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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】エンジン駆動作業機
(51)【国際特許分類】
   F02B 77/13 20060101AFI20221011BHJP
   F02B 63/00 20060101ALI20221011BHJP
   F02B 63/04 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
F02B77/13 R
F02B63/00 C
F02B63/00 B
F02B63/04 C
F02B63/04 B
F02B63/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020007190
(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公開番号】P2021113542
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000109819
【氏名又は名称】デンヨー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100963
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 陽男
(72)【発明者】
【氏名】尾鷲 真一
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-132474(JP,A)
【文献】特開2013-256904(JP,A)
【文献】特開2015-214958(JP,A)
【文献】特開2017-141749(JP,A)
【文献】特開2018-131928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 77/13
F02B 63/00
F02B 63/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、該エンジンにより駆動される作業機本体と、前記エンジン及び作業機本体を下から支持し、周囲を板材により囲まれたベースと、前記エンジンの燃料を貯留する燃料タンクと、前記ベースの上から前記エンジン,前記作業機本体及び前記燃料タンクを覆う防音ケースと、前記ベースの内側に、前記ベース内面との間に間隙部を介して配置され、前記防音ケース内で生じる漏洩物を受けて溜める漏洩物貯留タンクとを備えたエンジン駆動作業機であって、
前記漏洩物貯留タンクの外側上部に全周にわたって水受け樋を設け、前記ベースの内面全周に、ベース側から前記水受け樋側に向かって低くなるように傾斜したガイド板を設けて、上方から流れ落ちてきた雨水を前記水受け樋内に導くようにし、前記水受け樋と前記ガイド板の間に弾性閉塞部材を介在させて前記間隙部を封止するようにしたことを特徴とするエンジン駆動作業機。
【請求項2】
前記水受け樋は、断面がコの字状をしていて上方に向かって開口していることを特徴とする請求項1に記載のエンジン駆動作業機。
【請求項3】
前記水受け樋の外周上端から斜め上方に延びる張出し板を前記漏洩物貯留タンクの全周にわたって設け、該張出し板と前記ガイド板との間に板状弾性体を介在させて前記間隙部を封止するようにしたことを特徴とする請求項2に記載のエンジン駆動作業機。
【請求項4】
前記水受け樋は、前記漏洩物貯留タンクの外側上部に、前記漏洩物貯留タンクの外面から斜め上方に延びる傾斜壁板を前記漏洩物貯留タンクの全周にわたって設けて、断面がレの字状の樋になるようにしていることを特徴とする請求項1に記載のエンジン駆動作業機。
【請求項5】
前記傾斜壁板と前記ガイド板との間に板状弾性体を介在させて前記間隙部を封止するようにしたことを特徴とする請求項4に記載のエンジン駆動作業機。
【請求項6】
前記水受け樋の底部に少なくとも一つの排出孔を設けたことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5に記載のエンジン駆動作業機。
【請求項7】
前記水受け樋を一端が高く他端が低くなるように傾斜させて設け、最も低い部分に前記排出孔を設けたことを特徴とする請求項6に記載のエンジン駆動作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンと、該エンジンで駆動される発電機,溶接機,圧縮機等の作業機本体を防音ケース内に配置したエンジン駆動作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路工事等の工事現場では、エンジン駆動発電機,エンジン駆動溶接機,エンジン駆動圧縮機等のエンジン駆動作業機が稼働している。そのようなエンジン駆動作業機では、内部で多量の燃料,エンジンオイル等の油類や冷却水などを用いており、故障や誤操作等によりそれらの燃料,エンジンオイル等の油類や冷却水などの漏洩物が外部に漏れ出ると、周囲の環境を害してしまう。そのため、漏洩物が外部に漏れ出ることがないように、エンジン駆動作業機下部のベース内部に漏洩物貯留タンクを設けて、エンジンや作業機本体等から漏洩物が漏れ出ても、それらを漏洩物貯留タンクに溜めておくようにしている。
【0003】
そのような漏洩物貯留タンクを備えたエンジン駆動作業機では、運転中にベースの振動が漏洩物貯留タンクに伝わって漏洩物貯留タンクが破損しないように、また、汚れを掃除する等のために漏洩物貯留タンクを取り外す際に、ベースと接触して傷ついたりしないように、ベースとの間に間隙をあけて漏洩物貯留タンクを配置するようにしている。
【0004】
そのようなエンジン駆動作業機では、作業機各部の合わせ面等にある隙間から雨水が浸入することがあるが、浸入した雨水が漏洩物貯留タンクに流れ込むと、漏洩物貯留タンクがすぐ満杯になってしまう。そこで、例えば特許文献1に示されるエンジン駆動作業機では、浸入してきた雨水を、ベースと漏洩物貯留タンクとの間の間隙部を通して外部に排出させて、雨水が漏洩物貯留タンクに流れ込まないようにしている。
【0005】
そのエンジン駆動作業機では、ベースと漏洩物貯留タンクとの間の間隙部において、ベースの側板に、漏洩物貯留タンクをカバーするだけの長さを有し、上部が漏洩物貯留タンク側に折れ曲がった集水板を設け、その集水板には、折れ曲がっている部分に、所定の間隔で複数個の排水孔を設けている。そして、エンジン駆動作業機内に浸入してきた雨水は、集水板の折れ曲がっている部分にガイドされて、漏洩物貯留タンクには流入することなく、排水孔を通って外部に排出される。このようにすれば、エンジン駆動作業機内に浸入してきた雨水は、漏洩物貯留タンクには流入することなく外部に排出されるようになる。
【0006】
また、特許文献2に示されるエンジン駆動作業機では、ベースと漏洩物貯留タンクとの間の間隙部を、透水性や吸水性を有し、かつ低通気性を有するウレタンフォーム等よりなる閉塞部材で閉塞するようにしている。そのようにすれば、運転中、エンジンファンによって冷却空気を外部から吸入し、排気口から排出することで防音ケース内が負圧になっても、閉塞部材によって外気の流入を阻止して、内部から排出される水が外気の流入により吹き上がるのを防止できる。しかも、防音ケースの内部に浸入した雨水は、閉塞部材を透過して外部に排出することができる。
【0007】
防音ケース内が負圧になる旨上で述べたが、ここで、エンジン駆動作業機内部の空気圧について、図14を使って説明する。図14において、符号1はベース、4は防音ケース、4aは吸気口、4bは排気口、11はエンジン、12は作業機本体、13はエンジンファン、14は電動ファンである。作業機の冷却は、吸気口4aから取り込んだ空気を機内に流し、排気口4bから排出することにより行うが、図14(A)に示すように、エンジンファン13で冷却風を流通させる場合は、エンジンファン13により機内から空気が吸い出されることになるため機内は負圧になる。それに対して、図14(B)に示すように
、電動ファン14で冷却風を流通させる場合は、電動ファン14により機内へ空気が送り込まれることになるため機内は正圧になる。このように、エンジン駆動作業機の機内は、冷却風の流通のさせ方によって負圧になったり、正圧になったりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-214958号公報
【文献】特開2013-256904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に示されるようなエンジン駆動作業機には、ベースと漏洩物貯留タンクとの間の間隙部を通して外部に騒音が漏れ出るという問題点があった。また、エンジンファンの影響で作業機内部が負圧になると、ベースと漏洩物貯留タンクとの間の間隙部を通して機内へ外気が流入し、集水板に設けられている排水孔から流れ出ようとする雨水を機内側に吹き上げ、雨水の排出を妨げるおそれがあるという問題点もあった。
【0010】
一方、特許文献2に示されるようなエンジン駆動作業機は、閉塞部材により、騒音の漏れ出しや雨水の吹き上げは防止できる。しかしながら、漏洩物貯留タンクは、汚れを掃除する等のために取り外す必要があるが、漏洩物貯留タンクを取り外せるようにするためには、閉塞部材を、ベース又は漏洩物貯留タンク側から片持支持することになり、そのようにすると、閉塞部材と漏洩物貯留タンク又はベースとの間に隙間ができて閉塞が不十分になるおそれがある。また、その隙間を出来るだけ小さくしようとすると、漏洩物貯留タンクを取り外す際に閉塞部材の縁部が擦れて損傷するおそれがあるという問題点があった。
【0011】
本発明は、そのような問題点に鑑み、高い防音性を確保し、排出する雨水の吹き上げを抑えながら、漏洩物貯留タンクの取り外しを容易に行えるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、エンジンと、該エンジンにより駆動される作業機本体と、前記エンジン及び作業機本体を下から支持し、周囲を板材により囲まれたベースと、前記エンジンの燃料を貯留する燃料タンクと、前記ベースの上から前記エンジン,前記作業機本体及び前記燃料タンクを覆う防音ケースと、前記ベースの内側に、前記ベース内面との間に間隙部を介して配置され、前記防音ケース内で生じる漏洩物を受けて溜める漏洩物貯留タンクとを備えたエンジン駆動作業機であって、前記漏洩物貯留タンクの外側上部に全周にわたって水受け樋を設け、前記ベースの内面全周に、ベース側から前記水受け樋側に向かって低くなるように傾斜したガイド板を設けて、上方から流れ落ちてきた雨水を前記水受け樋内に導くようにし、前記水受け樋と前記ガイド板の間に弾性閉塞部材を介在させて前記間隙部を封止するようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記水受け樋は、断面がコの字状をしていて上方に向かって開口していることを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記水受け樋の外周上端から斜め上方に延びる張出し板を前記漏洩物貯留タンクの全周にわたって設け、該張出し板と前記ガイド板との間に板状弾性体を介在させて前記間隙部を封止するようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記水受け樋は、
前記漏洩物貯留タンクの外側上部に、前記漏洩物貯留タンクの外面から斜め上方に延びる傾斜壁板を前記漏洩物貯留タンクの全周にわたって設けて、断面がレの字状の樋になるようにしていることを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、前記傾斜壁板と前記ガイド板との間に板状弾性体を介在させて前記間隙部を封止するようにしたことを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項6に係る発明は、請求項1,2,3,4又は5に係る発明において、前記水受け樋の底部に少なくとも一つの排出孔を設けたことを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において、前記水受け樋を一端が高く他端が低くなるように傾斜させて設け、最も低い部分に前記排出孔を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に係る発明においては、漏洩物貯留タンクの外側上部に全周にわたって水受け樋を設け、ベースの内面全周に、ベース側から前記水受け樋側に向かって低くなるように傾斜したガイド板を設けて、上方から流れ落ちてきた雨水を前記水受け樋内に導くようにし、前記水受け樋と前記ガイド板の間に弾性閉塞部材を介在させて前記間隙部を封止するようにした。そのように、水受け樋とガイド板との間に弾性閉塞部材を介在させて、ベース内面と漏洩物貯留タンクとの間の間隙部を封止することにより高い防音性を確保することができる上、排出する雨水の吹き上げが防止できる。さらに、水受け樋とガイド板との間は、弾性閉塞部材の弾性力で封止するので、漏洩物貯留タンクの取り外しは容易に行えるようになる。
【0020】
また、請求項2に係る発明においては、請求項1に係るエンジン駆動作業機において、水受け樋として、断面がコの字状の樋を用いるようにしたので、樋の容積が大きくなって大量の雨水を貯めることができる。
【0021】
また、請求項3に係る発明においては、請求項2に係るエンジン駆動作業機において、水受け樋の外周上端から斜め上方に延びる張出し板を前記漏洩物貯留タンクの全周にわたって設け、該張出し板とガイド板との間に板状弾性体を介在させて、ベース内面と漏洩物貯留タンクとの間の間隙部を封止するようにしたので、上記の効果に加えて、板状弾性体の張出し板とガイド板への取り付け方を選択することにより、機内が負圧になる場合でも、正圧になる場合でも、ベース内面と漏洩物貯留タンクとの間の間隙部を封止することが可能になる。
【0022】
また、請求項4に係る発明においては、請求項1に係るエンジン駆動作業機において、水受け樋は、前記漏洩物貯留タンクの外側上部に、前記漏洩物貯留タンクの外面から斜め上方に延びる傾斜壁板を前記漏洩物貯留タンクの全周にわたって設けて、断面がレの字状の樋になるようにしたので、水受け樋を簡単な構造で製造コストを抑えることができる。
【0023】
また、請求項5に係る発明においては、請求項4に係るエンジン駆動作業機において、傾斜壁板とガイド板との間に板状弾性体を介在させて前記間隙部を封止するようにしたので、上記請求項4の効果に加えて、板状弾性体の傾斜壁板とガイド板への取り付け方を選択することにより、機内が負圧になる場合でも、正圧になる場合でも、ベース内面と漏洩物貯留タンクとの間の間隙部を封止することが可能になる。
【0024】
また、請求項6に係る発明においては、請求項1,2,3,4又は5に係るエンジン駆動作業機において、水受け樋の底部に少なくとも一つの排出孔を設けたので、水受け樋に溜まった雨水は排出孔から外部に排出され、水受け樋が満杯にならずにすむ。
【0025】
また、請求項7に係る発明においては、請求項6に係るエンジン駆動作業機において、水受け樋を一端が高く他端が低くなるように傾斜させて設け、最も低い部分に排出孔を設けたので、水受け樋に入ってきた雨水を効率的に外部に排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施例に係るエンジン駆動作業機の水受け部周辺を示す図である。
図2】本発明の一実施例に係るエンジン駆動作業機の全体構成を示す図である。
図3】本発明の一実施例に係るエンジン駆動作業機のベースを示す図である。
図4】本発明の一実施例に係るエンジン駆動作業機の漏洩物貯留タンクを示す図である。
図5】本発明の一実施例に係るエンジン駆動作業機の水受け樋を示す図である。
図6】本発明の第二実施例を示す図である。
図7】本発明の第三実施例を示す図である。
図8】本発明の第四実施例を示す図である。
図9】本発明の第三実施例及び第四実施例における水受け樋を示す図である。
図10】本発明の第五実施例を示す図である。
図11】本発明の第六実施例を示す図である。
図12】本発明の第五実施例及び第六実施例における水受け樋を示す図である。
図13】本発明の第七実施例を示す図である。
図14】エンジン駆動作業機内部の空気圧について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
先ず、本発明を適用するエンジン駆動作業機について図2に基づいて説明する。図2において、符号1はベース、2は漏洩物貯留タンク、3は燃料タンク、4は防音ケースである。
【0029】
防音ケース4の中には、エンジンと、該エンジンにより駆動される作業機本体としての発電機が収納されており、前記エンジンと発電機は、ベース1の上に設置されている。そして、ベース1の内側には、エンジンや発電機等から漏れ出した燃料やエンジンオイル等の油類や冷却水を受けて、外部に流れ出ないように溜めておくための漏洩物貯留タンク2が、ベース1の内面との間に間隙をあけて配置されている。また、その漏洩物貯留タンク2の中には、燃料タンク3を配置して、燃料タンク3に燃料を補給する際に給油口から燃料が漏れ出てもそれを直接漏洩物貯留タンク2で受けられるようにしている。なお、燃料タンク3は、必ずしも漏洩物貯留タンク2内に配置する必要はなく、漏洩物貯留タンク2の上方で、燃料タンク3へ燃料を補給する際に給油口から燃料が漏れ出ても、それを漏洩物貯留タンク2で受けられる位置に配置すればよい。
【0030】
ベース1は、図3に示すように、周囲を側板1a,1a、前面板1b及び後面板1cにより囲まれており、両側の側板1a,1aの間に差し渡してエンジン支持台1dと作業機支持台1eを設けている。そして、エンジン支持台1dにエンジンを取り付け、作業機支持台1eに発電機を取り付けて支持する。そのベース1の側板1a,1a、前面板1b及び後面板1cの内面には、全周にわたってガイド板5を溶接して設けている。ガイド板5
は、ベース1側から漏洩物貯留タンク2側に向かって低くなるように傾斜しており、防音ケース4の内部を流れ落ちてきた雨水を漏洩物貯留タンク2側に導くようにしている。なお、エンジン支持台1d及び作業機支持台1eの形状や取り付け位置は、ベース1に搭載されるエンジン11及び作業機本体12の形状や大きさに応じて適宜変更可能である。
【0031】
漏洩物貯留タンク2は、図4に示すように、底板,前後左右の側面板により箱形をしていて底板の裏側には、漏洩物貯留タンク2をベース1に固定するための固定部材2a,2a,2a,2aが設けられており、漏洩物貯留タンク2の内側に位置する底板の表面には、燃料タンク3を支持する燃料タンク支持台2b,2b,2b,2bが設けられている。そして、それら燃料タンク支持台2b,2b,2b,2bの上に燃料タンク3を載せて取り付け、固定支持する。その漏洩物貯留タンク2の外側上部には、全周にわたって水受け樋6を設けている。
【0032】
水受け樋6は、図5に、漏洩物貯留タンク2のBの部分とCの部分を拡大して示すように、断面がコの字状をしていて上方に向かって開口しており、漏洩物貯留タンク2の上部外周全体に配設されている。そして、ベース1の内面に設けたガイド板5の先端縁部が水受け樋6の上まで延びていて、上方から流れ落ちてきた雨水が水受け樋6内に流れ込むようにしている。そのようにして、水受け樋6の中に雨水が溜まっていくが、流れ込む雨水が多くなると水受け樋6が満杯になってしまう。それを避けるため、水受け樋6の底部の適宜位置、例えば、漏洩物貯留タンク2の四隅に位置する箇所に雨水を外部に排出するための排出孔を設けてもよい。
【0033】
そのように設けられたガイド板5と水受け樋6は、図1に、水受け溝6の周辺を示し、その内のAの部分を拡大して示すように、ガイド板5の先端縁部が、漏洩物貯留タンク2の上部外周に配設されている水受け樋6の上まで延びている。この実施例では、その水受け樋6の側壁部に、弾性閉塞部材としてトリムシール7を嵌め込み、それがガイド板5の下面に押し付けられるようにして、水受け樋6とガイド板5の間を封止するようにした。その結果、ベース1と漏洩物貯留タンク2の間の間隙部が封止され、機内の騒音が外部に漏れ出ないようにようになる。また、機内が負圧になっても、外気が機内に吹き込むこともなくなる。
【実施例2】
【0034】
図6は、本発明の第二実施例を示す図である。図6において、符号1~6は図1のものに対応しており、8はゴム板である。この実施例では、弾性閉塞部材として、トリムシール7の代わりにゴム板8を用い、その下縁部を水受け樋6の側壁部に接着して取り付け、ゴム板8の上縁部がガイド板5の下面に押しつけられるようにした。このようにしても、水受け樋6とガイド板5の間を封止してベース1と漏洩物貯留タンク2の間の間隙部を封止できる。
【実施例3】
【0035】
図7は、本発明の第三実施例を示す図である。図7において、符号1~6及び8は、図6のものに対応しており、9は張出し板である。この実施例では、図9に、漏洩物貯留タンク2のDの部分とEの部分を拡大して示すように、水受け樋6の外周上端から斜め上方に延びる張出し板9を全周にわたって設けている。そして、図7に示すように、弾性閉塞部材としてのゴム板8を、張出し板9の下面に下縁部を接着させて取り付け、ゴム板8の上縁部がガイド板5の下面に押しつけられるようにした。このようにすれば、作業機の機内が負圧になる場合に、ゴム板8がガイド板5の下面に強く押しつけられて、ベース1と漏洩物貯留タンク2の間の間隙部を封止できる。
【実施例4】
【0036】
図8は、本発明の第四実施例を示す図である。符号は、図7のものに対応している。この実施例では、ゴム板8の上縁部をガイド板5の上面に接着させ、ゴム板8の下縁部が張出し板9の上面に押しつけられるようにした。このようにすれば、作業機の機内が正圧になる場合に、ゴム板8が張出し板9の上面に強く押しつけられて、ベース1と漏洩物貯留タンク2の間の間隙部を封止できる。
【実施例5】
【0037】
図10は、本発明の第五実施例を示す図である。符号1~5及び8は、図7のものに対応しており、10は傾斜壁板である。この実施例では、図12に、漏洩物貯留タンク2のFの部分とGの部分を拡大して示すように、漏洩物貯留タンク2の外側上部に、断面がレの字状になるように、漏洩物貯留タンク2の外面から斜め上方に延びる傾斜壁板10を全周にわたって設けて、水受け樋を形成している。そして、その水受け樋の底部には、適宜位置に排出孔10aを設けて、水受け樋に溜まった雨水を外部に排出するようにしている。
【0038】
そして、図10に示すように、弾性閉塞部材としてのゴム板8を、傾斜壁板10の下面に下縁部を接着させて取り付け、ゴム板8の上縁部がガイド板5の下面に押しつけられるようにした。このようにすれば、水受け樋の構造が簡単になって、製造コストが低減され、かつ、作業機の機内が負圧になる場合に、ゴム板8がガイド板5の下面に強く押しつけられて、ベース1と漏洩物貯留タンク2の間の間隙部を封止できる。
【実施例6】
【0039】
図11は、本発明の第六実施例を示す図である。符号は、図10のものに対応している。この実施例では、ゴム板8の上縁部をガイド板5の上面に接着させ、ゴム板8の下縁部が傾斜壁板10の上面に押しつけられるようにした。このようにすれば、作業機の機内が正圧になる場合に、ゴム板8が傾斜壁板10の上面に強く押しつけられて、ベース1と漏洩物貯留タンク2の間の間隙部を封止できる。なお、第三~第六実施例に係るゴム板8の接着位置は、必ずしも片面に限定されるものではなく、その他の剥がれない位置に接着する構成であってもよい。
【実施例7】
【0040】
図13は、本発明の第七実施例を示す図である。符号は、図1~5のものに対応しており、6aは排出孔である。この実施例では、水受け樋6を一端が高く他端が低くなるように傾斜させて設け、低い側の端部に排出孔6aを設けている。また、水受け樋6の傾斜に合わせて、ガイド板5とトリムシール7も傾斜させて設け、ガイド板5,水受け樋6及びトリムシール7が平行になるようにしている。このように水受け樋6を傾斜させ、最も低い部分に排出孔6aを設ければ、水受け樋6に溜まった雨水を外部に効率的に排出させることができる。
【0041】
なお、図13のものでは、第1実施例で使用した、断面がコの字状の水受け樋6とトリムシール7を用いているが、第2~第6実施例における水受け樋及び弾性閉塞部材を用いることもできる。また、水受け樋6の傾斜が維持されるのであれば、漏洩物貯留タンク2は、水平に設置してもよいし、特定の方向に傾斜させて設置してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 ベース
1a 側板
1b 前面板
1c 後面板
1d エンジン支持台
1e 作業機支持台
2 漏洩物貯留タンク
2a 固定部材
2b 燃料タンク支持台
3 燃料タンク
4 防音ケース
4a 吸気口
4b 排気口
5 ガイド板
6 水受け樋
6a 排出孔
7 トリムシール
8 ゴム板
9,10 張出し板
10a 排出孔
11 エンジン
12 作業機本体
13 エンジンファン
14 電動ファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14