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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】ステープラー
(51)【国際特許分類】
   B25C 5/02 20060101AFI20221011BHJP
   B25C 5/11 20060101ALI20221011BHJP
   B25C 7/00 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
B25C5/02 Z
B25C5/11
B25C7/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019113100
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2020203354
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】301048080
【氏名又は名称】スリーアール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】王 鈞
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0016847(US,A1)
【文献】特開2004-90214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C 5/02
B25C 5/11
B25C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置に貫通孔が形成されたハンドル部と、
ステープルを収容するための凹溝が形成された収容部、該収容部の前端に形成されステープルを綴り用紙に向けて打ち出すための打出口、前記凹溝の開口方向と略同一の方向に向けて開口形成された嵌合凹部を含み前記収容部に収容されたステープルを前記打出口に向けて押圧するプッシャを有するマガジン部と、
前記打出口から打ち出された前記ステープルの脚部を屈曲形成するクリンチャを有するベース部と、
前記収容部に収容された前記ステープルを前記打出口に向けて打ち出す打出片を有するドライバ部と、
本体部、該本体部の一端に前記プッシャが所定の位置となった際に前記嵌合凹部に嵌合可能な嵌合凸部、前記本体部の他端に前記嵌合凸部が前記嵌合凹部に嵌合された状態で前記貫通孔に向けて一部が突出可能な突起部を有するステープル残量表示機構と、を備える
ステープラー。
【請求項2】
前記突起部は、付勢部材により常時ステープルの略打ち出し方向に向けて付勢されており、
前記嵌合凹部に前記嵌合凸部が嵌合した際に、前記付勢部材の付勢力に抗して前記貫通孔から突出するように構成された
請求項1に記載のステープラー。
【請求項3】
前記収容部に収容されている最後の一つのステープルが前記ドライバ部により打ち出された際に前記嵌合凸部が前記嵌合凹部に嵌合する
請求項1または請求項2に記載のステープラー。
【請求項4】
前記ステープル残量表示機構の前記本体部の他端には長孔が形成され、
前記突起部は、前記長孔に沿ってスライド自在に軸支された
請求項1から請求項3の何れか一項に記載のステープラー。
【請求項5】
前記ステープル残量表示機構の前記本体部の長手方向の略中央部は、前記ドライバ部の所定の位置において軸支された
請求項1から請求項4の何れか一項に記載のステープラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステープラーに関する。詳しくは、ステープラーに充填されるステープルの残量が少なくなったことを作業者に対して感覚的に報知することで、ステープルの空打ちを防止することができるステープラーに係るものである。
【背景技術】
【0002】
ステープラーは各種の紙資料類を簡易に綴じまとめる器具として広く普及している。このステープラーの基本的な構造としては、ハンドル部、ベース部、多数のステープル単体を緩接合された状態で充填されるマガジン部、及びマガジン部に充填されたステープルを打ち出す突起を有するドライバ部が一体となって、それぞれ後端部で回動可能に軸着された構成となっている。
【0003】
ところで、従来のステープラーにおいては、マガジン部に充填されている全てのステープルが使い切られた場合に、この状態を作業者に報知するような手段が設けられていない。そのため、作業者はステープラーを操作してステープルを打ち出そうとしたときに、いわゆる空打ち状態となって打ち出すべきステープルがないことに初めて気付かされる。
【0004】
ステープラーによる作業に際しては、その前作業として綴じ合わせる紙書類の整列作業を伴うものであるが、その整列作業は、作業者がかなり意識を集中して行うことが予想される。そして、係る作業がされた後にステープラーが空打ちになった場合には、ステープルのステープラーへの補充作業のために綴じ合わせる作業を一旦中断し、その後、再度紙書類の整列作業を行い、ステープラーを操作する必要があることから、作業が非効率になるとともに、作業者にとっても意識を集中しての作業の後であることから心理的な落胆感、徒労感を抱かせるものとなっていた。
【0005】
以上のような課題に対して、例えば特許文献1には、緩接合された一連のステープルの最後尾に位置するステープルを他のステープルとは異なる色に着色し外観上の差異を持たせるようにしたステープルが開示されている。係る特許文献1によれば、作業者は打ち出されたステープルの色を確認することで、打ち出されたステープルが最後の一本であるか否かを容易に判別することができるものとなっている。
【0006】
また、特許文献2には、ステープルの残量をLEDにて表示し、ステープルの残量が所定量となった場合にLEDの点灯パターンを変更することで、作業者に対してステープルの残量が少なくなったことを報知するステープラーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平7-310716号公報
【文献】特開2012-152886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に係るステープルにおいては、ステープルをステープラーに補充する際、常に着色されたステープルを最後尾に配置する必要があることから、補充作業が煩雑となる可能性がある。また、作業者は、ステープラーで作業した後に、打ち出されたステープルの色を常に確認する必要があるが、例えば大量の書類に対して綴り合わせを流れ作業的に行う場合に、常時打ち出されたステープルを確認しなければならないことは作業の効率化を妨げるものとなっていた。
【0009】
また、特許文献2に係るステープラーにおいても、作業者は常にLED表示を気にしながら作業を行う必要があるが、前記したように大量の書類に対して綴り合わせの作業を行う際には、必ずしも作業者は、ステープラーを操作する手元付近を見ながら作業をするわけでもなく、LED表示を見落としがちとなる虞がある。さらに、LED表示させるためには、駆動電源や配線も必要となりステープラーの機構自体が複雑化し、実現性に乏しいものとなっていた。
【0010】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、ステープラーに充填されるステープルの残量が少なくなったことを作業者に対して感覚的に報知することで、ステープルの空打ちを防止することができるステープラーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するために、本発明に係るステープラーは、所定の位置に貫通孔が形成されたハンドル部と、ステープルを収容するための凹溝が形成された収容部、該収容部の前端に形成されステープルを綴り用紙に向けて打ち出すための打出口、前記凹溝の開口方向と同一の方向に向けて開口形成された嵌合凹部を含み前記収容部に収容されたステープルを前記打出口に向けて押圧するプッシャを有するマガジン部と、前記打出口から打ち出された前記ステープルの脚部を屈曲形成するクリンチャを有するベース部と、前記収容部に収容された前記ステープルを前記打出口に向けて打ち出す打出片を有するドライバ部と、本体部、該本体部の一端に前記プッシャが所定の位置となった際に前記嵌合凹部に嵌合可能な嵌合凸部、前記本体部の他端に前記嵌合凸部が前記嵌合凹部に嵌合された状態で前記貫通孔に向けて一部が突出可能な突起部を有するステープル残量表示機構と、を備える。
【0012】
ここで、所定の位置に貫通孔が形成されたハンドル部を備えることにより、後述する通り、該貫通孔よりステープル残量表示機構の突起部の一部を突出させることが可能となる。そのため、作業者がハンドル部を把持して作業する際に、突起部の有無によりステープルの残量を感覚的に感知することができる。
【0013】
また、マガジン部がステープルを収容するための凹溝が形成された収容部を有する場合には、ステープルを係る凹溝に充填することができる。
【0014】
また、収容部の前端に、ステープルを綴り用紙に向けて打ち出すための打出口が形成されている場合には、打出口からステープルを綴り用紙に向けて順次打ち出すことができる。
【0015】
また、マガジン部が収容部に収容されたステープルを打出口に向けて押圧するプッシャを有する場合には、収容部に収容されたステープルをプッシャにより順次、打出口に向けて送り出すことができる。
【0016】
また、プッシャには凹溝の開口方向と同一の方向に向けて開口形成された嵌合凹部を含む場合には、後述する通り、ステープルの残量が所定以下となった際に、ステープル残量機構の嵌合凸部を係る嵌合凹部に嵌合させ、その反動で突起部をハンドル部から突出させることができる。
【0017】
また、本体部、該本体部の一端にプッシャが所定の位置となった際に嵌合凹部に嵌合可能な嵌合凸部、本体部の他端に嵌合凸部が嵌合凹部に嵌合された状態で貫通孔に向けて一部が突出可能な突起部を有するステープル残量表示機構を備えることにより、ステープルの残量が所定以下となった際に嵌合凸部が嵌合凹部に嵌合されることによる反動で、突起部をハンドル部の貫通孔から突出させることができるため、作業者に対して感覚的にステープルの残量が残り僅かであることを報知することができる。
【0018】
また、突起部は、付勢部材により常時ステープルの略打ち出し方向に向けて付勢されており、嵌合凹部に嵌合凸部が嵌合した際に、付勢部材の付勢力に抗して貫通孔から突出するように構成されている場合には、ステープルの残量が十分にある通常時には、突起部は付勢部材により付勢されているため、不用意に貫通孔から突出することを防止することができる。
【0019】
一方、ステープルの残量が所定以下となり、プッシャが所定の位置まで移動することにより嵌合凸部が嵌合凹部に嵌合したことを契機として、突起部に付勢力に抗する鉛直上向きの力が作用することにより、突起部を貫通孔から突出させることができる。
【0020】
また、収容部に収容されている最後の一つのステープルがドライバ部により打ち出された際に嵌合凸部が嵌合凹部に嵌合する場合には、ステープルの残量がゼロとなった際に嵌合凸部が嵌合凹部に嵌合し、突起部をハンドル部の貫通孔から突出させることができる。即ち、作業者は次の作業に取り掛かるにあたって、ハンドル部を把持した際に、貫通孔から突出した突起部を違和感として感知し、収容部内のステープルが無くなったことを把握することができるため、以後の作業でのステープルの空打ちを防止することができる。
【0021】
ステープル残量表示機構の本体部の他端には長孔が形成され、突起部は長孔に沿ってスライド自在に軸支されている場合には、突起部の可動範囲を広げることができるため、嵌合凹部に嵌合凸部が嵌合した際の突起部の可動がよりスムーズなものとなる。
【0022】
また、ステープル残量表示機構の本体部の長手方向の略中央部は、ドライバの所定の位置において軸支されている場合には、本体部をより安定的に保持することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るステープラーは、ステープラーに充填されるステープルの残量が少なくなったことを作業者に対して感覚的に報知することで、ステープルの空打ちを防止することができるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明を適用した実施形態に係るステープラーの分解斜視図である。
図2】本発明を適用した実施形態に係るステープラーの完成斜視図である。
図3】本発明を適用した実施形態に係るステープラーの一部破断側面図であり、(a)は平面図であり(b)~(f)の順にステープルが減少していく状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の説明における前後方向とはステープルSを打ち出す打出口41側を前方と定義し、各部材の回動軸側を後方と定義する。また、上下方向とは、ステープラー1のベース部5を載置面に設置した場合において、ハンドル部2側を上方、ベース部5側を下方と定義する。
【0026】
まず、図1、及び図2を参照して本発明の実施形態に係るステープラー1の全体構成について説明する。ステープラー1は、主に紙を綴じるための文房具と使用され、ハンドル部2、ドライバ部3、マガジン部4、及びベース部5を備え、ハンドル部2とドライバ部3の間にはステープル残量表示機構6を有している。これらのうちハンドル部2とベース部5はその後端側で回動軸54を介して一体に取り付けられており、回動軸54を中心として各部材がそれぞれ独立して回動可能となっている。
【0027】
ここで、必ずしも、ステープラー1の主な構成としてハンドル部2、ドライバ部3、マガジン部4、及びベース部5から構成されている必要はない。ステープラー1の構成としてその他の部品を含んでいてもよい。
【0028】
ハンドル部2は、作業者がステープラー1を使用して綴り紙に対してステープルSを打ち込む際に、主に作業者の利き手の親指で把持して鉛直下方向に力を加える部分であり、ハンドル部2の所定の長手方向に沿って前方側であり、かつ短手方向の略中央部には、後述する突起部63の一部が突出可能な程度の大きさの貫通孔21が形成されている。
【0029】
ここで、必ずしも、ハンドル部2上に形成される貫通孔21の位置は前記した位置である必要はない。貫通孔21の位置は、作業者がステープラー1を用いて作業する際に、一般的に親指により把持される位置となるように適宜変更することが可能である。
【0030】
ドライバ部3は、例えば綴り対象である綴り紙に対してステープルSを打ち出すための機能を有している。ドライバ部3の前端にはステープルSを打出口41から綴り紙に向けて打ち出すための略長方形板状の打出片31が下方に向けて突出している。
【0031】
ここで、必ずしも、打出片31は略長方形板状である必要はない。打出片31の形状としては、ステープルSを綴り紙に対して打ち出すことが可能であれば、どのような形状であってもよい。
【0032】
マガジン部4は、主にステープルSを充填する機能を有している。マガジン部4の前端には、前記した打出片31が貫通可能でありステープルSを順次綴り紙に対して打ち出すための打出口41が形成されている。
【0033】
マガジン部4の前方から後方にかけてはステープルSを充填しておくための収容部42を有している。収容部42は、ステープルSの幅方向と略一致する幅の凹溝が上方向に向けて形成されており、係る凹溝内に複数本が束となって接続されたステープルSを一の塊として収容することが可能となっている。
【0034】
またマガジン部4には、収容部42内に収容されたステープルSを順次打出口41に向けて押し出すためのプッシャ43を有している。プッシャ43はその前面が収容部42内に収容されたステープルSのうち最後方に位置するステープルSと当接する。また、後面側は付勢部材44を介して常時前方側に付勢された状態で、かつ収容部42内を摺動自在となるように取り付けられている。さらにプッシャ43の上面には、後述するステープル残量表示機構6の一部である嵌合凸部62が嵌合可能である嵌合凹部45が上方向に向けて開口形成されている。
【0035】
ここで、必ずしも、嵌合凹部45は図1に示す位置に形成されている必要はない。嵌合凹部45は上方に向かって形成されていれば、プッシャ43の何れの位置に形成されていてもよい。
【0036】
ベース部5は略長方形状の底面部51、及び側壁部52から構成されている。底面部51の前方側には、打出口41から打ち出されたステープルSの脚部を折り曲げるための窪みが形成されたクリンチャ53を有している。また、側壁部52は鉛直上方向に向けて互いに対峙するように立設しており、側壁部52の後端は軸ピン55が挿通された回動軸54を有しており、ハンドル部2が係る回動軸54を基端として独立に回動自在となっている。
【0037】
次に、本発明の実施形態に係るステープル残量表示機構6について説明する。ステープル残量表示機構6は、主に本体部61、嵌合凸部62、及び突起部63から構成されており、本体部61の略中央部分が軸ピン64を介してドライバ部3に対して回動自在なように軸支されている。
【0038】
ここで、必ずしも、ステープル残量表示機構6はドライバ部3に軸支されている必要はない。但し、本体部61がドライバ部3に軸支されていることにより本体部61をより安定して保持することができる。
【0039】
本体部61は、前記した通り略中央部に軸ピン64が挿入可能な貫通孔68が形成されており、係る貫通孔68に軸ピン64が挿入されてドライバ部3の所定の位置で回動自在に軸支されている。
【0040】
本体部61の一端には前記したプッシャ43に形成された嵌合凹部45に嵌合可能な嵌合凸部62が形成されている。また、本体部61の他端には、所定の長さの長孔65が形成され、係る長孔65内を摺動自在であって、かつ回動自在なように軸ピン69を介して突起部63が軸支されている。
【0041】
ここで、必ずしも、嵌合凸部62は本体部61の一端側に、本体部61の一部として一体的に形成されている必要はない。例えば、嵌合凸部62を別体で準備し、係る嵌合凸部62と本体部61の一端を公知の固定手段により固定するようにしてもよい。
【0042】
また、必ずしも、本体部61の他端には長孔65が形成されている必要はない。但し、長孔65が形成されていることにより、所定のクリアランスを確保することができるため、突起部63の回動運動をより円滑なものとすることができる。
【0043】
突起部63は付勢部材66により常時下方向に向けて付勢されている。付勢部材66には、突起部63に固定された支持脚67が挿通されており、支持脚67の先端はドライバ部3の所定の位置に形成された貫通孔32に貫通支持されている。
【0044】
以上のような構成において、ステープル残量表示機構6の機能について図3(a)乃至(f)を用いて説明する。
【0045】
まず、マガジン部4の収容部42内に充填されたステープルSの残量が十分にある場合のステープル残量表示機構6の様子を図3(a)、及び図3(b)に示す。ステープルSの残量が十分にある場合には、嵌合凸部62はステープルS上に載置された状態であり、このとき突起部63は付勢部材66によってドライバ部3側に付勢された状態が維持される。
【0046】
図3(b)の状態からステープルSが使用され続けると、それに伴いプッシャ43は前方側に移動する。このとき、図3(c)に示すように、嵌合凸部62とプッシャ43の相対的な距離が短くなり、嵌合凸部62はプッシャ43の前方付近に当接する。
【0047】
そして、収容部42内のステープルMがさらに使用され、ステープルMの残量が所定の数(図では5個)となった時点で、図3(d)に示すように、プッシャ43はさらに収容部42内を前方側に移動し、このとき嵌合凸部62が嵌合凹部45に嵌合される。
【0048】
嵌合凸部62がプッシャ43の嵌合凹部45内に嵌合すると、その反動により突起部63には付勢部材66の付勢方向とは反対方向である上方向への力が作用する。このとき、突起部63は付勢部材66の付勢力に抗して、上方向に移動し貫通孔66からその一部が突出する。
【0049】
突起部63の一部が貫通孔21から突出されている状態において、作業者がステープラー1で次の作業に取り掛かろうとしてハンドル部2を把持して操作しようとすると、突起部63の感触を違和感として捉える。これにより、作業者はステープルSの残数が少なくなったことを感覚的に把握し、収容部42内へのステープルSの補充の動機づけを行うことができる。
【0050】
さらに作業を続け、収容部42内のステープルSが無くなると、図3(f)に示すように、突起部63の貫通孔21からの突出量が大きくなり、作業者は手の感覚を通じてさらに強い違和感として感じるため、作業者に対してステープルの補充をより強く促すことができる。
【0051】
ここで、必ずしも、収容部42内のステープルSの残数が残りわずかとなった際に嵌合凸部62と嵌合凹部45が嵌合状態とする必要はない。例えば、ステープルSが完全になくなった際に嵌合凸部62と嵌合凹部45が嵌合状態となり、突起部63が貫通孔21から突出するように構成してもよい。
【0052】
このように、ステープルの残数が無くなったこと(又は残数が少なくなったこと)を作業者に対して視覚的のみならず感覚的に報知することができるため、作業者はステープルSの残数が無くなったこと(又は少なくなったこと)を見落とす機会を大幅に低減することができる。
【0053】
以上、本発明に係るステープラーは、ステープラーに充填されるステープルの残量が少なくなったことを作業者に対して感覚的に報知することで、ステープルの空打ちを防止することができるものとなっている。
【符号の説明】
【0054】
1 ステープラー
2 ハンドル部
21 貫通孔
3 ドライバ部
31 打出片
32 貫通孔
4 マガジン部
41 打出口
42 収容部
43 プッシャ
44 付勢部材
45 嵌合凹部
5 ベース部
51 底面部
52 側壁部
53 クリンチャ
54 回動軸
55 軸ピン
6 ステープル残量表示機構
61 本体部
62 嵌合凸部
63 突起部
64 軸ピン
65 長孔
66 付勢部材
67 支持脚
68 貫通孔
69 軸ピン
S ステープル
図1
図2
図3