(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】ハウスに設置するシステムおよびその利用
(51)【国際特許分類】
A01G 9/24 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
A01G9/24 F
(21)【出願番号】P 2022113935
(22)【出願日】2022-07-15
【審査請求日】2022-07-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506164394
【氏名又は名称】沖阪産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】300054033
【氏名又は名称】株式会社ハヤト・インフォメーション
(73)【特許権者】
【識別番号】517252130
【氏名又は名称】株式会社ファイトペトラム
(74)【代理人】
【識別番号】100179578
【氏名又は名称】野村 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100195062
【氏名又は名称】野村 涼子
(72)【発明者】
【氏名】玉城 麿
(72)【発明者】
【氏名】宮城 健次
(72)【発明者】
【氏名】佐野 誠一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 史紘
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-115001(JP,A)
【文献】実開平6-79234(JP,U)
【文献】実開昭58-65854(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1490496(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14 - 9/26
E06B 9/00 - 9/92
H02P 7/00 - 7/347
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウスに設置するシステムであって、
前記ハウスの少なくとも一部を覆うシート状のカバーと、
前記カバーの一端に固定された第1の棒状部材と、
前記第1の棒状部材を回転させる第1の直流モータと、
前記第1の直流モータの電圧を計測する第1の電圧計と、
前記第1の棒状部材に一端が固定されたベルトと、
前記ベルトの他端に固定された第2の棒状部材と、
前記第2の棒状部材を回転させる第2の直流モータと、
前記第2の直流モータの電圧を計測する第2の電圧計と、
前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1の棒状部材を回転させることによって前記第1の棒状部材から前記カバーと前記ベルトとを巻き出しつつ、前記第2の棒状部材を回転させることによって前記第2の棒状部材に前記ベルトを巻き取る第1の動作と、
前記第1の棒状部材を回転させることによって前記第1の棒状部材に前記カバーと前記ベルトとを巻き取りつつ、前記第2の棒状部材を回転させることによって前記第2の棒状部材から前記ベルトを巻き出す第2の動作と、を制御し、
前記第1の動作と前記第2の動作とにおいて、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを定電流制御する場合に、
前記ベルトを巻き取る一方の棒状部材を回転させる一方の直流モータの電圧が予め定められた第1の電圧以上の場合は、前記一方の直流モータを回転させつつ、他方の直流モータを停止させる第1の制御を行い、
前記一方の直流モータの電圧が前記第1の電圧未満の場合は、前記一方の直流モータを回転させつつ、前記他方の直流モータを回転させる第2の制御を行う、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、さらに、
前記第1の直流モータの回転回数が予め定められた第1の回数に到達したことを検知する第1の検知部と、
前記第2の直流モータの回転回数が予め定められた第2の回数に到達したことを検知する第2の検知部と、を備え、
前記制御部は、前記第1の動作と前記第2の動作とにおいて、前記一方の直流モータの回転回数が予め定められた回数に到達した場合に、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを停止させる、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、さらに、
前記第1の直流モータの回転回数が予め定められた第1の回数に到達したことを検知する第1の検知部と、
前記第2の直流モータの回転回数が予め定められた第2の回数に到達したことを検知する第2の検知部と、を備え、
前記制御部は、前記第1の動作と前記第2の動作とにおいて、前記一方の直流モータの回転回数が予め定められた回数に到達した場合に、前記一方の直流モータを停止させ、かつ、前記他方の直流モータを逆回転させる制御を予め定められた第1の期間行い、その後、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを停止させる、システム。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のシステムにおいて、
前記制御部は、
前記第2の制御を行っている状態において、前記一方の直流モータが、前記第1の電圧よりも低い予め定められた第2の電圧未満の状態が予め定められた第2の期間以上継続した場合に、前記一方の直流モータを停止させ、かつ、前記他方の直流モータを逆回転させる第3の制御を行い、
前記第3の制御の実行開始から前記他方の直流モータの電圧が予め定められた第3の電圧未満に下がるまでに要した期間が、予め定められた第3の期間未満である場合に、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを停止させ、
前記第3の制御の実行開始から前記他方の直流モータの電圧が前記第3の電圧未満に下がるまでに要した期間が、前記第3の期間以上である場合に、前記他方の直流モータを停止させ、かつ、前記一方の直流モータを逆回転させる第4の制御を行い、その後、前記一方の直流モータの電圧が前記第1の電圧以上の場合は、前記第1の制御を行い、前記一方の直流モータの電圧が前記第1の電圧未満の場合は、前記第2の制御を行う、システム。
【請求項5】
ハウスであって、
前記ハウスの少なくとも一部を覆うシート状のカバーと、
前記カバーの一端に固定された第1の棒状部材と、
前記第1の棒状部材を回転させる第1の直流モータと、
前記第1の直流モータの電圧を計測する第1の電圧計と、
前記第1の棒状部材に一端が固定されたベルトと、
前記ベルトの他端に固定された第2の棒状部材と、
前記第2の棒状部材を回転させる第2の直流モータと、
前記第2の直流モータの電圧を計測する第2の電圧計と、
前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1の棒状部材を回転させることによって前記第1の棒状部材から前記カバーと前記ベルトとを巻き出しつつ、前記第2の棒状部材を回転させることによって前記第2の棒状部材に前記ベルトを巻き取る第1の動作と、
前記第1の棒状部材を回転させることによって前記第1の棒状部材に前記カバーと前記ベルトとを巻き取りつつ、前記第2の棒状部材を回転させることによって前記第2の棒状部材から前記ベルトを巻き出す第2の動作と、を制御し、
前記第1の動作と前記第2の動作とにおいて、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを定電流制御する場合に、
前記ベルトを巻き取る一方の棒状部材を回転させる一方の直流モータの電圧が予め定められた第1の電圧以上の場合は、前記一方の直流モータを回転させつつ、他方の直流モータを停止させる第1の制御を行い、
前記一方の直流モータの電圧が前記第1の電圧未満の場合は、前記一方の直流モータを回転させつつ、前記他方の直流モータを回転させる第2の制御を行う、ハウス。
【請求項6】
ハウスに設置するシステムの制御方法であって、
前記システムは、前記ハウスの少なくとも一部を覆うシート状のカバーと、前記カバーの一端に固定された第1の棒状部材と、前記第1の棒状部材を回転させる第1の直流モータと、前記第1の直流モータの電圧を計測する第1の電圧計と、前記第1の棒状部材に一端が固定されたベルトと、前記ベルトの他端に固定された第2の棒状部材と、前記第2の棒状部材を回転させる第2の直流モータと、前記第2の直流モータの電圧を計測する第2の電圧計と、を備え、
前記第1の棒状部材を回転させることによって前記第1の棒状部材から前記カバーと前記ベルトとを巻き出しつつ、前記第2の棒状部材を回転させることによって前記第2の棒状部材に前記ベルトを巻き取る第1の動作と、
前記第1の棒状部材を回転させることによって前記第1の棒状部材に前記カバーと前記ベルトとを巻き取りつつ、前記第2の棒状部材を回転させることによって前記第2の棒状部材から前記ベルトを巻き出す第2の動作と、において、
前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを定電流制御する場合に、
前記ベルトを巻き取る一方の棒状部材を回転させる一方の直流モータの電圧が予め定められた第1の電圧以上の場合は、前記一方の直流モータを回転させつつ、他方の直流モータを停止させる第1の制御を行い、
前記一方の直流モータの電圧が前記第1の電圧未満の場合は、前記一方の直流モータを回転させつつ、前記他方の直流モータを回転させる第2の制御を行う、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハウスに設置するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビニールハウスの上部や側部に設けられたシートを巻き上げ巻き出しする機構として、特許文献1に示すような手動で行う機構が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、手動でシートの巻き上げ巻き出しを行うことは煩雑である。このため、モータによりシートの巻き上げ巻き出しを行う方法が考えられる。
【0005】
しかしながら、ビニールハウスのシートの巻き上げ巻き出しをモータによって行う場合、シートが風で捲れてしまうことがあり、この結果として、シートの巻き上げ巻き出しを完了できない虞があることを発明者らは発見した。このため、シートが風で捲れてしまうことを抑制する技術の開発が望まれる。このような課題は、ビニールハウスに限った課題ではなく、ガラスハウスやテント等、シート状のカバーが巻き出されるハウス一般に共通する課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の形態として実現することができる。
【0007】
(1)本開示の一形態によれば、ハウスに設置するシステムが提供される。このシステムは、前記ハウスの少なくとも一部を覆うシート状のカバーと、前記カバーの一端に固定された第1の棒状部材と、前記第1の棒状部材を回転させる第1の直流モータと、前記第1の直流モータの電圧を計測する第1の電圧計と、前記第1の棒状部材に一端が固定されたベルトと、前記ベルトの他端に固定された第2の棒状部材と、前記第2の棒状部材を回転させる第2の直流モータと、前記第2の直流モータの電圧を計測する第2の電圧計と、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の棒状部材を回転させることによって前記第1の棒状部材から前記カバーと前記ベルトとを巻き出しつつ、前記第2の棒状部材を回転させることによって前記第2の棒状部材に前記ベルトを巻き取る第1の動作と、前記第1の棒状部材を回転させることによって前記第1の棒状部材に前記カバーと前記ベルトとを巻き取りつつ、前記第2の棒状部材を回転させることによって前記第2の棒状部材から前記ベルトを巻き出す第2の動作と、を制御し、前記第1の動作と前記第2の動作とにおいて、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを定電流制御する場合に、前記ベルトを巻き取る一方の棒状部材を回転させる一方の直流モータの電圧が予め定められた第1の電圧以上の場合は、前記一方の直流モータを回転させつつ、他方の直流モータを停止させる第1の制御を行い、前記一方の直流モータの電圧が前記第1の電圧未満の場合は、前記一方の直流モータを回転させつつ、前記他方の直流モータを回転させる第2の制御を行う。
【0008】
一方の直流モータの電圧が第1の電圧未満ということは、一方の直流モータの電圧が第1の電圧以上の場合と比較して、一方の直流モータに負荷がかかっていることを意味する。つまり、一方の直流モータの電圧が第1の電圧未満ということは、一方の直流モータの電圧が第1の電圧以上の場合と比較して、カバーやベルトにかかる張力が高いこととなる。本実施形態によれば、このような場合に、一方の直流モータを回転させつつ、他方の直流モータを回転させる第2の制御を行うため、カバーやベルトの張力が過度に高くなる状態を抑制できるため、システムの破損を抑制することができる。
【0009】
これに対し、一方の直流モータの電圧が第1の電圧以上ということは、一方の直流モータの電圧が第1の電圧未満の場合と比較して、カバーやベルトにかかる張力が低いこととなる。本実施形態によれば、このような場合に、一方の直流モータを回転させつつ、他方の直流モータを停止させる第1の制御を行うため、カバーやベルトに張力をかけることができ、カバーやベルトが風により撓むことを抑制できる。
【0010】
(2)上記形態のシステムにおいて、さらに、前記第1の直流モータの回転回数が予め定められた第1の回数に到達したことを検知する第1の検知部と、前記第2の直流モータの回転回数が予め定められた第2の回数に到達したことを検知する第2の検知部と、を備え、前記制御部は、前記第1の動作と前記第2の動作とにおいて、前記一方の直流モータの回転回数が予め定められた回数に到達した場合に、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを停止させてもよい。
【0011】
この形態のシステムによれば、直流モータの回転回数が予め定められた回数に到達した場合に、第1の直流モータと第2の直流モータとを停止させることにより、動作を完了させることができる。
【0012】
(3)上記形態のシステムにおいて、さらに、前記第1の直流モータの回転回数が予め定められた第1の回数に到達したことを検知する第1の検知部と、前記第2の直流モータの回転回数が予め定められた第2の回数に到達したことを検知する第2の検知部と、を備え、前記制御部は、前記第1の動作と前記第2の動作とにおいて、前記一方の直流モータの回転回数が予め定められた回数に到達した場合に、前記一方の直流モータを停止させ、かつ、前記他方の直流モータを逆回転させる制御を予め定められた第1の期間行い、その後、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを停止させてもよい。
【0013】
この形態のシステムによれば、他方の直流モータを逆回転させた後に、第1の直流モータと第2の直流モータとを停止させることにより、ベルトやカバーの張力を上げることができるため、風によってベルトやカバーが撓むことを効率的に抑制できる。
【0014】
(4)上記形態のシステムにおいて、前記制御部は、前記第2の制御を行っている状態において、前記一方の直流モータが、前記第1の電圧よりも低い予め定められた第2の電圧未満の状態が予め定められた第2の期間以上継続した場合に、前記一方の直流モータを停止させ、かつ、前記他方の直流モータを逆回転させる第3の制御を行い、前記第3の制御の実行開始から前記他方の直流モータの電圧が予め定められた第3の電圧未満に下がるまでに要した期間が、予め定められた第3の期間未満である場合に、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを停止させ、前記第3の制御の実行開始から前記他方の直流モータの電圧が前記第3の電圧未満に下がるまでに要した期間が、前記第3の期間以上である場合に、前記他方の直流モータを停止させ、かつ、前記一方の直流モータを逆回転させる第4の制御を行い、その後、前記一方の直流モータの電圧が前記第1の電圧以上の場合は、前記第1の制御を行い、前記一方の直流モータの電圧が前記第1の電圧未満の場合は、前記第2の制御を行ってもよい。
【0015】
第2の制御を行っている状態において、一方の直流モータが、第1の電圧よりも低い予め定められた第2の電圧未満の状態が予め定められた第2の期間以上継続した場合には、一方の直流モータに過度な負荷がかかっていると考えられる。このような場合としては、カバーの巻き出し又は巻き取りが既に完了している場合や、ベルトとカバーとが互いに付着している場合や、ハウスの一部にベルトやカバーが付着している場合が想定される。そして、第3の制御の実行開始から他方の直流モータの電圧が予め定められた第3の電圧未満に下がるまでに要した期間が、第3の期間未満である場合には、第3の期間以上である場合と比較して短期間で他方の直流モータに負荷がかかっている。このため、このような場合は、カバーの巻き出し又は巻き取りが既に完了している場合が想定される。この形態のシステムによれば、第3の制御によって、ベルトやカバーの張力を上げた状態で第1の動作や第2の動作を終了できるため、風によってベルトやカバーが撓むことを効率的に抑制できる。また、第3の制御の実行開始から他方の直流モータの電圧が予め定められた第3の電圧未満に下がるまでに要した期間が、第3の期間以上である場合には、第3の期間未満である場合と比較して他方の直流モータに負荷がかかっていない。このため、このような場合としては、ベルトとカバーとが互いに付着している場合やハウスの一部にベルトやカバーが付着している場合、ベルトとカバーとの間に異物が挟まっている場合等が想定される。この形態のシステムによれば、このような場合に、他方の直流モータを停止させ、かつ、一方の直流モータを逆回転させた後に、第1の制御または第2の制御によって一方の直流モータを回転させることにより、ベルトやカバーが付着している状態を解消する可能性や異物を除去できる可能性を上げることができる。
【0016】
(5)本開示の他の形態によれば、ハウスが提供される。このハウスは、前記ハウスの少なくとも一部を覆うシート状のカバーと、前記カバーの一端に固定された第1の棒状部材と、前記第1の棒状部材を回転させる第1の直流モータと、前記第1の直流モータの電圧を計測する第1の電圧計と、前記第1の棒状部材に一端が固定されたベルトと、前記ベルトの他端に固定された第2の棒状部材と、前記第2の棒状部材を回転させる第2の直流モータと、前記第2の直流モータの電圧を計測する第2の電圧計と、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の棒状部材を回転させることによって前記第1の棒状部材から前記カバーと前記ベルトとを巻き出しつつ、前記第2の棒状部材を回転させることによって前記第2の棒状部材に前記ベルトを巻き取る第1の動作と、前記第1の棒状部材を回転させることによって前記第1の棒状部材に前記カバーと前記ベルトとを巻き取りつつ、前記第2の棒状部材を回転させることによって前記第2の棒状部材から前記ベルトを巻き出す第2の動作と、を制御し、前記第1の動作と前記第2の動作とにおいて、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを定電流制御する場合に、前記ベルトを巻き取る一方の棒状部材を回転させる一方の直流モータの電圧が予め定められた第1の電圧以上の場合は、前記一方の直流モータを回転させつつ、他方の直流モータを停止させる第1の制御を行い、前記一方の直流モータの電圧が前記第1の電圧未満の場合は、前記一方の直流モータを回転させつつ、前記他方の直流モータを回転させる第2の制御を行う。
【0017】
(6)本開示の他の形態によれば、ハウスに設置するシステムの制御方法が提供される。このハウスは、前記ハウスの少なくとも一部を覆うシート状のカバーと、前記カバーの一端に固定された第1の棒状部材と、前記第1の棒状部材を回転させる第1の直流モータと、前記第1の直流モータの電圧を計測する第1の電圧計と、前記第1の棒状部材に一端が固定されたベルトと、前記ベルトの他端に固定された第2の棒状部材と、前記第2の棒状部材を回転させる第2の直流モータと、前記第2の直流モータの電圧を計測する第2の電圧計と、を備え、この制御方法は、前記第1の棒状部材を回転させることによって前記第1の棒状部材から前記カバーと前記ベルトとを巻き出しつつ、前記第2の棒状部材を回転させることによって前記第2の棒状部材に前記ベルトを巻き取る第1の動作と、前記第1の棒状部材を回転させることによって前記第1の棒状部材に前記カバーと前記ベルトとを巻き取りつつ、前記第2の棒状部材を回転させることによって前記第2の棒状部材から前記ベルトを巻き出す第2の動作と、において、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを定電流制御する場合に、前記ベルトを巻き取る一方の棒状部材を回転させる一方の直流モータの電圧が予め定められた第1の電圧以上の場合は、前記一方の直流モータを回転させつつ、他方の直流モータを停止させる第1の制御を行い、前記一方の直流モータの電圧が前記第1の電圧未満の場合は、前記一方の直流モータを回転させつつ、前記他方の直流モータを回転させる第2の制御を行う。
【0018】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、ハウスを備える農場等の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の一実施形態としてのハウスに設置するシステムの概略構成を示す正面図。
【
図3】カバーを巻き取っている状態の概略構成を示す正面図。
【
図4】カバーの巻き取りが完了した状態の概略構成を示す正面図。
【
図5】カバーの巻き取りが完了した状態の概略構成を示す側面図。
【
図6】カバーの巻き取り完了後にベルトを固定した状態の概略構成を示す正面図。
【
図7】第1の直流モータと第2の直流モータとの制御の流れを示すフローチャート。
【
図8】第2実施形態としてのハウスに設置するシステムの概略構成を示す正面図。
【
図9】第3実施形態の制御の流れを示すフローチャート。
【
図10】第4実施形態における第1の直流モータと第2の直流モータとの制御の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
A.第1実施形態
図1は、本開示の一実施形態としてのハウスHに設置するシステム100の概略構成を示す正面図である。
図2は、システム100の概略構成を示す側面図である。ハウスHとしては、特に限定されないが、例えば、ビニールハウスやガラスハウス、テント等の建屋が挙げられる。ハウスHの用途は、特に限定されないが、例えば、施設園芸等の農業用、魚や貝等の養殖用、鶏舎や堆肥舎等の畜産用、遊技場等の屋外イベント用等が挙げられる。また、ハウスHの形状としては、特に限定されないが、
図1に示すようなアーチ状であってもよく、ドーム状や山型状等の任意の形状であってもよい。本実施形態において、システム100は、ハウスHとしての園芸用のビニールハウスに取り付けられている。
【0021】
本実施形態のシステム100は、カバー10と、第1の棒状部材20と、第1の直流モータ30と、第1の電圧計32と、ベルト40と、第2の棒状部材50と、第2の直流モータ60と、第2の電圧計62と、制御部70とを備える。
図1に示すように、本実施形態では、ハウスHの正面視において略左右対称に一対のシステム100が設けられている。
【0022】
カバー10は、ハウスHの少なくとも一部を覆うシート状の部材である。本実施形態では、カバー10は、ハウスHの上部を覆うが、これに限られず、例えば、ハウスHの側部を覆ってもよい。本実施形態では、カバー10として遮光フィルムを用いるが、これに限定されない。カバー10は、例えば、ビニールハウスを構成するビニールであってもよく、ネット等であってもよい。カバー10の一端は、第1の棒状部材20と固定されている。本実施形態において、カバー10の一端は、鉛直方向下方端に相当する。本実施形態において、カバー10の他端、すなわちカバー10の鉛直方向上方端は、ハウスHに固定されている。つまり、本実施形態では、カバー10の他端はハウスHの最上部に位置する大棟に固定されている。しかし、このような構成に限られず、カバー10の他端は、対をなすシステム100を構成するカバー10の他端と接続されていてもよい。
図1および
図2に示す状態において、カバー10は、ハウスHの上部を覆っている。
【0023】
第1の棒状部材20は、カバー10の一端に固定された棒状の部材である。本実施形態において、第1の棒状部材20は、
図1の紙面に垂直な方向、すなわちハウスHの奥行方向に沿って伸びる部材である。本実施形態では、第1の棒状部材20として丸パイプを用いるが、丸パイプに限らず、角パイプや丸棒等の任意の棒状部材を用いてもよい。
【0024】
第1の直流モータ30は、第1の棒状部材20を回転させる直流モータである。本実施形態において、第1の直流モータ30は、正回転および逆回転が可能である。
【0025】
第1の電圧計32は、第1の直流モータ30の電圧を計測する。本実施形態によれば、第1の電圧計32を備えるため、第1の直流モータ30について定電流制御がされた状態における第1の直流モータ30の電圧を測定できる。この結果として、第1の直流モータ30へのトルク負荷を推定できることにより、第1の直流モータ30が回転させる第1の棒状部材20に固定されているカバー10およびベルト40の張力を推定することができる。このため、制御部70は、以下のような制御が可能となる。つまり、第1の直流モータ30の電圧が予め定められた電圧よりも低くなった場合、制御部70は第1の直流モータ30の駆動を停止させることができる。このようにすることにより、カバー10およびベルト40へ過度な張力がかかる前に、第1の直流モータ30を停止できる。また、第1の直流モータ30へのトルク負荷を推定できることにより、カバー10およびベルト40の巻き出しや巻き取りが完了したことを推定できる。
【0026】
ベルト40は、第1の棒状部材20に一端が固定されている。本実施形態において、ベルト40の一端は、鉛直方向上方端に相当し、ベルト40の他端は、鉛直方向下方端に相当する。本実施形態において、ベルト40は、第1の棒状部材20の鉛直方向下側に設けられている。また、本実施形態では、
図2に示すように、第1の棒状部材20の長手方向において一定の間隔をあけて、複数のベルト40が第1の棒状部材20に固定されている。本実施形態において、ベルト40は、帯状の部材によって構成されているが、ワイヤーやロープ等によって構成されていてもよく、一部または全部が弾力のあるゴム等によって構成されていてもよい。
【0027】
第2の棒状部材50は、ベルト40の他端に固定された棒状の部材である。本実施形態において、第2の棒状部材50は、
図1の紙面に垂直な方向、すなわちハウスHの奥行方向に沿って伸びる部材である。第2の棒状部材50は、第1の棒状部材20に対して略平行に延設されている。本実施形態では、第2の棒状部材50として丸パイプを用いるが、丸パイプに限らず、角パイプや丸棒等の任意の棒状部材を用いてもよい。
【0028】
第2の直流モータ60は、第2の棒状部材50を回転させる直流モータである。本実施形態において、第2の直流モータ60は、正回転および逆回転が可能である。
【0029】
第2の電圧計62は、第2の直流モータ60の電圧を測定する。本実施形態によれば、第2の電圧計62を備えるため、第2の直流モータ60について定電流制御がされた状態における第2の直流モータ60の電圧を測定できる。この結果として、第2の直流モータ60へのトルク負荷を推定できることにより、第2の直流モータ60が回転させる第1の棒状部材20に固定されているベルト40の張力を推定することができる。つまり、第2の直流モータ60の電圧が予め定められた電圧よりも低くなった場合、制御部70は第2の直流モータ60の駆動を停止させることができる。このようにすることにより、ベルト40へ過度な張力がかかる前に、第2の直流モータ60を停止できる。また、第2の直流モータ60へのトルク負荷を推定できることにより、ベルト40の巻き出しや巻き取りが完了したことを推定できる。
【0030】
制御部70は、少なくとも、第1の直流モータ30と第2の直流モータ60とをそれぞれ制御する。制御部70は、図示しない記憶部に記憶されるプログラムを読み込んで、そのプログラムに含まれる命令を実行することにより、システム100の動作を制御する。
【0031】
制御部70は、第1の動作と第2の動作との制御を行う。ここで、第1の動作とは、第1の棒状部材20を回転させることによって第1の棒状部材20からカバー10とベルト40とを巻き出しつつ、第2の棒状部材50を回転させることによって第2の棒状部材50にベルト40を巻き取る動作を示す。また、第2の動作とは、第1の棒状部材20を回転させることによって第1の棒状部材20にカバー10とベルト40とを巻き取りつつ、第2の棒状部材50を回転させることによって第2の棒状部材50からベルト40を巻き出す動作を示す。制御部70は、後述するフローチャートに従って、第1の直流モータ30と第2の直流モータ60とを、それぞれ制御する。
【0032】
本実施形態において、第1の直流モータ30の回転方向は、第1の動作と第2の動作とにおいて互いに反対となる。同様に、第2の直流モータ60の回転方向は、第1の動作と第2の動作とにおいて互いに反対となる。第1の動作と第2の動作とにおいて、第1の直流モータ30および第2の直流モータ60の回転方向以外の制御は、互いに同様である。
【0033】
第2の動作を実行する旨の指示、すなわちカバー10を巻き取る旨の指示を制御部70が受けた場合、制御部70は、第1の直流モータ30を駆動させることによって、第1の棒状部材20を回転させる。このようにすることにより、制御部70は、第1の棒状部材20にカバー10とベルト40とを巻き取る。また、第1の直流モータ30の駆動と並行して、制御部70は、第2の直流モータ60を駆動させることによって、第2の棒状部材50を回転させる。このようにすることにより、制御部70は、第2の棒状部材50からベルト40を巻き出す。カバー10を巻き取る旨の指示を制御部70が受ける場合としては、特に限定されないが、例えば、システム100の使用者が図示しないスイッチを押下する場合等が挙げられる。
【0034】
図3は、カバー10を巻き取っている状態の概略構成を示す正面図である。すなわち、
図3では、第2の動作の実行途中の状態を示している。制御部70が第2の動作を実行させることによって、
図1に示すようなカバー10がハウスHの上部を覆った状態から、
図3に示すように、第1の棒状部材20がハウスHの上部に沿ってカバー10の他端側に向かって移動する。
【0035】
図4は、カバー10の巻き取りが完了した状態の概略構成を示す正面図である。
図5は、カバーの巻き取りが完了した状態の概略構成を示す側面図である。すなわち、
図4および
図5では、第2の動作が完了した状態を示している。
図3に示す状態から、制御部70がさらに第1の棒状部材20および第2の棒状部材50を回転させることによって、
図4に示すように第1の棒状部材20がハウスHの上端に達し、第1の棒状部材20にカバー10が完全に巻き取られる。
【0036】
図6は、カバー10の巻き取り完了後にベルト40を固定した状態の概略構成を示す正面図である。制御部70は、
図4に示す状態から、第2の棒状部材50のみを逆回転させることによって、
図6に示すようにベルト40を張った状態に固定してもよい。このようにすることにより、風が吹いた場合等においてもベルト40が撓むことを抑制できる。なお、本明細書において、逆回転とは、第1の動作または第2の動作を達成するための回転とは反対側への回転を意味する。例えば、カバー10の巻き取る動作である第2の動作において、第2の棒状部材50を逆回転させるとは、第2の棒状部材50にベルト40を巻き取るように回転させることを意味する。
【0037】
また、第1の動作を実行する旨の指示、すなわちカバー10を巻き出す旨の指示を制御部70が受けた場合、制御部70は、第1の直流モータ30を駆動させることによって、第2の動作とは反対の回転方向となるように第1の棒状部材20を回転させる。このようにすることにより、制御部70は、第1の棒状部材20からカバー10とベルト40とを巻き出す。また、第1の直流モータ30の駆動と並行して、制御部70は、第2の直流モータ60を駆動させることによって、第2の動作とは反対の回転方向となるように第2の棒状部材50を回転させる。このようにすることにより、制御部70は、第2の棒状部材50にベルト40を巻き取る。カバー10を巻き出す旨の指示を制御部70が受ける場合としては、特に限定されないが、例えば、システム100の使用者が図示しないスイッチを押下する場合等が挙げられる。なお、第1の動作の実行前の状態は
図4に示す状態に相当し、第1の動作の実行途中の状態は
図3に示す状態に相当し、第1の動作の完了後の状態は
図1に示す状態に相当する。
【0038】
本実施形態では、制御部70は、第1の動作と第2の動作とにおいて、第1の直流モータ30と第2の直流モータ60とを定電流制御する。しかし、これに限られず、例えば、定電流制御を行う前に定電圧制御を行ってもよい。例えば、制御部70は、モータを流れる電流値Iが予め定められた電流値It未満の場合、そのモータについて定電圧制御を行い、モータを流れる電流値Iが予め定められた電流値Itに達した場合、そのモータについて定電流制御を行ってもよい。
【0039】
図7は、第1の直流モータ30と第2の直流モータ60との制御の流れを示すフローチャートである。制御部70は、第1の動作と第2の動作とにおいて、第1の直流モータ30と第2の直流モータ60とを定電流制御した状態において、第1の直流モータ30および第2の直流モータ60を、それぞれ以下のように制御する。つまり、ベルト40を巻き取る一方の棒状部材を回転させる一方の直流モータの電圧Vが予め定められた第1の電圧V1以上の場合(工程S105:YES)、制御部70は、一方の直流モータを回転させつつ、他方の直流モータを停止させる第1の制御を行う(工程S110)。これに対し、一方の直流モータの電圧Vが予め定められた第1の電圧V1未満の場合(工程S105:NO)、制御部70は、一方の直流モータを回転させつつ、他方の直流モータを回転させる第2の制御を行う(工程S120)。
【0040】
以下、カバー10の巻き出しを行う場合(つまり、第1の動作の場合)と、カバー10の巻き取りを行う場合(つまり、第2の動作の場合)とに分けて具体的に説明する。
【0041】
カバー10の巻き出しを行う場合、つまり、第1の動作の場合、ベルト40を巻き取る一方の棒状部材とは、第2の棒状部材50である。そして、ベルト40を巻き取る一方の棒状部材を回転させる一方の直流モータとは、第2の直流モータ60である。このため、第2の直流モータ60の電圧Vが予め定められた第1の電圧V1以上の場合(工程S105:YES)、制御部70は、第2の直流モータ60を回転させつつ、第1の直流モータ30を停止させる第1の制御を行う(工程S110)。これに対し、第2の直流モータ60の電圧Vが予め定められた第1の電圧V1未満の場合(工程S105:NO)、制御部70は、第2の直流モータ60を回転させつつ、第1の直流モータ30を回転させる第2の制御を行う(工程S120)。
【0042】
カバー10の巻き取りを行う場合、つまり、第2の動作の場合、ベルト40を巻き取る一方の棒状部材とは、第1の棒状部材20である。そして、ベルト40を巻き取る一方の棒状部材を回転させる一方の直流モータとは、第1の直流モータ30である。このため、第1の直流モータ30の電圧Vが予め定められた第1の電圧V1以上の場合、制御部70は、第1の直流モータ30を回転させつつ、第2の直流モータ60を停止させる第1の制御を行う(工程S110)。一方、第1の直流モータ30の電圧Vが予め定められた第1の電圧V1未満の場合、制御部70は、第1の直流モータ30を回転させつつ、第2の直流モータ60を回転させる第2の制御を行う(工程S120)。
【0043】
本実施形態では、ベルト40やカバー10に異物が挟まっている等の異常が無い条件において、第1の直流モータ30の電圧や第2の直流モータ60の電圧が予め定められた第1の電圧以上となるように、第1の電圧が設定される。第1の電圧は、例えば、第1の直流モータ30や第2の直流モータ60にかかり得る最大電圧に対して、4割、5割、6割、7割等の電圧に設定されてもよい。
【0044】
本実施形態において、制御部70は、このフローチャートに沿った制御を予め定められた期間が経過するまで繰り返し行い、予め定められた期間が経過すると、この制御を停止する。なお、制御部70は、第1の動作を停止する旨の指示、すなわちカバー10の巻き出しを停止する旨の指示を受けた場合や、第2の動作を停止する旨の指示、すなわちカバー10の巻き取りを停止する旨の指示を受けた場合に、この制御を停止してもよい。カバー10の巻き取りや巻き出しを停止する旨の指示を制御部70が受ける場合としては、特に限定されないが、例えば、システム100の使用者が図示しないスイッチを押下する場合等が挙げられる。
【0045】
一般に、定電流制御においては、直流モータに負荷がかかるほど、直流モータの電圧が低下する。本実施形態の場合、ベルト40を巻き取る側の直流モータである一方の直流モータの電圧が第1の電圧未満ということは、一方の直流モータの電圧が第1の電圧以上の場合と比較して、一方の直流モータに負荷がかかっていることを意味する。つまり、一方の直流モータの電圧Vが第1の電圧未満ということは、一方の直流モータの電圧Vが第1の電圧V1以上の場合と比較して、カバー10やベルト40にかかる張力が高いこととなる。この場合、本実施形態によれば、第2の制御を行うことにより、ベルト40を巻き取る側の直流モータを回転させつつ、もう一方の直流モータを回転させるため、ベルト40やカバー10の張力が過度に高くなる状態を抑制できるため、ベルト40やカバー10への過度な張力に起因するシステム100の破損を抑制することができる。
【0046】
これに対して、ベルト40を巻き取る側の直流モータである一方の直流モータの電圧が第1の電圧以上の場合、一方の直流モータの電圧Vが第1の電圧未満の場合と比較して、一方の直流モータに負荷がかかっていないことを意味する。つまり、一方の直流モータの電圧Vが第1の電圧以上ということは、一方の直流モータの電圧Vが第1の電圧V1未満の場合と比較して、カバー10やベルト40にかかる張力が低い。この場合、ベルト40を巻き取る側の直流モータに一定以上の負荷がかかるまでは、ベルト40を巻き取る側の直流モータのみを回転させ、もう一方の直流モータを停止させる。このため、本実施形態によれば、ベルト40やカバー10を張った状態でベルト40を巻き取ることができる。この結果として、ベルト40やカバー10が撓むことを抑制できる。また、本実施形態によれば、カバー10やベルト40の張力を測定するための張力センサーの設置を省略できる。
【0047】
B.第2実施形態
図8は、第2実施形態としてのハウスに設置するシステム100Aの概略構成を示す正面図である。第2実施形態のシステム100Aは、第1実施形態のシステム100と比較して、さらに、第1の検知部34と第2の検知部64とを備える点で異なるが、それ以外の構成は同じであるため、その詳細な説明を省略する。第1の検知部34は、第1の直流モータ30の回転回数が予め定められた第1の回数に到達したことを検知する。第2の検知部64は、第2の直流モータ60の回転回数が予め定められた第2の回数に到達したことを検知する。本実施形態において、第1の回数は、第1の直流モータ30がベルト40を巻き取り始めてから巻き取り終わるまでの回転回数である。本実施形態では、第2の回数は、第2の直流モータ60がベルト40を巻き取り始めてから巻き取り終わるまでの回転回数である。
【0048】
本実施形態において、制御部70は、第1の動作と第2の動作とにおいて、一方の直流モータの回転回数が予め定められた回数に到達した場合に、第1の直流モータ30と第2の直流モータ60とを停止させる。
【0049】
カバー10の巻き出しを行う場合、つまり、第1の動作の場合、ベルト40を巻き取る一方の棒状部材とは、第2の棒状部材50である。そして、ベルト40を巻き取る一方の棒状部材を回転させる一方の直流モータとは、第2の直流モータ60である。このため、本実施形態では、第1の動作の場合、第2の直流モータ60の回転回数が予め定められた回数に到達したと第2の検知部64が検知した場合に、第1の直流モータ30と第2の直流モータ60とを停止させる。
【0050】
カバー10の巻き取りを行う場合、つまり、第2の動作の場合、ベルト40を巻き取る一方の棒状部材とは、第1の棒状部材20である。そして、ベルト40を巻き取る一方の棒状部材を回転させる一方の直流モータとは、第1の直流モータ30である。このため、本実施形態では、第2の動作の場合、第1の直流モータ30の回転回数が予め定められた回数に到達したと第1の検知部34が検知した場合に、第1の直流モータ30と第2の直流モータ60とを停止させる。
【0051】
本実施形態によれば、直流モータの回転回数が予め定められた回数に到達した場合に、第1の直流モータ30と第2の直流モータ60とを停止させることにより、動作を完了させることができる。
【0052】
C.第3実施形態
第3実施形態は、第2実施形態と比較して、第1の動作と第2の動作とにおいて、一方の直流モータの回転回数が予め定められた回数に到達した場合の処理が異なるが、それ以外は同じである。なお、第3実施形態のシステムは、第2実施形態のシステムと同じである。
【0053】
図9は、第3実施形態の制御の流れを示すフローチャートである。制御部70は、一方の直流モータの回転回数が予め定められた回数に到達したか判定する(工程S100)。一方の直流モータの回転回数が予め定められた回数に到達していない場合(工程S100:NO)、フローは第1実施形態の工程S105に進む。
【0054】
これに対して、一方の直流モータの回転回数が予め定められた回数に到達した場合(工程S100:YES)、制御部70は、一方の直流モータを停止させた状態において、予め定められた第1の期間T1、他方の直流モータを逆回転させる(工程S130)。そして、フローは終了する。つまり、制御部70は、第1の直流モータ30と第2の直流モータ60とを停止させる。本実施形態では、第1の期間T1は5秒であるが、これに限られず、例えば、3秒や10秒等であってもよい。
【0055】
カバー10の巻き出しを行う場合、つまり、第1の動作の場合、ベルト40を巻き取る一方の棒状部材とは、第2の棒状部材50である。ベルト40を巻き取る一方の棒状部材を回転させる一方の直流モータとは、第2の直流モータ60である。他方の直流モータとは、第1の直流モータ30である。本実施形態では、第1の動作の場合、第2の直流モータ60の回転回数が予め定められた回数に到達したと第2の検知部64が検知した場合に、第2の直流モータ60を停止させた状態において、予め定められた第1の期間T1、第1の直流モータ30を逆回転させた後に、第1の直流モータ30と第2の直流モータ60とを停止させる。
【0056】
カバー10の巻き取りを行う場合、つまり、第2の動作の場合、ベルト40を巻き取る一方の棒状部材とは、第1の棒状部材20である。ベルト40を巻き取る一方の棒状部材を回転させる一方の直流モータとは、第1の直流モータ30である。他方の直流モータとは、第2の直流モータ60である。本実施形態では、第2の動作の場合、第1の直流モータ30の回転回数が予め定められた回数に到達したと第1の検知部34が検知した場合に、第1の直流モータ30を停止させた状態において、予め定められた第1の期間T1、第2の直流モータ60を逆回転させた後に、第1の直流モータ30と第2の直流モータ60とを停止させる。
【0057】
本実施形態によれば、工程S130を経ることにより、ベルト40やカバー10の張力を上げることができるため、風によってベルト40やカバー10が撓むことを効率的に抑制できる。
【0058】
D.第4実施形態
図10は、第4実施形態における第1の直流モータ30と第2の直流モータ60との制御の流れを示すフローチャートである。第4実施形態は、第3実施形態と比較して、さらに、工程S140、S150、S160、S170を備える点で異なるが、それ以外は同じである。
【0059】
制御部70は、第2の制御を行っている状態において(工程S120)、一方の直流モータの電圧Vが予め定められた第2の電圧V2未満の状態が、予め定められた第2の期間T2以上続いたか否かを判定する(工程S140)。ここで、予め定められた第2の電圧V2は、予め定められた第1の電圧V1より小さい値である。第2の電圧は、例えば、第1の直流モータ30や第2の直流モータ60にかかり得る最大電圧に対して1割程度の電圧に設定されてもよく、第1の電圧に対して1割、2割、3割等の電圧に設定されてもよい。本実施形態では、第2の期間T2は5秒であるが、これに限られず、例えば、3秒や10秒等であってもよい。
【0060】
一方の直流モータの電圧Vが予め定められた第2の電圧V2未満の状態が、予め定められた第2の期間T2以上続いていない場合(工程S140:NO)、フローは工程S100に戻る。
【0061】
これに対して、一方の直流モータの電圧Vが第2の電圧V2未満の状態が、予め定められた第2の期間T2以上続いた場合(工程S140:YES)、制御部70は、一方の直流モータを停止させ、他方の直流モータを逆回転させる第3の制御を行う(工程S150)。
【0062】
そして、第3の制御を実行している状態において、制御部70は、他方の直流モータの電圧Vaが予め定められた第3の電圧V3未満になるまでに要した期間が、予め定められた第3の期間T3以上であるか否かを判定する(工程S160)。本実施形態では、第3の期間は5秒であるが、これに限られず、例えば、3秒や10秒等であってもよい。
【0063】
他方の直流モータの電圧Vaが第3の電圧V3未満になるまでに要した期間が第3の期間T3未満の場合(工程S160:NO)、処理は終了する。つまり、制御部70は、第1の直流モータ30と第2の直流モータ60とを停止させる。
【0064】
これに対して、他方の直流モータの電圧Vaが第3の電圧V3未満になるまでに要した期間が第3の期間T3以上の場合(工程S160:YES)、制御部70は、一方の直流モータを逆回転させつつ、他方の直流モータを停止させる第4の制御を行う(工程S170)。制御部70は、第4の制御を予め定められた第4の期間T4行い、その後、フローは工程S100に戻る。本実施形態では、第4の期間T4は5秒であるが、これに限られず、例えば、3秒や10秒等であってもよい。
【0065】
ここで、カバー10の巻き出しを行う場合、つまり、第1の動作の場合を例にとって説明する。この場合、ベルト40を巻き取る一方の棒状部材とは、第2の棒状部材50である。ベルト40を巻き取る一方の棒状部材を回転させる一方の直流モータとは、第2の直流モータ60である。他方の直流モータとは、第1の直流モータ30である。本実施形態では、制御部70は、第2の制御を行っている状態において(工程S120)、第2の直流モータ60の電圧Vが予め定められた第2の電圧V2未満の状態が、予め定められた第2の期間T2以上続いた場合(工程S140:YES)、制御部70は、第2の直流モータ60を停止させ、第1の直流モータ30を逆回転させる第3の制御を行う(工程S150)。ここで、第2の直流モータ60の電圧Vが予め定められた第2の電圧V2未満の状態が、予め定められた第2の期間T2以上続いた場合というのは、第2の直流モータ60に過度な負荷がかかっていることが考えられる。そして、このような場合としては、カバー10の巻き出しが既に完了している状況や、ベルト40とカバー10とが互いに付着している状況や、ベルト40やカバー10がハウスHの一部に付着している状況、ベルト40とカバー10との間に異物が挟まっている状況等が想定される。このような付着は、例えば、雨が降った後等において起こり得る。
【0066】
そして、本実施形態では、第3の制御を実行している状態において、第1の直流モータ30の電圧Vaが予め定められた第3の電圧V3未満になるまでに要した期間が、予め定められた第3の期間T3未満の場合(工程S160:NO)、処理は終了する。ここで、第1の直流モータ30の電圧Vaが予め定められた第3の電圧V3未満になるまでの時間が、予め定められた第3の期間T3未満の場合とは、第3の制御の実行開始直後に第1の直流モータ30にも負荷がかかったことを意味する。つまり、比較的短い時間で第1の直流モータ30に負荷がかかったということである。このような場合としては、カバー10の巻き出しが既に完了している場合が想定される。このため、本実施形態によれば、ベルト40やカバー10の張力を上げた状態で第1の動作や第2の動作を終了させることができるので、風によってベルト40やカバー10が撓むことを効率的に抑制できる。
【0067】
これに対して、第1の直流モータ30の電圧Vaが予め定められた第3の電圧V3未満になるまでに要した期間が、予め定められた第3の期間T3以上の場合(工程S160:YES)、制御部70は、第2の直流モータ60を逆回転させつつ、第1の直流モータ30を停止させる第4の制御を行い(工程S170)、その後、フローは工程S100に戻る。ここで、第1の直流モータ30の電圧Vaが予め定められた第3の電圧V3未満になるまでに要する期間が、予め定められた第3の期間T3以上の場合とは、第3の制御の実行によっても、第1の直流モータ30に負荷があまりかからなかったことを意味する。このような場合としては、ベルト40とカバー10とが互いに付着している状況や、ベルト40やカバー10がハウスHの一部に付着している状況、ベルト40とカバー10との間に異物が挟まっている状況等が想定される。そして、本実施形態では、制御部70は、第2の直流モータ60を逆回転させつつ、第1の直流モータ30を停止させる第4の制御を行うことによって、ベルト40を撓ませることができる。その後、フローはS100に戻り、第1の制御(工程S110)または第2の制御(工程S120)によって第2の直流モータ60を正回転させる。このようにすることによって、ベルト40を撓ませずに第2の直流モータ60を正回転させる場合に比べて、付着の解消や異物の除去を実現させる可能性を上げることができる。このことは、最大静止摩擦係数のほうが動摩擦係数よりも大きいことからも自明である。なお、カバー10の巻き取りを行う場合、つまり、第2の動作の場合は、第1の動作の場合と比較して、第1の直流モータ30と第2の直流モータ60との制御が反対となるが、基本的な動作原理は同じであるため、説明を省略する。
【0068】
C.他の実施形態
上記各実施形態におけるシステム100、100Aでは、カバー10を巻き取る旨の指示やカバー10を巻き出す旨の指示を制御部70が受ける場合等として、システム100、100Aの使用者が図示しないスイッチを押下する場合を例示したが、これに限られない。例えば、システム100、100Aは、さらに、日射量を測定するセンサーを備えてもよく、制御部70は、日射量が予め定められた量よりも多い場合にカバー10を巻き出す制御を行い、日射量が予め定められた量よりも少ない場合にカバー10を巻き取る制御を行ってもよい。
【0069】
上記各実施形態における制御は、あくまで例示であり、種々変更可能である。例えば、上記第4実施形態において、工程S100および工程S130が省略された態様であってもよい。かかる態様においては、第1の検知部34および第2の検知部64が省略されていてもよい。
【0070】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0071】
10…カバー、20…第1の棒状部材、30…第1の直流モータ、32…第1の電圧計、34…第1の検知部、40…ベルト、50…第2の棒状部材、60…第2の直流モータ、62…第2の電圧計、64…第2の検知部、70…制御部、100、100A…システム、H…ハウス、T1…第1の期間、T2…第2の期間、T3…第3の期間、T4…第4の期間、V…電圧、V1…第1の電圧、V2…第2の電圧、V3…第3の電圧、Va…電圧
【要約】
【課題】ハウスの損傷を抑制する。
【解決手段】ハウスに設置するシステムは、第1の直流モータと第2の直流モータとを定電流制御する場合に、ベルトを巻き取る一方の棒状部材を回転させる一方の直流モータの電圧が予め定められた第1の電圧以上の場合は、一方の直流モータを回転させつつ、他方の直流モータを停止させる第1の制御を行い、一方の直流モータの電圧が第1の電圧未満の場合は、一方の直流モータを回転させつつ、他方の直流モータを回転させる第2の制御を行う。
【選択図】
図7