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  • 特許-乾燥抽出装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】乾燥抽出装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 3/00 20060101AFI20221011BHJP
   F26B 9/06 20060101ALI20221011BHJP
   F26B 23/10 20060101ALI20221011BHJP
   B27K 5/00 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
F26B3/00
F26B9/06 H
F26B23/10 Z
B27K5/00 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021093500
(22)【出願日】2021-06-03
【審査請求日】2022-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】509324713
【氏名又は名称】株式会社タカフジ
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆彦
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-169823(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0016989(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0034712(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 3/00
F26B 9/06
F26B 23/10
B27K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥対象物を収容可能な気密性の処理タンクと、
前記処理タンク内の温度を上昇させるタンク加熱手段と、
前記処理タンク内と連通する真空吸引経路を経由して前記処理タンク内の流体を吸引する真空ポンプと、
前記乾燥対象物から発生し前記流体吸引経路を流動する流体に含まれる真空抽出エキスを液化する凝縮手段と、液化された真空抽出液化エキスを真空抽出油性エキスと真空抽出水分エキスとに分離する油水分離手段と、
前記処理タンク内と連通する流体吸引経路を経由して前記処理タンク内の流体を吸引する循環ファンと、前記循環ファンで吸引した前記流体を前記処理タンク内に還流させる流体帰還経路と、前記流体帰還経路を流動する流体を加熱する流体加熱手段と、前記乾燥対象物から発生し前記流体吸引経路を流動する流体中に含まれる加熱抽出エキスを液化する液化手段と、
前記処理タンク内の温度を計測する温度計と、前記処理タンク内の湿度を計測する湿度計と、前記処理タンク内の気圧を計測する連成計と、
前記処理タンク内に収容された乾燥対象物の温度を計測する対象物温度計と、を備え
前記対象物温度計が、前記対象物温度計から前記処理タンク内に延設された可撓性を有する信号線と、前記信号線の先端部に設けられたセンサー部と、を有し、前記センサー部は前記処理タンク内の全範囲に亘って移動可能である乾燥抽出装置。
【請求項2】
前記タンク加熱手段が、前記処理タンク内に配管された温水循環パイプと、前記処理タンク外から前記温水循環パイプに連通された温水パイプを経由して前記温水循環パイプに対して温水を循環供給する温水ポンプと、前記温水パイプ内を流動する温水を所定温度に加温する温水ヒータと、を備えた請求項1記載の乾燥抽出装置。
【請求項3】
前記凝縮手段が、前記油水分離手段より上流側の前記真空吸引経路に配置された凝縮器と、冷媒循環経路を介して前記凝縮器に冷媒を循環供給する冷凍機と、を備えた請求項1または2記載の乾燥抽出装置。
【請求項4】
前記液化手段が、前記冷媒循環経路から分岐された第二冷媒循環経路と、前記冷凍機から前記第二冷媒循環経路を介して循環供給される冷媒によって前記流体吸引経路を流動する流体を冷却する熱交換器と、を備えた請求項記載の乾燥抽出装置。
【請求項5】
前記流体帰還経路を流動する流体を加熱する前記流体加熱手段が、前記温水パイプを流動する温水の温度により前記流体を加熱する機能を有するエアヒータである請求項2記載の乾燥抽出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伐採した木材の幹や枝葉、採取した草花、収穫した野菜や果実などの植物由来資源を乾燥したり、これらの植物由来資源に含まれるエキスを本来含まれている成分を壊さないように物体温度をコントロールしながら適正な温度で抽出したりする機能を備えた乾燥抽出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
木材を乾燥する装置、あるいは、木の葉などに含まれるエキスを抽出する装置については、従来、様々なものが開発されているが、本発明に関連するものとして、例えば、特許文献1に記載された「木材乾燥装置及び木材乾燥方法」、あるいは、特許文献2に記載された「抽出装置及び抽出方法」などがある。
【0003】
特許文献1に記載された木材乾燥装置は、乾燥装置本体と、真空吸引部と、給水部と、排水部とを備え、乾燥装置本体は、内壁部と、外壁部と、断熱層と、加熱部とを備え、内壁部と外壁部は、いずれも、略筒状に形成され、内壁部の内部には、木材を乾燥させるための乾燥空間が形成され、内壁部は、外壁部の内側に配置され、断熱層は、内壁部と外壁部との間に配置され、真空吸引部は、断熱層の内部の空気を吸引することによって断熱層の内部を減圧するものであり、給水部は、減圧された断熱層の内部に給水するものであり、排水部は、給水された断熱層の内部から水を排出するものであり、加熱部は、内壁部に形成された乾燥空間を加熱することによって木材を乾燥させるものである。
【0004】
特許文献2に記載された「抽出装置」であるマイクロ波減圧水蒸気蒸留装置は、蒸留対象物を収容する蒸留槽、蒸留槽内の蒸留対象物を加熱するマイクロ波加熱装置、蒸留槽内の蒸留対象物を撹拌する撹拌はね、気流流入管、蒸留物流出管、冷却装置、加熱制御装置、減圧ポンプ、圧力調整弁、圧力制御装置などを備えている。
【0005】
前記「抽出装置」においては、抽出対象物となる原料(針葉樹の葉など)を蒸留槽中に入れ、撹拌はねで撹拌しながら、蒸留槽の上面に設けられたマイクロ波加熱装置からマイクロ波を放射し、原料を加熱する。蒸留槽は、気流流入口及び蒸留物流出管と連通され、気流流入管は、空気あるいは窒素ガス等の不活性ガスを反応槽中に導入するものであり、この気流は、反応槽の下部から導入される。また、蒸留物流出管は、原料からの蒸留物を、反応槽の上部から外に導出するものである。蒸留物流出管を介して蒸留槽から流出した気体状の蒸留物は、冷却装置により液体に変えられ、抽出物として得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-152749号公報
【文献】特開2013-100520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された「木材乾燥装置」は、伐採された木材の主幹の部分の乾燥作業を行うには好適であるが、木材の枝葉の部分の乾燥作業には不向きである。また、この「木材乾燥装置」は、木材を乾燥する機能を有しているが、木材に含まれているエキスを抽出する機能は有していない。
【0008】
一方、特許文献2に記載された「抽出装置(マイクロ波減圧水蒸気蒸留装置)」は、蒸留対象物を撹拌はねで撹拌しながら加熱するので、効率的な抽出作業を行うことができるが、動力式の撹拌手段が必要であるため、装置の複雑化、大型化を招きやすい。また、この「抽出装置(マイクロ波減圧水蒸気蒸留装置)」は抽出作業には好適であるが、抽出作業後の蒸留対象物は撹拌によって破砕され、原形をとどめないことが多いので、蒸留対象物の原形を変化させず、乾燥のみを行うことを必要とする用途には不向きである。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、乾燥対象物の種類に適した温度、気圧の下で、乾燥対象物を乾燥したり、乾燥対象物から所定のエキスを抽出したりすることができる乾燥抽出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る乾燥抽出装置は、
乾燥対象物を収容可能な気密性の処理タンクと、
前記処理タンク内の温度を上昇させるタンク加熱手段と、
前記処理タンク内と連通する真空吸引経路を経由して前記処理タンク内の流体を吸引する真空ポンプと、
前記乾燥対象物から発生し前記真空吸引経路を流動する流体に含まれる真空抽出エキスを液化する凝縮手段と、液化された前記真空抽出液化エキスを真空抽出油性エキスと真空抽出水性エキスとに分離する油水分離手段と、
前記処理タンク内と連通する流体吸引経路を経由して前記処理タンク内の流体を吸引する循環ファンと、前記循環ファンで吸引した前記流体を前記処理タンク内に還流させる流体帰還経路と、前記流体帰還経路を流動する流体を加熱する流体加熱手段と、前記乾燥対象物から発生し前記流体吸引経路を流動する流体中に含まれる加熱抽出エキスを液化する液化手段と、
前記処理タンク内の温度を計測する温度計と、前記処理タンク内の湿度を計測する湿度計と、前記処理タンク内の気圧を計測する連成計と、
前記処理タンク内に収容された乾燥対象物の温度を計測する対象物温度計と、を備えたことを特徴とする。
ここで、前記液化手段は熱交換器を使用することができる。
【0011】
前記乾燥抽出装置において、前記タンク加熱手段は、前記処理タンク内に配管された温水循環パイプと、前記処理タンク外から前記温水循環パイプに連通された温水パイプを経由して前記温水循環パイプに対して温水を循環供給する温水ポンプと、前記温水パイプ内を流動する温水を所定温度に加温する温水ヒータと、を備えたものとすることができる。
【0012】
なお、処理タンク内に配管された温水循環パイプについては、処理タンク内が真空状態であっても、処理タンク内の乾燥対象物に熱を伝えることができるように、外周面に遠赤外線放射機能を有するセラミックスをコーティングしたものを使用することもできる。
【0013】
前記乾燥抽出装置において、前記凝縮手段は、前記油水分離手段より上流側の前記真空吸引経路に配置された凝縮器と、冷媒循環経路を介して前記凝縮器に冷媒を循環供給する冷凍機と、を備えたものとすることができる。
【0014】
前記乾燥抽出装置において、前記液化手段は、前記冷媒循環経路から分岐された第二冷媒循環経路と、前記冷凍機から前記第二冷媒循環経路を介して循環供給される冷媒によって前記流体吸引経路を流動する流体を冷却する熱交換器と、を備えたものとすることができる。
【0015】
前記乾燥抽出装置において、前記流体加熱手段は、前記温水パイプを流動する温水の温度により前記流体を加熱する機能を有するエアヒータを用いることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、乾燥対象物の種類に適した温度、気圧の下で、乾燥対象物を乾燥したり、乾燥対象物から所定のエキスを抽出したりすることができる乾燥抽出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態である乾燥抽出装置を示す一部省略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1に基づいて本発明の実施形態である乾燥抽出装置100について説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る乾燥抽出装置100は、乾燥対象物Mを収容可能な気密性の処理タンク1と、処理タンク1内の温度を上昇させるタンク加熱手段の一部をなす壁面ヒータ13及び床面ヒータ14と、処理タンク1内と連通する真空吸引経路2を経由して処理タンク1内の流体を吸引する真空ポンプ7と、を備えている。
【0020】
また、処理タンク1内の乾燥対象物Mから発生し真空吸引経路2を流動する流体に含まれる真空抽出エキス31を液化する凝縮手段の一部をなす凝縮器9と、液化された真空抽出液化エキス32を真空抽出油性エキス21と真空抽出水性エキス23とに分離する油水分離手段11と、油水分離手段11で分離された真空抽出油性エキス21と真空抽出水性エキス23とをそれぞれ個別に回収する油性エキス回収容器10x及び水性エキス回収容器10yと、が設けられている。
【0021】
さらに、処理タンク1内と連通する流体吸引経路25を経由して処理タンク1内の流体を吸引する循環ファン4と、循環ファンで吸引した流体を処理タンク1内に還流させる流体帰還経路26と、流体帰還経路26を流動する流体を加熱する流体加熱手段(エアヒータ3)と、処理タンク1内の乾燥対象物Mから発生し流体吸引経路25を流動する流体に含まれる加熱抽出エキス27を液化する熱交換器12(フィンクーラ)と、液化された加熱抽出液化エキス22を回収する回収容器28と、が設けられている。
【0022】
一方、処理タンク1の部分には、処理タンク1内の温度を計測する温度計16と、処理タンク1内の温度と湿度を計測する温湿度計15と、処理タンク1内の気圧を計測する連成計17と、処理タンク1内に収容された乾燥対象物Mの温度を計測する対象物温度計18と、を備えている。
【0023】
対象物温度計18から処理タンク1内に延設された信号線18bは可撓性を有するので、その先端部に設けられたセンサ部18aは、処理タンク1内の全範囲に亘って移動可能であり、処理タンク1内の任意の位置に配置することができる。
【0024】
乾燥対象物Mは、車輪24aを備えたカーゴトレイ24に積載された状態で処理タンク1内に出し入れ可能である。本実施形態においては、カーゴトレイ24に積載された乾燥対象物Mの中心付近にセンサ部18aが配置されている。
【0025】
処理タンク1内の温度を上昇させるタンク加熱手段は、処理タンク1内に配管された温水循環パイプ40と、処理タンク1外から温水循環パイプ40に連通された温水パイプ41を経由して温水循環パイプ40に対して温水43を循環供給する温水ポンプ5と、温水パイプ41内を流動する温水43を所定温度に加温する温水ヒータ6と、を備えている。
【0026】
また、処理タンク1から排出された直後の温水43の温度を計測するため処理タンク1の近傍の温水パイプ41に温度計19が配置され、温水ヒータ6で加温された直後の温水43の温度を計測するため温水ヒータ6と温水ポンプ5との間の温水パイプ41に温度計20が配置されている
【0027】
処理タンク1内の乾燥対象物Mから発生し真空吸引経路2を流動する流体に含まれる真空抽出エキス31を液化する凝縮手段は、油水分離手段11より上流側の真空吸引経路2に配置された凝縮器9と、冷媒循環経路51を介して凝縮器9に冷媒53を循環供給する冷凍機8と、を備えている。
【0028】
乾燥対象物Mから発生し流体吸引経路25を流動する流体中に含まれる加熱抽出エキス27を液化する液化手段は、冷媒循環経路51から分岐された第二冷媒循環経路52と、冷凍機8から第二冷媒循環経路52を介して循環供給される冷媒53によって流体吸引経路25を流動する流体を冷却する熱交換器(フィンクーラー)12と、を備えている。
【0029】
また、処理タンク1から循環ファンで吸引した流体を処理タンク1内に還流させる流体帰還経路26を流動する流体を加熱する流体加熱手段は、温水パイプ41を流動する温水43の温度を利用して流体帰還経路26内の流体を加温する機能を有するエアヒータ3が設けられている。
【0030】
乾燥抽出装置100においては、温水ポンプ5及び温水ヒータ6を作動させて、温水パイプ41を経由して処理タンク1内の温水循環パイプ40に対して温水43を循環供給して、壁面ヒータ13及び床面ヒータ14を発熱させることにより、処理タンク1の内部温度を常温(室温)から100℃の範囲内の任意の温度に加温することができる。
【0031】
また、乾燥抽出装置100においては、エアヒータ3及び循環ファン4を作動させて、流体吸引経路25及び流体帰還経路26を経由して加温した流体(空気)を処理タンク1内に循環供給することにより、処理タンク1の内部温度を常温(室温)から80℃の範囲内の任意の温度に加温することができ、流体吸引経路25を流動する流体中に含まれる加熱抽出エキス27を熱交換器12で液化し、液化された加熱抽出液化エキス22を回収容器28に回収することができる。
【0032】
さらに、乾燥抽出装置100においては、真空ポンプ7及び冷凍機8を作動させて、真空吸引経路2を経由して処理タンク1内の流体を吸引することにより、処理タンク1内の気圧を常圧(大気圧)からマイナス99MPaの範囲内の任意の気圧に変化させることができ、真空吸引経路2を流動する流体中に含まれる真空抽出エキス31を凝縮器9で液化し、液化された真空抽出液化エキス32を油水分離手段11で真空抽出油性エキス21と真空抽出水性エキス23とに分離し、それぞれ油性エキス回収容器10x及び水性エキス回収容器10y個別に回収することができる。
【0033】
一方、乾燥抽出装置100においては、処理タンク1の部分に、温度計16、温湿度計15及び連成計17を備えているので、処理タンク1内の温度、湿度及び気圧を計測することができ、対象物温度計18のセンサ部18aを、処理タンク1内に収容された乾燥対象物Mの内部(例えば、乾燥対象物Mの中心付近など)に配置することにより、乾燥処理中の乾燥対象物Mの温度を正確に把握しながら、乾燥対象物Mの乾燥作業や乾燥対象物Mからのエキス抽出作業を行うことができる。
【0034】
以上のように、乾燥抽出装置100においては、処理タンク1内に配置された壁面ヒータ13及び床面ヒータ14で処理タンク1内を加熱したり、流体吸引経路25及び流体帰還経路26を経由して処理タンク1内に加温流体(空気)を循環供給したりすることにより、処理タンク1内を加熱することにより、処理タンク1内に収容された乾燥対象物Mを効率良く乾燥することができる。
【0035】
また、対象物温度計18のセンサ部18aを乾燥対象部Mの内部に配置することにより、乾燥対象物Mの温度を正確に把握しながら処理タンク1内を適切な温度に保って乾燥作業を行うことができるので、乾燥対象物Mから発生する加熱抽出エキス27が過熱によって分解したり、消失したりすることがない。
【0036】
乾燥抽出装置100を構成するエアヒータ、循環ファン4、温水ポンプ5、温水ヒータ6、真空ポンプ7及び冷凍機8などは、温湿度計15、温度計16,29,20及び連成計17などから送信されるデータに基づいて制御装置(図示せず)によって自動制御されるので、乾燥対象物Mに応じて、前記制御装置のプログラムを設定しておけば、乾燥対象物Mの種類に適した温度、気圧の下で、乾燥対象物Mを乾燥したり、乾燥対象物Mから所定のエキスを抽出したりすることができる。
【0037】
乾燥抽出装置100においては、
処理タンク1内に配置された壁面ヒータ13及び床面ヒータ14による処理タンク1内の加熱作業、
流体吸引経路25及び流体帰還経路26を経由して処理タンク1内に循環供給される加温流体(空気)による処理タンク1内の加熱作業、
流体吸引経路25を経由して行われる加熱抽出エキス22の回収作業、並びに、
真空吸引経路2を経由して行われる、真空抽出油性エキス21並びに真空抽出水性エキス23の回収作業は、これらの作業のうちの何れか1以上を任意に選択したり、複数の作業を組み合わせたりして実行することができる。
【0038】
乾燥抽出装置100の処理タンク1内に収容して乾燥したり、エキス抽出したりする乾燥対象物Mの種類は限定しないので、様々な用途に使用することができるが、例えば、下記に示すような作業に好適である。
(1)ヒノキの枝葉の乾燥作業、ヒノキエキスの抽出回収作業
(2)スギの枝葉の乾燥作業、スギエキスの抽出回収作業
(3)パプリカの葉の乾燥作業、パプリカの葉のエキスの抽出回収作業
(4)パプリカの果実の乾燥作業、パプリカの果実のエキスの抽出回収作業
(5)パプリカペーストの乾燥作業、パプリカペーストエキスの抽出回収作業
(6)その他の樹木の枝葉の乾燥作業、エキスの抽出回収作業
(7)その他の野菜、果物などの乾燥作業、エキスの抽出回収作業
(8)海産物の真空乾燥作業及び海藻類の乾燥作業、エキスの抽出回収作業
(9)サボテンなどの多肉植物の乾燥、エキスの抽出回収作業
【0039】
ところで、木材質資源を始めとする植物資源を燃料として利用する火力発電であるバイオマス発電においては、間伐材や伐採材などの木材が使用されることがある。この場合、伐採した樹木の幹の部分が使用され、枝葉の部分は廃棄されているが、乾燥抽出装置100は、従来、廃棄されていた樹木の枝葉の部分を乾燥して、バイオマス発電に利用可能な状態にすることができるので、樹木伐採に伴って発生する廃棄物を削減し、植物資源の有効活用を図ることができる。
【0040】
なお、図1に基づいて説明した乾燥抽出装置100は、本発明に係る乾燥抽出装置の一例を示すものであり。本発明に係る乾燥抽出装置は、前述した乾燥抽出装置100に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る乾燥抽出装置は、樹木の枝葉、野菜、果実などの植物由来資源やその他の乾燥対象物を乾燥したり、乾燥対象物から所定のエキスを抽出したりする装置として、農林水産業、食品製造業、薬品製造業、化粧品製造業など様々な産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 処理タンク
2 真空吸引経路
3 エアヒータ
4 循環ファン
5 温水ポンプ
6 温水ヒータ
7 真空ポンプ
8 冷凍機
9 凝縮器
10x 油性エキス回収容器
10y 水性エキス回収容器
11 油水分離手段
12 熱交換器(フィンクーラ)
13 壁面ヒータ
14 床面ヒータ
15 温湿度計
16,19,20 温度計
17 連成計
18 対象物温度計
18a センサ部
18b 信号線
21 真空抽出油性エキス
22 加熱抽出液化エキス
23 真空抽出水性エキス
24 カーゴトレイ
24a 車輪
25 流体吸引経路
26 流体帰還経路
27 加熱抽出エキス
28 回収容器
31 真空抽出エキス
32 真空抽出液化エキス
40 温水循環パイプ
41 温水パイプ
43 温水
51 冷媒循環経路
52 第二冷媒循環経路
53 冷媒
100 乾燥抽出装置
M 乾燥対象物
【要約】
【課題】乾燥対象物の種類に適した温度、気圧の下で、乾燥対象物を乾燥したり、乾燥対象物から所定のエキスを抽出したりすることができる乾燥抽出装置を提供する。
【解決手段】乾燥抽出装置100は、乾燥対象物を収容可能な処理タンク1と、処理タンク1内の温度を上昇させる壁面ヒータ13及び床面ヒータ14と、処理タンク1内から真空吸引経路2を経由して吸引した流体に含まれる真空抽出エキス31を液化する凝縮器9と、液化された真空抽出液化エキス32を真空抽出油性エキス21と真空抽出水性エキス23とに分離する油水分離手段11と、処理タンク1から流体吸引経路25を経由して吸引した流体に含まれる加熱抽出エキス27を液化する冷却液化手段12と、処理タンク1内の温度、湿度及び気圧を計測する温度計16、温湿度計15及び連成計17と、処理タンク1に収容された乾燥対象物Mの温度を計測する対象物温度計18と、を備えている。
【選択図】図1
図1