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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】プレス加工油塗布機
(51)【国際特許分類】
   B21D 37/18 20060101AFI20221011BHJP
   B05C 3/132 20060101ALI20221011BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
B21D37/18
B05C3/132
B05C11/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022005045
(22)【出願日】2022-01-17
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】521056135
【氏名又は名称】奥野 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】奥野 一樹
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-235297(JP,A)
【文献】特開2017-001045(JP,A)
【文献】特開平02-059128(JP,A)
【文献】実開昭61-004824(JP,U)
【文献】実開昭58-018632(JP,U)
【文献】特開昭63-287572(JP,A)
【文献】実開昭62-020727(JP,U)
【文献】特開2004-314106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 37/18
B30B 15/00
B21D 22/00 - 24/00
B05C 3/132
B05C 11/10
B05D 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型が取り付けられたスライドが上下方向に動作することで、当該金型に送られてくるコイル材に対しプレス加工を行うプレス機内において、当該金型の上流側で当該コイル材に加工油を塗布するプレス加工油塗布機であって、
前記加工油が溜められる容器であるオイルタンクと、
前記オイルタンクと第1流路を介して連通するとともに、前記プレス機内において前記スライドの上下方向の動作によって作動するポンプであるオイルポンプと、
前記オイルポンプと第2流路を介して連通するとともに、前記コイル材の表面に対向する噴射孔を有するオイル塗布ブロックとを備え、
前記オイル塗布ブロックは、前記オイルポンプの作動によって、前記オイルタンクから前記第1流路及び前記第2流路を介して送られてきた前記加工油を、前記噴射孔から前記表面に対し液状噴射し、
前記オイル塗布ブロックの下流側に設けられ、前記コイル材の幅方向に延伸する軸心を有し、前記加工油が液状噴射された前記コイル材が摺接しながら前記金型に送られることで回転する余剰オイル除去ローラーを備え、
前記オイルタンクは、前記オイル塗布ブロック及び前記余剰オイル除去ローラーの下方に配置され、上側が開口している
ことを特徴とするプレス加工油塗布機。
【請求項2】
前記余剰オイル除去ローラーは、前記コイル材の上面に摺接する上方余剰オイル除去ローラーと、前記コイル材の下面に摺接する下方余剰オイル除去ローラーとを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のプレス加工油塗布機。
【請求項3】
前記上方余剰オイル除去ローラーを、前記下方余剰オイル除去ローラー側に押圧し、かつ、前記上方余剰オイル除去ローラーと前記下方余剰オイル除去ローラーの加圧力を調整するローラー加圧調整機構を備える
ことを特徴とする請求項2に記載のプレス加工油塗布機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属プレスの加工前には、加工によってコイル材が傷つかないようにするため、コイル材に対し加工油(例えば下記特許文献1)を塗布する必要がある。加工油の塗布の方法には、滴下式、給油ローラー式、スプレー式の3種類がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-073662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、滴下式は、加工油が全面に付着しにくく、コイル材の下面には塗れない。また、給油ローラー式は、フェルトのローラーに加工油を染み込ませ、ローラーをコイル材にあてて加工油を塗るものであるが、これだと塗りムラが出る。スプレー式は、コイル材に付着させ易いものの、油量や塗布範囲の調整が難しく、加工油が飛散して環境の悪化やプレス機が汚れる。また、圧縮エアーの使用量が多い。
【0005】
本発明では、このような課題に鑑み、利便性の高いプレス加工油塗布機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点におけるプレス加工油塗布機は、
金型が取り付けられたスライドが上下方向に動作することで、当該金型に送られてくるコイル材に対しプレス加工を行うプレス機内において、当該金型の上流側で当該コイル材に加工油を塗布するプレス加工油塗布機であって、
前記加工油が溜められる容器であるオイルタンクと、
前記オイルタンクと第1流路を介して連通するとともに、前記プレス機内において前記スライドの上下方向の動作によって作動するポンプであるオイルポンプと、
前記オイルポンプと第2流路を介して連通するとともに、前記コイル材の表面に対向する噴射孔を有するオイル塗布ブロックとを備え、
前記オイル塗布ブロックは、前記オイルポンプの作動によって、前記オイルタンクから前記第1流路及び前記第2流路を介して送られてきた前記加工油を、前記噴射孔から前記表面に対し液状噴射する
ことを特徴とする。
【0007】
より好適には、
前記オイル塗布ブロックの下流側に設けられ、前記コイル材の幅方向に延伸する軸心を有し、前記加工油が液状噴射された前記コイル材が摺接しながら前記金型に送られることで回転する余剰オイル除去ローラーを備える
ことを特徴とする。
【0008】
より好適には、
前記余剰オイル除去ローラーは、前記コイル材の上面に摺接する上方余剰オイル除去ローラーと、前記コイル材の下面に摺接する下方余剰オイル除去ローラーとを有する
ことを特徴とする。
【0009】
より好適には、
前記上方余剰オイル除去ローラーを、前記下方余剰オイル除去ローラー側に押圧し、かつ、前記上方余剰オイル除去ローラーと前記下方余剰オイル除去ローラーの加圧力を調整するローラー加圧調整機構を備える
ことを特徴とする。
【0010】
より好適には、
前記オイルタンクは、前記オイル塗布ブロック及び前記余剰オイル除去ローラーの下方に配置され、上側が開口している
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るプレス加工油塗布機によれば、プレス加工前のコイル材に対し適正な油量を簡便に付着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例に係るプレス加工油塗布機、これが取り付けられるプレス機、アンコイラー、及び、レベラーフィーダーを表わす概略図である。
図2図1のA-A矢視図である。
図3】本発明の実施例に係るプレス加工油塗布機の斜視図である。
図4】本発明の実施例に係るプレス加工油塗布機の斜視図(図3と別角度)である。
図5図3のB-B矢視図に相当する、本発明の実施例におけるオイル塗布ブロックを説明する概略的拡大図である。
図6】本発明の実施例における余剰オイル除去ローラーを説明する概略的拡大図である。
図7】本発明の実施例に係るプレス加工油塗布機及びこれが取り付けられるプレス機の動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るプレス加工油塗布機について、実施例にて図面を用いて説明する。
【実施例
【0014】
図1には、本実施例に係るプレス加工油塗布機1、これが取り付けられるプレス機101、アンコイラー102、及び、レベラーフィーダー103が表わされている。また、図2図1のA-A矢視図である。
【0015】
アンコイラー102は、ドラム状のコイル材Cがセットされ、コイル材Wを(たわみを制御しつつ)繰り出し、レベラーフィーダー103に渡す装置である。
【0016】
レベラーフィーダー103は、アンコイラー102の下流側に配置され、アンコイラー102から渡されたコイル材Wを、ロールの回転及び摩擦力によってプレス機101へ送り出す装置である。
【0017】
プレス機101は一般的なプレス機であり、レベラーフィーダー103の下流側に配置されている。またプレス機101は、スライド111及びボルスター112を備えている。
【0018】
スライド111は、図示しないクランクシャフトとコネクティングロッド、あるいは、サーボモータとボールねじ等の機構に取り付けられており、これにより、上下方向に動作するものである。ボルスター112は、スライド111に対向するようにしてスライド111の下方に設けられる。
【0019】
そして、スライド111には金型の上型ベースプレート113が、ボルスター112には金型の下型ベースプレート114が、それぞれ取り付けられ、スライド111の上下方向の動作により、レベラーフィーダー103により送られてくるコイル材Wに対しプレス加工を行うことが可能である。
【0020】
プレス加工油塗布機1は、プレス機101内において、上型ベースプレート113及び下型ベースプレート114よりも上流側に取り付けられており、図3,4の斜視図に示すように、主たる構成として、オイルポンプ11、オイルタンク12、オイル塗布ブロック13、及び、余剰オイル除去ローラー14A,14Bを備えている。
【0021】
オイルポンプ11は、その上端と下端がそれぞれスライド111(上型ベースプレート113の上流側)とボルスター112(下型ベースプレート114の上流側)に取り付けられるピストンポンプやギヤポンプ等の容積式ポンプであり、スライド111の上下方向の動作によって上下方向に伸縮する(内部のシャフトが上下方向に動く)ことでポンプとして作動する。
【0022】
オイルタンク12は、加工油が溜められる容器であり、その側壁下方位置には流路H1の一端が接続している。また、この流路H1の他端はオイルポンプ11に接続している。
【0023】
オイル塗布ブロック13は、図5に示すように、その内側に、相対向する上側面13Aと下側面13Bが、鉛直方向に隙間Sを有して設けられている。上側面13A及び下側面13Bはともに、コイル材Wの幅方向(以下、単に「コイル材幅方向」と記載)において、コイル材Wの幅よりも長い幅を有している。すなわち、隙間Sはコイル材の幅よりも長い幅を有している。そして、レベラーフィーダー103により送られてくるコイル材Wが、プレス加工される前にこの隙間Sを通過する。
【0024】
また、オイル塗布ブロック13には流路H2の一端が接続している。そして、流路H2の他端はオイルポンプ11に接続している。
【0025】
換言すれば、オイルポンプ11はオイルタンク12と流路H1を介して連通しており、オイル塗布ブロック13はオイルポンプ11と流路H2を介して連通している。これにより、オイルタンク12に加工油が溜められた状態において、オイルポンプ11がスライド111の上下方向の動作に伴って作動することで、オイルタンク12内の加工油を吸引し、その加工油が流路H1,H2を介してオイル塗布ブロック13に圧送される(図4の破線矢印参照)。
【0026】
ここで、オイル塗布ブロック13について詳述する。
オイル塗布ブロック13の上側面13Aには、隙間Sを通るコイル材Wの上面W1に対向する噴射孔13Cが形成され、下側面13Bには、隙間Sを通るコイル材Wの下面W2に対向する噴射孔13Dが形成されている。
【0027】
ただし、噴射孔13C及び噴射孔13Dはスプレーノズルではなく細い孔である。また、噴射孔13C及び噴射孔13Dはそれぞれ、1個あれば一応成立はするが、複数個の方が好ましい。
【0028】
オイル塗布ブロック13の内部には内部流路H23,H24が設けられている。各噴射孔13Cは内部流路H23に接続しており、各噴射孔13Dは内部流路H24に接続している。ただし、噴射孔13Cが複数個の場合は、これらは並列的に内部流路H23に接続する。同様に、噴射孔13Dが複数個の場合も、これらは並列的に内部流路H24に接続する。
【0029】
流路H2の一端は分岐流路H21,H22に分岐している。分岐流路H21の端部は内部流路H23に接続し、分岐流路H22の端部は内部流路H24に接続している。
【0030】
したがって、オイルポンプ11の作動によって流路H1,H2を介してオイル塗布ブロック13方向へ圧送された加工油は、分岐流路H21、及び、内部流路H23を通過して噴射孔13Cから下方向に噴射されるとともに、分岐流路H22、及び、内部流路24を通過して噴射孔13Dから上方向に噴射される。ただし、既に説明したように、噴射孔13C及び噴射孔13Dはスプレーノズルではなく孔であるため、加工油は液状噴射される。
【0031】
噴射孔13Cから下方向に液状噴射された加工油は、隙間Sを通るコイル材Wの上面W1に付着し、噴射孔13Dから上方向に液状噴射された加工油は、隙間Sを通るコイル材Wの下面W2に付着する。なお、この段階ではコイル材Wの上面W1及び下面W2には加工油を余剰に付着させるものとする。
【0032】
上方余剰オイル除去ローラー14A及び下方余剰オイル除去ローラー14Bは、図6に示すように、オイル塗布ブロック13の下流側に設けられた上下一対のローラーであり、それぞれコイル材幅方向に延伸する軸心14AA,14BAを中心に回転可能となっている。
【0033】
また、上方余剰オイル除去ローラー14Aと下方余剰オイル除去ローラー14Bとは、コイル材Wの進行方向において同位置(図6中の一点鎖線)に配設されており互いに接している。そして、上方余剰オイル除去ローラー14Aと下方余剰オイル除去ローラー14Bの間をレベラーフィーダー103により(上型ベースプレート113及び下型ベースプレート114に向けて)送られるコイル材Wが摺接するようにして通過する。これにより上方余剰オイル除去ローラー14A及び下方余剰オイル除去ローラー14Bは自ずと回転する(図6中の破線矢印)。
【0034】
そして、コイル材Wが上方余剰オイル除去ローラー14A及び下方余剰オイル除去ローラー14Bに摺接しながら通過することによって、(オイル塗布ブロック13にて)コイル材Wに塗布された加工油のうち余剰分の加工油が除去され、コイル材Wの上面W1及び下面W2には薄い油膜(適切量の油膜)が残る。
【0035】
そして、上述したオイルタンク12は上側が開口しており、オイル塗布ブロック13及び余剰オイル除去ローラー14A,14Bの下方に配置されている。
【0036】
これによって、オイル塗布ブロック13の噴射孔13Cと噴射孔13Dから噴射された加工油がコイル材Wに当たることで僅かに跳ね返った飛沫、及び、上方余剰オイル除去ローラー14Aと下方余剰オイル除去ローラー14Bによりコイル材Wから除去された加工油が、オイルタンク12に落下して回収され、再びオイルポンプ11でオイル塗布ブロック13に圧送されることで循環して使用される。
【0037】
また、図3,4に示すように、プレス加工油塗布機1はローラー加圧調整機構16を備えている。ローラー加圧調整機構16は、上方余剰オイル除去ローラー14Aと下方余剰オイル除去ローラー14Bの加圧力を調整するものである。
【0038】
詳述すると、ローラー加圧調整機構16は、上下方向に延伸し、上方余剰オイル除去ローラー14Aにおける軸心14AAのコイル材幅方向両端に対して上方側から接続する一対のコイルスプリング16A、及び、これらコイルスプリング16Aの上端側から、コイルスプリング16Aを下方側に押圧する一対の調整ねじ16Bを備えている。つまり、ローラー加圧調整機構16は、上方余剰オイル除去ローラー14Aを下方余剰オイル除去ローラー14B側に押圧する。
【0039】
そしてローラー加圧調整機構16は、調整ねじ16を調整することで、コイルスプリング16Aから軸心14AAのコイル材幅方向両端への押圧力を変更可能となっている。すなわち、上方余剰オイル除去ローラー14Aと下方余剰オイル除去ローラー14Bの接触面の加圧力を調整することができる。これにより、加工油の油膜の厚みを適切な量に調整することができる。
【0040】
あるいは、ローラー加圧調整機構16を設けるのではなく、上方余剰オイル除去ローラー14A及び下方余剰オイル除去ローラー14Bそれぞれの表面に、点状の窪み、あるいは、線状や曲線状の溝を形成することで、その窪みあるいは溝に残る油量で油膜の厚みを調整するようにしてもよい。
【0041】
また本実施例では、上下一対の上方余剰オイル除去ローラー14A及び下方余剰オイル除去ローラー14Bが、オイル塗布ブロック13の下流側において1組だけ配置されるものとして説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上下一対の上方余剰オイル除去ローラー14A及び下方余剰オイル除去ローラー14Bが、オイル塗布ブロック13の下流側において複数組設けられるものとしてもよい(コイル進行方向に複数の組が並ぶようにして配置される)。このようにすることで、より加工油の付着量を均一にするとともに、薄膜にすることが可能となる。
【0042】
以上が、プレス加工油塗布機1、及び、これが取り付けられるプレス機101の構成についての説明である。以下では、プレス加工油塗布機1、及び、これが取り付けられるプレス機101の動作について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0043】
ステップS1では、アンコイラー102によりコイル材Wを繰り出し、レベラーフィーダー103に渡す。
【0044】
ステップS2では、レベラーフィーダー103にてコイル材Wをプレス機101へ送り出し、コイル材Wが、オイル塗布ブロック13の隙間S、及び、上方余剰オイル除去ローラー14A及び下方余剰オイル除去ローラー14Bの間を通る。
【0045】
ステップS3では、プレス機101のスライド111が上下方向に動作することで、オイルポンプ11が作動する。
【0046】
ステップS4では、オイルタンク12内に溜められた加工油を、オイルポンプ11によってオイル塗布ブロック13に圧送する。
【0047】
ステップS5では、オイル塗布ブロック13の隙間Sを通るコイル材Wに対し、噴射孔13C及び噴射孔13Dから加工油を液状噴射する。
【0048】
ステップS6では、加工油が余剰に付着した状態のコイル材Wが、上方余剰オイル除去ローラー14A及び下方余剰オイル除去ローラー14Bの間を通ることで、余剰分の加工油が除去される。なお、除去された加工油は下方のオイルタンク12内に落下する。
【0049】
ステップS7では、スライド111の上下動により、上型ベースプレート113及び下型ベースプレート114が、適切量の油膜が付着したコイル材Wに対しプレス加工を行う。
【0050】
以上が、プレス加工油塗布機1、及び、これが取り付けられるプレス機101の動作についての説明である。
【0051】
本実施例に係るプレス加工油塗布機1によれば、プレス加工前のコイル材Wに対しオイル塗布ブロック13にて余剰に加工油を付着させ、余剰オイル除去ローラー14A,14Bにより、余剰分を除去するように調整するので、コイル材Wに対し適正な油量を簡便に付着させることができる。
【0052】
本実施例に係るプレス加工油塗布機1によれば、余剰オイル除去ローラー14A,14Bにて余剰分の加工油を除去する際に、コイル材Wの表面の加工油を引き延ばすことになるので、コイル材Wの表面において加工油が付着していない箇所が無くなり、薄く均一な加工油膜を作ることができる。
【0053】
本実施例に係るプレス加工油塗布機1によれば、余剰オイル除去ローラー14A,14Bにて除去された余剰分の加工オイルが、その下方に配置されるオイルタンク12に溜まり、再使用されるので、加工油の無駄が無い。
【0054】
本実施例に係るプレス加工油塗布機1によれば、噴射孔13C及び噴射孔13Dから噴射される加工油は液状であるため、スプレーのようなオイルミストは発生しないので、作業環境の汚染が無い。
【0055】
本実施例に係るプレス加工油塗布機1によれば、スプレーのような加工油の飛散が無くプレス機101が汚れにくい。
【0056】
本実施例に係るプレス加工油塗布機1によれば、プレス機101のスライド111の上下動作を利用したオイルポンプ11を使用するので、圧縮エアーや外部電力などのエネルギーを必要としない。
【0057】
本実施例に係るプレス加工油塗布機によれば、余剰オイル除去ローラー14A,14Bにてコイル材Wの油膜の調整を行うので、使用する加工油の粘度に関わらず、薄く均一な油膜を作ることができる。
【0058】
本実施例に係るプレス加工油塗布機によれば、コイルスプリング16Aの強さ、あるいは、余剰オイル除去ローラー14A,14Bの表面に加工した窪みや溝の形状により、加工油の油膜厚さを自由に調整することができる。
【0059】
また、本実施例に係るプレス加工油塗布機は、既存のプレス機に後付けで簡易に設置できる構成である。
【0060】
また、本実施例ではオイルポンプ11を用いるものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、オイルポンプ11の代わりに、例えば電動の容積式ポンプやプレス機101の駆動軸に接続した容積式ポンプを使用しても良い。
【0061】
さらに、本実施例ではオイルタンク12がオイル塗布ブロック13及び余剰オイル除去ローラー14A,14Bの下方に配置されているものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、オイルタンク12をプレス機101の側面等に設置しても良い。これにより、作業者によるオイルタンク12への加工油の補充が容易になる。ただしこのような構成とする場合は、オイル塗布ブロック13及び余剰オイル除去ローラー14A,14Bの下方に加工油受け(上部が開口した箱状部材)を設置し、流路を介して当該加工油受けとオイルタンク12と接続する構成とする。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、プレス加工において加工油の塗布を行う装置として好適である。
【符号の説明】
【0063】
1 プレス加工油塗布機
11 オイルポンプ
12 オイルタンク
13 塗布ブロック
13A 上側面
13B 下側面
13C,13D 噴射孔
14A 上方余剰オイル除去ローラー
14B 下方余剰オイル除去ローラー
16 ローラー加圧調整機構
16A コイルスプリング
16B 調整ねじ
101 プレス機
102 アンコイラー
103 レベラーフィーダー
111 スライド
112 ボルスター
113 上型ベースプレート
114 下型ベースプレート
H1,H2 流路
H21,H22 分岐流路
H23,H24 内部流路
S 隙間
W コイル材
【要約】
【課題】プレス加工前のコイル材に対し適正な油量を簡便に付着させる。
【解決手段】加工油が溜められる容器であるオイルタンク12と、オイルタンク12と第1流路を介して連通するとともに、プレス機101内においてスライド111の上下方向の動作によって作動するポンプであるオイルポンプ11と、オイルポンプ11と第2流路を介して連通するとともに、コイル材Wの表面に対向する噴射孔を有するオイル塗布ブロック13とを備え、オイル塗布ブロック13は、オイルポンプ11の作動によって、オイルタンク12から第1流路及び第2流路を介して送られてきた加工油を、噴射孔からコイル材Wの表面に対し液状噴射する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7