(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20221011BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20221011BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20221011BHJP
A47K 4/00 20060101ALN20221011BHJP
【FI】
H05K5/02 A
H05K5/00 A
H05K5/03 G
A47K4/00
(21)【出願番号】P 2018236465
(22)【出願日】2018-12-18
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】荒木 洋一
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-24329(JP,A)
【文献】特開平10-70374(JP,A)
【文献】実開昭64-33249(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H05K 5/00
H05K 5/03
A47K 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電子回路を収納した状態で前ケースと後ケースとが相互に密着したケース本体を備え、このケース本体に前後方向に貫通した取付穴が設けられ、かつ、上記前ケースの前面に上記電子回路に接続されたスイッチの押圧部分が配設され、さらに、前後方向に移動してこの押圧部分を押し操作する可動片を上記押圧部分の前方に設けた電子機器において、上記可動片を上記前ケースに取り付けるとともに、この可動片を前ケースに取り付けた状態で可動片によって隠される位置に上記取付穴を形成したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
上記前ケースは樹脂による射出成型によって形成されており、上記押圧部分はこの前ケースと一体に成型されたエラストマで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
上記可動片は上記前ケースに対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば浴室内の壁面にネジ止めされる風呂リモコンや浴室テレビなどの電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電気機器は、内部に電子回路が格納された状態で前ケースと後ケースとが相互に密着されたケース本体を備えている。そして、このケース本体を壁面に固定するために、ケース本体に前後方向に貫通した取付穴が形成されている。そして、ケース本体を壁面の所定の位置にあてがった状態で取付穴に対して前方からネジを挿通し、そのネジによってケース本体を壁面にネジ止めしている。
【0003】
ただし、そのままの状態ではネジが外部に露出するので、主にネジを隠すために前ケースの前面全体を覆う化粧カバーを取り付けている。なお、前ケースには上記内蔵されている電子回路に接続され、電子回路に対して操作を行うための各種スイッチの押圧部分が設けられており、その押圧部分を直接指で押し操作するタイプのものであれば、押圧部分を前方に露出させるための開口が上記化粧カバーに形成されており(例えば、特許文献1を参照)、前後方向に移動する可動片を介して押圧部分を押し操作するタイプのものでは、押圧部分ごとの可動片が上記化粧カバーに取り付けられている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の電子機器では、化粧カバーは前ケースの前面すべてを覆い隠すように形成されているので、大きさが前ケースとほぼ同じ大きさになり、大型化する。そのため、化粧カバーのコストが高くなるばかりか、化粧カバーを装着した状態の電子機器の前後方向の厚みが厚くなるという不具合が生じる。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、化粧カバーを用いることなく取付用のネジを外部に露出させない電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明による電子機器は、内部に電子回路を収納した状態で前ケースと後ケースとが相互に密着したケース本体を備え、このケース本体に前後方向に貫通した取付穴が設けられ、かつ、上記前ケースの前面に上記電子回路に接続されたスイッチの押圧部分が配設され、さらに、前後方向に移動してこの押圧部分を押し操作する可動片を上記押圧部分の前方に設けた電子機器において、上記可動片を上記前ケースに取り付けるとともに、この可動片を前ケースに取り付けた状態で可動片によって隠される位置に上記取付穴を形成したことを特徴とする。
【0008】
ケース本体に設けた取付穴を、ケース本体の前面を覆う化粧カバーではなくスイッチの押圧部分を押し操作するための可動片で隠すようにした。
【0009】
上記押圧部分はケース本体の密閉性を確保するため、上記前ケースは樹脂による射出成型によって形成されており、上記押圧部分はこの前ケースと一体に成型されたエラストマで形成されていることが望ましい。
【0010】
また、上記可動片は上記前ケースに対して着脱自在に取り付けられていれば、電子機器の壁からの取り外しに便利である。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明は、化粧カバーを用いないので、化粧カバーの作成のためのコストを削減することができ、また、電子機器の前後方向の厚みが不必要に厚くなることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して、1は本発明による電子機器の一例である浴室用リモコンである。この浴室用リモコン1は前ケース11と後ケース12とが双方に密着しており、内部の空間は防水状態が確保されている。なお、この浴室用リモコン1には、図示しない制御用の電子回路が内蔵されている。この浴室用リモコン1の左右には、各々取付穴2が前後方向に貫通して設けられている。そして、この浴室用リモコン1は両取付穴2に挿通されるネジ21によって壁面に固定されるように構成されている。
【0014】
この浴室用リモコン1の前面には、複数個の操作用の可動片3が前後方向に揺動するように取付られている。具体的には、可動片3の裏面側に、上下一対の枢軸31が設けられており、浴室用リモコン1の前面に設けられた枢支部13にこれら枢軸31が着脱自在に嵌め込まれることによって、可動片3は枢軸31を中心に前後方向に揺動することができる。
【0015】
上記取付穴2は上述の複数個の可動片3のうちの左右1個ずつによって隠れる位置に設けられている。従って、取付穴2および取付穴2に挿通されているネジ21はともに可動片3によって覆われ、外部に露出しない。なお、浴室用リモコン1を壁面から取り外す際には、左右の可動片3を浴室用リモコン1の前面から取り外して、ネジ21を露出させ、そのネジ21を緩めることによって浴室用リモコン1を壁面から取り外す。
【0016】
上記可動片3によって覆い隠される位置にエラストマ4が、前ケース11を射出成形する際に同時に鋳込み成形されている。このエラストマ4の裏側には、図示しないスイッチの押圧部分が配設されている。従って、可動片3を前方から後方に向かって押圧すると、エラストマ4を介して上記スイッチの押圧部分が押し操作されることになる。このスイッチは、浴室用リモコン1に内蔵されている上述の電子回路に接続されており、可動片3を押し操作することによって、浴室用リモコン1に対して所定の操作をすることができる。
【0017】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0018】
1 浴室用リモコン
2 取付穴
3 可動片
4 エラストマ
11 前ケース
12 後ケース
13 枢支部
31 枢軸