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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】固定金具付き壁
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/06 20060101AFI20221011BHJP
   E04B 1/61 20060101ALI20221011BHJP
   E04C 2/30 20060101ALI20221011BHJP
   F16B 5/00 20060101ALI20221011BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20221011BHJP
   F16B 2/06 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
F16B5/06 T
E04B1/61 502L
E04B1/61 502P
E04C2/30 F
F16B5/00 F
F16B5/07 K
F16B2/06 A
F16B5/06 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018213820
(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公開番号】P2020079633
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】594123169
【氏名又は名称】オリエンタルメタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安齋 政一
(72)【発明者】
【氏名】折原 勇
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 広
(72)【発明者】
【氏名】宮田 光紀
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】実公昭44-003791(JP,Y1)
【文献】特開平08-189512(JP,A)
【文献】実開昭57-167142(JP,U)
【文献】実開平02-137403(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00- 5/12
E04B 1/38- 1/61
E04C 2/30
F16B 2/00- 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合って配置される2つの壁材が固定金具によって固定された固定金具付き壁であって
前記壁材は、板状の壁材本体と、第一連結部と、第二連結部と、を備えており、前記壁材本体の幅方向一方側の一側縁に前記第一連結部が形成され、前記壁材本体の幅方向他方側の他側縁に前記第二連結部が形成され、
前記第一連結部は、前記一側縁から立設する第一片と、前記第一片の先端から前記幅方向他方側に延びる第二片とを備え、
前記第二連結部は、前記他側縁から前記第一片と同じ側に立設する第三片と、前記第三片の先端から前記幅方向他方側に延びる第四片と、前記第四片の先端から前記壁材本体側に延びる第五片とを備え、
前記隣り合って配置される2つの壁材を連結するために、一方の前記壁材の前記第三片と前記第四片との間に、他方の前記壁材の前記第一連結部が配置された状態とされ、この状態では、前記一方の壁材の前記第四片と、前記他方の壁材の前記第二片とは、前記壁材本体の面直方向に相対しており、
前記固定金具は、前記面直方向に相対して配置される2つの板部を備えており、当該2つの板部によって、前記一方の壁材の前記第四片と、前記他方の壁材の前記第二片とを挟み込むことで、前記一方の壁材と前記他方の壁材とを固定可能である固定金具付き壁
【請求項2】
前記固定金具は、第一屈曲部材と、第二屈曲部材と、ボルトとを備え、
前記第一屈曲部材と第二屈曲部材とは、一端側から他端側に向かって階段状に屈曲するものであって、
前記第一屈曲部材は、一端から第一屈曲点まで延びる第一板部と、前記第一屈曲点から第二屈曲点まで延びる第二板部と、前記第二屈曲点から第三屈曲点まで延びる第三板部と、前記第三屈曲点から他端まで延びる第四板部とを備え、前記第一屈曲部材の他端には、第四板部の延伸方向に突出する第一突起が形成されており、
前記第二屈曲部材は、一端から第四屈曲点まで延びる第五板部と、前記第四屈曲点から第五屈曲点まで延びる第六板部と、前記第五屈曲点から他端まで延びる第七板部とを備え、前記第七板部には、前記第一突起を挿入するための第一貫通孔が形成されており、
前記第一板部を前記一方の壁材の前記第四片に沿わせ、前記第二板部を前記一方の壁材の前記第五片に沿わせるとともに、前記第五板部を前記他方の壁材の前記第二片に沿わせ、前記第一突起を前記第一貫通孔に挿入することで、前記第三板部と前記第七板部とが前記面直方向に相対し、前記第一板部と前記第五板部とが前記面直方向に相対して、前記第一板部と前記第五板部との間に前記第一壁材の前記第四片と前記第二壁材の前記第二片とが位置した状態になり、この状態で、前記第三板部と前記第七板部とを前記ボルトで締結することで、前記第一板部と前記第五板部とによる、前記第四片及び前記第二片の挟み込みで、前記一方の壁材と前記他方の壁材とが固定される請求項1に記載の固定金具付き壁
【請求項3】
前記第七板部には、第二突起が形成されており、 前記第一板部が前記一方の壁材の前記第四片に沿い、前記第二板部が前記一方の壁材の前記第五片に沿い、前記第五板部が前記他方の壁材の前記第二片に沿い、前記第一突起が前記第一貫通孔に挿入された状態では、前記第二突起は、前記第三板部と前記第七板部との間で、前記面直方向に延びる、請求項2に記載の固定金具付き壁
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣り合って配置される2つの壁材を固定するための固定金具に関する。
【背景技術】
【0002】
工場や発電所等の建築物に採用される構造形式として、図8に示す構造形式がある。図8の構造形式では、上下方向に延びる柱材Hと、柱材Hの上側に掛け渡される上側桁材K1と、柱材Hの下側に掛け渡される下側桁材K2とから骨組みとなる構造体が形成されており、この構造体を囲むように外壁Wが設けられる。
【0003】
外壁Wは、複数の壁材Jから構成される。当該複数の壁材Jは、上側桁材K1及び下側桁材K2に沿って並設されるものであって、壁材Jの各々は、上側が上側桁材K1に固定され、下側が下側桁材K2に固定される。
【0004】
図9に示すように、各壁材Jは、それぞれ、板状の壁材本体Bと、第一連結部Cと、第二連結部Dとを備えている。壁材本体Bの幅方向の両側縁Ba,Bbのうち、一方の側縁Baに第一連結部Cが形成され、他方の側縁Bbに第二連結部Dが形成される。
【0005】
第一連結部Cは、L字状を呈するものであって、第一片Caと、第二片Cbとを備える。第二連結部Dは、鉤状を呈するものであって、第三片Daと、第四片Dbと、第五片Dcとを備えており、第三片Daと第五片Dcとは壁材本体の幅方向に相対する。
【0006】
図9(b)に示すように、隣り合って配置される2つの壁材Ja,Jbは、一方の壁材Jaの片Da,Dcの間に他方の壁材Jbの第一連結部Cが配置されることで、連結される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した連結部C,Dによる壁材Ja,Jbの連結では、壁材Ja,Jbの一方が他方に対して壁材本体Bの面直方向に離れる動きを規制できない。このため壁材Ja,Jbの上側固定位置と下側固定位置との間隔(つまり上側桁材K1と下側桁材K2との間の間隔)が大きい場合には、風の力Fが外壁Wに加えられることで、壁材Ja,Jbの高さ中央付近で、壁材Ja,Jbの一方が他方に対して壁材本体Bの面直方向に離れる動きが生じて、壁材Ja,Jbの間に隙間が生じることがあった(図10は、風の力Fによって、壁材Jaの連結部Dが、壁材Jbの連結部Cに対して壁材本体Bの面直方向に離れることで、壁材Ja,Jbの間に隙間が生じた状態を示している)。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、隣り合って配置される2つの壁材の間に隙間が生じることを防止可能な固定金具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
【0010】
項1.隣り合って配置される2つの壁材を固定するための固定金具であって、
前記壁材は、板状の壁材本体と、第一連結部と、第二連結部と、を備えており、前記壁材本体の幅方向一方側の一側縁に前記第一連結部が形成され、前記壁材本体の幅方向他方側の他側縁に前記第二連結部が形成され、
前記第一連結部は、前記一側縁から立設する第一片と、前記第一片の先端から前記幅方向他方側に延びる第二片とを備え、
前記第二連結部は、前記他側縁から前記第一片と同じ側に立設する第三片と、前記第三片の先端から前記幅方向他方側に延びる第四片と、前記第四片の先端から前記壁材本体側に延びる第五片とを備え、
前記隣り合って配置される2つの壁材を連結するために、一方の前記壁材の前記第三片と前記第四片との間に、他方の前記壁材の前記第一連結部が配置された状態とされ、この状態では、前記一方の壁材の前記第四片と、前記他方の壁材の前記第二片とは、前記壁材本体の面直方向に相対しており、
前記固定金具は、前記面直方向に相対して配置される2つの板部を備えており、当該2つの板部によって、前記一方の壁材の前記第四片と、前記他方の壁材の前記第二片とを挟み込むことで、前記一方の壁材と前記他方の壁材とを固定可能である固定金具。
【0011】
項2.前記固定金具は、第一屈曲部材と、第二屈曲部材と、ボルトとを備え、
前記第一屈曲部材と第二屈曲部材とは、一端側から他端側に向かって階段状に屈曲するものであって、
前記第一屈曲部材は、一端から第一屈曲点まで延びる第一板部と、前記第一屈曲点から第二屈曲点まで延びる第二板部と、前記第二屈曲点から第三屈曲点まで延びる第三板部と、前記第三屈曲点から他端まで延びる第四板部とを備え、前記第一屈曲部材の他端には、第四板部の延伸方向に突出する第一突起が形成されており、
前記第二屈曲部材は、一端から第四屈曲点まで延びる第五板部と、前記第四屈曲点から第五屈曲点まで延びる第六板部と、前記第五屈曲点から他端まで延びる第七板部とを備え、前記第七板部には、前記第一突起を挿入するための第一貫通孔が形成されており、
前記第一板部を前記一方の壁材の前記第四片に沿わせ、前記第二板部を前記一方の壁材の前記第五片に沿わせるとともに、前記第五板部を前記他方の壁材の前記第二片に沿わせ、前記第一突起を前記第一貫通孔に挿入することで、前記第三板部と前記第七板部とが前記面直方向に相対し、前記第一板部と前記第五板部とが前記面直方向に相対して、前記第一板部と前記第五板部との間に前記第一壁材の前記第四片と前記第二壁材の前記第二片とが位置した状態になり、この状態で、前記第三板部と前記第七板部とを前記ボルトで締結することで、前記第一板部と前記第五板部とによる、前記第四片及び前記第二片の挟み込みで、前記一方の壁材と前記他方の壁材とが固定される請求項1に記載の固定金具。
【0012】
項3.前記第七板部には、第二突起が形成されており、
前記第一板部と前記第五板部とによる、前記第四片及び前記第二片の挟み込みで、前記一方の壁材と前記他方の壁材とが固定された状態では、前記第二突起は、前記第三板部と前記第七板部との間で、前記面直方向に延びる、項2に記載の固定金具。
【発明の効果】
【0013】
本発明の固定金具によれば、隣り合って配置される2つの壁材の一方が他方に対して壁座本体の面直方向に離れる動きが規制されるので、2つの壁材の間に隙間が生じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る固定金具が適用される構造形式を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る固定金具によって、隣り合って配置される2つの壁材が固定された状態を示す側面図である。
図3】固定金具の分解斜視図である。
図4】固定金具が備える第一屈曲部材を示す図であり、(a)は平面図であり、(b),(c),(d)は側面図である。
図5】固定金具が備える第二屈曲部材を示す図であり、(a)は平面図であり、(b),(c),(d)は側面図である。
図6図1に示す構造形式で使用される壁材の変形例を示す図であり、(a)は壁材を拡大して示す概略側面図、(b)は隣り合って配置される2つの壁材(第一壁材及び第二壁材)が連結された状態を示す概略側面図である。
図7】本発明の実施形態に係る固定金具によって、変形例の第一壁材と第二壁材とが固定された状態を示す側面図である。
図8】従来の構造形式を示す斜視図である。
図9図8に示す構造形式で使用される壁材の変形例を示す図であり、(a)は壁材を拡大して示す概略側面図、(b)は隣り合って配置される2つの壁材が連結された状態を示す概略側面図である。
図10】第一壁材と第二壁材との間に隙間が生じた状態を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る固定金具について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る固定金具1が適用される建築物を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る固定金具1を用いて、隣り合って配置される2つの壁材Ja,Jbが固定された状態を示す側面図である。
【0016】
本発明の実施形態に係る固定金具1は、工場や発電所等の建築物(図1)に適用される。図1に示す建築物は、図8に示すものと同様、上下方向に延びる柱材Hと、柱材Hの上側に掛け渡される上側桁材K1と、柱材Hの下側に掛け渡される下側桁材K2とから骨組みとなる構造体が形成されており、この構造体を囲むように外壁Wが設けられる。外壁Wは、複数の金属製の壁材Jから構成される。当該複数の壁材Jは、上側桁材K1及び下側桁材K2に沿って並設されており、各壁材Jの上側は上側桁材K1に固定され、各壁材Jの下側は下側桁材K2に固定される。
【0017】
壁材Jは、従来のものと同様、図9に示す構造を有している。すなわち、壁材Jは、それぞれ、板状の壁材本体Bと、L字状の第一連結部Cと、鍵状の第二連結部Dとを備えており、壁材本体Bの幅方向の両側縁Ba,Bbのうち、幅方向一方側にある一側縁Baに第一連結部Cが形成され、幅方向他方側にある他側縁Bbに第二連結部Dが形成される。なお図9の例では、壁材本体Bは平板状を呈しているが、壁材本体Bは波板状を呈するものであってもよい。
【0018】
以下、壁材本体Bの幅方向を「幅方向」と略し、壁材本体Bの幅方向一方側を「幅方向一方側」と略し、壁材本体Bの幅方向他方側を「幅方向他方側」と略す。また以下では、壁材本体Bの面直方向(壁材本体Bの表面に垂直な方向)を「面直方向」と略す。なお壁材本体Bが波板状を呈する場合には、「面直方向」は、「波の山線に沿う仮想面に対して垂直な方向」、或いは「波の谷線に沿う仮想面に対して垂直な方向」に相当する。
【0019】
図2図9に示すように、第一連結部Cは、一側縁Baから立設する第一片Caと、第一片Caの先端から幅方向他方側に延びる第二片Cbとを備えている。
【0020】
第二連結部Dは、他側縁Bbから第一片Caと同じ側(図2の上側)に立設する第三片Daと、第三片Daの先端から幅方向他方側に延びる第四片Dbと、第四片Dbの先端から壁材本体B側(図2の下側)に延びる第五片Dcとを備えている。
【0021】
図示の例では、第一片Caと第四片Daとは面直方向に延びており、第四片Dbの長さは、第二片Cbの長さよりも若干長くなっている。
【0022】
そして本実施形態では、図9に示す例と同様、隣り合って配置される2つの壁材Ja,Jbを連結するために、一方の壁材Jaの第三片Daと第四片Dbとの間に、他方の壁材Jbの第一連結部Cが配置された状態とされる。この状態では、壁材Jaの第四片Dbと壁材Jbの第二片Cbとが面直方向に相対する。また、壁材Jaの第四片Dbと壁材Jbの第二片Cbとの間にはゴム製のパッキンPが配置される。パッキンPは、壁材Ja,Jbの間の隙間を埋めるため、また壁材Ja,Jbの位置ずれを防止するために設けられる。
【0023】
固定金具1は、壁材Jaの第四片Dbと、壁材Jbの第二片Cbとを面直方向に挟み込むことで、壁材Ja,Jbの一方が他方に対して面直方向に離れる動きを規制するものである。以下、固定金具1の詳細について説明する。
【0024】
図2に示すように、固定金具1は、第一屈曲部材2と、第二屈曲部材3と、ボルト4とを備えている。
【0025】
図3は固定金具1の分解斜視図である。図4は第一屈曲部材2を示す図であり、図4(a)は平面図であり、図4(b),(c),(d)は側面図である(図4(b)は図4(a)の上側から視た状態を示し、図4(c)は図4(a)の左側から視た状態を示し、図4(d)は図4(a)の右側から視た状態を示す)。図5は第二屈曲部材3を示す図であり、図5(a)は平面図であり、図5(b),(c),(d)は側面図である(図5(b)は図5(a)の上側から視た状態を示し、図5(c)は図5(a)の左側から視た状態を示し、図5(d)は図5(a)の右側から視た状態を示す)。
【0026】
図2図5から明らかなように、第一屈曲部材2と第二屈曲部材3とは、一端側から他端側に向かって階段状に屈曲するものである。
【0027】
第一屈曲部材2は、3つの屈曲点T1,T2,T3(図4(b))で垂直に屈曲する階段状を呈している。当該第一屈曲部材2は、一端2aから第一屈曲点T1まで延びる第一板部20と、第一屈曲点T1から第二屈曲点T2まで延びる第二板部21と、第二屈曲点T2から第三屈曲点T3まで延びる第三板部22と、第三屈曲点T3から他端2bまで延びる第四板部24とを備える。
【0028】
第三板部22には、ボルト4を通すための貫通孔25が形成される。第一屈曲部材2の他端2bには、2つの第一突起26,26が形成される。第一突起26,26は、それぞれ第四板部24の延伸方向に突出するものであり(図3(b))、第四板部24の幅方向(第一屈曲部材2の幅方向)に間隔をあけて形成される(図3(a),(c),(d))。
【0029】
第二屈曲部材3は、2つの屈曲点T4,T5(図5(b))で垂直に屈曲する階段状を呈している。当該第二屈曲部材3は、一端3aから第四屈曲点T4まで延びる第五板部30と、第四屈曲点T4から第五屈曲点T5まで延びる第六板部31と、第五屈曲点T5から他端3bまで延びる第七板部32とを備える。
【0030】
第七板部32には、ボルト4を通すための貫通孔33や、第一突起26,26を挿入するための貫通孔34,34が形成されている。貫通孔34,34は貫通孔33よりも他端3b側に位置する。
【0031】
また第七板部32には、2つの第二突起35,35が形成されている。第二突起35,35は、第七板部32の表面から、第六板部31が存在する側(図2図5(b)では上側)に突出するものである。第二突起35,35は、第七板部32の幅方向(第二屈曲部材3の幅方向)に間隔をあけて形成されており、第二突起35,35の間に貫通孔33が位置する。
【0032】
なお本実施形態では、以下の(1),(2)の作業が順次行われることで、第二突起35,35が形成されており、(2)の折り曲げが行われた結果、第七板部32は、第二突起35,35の直近に貫通孔36,36が形成されたものとなっている。
(1) 第七板部32にコの字状の切り込み線を形成する。
(2) 上記切り込み線の内側の矩形部分を折り曲げる。
【0033】
次に、固定金具1を用いて壁材Ja,Jbを固定する作業について説明する。
【0034】
まず、壁材Ja,Jbが連結された状態で(つまり壁材Jaの第三片Daと第四片Dbとの間に壁材Jbの第一連結部Cが配置された状態で)、第一板部20を壁材Jaの第四片Dbに沿わせ、第二板部21を壁材Jaの第五片Dcに沿わせることが行われる(図2参照)。ついで、第五板部30を壁材Jbの第二片Cbに沿わせ、第一突起26,26を貫通孔34,34に挿入することが行われる。その結果、第三板部22と第七板部32とが面直方向に相対し、第一板部20と第五板部30とが面直方向に相対して、第一板部20と第五板部30との間に第一壁材Jaの第四片Dbと第二壁材Jbの第二片Cbとが挟み込まれるとともに、第三板部22と第七板部32との間で、第二突起33が面直方向に延びた状態になる。そしてこの状態で、貫通孔25,33にボルト4を通して、ボルト4の外周面に形成された螺子部を、貫通孔25,33の内周面に形成された螺子溝に螺合させることが行われる。これにより、第一屈曲部材2と第二屈曲部材3とがボルト4によって締結されて、面直方向に相対する板部20,30による第四片Db及び第二片Cbの挟み込みで、壁材Ja,Jbの一方が他方に対して面直方向に離れる動きが規制されて、壁材Ja,Jbが固定された状態になる。
【0035】
本実施形態の固定金具1によれば、上述したように、面直方向に相対する板部20,30による片Db,Cbの挟み込みで、壁材Ja,Jbの一方が他方に対して面直方向に離れる動きが規制される。このため、風の力が外壁Wに加えられる場合などに、壁材Ja,Jbの間に隙間が生じることを防止できる。
【0036】
また本実施形態では、第三板部22と第七板部32との間で、第二突起33が面直方向に延びるものとなるため、第一屈曲部材2と第二屈曲部材3とをボルト4で締結する際に第三板部22に大きな力が加えられても、第三板部22が大きく撓むことを防止できる。なお第三板部22の撓みを小さく抑えるために、第二突起35,35の高さを第六板部31の高さで除した値(第二突起35,35の高さ/第六板部31の高さの値)を、1/10以上、1以下とすることが好ましい。
【0037】
また本実施形態では、第一板部20を第四片Dbに沿わせ、第二板部21を第五片Dcに沿わせることで、第一屈曲部材2が位置決めされる。さらに、第五板部30を壁材Jbの第二片Cbに沿わせ、第一突起26,26を貫通孔34,34に挿入することで、第二屈曲部材3が位置決めされる。したがって壁材Ja,Jbの固定作業を円滑に進めることができる。
【0038】
なお、本発明は、上記実施形態に示すものに限定されず、種々改変できる。
【0039】
例えば、上記実施形態では、第一突起26の数が2である例を示しているが、突起26の数は、1であってもよく、3以上の複数であってもよい。また第一突起26の数に応じて、貫通孔34の数も適宜変更され得る。
【0040】
また上記実施形態では、矩形状の第二突起35を2つ形成する例を示したが、第二突起35の形状や数は、上記実施形態に示すものに限定されない。例えば、第二突起35の形状は、三角形状や半円形状や楕円形状であってもよい。また第二突起35の数は1であってもよく、3以上の複数であってもよい。
【0041】
また第二突起35を形成する方法も上記実施形態に示した方法に限定されない。例えば、金属片を第七板部に溶接することで、第二突起35(上記の金属片に相当)を形成してもよい。
【0042】
また、壁材Jの形状も、図2に示す形状に限定されない。例えば壁材Jの形状は、図6に示すように変更され得る。
【0043】
図6に示す壁材Jも、図1に示す建築物における外壁Wを構成するものである。図6に示す壁材Jは、外壁Wを構成する壁材Jの数を少なく抑えたい場合に使用されるものであり、一側縁Baから立設する第一片Caが幅方向一方側に傾斜し、他側縁Bbから立設する第一片Caが幅方向他方側に傾斜し、第四片Dbの長さが第二片Cbの長さの1.4倍以上とされることで、壁材Jの幅方向の長さが大きなものとされている。
【0044】
図6に示す壁材Jが使用される場合でも、図7に示すように、隣り合う2つの壁材Ja,Jbを連結するために、一方の壁材Jaの第三片Daと第四片Dbとの間に、他方の壁材Jbの第一連結部Cが配置された状態とされて、この状態において、一方の壁材Jaの第四片Dbと、他方の壁材Jの第二片Cbとは、壁材本体Bの面直方向に相対する。そして固定金具1の板部20,30によって、壁材Jaの第四片Dbと壁材Jbの第二片Cbとを面直方向に挟み込むことで、壁材Ja,Jbが固定されて、壁材Ja,Jbの一方が他方に対して面直方向に離れる動きが規制される。
【0045】
また本発明の固定金具は、上記実施形態に示したように階段状の屈曲部材2,3を備えるものに限定されない。本発明の固定金具には、面直方向に相対して配置される2つの板部を備え、当該2つの板部によって、壁材Jaの第四片Dbと壁材Jbの第二片Cbとを面直方向に挟み込むことで、壁材Ja,Jbを固定可能な様々な固定金具が含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1 固定金具
2 第一屈曲部材
2a 第一屈曲部材の一端
2b 第一屈曲部材の他端
3 第二屈曲部材
3a 第二屈曲部材の一端
3b 第二屈曲部材の他端
4 ボルト
20 第一板部
21 第二板部
22 第三板部
24 第四板部
26 第一突起
30 第五板部
31 第六板部
32 第七板部
34 貫通孔(第一貫通孔)
33 第二突起
B 壁材本体
Ba 壁材本体の一側縁
Bb 壁材本体の他側縁
C 第一連結部
Ca 第一片
Cb 第二片
D 第二連結部
Da 第三片
Db 第四片
Dc 第五片
J 壁材
Ja 一方の壁材
Ja 他方の壁材
T1 第一屈曲点
T2 第二屈曲点
T3 第三屈曲点
T4 第四屈曲点
T5 第五屈曲点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10