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特許7154506トンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】トンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
E21D11/10 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019042697
(22)【出願日】2019-03-08
(65)【公開番号】P2020143554
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(73)【特許権者】
【識別番号】310005294
【氏名又は名称】北陸鋼産株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501360120
【氏名又は名称】テクノプロ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】浜田 元
(72)【発明者】
【氏名】横山 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】横山 豊也
(72)【発明者】
【氏名】佐土原 千尋
(72)【発明者】
【氏名】村田 知哉
【審査官】坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-229546(JP,A)
【文献】特開平4-49371(JP,A)
【文献】特開2005-179995(JP,A)
【文献】特開2016-61024(JP,A)
【文献】特開平10-46806(JP,A)
【文献】特開2001-20688(JP,A)
【文献】特開2000-336928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D11/00-19/06
E21D23/00-23/16
E04G 9/00-19/00
E04G25/00-25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
山岳トンネルの内壁面を覆うトンネル覆工コンクリートを形成するための、架台部と型枠本体部とからなるトンネル覆工用型枠において、前記型枠本体部の下端部分の型枠面を覆って透水性シートを取り付ける際に用いるトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造であって、
前記型枠本体部は、上部型枠と、該上部型枠の両側の下端部に回転連結部を介して回転可能に連結された、一対の側部型枠とを含んで構成されており、
前記側部型枠の下端部分には、段差部を介して当該段差部の上方の型枠面よりも内側に配置される取付け支持面を有する、弧状断面を備える切欠き段差面部が設けられており、該切欠き段差面部に、同様の弧状断面を有する下端部型枠ユニットが嵌め込むようにして装着されていることにより、前記下端部型枠ユニットの外周面部によって、前記段差部の上方の型枠面と連続する下端部型枠面が、下端部分の型枠面として形成されるようになっており、
前記下端部型枠ユニットに、透水性シートが、予め前記外周面部を覆って密着した状態で取り付けられていることにより、前記切欠き段差面部に前記下端部型枠ユニットを装着することによって、前記型枠本体部の下端部分の型枠面に密着させて、透水性シートが取り付けられているトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造。
【請求項2】
前記型枠本体部の一対の前記側部型枠の各々の下端部には、下部回転連結部を介して回転可能に連結されて、下端部型枠が設けられており、該下端部型枠を前記側部型枠の下端部分として、前記切欠き段差面部が設けられていると共に、該切欠き段差面部に、前記下端部型枠ユニットが嵌め込むようにして装着されている請求項1記載のトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造。
【請求項3】
前記下端部型枠ユニットは、間隔をおいて配置された複数の縦桟を含む横長矩形形状の支持枠の一方の面に、前記外周面部を一体として接合することにより形成されている請求項1又は2記載のトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造。
【請求項4】
前記支持枠及び前記外周面部は、木製の材料からなる請求項3記載のトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造。
【請求項5】
前記支持枠の横長方向の端部に位置する縦桟同士を接合することにより、複数の前記下端部型枠ユニットが、横長方向に連結されて連設している請求項3又は4記載のトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造。
【請求項6】
前記支持枠の前記縦桟に、固定部材挿通孔が形成されており、前記側部型枠の下端部分の前記切欠き段差面部の前記取付け支持面には、前記固定部材挿通孔と対応する部分に、締着係止穴が開口形成されており、前記固定部材挿通孔に挿通された固定部材を、前記締着係止穴の開口周縁部分に締着係止部材を介して係止することによって、前記下端部型枠ユニットが、前記切欠き段差面部に装着された状態を保持するように固定されている請求項3~5のいずれか1項記載のトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造。
【請求項7】
前記側部型枠の前記切欠き段差面部の下端縁部から下方に延設して、ガイドプレートが設けられており、該ガイドプレートに案内させて、前記下端部型枠ユニットが、前記切欠き段差面部に嵌め込むようにして装着されている請求項1~6のいずれか1項記載のトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造に関し、特に、トンネル覆工用型枠の型枠本体部の下端部分の型枠面を覆って透水性シートを取り付ける際に用いるトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば山岳トンネル工法において、掘削したトンネルの内周面の地山を覆って構築されるトンネル覆工コンクリートを形成するための方法として、セントルと呼ばれるトンネル覆工用型枠を用いる工法が一般的に採用されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。トンネル覆工用型枠50は、例えば図7に示すように、馬蹄形等のアーチ形状部分52を含む形状のトンネル53の内周面に沿って、トンネル53の側壁部55から上部に亘って設置されるものであり、設置されたトンネル覆工用型枠50と、トンネル53の内周面の吹き付けコンクリート54によって覆われる地山との間の覆工空間61に、好ましくは無筋コンクリートを打設して硬化させることにより、トンネル底部のインバート部51のコンクリートと連続させるようにして、トンネル覆工コンクリートが形成されることになる。
【0003】
また、トンネル覆工用型枠50としては、例えばバラセントルと呼ばれる組立式のトンネル覆工用型枠の他、スライドセントルと呼ばれる移動式のトンネル覆工用型枠が知られており、トンネル53の掘削作業の進行に伴って、例えば10.5m程度の所定の施工スパン毎にトンネル覆工用型枠50を据え付け直しながら、トンネル53の掘進方向の後方から前方に向かって、トンネル覆工用型枠50を用いてトンネル53の側部及び上部の覆工コンクリートを順次打設して形成して行くことになる。
【0004】
そして、トンネル覆工用型枠50を用いてトンネルの側部及び上部の覆工コンクリートを打設するには、例えば図8(a)~(d)に示すように、設置したトンネル覆工用型枠50に設けられた検査窓56からコンクリートを打設可能な高さ領域として、例えばトンネル53の側壁部55からアーチ形状部分52の肩部までの領域に対しては、検査窓56を介してコンクリート57を供給すると共に、バイブレータ58を検査窓56から挿入し、供給されたコンクリート57を締固めながらコンクリート57を打設する(図8(a)~(c)参照)。しかる後に、検査窓56からコンクリート57を供給しながらバイブレータ58によって締固めることが困難な高さ領域として、トンネル53の冠部(クラウン部)59(図13参照)の領域に対しては、トンネル覆工用型枠50の天端部に設けた吹き上げ投入口60から、コンクリート57を吹き上げ方式で圧入して打ち込み、冠部59のコンクリート57を形成するパターンが採用されている(図8(d)参照)。
【0005】
より具体的には、所定位置にトンネル覆工用型枠50を設置した後に、例えば側壁部55の下部より、下段の検査窓56を介してコンクリート57を流し込みながらバイブレータ58を用いて締固める工程(図8(a)参照)と、さらに側壁部55の上部のアーチ形状部分52に向かって、中段の検査窓56を介してコンクリート57を流し込みながらバイブレータ58を用いて締固める工程(図8(b)参照)と、さらにアーチ形状部分52の冠部59の手前まで、上段の検査窓56及び必要に応じて吹き上げ投入口60を介してコンクリート57を流し込みながら、バイブレータ58を用いて締固める工程(図8(c)参照)と、冠部59における既設の覆工コンクリート62側の部分から吹き上げ投入口60を介してコンクリート57を吹き上げ方式で圧入し、妻型枠63までコンクリートを充填する工程(図8(d)参照)とによって、覆工コンクリートが打設されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-280094号公報
【文献】特開2003-262096号公報
【文献】特開2012-229546号公報
【文献】特開2016-61024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、トンネル覆工用型枠を用いてトンネル覆工コンクリートを形成する工法では、特にトンネルの側壁部分の覆工空間にコンクートを打設すると、打設された後のまだ固まらない状態のコンクリートから、養生中に、ブリージング水等の余剰水が滲出して、側壁部分の下端部分の型枠面に溜まり易くなり、脱型後の硬化したコンクリートの表面にジャンカやアバタ等が生じることで、品質の良好なトンネル覆工コンクリートを形成することが難しくなる。このようなことから、トンネル覆工用型枠における側壁部分の下端部分に配置される型枠の型枠面を覆って、透水性シートを取り付けておき、この透水性シートを介して、まだ固まらない状態のコンクリートから滲出した余剰水を、排除できるようにする技術も開発されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
【0008】
特許文献3や特許文献4の型枠構造では、コンクリートから余剰水を排除する透水性シートを、側壁部分の下端部分に配置される型枠の型枠面に上方から巻き付けると共に、巻き付けた透水性シートの下端部を、トンネル覆工用型枠の内側に引っ張り込むことによって、下端部分の型枠における覆工空間側の型枠面に密着させるようにして、当該型枠面を覆って透水性シートを張設した状態で取り付けるようになっている。
【0009】
しかしながら、特許文献3や特許文献4に開示された、側壁部分の下端部分の型枠の型枠面を覆って透水性シートを取り付ける構造では、例えば6.0~21.0m程度の長さの施工スパンを有するトンネル覆工用型枠の全長に亘って、トンネル覆工用型枠の内側からの作業によって、下端部分の型枠面を覆って透水性シートを連続して取り付けることになるため、相当の長さに亘って連続する透水性シートを巻き付けるようにして型枠面に取り付ける際に、透水性シートにヨレやシワが生じ易い。このようなことから、側壁部分の下端部分の型枠の型枠面に透水性シートを精度良く密着させるには、例えば狭い覆工空間に立ち入った作業員の手作業によって、型枠面に巻き付けられた透水性シートに生じたヨレやシワが解消されるように、透水性シートを整え直すことを必要として、透水性シートを取り付ける作業に多くの手間を要することになる。
【0010】
本発明は、トンネル覆工用型枠の側壁部分の下端部分の型枠の型枠面を覆う透水性シートを、精度良く型枠面に密着させた状態で、多くの手間を要することなく容易に型枠面に取り付けることのできるトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、山岳トンネルの内壁面を覆うトンネル覆工コンクリートを形成するための、架台部と型枠本体部とからなるトンネル覆工用型枠において、前記型枠本体部の下端部分の型枠面を覆って透水性シートを取り付ける際に用いるトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造であって、前記型枠本体部は、上部型枠と、該上部型枠の両側の下端部に回転連結部を介して回転可能に連結された、一対の側部型枠とを含んで構成されており、前記側部型枠の下端部分には、段差部を介して当該段差部の上方の型枠面よりも内側に配置される取付け支持面を有する、弧状断面を備える切欠き段差面部が設けられており、該切欠き段差面部に、同様の弧状断面を有する下端部型枠ユニットが嵌め込むようにして装着されていることにより、前記下端部型枠ユニットの外周面部によって、前記段差部の上方の型枠面と連続する下端部型枠面が、下端部分の型枠面として形成されるようになっており、前記下端部型枠ユニットに、透水性シートが、予め前記外周面部を覆って密着した状態で取り付けられていることにより、前記切欠き段差面部に前記下端部型枠ユニットを装着することによって、前記型枠本体部の下端部分の型枠面に密着させて、透水性シートが取り付けられているトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0012】
そして、本発明のトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造は、前記型枠本体部の一対の前記側部型枠の各々の下端部には、下部回転連結部を介して回転可能に連結されて、下端部型枠が設けられており、該下端部型枠を前記側部型枠の下端部分として、前記切欠き段差面部が設けられていると共に、該切欠き段差面部に、前記下端部型枠ユニットが嵌め込むようにして装着されていることが好ましい。
【0013】
また、本発明のトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造は、前記下端部型枠ユニットが、間隔をおいて配置された複数の縦桟を含む横長矩形形状の支持枠の一方の面に、前記外周面部を一体として接合することにより形成されていることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明のトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造は、前記支持枠及び前記外周面部が、木製の材料からなっていることが好ましい。
【0015】
さらにまた、本発明のトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造は、前記支持枠の横長方向の端部に位置する縦桟同士を接合することにより、複数の前記下端部型枠ユニットが、横長方向に連結されて連設していることが好ましい。
【0016】
また、本発明のトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造は、前記支持枠の前記縦桟に、固定部材挿通孔が形成されており、前記側部型枠の下端部分の前記切欠き段差面部の前記取付け支持面には、前記固定部材挿通孔と対応する部分に、締着係止穴が開口形成されており、前記固定部材挿通孔に挿通された固定部材を、前記締着係止穴の周縁部分に締着係止部材を介して係止することによって、前記下端部型枠ユニットが、前記切欠き段差面部に装着された状態を保持するように固定されていることが好ましい。
【0017】
さらに、本発明のトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造は、前記側部型枠の前記切欠き段差面部の下端縁部から下方に延設して、ガイドプレートが設けられており、該ガイドプレートに案内させて、前記下端部型枠ユニットが、前記切欠き段差面部に嵌め込むようにして装着されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造によれば、トンネル覆工用型枠の側壁部分の下端部分の型枠の型枠面を覆う透水性シートを、精度良く型枠面に密着させた状態で、多くの手間を要することなく容易に型枠面に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は、本発明の好ましい一実施形態に係る透水性シートの取付け構造が採用されたトンネル覆工用型枠の構成を説明する略示横断面図、(b)は、略示縦断面図である。
図2】本発明の好ましい一実施形態に係る透水性シートの取付け構造を説明する、図1(a)のA部拡大図である。
図3】(a)は、外周面部を覆って透水性シートが取り付けられた下端部型枠ユニットの略示横断面図、(b)は、下端部型枠ユニットを外周面部とは反対の背面側から見た背面図である。
図4】複数の下端部型枠ユニットが横長方向に連結された状態を説明する背面図である。下端部型枠ユニットを外周面部とは反対の背面側から見た背面図である。
図5】(a)は、側部型枠の下端部分となる下端部型枠を、下端部型枠ユニットが装着される前の状態で示す略示横断面図、(b)は、下端部型枠ユニットが装着された状態で示す略示横断面図である。
図6】切欠き段差面部の取付け支持面に開口形成された締着係止穴の周縁部分に、締着係止部材を介して固定部材を係止することによって、下端部型枠ユニットを切欠き段差面部に固定した状態を説明する、(a)は、図2のB-Bに沿った断面図、(b)は(a)をC方句から見た背面図である。
図7】従来のトンネル覆工コンクリートの打設方法において、トンネル覆工用型枠をトンネルの内周面に沿って設置した状態を説明する略示横断図面である。
図8】(a)~(d)は、従来のトンネル覆工コンクリートの打設方法の作業手順を説明する、一部を断面図として示す略示側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の好ましい一実施形態に係るトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造10は、山岳トンネル工法において、図1に示すように、吹き付けコンクリートによる一次覆工41によって覆われたトンネル40の内壁面の内側に、トンネル覆工用型枠30を設置して、設置されたトンネル覆工用型枠30と一次覆工41によるトンネル40の内壁面との間の覆工空間42にコンクリートを打設して、2次覆工となるトンネル覆工コンクリート(図示せず)を形成する際に、トンネル覆工用型枠30を構成する型枠本体部31における側部型枠31bの下端部分の型枠面32aを覆って、透水性シート11を取り付けておくための取付け構造として採用されたものである。
【0021】
すなわち、トンネル覆工用型枠30を用いてトンネル覆工コンクリートを形成する工法では、特にトンネル40の側壁部分の覆工空間42にコンクートを打設すると、打設された後のまだ固まらない状態のコンクリートから、養生中に、ブリージング水等の余剰水が滲出して、側壁部分の下端部分の型枠面32aに溜まり易くなり、脱型後に硬化したコンクリートの表面にジャンカやアバタ等が生じることで、品質の良好なトンネル覆工コンクリートを形成することが困難になることから、好ましくは、トンネル覆工用型枠30における側壁部分の下端部分に配置される、側部型枠31bの下端部分の型枠面32aを覆って、透水性シート11を取り付けておき(図2参照)、取り付けた透水性シート11を介して、コンクリートから滲出した余剰水を排除するようになっている。
【0022】
本実施形態の透水性シートの取付け構造は、トンネル覆工用型枠30における型枠本体部31の側部型枠31bの下端部分の型枠面32aを覆って、透水性シート11を取り付ける際に、多くの手間を要することなく、透水性シート11を下端部分の型枠面32aに密着させた状態で、精度良く容易に取り付けることができるようにする機能を備えている。
【0023】
そして、本実施形態のトンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造10は、山岳トンネル40の一次覆工41による内壁面を覆うトンネル覆工コンクリートを形成するための、架台部35と型枠本体部31とからなるトンネル覆工用型枠30において、型枠本体部31の下端部分の型枠面32aを覆って透水性シート11を取り付ける際に用いる取付け構造であって(図2参照)、型枠本体部31は、上部型枠31aと、上部型枠31aの両側の下端部に回転連結部33aを介して回転可能に連結された、一対の側部型枠31bとを含んで構成されている。側部型枠31bの下端部分には、図2及び図5(a)、(b)に示すように、段差部15aを介して当該段差部15aの上方の型枠面32よりも内側に配置される取付け支持面15bを有する、弧状断面を備える切欠き段差面部15が設けられており、この切欠き段差面部15に、同様の弧状断面を有する下端部型枠ユニット12が嵌め込むようにして装着されていることにより、下端部型枠ユニット12の外周面部12aによって、段差部15aの上方の型枠面32と連続する下端部型枠面32aが、下端部分の型枠面として形成されるようになっている。下端部型枠ユニット12に、透水性シート11が、予め外周面部12aを覆って密着した状態で取り付けられていることにより(図3(a)参照)、切欠き段差面部15に下端部型枠ユニット12を装着することによって、型枠本体部31の下端部分の型枠面32aに密着させて、透水性シート11が取り付けられるようになっている。
【0024】
また、本実施形態では、型枠本体部31の一対の側部型枠31bの各々の下端部には、下部回転連結部33bを介して回転可能に連結されて、下端部型枠31cが設けられており(図1参照)、この下端部型枠31cを側部型枠31bの下端部分として、切欠き段差面部15が設けられていると共に、この下端部型枠31cにおける切欠き段差面部15に、下端部型枠ユニット12が嵌め込むようにして装着されている。
【0025】
さらに、本実施形態では、側部型枠31bの下端部分となる下端部型枠31cの、切欠き段差面部15の下端縁部から下方に延設して、ガイドプレート16が設けられており、このガイドプレート16に案内させて、下端部型枠ユニット12が、切欠き段差面部15に嵌め込むようにして装着されている。
【0026】
本実施形態では、トンネルの内壁面との間にコンクリートを打設するための覆工空間42を形成するトンネル覆工用型枠30は、トンネル40の掘進方向Xに移動可能なスライドセントルとなっており、好ましくは18m程度の延長を有するロングスパンのセントルとなっている。トンネル覆工用型枠30は、ロングスパンのセントルとなっていること以外は、例えば特開2015-67949号公報に記載されたトンネル覆工用型枠と、略同様の構成を備えている。
【0027】
すなわち、トンネル覆工用型枠30は、図1(a)、(b)に示すように、トンネル40の掘進方向Xに連結一体化された、複数の門型台車34を含む架台部35と、架台部35によって支持されると共に、例えば吹付けコンクリートによる一次覆工41によって覆われたトンネル40の内壁面に沿って配置されて、覆工空間42の内側の型枠面32を形成する型枠本体部31とを含んで構成されている。架台部35を構成する門型台車34は、基台部34aと、基台部34aを支持する支柱脚部34bとを備えている。支柱脚部34bの下端部には、トンネル40の床面に敷設されたレール34dに沿って走行可能な走行部34cが設けられており、これによってトンネル覆工用型枠30は、トンネル40の掘進方向Xに移動できるようになっている。
【0028】
型枠本体部31は、吹付けコンクリートによる一次覆工41によって覆われたトンネル40の内壁面に沿った形状を備えるように組み付けられており、トンネル40の内壁面との間に所定の間隔をおいて配置されることにより、所定の厚さの覆工空間42を形成する。また、型枠本体部31は、トンネル40のアーチ形状部分の上部の覆工空間42を形成する上部型枠31aと、上部型枠31aの両側の下端部に回転連結部33aを介して回転可能に連結され、アーチ形状部分の下部及び両側の側壁部分の覆工空間42を形成する一対の側部型枠31bと、好ましくは、一対の側部型枠31bの各々の下端部に下部回転連結部33bを介して回転可能に連結され、アーチ形状部の下部の覆工空間42を形成する一対の下端部型枠31cとを含んで構成されている。下端部型枠31cは、上述のように、側部型枠31bの下端部分を構成している。
【0029】
上部型枠31aは、架台部35に設けられた複数の昇降ジャッキ36aによって、上下方向に昇降可能に支持されている。一対の側部型枠31bは、各々、上部型枠31aの両側の下端部に回転連結部33aを介して回転可能に接続されており、一対の下端部型枠31cは、各々、側部型枠31bの下端部に回転連結部33bを介して回転可能に接続されている。また側部型枠31b及び下端部型枠31cは、一端部が架台部35を構成する門型台車34に連結された伸縮ジャッキ36b,36cの他端部と連結しており、これらの伸縮ジャッキ36b,36cを伸縮することで、側部型枠31bや下端部型枠31cを、上部型枠31aや側部型枠31bに対して、回動できるようになっている。
【0030】
これらによって、トンネル覆工用型枠30は、昇降ジャッキ36aや伸縮ジャッキ36b,36cを伸縮させることで、型枠本体部31を展開したり内側にまとめたりすることが可能になって、トンネル40の内壁面に沿うように型枠本体部31を組み付けたり、型枠本体部31を脱型した後にトンネル40の内部で掘進方向Xに移動させたりできるようになっている。
【0031】
また、本実施形態では、型枠本体部31の上部型枠31aや側部型枠31bには、開閉可能な複数の上段圧入接続口37aや下段上段圧入接続口37bが、トンネル40の掘進方向Xに間隔をおいて各々形成されている(図2参照)。型枠本体部31の上部型枠31aの天端部分には、開閉可能な複数の天頂部圧入接続口37cが、トンネルTの掘進方向Xに間隔をおいて形成されている。これらの圧入接続口37a,37b,37cは、圧送配管38を介して圧送される覆工用のコンクリートを、圧送配管38を接続する圧入接続口37a,37b,37cを適宜切り換えながら、覆工空間42に流し込んだり圧入したりして打設するため等の目的で用いられる。
【0032】
本実施形態では、トンネル覆工用型枠30は、例えば18m程度の施工延長を有するロングスパンのセントルとなっており、また好ましくは、前後方向(トンネルの掘進方向)Xの一方及び他方に2分割した状態となるように、分離可能な構成を備えている。トンネル覆工用型枠30を一方及び他方に分離可能な構成としたことで、トンネル覆工用型枠30の移動及びセットをロングスパンのまま一体として行えるようにして、移動及びセットの時間の短縮を図りつつも、例えばトンネル40の坑口部分や断面拡幅部分等の、異なる断面部分の覆工コンクリートを施工する際に、これらの異なる断面部分の型枠の組み立てや打設したコンクリートの養生などのために、トンネル覆工用型枠30を、移動することなく通常よりも長い期間、同じ位置に保持しておく必要がある場合でも、例えば一方の部分をそのまま保持しておき、異なる断面部分から外れた他方の部分を分離することで、分離した他方の部分を用いることによって、覆工コンクリートを形成する作業を進めることが可能になる。これによって、覆工コンクリートを形成するための工程が、異なる断面部分の影響によって長引くことになるのを、効果的に回避することが可能になる。
【0033】
本実施形態では、トンネル覆工用型枠30によって形成された、一次覆工41で覆われたトンネル40の内壁面との間の覆工空間42には、2系統のコンクリートポンプ(コンクリートポンプ車)39及び圧送配管38を介して、コンクリートが供給されるようになっている。すなわち、本実施形態では、コンクリートポンプ39は、図1(b)に示すように、セットされたトンネル覆工用型枠30を挟んだトンネルの掘進方向Xの前方及び後方に1台ずつ、2台配置されており、各々のコンクリートポンプ39のホッパー部に、コンクリートミキサー車からコンクリート22が投入されるようになっている。前後2台のコンクリートポンプ39には、圧送配管38が各々接続されている。これらの2系統の圧送配管38を介して、2台のコンクリートポンプ39から覆工空間42に、コンクリートを同時に圧送して、供給できるようになっている。2系統のコンクリートポンプ39及び圧送配管38を用いることにより、覆工コンクリートを形成するための工程の進捗を、より効果的に早めることが可能になる。2台のコンクリートポンプ39を用いる場合、これらの2台のコンクリートポンプ39は、トンネル覆工用型枠30を挟んだトンネルの掘進方向Xの前方又は後方の一方(片側)に、並べて配置することもできる。
【0034】
そして、本実施形態では、上述の構成を備えるトンネル覆工用型枠30において、透水性シートの取付け構造10によって、図2に示すように、型枠本体部31の下端部分の型枠面となる下端部型枠31cによる下端部型枠面32aを覆って、透水性シート11が取り付けられている。すなわち、側部型枠31bの下端部分を構成する下端部型枠31cには、図5(a)、(b)にも示すように、例えば55mm程度の段差部15aを介して当該段差部15aの上方の型枠面32よりも内側に配置される取付け支持面15bを有する、弧状断面を備える切欠き段差面部15が設けられている。この切欠き段差面部15に、同様の弧状断面を有する下端部型枠ユニット12が嵌め込むようにして装着されていることにより、下端部型枠ユニット12の外周面部12aによって、段差部13aの上方の型枠面32と連続する下端部型枠面32aが、側部型枠31bの下端部分の型枠面として形成されるようになっており、この下端部型枠ユニット12による下端部型枠面32aを覆って、透水性シート11が取り付けられている。
【0035】
ここで、下端部型枠31cの切欠き段差面部15は、工場等において各種の鋼材を組み付けて当該下端部型枠31cを製作する際に、所望の形状の弧状断面を備える切欠き部分として、容易に形成することができる。
【0036】
下端部型枠ユニット12は、好ましくは木製材料として、木製の角材や板材を用いて容易に形成することができる。下端部型枠ユニット12は、図3(a)、(b)に示すように、例えば弧状に湾曲させた矩形の断面形状を備える木製の角材による複数の縦桟12cを、横長方向に間隔をおいて配置すると共に、これらの複数の縦桟12cの上端部及び下端部を、木製の角材や板材による、例えば1500mm程度の長さの横桟12d、12d’によって一体として連結することで、横長矩形形状の支持枠12bを組み付ける。しかる後に、組み付けた支持枠12bの一方の面に、弧状に湾曲させた、縦幅が720mm程度、横幅が1500mm程度の大きさの、12mm程度の厚さの木製の板材による外周面部12aを一体として接合することで、下端部型枠ユニット12を容易に形成することができる。下端部型枠ユニット12の外周面部12aの表面には、例えばウレタン加工が施しておくことが好ましい。これによって、外周面部12aを覆って透水性シート11を取り付ける際の作業性が向上させることが可能になると共に、取り付けられた透水性シート11の外周面部12aに対する密着性を高めることが可能になる。
【0037】
また、下端部型枠ユニット12の支持枠12bには、横長方向の両側の端部に位置する一対の縦桟12cの各々を横方向に貫通して、連結孔12eが、縦方向の位置を揃えた状態で複数箇所に形成されている。これらの連結孔12eを合致させ、連結ボルト12fを挿通して締着させることにより(図4参照)、隣接する下端部型枠ユニット12を連結して、複数の下端部型枠ユニット12を、横長方向に一体として連設させた状態で用いることが可能になる(図4参照)。
【0038】
さらに、本実施形態では、下端部型枠ユニット12の支持枠12bにおける横長方向の中間部分の縦桟12cには、固定部材挿通孔12gが、適宜の位置に配置されると共に、縦桟12cを横方向に貫通して形成されている。固定部材挿通孔12gには、下端部型枠ユニット12を下端部型枠31cの切欠き段差面部15に装着して固定する際に、固定部材として例えばUボルト17が挿通される(図6(a)参照)。挿通されたUボルト17は、側部型枠31bの下端部分を構成する下端部型枠31cの切欠き段差面部15の取付け支持面15bにおける、固定部材挿通孔12gと対応する部分に開口形成された、複数の締着係止穴15cの各々の開口周縁部分に、例えば横長矩形形状の金属プレートによる締着係止部材17aを介して、ナット部材17bを締着することによって係止される(図6(b)参照)。これによって、下端部型枠ユニット12を、切欠き段差面部15に装着された状態を保持するように、容易に固定しておくことが可能になる。
【0039】
本実施形態では、下端部型枠ユニット12による下端部型枠面32aを覆って取り付けられる透水性シート11は、例えば型枠用透水剥離シートとして市販されている公知の各種の透水性シートを用いることができる。透水性シート11は、より具体的には、気泡や余剰水の排水を妨げず、型枠設置面に繰り返し張り返せる接着性の透水性シートとして開発された、ポリプロピレン製不織布及びポロエステル製織布を素材とするシートである、商品名「フィルターシートタフ」(フジモリ産業株式会社製)を好ましく用いることができる。
【0040】
透水性シート11は、例えば0.6mm程度の厚さを備えており、260g/m2程度の軽量のものであることから、例えばトンネル40の内部やトンネル覆工用型枠30の内側の広い作業空間において、作業員の手作業によって、下端部型枠ユニット12の外周面部12aによる下端部型枠面32aの全体に精度良く密着させた状態で、下端部型枠面32aの全体を覆うようにして、下端部型枠面32aに沿って容易に敷設することができる。また透水性シート11は、下端部型枠面32aからはみ出した部分を、支持枠12bの縦桟12cや横桟12d、12d’に沿って内側に折り曲げ、内側に折り曲げた部分で、木製の角材や板材からなる縦桟12cや横桟12d、12d’に向けて、例えば多数のタッカーを打ち込む。これによって、透水性シート11を、下端部型枠面32aの全体に密着させて敷設した状態で、精度良く且つ容易に、下端部型枠ユニット12に取り付けることが可能になる。
【0041】
また、透水性シート11が取り付けられた下端部型枠ユニット12は、複数の下端部型枠ユニット12を、図4に示すように、施工に適した所定の長さとなるように横長方向に一体として連設した状態で用いることができる。複数の下端部型枠ユニット12は、上述のように、隣接する一対の下端部型枠ユニット12における、支持枠12bの端部に位置する縦桟12c同士を重ね合わせ、合致させた連結孔12eに連結ボルト12fを挿通して締着させることにより、両側の下端部型枠ユニット12を連結して、複数の下端部型枠ユニット12を横長方向に一体として連設させた状態で用いることができる。
【0042】
本実施形態では、トンネル覆工用型枠30は、上述のように、例えば18m程度の施工延長を有しており、また好ましくは、前後方向(トンネルの掘進方向)Xの一方及び他方に2分割した状態となるように、分離可能な構成を備えているので、分離可能なトンネル覆工用型枠30の一方の長さに相当する、9mの長さとなるように、横幅が1500mmの下端部型枠ユニット12を、6体連設して組み付けた状態で用いるようになっている。これによって、トンネル覆工用型枠30の前方及び後方から、6体連設した下端部型枠ユニット12を切欠き段差面部15に装着する作業を各々行うことで、18mの施工スパンを有するトンネル覆工用型枠30の全長に亘って、外周面部12aによる下端部型枠面32aを覆って透水性シート11が取り付けられた下端部型枠ユニット12を、切欠き段差面部15に嵌め込むようにして容易に設置することが可能になる。
【0043】
そして、本実施形態の透水性シートの取付け構造10では、例えば図5(a)に示すように、下端部型枠31cと門型台車34とを連結する伸縮ジャッキ36c(図1参照)を収縮することで下端部型枠31cを内側に回転させて、下端部型枠31cとトンネル40の内壁面との間の覆工空間42を広げた状態で、覆工空間42に立ち入った作業員により斜め下方から支えるようにしながら、トンネル覆工用型枠30の前方又は後方から、別の作業員の手作業によって、所定の長さで連設する下端部型枠ユニット12を、支持枠12bの下部の横桟12d’を下端部型枠31cのガイドプレート16に押し当てて案内させつつ、切欠き段差面部15に嵌め込むようにしてスライドさせることにより、下端部型枠ユニット12を切欠き段差面部15に装着する。下端部型枠ユニット12には、透水性シート11が、外周面部12aを覆って予め密着した状態で取り付けられているので、切欠き段差面部15に下端部型枠ユニット12を装着することによって、型枠本体部31における側部型枠31bの下端部分の型枠面32aに密着させて、透水性シート11が取り付けられることになる。下端部型枠ユニット12は、木製の角材や板材からなる軽量のものとなっているので、これらの作業を、作業員による手作業によって容易に行うことが可能になる。
【0044】
所定の長さで連設する下端部型枠ユニット12を、所定の位置までスライドさせて切欠き段差面部15に装着すると、下端部型枠ユニット12の支持枠12bにおける横長方向の中間部分の縦桟12cに配置された固定部材挿通孔12g(図3参照)が、図6(a)に示すように、下端部型枠31cの切欠き段差面部15の取付け支持面15bに開口形成された複数の締着係止穴15cに臨むようにして、各々配置されることになる。また、これらの締着係止穴15cを介したトンネル覆工用型枠30の内側からの作業員の手作業によって、上述のように、固定部材挿通孔12gに固定部材として例えばUボルト17を挿通すると共に、挿通したUボルト17の一対の端部を、図6(b)にも示すように、下端部型枠31cの取付け支持面15bに開口形成された締着係止穴15cの開口周縁部分に、例えば横長矩形形状の金属プレートによる締着係止部材17aを介して、ナット部材17bを締着すことで係止することによって、下端部型枠ユニット12を、切欠き段差面部15に装着した状態で容易に固定することができる。
【0045】
下端部型枠ユニット12を、切欠き段差面部15に装着した状態で固定したら、伸縮ジャッキ36c(図1参照)を伸長することで、下端部型枠31cを外側に回転させて、図2に示すように、下端部型枠ユニット12の外周面部12aによる下端部型枠面32aを、これの上方の型枠面32と連続するように配置させると共に、下端部型枠31cのガイドプレート16による下端と、トンネル40の底部40aとの間の隙間を埋めるようにして、底部仕切型枠18を取り付けることにより、型枠本体部31とトンネル40の内壁面との間の覆工空間42に、コンクリートを打設する準備が完了する。
【0046】
したがって、本実施形態の透水性シートの取付け構造10によれば、例えばトンネル40の内部やトンネル覆工用型枠30の内側の広い作業空間において、作業員の手作業によって、透水性シート11を、下端部型枠ユニット12の外周面部12aによる下端部型枠面32aの全体に密着させた状態で、下端部型枠面32aの全体を覆うようにして、予め精度良く取り付けておくことができるので、従来のように狭い覆工空間に立ち入った作業員の手作業によって、型枠面に巻き付けられた透水性シートに生じたヨレやシワが解消されるように、透水性シートを整え直すといった手間の掛かる作業を要することなく、簡易な作業によって、トンネル覆工用型枠30の側部型枠31bの下端部分の下端部型枠31cの型枠面32aを覆う透水性シート11を、精度良く型枠面32aに密着させた状態で、多くの手間を要することなく容易に型枠面32aに取り付けることが可能になる。
【0047】
また、本実施形態によれば、透水性シートの取付け構造10によって、トンネル覆工用型枠30における側部型枠31bの下端部分に配置される下端部型枠31cの型枠面32aを覆って、透水性シート11が取り付けられており、覆工空間42にコンクリートを打設した際に、この透水性シート11を介して、まだ固まらない状態のコンクリートから滲出した余剰水を、スムーズに排除することがきるので、脱型後の硬化した覆工コンクリートの側壁部分の下端部分の表面に、ジャンカやアバタが生じていない、品質の良好なトンネル覆工コンクリートを形成することが可能になる。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、下端部型枠ユニットは、木製の角材や板材を用いて形成されている必要は必ずしも無く、合成樹脂を用いて形成されていても良い。この場合、透水性シートは、接着剤等を用いて、外周面部を覆った状態で下端部型枠ユニットに取り付けることができる。また、型枠本体部の一対の側部型枠の各々の下端部に、下端部型枠が設けられている必要は必ずしも無く、側部型枠の下端部分に形成された切欠き段差面部に、下端部型枠ユニットが嵌め込むようにして装着されていても良い。
【符号の説明】
【0049】
10 トンネル覆工用型枠における透水性シートの取付け構造
11 透水性シート
12 下端部型枠ユニット
12a 外周面部
12b 支持枠
12c 縦桟
12d,12d’ 横桟
12e 連結孔
12f 連結ボルト
12g 固定部材挿通孔
15 切欠き段差面部
15a 段差部
15b 取付け支持面
15c 締着係止穴
16 ガイドプレート
17 固定部材(Uボルト)
17a 締着係止部材
31 型枠本体部
31a 上部型枠
31b 側部型枠
31c 下端部型枠
33a 回転連結部
33b 下部回転連結部
34 門型台車
35 架台部
38 圧送配管
39 コンクリートポンプ(コンクリートポンプ車)
40 トンネル
41 一次覆工
X トンネルの掘進方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8