(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】ガラス窯炉用の低エネルギー消費の窒素及び酸素製造方法
(51)【国際特許分類】
F25J 3/04 20060101AFI20221011BHJP
F25J 3/08 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
F25J3/04 101
F25J3/08
(21)【出願番号】P 2022099742
(22)【出願日】2022-06-21
【審査請求日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】202110858748.5
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522248881
【氏名又は名称】ハンヂョウ ターニング エネルギー テクノロジー デベロップメント カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Hangzhou Turning Energy Technology Development Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 913, building 1, Wuzhou international business center, Xihu District, Hangzhou, Zhejiang China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ホー センリン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ティン
(72)【発明者】
【氏名】グゥォ レイ
(72)【発明者】
【氏名】ヂョウ ヨウヂェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヂォンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヂュ ハン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン ユンフォン
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104807291(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111141110(CN,A)
【文献】特開平05-296651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造時に必要な装置は、フィルター、タービン空気圧縮機、空気予冷機ユニット、交互に使用される分子篩吸着器、電気ヒータ、主熱交換器、精留塔I、主凝縮蒸発器I、精留塔II、主凝縮蒸発器II、精留塔III、主凝縮蒸発器III、過冷却器、膨張機I及び膨張機IIを含み、
フィルター、タービン空気圧縮機、空気予冷機ユニット、交互に使用される分子篩吸着器、電気ヒータはコールドボックス外に設けられ、主熱交換器、精留塔I、主凝縮蒸発器I、精留塔II、主凝縮蒸発器II、精留塔III、主凝縮蒸発器III、過冷却器、膨張機I、膨張機IIはコールドボックス内に設けられ、主凝縮蒸発器Iは精留塔Iの上に設けられ、主凝縮蒸発器IIは精留塔IIの上に設けられ、主凝縮蒸発器IIIは精留塔IIIの底部に設けられ、
フィルター、タービン空気圧縮機、空気予冷機ユニット、交互に使用される分子篩吸着器、主熱交換器はこの順に接続され、主熱交換器は精留塔Iの底部の原料空気入り口に接続され、
精留塔Iの底部の液体空気出口は過冷却器に接続され、過冷却器は主凝縮蒸発器Iに接続され、過冷却器と主凝縮蒸発器Iとの接続管路には絞り弁が設けられており、主凝縮蒸発器Iの酸素富化空気出口は精留塔IIの底部に接続され、主凝縮蒸発器Iの液体空気出口は主凝縮蒸発器IIに接続され、
精留塔Iの頂部の加圧窒素出口はそれぞれ主凝縮蒸発器I、主凝縮蒸発器III、主熱交換器の加圧窒素復熱/部分的復熱入り口に接続され、主凝縮蒸発器Iの液体窒素出口は液体窒素バッファタンクに接続され、液体窒素バッファタンクはそれぞれ精留塔Iの頂部、精留塔IIの頂部、液体窒素製品供給管路に接続され、液体窒素バッファタンクと精留塔IIの頂部との接続管路には絞り弁が設けられており、主熱交換器の加圧窒素復熱出口、加圧窒素部分的復熱出口はそれぞれ高圧窒素製品供給管路、膨張機Iに接続され、膨張機Iは主熱交換器の低圧窒素復熱入り口に接続され、主熱交換器の低圧窒素復熱出口は低圧窒素製品供給管路に接続され、
精留塔IIの底部の酸素富化液体空気出口はそれぞれ主凝縮蒸発器II、精留塔IIIの頂部に接続され、精留塔IIの底部の酸素富化液体空気出口と、主凝縮蒸発器II、精留塔IIIの頂部とを接続する接続管路にはいずれも絞り弁が設けられており、主凝縮蒸発器IIの廃棄窒素出口は過冷却器に接続され、過冷却器は主熱交換器の廃棄窒素復熱入り口に接続され、主熱交換器の廃棄窒素復熱出口はそれぞれ排出管路、電気ヒータに接続され、電気ヒータは交互に使用される分子篩吸着器に接続され、
精留塔IIの頂部の低圧窒素出口はそれぞれ主凝縮蒸発器II、主熱交換器の低圧窒素復熱入り口に接続され、主凝縮蒸発器IIの液体窒素出口は精留塔IIの頂部に接続され、
主凝縮蒸発器IIIは精留塔IIIの底部に位置し、精留塔IIIの酸素出口は主熱交換器に接続され、主熱交換器は酸素製品供給管路に接続され、主凝縮蒸発器IIIの液体窒素出口は液体窒素バッファタンクに接続され、精留塔IIIの液体酸素出口は液体酸素製品供給管路に接続され、
精留塔IIIの頂部の加圧廃棄窒素は過冷却器に接続され、過冷却器は主熱交換器の加圧廃棄窒素部分的復熱入り口に接続され、主熱交換器の加圧廃棄窒素部分的復熱出口は膨張機IIに接続され、膨張機IIは更に主熱交換器の廃棄窒素復熱入り口に接続され、
製造時に以下のステップ、すなわち、
原料空気をフィルターによってろ過してほこり及び機械的不純物を除去した後、タービン空気圧縮機に送り込んで空気を設定圧力に圧縮し、その後空気予冷機ユニットによって予冷した後に、交互に使用される分子篩吸着器に送り込んで精製するステップ1と、
精製された原料空気の一部を計器用空気に用い、残りの部分を主熱交換器に送り込んで飽和温度に冷却させると共に一定の湿気を含有させた後に精留塔Iの底部に送り込んで精留に関連させるステップ2と、
空気を精留塔Iによって精留した後に液体空気と加圧窒素に分離し、液体空気を過冷却器によって過冷却し、絞り弁によって絞った後に主凝縮蒸発器Iに送り込んで冷源として加圧窒素と熱交換することで、液体空気が酸素富化空気に気化され、酸素富化空気を精留塔IIの底部に導入して精留に関連させると同時に、主凝縮蒸発器Iから一部の液体空気を導出して冷源として主凝縮蒸発器IIに送り込み、加圧窒素の一部を主凝縮蒸発器Iに導入して熱源として液体空気と熱交換することで、加圧窒素が液体窒素に液化され、液体窒素が主凝縮蒸発器IIIから導出された液体窒素と合流し、一部の液体窒素を還流液として精留塔Iの頂部に導入し、一部の液体窒素を絞り弁によって絞った後に精留塔IIの頂部に導入して精留に関連させ、残りを液体窒素製品として導出し、一部の加圧窒素を熱源として主凝縮蒸発器IIIに導入し、一部の加圧窒素を主熱交換器によって復熱させた後に高圧窒素製品としてコールドボックスから導出し、高圧窒素製品は純度が3ppmO
2よりも小さく、圧力が0.68~0.95MpaGであり、残りの加圧窒素を主熱交換器によって部分的に復熱させた後に膨張機Iに導入して膨張させ、膨張後に主熱交換器によって復熱させてから低圧窒素製品としてコールドボックスから導出し、低圧窒素製品は純度が3ppmO
2よりも小さく、圧力が0.3~0.5MpaGであるステップ3と、
液体窒素及び酸素富化空気を精留塔IIによって精留した後に精留塔IIの底部から酸素富化液体空気を得て、精留塔IIの頂部から低圧窒素を得て、一部の酸素富化液体空気を導出して絞り弁によって絞った後に主凝縮蒸発器IIに送り込んで冷源として低圧窒素と熱交換することで、酸素富化液体空気が廃棄窒素に気化され、廃棄窒素を過冷却器、主熱交換器によって復熱させた後にコールドボックスから導出し、一部の廃棄窒素を交互に使用される分子篩吸着器の再生ガスとし、残りを排出し、残った酸素富化液体空気を絞り弁によって絞った後に精留塔IIIの頂部に導入して精留に関連させ、一部の低圧窒素を主凝縮蒸発器IIに導入して熱源として酸素富化液体空気と熱交換することで、低圧窒素が液体窒素に液化され、液体窒素を還流液として精留塔IIの頂部に導入し、残りの低圧窒素を主熱交換器によって復熱させた後に低圧窒素製品とし、低圧窒素製品は純度が3ppmO
2よりも小さく、圧力が0.3~0.5MpaGであるステップ4と、
酸素富化液体空気を精留塔IIIによって精留した後に液体酸素と加圧廃棄窒素に分離し、液体酸素を主凝縮蒸発器IIIの冷源とし、精留塔Iから導入された加圧窒素と熱交換することで、液体酸素が酸素に気化され、一部の酸素を導出して主熱交換器によって復熱させた後に酸素製品としてコールドボックスから導出し、酸素製品は純度が90~99.6%であり、圧力が0.1~0.3MpaGであり、残りの酸素を精留塔IIIの上昇ガスとし、加圧窒素は液体窒素に液化され、液体窒素は主凝縮蒸発器Iから導出された液体窒素と合流し、一部の液体窒素を還流液として精留塔Iの頂部に導入し、一部の液体窒素を絞り弁によって絞った後に精留塔IIの頂部に導入して精留に関連させ、残りを液体窒素製品として導出し、同時に精留塔IIIの底部から一部の液体酸素を液体酸素製品として導出することができ、加圧廃棄窒素を過冷却器によって復熱させ、主熱交換器によって部分的に復熱させた後に膨張機IIに送り込んで膨張させ、その後主熱交換器によって復熱させた後にコールドボックスから導出し、一部を交互に使用される分子篩吸着器の再生ガスとし、残りを排出するステップ5と、
を含むことを特徴とするガラス窯炉用の低エネルギー消費の窒素及び酸素製造方法。
【請求項2】
ステップ1において、空気をタービン空気圧縮機によって0.75~1.0MPaに圧縮する、ことを特徴とする請求項1に記載のガラス窯炉用の低エネルギー消費の窒素及び酸素製造方法。
【請求項3】
ステップ1において、空気を空気予冷機ユニットによって5~8℃に予冷する、ことを特徴とする請求項1に記載のガラス窯炉用の低エネルギー消費の窒素及び酸素製造方法。
【請求項4】
ステップ3において、加圧窒素の圧力は0.68~0.95MpaGである、ことを特徴とする請求項1に記載のガラス窯炉用の低エネルギー消費の窒素及び酸素製造方法。
【請求項5】
ステップ4において、低圧窒素の圧力は0.3~0.5MpaGである、ことを特徴とする請求項1に記載のガラス窯炉用の低エネルギー消費の窒素及び酸素製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気分離の技術分野に関し、具体的には、ガラス窯炉用の低エネルギー消費の窒素及び酸素製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス窯炉はエネルギー消費が高い設備であり、そのエネルギー消費がガラスの製造エネルギー消費の70%程度を占める。酸素富化燃焼技術は省エネルギー型技術であり、伝統的なガラス窯炉に酸素を供給して助燃することにより、特定領域の酸素含有量を増加し、燃焼反応速度を加速し、燃焼限界を拡大することができ、燃焼効率、火炎温度及び熱伝達効率が高くなり、ガラス溶融率が明らかに向上し、対応して排気ガスの排出量及び煙道ガスによる熱損失が減少され、NOxの排出量が低減され、最終的にガラスの収率及び品質を向上させ、エネルギーを節約し、環境汚染を減少するという目的が達成され、同時にガラス窯炉による製造中に一定の圧力を有する窒素をスズ浴のシールドガスとして調製する必要がある。
【0003】
酸素及び窒素の調製は電力を消費する必要があるため、ガラスの製造コストがある程度増加され、ガラス窯炉のプロセス要求に適する低エネルギー消費の酸素、加圧窒素を如何に製造するかは、酸素富化燃焼技術の普及及び適用の鍵となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術の不足を解決するために、ガラス窯炉用の低エネルギー消費の窒素及び酸素製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の技術的解決手段を採用する。
【0006】
製造時に必要な装置は、フィルター、タービン空気圧縮機、空気予冷機ユニット、交互に使用される分子篩吸着器、電気ヒータ、主熱交換器、精留塔I、主凝縮蒸発器I、精留塔II、主凝縮蒸発器II、精留塔III、主凝縮蒸発器III、過冷却器、膨張機I及び膨張機IIを含み、
フィルター、タービン空気圧縮機、空気予冷機ユニット、交互に使用される分子篩吸着器、電気ヒータはコールドボックス外に設けられ、主熱交換器、精留塔I、主凝縮蒸発器I、精留塔II、主凝縮蒸発器II、精留塔III、主凝縮蒸発器III、過冷却器、膨張機I、膨張機IIはコールドボックス内に設けられ、主凝縮蒸発器Iは精留塔Iの上に設けられ、主凝縮蒸発器IIは精留塔IIの上に設けられ、主凝縮蒸発器IIIは精留塔IIIの底部に設けられ、
フィルター、タービン空気圧縮機、空気予冷機ユニット、交互に使用される分子篩吸着器、主熱交換器はこの順に接続され、主熱交換器は精留塔Iの底部の原料空気入り口に接続され、
精留塔Iの底部の液体空気出口は過冷却器に接続され、過冷却器は主凝縮蒸発器Iに接続され、過冷却器と主凝縮蒸発器Iとの接続管路には絞り弁が設けられており、主凝縮蒸発器Iの酸素富化空気出口は精留塔IIの底部に接続され、主凝縮蒸発器Iの液体空気出口は主凝縮蒸発器IIに接続され、
精留塔Iの頂部の加圧窒素出口はそれぞれ主凝縮蒸発器I、主凝縮蒸発器III、主熱交換器の加圧窒素復熱/部分的復熱入り口に接続され、主凝縮蒸発器Iの液体窒素出口は液体窒素バッファタンクに接続され、液体窒素バッファタンクはそれぞれ精留塔Iの頂部、精留塔IIの頂部、液体窒素製品供給管路に接続され、液体窒素バッファタンクと精留塔IIの頂部との接続管路には絞り弁が設けられており、主熱交換器の加圧窒素復熱出口、加圧窒素部分的復熱出口はそれぞれ高圧窒素製品供給管路、膨張機Iに接続され、膨張機Iは主熱交換器の低圧窒素復熱入り口に接続され、主熱交換器の低圧窒素復熱出口は低圧窒素製品供給管路に接続され、
精留塔IIの底部の酸素富化液体空気出口はそれぞれ主凝縮蒸発器II、精留塔IIIの頂部に接続され、精留塔IIの底部の酸素富化液体空気出口と、主凝縮蒸発器II、精留塔IIIの頂部とを接続する接続管路にはいずれも絞り弁が設けられており、主凝縮蒸発器IIの廃棄窒素出口は過冷却器に接続され、過冷却器は主熱交換器の廃棄窒素復熱入り口に接続され、主熱交換器の廃棄窒素復熱出口はそれぞれ排出管路、電気ヒータに接続され、電気ヒータは交互に使用される分子篩吸着器に接続され、
精留塔IIの頂部の低圧窒素出口はそれぞれ主凝縮蒸発器II、主熱交換器の低圧窒素復熱入り口に接続され、主凝縮蒸発器IIの液体窒素出口は精留塔IIの頂部に接続され、
主凝縮蒸発器IIIは精留塔IIIの底部に位置し、精留塔IIIの酸素出口は主熱交換器に接続され、主熱交換器は酸素製品供給管路に接続され、主凝縮蒸発器IIIの液体窒素出口は液体窒素バッファタンクに接続され、精留塔IIIの液体酸素出口は液体酸素製品供給管路に接続され、
精留塔IIIの頂部の加圧廃棄窒素は過冷却器に接続され、過冷却器は主熱交換器の加圧廃棄窒素部分的復熱入り口に接続され、主熱交換器の加圧廃棄窒素部分的復熱出口は膨張機IIに接続され、膨張機IIは更に主熱交換器の廃棄窒素復熱入り口に接続され、
製造時に以下のステップ、すなわち、
原料空気をフィルターによってろ過してほこり及び機械的不純物を除去した後、タービン空気圧縮機に送り込んで空気を設定圧力に圧縮し、その後空気予冷機ユニットによって予冷した後に、交互に使用される分子篩吸着器に送り込んで精製するステップ1と、
精製された原料空気の一部を計器用空気に用い、残りの部分を主熱交換器に送り込んで飽和温度に冷却させると共に一定の湿気を含有させた後に精留塔Iの底部に送り込んで精留に関連させるステップ2と、
空気を精留塔Iによって精留した後に液体空気と加圧窒素に分離し、液体空気を過冷却器によって過冷却し、絞り弁によって絞った後に主凝縮蒸発器Iに送り込んで冷源として加圧窒素と熱交換することで、液体空気が酸素富化空気に気化され、酸素富化空気を精留塔IIの底部に導入して精留に関連させると同時に、主凝縮蒸発器Iから一部の液体空気を導出して冷源として主凝縮蒸発器IIに送り込み、加圧窒素の一部を主凝縮蒸発器Iに導入して熱源として液体空気と熱交換することで、加圧窒素が液体窒素に液化され、液体窒素が主凝縮蒸発器IIIから導出された液体窒素と合流し、一部の液体窒素を還流液として精留塔Iの頂部に導入し、一部の液体窒素を絞り弁によって絞った後に精留塔IIの頂部に導入して精留に関連させ、残りを液体窒素製品として導出し、一部の加圧窒素を熱源として主凝縮蒸発器IIIに導入し、一部の加圧窒素を主熱交換器によって復熱させた後に高圧窒素製品としてコールドボックスから導出し、高圧窒素製品は純度が3ppmO2よりも小さく、圧力が0.68~0.95MpaGであり、残りの加圧窒素を主熱交換器によって部分的に復熱させた後に膨張機Iに導入して膨張させ、膨張後に主熱交換器によって復熱させてから低圧窒素製品としてコールドボックスから導出し、低圧窒素製品は純度が3ppmO2よりも小さく、圧力が0.3~0.5MpaGであるステップ3と、
液体窒素及び酸素富化空気を精留塔IIによって精留した後に精留塔IIの底部から酸素富化液体空気を得て、精留塔IIの頂部から低圧窒素を得て、一部の酸素富化液体空気を導出して絞り弁によって絞った後に主凝縮蒸発器IIに送り込んで冷源として低圧窒素と熱交換することで、酸素富化液体空気が廃棄窒素に気化され、廃棄窒素を過冷却器、主熱交換器によって復熱させた後にコールドボックスから導出し、一部の廃棄窒素を交互に使用される分子篩吸着器の再生ガスとし、残りを排出し、残った酸素富化液体空気を絞り弁によって絞った後に精留塔IIIの頂部に導入して精留に関連させ、一部の低圧窒素を主凝縮蒸発器IIに導入して熱源として酸素富化液体空気と熱交換することで、低圧窒素が液体窒素に液化され、液体窒素を還流液として精留塔IIの頂部に導入し、残りの低圧窒素を主熱交換器によって復熱させた後に低圧窒素製品とし、低圧窒素製品は純度が3ppmO2よりも小さく、圧力が0.3~0.5MpaGであるステップ4と、
酸素富化液体空気を精留塔IIIによって精留した後に液体酸素と加圧廃棄窒素に分離し、液体酸素を主凝縮蒸発器IIIの冷源とし、精留塔Iから導入された加圧窒素と熱交換することで、液体酸素が酸素に気化され、一部の酸素を導出して主熱交換器によって復熱させた後に酸素製品としてコールドボックスから導出し、酸素製品は純度が90~99.6%であり、圧力が0.1~0.3MpaGであり、残りの酸素を精留塔IIIの上昇ガスとし、加圧窒素は液体窒素に液化され、液体窒素は主凝縮蒸発器Iから導出された液体窒素と合流し、一部の液体窒素を還流液として精留塔Iの頂部に導入し、一部の液体窒素を絞り弁によって絞った後に精留塔IIの頂部に導入して精留に関連させ、残りを液体窒素製品として導出し、同時に精留塔IIIの底部から一部の液体酸素を液体酸素製品として導出することができ、加圧廃棄窒素を過冷却器によって復熱させ、主熱交換器によって部分的に復熱させた後に膨張機IIに送り込んで膨張させ、その後主熱交換器によって復熱させた後にコールドボックスから導出し、一部を交互に使用される分子篩吸着器の再生ガスとし、残りを排出するステップ5と、
を含むガラス窯炉用の低エネルギー消費の窒素及び酸素製造方法である。
【0007】
更に、ステップ1において、空気をタービン空気圧縮機によって0.75~1.0MPaに圧縮する。
【0008】
更に、ステップ1において、空気を空気予冷機ユニットによって5~8℃に予冷する。
【0009】
更に、ステップ3において、加圧窒素の圧力は0.68~0.95MpaGである。
【0010】
更に、ステップ4において、低圧窒素の圧力は0.3~0.5MpaGである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0012】
1、本発明は3つの塔による精留を採用し、スズ浴のシールドガスとして使用される低圧窒素製品(3ppmO2よりも低く、0.3~0.5MpaG)及びガラス窯炉の酸素富化燃焼に使用される一定の圧力を有する酸素製品(90~99.6%、0.1~0.3MpaG)を同時に製造し、必要に応じて同時に高圧窒素製品を提供することができる。
【0013】
2、本発明は、低圧窒素製品の抽出率が高く、低圧窒素製品をスズ浴のシールドガスとして使用することができる。
【0014】
3、本発明は、精留塔IIの底部から一部の酸素富化液体空気を導入して精留塔IIIに送り込んで精留し、精留塔IIの底部で酸素富化液体空気の酸素含有量が高いため、精留塔IIIの分離作業量を低減することができ、精留段数を減少し、精留塔IIIの抽出効率を向上させ、酸素の収量を増加させることができる。
【0015】
4、本発明は、加圧窒素の膨張及び加圧廃棄窒素の還流膨張を採用し、高低圧力システムの圧力エネルギーを十分に利用し、装置の冷凍能力を向上させ、装置の冷凍損失を満たす状況で、一部の液体酸素及び液体窒素製品を製造することができる。
【0016】
5、本発明は、精留塔II及び主凝縮蒸発器IIの最低熱交換温度を満たす状況で、主凝縮蒸発器Iに入った液体空気の酸素含有量が精留塔IIの酸素富化液体空気の酸素含有量よりも低いため、精留塔Iに入った空気の圧力を低下させ、更に空気圧縮機の排気圧力を低下させ、装置の全体的なエネルギー消費を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の製造方法による製造時に必要な装置の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施例及び図面を参照しながら、本発明を更に解釈する。下記の実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の実施範囲を限定するものではない。
【0019】
図1に示される装置により製造されるガラス窯炉用の低エネルギー消費の窒素及び酸素製造方法は、以下のとおりである。
【0020】
示される装置は、フィルター1、タービン空気圧縮機2、空気予冷機ユニット3、交互に使用される分子篩吸着器4、電気ヒータ5、主熱交換器6、精留塔I 9、主凝縮蒸発器I 10、精留塔II 12、主凝縮蒸発器II 13、精留塔III 14、主凝縮蒸発器III 15、過冷却器11、膨張機I 7及び膨張機II 8を含み、
フィルター1、タービン空気圧縮機2、空気予冷機ユニット3、交互に使用される分子篩吸着器4、電気ヒータ5はコールドボックス外に設けられ、主熱交換器6、精留塔I 9、主凝縮蒸発器I 10、精留塔II 12、主凝縮蒸発器II 13、精留塔III 14、主凝縮蒸発器III 15、過冷却器11、膨張機I 7、膨張機II 8はコールドボックス内に設けられ、主凝縮蒸発器I 10は精留塔I 9の上に設けられ、主凝縮蒸発器II 13は精留塔II 12の上に設けられ、主凝縮蒸発器III 15は精留塔III 14の底部に設けられ、
フィルター1、タービン空気圧縮機2、空気予冷機ユニット3、交互に使用される分子篩吸着器4、主熱交換器6はこの順に接続され、主熱交換器6は精留塔I 9の底部の原料空気入り口に接続され、
精留塔I 9の底部の液体空気出口は過冷却器11に接続され、過冷却器11は主凝縮蒸発器I 10に接続され、過冷却器11と主凝縮蒸発器I 10との接続管路には絞り弁が設けられており、主凝縮蒸発器I 10の酸素富化空気出口は精留塔II 12の底部に接続され、主凝縮蒸発器I 10の液体空気出口は主凝縮蒸発器II 13に接続され、
精留塔I 9の頂部の加圧窒素出口はそれぞれ主凝縮蒸発器I 10、主凝縮蒸発器III 15、主熱交換器6の加圧窒素復熱/部分的復熱入り口に接続され、主凝縮蒸発器I 10の液体窒素出口は液体窒素バッファタンク(
図1には液体窒素バッファタンクが示されていない)に接続され、液体窒素バッファタンクはそれぞれ精留塔I 9の頂部、精留塔II 12の頂部、液体窒素製品供給管路に接続され、液体窒素バッファタンクと精留塔II 12の頂部との接続管路には絞り弁が設けられており、主熱交換器6の加圧窒素復熱出口、加圧窒素部分的復熱出口はそれぞれ高圧窒素製品供給管路、膨張機I 7に接続され、膨張機I 7は主熱交換器6の低圧窒素復熱入り口に接続され、主熱交換器6の低圧窒素復熱出口は低圧窒素製品供給管路に接続され、
精留塔II 12の底部の酸素富化液体空気出口はそれぞれ主凝縮蒸発器II 13、精留塔III 14の頂部に接続され、精留塔II 12の底部の酸素富化液体空気出口と主凝縮蒸発器II 13と、精留塔III 14頂部とを接続する接続管路にはいずれも絞り弁が設けられており、主凝縮蒸発器II 10の廃棄窒素出口は過冷却器11に接続され、過冷却器11は主熱交換器6の廃棄窒素復熱入り口に接続され、主熱交換器6の廃棄窒素復熱出口はそれぞれ排出管路、電気ヒータ5に接続され、電気ヒータ5は交互に使用される分子篩吸着器4に接続され、
精留塔II 12の頂部の低圧窒素出口はそれぞれ主凝縮蒸発器II 13、主熱交換器6の低圧窒素復熱入り口に接続され、主凝縮蒸発器II 13の液体窒素出口は精留塔II 12の頂部に接続され、
主凝縮蒸発器III 15は精留塔III 14の底部に位置し、精留塔III 14の酸素出口は主熱交換器6に接続され、主熱交換器6は酸素製品供給管路に接続され、主凝縮蒸発器III 15の液体窒素出口は液体窒素バッファタンクに接続され、精留塔III 14の液体酸素出口は液体酸素製品供給管路に接続され、
精留塔III 14の頂部の加圧廃棄窒素は過冷却器11に接続され、過冷却器11は主熱交換器6の加圧廃棄窒素部分的復熱入り口に接続され、主熱交換器6の加圧廃棄窒素部分的復熱出口は膨張機II 8に接続され、膨張機II 8は更に主熱交換器6の廃棄窒素復熱入り口に接続される。
【0021】
上記各部材の機能は以下の通りである。
【0022】
フィルター1は、原料空気中のほこり及び機械的不純物をろ過するために用いられ、
タービン空気圧縮機2は、ろ過された原料空気を設定圧力に圧縮するために用いられ、
空気予冷機ユニット3は、ろ過、圧縮された原料空気を予冷するために用いられ、
交互に使用される分子篩吸着器4は、ろ過、圧縮、予冷された原料空気を精製し、水分、CO2、C2H2などの物質を除去するために用いられ、
電気ヒータ5は、廃棄窒素を加熱して交互に使用される分子篩吸着器4を再生させるために用いられ、
主熱交換器6は、精製された原料空気を冷却させるために用いられ、加圧窒素、加圧廃棄窒素を部分的に復熱させるために用いられ、加圧窒素、加圧窒素を膨張させた後の窒素、廃棄窒素、低圧窒素、酸素、加圧廃棄窒素を膨張させた後の廃棄窒素を復熱させるために用いられ、
精留塔I 9は、原料空気を精留して液体空気と加圧窒素に分離するために用いられ、
主凝縮蒸発器I 10は、液体空気と加圧窒素の熱交換により、液体空気が酸素富化空気に気化され、加圧窒素が液体窒素に液化されるために用いられ、
精留塔II 12は、液体窒素及び酸素富化空気を精留して低圧窒素と酸素富化液体空気に分離するために用いられ、
主凝縮蒸発器II 13は、酸素富化液体空気と低圧窒素の熱交換により、酸素富化液体空気が廃棄窒素に気化され、低圧窒素が液体窒素に液化されるために用いられ、
精留塔III 14は、酸素富化液体空気を精留して液体酸素と加圧廃棄窒素に分離するために用いられ、
主凝縮蒸発器III 15は、液体酸素と加圧窒素の熱交換により、液体酸素が酸素に気化され、加圧窒素が液体窒素に液化されるために用いられ、
過冷却器11は、液体空気を過冷却するために用いられ、廃棄窒素、加圧廃棄窒素を過熱するために用いられ、
膨張機I 7は、主熱交換器6により部分的に復熱された加圧窒素を膨張させ、冷却能力を得るために用いられ、
膨張機II 8は、主熱交換器6により部分的に復熱された加圧廃棄窒素を膨張させ、冷却能力を得るために用いられる。
【0023】
製造時に以下のステップ、すなわち、
原料空気をフィルター1によってろ過してほこり及び機械的不純物を除去した後、タービン空気圧縮機2に送り込んで空気を設定圧力0.75~1.0MPaに圧縮し、その後空気予冷機ユニット3によって5~8℃に予冷した後に、交互に使用される分子篩吸着器4に送り込んで精製し、水分、CO2、C2H2などの物質を除去するステップ1と、
精製された原料空気の一部を計器用空気(図示されていない)に用い、残りの部分を主熱交換器6に送り込んで飽和温度に冷却させると共に一定の湿気を含有させた後に精留塔I 9の底部に送り込んで精留に関連させるステップ2と、
空気を精留塔I 9によって精留した後に液体空気と加圧窒素(圧力が0.68~0.95MpaG)に分離し、液体空気を過冷却器11によって過冷却し、絞り弁によって絞った後に主凝縮蒸発器I 10に送り込んで冷源として加圧窒素と熱交換することで、液体空気が酸素富化空気に気化され、酸素富化空気を精留塔II 12の底部に導入して精留に関連させると同時に、主凝縮蒸発器I 10から一部の液体空気を導出して冷源として主凝縮蒸発器II 13に送り込み、加圧窒素の一部を主凝縮蒸発器I 10に導入して熱源として液体空気と熱交換することで、加圧窒素が液体窒素に液化され、液体窒素が主凝縮蒸発器III 15から導出された液体窒素と合流し、一部の液体窒素を還流液として精留塔I 9の頂部に導入し、一部の液体窒素を絞り弁によって絞った後に精留塔II 12の頂部に導入して精留に関連させ、残りを液体窒素製品として導出し、一部の加圧窒素を熱源として主凝縮蒸発器III 15に導入し、一部の加圧窒素を主熱交換器6によって復熱させた後に高圧窒素製品(純度が3ppmO2よりも小さく、圧力が0.68~0.95MpaG)としてコールドボックスから導出し、残りの加圧窒素を主熱交換器6によって部分的に復熱させた後に膨張機I 7に導入して膨張させ、膨張後に主熱交換器6によって復熱させてから低圧窒素製品(純度が3ppmO2よりも小さく、圧力が0.3~0.5MpaG)としてコールドボックスから導出するステップ3と、
液体窒素及び酸素富化空気を精留塔II 12によって精留した後に精留塔II 12の底部から酸素富化液体空気を得て、精留塔II 12の頂部から低圧窒素(圧力が0.3~0.5MpaG)を得て、一部の酸素富化液体空気を導出して絞り弁によって絞った後に主凝縮蒸発器II 13を送り込んで冷源として低圧窒素と熱交換することで、酸素富化液体空気が廃棄窒素に気化され、廃棄窒素を過冷却器11、主熱交換器6によって復熱させた後にコールドボックスから導出し、一部の廃棄窒素を交互に使用される分子篩吸着器4の再生ガスとし、残りを排出し、残った酸素富化液体空気を絞り弁によって絞った後に精留塔III 14の頂部に導入して精留に関連させ、一部の低圧窒素を主凝縮蒸発器II 13に導入して熱源として酸素富化液体空気と熱交換することで、低圧窒素が液体窒素に液化され、液体窒素を還流液として精留塔II 12の頂部に導入し、残りの低圧窒素を主熱交換器6によって復熱させた後に低圧窒素製品(純度が3ppmO2よりも小さく、圧力が0.3~0.5MpaG)とするステップ4と、
酸素富化液体空気を精留塔III 14によって精留した後に液体酸素と加圧廃棄窒素(圧力が0.25~0.35MpaG)に分離し、液体酸素を主凝縮蒸発器III 15の冷源とし、精留塔I 9から導入された加圧窒素と熱交換することで、液体酸素が酸素に気化され、一部の酸素を導出して主熱交換器6によって復熱させた後に酸素製品(純度が90~99.6%であり、圧力が0.1~0.3MpaG)としてコールドボックスから導出し、残りの酸素を精留塔III 14の上昇ガスとし、加圧窒素は液体窒素に液化され、液体窒素は主凝縮蒸発器I 10から導出された液体窒素と合流し、一部の液体窒素を還流液として精留塔I 10の頂部に導入し、一部の液体窒素を絞り弁によって絞った後に精留塔II 12の頂部に導入して精留に関連させ、残りを液体窒素製品として導出し、同時に精留塔IIII 14の底部から一部の液体酸素を液体酸素製品として導出することができ、加圧廃棄窒素を過冷却器11によって復熱させ、主熱交換器6によって部分的に復熱させた後に膨張機II 8に送り込んで膨張させ、その後主熱交換器6によって復熱させた後にコールドボックスから導出し、一部を交互に使用される分子篩吸着器4の再生ガスとし、残りを排出するステップ5と、
を含む。
【要約】
【課題】本発明は、製造時に必要な装置がフィルター、タービン空気圧縮機、空気予冷機ユニット、交互に使用される分子篩吸着器、電気ヒータ、主熱交換器、精留塔I、主凝縮蒸発器I、精留塔II、主凝縮蒸発器II、精留塔III、主凝縮蒸発器III、過冷却器、膨張機I及び膨張機IIを含むガラス窯炉用の低エネルギー消費の窒素及び酸素製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は3つの塔による精留を採用し、スズ浴のシールドガスとして使用される低圧窒素製品及びガラス窯炉の酸素富化燃焼に使用される一定の圧力を有する酸素製品を同時に製造する。
【選択図】
図1