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  • 特許-露光装置用光源 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】露光装置用光源
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20221011BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20221011BHJP
   F21V 7/22 20180101ALI20221011BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221011BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20221011BHJP
【FI】
G03F7/20 501
F21V5/04 250
F21V7/22
F21Y115:10
F21Y113:13
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019205164
(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2021076787
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】510138741
【氏名又は名称】フェニックス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】山下 健一
【審査官】菅原 拓路
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0023012(US,A1)
【文献】特開2014-207300(JP,A)
【文献】特開2004-335949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
F21V
F21Y
F21S
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDランプと、複数の前記LEDランプを並べて配置するためのフレームとを備える露光装置用光源であって、
前記LEDランプは、
第1LEDと、第2LEDと、第3LEDと、
集光レンズと、
ダイクロイックミラーとを備えており、
前記集光レンズは、前記第1LEDの光軸上に配置されており、
前記ダイクロイックミラーは、前記第1LEDの光軸上であって、かつ、前記第1LEDと前記集光レンズとの間に配置されており、
前記第2LEDは、前記第2LEDの光軸が前記第1LEDの光軸と交差する位置に配置されており、
前記ダイクロイックミラーは、前記第1LEDからの光を透過するとともに、前記第2LEDからの光が前記第1LEDの光軸と略平行となるように反射させるものであり、
前記第3LEDは、前記第3LEDの光軸が前記第1LEDの光軸と略平行となる位置に配置されており、
前記第3LEDからの光は、前記ダイクロイックミラーを透過したり、前記ダイクロイックミラーで反射したりすることなく、前記集光レンズに直接的に入ることを特徴とする
露光装置用光源
【請求項2】
前記第1LED、前記第2LED、および前記第3LEDは、それぞれ互いに異なるピーク波長の光を放射することを特徴とする
請求項1に記載の露光装置用光源
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDランプ、とりわけ波長範囲が広いブロードバンド光を放射するLEDランプおよびそれを用いた露光装置用光源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の白熱灯(例えば、ハロゲンランプ)に比べて、消費電力が低く、かつ、長寿命といった長所を有する発光ダイオード(以下、「LED」という。)は、需要者のエコロジー意識の高まりとともに、省エネ対策のひとつとしてその使用範囲が急速に広まっており、とりわけ白熱灯や放電灯の代替としてLEDを使用したいという要望が高まっている。
【0003】
これに対し、LEDは、1個あたりの光量が白熱灯や放電灯と比べて少ないという課題や、LEDから放射される光の波長範囲が狭い(狭帯域)であるといった課題を有していることから、これを補うために複数のLEDを設けることによって多くの光量を出すことができ、かつ、波長範囲が広いブロードバンド光を放射できる発光ダイオードランプが開発されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に開示されたLEDランプは、水銀ランプ(放電灯)の代替えとして露光装置の光源に使用されるものである。従前は、例えばプリント基板の配線パターン形成やソルダレジスト膜形成に際して使用される感光材の感度特性に合わせて、436nm(g線)、405nm(h線)、および365nm(i線)のスペクトル線を強く発する水銀ランプが使用されていた。ここで、この水銀ランプに代えてLEDランプを使用すると、上述のように光量が少ないという問題、および、光の波長範囲が狭く感光材の感度特性に合わせた光を放射できないという問題があった。
【0005】
そこで、特許文献1のLEDランプでは、ダイクロイックミラーを用いて複数のLEDから放射された光を合成し、インテグレータの入射面に結像させている。感光材の感度特性に合わせて、各LEDから放射される光の波長を互いに異なるように設定することにより、水銀ランプに代えてLEDランプを使用することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-63390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたLEDランプにも問題があった。
【0008】
例えば、ダイクロイックミラーで光を透過させたり反射させたりすると当該光の何割かが減衰してしまうことから、必要に応じて特定の波長の光量を追加する必要があった。
【0009】
また、特定の波長の光量を追加するために当該波長の光を放射する別のLEDランプを並べると、今度は、1セットのLEDランプの開口寸法が増加してしまい、大光量を実現させるために多数のLEDランプを並べて露光装置用光源として使用する場合等には配置スペースの問題が生じてしまう。
【0010】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、特定の波長の光量を追加するのが容易であり、かつ、追加を行っても開口寸法の増加を最小にすることができるLEDランプおよびそれを用いた露光装置用光源を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面によれば、
複数のLEDランプと、複数の前記LEDランプを並べて配置するためのフレームとを備える露光装置用光源であって、
前記LEDランプは、
第1LEDと、第2LEDと、第3LEDと、
集光レンズと、
ダイクロイックミラーとを備えており、
前記集光レンズは、前記第1LEDの光軸上に配置されており、
前記ダイクロイックミラーは、前記第1LEDの光軸上であって、かつ、前記第1LEDと前記集光レンズとの間に配置されており、
前記第2LEDは、前記第2LEDの光軸が前記第1LEDの光軸と交差する位置に配置されており、
前記ダイクロイックミラーは、前記第1LEDからの光を透過するとともに、前記第2LEDからの光が前記第1LEDの光軸と略平行となるように反射させるものであり、
前記第3LEDは、前記第3LEDの光軸が前記第1LEDの光軸と略平行となる位置に配置されており、
前記第3LEDからの光は、前記ダイクロイックミラーを透過したり、前記ダイクロイックミラーで反射したりすることなく、前記集光レンズに直接的に入ることを特徴とする
露光装置用光源が提供される。
【0012】
好適には、
前記第1LED、前記第2LED、および前記第3LEDは、それぞれ互いに異なるピーク波長の光を放射する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のLEDランプによれば、第1LEDからの光と第2LEDからの光とがダイクロイックミラーによって合成されて合成光を構成し、加えて、第3LEDからの光がこの合成光が入るのと同じ集光レンズに直接的に入ることにより、照射対象において第3LEDからの光と合成光とがさらに合成される。
【0015】
このように、集光レンズに直接入る第3LEDからの光で特定の波長の光量を容易に追加調節でき、かつ、合成光と第3LEDからの光とが同じ集光レンズを使用するので、合成光用の開口と第3LEDからの光用の開口とを別々に設ける場合に比べて、LEDランプとしての開口寸法の増加を最小にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明が適用された、実施形態に係るLEDランプ10を示す図である。
図2】実施形態に係る露光装置用光源100を示す図である。
図3】複数のLEDランプ10で照射対象Sを照らす露光装置用光源100を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(LEDランプ10の構成)
以下、図面を用いて、本発明に係るLEDランプ10の構成について説明する。
【0018】
図1に示すように、LEDランプ10は、大略、ランプ本体12と、第1LED14と、第2LED16と、第3LED18と、集光レンズ20と、ダイクロイックミラー22と、第1平行化レンズ24と、第2平行化レンズ26と、フライアイレンズ28とを備えている。
【0019】
ランプ本体12は、内部空間30、開口31および底にベース部32を有する有底円筒状あるいは有底角筒状のメイン部材34と、このメイン部材34よりもやや小径に形成されており、同じく内部空間36、開口37および底にベース部38を有する有底円筒状あるいは有底角筒状の付属部材40とで構成されている。
【0020】
メイン部材34の側面中央部には付属部材40が接続される接続孔41が形成されており、当該接続孔41に付属部材40が接続されることにより、メイン部材34の内部空間30と付属部材40の内部空間36とが互いに連通するようになっている。
【0021】
第1LED14は、例えばピーク波長が405nmである第1光L1を放射するLEDであり、メイン部材34におけるベース部32の表面に実装されている。
【0022】
第1LED14の光軸LL1は、メイン部材34の開口31に向けて当該メイン部材34の長手方向と略平行に設定されている。
【0023】
なお、図1では、3つの第1LED14が描かれているが、第1LED14の数はこれに限定されるものではなく、2つ以下でもよいし、4つ以上であってもよい。
【0024】
第2LED16は、例えばピーク波長が365nmである第2光L2を放射するLEDであり、付属部材40におけるベース部38の表面に実装されている。
【0025】
第2LED16の光軸LL2は、付属部材40の開口37に向けて当該付属部材40の長手方向と略平行に設定されている。本実施形態の場合、第2LED16の光軸LL2は第1LED14の光軸LL1に対して略直交する。これにより、開口37から付属部材40を出た第2光L2は、第1LED14の光軸LL1に対して略直交する向きでメイン部材34の内部空間30に入る。もちろん、光軸LL1と光軸LL2とが成す角度は直角に限定されるものではなく、必要に応じて他の角度が選択される。
【0026】
なお、図1では、4つの第2LED16が描かれているが、第1LED14の数はこれに限定されるものではなく、3つ以下でもよいし、5つ以上であってもよい。
【0027】
第3LED18は、例えばピーク波長が385nmである第3光L3を放射するLEDであり、メイン部材34におけるベース部32の表面であって、第1LED14とは異なる位置に実装されている。
【0028】
第3LED18の光軸LL3は、メイン部材34の開口31に向けて当該メイン部材34の長手方向と略平行に設定されている。換言すれば、第3LED18の光軸LL3は、第1LED14の光軸LL1とも略平行になっている。
【0029】
なお、図1では、2つの第3LED18が描かれているが、第3LED18の数はこれに限定されるものではなく、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0030】
集光レンズ20は、第1LED14の光軸LL1上であって、メイン部材34の開口31に配置された凸レンズである。後述するように、各LED14,16,18から放射された光L1,L2,L3は、平行光として集光レンズ20に入るようになっている。このため、集光レンズ20を透過して屈折した各光L1,L2,L3は、当該集光レンズ20の焦点位置Fに配置された照射対象Sに向けて集光される。
【0031】
ダイクロイックミラー22は、特定の波長の光を反射し、その他の波長の光を透過する性質を有する部材である。本実施形態において、ダイクロイックミラー22は、メイン部材34の内部空間30における第1LED14の光軸LL1上であって、かつ、第1LED14と集光レンズ20との間に配置されている。加えて、ダイクロイックミラー22が配置された位置は、第2LED16の光軸LL2と第1LED14の光軸LL1とが交差する位置である。さらに、本実施形態におけるダイクロイックミラー22は、第2LED16からの光L2を反射させ、その他の波長の光を透過するように設定されている。
【0032】
ダイクロイックミラー22の角度は、当該ダイクロイックミラー22で反射した後の光L2が当該ダイクロイックミラー22を透過してきた光L1と略平行な向きになるように設定されており、第2LED16からの光L2と第1LED14からの光L1とが合成されて合成光LGとなる。
【0033】
なお、図1では、2つのダイクロイックミラー22が描かれているが、ダイクロイックミラー22の数はこれに限定されるものではなく、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0034】
第1平行化レンズ24は、各LED14,16,18の出光面の近傍にそれぞれ配置された凸レンズであり、各LED14,16,18から所定の開き角で放射された各光L1,L2,L3を所定の角度に集光するための部材である。なお、第1平行化レンズ24は本発明の必須の構成要素ではない。このため、第1平行化レンズ24を省略してLEDランプ10を構成してもよい。
【0035】
第2平行化レンズ26は、第1平行化レンズ24を透過した後の各光L1,L2,L3さらに集光するための部材であり、各LED14,16,18の光軸LL1,LL2,LL3上に配設されている。なお、第1平行化レンズ24と同様、第2平行化レンズ26も本発明の必須の構成要素ではない。このため、第2平行化レンズ26を省略してLEDランプ10を構成してもよい。
【0036】
フライアイレンズ28は、その入射面42から入った光を均一化させて出射面44から出す機能を有するレンズである。
【0037】
本実施形態では、メイン部材34の内部空間30において、2つのフライアイレンズ28が集光レンズ20よりも第1LED14および第3LED18側に互いに平行に配置されており、各LED14,16,18からの各光L1,L2,L3がこれらフライアイレンズ28を通過するようになっている。
【0038】
なお、フライアイレンズ28は本発明の必須の構成要素ではない。このため、フライアイレンズ28を省略してLEDランプ10を構成してもよい。また、フライアイレンズ28の数は1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0039】
(露光装置用光源100の構成)
次に、上述したLEDランプ10を複数使用して構成された露光装置用光源100について簡単に説明する。
【0040】
図2に示すように、この露光装置用光源100は、複数のLEDランプ10と、これら複数のLEDランプ10を並べて配置するためのフレーム102とを備えており、例えば、露光装置に設けられたDMD(Digital Micromirror Device)を照射するようになっている。
【0041】
フレーム102には、各LEDランプ10におけるランプ本体12の先端部(メイン部材34の開口31側端部)を嵌め込むことのできる凹所104が形成されている。これら凹所104に各LEDランプ10を嵌め込んで取り付けることにより、露光装置用光源100が構成される。
【0042】
(LEDランプ10の特徴)
上述した実施形態に係るLEDランプ10によれば、第1LED14からの光L1と第2LED16からの光L2とがダイクロイックミラー22によって合成されて合成光LGを構成し、加えて、第3LED18からの光L3がこの合成光LGが入るのと同じ集光レンズ20に直接的に入ることにより、照射対象Sにおいて第3LED18からの光L3と合成光LGとがさらに合成される。
【0043】
このように、集光レンズ20に直接入る第3LED18からの光L3で特定の波長の光量を容易に追加調節でき、かつ、合成光LGと第3LED18からの光L3とが同じ集光レンズ20を使用するので、合成光LG用の開口と第3LED18からの光L3用の開口とを別々に設ける場合に比べて、LEDランプ10としての開口31寸法の増加を最小にすることができる。
【0044】
さらに言えば、開口31寸法の増加を最小にできることで、露光装置用光源100のように複数のLEDランプ10を狭い角度範囲に並べて配置できる。これにより、図3に示すように照射対象Sに対する照射角度θを直角寄りにすることができるので、各LEDランプ10からの光で照射対象Sを照らす効率を向上させることができる。
【0045】
(変形例1)
上述した実施形態では、LEDランプ10を露光装置用光源100に用いていたが、LEDランプ10の用途はこれに限定されるものではなく、他の用途にも使用できる。また、複数のLEDランプ10をまとめて使用することに限定されることもなく、1つのLEDランプ10を単体で使用してもよい。
【0046】
(変形例2)
上述した実施形態では、3種類のLED14,16,18を使用していたが、LEDの種類は3つに限定されるものではなく、4つ以上の種類のLEDを使用してもよい。例えば、4種類目のLEDを第2LED16に隣接配置し、この4種類目のLEDからの光を反射させるダイクロイックミラー22をさらに設けることが考えられる。もちろん、第1LED14や第3LED18に並べて別の種類のLEDを配置してもよい。
【0047】
(変形例3)
上述した実施形態では、各LED14,16,18からの光L1,L2,L3を均一化させるためにフライアイレンズ28を用いていたが、これに代えてロッドレンズを使用して光L1,L2,L3を均一化させてもよい。
【0048】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0049】
10…LEDランプ、12…ランプ本体、14…第1LED、16…第2LED、18…第3LED、20…集光レンズ、22…ダイクロイックミラー、24…第1平行化レンズ、26…第2平行化レンズ、28…フライアイレンズ、30…(メイン部材34の)内部空間、31…(メイン部材34の)開口、32…(メイン部材34の)ベース部、34…メイン部材、36…(付属部材40の)内部空間、37…(付属部材40の)開口、38…(付属部材40の)ベース部、40…付属部材、41…接続孔、42…(フライアイレンズ28の)入射面、44…(フライアイレンズ28の)出射面
100…露光装置用光源、102…フレーム、104…凹所
L1…(第1LED14からの)第1光、LL1…(第1LED14の)光軸、L2…第2光、LL2…(第2LED16の)光軸、L3…第3光、LL3…(第3LED18の)光軸
S…照射対象、LG…合成光
図1
図2
図3