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特許7154414226Ra含有溶液の精製方法、226Raターゲットの製造方法および225Acの製造方法
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  • 特許-226Ra含有溶液の精製方法、226Raターゲットの製造方法および225Acの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】226Ra含有溶液の精製方法、226Raターゲットの製造方法および225Acの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G21G 4/08 20060101AFI20221007BHJP
   C01F 13/00 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 51/00 20060101ALN20221007BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20221007BHJP
【FI】
G21G4/08 Z
C01F13/00
A61K51/00 100
A61P35/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021529990
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 JP2020025059
(87)【国際公開番号】W WO2021002275
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2019123673
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000230250
【氏名又は名称】日本メジフィジックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 芳雄
(72)【発明者】
【氏名】矢納 慎也
【審査官】松平 佳巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-40919(JP,A)
【文献】特表2007-508531(JP,A)
【文献】特表2010-502965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21G 4/08
C01F 13/00
A61K 51/00
A61P 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
226Ra含有溶液(a)を、二価陽イオンを選択的に吸着する機能を有する担体にアルカリ条件下で接触させて、226Raイオンを前記担体に吸着させる吸着工程(R1)と、酸性条件下で前記担体から226Raイオンを溶離させる溶離工程(R2)とを含む、226Ra含有溶液の精製方法(X);および、
該精製方法(X)により得られた精製 226 Ra含有溶液(b)を用いて電着液を調製する電着液調製工程(R4)と、該電着液を用いて 226 Ra含有物質を基材に電着させる電着工程(R5)とを含む、 226 Raターゲットの製造方法;
を含み、
該製造方法により製造された 226 Raターゲットに、加速器を用いて荷電粒子、光子及び中性子から選ばれる少なくとも1種を照射して 225 Acを生成する照射工程(A1)を含む、 225 Acの製造方法
【請求項2】
前記担体が、二価の陽イオン交換基を有する、請求項1に記載の 225 Acの製造方法
【請求項3】
前記担体が、イミノジ酢酸基を含む、請求項1または2に記載の 225 Acの製造方法
【請求項4】
前記精製方法(X)が、さらに、前記溶離工程(R2)で溶離された226Raイオンを含有する溶液を陰イオン交換樹脂に通液する陰イオン交換工程(R3)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の 225 Acの製造方法
【請求項5】
前記226Ra含有溶液(a)が、加速器を用いて荷電粒子、光子及び中性子から選ばれる少なくとも1種を照射した226Raターゲットを溶解した溶解液から225Ac成分を分離した後の溶液である、請求項1~4のいずれか一項に記載の 225 Acの製造方法
【請求項6】
前記担体がチューブに充填されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の 225 Acの製造方法
【請求項7】
前記電着工程(R5)を経た226Ra含有溶液(c)を、二価陽イオンを選択的に吸着する機能を有する担体にアルカリ条件下で接触させて、226Raイオンを前記担体に吸着させる吸着工程(R6)と、酸性条件下で前記担体から226Raイオンを溶離させる溶離工程(R7)とを含む精製方法(Y)をさらに含み、
該精製方法(Y)により得られた精製226Ra含有溶液(d)を前記精製226Ra含有溶液(b)と混合し、前記電着液調製工程(R4)で電着液を調製する、請求項1~6のいずれか一項に記載の 225 Acの製造方法
【請求項8】
前記精製方法(Y)が、さらに、前記溶離工程(R7)で溶離された226Raイオンを含有する溶液を陰イオン交換樹脂に通液する陰イオン交換工程(R8)を含む、請求項に記載の 225 Acの製造方法
【請求項9】
前記照射工程(A1)で照射された226Raターゲットを溶解する溶解工程(A2)と、
前記溶解工程(A2)で得られた溶解液をアルカリ化することによりコロイド化した225Ac成分を分離する分離工程(A3)と、
をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の225Acの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は226Ra含有溶液の精製方法、226Raターゲットの製造方法および225Acの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
核医学の分野では、放射線同位元素(RI)を含む薬剤を腫瘍などの病巣に選択的に取り込ませて治療するRI内用療法が行われている。放射線の中でもアルファ線は、飛程が短いため周囲の正常な細胞に対する不要な被ばくの影響が小さいという特徴を有する。アルファ線放出核種の一つである225Acは、半減期が10日間の放射性核種であり、近年、癌治療における治療用核種として期待されている。
【0003】
225Acは、例えば、加速器を用いて226Raターゲットに陽子を照射することで、(p,2n)の核反応により製造される。特許文献1には、照射後の226Raターゲットを溶解して得られる、226Raイオンおよび225Acイオンを含有する溶液から225Ac成分を分離して精製する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2009-527731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、226Raターゲットから生成される225Acは微量であり、226Raの大部分が未反応のまま残るという問題があった。
【0006】
また、226Raは、貴重な核種であること、廃棄は容易ではないことから、未反応の226Raを再利用するために、225Ac分離後の226Raイオンを含む溶液を効率的かつ簡便に精製する方法の確立が求められていた。特許文献1に記載の技術は、蒸留や還流が必要になるなど効率性及び簡便性の点で課題があった。
【0007】
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、226Raターゲットから225Acを製造する際に得られる226Ra含有溶液を効率的かつ簡便に精製する方法、該精製方法で得られた精製226Ra含有溶液を用いて226Raターゲットを製造する方法、およびこれらの方法を含む225Acの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、226Ra含有溶液(a)を、二価陽イオンを選択的に吸着する機能を有する担体にアルカリ条件下で接触させて、226Raイオンを担体に吸着させる吸着工程(R1)と、酸性条件下で前記担体から226Raイオンを溶離させる溶離工程(R2)とを含む、226Ra含有溶液の精製方法である。
【0009】
また、本発明の別の態様は、上記に記載の226Ra含有溶液の精製方法により得られた精製226Ra含有溶液(b)を用いて電着液を調製する電着液調製工程(R4)と、該電着液を用いて226Ra含有物質を基材に電着させる電着工程(R5)とを含む、226Raターゲットの製造方法である。
【0010】
さらに、本発明の別の態様は、上記に記載の226Raターゲットの製造方法により製造された226Raターゲットに、加速器を用いて荷電粒子、光子及び中性子から選ばれる少なくとも1種を照射して225Acを生成するする照射工程(A1)を含む、225Acの製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の226Ra含有溶液の精製方法によれば、226Raターゲットから225Acを製造する際に得られる226Ra含有溶液を効率的かつ簡便に精製することができる。また、該精製方法で得られた精製226Ra含有溶液を用いて効率的に226Raターゲットを製造することができる。また、これらの方法を含む225Acの製造方法により225Acを効率的かつ安定的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る226Ra含有溶液の精製方法、226Raターゲットの製造方法、および225Acの製造方法の概略を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、図1に、本発明に係る226Ra含有溶液の精製方法、226Raターゲットの製造方法、および225Acの製造方法の概略を示すフロー図を示す。
【0014】
226Ra含有溶液の精製方法]
本発明の226Ra含有溶液の精製方法(以下「精製方法(X)」ともいう。)は、226Ra含有溶液(a)を、二価陽イオンを選択的に吸着する機能を有する担体(以下「担体(i)」ともいう。)にアルカリ条件下で接触させて、226Raイオンを担体(i)に吸着させる吸着工程(R1)と、酸性条件下で担体(i)から226Raイオンを溶離させる溶離工程(R2)とを含むことを特徴とする。これにより、226Raイオンを濃縮して不純物を低減することができる。精製方法(X)により得られた溶液を精製226Ra含有溶液(b)と称する。
【0015】
226Ra含有溶液(a)は、226Raイオンを含有する溶液であれば特に限定されず、好ましくは、226Raイオンを含有する水溶液である。吸着工程(R1)をアルカリ条件下で行うために、226Ra含有溶液(a)がアルカリ水溶液であることがより好ましく、pHは8以上であることが好ましく、9以上であることがより好ましい。アルカリ水溶液として、アンモニウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などが挙げられる。これにより、226Raイオンを担体(i)に効率的に吸着させることができる。
【0016】
226Ra含有溶液(a)として、後述する225Acの製造の製造方法における照射工程(A1)、溶解工程(A2)および分離工程(A3)を経た溶液、すなわち、加速器を用いて荷電粒子、光子及び中性子から選ばれる少なくとも1種を照射した226Raターゲットを溶解した溶解液から225Ac成分を分離した後の溶液を用いてもよい。
【0017】
<吸着工程(R1)>
吸着工程(R1)では、226Ra含有溶液(a)を、担体(i)にアルカリ条件下で接触させて、226Raイオンを担体(i)に吸着させる。
【0018】
担体(i)としては、アルカリ条件下で金属イオンと錯形成し、酸性条件下で金属イオンを溶離することができるものであれば特に限定されないが、例えば、二価陽イオン交換基を有するものが挙げられる。二価陽イオン交換基としては、具体的には、イミノジ酢酸基、ポリアミン基、メチルグリカン基を有する担体が挙げられ、好ましくはイミノジ酢酸基である。二価陽イオン交換基を有する担体は、樹脂などの固相担体に二価陽イオン交換基が保持されていれば特に限定されない。より好ましい例として、イミノジ酢酸基を保持するスチレンジビニルベンゼン共重合体が挙げられる。このようなイミノジ酢酸基を有する樹脂の市販品としては、Bio-Rad社製「Chelex」シリーズ、三菱化学社製「ダイヤイオン」シリーズ、ダウケミカル社製「アンバーライト」シリーズ等が挙げられ、より具体的にはBio-Rad社製「Chelex100」(粒径:50~100mesh、イオン型:Na型、Fe型)が挙げられる。なお、担体(i)は、チューブに充填して用いてもよい。チューブは、担体(i)を充填させることができ、柔軟性を有するものであれば特に限定されないが、好ましくはゴムまたは樹脂等からなるフレキシブルチューブ、より好ましくは医療用チューブである。
【0019】
このようなチューブを用いることで、一般的なガラス製カラムよりも長さを長くする、すなわち理論段数を高くすることができるため、226Raイオンの吸着効率を高めることができる。また、放射性物質(226Ra含有溶液)を通液させた担体(i)をチューブに充填させたまま、その他の器具や機器等を放射能汚染させることなく、簡便に廃棄することができる。
【0020】
<溶離工程(R2)>
溶離工程(R2)では、酸性条件下で、担体(i)から226Raイオンを溶離させる。具体的には、担体(i)に無機酸を通液することで、担体(i)に吸着させた226Raイオンを溶離することができる。
【0021】
無機酸としては、担体(i)に吸着した226Ra成分を溶解してイオンとすることができるものであれば特に限定されず、例えば、塩酸や硝酸が挙げられる。
【0022】
なお、226Raイオンを担体から効率的に溶離できる点や、後の工程で無機酸由来の陰イオンを効率的に除去できる点から、無機酸の濃度は好ましくは0.1~12mol/L、より好ましくは0.3~5mol/L、さらに好ましくは0.5~2mol/L、特に好ましくは0.7~1.5mol/Lである。
【0023】
<陰イオン交換工程(R3)>
本発明の精製方法(X)は、さらに、溶離工程(R2)で溶離された226Raイオンを含有する溶液を陰イオン交換樹脂に通液する陰イオン交換工程(R3)を含んでいてもよい。
【0024】
溶離工程(R2)で用いた無機酸(例えば塩酸等)に由来する陰イオン(例えば塩化物イオン等)が溶液に残存すると、後述する電着工程(R5)における226Raイオンの電着率に影響を及ぼすことがある。そのため、溶離工程(R2)で溶離された226Raイオンを含有する溶液を陰イオン交換工程(R3)で処理することが、無機酸に由来する陰イオンを水酸化物イオンに交換することで減少させることができ、電着工程(R5)における226Raイオンの電着効率を向上することができることから、好ましい。
【0025】
陰イオン交換樹脂としては、無機酸に由来する陰イオン(例えば塩化物イオン等)を水酸化物イオンに交換することができれば特に限定されないが、強塩基性陰イオン交換樹脂が好ましく、四級アンモニウム塩を有する樹脂がより好ましい。このような陰イオン交換樹脂の市販品としては、例えば、ダヴ・ケミカル社製「モノスフィア」シリーズ、Bio-Rad社製「AG」シリーズ等が挙げられ、より具体的には「モノスフィア550A」(粒径:590±50mesh、イオン型:OH形)等が挙げられる。
【0026】
なお、陰イオン交換樹脂は、担体(i)と同様にチューブに充填して用いてもよい。用いることができるチューブとしては、前述した担体(i)を充填させるチューブと同様のものが挙げられる。
【0027】
<その他の工程>
精製方法(X)において、工程(R1)と工程(R2)との間に担体(i)を洗浄する工程を含んでいてもよい。具体的には、担体(i)に水を通液することが挙げられる。そうすることで、精製226Ra含有溶液(b)に含まれる不純物の割合を低減できる。
【0028】
226Raターゲットの製造方法]
本発明の226Raターゲットの製造方法は、精製方法(X)により得られた精製226Ra含有溶液(b)を用いて電着液を調製する電着液調製工程(R4)と、該電着液を用いて226Ra含有物質を基材に電着させる電着工程(R5)とを含むことを特徴とする。
【0029】
本発明の226Raターゲットの製造方法は、電着工程(R5)を経た226Ra含有溶液(c)を、二価陽イオンを選択的に吸着する機能を有する担体(以下「担体(ii)」ともいう。)にアルカリ条件下で接触させて、226Raイオンを担体(ii)に吸着させる吸着工程(R6)と、酸性条件下で、担体(ii)から226Raイオンを溶離させる溶離工程(R7)とを含む精製方法(以下「精製方法(Y)」ともいう。)をさらに含むことが好ましい。精製方法(Y)により得られた溶液を精製226Ra含有溶液(d)と称する。
【0030】
<電着液調製工程(R4)>
電着液調製工程(R4)では、精製226Ra含有溶液(b)を用いて電着液を調製するが、この際、精製方法(Y)により得られた精製226Ra含有溶液(d)を精製226Ra含有溶液(b)と混合して電着液を調製してもよい。これにより、226Raの回収率をさらに高めることができ、より効率的に226Raを回収できる。
【0031】
精製226Ra含有溶液(b)または精製226Ra含有溶液(b)と精製226Ra含有溶液(d)との混合液に、必要に応じて緩衝剤または酸などを加えることにより、後述する電着工程(R5)で用いる電着液を調製することができる。
【0032】
緩衝剤としては、例えば、塩化アンモニウムなどの塩化物塩;炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩;酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの酢酸塩;コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、コハク酸一カリウム、コハク酸二カリウム、コハク酸一アンモニウム、コハク酸二アンモニウムなどのコハク酸塩;安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸アンモニウムなどの安息香酸塩が挙げられ、これらの中でも、電着液のpHを後述する所望の範囲に維持することが容易であり、226Raイオンをより効率良く基材に電着させることができる等の点から、酢酸アンモニウムが好ましい。
【0033】
酸としては、例えば、無機酸、炭素数2~6のカルボン酸が挙げられる。無機酸としては、硝酸、塩酸、ホウ酸が挙げられる。また、炭素数2~6のカルボン酸としては、酢酸、コハク酸、安息香酸が挙げられる。
酸は、225Acの収量を向上させる等の点から、1価又は2価の酸であることが好ましい。
【0034】
226Raイオンをより効率良く基材に電着させることができる等の点から、電着液のpHは、好ましくは4~7、より好ましくは5~6である。緩衝剤や酸を適宜加えることにより、電着液のpHを前記範囲内とすることができる。
【0035】
電着液は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、従来の電気めっき等に用いられてきた成分を含んでいてもよい。その他の成分は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0036】
<電着工程(R5)>
電着工程(R5)では、電着液調製工程(R4)にて調製した電着液を用いて226Ra含有物質を基材に電着させる。
【0037】
226Ra含有物質としては、226Ra金属または226Ra塩が挙げられる。得られた226Raターゲットは、後述する225Acの製造方法における照射工程(A1)にて再利用することができる。
【0038】
基材に用いられる金属としては、アルミニウム、銅、チタン、銀、金、鉄、ニッケル、ニオブおよびこれらの金属を含む合金(例:リン青銅、黄銅、洋白、ベリリウム銅、コルソン合金、ステンレス鋼)が挙げられる。
また、基材としては、これらの金属が導電性の支持体にめっきされていてもよい。
【0039】
基材としては、加速器を用いた荷電粒子、光子及び中性子から選ばれる少なくとも1種の照射の際にも該加速器等に悪影響を及ぼし難く、照射時やターゲット溶解時に、該基材由来の金属の混入を抑制できる点、および、226Raイオンをより効率良く基材に電着させることができる点などから、金板が好ましい。
【0040】
電着工程(R5)は、公知の方法にしたがって行なうことができる。具体的には、電着液を通電させることで、226Ra含有物質が基材に電着される。
【0041】
通電する際の電源としては特に限定されず、直流電源、交流電源、パルス電源、PRパルス電源等を使用することができる。これらの中でも、226Raイオンの拡散を改善して226Ra含有物質を均一に電着させることが容易となり、熱の発生を抑制でき、小型の電源で電着できる等の点から、パルス電源やPRパルス電源を用いることが好ましい。
【0042】
電着工程(R5)の際の温度(電着液の温度)は特に限定されないが、例えば10~80℃程度の温度が挙げられる。
【0043】
<吸着工程(R6)>
吸着工程(R6)では、電着工程(R5)を経た、残留226Raイオンを含有する226Ra含有溶液(c)を担体(ii)にアルカリ条件下で接触させて、226Raイオンを担体(ii)に吸着させる。
【0044】
担体(ii)としては、精製方法(X)における吸着工程(R1)で用いられる担体(i)と同様のものを用いることができ、精製方法(X)と同様に、担体(ii)をチューブに充填して用いてもよい。
【0045】
<溶離工程(R7)>
溶離工程(R7)では、酸性条件下で、担体(ii)から226Raイオンを溶離させる。具体的には、担体(ii)に無機酸を通液することで、担体(ii)に吸着させた226Raイオンを溶離することができる。
【0046】
溶離工程(R7)で用いられる無機酸としては、溶離工程(R2)で用いられる無機酸と同様のものを用いることができ、無機酸の濃度も同様の濃度とすることができる。
【0047】
<陰イオン交換工程(R8)>
精製方法(Y)は、さらに、溶離工程(R7)で溶離された226Raイオンを含有する溶液を陰イオン交換樹脂に通液する陰イオン交換工程(R8)を含んでいてもよい。
【0048】
溶離工程(R7)で用いた無機酸(例えば塩酸等)に由来する陰イオン(例えば塩化物イオン等)が残存すると、電着液調製工程(R4)にて電着液を調製して電着工程(R4)を行なった際に、226Raイオンの電着効率に影響を及ぼすことがある。そのため、溶離工程(R7)で溶離された226Raイオンを含有する溶液を、陰イオン交換工程工程(R8)で処理することが、無機酸に由来する陰イオンを水酸化物イオンに交換して減少させることができ、再度、電着工程(R4)の電着液として用いられた場合、226Raの電着率を向上させることができることから、好ましい。
【0049】
<その他の工程>
精製方法(Y)において、工程(R6)と工程(R7)の間に担体(ii)を洗浄する工程を含んでいてもよい。具体的には、担体(ii)に水を通液することが挙げられる。そうすることで、精製226Ra含有溶液(d)に含まれる不純物の割合が減少する。
【0050】
225Acの製造方法]
本発明の225Acの製造方法は、前述した本発明の226Raターゲットの製造方法により製造された226Raターゲットに、加速器を用いて荷電粒子、光子及び中性子から選ばれる少なくとも1種を照射する照射工程(A1)を含むことを特徴とする。本発明の225Acの製造方法は、照射工程(A1)で照射された226Raターゲットを溶解する溶解工程(A2)と、溶解工程(A2)で得られた溶解液をアルカリ化することによりコロイド化した225Ac成分を分離する分離工程(A3)をさらに含むことが好ましい。
【0051】
<照射工程(A1)>
照射工程(A1)では、前述した本発明の226Raターゲットの製造方法により製造された226Raターゲットに、加速器を用いて荷電粒子、光子及び中性子から選ばれる少なくとも1種の粒子を照射して核反応により225Acを生成させる。粒子としては、陽子、重陽子、α粒子又はγ線が好ましく、陽子がより好ましい。
なお、照射方法および照射条件については、公知の方法および条件を採用することができる。
【0052】
<溶解工程(A2)>
溶解工程(A2)では、照射工程(A1)で照射された226Raターゲットを酸性溶液に溶解する。これにより、226Raイオンおよび225Acイオンを含有する溶解液が得られる。
【0053】
酸性溶液としては、225Acおよび226Raをイオンとして溶解させることができるものであり、具体的には、塩酸や硝酸など無機酸の水溶液が挙げられ、好ましくは塩酸である。
【0054】
<分離工程(A3)>
分離工程(A3)では、溶解工程(A2)で得られた溶解液をアルカリ化することによりコロイド化した225Ac成分を分離する。
【0055】
酸性条件下では、225Acイオンとして水に溶解している225Acは、アルカリ条件下では、水酸化アクチニウム(225Ac(OH)3)となり、水溶液中ではコロイド化する。コロイド化した水酸化アクチニウムは、メンブレンフィルター等で濾過することでフィルター上に捕集され、溶解液から分離することができる。
【0056】
一方、226Ra成分は、アルカリ溶液を添加した溶解液中にイオンとして存在し、分離工程(A3)により225Ac成分と分離され、226Ra含有溶液(a)が得られる。得られた226Ra含有溶液(a)は、精製方法(X)における吸着工程(R1)に供給される。
【0057】
<回収工程(A4)>
分離工程(A3)で分離された225Acを酸性溶液で溶解することにより、225Ac含有溶液が得られる。得られた225Ac含有溶液は、必要に応じて、公知の方法により、さらに精製処理してもよい。
【0058】
≪溶解≫
分離工程(A3)で分離された水酸化アクチニウムは、酸性溶液を用いて溶解することができる。溶解に使用する酸性溶液としては、水酸化アクチニウムをイオンとして溶解することができるものであれば特に限定されず、例えば、溶解工程(A2)で使用したものと同じものを使用することができる。また、濃度としては好ましくは1~6mol/L、より好ましくは2~5mol/Lであることが、水酸化アクチニウムをイオンとして溶解しやすい点や、担体が226Raを吸着しやすくなる観点から好ましい。
【0059】
≪精製≫
酸性溶液で溶解された225Acイオンを含有する溶液を、例えば、固相抽出法により精製することができる。固相抽出法に用いられる固相抽出剤としては、225Acイオンを捕捉した後、所定の条件下で溶離することができるものであれば特に限定されないが、例えば、式(1)で表される化合物を含むものが挙げられる。
【0060】
【化1】
式(1)中、mおよびnは、独立して0または1であり、好ましくは1であり、R1、R2、R3およびR4は、独立して、炭素数8以上12以下からなる直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、好ましくは、独立して、オクチル基または2-エチルへキシルである。このような固相抽出剤は、例えば、eichrom社製より「DGAレジン」として市販されている。
【0061】
具体的な精製方法としては、まず、225Ac含有溶液を固相抽出剤に通液することで225Acイオン等を固相抽出剤に捕捉する。次いで、塩酸などの無機酸で固相抽出剤に通液することで、捕捉された不要な226Raを溶離する。このとき、225Acは溶離しないように、無機酸の濃度を相対的に高濃度に設定する。その後、相対的に低濃度の無機酸を通液することで固相抽出剤から225Acイオンを溶離することができる。
以上、実施形態に基づいて説明した本発明は、以下の技術思想を包含する。
[1] 226 Ra含有溶液(a)を、二価陽イオンを選択的に吸着する機能を有する担体にアルカリ条件下で接触させて、 226 Raイオンを前記担体に吸着させる吸着工程(R1)と、
酸性条件下で前記担体から 226 Raイオンを溶離させる溶離工程(R2)と
を含む、 226 Ra含有溶液の精製方法。
[2] 前記担体が、二価の陽イオン交換基を有する、項[1]に記載の 226 Ra含有溶液の精製方法。
[3] 前記担体が、イミノジ酢酸基を含む、項[1]または[2]に記載の 226 Ra含有溶液の精製方法。
[4] さらに、前記溶離工程(R2)で溶離された 226 Raイオンを含有する溶液を陰イオン交換樹脂に通液する陰イオン交換工程(R3)を含む、項[1]~[3]のいずれか一項に記載の 226 Ra含有溶液の精製方法。
[5] 前記 226 Ra含有溶液(a)が、加速器を用いて荷電粒子、光子及び中性子から選ばれる少なくとも1種を照射した 226 Raターゲットを溶解した溶解液から 225 Ac成分を分離した後の溶液である、項[1]~[4]のいずれか一項に記載の 226 Ra含有溶液の精製方法。
[6] 前記担体がチューブに充填されている、項[1]~[5]のいずれか一項に記載の 226 Ra含有溶液の精製方法。
[7] 項[1]~[6]のいずれか一項に記載の精製方法により得られた精製 226 Ra含有溶液(b)を用いて電着液を調製する電着液調製工程(R4)と、
該電着液を用いて 226 Ra含有物質を基材に電着させる電着工程(R5)と
を含む、 226 Raターゲットの製造方法。
[8] 前記電着工程(R5)を経た 226 Ra含有溶液(c)を、二価陽イオンを選択的に吸着する機能を有する担体にアルカリ条件下で接触させて、 226 Raイオンを前記担体に吸着させる吸着工程(R6)と、
酸性条件下で前記担体から 226 Raイオンを溶離させる溶離工程(R7)と
を含む精製方法をさらに含み、
該精製方法により得られた精製 226 Ra含有溶液(d)を前記精製 226 Ra含有溶液(b)と混合し、前記電着液調製工程(R4)で電着液を調製する、項[7]に記載の 226 Raターゲットの製造方法。
[9] さらに、前記溶離工程(R7)で溶離された 226 Raイオンを含有する溶液を陰イオン交換樹脂に通液する陰イオン交換工程(R8)を含む、項[8]に記載の 226 Raターゲットの製造方法。
[10] 項[7]~[9]のいずれか一項に記載の製造方法により製造された 226 Raターゲットに、加速器を用いて荷電粒子、光子及び中性子から選ばれる少なくとも1種を照射して 225 Acを生成する照射工程(A1)を含む、 225 Acの製造方法。
[11] 前記照射工程(A1)で照射された 226 Raターゲットを溶解する溶解工程(A2)と、
前記溶解工程(A2)で得られた溶解液をアルカリ化することによりコロイド化した 225 Ac成分を分離する分離工程(A3)と、
をさらに含む、項[10]に記載の 225 Acの製造方法。
[12] 二価陽イオンを選択的に吸着する機能を有する担体または陰イオン交換樹脂が充填されており、 226 Ra含有溶液を精製するために用いられるチューブ。
【実施例
【0062】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0063】
[実施例1および2]
<評価項目1.精製方法(X)における226Raの物質収支>
照射済みの226Raターゲット(大きさ:Φ10mm、厚み:2~3mm、226Ra質量:0.3~1mg)を1mol/Lの塩酸5mLで溶解した後、メンブレンフィルターで濾過して不溶物を除去した。濾液に28質量%アンモニア水(関東化学(株)製、製品名:アンモニア水(25.0~27.9%)原子吸光分析用)1mLを添加してpH10~12にし、水酸化アクチニウムのコロイドを生成させた。次いで、生成した水酸化アクチニウムをメンブレンフィルターを用いて流速1~2mL/minで濾過して、226Ra含有溶液(a-1)を回収した。得られた226Ra含有溶液(a-1)についてEURISYS MESURES社製のゲルマニウム半導体検出器で放射能測定を行った。
【0064】
次に、後述する精製226Ra含有溶液(b-1)にNaが混入するのを防ぐためChelex100(Bio-Rad社製、粒径:50~100mesh、イオン型:Na型、使用量:3mL)をNH4 +型に変換したものを用いて、内径3.2mm、外径4.4mm、長さ50cmの医療用チューブ(エックステンションチューブ、八光、3.2×4.4×500mm(4mL)、MS-FL)に充填して、得られた226Ra含有溶液(a-1)(pH>9)50~80mLを流速1~2mL/minで通液し、その溶出液を廃液(W1)とした。次いで、水10mLをChelex100に流速1~2mL/minで通液し、その溶出液を廃液(W1)に合流させた。
【0065】
次に、モノスフィア550A(ダヴ・ケミカル社製、粒径:590±50mesh、イオン型:OH形、使用量:20mL)を、塩酸、水、水酸化ナトリウム、水の順番で洗浄後、内径3.2mm、外径4.4mm、長さ200cmの医療用チューブ(エックステンションチューブ、(株)八光製、3.2×4.4×500mm(4mL)、MS-FL)に充填し、Chelex100を充填したチューブに接続した。1mol/Lの塩酸10mLをChelex100およびモノスフィア550Aの順に流速1~2mL/minで通液した後、さらに水8mLを流速1~2mL/minで通液し、精製226Ra含有溶液(b-1)18mLを得た。
【0066】
得られた精製226Ra含有溶液(b-1)についてゲルマニウム半導体検出器で放射能測定を行った。また、廃液(W1)、Chelexおよびモノスフィア550Aの資材についても、残留した226Raの分布量を調べるため放射能測定を行った。
同様の操作を合計2回行い(実施例1,2)、それぞれの226Raの物質収支を算出した。結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
表1において、226Ra含有溶液(a-1)については、下記の計算式(1)から算出した。
【0069】
226Ra含有溶液(a-1)の226Ra(計算値)=精製226Ra含有溶液(b-1)+Chelex100への残留226Ra+モノスフィア550Aへの残留226Ra+廃液(W1)・・・(1)
【0070】
ただし、実施例2の精製226Ra含有溶液(b-1)については、Ra吸着したChelexとRa溶離後のChelexの放射能差から算出した値を用いた。
なお、表1中に記載されている*1の値は、実測値はN.D.であったが、0.02MBq未満の測定の可否が不明なため、最大0.02MBq検出したとして計算した。
【0071】
実施例1および2のように、226Ra含有溶液(a-1)をChelex100に通液することで、226Ra以外の不純物(塩化アンモニウム(塩酸+アンモニア)、アンモニア等)を除去することができる。また、これらの吸着工程(R1)、溶離工程(R2)および陰イオン交換工程(R3)により、塩化物イオンはほとんど取り除くことができる。
【0072】
[実施例3~8]
<評価項目2.溶解工程(A2)および分離工程(A3)を経た226Raの物質収支>
照射済みの226Raターゲット(大きさ:Φ10mm、厚み:2~3mm、226Ra質量:0.3~1mg)を1mol/Lの塩酸を5mLで溶解した後、メンブレンフィルターで濾過して不溶物を除去した。濾液に28質量%アンモニア水(関東化学(株)製、製品名:アンモニア水(25.0~27.9%)原子吸光分析用)1mLを添加してpH10~12にし、水酸化アクチニウムのコロイドを生成させた。次いで、生成した水酸化アクチニウムをメンブレンフィルターを用いて流速1~2mL/minで濾過して、226Ra含有溶液(a-2)を得た。
【0073】
次に、DGAレジン(eichrom社製、DGAノーマルレジン、1mLカートリッジ)をメンブレンフィルターに接続した。4mol/L硝酸6mLをメンブレンフィルターおよびDGAレジンの順に流速1~2mL/minで通液し、その溶出液を廃液(W2)とした。
【0074】
溶解工程(A2)後の溶液についてゲルマニウム半導体検出器で放射能測定を行った。また、廃液(W2)、メンブレンフィルターおよびDGAレジンの資材についても、残留した226Raの分布量を調べるため、ゲルマニウム半導体検出器で放射能測定を行った。同様の操作を合計3回行い(実施例3~5)、それぞれの226Raの物質収支を算出した。結果を表2に示す。
【0075】
<評価項目3.225Acの物質収支>
次に、DGAレジンをメンブレンフィルターから外し、8mol/L塩酸6mLをDGAレジンに流速1~2mL/minで通液して、その溶出液を廃液(W3)とした。その後、0.01mol/L塩酸10mLをDGAレジンに流速1~2mL/minで通液し、225Ac含有溶液を得た。
【0076】
得られた225Ac含有溶液についてゲルマニウム半導体検出器で放射能測定を行った。また、廃液(W3)、メンブレンフィルターおよびDGAレジンの資材についても、残留した225Acの分布量を調べるため、ゲルマニウム半導体検出器で放射能測定を行った。同様の操作を合計3回行い(実施例6~8)、結果を表3に示す。
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
表2中に記載されている*1の値は、実測値はN.D.であったが、0.02MBq未満の測定の可否が不明なため、最大0.02MBq検出したとして計算した。
表2中の分離工程(A3)後の廃液(W2)を含まない226Ra含有溶液(a-2)については、下記の計算式(2)から算出した。
【0080】
廃液(W2)を含まない226Ra含有溶液(a-2)(計算値)=溶解工程(A2)後の溶液に含まれる226Ra-分離工程(A3)後の資材への226Ra残留(メンブレンフィルター)-分離工程(A3)後の資材への226Ra残留(DGAレジン)-分離工程(A3)後の廃液(W2)の226Ra量・・・(2)
【0081】
溶解工程(A2)後の溶液に含まれる226Raは、一部を分取して測定を行い、それを全体液量分に換算して算出した。
【0082】
表3中に記載されている*1の値は、実測値はN.D.であったが、0.58kBq未満の測定の可否が不明なため、最大0.58kBq検出したとして計算した。
表3中に記載されている*2の値は、分離工程(A3)後の225Acメンブレンフィルター捕集量の算出のために用いている。
表3中のメンブレンフィルター捕集量は、下記の計算式(3)から算出した。
【0083】
分離工程(A3)後のメンブレンフィルター捕集量(計算値)=225Ac回収工程(A4)後の資材への225Ac残留(メンブレンフィルター)+225Ac回収工程(A4)後の資材への225Ac残留(DGAレジン)+225Ac回収工程(A4)のDGAレジン通液後の廃液(W3)の225Ac量+精製225Ac含有溶液における225Ac回収量・・・(3)
【0084】
ただし、実施例6の精製225Ac含有溶液における225Ac回収量については、Ac吸着したDGAとAc溶離後のDGAの放射能差から算出した値を用いた。
【0085】
表3中の*3は、メンブレンフィルターで捕集した以降の物質収支であり、メンブレンフィルターでの未捕集分は考慮していない。また、226Raの影響でメンブレンフィルター通液前後の226Ra溶液中の225Acの放射能が測定できないため、分母を「分離工程(A3)後のメンブレンフィルター捕集量(計算値)」として回収率を求めた。
図1