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  • 特許-家庭用精米機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】家庭用精米機
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/00 20060101AFI20221011BHJP
   B02B 3/08 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
B02B7/00 P
B02B3/08 101A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019005812
(22)【出願日】2019-01-17
(65)【公開番号】P2020110785
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】川口 直子
【審査官】櫻井 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-237192(JP,A)
【文献】特開2008-207148(JP,A)
【文献】特開2003-169615(JP,A)
【文献】特開2002-066354(JP,A)
【文献】実開昭61-171537(JP,U)
【文献】特開2019-188391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00 - 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精米機本体内に設けた円筒状の内枠内に集糠容器を嵌脱可能に収容するとともに前記集糠容器内に精米容器を嵌脱可能に収容し、前記精米機本体には前記精米容器の開放上部を被覆する開閉蓋を設ける一方、前記精米容器の底部中央に精米用の撹拌翼を立設し、前記精米機本体内に前記撹拌翼を駆動させる駆動手段を内蔵し、前記精米容器はその下半部を多孔壁のスクリーンで形成してなる家庭用精米機において、前記精米容器内に嵌脱可能な胚芽回収蓋を、該胚芽回収蓋の下縁部を前記精米容器の前記スクリーンに当接させて配設し、前記精米容器内に投入した米糠を前記撹拌翼で撹拌する際、胚芽が前記胚芽回収蓋に向けて飛散する一方、前記米糠は前記集糠容器内に排出すべく、前記胚芽回収蓋の下縁部より下方の前記スクリーンの一部を空き目部となしたことを特徴とする家庭用精米機。
【請求項2】
前記胚芽回収蓋を山形円錐状に形成してなる請求項1の家庭用精米機。
【請求項3】
前記精米容器のスクリーンは、ホッパー状であって、前記スクリーンの上端の内径が前記胚芽回収蓋の下縁部の外径よりも大きく、前記スクリーンの下端の内径が前記胚芽回収蓋の下縁部の外径よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2の家庭用精米機。
【請求項4】
記空き目部は15~20mmとしてなる請求項1~3いずれかの家庭用精米機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家庭用精米機に係り、特に、精白作用によって玄米から離脱した胚芽を回収する機能を備えた家庭用精米機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭の台所等で使用する、いわゆる、家庭用精米機が特許文献1等で周知である。
この種の家庭用精米機は、モータ等を内蔵した本体内部に集糠容器を嵌脱可能に収容し、さらに、前記集糠容器内に嵌脱可能に精米容器を収容し、除糠用多孔壁(スクリーン)を備えた前記精米容器の底部中央には前記モータによって高速回転する精米用撹拌翼を立設してなり、前記精米容器内に投入した玄米を前記精米翼で一定時間撹拌させることにより、玄米が前記精米容器内を対流しながら前記スクリーンに接触することで精白作用を生じるものである。
【0003】
前記精米容器のスクリーンから漏出する糠は前記集糠容器内に溜まり、精米終了後に、前記精米容器及び集糠容器を順に前記精米機本体から取り出して、前記集糠容器内に溜まった米糠を機外へ排出する。
ところで、栄養価に富んだ精米直後の米糠の有効利用の一つとして、米糠を焙煎して煎り糠とし、これを糠床に用いることなどが行わているが、精白作用によって米糠と共に玄米から離脱した胚芽も栄養価が高く、この胚芽を回収するため、従来、精米後の米糠を目幅1mm程度の篩にかけて、手作業によって胚芽を選別・回収しており、面倒であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008‐207148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点にかんがみ、精米後の米糠中から胚芽を容易に回収することのできる家庭用精米機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、
精米機本体内に設けた円筒状の内枠内に集糠容器を嵌脱可能に収容するとともに前記集糠容器内に精米容器を嵌脱可能に収容し、前記精米機本体には前記精米容器の開放上部を被覆する開閉蓋を設ける一方、前記精米容器の底部中央に精米用の撹拌翼を立設し、前記精米機本体内に前記撹拌翼を駆動させる駆動手段を内蔵し、前記精米容器はその下半部を多孔壁のスクリーン部で形成してなる家庭用精米機において、
前記精米容器内に嵌脱可能な胚芽回収蓋を、該胚芽回収蓋の下縁部が前記精米容器の前記スクリーンに当接させて配設し、前記精米容器内に投入した米糠を前記撹拌翼で撹拌する際、胚芽が前記胚芽回収蓋に向けて飛散する一方、前記米糠は前記集糠容器内に排出すべく、前記胚芽回収蓋の下縁部より下方の前記スクリーンの一部を空き目部となしたことを特徴とする。
【0007】
前記胚芽回収蓋は山形円錐状に形成することが好ましい。
【0008】
前記精米容器のスクリーンは、ホッパー状であって、前記スクリーンの上端の内径が前記胚芽回収蓋の下縁部の外径よりも大きく、前記スクリーンの下端の内径が前記胚芽回収蓋の下縁部の外径よりも小さくすることが好ましい。
【0009】
前記空き目部は15~20mmとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、精米後の米糠を精米容器内に投入して撹拌翼を駆動することにより、米糠だけが前記空き目部から前記集糠容器内に排出される一方、胚芽は前記撹拌翼によって前記胚芽回収蓋内に飛散されて前記精米容器内に留まることによって、容易に米糠中の胚芽を回収することができる。
【0011】
前記胚芽回収蓋を山形円錐状に形成することとすれば、該山形円錐内頂部に前記撹拌翼の頂部を収める一方、該山形円錐状の下縁部を前記スクリーンに当接させることが容易に可能となる。
【0012】
前記精米容器のスクリーンをホッパー状とし、前記スクリーンの上端の内径を前記胚芽回収蓋の下縁部の外径よりも大きく、前記スクリーンの下端の内径を前記胚芽回収蓋の下縁部の外径よりも小さくすれば、前記胚芽回収蓋の下縁部と前記スクリーン部との当接が容易となる。
【0013】
前記空き目部を15~20mmとすれば、撹拌翼によって高く飛散する傾向にある胚芽が前記空き目部から前記集糠容器内に漏出することが少なくなって胚芽の回収率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態による家庭用精米機の全体を表す斜視図である。
図2】前記家庭用精米機の縦断面図である。
図3】前記胚芽回収蓋の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態による家庭用精米機1を図1及び図2に基づいて説明する。
該家庭用精米機1の本体は略箱形の樹脂により形成され、該本体一側(後方)寄り内部に円筒状の内枠2を設けるとともに該内枠2の上部開口2aを被覆する開閉蓋3を設け、同他側(前方)寄り上面に操作パネル4を配置する。前記開閉蓋3の一側は、前記本体一側部に設けたヒンジ5を中心に開閉可能に形成されるとともに、前記開閉蓋3の他側は、前記操作パネル4寄りに設けた係合部6によって係脱可能に設けられる。また、前記操作パネル4はタッチパネルからなり、運転開始/停止スイッチ、精米度設定スイッチ、精米量設定スイッチなどが適宜、配置される。
【0016】
前記家庭用精米機1の本体内部であって操作パネル4の下方には底板9に固定して駆動モータ7を設ける一方、前記内枠2の下方には前記底板9に挿通して回転軸8が立設され、前記底板9の下方には、前記モータ7のモータ軸7a下端に軸着したモータプーリ10と、前記回転軸8下端に軸着した受動プーリ11とを臨ませ、これらのプーリ10,11間に駆動ベルト12を掛け渡す。
【0017】
前記回転軸8の上部はクラッチ部13に接続される。すなわち、前記内枠2の底部中央に設けたクラッチ用開口部2bに臨ませた前記回転軸8の上端部に、前記クラッチ部13を形成する下部クラッチ爪13aを軸着する。前記下部クラッチ爪13aはディスクに複数の爪を植設して形成される。前記下部クラッチ爪13aに噛み合うように上方から上部クラッチ爪13bが配置される。前記上部クラッチ爪13bにもディスクに下向きに複数の爪を植設してあり、該上部クラッチ爪13bと前記下部クラッチ爪13aとを噛み合わせてクラッチ部13を形成する。前記上部クラッチ爪13bは、後述する精米容器15の底部中央に回転可能に立設する竪軸16の下端部に設けられ、前記精米容器15を後述する集糠容器14とともに前記内枠2内に嵌入したとき前記下部クラッチ爪13aと噛み合うように構成されている。
【0018】
前記内枠2の底部は防振台座17を介して前記底板9に支持される。前記内枠2には上部を開口した集糠容器14を収納する。前記集糠容器14は略気密状に前記内枠2内に嵌入される。前記集糠容器14の底部中央には、前記内枠2の底部中央に設けたクラッチ用開口部2bを囲繞するべく前記底部面を立ち上げて円筒部19を形成する。
【0019】
前記集糠容器14内には精米容器15を収納する。該精米容器15はステンレス製で上
半分を円筒状に、下半分を径小のホッパー部にそれぞれ形成し、前記ホッパー部の周面は
多孔壁のスクリーン15aとなし、その底面15bには竪軸16を回転可能に立設し、前
記底面15bの外面には前記竪軸16に直結する前記上部クラッチ爪13bが設けられる
。前記竪軸16の表面は多角形状に形成するとともに、前記竪軸16に装着する撹拌翼2
0の軸部20a内部も前記竪軸16の表面と同形状の多角形状に形成することで前記撹拌
翼16を回り止めしている。また、前記軸部20a下部の四方に撹拌用のブレード20b
が設けられる。
本実施形態において、前記スクリーン15aはホッパー状に形成したが、ホッパー状と
せずに円筒状の精米容器15とする場合もある。
【0020】
前記集糠容器14を前記内枠2内に収納し、次いで、前記精米容器15底部の竪軸16
に前記撹拌翼20を装着した後、前記精米容器15を前記集糠容器14内に収納する。こ
のとき、前記精米容器15の底面15b外部が前記内枠2の底部中央に隆起した円筒部1
9の上端部に当接するとともに、前記精米容器15底部の上部クラッチ爪13bが前記ク
ラッチ用開口部2b内の下部クラッチ爪13aと噛み合うことになる。
【0021】
前記操作パネル4に設けた各種スイッチは制御部21に接続され、該制御部21は、電
源基板、CPU基板、I/O回路などを有する(図示せず)。
【0022】
次に、前記精米容器15内に嵌脱自在に設けられる胚芽回収蓋18について図2及び図
3を参照しながら説明する。翻字し携帯における前記胚芽回収蓋18は内部を空洞とした
山形円錐状となし、頂部に取っ手18aを設け、下縁部18bはシリコン等の弾力性素材
となして、該下縁部18bが前記精米容器15のホッパー状のスクリーン15aに当接し
て密着するよう形成され、前記当接部より下方の前記スクリーン15aを空き目部15c
となす。ここで、前記空き目部を15~20mmとすれば、撹拌翼によって高く飛散する
傾向にある胚芽が前記空き目部15cから前記集糠容器14内に漏出することが少なくな
って胚芽の回収率が向上することを実験値よって求めた。
なお、該胚芽回収蓋18は、前記精米容器15内に嵌入した際、前記撹拌翼20の軸部
20aの頂部に接触しない高さに形成されればよく、本実施形態における山形円錐状でな
くても、例えば、円筒状に形成することも可能である。その場合、前記円筒状の胚芽回収蓋の下縁部と前記精米容器のスクリーン部とが密着すべく、前記下縁部にシリコン材からなるベルト状密着部を周設するとよい。
【0023】
当該家庭用精米機1による精米運転を終了した後、前記精米容器15及び前記集糠容器
14を前記内枠2から抜き出すとともに、前記集糠容器14内に溜まった米糠を前記精米
容器15内に投入し、再び前記精米容器15及び前記集糠容器14を前記内枠2内に嵌入
する。そして、前記胚芽回収蓋18の取っ手18aをつまんで該胚芽回収蓋18を前記精
米容器15内に嵌入する。その際、前記胚芽回収蓋18の下縁部18bが前記精米容器1
5のホッパー状のスクリーン15aの所定位置に密着して固定するよう前記下縁部18b
が形成され、これにより、前記スクリーン15aの所定位置より下方が空き目部15cに
形成される。そして、前記撹拌翼20を、例えば2000回転/分で駆動させると、米糠
は前記空き目部15cから前記集糠容器14内に排出される一方、前記米糠中の胚芽は前
記撹拌翼20のブレード20bによる衝撃で上方に飛散するので前記空き目部15cから
漏出することがなく、また、前記胚芽回収蓋18の存在により、前記胚芽が該家庭用精米
機1上部の蓋3の隙間から機外へ漏出することがない。
こうして、一定時間前記撹拌翼20を駆動することにより、前記精米容器15内の米糠
のほとんどは前記集糠容器14内に排出され、前記精米容器15内に残った胚芽が回収さ
れる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、家庭用精米機で生じる米糠中から胚芽を容易に回収できるので有用である。
【符号の説明】
【0025】
1 家庭用精米機
2 内枠
3 開閉蓋
4 操作パネル
5 ヒンジ
6 係合部
7 モータ
8 回転軸
9 底板
10 モータプーリ
11 受動プーリ
12 駆動ベルト
13 クラッチ部
14 集糠容器
15 精米容器
16 竪軸
17 防振台座
18 胚芽回収蓋
19 円筒部
20 撹拌翼
図1
図2
図3