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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】ハンガーレール切替装置
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20221011BHJP
   E05D 15/00 20060101ALI20221011BHJP
   E04B 2/74 20060101ALN20221011BHJP
【FI】
E05D15/06 125Z
E05D15/00 B
E04B2/74 561E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022065226
(22)【出願日】2022-04-11
【審査請求日】2022-07-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597122600
【氏名又は名称】有限会社ピオ-ル
(74)【代理人】
【識別番号】100131428
【弁理士】
【氏名又は名称】若山 剛
(72)【発明者】
【氏名】猪腰 幸夫
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-102881(JP,A)
【文献】特開平11-22280(JP,A)
【文献】実開昭61-32374(JP,U)
【文献】特開平1-102187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00-15/58
E04B 2/74
B65G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点にて互いに交差する第1直線及び第2直線に沿ってそれぞれ延在する第1ハンガーレール及び第2ハンガーレールに前記交差点の近傍において連結されるとともに、直線に沿って延在する第3ハンガーレールが前記第1ハンガーレールに接続される第1接続状態と、前記第3ハンガーレールが前記第2ハンガーレールに接続される第2接続状態と、の間で接続状態を切り替えるハンガーレール切替装置であって、
前記第3ハンガーレールを含むとともに、前記交差点を通る回動軸回りに回動可能に支持され、前記回動軸に対する径方向に沿って直線状に延在する案内孔を有する回動部と、
前記案内孔よりも、前記径方向における外方の位置を有する揺動軸回りに揺動可能に一端部が支持され、他端部において少なくとも一部が前記案内孔に収容される連結部を有し、且つ、前記連結部が前記案内孔にて前記径方向に沿って移動可能であるとともに前記連結部回りに揺動可能であるアーム部と、
前記第1接続状態と前記第2接続状態との間で接続状態が切り替わるように前記アーム部を前記揺動軸回りに揺動させる駆動部と、
を備える、ハンガーレール切替装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハンガーレール切替装置であって、
前記第1直線及び前記第2直線は、互いに直交し、
前記第1接続状態における前記連結部の位置と、前記第2接続状態における前記連結部の位置と、を結ぶ直線から前記揺動軸までの距離は、前記直線から前記回動軸までの距離よりも長い、ハンガーレール切替装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のハンガーレール切替装置であって、
前記案内孔は、前記径方向における外方の端部において、他の部分よりも幅が広い拡幅部を有する、ハンガーレール切替装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のハンガーレール切替装置であって、
前記アーム部の前記揺動軸回りの回転角である揺動角が、前記第1接続状態又は前記第2接続状態に対応する接続揺動角であることを検出する検出部を備え、
前記駆動部は、前記アーム部の揺動角が前記接続揺動角であることが検出された場合、前記アーム部の前記揺動軸回りの揺動を停止させる、ハンガーレール切替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンガーレール切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点にて互いに交差する第1直線及び第2直線に沿ってそれぞれ延在する第1ハンガーレール及び第2ハンガーレールに交差点の近傍において連結されるハンガーレール切替装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のハンガーレール切替装置は、直線に沿って延在する第3ハンガーレールを含むとともに、回動の中心軸が交差点を通るように回動可能に支持される回動部と、回動部を駆動するモーターと、を備える。ハンガーレール切替装置は、モーターの駆動軸が減速機を介して回動部の回転軸に連結される。
【0004】
ハンガーレール切替装置は、モーターの駆動軸を回転させることにより、回動部を回動させる。これにより、ハンガーレール切替装置は、第3ハンガーレールが第1ハンガーレールに接続される第1接続状態と、第3ハンガーレールが第2ハンガーレールに接続される第2接続状態と、の間で接続状態を切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-102881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、モーターの駆動軸の回転速度は、一定に維持されることが多い。従って、上記ハンガーレール切替装置においては、第1接続状態と第2接続状態との間で接続状態が切り替わる際、回動部の回転角である回動角は、一定の速度にて変化する。このため、回動部の回動角が変化する速度が過度に大きいと、回動部の回動を、第1接続状態、又は、第2接続状態に対応する接続位置にて停止できない虞がある。
【0007】
そこで、上記ハンガーレール切替装置においては、回動部の回動角が変化する速度は、比較的低い速度に設定される。従って、上記ハンガーレール切替装置においては、第1接続状態と第2接続状態との間で接続状態を迅速に切り替えることができない、という課題があった。
【0008】
本発明の目的の一つは、接続状態を迅速に切り替えることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの側面では、ハンガーレール切替装置は、交差点にて互いに交差する第1直線及び第2直線に沿ってそれぞれ延在する第1ハンガーレール及び第2ハンガーレールに、当該交差点の近傍において連結される。ハンガーレール切替装置は、直線に沿って延在する第3ハンガーレールが第1ハンガーレールに接続される第1接続状態と、第3ハンガーレールが第2ハンガーレールに接続される第2接続状態と、の間で接続状態を切り替える。
【0010】
ハンガーレール切替装置は、回動部と、アーム部と、駆動部と、を備える。
回動部は、第3ハンガーレールを含むとともに、交差点を通る回動軸回りに回動可能に支持され、当該回動軸に対する径方向に沿って直線状に延在する案内孔を有する。
【0011】
アーム部は、案内孔よりも、回動部の回動軸に対する径方向における外方の位置を有する揺動軸回りに揺動可能に一端部が支持され、他端部において少なくとも一部が案内孔に収容される連結部を有する。アーム部は、連結部が案内孔にて、回動部の回動軸に対する径方向に沿って移動可能であるとともに連結部回りに揺動可能である。
駆動部は、第1接続状態と第2接続状態との間で接続状態が切り替わるようにアーム部を揺動軸回りに揺動させる。
【発明の効果】
【0012】
接続状態を迅速に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態のハンガーレール切替装置の底面図である。
図2】第1実施形態のハンガーレール切替装置の斜視図である。
図3】第1実施形態のハンガーレール切替装置の斜視図である。
図4】第1実施形態のハンガーレール切替装置の側面図である。
図5】第1実施形態のハンガーレール切替装置の背面図である。
図6】第1実施形態のハンガーレール切替装置の平面図である。
図7】第1実施形態のハンガーレール切替装置の断面図である。
図8】第1実施形態のハンガーレール切替装置の断面図である。
図9】第1実施形態のハンガーレール切替装置の、一部の図示が省略された平面図である。
図10】第1実施形態のハンガーレール切替装置の平面図である。
図11】第1実施形態のハンガーレール切替装置の平面図である。
図12】第1実施形態のハンガーレール切替装置の、一部の図示が省略された斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のハンガーレール切替装置に関する各実施形態について図1乃至図12を参照しながら説明する。
【0015】
<第1実施形態>
(概要)
第1実施形態のハンガーレール切替装置は、交差点にて互いに交差する第1直線及び第2直線に沿ってそれぞれ延在する第1ハンガーレール及び第2ハンガーレールに、当該交差点の近傍において連結される。ハンガーレール切替装置は、直線に沿って延在する第3ハンガーレールが第1ハンガーレールに接続される第1接続状態と、第3ハンガーレールが第2ハンガーレールに接続される第2接続状態と、の間で接続状態を切り替える。
【0016】
ハンガーレール切替装置は、回動部と、アーム部と、駆動部と、を備える。
回動部は、第3ハンガーレールを含むとともに、交差点を通る回動軸回りに回動可能に支持され、当該回動軸に対する径方向に沿って直線状に延在する案内孔を有する。
【0017】
アーム部は、案内孔よりも、回動部の回動軸に対する径方向における外方の位置を有する揺動軸回りに揺動可能に一端部が支持され、他端部において少なくとも一部が案内孔に収容される連結部を有する。アーム部は、連結部が案内孔にて、回動部の回動軸に対する径方向に沿って移動可能であるとともに連結部回りに揺動可能である。
駆動部は、第1接続状態と第2接続状態との間で接続状態が切り替わるようにアーム部を揺動軸回りに揺動させる。
【0018】
これによれば、アーム部の揺動軸回りの回転角である揺動角の変化量に対する、回動部の回動軸回りの回転角である回動角の変化量は、アーム部の揺動角が、第1接続状態又は第2接続状態に対応する接続揺動角に近づくほど小さくなる。従って、第1接続状態と第2接続状態との間で接続状態を切り替える際に、アーム部の揺動角を一定の速度にて変化させた場合、回動部の回動角が変化する速度は、徐々に増加した後、徐々に減少する。
【0019】
このため、アーム部の揺動角が変化する速度を比較的大きくしても、アーム部の揺動角が接続揺動角に十分に近い状態でアーム部の揺動軸回りの揺動を停止できる。従って、第1接続状態と第2接続状態との間で接続状態を迅速に切り替えることができる。
次に、第1実施形態のハンガーレール切替装置について詳細に説明する。
【0020】
(構成)
【0021】
図1乃至図12に表されるように、x軸、y軸、及び、z軸を有する右手系の直交座標系を用いて、ハンガーレール切替装置3を説明する。
本例では、x軸方向、y軸方向、及び、z軸方向は、ハンガーレール切替装置3の左右方向、ハンガーレール切替装置3の前後方向、及び、ハンガーレール切替装置3の上下方向とそれぞれ表されてもよい。また、本例では、x軸の正方向、x軸の負方向、y軸の正方向、y軸の負方向、z軸の正方向、及び、z軸の負方向は、ハンガーレール切替装置3の右方向、ハンガーレール切替装置3の左方向、ハンガーレール切替装置3の前方向、ハンガーレール切替装置3の後方向、ハンガーレール切替装置3の上方向、及び、ハンガーレール切替装置3の下方向とそれぞれ表されてもよい。
【0022】
本例では、z軸の正方向、及び、z軸の負方向は、鉛直上方向(換言すると、上方向)、及び、鉛直下方向(換言すると、下方向)にそれぞれ一致する。
【0023】
図1は、ハンガーレール切替装置3の下方からハンガーレール切替装置3を見た図(換言すると、底面図)である。図1に表されるように、ハンガーレール切替装置3は、交差点CPにて互いに交差する第1直線L1及び第2直線L2に沿ってそれぞれ延在する第1ハンガーレール10及び第2ハンガーレール20に、当該交差点CPの近傍において連結される。
【0024】
本例では、第1直線L1は、y軸方向にて延在する。本例では、第2直線L2は、x軸方向にて延在する。従って、本例では、第1直線L1、及び、第2直線L2は、互いに直交する。なお、第1直線L1、及び、第2直線L2は、互いに直交していなくてもよい。
【0025】
本例では、第1ハンガーレール10、及び、第2ハンガーレール20は、交差点CPを中心とし、且つ、所定の回動部直径よりも僅かに大きい直径を有する円形状の領域以外の領域にて十字を形成するように延在する。なお、第1ハンガーレール10、及び、第2ハンガーレール20は、十字に代えて、T字、又は、L字を形成するように延在していてもよい。
【0026】
図2図7、及び、図8に表されるように、第1ハンガーレール10、及び、第2ハンガーレール20のそれぞれは、走行機(換言すると、ランナー)80を内部空間に収容可能であるとともに、走行機80が内部空間にて走行可能であるように構成される。
【0027】
走行機80は、複数対(本例では、3対)の車輪を備える。走行機80は、z軸の負方向へ延出する棒状の吊具81を備える。図1乃至図12において、吊具81は、吊具81のうちの、z軸の正方向における端部以外の部分の図示が省略されている。
【0028】
本例では、走行機80は、吊具81を介して、図示されない移動式パネルを支持する。本例では、移動式パネルは、z軸の正方向における端部のうちの、当該移動式パネルに沿った方向における両端部が一対の走行機80によりそれぞれ支持される。例えば、移動式パネルは、間仕切り、又は、扉であってよい。なお、走行機80は、移動式パネル以外の物体(例えば、人、又は、重量物等)を支持してもよい。
【0029】
第1ハンガーレール10は、z軸の負方向における端面に、第1直線L1に沿って延在するスリット状の開口を有する。第1ハンガーレール10の開口は、走行機80の走行に伴って、吊具81が第1直線L1に沿って移動可能であるように形成される。
第2ハンガーレール20は、z軸の負方向における端面に、第2直線L2に沿って延在するスリット状の開口を有する。第2ハンガーレール20の開口は、走行機80の走行に伴って、吊具81が第2直線L2に沿って移動可能であるように形成される。
【0030】
第1ハンガーレール10及び第2ハンガーレール20は、第1ハンガーレール10及び第2ハンガーレール20のうちの、z軸の負方向における端部にて、開口以外の領域を被覆する天井板CBを支持する。
【0031】
例えば、第1ハンガーレール10、第2ハンガーレール20、及び、走行機80は、特開2018-204270号公報、又は、特開平11-22280号公報等に開示された、ハンガーレール、及び、走行機と同様の構成を有してよい。
【0032】
ハンガーレール切替装置3は、直線に沿って延在する、後述の第3ハンガーレール312が第1ハンガーレール10に接続される第1接続状態と、第3ハンガーレール312が第2ハンガーレール20に接続される第2接続状態と、の間で接続状態を切り替える。
【0033】
図1乃至図8は、第1接続状態におけるハンガーレール切替装置3を表す。図2は、ハンガーレール切替装置3の右方であり、ハンガーレール切替装置3の後方であり、且つ、ハンガーレール切替装置3の上方である位置から、ハンガーレール切替装置3を見た図(換言すると、右後上方斜視図)である。図3は、ハンガーレール切替装置3の右方であり、ハンガーレール切替装置3の後方であり、且つ、ハンガーレール切替装置3の下方である位置から、ハンガーレール切替装置3を見た図(換言すると、右後下方斜視図)である。
【0034】
図4は、ハンガーレール切替装置3の右方からハンガーレール切替装置3を見た図(換言すると、右側面図)である。図5は、ハンガーレール切替装置3の後方からハンガーレール切替装置3を見た図(換言すると、背面図)である。図6は、ハンガーレール切替装置3の上方からハンガーレール切替装置3を見た図(換言すると、平面図)である。
【0035】
図7は、図6のVII-VII線により表される平面により切断されたハンガーレール切替装置3の断面をx軸の正方向にて見た図である。図8は、図6のVIII-VIII線により表される平面により切断されたハンガーレール切替装置3の断面をy軸の正方向にて見た図である。
【0036】
図2に表されるように、ハンガーレール切替装置3は、基板30と、回動部31と、アーム部32と、駆動部33と、を備える。
【0037】
基板30は、z軸に直交する平面に沿って延在する平板状である。基板30は、交差点CPの近傍において、第1ハンガーレール10及び第2ハンガーレール20の鉛直上方に位置する。
【0038】
図2、及び、図6乃至図8に表されるように、回動部31は、基板30をz軸方向にて貫通するとともに、回動軸回りに回動可能に基板30によって支持される。本例では、回動部31の回動軸は、z軸方向にて延在するとともに交差点CPを通る。
【0039】
回動部31は、被支持部311と、第3ハンガーレール312と、頂板部313と、案内部314と、を備える。
被支持部311は、中心軸がz軸方向にて延在する中空円筒状である。被支持部311は、被支持部311のうちの、z軸方向における両端部にフランジを有する。
【0040】
被支持部311は、第1支持部301、及び、第2支持部302、を介して、回動軸回りに回動可能に基板30によって支持される。本例では、第1支持部301は、円すいころ軸受(換言すると、テーパーローラーベアリング)である。なお、第1支持部301は、スラスト軸受、又は、ラジアル軸受であってもよい。本例では、第2支持部302は、スラスト軸受である。
【0041】
第3ハンガーレール312は、被支持部311のうちの、z軸の負方向における端面に固定される。第3ハンガーレール312は、第1ハンガーレール10、及び、第2ハンガーレール20と同様の構成を有する。第3ハンガーレール312は、回動軸を通る直線に沿って延在する。第3ハンガーレール312の長手方向における中心は、回動軸上に位置する。第3ハンガーレール312の長手方向における長さは、回動部直径と等しい。
【0042】
頂板部313は、被支持部311のうちの、z軸の正方向における端面に固定される。頂板部313は、z軸に直交する平面に沿って延在する平板状である。なお、頂板部313は、被支持部311と一体であってもよい。
【0043】
案内部314は、z軸方向に直交する平面に沿って延在する平板状である。案内部314は、回動部31の回動軸に対する径方向に沿って長手方向が延在する長方形状である。案内部314は、回動部31の回動軸に対する径方向における内方の端部が、頂板部313のうちの、z軸の正方向における端面に固定される。
【0044】
案内部314は、回動部31の回動軸に対する径方向に沿って直線状に延在する案内孔3141を有する。図9(A)に表されるように、案内孔3141は、回動部31の回動軸に対する径方向における外方の端部において、他の部分よりも幅が広い拡幅部3141Aを有する。図9は、アーム部32のうちの、後述の連結部321以外の部分の図示が省略されたハンガーレール切替装置3の平面図である。
【0045】
本例では、案内孔3141は、貫通孔である。なお、案内孔3141は、有底の孔(換言すると、溝、窪み、又は、凹部)であってもよい。また、案内部314は、頂板部313と一体であってもよい。
【0046】
図6に表されるように、アーム部32は、直線に沿って延在する棒状である。アーム部32は、揺動軸SS回りに揺動可能に一端部が支持される。本例では、アーム部32の揺動軸SSは、z軸方向にて延在するとともに、案内孔3141よりも、回動部31の回動軸に対する径方向における外方の位置を有する。本例では、アーム部32の揺動軸SSは、第1直線L1と第2直線L2とにより形成される角の二等分線上の位置を通る。
【0047】
図5図7、及び、図8に表されるように、アーム部32は、他端部において連結部321を備える。連結部321は、中心軸がz軸方向にて延在する円柱状である。連結部321の直径は、案内孔3141の幅よりも僅かに小さい。連結部321は、アーム部32からz軸の負方向へ突出する。連結部321は、連結部321のうちの、少なくとも一部が案内孔3141に収容される。
【0048】
このような構成により、連結部321は、案内孔3141にて、回動部31の回動軸に対する径方向に沿って移動可能である。更に、アーム部32は、連結部321回りに揺動可能である。
【0049】
駆動部33は、第1接続状態と第2接続状態との間で接続状態が切り替わるようにアーム部32を揺動軸SS回りに揺動させる。本例では、駆動部33は、モーター、及び、減速機を含み、モーターの駆動軸の回転が減速機を介してアーム部32に伝達されることによりアーム部32を揺動させる。
【0050】
図9(A)及び図10(A)は、接続状態が第1接続状態である(換言すると、揺動角が第1接続揺動角である)場合を表す。揺動角は、アーム部32の揺動軸SS回りの回転角である。第1接続揺動角は、接続状態が第1接続状態である場合における揺動角である。図9(C)及び図10(C)は、接続状態が第2接続状態である(換言すると、揺動角が第2接続揺動角である)場合を表す。第2接続揺動角は、接続状態が第2接続状態である場合における揺動角である。図9(B)及び図10(B)は、揺動角が第1接続揺動角と第2接続揺動角との中間の角度である場合を表す。
【0051】
本例では、駆動部33は、接続状態が第1接続状態である場合、アーム部32を揺動軸SS回りに、ハンガーレール切替装置3を上方から見た場合における時計方向へ揺動させることにより、接続状態を第2接続状態に切り替える。従って、この場合、ハンガーレール切替装置3の状態は、図9(A)及び図10(A)に表される状態から、図9(B)及び図10(B)に表される状態を経て、図9(C)及び図10(C)に表される状態に至る。
【0052】
また、本例では、駆動部33は、接続状態が第2接続状態である場合、アーム部32を揺動軸SS回りに、ハンガーレール切替装置3を上方から見た場合における反時計方向へ揺動させることにより、接続状態を第1接続状態に切り替える。従って、この場合、ハンガーレール切替装置3の状態は、図9(C)及び図10(C)に表される状態から、図9(B)及び図10(B)に表される状態を経て、図9(A)及び図10(A)に表される状態に至る。
【0053】
本例では、図11に表されるように、第1接続状態における連結部321の位置と、第2接続状態における連結部321の位置と、を結ぶ直線RLから揺動軸SSまでの距離D1は、当該直線RLから回動部31の回動軸RSまでの距離D2よりも長い。なお、第1接続状態における連結部321の位置と、第2接続状態における連結部321の位置と、を結ぶ直線RLから揺動軸SSまでの距離D1は、当該直線RLから回動部31の回動軸RSまでの距離D2と等しくてもよい。
【0054】
更に、図9及び図10に表されるように、ハンガーレール切替装置3は、第1揺動検出部51と、第2揺動検出部52と、を備える。
第1揺動検出部51は、アーム部32の揺動軸SS回りの回転角である揺動角が、第1接続状態に対応する第1接続揺動角であることを検出する。本例では、第1揺動検出部51は、接触を検出した場合に検出信号を出力するとともに、揺動角が第1接続揺動角である場合にのみアーム部32の先端と接触するように構成される。
【0055】
第2揺動検出部52は、アーム部32の揺動軸SS回りの回転角である揺動角が、第2接続状態に対応する第2接続揺動角であることを検出する。本例では、第2揺動検出部52は、接触を検出した場合に検出信号を出力するとともに、揺動角が第2接続揺動角である場合にのみアーム部32の先端と接触するように構成される。
【0056】
駆動部33は、第1揺動検出部51又は第2揺動検出部52により検出信号が出力された場合(換言すると、アーム部32の揺動角が第1接続揺動角又は第2接続揺動角であることが検出された場合)、アーム部32の揺動軸SS回りの揺動を停止させる。
【0057】
なお、駆動部33は、予め設定された変化量だけ、アーム部32の揺動角を変化させるように構成されていてもよい。この場合、駆動部33は、第1揺動検出部51及び第2揺動検出部52の検出信号に応じて、アーム部32の揺動を制御しなくてもよい。この場合、ハンガーレール切替装置3は、第1揺動検出部51、及び、第2揺動検出部52を備えなくてもよい。
【0058】
本例では、拡幅部3141Aは、揺動角が、第1接続揺動角と第2接続揺動角との間の範囲外となった(換言すると、当該範囲を超えた)場合に、案内孔3141を形成する壁面に連結部321が接触しないように形成される。換言すると、案内孔3141は、揺動角が、第1接続揺動角と第2接続揺動角との間の範囲内である場合において、揺動角が変化したとき、案内孔3141を形成する壁面に連結部321が接触するとともに、揺動角が、第1接続揺動角と第2接続揺動角との間の範囲外である場合において、揺動角が変化したとき、案内孔3141を形成する壁面に連結部321が接触しない形状を有する。
なお、案内孔3141は、拡幅部3141Aを備えなくてもよい。
【0059】
図1図7、及び、図8に表されるように、ハンガーレール切替装置3は、第1走行機検出部61と、第2走行機検出部62と、第3走行機検出部63と、第4走行機検出部64と、第5走行機検出部65と、を備える。
【0060】
第1走行機検出部61は、交差点CPにて走行機80を検出する。第2走行機検出部62は、y軸の負方向側の第1ハンガーレール10にて走行機80を検出する。第3走行機検出部63は、y軸の正方向側の第1ハンガーレール10にて走行機80を検出する。第4走行機検出部64は、x軸の負方向側の第2ハンガーレール20にて走行機80を検出する。第5走行機検出部65は、x軸の正方向側の第2ハンガーレール20にて走行機80を検出する。
【0061】
駆動部33は、第2走行機検出部62又は第3走行機検出部63により走行機80が検出された場合において、接続状態が第2接続状態であるとき、アーム部32を揺動させることにより接続状態を第1接続状態に切り替える。
【0062】
駆動部33は、第4走行機検出部64又は第5走行機検出部65により走行機80が検出された場合において、接続状態が第1接続状態であるとき、アーム部32を揺動させることにより接続状態を第2接続状態に切り替える。
【0063】
駆動部33は、第1走行機検出部61により走行機80が検出された場合において、接続状態が第1接続状態であるとき、アーム部32を揺動させることにより接続状態を第2接続状態に切り替える。また、駆動部33は、第1走行機検出部61により走行機80が検出された場合において、接続状態が第2接続状態であるとき、アーム部32を揺動させることにより接続状態を第1接続状態に切り替える。
【0064】
(動作)
次に、第1実施形態のハンガーレール切替装置3の動作について説明を加える。
先ず、図12を参照しながら、走行機80が第1ハンガーレール10を走行する状態から、走行機80が第2ハンガーレール20を走行する状態へ状態を切り替える場合について説明する。図12において、第1ハンガーレール10、第2ハンガーレール20、及び、ハンガーレール切替装置3の一部は、図示が省略されている。
【0065】
図12(A)に表されるように、走行機80がy軸の正方向へ走行することにより、第2走行機検出部62が走行機80を検出する。これにより、ハンガーレール切替装置3の接続状態は、第1接続状態に設定される。
【0066】
その後、図12(B)に表されるように、走行機80がy軸の正方向へ走行することにより、第1走行機検出部61が走行機80を検出する。これにより、駆動部33は、アーム部32を揺動させる。この結果、図12(C)に表される状態を経て、図12(D)に表されるように、ハンガーレール切替装置3の接続状態は、第2接続状態に切り替えられる。
【0067】
その後、図12(E)に表されるように、走行機80がx軸の正方向へ走行することにより、第5走行機検出部65が走行機80を検出する。この場合、駆動部33は、アーム部32を揺動させない。従って、ハンガーレール切替装置3の接続状態は、第2接続状態に維持される。
【0068】
このようにして、走行機80が第1ハンガーレール10を走行する状態から、走行機80が第2ハンガーレール20を走行する状態へ状態を切り替えることができる。
【0069】
次に、走行機80が第2ハンガーレール20を走行する状態から、走行機80が第1ハンガーレール10を走行する状態へ状態を切り替える場合について説明する。
【0070】
図12(E)に表されるように、走行機80がx軸の負方向へ走行することにより、第5走行機検出部65が走行機80を検出する。これにより、ハンガーレール切替装置3の接続状態は、第2接続状態に設定される。
【0071】
その後、図12(D)に表されるように、走行機80がx軸の負方向へ走行することにより、第1走行機検出部61が走行機80を検出する。これにより、駆動部33は、アーム部32を揺動させる。この結果、図12(C)に表される状態を経て、図12(B)に表されるように、ハンガーレール切替装置3の接続状態は、第1接続状態に切り替えられる。
【0072】
その後、図12(A)に表されるように、走行機80がy軸の負方向へ走行することにより、第2走行機検出部62が走行機80を検出する。この場合、駆動部33は、アーム部32を揺動させない。従って、ハンガーレール切替装置3の接続状態は、第1接続状態に維持される。
【0073】
このようにして、走行機80が第2ハンガーレール20を走行する状態から、走行機80が第1ハンガーレール10を走行する状態へ状態を切り替えることができる。
【0074】
以上、説明したように、第1実施形態のハンガーレール切替装置3は、交差点CPにて互いに交差する第1直線L1及び第2直線L2に沿ってそれぞれ延在する第1ハンガーレール10及び第2ハンガーレール20に交差点CPの近傍において連結される。ハンガーレール切替装置3は、直線に沿って延在する第3ハンガーレール312が第1ハンガーレール10に接続される第1接続状態と、第3ハンガーレール312が第2ハンガーレール20に接続される第2接続状態と、の間で接続状態を切り替える。
【0075】
ハンガーレール切替装置3は、回動部31と、アーム部32と、駆動部33と、を備える。
回動部31は、第3ハンガーレール312を含むとともに、交差点CPを通る回動軸RS回りに回動可能に支持され、回動軸RSに対する径方向に沿って直線状に延在する案内孔3141を有する。
【0076】
アーム部32は、案内孔3141よりも、回動軸RSに対する径方向における外方の位置を有する揺動軸SS回りに揺動可能に一端部が支持され、他端部において少なくとも一部が案内孔3141に収容される連結部321を有する。アーム部32は、連結部321が案内孔3141にて、回動軸RSに対する径方向に沿って移動可能であるとともに連結部321回りに揺動可能である。
駆動部33は、第1接続状態と第2接続状態との間で接続状態が切り替わるようにアーム部32を揺動軸SS回りに揺動させる。
【0077】
これによれば、アーム部32の揺動軸SS回りの回転角である揺動角の変化量に対する、回動部31の回動軸RS回りの回転角である回動角の変化量は、アーム部32の揺動角が、第1接続状態又は第2接続状態に対応する接続揺動角(換言すると、第1接続揺動角又は第2接続揺動角)に近づくほど小さくなる。従って、第1接続状態と第2接続状態との間で接続状態を切り替える際に、アーム部32の揺動角を一定の速度にて変化させた場合、回動部31の回動角が変化する速度は、徐々に増加した後、徐々に減少する。
【0078】
このため、アーム部32の揺動角が変化する速度を比較的大きくしても、アーム部32の揺動角が接続揺動角に十分に近い状態でアーム部32の揺動軸SS回りの揺動を停止できる。従って、第1接続状態と第2接続状態との間で接続状態を迅速に切り替えることができる。
【0079】
更に、第1実施形態のハンガーレール切替装置3において、第1直線L1及び第2直線L2は、互いに直交する。加えて、第1接続状態における連結部321の位置と、第2接続状態における連結部321の位置と、を結ぶ直線RLから揺動軸SSまでの距離は、直線RLから回動軸RSまでの距離よりも長い。
【0080】
これによれば、第1接続状態と第2接続状態との間で接続状態を円滑に切り替えることができる。
【0081】
更に、第1実施形態のハンガーレール切替装置3において、案内孔3141は、回動軸RSに対する径方向における外方の端部において、他の部分よりも幅が広い拡幅部3141Aを有する。
【0082】
これによれば、アーム部32の揺動角が、第1接続状態に対応する第1接続揺動角と、第2接続状態に対応する第2接続揺動角と、の間の範囲を超えた場合、案内孔3141を形成する壁面から連結部321を隔てさせることができる。従って、回動部31の回動角が、第1接続状態に対応する第1接続回動角と、第2接続状態に対応する第2接続回動角と、の間の範囲を超えることを抑制できる。この結果、第1接続状態と第2接続状態との間で接続状態を確実に切り替えることができる。
【0083】
更に、第1実施形態のハンガーレール切替装置3は、アーム部32の揺動軸SS回りの回転角である揺動角が、第1接続状態又は第2接続状態に対応する接続揺動角であることを検出する検出部(本例では、第1揺動検出部51、及び、第2揺動検出部52)を備える。
【0084】
駆動部33は、アーム部32の揺動角が接続揺動角であることが検出された場合、アーム部32の揺動軸SS回りの揺動を停止させる。
【0085】
これによれば、回動部31の回動角が、第1接続状態に対応する第1接続回動角と、第2接続状態に対応する第2接続回動角と、の間の範囲を超えることを抑制できる。この結果、第1接続状態と第2接続状態との間で接続状態を確実に切り替えることができる。
【0086】
ところで、第1実施形態のハンガーレール切替装置3においては、第1接続揺動角と第2接続揺動角との差は、90度よりも小さい。なお、第1接続揺動角と第2接続揺動角との差は、90度と等しくてもよい。この場合、第1接続状態における連結部321の位置と、第2接続状態における連結部321の位置と、を結ぶ直線RLから揺動軸SSまでの距離D1は、当該直線RLから回動部31の回動軸RSまでの距離D2と等しくてもよい。
【0087】
この場合、案内孔3141は、拡幅部3141Aを備えることなく、案内孔3141を形成する壁面が、回動部31の回動軸RSに対する径方向にて、直線状に延在していてよい。この場合において、揺動角が、第1接続揺動角と第2接続揺動角との間の範囲外となったとき、案内孔3141を形成する壁面に連結部321が接触しない。従って、回動部31の回動角が、第1接続状態に対応する第1接続回動角と、第2接続状態に対応する第2接続回動角と、の間の範囲を超えることを抑制できる。
【0088】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した実施形態に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において当業者が理解し得る様々な変更が加えられてよい。
【符号の説明】
【0089】
10 第1ハンガーレール
20 第2ハンガーレール
3 ハンガーレール切替装置
30 基板
301 第1支持部
302 第2支持部
31 回動部
311 被支持部
312 第3ハンガーレール
313 頂板部
314 案内部
3141 案内孔
3141A 拡幅部
32 アーム部
321 連結部
33 駆動部
51 第1揺動検出部
52 第2揺動検出部
61 第1走行機検出部
62 第2走行機検出部
63 第3走行機検出部
64 第4走行機検出部
65 第5走行機検出部
80 走行機
81 吊具
CB 天井板
CP 交差点
L1 第1直線
L2 第2直線
RS 回動軸
SS 揺動軸

【要約】      (修正有)
【課題】接続状態を迅速に切り替え可能なハンガーレール切替装置を提供すること。
【解決手段】ハンガーレール切替装置3は、第1ハンガーレール10及び第2ハンガーレール20に連結され、第3ハンガーレール312が第1ハンガーレールに接続される第1接続状態と、第3ハンガーレールが第2ハンガーレールに接続される第2接続状態と、の間で状態を切り替える。ハンガーレール切替装置は、回動部とアーム部32と駆動部33とを備える。回動部は、第3ハンガーレール312を含み、回動軸回りに回動可能に支持され、当該回動軸に対する径方向に沿って直線状に延在する案内孔3141を有する。アーム部は、案内孔よりも径方向における外方の位置を有する揺動軸回りに揺動可能に一端部が支持され、他端部において案内孔に収容される連結部321を有する。駆動部は、第1接続状態と第2接続状態との間で状態が切り替わるようにアーム部を揺動させる。
【選択図】図12
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12