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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】燃料電池の水素回収装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20221011BHJP
   H01M 8/04694 20160101ALI20221011BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20221011BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20221011BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20221011BHJP
   H01M 8/04701 20160101ALI20221011BHJP
   H01M 8/04791 20160101ALI20221011BHJP
   H01M 8/0444 20160101ALI20221011BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04 J
H01M8/04694
H01M8/0438
H01M8/04746
H01M8/04313
H01M8/04701
H01M8/04791
H01M8/0444
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021517988
(86)(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 CN2019077907
(87)【国際公開番号】W WO2020073599
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】201811190724.1
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521104089
【氏名又は名称】上海恒勁動力科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】高 勇
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-108434(JP,A)
【文献】特開2000-215905(JP,A)
【文献】特開2010-44911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池(1)と、
制御器と、
上下に互いに連通した、上部にある貯蔵タンク(61)と下部にある気液分離器(62)とから構成される気液分離貯蔵タンク(6)と、
を少なくとも備えている燃料電池の水素回収装置であって、
前記貯蔵タンク(61)は、それぞれ水素排気管(9)と水素回収管とに接続され、
前記燃料電池の前記水素排気管(9)には、水素出口弁(3)が設けられ、
前記水素回収管には、水素循環ポンプ(4)と止弁(5)とが設けられ、
隣り合う排気状態の間は、1つのスタック電気化学反応の排気サイクルであり、
同一の前記スタック電気化学反応の排気サイクル内に、前記水素出口弁(3)は、少なくとも一回等間隔で開き、前記水素循環ポンプ(4)と前記止弁(5)は一回のみ開くことを特徴とする燃料電池の水素回収装置。
【請求項2】
同一の前記スタック電気化学反応の排気サイクル内において、前記水素出口弁(3)が開く頻度は、前記水素循環ポンプ(4)が開く頻度の1-10倍であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の水素回収装置。
【請求項3】
前記水素出口弁(3)と前記貯蔵タンク(61)の入口との間には、前記制御器と接続された圧力センサー(611)が設けられ、
1つの前記スタック電気化学反応の排気サイクル内において、前記水素出口弁(3)を開いて装置を排気状態とし、水,窒素、及び水素を含む廃気が前記貯蔵タンク(61)に入った後、前記圧力センサー(611)で検出された廃気圧力値が設定された圧力の上限値を超えた時、同時に前記水素循環ポンプ(4)と前記止弁(5)とを開いて前記貯蔵タンク(61)内の水素を取り出して水素入口管(8)に戻させることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の水素回収装置。
【請求項4】
前記気液分離器(62)は、廃棄物排弁(7)が設けられた廃棄物排出管を通じて廃水と余剰の窒素とを排出し、
前記貯蔵タンク(61)には、前記制御器と接続された窒素濃度測量計(612)が設けられ、前記気液分離器(62)には、前記制御器と接続された液位計(621)が設けられ、
前記気液分離器(62)は前記廃棄物排弁(7)に接続され、
前記窒素濃度測量計(612)で検出された前記貯蔵タンク内の窒素濃度値が設定された窒素濃度閾値よりも高い時、又は前記液位計(621)で検出された水位が設定された水位閾値より高い時、前記制御器は前記廃棄物排弁(7)を開いて分離後の液体水と余剰の窒素とをなくなるまで排出し、前記廃棄物排弁(7)を閉じることを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料電池の水素回収装置。
【請求項5】
前記気液分離器(62)は、前記貯蔵タンク(61)の下方に設けられ、比重の大きい窒素と液体水とを効果的且つスムーズに排出可能とされていることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池の水素回収装置。
【請求項6】
少なくとも燃料電池(1)と制御器とを備えている燃料電池システムであって、
該燃料電池システムは、上下に互い連通した、上部にある貯蔵タンク(61)と下部にある気液分離器(62)とから構成される気液分離貯蔵タンク(6)を更に備え、前記貯蔵タンク(61)は、それぞれ水素排気管(9)と、該水素排気管(9)を水素入口管(8)に接続する水素回収管とに接続され、前記気液分離器(62)は、廃棄物排弁(7)が設けられた廃棄物排出管を介して廃水と余剰の窒素とを排出し、
前記気液分離器(62)内には、前記制御器と接続した液位計(621)が設けられ、
前記液位計で検出された水位が設定された水位閾値よりも高い時、前記制御器は前記廃棄物排弁を開いて分離後の液体水と余剰の窒素とを排出し、前記制御器は液体の水位によって前記廃棄物排弁(7)の開閉を制御し、
その中で、
隣り合う排気状態の間は、1つのスタック電気化学反応の排気サイクルであり、同一の前記スタック電気化学反応の排気サイクル内において、前記水素排気管(9)に設けられた水素出口弁(3)は少なくとも一回等間隔で開き、前記水素回収管に設けられた水素循環ポンプ(4)及び止弁(5)を前記水素出口弁(3)の毎回の開閉に伴い開閉する必要がなく、
同一の前記スタック電気化学反応の排気サイクル内において、前記水素出口弁(3)の開く頻度は、前記水素循環ポンプ(4)が開く頻度の1-10倍であることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項7】
隣り合う排気状態の間は、1つの前記スタック電気化学反応の排気サイクルであり、同一の前記スタック電気化学反応の排気サイクル内において、前記水素循環ポンプ(4)及び前記止弁(5)はただ一回のみ開くことを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記水素出口弁(3)と前記貯蔵タンク(61)の入口との間には、前記制御器と接続された圧力センサー(611)が設けられ、
1つの前記スタック電気化学反応の排気サイクル内において、前記水素出口弁(3)を開くことにより装置が排気状態になり、水、窒素、及び水素を含む廃気が前記貯蔵タンク(61)に入った後、
前記圧力センサー(611)で検出された廃気圧力値が設定された圧力の上限値を超えた時、同時に前記水素循環ポンプ(4)と前記止弁(5)とを開き、前記貯蔵タンク(61)内の水素を取り出して前記水素入口管(8)に戻させることを特徴とする請求項6又は7に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記水素排気管において前記水素出口弁から前記貯蔵タンクの入口までの間の位置に、前記気液分離貯蔵タンクの外壁或いは前記貯蔵タンクの内壁に少なくとも1つの放熱フィンが設置され、前記放熱フィンは、高温の廃気を外界の温度にまで下げるように気液分離の効率を向上させることを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記廃棄物排出管は空気排気管(10)に合流し合流後のパイプに気体混合器(14)が設けられ、前記廃棄物排出管から断続的に排出された水素と空気排気管(10)からの空気とを均一に混合して水素濃度を低減することを特徴とする請求項9に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
1)水素入口弁(2)を開き、水素入口管(8)の開通を保持するとともに、水素出口弁(3)、止弁(5)、水素循環ポンプ(4)及び廃棄物排弁(7)の閉弁を保持することにより、燃料電池(1)のスタックが反応を始めるステップと、
2)1つのスタック電気化学反応の排気サイクルにおいて、前記水素出口弁(3)を開け、装置を排気状態にして、水、窒素、及び水素を含む廃気が貯蔵タンク(61)に進入した後、圧力センサー(611)で検出された廃気の圧力値が設定された圧力の上限値を超えた時に、前記水素循環ポンプ(4)と前記止弁(5)とを同時に開いて前記貯蔵タンク(61)内の水素を抽出して前記水素入口管(8)に戻させるステップと、
を少なくとも含み、
隣り合う排気状態の間は、1のスタック電気化学反応排気サイクルであり、同一の前記スタック電気化学反応の排気サイクルにおいて、前記水素出口弁(3)が少なくとも等間隔で一回開き、前記水素循環ポンプ(4)及び前記止弁(5)が一回のみ開く、ことを特徴とする燃料電池の水素回収方法。
【請求項12】
窒素濃度測量計(612)で検出された前記貯蔵タンク内の窒素濃度値が設定された窒素濃度閾値よりも高い時、又は液位計(621)で検出された水位が設定の水位閾値よりも高い時には、前記廃棄物排弁(7)を開け、分離後の液体水と余剰の窒素とをなくなるまで排出し、前記廃棄物排弁(7)を閉じ、
前記圧力センサー(611)で検出された廃気圧力値が設定された圧力の下限値より低い時には、前記水素循環ポンプ(4)と前記止弁(5)とを閉じて、次の前記スタック電気化学反応の排気サイクルの制御が始まることを更に含む、ことを特徴とする請求項11に記載の燃料電池の水素回収方法。
【請求項13】
同一の前記スタック電気化学反応の排気サイクルにおいて、前記水素循環ポンプ(4)は、前記水素出口弁(3)の毎回の開閉に伴い開閉する必要がなく、
前記水素出口弁(3)が開く頻度は、前記水素循環ポンプ(4)が開く頻度の1~10倍であることを更に含む、ことを特徴とする請求項11に記載の燃料電池の水素回収方法。
【請求項14】
廃棄物排出管と、空気排気管(10)とが合流し、合流後のパイプに気体混合器(14)を設け、廃棄物排出管から断続的に排出された水素と空気排気管(10)からの空気とを均一に混合して、水素濃度を低減することを更に含む、ことを特徴とする請求項11~13のいずれか1項に記載の燃料電池の水素回収方法。
【請求項15】
水素排気管において前記水素出口弁から前記貯蔵タンクの入口までの位置に、気液分離貯蔵タンクの外壁又は前記貯蔵タンクの内壁に少なくとも1つの放熱フィンが設置され、前記放熱フィンは、高温の廃気を外界の温度にまで下げるように気液分離の効率を向上させることを更に含む、ことを特徴とする請求項14に記載の燃料電池の水素回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム制御分野、特に燃料電池の水素回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、新しいタイプの環境に優しい発電装置として、ノイズ及び汚染がなく、サイズが小さく、寿命が長く、エネルギー変換率が高く、メンテナンスが簡単で、コストが低いという利点がある。
【0003】
水素燃料電池は、水素と酸化剤とを電気エネルギー及び反応産物に変換できる装置である。そして水素を燃料とし、酸素を含む空気(または純粋な酸素)を酸化剤として使用するプロトン交換膜燃料電池において、燃料水素は陽極領域の触媒の電気化学反応によって水素陽イオン(またはプロトンと称する)を生成する。そしてプロトン交換膜は、水素陽イオンが陽極領域から陰極領域に移動するのを補助する。さらに、プロトン交換膜は、水素燃料を含む気流と酸素とを含む気流とを分離して、それらが混合することによる爆発を引き起こさないようにする。
【0004】
水素燃料電池が作動した状態で電気を発生させる過程に伴って、通常は、水が生成される。燃料電池の正常な動作と性能とを確保するために、燃料電池内で生成された水と過剰な窒素とを排出する必要がある場合が多い。そのため、燃料電池は燃料水素と酸化剤との空気中の計量比が1より大きい状態で作動する必要があり、このような過剰な燃料水素と過剰な空気は、燃料電池内の水とともに燃料電池の外部に直接排出される。
【0005】
現時点で実行できる解決策としては、過剰な空気を使用して燃料電池内で生成された水を燃料電池の外部に直接排出することである。しかし、過剰な燃料水素を使用して燃料電池の陽極(アノード)領域の水を燃料電池の外部に排出することは実行不可能であり、貴重な燃料水素が無駄になるだけでなく、過剰な水素を含む排気ガスを直接排出することは非常に危険である。
【0006】
中国特許CN204793044Uでは、燃料電池と、水素入口弁と、水素出口弁と、水素循環ポンプと、止弁と、容器と、空気圧縮機と、排水ソレノイド弁と、水素入口管と、水素出口と、空気入口管と、空気出口管と、を備えた燃料電池の水素回収システムを開示している。そして、水素入口弁は水素入口管に配置され、水素出口弁は水素出口管に配置され、水素出口管の出口は、水素循環ポンプの入口と容器の上部口に接続され、水素循環ポンプの出口は止弁の入口に接続され、止弁の出口は水素入口弁と燃料電池との間の水素入口管に接続され、空気圧縮機は燃料電池の空気入口管に配置され、排水ソレノイド弁は容器に配置されている。しかし、1つの制御サイクルでは、水素出口弁を開くたびに、循環ポンプと止弁とを開く必要があるため、操作が煩雑となるとともに、ソレノイド弁の寿命が短くなり、複数回の操作で漏れが発生する恐れがあり、更に上記のごとく排出された廃気(廃棄物)は不均一なものであり、安全上のリスクもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】中国特許文献CN204793044U
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記先行技術に存在する課題を解決するための燃料電池の水素回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、以下の技術により達成することができる。
【0010】
燃料電池と、制御器と、水素循環ポンプ及び止弁が設けられた水素回収管と、燃料電池にそれぞれ接続された空気入口管及び空気排気管と、水素入口弁が設けられた水素入口管及び水素出口弁が設けられた水素排気管と、を備え、前記水素回収管は水素入口管に接続されている燃料電池の水素回収装置であって、当該装置はさらに気液分離貯蔵タンクを備え、前記気液分離貯蔵タンクは、上下に互いに連通した、上部に位置する貯蔵タンクと下部に位置する気液分離器とから構成され、前記貯蔵タンクは、それぞれ水素排気管と水素回収管とが接続され、前記気液分離器は、廃棄物排弁が設けられた廃棄物排出管を介して、廃水及び余剰窒素を排出する。
【0011】
水素出口弁と貯蔵タンクの入口との間には、制御器と接続された圧力センサーが設けられている。
前記貯蔵タンクには、制御器と接続された窒素濃度測量計が設けられている。
前記気液分離器には、制御器と接続された液位計が設けられている。
【0012】
前記廃棄物排出管は空気排気管と合流し、合流後の複合パイプラインには、廃棄物排出管から断続的に排出された水素と空気とを均一に混合して水素濃度を低減するための気体混合器が設けられている。
【0013】
水素排気管には、水素出口弁から貯蔵タンクの入口に至る位置に、気液分離貯蔵タンクの外壁または貯蔵タンクの内壁に複数の放熱フィンが設置されている。
前記貯蔵タンクの容量は必要に応じて設けられ、その範囲は0.5-20Lである。
【0014】
当該装置の制御方法は以下の通りである:
1)水素入口弁を開き、水素入口管の開通を保持するとともに、水素出口電磁弁、止弁,水素循環ポンプ及び廃棄物排弁の閉弁を保持することにより、燃料電池のスタックの反応が始まり、
2)1つのスタック電気化学反応排気サイクルにおいて、水素出口弁を開け、装置を排気状態にして、水、窒素、及び水素を含む廃気が貯蔵タンクに進入した後、圧力センサーで検出された廃気の圧力値が設定圧力の上限値を超えた時に、水素循環ポンプと止弁とを同時に開いて貯蔵タンク内の水素を抽出して、水素入口管に戻させ、
3)窒素濃度測量計で検出された貯蔵タンク内の窒素濃度値が設定された窒素濃度閾値より高い時、または液位計で検出された水位が設定された水位閾値より高い時には、廃棄物排弁を開いて分離後の液体の液体水及び余剰の窒素を窒素がなくなるまで排出し、廃棄物排弁を閉弁し、
4)圧力センサーで検出された廃気の圧力値が設定された圧力の下限値を下回った時には、水素循環ポンプと止弁とを閉じて、次のスタック電気化学反応排気サイクルの制御が開始される。
【0015】
前記ステップ2)において、隣り合う排気状態の間は、1つのスタック電気化学反応排気サイクルであり、同一のスタック電気化学反応排気サイクルにおいて、水素出口弁が等間隔で少なくとも一回開き、水素循環ポンプと止弁が一回のみ開く。
【0016】
同一のスタック電気化学反応排気サイクルにおいて、水素出口弁が開く頻度は水素循環ポンプの開く頻度の1-10倍である。
【発明の効果】
【0017】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を奏する:
【0018】
一、廃気の緩衝:本発明は、緩衝貯蔵廃気機能を有しない気液分離器を、1つの一体型気液分離貯蔵タンクに改変し、貯蔵タンクの緩衝,貯蔵、及び測量判断を実現し、気液分離器を貯蔵タンクの下側に設け、比重の大きい窒素や液体の水を効果的且つスムーズに排出することができる。
【0019】
二、効果的な冷却:本発明では、水素排気管において水素出口弁から貯蔵タンク入口までの間の位置に、気液分離貯蔵タンク外の壁または貯蔵タンクの内壁に複数の放熱フィンを仮設し、70-80℃の高温廃気を効果的且つ迅速に低減することができるため、気液分離の効率化及び貯蔵タンクの安全性の確保に有利である。
【0020】
三、均一で安全な排気:本発明は、廃棄物排出管と空気排気管10とは接続されて合流しており、合流後のパイプ乱流を均一に混合する気体混合器が設けられ、このように排出した廃気は、スタック反応した後に排出した大量の空気を動力源とし、気体混合器で廃気中の水素と空気を乱流にして均一に混合し、最終的に排出する廃気中の水素濃度を2%を下回るよう均一とし、廃気の安全性を効果的に確保する。
【0021】
四、液体の水の排出と水素の回収とは相互に干渉し合わない:本発明は、水の排出と水素の回収を制御する際に、干渉し合わない論理により独立した判断を行い、圧力閾値範囲を用いて水素出口弁と循環ポンプのサイクル的な開閉を制御し、窒素濃度または液体の水位で廃棄物排弁の開閉を制御し、制御操作を容易なものとする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施例1の装置の構造図。
図2】本実施例1の制御シーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施の形態及び図面に基づいて、本発明の実施例1について詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1に示す如く、本実施例1は、燃料電池1と、制御器と、水素循環ポンプ4及び止弁5が設けられた水素回収管と、燃料電池1にそれぞれ接続された空気入口管11及び空気排気管10と、水素入口弁2が設けられた水素入口管8及び水素出口弁3が設けられた水素排気管9と、を備えた燃料電池の水素回収装置を提供し、水素回収管は水素入口管8とが接続され、当該装置は更に、一体型の気液分離貯蔵タンク6を備え、気液分離貯蔵タンク6は、上部の貯蔵タンク61と下部の気液分離器62とによって一体的に形成されるか、または各部分がメッシュを介して連通するように設けられている。貯蔵タンク61は、それぞれ水素排気管9と水素回収管とを接続し、気液分離器62は、廃棄物排弁7が設置されている廃棄物排出管を介して廃水と余剰窒素を排出し、制御器は、それぞれ、水素循環ポンプ4と、止弁5と、廃棄物排弁7と、水素出口弁3と、水素入口弁2と接続され、貯蔵タンク61は、水素排気管9と接続する位置に、制御器と接続する圧力センサー611を設けている。
【0025】
貯蔵タンク61には、窒素濃度を検出するための、制御器と接続した窒素濃度測量計612が設けられている。
気液分離器62には、液体の水位を検出するための、制御器と接続した液位計621が設けられている。
【0026】
廃棄物排出管と空気排気管10とは接続されて合流しており、合流後のパイプには、乱流を均一に混合する気体混合器14が設けられ、廃棄物排出管から断続的に排出された水素を空気と均一に混合することにより、水素濃度が下がる。
【0027】
水素排気管9において水素出口弁3から貯蔵タンク61の入口までの間の位置に、気液分離貯蔵タンク6の外壁または貯蔵タンク61の内壁に複数の放熱フィンが設けられている。
【0028】
本実施例では、具体的な必要に応じて貯蔵タンク61が設けられ、複数回排出された廃気(排気ガズ)の貯蔵を確実なものとするため、その範囲を0.5-20Lとしている。
【0029】
図2に示す如く、本装置による制御方法は次のとおりである:
1)水素入口弁2を開き、水素入口管8を開通した状態で、同時に水素出口電磁弁3,止弁5,水素循環ポンプ4及び廃棄物排弁7を閉じた状態にすることにより、燃料電池1のスタックが反応を始める、
2)1つのスタック電気化学反応排気サイクルT0において、水素出口弁3を開け、装置が排気状態にして(隣り合う排気状態の間は1つのスタック電気化学反応の排気サイクルであり、同一のスタック電気化学反応の排気サイクル内には、水素出口弁3が複数回において等間隔で開き(即ち、1つの排気状態)、水素循環ポンプ4と止弁5は1回のみ開き(持続時間はT2)、本実施例においては、同一のスタック電気化学反応の排気サイクル内に、水素出口弁3の開く頻度は、水素循環ポンプ4が開く頻度の1-10倍である)、水,窒素、及び水素を含む廃気が貯蔵タンク61内に進入した後、圧力センサー611によって検出された廃気圧力値が設定圧力の上限値を超えた時に、同時に水素循環ポンプ4と止弁5を開いて貯蔵タンク61内の水素を抽出し、水素入口管8に戻る、
3)窒素濃度測量計612が検出した貯蔵タンク内の窒素濃度値が設定した窒素濃度閾値より高い時、または液位計621で検出した水位が設定した水位閾値より高い時は、廃棄物排弁7を開いて、分離後の水と余剰窒素(過剰な窒素)を排出し、窒素がなくなったら廃棄物排弁7を閉じる(持続時間はT3)、
4)圧力センサー611が検出した廃気圧力値が設定圧力の下限値を下回った時は、水素循環ポンプ4と止弁5とが閉じられ、次回のスタック反応の排気サイクルの制御が始まる。
【0030】
本発明は、複数回の短い等間隔の時間で水素出口弁3を開いてスタック反応の廃気を貯蔵タンク61に均一に排出し、貯蔵タンクは、これらの廃気を収納及び緩衝して廃気をすべて貯蔵するために用いられ、この場合、止弁5と水素循環ポンプ4は、毎回水素出口弁3により開閉させる必要がないため、使用寿命が延び、さらに一定の検出と制御とを容易行うことができる。この例では、水素出口弁3の毎回の開放時間T1は通常0.1-0.15秒であるが、これに限定されるものではなく、また回数は通常1-10回であるが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0031】
1、燃料電池、2、水素入口弁、3、水素出口弁、4、水素循環ポンプ、5、止弁、6、気液分離貯蔵タンク、61、貯蔵タンク、611、圧力センサー、612、窒素濃度測量計、62、気液分離器、621、液位計、7、廃棄物排弁、8、水素入口管、9、水素排気管、10、空気排気管、11、空気入口管、12、スタック出力電圧陽極、13、スタック出力電圧負極、14、気体混合器
図1
図2