(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】刈払機に取り付け可能なコードカッター及びそれを備える刈払機
(51)【国際特許分類】
A01D 34/90 20060101AFI20221011BHJP
A01D 34/416 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
A01D34/90 A
A01D34/416 110
(21)【出願番号】P 2022524070
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2022015239
【審査請求日】2022-04-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399019559
【氏名又は名称】有限会社とまと不動産
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【氏名又は名称】藤田 正広
(72)【発明者】
【氏名】樽見 正志
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3175261(JP,U)
【文献】特開2020-058326(JP,A)
【文献】登録実用新案第3128800(JP,U)
【文献】登録実用新案第3126615(JP,U)
【文献】特開2009-171947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/90
A01D 34/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルが設けられたロッドと、
前記ロッドの一端に配置されたロータと、
前記ロータに回転力を付与して、前記ロータの回転シャフトを回転させる駆動源と、
前記ロータの回転シャフトに固定されて、前記回転シャフトの回転に伴って回転する回転ブレードと、
前記回転ブレードの下面に取り付けられる、キワ草刈り用の樹脂コードを取り付けるためのコードカッターと、を備え、
前記回転ブレードには、前記コードカッターを取り付けるための取付孔が設けられており、前記取付孔の開口は、
第1部分と、前記第1部分から前記回転ブレードの回転方向の下流側に延びる第2部分と、前記第2部分の前記回転方向の端から前記回転方向の下流側に延びる第3部分であって、前記回転方向の下流側に向かうにつれて前記回転方向に直交する幅方向の長さが狭くなる第3部分とを有し、
前記コードカッターは、
前記回転ブレードの下面及び外周端を覆うガードと、
前記取付孔に挿通されるスライダー及びロックピンと、
前記樹脂コードを挿通するコード挿通孔と、を備え、
前記スライダーは、前記回転ブレードの前記取付孔の前記開口の前記第1部分に挿通されたときに前記回転ブレードの上面の上に位置する張り出し部と、張り出し部の下方に位置する基部であって、前記幅方向の長さが前記回転方向の下流側に向かって狭くなる基部とを有し、
前記スライダー及び前記ロックピンは、前記スライダーが、前記開口の前記第2部分を通って前記第3部分に移動したときに、
前記基部の前記幅方向の両端が、前記回転ブレードの前記開口の前記第3部分を画成する部分と当接し、且つ、前記ロックピンが前記開口の前記第1部分に挿入されて、前記ロックピンの上端が前記回転ブレードの前記上面よりも上方に位置するように構成されていることを特徴とする刈払機。
【請求項2】
前記スライダーの前記基部は、前記スライダーが、前記開口の前記第2部分を通って前記第3部分に移動したときに、前記基部の前記幅方向の両端が、前記回転方向の全体にわたって、前記回転ブレードの前記開口の前記第3部分を画成する部分と当接するように構成されている請求項1に記載の刈払機。
【請求項3】
前記ロックピンは、前記ロックピンの前記上端が前記回転ブレードの前記上面よりも上方に位置するときに、前記回転ブレードの前記上面よりも上方において、上下方向に直交する水平方向に向かって突出するように構成された跳ね出し部と、前記跳ね出し部が前記水平方向に向かって突出するように前記跳ね出し部を付勢するバネとを有し、
前記跳ね出し部が前記水平方向に向かって突出しているときの、前記ロックピンの前記水平方向の長さは、前記回転ブレードの前記取付孔の前記開口の前記第1部分の前記水平方向の長さよりも大きい、請求項1又は2に記載の刈払機。
【請求項4】
刈払機用の回転ブレードの下面に取り付けられる、キワ草刈り用の樹脂コードを取り付けるためのコードカッターであって、
前記回転ブレードには、前記コードカッターを取り付けるための取付孔が設けられており、前記取付孔の開口は、
第1部分と、前記第1部分から前記回転ブレードの回転方向の下流側に延びる第2部分と、前記第2部分の前記回転方向の下流側の端から前記回転方向の下流側に延びる第3部分であって、前記回転方向の下流側に向かうにつれて前記回転方向に直交する幅方向の長さが狭くなる第3部分とを有し、
前記コードカッターは、
前記回転ブレードの下面及び外周端を覆うガードと、
前記取付孔に挿通されるスライダー及びロックピンと、
前記樹脂コードを挿通するコード挿通孔と、を備え、
前記スライダーは、前記回転ブレードの前記取付孔の前記開口の前記第1部分に挿通されたときに前記回転ブレードの上面の上に位置する張り出し部と、張り出し部の下方に位置する基部であって、前記幅方向の長さが前記回転方向の下流側に向かって狭くなる基部とを有し、
前記スライダー及び前記ロックピンは、前記スライダーが、前記開口の前記第2部分を通って前記第3部分に移動したときに、
前記基部の前記幅方向の両端が、前記回転ブレードの前記開口の前記第3部分を画成する部分と当接し、且つ、前記ロックピンが前記開口の前記第1部分に挿入されて、前記ロックピンの上端が前記回転ブレードの前記上面よりも上方に位置するように構成されていることを特徴とするコードカッター。
【請求項5】
前記スライダーの前記基部は、前記スライダーが、前記開口の前記第2部分を通って前記第3部分に移動したときに、前記基部の前記幅方向の両端が、前記回転方向の全体にわたって、前記回転ブレードの前記開口の前記第3部分を画成する部分と当接するように構成されている請求項4に記載のコードカッター。
【請求項6】
前記ロックピンは、前記ロックピンの前記上端が前記回転ブレードの前記上面よりも上方に位置するときに、前記回転ブレードの前記上面よりも上方において、上下方向に直交する水平方向に向かって突出するように構成された跳ね出し部と、前記跳ね出し部が前記水平方向に向かって突出するように前記跳ね出し部を付勢するバネとを有し、
前記跳ね出し部が前記水平方向に向かって突出しているときの、前記ロックピンの前記水平方向の長さは、前記回転ブレードの前記取付孔の前記開口の前記第1部分の前記水平方向の長さよりも大きい、請求項4又は5に記載のコードカッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈払機に取り付け可能なコードカッター及びそれを備える刈払機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原動機、シャフト、回転鋸などの回転する刈刃を有し、ユーザがシャフトに固定されたハンドルを操作して草や小径木を刈払うための刈払機(草刈機ともいう)が知られている。チップソーなどの金属製の刈刃を用いた場合には、草や小径木を効率よく刈り払うことができる。また、刈払機の刈刃が取り付けられているロータ部分に、太めのナイロンコードのような樹脂製のコードを取り付けて、コードカッターとして用いることがある。
【0003】
特許文献1には、回転ブレード(刈刃)を外すことなくコードカッター(ナイロンカッター)を装着できる刈払機用の回転ブレードが開示されている。特許文献1に記載の回転ブレードの表面には長孔が設けられており、コードカッターの上面には、回転ブレードに設けられた長孔に填まる爪付シャフトが設けられている。これにより、工具を使うことなく回転ブレードにコードカッターを取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のコードカッター(ナイロンカッター)は、金属製の回転ブレード(刈刃)を用いた場合に危険の伴う箇所(例えば、コンクリート塀、鉄柵、石の多い場所)や、傷つけたくない樹木の近くなどの草刈作業に使用される。特許文献1に記載の刈払機においては、回転ブレードにコードカッターを取り付けた状態において、回転ブレードが外部にむき出しになっている。そのため、例えば石の多い場所での作業中に、コードカッターに弾き飛ばされた石が回転ブレードに当たり、回転ブレードが損傷してしまうおそれがある。また、傷つけたくない樹木やコンクリート塀などに回転ブレードが当たってしまうおそれもある。さらに、特許文献1に記載の回転ブレードにおいては、回転ブレードの長孔にコードカッターの爪付シャフトを填めているだけであるため、回転ブレードとコードカッターとが不意に外れてしまうおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、回転ブレードに取り付けられたコードカッターが不意に外れてしまうことを抑制できるとともに、回転ブレードが樹木やコンクリート塀などに当たることを抑制することができる、刈払機用のコードカッター及び当該コードカッターを備える刈払機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に従えば、
ハンドルが設けられたロッドと、
前記ロッドの一端に配置されたロータと、
前記ロータに回転力を付与して、前記ロータの回転シャフトを回転させる駆動源と、
前記ロータの回転シャフトに固定されて、前記回転シャフトの回転に伴って回転する回転ブレードと、
前記回転ブレードの下面に取り付けられる、キワ草刈り用の樹脂コードを取り付けるためのコードカッターと、を備え、
前記回転ブレードには、前記コードカッターを取り付けるための取付孔が設けられており、前記取付孔の開口は、
第1部分と、前記第1部分から前記回転ブレードの回転方向の下流側に延びる第2部分と、前記第2部分の前記回転方向の端から前記回転方向の下流側に延びる第3部分であって、前記回転方向の下流側に向かうにつれて前記回転方向に直交する幅方向の長さが狭くなる第3部分とを有し、
前記コードカッターは、
前記回転ブレードの下面及び外周端を覆うガードと、
前記取付孔に挿通されるスライダー及びロックピンと、
前記樹脂コードを挿通するコード挿通孔と、を備え、
前記スライダーは、前記回転ブレードの前記取付孔の前記開口の前記第1部分に挿通されたときに前記回転ブレードの上面の上に位置する張り出し部と、張り出し部の下方に位置する基部であって、前記幅方向の長さが前記回転方向の下流側に向かって狭くなる基部とを有し、
前記スライダー及び前記ロックピンは、前記スライダーが、前記開口の前記第2部分を通って前記第3部分に移動したときに、
前記基部の前記幅方向の両端が、前記回転ブレードの前記開口の前記第3部分を画成する部分と当接し、且つ、前記ロックピンが前記開口の前記第1部分に挿入されて、前記ロックピンの上端が前記回転ブレードの前記上面よりも上方に位置するように構成されていることを特徴とする刈払機が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の刈払機においては、ガードが回転ブレードの下面及び外周端を覆っている。これにより、ガードは回転ブレードの外周端及び下面を保護するための保護部材として機能する。また、スライダー及びロックピンは、スライダーが、開口の第2部分を通って第3部分に移動したときに、基部の幅方向の両端が、回転ブレードの開口の第3部分を画成する部分と当接するように構成されている。これにより、回転ブレードにコードカッターを取り付けた際に、コードカッターが回転ブレードの回転方向にずれることを抑制できるだけでなく、回転方向に直交する径方向にずれることも抑制できる。その結果、回転ブレードにコードカッターを取り付けた際に、がたつきが生じることを抑制できる。さらに、スライダー及びロックピンは、スライダーが、開口の第2部分を通って第3部分に移動したときに、ロックピンが開口の第1部分に挿入されるように構成されている。このとき、ロックピンは、ロックピンの上端が回転ブレードの上面よりも上方に位置するように構成されている。ロックピンの上端が回転ブレードの上面よりも上側に突出しているので、ロックピンが、回転ブレードの、取付孔の第1部分を画成する部分に当接する。これにより、コードカッターが回転ブレードの回転方向と逆向きに回転することが抑制される。その結果、コードカッターが回転ブレードから不意に外れてしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】(a)はコードカッター200の平面図であり、(b)はコードカッター200のA-A線断面図である。
【
図5】
図5はロック解除機構235の概略説明図である。
【
図6】(a)は取付孔120Aが設けられた回転ブレード110の平面図であり、(b)はコードカッター200の
図3(b)相当図である。
【
図7】
図7はスロープ213にコード挿通孔216が設けられている例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係るコードカッター200を備える刈払機10について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明においては、
図1に示されるように、刈払機10を使用する状態に基づいて上側、下側を定義する。
【0011】
図1に示されるように、刈払機10は、円柱状のロッド20と、ロッド20の一端(下端)に設けられたロータ部30と、ロッド20のロータ部30と反対側の端部(上端)に設けられた駆動部40と、ロッド20の駆動部40に近い側に設けられたハンドル50と、ロータ部30に固定された回転ブレード110とを主に備える。
【0012】
円柱状のロッド20は、長さ約1500mm~1700mm程度の中空の金属製パイプであり、その上端に駆動部40が取り付けられている。駆動部40は、モータ41と、モータ41に電力を供給するためのバッテリ42とを備えている。モータ41の回転シャフト43の回転は、ロッド20の内部に設けられた不図示の伝達機構を通じてロータ部30に伝達される。ロータ部30は、伝達機構を通じてモータ41の回転シャフト43から伝達された回転駆動力によって回転するように構成されたシャフトを備える。
【0013】
ハンドル50は、ユーザが刈払機10を把持するための取手であり、略U字形状を有する。ハンドル50の一端には、モータ41に連動するスイッチ51が取り付けられている。ユーザがスイッチ51をオンにしている間、モータ41が駆動してロータ部30のシャフトが回転する。
【0014】
ロータ部30のシャフトには雄ねじ状にネジが切られており、シャフトに挿通された回転ブレード110は、ナット等の締結部材によってシャフトに固定される。
【0015】
図2に示されるように、回転ブレード110は、円形の板状の金属部材であり、その外周には刃が設けられている。回転ブレード110の中央には、ロータ部30のシャフトに挿通するための挿通孔111が形成されている。回転ブレード110は
図2に示される矢印の向きに回転する。以下の説明において、回転ブレード110の回転方向を、単に回転方向と呼ぶ。
【0016】
回転ブレード110には、2つの取付孔120が形成されている。2つの取付孔120は、回転ブレード110の回転方向に180°間隔で並んでいる。各取付孔120の開口は、上面視で略台形形状の第1部分121と、第1部分121から回転方向に延在する第2部分122と、第2部分122の一端に位置し、回転方向の下流側に向かって徐々に幅が狭くなる第3部分123とを有する。取付孔120の開口の第1部分121の形状は、後述のスライダー220の上面視の形状とほぼ同じであるが、わずかに開口の第1部分121の方がわずかに大きい。そのため、後述のように、スライダー220を取付孔120の開口の第1部分121に挿通することができる。
【0017】
図3(a)、(b)に示されるように、コードカッター200は、ガード210と、2つのスライダー220と、2つのロックピン230とを備える。ガード210は、金属または樹脂により形成されており、上方が開いた略円筒形の形状を有している。詳細には、
図3(b)に示されるように、ガード210は、第1底壁211と、第1底壁211よりも下方にある第2底壁212と、第1底壁211と第2底壁212とを繋ぐスロープ213と、第1底壁211の外周部分において上方に立ち上がるように設けられた側壁214と、第2底壁212の下面212bに設けられたコードガイド215とを備える。第2底壁212の上面212aには、2つのスライダー220と、2つのロックピン230とが固定されている。第2底壁212の下面212bの外周部分には、コードガイド215が設けられている。コードガイド215には、複数のコード挿通孔216が設けられている(
図1、5参照)。コード挿通孔216には、ストッパ付きコード80を装着することができる。ストッパ付きコード80は、紐状のコード81と、コード81の一端に設けられた円筒形状のストッパ82とを有する。コード81及びストッパ82は、樹脂(例えば、ナイロン)により形成することができる。コード81の径は、コード挿通孔216の開口の径よりも小さいが、ストッパ82の径はコード挿通孔216の開口の径よりも大きい。そのため、コード81はコード挿通孔216を通ることができるが、ストッパ82はコード挿通孔216を通ることができない。なお、
図2(b)には示されていないが、コードガイド215は、第2底壁212の下面212bの外周部分を取り囲んでおり、下方から見て略円形の形状を有している。
【0018】
図4に示されるように、スライダー220は、長手方向に垂直な断面の形状が略U字状である基部221と、基部221の上端において、長手方向及び上下方向と直交する幅方向に張り出した張り出し部222とを備える。基部221の、長手方向の一端における幅方向の長さL1は、長手方向の他端における幅方向の長さL2よりも大きい(L1>L2)。つまり、基部221は、長手方向の一端から他端に向かって徐々に先細る形状を有している。張り出し部222は、上面視で略長方形の形状を有している。
【0019】
図3(b)に示されるように、ロックピン230は径の異なる2つの筒を組み合わせた形状を有しており、内筒231と、外筒232と、内筒231を上方に押し上げる付勢部233とを備える。
図3(b)に示されるように、外筒232の下端及び付勢部233の下端は、第1底壁211の上面211aに固定されている。内筒231に上方から力が加えられていない状態では、内筒231は付勢部233により上方に押し上げられる。このとき、内筒231の上端は、外筒232の上端よりも上方に位置する。これに対して、内筒231に上方から下方に向かって力を加えることにより、内筒231を外筒232の内側に押し込むことができる。このとき、内筒231の上面と外筒232の上面とが同じ高さになる。後述のように、コードカッター200が回転ブレード110の下面に取り付けられた状態において、ロックピン230の内筒231は回転ブレード110の取付孔120の第1部分121から露出している。このとき、ロックピン230の内筒231は付勢部233によって上方に付勢されて、回転ブレード110の上面よりも上側に突出する(
図3(b)参照)。
【0020】
次に、回転ブレード110にコードカッター200を取り付ける手順について説明する。まず、回転ブレード110の取付孔120の第1部分121と、コードカッター200のスライダー220とを、上下方向に位置合わせした状態で、スライダー220を取付孔120の第1部分121に挿入する。このとき、スライダー220の張り出し部222が回転ブレード110の上面よりも上側に位置する。また、ロックピン230の内筒231は、回転ブレード110の下面に当接して、下方に押し込まれた状態である。そのため、ロックピン230の内筒231の上面と外筒232の上面とが同じ高さになる。
【0021】
スライダー220を取付孔120の第1部分121に挿入した状態で、コードカッター200を回転ブレード110の回転方向に回転させる。このとき、スライダー220の張り出し部222が回転ブレード110の上面に接触した状態で、スライダー220が取付孔120の第2部分122に沿ってスライドする。上述のように、スライダー220の基部221は、長手方向の一方に向かって先細る形状を有している(
図4参照)。同様に、取付孔120の第3部分123も、回転方向の下流側に向かって徐々に幅が狭くなっている(
図2参照)。そして、スライダー220が、回転ブレード110の取付孔120の第3部分123と重なる位置に来るまで、コードカッター200を回転ブレード110の回転方向に回転させることにより、スライダー220の基部221の側面と、回転ブレード110の、取付孔120の第3部分123を画成する部分とを密着させることができる。
【0022】
<実施形態の作用効果>
上記実施形態において、回転ブレード110にコードカッター200が取り付けられたとき、コードカッター200のガード210が回転ブレード110を覆っている(
図3(b)参照)。つまり、コードカッター200の第1底壁211は回転ブレード110の径方向において、回転ブレード110の外周端の外側まで延びており、側壁214は回転ブレード110の外周端の外側に位置している。これにより、コードカッター200の第1底壁211及び側壁214は、回転ブレード110の外周端を保護するための保護部材として機能する。同様に、コードカッター200の第1底壁211及び第2底壁212は、回転ブレード110の下面を覆っており、回転ブレード110の下面を保護するための保護部材として機能する。
【0023】
このように、コードカッター200が、回転ブレード110の下面及び外周端を覆う第1底壁211、第2底壁213、側壁214を有している。そして、第1底壁211、第2底壁213、側壁214が回転ブレード110の外周端及び下面を保護している。そのため、回転ブレード110にコードカッター200を取り付けてキワ刈りを行う際に、傷つけたくない樹木やコンクリート塀などに回転ブレード110が当たってしまうことを防ぐことができる。また、石の多い場所での作業中に、コードカッター200のストッパ付きコード80に弾き飛ばされた石が回転ブレード110に当たり、回転ブレード110が損傷してしまうことを防ぐことができる。また、回転ブレード110とストッパ付きコード80との間にガード210があるため、ストッパ付きコード80のコード81が回転ブレード110に当たってコード81が破損するおそれがない。
【0024】
また、本実施形態においては、スライダー220の基部221の側面が、回転ブレード110の、取付孔120の第3部分123を画成する部分と密着したときに、ロックピン230が取付孔120の第1部分121と重なるように、ロックピン230が位置決めされている。そのため、スライダー220の基部221の側面が、回転ブレード110の、取付孔120の第3部分123を画成する部分と密着したときに、ロックピン230の内筒231が付勢部233によって上方に付勢されて、回転ブレード110の上面よりも上側に突出する(
図3(b)参照)。これにより、仮にコードカッター200に対して、回転ブレード110の回転方向と逆向きに回転させる力が働いたとしても、コードカッター200が回転ブレード110の回転方向と逆向きに回転するおそれがない。なぜならば、ロックピン230の内筒231が回転ブレード110の上面よりも上側に突出しているので、ロックピン230が、回転ブレード110の、取付孔120の第1部分121を画成する部分に当接するからである。これにより、コードカッター200が回転ブレード110の回転方向と逆向きに回転することが抑制される。その結果、コードカッター200が回転ブレード110から不意に外れてしまうことを抑制できる。
【0025】
また、本実施形態においては、スライダー220の基部221の側面と、回転ブレード110の、取付孔120の第3部分123を画成する部分とが、スライダー220の長手方向全体にわたって密着するように、スライダー220の基部221の先細り形状と第3部分123の開口の形状とが調整されている。これにより、回転ブレード110にコードカッター200を取り付けた際に、コードカッター200が回転ブレード110の回転方向にずれることを抑制できるだけでなく、径方向にずれることも抑制できる。これにより、回転ブレード110にコードカッター200を取り付けた際に、がたつきが生じることを抑制できる。なお、スライダー220の基部221の側面と、回転ブレード110の、取付孔120の第3部分123を画成する部分とが、スライダー220の長手方向の少なくとも一部において密着するように、スライダー220の基部221の先細り形状と第3部分123の開口の形状とが調整されていてもよい。この場合にも同様に、回転ブレード110にコードカッター200を取り付けた際に、コードカッター200が回転ブレード110の回転方向にずれることを抑制できるだけでなく、径方向にずれることも抑制できる。これにより、回転ブレード110にコードカッター200を取り付けた際に、がたつきが生じることを抑制できる。
【0026】
<変更形態>
【0027】
上記の実施形態は、本発明の一例を示すものである。本発明の態様は上記実施形態に限られない。例えば、以下の変更形態のように改変することもできる。なお、以下の変更形態もあくまで例示であり、これらに限定されない。また、構造的に不可能である場合を除いて、以下に記載する変更形態を互いに組み合わせることもできる。
【0028】
上記実施形態において、コードカッター200は、2組のスライダー220とロックピン230とを備えており、回転ブレード110には2つの取付孔120が設けられていた。しかしながら、本発明の態様はこれには限られず、コードカッター200が3組以上のスライダー220とロックピン230とを備え、回転ブレード110に3つ以上の取付孔120が設けられていてもよい。また、スライダー220の形状は、張り出し部が回転ブレード110の取付孔120の開口の第1部分121に挿通されたときに、張り出し部222が回転ブレード110の上面の上に位置し、基部221の幅方向の長さが回転方向に沿って狭くなる限りにおいて、任意の形状にすることができる。また、これに合わせて、適宜、取付孔120の開口の第1部分121の形状も調整することができる。
【0029】
図5に示されるように、ロックピン230に、ロック解除機構235が設けられていてもよい。ロック解除機構235は板バネ236と、内筒231が回転ブレード110の上面よりも上側に突出したときに、板バネ236によって水平方向に向かって跳ね出す跳ね出し部237とを備える。跳ね出し部237が水平方向に向かって跳ね出した状態では、ロックピン230の水平方向の長さは、取付孔120の第1部分121の水平方向の長さよりも長くなる。そのため、跳ね出し部237が引っかかって、内筒231が取付孔120の第1部分121を通ることができない。これにより、内筒231が不意に押し下げられてしまうことが抑制される。なお、内筒231を下に押し下げて、ロックピン230によるロックを解除する際には、板バネ236に抗して跳ね出し部237を内筒231に押しつけた状態で、内筒231を下に押し込めばよい。
【0030】
なお、本発明の別の態様として、コードカッター200にスライダー220を設けずに、複数の、ロック解除機構235を有するロックピン230を設けることができる。例えば
図6(a)に示されるように、回転ブレード110に4つの取付孔120Aを設け、コードカッター200の第2底壁212に、4つのロックピン230を設けることができる(
図6(b)参照)。なお、
図6(b)においては、4つのロックピン230のうち、2つが図示されている。取付孔120Aの大きさは、跳ね出し部237が跳ね出していないときには、内筒231及び跳ね出し部237が挿入可能な大きさであるが、跳ね出し部237が水平方向に向かって跳ね出した状態では、内筒231及び跳ね出し部237が通過できない大きさに調整されている。各ロックピン230にはロック解除機構235が設けられているので、ロックピン230によるロックが不意に解除されるおそれがない。また、この場合には、コードカッター200と回転ブレード110との上下方向の位置を合わせた状態で、4つのロックピン230を4つの取付孔120Aに挿入することにより、容易にコードカッター200を回転ブレード110に装着できる。なお、ロックピン230と取付孔120Aの数及び配置は任意に調整しうる。
【0031】
なお、上記実施形態において、ロックピン230は、内筒231及び外筒232を有し、内筒231が外筒232の内側に挿入される構造を有していた。しかしながら、ロックピン230はこのような構造を有することには限られない。スライダー220の基部221の側面が、回転ブレード110の、取付孔120の第3部分123を画成する部分と密着したときに、ロックピン230の上端が、回転ブレード110の上面よりも上側に突出する構造であれば適宜の構造を採用することができる。また、ロックピン230の形状も適宜変更することができる。
【0032】
上記実施形態において、コードカッター200の第2底壁212の下面にリング状のコードガイド215が設けられ、コードガイド215のコード挿通孔216にストッパ付きコード80が装着されていた。しかしながら、本発明はそのような態様には限られない。例えば、
図7に示されるように、スロープ213にコード挿通孔216が設けられていてもよい。なお、ガード210は必ずしも2つの底壁(第1底壁211と第2底壁212)とスロープ213を備えている必要は無く、1つの底壁だけ備えていてもよい。この場合には、側壁214の下部にコード挿通孔216が設けられていてもよい。
【0033】
上記実施形態において、コードカッター200には、樹脂製のコードとして、ストッパ付きコード80が取り付けられていた。しかしながら、本発明の態様はこれに限られない。例えば、コードカッター200に、リール状に巻かれた公知の樹脂コードリールを取り付けてもよい。
【0034】
上記実施形態においては、刈払機10はバッテリ42を備えており、電力で駆動されていた。しかしながら、本発明はそのような態様には限られない。例えば刈払機10は、家庭用電源などの交流電源により駆動されてもよく、エンジンにより駆動されてもよい。
【符号の説明】
【0035】
10 刈払機
110 回転ブレード
120 取付孔
200 コードカッター
210 ガード
220 スライダー
230 ロックピン
【要約】
回転ブレードに取り付けられたコードカッターが不意に外れてしまうことを抑制できるとともに、回転ブレードが樹木やコンクリート塀などに当たることを抑制することができる、刈払機を提供する。回転ブレード110に、2つの取付孔120が設けられている。また、コードカッター200に、スライダー220とロックピン230が設けられている。回転ブレード110にコードカッター200が取り付けられたとき、コードカッター200のガード210が回転ブレード110を覆っている。