(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】シャツの襟立保持具
(51)【国際特許分類】
A41D 27/16 20060101AFI20221011BHJP
A41B 3/18 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
A41D27/16
A41B3/18
(21)【出願番号】P 2019169678
(22)【出願日】2019-09-18
【審査請求日】2022-03-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595096051
【氏名又は名称】グリーンメタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】菅原 信男
(72)【発明者】
【氏名】菅原 剛
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-138414(JP,A)
【文献】実公昭13-004560(JP,Y1)
【文献】特許第6228342(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 27/00-27/28
A41B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台襟と、前記台襟に縫製される襟羽根とを有するシャツの着用時に用いられ、前記台襟と前記襟羽根との間に挿入され前記台襟及び前記襟羽根を立てた状態に保持するシャツの襟立保持具であって、
前記台襟に沿って配設されると共に、その長手方向の一端面と他端面とが離間して湾曲形状に形成される板状の本体部と、
その上端は前記本体部の前記上端面と接続し、その下端は前記本体部と非接続となると共に、前記本体部の前記一端面側の外側に配設される板状の第1の襟立部と、
その上端は前記本体部の上記上端面と接続し、その下端は前記本体部と非接続となると共に、前記本体部の前記他端面側の外側に配設される板状の第2の襟立部と
、を有し、
前記第1の襟立部及び前記第2の襟立部の後方側の一部は、前記上端面に沿って前記本体部から切り離されていることを特徴とするシャツの襟立保持具。
【請求項2】
前記本体部が曲げ加工された状態において、前記本体部の前記一端面及び前記他端面側の領域の曲率は、前記本体部のその他の領域の曲率よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のシャツの襟立保持具。
【請求項3】
前記本体部の前記上端面は、前記本体部の下端面よりも前記本体部の長手方向に長く形成され、
前記本体部の前記一端面及び前記他端面は、前記上端面から前記下端面に向けて斜め後方側へと傾斜していることを特徴とする請求項2に記載のシャツの襟立保持具。
【請求項4】
前記本体部の前記一端面及び前記他端面の下端側は、それぞれC面加工されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のシャツの襟立保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、襟部付きのワイシャツ等のシャツの襟立保持具に関し、特に、シャツの着用時に台襟と襟羽根との間に挿入され、ネクタイ等を使用することなく、襟部を立たせた状態に保持するシャツの襟立保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシャツの襟の形状保持具100(以下、「形状保持具100」と呼ぶ。)として、
図7(A)及び
図7(B)に示す構造が知られている。
図7(A)は、従来の形状保持具100を説明する正面図である。
図7(B)は、従来の形状保持具100を説明する斜視図である。
図7(C)は、従来の形状保持具100の使用状態を説明する正面図である。
【0003】
図7(A)に示す如く、形状保持具100は、主に、台襟部101と、台襟部101の左右両端部近傍に形成される一対の襟羽部102と、を有している。形状保持具100は、例えば、合成樹脂製のシート状の素材から形成されている。そして、台襟部101は、シャツ104(
図7(C)参照)の台襟(図示せず)と略同形状に形成され、細長い矩形形状に形成されている。また、襟羽部102は、蝶が羽を広げたような形状にて、台襟部101の上方向に突出して形成されている。
【0004】
図7(B)に示す如く、台襟部101の左右両端部周辺は、溶着等により接着され、台襟部101は一環状に湾曲された状態にて使用される。そして、襟羽部102は、台襟部101と襟羽部102との境目である点線103(
図7(A)参照)にて台襟部101の外側へと折り曲げられた状態にて使用される。
【0005】
図7(C)に示す如く、形状保持具100は、ハンガーに吊るした状態のシャツ104や折り畳んだ状態のシャツ104のように、人が未着用の状態のシャツ104に対して使用される。そして、襟羽部102は、シャツ104の襟羽105の周縁よりも大きく、襟羽部102の先端は、シャツ104の襟羽105から露出している。この襟羽部102の形状により、シャツ104の襟羽105を下部から支え、襟羽105の形状を保持している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図7(C)に示す如く、形状保持具100は、シャツ104の着用時に用いられるものではなく、ハンガーに吊るした状態のシャツ104や折り畳まれた状態のシャツ104等、シャツ104の未着用時に、シャツ104の襟羽105や台襟(図示せず)の形状を保持するために用いられる。
【0008】
つまり、従来では、シャツ104の着用時に使用する形状保持具100がなく、シャツ104の着用時には、特に、着用者の首から離れて位置するシャツ104の襟元では、シャツ104の台襟(図示せず)及び襟羽105が崩れてしまうという課題がある。例えば、夏場のクールビズの時期のように、シャツ104の着用者が、ネクタイを使用することなく、シャツ104の第1ボタン(図示せず)を外して着用する際には、シャツ104の第1ボタン周辺の台襟(図示せず)及び襟羽105が崩れてしまい、シャツ104の着用時の見栄えが悪いという課題がある。
【0009】
また、上述したように、形状保持具100は、シャツ104の未着用時に使用されるため、
図7(A)及び
図7(B)に示す如く、形状保持具100は、1枚のシート形状に形成された後、その使用時に、台襟部101の左右両端部が接着され、台襟部101が一環状に繋がれた状態となる。更には、形状保持具100が、シャツ104の襟羽105から露出しても問題なく、襟羽部102は、シャツ104の襟羽105の周縁よりも大きくなるように形成されている。
【0010】
この構造により、仮に、シャツ104の着用時において、形状保持具100を使用した場合には、シャツ104の襟元の襟羽105の間に、台襟部101の接着領域が露出し、更には、襟羽105の周縁から襟羽部102が露出する。その結果、第3者が、シャツ104の襟羽105の内側に形状保持具100を挿入していることを容易に見付けることができ、ファッション性が悪化するという課題がある。
【0011】
更には、仮に、シャツ104の着用時において、台襟部101を接着しない状態にて形状保持具100を使用した場合には、形状保持具100はシート形状であるため、一対の襟羽部102が設けられた台襟部101の両端部が外側へと広がってしまい、特に、シャツ104の襟元の台襟(図示せず)及び襟羽105が大きく開襟して崩れてしまい、シャツ104の着用時の見栄えが悪いという課題がある。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、シャツの着用時に台襟と襟羽根との間に挿入され、ネクタイ等を使用することなく、襟部を立てた状態に保持するシャツの襟立保持具を提供することに有る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のシャツの襟立保持具は、台襟と、前記台襟に縫製される襟羽根とを有するシャツの着用時に用いられ、前記台襟と前記襟羽根との間に挿入され前記台襟及び前記襟羽根を立てた状態に保持するシャツの襟立保持具であって、前記台襟に沿って配設されると共に、その長手方向の一端面と他端面とが離間して湾曲形状に形成される板状の本体部と、その上端は前記本体部の前記上端面と接続し、その下端は前記本体部と非接続となると共に、前記本体部の前記一端面側の外側に配設される板状の第1の襟立部と、その上端は前記本体部の上記上端面と接続し、その下端は前記本体部と非接続となると共に、前記本体部の前記他端面側の外側に配設される板状の第2の襟立部と、を有し、前記第1の襟立部及び前記第2の襟立部の後方側の一部は、前記上端面に沿って前記本体部から切り離されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のシャツの襟立保持具は、前記本体部が曲げ加工された状態において、前記本体部の前記一端面及び前記他端面側の領域の曲率は、前記本体部のその他の領域の曲率よりも小さいことを特徴とする。
【0015】
また、本発明のシャツの襟立保持具は、前記本体部の前記上端面は、前記本体部の下端面よりも前記本体部の長手方向に長く形成され、前記本体部の前記一端面及び前記他端面は、前記上端面から前記下端面に向けて斜め後方側へと傾斜していることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のシャツの襟立保持具は、前記本体部の前記一端面及び前記他端面の下端側は、それぞれC面加工されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のシャツの襟立保持具は、シャツの台襟に沿って配設される本体部と、その上端は本体部の上端面と接続し、その下端は本体部と非接続となる第1の襟立部と、その上端は本体部の上端面と接続し、その下端は本体部と非接続となる第2の襟立部と、を有している。そして、第1及び第2の襟立部は、本体部の先端側の外側へと配設されている。この構造により、夏場のクールビズ時期の様に、シャツの第1ボタンを外し、ネクタイを不使用の際にも、上記襟立保持具は、シャツの台襟及び襟羽根を立たせた状態に支持することができ、シャツの着用時の見栄えが向上される。また、シャツの台襟及び襟羽根に対して糊を用いたアイロン掛けにより立たせる作業が不要となり、シャツを家庭にて容易に洗濯することができ、クリーニング代を節約できる。
【0019】
また、本発明のシャツの襟立保持具では、本体部の一端面及び他端面側の領域の曲率は、本体部のその他の領域の曲率よりも小さい。この構造により、シャツの襟元の台襟及び襟羽根は、着用者の首等から離間し、シャツの着用時に崩れ易くなるが、本体部の先端側が、着用者の首側へと湾曲することで、シャツの襟元の台襟及び襟羽根が大きく開襟することなく、シャツの着用時の見栄えが向上される。
【0020】
また、本発明のシャツの襟立保持具では、本体部の上端面は、本体部の下端面よりも本体部の長手方向に長く形成され、本体部の一端面及び他端面は、上端面から下端面に向けて斜め後方側へと傾斜している。この構造により、襟立保持具は、シャツの台襟と襟羽根との折り返し領域を、実質、すべて下方から支持すると共に、襟立保持具は、襟羽根の内側へと隠れた状態にて使用される。その結果、襟立保持具を使用したシャツの着用者と対峙する第3者は、襟立保持具の存在に気づき難く、シャツの着用時の見栄えが向上される。
【0021】
また、本発明のシャツの襟立保持具では、本体部の一端面及び他端面の下端側は、それぞれC面加工されている。この構造により、襟立保持具の先端側は、シャツの着用者の鎖骨等により支持されるが、着用者は、襟立保持具による痛み等を感じ難くなり、違和感なく襟立保持具を使用することができる。
【0022】
また、本発明のシャツの襟立保持具では、第1の襟立部及び第2の襟立部の後方側の一部は、上端面に沿って本体部から切り離されている。この構造により、第1の襟立部及び第2の襟立部は、シャツの襟羽根の形状やシャツの材質等により、ある程度の自由度を持って変形することができ、出来る限り自然な状態にシャツの襟元の台襟及び襟羽根を立たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態のシャツの襟立保持具を説明する(A)斜視図、(B)斜視図、(C)斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態のシャツの襟立保持具を説明する上面図である。
【
図3】本発明の一実施形態のシャツの襟立保持具を説明する(A)展開図、(B)サイズ表である。
【
図4】本発明の一実施形態のシャツの襟立保持具を用いるシャツを説明する背面図である。
【
図5】本発明の一実施形態のシャツの襟立保持具の(A)使用前のシャツの状態を説明する正面図、(B)使用時のシャツの状態を説明する正面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態の(A)シャツの襟立保持具を説明する斜視図、(B)シャツの襟立保持具の使用時のシャツの状態を説明する正面図である。
【
図7】従来のシャツの襟の形状保持具を説明する(A)正面図、(B)斜視図、(C)正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係るシャツの襟立保持具10(以下、「襟立保持具10」と呼ぶ。)を図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0025】
図1(A)は、本実施形態の襟立保持具10を説明する斜視図である。
図1(B)は、本実施形態の襟立保持具10を説明する拡大斜視図である。
図1(C)は、本実施形態の襟立保持具10を説明する斜視図である。
図2は、本実施形態の襟立保持具10を説明する上面図である。
図3(A)は、本実施形態の襟立保持具10を説明する展開図である。
図3(B)は、本実施形態の襟立保持具10のサイズ表である。
図4は、本実施形態の襟立保持具10を用いるシャツ31を説明する背面図である。
図5(A)は、本実施形態の襟立保持具10の使用前のシャツ31の着用状態を説明する正面図である。
図5(B)は、本実施形態の襟立保持具10の使用時のシャツ31の着用状態を説明する正面図である。尚、以下の説明では、上下方向は襟立保持具10の高さ方向を示し、左右方向は襟立保持具10の横幅方向を示し、前後方向は襟立保持具10の奥行方向を示している。また、上記左右方向は、襟立保持具10を前方から見た場合の左右方向を示している。
【0026】
図1(A)に示す如く、襟立保持具10は、主に、シャツ31(
図4参照)の襟部32(
図4参照)の台襟33(
図4参照)に沿って配設される板状の本体部11と、本体部11の長手方向の一端面11A及び他端面11B近傍に配設される板状の第1の襟立部12及び第2の襟立部13と、を有している。そして、襟立保持具10は、例えば、透明のポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂から成る、例えば、その厚みが0.5mm程度のシート材を所望の形状に切断し、折り曲げ加工及び熱処理加工を施すことで形成されている。尚、図面では、襟立保持具10は、透明な素材として示し、例えば、第1及び第2の襟立部12,13の後方に位置する本体部11も実線にて図示している。
【0027】
丸印14,15にて示すように、本体部11の一端面11A及び他端面11Bの下端のコーナー部はC面加工されている。詳細は後述するが、丸印14,15にて示す上記領域が、シャツ31の着用者41(
図5(B)参照)の鎖骨またはその周辺に支持されることで、襟立保持具10は、シャツ31の着用者41の首回りの所望の高さ位置を保つことができる。そのため、丸印14,15にて示す上記領域がC面加工されることで、シャツ31の着用者41が痛みを感じることなく、また、使用時の違和感を感じることなく、襟立保持具10を使用することができる。
【0028】
尚、上述したように、丸印14,15にて示す上記領域がC面加工される場合に限定されるものではない。例えば、
図1(B)に示す如く、丸印14,15にて示す上記領域に、本体部11のコーナー部に沿ってゴムチューブやビニールチューブ等の保護部材16が取り付けられる場合でも良い。そして、保護部材16を用いる場合には、丸印14,15にて示す上記領域がC面加工される場合でも、あるいはC面加工されない場合でも良い。また、図示していないが、保護部材16を用いることなく、丸印14,15にて示す上記領域が、本体部11の長手方向に沿って丸く巻かれ、筒状に加工される場合でも良い。筒状に加工されることで、着用者41が鎖骨等に痛みを感じることが防止される。
【0029】
図1(C)では、襟立保持具10の第1及び第2の襟立部12,13を前方から見た状態を示しているが、第1の襟立部12の方が、第2の襟立部13よりも10mm程度高くなるように形成されている。
図4(A)に示すように、一般的なシャツ31は、着用時において、第1ボタン37等が配置される左側(着用者41の目線では右側)が、ボタン穴36等が配置される右側(着用者41の目線では左側)の下へと潜り込む。そのため襟立保持具10では、第1の襟立部12の方を高くし、左側の襟羽根34(
図5(B)参照)を持ち上げ、両側の襟羽根34の高さを揃えることで、着用時の見栄えが向上される。
【0030】
図2に示す如く、本体部11は、シャツ31の台襟33と同様に、細長い略矩形形状に形成され、その長手方向の一端面11A及び他端面11Bが、前方中央部にて離間している。詳細は後述するが、襟立保持具10は、シャツ31の着用時に用いられるため、本体部11の一端面11Aと他端面11Bとが離間することで、本体部11が、シャツ31の襟元に露出することが防止される。そして、襟立保持具10全体が、実質、シャツ31の襟部32内に収納され、使用時に外部から見え難い状態となり、着用時の見栄えが向上される。
【0031】
そして、本体部11は、湾曲形状に熱処理加工されている。具体的には、本体部11の一端面11Aの周辺領域の矢印R1にて示す領域及び本体部11の他端面11Bの周辺領域の矢印R2にて示す領域の曲率は、本体部11のその他の領域である矢印R3にて示す領域の曲率よりも小さくなっている。つまり、矢印R1,R2にて示す上記領域であり、本体部11の先端側が、シャツ31の着用者41の首側へと巻き付く方向に湾曲している。尚、矢印R1,R2にて示す上記領域は、同じ曲率にて形成されている。
【0032】
また、図示したように、矢印R1にて示す上記領域には、本体部11の外周側へと折り曲げられた第1の襟立部12が配設されている。第1の襟立部12の上端側は、本体部11と連続して接続し、第1の襟立部12の下端側は、本体部11とは非接続状態となっている。そして、第1の襟立部12の先端側は、本体部11の上端面11Cと連続して形成され、第1の襟立部12の後端側は、本体部11の上端面11Cから切り離されている。同様に、矢印R2にて示す領域には、本体部11の外周側へと折り曲げられた第2の襟立部13が配設されている。第2の襟立部13の上端側は、本体部11と連続して接続し、第2の襟立部13の下端側は、本体部11とは非接続状態となっている。そして、第2の襟立部13の先端側は、本体部11の上端面11Cと連続し、第2の襟立部13の後端側は、本体部11の上端面11Cから切り離されている。
【0033】
図3(A)に示す如く、襟立保持具10を展開した状態(湾曲加工前の状態)では、本体部11は、紙面左右方向に細長い略矩形形状であり、その左右両端側に第1の襟立部12と第2の襟立部13とが一体に形成されている。尚、襟立保持具10の完成時には、第1及び第2の襟立部12,13は、点線21,22に沿って本体部11の外周面側の下端面11D側へと折り曲げられる。
【0034】
また、本体部11の上端面11Cは、本体部11の一端面11Aと他端面11Bとの間にて一直線状に形成されている。この構造により、本体部11の上端面11Cは、シャツ31(
図4参照)の台襟33(
図4参照)と襟羽根34(
図4参照)との折り返し領域の略全領域を下方から支持することができる。
【0035】
一方、本体部11の下端面11Dは、例えば、本体部11の一端面11A及び他端面11B側に向けて、その一部が下方へと傾斜して形成されている。そして、本体部11の一端面11Aの縦幅W3及び他端面11B側の縦幅W1は、本体部11の中央領域の縦幅W2よりも広く形成されている。例えば、本実施形態では、丸印14にて示す本体部11の一端面11Aの縦幅W3が、最も広く形成されている。尚、
図1(C)を用いて上記したように、本体部11の一端面11Aの縦幅W3が、本体部11の他端面11Bの縦幅W1より広くなることで、着用時の見栄えが向上される。
【0036】
図示したように、本体部11の上端面11Cは、本体部11の下端面11Dよりも左右方向(長手方向)へと長く形成されている。そして、本体部11の一端面11A及び他端面11Bは、その上端面11Cから下端面11D側へと向けて、本体部11の中央領域側、言い換えると、襟立保持具10の使用時の着用者41の後方側へと傾斜して形成されている。また、第1の襟立部12の端面12A及び第2の襟立部13の端面13Aも、同様に、本体部11の中央領域側へと傾斜して形成されている。
【0037】
図3(B)に示す如く、襟立保持具10は、シャツ31(
図4参照)首回りのサイズに応じて複数種類のサイズがある。例えば、サイズ(1)では、シャツ31の首回りの長さが410mmに対応し、サイズ(2)では、シャツ31の首回りの長さが390mmに対応し、サイズ(3)では、シャツ31の首回りの長さが360mmに対応している。尚、各サイズの測定箇所は、
図3(A)に図示している。
【0038】
図4に示す如く、シャツ31は、ワイシャツ、カッターシャツやポロシャツ等であり、例えば、綿、麻やポリエステル素材により形成され、家庭にて洗濯して繰り返し使用することができる。そして、
図4では、シャツ31の襟部32を背面側から見た状態を示し、シャツ31の襟部32は、台襟33と、襟羽根34と、を有している。
【0039】
台襟33は、シャツ31の胴体部35の生地の上端に縫製され、細長い略矩形形状であり、着用者41(
図5(A)参照)の首回りに沿って立った状態にて用いられる。そして、台襟33には、例えば、右側端部近傍にボタン穴36が配置され、左側端部近傍に第1ボタン37が配置されている。一方、襟羽根34は、台襟33の生地の上端に縫製され、台襟33の境界部分にて外側に折り返され、主に、台襟33と対向した状態にて用いられる。
【0040】
図5(A)では、襟立保持具10を使用していない状態において、シャツ31の着用者41を正面側から見た状態を示している。図示したように、夏場のクールビズの時期のように、シャツ31の着用者41が、ネクタイを使用することなく、シャツ31の第1ボタン37を外して着用する際には、シャツ31は、第2ボタン38の位置から左右に開襟している。
【0041】
図示したように、シャツ31の襟元に位置する台襟33は、着用者41の首42から離間し、支えられない状態となるため、アイロン時に糊を用いて固められないと、立った状態を維持し難くなる。一方、シャツ31の襟元以外の台襟33は、着用者41の首42に支えられた状態となり易く、立った状態を維持することができる。その結果、主に、シャツ31の襟元において、台襟33及び襟羽根34が倒れた状態となり、着用者41の襟部32が大きく開襟し、シャツ31の着用状態の見栄えが悪くなってしまう。
【0042】
図5(B)では、襟立保持具10を使用している状態において、シャツ31の着用者41を正面側から見た状態を示している。
図1(A)及び
図2を用いて上述したように、襟立保持具10は、本体部11の長手方向の一端面11A及び他端面11Bが、前方中央部にて離間すると共に、シャツ31の台襟33に沿って湾曲形状に加工されている。この構造により、点線にて示す襟立保持具10は、シャツ31の襟元から露出することもなく、襟立保持具10は、襟羽根34の内側に隠れた状態にて使用され、シャツ31の着用者41と対峙した第3者は、襟立保持具10が使用されていることを気づき難く、シャツ31をスタイリッシュに着こなすことができる。また、シャツ31の台襟33及び襟羽根34に対して糊を用いたアイロン掛けにより立たせる作業が不要となり、シャツ31を家庭にて容易に洗濯することができ、クリーニング代を節約できる。
【0043】
更には、
図1(A)、
図2及び
図3を用いて上述したように、襟立保持具10の本体部11は、その一端面11A及び他端面11Bの縦幅W3,W1が、その中央領域の縦幅W2よりも広く形成されている。また、本体部11の上端面11Cは、一直線状に形成されている。この構造により、丸印43,44にて示す領域にて、丸印14,15(
図1(A)参照)にて示す本体部11は、着用者41の鎖骨(図示せず)またはその周辺に支持され、本体部11の一端面11A及び他端面11Bを含む先端側を上方へと持ち上げることができる。その結果、シャツ31の襟元の台襟33及び襟羽根34も、襟立保持具10の先端側により上方へと持ち上げられた状態に保持される。そして、シャツ31の襟元では、シャツ31の台襟33及び襟羽根34が、第1ボタン37やネクタイ等を用いることなく、立った状態に維持されることで、シャツ31の着用時における見栄えが向上する。
【0044】
また、
図2を用いて上述したように、襟立保持具10の矢印R1,R2にて示す上記領域は、本体部11の湾曲形状の中心C1側へと近づくように内側へと入り込んだ形状となる。つまり、矢印R1,R2にて示す上記領域である本体部11の先端側が、シャツ31の着用者41の首42側へと巻き付く方向に湾曲する。この構造により、
図5(B)に示すように、シャツ31の襟元の台襟33及び襟羽根34が外側へと向けて開き過ぎることが防止され、シャツ31の着用時における見栄えが向上する。
【0045】
更には、
図1(A)を用いて上述したように、本体部11の一端面11A及び他端面11Bの周辺には、第1及び第2の襟立部12,13が配設されている。そして、第1及び第2の襟立部12,13は、本体部11の外周面側へと張り出すと共に、第1及び第2の襟立部12,13の下端側は、本体部11と非接続状態となる。この構造により、シャツ31の襟元の台襟33及び襟羽根34は、立った状態に維持されると共に、襟羽根34の先端側は、ネクタイの着用時と同様に、台襟33と少し離間した状態に維持されることで、襟羽根34の形状をスタイリッシュに保つことができる。
【0046】
また、第1及び第2の襟立部12,13の後方側は、本体部11から切り離されていることで、シャツ31の襟羽根34の形状やシャツ31の素材等に応じて、第1及び第2の襟立部12,13が、自由に変形できる許容度が広がる。この構造により、襟羽根34の先端側が開き過ぎ、あるいは台襟33及び襟羽根34が崩れたりすることが防止され、襟羽根34が、出来る限り自然な状態に維持されることで、襟羽根34の形状をスタイリッシュに保つことができる。
【0047】
また、襟立保持具10の先端側は、丸印43,44にて示す領域にて、着用者41の鎖骨(図示せず)またはその周辺に支持されると共に、襟立保持具10の本体部11の大部分は、着用者41の首42周辺の肩部(図示せず)によっても支持される。更には、シャツ31の襟元以外では、台襟33と襟羽根34との隙間は狭く、襟立保持具10は、台襟33と襟羽根34との隙間に挟まれた状態となる。この構造により、襟立保持具10が、使用中にシャツ31の台襟33と襟羽根34との隙間から抜け落ちることが防止される。
【0048】
次に、本発明の他の実施形態に係るシャツの襟立保持具50(以下、「襟立保持具50」と呼ぶ。)を図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、襟立保持具50は、
図1から
図5を用いて説明した襟立保持具10に対して、シャツ31の襟羽根34を挟持する挟持手段51を追加して有する構造において相違し、その他の構造は同じである。そのため、襟立保持具50の説明の際には、襟立保持具10と同一の部材には同一の付番を用い、上述した説明を参照する。
【0049】
図6(A)は、他の実施形態の襟立保持具50を説明する斜視図である。
図6(B)は、他の実施形態の襟立保持具50の使用時において、シャツ31の着用状態を説明する正面図である。
【0050】
図6(A)に示す如く、襟立保持具50は、主に、シャツ31(
図4参照)の襟部32(
図4参照)の台襟33(
図4参照)に沿って配設される本体部11と、本体部11の長手方向の一端面11A及び他端面11B近傍に配設される第1の襟立部12及び第2の襟立部13と、第1及び第2の襟立部12,13に対して着脱自在に取付けられる挟持手段51と、を有している。
【0051】
挟持手段51は、襟立保持具50と同様に、例えば、透明のポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂から成るシート材を所望の形状に切断し、折り曲げ加工及び熱処理加工を施すことで形成されている。そして、挟持手段51は、シャツ31の襟羽根34(
図4参照)を第1及び第2の襟立部12,13に対して固定するための部材である。挟持手段51は、例えば、板状部51Aと、板状部51Aの下端側に一体形成されたフック部51Bと、を有している。
【0052】
図示したように、第1及び第2の襟立部12,13には、上下方向に併設した切り込み部12A,13Aが形成されている。そして、挟持手段51の板状部51Aが、切り込み部12A,13Aを挿通することで、挟持手段51は、それぞれ第1及び第2の襟立部12,13に対して固定される。
【0053】
図6(B)に示す如く、襟立保持具50の使用時には、点線にて示すように、襟立保持具50は、襟羽根34の内側に隠れた状態にて使用され、シャツ31の着用者41と対峙した第3者は、襟立保持具50が使用されていることを気づき難くなる。この使用状態において、襟立保持具50では、挟持手段51のフック部51Bが、シャツ31の襟羽根34を板状部51Aとの間に挟み込むように、挟持手段51が、それぞれ第1及び第2の襟立部12,13に対して固定される。
【0054】
この構造により、襟立保持具50の先端側は、シャツ31の襟羽根34に対して固定されることで、襟立保持具50が、使用中にシャツ31の台襟33と襟羽根34との隙間から抜け落ちることが防止される。尚、挟持手段51のフック部51Bが、シャツ31の襟羽根34から露出するが、透明素材であり、外見上、第3者には発見し難くなっている。また、挟持手段51のフック部51Bをデザイン化し、ファッションの一部として利用する場合でも良い。その他、襟立保持具50においても、上述した襟立保持具10と同等な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0055】
10,50 シャツの襟立保持具
11 本体部
11A 一端面
11B 他端面
11C 上端面
11D 下端面
12 第1の襟立部
13 第2の襟立部
16 保護部材
31 シャツ
32 襟部
33 台襟
34 襟羽根
41 着用者
51 挟持手段
51A 板状部
51B フック部