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特許7154462超音波トランスデューサー及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】超音波トランスデューサー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20221007BHJP
   H04R 17/00 20060101ALI20221007BHJP
   H04R 31/00 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
H04R1/00 331
H04R17/00 332B
H04R17/00 330F
H04R31/00 330
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022530277
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 JP2021043197
【審査請求日】2022-05-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175722
【氏名又は名称】サンコール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】高杉 知
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/152776(WO,A1)
【文献】特表2019-518341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00
H04R 17/00
H04R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面を有する剛性の支持板であって、前記第1面に開口された複数の空洞部及び前記空洞部よりも開口幅が小とされた一端側の第1端部が対応する前記空洞部の底面に開口され且つ他端側の第2端部が前記第2面に開口された複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、
前記複数の空洞部を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、
平面視において中央領域が対応する空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の空洞部と同数の圧電素子とを備え、
前記複数の空洞部及び前記複数の導波路によって形成される複数の音波通路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられていることを特徴とする超音波トランスデューサー。
【請求項2】
前記空気流路は、前記音波通路を形成する前記支持板の内壁面において当該支持板の板面方向を向いて開口された空気噴出口を有していることを特徴とする請求項1に記載の超音波トランスデューサー。
【請求項3】
前記空気流路は、一端側に前記支持板の外表面に開口された単一の空気導入口を有し、且つ、他端側に前記複数の音波通路のそれぞれに開口された複数の空気噴出口を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波トランスデューサー。
【請求項4】
前記支持板には前記第1面に開いた溝が形成され、
前記可撓性樹脂膜は、前記複数の空洞部に加えて前記溝を覆うように構成されており、
前記空気流路は、前記支持板の溝と前記可撓性樹脂膜とによって形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の超音波トランスデューサー。
【請求項5】
前記支持板は、前記複数の空洞部のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔が形成された第1板体と、前記複数の導波路のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔が形成された第2板体とを含み、前記第1及び第2板体が厚み方向に積層状態で固着されており、
前記第1及び第2板体の少なくとも一方には当接面に開いた溝が形成されており、
前記空気流路は、前記溝と前記溝を閉塞する前記第1及び第2板体の他方の当接面とによって形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の超音波トランスデューサー。
【請求項6】
厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面を有する剛性の支持板であって、前記第1及び第2面の間を貫通する複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、
前記複数の導波路を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、
平面視において中央領域が対応する導波路と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の導波路と同数の圧電素子とを備え、
前記複数の導波路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられていることを特徴とする超音波トランスデューサー。
【請求項7】
前記空気流路は、前記導波路を形成する前記支持板の内壁面において当該支持板の板面方向を向いて開口された空気噴出口を有していることを特徴とする請求項6に記載の超音波トランスデューサー。
【請求項8】
前記空気流路は、一端側に前記支持板の外表面に開口された単一の空気導入口を有し、且つ、他端側に前記複数の導波路のそれぞれに開口された複数の空気噴出口を有していることを特徴とする請求項6又は7に記載の超音波トランスデューサー。
【請求項9】
前記支持板には前記第1面に開いた溝が形成され、
前記可撓性樹脂膜は、前記複数の導波路に加えて前記溝を覆うように構成されており、
前記空気流路は、前記支持板の溝と前記可撓性樹脂膜とによって形成されていることを特徴とする請求項6から8の何れかに記載の超音波トランスデューサー。
【請求項10】
厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面を有し、前記第1面に開口された複数の空洞部及び前記空洞部よりも開口幅が小とされた一端側の第1端部が対応する前記空洞部の底面に開口され且つ他端側の第2端部が前記第2面に開口された複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、前記複数の空洞部を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、平面視において中央領域が対応する空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の空洞部と同数の圧電素子とを備え、前記複数の空洞部及び前記複数の導波路によって形成される複数の音波通路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられている超音波トランスデューサーの製造方法であって、
厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の空洞部の深さと同一とされた第1剛性板材を用意し、前記第1剛性板材にエッチングによって前記複数の空洞部のそれぞれと同一開口幅を有する状態で前記第1及び第2面の間を貫通する複数の貫通孔を形成すると共に、前記第1剛性板材の第1面にハーフエッチングによって第1面に開いた状態で一端側が外側面に開口され且つ他端側が複数に分岐されて前記複数の貫通孔のそれぞれに開口された溝を形成して第1板体を形成する工程と、
厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の導波路の長さと同一とされた第2剛性板材を用意し、前記第2剛性板材にエッチングによって前記複数の導波路のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔を形成して第2板体を形成する工程と、
前記第1板体の第2面を接着材によって前記第2板体の第1面に接着して、前記支持板を形成する工程と、
前記第1板体に形成された前記複数の貫通孔及び前記溝を覆うように前記可撓性樹脂膜を接着剤又は熱圧着によって前記支持板に固着する可撓性樹脂膜固着工程と、
平面視において中央領域が対応する前記空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板と重合するように前記複数の圧電素子を前記可撓性樹脂膜に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、
前記溝及び前記可撓性樹脂膜が前記空気流路を形成するように構成されたことを特徴とする超音波トランスデューサーの製造方法。
【請求項11】
厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面を有し、前記第1面に開口された複数の空洞部及び前記空洞部よりも開口幅が小とされた一端側の第1端部が対応する前記空洞部の底面に開口され且つ他端側の第2端部が前記第2面に開口された複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、前記複数の空洞部を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、平面視において中央領域が対応する空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の空洞部と同数の圧電素子とを備え、前記複数の空洞部及び前記複数の導波路によって形成される複数の音波通路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられている超音波トランスデューサーの製造方法であって、
厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の空洞部及び前記複数の導波路の合計深さと同一とされた剛性板材を用意し、前記剛性板材の第1面にハーフエッチングによって前記複数の空洞部及び第1面に開いた状態で一端側が外側面に開口され且つ他端側が複数に分岐されて前記複数の空洞部のそれぞれに開口された溝を形成し、且つ、前記剛性板材の第1面又は第2面からエッチングによって前記複数の導波路を形成して前記支持板を形成する工程と、
前記複数の空洞部及び前記溝を覆うように前記可撓性樹脂膜を接着剤又は熱圧着によって前記支持板に固着する可撓性樹脂膜固着工程と、
平面視において中央領域が対応する前記空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板と重合するように前記複数の圧電素子を前記可撓性樹脂膜に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、
前記溝及び前記可撓性樹脂膜が前記空気流路を形成するように構成されたことを特徴とする超音波トランスデューサーの製造方法。
【請求項12】
厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面を有し、前記第1面に開口された複数の空洞部及び前記空洞部よりも開口幅が小とされた一端側の第1端部が対応する前記空洞部の底面に開口され且つ他端側の第2端部が前記第2面に開口された複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、前記複数の空洞部を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、平面視において中央領域が対応する空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の空洞部と同数の圧電素子とを備え、前記複数の空洞部及び前記複数の導波路によって形成される複数の音波通路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられている超音波トランスデューサーの製造方法であって、
厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の空洞部の深さと同一とされた第1剛性板材を用意し、前記第1剛性板材にエッチングによって前記複数の空洞部のそれぞれと同一開口幅を有する状態で前記第1及び第2面の間を貫通する複数の貫通孔を形成すると共に、前記第1剛性板材の第2面にハーフエッチングによって当該第2面に開いた状態で一端側が外側面に開口し且つ他端側が複数に分岐されて前記複数の貫通孔のそれぞれに開口する溝を形成して第1板体を形成する工程と、
厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の導波路の長さと同一とされた第2剛性板材を用意し、前記第2剛性板材にエッチングによって前記複数の導波路のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔を形成して第2板体を形成する工程と、
前記第1板体の第2面を接着材によって前記第2板体の第1面に接着して、前記支持板を形成する工程と、
前記第1板体に形成された前記複数の貫通孔を覆うように前記可撓性樹脂膜を接着剤又は熱圧着によって前記支持板に固着する可撓性樹脂膜固着工程と、
平面視において中央領域が対応する前記空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板と重合するように前記複数の圧電素子を前記可撓性樹脂膜に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、
前記溝及び前記第2板体の第1面が前記空気流路を形成するように構成されたことを特徴とする超音波トランスデューサーの製造方法。
【請求項13】
厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面を有し、前記第1面に開口された複数の空洞部及び前記空洞部よりも開口幅が小とされた一端側の第1端部が対応する前記空洞部の底面に開口され且つ他端側の第2端部が前記第2面に開口された複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、前記複数の空洞部を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、平面視において中央領域が対応する空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の空洞部と同数の圧電素子とを備え、前記複数の空洞部及び前記複数の導波路によって形成される複数の音波通路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられている超音波トランスデューサーの製造方法であって、
厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の空洞部の深さと同一とされた第1剛性板材を用意し、前記第1剛性板材にエッチングによって前記複数の空洞部のそれぞれと同一開口幅を有する状態で前記第1及び第2面の間を貫通する複数の貫通孔を形成して第1板体を形成する工程と、
厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の導波路の長さと同一とされた第2剛性板材を用意し、前記第2剛性板材にエッチングによって前記複数の導波路のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔を形成すると共に、前記第2剛性板材の第1面にハーフエッチングによって当該第1面に開いた状態で一端側が外側面に開口され且つ他端側が複数に分岐された溝を形成して第2板体を形成する工程と、
前記第1板体の第2面を接着材によって前記第2板体の第1面に接着して、前記支持板を形成する工程と、
前記第1板体に形成された前記複数の貫通孔を覆うように前記可撓性樹脂膜を接着剤又は熱圧着によって前記支持板に固着する可撓性樹脂膜固着工程と、
平面視において中央領域が対応する前記空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板と重合するように前記複数の圧電素子を前記可撓性樹脂膜に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、
前記溝及び前記第1板体の第2面が前記空気流路を形成するように構成されたことを特徴とする超音波トランスデューサーの製造方法。
【請求項14】
厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面を有し、前記第1面に開口された複数の空洞部及び前記空洞部よりも開口幅が小とされた一端側の第1端部が対応する前記空洞部の底面に開口され且つ他端側の第2端部が前記第2面に開口された複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、前記複数の空洞部を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、平面視において中央領域が対応する空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の空洞部と同数の圧電素子とを備え、前記複数の空洞部及び前記複数の導波路によって形成される複数の音波通路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられている超音波トランスデューサーの製造方法であって、
厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の空洞部の深さと同一とされた第1剛性板材を用意し、前記第1剛性板材にエッチングによって前記複数の空洞部のそれぞれと同一開口幅を有する状態で前記第1及び第2面の間を貫通する複数の貫通孔を形成すると共に、前記第1剛性板材の第2面にハーフエッチングによって当該第2面に開いた状態で一端側が外側面に開口し且つ他端側が複数に分岐して前記複数の貫通孔のそれぞれに開口する第1溝を形成して第1板体を形成する工程と、
厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の導波路の長さと同一とされた第2剛性板材を用意し、前記第2剛性板材にエッチングによって前記複数の導波路のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔を形成すると共に、前記第2剛性板材の第1面にハーフエッチングによって当該第1面に開いた状態で一端側が外側面に開口し且つ他端側が複数に分岐する第2溝を形成して第2板体を形成する工程と、
前記第1板体の第2面を接着材によって前記第2板体の第1面に接着して、前記支持板を形成する工程と、
前記第1板体に形成された前記複数の貫通孔を覆うように前記可撓性樹脂膜を接着剤又は熱圧着によって前記支持板に固着する可撓性樹脂膜固着工程と、
平面視において中央領域が対応する前記空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板と重合するように前記複数の圧電素子を前記可撓性樹脂膜に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、
前記第1板体の第2面を前記第2板体の第1面に固着させた状態において、前記第1及び第2溝が突き合わされて前記空気流路を形成するように構成されたことを特徴とする超音波トランスデューサーの製造方法。
【請求項15】
厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面を有し、前記第1及び第2面の間を貫通する複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、前記複数の導波路を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、平面視において中央領域が対応する導波路と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の導波路と同数の圧電素子とを備え、前記複数の導波路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられている超音波トランスデューサーの製造方法であって、
厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の導波路の長さと同一とされた剛性板材を用意し、前記剛性板材にエッチングによって前記複数の導波路を形成すると共に、前記剛性板材の第1面にハーフエッチングによって第1面に開いた状態で一端側が外側面に開口され且つ他端側が複数に分岐されて前記複数の導波路のそれぞれに開口された溝を形成して前記支持板を形成する支持板形成工程と、
前記複数の導波路及び前記溝を覆うように可撓性樹脂膜を接着剤又は熱圧着によって前記支持板の第1面に固着する可撓性樹脂膜固着工程と、
平面視において中央領域が対応する前記導波路と重合し且つ周縁領域が前記支持板と重合するように複数の圧電素子を前記可撓性樹脂膜に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、
前記溝及び前記可撓性樹脂膜が前記空気流路を形成するように構成された超音波トランスデューサーの製造方法。
【請求項16】
前記複数の圧電素子をそれぞれ囲む大きさの複数の圧電素子用開口を有し且つ前記圧電素子より厚みが大とされた下側封止板を用意し、平面視において前記複数の圧電素子が前記複数の圧電素子用開口内に位置するように前記下側封止板を接着剤によって前記可撓性樹脂膜に固着する下側封止板設置工程と、
絶縁性ベース層、前記絶縁性ベース層に設けられ、前記圧電素子における一対の第1及び第2電極にそれぞれ接続される第1及び第2配線を含む導体層、並びに、前記導体層を囲繞する絶縁性のカバー層を含み、前記絶縁性ベース層には前記第1及び第2配線の一部をそれぞれ露出させる第1配線/圧電素子接続用開口及び第2配線/圧電素子接続用開口が設けられている配線アッセンブリを用意する配線アッセンブリ用意工程と、
前記絶縁性ベース層を接着剤によって前記下側封止板に固着させる配線アッセンブリ固着工程と、
前記第1配線のうち前記第1配線/圧電素子接続用開口を介して露出する部分及び前記第2配線のうち前記第2配線/圧電素子接続用開口を介して露出する部分を導電性接着剤又ははんだによって前記圧電素子の第1及び第2電極にそれぞれ電気的に接続させる電気接続工程とを備えることを特徴とする請求項10から15の何れかに記載の超音波トランスデューサーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の圧電素子が並列配置されてなり、フェイズドアレイセンサーとして好適に利用可能な空中超音波トランスデューサー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
それぞれが振動体として作用する複数の圧電素子が並列配置されてなる超音波トランスデューサーは、前記複数の圧電素子に印加する電圧の位相を制御することにより、放射される音波の方位を制御することができ、これにより、物体の形状を検知したり又は広範囲に亘って物体の有無を検知する為のフェイズドアレイセンサーとして好適に利用可能である。
【0003】
従来の空中超音波トランスデューサーでは駆動周波数に合わせて圧電素子の共振周波数が設定され、この場合において、前記複数の圧電素子の共振周波数がばらついていると、前記複数の圧電素子に所定の駆動周波数の電圧を位相制御した状態で印加しても前記複数の圧電素子間で振動の位相にばらつきが発生することになり、前記複数の圧電素子から放射される音波の指向性を精密に制御することが困難になる。
【0004】
即ち、超音波トランスデューサーをフェイズドアレイセンサーとして安定して作動させる為には、前記超音波トランスデューサーに備えられる複数の圧電素子の共振周波数の均一性を確保する必要がある。しかしながら、材料や製造工程に起因する様々な理由によって複数の圧電素子の共振周波数を均一にすることは、非常に困難である。
【0005】
この点に関し、本願出願人は、振動体として作用する圧電素子に印加する駆動電圧の周波数(駆動周波数)を当該圧電素子の共振周波数よりも低く設定しても、前記圧電素子の振動振幅を有効に確保することが可能な超音波トランスデューサーに関する特許出願を行い、特許を得ている(下記特許文献1参照)。
【0006】
前記特許文献1に記載の超音波トランスデューサーは、上面及び下面に貫通する複数の開口部が設けられた剛性基板と、前記複数の開口部を覆うように前記基板の上面に固着された可撓性樹脂膜と、平面視において前記複数の開口部とそれぞれ重合するように前記可撓性樹脂膜の上面に固着された複数の圧電素子とを備えるように構成されており、これにより、駆動周波数を前記圧電素子の共振周波数よりも低くしても、前記圧電素子の振動振幅を有効に確保している。
【0007】
ところで、前記超音波トランスデューサーによる対象物体の位置(対象物体までの距離及び対象物の方向)の検知は、前記複数の圧電素子に、位相制御された所定周波数のバースト波形電圧を印加して対象物体の方向へ音波を放射させ、対象物体に反射して戻ってきた音波を受信して、音波放射から反射波受信までの時間差に基づいて行う(なお、反射波の受信は、音波放射を行った超音波トランスデューサーによって行うことも可能であるし、又は、他の受信専用の超音波トランスデューサーによって行うことも可能である)。
【0008】
従って、前記圧電素子及び前記可撓性樹脂膜によって形成される振動体が発生する音波の導波路となる前記支持板の開口部内に塵埃や水滴等の異物が付着すると、安定した音波の放射及び/又は受信ができず、結果として、対象物体の正確な位置検出を行うことができなくなる。
【0009】
特に、前記超音波トランスデューサーが屋外で設置される場合には、塵埃や雨、雪などに起因する水滴等の異物が前記導波路内に侵入する危険性が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許第6776481号公報
【発明の概要】
【0011】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、放射音波及び/又は受信音波の通路への異物の付着を有効に防止乃至は低減できる超音波トランスデューサー及びその製造方法の提供を目的とする。
【0012】
前記目的を達成するために、本発明の第1態様は、厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面を有する剛性の支持板であって、前記第1面に開口された複数の空洞部及び前記空洞部よりも開口幅が小とされた一端側の第1端部が対応する前記空洞部の底面に開口され且つ他端側の第2端部が前記第2面に開口された複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、前記複数の空洞部を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、平面視において中央領域が対応する空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の空洞部と同数の圧電素子とを備え、前記複数の空洞部及び前記複数の導波路によって形成される複数の音波通路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられている超音波トランスデューサーを提供する。
【0013】
本発明の第1態様に係る超音波トランスデューサーによれば、空気流路を介して導入される外部空気によって、放射音波及び/又は受信音波の通路への異物の付着を有効に防止乃至は低減でき、音波透過性を良好に維持することができる。
【0014】
前記第1態様において、好ましくは、前記空気流路は、前記音波通路を形成する前記支持板の内壁面において当該支持板の板面方向を向いて開口された空気噴出口を有し得る。
【0015】
前記第1態様において、好ましくは、前記空気流路は、一端側に前記支持板の外表面に開口された単一の空気導入口を有し、且つ、他端側に前記複数の音波通路のそれぞれに開口された複数の空気噴出口を有し得る。
【0016】
前記第1態様の第1形態においては、前記支持板には前記第1面に開いた溝が形成され、前記可撓性樹脂膜は、前記複数の空洞部に加えて前記溝を覆うように構成されて、前記空気流路は、前記支持板の溝と前記可撓性樹脂膜とによって形成される。
【0017】
前記第1態様の第2形態においては、前記支持板は、前記複数の空洞部のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔が形成された第1板体と、前記複数の導波路のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔が形成された第2板体とを含み、前記第1及び第2板体が厚み方向に積層状態で固着されることによって形成される。
【0018】
この場合、前記第1及び第2板体の少なくとも一方には当接面に開いた溝が形成され、前記空気流路は、前記溝と前記溝を閉塞する前記第1及び第2板体の他方の当接面とによって形成される。
【0019】
前記目的を達成するために、本発明の第2態様は、厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面を有する剛性の支持板であって、前記第1及び第2面の間を貫通する複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、前記複数の導波路を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、平面視において中央領域が対応する導波路と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の導波路と同数の圧電素子とを備え、前記複数の導波路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられている超音波トランスデューサーを提供する。
【0020】
本発明の第2態様に係る超音波トランスデューサーによれば、空気流路を介して導入される外部空気によって、放射音波及び/又は受信音波の通路となる導波路への異物の付着を有効に防止乃至は低減でき、音波透過性を良好に維持することができる。
【0021】
前記第2態様において、好ましくは、前記空気流路は、前記導波路を形成する前記支持板の内壁面において当該支持板の板面方向を向いて開口された空気噴出口を有し得る。
【0022】
前記第2態様において、好ましくは、前記空気流路は、一端側に前記支持板の外表面に開口された単一の空気導入口を有し、且つ、他端側に前記複数の導波路のそれぞれに開口された複数の空気噴出口を有し得る。
【0023】
前記第2態様の一形態においては、前記支持板には前記第1面に開いた溝が形成され、前記可撓性樹脂膜は、前記複数の導波路に加えて前記溝を覆うように構成され、前記空気流路は、前記支持板の溝と前記可撓性樹脂膜とによって形成される。
【0024】
また、本発明は、厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面を有し、前記第1面に開口された複数の空洞部及び前記空洞部よりも開口幅が小とされた一端側の第1端部が対応する前記空洞部の底面に開口され且つ他端側の第2端部が前記第2面に開口された複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、前記複数の空洞部を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、平面視において中央領域が対応する空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の空洞部と同数の圧電素子とを備え、前記複数の空洞部及び前記複数の導波路によって形成される複数の音波通路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられている超音波トランスデューサーを製造する為の第1の製造方法であって、厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の空洞部の深さと同一とされた第1剛性板材を用意し、前記第1剛性板材にエッチングによって前記複数の空洞部のそれぞれと同一開口幅を有する状態で前記第1及び第2面の間を貫通する複数の貫通孔を形成すると共に、前記第1剛性板材の第1面にハーフエッチングによって第1面に開いた状態で一端側が外側面に開口され且つ他端側が複数に分岐されて前記複数の貫通孔のそれぞれに開口された溝を形成して第1板体を形成する工程と、厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の導波路の長さと同一とされた第2剛性板材を用意し、前記第2剛性板材にエッチングによって前記複数の導波路のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔を形成して第2板体を形成する工程と、前記第1板体の第2面を接着材によって前記第2板体の第1面に接着して、前記支持板を形成する工程と、前記第1板体に形成された前記複数の貫通孔及び前記溝を覆うように前記可撓性樹脂膜を接着剤又は熱圧着によって前記支持板に固着する可撓性樹脂膜固着工程と、平面視において中央領域が対応する前記空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板と重合するように前記複数の圧電素子を前記可撓性樹脂膜に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、前記溝及び前記可撓性樹脂膜が前記空気流路を形成するように構成された第1の製造方法を提供する。
【0025】
また、本発明は、厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面を有し、前記第1面に開口された複数の空洞部及び前記空洞部よりも開口幅が小とされた一端側の第1端部が対応する前記空洞部の底面に開口され且つ他端側の第2端部が前記第2面に開口された複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、前記複数の空洞部を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、平面視において中央領域が対応する空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の空洞部と同数の圧電素子とを備え、前記複数の空洞部及び前記複数の導波路によって形成される複数の音波通路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられている超音波トランスデューサーを製造する為の第2の製造方法であって、厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の空洞部及び前記複数の導波路の合計深さと同一とされた剛性板材を用意し、前記剛性板材の第1面にハーフエッチングによって前記複数の空洞部及び第1面に開いた状態で一端側が外側面に開口され且つ他端側が複数に分岐されて前記複数の空洞部のそれぞれに開口された溝を形成し、且つ、前記剛性板材の第1面又は第2面からエッチングによって前記複数の導波路を形成して前記支持板を形成する工程と、前記複数の空洞部及び前記溝を覆うように前記可撓性樹脂膜を接着剤又は熱圧着によって前記支持板に固着する可撓性樹脂膜固着工程と、平面視において中央領域が対応する前記空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板と重合するように前記複数の圧電素子を前記可撓性樹脂膜に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、前記溝及び前記可撓性樹脂膜が前記空気流路を形成するように構成された第2の製造方法を提供する。
【0026】
また、本発明は、厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面を有し、前記第1面に開口された複数の空洞部及び前記空洞部よりも開口幅が小とされた一端側の第1端部が対応する前記空洞部の底面に開口され且つ他端側の第2端部が前記第2面に開口された複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、前記複数の空洞部を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、平面視において中央領域が対応する空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の空洞部と同数の圧電素子とを備え、前記複数の空洞部及び前記複数の導波路によって形成される複数の音波通路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられている超音波トランスデューサーを製造する為の第3の製造方法であって、厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の空洞部の深さと同一とされた第1剛性板材を用意し、前記第1剛性板材にエッチングによって前記複数の空洞部のそれぞれと同一開口幅を有する状態で前記第1及び第2面の間を貫通する複数の貫通孔を形成すると共に、前記第1剛性板材の第2面にハーフエッチングによって当該第2面に開いた状態で一端側が外側面に開口し且つ他端側が複数に分岐されて前記複数の貫通孔のそれぞれに開口する溝を形成して第1板体を形成する工程と、厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の導波路の長さと同一とされた第2剛性板材を用意し、前記第2剛性板材にエッチングによって前記複数の導波路のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔を形成して第2板体を形成する工程と、前記第1板体の第2面を接着材によって前記第2板体の第1面に接着して、前記支持板を形成する工程と、前記第1板体に形成された前記複数の貫通孔を覆うように前記可撓性樹脂膜を接着剤又は熱圧着によって前記支持板に固着する可撓性樹脂膜固着工程と、平面視において中央領域が対応する前記空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板と重合するように前記複数の圧電素子を前記可撓性樹脂膜に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、前記溝及び前記第2板体の第1面が前記空気流路を形成するように構成された第3の製造方法を提供する。
【0027】
また、本発明は、厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面を有し、前記第1面に開口された複数の空洞部及び前記空洞部よりも開口幅が小とされた一端側の第1端部が対応する前記空洞部の底面に開口され且つ他端側の第2端部が前記第2面に開口された複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、前記複数の空洞部を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、平面視において中央領域が対応する空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の空洞部と同数の圧電素子とを備え、前記複数の空洞部及び前記複数の導波路によって形成される複数の音波通路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられている超音波トランスデューサーを製造する為の第4の製造方法であって、厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の空洞部の深さと同一とされた第1剛性板材を用意し、前記第1剛性板材にエッチングによって前記複数の空洞部のそれぞれと同一開口幅を有する状態で前記第1及び第2面の間を貫通する複数の貫通孔を形成して第1板体を形成する工程と、厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の導波路の長さと同一とされた第2剛性板材を用意し、前記第2剛性板材にエッチングによって前記複数の導波路のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔を形成すると共に、前記第2剛性板材の第1面にハーフエッチングによって当該第1面に開いた状態で一端側が外側面に開口され且つ他端側が複数に分岐された溝を形成して第2板体を形成する工程と、前記第1板体の第2面を接着材によって前記第2板体の第1面に接着して、前記支持板を形成する工程と、前記第1板体に形成された前記複数の貫通孔を覆うように前記可撓性樹脂膜を接着剤又は熱圧着によって前記支持板に固着する可撓性樹脂膜固着工程と、平面視において中央領域が対応する前記空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板と重合するように前記複数の圧電素子を前記可撓性樹脂膜に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、 前記溝及び前記第1板体の第2面が前記空気流路を形成するように構成された第4の製造方法を提供する。
【0028】
また、本発明は、厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面を有し、前記第1面に開口された複数の空洞部及び前記空洞部よりも開口幅が小とされた一端側の第1端部が対応する前記空洞部の底面に開口され且つ他端側の第2端部が前記第2面に開口された複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、前記複数の空洞部を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、平面視において中央領域が対応する空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の空洞部と同数の圧電素子とを備え、前記複数の空洞部及び前記複数の導波路によって形成される複数の音波通路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられている超音波トランスデューサーを製造する為の第5の製造方法であって、厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の空洞部の深さと同一とされた第1剛性板材を用意し、前記第1剛性板材にエッチングによって前記複数の空洞部のそれぞれと同一開口幅を有する状態で前記第1及び第2面の間を貫通する複数の貫通孔を形成すると共に、前記第1剛性板材の第2面にハーフエッチングによって当該第2面に開いた状態で一端側が外側面に開口し且つ他端側が複数に分岐して前記複数の貫通孔のそれぞれに開口する第1溝を形成して第1板体を形成する工程と、厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の導波路の長さと同一とされた第2剛性板材を用意し、前記第2剛性板材にエッチングによって前記複数の導波路のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔を形成すると共に、前記第2剛性板材の第1面にハーフエッチングによって当該第1面に開いた状態で一端側が外側面に開口し且つ他端側が複数に分岐する第2溝を形成して第2板体を形成する工程と、前記第1板体の第2面を接着材によって前記第2板体の第1面に接着して、前記支持板を形成する工程と、前記第1板体に形成された前記複数の貫通孔を覆うように前記可撓性樹脂膜を接着剤又は熱圧着によって前記支持板に固着する可撓性樹脂膜固着工程と、平面視において中央領域が対応する前記空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板と重合するように前記複数の圧電素子を前記可撓性樹脂膜に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、前記第1板体の第2面を前記第2板体の第1面に固着させた状態において、前記第1及び第2溝が突き合わされて前記空気流路を形成するように構成された第5の製造方法を提供する。
【0029】
また、本発明は、厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面を有し、前記第1及び第2面の間を貫通する複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、前記複数の導波路を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、平面視において中央領域が対応する導波路と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の導波路と同数の圧電素子とを備え、前記複数の導波路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられている超音波トランスデューサーを製造する為の第6の製造方法であって、厚み方向一方側の第1面及び他方側の第2面の間の板厚が前記複数の導波路の長さと同一とされた剛性板材を用意し、前記剛性板材にエッチングによって前記複数の導波路を形成すると共に、前記剛性板材の第1面にハーフエッチングによって第1面に開いた状態で一端側が外側面に開口され且つ他端側が複数に分岐されて前記複数の導波路のそれぞれに開口された溝を形成して前記支持板を形成する支持板形成工程と、前記複数の導波路及び前記溝を覆うように可撓性樹脂膜を接着剤又は熱圧着によって前記支持板の第1面に固着する可撓性樹脂膜固着工程と、平面視において中央領域が対応する前記導波路と重合し且つ周縁領域が前記支持板と重合するように複数の圧電素子を前記可撓性樹脂膜に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、前記溝及び前記可撓性樹脂膜が前記空気流路を形成するように構成された第6の製造方法を提供する。
【0030】
前記種々の製造方法は、さらに、前記複数の圧電素子をそれぞれ囲む大きさの複数の圧電素子用開口を有し且つ前記圧電素子より厚みが大とされた下側封止板を用意し、平面視において前記複数の圧電素子が前記複数の圧電素子用開口内に位置するように前記下側封止板を接着剤によって前記可撓性樹脂膜に固着する下側封止板設置工程と、絶縁性ベース層、前記絶縁性ベース層に設けられ、前記圧電素子における一対の第1及び第2電極にそれぞれ接続される第1及び第2配線を含む導体層、並びに、前記導体層を囲繞する絶縁性のカバー層を含み、前記絶縁性ベース層には前記第1及び第2配線の一部をそれぞれ露出させる第1配線/圧電素子接続用開口及び第2配線/圧電素子接続用開口が設けられている配線アッセンブリを用意する配線アッセンブリ用意工程と、前記絶縁性ベース層を接着剤によって前記下側封止板に固着させる配線アッセンブリ固着工程と、前記第1配線のうち前記第1配線/圧電素子接続用開口を介して露出する部分及び前記第2配線のうち前記第2配線/圧電素子接続用開口を介して露出する部分を導電性接着剤又ははんだによって前記圧電素子の第1及び第2電極にそれぞれ電気的に接続させる電気接続工程とを備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る超音波トランスデューサーの部分縦断面図である。
図2図2は、前記実施の形態1に係る超音波トランスデューサーにおける支持板の平面図である。
図3図3(a)は、前記実施の形態1に係る超音波トランスデューサーにおける圧電素子の平面図であり、図3(b)は、図3(a)におけるIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は、図1におけるIV-IV線に沿った、可撓性樹脂膜で覆われた状態の前記支持板の部分平面図である。
図5図5は、図4におけるV-V線に沿った断面図である。
図6図6は、図1におけるVI-VI線に沿った断面図である。
図7図7は、本発明の実施の形態2に係る超音波トランスデューサーの部分縦断面図である。
図8図8は、図7におけるVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9図9は、前記実施の形態2の変形例に係る超音波トランスデューサーの部分縦断面図である。
図10図10は、本発明の実施の形態3に係る超音波トランスデューサーの部分縦断面図である。
図11図11は、前記実施の形態3の変形例に係る超音波トランスデューサーの部分縦断面図である。
図12図12は、前記実施の形態3の他の変形例に係る超音波トランスデューサーの部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
実施の形態1
以下、本発明に係る超音波トランスデューサーの一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に本実施の形態に係る超音波トランスデューサー1Aの部分縦断面図を示す。
【0033】
前記超音波トランスデューサー1Aは、主要構成部材として、厚み方向一方側の第1面10-1及び厚み方向他方側の第2面10-2を有する剛性の支持板10Aと、厚み方向一方側の第1面20-1及び厚み方向他方側の第2面20-2を有し、第2面20-2が前記支持板10Aの第1面10-1に固着された可撓性樹脂膜20と、前記可撓性樹脂膜20の第1面20-1に固着された複数の圧電素子30とを備えている。
【0034】
図2に、前記支持板10Aの平面図を示す。
図1及び図2に示すように、前記支持板10Aには、一端側が第1面10-1に開口され且つ他端側が第2面10-2に開口された複数(本実施の形態においては3×11の33個)の導波路13が設けられている。
【0035】
本実施の形態においては、前記導波路13は、前記支持板10Aの厚み方向全域に亘って同一開口幅を有している。
【0036】
前記支持板10Aは、剛性を有する種々の部材によって形成することができ、ステンレス等の金属、好ましくは、金属よりも密度が小さく且つヤング率の高いSiC、Al等のセラミックス材料によって形成することができる。
前記支持板10Aをセラミックス材料によって形成することにより、前記支持板10Aの共振周波数を可及的に高めることができる。
【0037】
前記可撓性樹脂膜20は、前記複数の導波路13を覆うように前記支持板10Aの第1面10-1に固着されている。
【0038】
前記可撓性樹脂膜20は、例えば、厚さ20μm~100μmのポリイミド等の絶縁性樹脂によって形成される。
前記可撓性樹脂膜20は、接着剤又は熱圧着等の種々の方法によって前記支持板10Aに固着される。
【0039】
前記超音波トランスデューサー1Aは、前記複数の導波路13と同数(本実施の形態においては3×11の33個)の前記圧電素子30を有している。
前記圧電素子30は、平面視において中央領域が対応する導波路13と重合し且つ周縁領域が前記支持板10Aの第1面10-1と重合するように、前記可撓性樹脂膜20の第1面20-1に固着されている。
【0040】
図3(a)に、前記圧電素子30の平面図を示す。
また、図3(b)に、図3(a)におけるIII-III線に沿った断面図を示す。
前記圧電素子30は、圧電素子本体32と、一対の第1及び第2電極とを有し、前記第1及び第2電極の間に電圧が印可されると伸縮するように構成されている。
【0041】
図3(a)及び(b)に示すように、本実施の形態においては、前記圧電素子30は2層の積層型とされている。
積層型圧電素子は、単層型圧電素子に比して、同一電圧印可時に電界強度を高めることができ、印可電圧当たりの伸縮変位を大きくすることができる。
【0042】
詳しくは、前記圧電素子30は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電材によって形成される前記圧電素子本体32と、前記圧電素子本体32を厚み方向に関し上方側の第1圧電部位32a及び下方側の第2圧電部位32bに区画する内側電極34と、前記第1圧電部位32aの上面の一部に固着された上面電極36と、前記第2圧電部位32bの下面に固着された下面電極37と、一端部が前記内側電極34に電気的に接続され且つ他端部が前記上面電極36とは絶縁状態で前記第1圧電部位32aの上面においてアクセス可能な内側電極端子34Tを形成する内側電極用接続部材35と、一端部が前記下面電極37に電気的に接続され且つ他端部が前記上面電極36及び前記内側電極34とは絶縁状態で前記第1圧電部位32aの上面においてアクセス可能な下面電極端子37Tを形成する下面電極用接続部材38とを有している。
【0043】
この場合、前記上面電極36及び前記下面電極37によって形成される外側電極が第1及び第2電極の一方として作用し、前記内側電極34が第1及び第2電極の他方として作用する。
【0044】
前記圧電素子30においては、前記第1及び第2圧電部位32a、32bは、分極方向が厚み方向に関し同一とされており、これにより、前記外側電極36、37及び前記内側電極34の間に所定の電圧を所定周波数で印可することによって、前記第1及び第2圧電部位32a、32bには互いに対して逆方向の電界が加わるようになっている。
【0045】
前述の通り、前記上面電極36及び前記下面電極37は互いに対して絶縁されており、従って、前記圧電素子30を作成する際には、前記上面電極36及び前記下面電極37の間に電圧を印可することによって、前記第1及び第2圧電部位32a、32bの分極方向を同一とすることができる。
【0046】
前記超音波トランスデューサー1Aにおいては、前記圧電素子30が超音波を発生する振動体として作用するが、この振動体は、たわみ振動の最低次の共振モードの周波数が当該圧電素子30への印加電圧の周波数(駆動周波数)よりも大となるように構成されている。
【0047】
即ち、本実施の形態に係る前記超音波トランスデューサー1Aにおけるように、振動体を形成する複数の圧電素子30が並列配置されているフェイズドアレイによって、数メートル先の物体を検知する為には、前記複数の圧電素子30から放射される音波の位相を精密に制御する必要がある。
【0048】
例えば、ステンレス等の剛性の支持板に直接的に複数の圧電素子が並列配置されている構成のフェイズドアレイにおいては、前記剛性支持板の剛性に抗して前記圧電素子を伸縮させ、それによって前記圧電素子及び前記剛性支持板によって形成される振動体を所定の振幅でたわみ振動させて、発生音圧の大きさを確保する必要がある。
【0049】
その為には、前記圧電素子への印可電圧の周波数(駆動周波数)を、当該圧電素子のたわみ振動の共振周波数の近傍に設定する必要がある。
【0050】
しかしながら、前記圧電素子への印可電圧に対する、当該圧電素子のたわみ振動の周波数応答は、当該振動体の共振周波数近傍において位相が大きく変化する。
【0051】
従って、フェイズドアレイセンサーとして機能させるべく、前記複数の圧電素子が発生する音波の位相を精密に制御する為には、前記複数の振動体間における共振周波数に関する「ばらつき」を極限まで抑制する必要があるが、これは非常に難しい。
【0052】
この点に関し、本実施の形態に係る前記超音波トランスデューサー1Aは、前述の通り、第1面10-1及び第2面10-2に開口された複数の導波路13が設けられた前記剛性の支持板10Aと、前記複数の導波路13を覆うように前記支持板10Aの第1面10-1に固着された可撓性樹脂膜20と、平面視において中央領域が対応する導波路13と重合し且つ周縁領域が前記支持板10Aの第1面10-1と重合するように前記可撓性樹脂膜20の第1面20-1に固着された前記複数の圧電素子30とを有している。
【0053】
斯かる構成によれば、前記圧電素子の共振周波数を、前記圧電素子30に印加する駆動電圧の周波数(例えば40kHz)よりも高く(例えば70kHzに)設定しても、振動体として作用する前記圧電素子30の振動振幅を十分に確保することができる。
【0054】
しかも、前記複数の振動体の共振周波数が前記圧電素子30に印加する駆動電圧の駆動周波数よりも高い場合には、前記複数の振動体間において共振周波数の「ばらつき」があったとしても、前記複数の振動体のたわみ振動の周波数応答の位相に大きな差異は生じない。
従って、振動体として作用する前記複数の圧電素子30が発生する音波の位相を精密に制御することができる。
【0055】
図4に、図1におけるIV-IV線に沿った、前記支持板10A及び前記可撓性樹脂膜20の部分平面図を示す。
また、図5に、図4におけるV-V線に沿った断面図を示す。
【0056】
図1図2及び図4図5に示すように、前記超音波トランスデューサー1Aには、前記複数の導波路13のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路100が設けられている。
【0057】
前記空気流路100を設けることにより、外部空気を前記複数の導波路13のそれぞれに導入して、前記導波路13内に塵埃や水分等の異物が付着することを有効に防止乃至は低減できる。
【0058】
本実施の形態においては、図5に示すように、前記空気流路100は、前記導波路13を形成する前記支持板10Aの内壁面14において当該支持板10Aの板面方向Lを向いて開口された空気噴出口102を有している。
【0059】
斯かる構成によれば、前記空気流路100を介して前記導波路13内に導入される外部空気によって、前記振動体が発生する音波の透過性が悪化することを有効に防止乃至は低減しつつ、前記空気流れを形成することができる。
【0060】
さらに、本実施の形態においては、図2図4及び図5に示すように、前記空気流路100は、一端側に前記支持板10Aの外表面に開口された単一の空気導入口101を有し、且つ、他端側が分岐されて前記複数(本実施の形態においては3×11の33個)の導波路のそれぞれに開口された複数(本実施の形態においては33個)の空気噴出口102を有している。
【0061】
斯かる構成によれば、前記支持板10Aの大型化を防止しつつ、前記複数の導波路13のそれぞれへの外部空気の導入を行うことができる。
また、ポンプ等の空気圧送手段からの空気を前記複数の導波路13のそれぞれに供給する場合において、単一の空気圧送手段からの空気を前記複数の導波路13へ効率的に供給することができる。
【0062】
本実施の形態においては、図5に示すように、前記支持板10Aには第1面10-1に開く溝105が形成されており、前記可撓性樹脂膜20は、前記導波路13に加えて、前記溝105を覆うように構成されている。
【0063】
即ち、本実施の形態においては、前記支持板10Aの第1面10-1に形成された溝105及び前記可撓性樹脂膜20が前記空気流路100を形成している。
【0064】
斯かる構成によれば、前記空気流路100の形成容易化を図ることができる。
また、この構成によれば、前記空気流路100からの外部空気を前記可撓性樹脂膜20の近傍において前記導波路13内に導入させることができ、前記導波路13の全域に亘る外部空気の流れを現出させることができる。
【0065】
以下、本実施の形態に係る超音波トランスデューサー1Aの任意構成部材について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る前記超音波トランスデューサー1Aは、前記支持板10A、前記可撓性樹脂膜20及び前記複数の圧電素子30に加えて、任意構成部材として下側封止板40及び配線アッセンブリ150を有している。
【0066】
図6に、図1におけるVI-VI線に沿った断面図を示す。
図6に示すように、前記下側封止板40は、前記複数の圧電素子30をそれぞれ囲む大きさの複数の圧電素子用開口42を有しており、前記下側封止板40は、平面視において前記複数の圧電素子30が前記複数の圧電素子用開口42内に位置するように前記可撓性樹脂膜20の第1面20-1に接着剤又は熱圧着等によって固着されている。
【0067】
図1に示すように、前記下側封止板40の厚さは、前記圧電素子30の厚さよりも大とされており、前記可撓性樹脂膜20の第1面20-1に固着された状態において前記下側封止板40の第1面が、前記圧電素子30における前記上面電極36、前記下面電極端子37T及び前記内側電極端子34T(図3参照)よりも前記可撓性樹脂膜20から離間されている。
【0068】
前記下側封止板40は、ステンレス等の金属や炭素繊維強化プラスチック及びセラミックス等の剛性部材によって形成される。
【0069】
前記下側封止板40は、前記複数の圧電素子30を含む圧電素子群の側方を封止するとともに、前記配線アッセンブリ150が固着される基台として作用する。
【0070】
前記配線アッセンブリ150は、外部から供給される印可電圧を前記複数の圧電素子30へ伝達する為のものである。
【0071】
図1に示すように、前記配線アッセンブリ150は、前記下側封止板40に接着剤等によって固着される絶縁性ベース層160と、前記ベース層160に固着された導体層170と、前記導体層170を囲繞する絶縁性のカバー層180とを有している。
【0072】
前記ベース層160及び前記カバー層180は、例えば、ポリイミド等の絶縁性樹脂によって形成される。
【0073】
前記導体層170は、例えば、Cu等の導電性金属によって形成される。
前記導体層170は、前記ベース層160上に積層された厚さ12~25μm程度のCu箔に対して不要部分をエッチング除去することによって形成可能である。
好ましくは、前記導体層170を形成するCuの露出部分にNi/Auメッキを施すことができる。
【0074】
本実施の形態においては、前記導体層170は、前記圧電素子30の第1電極(本実施の形態においては外側電極36、37)及び第2電極(本実施の形態においては内側電極34)にそれぞれ接続される第1配線170a及び第2配線170bを含んでいる。
【0075】
前記ベース層160には、前記第1配線170aを対応する前記圧電素子30の第1電極に接続する為の第1配線/圧電素子接続用開口161aと、前記第2配線170bを対応する前記圧電素子30の第2電極に接続する為の第2配線/圧電素子接続用開口161bとが形成されている。
【0076】
本実施の形態においては、前述の通り、前記上面電極36及び前記下面電極37が前記第1電極として作用し且つ前記内側電極34が前記第2電極として作用している。
【0077】
従って、前記第1配線170aのうち前記第1配線/圧電素子接続用開口161aを介して露出する部分が前記上面電極36の一部及び前記下面電極端子37Tの双方に、例えば、導電性接着剤又ははんだによって電気的に接続されている。
【0078】
そして、前記第2配線170bのうち前記第2配線/圧電素子接続用開口161bを介して露出する部分が前記内側電極端子34Tに、例えば、導電性接着剤又ははんだによって電気的に接続されている。
【0079】
前記カバー層180には、前記第1及び第2配線170a、170bをそれぞれ外部に電気的に接続させる為の第1配線/外部接続用開口及び第2配線/外部接続用開口が設けられている。
【0080】
図1に示すように、本実施の形態に係る前記超音波トランスデューサー1Aは、さらに、前記下側封止板40及び前記配線アッセンブリ150の上面に柔軟性樹脂55を介して固着された上側封止板60を有している。
前記上側封止板60は、前記複数の圧電素子30のそれぞれに対応した位置に開口部65を有している。
【0081】
前記上側封止板60を備えることにより、前記振動体のたわみ振動動作への影響を可及的に防止しつつ、前記配線アッセンブリ150の支持安定化を図ることができる。
【0082】
前記上側封止板60は、例えば、厚さ0.1mm~0.3mmのステンレス等の金属や炭素繊維強化プラスチック及びセラミックス等によって形成される。
【0083】
本実施の形態に係る超音波トランスデューサー1Aは、さらに、前記上側封止板60の複数の開口部65を覆うように前記上側封止板60の上面に接着等によって固着された吸音材70を備えている。
【0084】
前記吸音材70は、例えば、厚さ0.3mm~1.5mm程度のシリコーン樹脂又は他の発泡性樹脂によって形成される。
【0085】
前記吸音材70を備えることにより、前記圧電素子30によって生成される音波が放射されるべき側(図1において下側)とは反対側へ放射されることを有効に抑制することができる。
【0086】
前記超音波トランスデューサー1Aは、さらに、前記吸音材70の上面に接着等によって固着された補強板75を備えている。
【0087】
前記補強板75は、例えば、厚さ0.2mm~0.5mm程度のステンレス等の金属や炭素繊維強化プラスチック及びセラミックス等によって形成される。
【0088】
前記補強板75を備えることにより、外力が前記基板10及び前記圧電素子30に影響を与えることを可及的に防止することができる。
【0089】
本実施の形態に係る前記超音波トランスデューサー1Aは、例えば、
厚み方向一方側の第1面10-1及び他方側の第2面10-2の間の板厚が前記複数の導波路13の長さと同一とされた剛性板材を用意し、前記剛性板材にエッチングによって前記複数の導波路13を形成すると共に、前記剛性板材の第1面10-1にハーフエッチングによって第1面10-1に開いた状態で一端側が外側面に開口され且つ他端側が複数に分岐されて前記複数の導波路13のそれぞれに開口された溝105を形成して前記支持板10Aを形成する支持板形成工程と、
前記複数の導波路13及び前記溝105を覆うように前記可撓性樹脂膜20を接着剤又は熱圧着によって前記支持板10Aの第1面10-1に固着する可撓性樹脂膜固着工程と、
平面視において中央領域が対応する前記導波路13と重合し且つ周縁領域が前記支持板10Aと重合するように複数の圧電素子30を前記可撓性樹脂膜20に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、
前記溝105及び前記可撓性樹脂膜20が前記空気流路100を形成するように構成された製造方法によって製造することができる。
【0090】
前記製造方法は、さらに、
前記複数の圧電素子30をそれぞれ囲む大きさの複数の圧電素子用開口42を有し且つ前記圧電素子30より厚みが大とされた前記下側封止板40を用意し、平面視において前記複数の圧電素子30が前記複数の圧電素子用開口42内に位置するように前記下側封止板40を接着剤によって前記可撓性樹脂膜20に固着する下側封止板設置工程と、
絶縁性ベース層160、前記ベース層160に設けられ、前記圧電素子30における一対の第1及び第2電極にそれぞれ接続される第1及び第2配線170a、170bを含む導体層170、並びに、前記導体層170を囲繞する絶縁性のカバー層180を含み、前記ベース層160には前記第1及び第2配線170a、170bの一部をそれぞれ露出させる第1配線/圧電素子接続用開口161a及び第2配線/圧電素子接続用開口161bが設けられている前記配線アッセンブリ150を用意する配線アッセンブリ用意工程と、
前記ベース層160を接着剤によって前記下側封止板40に固着させる配線アッセンブリ固着工程と、
前記第1配線170aのうち前記第1配線/圧電素子接続用開口161aを介して露出する部分及び前記第2配線170bのうち前記第2配線/圧電素子接続用開口161bを介して露出する部分を導電性接着剤又ははんだによって前記圧電素子30の第1及び第2電極にそれぞれ電気的に接続させる電気接続工程とを備えることができる。
【0091】
実施の形態2
以下、本発明に係る超音波トランスデューサーの他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図7に、本実施の形態に係る超音波トランスデューサー2Aの部分縦断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1におけると同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明を適宜省略する。
【0092】
図7に示すように、本実施の形態に係る超音波トランスデューサー2Aは、前記支持板10Aが支持板110Aに変更されている点において、前記実施の形態1に係る超音波トランスデューサー1Aと相違している。
【0093】
即ち、前記超音波トランスデューサー2Aは、主要構成部材として、厚み方向一方側の第1面110-1及び厚み方向他方側の第2面110-2を有する剛性の前記支持板110Aと、前記支持板110Aの第1面110-1に固着された前記可撓性樹脂膜20と、前記可撓性樹脂膜20の第1面20-1に固着された複数の圧電素子30とを備えている。
【0094】
前記支持板110Aには、前記第1面110-1に開口された複数の空洞部120と、前記空洞部120よりも開口幅が小とされた一端側の第1端部が対応する前記空洞部120の底面に開口され且つ他端側の第2端部が前記第2面110-2に開口された複数の導波路125とが設けられている。
【0095】
前記空洞部120及び前記導波路125が、前記圧電素子30が発生及び/又は受信する音波の通路を形成している。
【0096】
前記空洞部120は、平面視において前記圧電素子30の中央領域と重合し、且つ、平面視において前記圧電素子30の周縁領域が当該空洞部120を囲繞するように、開口幅が設定されている。
【0097】
前記導波路125は、前記空洞部120の底面に開口された筒状部126と、前記支持板110Aの第2面110-2に開口されたホーン部128とを有している。
【0098】
図7に示すように、前記筒状部126は、開口幅が前記空洞部120より小で且つ厚み方向全域に亘って同一開口幅とされた筒状とされている。
【0099】
前記ホーン部128は、厚み方向に関し前記筒状部126に連通する端部から前記支持板100Aの第2面110-2に開口された端部(音波放射口)へ近接するに従って、開口幅が大とされたホーン形状とされている。
【0100】
斯かる構成の前記超音波トランスデューサー2Aによれば、前記圧電素子30及び前記可撓性樹脂膜20によって形成される振動体から放射される音波の音圧レベルを高くすることができる。
【0101】
図8に、図7におけるVIII-VIII線に沿った前記支持板101Aの断面図を示す。
図7及び図8に示すように、前記支持板110Aには、前記複数の空洞部120及び前記複数の導波路125によって形成される複数の音波通路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路200が設けられている。
【0102】
本実施の形態に係る超音波トランスデューサー2Aにおいても、前記実施の形態1におけると同様、前記空気流路200を介して導入される外部空気によって、前記音波通路内に塵埃や水分等の異物が付着することを有効に防止乃至は低減できる。
【0103】
図7に示すように、前記空気流路200は、前記音波通路を形成する前記支持板110Aの内壁面114において当該支持板110Aの板面方向?を向いて開口された空気噴出口202を有している。
【0104】
斯かる構成によれば、前記空気流路200を介して前記音波通路内に導入される外部空気によって、前記振動体が発生又は受信する音波の透過性が悪化することを有効に防止乃至は低減しつつ、前記空気流れを形成することができる。
【0105】
前記実施の形態1における前記空気流路100と同様に、前記空気流路200は、一端側に前記支持板110Aの外表面に開口された単一の空気導入口201を有し、且つ、他端側が分岐されて前記複数(本実施の形態においては3×11の33個)の音波通路のそれぞれに開口された複数(本実施の形態においては33個)の空気噴出口202を有している。
【0106】
図7に示すように、本実施の形態においては、前記支持板110Aには第1面に開いた状態で、一端側が外側面に開口され且つ他端側が対応する前記空洞部120に開口された溝205が形成されており、前記溝205と前記空洞部120と共に当該溝205を覆う前記可撓性樹脂膜20とが前記空気流路200を形成している。
【0107】
斯かる構成によれば、前記空気流路200の形成容易化を図りつつ、前記空気流路200からの外部空気を前記可撓性樹脂膜20の近傍において前記空洞部120内に導入させることができ、前記空洞部120及び前記導波路125によって形成される音波通路の全域に亘るような前記空気流路200によって導入される外部空気の流れを現出させることができる。
【0108】
図7に示すように、本実施の形態においては、前記支持板110Aは、厚み方向一方側の第1面111-1及び他方側の第2面111-2の間の板厚が前記複数の空洞部120の深さと同一とされ、前記複数の空洞部120と同一開口幅を有する状態で前記第1及び第2面111-1、111-2の間を貫通する複数の貫通孔111aが形成された第1板体111と、厚み方向一方側の第1面112-1及び他方側の第2面112-2の間の板厚が前記複数の導波路125の長さと同一とされ、前記複数の導波路125のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔112aが形成された第2板体112とを有し、前記第1板体111の第2面111-2が第2板体112の第1面112-1に当接された状態で前記第1及び第2板体111、112が固着されて形成されている。
そして、前記第1板体111の第1面111-1(前記第2板体112とは反対側の表面)に前記空気流路200を形成する前記溝205が設けられている。
【0109】
前記第1及び第2板体111、112は、剛性を有する種々の部材によって形成することができ、ステンレス等の金属、好ましくは、金属よりも密度が小さく且つヤング率の高いSiC、Al等のセラミックス材料によって形成することができる。
【0110】
前記超音波トランスデューサー2Aは、例えば、
厚み方向一方側の第1面111-1及び他方側の第2面111-2の間の板厚が前記複数の空洞部120の深さと同一とされた第1剛性板材を用意し、前記第1剛性板材にエッチングによって前記複数の空洞部120のそれぞれと同一開口幅を有する状態で前記第1及び第2面111-1、111-2の間を貫通する複数の貫通孔111aを形成すると共に、前記第1剛性板材の第1面にハーフエッチングによって第1面111-1に開いた状態で一端側が外側面に開口され且つ他端側が複数に分岐されて前記複数の貫通孔111aのそれぞれに開口された溝205を形成して前記第1板体111を形成する工程と、
厚み方向一方側の第1面112-1及び他方側の第2面112-2の間の板厚が前記複数の導波路125の長さと同一とされた第2剛性板材を用意し、前記第2剛性板材にエッチングによって前記複数の導波路125のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔112aを形成して前記第2板体112を形成する工程と、
前記第1板体111の第2面111-2を接着材によって前記第2板体112の第1面112-1に接着して、前記支持板110Aを形成する工程と、
前記第1板体111に形成された前記複数の貫通孔111a及び前記溝205を覆うように前記可撓性樹脂膜20を接着剤又は熱圧着によって前記支持板110Aに固着する可撓性樹脂膜固着工程と、
平面視において中央領域が対応する前記空洞部120と重合し且つ周縁領域が前記支持板110Aと重合するように前記複数の圧電素子30を前記可撓性樹脂膜20に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、
前記溝205及び前記可撓性樹脂膜205が前記空気流路200を形成している製造方法によって製造することができる。
【0111】
前記製造方法も、さらに、前記下側封止板設置工程と、前記配線アッセンブリ用意工程と、前記配線アッセンブリ固着工程と、前記電気接続工程とを備えることができる。
【0112】
なお、本実施の形態においては、前述の通り、前記支持板110Aは、互いに対して別体とされた第1及び第2板体111、112を有し、前記第1及び第2板体111、112が積層状態で固着されることによって形成されているが、前記支持板110Aに代えて、単一の剛性板材によって形成された支持板110Bを用いることも可能である。
【0113】
図9に、前記支持板を備えた、本実施の形態の変形例に係る超音波トランスデューサー2Bの部分縦断面図を示す。
【0114】
前記変形例に係る超音波トランスデューサー2Bは、例えば、
厚み方向一方側の第1面110-1及び他方側の第2面110-2の間の板厚が前記複数の空洞部120及び前記複数の導波路125の合計深さと同一とされた剛性板材を用意し、前記剛性板材の第1面にハーフエッチングによって前記複数の空洞部120及び第1面に開いた状態で一端側が外側面に開口され且つ他端側が複数に分岐されて前記複数の空洞部120のそれぞれに開口された溝205を形成し、且つ、前記第1剛性部材の第1面又は第2面からエッチングによって前記複数の導波路125を形成して前記支持板110Bを形成する工程と、
前記複数の空洞部120及び前記溝125を覆うように前記可撓性樹脂膜20を接着剤又は熱圧着によって前記支持板110Bに固着する可撓性樹脂膜固着工程と、
平面視において中央領域が対応する前記空洞部125と重合し且つ周縁領域が前記支持板110Bと重合するように前記複数の圧電素子30を前記可撓性樹脂膜20に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、
前記溝205及び前記可撓性樹脂膜20が前記空気流路200を形成するように構成された製造方法によって製造することができる。
【0115】
前記製造方法も、さらに、前記下側封止板設置工程と、前記配線アッセンブリ用意工程と、前記配線アッセンブリ固着工程と、前記電気接続工程とを備えることができる。
【0116】
図9に示す前記超音波トランスデューサー2Bの製造方法においては、前記導波路125が前記ホーン部128を有する場合には、前記ホーン部128は前記剛性部材の第2面110-2からのハーフエッチングによって形成される。
【0117】
前記筒状部126は、前記剛性部材の第1面110-1からのハーフエッチングによって前記空洞部120を形成する際に第1面110-1からのエッチングによって形成することも可能であるし、又は、前記剛性部材の第2面110-2からのハーフエッチングによって前記ホーン部128を形成する際に第2面110-2からのエッチングによって形成することも可能である。
【0118】
実施の形態3
以下、本発明に係る超音波トランスデューサーの他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図10に、本実施の形態に係る超音波トランスデューサー3Aの部分縦断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1及び2におけると同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明を適宜省略する。
【0119】
本実施の形態に係る超音波トランスデューサー3Aは、前記支持板110Aが支持板210Aに変更されている点において、前記実施の形態2に係る超音波トランスデューサー2Aと相違している。
【0120】
前記支持板210Aは、前記複数の空洞部120が設けられた前記第1板体111及び前記複数の導波路125が設けられた前記第2板体112を有する点においては、前記支持板110Aと共通している。
【0121】
その一方で、前記支持板210Aは、前記空気流路200が前記第1及び第2板体111、112の間に設けられている点において、前記支持板110Aと相違している。
【0122】
即ち、本実施の形態においては、前記第1板体111に、第2面111-2に開いた状態で、一端側が外側面に開口され且つ他端側が対応する前記空洞部120に開口された溝205が形成されている。
【0123】
そして、前記溝205は、前記第1板体111の第2面111-2が前記第2板体112の第1面112-1に重合された状態において、前記第2板体112の第1面112-1によって覆われるようになっており、前記溝205及び前記第2板体112の第1面112-1が前記空気流路200を形成している。
【0124】
前記超音波トランスデューサー3Aは、例えば、
厚み方向一方側の第1面111-1及び他方側の第2面111-2の間の板厚が前記複数の空洞部120の深さと同一とされた第1剛性板材を用意し、前記第1剛性板材にエッチングによって前記複数の空洞部120のそれぞれと同一開口幅を有する状態で前記第1及び第2面111-1、111-2の間を貫通する複数の貫通孔111aを形成すると共に、前記第1剛性板材の第2面111-2にハーフエッチングによって当該第2面111-2に開いた状態で一端側が外側面に開口され且つ他端側が複数に分岐されて前記複数の貫通孔111aのそれぞれに開口された溝205を形成して前記第1板体111を形成する工程と、
厚み方向一方側の第1面112-1及び他方側の第2面112-2の間の板厚が前記複数の導波路125の長さと同一とされた第2剛性板材を用意し、前記第2剛性板材にエッチングによって前記複数の導波路125のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔112aを形成して前記第2板体112を形成する工程と、
前記第1板体111の第2面111-2を接着材によって前記第2板体112の第1面112-1に接着して、前記支持板210Aを形成する工程と、
前記第1板体111に形成された前記複数の貫通孔111aを覆うように前記可撓性樹脂膜20を接着剤又は熱圧着によって前記支持板210Aに固着する可撓性樹脂膜固着工程と、
平面視において中央領域が対応する前記空洞部120と重合し且つ周縁領域が前記支持板210Aと重合するように前記複数の圧電素子30を前記可撓性樹脂膜20に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、
前記溝205及び前記第2板体112の第1面112-1が前記空気流路200を形成している製造方法によって製造することができる。
【0125】
前記製造方法も、さらに、前記下側封止板設置工程と、前記配線アッセンブリ用意工程と、前記配線アッセンブリ固着工程と、前記電気接続工程とを備えることができる。
【0126】
なお、本実施の形態においては、前記溝205が前記第1板体111の第2面111-2に形成されているが、これに代えて、前記溝205を前記第2板体112の第1面112-1に形成することも可能である。
【0127】
図11に、斯かる変更を加えた、本実施の形態の変形例に係る超音波トランスデューサー210Bの部分縦断面図を示す。
【0128】
図11に示すように、前記変形例に係る超音波トランスデューサー210Bにおいては、前記第2板体112に、第1面112-1に開いた状態で、一端側が外側面に開口され且つ他端側が対応する前記空洞部120又は前記導波路125に開口するように前記溝205が形成されている。
【0129】
前記溝205は、前記第1板体111の第2面111-2が前記第2板体112の第1面112-1に重合された状態において、前記第1板体111の第2面111-2によって覆われるようになっており、前記溝205及び前記第1板体111の第2面111-2が前記空気流路200を形成している。
【0130】
前記超音波トランスデューサー3Bは、例えば、
厚み方向一方側の第1面111-1及び他方側の第2面111-2の間の板厚が前記複数の空洞部120の深さと同一とされた第1剛性板材を用意し、前記第1剛性板材にエッチングによって前記複数の空洞部120のそれぞれと同一開口幅を有する状態で前記第1及び第2面111-1、111-2の間を貫通する複数の貫通孔111aを形成して前記第1板体111を形成する工程と、
厚み方向一方側の第1面112-1及び他方側の第2面112-2の間の板厚が前記複数の導波路125の長さと同一とされた第2剛性板材を用意し、前記第2剛性板材にエッチングによって前記複数の導波路125のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔112aを形成すると共に、前記第2剛性部材の第1面112-1にハーフエッチングによって当該第1面112-1に開いた状態で一端側が外側面に開口され且つ他端側が複数に分岐された溝205を形成して前記第2板体112を形成する工程と、
前記第1板体111の第2面111-2を接着材によって前記第2板体112の第1面112-1に接着して、前記支持板210Bを形成する工程と、
前記第1板体111に形成された前記複数の貫通孔111aを覆うように前記可撓性樹脂膜20を接着剤又は熱圧着によって前記支持板210Bに固着する可撓性樹脂膜固着工程と、
平面視において中央領域が対応する前記空洞部120と重合し且つ周縁領域が前記支持板210Bと重合するように前記複数の圧電素子30を前記可撓性樹脂膜20に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、
前記溝205及び前記第1板体111の第2面111-2が前記空気流路200を形成するように構成されている製造方法によって製造することができる。
【0131】
前記製造方法も、さらに、前記下側封止板設置工程と、前記配線アッセンブリ用意工程と、前記配線アッセンブリ固着工程と、前記電気接続工程とを備えることができる。
【0132】
なお、前記支持体210A、210Bに代えて、前記溝205が前記第1板体111の第2面111-2及び前記第2板体112の第1面112-1の双方に形成されてなる支持体210Cを備えることも可能である。
【0133】
図12に、斯かる変更を加えた、本実施の形態の他の変形例に係る超音波トランスデューサー3Cの部分縦断面図を示す。
【0134】
前記超音波トランスデューサー3Cは、例えば、
厚み方向一方側の第1面111-1及び他方側の第2面111-2の間の板厚が前記複数の空洞部120の深さと同一とされた第1剛性板材を用意し、前記第1剛性板材にエッチングによって前記複数の空洞部120のそれぞれと同一開口幅を有する状態で前記第1及び第2面111-1、111-2の間を貫通する複数の貫通孔111aを形成すると共に、前記第1剛性板材の第2面111-2にハーフエッチングによって当該第2面1111-2に開いた状態で一端側が外側面に開口され且つ他端側が複数に分岐されて前記複数の貫通孔111aのそれぞれに開口された第1溝205aを形成して前記第1板体111を形成する工程と、
厚み方向一方側の第1面112-1及び他方側の第2面112-2の間の板厚が前記複数の導波路125の長さと同一とされた第2剛性板材を用意し、前記第2剛性板材にエッチングによって前記複数の導波路125のそれぞれと同一開口幅の複数の貫通孔112aを形成すると共に、前記第2剛性部材の第1面112-1にハーフエッチングによって当該第1面112-1に開いた状態で一端側が外側面に開口され且つ他端側が複数に分岐された第2溝205bを形成して前記第2板体112を形成する工程と、
前記第1板体111の第2面111-2を接着材によって前記第2板体112の第1面112-1に接着して、前記支持板210Cを形成する工程と、
前記第1板体111に形成された前記複数の貫通孔111aを覆うように前記可撓性樹脂膜20を接着剤又は熱圧着によって前記支持板210Cに固着する可撓性樹脂膜固着工程と、
平面視において中央領域が対応する前記空洞部120と重合し且つ周縁領域が前記支持板210Cと重合するように前記複数の圧電素子30を前記可撓性樹脂膜20に絶縁性接着剤によって固着する圧電素子固着工程とを備え、
前記第1板体111の第2面111-2を前記第2板体112の第1面112-1に固着させた状態において、前記第1及び第2溝205a、205bが突き合わされて前記空気流路200を形成するように構成された製造方法によって製造することができる。
【0135】
前記製造方法も、さらに、前記下側封止板設置工程と、前記配線アッセンブリ用意工程と、前記配線アッセンブリ固着工程と、前記電気接続工程とを備えることができる。
【符号の説明】
【0136】
1A~3C 超音波トランスデューサー
10A、110A~110B、210A~210C 支持板
10-1、110-1 支持板の第1面
10-2、110-2 支持板の第2面
13、125 導波路
20 可撓性樹脂膜
30 圧電素子
40 下側封止板
100、200 空気流路
101、201 空気導入口
102、202 空気噴出口
105、205 溝
111 第1板体
112 第2板体
120 空洞部
160 ベース層
161a 第1配線/圧電素子接続用開口
161b 第2配線/圧電素子接続用開口
170 導体層
170a、b 第1及び第2配線
180 カバー層
【要約】
本発明の超音波トランスデューサーは、第1面及び第2面を有する剛性の支持板であって、第1面に開口された複数の空洞部及び前記空洞部よりも開口幅が小とされた一端側の第1端部が対応する前記空洞部の底面に開口され且つ他端側の第2端部が第2面に開口された複数の導波路が設けられた剛性の支持板と、前記複数の空洞部を覆うように前記支持板の第1面に固着された可撓性樹脂膜と、平面視において中央領域が対応する空洞部と重合し且つ周縁領域が前記支持板の第1面と重合するように前記可撓性樹脂膜に固着された前記複数の空洞部と同数の圧電素子とを備え、前記複数の空洞部及び前記複数の導波路によって形成される複数の音波通路のそれぞれへ外部空気を導入可能な空気流路が設けられている。
図1
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図11
図12