(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】ブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機
(51)【国際特許分類】
B30B 11/00 20060101AFI20221011BHJP
B30B 11/02 20060101ALI20221011BHJP
B65B 1/06 20060101ALI20221011BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20221011BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
B30B11/00 G
B30B11/00 F
B30B11/02 F
B65B1/06
A61K8/02
A61Q1/00
(21)【出願番号】P 2018239905
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】592070502
【氏名又は名称】株式会社南陽
(74)【代理人】
【識別番号】100080528
【氏名又は名称】下山 冨士男
(74)【代理人】
【識別番号】100073601
【氏名又は名称】前田 和男
(72)【発明者】
【氏名】嵐田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】岡村 清法
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-115457(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0086180(KR,A)
【文献】特開2012-219067(JP,A)
【文献】特開昭63-141913(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0060604(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1044084(KR,B1)
【文献】特開昭48-033995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 11/00
B30B 11/02
B65B 1/06
A61K 8/02
A61Q 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末充填成形用の容器を巡回移送する容器搬送ユニットと、
前記容器搬送ユニットに臨ませて配置した成形用の粉末を供給するホッパーを備える粉末供給・充填ユニットと、
前記ホッパーの下部において前記ホッパーからの粉末を吸い込み充填するとともに、プレス金型ホルダー移送ユニットにより水平移動可能に配置されたプレス金型ホルダーにより保持したプレス金型と、
前記粉末供給・充填ユニットと前記容器搬送ユニットとの間に配置されるとともに、前記プレス金型ホルダー移送ユニットにより前記粉末供給・充填ユニットの下部から水平に移送されてくる前記プレス金型ホルダーにより保持した前記プレス金型に充填した粉末に対して下方からの突き上げ式で予備プレスを行いブロック状に成形してブロック状化粧料とし、前記容器搬送ユニットにより搬送されてくる容器上に移送する予備プレスユニットと、
を有するブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機であって、
前記予備プレスユニットは、
前記プレス金型の上面から上方に突き上げた粉末上面に当接させる上下駆動可能に構成された上パンチと、前記上パンチの側壁外周に摺接しつつ上下駆動可能に構成され前記上パンチの側壁から下部を下方に突出させて前記プレス金型上面より上方に突き上げた前記粉末の側壁外周を覆うサイドガイドと、予備プレス後に前記ブロック状化粧料を保持した上パンチ、サイドガイドをプレス位置から前記容器搬送ユニットにより搬送されてくる容器上に移送し配置するリニアガイドと、を具備する上パンチプレスユニットと、
前記プレス金型ホルダーにより保持したプレス金型に充填した粉末に対する上方に位置する上パンチへ向けてのコア上昇駆動による突き上げ、及び前記上パンチ、サイドガイド、コアにより囲まれた粉末に対する下方からの突き上げ式での予備プレスを行い、前記上パンチ、サイドガイド、コアにより囲まれた領域内にブロック状化粧料を成形する上下駆動可能に構成された下パンチプレスロッドを具備する下パンチプレスユニットと、
を備えることを特徴とするブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機。
【請求項2】
粉末充填成形用の容器を巡回移送する容器搬送ユニットと、
前記容器搬送ユニットに臨ませて配置した成形用の粉末を供給するホッパーを備える粉末供給・充填ユニットと、
前記ホッパーの下部において前記ホッパーからの粉末を吸い込み充填するとともに、プレス金型ホルダー移送ユニットにより水平移動可能に配置されたプレス金型ホルダーにより保持したプレス金型と、
前記粉末供給・充填ユニットと前記容器搬送ユニットとの間に配置されるとともに、前記プレス金型ホルダー移送ユニットにより前記粉末供給・充填ユニットの下部から水平に移送されてくる前記プレス金型ホルダーにより保持した前記プレス金型に充填した粉末に対して下方からの突き上げ式で予備プレスを行いブロック状に成形してブロック状化粧料とし、前記容器搬送ユニットにより搬送されてくる容器上に移送する予備プレスユニットと、
を有するブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機であって、
前記予備プレスユニットは、
前記プレス金型の上面から上方に突き上げた粉末上面に当接させる上下駆動可能に構成された上パンチと、前記上パンチの側壁外周に摺接しつつ上下駆動可能に構成され前記上パンチの側壁から下部を下方に突出させて前記プレス金型上面より上方に突き上げた前記粉末の側壁外周を覆うサイドガイドと、予備プレス後に前記ブロック状化粧料を保持した上パンチ、サイドガイドをプレス位置から前記容器搬送ユニットにより搬送されてくる容器上に移送し配置するリニアガイドと、を具備する上パンチプレスユニットと、
前記プレス金型ホルダーにより保持したプレス金型に充填した粉末に対する上方に位置する上パンチへ向けてのコア上昇駆動による突き上げ、及び前記上パンチ、サイドガイド、コアにより囲まれた粉末に対する下方からの突き上げ式での予備プレスを行い、前記上パンチ、サイドガイド、コアにより囲まれた領域内にブロック状化粧料を成形する上下駆動可能に構成された下パンチプレスロッドを具備する下パンチプレスユニットと、
を備えているとともに、
前記容器を多色用に構成し、前記粉末供給・充填ユニットを複数色の粉末充填用に複数台列設配置して構成し、前記容器搬送ユニットによる多色用の容器の複数回の巡回搬送、複数台の粉末供給・充填ユニットによる複数回の粉末供給、及び前記プレス金型における複数回の吸い込み充填、前記プレス金型ホルダーにより保持したプレス金型の複数回の水平移動、前記予備プレスユニットによるブロック状化粧料の複数回の成形、及び移送を実施して、前記多色用の容器上に多色のブロック状化粧料を配置することを特徴とするブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機。
【請求項3】
粉末充填成形用の容器を巡回移送する容器搬送ユニットと、
前記容器搬送ユニットに臨ませて配置した成形用の粉末を供給するホッパーを備える粉末供給・充填ユニットと、
前記ホッパーの下部において前記ホッパーからの粉末を吸い込み充填するとともに、プレス金型ホルダー移送ユニットにより水平移動可能に配置されたプレス金型ホルダーにより保持したプレス金型と、
前記粉末供給・充填ユニットと前記容器搬送ユニットとの間に配置されるとともに、前記プレス金型ホルダー移送ユニットにより前記粉末供給・充填ユニットの下部から水平に移送されてくる前記プレス金型ホルダーにより保持した前記プレス金型に充填した粉末に対して下方からの突き上げ式で予備プレスを行いブロック状に成形してブロック状化粧料とし、前記容器搬送ユニットにより搬送されてくる容器上に移送する予備プレスユニットと、
を有するブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機であって、
前記予備プレスユニットは、
前記プレス金型の上面から上方に突き上げた粉末上面に当接させる上下駆動可能に構成された上パンチと、前記上パンチの側壁外周に摺接しつつ上下駆動可能に構成され前記上パンチの側壁から下部を下方に突出させて前記プレス金型上面より上方に突き上げた前記粉末の側壁外周を覆うサイドガイドと、予備プレス後に前記ブロック状化粧料を保持した上パンチ、サイドガイドをプレス位置から前記容器搬送ユニットにより搬送されてくる容器上に移送し配置するリニアガイドと、を具備する上パンチプレスユニットと、
前記プレス金型ホルダーにより保持したプレス金型に充填した粉末に対する上方に位置する上パンチへ向けてのコア上昇駆動による突き上げ、及び前記上パンチ、サイドガイド、コアにより囲まれた粉末に対する下方からの突き上げ式での予備プレスを行い、前記上パンチ、サイドガイド、コアにより囲まれた領域内にブロック状化粧料を成形する上下駆動可能に構成された下パンチプレスロッドを具備する下パンチプレスユニットと、
を備えているとともに、
前記容器搬送ユニットにおける前記予備プレスユニットの位置より先方に配置されて、前記容器搬送ユニットにより搬送されてくる前記容器に移送されたブロック状化粧料に対する仕上げプレスを実施し、仕上げ化粧料を収納した製品容器を得る仕上げプレスユニットを更に有することを特徴とするブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機。
【請求項4】
粉末充填成形用の容器を巡回移送する容器搬送ユニットと、
前記容器搬送ユニットに臨ませて配置した成形用の粉末を供給するホッパーを備える粉末供給・充填ユニットと、
前記ホッパーの下部において前記ホッパーからの粉末を吸い込み充填するとともに、プレス金型ホルダー移送ユニットにより水平移動可能に配置されたプレス金型ホルダーにより保持したプレス金型と、
前記粉末供給・充填ユニットと前記容器搬送ユニットとの間に配置されるとともに、前記プレス金型ホルダー移送ユニットにより前記粉末供給・充填ユニットの下部から水平に移送されてくる前記プレス金型ホルダーにより保持した前記プレス金型に充填した粉末に対して下方からの突き上げ式で予備プレスを行いブロック状に成形してブロック状化粧料とし、前記容器搬送ユニットにより搬送されてくる容器上に移送する予備プレスユニットと、
を有するブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機であって、
前記予備プレスユニットは、
前記プレス金型の上面から上方に突き上げた粉末上面に当接させる上下駆動可能に構成された上パンチと、前記上パンチの側壁外周に摺接しつつ上下駆動可能に構成され前記上パンチの側壁から下部を下方に突出させて前記プレス金型上面より上方に突き上げた前記粉末の側壁外周を覆うサイドガイドと、予備プレス後に前記ブロック状化粧料を保持した上パンチ、サイドガイドをプレス位置から前記容器搬送ユニットにより搬送されてくる容器上に移送し配置するリニアガイドと、を具備する上パンチプレスユニットと、
前記プレス金型ホルダーにより保持したプレス金型に充填した粉末に対する上方に位置する上パンチへ向けてのコア上昇駆動による突き上げ、及び前記上パンチ、サイドガイド、コアにより囲まれた粉末に対する下方からの突き上げ式での予備プレスを行い、前記上パンチ、サイドガイド、コアにより囲まれた領域内にブロック状化粧料を成形する上下駆動可能に構成された下パンチプレスロッドを具備する下パンチプレスユニットと、
を備えているとともに、
前記粉末は、ファンデーションであることを特徴とするブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機に関するものであり、詳しくは、粉末の飛散を防止し金型や容器の汚れを防止しつつ下方からの突き上げプレス式で当該粉末を成形し充填量、硬度が安定した製品を成形できるブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばファンデーション等の固形粉末化粧料には、乾式成形化粧料と、湿式成形化粧料とが存在する。
【0003】
乾式成形化粧料は、化粧料の粉体を圧縮打型して固化したものであり、湿式成形化粧料は、スラリー(化粧料の流動体)中の揮発成分を吸収・乾燥させて固化したものである。
【0004】
このうち、乾式成形化粧料を得る乾式の成型機としては、乾式単色成型機、乾式多色成型機があるが、従来の乾式単色成型機の成形工程は、プレス金型に中皿をセットして粉末を中皿に供給し成形する工程を採用するため、以下のような問題がある。
【0005】
すなわち、中皿の汚れが多く、クリーニング作葉に多くの人手がかかる、プレス金型のコアが下がった状態で粉末を供給するため、粉末の充填量のばらつきによる密度のばらつきがあり、特に肉厚の樹脂皿で粉末のロスが多い等々である。
【0006】
また、乾式多色成型機の場合の成形工程は、仕切りのある金型に1色ずつ粉末を自動供給する工程を複数回繰り返し、人手で金型を所定の箇所に移動して、中皿に移して予備プレス、仕上げプレスを行い多色の製品を得る。
【0007】
しかしながら、従来における上述したような成形工程を採用する場合、以下のような種々の問題がある。
すなわち、粉末が舞うために混色が多い、混色が無いように毎回金型のクリーニングを行うために人手がかかる、粉末は枡計量(決められた厚さのプレートに穴が空いたもの)で行っているために粉末量の徴調整が困難である。
【0008】
更に、本来、粉末毎ごとに成形圧力が異なるために精度の良い粉末の充填量が求められる、粉末供給、予備プレス、仕上げプレスがユニットマシンのために金型の移動、取り付け、取出しに多くの人手がかかる、金型等のアタッチメント費用が高価である、製品デザインに制約が多い等の問題がある。
【0009】
特許文献1には、乾式で粉末をブロック状に成形して中皿へ移し、この後仕上げプレスする工程を採用した構成の多色パウダー化粧品の製造装置が開示されている。
【0010】
しかし、特許文献1を含め、粉末の飛散を防止し金型や容器の汚れを防止しつつ下方からの突き上げプレス式で当該粉末を成形し充填量、硬度が安定した製品を成形し得るような発明は従来存在しないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、粉末の飛散を防止し金型や容器の汚れを防止しつつ下方からの突き上げプレス式で当該粉末を成形し充填量、硬度が安定した製品を成形し得るブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機は、粉末充填成形用の容器を巡回移送する容器搬送ユニットと、前記容器搬送ユニットに臨ませて配置した成形用の粉末を供給するホッパーを備える粉末供給・充填ユニットと、このホッパーの下部に水平移動可能に配置され、前記ホッパーからの粉末を吸い込み充填するとともに、プレス金型ホルダー移送ユニットにより水平移動可能に配置されたプレス金型ホルダーにより保持したプレス金型と、前記粉末供給・充填ユニットと容器搬送ユニットとの間に配置されるとともに、前記粉末供給・充填ユニットの下部から水平に移送されてくるプレス金型ホルダーにより保持した前記プレス金型に充填した粉末に対して下方からの突き上げ式で予備プレスを行いブロック状に成形してブロック状化粧料とし、前記容器搬送ユニットにより搬送されてくる容器上に移送する予備プレスユニットと、を有することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、粉末を吸い込み充填するプレス金型、金型の汚れを防止しつつ下方からの突き上げプレス式で当該粉末を成形しブロック状化粧料とする予備プレスユニットを備える構成で、粉末の飛散を防止し充填量、硬度が安定した製品を得ることができるブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機を実現し提供することができるとともに、粉末充填成形用の容器を巡回移送する容器搬送ユニット、粉末供給・充填ユニット、プレス金型ホルダー移送ユニットにより水平移動可能に配置されたプレス金型ホルダーにより保持したプレス金型、プレス金型ホルダーにより保持したプレス金型に充填した粉末に対して下方からの突き上げ式で予備プレスを行いブロック状に成形してブロック状化粧料とし、前記容器搬送ユニットにより搬送されてくる容器上に移送する予備プレスユニットを備える構成で、粉末の飛散を防止し充填量、硬度が安定した製品を得ることができるブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機を実現し提供することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様な構成で、かつ、前記容器を多色用に構成し、前記粉末供給・充填ユニットを複数色の粉末充填用に複数台列設配置して構成し、前記容器搬送ユニットによる多色用の容器の複数回の巡回搬送、複数台の粉末供給・充填ユニットによる複数回の粉末供給、及び前記プレス金型における複数回の吸い込み充填、前記プレス金型ホルダーにより保持したプレス金型の複数回の水平移動、前記予備プレスユニットによるブロック状化粧料の複数回の成形及び移送を実施して、前記多色用の容器上に多色のブロック状化粧料を配置する構成で、多色の粉末の飛散を防止し充填量、硬度が安定した多色化粧料からなる製品を得ることができるブロック成形式を採用した多色化粧料対応の乾式化粧料成形機を実現し提供することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、仕上げプレスを実施し、仕上げ化粧料を収納した製品容器を得る仕上げプレスユニットを更に有する構成としているので、粉末の飛散を防止し充填量、硬度が安定した単色の又は多色の製品を成形することができるブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機を実現し提供することができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明を用いて、ファンデーション等を製造できるブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機を実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は本発明の実施例に係るブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機の全体構成を示す概略平面図である。
【
図2】
図2は本実施例に係る容器ホルダーの概略平面図である。
【
図3】
図3は本実施例に係る粉末供給・充填ユニット、予備プレスユニット、及び容器搬送ユニットの一部を示す概略構成図である。
【
図4】
図4は本実施例に係る粉末供給・充填ユニット、予備プレスユニット、及び容器搬送ユニットの一部を示す概略拡大構成図である。
【
図5】
図5は本実施例に係る予備プレスユニットを示す概略拡大構成図である。
【
図6】
図6は本実施例に係るホッパーに対するコアの割り出し完了状態及び粉末の吸い込み状態を示す概略工程説明図である。
【
図7】
図7は本実施例に係るブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機における主にブロック状化粧料の成形工程を示す概略工程説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、粉末の飛散を防止し金型や容器の汚れを防止しつつ下方からの突き上げプレス式で当該粉末を成形し充填量、硬度が安定した製品を成形し得るブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機を実現し提供するという目的を、粉末充填成形用の容器を巡回移送する容器搬送ユニットと、前記容器搬送ユニットに臨ませて配置した成形用の粉末を供給するホッパーを備える粉末供給・充填ユニットと、ホッパーの下部において前記ホッパーからの粉末を吸い込み充填するとともに、プレス金型ホルダー移送ユニットにより水平移動可能に配置されたプレス金型ホルダーにより保持したプレス金型と、前記粉末供給・充填ユニットと前記容器搬送ユニットとの間に配置されるとともに、前記プレス金型ホルダー移送ユニットにより前記粉末供給・充填ユニットの下部から水平に移送されてくる前記プレス金型ホルダーにより保持した前記プレス金型に充填した粉末に対して下方からの突き上げ式で予備プレスを行いブロック状に成形してブロック状化粧料とし、前記容器搬送ユニットにより搬送されてくる容器上に移送する予備プレスユニットと、を有するブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機であって、前記予備プレスユニットは、前記プレス金型の上面から上方に突き上げた粉末上面に当接させる上下駆動可能に構成された上パンチと、前記上パンチの側壁外周に摺接しつつ上下駆動可能に構成され前記上パンチの側壁から下部を下方に突出させて前記プレス金型上面より上方に突き上げた前記粉末の側壁外周を覆うサイドガイドと、予備プレス後に前記ブロック状化粧料を保持した上パンチ、サイドガイドをプレス位置から前記容器搬送ユニットにより搬送されてくる容器上に移送し配置するリニアガイドと、を具備する上パンチプレスユニットと、前記プレス金型ホルダーにより保持したプレス金型に充填した粉末に対する上方に位置する上パンチへ向けてのコア上昇駆動による突き上げ、及び前記上パンチ、サイドガイド、コアにより囲まれた粉末に対する下方からの突き上げ式での予備プレスを行い、前記上パンチ、サイドガイド、コアにより囲まれた領域内にブロック状化粧料を成形する上下駆動可能に構成された下パンチプレスロッドを具備する下パンチプレスユニットと、を備える構成により実現した。
【実施例】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係るブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機について詳細に説明する。
【0022】
本実施例に係るブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機1は、例えばファンデーションのような乾式化粧料製品を製造するための構成としたものである。本実施例に係るブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機1をもって、ファンデーションの他、粉末状の諸種の乾式化粧料製品を製造できることは勿論である。
【0023】
本実施例に係るブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機1は、
図1に示すように、平面視矩形状形態で巡回移動するように構成されるとともに、
図2に示す容器ホルダー3により保持した容器K1を移送するコンベア構造の容器(中皿容器)搬送ユニット2を備えている。
【0024】
前記容器搬送ユニット2に対してはその長辺の一辺側に、作業員Mが容器K1の供給、製品容器K2の排出を行うための容器供給排出テーブルユニット4を配置している。
【0025】
また、前記容器搬送ユニット2に対してはその長辺の他辺側に、例えばファンデーションの原料である粉末P0を供給し後述するプレス金型24に充填するための粉末供給・充填ユニット21、及び前記粉末P0に対して予備プレスを行いブロック状に成形(固化)してブロック状化粧料P1とし、前記容器搬送ユニット2により搬送されてくる粉末充填前の容器K1上に移送する予備プレスユニット31と、前記容器K1上に移送されるブロック状に固化したブロック状化粧料P1に対する仕上げプレスを実施し仕上げ化粧料を収納した製品容器K2を得る仕上げプレスユニット71と、を配置している。
【0026】
前記予備プレスユニット31と前記仕上げプレスユニット71とは、所定の間隔を隔てて配置され、前記予備プレスユニット31と前記仕上げプレスユニット71との間の容器搬送ユニット2の領域、及び前記仕上げプレスユニット71の先方の容器搬送ユニット2の領域は、集塵エリア81A、81Bとして使用するように構成している。
【0027】
前記容器供給排出テーブルユニット4側には、作業員Mが多数の前記容器K1を順に前記容器搬送ユニット2上に送り込むための供給コンベア6、及び、供給コンベア6により送り込まれる多数の容器K1を前記容器搬送ユニット2に搬入する搬入ユニット9を配置している。
【0028】
前記容器供給排出テーブルユニット4に設けた排出コンベア12に対しては、前記容器搬送ユニット2により搬送される製品容器K2が移送されるようになっている。
【0029】
次に、前記粉末供給・充填ユニット21、予備プレスユニット31について、
図3乃至
図5を参照して説明する。
【0030】
前記粉末供給・充填ユニット21は、
図3、
図4に示すように、粉末を貯留するサブホッパー22と、当該サブホッパー22からの粉末を受け入れるホッパー23と、ホッパー23の開口した底部に連なるように配置したプレス金型24と、このプレス金型24内に上部が上下摺動可能に配置した吸い込み充填用のコア25と、このコア25(
図3では符号省略)の下部の定位置に配置した量調整プレート33と、前記コア25の上下駆動用のコア下降シリンダ29と、前記プレス金型24、コア25、量調整プレート33を保持するプレス金型ホルダー28と、を有している。なお、
図3中、35は量調整プレート上下シリンダ、
図4中、34は量調整プレート高さ調整用ハンドルを示すものである。
【0031】
前記ホッパー23内には、このホッパー内の粉末を撹拌する撹拌体26、撹拌体26を回転駆動する撹拌モータ26Aを有する撹拌機27と、前記ホッパー23内における粉末の充填レベルを検知する光学式の粉末レベルセンサ30とを配置している。
【0032】
前記ホッパー23の最下部の開口外周で前記プレス金型24の上面外周には、リング状の保護部材23Aを配置している。
【0033】
また、前記粉末供給・充填ユニット21における前記コア下降シリンダ33は、前記容器搬送ユニット2を支持する支持板32に取り付けられ、前記コア25の上下駆動を行うように構成している。
【0034】
前記予備プレスユニット31は、
図3乃至
図5に示すように、前記粉末供給・充填ユニット21の隣の位置で、かつ、前記容器搬送ユニット2の近傍位置に配置している。
【0035】
前記予備プレスユニット31は、上パンチプレスユニット41と、下パンチプレスユニット61とを上下対向配置としている。
【0036】
前記下パンチプレスユニット61は、下パンチサーボモータ63の回転力を、ベルト64を経て前記容器搬送ユニット2を支持する支持板32に取り付けた垂直上下動機構部65に伝達して、この垂直上下動機構部65の上部に垂直上下移動可能に配置した下パンチプレスロッド62を上下駆動するように構成している。尚、図示していないが加圧力を表示可能なロードセルを付加することもできる。
【0037】
また、前記上パンチプレスユニット41は、前記下パンチプレスユニット61に対しその上方に対向配置している。
【0038】
すなわち、前記上パンチプレスユニット41は、最上部に移送ガイド板42を水平配置し、この移送ガイド板42に例えばロッドレスシリンダ又はサーボモータを用いたリニアガイド43を取り付けている。
【0039】
そして、リニアガイド43により上パンチプレス本体44を前記下パンチプレスロッド62の真上の位置と、前記容器搬送ユニット2によって搬送される容器ホルダー3により保持した容器K1の真上の位置とにわたって往復移動可能に構成している。
【0040】
前記上パンチプレス本体44は、
図4、
図5に示すように、上パンチモータ(例えばサーボモータ等)45の回転力を、ベルト64を経て上パンチプレス本体44に設けた垂直上下動機構部46に伝達して、この垂直上下動機構部46の下部に取り付けた直方体状の上パンチ47を上下駆動するように構成している。
【0041】
更に、前記上パンチ47の外周部には、この上パンチ47の外側壁全体を覆う状態で、かつ、上下移動可能に筒状のサイドガイド48を配置している。
【0042】
前記サイドガイド48は、垂直上下動機構部46の下部で、かつ、前記サイドガイド48の一端側上部に固定配置した前記サイドガイド48用の駆動シリンダ(例えばエアーシリンダ)49によって、前記上パンチ47の外周においてエアー逃げのための間隙を有しつつ上下駆動されるように構成している。
【0043】
前記サイドガイド48の上下動作については後に詳述する。
【0044】
前記粉末供給・充填ユニット21、予備プレスユニット31は、更に前記プレス金型ホルダー28を水平方向に移送するプレス金型ホルダー移送ユニット50を備えている。
【0045】
すなわち、前記支持板32上に垂直状態で支持枠体51を配置し、この支持枠体51の両側片52a、52b間に前記プレス金型ホルダー28を水平方向で貫通するリニアガイド棒53を架設し、前記支持板32には図示しないリニア駆動シリンダを取り付けている。
【0046】
そして、この図示しないリニア駆動シリンダによって、前記プレス金型ホルダー28を前記ホッパー23の直下位置と、前記下パンチプレスユニット61における下パンチプレスロッド62の真上位置とわたって水平方向にリニアガイドするように構成している。
【0047】
更にまた、前記粉末供給・充填ユニット21、予備プレスユニット31は、前記プレス金型ホルダー移送ユニット50よりもその側方の前記容器搬送ユニット2側に寄った位置に
図3に示すように計量ユニット55を配置している。
【0048】
次に、本実施例に係るブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機1の動作を、前記予備プレスユニット31によるブロック状化粧料P1の成形動作を主とし、かつ、
図6、
図7をも参照して説明する。
【0049】
まず、
図6に示すように、前記ホッパー23の中心と前記プレス金型ホルダー28の中心とが合致するように割り出しを行う。
【0050】
次に、
図4に示す前記コア下降シリンダ29を動作させて、前記コア25の下面が前記量調整プレート33の上面に当接するまで前記コア25を下降させて粉末P0の高密度での吸い込みを行い、充填した粉末P0が、プレス金型24の内壁上部によりその周壁面が囲まれ下面が前記コア25に当接する状態とする。
【0051】
次に、
図7に示すように、前記プレス金型ホルダー28を、前記プレス金型ホルダー移送ユニット50の図示しないリニア駆動シリンダを動作させ、前記上パンチプレスユニット41と、下パンチプレスユニット61とが対向する位置まで移動する。
【0052】
すなわち、前記プレス金型ホルダー28内の前記コア25の下面が前記下パンチプレスユニット61の下パンチプレスロッド62の上端が当接し、前記コア25の上部に充填した粉末P0が前記上パンチプレスユニット41の上パンチ47に対向する状態とする。
【0053】
このとき、前記上パンチプレスユニット41のサイドガイド48の下部は、上パンチ47の外周において下方に突出した状態となっている。
【0054】
次に、前記上パンチプレスユニット41のサイドガイド48を前記駆動シリンダ49の動作で所定量上昇させて、その下部が上パンチ47の外周において下方に突出しない状態とするとともに、前記下パンチプレスユニット61の下パンチプレスロッド62を、下パンチモータ63、垂直上下動機構部65の動作により所定量上昇させる。
【0055】
これにより、前記粉末P0は、
図7に示すように、前記コア25上でプレス金型24の内壁上部よりも上方に突き上げられた状態となり、この結果、前記サイドガイド48が下がった状態で前記コア25を突き上げることで、上パンチ47内でエアーが圧縮され吹き出すことにより前記粉末P0の一部がプレス金型24の内壁に噴出して付着してしまうことが防止される
【0056】
次に、前記上パンチプレスユニット41の上パンチ47を、前記上パンチモータ45、垂直上下動機構部46の動作でその下面が前記粉末P0の上面に当接する直前まで下降させる。
【0057】
次いで、前記サイドガイド48を前記駆動シリンダ49の動作で前記プレス金型24の上面に当接する直前まで下降させ前記サイドガイド48により前記粉末P0の全ての側面外周を覆うようにする。
【0058】
この結果、前記粉末P0の下面が前記コア25により、また前記粉末P0の上面が前記上パンチ47により、更に前記粉末P0の全ての側面外周が前記サイドガイド48により、夫々囲まれた状態となる。
【0059】
次に、前記下パンチプレスユニット61の下パンチプレスロッド62を、下パンチモータ63と垂直上下動機構部65の動作により、トルク制御で設定された加圧力で上昇させて、かつ、前記コア25も上昇させて前記粉末P0に対する予備プレスを行う。
【0060】
すなわち、前記粉末P0に対して、前記上パンチ47の下面と前記サイドガイド48の内壁面とで囲まれた領域で前記コア25の上昇力により予備プレスされ、成形されたブロック状化粧料P1となる。
【0061】
次に、前記ブロック状化粧料P1を保持した前記上パンチ47、サイドガイド48を上昇させた後、前記リニアガイド43により前記上パンチ47、サイドガイド48を含む上パンチプレス本体44を前記容器搬送ユニット2によって搬送される容器ホルダー3により保持した容器K1の真上の位置に移送し、更に前記ブロック状化粧料P1を前記容器K1上に配置する。
【0062】
また、前記プレス金型ホルダー28を、前記プレス金型ホルダー移送ユニット50の図示しないリニア駆動シリンダの動作で初期位置に戻すとともに、前記上パンチプレス本体44も初期位置に戻す。
【0063】
この後、前記容器K1上に配置されたブロック状化粧料P1は容器搬送ユニット2によって搬送され集塵エリア81Aを経て前記仕上げプレスユニット71の位置に移送され、ここで仕上げプレスが実施されて、仕上げ化粧料を収納した製品容器K2を得る。
【0064】
前記製品容器K2は、容器搬送ユニット2によって更に搬送され、集塵エリア81Bを経て前記排出コンベア12に移送され、さらに搬送されて作業員Mによって製品として取り出される。
【0065】
以上説明した本実施例によれば、高密度に充填された粉末P0を柔らかく成形して、容器K1へ移し、仕上げプレスを行うことで、プレス金型24や容器K1の汚れが無く、充填量、硬度が安定した単色化粧料からなる製品を成形することができるブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機1を提供することができる。
【0066】
この乾式化粧料成形機1は、例えば、ジャー容器、肉厚の樹脂皿製品等、汚れが付き易く、クリーニングが難しい製品容器K2の製造に適するものである。
【0067】
なお、上述した実施例では主に単色の粉末P0を基に単色のブロック状化粧料P1を成形する場合について説明したが、この他図示しないが多色のブロック状化粧料を成形し、多色用の容器上に多色のブロック状化粧料を配置し多色用の仕上げプレスユニットにより仕上げプレスして多色化粧料を成形するように構成することもできる。
【0068】
具体的には、前記容器を多色(例えば5色)用に構成し、粉末供給・充填ユニットを複数色の粉末充填用に複数台(例えば5台)列設配置して構成し、容器搬送ユニットによる多色用の容器の複数回の巡回搬送、複数台の粉末供給・充填ユニットによる複数回の粉末供給、及びプレス金型における複数回の吸い込み充填、プレス金型ホルダーにより保持したプレス金型の複数回の水平移動、予備プレスユニットによるブロック状化粧料の複数回の成形、及び移送を実施して、前記多色用の容器上に多色のブロック状化粧料を配置し、この後、多色用の仕上げプレスユニットにより仕上げプレスして多色化粧料を成形するように構成するものである。
【0069】
このような多色化粧料を成形する場合、各色を個別に精度良くプレス金型へ粉末充填し、柔らかく予備プレスし、この後容器へ移して仕上げプレスを行うことで、多彩なデザインの多色化粧料を成形でき、また、落下強度の強い製品を成形できる利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機は、ベビーパウダーのような化粧料を成形する場合の他、乾式の粉末を用いたファンデーションやアイシャドウ等の成形用として広範に利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 ブロック成形式を採用した乾式化粧料成形機
2 容器搬送ユニット
3 容器ホルダー
4 容器供給排出テーブルユニット
6 供給コンベア
9 搬入ユニット
12 排出コンベア
21 粉末供給・充填ユニット
22 サブホッパー
23 ホッパー
23A 保護部材
24 プレス金型
25 コア
26 撹拌体
26A 撹拌モータ
27 撹拌機
28 プレス金型ホルダー
29 コア下降シリンダ
30 粉末レベルセンサ
31 予備プレスユニット
32 支持板
33 量調整プレート
34 量調整プレート高さ調整用ハンドル
35 量調整プレート上下シリンダ
41 上パンチプレスユニット
42 移送ガイド板
43 リニアガイド
44 上パンチプレス本体
45 上パンチモータ
46 垂直上下動機構部
47 上パンチ
48 サイドガイド
49 駆動シリンダ
50 プレス金型ホルダー移送ユニット
51 支持枠体
52a 側片
52b 側片
53 リニアガイド棒
55 計量ユニット
61 下パンチプレスユニット
62 下パンチプレスロッド
63 下パンチサーボモータ
64 ベルト
65 垂直上下動機構部
71 仕上げプレスユニット
81A 集塵エリア
81B 集塵エリア
K1 容器
K2 製品容器
M 作業員
P0 粉末
P1 ブロック状化粧料