(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】改良フォームブランク
(51)【国際特許分類】
B63B 32/40 20200101AFI20221011BHJP
B63B 32/50 20200101ALI20221011BHJP
B63B 32/59 20200101ALI20221011BHJP
B63B 32/60 20200101ALI20221011BHJP
【FI】
B63B32/40
B63B32/50
B63B32/59
B63B32/60
(21)【出願番号】P 2019555520
(86)(22)【出願日】2017-12-22
(86)【国際出願番号】 AU2017051454
(87)【国際公開番号】W WO2018112554
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-11-25
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519226458
【氏名又は名称】ホロウェイ,ダニエル
【氏名又は名称原語表記】HOLLOWAY,Daniel
【住所又は居所原語表記】9-10/7 Traders Way Currumbin,Queensland 4223,Australia
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【氏名又は名称】安達 友和
(72)【発明者】
【氏名】ホロウェイ,ダニエル
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0210137(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102145737(CN,A)
【文献】国際公開第02/09929(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0132141(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0292941(US,A1)
【文献】豪国特許出願公開第2011226976(AU,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0023762(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0164507(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0293315(US,A1)
【文献】米国特許第9216801(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 32/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーフクラフト用フォームブランクであって、
対向するブランク上面及びブランク下面と、
ブランク面縁部において前記対向するブランク上面
及びブランク下
面の間を延在する一対の成形レールと、
前記対向するブランク上面及びブランク下面と前記
成形レールとの間に画定される密閉コア空間と、
ノーズ領域とテール領域との間を延在し、前記フォームブランクを2つの略均等な領域に分割する中線軸であって、各領域が、それぞれの側で前記中線軸と前記
成形レールとの間を延在する中線軸と、
前記上面、前記下面、又は前記
成形レールのうちの一又は複数に形成され、前記密閉コア空間内へ延在する
複数の長手延在溝穴と、
少なくとも1つの可撓スパインと、を備え、
前記少なくとも1つの可撓スパインが、前記
複数の長手延在溝穴
のそれぞれに固定されるように接合され、
前記複数の長手延在溝穴のうちの1つの穴を除いた他の穴が、前記フォームブランクの前記上面及び/又は前記下面に前記中線軸の両側に対称に配置されてほぼ前記ノーズ領域から前記テール領域まで延在し、前記中線軸の両側に対称に配置されて前記ノーズ領域、前記テール領域、又はその両方から一定距離延在し、前記中線軸の両側に対称に群で配置されてほぼ前記ノーズ領域から前記テール領域まで延在し、前記中線軸の両側に対称に群で配置されて前記ノーズ領域、前記テール領域、又はその両方から一定距離延在する、
フォームブランク。
【請求項2】
前記複数の
長手延在溝穴のうちの
前記1つ
の穴が、前記フォームブランクの前記上面及び/又は前記下面において前記中線軸に沿ってほぼ前記ノーズ領域から前記テール領域まで延在
する、請求項
1に記載のフォームブランク。
【請求項3】
複数対の
前記長手延在溝穴が、前記中線軸から間隔を置いて対称に配置され、前記フォームブランクの中間部を通過する線から測定される一定距離、前記フォームブランクの上面及び/又は下面に沿って延在する、請求項
1又は請求項2に記載のフォームブランク。
【請求項4】
複数対の
前記長手延在溝穴のそれぞれが前記フォームブランクの前記中間部から延在する距離が、増大又は低減され得る、請求項
3に記載のフォームブランク。
【請求項5】
前記フォームブランクの各レールに配置される前記長手延在溝穴が、各レールのほぼ全長にわたって延在し、前記長手延在溝穴のそれぞれには、少なくとも1つの可撓スパインが接合及び固定される、請求項1に記載のフォームブランク。
【請求項6】
前記可撓スパインが前記
密閉コア空間に据えられたときに前記上面、下面、又はレール面と面一になるように、前記長手延在溝穴が長さ、深さ、及び幅を有する、請求項1
から請求項5のいずれか一項に記載のフォームブランク。
【請求項7】
前記長手延在溝穴が、様々なサイズの可撓スパインを収容する様々な長さ、幅、及び深さを有する、請求項
6に記載のフォームブランク。
【請求項8】
前記少なくとも1つの長手延在溝穴が、前記ブランクの前記上面及び/又は下面に設定される装着凹部である、請求項1
から請求項7のいずれか一項に記載のフォームブランク。
【請求項9】
前記可撓スパインの上面が前記ブランクの対応面と面一になるように、前記少なくとも1つの可撓スパインが前記装着凹部に装着される、請求項
8に記載のフォームブランク。
【請求項10】
少なくとも1つのストリンガーを更に備える、請求項1
から請求項9のいずれか一項に記載のフォームブランク。
【請求項11】
前記ストリンガーのうちの少なくとも1つが、前記フォームブランクの前記中線軸に沿って、前記フォームブランクの前記ノーズ
領域と
前記テール
領域との間を延在するように配置される、請求項
10に記載のフォームブランク。
【請求項12】
前記少なくとも1つのストリンガーが、木製ストリンガー、炭素繊維ストリンガー、ファイバーグラスストリンガー、又はそれらの任意の組み合わせのうちのいずれかから選択される、請求項
10又は請求項
11に記載のフォームブランク。
【請求項13】
前記木製ストリンガーが、バルサ、シナノキ、セコイア、シダー、トウヒ、合板、又はカバから成る群から選択される、請求項
12に記載のフォームブランク。
【請求項14】
前記フォームブランクのコア内に配置されたときの前記少なくとも1つのストリンガーが、各長手延在溝穴の深さによって画定される領域下、又は前記少なくとも1つの可撓スパイン下の領域内に位置する、請求項
10から請求項13のいずれか一項に記載のフォームブランク。
【請求項15】
前記サーフクラフトが、サーフボード、ボディボード、スタンドアップパドルボード(SUP)、サーフスキー、ウィンドサーフィンボード、カイトボード、ニッパーボードやレーシングマルなどのサーフライフセービングクラフト、スキムボード、及びウェイクボードから成る群から選択される、請求項1
から請求項14のいずれか一項に記載のフォームブランク。
【請求項16】
前記フォームブランクが、ポリウレタン(PU)フォームブランク、ポリエチレンフォームブランク、ポリプロピレンフォームブランク、ポリスチレンフォームブランク、発泡ポリスチレン(EPS)フォームブランク、及び押出法ポリスチレンフォームブランクから成る群から選択される、請求項1
から請求項15のいずれか一項に記載のフォームブランク。
【請求項17】
前記可撓スパインが、繊維と樹脂の組成物から弾性的に形成される、請求項1
から請求項16のいずれか一項に記載のフォームブランク。
【請求項18】
前記繊維が、ファイバーグラスなどのガラス繊維、炭素繊
維、玄武岩繊維、及び合成繊維から成る群から選択される、請求項
17に記載のフォームブランク。
【請求項19】
前記合成繊維が、ケブラー繊維又はインネグラ繊維である、請求項
18に記載のフォームブランク。
【請求項20】
前記樹脂が、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、及びポリエステル樹脂から成る群から選択される、請求項
17に記載のフォームブランク。
【請求項21】
前記可撓スパインの前記繊維と樹脂の組成物が、前記フォームブランクの材料及び樹脂と結合する化学構造を有し、所望のしなりパターンを提供しつつ、長寿命と、エンドユーザに適した高性能特徴を提供する強度特性とを有する強靭な一体化フォームブランクを確保するように設計されている、請求項
17から請求項20のいずれか一項に記載のフォームブランク。
【請求項22】
前記可撓スパインが、様々な長さ、断面形状、幅、及び高さで形成される、請求項
17から請求項21のいずれか一項に記載のフォームブランク。
【請求項23】
前記可撓スパインが、前記繊維に液体ポリマー樹脂を含浸させた後、加熱ダイを通して引き抜いて前記可撓スパインを形成する連続成形工程を用いて形成される、請求項
17から請求項22のいずれか一項に記載のフォームブランク。
【請求項24】
前記連続成形工程が一方向引抜成形工程である、請求項
23に記載のフォームブランク。
【請求項25】
前記可撓スパインが複数の穴を有し、前記穴が、化学結合剤を通過させて、前記可撓スパインを前記フォームブランク又は前記フォームブランクの前記
長手延在溝穴に固定するのを助けるように構成される、請求項
17から請求項24のいずれか一項に記載のフォームブランク。
【請求項26】
前記穴が、前記可撓スパインの周縁部に隣接して配置される細長通路である、請求項
25に記載のフォームブランク。
【請求項27】
前記化学結合剤が、接着剤及び/又は樹脂である、請求項
25又は請求項
26に記載のフォームブランク。
【請求項28】
前記可撓スパインが、前記可撓スパインを形成する繊維と樹脂の前記組成物内に密閉され組成物の長さに沿って延在する導電材料を更に備え、前記導電材料が電流を一又は複数の方向に流させる、請求項
17から請求項27のいずれか一項に記載のフォームブランク。
【請求項29】
前記導電材料が、金属、電解質、超伝導体、半導体
、並びにグラファイト若しくはポリマーなどの非金属導体から成る群から選択される、請求項
28に記載のフォームブランク。
【請求項30】
前記導電材料が、前記可撓スパイン内かつ前記可撓スパインのほぼ全長に沿って延びる絶縁銅ケーブルである、請求項
28又は請求項
29に記載のフォームブランク。
【請求項31】
前記
成形レールが放物線状である、請求項1
から請求項30のいずれか一項に記載のフォームブランク。
【請求項32】
前記可撓スパイン及び/又は
、前記密閉コア空間内を前記ブランク上面とブランク下面との間を略水平に延びる面に沿って前記フォームブランクを切断することによって形成された上部分
と下部分が、接着剤及び/又は樹脂の塗布によっ
て接合される、請求項1
から請求項31のいずれか一項に記載のフォームブランク。
【請求項33】
サーフクラフト用フォームブランクの製造方法であって、
(a)対向するブランク上面
及びブランク下面と、ブランク面縁部において前記対向するブランク上面
及びブランク下面
の間を延在する一対の成形レールと、ノーズ領域とテール領域との間を延在し、前記
フォームブランクを2つの略均等な領域に分割する中線軸であって、各領域が、それぞれの側で前記中線軸と前記
成形レールとの間を延在する中線軸と、前記上面、
前記下面、及び
前記成形レールによって画定される密閉コア空間と、を有するフォームブランクを設けるステップと、
(b)前記上面、前記下面、又は前記
成形レールのうちの一又は複数において、前記密閉コア空間内へ延在する少なくとも1つの長手延在溝穴をくり抜くステップと、
(c)
くり抜かれた
前記長手延在溝穴に少なくとも1つの可撓スパインを接合及び固定するステップと、
(d)前記フォームブランクを所望形状に成形するステップと、
(e)図柄及び/又は着色グラフィックを成形された前記フォームブランクに施すステップと、
(f)前記フォームブランクにファイバーグラス及び樹脂を積層して硬質外殻を形成するステップと、
(g)前記ステップ(f)の後に残った表面欠陥を充填するように充填樹脂コーティングを施すステップと、
(h)前記フォームブランクをやすりがけし清掃して、前記サーフクラフトを形成するステップと、
を含む方法。
【請求項34】
請求項1
から請求項32のいずれか一項に記載
のフォームブランクの
製造方法であって、
(a)前記上面および前記下面と、前記成形レールと、前記中線軸と、前記密閉コア空間と、を有するフォームブランクを設けるステップと、
(b)前記上面、前記下面、又は前記成形レールのうちの一又は複数において、前記密閉コア空間内へ延在する少なくとも1つの長手延在溝穴をくり抜くステップと、
(c)くり抜かれた前記長手延在溝穴に、少なくとも1つの可撓スパインを接合及び固定するステップと、
を含む方法。
【請求項35】
(d)前記
フォームブランクを所望形状に成形するステップと、
(e)図柄及び/又は着色グラフィックを
成形された前
記フォームブランクに施すステップと、
(f)前記フォームブランクにファイバーグラス及び樹脂を積層して硬質外殻を形成するステップと、
(g)前
記ステップ(
f)
の後に残った表面欠陥を充填するように充填樹脂コーティングを施すステップと、
(h)前記フォームブランクをやすりがけし清掃して、前記サーフクラフトを形成するステップと、
を更に備える、請求項
34に記載の方法。
【請求項36】
(i)
前記ステップ(h)
の前に、少なくとも1つのフィン及びリーシュロープを適合させ装着するステップと、
(j)
前記ステップ(h)
の後に、光沢樹脂の最終コーティングを施し、完成した前記サーフクラフトに軽磨きを施すステップと、
を更に備える、請求項
33又は請求項35に記載の方法。
【請求項37】
いったん前記フォームブランクが
前記ステップ(d)で成形されれば、前記可撓スパインの可撓性により、所望のサーフクラフトロッカーの形状に適合するように前記フォームブランクを撓ませることができる、請求項
33、請求項35又は請求項36のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、波に乗るのに適した改良サーフクラフト用フォームブランク(発泡体ブランク)、特に、サーフボード又はボディボード用改良強化フォームブランク及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
なお、本明細書での従来技術の言及は、従来技術が当該技術における一般的知識を構成するという認識として解釈されるべきではない。
【0003】
サーフクラフト、例えば、サーフボード、サーフスキー、スタンドアップパドルボード(SUP)、ウェイクボード、スキムボード、ニッパーやレーシングマルなどのサーフライフセービングボード、カイトボード、及びウィンドサーフィンボードは従来、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、発泡ポリスチレンフォーム、又は押出法ポリスチレンフォームが所望形状に切断されたのち、ファイバーグラスなどの繊維強化スキンに包囲される標準的な製造方法を介して作製される。サーフボードは例えば、比較的軽量であるが、海を割る波に乗っている間、ボード上に立つ人を支えるのに十分なほど強靭な細長プラットフォームである。
【0004】
ボディボードもまた、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、及び発泡ポリスチレンフォームが所望形状に切断されて、ボディボードのコアを形成する標準的な製造方法によって作製される別の種類のサーフクラフトである。次に、コアは、ボディボードの下面スキン材料、デッキ材料、及びレール又は側縁部によって覆われる。下面スキン又は光沢材料は通常、高密度ポリエチレン(HDPE)である、又はより高級な種類のボディボードでは、デュポン社製のSurlynであり得る。デッキ材料及びレールは、独立気泡又は架橋ポリエチレン又はポリプロピレン材料又は連続気泡フォーム材料から作製され得る。ボディボードにより、ユーザは腹又は膝で波に乗ることができる。典型的には、腹ばいで乗るとき、ユーザの腰はボディボードのテールに位置し、両手はボードのノーズに位置し、足及び脚は水中に位置し、ボディボードは平坦に維持される。
【0005】
水流は、サーフボード及びボディボードの成形と製造の背景にある科学である。ボードの全体設計は、波乗りパフォーマンスに大きな影響を及ぼす。例えば、丸いテンプレートのサーフボードの場合、尖ったテンプレートのサーフボードに比べて、サーファーはより長い曲線を描き、より大きなレイバックスタイルをとらざるを得ない。満足のいくサーフボード又はボディボードを作製するにはいくつかの変数が存在する。水中で材料が撓みボードがしなることは、現代ボードの重要な側面であり、破損せずにボードフォーム材料を撓ませることができる。同様に、ボードの剛性又は剛直性は、強度を提供し、ボードを破損から守る。しなるおかげで、位置エネルギーを保存し、ボードを元の形状に戻し、保存された位置エネルギーを解放し、そのエネルギーを運動エネルギー又は加速に変えることができる。よって、使用中にボードが破損しないように、剛性とボードのしなり又は撓みとの間のバランスをとらなければならない。
【0006】
サーフボードの製造は、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、発泡ポリスチレンフォーム、又は押出法ポリスチレンフォームから成るブランクを利用し、後で強度の追加のためファイバーグラス布、インネグラ繊維、ケルバー繊維、玄武岩繊維、又は炭素繊維を含むがそれらに限定されない織布及び不織布が積層される。特定の構造では、サーフボード面の密度強度を増大させる試みとして複合デッキスキンも使用される。
【0007】
撓みによるサーフボード又はボディボードの構造的一体性を維持するため、典型的にはストリンガーが、テールからノーズまで延在するサーフボード又はボディボードフォームの中間部に埋め込まれる。サーフボードストリンガーは通常、バルサ、シナノキ、セコイア、シダー、合板、及びカバで形成され、サーフボードに強度及び剛性を追加するため古くから業界で使用される。ボディボードストリンガーは、プラスチックパイプ又は炭素繊維から成り、全長にわたって先細である。
【0008】
フォームにストリンガーを追加することでボードの強度及び剛性が向上すると推定されるが、ストリンガーに付随する問題がいくつかある。例えば、従来のストリンガーがサーフボードの中間に配置される結果、大抵の場合、サーフボードはボードの中心に沿って強靭であるが、ボードの湾曲する外周縁又はレールでは脆弱で可撓になる。このサーフボード全体にわたって一定でない剛性は、捩りしなりとして知られ、ボードを不均一にしならせ、波に乗っている間に駆動力を失って減速させる可能性がある。
【0009】
捩りしなりの問題を克服する方法の1つは、サーフボードの中間ではなくサーフボードのレール上又はレールに沿って放物線状ストリンガーを配置することである。レールの補強によって、フォームはより速く撓んで元の形状に跳ね返ることができる一方、フォームの構造的一体性は維持されて、やや均一になる。しかしながら、この方法は、サーフボード構造のコストと手間を大幅に増加させる。ブランクフォームをまず放物線弧状に切断しなければならず、木製ストリンガーは特定の厚さを有し、サーフボードの輪郭に沿うように注意深く手動で撓ませてレールに沿って接着しなければならない。放物線状ストリンガーを備えたサーフボードの成形は、労働集約的であるとともに時間がかかる。
【0010】
サーフボードブランクにストリンガーを追加するには、ストリンガーをフォームに接着する必要があるため、サーフボードの重量が増大し、サーフボードの性能としなりの一貫性に影響を及ぼし得る。最後に、木製ストリンガーは、サーフボードの反応性の寿命を低減させる。しなりによる伸縮が繰り返されると、サーフボードの従来の木製ストリンガーは弱体化して、サーフボードの感度が失われる。
【0011】
木製ストリンガーは従来、ベニヤ、最も般的には合板で作製される。ストリンガーに使用されるその他の木材は、バルサ及びキリ類である。これらのストリンガーはまた、フォームブランクに湾曲又はロッカーを追加するためにも使用される。更に、様々な幅のストリンガーを使用して、ブランクを補強することができる。木材ストリンガーは、半分に切断した後にサーフボードブランクに搭載して接着し、所望のロッカー形状に設定することができる。ストリンガーは、上面から下面までブランク全体を垂直に延びる。ストリンガーは、サーフボードをほとんど強化することはなく、ブランクの補強(中心の剛性)を除く利点を提供しない。いったん接着され、ブランクが再接合されると、形成された木製ストリンガー及びロッカーの形状は修正不可能である。さらに、木材のストリンガーは通常、3mm~6mm程度の幅であり、圧縮強度を提供しない(負荷を分散しない)ため、サーフボードが凹んだり破損したりした場合にサーファーの足が崩れる可能性があるため危険であり得る。
【0012】
現代のサーフボードは一部、無ストリンガーとなるように設計されつつある。特定の設計の1つは、炭素繊維を巻き付けた発泡ポリスチレンフォームブランクを使用して、レールなどのボードの高応力区域を補強することである。これにより、軽快なしなりパターンを有する強靭かつ軽量なボードを作製するために最も必要な部分の強度が高められる。しかしながら、無ストリンガーであるということは、負荷下で変形し易いことを意味する。強化レールは、ボードの端部、重要なことに、サーファーの脚が通常置かれる場所ではなく、ボードの縁部に沿って強度を高める。側部レール補強のもう1つの欠点は、ファイバーガラスが充当される前にコアの製造、成形、及び取扱中、炭素繊維がダメージを負って、補強材の強度を低下させるおそれがあることである。これらの種類のボードはまた、追加のエポキシ積層を必要とするため、ボードのコストを増加させるとともに、設計をさらに労働集約的にする。
【0013】
炭素、インネグラ、及びカルバーなどの強化材料は現在、ボードに表面強度を追加し、しなりを制御するために使用される。これらの材料は、手動の積層又は真空バギングによって充当され、非常に労働集約的であり、サーフボードのコストをさらに増大し得る。
【0014】
エポキシサーフボード構造は非常に一般的であり、典型的には、エポキシ樹脂のみで積層され得る発泡ポリスチレンブランク(EPS)を使用する。これらのブランクは超軽量であり、水中で軽快な感覚を有するが、(特に、いかなる形状のストリンガーも存在しない場合)構造強度が失われ、大きくしなる。なお、従来のストリンガーを備えていないPUブランクも、大きくしなるために軽快な感覚を提供することに留意すべきである。
【0015】
性能の予測可能な高性能サーフボード又はボディボードを設計することは、困難なタスクである。サーフボードは、割れに近い波面の水流と相互作用し、ボードに沿った及びボード周囲の水流を複雑にする。競技サーフボードライダーは、大きく予測不能な応力をサーフボードに加える、サーフボードの高速、迅速なターン、及び操縦性を要求する。
【0016】
同様に、適量のしなりと跳ね返りを備えた高性能ボディボードの設計は、使用される材料と天候に依存する。ボードが硬いほど大きな波、滑らかな波、温かな水温にうまく対応するが、波立つ状況を制御するのが困難である。良好なしなり/跳ね返りを有することで、ボディボードはターン、スピン、ロール、及びエアーなどを通じて素早く対応する。製造に使用される材料と、ボード使用下の天候は、どのようにボードが撓んで元の形状に跳ね返るかに影響を及ぼす。例えば、冷たい水温と天候がしなりの大きなボードを要する一方、温かい天候は硬いボードを要する。
【0017】
改良サーフクラフト用フォームブランク及びその製造方法が、上述の欠点の少なくともいくつかの改善に役立つように考案されているとすれば有益であることは明らかである。具体的には、エンドユーザに適した所望のしなりパターン、強度特性、及び向上した性能特徴を有する改良サーフクラフト用フォームブランクを提供することが有益であろう。
【発明の概要】
【0018】
第1の側面によると、本発明はサーフクラフト用フォームブランクを提供し、フォームブランクは、対向するブランク上面及びブランク下面と、ブランク面縁部において対向するブランク上面とブランク下面との間を延在する一対の成形レールと、対向するブランク上面とブランク下面とレールとの間に画定された密閉コア空間と、ノーズ領域とテール領域との間を延在し、フォームブランクを2つの略均等な領域に分割する中線軸であって、各領域が各自の側で中線軸とレールとの間を延在する中線軸と、密閉コア空間へ延在するように上面、下面、又はレールのうち一又は複数に形成された少なくとも1つの長手延在溝穴と、少なくとも1つの可撓スパインと、を備え、少なくとも1つの可撓スパインは、少なくとも1つの長手延在溝穴内に固定されるように接合される。
【0019】
好ましくは、溝穴のうちの少なくとも1つは、フォームブランクの上面及び/又は下面においてほぼノーズからテールまで延在してもよい。あるいは、溝穴のうちの少なくとも1つは、フォームブランクの上面及び/又は下面においてノーズからテールまで延在してもよい。
【0020】
好ましくは、溝穴のうちの少なくとも1つは、フォームブランクの中線軸に沿ってフォームブランクの上面及び/又は下面を延在してもよい。
【0021】
あるいは、複数の長手延在溝穴は、フォームブランクの上面、下面、又はレールのうちの一又は複数に形成されてもよく、少なくとも1つの可撓スパインは、溝穴の各穴に配置される。複数の溝穴のうちの1つは、フォームブランクの上面及び/又は下面のほぼノーズからテールまで中線軸に沿って延在してもよい。複数の溝穴の他の穴は、フォームブランクの上面及び/又は下面の中線軸の両側に対称に配置されノーズからテールまで延在してもよく、中線軸の両側に対称に配置されノーズ、テール、又はその両方から一定距離延在してもよく、中線軸の両側に対称に群で配置されほぼノーズからテールまで延在してもよく、中線軸の両側の対称に群で配置されノーズ、テール、又はその両方から一定距離延在してもよい。
【0022】
好ましくは、複数対の溝穴は、中線軸から対称に間隔を置いて配置され、フォームブランクの中間部を通ってフォームブランクの上面及び/又は下面に沿って延びる線から測定された一定距離延在してもよい。複数対の溝穴がフォームブランクの中間部から延在する距離はそれぞれ、増大又は減少するように変動してもよい。
【0023】
好ましくは、フォームブランクの各レールに配置される長手延在溝穴は、ほぼ各レールの長にわたって延在してもよく、長手延在溝穴にはそれぞれ、少なくとも1つの可撓スパインが接合又は固定される。
【0024】
好ましくは、長手延在溝穴は、コア空間内に据えられたときの可撓スパインが上面、下面、又はレール面と面一になるような長さ、深さ、及び幅を有してもよい。好ましくは、長手延在溝穴は、様々なサイズの可撓スパインを収容するための様々な長さ、幅、及び深さを有してもよい。
【0025】
好ましくは、少なくとも1つの長手延在溝穴は、ブランクの上面及び/又は下面に設定される装着凹部である。少なくとも1つの可撓スパインは、可撓スパインの上面がブランクの対応面と面一になるように、装着凹部に装着されてもよい。
【0026】
好ましくは、フォームブランクは、少なくとも1つのストリンガーを更に含んでもよい。少なくとも1つのストリンガーは、フォームブランクの中線軸に沿って、フォームブランクのノーズとテールとの間を延在するように配置されてもよい。少なくとも1つのストリンガーは、木製ストリンガー、炭素繊維ストリンガー、ファイバーグラスストリンガー、又はそれらの任意の組み合わせのいずれかから選択されてもよい。
【0027】
好ましくは、木製ストリンガーは、バルサ、シナノキ、セコイア、シダー、トウヒ、合板、又はカバから成る群から選択されてもよい。フォームブランクのコア内に配置されるとき、少なくとも1つのストリンガーは、各長手延在溝穴の深さによって画定される領域下、又は少なくとも1つの可撓スパイン下の領域内に配置されてもよい。
【0028】
第2の側面によると、本発明はサーフクラフト用フォームブランクを提供し、フォームブランクは、対向するブランク上面及びブランク下面と、ブランク面縁部において対向するブランク上面とブランク下面との間を延在する一対の成形レールと、対向するブランク上面とブランク下面とレールとの間に画定される密閉コア空間と、ノーズ領域とテール領域との間を延在し、フォームブランクを2つの略均等な領域に分割する中線軸であって、各領域が各自の側で中線軸とレールとの間を延在する中線軸と、コア空間内をブランク上面とブランク下面との間を略水平に延びる面に沿ってフォームブランクを切断することによって形成される、対向する隣接切断面を有する上部分及び下部分と、フォームブランクの上部分又は下部分の隣接切断面の一方に固定および配置されて、中線軸にほぼ沿って延在する少なくとも1つの可撓スパインと、を備え、少なくとも1つの可撓スパインとフォームブランクの上部分及び下部分が接合されて、少なくとも1つの可撓スパインが上部分と下部分との間でフォームブランクの密閉コア内に配置された一体フォームブランクに改造される。
【0029】
好ましくは、フォームブランクを通って略水平に延びる面は、フォームブランクを略半分に切断して、上部分と下部分を形成してもよい。好ましくは、少なくとも1つの可撓スパインは、フォームブランクのノーズからテールまで延在してもよい。
【0030】
あるいは、複数の可撓スパインは、フォームブランクの中線軸の両側に対称に配置され、フォームブランクのほぼ全長にわたって延在してもよい。あるいは、複数の可撓スパインは、フォームブランクの中線軸の両側に対称に配置され、フォームブランクのノーズからテールまで延在してもよい。
【0031】
好ましくは、フォームブランクは、少なくとも1つの可撓スパインを収容するために隣接切断面の一方に形成された少なくとも1つの長手延在溝穴を更に備えてもよい。少なくとも1つの長手延在溝穴は、コア空間に据えられたときの可撓スパインが上部分及び/又は下部分の隣接切断面と面一になり、可撓スパインと上部分及び下部分が接合されたときに、可撓スパインがフォームブランクの上部分及び/又は下部分の隣接切断面によって密閉されるような長さ、深さ、及び幅を有してもよい。
【0032】
あるいは、フォームブランクは、少なくとも1つの可撓スパインを収容するために隣接切断面の両方に形成された少なくとも1つの長手延在溝穴を更に備えてもよい。両隣接切断面に形成された少なくとも1つの長手延在溝穴は、コア空間に据えられたときの可撓スパインが隣接切断面の上方に位置し、可撓スパインと上部分及び下部分が接合されたときに、可撓スパインが上部分及び下部分の両方とフォームブランクの上部分及び下部分の両方の長手延在溝穴とによって密閉されるような長さ、深さ、及び幅を有してもよい。
【0033】
好ましくは、溝穴は、様々なサイズの可撓スパインを収容するための様々な長さ、幅、及び深さを有してもよい。
【0034】
好ましくは、フォームブランクの上部分及び下部分の隣接面の一方又は両方に形成されたとき、溝穴は、フォームブランクの上部分及び下部分の中線軸にほぼ沿って延在してもよい。あるいは、溝穴は、フォームブランクの上部分及び/又は下部分のノーズからテールまでほぼ延在してもよい。
【0035】
好ましくは、複数の長手延在溝穴は、フォームブランクの上部分及び下部分の隣接面の一方又は両方に、中線軸の両側に沿って対称に配置されてもよい。複数の長手延在溝穴は、フォームブランクの上部分及び/又は下部分のほぼ全長にわたって延在し、複数の長手延在溝穴のそれぞれには、少なくとも1つの可撓スパインが固定される。
【0036】
好ましくは、隣接切断面に形成された溝穴は、フォームブランクの上部分及び下部分の隣接切断面のそれぞれの対応位置に配置させてもよい。ブランクの上部分の隣接切断面に形成された溝穴は、フォームブランクの上部分のコア空間内へ延在してもよい。ブランクの下部分の隣接切断面に形成された溝穴は、フォームブランクの下部分のコア空間内へ延在してもよい。
【0037】
好ましくは、サーフクラフトは、サーフボード、ボディボード、スタンドアップパドルボード(SUP)、サーフスキー、ウィンドサーフィンボード、カイトボード、ニッパーボードやレーシングマルなどのサーフライフセービングクラフト、スキムボード、及びウェイクボードから成る群から選択されてもよい。
【0038】
好ましくは、フォームブランクは、ポリウレタン(PU)フォームブランク、ポリエチレンフォームブランク、ポリプロピレンフォームブランク、ポリスチレンフォームブランク、発泡ポリスチレン(EPS)フォームブランク、及び押出法ポリスチレンフォームブランクから成る群から選択されてもよい。
【0039】
好ましくは、可撓スパインは、繊維と樹脂の組成物から弾性的に形成されてもよい。繊維は、ファイバーグラスなどのガラス繊維、炭素繊維複合物、玄武岩繊維、及び合成繊維から成る群から選択されてもよい。合成繊維は、ケブラー繊維又はインネグラ繊維であってもよい。樹脂は、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、及びポリエステル樹脂から成る群から選択されてもよい。
【0040】
好ましくは、可撓スパインにおける繊維と樹脂の組成物は、フォームブランク材料及び樹脂と結合する化学構造を有し、所望のしなりパターンを提供しつつ、長寿命と、エンドユーザに適した高性能特徴を提供する強度特性とを有する強靭な一体化フォームブランクを確保するように設計されていてもよい。
【0041】
好ましくは、可撓スパインは、様々な長さ、断面形状、幅、及び高さで形成されてもよい。可撓スパインは、繊維に液体ポリマー樹脂が含浸された後、加熱ダイを通して引き抜いて可撓スパインを形成する連続成形工程によって形成されてもよい。好ましくは、連続成形工程は一方向引抜成形工程であってもよい。
【0042】
好ましくは、可撓スパインは、化学結合剤を通過させて、可撓スパインをフォームブランク又はフォームブランクの溝穴に固定するのを助けるように構成された複数の穴を有してもよい。好ましくは、穴は、可撓スパインの周縁部に隣接して配置された一又は複数の細長通路であってもよく、細長通路は可撓スパインの側部に平行に延びてもよく、細長通路は可撓スパインの側部に垂直に延びてもよく、細長通路は群で可撓スパインの側部に垂直に延びてもよく、又は円形穴は長に沿って延びてもよく、若しくは可撓スパインの長に沿って群で配置されてもよい。
【0043】
好ましくは、化学結合剤は接着剤及び/又は樹脂であってもよい。
【0044】
好ましくは、可撓スパインは、可撓スパインを形成する繊維と樹脂の組成物内に密閉され、組成物の長さを延在する導電材料を更に備えてもよく、導電材料は電流を一又は複数の方向に流させる。導電材料は、金属、電解質、超伝導体、半導体、プラズマ、及びグラファイト又はポリマーなどの非金属導体から成る群から選択されてもよい。あるいは、導電材料は、長さにほぼ沿って可撓スパイン内を延びる絶縁銅ケーブルであってもよい。
【0045】
好ましくは、レールは、放物線状であってもよい。
【0046】
好ましくは、可撓スパイン及び/又は上部分及び下部分は、接着剤及び/又は樹脂を添加することによってフォームブランクに接合されてもよい。
【0047】
第3の側面によると、本発明は、サーフクラフト用フォームブランクを提供し、フォームブランクは、対向するブランク上面及びブランク下面と、ブランク面縁部において対向するブランク上面とブランク下面との間を延在する一対の成形レールと、対向するブランク上面とブランク下面とレールとの間に画定される密閉コア空間と、ノーズ領域とテール領域との間を延在し、フォームブランクを2つの略均等な領域に分割する中線軸であって、各領域が各自の側で中線軸とレールとの間を延在する中線軸と、(i)上面、(ii)下面、(iii)レール、又は(iv)密閉コアのうちの一又は複数内又は上に配置又は形成される少なくとも1つの可撓スパインと、を備え、少なくとも1つの可撓スパインが、上面、下面、又はレール内又は上に形成されるときには、少なくとも1つの長手延在溝穴に固定されるように接合され、少なくとも1つの可撓スパインが密閉コア内に配置されるときには、少なくとも1つの可撓スパインが、コア空間内でブランク上面とブランク下面との間を略水平に延びる面に沿ってフォームブランクを切断することによって形成された上部分と下部分との間に接合される。
【0048】
好ましくは、フォームブランクは、上記側面のフォームブランクの特徴のいずれか1つを更に含んでもよい。
【0049】
更に別の側面によると、本発明はサーフクラフト用フォームブランクの製造方法を提供し、上記方法は、(a)対向するブランク上面とブランク下面と、ブランク面縁部において対向するブランク上面とブランク下面との間を延在する一対の成形レールと、ノーズ領域とテール領域との間を延在し、ブランクを2つの略均等な領域に分割する中線軸であって、各領域が各自の側で中線軸とレールとの間を延在する中線軸と、上面、下面、及びレールによって画定された密閉コア空間と、を有するフォームブランクを設けるステップと、(b)密閉コア空間へ延在するように、上面、下面、又はレールのうちの一又は複数に少なくとも1つの長手延在溝穴を形成するステップと、(c)溝穴内に少なくとも1つの可撓スパインを接合し固定するステップと、を含む。
【0050】
好ましくは、本方法は、第1の側面のフォームブランクの特徴のいずれか1つを更に含んでもよい。
【0051】
好ましくは、本方法は、(d)ブランクを所望形状に成形するステップと、(e)図柄及び/又は着色グラフィックを成形フォームブランクに施すステップと、(f)フォームブランクにファイバーグラス及び樹脂を積層して硬質外殻を形成するステップと、(g)積層ステップ(e)後に残った表面欠陥を充填する充填樹脂コーティングを施すステップと、(h)フォームブランクをやすりがけし清掃してサーフクラフトを形成するステップと、を更に含んでもよい。
【0052】
好ましくは、本方法は、(i)ステップ(h)の前に、少なくとも1つのフィン及びリーシュロープを適合させ装着するステップと、(j)ステップ(h)の後に、光沢樹脂の最終コーティングを施し、完成したサーフクラフトに軽磨きを施すステップと、を更に含んでもよい。
【0053】
好ましくは、いったんフォームブランクがステップ(d)で成形されれば、可撓スパインの弾性により、所望のサーフクラフトロッカーの形状に適合するようにフォームブランクを撓ませることができる。
【0054】
第4の側面によると、本発明は、サーフクラフト用フォームブランクの製造方法を提供し、上記方法は、(a)対向するブランク上面とブランク下面と、ブランク面縁部において対向するブランク上面とブランク下面との間を延在する一対の成形レールと、ノーズ領域とテール領域との間を延在し、ブランクを2つの略均等な領域に分割する中線軸であって、各領域が各自の側で中線軸とレールとの間を延在する中線軸と、上面、下面、及びレールによって画定される密閉コア空間と、を有するフォームブランクを設けるステップと、(b)コア空間内でブランク上面とブランク下面との間を略水平に延びる面に沿ってフォームブランクを切断して、対向隣接切断面を有する上部分及び下部分を形成するステップと、(c)フォームブランクの上部分又は下部分の隣接切断面のうちの一方に、中線軸にほぼ沿って延在する少なくとも1つの可撓スパインを固定するステップと、(d)少なくとも1つの可撓スパインとフォームブランクの上部分及び下部分を接合して、少なくとも1つの可撓スパインが上部分と下部分との間でフォームブランクの密閉コア内に配置された一体フォームブランクに改造するステップと、を備える。
【0055】
好ましくは、本方法は、第2の側面のフォームブランクの特徴のうちの一又は複数を更に含んでもよい。
【0056】
好ましくは、サーフクラフトは、サーフボード、ボディボード、スタンドアップパドルボード(SUP)、サーフスキー、ウィンドサーフィンボード、カイトボード、ニッパーボードやレーシングマルなどのサーフライフセービングクラフト、スキムボード、及びウェイクボードから成る群から選択されてもよい。
【0057】
好ましくは、フォームブランクは、ポリウレタン(PU)フォームブランク、ポリエチレンフォームブランク、ポリプロピレンフォームブランク、ポリスチレンフォームブランク、発泡ポリスチレン(EPS)フォームブランク、及び押出法ポリスチレンフォームブランクから成る群から選択されてもよい。
【0058】
好ましくは、サーフボード、スタンドアップパドルボード(SUP)、サーフスキー、ウィンドサーフィンボード、カイトボード、ニッパーボードやレーシングマルなどのサーフライフセービングクラフト、スキムボード、及びウェイクボードの場合、(i)ブランクを所望形状に成形するステップと、(ii)図柄及び/又は着色グラフィックをサーフクラフトに施すステップと、(iii)サーフクラフトにファイバーグラス及び樹脂を積層して硬質外殻を形成するステップと、(iv)積層ステップ(iii)後に残った表面欠陥を充填する充填樹脂コーティングを施すステップと、(v)少なくとも1つのフィン及びリーシュロープを適合させ装着するステップと、(vi)サーフクラフトをやすりがけし清掃するステップと、(vii)光沢樹脂の最終コーティングを施し、完成したサーフクラフトに軽磨きを施すステップと、を更に含んでもよい。
【0059】
好ましくは、ボディボードの場合、本方法は、(i)ブランクを所望形状に成形するステップと、(ii)ボディボードにかんながけとやすりがけを実行するステップと、(iii)ボディボードの下面にスキン又は光沢材料を積層し、上面又はデッキ及びレールに連続気泡又は独立気泡フォーム材料を積層するステップと、(iv)リーシュロープを適合させ装着するステップと、(v)図柄及び/又は着色グラフィックをボディボードに施すステップと、を更に含んでもよい。
【0060】
好ましくは、いったんボードがステップ(i)で成形されれば、可撓スパインの弾性により、所望のサーフクラフトロッカーの形状に適合するようにサーフクラフトを撓ませることができる。
【0061】
上記の実施形態又は好適な特徴のうちの一又は複数のいずれも、上記側面の一又は複数のいずれかと組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
本発明は、以下の詳細な説明と、本発明の好適な実施形態の添付図面とからより完全に理解されるが、これらは本発明を制限するものではなく、単に説明と理解のためであると解釈すべきである。
【
図1】サーフクラフトの主要要素となる構成要素を示す従来技術のサーフクラフトの図である。
【
図2】可撓スパインを示す本発明の一実施形態に係るフォームブランクの分解斜視図である。
【
図3】
図2のフォームブランクの前面図及び後面図である。
【
図4】設置された可撓スパインの詳細を更に示す、
図3のフォームブランクの線A-Aに沿った斜視断面図である。
【
図6】可撓スパインがフォームブランクのノーズからテールまで延在している、本発明の別の実施形態に係るフォームブランクの斜視図である。
【
図7】可撓スパインがフォームブランクの上面と下面の両方に配置されている、本発明の一実施形態に係るフォームブランクの前面図及び後面図である。
【
図9】フォームブランクに中心ストリンガーが設置されている、
図7の線B-Bに沿った断面図である。
【
図10】
図6のフォームブランクの前面図及び後面図である。
【
図11】可撓スパインがノーズからテールまで延在し、フォームブランクの上面と下面の両方に配置されている、本発明の別の実施形態に係るフォームブランクの前面図及び後面図である。
【
図12】追加の可撓スパインがフォームブランクのレール上又はその周囲に配置されている、本発明の別の実施形態に係るフォームブランクの断面図である。
【
図14】ユーザが乗っている従来技術のボディボードを示す図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係るボディボードフォームブランクの平面図である。
【
図16】
図15のボディボードフォームブランクの斜視図である。
【
図19】上部分及び下部分がフォームブランクの対向切断面に溝穴を有する、線C-Cに沿った
図15のボディボードフォームブランクの別の実施形態の断面図である。
【
図20】ボディボードフォームブランクのデッキに隣接して配置されたときの可撓スパインの位置を示す本発明の別の実施形態の分解斜視図である。
【
図21】
図20のボディボードフォームブランクの平面図である。
【
図22】フォームブランクのデッキに溝穴が形成されており、明瞭化のために可撓スパインを省略した、線D-Dに沿った
図21のボディボードフォームブランクの斜視断面図である。
【
図25】フォームブランクの上面と下面の両方に可撓スパインが隣接して配置されたボディボードフォームブランクを示す本発明の別の実施形態の断面図である。
【
図26】本発明の別の実施形態に係る、3つの可撓スパインがフォームブランクの上面に隣接して配置されたボディボードフォームブランクの斜視図である。
【
図27】
図26のボディボードフォームブランクの平面図である。
【
図29-36】本発明の一実施形態に係る可撓スパインの平面図と、可撓スパインの穴の詳細を示す可撓スパインの一端の拡大図である。
【
図37】本発明に係る可撓スパインの様々な断面形状を示す線F-Fに沿った可撓スパインの断面を伴う平面図である。
【
図38】可撓スパインの端部形状に利用可能な様々なオプションを示す、可撓スパインの一端の円で囲った部分の拡大図である。
【
図39-42】可撓スパインの様々な位置の組み合わせを示す、フォームブランクの別の実施形態の前面図及び後面図である。
【
図43】可撓スパインが露出した部分の詳細を示す、本発明の一実施形態に係るフォームブランクの斜視断面図である。
【
図45】本発明の一実施形態に係る可撓スパインの上面図である。
【
図46】フォームブランクを水平に延びる面に沿って切断されて上部分及び下部分を形成し、可撓スパインが上部分と下部分との間に位置するフォームブランクの側面図である。
【
図47】可撓スパインがフォームブランクのコア内に配置されて改造された
図46のフォームブランクを示す図である。
【
図49】
図44の線H-Hに沿ったフォームブランクの断面図である。
【
図53】フォームブランクの上半分が明瞭化のために除去されて、残りのフォームブランク内から延在する可撓スパインを示す、
図44の線H-Hに沿った断面斜視図である。
【
図54】フォームブランクの下部分に溝穴が配置され、可撓スパインが溝穴に配置されたフォームブランクの別の実施形態の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
好適な一又は複数の実施形態の主題についてより正確に理解するため、以下の説明を単に例示のために提示する。
【0064】
本発明はサーフボード及びボディボード用フォームブランク(発泡体ブランク)に関して説明するが、当業者であれば、他のサーフクラフト用フォームブランクも本発明から除外されないと認識すべきである。例えば、以下の発明はまた、スタンドアップパドルボード(SUP)、サーフスキー、ウェイクサーフボード、カイトボード、スキムボードなどのサーフクラフト、及びニッパーボードやレーシングマルなどのサーフライフセービングボード用のフォームブランクに適用し得る。
【0065】
図1(従来技術)に示すように、サーフボード10は、いくつかの主要要素から成る。ストリンガー11は、サーフボード10の木製「バックボーン」であり、耐久性のある木製ストリップが、フォームブランク12の全長にわたって延び、ボードをより強固かつ頑丈にする支持梁を提供する。ストリンガー11を有していないボードもあれば、2つ以上のストリンガーを有するボードもある。サーフボード10の寸法の相互作用は、サーフボードの性能及び速度を決定する要因である。長さ、幅、及び厚さの仕様は、様々な形でボード10に影響を及ぼす。ボードの長さは、どの程度容易にボードを漕ぎ操縦できるかを決定する。ボードの幅及び厚さは、浮力と浮遊を決定する。幅広で厚いボードほど、薄いボードよりも水上を進みやすく、安定度が高い。
【0066】
サーフボードの反りはロッカーとして知られる。側方からボード10を見ると、上向きのノーズ18とデッキ13の凹形状が分かる。ロッカーが顕著であるほど、水中でボード10を転回及び操縦し易い。しかしながら、平坦なロッカーは高速化に適する。フィン15は、ボード10の乗り方に大きな影響を及ぼす。フィン15の表面積が大きいほど、移動の安定化と制御が容易になる。しかしながら、大型フィン15はボードを引き下ろすため、サーファーは意図する乗り方によってはバランスを崩してしまう。
【0067】
レール16、17はサーフボード10の縁部であり、ボードの乗り方に非常に大きな影響を及ぼす。ターンし易さは、レールの角度が一要因であり、この角度はサーフボード10の先端部又はノーズ18からテール19まで延びる際に様々な測定値に調整される場合が多い。角度が急であるほど、素早く狭いターンを意味する。鈍い角度のレール16、17は、さほどスピードを落とすことなく幅広いターンとなる。大部分のサーフボード10は、後部に行くほど角度が急になり、レール縁部がノーズ18に近づくほど丸みを帯びるように設計される。これにより、より大雑把な移動で急激なターンが可能になる(ターンは後部が起点となる)。
【0068】
サーフボード10の下面又はベース14は常に、いくつかの種類の凹状外形を有する。カーブの度合いは変動するが、考え方は同じである。水がボード10の下の通路に強制的に引き込まれる結果、加速度が増大して高速な乗り心地になる。
【0069】
本発明は、サーフボード、ボディボードなどのサーフクラフト用のフォームブランク20を提供する。フォームブランク20は、フォームブランク20の上面21、下面22、又はレール23、24に配置された長手延在溝穴60に少なくとも1つの可撓スパイン(背骨部材)50を収容するように設計される。あるいは、可撓スパイン50は、フォームブランク130のコア135内のフォームブランク130の上部分138と下部分139との間に配置され得る。あるいは、可撓スパイン50は、コア135内、及びフォームコア20、130の溝穴60内の上面21、下面22、又はレール23、24のうちの一又は複数の両方に配置され得る。可撓スパイン50の位置合わせと弾性変形能力により、サーフクラフト設計者は、新規で革新的な方法でフォームブランク20、130の引張強度及び圧縮強度を向上させることができる。
【0070】
フォームブランク20は、対向するブランク上面21及びブランク下面22と、ブランク面縁部において対向するブランク上面とブランク下面21、22間を延在する一対の成形レール23、24とを有する。密閉コア空間25は、対向するブランク上面とブランク下面21、22とレール23、24間に画定される。中線軸28は、ノーズ領域27とテール領域28との間を延在し、フォームブランク20を2つの略均等な領域に分割し、各領域は中線軸28とそれぞれの側のレール23、24との間を延在する。フォームブランク20は、密閉コア空間25へ延在するように、上面21、下面22、又はレール23、24のうちの一又は複数に形成された少なくとも1つの長手延在溝穴60を有する。溝穴60は、少なくとも1つの可撓スパイン50を収容するように構成されるため、少なくとも1つの可撓スパイン50は、少なくとも1つの長手延在溝穴60内に固定されるように接合される。
【0071】
可撓スパイン50は、接着剤又は樹脂などを用いて、フォームブランク20の凹部内に接合される。単に例示のため、接着剤又は樹脂は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、及びビニルエステル樹脂を含み得る。可撓スパイン50は、フォームブランク積層内及び下で窪んでいる。可撓スパイン50は、引張(引き)力、圧縮(押圧)力、せん断力、撓み又は捩り(ねじれ)などの力の印加により形状及びサイズが変化するように弾性的に変形可能である。可撓スパイン50は弾性的に変形可能であり、すなわち、変形は可逆性である。いったん力が加えられなくなると、可撓スパイン50は元の形状に戻る。
【0072】
可撓スパイン50の弾性は、様々な長さ、幅及び厚さ又は高さの可撓スパイン50を形成する繊維及び樹脂の組成物による。繊維は、ファイバーグラスなどのガラス繊維、炭素繊維複合物、玄武岩繊維、インネグラなどの合成繊維、アラミドなどの芳香族ポリアミド、及びセルロース、麻、竹、亜麻、並びにテンセルなどの環境に優しい繊維から成る群から選択される。例えば、ファイバーグラスは、強化繊維が特にガラス繊維である種類の繊維強化プラスチックである。ガラス繊維は、ランダムに配置する、シート状に平坦化する(チョップドストランドマットと称される)、又は布状に織ることができる。プラスチックマトリクスは、熱可塑性プラスチック-大抵はエポキシ、ポリエステル樹脂-又はビニルエステル、又は熱可塑性物質であり得る。ガラス繊維は、ファイバーグラスの使用に応じて様々な種類のガラスで作製される。これらのガラスはすべて、様々な量のカルシウム、マグネシウム、及び時にはホウ素の酸化物を伴うシリカ又はケイ酸塩を含む。
【0073】
合成繊維は合成ポリマー又は小分子から製造される。繊維の製造に使用される化合物は、石油系化学物質又は石油化学製品などの原材料に由来する。これらの材料は、2つの隣接炭素原子を結合する長い線形化学物質に重合される。様々な化学化合物が使用されて、様々な種類の繊維を作製する。限定ではなく単に例示として、可撓スパイン50に使用される合成繊維の種類は、アラミド繊維又はインネグラ繊維及びポリプロピレンである。可撓スパイン50には、その他の天然植物ベースの繊維も使用され得る。例えば、サーフボード構造用の強化繊維として使用される又は使用され得る天然植物ベースの繊維は、セルロース、麻、竹、亜麻、及びテンセルを含むがそれらに限定されない。
【0074】
可撓スパイン50に使用される樹脂は、典型的にはポリマーに変換可能な固体又は高粘度物質である。このような粘性物質は、植物由来又は人工由来であり得る。それらは有機化合物の混合物であることが多い。可撓スパイン50で使用される樹脂の種類に関する限定ではなく単に例示のため、樹脂は、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、及びポリエステル樹脂から成る群から選択され得る。
【0075】
可撓スパイン50における繊維と樹脂の組成物は、フォームブランクの材料及び樹脂と結合する化学構造を有し、所望のしなりパターンを提供しつつ、長寿命と、エンドユーザ又はサーファーに適した高性能特徴を提供する強度特性とを有する強靭な一体化フォームブランク20を確保するように設計されている、可撓スパイン50は、接着剤及び/又は樹脂を使用してフォームブランク20に接合される。すなわち、限定はしないがエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、及びビニルエステル樹脂である。
【0076】
限定ではなく単に例示として、可撓スパイン50は、繊維に液体ポリマー樹脂を含浸させた後、加熱ダイを通して引き抜いて可撓スパイン50を形成するという連続成形工程によって製造され得る。連続成形工程は、繊維に樹脂を含浸させた後、別個の予成形システムによって、加熱静止ダイを通して引き抜いて樹脂を重合させる標準的な一方向引抜成形工程である。含浸は、繊維を浴槽に潜らせる、又は通常はダイに接続される注入チャンバに樹脂を注入することによって実行される。ポリエステル、ポリウレタン、ビニルエステル、及びエポキシなどの様々な種類の樹脂が、連続引抜成形で使用されてもよい。樹脂は環境への耐性(すなわち、耐食性、UV耐性、衝撃耐性など)を提供し、ガラスは可撓スパイン50に強度を提供する。
【0077】
本発明は、フォームブランク20の新規かつ革新的に引張強度及び圧縮強度を向上させることによって、サーフボードの物理的な強度及び耐久性を高めるという、市場で長く求められてきたニーズに応えるために発生した。本発明はまた、可撓スパイン50を用いたしなりの最適化によって、サーフクラフト性能が向上することを発見した。フォームブランク20(サーフボードのコア)のしなりパターンの制御は、どのようにサーフボード又はボディボードがしなり、サーフィンをするかに最終的に影響を及ぼす。次いで、サーフボード又はボディボードが速度を加速、駆動、維持する能力及び水中を移動する能力などの最も重要な変数も制御され得る。サーフィンでは、サーフボードが時間の経過と共に、弾性や反発力を失うことは一般的である。言い換えると、サーフボードの反応性は、時間の経過と共に低下する。本発明は、最初から良好な反応性を有するサーフボードを提供することが分かっているが、ユーザによって極めて有益なことに、このレベルの反応性が長期間維持される。
【0078】
図2~5に示される本発明の一実施形態は、最も一般的には、波乗りに適したサーフクラフト用改良フォームブランク20及びその製造方法を提供する。フォームブランク20は、ブランクの対向する上面21と下面22を有する。一対の成形レール23、24は、ブランク面縁部においてブランクの対向する上面21と下面22との間を延在する。中線軸28は、ノーズ領域27とテール領域28との間を延在し、フォームブランク20を2つの略均等な領域に分割し、各領域は各自の側で、中線軸28とレール23、24との間を延在する。上面21、下面22、及びレール23、24は、密閉コア空間25を形成する。少なくとも1つの長手延在溝穴60は、上面21、下面22、又はレール23、24のうち一又は複数に形成されるため、密閉コア空間25まで延在する。少なくとも1つの可撓スパイン50は、少なくとも1つの長手延在溝穴60内に固定されるように接合される。
【0079】
本発明の利点をよりよく理解するため、サーフクラフト用フォームブランク20におけるしなりの重要性を理解しなければならない。縦(垂直)及び捩り(水平)と2つの主なしなり分類が、サーフクラフトの性能を定義する。これらのしなり特徴は、サーフクラフトの反応性を決定し、性能向上のため、中でもサーファーの能力、サーフ状況、スタイル、及び体重に合わせて調整されるべきである。
【0080】
サーフクラフトを設計する際、縦しなりとライダーの重量との間に高い相関関係があることを考慮しなければならない。縦しなりは漸進的又は連続的であり得る。漸進的しなりとは、フォームブランク20の中心とノーズ27とテール26におけるしなりが、可撓スパイン50の位置によって調節される様々なレベルのしなりであり得ることを意味する。軽量のサーファーの場合、硬いボードは制御が難しく、敏感に反応できない。硬いボードは、連続的な駆動力及び速度を提供する傾向にある。縦しなりの軟らかいボードは、着水時の空中での操縦などフリースタイルのサーフィンに適する。
【0081】
捩りしなりは、レール23からレール24までのサーフクラフトの剛直性を測定する。軟らかくしなるボードはターンし易く、ライダーのインプットに対して非常に敏感に反応する。軟らかい捩りしなりは鋭いターンに役立ち、硬い捩りしなりはレール23、24の噛み合いを向上させ、力強いサーフィンにとって好ましい。したがって、捩りしなりにはより注意を払うべきである。
【0082】
性能を最適化するため、縦しなりと捩りしなりのバランスを検討し、サーフクラフトシェーパー及びサーファーの要望やニーズに合わせてカスタマイズする必要がある。従来、サーフクラフト構造のこの領域は、新たな研究開発が限定されてきた。本発明者らは、しなりパターンの制御は、サーフクラフト及びサーフィン(ライダーの体験)の進歩にとって必須の部分であると強く確信している。したがって、いつどのようにボード又はフォームブランク20がしなるかを操ることは、速度や操縦性などの重要な要因を制御し得るため、ボードの感覚を決定するのに有用である。可撓スパイン50を強化することは、サーフクラフトの動的感覚を向上させるためにも重要である。可撓スパインは力を吸収するようにしなり、エネルギーを分散及び保存して、自然な位置に跳ね返る。この反応(又は復帰速度)はホイップ効果を提供して、加速と駆動力を生成する。可撓スパイン50は、サーファーと波と連動してしなる、例えば、直線的に進みながら(最小しなり)速度を維持し、操縦するときにはしなるように設計されている。
【0083】
図2に示すように、フォームブランク20は、比較的軽量であるが、海を割る波に乗っている間、ボード上に立つ人を十分支え得る強靭な細長プラットフォームである。サーフボード、ボディボード、サーフスキー、パドルボード、ウェイクボード、及びウィンドサーフィンボードなどのサーフクラフトは従来、ポリウレタンフォームブランク20を所望形状に切断した後、ファイバーグラスなどの繊維強化プラスチックスキンで包囲する標準的な製造方法によって製造される。フォームブランク20は、単独の長手方向延在凹部又は溝穴60を有する。凹部又は溝穴60は、2つの側壁61及び略平坦下面又は床面62で形成される。凹部又は溝穴60は、デッキ21のほぼ全長にわたって延在し、フォームブランク20の中線軸28と整合される。溝凹部又は穴60は、フォームブランク20のノーズ27とテール26の両方から一定距離を置いて配置される。同様に、長手延在溝穴60は、両レール23、24から等距離間隔を置いて配置される。溝凹部又は穴60の端部は、正方形、円形、又はその他の任意の形状をとってもよく、同様に、溝穴又は凹部60に嵌合する可撓スパイン50の端部は、溝凹部又は穴60を補完する形状を有する。
【0084】
長手延在溝穴60は、フォームブランク20の上面又はデッキ21に形成される。典型的には、機械くり抜き機、電気くり抜き機、平かんな、又はCNC機が使用されて、フォームブランク20の上面又はデッキ21の一定領域を空洞化して、可撓スパイン50の設置用の凹状領域を正確に形成する。
図2では、可撓スパイン50は、フォームブランク20の中線軸28に沿って配置される。後述するように、可撓スパイン50の位置は、デッキ21のみに限定されない。可撓スパイン50は、上面又はデッキ21、下面22、レール23、24の一又は複数又はコア25内に配置され得る。同様に、複数の可撓スパイン50は、フォームブランク20の面21、22、23、24の一又は複数又はコア25に配置され得る。本発明の性質及び設計により、ユーザ又はサーファーは、フォームブランク20内の可撓スパイン50の位置を通じてボードのしなりパターンをカスタマイズすることができる。可撓スパイン50の位置はまた、制御された所望のしなりパターンを提供しつつ全体強度を向上し得る。
【0085】
可撓スパイン50の位置はまた、無ストリンガーブランク、例えば、EPS(発泡ポリスチレン)及び押出法ポリスチレンフォームブランク(XPS)などのポリスチレンブランク20にとっても特に重要である。上述したように、ストリンガー11は、サーフボード10の木製「バッグボーン」であり、ボードをより強固及び頑丈にするために、フォームブランク20の全長まで延在して支持梁を提供する耐久性の高い木製細片である。ストリンガー11が存在しない場合、フォームブランク20が破損又は破断するのを防止するその他の方法が必要である。EPS及び押出法ポリスチレンボードはより強固で軽量であるが、典型的にはしなりパターンが不良であり、圧縮による凹みが起こり易い。加えて、EPS及びXPSブランクは通常、過剰な(又は好ましくない)しなりパターンを有するため、性能を最適化するには、有益なしなりパターンを決定し生成する必要がある。EPS及び押出法ポリスチレンボードの両方に可撓スパイン50を追加し配置することで、ユーザ又はサーファーはボードのしなりパターンをカスタマイズできる。
【0086】
図3は、サーフクラフト用フォームブランク20の上面又はデッキ21及び下面22の平面図である。中線軸28は、フォームブランク20の中心を通過する。
【0087】
図4は、本発明の本実施形態に係る、フォームブランク20の上面又はデッキ21の長手方向延在凹部60内に配置および固定された可撓スパイン50の詳細を示す断面図である。断面図では、長手方向延在凹部又は穴60が、略平坦下面62の各端から上方に延びる2つの側壁61を有するC字状凹部として示される。凹部60と可撓スパイン50はいずれも補完形状であるため、可撓スパイン50は凹部60に正確に嵌合する。凹部60の深さは、凹部60に据えられたときに可撓スパイン50が対応する面、この場合、デッキ又は上面21と面一になるように設定される。
図4にはC字状凹部60が示されているが、収容する可撓スパイン50の形状に応じて変動する他の形状の成形凹部も利用し得る。
【0088】
ユーザ又はサーファーの様々な重量、スタイル、及び能力に対して要求が変動することを前提として、可撓スパイン50は多くの様々な形状、長さ、幅、及び厚さを有する。このため、サーフクラフトのユーザ又はサーファーの要求を満たすようにフォームブランク20をカスタマイズできる。
【0089】
図5は、本発明の例示的実施形態の更なる断面図である。同図は、フォームブランク20のコア25へ延在する長手延在溝穴60を示す。上述したように、穴60はC字状凹部として示されているが、他の形状も本発明から排除されない。例えば、穴60は、略円柱状可撓スパイン50を収容するように円形壁61、62を有してもよい。あるいは、凹部60は、補完形状の可撓スパイン50を収容するために四角形又は三角形として形成又は成形されてもよい。典型的には、可撓スパイン50の端部は、湾曲形状又は半円状であるが、端部は穴60の補完形状の端部に嵌合するように単に四方が削られているか、又は他の形状をとってもよい。
【0090】
図6及び10は、本発明によるサーフクラフト用フォームブランク20aの別の実施形態を示す。フォームブランク20aは、長手延在溝穴60及び可撓スパイン50が、フォームブランク20aのデッキ21の全長にわたって延在するという点で異なる。すなわち、可撓スパイン50は、フォームブランク20aのノーズ26からテール27まで延在する。
【0091】
図7及び8は、本発明の別の実施形態を示す。本実施形態におけるサーフクラフト用のフォームブランク30は、上面又はデッキ31と下面32の両方に形成された長手延在溝穴60を有する。両穴60は、可撓スパイン50を収容するように設計される。他の全実施形態と同様、フォームブランク30は、上面又はデッキ31、下面32、レール33、34、ノーズ36、及びテール37を有する。本実施形態では、両可撓スパイン50は中線軸38に設置され、フォームブランク30のコア35内へ一定距離延在する。その距離は通常、可撓スパイン50の高さ又は厚さによって決定され、可撓スパイン50の装着面と面31、32とを面一とするのに十分な高さ又は厚さとすべきである。
図8は、
図7の線B-Bに沿った断面図である。
【0092】
無ストリンガー設計では、可撓スパイン50は、フォームブランク30の両側でデッキ31と下面32に搭載される。ビーム効果を達成するため、少なくとも1つの穴が、2つの可撓スパイン50の下方で中線軸38上のコア35に形成され得る。次いで、穴に樹脂が充填されて、可撓スパイン50とコア35との間のリンクを形成し、無ストリンガーフォームブランク30にビーム効果をもたらす。これは、2つ以上の可撓スパイン50が、必ずしもフォームブランク30の上面又はデッキ31及び下面32の中線軸38上以外の異なる位置に設置されるときでも達成され得る。これにより、実質上、デッキの可撓スパイン50は下面の可撓スパイン50に固定されて、サーフクラフト用フォームブランク30のデッキ31から下面32までの個体二重強度を生成する。
【0093】
主に、本発明はEPS及び押出法ポリスチレンフォームブランクの無ストリンガー設計に適合するように設計されているが、本発明はストリンガー11を有するフォームブランクでも有用である。例えば、
図9は、ストリンガー11と、フォームブランク40の中線軸に沿ってストリンガー11の両側に設置された2つの可撓スパイン50と、を有するフォームブランク40の断面図である。
図7及び8と同様、可撓スパイン50は、フォームブランク40のデッキ41と下面42の両方に配置された穴60に置かれる。例えば、このフォームブランク40だけが、コア45を有するポリウレタンフォームから形成される。フォームブランク40の構造的一体性を維持するため、ストリンガー11は、ほぼテールからノーズまで延びるフォームブランク40の中間部に埋め込まれる。上述したように、フォームブランク40が分割され、ストリンガー11がフォームブランク40の2つの半分の間に接着剤で接着された後、ブランクが再接合されて一体フォームブランク40を形成する。
【0094】
典型的には、ストリンガー11は、ボード40の上面41及び下面42と面一になり、上面から下面までボードを延びるように設計される。次に、フォームブランク40がくり抜かれて、長手延在溝穴60を形成する。つまり、ストリンガー11の上面と下面の一部もくり抜かれて、凹部60を形成する。可撓スパイン50がコア45とストリンガー11の両方に接合されると、Iビーム効果が達成される。他の全実施形態と同様、フォームブランク40は、上面又はデッキ41、下面42、レール43、44、ノーズ、及びテール(図示せず)を有する。本実施形態では、両可撓スパイン50は、ストリンガー11の両側の中線軸に設置され、フォームブランク40のコア45へ一定距離延在する。フォームブランク40内の特定のしなりパターンを達成するため、可撓スパイン50はまた、フォームブランク40の上面41、下面42、レール43、44のうちの一又は複数に配置され得る。
【0095】
図11は、
図7及び8に示すフォームブランク30の別の変形を示す。フォームブランク30aは、可撓スパイン50とデッキ31及び下面32の凹状穴60とが、フォームブランク30aの全長にわたって、即ち、フォームブランク30aのノーズ36からテール37まで延在するという点においてのみ異なる。
【0096】
図12及び13は、可撓スパイン50がフォームブランク110及び120のレール113、114、123、124に使用される本発明の別の実施形態を示す。これは、フォームブランクのコア115、125の周囲にねじれを制御するフレームを有効に設けることによって、フォームブランク及びサーフクラフトの反応性を高めるのに役立つ。この特徴は、EPSボード110などの従来のストリンガーを備えていないサーフボードのオプションとして特に魅力的である。
図13に示すように、可撓スパイン50はまた、ストリンガー11を備えたPUフォームブランク120のレール123、124にも利用することができる。レール123、124内/上に可撓スパイン50を用いることで、構造フレームを形成し、フォームブランク120のねじれを最小化して、しなりを制御する。この方法は、フォームブランクとサーフクラフトをより迅速に応答させ(反応時間の向上)、速度と駆動力を高める。
【0097】
別の実施形態によると、フォームブランクは、ボディボード用フォームブランク140として利用されてもよい。
図14は、サーファー200が腹ばいで乗ったボディボードを示す。典型的には、腹ばいで乗っているとき、ユーザの腰はボディボードのテール147に乗り、両手はボードのノーズ146又はレール144に置かれ、足及び脚は水中にあり、ボディボードは平坦に保持されているはずである。ボディボードは、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、又は発泡ポリスチレンフォームのフォームブランク140が所望形状に切断されてボディボードのコアを形成するという標準的な製造方法によって従来作製される別の種類のサーフクラフトである。次に、コアは下面スキン材料152とデッキ材料151によって包囲されて、ボディボードのレール又は側縁部143、144まで延在する。
【0098】
図15~28に示すように、フォームブランク140は、フォームブランク140の2つの部分153、154間、又はフォームブランク140の上面141、下面142若しくはレール143、144の長手方向溝穴160内に挿入される可撓スパイン50を有する。あるいは、2つ以上の可撓スパイン50が、上記の部分又は面の組み合わせ内又は上に配置され得る。例えば、1つの可撓スパイン50が2つの部分153、154の間に配置され、別の可撓スパイン50が、フォームブランク140の上面141と下面142の両方の溝穴160に配置されてもよい。
【0099】
フォームブランク140は、ブランク面縁部においてブランクの対向する上面141と下面142との間を延在する一対の成形レール143、144を備えた対向する上面141及び下面142を有する。中線軸148は、ノーズ領域146とテール領域147との間を延在し、フォームブランク140を2つの略均等な領域に分割し、各領域は中線軸148とそれぞれの側のレール143、144との間を延在する。上面141、下面142、及びレール143、144は、密閉コア空間150を形成する。
【0100】
フォームブランク140は、ノーズ146からテール147までフォームブランク140を水平に延びる面250に沿って2つの部分に切断される。形成される2つの部分は、上部分153と下部分154である。上部分153は、デッキ又は上面141と切断面250によって形成された切断面155との間で形成される。下部分154は、下面142と切断面250によって形成された切断面156との間で形成される。上部分及び下部分153、154の切断面155、156は、切断面250に隣接し対向して配置される。可撓スパイン50は、フォームブランク140のノーズ146とテール147間を延びる中線軸148に沿って、切断面155、156の上部分及び下部分153、154間に挿入される。
【0101】
可撓スパイン50は、フォームブランク140の中線軸148に沿って、上部分又は下部分153、154の切断面155、156の一方に配置、固定、又は保持され得る。その後、フォームブランク140の可撓スパイン50、上部分153、及び下部分154が接合されて、可撓スパイン50が上部分及び下部分153、154間でフォームブランク140の密閉コア150に配置された一体フォームブランク140に改造する。
【0102】
フォームブランク130(
図43)と同様、
図19のボディボードフォームブランク140は、可撓スパイン50を収容するために隣接切断面155、156の一方又は両方に長手延在溝穴が利用されている本発明の別の実施形態を示す。
図19に示すように、長手延在溝穴158は、フォームブランク140のノーズ146とテール147との間を延びる中線軸に沿って延在する第2の切断面156内に配置される。同様に、長手延在溝穴157は、フォームブランク140のノーズ146とテール147との間を延びる中線軸に沿って延在する第1の切断面155に配置される。
【0103】
溝穴157、158は、可撓スパイン50の形状にほぼ一致するように成形される。したがって、溝穴157、158の形状、深さ、長さ、及び幅は、対応する可撓スパイン50に応じて変動する。同様に、2つ以上の穴157、158が、2つ以上の可撓スパイン50を設けるために第2の切断面156又は第1の切断面155に配置されてもよい。各溝穴157、158は、フォームブランク140の第1及び第2の部分153、154のそれぞれ又は一方のコア150へ延在する深さを有する。その深さは、可撓スパイン50の深さ又は厚さと、後述するように溝穴157、158の位置とに依存する。
【0104】
溝穴157、158の深さはまた、一方又は両方の切断面155、156がくり抜かれさえすれば変更され得る。例えば、
図19に示すように第1及び第2の切断面155、156が両方とも長手延在溝穴157、158を有する場合、溝穴157、158の深さは典型的には、可撓スパイン50の深さ又は厚さの半分と等しくなる。つまり、可撓スパイン50の製造中、溝穴158内に固定されるとき、可撓スパインは溝穴158内及び第2の切断面156の高さより上に位置する。一体フォームブランク140に改造するため、上部分153が上に置かれ、フォームブランク140のコア150内に可撓スパイン50を封入する。あるいは、可撓スパイン50は溝穴157内に固定することができ、可撓スパインは、溝穴157内及び第1の切断面155の高さより上に位置する。一体フォームブランク140に改造するため、下部分154が上に置かれ、フォームブランク140のコア150内に可撓スパイン50を封入する。この構造では、対応する溝穴157、158は、相互に鏡像として配置される。例えば、第2の切断面157の溝穴158は、第1の切断面155の溝穴157の複製のように見えるが、水平切断面250と垂直な方向に反転されている。
【0105】
別の代替的実施形態では、1つのみの溝穴157又は158は、第1又は第2の切断面155、156にくり抜かれてもよい。本実施形態では、溝穴157又は158の深さは、可撓スパイン50の深さ又は厚さと略均等であってもよい。つまり、可撓スパイン50が溝穴157又は158に固定されると、可撓スパイン50の上面は第1又は第2の切断面155、156と面一になる。一体フォームブランク140に改造するため、溝穴157、158のない部分153、154が被せられて、フォームブランク140の部分153、154の溝穴157、158に可撓スパイン50を封入する。
【0106】
図18及び19は、
図15の線C-Cに沿った断面図である。
図18は、長手方向溝穴が設けられず、可撓スパイン50が単に2つの部分153、154間に挿入されて相互に接合され、一体フォームブランク140を形成している実施形態を示す。
図19は、上述したように、2つの長手延在溝穴157、158が各切断面155、156に位置する別の実施形態を示す。
【0107】
フォームブランク140の上部分及び下部分153、154は、2つの部分153、154を約半分に切断する切断面250に沿って分割される。いくつかの実施形態では、切断面250は、他方の部分よりも一方の部分153、154に多く配置することで、フォームブランク140のコア150内の可撓スパイン50の位置を変動させ得る。上述したように、フォームブランク140のコア150内の可撓スパイン50の位置は、フォームブランク140から作製されるボディボードの物理的な強度及び耐久性を向上させ得る。また、可撓スパイン50を用いたしなりの最適化によって、ボディボードの性能が向上することが分かった。フォームブランク140(ボディボードのコア)のしなりパターンの制御は最終的に、どのようにボディボードがしなり、波に乗るかに影響を及ぼす。
【0108】
上述したように、フォームブランク140は、略半分に切断されて上部分及び下部分153、154を形成する。任意の種類のフォームカッターを使用することができ、例えば、熱線フォームカッター又は鋸を使用して、ノーズ146からテール147までフォームブランク140の全長にわたって延びる水平面250に沿って切断することができる。熱線フォームカッターは、大抵の場合ニクロム又はステンレス鋼から成る薄くピンと張った金属ワイヤ、又は所望形状に予め成形された太いワイヤから成り、電気抵抗を介して約200℃まで加熱される。
【0109】
ワイヤがフォームブランク130を通過する際、ワイヤからの熱は接触前にフォームを蒸発させる。
【0110】
フォームブランク140に使用される可撓スパイン50は、フォームブランク20、130に使用される可撓スパイン50と比較すると長さのみが異なる。
【0111】
図20~24は、フォームブランク140内の可撓スパイン50のいくつかの代替的配置を示す。
図20は、単独の長手方向延在凹部又は溝穴160を示す。凹部又は溝穴160は、可撓スパイン50を収容するために2つの側壁163、164、第1及び第2の端部161、162、及び略平坦な下面又は床面で形成される。凹部又は溝穴160は、デッキ141のほぼ全長にわたって延在し、フォームブランク140の中線軸と位置合わせされる。溝凹部又は穴160は、フォームブランク140のノーズ146とテール147の両方から一定距離間隔を置いて配置される。同様に、長手延在溝穴160は、両レール143、144から等間隔を置いて配置される。溝凹部又は穴160の端部161、162は、四角形又は円形とすることができ、同様に、溝穴又は凹部160に嵌合される可撓スパイン50の端部は、溝凹部又は穴160を補完する形状を有する。あるいは、端部161、162は、可撓スパイン50の端部に対応する任意の形状をとり得る。
【0112】
長手延在溝穴160は、機械くり抜き機、電気くり抜き機、平かんな、又はCNC機を用いて上面又はデッキ14に形成され、上面又はデッキ141のある領域を空洞化し、可撓スパイン50を設置するための凹状領域を正確に形成する。あるいは、穴160は、任意の種類のフォームカッター、例えば、熱線フォームカッターを用いて形成されてもよい。熱線フォームカッターを用いる際、デッキ141から切断される片170は、フォームブランク140の上面を改造する際に利用され得る。
図20は、上壁171、端壁172、174、及び下部分173を有する切断片170を示し、完成したフォームブランク140の組立時、可撓スパイン50に挿入して、可撓スパイン50と共にコア150に接合され得る。
【0113】
可撓スパイン50は、フォームブランク140の中線軸に沿って配置される。可撓スパイン50の配置は、デッキ141のみに限定される。可撓スパイン50は、上面又はデッキ141、下面142、又はレール143、144のうちの一又は複数に配置され得る。同様に、複数の可撓スパイン50は、フォームブランク140の面141、142、143、144のうちの一又は複数に配置されてもよい。本発明の性質および設計により、ユーザ又はサーファーは、フォームブランク140内への可撓スパイン50の配置を通じてボードのしなりパターンをカスタマイズすることができる。可撓スパイン50の配置はまた、制御された所望しなりパターンを提供しつつ、全体強度を高めることができる。
【0114】
図21は、可撓スパイン50及びインサート170が接合されて一体フォームブランク140を形成するフォームブランク140の平面図である。
図22は、フォームブランク140の斜視図であり、長手方向延在穴又は凹部160の明瞭化のため、可撓スパイン50とインサート170が取り除かれている。上述したように、凹部又は溝穴160は、可撓スパイン50を収容するため、2つの側壁163、164、第1及び第2の端部161、162、及び略平坦な下面又は床面165で形成されている。凹部又は溝穴160はデッキ141のほぼ全長にわたって延在し、フォームブランク140の中線軸148と位置合わせされる。溝凹部又は穴160は、ノーズ146とテール147の両方から一定距離を置いて配置され、フォームブランク140のコア150内へ延在する。
【0115】
図23は、
図21のフォームブランク140の線D-Dに沿った部分を示す。図示されるように、インサート170及び可撓スパイン50はコア150に接合されている。可撓スパイン50は、長手方向延在穴160内に位置し、壁163、164及び床壁又は下壁165に包囲される。
【0116】
図24は、インサート170と可撓スパイン50を伴う分解断面図である。また、
図24に示すように、フォームブランク140は、下面スキン材料152及びデッキ材料151によって包囲され、ボディボードのレール又は側縁部143、144まで延在する。下面スキン又は光沢材料152は通常、高密度ポリエチレン(HDPE)である、又はより高級な種類のボディボードでは、デュポン社製Surlynであり得る。デッキ材料151及びレールは、独立気泡若しくは架橋ポリエチレン又はポリプロピレン材料又は連続気泡フォーム材料から作製され得る。
【0117】
図25は、
図21の線D-Dに沿ったフォームブランク140の別の実施形態の断面図であり、本実施形態では、2つの長手方向延在穴160が設けられ、一方は上面又はデッキ141に位置し、他方は下面142に位置する。各穴160では、インサート170と可撓スパイン50がコア150に接合される。可撓スパイン50は長手方向延在穴160内に配置され、壁163、164と床及び下壁165に包囲される。
【0118】
図26~28は、3つの可撓スパイン50が、フォームブランク140のコア150に挿入されている別の実施形態を示す。第1の可撓スパイン50は、上述したように中線軸148に沿って配置され、フォームブランク140のノーズ146からテール147までフォームブランク140のほぼ全長にわたって延在する。残りの2つの可撓スパイン50は、中線軸148の両側に対称に間隔を置いて配置され、第1の可撓スパイン50とレール143、144との間に位置する。外側可撓スパイン50の長さは、中線軸可撓スパイン50よりもわずかに短い。
【0119】
図24と同様、
図28は、フォームブランク140及び3つの可撓スパイン50を備えた完成したボディボードを示す。
【0120】
図示されていないが、
図23又は25のフォームブランク140を使用する本発明の別の実施形態では、可撓スパイン50が、フォームブランク140のレール143、144に更に配置される。これは、フォームブランクのコア150の周囲にねじれを制御するフレームを有効に設けることによって、ボディボードの反応性を高めるのに役立つ。この特徴は、ストリンガーを備えていないボディボード用のオプションとして特に魅力的である。レール143、144内/上に可撓スパイン50を使用することで、構造フレームを形成し、ボードのねじれを最小化して、しなりを制御する。この方法は、ボードをより迅速に応答させ(反応時間の向上)、速度と駆動力を高める。
【0121】
図29~37は、可撓スパイン50に利用可能な様々なオプション及び構造を示す。可撓スパイン50、コア135、長手方向延在穴255、256、化学結合材、可撓スパイン50全体を延在する通路55間の良好な結合を提供するため、可撓スパイン50が化学結合材によってフォームブランク130に固定される際、化学結合樹脂は、通路55を通過して、可撓スパイン50をフォームブランク130に固定するのを更に助けることができる。
【0122】
図29に示すように、通路又は穴55は概ね細長であり、大部分が、可撓スパイン50の中間部を長手方向に延びる中線軸と略平行に延在する。図示するように、細長穴55は、可撓スパイン50の外周に隣接し、長い側部51、52と端部53、54との間に位置する。
【0123】
あるいは、
図30~32に示すように、穴55はより円形であり、群で配置され、可撓スパイン50に沿って延在する。具体的には、円形穴55は、各端部と可撓スパイン50の中間部に配置され、可撓スパイン50に沿って一定距離を延在する。通路と同様、円形穴55も可撓スパイン50全体にわたって延在する。
【0124】
図33及び34は、通路55が、幅にわたって又は可撓スパイン50の側部51、52に垂直に延在する別の代替通路55を示す。通路55の各端部は、可撓スパイン50の側部51、52に隣接して配置される。通路55は、可撓スパイン50の各端部53、54に群で配置される、又は
図34に示すように可撓スパイン50の中間部に配置され得る。先の全通路又は穴55と同様、これらの通路は可撓スパイン50全体にわたって延在する。
【0125】
図35及び36は、通路55の別の代替例又は構造を示す。この構造では、長手方向延在穴55は、
図35に示すように、各端部53、54から可撓スパインに沿って一定距離を延びて配置される。この構造では、3つの通路55は、各端部53、54から可撓スパイン50に沿って一定距離を延在する。中間通路55は、可撓スパイン50の中線軸に沿って、他の2つの通路55よりも端部53、54に近く延在する。他の2つの通路55は、側部51、52に隣接して配置され、3つの全通路は、可撓スパイン50の側部51、52に平行に延びる。
図36は、
図35と類似の可撓スパイン50の別の実施形態を示す。中間通路55は、可撓スパインの中線軸に沿って可撓スパイン50のほぼ全長を延在する。先の全通路又は穴55と同様、
図35及び36の通路55は、可撓スパイン50全体にわたって延在する。
【0126】
図37は、
図35の可撓スパイン50と、図示されるような線F-Fに沿った可撓スパイン50の様々な断面形状を示す。可撓スパイン50は矩形断面形状を有するように示されているが、他のオプションも利用可能であり、本発明から除外されない。様々な断面形状のいくつかを
図37に示し、A~Eと称する。
【0127】
図38に示すように、可撓スパイン50の端部53、54は、図示され53-53Cと称されるような任意の形状をとり得る。
【0128】
図39~42は、本発明の可撓スパイン50を備えたフォームブランクにとって可能ないくつかの別の例示的実施形態を示す。
図39は、フォームブランク70のデッキ71の凹状穴60に設置されて、ノーズ76からテール77までフォームブランク70の全長に沿って延びる3つの可撓スパイン50を有するフォームブランク70を示す。1つの可撓スパイン50がフォームブランク70の中線軸に沿って配置され、2つの追加可撓スパイン50が中線軸の両側に対称に間隔を置いて配置される。フォームブランク70の下面71では、単独の可撓スパイン50が、ノーズ76からテール77までフォームブランク70の全長に沿って延びる。別の2つの可撓スパイン50は、ノーズ76に隣接して配置され、フォームブランク70の下面72に沿って一定距離延在し、ノーズ76においてフォームブランク70の下面を強化する。2つの追加のセットの可撓スパイン50が、テール77に隣接して配置され、フォームブランク70の下面72に沿って一定距離延在し、計3つの可撓スパイン50が中線軸の両側に設けられる。これらの可撓スパイン50は、サーファーが足を置く位置でフォームブランク70の下面72を補強するために使用される。
【0129】
図40は、サーフクラフト用フォームブランク80上の可撓スパイン50の別の例示的組み合わせを示す。本実施形態では、可撓スパイン50は、相互に隣接して配置され、デッキ81のノーズ86からテール87までの一定距離を延在する。ノーズ86では、3つの可撓スパイン50が各自の凹状穴60に配置され、1つはフォームブランク80の中線軸に沿って延び、別の2つは中線軸の両側に対称に配置される。テール87では、3つの可撓スパイン50のうち2組が、デッキ81の凹状穴60に嵌合され、中線軸の両側に対称に配置される。フォームブランク80の下面82には、3つの可撓スパイン50のうち1組が相互に隣接して配置され、テール87からフォームブランク80に沿って一定距離延在する。
【0130】
図41は、本発明の別の例示的実施形態を示す。本実施形態では、フォームブランク90のデッキ91では、2つの可撓スパイン50は、サーフクラフト用フォームブランク90の中線軸の両側に対称に、一定距離間隔を置いて配置される。両可撓スパイン50は、フォームブランク90のテール97近傍からノーズ96まで延在する。フォームブランク90の下面92では、中心可撓スパイン50は、フォームブランク90のほぼ全長にわたって、フォームブランク90の中線軸に沿って延びる。追加の2セットの可撓スパイン50は、中線軸の両側に対称に配置され、フォームブランク90の中心からノーズ96及びテール97に向かって一定距離延在する。
【0131】
図42は、本発明の別の例示的実施形態を示す。フォームブランク100は、デッキ101及び下面102の凹状穴60に配置された可撓スパイン50の組み合わせを有する。他の全実施形態と同様、フォームブランク100は、上面又はデッキ101、下面102、レール103、104、ノーズ106、及びテール107を有する。本実施形態では、先の全実施形態と同様、可撓スパイン50は、上面と下面に設置され、サーフクラフト用フォームブランク100のコア105へ一定距離延在する。
【0132】
本発明はまた、別の実施形態に係るサーフクラフト用フォームブランク130を提供する。
図43に示すように、フォームブランク130はサーフボード用である。フォームブランク130は対向する上面131と下面132を有し、一対の成形レール133、134が、ブランク面縁部においてブランクの対向する上面131と下面132間を延在する。中線軸は、ノーズ領域136とテール領域137間を延び、フォームブランク130を2つの略均等な領域に分割し、各領域は、中線軸とそれぞれの側のレール133、134との間を延在する。上面131、下面132、及びレール133、134は、密閉コア空間135を形成する。
【0133】
フォームブランク130は、ノーズ136からテール137までフォームブランク130を水平に延びる面250に沿って2つの部分に切断される。形成される2つの部分は上部分138と下部分139である。上部分138は、デッキ又は上面131と切断面250によって形成される切断面との間に形成される。下部分139は、下面132と切断面250によって形成される切断面との間に形成される。上部分及び下部分138、139の切断面は、切断面250に隣接し対向して位置する。可撓スパイン50は、切断面の上部分及び下部分138、139間に、フォームブランク130のノーズ136とテール137との間を延びる中線軸に沿って挿入される。
【0134】
可撓スパイン50は、フォームブランク130の中線軸に沿って、上部分又は下部分138、139の切断面の一方に、配置、固定、又は保持され得る。次に、フォームブランク130の可撓スパイン50、上部分138、及び下部分139が接合されて、可撓スパイン50が上部分及び下部分138、139間でフォームブランク130の密閉コア135内に配置された一体フォームブランク130に改造する。
【0135】
実施形態は、サーフクラフトのフォームブランク130のフォームコア135に挿入される繊維強化樹脂スパイン50を提供する。可撓スパイン50は、接着剤又は樹脂などを用いて、フォームブランク130の2つの対向切断面間で接合される。接着剤又は樹脂などは、可撓スパイン50と共に上部分及び下部分138、139を有効に再接合して、一体フォームブランク130を形成する。接着剤又は樹脂は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、及びビニルエステル樹脂を含んでもよい。2つ以上の可撓スパイン50は、隣接切断面間の、ユーザの所望する所要のしなりパターンによって定められる任意の数の位置に配置され得る。
【0136】
上述したように、可撓スパイン50は、引張(引き)力、圧縮(押圧)力、せん断力、しなり、又は捩り(ねじれ)の結果として加えられる力により形状又はサイズが変化するという点で弾性的に変形可能である。可撓スパイン50が弾性的に変形可能であることは、つまり、変形が可逆的であることを意味する。いったん力が加わらなくなると、可撓スパイン50は元の形状に戻る。
【0137】
上記実施形態は、
図43~53に示され、概して言えば、波乗りに適した改良サーフクラフトフォームブランク130及びその製造方法を提供する。
図44に示すように、フォームブランク130は細長プラットフォームであり、比較的軽量だが、海を割る波に乗っている間、ブランク上に立っている人を十分支え得るほど強靭である。上述したように、いくつかの異なるサーフボードブランク130が現在市販されている。例えば、典型的なサーフボードブランク130は、ポリウレタン(PU)フォームブランク、ポリスチレンフォームブランク、発泡ポリスチレン(EPS)フォームブランク、又は押出法ポリスチレンフォームブランクから成る群から選択される。
【0138】
サーフボードを選択する際に主要な決定要因の1つは重量である。ボードが軽量であるほど、浮力が大きくなり浮揚性が高くなる。どのくらい材料が圧縮されたかに応じて、フォームの種類毎に様々な密度レベルを有し得る。典型的には、EPSは2つのポリスチレンオプションのうち軽い方であり、ポリスチレンはポリウレタンフォームよりも軽量である。
【0139】
可撓スパイン50をフォームブランク130に挿入するため、ブランクを切断して上部分及び下部分138、139を形成する必要がある。任意の種類のフォームカッターを使用することができ、例えば、熱線フォームカッター又は鋸を使用して、ノーズ136からテール137までフォームブランク130の全長にわたって延びる水平面250に沿って切断を行い得る。
【0140】
図46及び48は、2つの部分である上部分138と下部分139を形成するように切断された後のフォームブランク130を示す。上部分138は、フォームコアを包囲するデッキ又は上面131及び第1の切断面251によって形成される。下部分139は、フォームコアを包囲する下面132及び第2の切断面252によって形成される。第1及び第2の対向隣接切断面251、252は、フォームブランクの切断後に形成される。フォームブランク130は、略半分に切断されて2つの略均等な部分138、139を形成する。可撓スパイン50は、ノーズ136とテール137との間をフォームブランク130のほぼ全長にわたって延在する。フォームブランク130は、多数の様々な切断面に沿って、非均等に部分138、139を切断し得る。ここでも、可撓スパイン50の位置決めは、エンドユーザのしなりパターン要求に依存する。よって、可撓スパイン50は様々な位置をとる。
【0141】
図47は、可撓スパイン50が第1及び第2の部分138、139の間に配置されて接合されて、一体フォームブランク130を形成する、改造された又は再接合されたフォームブランク130を示す。
【0142】
図49及び50は、
図44の線H-Hに沿った断面図である。
図49は、可撓スパイン50が内部に配置された改造されたフォームブランク130を示しており、
図50は、改造され共に接合される前の上部分及び下部分138、139と可撓スパイン50の分解図である。
【0143】
図51及び52は、改造されたフォームブランク130の上面図と、
図44の線I-Iに沿った断面図である。
図51に示すように、可撓スパイン50は、フォームブランク130のノーズ136とテール137との間を延びる中線軸の両側で延在する。
図52は、可撓スパイン50が、ノーズ136とテール137との間でフォームブランクのほぼ全長に沿って延在し、デッキ又は上面131と下面132の間に平行に延びていることを示す。可撓スパイン50の可撓性のため、
図52はまた、可撓スパイン50を屈曲させて、より顕著なロッカーを提供し得ることを示す。顕著なロッカーは、急な降下に対処し易く、急なターンを容易にするだけでなく、直線的に進む場合はボードを減速させる。可撓スパイン50の配置により、サーフクラフトシェーパーは、サーフクラフトのロッカーをより正確かつ厳密に設定することができる。可撓スパインの可撓性により、ボードはサーファーの特定のニーズに対応するように屈曲させることができる。多用性により、幅広い設計が可能になる。主に無ストリンガーボード向けに設計されているが、ボードに可撓スパイン50を導入してロッカーを調節することは、ストリンガーを備えたボードでも達成し得る。ボードのロッカーは、ストリンガー曲げフレームなどの曲げ機構を使用して調節され得る。
【0144】
図53は、
図44の線H-Hに沿った別の断面図であり、ノーズ部を含む上半分は、フォームブランク130の下テール部の上部分及び下部分138、139間に封入された可撓スパイン50の位置を示すために取り除かれている。
【0145】
図54~56は、長手方向溝穴255が、可撓スパイン50を収容するために切断面251、252の一方又は両方に形成されている、本発明の別の実施形態を示す。
図54に示すように、長手延在溝穴255は、第2の切断面252に配置され、フォームブランク130のノーズ136とテール137との間を延びる中線軸に沿ってその両側で延在する。溝穴255は、可撓スパイン50の形状にほぼ合致するように成形される。したがって、溝穴255の形状、深さ、長さ、及び幅は、対応する可撓スパイン50に応じて変動する。同様に、2つ以上の穴255が、第2の切断面252又は第1の切断面251に配置されて2つ以上の可撓スパイン50を設けてもよい。
【0146】
各溝穴255、256は、フォームブランク130の第1及び第2の部分138、139のそれぞれ又は一方のコア135へ延在する深さを有する。その深さは、可撓スパイン50の深さ又は厚さ、及び後述するように溝穴255、256の位置に依存する。
【0147】
切断面251、252の一方又は両方がくり抜かれている場合、溝穴255の深さは変動させ得る。例えば、
図56では、第1及び第2の切断面251、252はいずれも長手延在溝穴255、256を有し、溝穴255、256の深さは通常、可撓スパイン50の深さ又は厚さの半分に等しい。つまり、可撓スパイン50の製造中、溝穴255内に固定されるとき、可撓スパインは溝穴255内及び第2の切断面252の高度の上に位置する。一体フォームブランク130に改造するため、上部分138が上に置かれ、フォームブランク130のコア内に可撓スパイン50を封入する。あるいは、可撓スパイン50は溝穴256内に固定することができ、可撓スパインは、溝穴256内及び第1の切断面251の高度の上に位置する。一体フォームブランク130に改造するため、下部分139が上に置かれ、フォームブランク130のコア内に可撓スパイン50を封入する。この構造では、対応する溝穴255、256は、相互に鏡像として配置される。例えば、第2の切断面252の溝穴255は、第1の切断面251の溝穴256の複製のように見えるが、水平切断面250と垂直な方向に反転されている。
【0148】
別の代替的実施形態では、1つのみの溝穴255又は256が、第1又は第2の切断面251、252に形成されてもよい。本実施形態では、溝穴255又は256の深さは、可撓スパイン50の深さ又は厚さと略等しい。つまり、可撓スパイン50が溝穴255又は256に固定されると、可撓スパイン50の上面は、第1又は第2の切断面251、252と面一になる。一体フォームブランク130に改造するため、溝穴255、256がない部分138、139が被せられて、フォームブランク130の部分138、139の溝穴255、256に可撓スパイン50を封入する。
【0149】
図56は、各切断面251、252に配置された2つの長手延在溝穴255、256を示す、
図55の線J-Jに沿った断面図である。フォームブランク130の上部分及び下部分138、139は、略半分に2つの部分138、139を切断する切断面250に沿って分割される。いくつかの実施形態では、切断面250は、一方の部分138、139を他方の部分よりも大きくできるため、可撓スパイン50の位置をフォームブランク130のコア135内で変化させ得る。上述したように、フォームブランク130のコア135内の可撓スパイン50の位置は、フォームブランク130から作製されるサーフクラフトの物理的な強度及び耐久性を高めることができる。また、可撓スパイン50を用いたしなりの最適化によって、サーフクラフトの性能が向上することが分かった。フォームブランク130(サーフボードのコア)のしなりパターンの制御は最終的に、どのようにボディボードがしなり、波に乗るかに影響を及ぼす。
【0150】
上記実施形態について例示したが、本発明は、経験を積んだ又は初心者のサーファーに適するようにいくつかの異なる構造で実行され得ると理解すべきである。可撓スパイン50の様々な位置決めオプションは、フォームブランクのそれぞれの位置によって提供される利点毎に要約される。例えば、長手方向に装填される場合(フォームブランクの長さ)、可撓スパイン50はフォームブランクのデッキ、下面、又はその両方に装填され得る。ウェイブボード用の小型フォームブランクでは、圧縮が問題となることが多いため、可撓スパイン50はデッキに配置され得る。大波向けのサーフボード用フォームブランクでは、破損がボードの下面でしばしば生じるため、可撓スパイン50は屈曲強度を追加するのに良好なオプションである。
【0151】
可撓スパインがフォームブランクのレール上に配置されるとき(
図12及び13)、フォームブランクの周囲にねじれを制御するフレームを生成するため、より反応性が高いフォームブランクを提供するのに役立つ。これは、従来のストリンガーを備えていないサーフボード(例えば、EPSボード)にとってのオプションとして特に魅力的である。可撓スパイン50がフォームブランクにわたって装填されると、剛性及び強度の両方を追加する。同様に、可撓スパイン50がちょうどレール内に置かれると、サーフクラフト用フォームブランクの強度としなりを微調整することができる。
【0152】
可撓スパイン50が断面長に置かれると、強度及びしなりが所望される場合はいつでも方向性しなりを提供する。この1例がサーフボードのテール上であり、可撓スパイン50がデッキの凹状穴60に挿入されて、最も大きな圧力が加えられる領域である「かかととつま先」下に圧縮強度を提供する。圧縮強度に加えて、この位置は、テールにさらに剛直性をもたらし、サーフボードから大きな駆動力を生成するのにも有益である。したがって、サーフボードの各領域において、特定のサーファー及びサーフィン状況に適合するしなりが達成される。
【0153】
上述したように、可撓スパイン50は、木材ストリンガー11又は高密度フォームストリンガーを備えた従来のPUブランク、例えば、高密度フォームストリンガー11を備えたEPSブランクと併せて利用され得る。可撓スパイン50は単に、ブランクを更に強化し、構造強度を追加する(大波用ボードにとって有益なパターン)。可撓スパインはまた、例えばテール強化のために狭い表面積に配置することによって併せて使用され得る。現在、テールに強度を追加するため、ボードの製造業者らは、限定ではないが炭素、インネグラ、玄武岩、ポリプロピレン(PP)、及びカルバーなどの積層材料を使用している。可撓スパイン50は、ずっと有効な代替物であり、デッキ積層ではなくフォームブランクのコアの有効部である。可撓スパイン50はまた、表面積層、例えば、木材型スキンや空間複合物強化スキンなどの複合物スキン、炭素などの織布、PP(ポリプロピレン)、玄武岩、インネグラ、アラミド、多方向編み、一般的なファイバーグラス、S2ガラス、不織布(PP(ポリプロピレン)を使用する単方向及び多方向の両方)、炭素、インネグラ、玄武岩、及びアラミドなどの強化繊維と組み合わせて使用され得る。
【0154】
従来のストリンガーボードでは、ロッカー形状は、ストリンガーの配置によって決定され、ストリンガーの設置後は容易に変更することができない。典型的には、フォームブランクは、シェーパーが大幅ではないがわずかに変更し得る特定のロッカーに至る。ロッカーが大きくなるほど、急な降下に対処し易くなり、急なターンを容易にするだけではなく、直線的に進む場合はボードを減速する。
【0155】
購入時にブランクに製造されるロッカーは天然ロッカーと称され、フォームブランクが対応するのに十分な厚さを有する場合のみ、成形工程を通じて変更され得る。最新の「精密公差」フォームブランクは通常、主要な下面のロッカー調節を行うには薄すぎる。しかしながら、特にテール及びノーズでわずかな変更を加え得る。大抵の場合、ロッカーは、所望のロッカー形状がフォームブランクに「嵌合」するまでボードのテンプレートを前後に移動させることによって調節され、フォームは、 端点ロッカーの測定値に達するまでフォームブランクの各端から除去される。次に、端点ロッカーはフォームブランクの天然ロッカーの中間部に溶け込み、乱流や抵抗の原因となるロッカーの平坦スポットや急激な変化が生じる可能性を最小限に抑える。
【0156】
本発明の可撓スパイン50の配置を通じて、サーフクラフトシェーパーはサーフクラフトにより正確かつ厳密なロッカーを形成することができる。可撓スパイン50の可撓性により、ボードはサーファーの特定のニーズに対応するように屈曲させることができる。多用性は多数の設計可能性を可能にする。主に無ストリンガーボード向けに設計されているが、可撓スパイン50をフォームブランクに挿入してロッカーを調節することは、ストリンガーを備えたフォームブランクでも実行することができる。ボードのロッカーは、ストリンガー曲げフレームなどの曲げ機構を使用して調節し得る。
【0157】
被接合又は接合、特にサーフクラフトの製造に関連して本発明では、クラフトの2つの異なる部分を接合できることについて言及している。化学結合を有する材料もあれば、機械的結合を必要とする材料もある(例えば、溝跡をつけ樹脂の良好なエッチング及び保持/接合するのを助けるため、製品をやすりがけする必要がある)。可撓スパイン50は、サーフクラフトの製造に使用される既存の樹脂と良好に結合する複合物材料として製造される。可撓スパイン50は、典型的なサーフボード製造材料と協働するため、ユーザに優しく特定用途に合うように設計されている。
【0158】
可撓スパイン50は、サーフクラフト用フォームブランクに美観を追加して、ユーザ又はサーファーに独自のデザインのボードを提供するために利用することができる。可撓スパイン50は、色を同期させるため、市場で使用される一般的なロゴ、フィンプラグ、及びリーシュプラグと合致させ得る様々な人気の色で提供することができる。設計は、サーフボードメーカーとサーファーのニーズとの完全な両立性のため、様々な幅、長さ、厚さ、及び重量の可撓スパイン50の使用によってさらに向上する。可撓スパインは、可撓スパイン50に独特な別の視覚的美観を提供し得る穴を用いることでさらに向上する。可撓スパイン50が製品下に接合されると仮定すると、可撓スパイン50の下、上、又は周囲には目に見える接着剤の痕跡がない。これは、樹脂又はフォーム接着剤がストリンガーの側部及び上方の両方で可視になる、フォームブランクに置かれた既存の木製ストリンガーとは異なる。可撓スパイン50は、フォームブランクのコアに配置される。溝穴の面でのみ使用されるとき、フォームブランクは、既存の木材ストリンガーのように垂直又は水平に完全に切断する必要がない。しかしながら、可撓スパイン50がフォームブランクのコア内に配置されるとき、フォームブランクは半分に又はエンドユーザに要求される場所で切断される。
【0159】
単に例示として、可撓スパイン50は、以下の変形のうち一又は複数で提供され得る。
1.1つ又は2個が軟質可撓スパインである。
2.3~5個が中程度の可撓スパインである。
3.6~8個が硬質可撓スパインである。
4.9または10個が超硬質可撓スパインである。
【0160】
可撓スパイン50内の材料の組成物に基づき、実際の可撓スパイン50のしなりパターンが決定される。したがって、可撓スパイン50の位置はボードのしなりの制御を決定するのに役立つが、可撓スパイン50の実際の組成物も重要な役割を果たす。例えば、サーフクラフト20の全く同じ位置に、組成物の異なる2つの可撓スパイン50を設けることで、異なるしなりが生じる。
【0161】
本発明はまた、少なくとも1つの可撓スパインがコア又は一方の外面に配置され、フォームブランクのコアへ延在するフォームブランクからサーフクラフトを製造する方法、又はそれらの方法の組み合わせを含む。
【0162】
上述したように、サーフクラフトは、サーフボード、ボディボード、スタンドアップパドルボード(SUP)、サーフスキー、ウィンドサーフィンボード、カイトボード、ニッパーボードやレーシングマルなどのサーフライフセービングクラフト、スキムボード、及びウェイクボードから成る群のうちの任意の1つとすることができる。上記の大半に関して、典型的なサーフクラフトは、ファイバーグラス布及びポリエステル樹脂の外殻を備えた剛性ポリウレタンフォームコアを有する。対照的に、ボディボードは剛性ポリウレタンフォームコアを有し、下面スキン又は光沢材料は通常、高密度ポリエチレン(HDPE)であり、デッキ材料及びレールは、独立気泡又は架橋ポリエチレン又はポリプロピレン材料又は連続気泡フォーム材料から作製され得る。
【0163】
フォームブランクの製造方法は、ボディボードフォームブランクとサーフクラフトフォームブランクの両方で類似し、後述するように、サーフクラフトの仕上げ方法のみが異なる。
【0164】
サーフクラフトブランクに関しては、第1のステップは、所望のサーフクラフトフォームブランクを提供することである。上述したように、いくつかの異なるサーフクラフトブランクが、現在市販されている。例えば、典型的なサーフクラフトブランクは、ポリウレタン(PU)フォームブランク、ポリスチレンフォームブランク、発泡ポリスチレン(EPS)フォームブランク、又は押出法ポリスチレンフォームブランクから成る群から選択される。
【0165】
いったんフォームブランクの種類が選択されれば、次のステップはブランクを成形することである。所望のボード形状の大まかな輪郭がブランクから切断され、その輪郭が機械加工され、かんながけされた後、やすりがけされる。上述したように、少なくとも1つの及び/又は複数の可撓スパイン50は、フォームブランクのコアの周囲または内部のいくつかの異なる位置に配置され得る。単に例示として、フォームブランクのコア内に配置されるとき、第1のステップは、切断面250に沿ってフォームブランクを切断することである。これは、手びき鋸、又は好ましくは熱線フォームカッターを用いて実行され得る。次に、可撓スパイン50は、フォームブランク130の略中線軸において2つの部分138、139のうちの一方の面に挿入及び/又は固定される。あるいは、長手方向延在穴255、256は、部分138、139の切断面251、252の一方に形成されてもよく、可撓スパインは穴255、256内に挿入及び/又は固定される。一体ブランクに改造するため、2つの部分138、139と可撓スパイン50が接合されて、サーフクラフトブランク130のコアを改造する。可撓スパイン50は、サーフクラフトブランク130のコア135内の2つの部分138、139間に有効に接合される。
【0166】
可撓スパイン50がフォームブランク20、130のコアの周囲に配置されるとき、可撓スパイン50が挿入される面には、可撓スパイン50を収容する長手方向穴がくり抜かれる。
【0167】
可撓スパイン50がサーフクラフトブランク130のコア135内又はコア135の周囲に設置されると、成形ブランク130に各種層が被覆され、構造上の支持のために樹脂で覆ったガラス繊維層が仕上げとして施される。これには、フォームブランクにファイバーグラス及び樹脂を積層して硬質外殻を形成することと、積層ステップ後に残った表面欠陥に充填するように充填樹脂コーティングを施すこととが含まれる。次のステップは、所要のフィン及びリーシュロープを適合させ装着することである。最後に、やすりがけ後、サーフクラフトが清掃され、図柄及び/又は着色グラフィックがサーフクラフトに施され、光沢樹脂の最終コーティングが施されて、完成したサーフクラフトが軽磨きされる。
【0168】
ボディボードブランク140の場合、上記の最終ステップは、ボディボードブランク140が所望又は所要の形状に成形され、最終的なかんながけとやすりがけが実行される点で異なる。次に、ボディボードブランク140の下面、デッキ、及びレールは、下面にスキン又は光沢材料が積層され、デッキ及びレールに連続気泡又は独立気泡フォーム材料が積層される。次のステップは、リーシュロープコネクタを適合させ装着し、最後に、図柄及び/又は着色グラフィックをボディボードに施すことである。
【0169】
ユーザ又はサーファーの様々な重量、スタイル、及び能力の変動する要求を前提として、可撓スパイン50は、いくつかの異なる断面形状、端部輪郭、通路又は穴の形状及び構造、長さ、幅及び厚さ又は深さを有する。このため、ユーザ又はサーファーの要求を満たすようにサーフクラフト用フォームブランクのカスタマイズが可能になる。
【0170】
可撓スパイン50を収容する長手方向延在穴は主にC字状凹部であるが、他の形状も本発明から除外されない。例えば、穴は、略円柱状可撓スパイン50を収容する円形壁を有し得る。あるいは、凹部又は穴は、補完形状の可撓スパイン50を収容するために四角形や三角形などの任意の形状で形成又は成形されてもよい。典型的には、可撓スパイン50の端部は湾曲状又は半円状であるが、単に四方が削られている又は別の形状をとってもよい。
【0171】
可撓スパイン50はフォームブランク130、140の略全長にわたって延在するように図示されているが、他の実施形態では、可撓スパイン50がフォームブランク130、140の全長に延びる。また、可撓スパイン50の可変長のため、ユーザの特定の要求を満たすように、より短いスパイン50を使用し、フォームブランク130、140及びその周囲に配置してもよい。
【0172】
利点
本発明は概して、波乗りに適した改良サーフクラフト用フォームブランクに関し、特に、サーフボード、ボディボード、及びサーフクラフトのフォームブランク又はコアで使用される繊維強化可撓スパインに関することは明らかであろう。
【0173】
本発明は、サーフボードの常時変動する大きい反曲げ並びに捩れ応力、及び現在の種類のボード用フォームブランクの制限に対して設計されている。ボードは過剰にしなり、破損する場合が多く、他の側面では、熟練したライダー及び観客の要求する性能を提供していない。
【0174】
本発明は、新規かつ革新的に引張強度及び圧縮強度を向上させることによって、サーフクラフト用フォームブランクの物理的な強度及び耐久性を高めるという市場において長く求められてきたニーズに応えるために発生した。本発明はまた、しなりの最適化を通じた可撓スパイン改良サーフクラフト性能を用いることによって発見された。フォームブランク(サーフボードのコア)のしなりパターンの制御は、どのようにサーフクラフトがしなり、サーフィンをするかに最終的に影響を及ぼす。
【0175】
したがって、可撓スパイン技術は、エポキシ及びPUサーフボード構造のいずれにとっても相互に有益であり、既存の方法を「大改革」して、構造強度を達成するとともに、しなりベースの性能を最適化する。
【0176】
フォームブランク及びその周囲に可撓スパインを使用する本発明は、従来技術を超えるいくつかの明確な利点を提供する。具体的には、
1.サーフクラフトの全体強度及び耐久性の向上。これは以下の手段によって達成される。
a.負荷とエネルギーの分散を通じた圧縮強度及び引張強度の向上。例えば、大きい波用のサーフボードには、より高い構造的一体性が必要とされる。
b.一方向及び全軸方向(多方向)強度の向上。
c.構造疲労、圧力凹み、及び破断/破損の低減による、寿命の延長とサーフクラフトの価値の追加。
d.サーフクラフトを強化し破損の可能性を低減することで、サーフィンに関連する安全要素は確実に向上する。例えば、半分に破断してボードを失えば、サーファーは危うい姿勢をとり、不安定な状況で安全な場所まで泳がざるを得なくなる。
2.しなりパターンの制御。シェーパーは、これがサーフィンの将来であり、ボードがどのように及びいつしなるかを支配することは、速度や操縦性などの重要な要因を制御できるため、ボードの感触を決定するのに役立つと考えている。可撓スパインにより、シェーパーは、サーフクラフトの特定及び各種要求を満たすように制御されたしなりパターンを開発できる。
例えば、どのようにサーフボードが水中を動き操縦されるかに関連するしなりパターンの効果を以下に述べる。
・軽いサーファーは、サーフボードが展開し易いため、しなりが大きい方を選んでもよい。
・重いサーファーは、より大きな駆動力を提供し、パワーに有効に応答する硬いしなりパターンを選んでもよい。
・上手いサーファーは、ダイナミックで軽快な感覚を得るために、特定の波でより大きなしなりを好んでもよい(加速としなりは、操縦の実行と完了を助ける)。
・より速い速度と大きなパワーを求める人は、小さなしなりを選んでもよい。
・強烈で及び/又は波立つ荒れた状況下のサーファーは、方向制御と安定性をさらに確保する硬いしなりパターンを選んでもよい。
・硬いしなりは応答時間が速いが、許容度が小さい(したがって、経験豊富なサーファーは応答時間を速めるために硬い感覚を好み、経験が少ないサーファーは許容度を高めるため大きなしなりを好む)。
・大波に乗るサーファーは、速度、パワー、及び予測可能性をもって波を突き抜けられるように、最小のしなりと余分な重量を選んでもよい。
【0177】
3.動的しなりパターン。可撓スパインは力を吸収するようにしなり、エネルギーを分散及び保存して、反応して自然な位置に戻る。この反応(又は復帰速度)はホイップ効果を提供して、加速と駆動力を生成する。可撓スパインは、サーファーと波と連動してしなる、例えば、直線的に進みながら(最小しなり)速度を維持し、操縦するときにはしなるように設計される。
【0178】
4.軽量、高強度対重量比、優れた圧縮安定性。可撓スパインはまた、特定のボードに関しては重量を増大させ得る。例えば、ビッグウェイブボード及びトウボードは、更に重量を増やすように設計される場合が多い。
【0179】
5.サーフボードのブランクコアの向上。可撓スパインは、サーフボードの水中の進み方を変化させる。これは、「感覚」とも称される。EPSブランクは、従来のPUブランクよりも高く水面に位置し、波立つ/激しい/風の強い状況の影響を受け易い「ふわふわ感」を覚えるとよく言われる。しなりが大きすぎると主張されることも多い。可撓スパインは、EPSフォームの構造強度を有益に向上させ、全く異なる感覚及びサーフィンの可能性をもたらすことによって、上記の感覚を軽減し、更には排除するのに役立つ。フォーム密度が低い低級EPSブランクすら、可撓スパインを用いて構造を強化することができ、更に、低密度サーフボードによる軽量化が望ましい小型ウェイブボードにとっては有益であり得る。
【0180】
6.ロッカー多用性。可撓スパインは弾性を有し、どのサーフクラフトロッカー(カーブ)の形状にも適合するように曲げることができる。いったんサーフクラフトが成形されれば、可撓スパインは、ボードの正確なロッカーに適合するように設置される。これに関し、可撓スパインは、ボードの設計と連動し、ボードの設計に反しない。また、フォーム製造業者によって装填され、形状を変更できない従来のストリンガーと異なり、サーフクラフトシェーパーがサーフクラフトを制御する。可撓スパインは、正確かつ一貫したロッカーが要求される場合、サーフクラフトの大生産量に見合うように成形し新たな形に作り変えることさえ可能である。
【0181】
7.サーフクラフトの製造速度と効率の向上。大半のサーフクラフトは、CNC機及び/又は手動成形によって成形される。各方法は、木製ストリンガーの中止によって時短される。また、これらの方法は、サーフクラフトの他の部分を二次汚染させるおそれのある木くずを生じる。ストリンガーなしでのボードの成形は、こうした問題を排除し、成形後、サーフクラフトの製造業者は、可撓スパインを用いて正確なロッカーの形状を確保することができる。ここでは、成形工程の前でなく後にロッカー(サーフクラフトカーブ)を向上させることに重点が置かれる。
【0182】
8.設置方法の変更を通じた強度。「ビーム効果」。この1例が、サーフクラフトのデッキと下面の両方にボードの全長にわたって可撓スパインを設置することによって対称長手方向強度を達成することである。更なる強化は「ビーム効果」によって達成され、これは単に、デッキ可撓スパインの下面及びデッキと樹脂とを接続するように、様々な間隔でフォームブランクに穴を開けることを含む。
【0183】
本発明によって提供される利点は、フックの法則の弾性位置エネルギーに直接関係する。この弾性位置エネルギーはその後、サーフィン(加速度、駆動力、速度、パワー、及びフロー)にとって有益な運動エネルギーに転換される。エネルギーは、単に作業を行う出力である。利用可能なエネルギーは、位置エネルギーと運動エネルギーに分割される。弾性位置エネルギーは、コイルばねにあるような位置保存エネルギー(PE)である。物体は、比例負荷によって生成される伸展によりエネルギーを保有し、一定の距離、平衡位置から伸長/圧縮/旋回する。運動エネルギー(KE)は運動のエネルギー、つまり、物体が運動により所有するエネルギーである。本発明の可撓スパインはボードのロッカーにセットされ(平衡位置)、ボードの操縦時、ボードのロッカーは平衡位置から離れるように拡張して弾性位置エネルギーを生じる。この位置エネルギーは、可撓スパインの繊維に保存された後、その力でサーフクラフトのロッカーを平衡位置に帰還させる。この力は、速度、駆動力、パワー、及びフロー(KE)を生成するものである。
【0184】
サーフクラフトの効率又はボードの水中での移動を最大化することは、本発明のもう1つの利点である。本発明の可撓スパインは、サーファーがより小さなインプットからより大きなアウトプットを達成するのを助ける。一例として、ボトムターンに必要な小さな力が、トップターンに必要な加速を生み出す。小さな印加エネルギーからより強力な応答を引き出すことは、サーファーが潜在的な成果を最大化するのに役立つ。効率の最大化はまた、サーファーの疲労を最小化し、長期間エネルギーを維持するのにも重要である。
【0185】
制御しなりパターンは、どんなサーフクラフトの性能にとっても非常に重要である。本発明は、活発だが予測可能なボードを設けることによってしなりベースの性能を提供する。ボードがしなる速度は重要であり、ボードが自然な形状に戻る速度も同等に重要である。本発明の可撓スパインは上記のすべてを操る。
【0186】
形状を変化させた(変形)後、力により最適なフォルム(形状)に戻り得る高性能サーフクラフトの重要性は強調しすぎることはない。スパインのしなりはエネルギーの蓄積である(この蓄積工程は「エネルギーの保存」=弾性位置エネルギーである)。ボードが自然な形状(ボードロッカーカーブ)に跳ね返ると、この保存されたエネルギーは運動エネルギー(運動のエネルギー)に変換される。簡単に言えば、サーフクラフトがエネルギー(ポテンシャル)を蓄積し、その後、ボードがエネルギー(運動)によって跳ね返る。サーフィン用語では、速度、パワー、駆動力、及びフローはすべて関連している。
【0187】
変形
上記の説明は単に例示のために提供されたものであると理解され、当業者にとって自明であろう全てのその他の変更及び変形は、本明細書に記載される発明の広範な範囲に属するとみなされる。
【0188】
もしあれば、発明者らが請求される主題を実行するために既知である最善の実施形態を含め、実際的かつ有益な請求される主題の各種例示的実施について、本明細書で十分具体的に説明する。本明細書に記載の一又は複数の実施形態の変形(例えば、修正及び/又は拡張)は、本願に目を通した当業者にとって自明となるかもしれない。本発明者らは、当業者らがこのような変形を適宜採用すると予測し、請求される主題が、本明細書に具体的に記載される以外の形で実行されると考える。したがって、法によって許される限り、請求される主題は請求される主題の全ての等価物及び請求される主題の全ての改良を含みカバーする。更に、上述の要素、動作、及び可能な変形の全ての組み合わせは、別段の定めがない限り、明確かつ具体的な否定がない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、請求される主題に含まれる。
【0189】
本明細書に提示されるあらゆる例又は例示的文言(「例えば」など)は単に、一又は複数の実施形態をより良好に解明することを目的とし、別段の定めがない限り、請求される主題に関する限定を課すものではない。明細書中のいかなる文言も、請求されていない主題を、請求される主題の実行に必須であるように示しているものと解釈すべきではない。
【0190】
よって、本願のいずれの箇所(例えば、名称、分野、背景、概要、明細書、要約書、図面など)の内容にかかわらず、例えば、明確な定義、断言、又は主張を介して異なるように明示されていない限り、又は文脈により明らかに否定されていない限り、任意の請求項に関して、本願及び/又は本願の請求項が優先権を主張しているか否かにかかわらず、及び最初に提示されているか否かにかかわらず、
(a)具体的に記載又は図示された特徴、機能、動作、又は要素、動作の特定の順序、又は要素の特定の相関関係を含むという必要条件はない。
(b)どの特徴、機能、動作、又は要素も「必須」ではない。
(c)どの要素も、統合、分離、及び/又は複製し得る。
(d)どの動作も反復され得る、どの動作も複数の実体によって実行され得る、及び/又はどの動作も複数の管轄区域において実行され得る。
(e)どの動作又は要素も具体的に排除され得る。動作の順序及び/又は要素の相関関係は変更され得る。
各種実施形態を記載する文脈(特に、以下の請求項の文脈)における「a」、「an」、「said」、「the」、及び/又は類似の指示語の使用は、本明細書で特段示されない限り、又は文脈上明らかに否定されない限り、単数及び複数を包含すると解釈されるべきである「備える」、「有する」、「含む」、及び「包含する」などの文言は、別段の定めがない限り、オープンエンド用語(すなわち、「含むが限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。
【0191】
本明細書では、第1及び第2、左右、上下などの形容詞は、実際の関係又は順序を要求又は示唆する必要なく、ある要素又は動作を別の要素または動作と区別するためだけに使用されてもよい。文脈が許す限り、整数、構成要素、又はステップ(など)への言及は、整数、構成要素、又はステップのうちの1つのみに限定するように解釈されるべきではなく、整数、構成要素、又はステップなどのうちの一又は複数であり得る。