(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】ガスガイド、レーザ切断ヘッド及びレーザ切断機
(51)【国際特許分類】
B23K 26/14 20140101AFI20221007BHJP
B23K 26/38 20140101ALI20221007BHJP
【FI】
B23K26/14
B23K26/38 A
(21)【出願番号】P 2021547199
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2020053778
(87)【国際公開番号】W WO2020165354
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】102019103659.3
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503168692
【氏名又は名称】バイストロニック レーザー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ツォリンガー,ローラント
(72)【発明者】
【氏名】ヘルト,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ラインマン,クリスティアン
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-167970(JP,A)
【文献】特開2000-225487(JP,A)
【文献】特許第6425678(JP,B2)
【文献】特開2001-150172(JP,A)
【文献】特表平07-501490(JP,A)
【文献】特開2011-125906(JP,A)
【文献】特開2012-210661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/14
B23K 26/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心の流動軸(S)を有するノズル(19)を備えたレーザ切断ヘッド(10)においてガスをノズル内部に導くためのガスガイドであって、
ガス流れ(20a、20b、20c)を受け入れるように構成された、流動軸(S)を同心円状に囲む圧力室(24)を有するベース部を備え、
前記ベース部は、圧力室(24)から流動軸(S)方向に延びる少なくとも4つのガス導管(26a、26b、26c)を有し、
圧力室(24)及びガス導管(26a、26b、26c)の断面は、ガスがガス導管(26a、26b、26c)を流出
するときに最大流量となるように形成され、
前記ガス導管(26a、26b、26c)はそれぞれ、ガス流れ(20a、20b、20c)の流動方向に向かって流動軸(S)との角度を減少させながら延びている、ガスガイド。
【請求項2】
前記圧力室(24)と、前記圧力室にガス流れを導く少なくとも1つのガス入口(23a、23b、23c、23d、23e、23f)との間に、少なくとも2つのガス流路(25a、25b、25c、25d)が設けられ、前記少なくとも2つのガス流路(25a、26b、26c、26d)は、圧力室(24)内に接線方向及び/又は半径方向に開口している、請求項1に記載のガスガイド。
【請求項3】
前記少なくとも2つのガス流路(25a、25b、25c、25d)、ガス入口(23a、23b、23c、23d、23e、23f)、圧力室(24)、及びガス導管(26a、26b、26c)の断面は、ガスがガス導管(26a、26b、26c)を出るときに最大流量になるように寸法が決められている、請求項2に記載のガスガイド。
【請求項4】
前記圧力室(24)は、連続した凹部、均圧口で接続された領域を構成する2つの凹部(24a、24b)、又4つの相互に分離した凹部(24a、24b)で構成され、前記凹部は、上部部品(21)と下部部品(22)の対向面に形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のガスガイド。
【請求項5】
前記少なくとも2つのガス流路(25a、25b、25c、25d)は各凹部に開口している、請求項2から4のいずれか1項に記載のガスガイド。
【請求項6】
少なくとも4本から24本のガス導管(26a、26b、26c)が設けられている、請求項1から5のいずれか1項に記載のガスガイド。
【請求項7】
前記ガス導管(26a、26b、26c)は、流動軸(S)の周りに同心円状に配置されている、請求項1から6のいずれか1項に記載のガスガイド。
【請求項8】
前記ガス導管(26a、26b)には、同心円状の均圧流路(27a、27b、27c)が隣接している、請求項1から7のいずれか1項に記載のガスガイド。
【請求項9】
前記流動軸(S)から離れた均圧流路(27a、27b、27c)の外郭は、ガス流れ(20a、20b、20c)の流動方向に流動軸(S)に対する角度を減少させながら延びている、請求項8に記載のガスガイド。
【請求項10】
前記少なくとも2つのガス流路(25a、25b、25c、25d)、前記圧力室(24)、ガス導管(26a、26b、26c)、及び均圧流路(27c)の断面、又は圧力室(24)、ガス導管(26a、26b、26c)、及び均圧流路(27c)の断面は、ガスが前記ガス導管及び前記均圧流路の流出口(28)の領域で最大流量を有するように形成されている、請求項8又は9に記載のガスガイド。
【請求項11】
前記ガスガイド(11、11a、11b、11c)は、上部(21、21a、21b、21c)と下部(22、22a、22b)を有し、圧力室(24)、ガス導管(26a、26b)及び/又は均圧流路(27a、27b、27c)は、上部(21、21a、21b、21c)と下部(22、22a、22b、21c)の間に形成されている、請求項1から10のいずれか1項に記載のガスガイド。
【請求項12】
レーザ供給部(16)、ノズル(19)及び
請求項1から11のいずれか1項に記載のガスガイド(11、11a、11b、11c)が設けられている、レーザ切断機(200)用のレーザ切断ヘッド。
【請求項13】
請求項12に記載のレーザ切断ヘッド(10)を有するレーザ切断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ切断ヘッド用のガスガイド、レーザ切断ヘッド、及びレーザ切断ヘッドを有するレーザ切断機に関する。特に、本発明は、請求項1に記載のガスガイド、請求項13に記載のレーザ切断ヘッド、及び請求項14に記載のレーザ切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は、工具を用いて被加工物を製造・加工するために使用される。ここでは、工作機械として、例えば、レーザ加工機、特にレーザ切断機が考えられている。レーザ加工機は、刻印、構造化、溶接、熱処理のほか、例えば表層硬化やコーティング、さらには、高速試作や選択焼結などの量産加工にも用いることができる。
【0003】
レーザ加工機には、切断ガスを供給するための切断ガス供給装置が設けられている。切断ガス供給装置は、ガス源に接続するための1以上の外部接続部と、切断ガスを誘導・分配するための内部の複数の流路又は切込みを有する。切断ガスは、(切断ガスとして酸素を備える)フレーム切断の際の燃焼プロセスと、溶断の際のスラグの流出をサポートする。
【0004】
切断の品質は、特にガスの流れに左右される。このように、ガスの流れに乱れや渦があると、刃先に乱れが発生する。
【0005】
特許文献1には、補助ガスを注入するための環状ノズルを有するレーザ加工ヘッドを開示されている。環状ノズルは、第1環状部、第2環状部、及び変換リングを備える。変換リングは、環状ノズルの回転軸に対して鋭角に延びる補助ガスの出口開口を有する。
【0006】
特許文献2には、アシストガスが圧力室からノズル内のガスの流動軸に垂直な連絡路を介してノズル孔に供給されるレーザ加工ヘッドが開示されている。
【0007】
特許文献3には、加工ノズルから被加工物に加工ガスを噴射しながら、加工ノズルを介して被加工物にレーザ光を収束照射するレーザ加工ヘッドが記載されている。加工ガスは、環状流路から接続流路を介して加工ノズルに供給される。
【0008】
特許文献4には、キャビティ内に形成された噴射口を介してアシストガスがノズルに噴射される加工ヘッドが開示されている。
【0009】
特許文献5には、ノズル本体に設けたガスキャリッジユニットに形成された搬送通路を介してノズル孔にガスを導入するレーザ加工ヘッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】ドイツ特許公開第102012025627号明細書
【文献】国際特許公開第2015/110887号明細書
【文献】特開平6-425678号公報
【文献】特開2000-225488号公報
【文献】特開2004-148360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、先行技術の欠点を解消し、改良されたガスガイドを提供することである。他の目的は、改良されたレーザ切断ヘッド又は改良されたレーザ加工機を提供することである。
【0012】
これらの目的は、請求項1に係るガスガイド、請求項13に係るレーザ切断ヘッド、及び請求項14に係るレーザ加工機によってそれぞれ達成される。
【0013】
本発明に係る中心の流動軸を有するノズルを備えたレーザ切断ヘッドのためのガスガイドは、流動軸を同心円状に囲む圧力室を有し、ガスの流れを受け入れるように構成されたベース部を備え、ベース部は、流動軸方向に圧力室から延びる少なくとも4つのガス導管を有し、圧力室及びガス導管の断面は、ガスがガス導管を流出するときに最大流量となるように形成されている。
【0014】
さらに、本発明に係るガスガイドでは、各ガス導管が流出口を有する。流出口は、ガス流の流動方向で、流動軸に対する角度を減少させながら延びている。減少する角度により、コアンダ効果が強化され、ガス流れは基本的に均圧流路又はガス導管の外郭に沿ってさらに引かれるので、流れのガイドに有利になる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るガスガイドは、ガス又は流体の経路の断面が連続的に最適化されている。これにより、ガスや流体の流れが最適化され、乱流や渦が回避されるという利点がある。このようにして、ガス又は流体は、ガイドを出て、レーザビームが延びるノズル内部に入るときに、その最大流量に到達する。ガス又は流体の速度は、進行中のガスガイドによって連続的に増加させることができる。明確にするために、これ以降はガスという表現を使用するが、他の流体も含む。圧力室は、リング状に形成することができ、ガス導管と連動して、ガスの流れを流動軸方向に偏らせる役割を果たす。ガス導管は、ガス又は流体の流れを誘導するための細長い形状を有する空間である流路と見なすことができる。
【0016】
流れを最適化することで、ガス流れの損失が最小限に抑えられ、より多くのエネルギーを切断プロセスに利用することができるという利点がある。さらに、切断品質を向上させたり、切断速度を増大させたりすることができる。
【0017】
圧力室と少なくとも1つのガス入口との間に、少なくとも2つのガス流路を設けることができる。少なくとも2つのガス流路は、圧力室の接線方向及び/又は半径方向に開口する。複数、好ましくは合計4から8本のガス流路に分割することで、圧力室内へのガスの流れをより正確に分配することができる。ガス流路は、ガスや流体の流れを誘導するための細長い形状の空間を含んでいてもよいし、そのような空間で構成されていてもよい。
【0018】
さらに、少なくとも2つのガス流路の間に、送ガス要素を設けることもできる。送ガス要素は、例えば、ガス流路に流れを導くために2つのガス流路の間に配置される先端部を備えることができる。ガス流路の数に応じて、複数の送ガス要素を設けることができる。また、送ガス要素は、流路の一部を構成してもよい。さらに、送ガス要素は、流路を分割してもよい。送ガス要素は、ガス流入口をガス流路に分割してもよい。
【0019】
少なくとも2つのガス流路、ガス入口、圧力室及びガス導管の断面は、ガスがガス導管を流出するときに最大流量となるように形成することができる。既存のガス流路の場合、最適なガスガイドを実現するために、これらの断面も最適化される。
【0020】
さらに、圧力室は、連続した凹部、均圧口に接続された領域を構成する2つの凹部、又は4つの相互に分離した凹部を有することができる。圧力室を分割又は細分化することにより、ガスガイドをさらに最適化することができる。ガスが圧力室に流入する際、流れを2方向に分離させる必要がある。圧力室に2つの側面からガスを導入すると、2つのガスの流れが合流するときに乱流となる。この合流が圧力室内で行われれば、その影響は小さくなる。このため、この部分には仕切りやウェブを設ける必要がある。この支持形状は、乱流が少ないことを意味する。
【0021】
少なくとも2つのガス流路を各凹部に開口させることができる。この配置は、ガス流路から圧力室内への乱流の少ないガスの流入をサポートする。
【0022】
さらに、少なくとも4本から24本、好ましくは22本のガス導管を設けることができる。この数のガス導管により、ガスの流れ全体を最適に分配できることが示されている。より多くのガス導管を設けるようにしてもよい。
【0023】
ガス導管を流動軸の周りに同心円状に配置することができる。このようなガス導管の配置により、ガスの流れを最適に分配できることが示されている。圧力室が、例えばその間に配置されたウェブによって複数の凹部又は領域に分割されれば、同心円状の配置を維持することができる。
【0024】
さらに、同心円状の均圧流路をガス導管に隣接させることもできる。同心円セグメント形状を持つこの均圧流路は、ガス導管の出口が開口する場所である。ガス導管の個々の流れは、均圧流路で適宜合流する結果、全体的に穏やかな流れとなる。
【0025】
均圧流路は流出口を有し、ガス流れの流動方向で、流動軸から離れた均圧流路の外郭を、流動軸に対する角度が減少するように延長することができる。この減少した角度により、コアンダ効果が強化され、ガスの流れが基本的に均圧流路又はガス導管の外郭に沿ってさらに引かれるので、流れのガイドに有利となる。
【0026】
少なくとも2つのガス流路、圧力室、ガス流路及び均圧流路、又は圧力室、ガス流路及び均圧流路の断面は、ガスが流出口の領域で均圧流路を出るときに最大流量となるように形成することができる。既存の均圧流路や既存のガス流入口がある場合、最適なガスガイドを実現するために、これらの断面を最適化することもできる。
【0027】
さらに、ガスガイドが上部と下部を有し、上部と下部の間に圧力室、ガス導管及び/又は均圧流路を形成することができる。この構造により、例えば、圧力室とガス導管をフライス加工などにより簡単に製造することができる。これに代えて、一体型の構造を提供することもでき、その製造には、例えば、付加製造又は高速プロトタイピングを用いることができる。
【0028】
レーザ切断機のための本発明に係るレーザ切断ヘッドは、上述するように、レーザ供給部、ノズル、及びガスガイドを備える。それ以外は、上述のように、同じ利点と改良が適用される。
【0029】
本発明に係るレーザ切断機は、上述するようなレーザ切断ヘッド及び/又は上述するようなガスガイドからなる。それ以外は、上述するように、同じ利点と改良が適用される。
【0030】
本発明のさらに好ましい実施形態は、従属項に記載された残りの特徴から明らかとなる。
【0031】
本願で述べた本発明の様々な実施形態は、個々の事例で特に述べない限り、互いに有利に組み合わせることができる。
【0032】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】ガスガイドを有するレーザ切断ヘッドの断面図である。
【
図2】第1実施形態に係るガスガイドのさらなる断面図である。
【
図3】第2実施形態に係るガスガイドの断面図である。
【
図6】レーザ切断ヘッドを有するレーザ切断機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、ガスガイド11を有するレーザ切断ヘッド10の断面図である。このようなレーザ切断ヘッド10は、例えば、レーザ切断機に用いられる。
【0035】
レーザ切断ヘッド10は、クリーンルームとして設計された内部14を備えたベース本体12を有する。ベース本体12の外側には、例えばファイバーレーザなどのレーザ光源16が取り付けられている。レーザ光源16は、内部14に向かってレーザ光18を発生させる。参照符号16は、外部のレーザ光源のレーザビームを出力するカップリング部材を示す。カップリング部材は、例えば、エンドキャップを有するファイバープラグであってもよい。
【0036】
レーザビーム18は、ファイバーブッシュ13を介して内部14に入る。レーザビーム18はさらに、ミラーなどの偏向素子15まで延びる。偏向されたレーザビーム18はレンズ17を通過する。最後に、レーザビーム18は、ベース本体12を介して内部14から離れる。その後、レーザビーム18は、ガスガイド11に入り、そこでガス流れ20にぶつかる。レーザビーム18は、ノズル又はノズル電極19を介して、ガスガイド11、そしてレーザ切断ヘッド10から離れる。
【0037】
ここでは、ガスガイド11は複数の部品で構成され、少なくとも1つの上部部品21、1又は複数のガス流入口23a、23b、少なくとも1つの圧力室24、及び少なくとも1つの下部部品22を備える。上部部品21と下部部品22の形状、及びガス流入口23a、23bの位置と数を変更することにより、ガス流れ20は切断プロセスにプラスの影響を受けることができる。複数の凹部又は領域に分割可能な圧力室24は、上部部品21及び下部部品22によって形成することができる。
【0038】
ガスガイド11は、流動軸Sに対して軸対称及び/又は回転対称である。流動軸Sは、下部領域に於けるレーザビーム18の光軸に一致し、ノズル電極19の方向に於けるガス流れの中心軸を示す。2つのガス流入口23a、23bは、流動軸Sを中心とする同心円状に配置されている。ガスガイド11では、ガス流入口23a、23bで、当初、放射状となっていたガス流れが、軸方向のガス流れに偏向される。
【0039】
図2は、第1実施形態に係るガスガイド11aの断面図である。この断面図は、流動軸がシート面に垂直な面となっているため、
図1の断面図とは直交している。
【0040】
ここで、上部21a及び下部22a、並びにガス流路25a及び25bは、ガス流入口23c及び23dを介して流動するガス流れ20aが正面には衝突しないが、流れを最適化する方法で、圧力室又は圧力室の少なくとも2つの領域若しくは凹部24a及び24bに流れるように形成されている。ガス流れ20aは、より少ない渦を保証して、圧力室内で落ち着かせることができる。ガスは、少なくとも4つのガス導管26a(図示の例では10本のガス導管26a)と、少なくとも1つの均圧流路27aとを介して壁に沿って下向きにノズル19へと導かれる。均圧流路27aは、流動軸の周りに同心円状に形成されている。
【0041】
図3は、第2実施形態に係るガスガイド11bの断面図を示す。ここでは、上部21b及び下部22b、並びにガス流路25c及び25dは、ガス入口23e及び23fを介して流動するガス流れ20bが正面には衝突しないが、流れを最適化する方法で、この場合、4つの圧力室24c、24d、24e及び24fに流れ、より少ない渦を保証してガス流れ20bを落ち着かせることができるように形成されている。ガス流路25c、25dは、それぞれ4つの副流路からなり、その間に送ガス要素が流路分割器の形で設けられている。ガスは、少なくとも4つのガス導管26b(図示の例では8つのガス導管26b)と、少なくとも1つの均圧流路27bとを介して、壁に沿って下向きにノズル19へと導かれる。このようにして、複数のガス導管26bは、均圧流路27bに開口すなわち合流する。
【0042】
図5は、上部21c及び下部22cを有する第1及び第2実施形態に係るガスガイド11cの断面図を示す。
【0043】
図5は、
図4の領域Xの拡大詳細図を示す。圧力室24bからガス導管26cを介して均圧流路27cに流入するガス流れ20cの機能を、
図5を参照して説明する。このように方向付けされたガス流れ20cは、下部の壁に沿ってノズル19へと流動する。
【0044】
ガス流れ20cは、まず、複数のガス流入口(ここでは図示せず)を介して圧力室24bに導かれる。この供給は、流動軸Sに対して垂直、すなわち放射状又は略垂直に延ばすことができる。またガス入口は、圧力室24g内に、ある角度で衝突させることもできる。ガス流れ20cは、圧力室24gから出てガス導管26c内へと延びる。少なくとも4つのガス導管が設けられ、そのうちの1つのガス導管26cが示されている。
【0045】
各ガス導管は2つのリブの間に形成することができる。リブ及びガス導管は、まず、半径方向に、次に、ノズル又はワークピースに向かい、次第に軸方向に延びる。
【0046】
その後、ガス導管26cは流動軸Sの周りに同心円状に形成された均圧流路27cに合流する。均圧流路27cは、流れ方向の下端に流出口28を有する。ガス導管26c及び均圧流路27c、又は流動軸Sから離れたその外郭は、流動軸Sに対して、好ましくは連続的に角度を変化させながら延びている。言い換えれば、角度はますます浅くなっている。均圧流路がなければ、各ガス導管は対応する流出口を有する。流出口28は、半径方向外側のガス流れ20cのために凸状に形成されている。
【0047】
ガス流れ20cは基本的に、均圧流路27c又はガス導管26cの外郭に沿ってさらに引かれるので、均圧流路27c又は流出口28の設計は流れのガイドに有利なコアンダ効果の形成につながる。
【0048】
圧力室24の接続部及びガス流入口23a、23bそれぞれの少なくとも2つのガス流路25a、25b、25c、25d、ガス導管26a、26b及び均圧流路27cの断面は、ガス又はガス流れ20dが、均圧流路27c及びガス導管26a、26bそれぞれからの流出口28で最大流量となるように形成されている。
【0049】
断面は、例えばガス導管毎に個別ではなく、全体として、つまり全てのガス導管について考えられている。したがって、ガス導管の断面は、ガス導管の数と各断面とを掛け合わせることによって得られる。最も小さい断面は、流出口28の領域にある。
【0050】
図6は、レーザ切断ヘッド10を有するレーザ切断機200の概略斜視図である。レーザ切断ヘッド10は、少なくともx方向とy方向に移動できるように、可動式ブリッジ202上に配置されている。レーザ光源204は、レーザ光を生成し、光ファイバを介してレーザ切断ヘッド10に供給する。レーザ光によって、例えばシートなどの被加工物208が切断される。
【0051】
ここで紹介するガスガイド11、又はそれを搭載したレーザ切断ヘッド10、又はそれを搭載したレーザ切断機200は、流量機械的に最適化されたガス流れを可能にし、その結果、ガス消費量を削減し、切断品質及び/又は切断速度を向上させることができる。