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特許7154479樹脂組成物、硬化物、単層樹脂シート、積層樹脂シート、プリプレグ、金属箔張積層板、プリント配線板、封止用材料、繊維強化複合材料及び接着剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】樹脂組成物、硬化物、単層樹脂シート、積層樹脂シート、プリプレグ、金属箔張積層板、プリント配線板、封止用材料、繊維強化複合材料及び接着剤
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/40 20060101AFI20221011BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20221011BHJP
   C08L 79/04 20060101ALI20221011BHJP
   C08G 73/06 20060101ALI20221011BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20221011BHJP
   B32B 15/092 20060101ALI20221011BHJP
   B32B 27/38 20060101ALI20221011BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20221011BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20221011BHJP
   C08G 59/24 20060101ALI20221011BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20221011BHJP
【FI】
C08G59/40
C08L63/00 B
C08L79/04 Z
C08G73/06
C08J5/24 CFC
B32B15/092
B32B27/38
C09J163/00
H05K1/03 610L
H05K1/03 650
H05K1/03 610R
C08G59/24
C08K3/013
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018174780
(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2020045422
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】中西 講平
(72)【発明者】
【氏名】片桐 俊介
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-070553(JP,A)
【文献】国際公開第2013/065758(WO,A1)
【文献】特開2005-206814(JP,A)
【文献】特開2008-013759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G59/00-59/72、73/00-73/26
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるシアン酸エステル化合物(A)と、下記式(3)で表されるエポキシ化合物(B)とを含む、樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、Ar 1 及びAr 2 は共に下記式(5)で表される二価の基を示し、Ar3下記式(6)で表される二価基を示す。)
【化2】
【化3】
【化4】
(式(3)中、Ar 4 及びAr 5 は共に前記式(5)で表される二価の基を示し、Ar6前記式(6)で表される二価基を示す。)
【請求項2】
前記シアン酸エステル化合物(A)以外のシアン酸エステル化合物(C)、フェノール樹脂、前記エポキシ化合物(B)以外のエポキシ化合物、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び重合可能な不飽和基を有する化合物からなる群より選択される1種以上を更に含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
充填材を更に含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記充填材の熱伝導率が3W/(m・K)以上である、請求項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
シート状成形体用である、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物を硬化させてなる、硬化物。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物をシート状に成形してなる、単層樹脂シート。
【請求項8】
支持体と、
前記支持体の片面又は両面に配された、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、
を有する、積層樹脂シート。
【請求項9】
基材と、
前記基材に含浸又は塗布された、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、
を有する、プリプレグ。
【請求項10】
請求項に記載の単層樹脂シート、請求項に記載の積層樹脂シート、及び、請求項に記載のプリプレグからなる群より選ばれる少なくとも1種と、
前記単層樹脂シート、前記積層樹脂シート及び前記プリプレグからなる群より選ばれる少なくとも1種の片面又は両面に配された金属箔と、
を有し、
前記単層樹脂シート、前記積層樹脂シート及び前記プリプレグからなる群より選ばれる少なくとも1種に含まれる樹脂組成物の硬化物を含む、金属箔張積層板。
【請求項11】
絶縁層と、
前記絶縁層の片面又は両面に形成された導体層と、
を有し、
前記絶縁層が、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物の硬化物を含む、プリント配線板。
【請求項12】
請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、封止用材料。
【請求項13】
請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、強化繊維と、を含む、繊維強化複合材料。
【請求項14】
請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、硬化物、単層樹脂シート、積層樹脂シート、プリプレグ、金属箔張積層板、プリント配線板、封止用材料、繊維強化複合材料及び接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器や通信機、パーソナルコンピューター等に広く用いられている半導体の高集積化、微細化はますます加速している。これに伴い、プリント配線板に用いられる半導体パッケージ用積層板に求められる諸特性はますます厳しいものとなっている。求められる特性として、例えば、低吸水性、吸湿耐熱性、難燃性、低誘電率、低誘電正接、低熱膨張率、耐熱性、耐薬品性、高めっきピール強度等の特性が挙げられる。
【0003】
従来から、耐熱性や電気特性に優れるプリント配線板用樹脂として、シアン酸エステル化合物が知られており、近年シアン酸エステル化合物にエポキシ樹脂、ビスマレイミド化合物などを併用した樹脂組成物が半導体プラスチックパッケージ用などの高機能のプリント配線板用材料などに幅広く使用されている。
例えば、特許文献1においては、特定構造のシアン酸エステル化合物と、その他の成分とからなる樹脂組成物が低吸水性、低熱膨張率などの特性に優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2012/105547号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の樹脂組成物は、低吸水性及び低熱膨張率などの特性について良好な物性を有しているといえるものの、熱伝導率の観点からは、依然として改良の余地を有するものである。例えば、プリント配線板のような絶縁材料や、その他の樹脂シートとしたとき、これらの熱伝導率が十分でないと、放熱性が要求される用途には適用し難い。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、優れた熱伝導性を発現する樹脂組成物、硬化物、単層樹脂シート、積層樹脂シート、プリプレグ、金属箔張積層板、プリント配線板、封止用材料、繊維強化複合材料及び接着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、特定構造を有するシアン酸エステル化合物(A)及び特定構造を有するエポキシ化合物(B)を含む樹脂組成物により、上記課題が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
[1]下記式(1)で表されるシアン酸エステル化合物(A)と、下記式(3)で表されるエポキシ化合物(B)とを含む、樹脂組成物。
【0009】
【化1】
【0010】
式(1)中、Ar1、Ar2及びAr3はそれぞれ同一又は相異なって、下記式(2)で表される二価の基を示す。
【0011】
【化2】
【0012】
式(2)中、R1は一価の置換基を示し、各々独立に水素原子、炭素数1~6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、又はハロゲン原子を示す。nは1~4の整数を示す。
【0013】
【化3】
【0014】
式(3)中、Ar4、Ar5及びAr6はそれぞれ同一又は相異なって、下記式(4)で表される二価基を示す。
【0015】
【化4】
【0016】
式(4)中、R2は一価の置換基を示し、各々独立に水素原子、炭素数1~6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、又はハロゲン原子を示す。nは1~4の整数を示す。
【0017】
[2]前記Ar1、Ar2、Ar4及びAr5が下記式(5)で表される、[1]に記載の樹脂組成物。
【0018】
【化5】
【0019】
[3]前記Ar3及びAr6が下記式(6)で表される、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
【化6】
【0020】
[4]前記シアン酸エステル化合物(A)以外のシアン酸エステル化合物(C)、フェノール樹脂、前記エポキシ化合物(B)以外のエポキシ化合物、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び重合可能な不飽和基を有する化合物からなる群より選択される1種以上を更に含む、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]充填材を更に含む、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]前記充填材の熱伝導率が3W/(m・K)以上である、[5]に記載の樹脂組成物。
[7]シート状成形体用である、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8][1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物を硬化させてなる、硬化物。
[9][1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物をシート状に成形してなる、単層樹脂シート。
[10]支持体と、
前記支持体の片面又は両面に配された、[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物と、
を有する、積層樹脂シート。
【0021】
[11]基材と、
前記基材に含浸又は塗布された、[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物と、
を有する、プリプレグ。
[12][9]に記載の単層樹脂シート、[10]に記載の積層樹脂シート、及び、[11]に記載のプリプレグからなる群より選ばれる少なくとも1種と、
前記単層樹脂シート、前記積層樹脂シート及び前記プリプレグからなる群より選ばれる少なくとも1種の片面又は両面に配された金属箔と、
を有し、
前記単層樹脂シート、前記樹脂シート及び前記プリプレグからなる群より選ばれる少なくとも1種に含まれる樹脂組成物の硬化物を含む、金属箔張積層板。
[13]絶縁層と、
前記絶縁層の片面又は両面に形成された導体層と、
を有し、
前記絶縁層が、[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、プリント配線板。
【0022】
[14][1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、封止用材料。
[15][1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物と、強化繊維と、を含む、繊維強化複合材料。
[16][1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、接着剤。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、優れた熱伝導性を発現する、樹脂組成物、硬化物、単層樹脂シート、積層樹脂シート、プリプレグ、金属箔張積層板、プリント配線板、封止用材料、繊維強化複合材料並びに接着剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0025】
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物は、式(1)で表されるシアン酸エステル化合物(A)と、式(3)で表されるエポキシ化合物(B)とを含む。
このような構成を有することにより、本実施形態の樹脂組成物は、優れた熱伝導性を発現することができる。
【0026】
〔シアン酸エステル化合物(A)〕
本実施形態におけるシアン酸エステル化合物(A)は、式(1)で表される。このような構造を有するシアン酸エステル化合物(A)をエポキシ化合物(B)と共に用いることにより、本実施形態の樹脂組成物は、優れた熱伝導性を発現することができる。このような本実施形態の所望の効果について、特に限定する趣旨ではないが、本発明者らは次のように推察している。本実施形態において、ターフェニル骨格同士のシアン酸エステルとエポキシを適用することで、シアン酸エステルとエポキシがスタッキングしやすくなり、特定の配向性に起因した規則構造が硬化物中に形成されると推察される。そのため、当該他のシアン酸エステル化合物とエポキシ化合物(B)を組み合わせた場合と比べて、優れた熱伝導性を発現することができると考えられる。
【0027】
【化7】
【0028】
式(1)中、Ar1、Ar2及びAr3はそれぞれ同一又は相異なって、下記式(2)で表される二価基を示す。
【0029】
【化8】
【0030】
式(2)中、R1は一価の置換基を示し、各々独立に水素原子、炭素数1~6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、又はハロゲン原子を示す。nは1~4の整数を示す。
【0031】
炭素数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基が挙げられる。これらの中でも、優れた熱伝導性を発現することから、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0032】
式(1)中のAr1及びAr2において、式(2)中のR1は、水素原子及びメチル基から選ばれる少なくとも1つの基であることが好ましく、優れた熱伝導性を発現することから、式(1)中のAr1及びAr2が共に下記式(5)で表される二価の基であることがより好ましい。また、式(1)中のAr1及びAr2は、同一であることが好ましい。
【0033】
【化9】
【0034】
式(1)中のAr3において、式(2)中のR1は、水素原子及びメチル基から選ばれる少なくとも1つの基であることが好ましく、R1のうち少なくとも1つの基がメチル基であることがより好ましく、優れた熱伝導性を発現することから、式(1)中のAr3が下記式(6)で表される二価の基であることが更に好ましい。
【0035】
【化10】
【0036】
式(1)で表されるシアン酸エステル化合物の具体例としては、特に限定されないが、例えば、4,4”-ジシアナト-3-メチルターフェニル、4,4”-ジシアナト-2-メチルターフェニル、4,4”-ジシアナト-2'-メチルターフェニル、4,4”-ジシアナト-3,5-ジメチルターフェニル、4,4”-ジシアナト-3,3”-ジメチルターフェニル、4,4”-ジシアナト-3-t-ブチルターフェニル、4,4”-ジシアナト-2-t-ブチルターフェニル、4,4”-ジシアナト-2'-t-ブチルターフェニル、4,4”-ジシアナト-3,5-ジ-t-ブチルターフェニル、4,4”-ジシアナト-3,3”-ジ-t-ブチルターフェニルを挙げることができる。
【0037】
これらのシアン酸エステル化合物(A)は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
本実施形態の樹脂組成物において、シアン酸エステル化合物(A)の含有量は、より優れた熱伝導性及び耐熱性を得る観点から、シアン酸エステル化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の合計100質量部に対して、通常1質量部~99質量部であり、5質量部~95質量部であることが好ましく、10質量部~90質量部であることがより好ましく、20質量部~80質量部であることが更に好ましい。
【0039】
〔シアン酸エステル化合物(A)の製造方法〕
本実施形態のシアン酸エステル化合物(A)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、下記式(7)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物を得た後、このヒドロキシ置換芳香族化合物をシアネート化して、上記式(1)で表されるシアン酸エステル化合物(A)を得るシアネート化工程を含んで得る方法が挙げられる。
【0040】
【化11】
【0041】
式(7)中、Ar1、Ar2及びAr3は、式(1)中のものと同義である。
【0042】
(式(7)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物の合成方法)
式(7)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物は、特に限定されないが、例えば、特開平1-168632公報、特開平1-168634号公報、米国特許第3461098号明細書、特開平2-212449号公報、特開2002-234856号公報、特開2002-308809号公報、特開2002-363117号公報、特開2003-12585号公報等の公知の方法に準じて製造することができる。より具体的には、実施例に記載の方法に準じて製造することができる。
【0043】
<シアネート化工程>
次に、上記のようにして得られた式(7)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物をシアネート化する工程について述べる。
式(7)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物をシアネート化する方法としては、特に限定されず、公知の方法を適用することができる。具体的には、ヒドロキシ置換芳香族化合物とハロゲン化シアンを、溶媒中で、塩基性化合物存在下で反応させる方法、溶媒中、塩基の存在下で、ハロゲン化シアンが常に塩基より過剰に存在するようにして、ヒドロキシ置換芳香族化合物とハロゲン化シアンを反応させる方法(米国特許第3553244号明細書参照)や、塩基として3級アミンを用い、これをハロゲン化シアンよりも過剰に用いながら、溶媒の存在下、ヒドロキシ置換芳香族化合物に3級アミンを添加した後、ハロゲン化シアンを滴下する、あるいは、ハロゲン化シアンと3級アミンを併注滴下する方法(特許第3319061号明細書参照)、連続プラグフロー方式で、ヒドロキシ置換芳香族化合物、トリアルキルアミン及びハロゲン化シアンを反応させる方法(特許第3905559号明細書参照)、ヒドロキシ置換芳香族化合物とハロゲン化シアンとを、4級アミンの存在下、非水溶液中で反応させる際に副生するtert-アンモニウムハライドを、カチオン及びアニオン交換対で処理する方法(特許第4055210号明細書参照)、ヒドロキシ置換芳香族化合物に対して、水と分液可能な溶媒の存在下で、3級アミンとハロゲン化シアンとを同時に添加して反応させた後、水洗分液し、得られた溶液から2級若しくは3級アルコール類又は炭化水素の貧溶媒を用いて沈殿精製する方法(特許第2991054号明細書参照)、更には、ヒドロキシ置換芳香族化合物、ハロゲン化シアン、及び3級アミンを、水と有機溶媒との二相系溶媒中、酸性条件下で反応させる方法(特許第5026727号明細書参照)等により、本実施形態のシアン酸エステル化合物を得ることができる。
【0044】
得られたシアン酸エステル化合物は、NMR(核磁気共鳴分析)等の公知の方法により同定することができる。シアン酸エステル化合物の純度は、例えば、液体クロマトグラフィー又はIRスペクトル法等で分析することができる。シアン酸エステル化合物中のジアルキルシアノアミド等の副生物や残存溶媒等の揮発成分は、例えば、ガスクロマトグラフィーで定量分析することができる。シアン酸エステル化合物中に残存するハロゲン化合物は、例えば、液体クロマトグラフ質量分析計で同定することができ、また、硝酸銀溶液を用いた電位差滴定又は燃焼法による分解後イオンクロマトグラフィーで定量分析することができる。シアン酸エステル化合物の重合反応性は、例えば、熱板法又はトルク計測法によるゲル化時間で評価することができる。
【0045】
〔エポキシ化合物(B)〕
本実施形態におけるエポキシ化合物(B)は、式(3)で表される。このような構造を有するエポキシ化合物(B)をシアン酸エステル化合物(A)と共に用いることにより、本実施形態の樹脂組成物は、優れた熱伝導性を発現することができる。
【0046】
【化12】
【0047】
式(3)中、Ar4、Ar5及びAr6はそれぞれ同一又は相異なって、下記式(4)で表される二価基を示す。
【0048】
【化13】
【0049】
式(4)中、R2は一価の置換基を示し、各々独立に水素原子、炭素数1~6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、又はハロゲン原子を示す。nは1~4の整数を示す。
【0050】
炭素数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基が挙げられる。これらの中でも、優れた熱伝導性を発現することから、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0051】
ハロゲン原子については、前述のとおりである。
【0052】
式(3)中のAr4及びAr5において、式(4)中のR2は、水素原子及びメチル基から選ばれる少なくとも1つの基であることが好ましく、優れた熱伝導性を発現することから、式(3)中のAr4及びAr5が共に下記式(5)で表される二価の基であることがより好ましい。また、式(3)中のAr4及びAr5は、同一であることが好ましい。
【0053】
【化14】
【0054】
式(3)中のAr6において、式(4)中のR2は、水素原子及びメチル基から選ばれる少なくとも1つの基であることが好ましく、R2のうち少なくとも1つの基がメチル基であることがより好ましく、優れた熱伝導性を発現することから、式(4)中のAr6が下記式(6)で表される二価の基であることが更に好ましい。
【0055】
【化15】
【0056】
エポキシ化合物(B)の具体例としては、特に限定されないが、例えば、3-メチルターフェニルジグリシジルエーテル、2-メチルターフェニルジグリシジルエーテル、2'-メチルターフェニルジグリシジルエーテル、3,5-ジメチルターフェニルジグリシジルエーテル、3,3”-ジメチルターフェニルジグリシジルエーテル、3-t-ブチルターフェニルジグリシジルエーテル、2-t-ブチルターフェニルジグリシジルエーテル、2'-t-ブチルターフェニルジグリシジルエーテル、3,5-ジ-t-ブチルターフェニルジグリシジルエーテル、3,3”-ジ-t-ブチルターフェニルジグリシジルエーテルを挙げることができる。
【0057】
これらのエポキシ化合物(B)は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0058】
本実施形態の樹脂組成物において、エポキシ化合物(B)の含有量は、より優れた熱伝導性及び耐熱性を得る観点から、シアン酸エステル化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の合計100質量部に対して、通常1質量部~99質量部であり、5質量部~95質量部であることが好ましく、10質量部~90質量部であることがより好ましく、20質量部~80質量部であることが更に好ましい。
【0059】
〔エポキシ化合物(B)の製造方法〕
本実施形態のエポキシ化合物(B)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、次の合成方法により合成することができる。すなわち、4,4'-ジヒドロキシ-3-メチルターフェニルなどの置換若しくは非置換の4,4'-ジヒドロキシターフェニルに対して、過剰量の1-クロロ-2,3-エポキシプロパンを反応させることによって合成することができる。
【0060】
上記合成に際しては、種々公知の合成用溶媒及び合成用触媒を使用することができる。
上記合成用溶媒の具体例としては、以下に限定されないが、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ系溶媒;乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステル系溶媒;ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類などの極性溶剤類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール等のアルコール系溶媒;トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系炭化水素等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0061】
上記合成用触媒としては、周知の触媒を適宜選択でき特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラ-n-ブチルアンモニウムクロライドなどの塩基性触媒が挙げられる。これらは1種類又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
合成は、公知の合成方法を用いることができ、特に限定されないが、例えば、溶媒中で、通常、常温~150℃の温度下、好ましくは約40℃~約120℃の温度下にて、通常1~6時間程度反応させることにより行うことができる。また、合成は、窒素、ヘリウム及びアルゴンなどの不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
置換若しくは非置換の4,4'-ジヒドロキシターフェニルと1-クロロ-2,3-エポキシプロパンとの配合割合は、特に限定されないが、例えば、置換若しくは非置換の4,4'-ジヒドロキシターフェニルを1モルあたり、1-クロロ-2,3-エポキシプロパンを通常3~20モルであり、好ましくは5~15モルである。
【0063】
[シアン酸エステル化合物(A)以外のシアン酸エステル化合物、フェノール樹脂、エポキシ化合物(B)以外のエポキシ化合物、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び重合可能な不飽和基を有する化合物]
本実施形態の樹脂組成物は、本実施形態のシアン酸エステル化合物(A)以外のシアン酸エステル化合物(以下、「他のシアン酸エステル化合物」ともいう。)、フェノール樹脂、本実施形態のエポキシ化合物(B)以外のエポキシ化合物(以下、「他のエポキシ化合物」ともいう。)、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び重合可能な不飽和基を有する化合物からなる群より選択される1種以上を更に含むことができる。
【0064】
(他のシアン酸エステル化合物)
他のシアン酸エステル化合物としては、シアナト基(シアン酸エステル基)で少なくとも1個置換された芳香族部分を分子内に有する化合物であれば、特に限定されない。シアン酸エステル化合物を用いた樹脂組成物は、硬化物とした際に、ガラス転移温度、低熱膨張性、めっき密着性等に優れた特性を有する。
【0065】
本実施形態の樹脂組成物において、他のシアン酸エステル化合物の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、シアン酸エステル化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の合計100質量部に対して、1質量部~50質量部であることが好ましい。
以下、これらの各成分について説明する
【0066】
他のシアン酸エステル化合物の例としては、特に限定されないが、下記式(8)で表されるものが挙げられる。
【0067】
【化16】
【0068】
上記式(8)中、Ar1は、芳香環を表す。複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。上記芳香環としては、特に限定されないが、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、及び、2つのベンゼン環が単結合したものが挙げられる。Raは各々独立に水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数1~4のアルコキシル基、炭素数1~6のアルキル基と炭素数6~12のアリール基とが結合された基を示す。Raにおける芳香環は置換基を有していてもよく、Ar1及びRaにおける置換基は任意の位置を選択できる。pはAr1に結合するシアナト基の数を示し、各々独立に1~3の整数である。qはAr1に結合するRaの数を示し、Ar1がベンゼン環のときは4-p、ナフタレン環のときは6-p、2つのベンゼン環が単結合したもののときは8-pである。tは平均繰り返し数を示し、0~50の整数であり、他のシアン酸エステル化合物は、tが異なる化合物の混合物であってもよい。Xは、複数ある場合は各々独立に、単結合、炭素数1~50の2価の有機基(水素原子がヘテロ原子に置換されていてもよい。)、窒素数1~10の2価の有機基(例えば-N-R-N-(ここでRは有機基を示す。))、カルボニル基(-CO-)、カルボキシ基(-C(=O)O-)、カルボニルジオキサイド基(-OC(=O)O-)、スルホニル基(-SO2-)、2価の硫黄原子又は2価の酸素原子のいずれかを示す。
【0069】
上記式(8)のRaにおけるアルキル基は、直鎖もしくは分岐の鎖状構造、及び、環状構造(例えば、シクロアルキル基等)のいずれを有していてもよい。
上記式(8)におけるアルキル基及びRaにおけるアリール基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシル基、又はシアノ基等で置換されていてもよい。
アルキル基の具体例としては、特に限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、1-エチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、及びトリフルオロメチル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、特に限定されないが、フェニル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、フェノキシフェニル基、エチルフェニル基、o-,m-又はp-フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、及びo-,m-又はp-トリル基等が挙げられる。
アルコキシル基としては、特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、及びtert-ブトキシ基が挙げられる。
上記式(8)のXにおける炭素数1~50の2価の有機基の具体例としては、特に限定されないが、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、ジメチルメチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、トリメチルシクロヘキシレン基、ビフェニルイルメチレン基、ジメチルメチレン-フェニレン-ジメチルメチレン基、フルオレンジイル基、及びフタリドジイル基等が挙げられる。該2価の有機基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシル基、シアノ基等で置換されていてもよい。
上記式(8)のXにおける窒素数1~10の2価の有機基の例としては、特に限定されないが、-N-R-N-で表される基、イミノ基、ポリイミド基等が挙げられる。
【0070】
また、上記式(8)中のXの有機基として、例えば、下記式(9)又は下記式(10)で表される構造が挙げられる。
【0071】
【化17】
【0072】
式(9)中、Ar2は芳香環を示し、uが2以上の場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。上記芳香環としては、特に限定されないが、例えば、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基及びビフェニルテトライル基が挙げられる。Rb、Rc、Rf、及びRgは各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、トリフルオロメチル基、又はフェノール性ヒドロキシ基を少なくとも1個有するアリール基を示す。Rd及びReは各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数1~4のアルコキシル基、又はヒドロキシ基のいずれか一種から選択される。uは0~5の整数を示す。
【0073】
【化18】
【0074】
式(10)中、Ar3はフェニレン基、ナフチレン基又はビフェニレン基を示し、vが2以上の場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。Ri及びRjは各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、ベンジル基、炭素数1~4のアルコキシル基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、又はシアナト基が少なくとも1個置換されたアリール基を示す。vは0~5の整数を示すが、vが異なる化合物の混合物であってもよい。
【0075】
さらに、式(8)中のXとしては、下記式で表される2価の基が挙げられる。
【0076】
【化19】
【0077】
上記式中、zは4~7の整数を示す。Rkは各々独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示す。
【0078】
式(9)のAr2及び式(10)のAr3の具体例としては、1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、4,4'-ビフェニレン基、2,4'-ビフェニレン基、2,2'-ビフェニレン基、2,3'-ビフェニレン基、3,3'-ビフェニレン基、3,4'-ビフェニレン基、2,6-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、1,6-ナフチレン基、1,8-ナフチレン基、1,3-ナフチレン基、1,4-ナフチレン基、2,7-ナフチレン基が挙げられる。
式(9)のRb、Rc、Rd、Re、Rf及びRg、並びに式(10)のRi、Rjにおけるアルキル基、アリール基及びアルコキシル基は、上記式(8)におけるものと同義である。フェノール性ヒドロキシ基を少なくとも1個有するアリール基としては、特に限定されず、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-キシレノール、m-キシレノール、p-キシレノール、o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノールなどのフェノール性化合物から水素原子を1個除いた1価の基が挙げられる。
【0079】
上記式(8)で表されるシアン酸エステル化合物の具体例としては、特に限定されないが、シアナトベンゼン、1-シアナト-2-,1-シアナト-3-,又は1-シアナト-4-メチルベンゼン、1-シアナト-2-,1-シアナト-3-,又は1-シアナト-4-メトキシベンゼン、1-シアナト-2,3-,1-シアナト-2,4-,1-シアナト-2,5-,1-シアナト-2,6-,1-シアナト-3,4-又は1-シアナト-3,5-ジメチルベンゼン、シアナトエチルベンゼン、シアナトブチルベンゼン、シアナトオクチルベンゼン、シアナトノニルベンゼン、2-(4-シアナフェニル)-2-フェニルプロパン(4-α-クミルフェノールのシアネート)、1-シアナト-4-シクロヘキシルベンゼン、1-シアナト-4-ビニルベンゼン、1-シアナト-2-又は1-シアナト-3-クロロベンゼン、1-シアナト-2,6-ジクロロベンゼン、1-シアナト-2-メチル-3-クロロベンゼン、シアナトニトロベンゼン、1-シアナト-4-ニトロ-2-エチルベンゼン、1-シアナト-2-メトキシ-4-アリルベンゼン(オイゲノールのシアネート)、メチル(4-シアナトフェニル)スルフィド、1-シアナト-3-トリフルオロメチルベンゼン、4-シアナトビフェニル、1-シアナト-2-又は1-シアナト-4-アセチルベンゼン、4-シアナトベンズアルデヒド、4-シアナト安息香酸メチルエステル、4-シアナト安息香酸フェニルエステル、1-シアナト-4-アセトアミノベンゼン、4-シアナトベンゾフェノン、1-シアナト-2,6-ジ-tert-ブチルベンゼン、1,2-ジシアナトベンゼン、1,3-ジシアナトベンゼン、1,4-ジシアナトベンゼン、1,4-ジシアナト-2-tert-ブチルベンゼン、1,4-ジシアナト-2,4-ジメチルベンゼン、1,4-ジシアナト-2,3,4-ジメチルベンゼン、1,3-ジシアナト-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3-ジシアナト-5-メチルベンゼン、1-シアナト又は2-シアナトナフタレン、1-シアナト4-メトキシナフタレン、2-シアナト-6-メチルナフタレン、2-シアナト-7-メトキシナフタレン、2,2'-ジシアナト-1,1'-ビナフチル、1,3-,1,4-,1,5-,1,6-,1,7-,2,3-,2,6-又は2,7-ジシアナトシナフタレン、2,2'-又は4,4'-ジシアナトビフェニル、4,4'-ジシアナトオクタフルオロビフェニル、2,4'-又は4,4'-ジシアナトジフェニルメタン、ビス(4-シアナト-3,5-ジメチルフェニル)メタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-シアナト-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(2-シアナト-5-ビフェニルイル)プロパン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-シアナト-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)ペンタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)ヘキサン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)-3-メチルブタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)-4-メチルペンタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)-3,3-ジメチルブタン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)ヘキサン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)ヘプタン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)オクタン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2-メチルペンタン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2-メチルヘキサン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2,2-ジメチルペンタン、4,4-ビス(4-シアナトフェニル)-3-メチルヘプタン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2-メチルヘプタン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2,2-ジメチルヘキサン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2,4-ジメチルヘキサン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2,2,4-トリメチルペンタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-シアナトフェニル)フェニルメタン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)-1-フェニルエタン、ビス(4-シアナトフェニル)ビフェニルメタン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(4-シアナト-3-イソプロピルフェニル)プロパン、1,1-ビス(3-シクロヘキシル-4-シアナトフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-シアナトフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-シアナトフェニル)-2,2-ジクロロエチレン、1,3-ビス[2-(4-シアナトフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,4-ビス[2-(4-シアナトフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4-[ビス(4-シアナトフェニル)メチル]ビフェニル、4,4-ジシアナトベンゾフェノン、1,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2-プロペン-1-オン、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルフィド、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、4-シアナト安息香酸-4-シアナトフェニルエステル(4-シアナトフェニル-4-シアナトベンゾエート)、ビス-(4-シアナトフェニル)カーボネート、1,3-ビス(4-シアナトフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(4-シアナトフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)イソベンゾフラン-1(3H)-オン(フェノールフタレインのシアネート)、3,3-ビス(4-シアナト-3-メチルフェニル)イソベンゾフラン-1(3H)-オン(o-クレゾールフタレインのシアネート)、9,9'-ビス(4-シアナトフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-シアナト-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(2-シアナト-5-ビフェニルイル)フルオレン、トリス(4-シアナトフェニル)メタン、1,1,1-トリス(4-シアナトフェニル)エタン、1,1,3-トリス(4-シアナトフェニル)プロパン、α,α,α'-トリス(4-シアナトフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、1,1,2,2-テトラキス(4-シアナトフェニル)エタン、テトラキス(4-シアナトフェニル)メタン、2,4,6-トリス(N-メチル-4-シアナトアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(N-メチル-4-シアナトアニリノ)-6-(N-メチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ビス(N-4-シアナト-2-メチルフェニル)-4,4'-オキシジフタルイミド、ビス(N-3-シアナト-4-メチルフェニル)-4,4'-オキシジフタルイミド、ビス(N-4-シアナトフェニル)-4,4'-オキシジフタルイミド、ビス(N-4-シアナト-2-メチルフェニル)-4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタルイミド、トリス(3,5-ジメチル-4-シアナトベンジル)イソシアヌレート、2-フェニル-3,3-ビス(4-シアナトフェニル)フタルイミジン、2-(4-メチルフェニル)-3,3-ビス(4-シアナトフェニル)フタルイミジン、2-フェニル-3,3-ビス(4-シアナト-3-メチルフェニル)フタルイミジン、1-メチル-3,3-ビス(4-シアナトフェニル)インドリン-2-オン、及び、2-フェニル-3,3-ビス(4-シアナトフェニル)インドリン-2-オンが挙げられる。
【0080】
上記式(8)で表される化合物の別の具体例としては、特に限定されないが、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂(公知の方法により、フェノール、アルキル置換フェノール又はハロゲン置換フェノールと、ホルマリンやパラホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド化合物とを、酸性溶液中で反応させたもの)、トリスフェノールノボラック樹脂(ヒドロキシベンズアルデヒドとフェノールとを酸性触媒の存在下に反応させたもの)、フルオレンノボラック樹脂(フルオレノン化合物と9,9'-ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類を酸性触媒の存在下に反応させたもの)、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂及びビフェニルアラルキル樹脂(公知の方法により、Ar'-(CH2Y)2(Ar'はフェニル基を示し、Yはハロゲン原子を示す)で表されるようなビスハロゲノメチル化合物とフェノール化合物とを酸性触媒若しくは無触媒で反応させたもの、Ar'-(CH2OR)2(Ar'はフェニル基を示す)で表されるようなビス(アルコキシメチル)化合物とフェノール化合物とを酸性触媒の存在下に反応させたもの、又は、Ar'-(CH2OH)2(Ar'はフェニル基を示す)で表されるようなビス(ヒドロキシメチル)化合物とフェノール化合物を酸性触媒の存在下に反応させたもの、あるいは、芳香族アルデヒド化合物とアラルキル化合物とフェノール化合物とを重縮合させたもの)、フェノール変性キシレンホルムアルデヒド樹脂(公知の方法により、キシレンホルムアルデヒド樹脂とフェノール化合物とを酸性触媒の存在下に反応させたもの)、変性ナフタレンホルムアルデヒド樹脂(公知の方法により、ナフタレンホルムアルデヒド樹脂とヒドロキシ置換芳香族化合物を酸性触媒の存在下に反応させたもの)、フェノール変性ジシクロペンタジエン樹脂、ポリナフチレンエーテル構造を有するフェノール樹脂(公知の方法により、フェノール性ヒドロキシ基を1分子中に2つ以上有する多価ヒドロキシナフタレン化合物を、塩基性触媒の存在下に脱水縮合させたもの)等のフェノール樹脂を、上述と同様の方法によりシアネート化したもの等、並びにこれらのプレポリマー等が挙げられる。
【0081】
他のシアン酸エステル化合物の例としては、下記式(11)で表されるものも挙げられる。
【0082】
【化20】
【0083】
式(11)中、Ar4は芳香環を表し、複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。R1は各々独立にメチレン基、メチレンオキシ基、メチレンオキシメチレン基又はオキシメチレン基を表し、これらが連結していてもよい。R2は一価の置換基を表し、各々独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R3は各々独立に水素原子、炭素数が1~3のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチレン基を表し、mは1以上の整数を表し、nは0以上の整数を表す。m及びnが異なる化合物の混合物であってもよい。各繰り返し単位の配列は任意である。lはシアナト基の結合個数を表し、1~3の整数である。xはR2の結合個数を表し、Ar4の置換可能基数から(l+2)を引いた数を表す。yはR3の結合個数を表し、Ar4の置換可能基数から2を引いた数を表す。
【0084】
上記式(11)におけるAr4としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が例示されるが、これらに特に限定されない。
式(11)のR2及びR3におけるアルキル基は、直鎖若しくは分岐の鎖状構造、及び、環状構造(例えば、シクロアルキル基等)の何れを有していてもよい。
また、式(11)のR2及びR3におけるアリール基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基、シアノ基等で置換されていてもよい。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、1-エチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
前記アリール基の具体例としては、フェニル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、フェノキシフェニル基、エチルフェニル基、o-,m-又はp-フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、o-,m-又はp-トリル基等が挙げられる。更にアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基等が挙げられる。
【0085】
式(11)で表されるシアン酸エステル化合物の具体例としては、フェノール変性キシレンホルムアルデヒド樹脂(公知の方法により、キシレンホルムアルデヒド樹脂とフェノール化合物を酸性触媒の存在下に反応させたもの)、変性ナフタレンホルムアルデヒド樹脂(公知の方法により、ナフタレンホルムアルデヒド樹脂とヒドロキシ置換芳香族化合物を酸性触媒の存在下に反応させたもの)等のフェノール樹脂を後述と同様の方法によりシアネート化したもの等が挙げられるが、特に制限されるものではない。これらのシアン酸エステル化合物は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0086】
上記した他のシアン酸エステル化合物は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0087】
上記した中でも、フェノールノボラック型シアン酸エステル化合物、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、ビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物、ナフチレンエーテル型シアン酸エステル化合物、キシレン樹脂型シアン酸エステル化合物、アダマンタン骨格型シアン酸エステル化合物が好ましく、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物がより好ましい。
【0088】
(フェノール樹脂)
フェノール樹脂としては、特に限定されず、1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有するフェノール樹脂であれば、一般に公知のものを使用できる。例えば、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールE型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂、ビスフェノールS型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、グリシジルエステル型フェノール樹脂、アラルキルノボラック型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、多官能フェノール樹脂、ナフトール樹脂、ナフトールノボラック樹脂、多官能ナフトール樹脂、アントラセン型フェノール樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、ポリオール型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、水酸基含有シリコーン樹脂類等が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、水酸基含有シリコーン樹脂が難燃性の点で好ましい。
【0089】
本実施形態の樹脂組成物において、フェノール樹脂の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、シアン酸エステル化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の合計100質量部に対して、1質量部~50質量部であることが好ましい。
【0090】
(他のエポキシ化合物)
他のエポキシ化合物としては、特に限定されず、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物であれば、公知のものを適宜使用することができる。他のエポキシ化合物は、本実施形態のエポキシ化合物(B)以外のエポキシ樹脂であってもよい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌル酸型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、ブタジエンなどの二重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコーン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物などが挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂が難燃性、耐熱性の面で好ましい。
【0091】
本実施形態の樹脂組成物において、エポキシ樹脂の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、シアン酸エステル化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の合計100質量部に対して、1質量部~50質量部であることが好ましい。
【0092】
(オキセタン樹脂)
オキセタン樹脂としては、特に限定されず、一般に公知のものを使用できる。例えば、オキセタン、2-メチルオキセタン、2,2-ジメチルオキセタン、3-メチルオキセタン、3,3-ジメチルオキセタン等のアルキルオキセタン、3-メチル-3-メトキシメチルオキセタン、3,3-ジ(トリフルオロメチル)パーフルオキセタン、2-クロロメチルオキセタン、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン、ビフェニル型オキセタン、OXT-101(商品名、東亞合成(株)社製)、OXT-121(商品名、東亞合成(株)社製)等が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0093】
本実施形態の樹脂組成物において、オキセタン樹脂の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、シアン酸エステル化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の合計100質量部に対して、1質量部~50質量部であることが好ましい。
【0094】
(ベンゾオキサジン化合物)
ベンゾオキサジン化合物としては、特に限定されず、1分子中に2個以上のジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物であれば、一般に公知のものを用いることができる。例えば、ビスフェノールA型ベンゾオキサジンBA-BXZ(商品名、小西化学工業(株)社製)、ビスフェノールF型ベンゾオキサジンBF-BXZ(商品名、小西化学工業(株)社製)、ビスフェノールS型ベンゾオキサジンBS-BXZ(商品名、小西化学工業(株)社製)、P-d型ベンゾオキサジン(商品名、四国化成工業(株)社製)、F-a型ベンゾオキサジン(商品名、四国化成工業(株)社製)等が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0095】
本実施形態の樹脂組成物において、ベンゾオキサジン化合物の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、シアン酸エステル化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の合計100質量部に対して、1質量部~50質量部であることが好ましい。
【0096】
(重合可能な不飽和基を有する化合物)
重合可能な不飽和基を有する化合物としては、特に限定されず、一般に公知のものを使用できる。例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル等のビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の1価又は多価アルコールの(メタ)アクリレート類、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート類、及びベンゾシクロブテン樹脂、が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。なお、上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートを包含する概念である。
【0097】
本実施形態の樹脂組成物において、重合可能な不飽和基を有する化合物の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、シアン酸エステル化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の合計100質量部に対して、1質量部~50質量部であることが好ましい。
【0098】
(充填材)
本実施形態の樹脂組成物には、より優れた熱伝導性を発現でき、熱膨張特性、寸法安定性、難燃性、誘電特性などが向上する点から、充填材を更に含有することが好ましい。充填材としては、公知のものを適宜使用することができ、その種類は特に限定されない。積層板用途において一般に使用されている充填材を、充填材として用いることができる。充填材の具体例としては、特に限定されないが、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、アエロジル、中空シリカ等のシリカ類、ホワイトカーボン、チタンホワイト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の酸化物、窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム加熱処理品(水酸化アルミニウムを加熱処理し、結晶水の一部を減じたもの)、ベーマイト、水酸化マグネシウム等の金属水和物、酸化モリブデンやモリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、アルミナ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、E-ガラス、A-ガラス、NE-ガラス、C-ガラス、L-ガラス、D-ガラス、S-ガラス、M-ガラスG20、ガラス短繊維(Eガラス、Tガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス等のガラス微粉末類を含む。)、中空ガラス、球状ガラスなど無機系の充填材の他、スチレン型、ブタジエン型、アクリル型などのゴムパウダー、コアシェル型のゴムパウダー、並びにシリコーンレジンパウダー、シリコーンゴムパウダー、シリコーン複合パウダーなど有機系の充填材などが挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0099】
これらの中でも、結晶シリカ、窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ベーマイト及びアルミナが好ましく、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素がより好ましい。これらの充填材を使用することで、樹脂組成物の熱伝導性がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物において、充填材の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、より優れた熱伝導性を与える観点から、シアン酸エステル化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の合計100質量部に対して、50質量部~2500質量部であることが好ましく、100質量部~2200質量部であることがより好ましく、より優れた熱伝導性を得る観点から、150質量部~2000質量部であることが更に好ましい。
【0100】
本実施形態における充填材としては、より優れた熱伝導率が発現する点から、熱伝導率が3W/(m・K)以上であることが好ましく、5W/(m・K)以上であることがより好ましく、10W/(m・K)以上であることが更に好ましく、15W/(m・K)以上であることがより更に好ましく、20W/(m・K)以上であることが一層好ましく、25W/(m・K)以上であることがより一層好ましく、30W/(m・K)以上であることが更に一層好ましい。3W/(m・K)以上の熱伝導率を有している充填材についても、特に限定されず、前記したような公知の充填材を用いることができる。
充填材の熱伝導率としては、日本熱物性学会編「熱物性ハンドブック」等を参照して確認することができ、充填材の熱伝導率として既知の値を採用することができる。なお、樹脂組成物に含まれる充填材の全てが3W/(m・K)以上の熱伝導率を有する必要はなく、含まれる充填材の全量に対して50質量%以上の充填材が3W/(m・K)以上の熱伝導率を有していることが好ましく、75質量%以上の充填材が3W/(m・K)以上の熱伝導率を有していることがより好ましい。すなわち、充填材が3W/(m・K)未満の熱伝導率を有するものが含まれていてもよい。
【0101】
充填材を樹脂組成物に含有させるにあたり、シランカップリング剤や湿潤分散剤を併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に用いられるものを用いることができ、その種類は特に限定されない。シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノプロピルジエトキシメチルシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルジエトキシメチルシラン、 N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、[3-(6-アミノヘキシルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3-(N,N-ジメチルアミノ)-プロピル]トリメトキシシランなどのアミノシラン系、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-グリシドキシプロピルジエトキシメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、[8-(グリシジルオキシ)-n-オクチル]トリメトキシシランなどのエポキシシラン系、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリメトキシ(7-オクテン-1-イル)シラン、トリメトキシ(4-ビニルフェニル)シランなどのビニルシラン系、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-メタクリロキシプロピルジエトキシメチルシランなどのメタクリルシラン系、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのアクリルシラン系、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネートシラン系、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレートシラン系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシランなどのメルカプトシラン系、3-ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイドシラン系、p-スチリルトリメトキシシランなどのスチリルシラン系、N-[2-(N-ビニルベンジルアミノ)エチル]-3-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩などのカチオニックシラン系、[3-(トリメトキシシリル)プロピル]コハク酸無水物などの酸無水物系、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、p-トリルトリメトキシシランなどのフェニルシラン系、並びにトリメトキシ(1-ナフチル)シランなどのアリールシラン系が挙げられる。これらの中でも、より優れた熱伝導性を与える観点から、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノプロピルジエトキシメチルシランが好ましい。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物において、シランカップリング剤の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、シアン酸エステル化合物(A)及びエポキシ化合物(B)と充填材との相溶性を良好にでき、より優れた熱伝導性を与える観点から、シアン酸エステル化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の合計100質量部に対して、通常0.1質量部~50質量部であり、0.5質量部~30質量部であることが好ましい。
【0102】
湿潤分散剤としては、一般に塗料用に用いられているものを用いることができ、その種類は特に限定されない。湿潤分散剤としては、共重合体ベースの湿潤分散剤を用いることができ、市販品であってもよい。市販品としては、特に限定されないが、例えば、ビックケミー・ジャパン(株)社製のDisperbyk(登録商標)-110、111、161、180、BYK(登録商標)-W996、BYK(登録商標)-W9010、BYK(登録商標)-W903、BYK(登録商標)-W940などが挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物において、湿潤分散剤の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、より優れた熱伝導性を与える観点から、シアン酸エステル化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の合計100質量部に対して、通常0.1質量部~30質量部である。
【0103】
(硬化触媒)
本実施形態の樹脂組成物には、必要に応じて、硬化速度を適宜調節するための硬化触媒を含んでもよい。硬化触媒としては、特に限定されず、シアン酸エステル化合物やエポキシ樹脂等の硬化触媒として一般に使用されているものを好適に用いることができる。硬化触媒としては、例えば、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、アセチルアセトン鉄、オクチル酸ニッケル、オクチル酸マンガン等の有機金属塩類、フェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール化合物、1-ブタノール、2-エチルヘキサノール等のアルコール類、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらのイミダゾール類のカルボン酸若しくはその酸無水類の付加体等の誘導体、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン類、ホスフィン系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、ホスホニウム塩系化合物、ダイホスフィン系化合物等のリン化合物、エポキシ-イミダゾールアダクト系化合物、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシカーボネート等の過酸化物、又はアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物において、硬化触媒の含有量は、所望する特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、より優れた熱伝導性を与える観点から、シアン酸エステル化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の合計100質量部に対して、通常0.01質量部~20質量部である。
【0104】
(他の添加剤)
本実施形態の樹脂組成物には、本発明の特性が損なわれない範囲において、他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びそのオリゴマー、エラストマー類などの種々の高分子化合物、難燃性化合物、並びに各種添加剤等を含んでもよい。これらは一般に使用されているものであれば、特に限定されない。難燃性化合物としては、特に限定されないが、例えば、4,4'-ジブロモビフェニル等の臭素化合物、リン酸エステル、リン酸メラミン、リン含有エポキシ樹脂などのリン含有化合物又はリン含有樹脂、メラミン及びベンゾグアナミンなどの窒素化合物、オキサジン環含有化合物、シリコーン系化合物等が挙げられる。各種添加剤としては、特に限定されないが、例えば、前記のシランカップリング剤、前記の湿潤分散剤、前記の硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、流動調整剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光沢剤、重合禁止剤等が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態において、樹脂組成物中における他の添加剤の含有量は、特に限定されないが、シアン酸エステル化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の合計100質量部に対して、それぞれ通常0.01質量部~50質量部である。
【0105】
(有機溶剤)
本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤を含んでもよい。この場合、本実施形態の樹脂組成物は、上記した各種樹脂成分の少なくとも一部、好ましくは全部が有機溶剤に溶解又は相溶した態様(溶液又はワニス)として用いることができる。有機溶剤としては、上記した各種樹脂成分の少なくとも一部、好ましくは全部を溶解又は相溶可能なものであれば、公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に限定されない。有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の脂環式ケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ系溶媒、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステル系溶媒、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類などの極性溶剤類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等の無極性溶剤が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0106】
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の樹脂組成物は、常法にしたがって調製することができ、本実施形態のシアン酸エステル化合物、エポキシ化合物、及び上記したその他の任意成分を均一に含有する樹脂組成物が得られる方法であれば、その調製方法は特に限定されない。例えば、本実施形態のシアン酸エステル化合物、エポキシ化合物、及び上記したその他の任意成分を溶剤に順次配合し、十分に撹拌することで本実施形態の樹脂組成物を容易に調製することができる。
【0107】
なお、樹脂組成物の調製時に、各成分を均一に溶解あるいは分散させるための公知の処理(加熱溶融、撹拌、混合、混練処理など)を行うことができる。例えば、充填材の均一分散にあたり、適切な撹拌能力を有する撹拌機を付設した撹拌槽を用いて撹拌分散処理を行うことで、樹脂組成物に対する分散性が高められる。上記の加熱溶融としては、公知の溶融押出機を用いることができる。上記の撹拌、混合、混練処理は、例えば、ボールミル、ビーズミルなどの混合を目的とした装置、または、公転・自転型の混合装置などの公知の装置を用いて適宜行うことができる。
【0108】
[硬化物]
本実施形態の硬化物は、本実施形態の樹脂組成物を硬化させてなる。硬化物は、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物を溶融又は溶媒に溶解させた後、型内に流し込み、熱や光などを用いて通常の条件で硬化させることにより得ることができる。熱硬化の場合、硬化温度は、特に限定されないが、硬化が効率的に進み、かつ得られる硬化物の劣化を防止する観点から、120℃から300℃の範囲内が好ましい。光硬化の場合、光の波長領域は、特に限定されないが、光重合開始剤等により効率的に硬化が進む100nmから500nmの範囲で硬化させることが好ましい。
【0109】
[プリプレグ、単層樹脂シート、積層樹脂シート、金属箔張積層板、プリント配線板、及び半導体パッケージの構成材料]
本実施形態の樹脂組成物は、プリプレグ、単層樹脂シート、積層樹脂シート、金属箔張積層板、プリント配線板、及び半導体パッケージの構成材料として用いることができる。本実施形態の樹脂組成物は、シート状成形体用であることが好ましい。例えば、本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を基材に含浸又は塗布し乾燥することでプリプレグを得ることができる。
また、支持体として剥離可能なプラスチックフィルムを用い、本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、そのプラスチックフィルムに塗布し乾燥することでビルドアップ用フィルム又はドライフィルムソルダーレジストを得ることができる。ここで、溶剤は、20℃~150℃の温度で1~90分間乾燥することで除去することができる。
また、本実施形態の樹脂組成物は、溶剤を除去した状態(未硬化の状態)で使用することもできるし、必要に応じて半硬化(Bステージ化)の状態にして使用することもできる。
【0110】
[樹脂シート]
本実施形態の積層樹脂シートは、支持体と、該支持体の片面又は両面に配された本実施形態の樹脂組成物と、を有する。積層樹脂シートの製造方法は、常法にしたがって行うことができ、特に限定されない。例えば、本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を支持体に塗布し乾燥することで得ることができる。
【0111】
支持体としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体フィルム、並びにこれらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルム、ポリイミドフィルム等の有機系のフィルム基材、銅箔、アルミ箔等の導体箔、ガラス板、SUS板、FRP等の板状のものが挙げられる。
【0112】
塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、バーコーター、ダイコーター、ドクターブレード、ベーカーアプリケーター等で支持体上に塗布する方法が挙げられる。
【0113】
本実施形態の単層樹脂シートは、本実施形態の樹脂組成物をシート状に成形してなる。単層樹脂シートの製造方法は、常法にしたがって行うことができ、特に限定されない。例えば、上記積層樹脂シートの製法において、本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を支持体上に塗布して乾燥させた後に、積層樹脂シートから支持体を剥離又はエッチングする方法が挙げられる。なお、本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、シート状のキャビティを有する金型内に供給し乾燥する等してシート状に成形することで、支持体を用いることなく単層樹脂シート(樹脂シート)を得ることもできる。
【0114】
本実施形態の単層樹脂シート又は積層樹脂シートの作製において、溶剤を除去する際の乾燥条件は、特に限定されないが、低温であると樹脂組成物中に溶剤が残り易く、高温であると樹脂組成物の硬化が進行することから、20℃~170℃の温度で1~90分間が好ましい。
【0115】
本実施形態の単層あるいは積層シートの樹脂層の厚みは、本実施形態の樹脂組成物の溶液の濃度と塗布の厚みにより調整することができ、特に限定されないが、一般的には塗布の厚みが厚くなると乾燥時に溶剤が残り易くなることから、0.1~500μmが好ましい。
【0116】
(プリプレグ)
以下、本実施形態のプリプレグについて詳述する。本実施形態のプリプレグは、基材と、該基材に含浸又は塗布された樹脂組成物とを有する。本実施形態のプリプレグの製造方法は、本実施形態の樹脂組成物と、基材とを組み合わせてプリプレグを製造する方法であれば、特に限定されない。具体的には、本実施形態の樹脂組成物を基材に含浸又は塗布させた後、120~220℃の乾燥機中で、2~15分程度乾燥させる方法等によって半硬化させることで、本実施形態のプリプレグを製造することができる。このとき、基材に対する樹脂組成物の付着量、すなわち半硬化後のプリプレグの総量に対する樹脂組成物の含有量(充填材を含む。)は、20~99質量%の範囲であることが好ましい。
【0117】
本実施形態のプリプレグを製造する際に用いられる基材としては、各種プリント配線板材料に用いられている公知のものを用いることができる。基材としては、特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、クォーツ等のガラス以外の無機繊維、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル等の有機繊維、液晶ポリエステル等の織布が挙げられる。基材の形状としては、織布、不織布、ロービング、チョップドストランドマット、及びサーフェシングマット等が知られており、これらのいずれであってもよい。基材は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。織布の中では、特に超開繊処理や目詰め処理を施した織布が、寸法安定性の観点から好適である。液晶ポリエステル織布は、電気特性の面から好ましい。基材の厚さは、特に限定されないが、積層板用途であれば、0.01~0.2mmの範囲が好ましい。
【0118】
(金属箔張積層板)
本実施形態の金属箔張積層板は、本実施形態の単層樹脂シート、本実施形態の積層樹脂シート、及び、本実施形態のプリプレグからなる群より選ばれる少なくとも1種と、前記単層樹脂シート、前記積層樹脂シート及び前記プリプレグからなる群より選ばれる少なくとも1種の片面又は両面に配された金属箔と、を有し、前記単層樹脂シート、前記積層樹脂シート及び前記プリプレグからなる群より選ばれる少なくとも1種に含まれる樹脂組成物の硬化物を含む。プリプレグを用いる場合の具体例としては、前記のプリプレグ1枚に対して、又はプリプレグを複数枚重ねたものに対して、その片面又は両面に銅やアルミニウムなどの金属箔を配置して、積層成形することにより作製することができる。ここで用いられる金属箔は、プリント配線板材料に用いられているものであれば、特に限定されないが、圧延銅箔及び解銅箔等の銅箔が好ましい。金属箔の厚さは、特に限定されないが、2~70μmであることが好ましく、3~35μmであることがより好ましい。成形条件としては、通常のプリント配線板用積層板及び多層板の作製時に用いられる手法を採用できる。例えば、多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、又はオートクレーブ成形機などを用い、温度180~350℃、加熱時間100~300分、面圧20~100kg/cm2の条件で積層成形することにより本実施形態の金属箔張積層板を製造することができる。また、上記のプリプレグと、別途作製した内層用の配線板とを組み合わせて積層成形することにより、多層板を作製することもできる。多層板の製造方法としては、例えば、上述したプリプレグ1枚の両面に35μmの銅箔を配置し、上記条件にて積層形成した後、内層回路を形成し、この回路に黒化処理を実施して内層回路板を形成する。さらに、この内層回路板と上記のプリプレグとを交互に1枚ずつ配置し、さらに最外層に銅箔を配置して、上記条件にて好ましくは真空下で積層成形する。こうして、多層板を作製することができる。
【0119】
(プリント配線板)
本実施形態の金属箔張積層板は、更にパターン形成することにより、プリント配線板として好適に用いることができる。プリント配線板は、常法に従って製造することができ、その製造方法は特に限定されない。以下、プリント配線板の製造方法の一例を示す。
まず、前記の金属箔張積層板を用意する。次に、金属箔張積層板の表面にエッチング処理を施して内層回路を形成することにより、内層基板を作製する。この内層基板の内層回路表面に、必要に応じて接着強度を高めるための表面処理を施し、次いで、その内層回路表面に前記のプリプレグを所要枚数重ねる。さらに、その外側に外層回路用の金属箔を積層し、加熱及び加圧して一体成形する。このようにして、内層回路と外層回路用の金属箔との間に、基材及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層が形成された多層の積層板が製造される。次いで、この多層の積層板にスルーホールやバイアホール用の穴あけ加工を施した後、この穴の壁面に内層回路と外層回路用の金属箔とを導通させるめっき金属皮膜を形成する。さらに、外層回路用の金属箔にエッチング処理を施して外層回路を形成することで、プリント配線板が製造される。
【0120】
前記の製造例で得られるプリント配線板は、絶縁層と、この絶縁層の片面又は両面に形成された導体層とを有し、絶縁層が本実施形態の樹脂組成物を含む構成となる。例えば、本実施形態のプリプレグ(基材及びこれに含浸又は塗布された本実施形態の樹脂組成物)、本実施形態の金属箔張積層板の樹脂組成物の層(本実施形態の樹脂組成物からなる層)が、本実施形態の樹脂組成物を含む絶縁層を構成するものとすることができる。
【0121】
〔封止用材料〕
本実施形態の封止用材料は、本実施形態の樹脂組成物を含む。封止用材料の製造方法としては、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。例えば、本実施形態の樹脂組成物と、封止材料用途で一般的に用いられる各種公知の添加剤あるいは溶媒等を、公知のミキサーを用いて混合することで封止用材料を製造することができる。なお、混合の際の、シアン酸エステル化合物、エポキシ化合物、各種添加剤、溶媒の添加方法は、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。
【0122】
〔繊維強化複合材料〕
本実施形態の繊維強化複合材料は、本実施形態の樹脂組成物と、強化繊維とを含む。強化繊維としては、一般的に公知のものを用いることができ、特に限定されない。その具体例としては、Eガラス、Dガラス、Lガラス、Sガラス、Tガラス、Qガラス、UNガラス、NEガラス、球状ガラス等のガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、PBO繊維、高強力ポリエチレン繊維、アルミナ繊維、及び炭化ケイ素繊維などが挙げられる。強化繊維の形態や配列については、特に限定されず、織物、不織布、マット、ニット、組み紐、一方向ストランド、ロービング、チョップド等から適宜選択できる。また、強化繊維の形態としてプリフォーム(強化繊維からなる織物基布を積層したもの、又はこれをステッチ糸により縫合一体化したもの、あるいは立体織物や編組物などの繊維構造物)を適用することもできる。
【0123】
これら繊維強化複合材料の製造方法としては、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。その具体例としては、リキッド・コンポジット・モールディング法、レジン・フィルム・インフュージョン法、フィラメント・ワインディング法、ハンド・レイアップ法、プルトルージョン法等が挙げられる。このなかでも、リキッド・コンポジット・モールディング法の一つであるレジン・トランスファー・モールディング法は、金属板、フォームコア、ハニカムコア等、プリフォーム以外の素材を成形型内に予めセットしておくことができることから、種々の用途に対応可能であるため、比較的、形状が複雑な複合材料を短時間で大量生産する場合に好ましく用いられる。
【0124】
〔接着剤〕
本実施形態の接着剤は、本実施形態の樹脂組成物を含む。接着剤の製造方法としては、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。例えば、本実施形態の樹脂組成物と、接着剤用途で一般的に用いられる各種公知の添加剤あるいは溶媒等を、公知のミキサーを用いて混合することで接着剤を製造することができる。なお、混合の際の、シアン酸エステル化合物、各種添加剤、溶媒の添加方法は、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。
【実施例
【0125】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0126】
以下に樹脂組成物の作製に用いた材料とその略号を示す。
(熱硬化性樹脂)
・下記式(12)で表されるターフェニル型シアン酸エステル化合物(TP-Me-CNと略記)
TP-Me-CNは、特開2018-70553の実施例1に基づいて合成した。
【0127】
【化21】
【0128】
・下記式(13)で表されるターフェニル型エポキシ化合物(DGETP-Meと略記)
DGETP-Meは、JOURNAL OF Applied Polymer SCIENCE、2015年、132巻、41296のExperimentalに基づいて合成した。
【0129】
【化22】
【0130】
・2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン(三菱ガス化学株式会社製、TAと略記)
・1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン(三菱ガス化学株式会社製、E-CNと略記)
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、jER(商標登録)828)
・フェニルメタン型マレイミド樹脂(大和化成工業株式会社製、BMI-2300)
【0131】
(硬化剤)
・4,4-ジアミノジフェニルメタン(東京化成工業株式会社製、DDMと略記)
【0132】
(触媒)
・オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)
・2-エチル-4-メチルイミダゾール(和光純薬工業株式会社製、2E4MZと略記)
【0133】
(充填材)
・FAN-f50(古河電子株式会社製、窒化アルミニウム粒子、熱伝導率200W/m・K)
・AA-18(住友化学株式会社製、アルミナ粒子、熱伝導率30W/m・K)
・AA-3(住友化学株式会社製、アルミナ粒子、熱伝導率30W/m・K)
・AA-03(住友化学株式会社製、アルミナ粒子、熱伝導率30W/m・K)
【0134】
(シランカップリング剤)
・3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社、LS-2940)
<樹脂組成物の調製及び硬化物の作製>
[実施例1]
ターフェニル型シアン酸エステル化合物(TP-Me-CN)45.6質量部、ターフェニル型エポキシ化合物(DGETP-Me)54.4質量部及び2-エチル-4-メチルイミダゾール(2E4MZ)1.0質量部を混合し、加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、真空熱プレス(220℃、90分間、プレス圧力7MPa)により硬化物を作製した。
【0135】
[比較例1]
ターフェニル型シアン酸エステル化合物(TP-Me-CN)100質量部とオクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.05質量部とを混合し、加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、真空熱プレス(220℃、90分間、プレス圧力7MPa)により硬化物を作製した。
【0136】
[比較例2]
ターフェニル型シアン酸エステル化合物(TP-Me-CN)100質量部を用いる代わりに、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン(TA)を100質量部用いたこと以外は、比較例1と同様にして硬化物を得た。
【0137】
[比較例3]
ターフェニル型シアン酸エステル化合物(TP-Me-CN)100質量部を用いる代わりに、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン(E-CN)を100質量部用いた以外は、比較例1と同様にして硬化性物を得た。
【0138】
[比較例4]
ターフェニル型シアン酸エステル化合物(TP-Me-CN)46.3質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂化合物(jER(商標登録)828)53.7質量部及び2-エチル-4-メチルイミダゾール(2E4MZ)1.0質量部を混合し、加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、真空熱プレス(220℃、90分間、プレス圧力7MPa)により硬化物を作製した。
【0139】
[比較例5]
ターフェニル型エポキシ化合物(DGETP-Me)58.3質量部、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン(TA)41.7質量部及び2-エチル-4-メチルイミダゾール(2E4MZ)1.0質量部を混合し、加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、真空熱プレス(220℃、90分間、プレス圧力7MPa)により硬化物を作製した。
【0140】
[比較例6]
ターフェニル型エポキシ化合物(DGETP-Me)80.0質量部、4,4-ジアミノジフェニルメタン(DDM)20.0質量部を混合し、加熱溶融して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型に充填し、真空熱プレス(220℃、90分間、プレス圧力7MPa)により硬化物を作製した。
【0141】
<充填材含有硬化物の作製>
[実施例2]
ターフェニル型シアン酸エステル化合物(TP-Me-CN)45.7質量部、ターフェニル型エポキシ化合物(DGETP-Me)54.3質量部、2-エチル-4-メチルイミダゾール(2E4MZ)0.2質量部、窒化アルミニウム粒子(FAN-f50)562.1質量部、アルミナ粒子(AA-18)87.1質量部、アルミナ粒子(AA-3)87.1質量部、アルミナ粒子(AA-03)87.1質量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(LS-2940)8.2質量部を混合し、メチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社、試薬特級)で希釈してワニスを作製した。
作製したワニスを、アプリケーターを用いて銅箔(三井金属鉱業株式会社製、3EC-VLP、厚さ18μm)粗面に塗工し、100℃で10分間乾燥してBステージ樹脂組成物付銅箔を得た。粗面が樹脂組成物に向くよう銅箔(三井金属鉱業株式会社製、3EC-VLP、厚さ18μm)をBステージ樹脂組成物付銅箔に重ね、真空熱プレス(220℃、90分間、プレス圧力20MPa)により両面銅箔付硬化物を作製した。両面銅箔付硬化物から両面の銅箔を剥離し、充填材含有硬化物(充填材75体積%含有)を得た。
【0142】
[比較例7]
2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン(TA)43.7質量部、フェニルメタン型マレイミド樹脂(BMI-2300)56.3質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業株式会社製、ニッカオクチックス亜鉛(商品名)、金属含有量18%)0.1質量部、窒化アルミニウム粒子(FAN-f50)557.5質量部、アルミナ粒子(AA-18)86.4質量部、アルミナ粒子(AA-3)86.4質量部、アルミナ粒子(AA-03)86.4質量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(LS-2940)8.1質量部を混合し、メチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)で希釈してワニスを作製した。
作製したワニスを、アプリケーターを用いて銅箔(三井金属鉱業株式会社製、3EC-VLP、厚さ18μm)粗面に塗工し、100℃で10分間乾燥してBステージ樹脂組成物付銅箔を得た。Bステージ樹脂組成物を銅箔から剥離し、乳鉢で粉砕した。得られた樹脂組成物粉末を金型に充填し、真空熱プレス(220℃、90分間、プレス圧力5MPa)により充填材含有硬化物(充填材75体積%含有)を得た。
【0143】
[硬化物の評価方法]
得られた硬化物及び充填材含有硬化物の特性は、以下の方法により評価した。
<硬化物の熱伝導率>
熱拡散係数は、1cm角の大きさに加工した硬化物をキセノンフラッシュ法熱拡散率測定装置(NETZSCH製、LFA447 NanoFlash)中の試料ホルダにセットし、25℃、大気中の条件下で測定を行うことによって求めた。
比熱は、DSC(セイコーインスツル株式会社製、EXSTAR6000 DSC6220)を用い、JIS K7123(プラスチックの比熱容量測定方法)に従って求めた。
密度は、水中置換法により、密度測定機(メトラー・トレド株式会社製、MS-DNY-43)を用いて求めた。
求めた熱拡散係数、比熱、密度から、得られた硬化物及び充填材含有硬化物の熱伝導率を下式により求めた。
式:λ=α・Cp・ρ
〔λ:熱伝導率(W/m・K)、α:熱拡散係数(m2/s)、Cp:比熱(J/g・K)、ρ:密度(kg/m3)〕
【0144】
<硬化物の評価結果>
硬化物の評価結果は、下記の表1及び表2に示されるとおりであった。なお、表1及び表2中、「-」の記載部分は該当する原料の配合がないことを意味する。
【0145】
【表1】
【0146】
【表2】
【0147】
表1から明らかなように、本発明のターフェニル型シアン酸エステル化合物及びターフェニル型エポキシ化合物を含む硬化性樹脂組成物の硬化物は、単一のシアン酸エステル化合物を用いたものに比して、優れた熱伝導性を有することが確認された(実施例1及び比較例1~3の対比)。
また、ターフェニル型シアン酸エステル化合物と従来品のエポキシ化合物を含む樹脂硬化物、及びターフェニル型エポキシ化合物と従来品のシアン酸エステル化合物もしくはアミン系硬化剤を含む樹脂硬化物と比べても、本発明の樹脂硬化物は優れた熱伝導性を有することが確認された(実施例1及び比較例4~6の対比)。
【0148】
表2から明らかなように、本発明のターフェニル型シアン酸エステル化合物、ターフェニル型エポキシ化合物、熱伝導率が3W/(m・K)以上である窒化アルミニウム及び熱伝導率が3W/(m・K)以上であるアルミナを含む本発明の樹脂組成物は、優れた熱伝導性を有することが確認された
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明の樹脂組成物は、優れた熱伝導性を発現するため、工業的に有用である。