータアセンブリから反発されるか、又は前記複数のバイブレータアセンブリに引き寄せられるように、ある方向の変位を引き起こすように構成された請求項5に記載のスクリーン振動システム。
【請求項7】
前記複数の電磁アクチュエータアセンブリの各電磁アクチュエータアセンブリは、前記スクリーンを変位させるように磁場の影響を受ける要素を反発又は引き付ける磁場を発生させるために電流が伝送可能なコイルを含む請求項5に記載のスクリーン振動システム。
【請求項8】
前記複数の電磁アクチュエータアセンブリの各電磁アクチュエータアセンブリは、前記スクリーンを変位させるように電気機械的に移動可能なダイヤフラムを有する電気機械式トランスデューサを含む請求項5に記載のスクリーン振動システム。
【請求項9】
各電磁アクチュエータアセンブリは、前記スクリーンを変位させるように反発又は引き付けられることによって要素が応答する磁力を提供するために前記スクリーンに対して位置決め可能な磁気源を含む請求項5に記載のスクリーン振動システム。
【請求項10】
前記複数のバイブレータアセンブリのうちの少なくとも一つのバイブレータアセンブリが結合される移動可能な部分を有するプラットフォームと
前記プラットフォームの可動部分を移動させ、前記複数のバイブレータアセンブリのうちの前記少なくとも一つのバイブレータアセンブリの位置を変更するように構成されたコントローラアセンブリと
をさらに含む請求項1に記載のスクリーン振動システム。
【請求項11】
前記プラットフォームは、スクリーン支持構造に取り付け可能な静止部分を含む請求項10に記載のスクリーン振動システム。
【請求項12】
前記複数のバイブレータアセンブリの少なくとも一つのバイブレータアセンブリの位置は、前記スクリーンのたるみからのスクリーンの位置の経時的な変化に基づいて自動的に調整可能である請求項11に記載のスクリーン振動システム。
【請求項13】
少なくとも一つのバイブレータアセンブリに結合され、前記少なくとも一つのバイブレータアセンブリと前記スクリーンとの間の距離を含む距離情報を提供するように構成された距離センサをさらに含み、
前記コントローラアセンブリは、前記距離情報を受信し、前記複数のバイブレータアセンブリのうちの前記少なくとも一つのバイブレータアセンブリの位置を変化させて、前記距離を前記少なくとも一つのバイブレータアセンブリと前記スクリーンとの間の許容可能な距離範囲内に自動的に維持するように構成された請求項12に記載のスクリーン振動システム。
【請求項14】
コントローラアセンブリは、前記プラットフォームの可動部分を移動させるためのプラットフォームアクチュエータを制御するように構成されたモータドライバを含む請求項13に記載のスクリーン振動システム。
【請求項15】
スクリーンを振動させる方法であって、
前記スクリーンの後ろにあるバイブレータアセンブリを駆動して、電気信号を用いて前記スクリーンを振動させる工程と、
前記スクリーンのたるみによる前記スクリーンの少なくとも一部の位置の変化に基づいて、前記スクリーンの後ろの前記バイブレータアセンブリを前記バイブレータアセンブリと前記スクリーンとの間の距離について新たな位置に自動的に変更する工程と
前記スクリーンを振動させるように新たな位置にある前記バイブレータアセンブリを駆動する工程と
を含む方法。
【請求項16】
複数のバイブレータアセンブリの各バイブレータアセンブリの前記スクリーンに対する位置を、前記複数のバイブレータアセンブリの他のバイブレータアセンブリとは独立して自動的に変更する工程をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記スクリーンを前記複数のバイブレータアセンブリによって振動させて、振動中の前記スクリーンの平均変位が自然な静止状態での前記スクリーンと同じ位置になるようにする工程をさらに含む請求項16の方法。
【請求項18】
前記複数のバイブレータアセンブリによって前記スクリーンを振動させる工程は、前記スクリーンに、前記スクリーンの少なくとも一部が前記複数のバイブレータアセンブリから反発されるか、又は前記複数のバイブレータアセンブリに引き寄せられるように、ある方向の変位を引き起こす工程を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記バイブレータアセンブリに結合された距離センサによって、前記バイブレータアセンブリと前記スクリーンとの間の距離を含む距離情報を提供する工程と、
前記バイブレータアセンブリの位置を変化させて、前記距離を前記バイブレータアセンブリと前記スクリーンとの間の距離について距離範囲内に自動的に維持する工程と
をさらに含む請求項15の方法。
【請求項20】
前記バイブレータアセンブリの位置を変更するために前記バイブレータアセンブリに結合されたプラットフォームの可動部分を移動させるように、プラットフォームアクチュエータを制御する工程をさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
画像が表示可能な表面を有するスクリーンであって、スクリーンの少なくとも一部の位置を変化させるスクリーンのたるみの影響を受けやすいスクリーンと、
画像が表示される面に対向するスクリーンの後ろの面に対して配置されたバイブレータアセンブリであって、前記スクリーンの少なくとも一部を振動させるためのアクチュエータを含み、前記スクリーンのたるみの結果として前記スクリーンの一部の位置が変化することに応じて前記バイブレータアセンブリと前記スクリーンとの間の距離について移動可能であるバイブレータアセンブリと
を含むシステム。
【請求項22】
前記バイブレータアセンブリは複数のバイブレータアセンブリであり、前記スクリーンに対する前記複数のバイブレータアセンブリの各バイブレータアセンブリの位置は前記複数のバイブレータアセンブリの他のバイブレータアセンブリとは独立して調整可能である請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記複数のバイブレータアセンブリは、前記スクリーンを振動させて、振動中の前記スクリーンの平均変位が自然な静止状態における前記スクリーンの同じ位置であるようにするように構成された請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記複数のバイブレータアセンブリは、振動によって前記スクリーンの少なくともある部分を変位させ、前記スクリーンの前記部分を移動させるように構成された複数の電磁アクチュエータアセンブリを含む請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記複数の電磁アクチュエータアセンブリの各電磁アクチュエータアセンブリは、前記スクリーンを変位させるために磁場の影響を受ける要素を反発又は引き付けるための磁場を生成するために電流が伝送可能なコイルを含む請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記複数の電磁アクチュエータアセンブリの各電磁アクチュエータアセンブリは、前記スクリーンを変位させる電気機械的に移動可能なダイヤフラムを有する電気機械式トランスデューサを含む請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
各電磁アクチュエータアセンブリは、前記スクリーンを変位させるために反発されたり引き付けられたりすることによって要素が応答する磁力を提供するように前記スクリーンに対して位置決め可能な磁気源を含む請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記バイブレータアセンブリが結合された可動部分を有するプラットフォームと
前記プラットフォームの可動部分を移動させて、前記バイブレータアセンブリの位置を変更するように構成されたコントローラアセンブリと
をさらに含む請求項21に記載のシステム。
【請求項29】
前記アクチュエータを含む前記バイブレータアセンブリに結合された距離センサであって、前記バイブレータアセンブリと前記スクリーンとの間の距離を含む距離情報を提供するように構成された距離センサをさらに含み、
前記コントローラアセンブリは、前記距離情報を受信し、前記距離を前記バイブレータアセンブリと前記スクリーンとの間の許容可能な距離範囲内に自動的に維持するように前記バイブレータアセンブリの位置を変化させるように構成された請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記スクリーンの表面に表示するための画像を投影するように構成されたレーザプロジェクタをさらに含み、
前記バイブレータアセンブリは、前記スクリーンの少なくとも一部を振動させることによって、前記スクリーンの表面に表示される画像のスペックルを低減するように構成された請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は2013年5月9日出願の「スクリーン振動方法及びシステム」と題する米
国仮出願番号61/821311の優先権を主張し、その全体は参照により本明細書に組
み込まれている。
技術分野
本開示は、一般的に画像表示の分野に関し、特に、しかし非排他的に、表示されたレー
ザ画像の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
表示スクリーンを揺すると、スクリーン上に表示された画像を向上させることができる
。レーザ光源のようなコヒーレント光源を用いて静止したスクリーンに画像を投影すると
、画像領域内に(スペックルとして知られている)視覚的アーチファクトをもたらされる
ことがある。画像が投影されるスクリーン面を揺することにより、スペックルアーチファ
クトを低減又は除去することができる。スペックルがスクリーンの画像領域の全てに亘っ
て低減することを確保するためには、スクリーン領域の全てが揺すられる。スクリーンの
画像領域の全ての振動を達成するために、スクリーン振動の点又はソースを有することが
望ましいことがあり得る。スクリーンは、複数の振動位置を必要とするようなスクリーン
に与えられる十分な振動エネルギーを吸収する例えばビニールのような材料から構成され
、大きな表面積を有することができる。
【0003】
しかしながら、スクリーンを振動させるために複数のソースを使用すると、問題を引き
起こすことがある。
【発明の概要】
【0004】
一例では、スクリーン振動システムが提供される。スクリーン振動システムは、スクリ
ーン、スクリーンに取り付けられた永久磁石、及び永久磁石に対して位置決めされ、スク
リーンとは非結合の磁気源を含んでいる。スクリーンは、磁気源の変化する磁場に応じて
移動可能である。
【0005】
他の例では、スクリーンを振動させる方法が提供される。永久磁石が、スクリーンに取
り付けられる。電磁石が、永久磁石の向かいに配置される。電磁石への電流は、永久磁石
を反発させ引き付けることを続けてスクリーンを振動させるように制御される。
【0006】
他の例では、スクリーンを振動させるシステムが提供される。システムは、第1アクチ
ュエータ及び第2アクチュエータを含んでいる。第1のアクチュエータは、第1の電気信
号に基づいて第1の位置でスクリーンを移動させるために第1の位置でスクリーンの後ろ
に配置されている。第2のアクチュエータは、第1の電気信号に無相関である第2の電気
信号に基づいて第2の位置でスクリーンを移動させるために第2の位置でスクリーンの後
ろに配置されている。
【0007】
他の例では、スクリーンを振動させる方法が提供される。第1の電気機械音響アクチュ
エータ及び第2の電気機械音響アクチュエータは、スクリーンの後ろに配置されている。
第1の電気機械音響アクチュエータは、第1の電気信号を用いて駆動される。第2の電気
機械音響アクチュエータは、第1の電気信号に対して無相関である第2の電気信号を用い
て駆動される。スクリーンは、第1の電気機械音響アクチュエータ及び第2の電気機械音
響アクチュエータによって振動されている。
【0008】
他の例では、スペックルアーチファクトを低減する方法が提供される。スクリーンは、
スクリーンバイブレータにより振動される。スクリーン上に投影された画像についての情
報は、センサを用いて捕捉される。スクリーンに投影された画像内に存在するスペックル
アーチファクトの量は、捕捉された情報から決定される。コントローラへのスクリーンバ
イブレータを駆動する信号は、スペックルアーチファクトの量を所定の閾値と比較するこ
とに応じて制御される。
【0009】
他の例では、スクリーンを振動させるシステムが提供される。システムは、オープンバ
ッフルを有する電気音響アクチュエータを含んでいる。電気音響アクチュエータは、動作
設定においてはスクリーンから切り離される。システムは、(i)電気機械音響アクチュ
エータの前、及び(ii)電気機械音響アクチュエータとスクリーンとの間の空気を変動
させる電気機械音響アクチュエータにエネルギーを出力させるために電気機械音響アクチ
ュエータに電気信号を提供するコントローラも含んでいる。オープンバッフルは、電気音
響アクチュエータの後ろで変動した空気がスクリーンに影響を及ぼすのを防止するように
構成されている。
【0010】
他の例では、システムが提供される。システムは、画像を表示するスクリーン、スクリ
ーンに向けて画像を投影するレーザプロジェクタ、スクリーンを振動させるように配置さ
れた少なくとも2つのバイブレータアセンブリ、及び無相関の制御信号を用いて少なくと
も2つのバイブレータアセンブリを制御するコントローラを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施例に係るスクリーンを振動させるシステムの概略図である。
図2A図2Aは、スクリーンに対するバッフル及びスクリーンを振動させるアクチュエータの第1の例の側面断面図である。
図2B図2Bは、図2Aのバッフル及びアクチュエータの斜視図である。
図3A図3Aは、スクリーンに対するバッフル及びスクリーンを振動させるアクチュエータの第2の例の側面断面図である。
図3B図3Bは、図3Aのバッフル及びアクチュエータの斜視図である。
図4A図4Aは、スクリーンに対するバッフル及びスクリーンを振動させるアクチュエータの第3の例の側面断面図である。
図4B図4Bは、図4Aのバッフル及びアクチュエータの斜視図である。
図5図5は、一例による回転可能な永久磁石を含むスクリーン振動システムの概略図である。
図6図6は、一例による非振動位置で回転可能な永久磁石を有する図5のスクリーン振動システムの概略図である。
図7図7は、一例による静止した電磁石を用いたスクリーン振動システムの概略図である。
図8図8は、一例によるコントローラ及び静止した電磁石を含むスクリーン振動システムの概略図である。
図9図9は、一例によるスクリーンに取り付けられたバテンの背面図である。
図10図10は、一例によるコイルドライバの概略図である。
図11図11は、一例による他のチャネルと無相関である出力チャネルに信号を出力するシステムのブロック図である。
図12図12は、一例による劇場におけるスペックルを低減するシステムの概略図である。
図13図13は、一例によるスペックルを低減させる処理のフローチャートである。
図14図14は、一例による自動的に調節可能なスクリーン振動システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特定の態様、特徴、及び本開示の例は、音響、電磁気、又は他の種類のエネルギーを用
いて劇場のスクリーンを振動させることができるとともに、スクリーンの振動のために見
られることがある画像アーチファクトの存在を低減するスクリーン振動システムに関する
【0013】
スクリーン支持構造によって支持されたスクリーンは、二百キログラム以上のオーダー
の質量を有することがあり得る。スクリーンを揺する1つの手法は、スクリーンの領域に
亘ってスクリーンを揺することができる振動源を分配することである。振動源のそれぞれ
に少量のエネルギーを適用し、スクリーン全体を集合的に揺することができる。
【0014】
1つの課題は、聴衆の誰かが見つけるようなスクリーン歪みアーチファクトを生成しな
いようにスクリーンを移動させることを含み得る。スクリーン歪みアーチファクトは、ス
クリーン表面に表示された局所的な物理歪みであり得、それはスクリーン表面の他の領域
と整合していない。その表面に高利得コーティングを施したスクリーンは、わずかな局所
歪みに影響を受けやすく、スクリーンを振動させることを意図するデバイスによってスク
リーンが突かれたり引っ張られたりしたときに、スクリーンの知覚される利得の不連続が
認識できる。スクリーン位置に局所的な物理歪みを生成すると、スクリーン表面の歪んだ
部分の光の反射が、局所的な歪みがないスクリーンの領域からの反射と整合しないように
見えることがある。スクリーン表面での変形は、輝度分布の歪みとして現れることがあり
得る。
【0015】
振動システムがないスクリーンは、スクリーンの自然な静止状態の表面プロファイルを
有することができる。スクリーンは、その自然な静止した表面プロファイルからスクリー
ン表面プロファイルを歪めない振動システムを備えることができる。スクリーン振動シス
テムは、スクリーン振動システムがアクティブでないか又は電源が入っていないときに、
スクリーンに偏った力を及ぼすのを避けることができる。スクリーン振動システムがスク
リーンをアクティブに振動させているとき、スクリーンの平均変位位置は、その自然な静
止状態のスクリーンと同一の位置とすることができる。
【0016】
スペックルアーチファクトを低減するため、スクリーンの振動は、視聴者に見えるよう
な大きなスクリーン変位の生成を避けるようにすることができる。変位は、スクリーン変
位に視聴者が気付かないが、変位がスペックルアーチファクトを低減又は除去させるのに
十分であり得るように少量に限定することができる。スペックルを低減するためのスクリ
ーン変位の振幅は、変化させることができる。例えば、スクリーン変位の振幅は、スクリ
ーンバイブレータの位置で大きくすることができるが、スクリーンバイブレータから遠く
離れた位置ではスクリーン変位が小さくなり得るが、それでもスペックルアーチファクト
を低減することができる。スクリーン変位の周波数は、変位が容易に知覚可能となること
を避けるために特定のレベルを超えるようにすることができる。しかしながら、スクリー
ン変位の周波数が高いほど、振動システムはより可聴になることがある。スクリーンの変
位の観客による知覚及びスクリーンを振動させることから起こり得る可聴ノイズを最小化
し、スペックルアーチファクト低減の最適なトレードオフを提供することができるような
スクリーン変位の周波数及び振幅の限られた範囲があり得る。スクリーン変位の周波数の
範囲は35ヘルツから10ヘルツの範囲内であることができるが、スペックル低減はこの
範囲外の変位周波数を用いても起こることがあり得る。
【0017】
スクリーン表面は、表面を機械的に振動させて、例えばスクリーンの後ろから、物理的
な接触によって振動させるように設計することができる。他の例では、スクリーンは、非
接触の手法を用いて揺らされる。非接触型の手法の例は、スクリーンの後ろにスクリーン
に近接して配置される、拡声器などの、電気機械音響トランスデューサ又はアクチュエー
タを有する音響部品によることができる。トランスデューサが低周波信号でアクティブに
されると、音響トランスデューサはスクリーンのすぐ後ろの空気を変位させ、トランスデ
ューサが移動するのと同一の周波数でスクリーンの移動を誘導する。音響トランスデュー
サは、空気を変位させる移動コーンや振動板を有することができる。音響トランスデュー
サへの信号の周波数は、視聴者による可聴検出を回避するために、人間の最大の聴覚範囲
を超えるか又は満たないようにすることができる。音響トランスデューサ振動システムは
、トランスデューサはアクティブではないときにスクリーン表面を自然の状態のプロファ
イルで静止するようにすることができ、トランスデューサがアクティブであるときにスク
リーンを2つの方向に等しく変位させることができる。
【0018】
図1は、一例のスクリーン振動システムを示している。システムは、電源106からの
信号を受信することができるアクチュエータ104を含んでいる。アクチュエータ104
は、スクリーン102の後ろに配置されている。アクチュエータ104は、電源106か
らの信号の周波数でスクリーン102を変位させるようにスクリーン102の背後に空気
を直接に変位させることができる。いくつかの例では、アクチュエータ104は、音響ア
クチュエータである。
【0019】
他の例では、電気機械音響アクチュエータは、スクリーンを振動させるバッフルと嵌合
する。図2Aから図4Bは、スクリーン102に対向して配置されたアクチュエータ10
4に嵌合する異なるバッフルの例である。アクチュエータ104は、スクリーン102か
ら4分の1インチから24インチの範囲にある距離に配置することができる。バッフルを
追加すると、スクリーン102に対向するアクチュエータ104によって、スクリーン1
02とアクチュエータ104との間の空気が影響され、スクリーンの変位を最大化するこ
とがあり得る。アクチュエータ104が移動するとき、アクチュエータ104の一方の側
の空気は正の圧縮を経験し、アクチュエータ104の他の側の空気は負の圧縮を経験する
。アクチュエータ104の両側の変位した空気は、逆の極性又は位相が180度ずれたも
のであり得る。相互作用する逆の極性の空気の変位は、空気の正味の変位を低減又はキャ
ンセルする正味の効果を有し得る。バッフルを有することがスクリーン102に面してい
ないアクチュエータ104の表面で変位する空気の逆の極性をスクリーン102で空気に
影響を与えることから制限することは、スクリーン102で空気の変位の望ましくない低
下を防ぐことができる。バッフルを越えて、アクチュエータ104の前及び後ろから変位
した空気は、相互作用することができ、そのようなスクリーンを見る観客が位置すること
があり得る場所など、アクチュエータ104及びバッフルから遠く離れた場所で部分的又
は完全にキャンセルを生じ得る。
【0020】
図2Aは、バッフル250の断面側面図を示している。バッフル250は、アクチュエ
ータ104の前に由来するスクリーン102に向かう空気の変位をアクチュエータ104
の後で発生する空気の変位との相互作用から分離するプレートであり得る。バッフルの表
面は、スクリーン102に平行で、アクチュエータ104の音響軸に垂直に配置すること
ができる。音響軸は空気がアクチュエータ104によって変位している方向に沿った中心
線にすることができる。アクチュエータ104は、電気機械的に移動されるコーン又は他
のダイヤフラムを有する電気機械トランスデューサのような音響拡声器で使用される構成
の音響トランスデューサであり得る。図2Bは、アクチュエータ104及びバッフル25
0の斜視図を示している。バッフル250及びアクチュエータ104の面252(スクリ
ーン102に対向する側)は、図2Bに示されている。バッフル250は、剛性材料又は
高密度の材料とすることができ、空気の変位がバッフルを屈曲させるのを防止し、さらに
アクチュエータ104の前方及び後方で変位した空気の間の相互作用を低減する。バッフ
ル250は、特定の実装に適するように長方形、円形、又は他の形状であり得る。
【0021】
図3Aは、側面断面図によるバッフル360の他の例を示している。バッフル360は
管状であり、面362は図3Bの斜視図に示され、アクチュエータ104の前及びアクチ
ュエータ104の後ろの間に生じる空気の変位を分離する。アクチュエータ104の音響
軸は、管状のバッフル360の軸に平行であり、スクリーン102に対して直角にするこ
とができる。バッフル360の開口部は、スクリーン102に対向して配置することがで
きる。アクチュエータ104は、コーンを有する電気機械トランスデューサとすることが
できる。バッフル360は、剛性材料又は高密度の材料とすることができる。バッフル3
60の開口部の断面形状は、特定の実装に適した長方形、円形、又は他の形状とすること
ができる。バッフル360は、アクチュエータ104の後ろに延長することができる。他
の例では、バッフル360はアクチュエータ104の前に延長することができ、又はバッ
フル360はアクチュエータ104の後ろ及び前に延長することができる。
【0022】
図4Aは、側断面図によってプレート474及びプレート474から延在する管状(又
は他の形状の)構造476を含むバッフル470の他の例を示している。図4Bは、スク
リーンに対向する面の向き472にすることができるバッフル470及びアクチュエータ
アセンブリ104の斜視図を示している。
【0023】
上記の開放されたバッフルはアクチュエータ104に近接したスクリーン102の領域
の振動を僅かな相殺効果を有して可能にすることができるが、アクチュエータ104に取
り付けられたバッフルを越えた距離で発生する低周波空気の乱れの伝播の相殺効果を可能
にする。
【0024】
スクリーンを振動させる他のアプローチは、磁気源をスクリーンに近接して配置するこ
とを含み、磁力がスクリーンの背面に取り付けられた要素を排斥したり引き付けたりする
ため使用することができる。
【0025】
図5及び図6は、永久磁石を用いたスクリーン振動の一例を示している。スクリーン1
02に取り付けるものは、永久磁石512aと相互作用することができる要素506を有
するバテン504である。永久磁石512aはモータシャフト510に取り付けられ、永
久磁石512aは電源106からの電力でモータ508によって回転することができる。
要素506が北/南の方向を有する永久磁石である場合、図示のように、永久磁石512
aの北極が要素506に向かって配向されているとき、回転する永久磁石512aは要素
506を外側に押すことができる。永久磁石512aが回転して要素506に隣接してS
極が位置するように配向されたとき、要素506は永久磁石512aに向けて引き寄せら
れることができる。要素506が永久磁石の代わりに鉄等の磁場によって影響され得る金
属である場合、要素506は、要素506に対向する磁場が北又は南向きに関わらず永久
磁石512aに向かってのみ移動することもある。スクリーンの変位は、例えば永久磁石
512aに向かって、一方向のみであってもよい。しかしながら、要素506を永久磁石
として有することは、経時的な平均スクリーン変位がスクリーンの自然な静止位置に近い
ことが望まれる場合には、有用であることもある。要素506が出入りする周波数は、永
久磁石512が回転する速度に直接に比例することがあり得る。回転速度は、電源106
を用いて振動の所望の周波数に調整することができる。スクリーン102は、永久磁石5
12aから外側に変位したとき、スクリーン102が永久磁石512aに向かって変位さ
れたときのスクリーン102の静止位置より小さい変位を有していてもよい。システムは
、要素506を引き付ける部分について永久磁石512aの長さを低減することで、外側
及び内側の変位を等しくし、等しい内側及び外側のスクリーン変位を達成するようにする
ことにより、その差を補償することができる。スクリーンの振動システムがアクティブで
ない場合には、永久磁石512aは図6に示すように配置され、要素506への影響が最
小化され、スクリーン102は自然な静止位置に留まっている。
【0026】
図7は、静止した電磁石システムを使用したスクリーン振動システムの一例を示してい
る。ワイヤコイル720は、コア722上に配置され、コア722の端部は要素506に
向かって配向されている。コア722は磁場によって影響を及ぼされる鉄などの材料の場
合、電源106によってコイル720に少量の電流を通し、要素506を反発したり引き
付けたりすることができる磁場を生成することができる。電流がコイル720に逆方向で
流れる場合、磁場は前とは逆になることがあり得、要素506を反発するのではなく引き
付ける(又は設定に応じて引き付けることに代わり反発する)ことがあり得る。磁場によ
って要素506を移動させたことによるスクリーン変位は、スクリーン102をどちらの
方向にも変位させることができる。
【0027】
スクリーン102は、コイル720及びコア722によって形成された電磁石から外側
にずれたとき、スクリーン102が電磁石に向けて変位したときよりもより小さい静止位
置からの変位を有してもよい。この差は、コイル720への電流を増加させることによっ
て、コイル720が要素506を引き付けるときよりもコイル720が要素506を反発
するときにコイル720を通るより多い電流が存在するようにすることにより、補償する
ことができる。電流は、スクリーン102の静止位置から両方向に等しいスクリーン変位
を提供するために、非対称な波形に成形することができる。一つの手法は、電磁石への所
定の信号波形についてスクリーン変位プロファイルを測定し、入力信号がどのように修正
されて所望のスクリーン変位を提供するかを決定することである。修正された波形は、そ
の後、電磁石に印加され、所望の変位プロファイルが達成されたことを確認する。測距セ
ンサは、スクリーン変位を測定するために使用することができる。非対称な波形を作成す
るための他の手法は、スクリーンの自然な静止位置と同一の平均スクリーン変位を達成す
る量の直流バイアスを加えることである。
【0028】
図7のシステムの磁場を変更すると、スクリーン102に関連付けられた要素506に
影響を及ぼすことができる。変更する磁場の周波数が増加する場合には、変更する磁場に
よって印加される力は、スクリーン102、バテン504、及び要素506の結合された
慣性を乗り越えてスクリーン102が変更する磁場に追従することができなくなってもよ
い振動システム(例えば、磁気システム)がスクリーン102に影響を及ぼすことができ
る最大周波数が低すぎる場合には、スクリーン102、バテン504、及び要素506の
慣性は、スクリーン102を振動させることができる上限を高めるために低減することが
できる。より強力な電磁石と電磁ドライバを使用すると、システムがスクリーン102を
振動させることが可能である上限を高めることができる。スクリーンの張力も因子であっ
てもよく、スクリーン102上に存在する張力が大きいほどスクリーン102を変位させ
るために必要な力の量は大きくなる。スクリーンの張力を低減させると、スクリーンの振
動変位を増加させ、及びスクリーンの振動周波数を増加させることを促進することができ
る。しかしながら、スクリーンの張力の低減が大き過ぎると、スクリーンのたるみなどの
他のスクリーン表面アーチファクトの問題をもたらすことがあり得る。
【0029】
電流が図7のコイル720を通っていないと、存在する唯一の引き付ける磁力は、要素
506からコア722に対するものであり得る。これは、スクリーン102をコア722
に向けてわずかに引っ張ることができる要素へのわずかな残留力を生成してもよい。残留
力を低減する1つの手法は、コア722及びコイル720を要素506から遠くに移動し
、コイル720に高い電流を使用し、磁場を増大させて増加した距離を補償することであ
る。別の手法は、コア722が作成される材料を磁場に影響されない材料に変更すること
を含んでいる。これらの種類の材料の例としては、プラスチック、アルミニウム、及び空
気が挙げられる。磁場に影響されない材料がコア722に使用される場合、鉄から作られ
たコアと比較して同じ磁場強度を達成するためにより多くの電流が必要とされてもよい。
コイル720に使用されるワイヤの巻き数は、より高い磁場を達成するために増加させる
ことができる。コイル720は、磁場に影響されないコアが使用されているときには、要
素506のより近くに配置することができる。
【0030】
図8は、コントローラ806を有するスクリーン振動システムの一例を示し、コイル8
20及びコア822を含む電磁デバイスを介して電流を制御する。エアギャップを通る磁
束経路は大幅に低減することができ、作動デバイス(すなわち、コイル820及びコア8
22)から永久磁石806、及びスクリーン802上のバテン804へのより効率的なエ
ネルギー伝達を可能にする。より効率的な磁気結合がある場合、磁場は、スクリーン10
2により良いエネルギー伝達を提供するためにより多く含有させることができ、スクリー
ンバテン804上の永久磁石80及び電磁コア822を構成することによって、磁場が通
るより完全なループ又は縮小されたエアギャップを有する閉ループを形成するようにする
ことができる。電磁コア822は、磁場によって影響される金属材料から作ることができ
る。金属材料は、高い相対透磁率特性を有することができる。高い相対的透磁率を有する
金属材料としては、例えば、鉄又はミューメタルのような強磁性金属が挙げられる。磁束
経路内のエアギャップは、コア822及び永久磁石806の端部間の短い経路に限定され
てもよい。振動システムのエネルギー効率は、開放端部に大きなエアギャップが存在しな
いように電磁コア及びスクリーンバテン上の永久磁石を構成することによって改善するこ
とができる。
【0031】
上述の要素506、806は、それぞれバテン504、804に取り付けることができ
、スクリーン102のより広い領域にわたって要素506、806に印加される反発する
及び引き付ける力を分布させる。例えば、バテン504、804の長さは、1フットから
2フィートの長さであり、1インチ以上の幅であり得る。水平曲率のみを有し、垂直曲率
がないスクリーンについて、1つ以上のバテンは、スクリーンの背面に垂直に取り付ける
ことができる。バテンは、バルサ材、炭素繊維、又は複合材料など、軽いけれども硬い材
料で作ることができる。要素506、806は、バテン504、804の表面に取り付け
、又はバテン504、804に凹設することができる。バテン504、804は、スクリ
ーン102に変形又は汚れを発生させることのない接着剤でスクリーン102に固定する
ことができる。スクリーン102に向かうバテン504、804の側面は、スクリーン1
02が有孔の場合は、それが見えないように色を黒にすることができる。例えば、オーデ
ィオスピーカがスクリーンの後ろに配置されて提示される音響がスクリーン材料の開口部
を通ることができる場合には、有孔スクリーンが使用されてもよい。
【0032】
図9は、スクリーン930上に取り付けられたバテン932のあり得るバテン分布の位
置を示している。スクリーンが大きいほど、よりバテンが使用されるか又は必要とされる
【0033】
適切な電源は、バテンがスクリーン上に配置された位置について各コイルに電力を供給
するために使用することができる。1つの手法は、コイルのすべてが同一の周波数及び同
位相で振動するように、コイルのすべてに電力を供給する1つの電源を使用することであ
る。しかしながら、スクリーンの振動は同一の周波数及び位相関係を有してもよく、スク
リーン上に分布する局所的な定在振動波パターンをもたらすことがあり得る。定在波振動
はスペックルを減少させために効果的でなくてもよいが、これは、スクリーンのある構成
要素が移動することがなく、したがってスペックルアーチファクトを低減することができ
なくてもよいからである。
【0034】
定在振動波を低減又は排除するために使用されてもよい1つの手法は、別個の電源を有
するコイルのそれぞれに、各電源が無相関(また、「脱相関」とも呼ばれる)であるラン
ダム信号を生成するように、電力を供給するか又は駆動することである。ランダム信号は
、振幅及び周波数がランダムであり、ピンク又はホワイトノイズに類似している。信号が
、振幅でランダムであり周波数がそうでない場合、又は周波数がランダムであるが振幅は
そうでない場合、異なる電源からの波形の相互作用に定在成分が依然として存在してもよ
い。ソースのそれぞれからの信号は、振幅及び周波数において脱相関させることができる
。例えば、コイルのそれぞれは、他のコイルを駆動するために使用される信号とは異なる
振幅、周波数、及び位相関係を有する信号で駆動することができ、定在波につながる又は
定在波成分を有する条件を低減又は排除する。
【0035】
図10は、スクリーン振動システムのコイルドライバ構成の一例を概略的に示している
。コイル1-n 1050、1052、1054、1056のそれぞれは、アクチュエー
タドライバ電源1040に電気的に接続することができる。アクチュエータドライバ電源
は、チャネル出力1042、1044、1046、1048を有し、各コイルについて信
号を提供するように(例えば、設計により)構成されている。各チャネルはそれ自身の周
波数源を有して構成することができ、周波数源はピンク又はホワイトノイズ源などのラン
ダム周波数源である。周波数源の帯域幅は、20ヘルツから30ヘルツの範囲に周波数成
分が存在し、周波数源が、20ヘルツから30ヘルツのバンドパスフィルタでフィルタと
きに信号コンテンツが存在するようにすることができる。
【0036】
図11は、他のチャネルと無相関の出力チャネルに信号を出力するシステム1100の
ブロック図を示している。アクチュエータドライバ電源1040から図10のチャネル出
力1042、1044、1046、1048のそれぞれは、アクチュエータドライバ電源
1040内の別個のシステムによって供給することができ、その一つの例が図11に示さ
れている。周波数源1160は、DSP又は他の種類の信号プロセッサであることができ
、ランダム周波数の範囲は、周波数がピンクノイズ又はホワイトノイズに相当するように
作成することができる。バンドパスフィルタ1162は、振動コイルが使用されているス
クリーンについて信号の不用の部分を除去するために、周波数源1160からの信号をフ
ィルタすることができる。スクリーンの振動範囲は、30ヘルツから20ヘルツであり得
るが、この範囲に限定されない。フィルタされたソース信号は、信号レベルがスクリーン
振動コイルに適切であるように、増幅回路1164で増幅される。各チャネルは、各チャ
ネルからの信号が無相関であり得るように、独自の周波数源を有することができる。同一
のドライバ構成は、アクチュエータ104又はモータ508など、図7及び図8でそれぞ
れコイル720とコイル820の代わって他のアクチュエータを駆動するために使用する
ことができる。
【0037】
本明細書で開示されているスクリーンの振動システムのいくつかの例は、既存の劇場の
スクリーン上に後付けすることができ、投影システムの画像光源が非コヒーレント光源か
らレーザ光源などのコヒーレント光源に変更された劇場のスクリーンを含む。
【0038】
スペックルアーチファクトの低減を最適化するために、スクリーン画像監視システム及
びフィードバックループは、振動の量を調整し、又はスクリーンバイブレータに印加され
る振動のパラメータを変更するように設定することができる。図12は、劇場でのスペッ
クルの低減を最適化するために使用できるシステムを示している。劇場スクリーン120
2は、スクリーンの後ろに配置され、コントロールユニット1214により制御される複
数のスクリーンバイブレータ1212a-cを有してもよい。コントロールユニット12
14は、バイブレータ1212a-cのそれぞれに脱相関の駆動信号を提供することがで
き、スクリーン1202が各バイブレータによって振動され、スクリーンの振動が互いに
脱相関になり得るようにする。プロジェクタ1204はスクリーン1202に投射レンズ
1206を介して光を投影し、カメラなどのセンサ1208はスクリーン1202に投影
された光を捕捉することができる。捕捉された画像は、センサ1208又は別個のユニッ
ト1210に格納することができる。別個のユニット1210は、カメラ画像を処理する
こともでき、スクリーン1202上の光の中のスペックルの量を分析、及び決定又は定量
化する。別個のユニット1210からの情報は、コントロールユニット1214に通信す
ることができ、コントロールユニット1214はスクリーンバイブレータ1212a-c
のそれぞれに駆動信号を提供することができる。センサ1208はプロジェクタ1204
とともに投影ブース内に配置することができ、又はセンサ1208は投影ブースの外側に
配置することができ、センサ1208がブースの窓1216を介してスクリーン1202
を見る必要がないようにする。別個のユニット1210は、それ自身の上、又はセンサ1
208の一部、プロジェクタ1204の一部、又はコントロールユニット1214の一部
であり得る。
【0039】
スペックルの低減を最適化する処理は、プロジェクタ1204からスクリーン1202
上に光を投影することによって行うことができる。投影された光は、投影されたパターン
であり得るか、又は全スクリーン領域に投影された唯一の色であり得る。例えば、スクリ
ーン1202に投影された光は、青、赤、又は緑であり得る。最適化はスペックルアーチ
ファクトがより明らかになることが知られた緑色光などの1つの色について行うことがで
き、又は最適化はスペックルアーチファクトの低減がすべての色の光を考慮して最適化さ
れることを確保するように行うことができる。スペックルを低減するための最適化は、シ
ョーの日の前に行うことができ、又は長期間が経過すると繰り返すようにスケジュールす
ることができる。センサ1208は、スペックル低減のために意図された投影光パターン
を捕捉するカメラであり得る。捕捉した画像は、別個のユニット1210によって存在す
るスペックルの量について処理及び分析することができるであろう。スペックルの量はス
クリーン1202について大域的に決定することができ、又はスペックルは、バイブレー
タ1212a-cの影響を受けるスクリーン領域のようなスクリーン1202のより局所
的な領域について決定することができる。存在するスペックルの量と比較して許容できる
スペックルの量についての所定の基準に基づいて、コントロールユニット1214は、バ
イブレータ1212a-cへの信号を変更して必要なスペックルの低減を達成するために
、別個のユニット1210からの情報に影響されることがあり得る。
【0040】
スペックルのアーチファクトを低減する処理1300の一例は、図13のフローチャー
トとして示されている。処理1300は、図12に示したシステムの図を参照して説明す
るが、他の実施も可能である。ブロック1302では、スクリーン1202上の画像の光
は、センサ1208で捕捉される。ブロック1304では、別個のユニット1210は、
スペックルアーチファクトの分析のために捕捉した画像を処理する。スペックルアーチフ
ァクトの分析のための捕捉した画像の処理は、スペックルアーチファクトをさらに分離す
るために画像の低域フィルタを含むことができる。ブロック1306では、別個のユニッ
ト1210は、処理された情報からスクリーン1202上に存在するスペックルアーチフ
ァクトの量を決定する。ブロック1308では、スペックルアーチファクトの存在する量
の比較は、しきい値レベルでなされる。決定ブロック1310では、さらなるアクション
は、この比較に基づいて決定される。スペックルの存在する量が閾値を超えない場合、ブ
ロック1312のようにさらなる調整は必要とされない。スペックルの存在する量が許容
できる範囲を超えると、スクリーンバイブレータ1212a-cの1つ以上に印加される
補正の調整はブロック1314で決定される。1つ以上のスクリーンバイブレータ121
2a-cは補正された振動信号を受信し、ブロック1316でスクリーン1202はスク
リーンバイブレータへの補正された調整で振動する。図13の処理1300は、補正の調
整が所定の閾値範囲内にスペックルの量を低減しているかどうかを決定するために繰り返
すことができる。処理1300が所定回にわたり繰り返された後で、スペックルの量が所
定の閾値範囲内に低減されていない場合、状態にフラグを立てることができる。フラグが
立てられると、スクリーンバイブレータの再配置などの他の要因を考慮することができる
。再配置は、手動で行うことができ、又は図14で説明されるように自動化された振動シ
ステムとすることができる。
【0041】
スクリーンバイブレータは、バイブレータとスクリーンとの間の最適な距離を維持する
ために時間をかけて再配置する必要がある。スクリーンフレーム又は他の接続点に取り付
けられたバイブレータ又はバイブレータアセンブリは、時間の経過又は温度及び湿度の変
化に伴って発生することもあるバイブレータとスクリーンとの間の距離の変化に対応する
ために調整可能ではないこともある。
【0042】
図14に示す調整可能な構成1400はバッフル1450を有するバイブレータアセン
ブリ1414を有し、プラットフォームアセンブリの静止部1404はスクリーン構造(
図示せず)に取り付けられたプラットフォームアセンブリの可動部1402に取り付ける
ことができる。プラットフォームアセンブリは、バイブレータアセンブリ1414をスク
リーン102から離れるように又はスクリーン102に近づくように移動させるために、
プラットフォームの可動部1402を移動するように命令することができるモータ又はア
クチュエータ1406を有することができる。バイブレータアセンブリ1414及びバッ
フル1450は、非音響電磁アクチュエータアセンブリと置き換えてもよく、その例は図
5、図7及び図8に示されている。
【0043】
他の構成では、バイブレータとスクリーンとの間の距離は、小さな距離だけスクリーン
に近づく又はスクリーンから離れる移動、摺動又は軸動ができるように、バイブレータア
センブリを取り付けることによって調整することができる。モータ又はアクチュエータを
用いてスクリーンに対するバイブレータアセンブリの移動、摺動又は軸動の量を制御する
ことによって、バイブレータとスクリーンとの距離を調整することができる。パンタグラ
フ機構も、バイブレータアセンブリが、スクリーンに対して一定の角度関係を維持しなが
らスクリーンに対して再配置することができるように使用することができる。
【0044】
図14に示す自動調整システムでは、距離感知デバイス1408は、スクリーン102
からのバイブレータアセンブリ1414の距離1410を決定するためにバイブレータア
センブリ1414に取り付けることができる。距離感知デバイス1408は、超音波距離
センサ、又は別の距離感知技術を利用した距離センサとすることができる。コントローラ
アセンブリ1412内のプロセッサは、距離感知デバイス1408から距離情報を受信し
、バイブレータアセンブリ1414がスクリーン102から許容可能な距離範囲内である
かどうかを決定するために使用することができる。距離1410が許容可能でない場合、
プロセッサはコントローラアセンブリ1412内のモータドライバに命令し、それがバイ
ブレータアセンブリ1414とスクリーン102との間の許容可能な距離の範囲内になる
までバイブレータアセンブリ1414が取り付けられたプラットフォームの可動部を移動
させる。バイブレータアセンブリ1414がスクリーン102からの許容可能な距離範囲
内に留まっている場合は、プロセッサは現在のモータ位置を保持するようにコントローラ
アセンブリ1412に命令することができる。
【0045】
各スクリーンバイブレータは、スクリーンとバイブレータとの間で自動的に調整するよ
うに構成することができる。他の例では、スクリーンとバイブレータとの間の距離が時間
の経過に伴い変化する大きな傾向があるスクリーン位置にあるスクリーンバイブレータの
みである。例えばスクリーンのいくつかの部分は、時間の経過とともにスクリーンの他の
部分よりもより多くのたるみを経験することがあり得、したがってより多くのたるみを経
験したスクリーンの部分に配置されたバイブレータは、バイブレータアセンブリとスクリ
ーンとの距離を調整することができるように構成することができる。1つの構成では、ス
クリーンの下部に配置されたバイブレータは、スクリーンへの距離を調整することができ
るようなバイブレータとすることができる。
【0046】
他の例では、バイブレータとスクリーンとの間の位置は、スクリーンの調整処理におい
て最適化することができる。例えば、図12のシステムは、図14で説明した構成の調整
可能なバイブレータになるようにスクリーンバイブレータを1212a-cを構成するこ
とによって設計することができる。コントローラアセンブリ1412は、図12の別個の
ユニット1210又はコントロールユニット1214からのスペックルの量に基づいて情
報を受信するように構成することができる。スクリーン調整処理では、別個のユニット1
210又はコントロールユニット1214から受信した情報は、スペックルの低減を最適
化し、スクリーン振動における変位量を最小にするようにバイブレータとスクリーンとの
間の距離を変更する命令であり得る。スペックルを低減する最適化及びスクリーンを調整
する処理は、日々のシステム較正の一部として、又は各提示の前又は必要に応じて提示中
に発生し得る。
【0047】
他の例では、図14のバイブレータアセンブリ1414上で、距離感知デバイス140
8からの信号は、図12のコントロールユニット1214に提供することができ、コント
ロールユニット1214によって対応するバイブレータへの信号の振幅を制御し、バイブ
レータとスクリーンとの間の距離の変化を補償するスクリーン振動を維持する。
【0048】
他の構成では、複数のスクリーンバイブレータが使用され、すべて実質的に同一の非脱
相関信号によって駆動され、定在波アーチファクトは各スクリーンバイブレータを隣接す
るスクリーンバイブレータから一定距離だけ離して保持することによって最小にすること
ができ、それぞれの振動変位波が互いの最小の干渉を有するようにする。各スクリーンバ
イブレータ間の距離も、十分な振動の量を受け取らないスクリーン上の領域がないことを
確保するように必要により接近させるが、2つの隣接するスクリーンバイブレータからの
2波の干渉により形成する可視の定在波を生成するほど接近し過ぎないようにすることが
できる。スクリーン振動スペックルを低減するフィードバックループが使用される場合、
大域的なスペックルアーチファクトの低減は、共通のバイブレータ駆動信号について最適
化することができる。最適化は、すべてのバイブレータが同一の周波数で駆動されても、
各スクリーンバイブレータについて駆動信号の振幅を異なるレベルに調整することも含み
得る。
【0049】
本発明の図示された態様を含む態様の上述の説明は、単に図示及び説明の目的で提示さ
れ、網羅的であること又は開示された正確な形態に本発明を限定することを意図するもの
ではない。本発明の多くの修正、適応、及びの使用は、本発明の範囲から逸脱することな
く当業者に明らかであろう。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14