(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】バッテリセルの高温を検出するバッテリモジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20221007BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20221007BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
H01M10/48 301
H01M10/44 P
H02H7/18
(21)【出願番号】P 2021517661
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(86)【国際出願番号】 KR2020001539
(87)【国際公開番号】W WO2020166861
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】10-2019-0016783
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】キュン・ジク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ヒュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ス・ソン
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0085519(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0273328(US,A1)
【文献】特開2010-122088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
H01M 10/44
H02H 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリセルから構成されるバッテリモジュールであって、
前記バッテリモジュールは、
前記複数のバッテリセルを連結して形成される一つの(+)出力端子と、
前記(+)出力端子と外部装置との間の電流経路上に配備された電界効果トランジスタ(FET)と、
前記電界効果トランジスタ(FET)を制御する保護ICチップと、
前記複数のバッテリセルのそれぞれを包む保温フィルムと、
前記バッテリモジュールの高温の有無を感知する高温感知部と、
を備え、
前記高温感知部の一方の端は前記(+)出力端子に接続され、
前記高温感知部の他方の端は前記保護ICチップの一つの入力ポートに接続され、
前記高温感知部は、互いに直列に接続された複数の正温度係数(PTC)サーミスタを備え
、
前記複数の正温度係数(PTC)サーミスタのそれぞれは、所定の臨界温度以上になると誘電率が減少する温度感応誘電率変動部を備え、
前記複数の正温度係数(PTC)サーミスタのそれぞれの温度感応誘電率変動部は、前記複数のバッテリセルのそれぞれの表面を包む保温フィルムに触れるように配備されていることを特徴とするバッテリモジュール。
【請求項2】
前記保護ICチップは、前記高温感知部の他方の端が接続される前記保護ICチップの一つの入力ポートに印加される電圧が低くなる場合、前記複数のバッテリセルのうちのいずれか一つ以上のバッテリセルにおいて高温が感知されたと判断し、前記電界効果トランジスタ(FET)をオフにして前記バッテリモジュールの充電または放電を遮断することを特徴とする請求項
1に記載のバッテリモジュール。
【請求項3】
複数のバッテリセルから構成されるバッテリモジュールにおいてバッテリセルの高温を感知する方法であって、
保護ICチップの一つの入力ポートに印加される電圧を測定する電圧測定ステップと、
測定された電圧に基づいて、バッテリセルの高温の有無を判断する高温有無判断ステップと、
前記高温有無判断ステップにおいてバッテリセルが高温であると判断される場合、バッテリモジュールの充電または放電を遮断する充電または放電遮断ステップと、
を含み、
前記保護ICチップの一つの入力ポートに印加される電圧は、複数のバッテリセルのそれぞれに触れて配備され且つ互いに直列に接続された複数の正温度係数(PTC)サーミスタにより変動され
、
前記複数のバッテリセルのそれぞれが保温フィルムによって包まれ、
前記複数の正温度係数(PTC)サーミスタのそれぞれは、所定の臨界温度以上になると誘電率が減少する温度感応誘電率変動部を備え、
前記複数の正温度係数(PTC)サーミスタのそれぞれの温度感応誘電率変動部は、前記複数のバッテリセルのそれぞれの表面を包む保温フィルムに触れるように配備されていることを特徴とする方法。
【請求項4】
前記高温有無判断ステップは、
前記保護ICチップの一つの入力ポートに印加される電圧が所定の基準電圧未満である場合、すべてのバッテリセルが高温ではないと判断し、
前記保護ICチップの一つの入力ポートに印加される電圧が所定の基準電圧以上である場合、複数のバッテリセルのうちのいずれか一つ以上のバッテリセルにおいて高温が発生したと判断することを特徴とする請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
請求項1
または2に記載のバッテリモジュールを備えるバッテリパック。
【請求項6】
請求項1
または2に記載のバッテリモジュールが搭載されている電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリセルの高温を検出して、高温が検出される場合に出力を遮断するバッテリモジュールに関する。
【0002】
さらに詳しくは、バッテリセルのそれぞれに正温度係数(PTC)素子及び保温フィルムを配備するが、保護IC(集積回路)チップの一つのポートのみを用いてバッテリセルの高温を検出し、高温が検出される場合に出力を遮断するバッテリモジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
通常のバッテリモジュールは、充/放電可能な複数のバッテリセルから構成されている。
【0004】
特に、Liイオンバッテリセルを長時間にわたって使用する場合、バッテリセルからは熱が発生するが、特に、複数のバッテリセルから構成される大容量のバッテリモジュールは、充電または放電の際の電流量の増加に伴い、さらに多くの熱の発生を伴ってしまう。
【0005】
このように、バッテリモジュールの内部温度が上昇すると、バッテリモジュールの安定性に問題が生じる虞がある。
【0006】
したがって、バッテリモジュールの温度が所定の値以上に上昇すると、バッテリモジュールの充電または放電を遮断しなければならない。
【0007】
このために、従来には、バッテリセルのそれぞれに温度センサを配備して、各バッテリセルに配備される温度センサが保護ICチップに温度情報を伝送して、保護ICチップは、伝送された温度に基づいて、バッテリモジュールの充電または放電を遮断していた。
【0008】
しかしながら、従来の技術においては、バッテリセルのそれぞれに配備される温度センサが保護ICチップにバッテリセルの温度値を伝送するがゆえに、保護ICチップに温度の受信のための多数のポートが必要になるという不都合があった。
【0009】
また、従来の技術においては、バッテリセルのそれぞれに温度センサが配備されるが、温度センサが位置する個所のバッテリセルの温度のみを測定して保護ICチップに伝送していた。このため、バッテリセルにおいて温度センサから遠く離れている個所において発生する発熱現象を感知する上で不都合があった。
【0010】
一方、時と場合に応じて、バッテリセルのうち、どのようなバッテリセルが高温であるかを確認する必要なしに、ある一つのセルにおいてのみ高温が感知されても、バッテリモジュールの安定性のためにバッテリモジュールの充電または放電を遮断することが好ましい場合がある。
【0011】
したがって、本発明においては、従来の技術の問題を解決するために、バッテリセルのうち、どのようなセルにおいて高温が感知されたかは不明であるものの、保護ICチップの一つのポートを用いてバッテリセルの高温を感知し、バッテリセルのそれぞれの全体的な温度を測定してバッテリモジュールの充電または放電を遮断することを提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、保護ICチップの一つのポートのみを用いてバッテリセルの高温を感知して充電または放電を遮断するバッテリモジュールを提供する。
【0014】
また、本発明は、バッテリセルのそれぞれの全体的な温度を測定するバッテリモジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の実施形態に係るバッテリモジュールは、複数のバッテリセルから構成され、前記バッテリモジュールは、前記複数のバッテリセルを連結して形成される一つの(+)出力端子と、前記(+)出力端子と外部装置との間の電流経路上に配備されてバッテリモジュールの充電または放電を遮断する電界効果トランジスタ(FET)と、前記電界効果トランジスタ(FET)を制御する保護IC(集積回路)チップと、前記バッテリモジュールの高温の有無を感知する高温感知部と、を備え、前記高温感知部の一方の端は前記(+)出力端子に接続され、前記高温感知部の他方の端は前記保護ICチップの一つの入力ポートに接続され、前記高温感知部は、互いに直列に接続された複数の正温度係数(PTC)サーミスタを備えてもよい。
【0016】
前記複数の正温度係数(PTC)サーミスタのそれぞれは、所定の臨界温度以上になると誘電率が減少する温度感応誘電率変動部を備え、前記温度感応誘電率変動部は、前記複数のバッテリセルのそれぞれの表面に直接的に触れるように配備されてもよい。
【0017】
前記保護ICチップは、前記高温感知部の他方の端が接続される前記保護ICチップの一つの入力ポートに印加される電圧が低くなる場合、前記複数のバッテリセルのうちのいずれか一つ以上のバッテリセルにおいて高温が感知されたと判断し、前記電界効果トランジスタ(FET)をオフにして前記バッテリモジュールの充電または放電を遮断してもよい。
【0018】
一方、本発明の実施形態に係るバッテリモジュールは、複数が連結されて一つのバッテリパックとして実現されてもよい。
【0019】
一方、本発明の実施形態に係るバッテリモジュールは、様々な電子装置に搭載されてもよい。
【0020】
本発明の他の実施形態に係るバッテリモジュールは、複数のバッテリセルから構成され、前記バッテリモジュールは、前記複数のバッテリセルを連結して形成される一つの(+)出力端子と、前記(+)出力端子と外部装置との間の電流経路上に配備される電界効果トランジスタ(FET)と、前記電界効果トランジスタ(FET)を制御する保護ICチップと、前記複数のバッテリセルのそれぞれを包む保温フィルム(thermal film)と、前記バッテリモジュールの高温の有無を感知する高温感知部と、を備え、前記高温感知部の一方の端は前記(+)出力端子に接続され、前記高温感知部の他方の端は前記保護ICチップの一つの入力ポートに接続され、前記高温感知部は、互いに直列に接続された複数の正温度係数(PTC)サーミスタを備えてもよい。
【0021】
前記複数の正温度係数(PTC)サーミスタのそれぞれは、所定の臨界温度以上になると誘電率が減少する温度感応誘電率変動部を備え、前記温度感応誘電率変動部は、前記複数のバッテリセルのそれぞれの表面を包む保温フィルムに触れるように配備されてもよい。
【0022】
前記保護ICチップは、前記高温感知部の他方の端が接続される前記保護ICチップの一つの入力ポートに印加される電圧が低くなる場合、前記複数のバッテリセルのうちのいずれか一つ以上のバッテリセルにおいて高温が感知されたと判断し、前記電界効果トランジスタ(FET)をオフにして前記バッテリモジュールの充電または放電を遮断してもよい。
【0023】
一方、本発明の他の実施形態に係るバッテリモジュールは、複数が連結されて一つのバッテリパックとして実現されてもよい。
【0024】
一方、本発明の他の実施形態に係るバッテリモジュールは、様々な電子装置に搭載されてもよい。
【0025】
本発明のさらに他の実施形態に係る、複数のバッテリセルから構成されるバッテリモジュールにおいてバッテリセルの高温を感知する方法は、保護ICチップの一つの入力ポートに印加される電圧を測定する電圧測定ステップと、前記測定された電圧に基づいて、バッテリセルの高温の有無を判断する高温有無判断ステップと、前記高温有無判断ステップにおいてバッテリセルが高温であると判断される場合、バッテリモジュールの充電または放電を遮断する充電または放電遮断ステップと、を含み、前記保護ICチップの一つの入力ポートに印加される電圧は、複数のバッテリセルのそれぞれに触れて配備され且つ互いに直列に接続された複数の正温度係数(PTC)サーミスタにより変動されてもよい。
【0026】
前記高温有無判断ステップは、前記保護ICチップの一つの入力ポートに印加される電圧が所定の基準電圧未満である場合、すべてのバッテリセルが高温ではないと判断し、前記保護ICチップの一つの入力ポートに印加される電圧が所定の基準電圧以上である場合、複数のバッテリセルのうちのいずれか一つ以上のバッテリセルにおいて高温が発生したと判断してもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、保護ICチップの一つのポートのみを用いて、バッテリセルの高温を感知して充電または放電を遮断することができる。
【0028】
また、本発明は、バッテリセルのそれぞれの全体的な温度を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態に係るバッテリモジュールを示す図である。
【
図2】本発明の他の実施形態に係るバッテリモジュールを示す図である。
【
図3】本発明のさらに他の実施形態に係るバッテリセルの高温を感知する方法を示す手順図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、添付図面に基づいて、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施の形態について詳しく説明する。しかしながら、本発明は、種々の異なる形態に具体化可能であり、ここで説明する実施の形態に何ら限定されるものではない。なお、図中、本発明を明確に説明するために、説明とは無関係な部分は省略し、明細書の全般に亘って、類似の部分には類似の図面符号を付している。
【0031】
「第1の」、「第2の」などのように序数を含む言い回しは、様々な構成要素を説明するうえで使用可能であるが、前記構成要素は、前記言い回しによって何等限定されない。前記言い回しは、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない範囲内において第1の構成要素は第2の構成要素と命名されてもよく、同様に、第2の構成要素もまた第1の構成要素と命名されてもよい。本出願において用いた用語は、単に特定の実施の形態を説明するために用いられたものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数形での表現は、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数形での表現を含む。
【0032】
明細書の全般に亘って、ある部分が他の部分と「連結」されているとか、「接続」されているとか、と言及された場合、これは、前記ある部分が前記他の部分に「直接的に接続されたり接続」されたりする場合だけではなく、これらの間に他の素子を間に挟んで「電気的に接続されたり接続」されたりする場合をも含む。なお、ある部分がある構成要素を「備える」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するわけではなく、他の構成要素をさらに備えていてもよいことを意味する。本願の明細書の全般に亘って用いられる度合いの言い回しである「~(する)ステップ」又は「~のステップ」は、「~のためのステップ」を意味するものではない。
【0033】
本発明において用いられる用語としては、本発明における機能を考慮しつつ、できる限り現在広く用いられている一般的な用語を選択したが、これは、当分野に携わっている技術者の意図又は判例、新たな技術の出現などによって異なる。なお、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、この場合に、当該する発明の説明の部分の欄において詳しくその意味を記載する。よって、本発明において用いられる用語は、単なる用語の名称ではなく、その用語が有する意味と本発明の全般に亘っての内容を踏まえて定義されるべきである。
【0034】
1.本発明の実施形態に係るバッテリモジュール
図1は、本発明の実施形態に係るバッテリモジュールの構成を示す図である。
【0035】
以下では、
図1に基づいて、本発明の実施形態に係るバッテリモジュールについて説明する。
【0036】
本発明の実施形態に係るバッテリモジュールは、複数のバッテリセルから構成され、前記バッテリモジュールは、前記複数のバッテリセルを連結して形成される一つの(+)出力端子と、前記(+)出力端子と外部装置との間の電流経路上に配備される電界効果トランジスタ(FET)100と、前記電界効果トランジスタ(FET)100を制御する保護IC(集積回路)チップ200と、前記バッテリモジュールの高温の有無を感知する高温感知部を備えてもよい。
【0037】
具体的に、前記高温感知部は、一方の端は前記(+)出力端子に接続され、他方の端は前記保護ICチップの一つの入力ポートに接続されてもよい。
【0038】
一方、前記高温感知部は、互いに直列に接続された複数の正温度係数(PTC)サーミスタを備えてもよい。
【0039】
一方、前記複数の正温度係数(PTC)サーミスタの数は、前記バッテリモジュールを構成する複数のバッテリセルの数と同数であってもよい。
【0040】
一方、前記複数の正温度係数(PTC)サーミスタのそれぞれは、所定の臨界温度以上になると誘電率が減少する温度感応誘電率変動部を備え、前記温度感応誘電率変動部は、前記複数のバッテリセルのそれぞれの表面に直接的に触れるように配備されてもよい。
【0041】
例えば、
図1に示すように、第1乃至第4のバッテリセル11~14が一つのモジュールを形成する場合、前記高温感知部は、第1乃至第4の正温度係数(PTC)サーミスタ301~304を備え、第1乃至第4のバッテリセル11~14のそれぞれの表面には、第1乃至第4の正温度係数(PTC)サーミスタ301~304が配備され、第1乃至第4の正温度係数(PTC)サーミスタ301~304は、互いに直列に接続されてもよい。
【0042】
換言すれば、第1の正温度係数(PTC)サーミスタ301は第1のバッテリセル11の表面に配備され、一方の端は前記(+)出力端子に接続され、他方の端は第2の正温度係数(PTC)サーミスタ302の一方の端に接続され、前記第2の正温度係数(PTC)サーミスタ302は第2のバッテリセル12の表面に配備され、他方の端は第3の正温度係数(PTC)サーミスタ303の一方の端に接続されてもよい。
【0043】
一方、第3の正温度係数(PTC)サーミスタ303は、一方の端は前記第2の正温度係数(PTC)サーミスタ302の他方の端に接続され、他方の端は第4の正温度係数(PTC)サーミスタ304の一方の端に接続され、第4の正温度係数(PTC)サーミスタ304は一方の端は前記第3の正温度係数(PTC)サーミスタ303の他方の端に接続され、他方の端は前記保護ICチップ200の所定の入力ポートに接続されてもよい。
【0044】
これにより、保護ICチップ200は、一つのポートのみを用いてバッテリセルの高温の有無を感知することができるので、多数のポートが温度の感知のために割り当てられていた従来の場合に比べてポートの使用効率性が高くなる。
【0045】
具体的に、複数のバッテリセルのそれぞれの表面に配備され且つ互いに直列に接続されている複数の正温度係数(PTC)サーミスタは、複数のバッテリセルのうちのいずれか一つのセルにおいて高温が発生すると、高温が発生したバッテリセルの表面に配備されている正温度係数(PTC)サーミスタの抵抗が急増して、直接的に接続されている全体の正温度係数(PTC)サーミスタの抵抗が増加する。全体の正温度係数(PTC)サーミスタの抵抗が増加すると、前記保護ICチップの所定の入力ポートには高温が発生しなかったときよりも低い電圧が印加され、保護ICチップは、これを感知してバッテリセルのうちのいずれか一つ以上において高温が発生したと判断して前記電界効果トランジスタ(FET)100を制御してバッテリモジュールの充電または放電を遮断することができる。
【0046】
すなわち、保護ICチップがバッテリセルのそれぞれの温度情報を複数のポートを用いて(または、多チャンネルAFE(アナログフロントエンド)を用いて)受け取っていた従来の場合に比べて、ポート数が低減される。
【0047】
一方、本発明の実施形態に係るバッテリモジュールは、複数が連結されて一つのバッテリパックとして実現されてもよい。
【0048】
一方、本発明の実施形態に係るバッテリモジュールは、電子装置に搭載されてもよい。
【0049】
例えば、前記電子装置は、ノート型パソコン、携帯電話、個人情報端末(PDA)、ドローンなどであってもよい。
【0050】
2.本発明の他の実施形態に係るバッテリモジュール
図2は、本発明の他の実施形態に係るバッテリモジュールを示す図である。
【0051】
以下では、
図2に基づいて、本発明の他の実施形態に係るバッテリモジュールについて説明する。
【0052】
本発明の他の実施形態に係るバッテリモジュールは、複数のバッテリセルから構成されてもよい。そして、前記バッテリモジュールは、前記複数のバッテリセルを連結して形成される一つの(+)出力端子と、前記(+)出力端子と外部装置との間の電流経路上に配備される電界効果トランジスタ(FET)100と、前記電界効果トランジスタ(FET)100を制御する保護ICチップ200と、前記複数のバッテリセルのそれぞれを包む保温フィルム(thermal film)と、前記バッテリモジュールの高温の有無を感知する高温感知部を備えてもよい。
【0053】
具体的に、前記複数のバッテリセルのそれぞれは保温フィルムに包まれており、隣り合うバッテリセルからは所定の間隔だけ離れて配置されてもよい。このとき、離れる所定の間隔は、隣り合うバッテリセルの温度により隣り合うバッテリセルが影響を受けない値である。
【0054】
一方、前記高温感知部の一方の端は前記(+)出力端子に接続され、他方の端は前記保護ICチップの一つの入力ポートに接続されてもよい。
【0055】
一方、前記高温感知部は、互いに直列に接続された複数の正温度係数(PTC)サーミスタを備えてもよい。
【0056】
一方、前記複数の正温度係数(PTC)サーミスタの数は、前記複数のバッテリセルの数と同数であってもよい。
【0057】
一方、前記複数の正温度係数(PTC)サーミスタのそれぞれは、所定の臨界温度以上になると誘電率が減少する温度感応誘電率変動部を備えてもよい。
【0058】
前記温度感応誘電率変動部は、前記複数のバッテリセルのそれぞれを包んでいる保温フィルムのそれぞれに直接的に触れるように配備されてもよい。
【0059】
換言すれば、個別バッテリセルごとに保温フィルムに包まれていて、保温フィルムの温度を感知する場合、前記温度感応誘電率変動部が配備される特定の個所の温度ではなく、当該バッテリセルの全体的な温度を感知することができる。
【0060】
例えば、
図1に示すように、第1乃至第4のバッテリセル11~14が一つのモジュールを形成する場合、前記高温感知部は、第1乃至第4の正温度係数(PTC)サーミスタ301~304を備え、第1乃至第4のバッテリセル11~14のそれぞれは、それぞれのバッテリセルを包む第1乃至第4の保温フィルム21~24を備えてもよく、前記第1乃至第4の保温フィルム21~24の上のそれぞれには、第1乃至第4の正温度係数(PTC)サーミスタが配備され、第1乃至第4の正温度係数(PTC)サーミスタ301~304は互いに直列に接続されてもよい。
【0061】
換言すれば、第1の正温度係数(PTC)サーミスタ301は、第1のバッテリセル11の第1の保温フィルム21の上に配備され、一方の端は前記(+)出力端子に接続され、他方の端は第2の正温度係数(PTC)サーミスタ302の一方の端に接続され、前記第2の正温度係数(PTC)サーミスタ302は、第2の保温フィルム22の上に配備され、他方の端は第3の正温度係数(PTC)サーミスタ303の一方の端に接続されてもよい。
【0062】
一方、第3の正温度係数(PTC)サーミスタ303は、一方の端は前記第2の正温度係数(PTC)サーミスタ302の他方の端に接続され、他方の端は第4の正温度係数(PTC)サーミスタ304の一方の端に接続され、第4の正温度係数(PTC)サーミスタ304は一方の端は前記第3の正温度係数(PTC)サーミスタ303の他方の端に接続され、他方の端は前記保護ICチップ200の所定の入力ポートに接続されてもよい。
【0063】
これにより、保護ICチップ200は、一つのポートのみを用いてバッテリセルの高温の有無を感知することができる。
【0064】
具体的に、複数のバッテリセルのそれぞれの保温フィルムの上に配備され且つ互いに直列に接続されている正温度係数(PTC)サーミスタは、複数のバッテリセルの保温フィルムのうちのいずれか一つの保温フィルムにおいて高温が発生すると、高温が発生した保温フィルムの上に配備されている正温度係数(PTC)サーミスタの抵抗が急増して、直列に接続されている全体の正温度係数(PTC)サーミスタの抵抗が増加する。
【0065】
全体の正温度係数(PTC)サーミスタの抵抗が増加すると、前記保護ICチップの所定の入力ポートには高温が発生しなかったときよりも低い電圧が印加される。保護ICチップは、これを感知して、バッテリセルのうちのいずれか一つ以上において高温が発生したと判断して、前記電界効果トランジスタ(FET)100を制御してバッテリモジュールの充電または放電を遮断することができる。
【0066】
すなわち、保護ICチップがバッテリセルのそれぞれの温度情報を複数のポートを用いて(または、多チャンネルAFE(アナログフロントエンド)を用いて)受け取っていた従来の場合に比べて、ポートの数が低減される。
【0067】
一方、本発明の他の実施形態に係るバッテリモジュールは、複数が連結されて一つのバッテリパックとして実現されてもよい。
【0068】
一方、本発明の他の実施形態に係るバッテリモジュールは、電子装置に搭載されてもよい。
【0069】
例えば、前記電子装置は、ノート型パソコン、携帯電話、個人情報端末(PDA)、ドローンなどであってもよい。
【0070】
3.本発明のさらに他の実施形態に係るバッテリセルの高温感知方法
図3は、本発明のさらに他の実施形態に係るバッテリセルの高温を感知する方法を示す手順図である。
【0071】
本発明のさらに他の実施形態に係るバッテリセルの高温感知方法は、保護ICチップの一つの入力ポートに印加される電圧を測定する電圧測定ステップ(S100)と、前記測定された電圧に基づいて、バッテリセルの高温の有無を判断する高温有無判断ステップ(S200)と、前記高温有無判断ステップ(S200)においてバッテリセルが高温であると判断される場合、バッテリモジュールの充電または放電を遮断する充電または放電遮断ステップ(S330)と、を含んでもよい。
【0072】
具体的に、前記電圧測定ステップ(S100)において測定される前記保護ICチップの一つの入力ポートに印加される電圧は、複数のバッテリセルのそれぞれに触れて配備され、互いに直列に接続された複数の正温度係数(PTC)サーミスタにより変動されてもよい。
【0073】
一方、前記高温有無判断ステップ(S200)においては、前記保護ICチップの一つの入力ポートに印加される電圧が所定の基準電圧未満である場合、すべてのバッテリセルが高温ではないと判断(S310)し、前記保護ICチップの一つの入力ポートに印加される電圧が所定の基準電圧以上である場合、複数のバッテリセルのうちのいずれか一つ以上のバッテリセルにおいて高温が発生したと判断(S320)してもよい。
【0074】
一方、本発明の技術的思想は、前記実施形態に基づいて具体的に記述されたが、前記実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに留意すべきである。なお、本発明の技術分野における当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が実施可能であるということが理解できる筈である。