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特許7154744車種判別装置、車種判別方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】車種判別装置、車種判別方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/015 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
G08G1/015 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017188760
(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公開番号】P2019066933
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-07-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】尾張 伸行
(72)【発明者】
【氏名】飯田 敦志
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
(72)【発明者】
【氏名】小島 洋平
(72)【発明者】
【氏名】山西 直哉
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-186525(JP,A)
【文献】特開平11-288496(JP,A)
【文献】特開2000-298007(JP,A)
【文献】特開2005-265613(JP,A)
【文献】特開2010-014706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1車線の幅方向一方側のアイランドにおいて、車線方向の車両検知位置に、車軸高さに相当する第1の高さ、及び、所定車種の車両の最大車高に相当する第2の高さのうち一方の高さに配置された第1レーザスキャナと、
前記第1車線の幅方向他方側に隣接する第2車線の前記第1車線とは反対側に位置するアイランドにおいて、前記車線方向の位置が前記第1レーザスキャナと同じ前記車両検知位置に、前記第1レーザスキャナと同じ高さに配置された第2レーザスキャナと、
前記第1車線と前記第2車線との間のアイランドにおいて、前記車線方向における位置が前記第1レーザスキャナと同じ前記車両検知位置に、前記第1の高さ及び前記第2の高さのうち他方の高さに配置され、前記第1車線から前記第2車線にかけてスキャン範囲を有する第3レーザスキャナと、
前記第1レーザスキャナから取得した第1スキャンデータと、前記第3レーザスキャナから取得した第3スキャンデータとのうち少なくとも一方に基づいて、前記第1車線の前記車両検知位置を走行する車両を検知する第1車線用車両検知部と、
前記第2レーザスキャナから取得した第2スキャンデータと、前記第3レーザスキャナから取得した前記第3スキャンデータとのうち少なくとも一方に基づいて、前記第2車線の前記車両検知位置を走行する車両を検知する第2車線用車両検知部と、
前記第1レーザスキャナ及び前記第3レーザスキャナのうち前記第2の高さに配置されたレーザスキャナからから取得したスキャンデータに含まれる、複数の異なる角度で投光された検査光のうち前記第2の高さで水平に投光された検査光による計測結果に基づいて前記第1車線を走行する車両の車高が前記最大車高以上であるか否か判断する第1車線用車高計測部と、
前記第2レーザスキャナ及び前記第3レーザスキャナのうち前記第2の高さに配置されたレーザスキャナから取得したスキャンデータに含まれる、複数の異なる角度で投光された検査光のうち前記第2の高さで水平に投光された検査光による計測結果に基づいて、前記第2車線を走行する車両の車高が前記最大車高以上であるか否か判断する第2車線用車高計測部と、
前記第1車線用車高計測部の判断結果に基づいて、前記第1車線を走行する車両の車種区分を特定する第1車線用車種判別部と、
前記第2車線用車高計測部の判断結果に基づいて、前記第2車線を走行する車両の車種区分を特定する第2車線用車種判別部と、
を備える車種判別装置
【請求項2】
前記第1レーザスキャナは、前記第1車線の幅方向一方側に隣接する第3車線がある場合に、前記第1車線から前記第3車線にかけてスキャン範囲を有する、
請求項1に記載の車種判別装置
【請求項3】
第1車線の幅方向一方側のアイランドにおいて、車線方向の車両検知位置に、車軸高さに相当する第1の高さ、及び、所定車種の車両の最大車高に相当する第2の高さのうち一方の高さに配置された第1レーザスキャナにより前記第1車線をスキャンして第1スキャンデータを取得するステップと、
前記第1車線の幅方向他方側に隣接する第2車線の前記第1車線とは反対側に位置するアイランドにおいて、前記車線方向の位置が前記第1レーザスキャナと同じ前記車両検知位置に、前記第1レーザスキャナと同じ高さに配置された第2レーザスキャナにより前記第2車線をスキャンして第2スキャンデータを取得するステップと、
前記第1車線と前記第2車線との間のアイランドにおいて、前記車線方向における位置が前記第1レーザスキャナと同じ前記車両検知位置に、前記第1の高さ及び前記第2の高さのうち他方の高さに配置された第3レーザスキャナにより、前記第1車線から前記第2車線にかけてスキャンして第3スキャンデータを取得するステップと、
前記第1レーザスキャナ及び前記第3レーザスキャナのうち前記第2の高さに配置されたレーザスキャナからから取得したスキャンデータに含まれる、複数の異なる角度で投光された検査光のうち前記第2の高さで水平に投光された検査光による計測結果に基づいて前記第1車線を走行する車両の車高が前記最大車高以上であるか否か判断するステップと、
前記第2レーザスキャナ及び前記第3レーザスキャナのうち前記第2の高さに配置されたレーザスキャナから取得したスキャンデータに含まれる、複数の異なる角度で投光された検査光のうち前記第2の高さで水平に投光された検査光による計測結果に基づいて、前記第2車線を走行する車両の車高が前記最大車高以上であるか否か判断するステップと、
前記第1車線を走行する車両の車高の判断結果に基づいて、前記第1車線の前記車両検知位置を走行する車両の車種区分を特定するステップと、
前記第2車線を走行する車両の車高の判断結果に基づいて、前記第2車線の前記車両検知位置を走行する車両の車種区分を特定するステップと、
を有する車種判別方法。
【請求項4】
車種判別装置のコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータに、
第1車線の幅方向一方側のアイランドにおいて、車線方向の車両検知位置に、車軸高さに相当する第1の高さ、及び、所定車種の車両の最大車高に相当する第2の高さのうち一方の高さに配置された第1レーザスキャナにより前記第1車線をスキャンして第1スキャンデータを取得するステップと、
前記第1車線の幅方向他方側に隣接する第2車線の前記第1車線とは反対側に位置するアイランドにおいて、前記車線方向の位置が前記第1レーザスキャナと同じ前記車両検知位置に、前記第1レーザスキャナと同じ高さに配置された第2レーザスキャナにより前記第2車線をスキャンして第2スキャンデータを取得するステップと、
前記第1車線と前記第2車線との間のアイランドにおいて、前記車線方向における位置が前記第1レーザスキャナと同じ前記車両検知位置に、前記第1の高さ及び前記第2の高さのうち他方の高さに配置された第3レーザスキャナにより、前記第1車線から前記第2車線にかけてスキャンして第3スキャンデータを取得するステップと、
前記第1レーザスキャナ及び前記第3レーザスキャナのうち前記第2の高さに配置されたレーザスキャナからから取得したスキャンデータに含まれる、複数の異なる角度で投光された検査光のうち前記第2の高さで水平に投光された検査光による計測結果に基づいて前記第1車線を走行する車両の車高が前記最大車高以上であるか否か判断するステップと、
前記第2レーザスキャナ及び前記第3レーザスキャナのうち前記第2の高さに配置されたレーザスキャナから取得したスキャンデータに含まれる、複数の異なる角度で投光された検査光のうち前記第2の高さで水平に投光された検査光による計測結果に基づいて、前記第2車線を走行する車両の車高が前記最大車高以上であるか否か判断するステップと、
前記第1車線を走行する車両の車高の判断結果に基づいて、前記第1車線の前記車両検知位置を走行する車両の車種区分を特定するステップと、
前記第2車線を走行する車両の車高の判断結果に基づいて、前記第2車線の前記車両検知位置を走行する車両の車種区分を特定するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車種判別装置、車種判別方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車線を通行する車両を検知する技術として、例えば車線の上空から路面に向かってレーザ光を走査可能なレーザスキャナを備え、レーザ光による計測結果に基づいて車線上を車両が通行しているか否かを判断する車両検知器が考えられている。例えば特許文献1には、レーザスキャナに首振り動作可能な回動機構を設けることにより、車線上の所定範囲を一つのレーザスキャナで走査する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3240839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車両検知器では、レーザスキャナに障害が生じた場合(例えば投光素子が故障した場合)、当該車両検知器が設置された車線において車両を検知することができなくなる。このような場合に備え、一つの車線に二台以上のレーザスキャナを設置して冗長化することが考えられる。しかしながら、複数の車線を有する道路においては、少なくとも車線数の二倍以上の台数のレーザスキャナを設置する必要が生じるので、車両検知器のコストが大幅に増加してしまう。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものあって、機器コストを抑制しつつ冗長性を持たせることができる車種判別装置、車種判別方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
本発明の第一の態様によれば、車両検知器(12)は、第1車線の幅方向一方側のアイランドに配置された第1レーザスキャナ(11A)と、前記第1車線の幅方向他方側に隣接する第2車線の前記第1車線とは反対側に位置するアイランドに配置された第2レーザスキャナ(11B)と、前記第1車線と前記第2車線との間のアイランドに配置された第3レーザスキャナ(11C)と、を備え、前記第3レーザスキャナ(11C)は、前記第1車線から前記第2車線にかけてスキャン範囲を有している。
このようにすることで、車両検知器は、第3レーザスキャナにより第1車線及び第2車線両方のレーザスキャナを冗長化することができる。このため、一つの車線に二台のレーザスキャナを配置するよりも少ないコストで冗長性を有する車両検知器を導入することが可能となる。
【0007】
本発明の第二の態様によれば、第一の態様に係る車両検知器(12)は、前記第1レーザスキャナ(11A)から取得した第1スキャンデータと、前記第3レーザスキャナ(11C)から取得した第3スキャンデータとのうち少なくとも一方に基づいて、前記第1車線を走行する車両を検知する第1車線用車両検知部(201A)と、前記第2レーザスキャナ(11B)から取得した第2スキャンデータと、前記第3レーザスキャナ(11C)から取得した前記第3スキャンデータとのうち少なくとも一方に基づいて、前記第2車線を走行する車両を検知する第2車線用車両検知部(201B)と、を更に備える。
このようにすることで、何れか一のレーザスキャナが故障した場合であっても、第1車線用車両検知部及び第2車線用車両検知部は、故障していない他のレーザスキャナからスキャンデータを取得して、車両の検知を継続して行うことができる。
【0008】
本発明の第三の態様によれば、第一または第二の態様に係る車両検知器(12)において、前記第3レーザスキャナ(11C)は、前記第1レーザスキャナ(11A)及び前記第2レーザスキャナ(11B)に対し、高さ方向に異なる位置に配置されている。
このようにすることで、車両検知器は、異なる車高を有する様々な車両に対応することができる。
【0009】
本発明の第四の態様によれば、第一から第三の何れか一の態様に係る車両検知器(12)において、前記第3レーザスキャナ(11C)は、車軸高さに相当する第1の高さ、または、車高に相当する第2の高さに配置されている。
このようにすることで、車両検知器は、車両の車軸または車高に相当する高さにおけるスキャン結果を得ることができるので、様々な形状、大きさの車両に対応することができる。
【0010】
本発明の第五の態様によれば、車種判別装置(10)は、第一から第四の何れか一に記載の車両検知器(12)と、前記第1レーザスキャナ(11A)から取得した第1スキャンデータ及び前記第3レーザスキャナ(11C)から取得した第3スキャンデータのうち少なくとも一方に基づいて、前記第1車線を走行する車両の車種区分を特定する第1車線用車種判別部(210A)と、前記第2レーザスキャナ(11B)から取得した第2スキャンデータ及び前記第3レーザスキャナ(11C)から取得した第3スキャンデータのうち少なくとも一方に基づいて、前記第2車線を走行する車両の車種区分を特定する第2車線用車種判別部(210B)と、を備える。
従来の車種判別装置では、車両の車種区分を特定可能な情報を収集するために、複数のセンサ機器を設置する必要があった。しかしながら、上述の車種判別装置は、車両検知器が取得したスキャンデータを、車種区分を特定するための情報として用いることができるので、車種判別に必要な機器を削減することができる。
【0011】
本発明の第六の態様によれば、車両検知方法は、第1車線の幅方向一方側のアイランドより前記第1車線をスキャンして第1スキャンデータを取得するステップと、前記第1車線の幅方向他方側に隣接する第2車線の前記第1車線とは反対側に位置するアイランドより前記第2車線をスキャンして第2スキャンデータを取得するステップと、前記第1車線と前記第2車線との間のアイランドより、前記第1車線から前記第2車線にかけてスキャンして第3スキャンデータを取得するステップと、を有する。
【0012】
本発明の第七の態様によれば、車種判別方法は、第1車線の幅方向一方側のアイランドより前記第1車線をスキャンして第1スキャンデータを取得するステップと、前記第1車線の幅方向他方側に隣接する第2車線の前記第1車線とは反対側に位置するアイランドより前記第2車線をスキャンして第2スキャンデータを取得するステップと、前記第1車線と前記第2車線との間のアイランドより、前記第1車線から前記第2車線にかけてスキャンして第3スキャンデータを取得するステップと、前記第1スキャンデータ及び前記第3スキャンデータのうち少なくとも一方に基づいて、前記第1車線を走行する車両の車種区分を特定するステップと、前記第2スキャンデータ及び前記第3スキャンデータのうち少なくとも一方に基づいて、前記第2車線を走行する車両の車種区分を特定するステップと、を有する。
【0013】
本発明の第八の態様によれば、車両検知器のコンピュータを機能させるプログラムは、前記コンピュータに、第1車線の幅方向一方側のアイランドより前記第1車線をスキャンして第1スキャンデータを取得するステップと、前記第1車線の幅方向他方側に隣接する第2車線の前記第1車線とは反対側に位置するアイランドより前記第2車線をスキャンして第2スキャンデータを取得するステップと、前記第1車線と前記第2車線との間のアイランドより、前記第1車線から前記第2車線にかけてスキャンして第3スキャンデータを取得するステップと、を実行させる。
【0014】
本発明の第九の態様によれば、車種判別装置のコンピュータを機能させるプログラムは、前記コンピュータに、第1車線の幅方向一方側のアイランドより前記第1車線をスキャンして第1スキャンデータを取得するステップと、前記第1車線の幅方向他方側に隣接する第2車線の前記第1車線とは反対側に位置するアイランドより前記第2車線をスキャンして第2スキャンデータを取得するステップと、前記第1車線と前記第2車線との間のアイランドより、前記第1車線から前記第2車線にかけてスキャンして第3スキャンデータを取得するステップと、前記第1スキャンデータ及び前記第3スキャンデータのうち少なくとも一方に基づいて、前記第1車線を走行する車両の車種区分を特定するステップと、前記第2スキャンデータ及び前記第3スキャンデータのうち少なくとも一方に基づいて、前記第2車線を走行する車両の車種区分を特定するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
上述の車種判別装置、車種判別方法、及びプログラムによれば、機器コストを抑制しつつ冗長性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る車種判別装置の概略を示す第一の図である。
図2】本発明の一実施形態に係る車種判別装置の概略を示す第二の図である。
図3】本発明の一実施形態に係る車種判別装置の機能構成を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る車両検知器の処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係る車両検知器の処理の一例を示す第2のフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係る車種判別装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係る車種判別装置の機能を説明するための図である。
図8】本発明の一実施形態に係る車種判別装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1の実施形態に係る車両検知器及び車種判別装置について、図1図8を参照しながら説明する。
【0018】
(車種判別装置の全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る車種判別装置の概略を示す第一の図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る車種判別装置の概略を示す第二の図である。
本実施形態に係る車種判別装置10は、例えば有料道路の入口または出口に設けられた料金所に設置され、当該有料道路を利用する車両Aの車種区分を判別するための装置である。
例えば、図1には、有料道路の出口料金所における車種判別装置10の例が示されている。当該出口料金所には、有料道路側から一般道路側へ通じる複数の料金所車線(第1車線L1、第2車線L2、・・・)が設けられている。有料道路を利用する車両Aは、何れかの車線を走行し、有料道路から一般道路へ降りる。
また、第1車線L1の幅方向一方側(-Y側)にはアイランドI1が敷設され、第2車線L2の幅方向他方側(+Y側)にはアイランドI3が敷設されている。更に、第1車線L1と第2車線L2との間には、アイランドI2が敷設されている。これらのアイランドI1~I3には、車種判別装置10を構成する各種機器が設置されている。
なお、図1の例では、出口料金所に二つの車線が設けられている構成を例として説明するが、これに限られることはない。他の実施形態では、三つ以上の車線が設けられていてもよい。
【0019】
また、以下の説明では、第1車線L1、第2車線L2が延在する方向(図1における±X方向)を「車線方向」とも記載し、また、車線方向に水平に直交する方向(図1における±Y方向)を「車線幅方向」とも記載する。また、第1車線L1、第2車線L2の車線方向における高速道路側(図1における+X方向側)を「車線上流側」、または、車両Aの「進行方向手前側」とも記載する。また、第1車線L1、第2車線L2の車線方向における一般道路側(図1における-X方向側)を「車線下流側」、または、車両Aの「進行方向奥側」とも記載する。
【0020】
車種判別装置10は、アイランドI1~I3に敷設された各機器を用いて第1車線L1、第2車線L2それぞれに進入した車両Aの車種区分を特定する。本実施形態に係る車種判別装置10は、車両Aを「軽自動車」、「普通車」、「中型車」、「大型車」、「特大車」の5つのうちいずれの車種区分に属するかを特定する。
車種判別装置10が特定した車両Aの車種区分は、例えば不図示の料金自動収受機に送信され、当該料金自動収受機において車両Aの通行料金を計算及び収受する際に用いられる。
図1に示すように、車種判別装置10は、第1レーザスキャナ11Aと、第2レーザスキャナ11Bと、第3レーザスキャナ11Cと、第1処理装置20Aと、第2処理装置20Bとを備えている。
【0021】
第1レーザスキャナ11Aは、第1車線L1の幅方向一方側(-Y側)のアイランドI1上であって、車線方向(±X方向)における車両検知位置X0に配置される。また、図2に示すように、第1レーザスキャナ11Aは、車両Aの車軸高さに相当する第1の高さH1に配置されている。本実施形態では、第1の高さH1は、「大型車」の車軸高さ(例えば50cm)に相当するように設定されている。
第1レーザスキャナ11Aは、車両検知位置X0において車線方向に直交する平面(YZ平面)を走査面(スキャン範囲)として検査光Paを投光する投光素子101Aを有する。第1レーザスキャナ11Aは、投光素子101Aを車線方向(X方向)に沿う回転軸回りに回転させる。これにより、第1レーザスキャナ11Aは、検査光Paの光軸を車線幅方向一方側(または他方側)から上空(+Z側)を経由して他方側(または一方側)に回転させながら、複数回、検査光Paを投光する。例えば、第1レーザスキャナ11Aは、光軸を垂直方向上方(+Z側)に向けた状態を角度0とした場合、車線幅方向一方側(-Y側)に光軸を-θ度傾けた位置から、車線方向他方側(+Y側)に光軸を+θ度傾けた位置までの範囲を走査面として走査を行う。即ち、第1レーザスキャナ11Aは、車線幅方向一方側(-Y側)において第1車線L1に隣接する他の車線から、第1車線L1にかけて走査面を有している。
第1レーザスキャナ11Aは、一回の走査において投光された複数の検査光Paそれぞれの反射光を検知して、第1レーザスキャナ11Aから反射光それぞれの反射位置までの距離を計測する。具体的には、第1レーザスキャナ11Aは、検査光Paを投光した走査角度と、反射光を受光するまでの時間とに基づいて、反射位置までの距離を計測する。そして、第1レーザスキャナ11Aは、複数の検査光Paそれぞれの走査角度と反射位置までの距離とを対応付けたデータを「第1スキャンデータ」として第1処理装置20Aに出力する。
【0022】
第2レーザスキャナ11Bは、図1に示すように、第1車線L1に隣接する第2車線L2の幅方向他方側(+Y側)のアイランドI3上であって、車線方向(±X方向)における車両検知位置X0に配置される。
また、図2に示すように、第2レーザスキャナ11Bは、第1レーザスキャナ11Aと同様に車両Aの車軸高さに相当する第1の高さH1に配置され、車両検知位置X0において車線方向に直交する平面(YZ平面)を走査面(スキャン範囲)として検査光Pbを投光する投光素子101Bを有する。例えば、第2レーザスキャナ11Bは、光軸を垂直方向上方(+Z側)に向けた状態を角度0とした場合、車線幅方向一方側(-Y側)に光軸を-θ度傾けた位置から、車線方向他方側(+Y側)に光軸を+θ度傾けた位置までの範囲を走査面として検査光Pbを投光する。即ち、第2レーザスキャナ11Bは、第2車線L2から、車線幅方向他方側(+Y側)において第2車線L2に隣接する他の車線にかけて走査面を有している。
第2レーザスキャナ11Bは、第1レーザスキャナ11Aと同様に、一回の走査において投光された複数の検査光Pbそれぞれの反射光を検知して、第2レーザスキャナ11Bから反射光それぞれの反射位置までの距離を計測する。そして、第2レーザスキャナ11Bは、複数の検査光Pbそれぞれの走査角度と反射位置までの距離とを対応付けたデータを「第2スキャンデータ」として第2処理装置20Bに出力する。
【0023】
第3レーザスキャナ11Cは、図1に示すように、第1車線L1と第2車線L2との間のアイランドI2上であって、車線方向(±X方向)における車両検知位置X0に配置される。また、図2に示すように、第3レーザスキャナ11Cは、第1レーザスキャナ11A及び第2レーザスキャナ11Bに対し、高さ方向(±Z方向)に異なる位置に配置されている。具体的には、第3レーザスキャナ11Cは、車両Aの車高に相当する第2の高さH2に配置されている。本実施形態では、第2の高さH2は、「普通車」の最大車高(例えば2m)に相当するように設定されている。なお、第3レーザスキャナ11Cは、図2に示すように支柱上に設置されていてもよいし、不図示の天井、ガントリ等から吊下げて設置されていてもよい。
第3レーザスキャナ11Cは、車両検知位置X0において車線方向に直交する平面(YZ平面)を走査面(スキャン範囲)として検査光Pcを投光する投光素子101Cを有する。第3レーザスキャナ11Cは、投光素子101Aを車線方向(X方向)に沿う回転軸回りに回転させる。これにより、第3レーザスキャナ11Cは、検査光Pcの光軸を車線幅方向他方側(または一方側)から路面及びアイランドI2(-Z側)を経由して一方側(または他方側)に回転させながら、複数回、検査光Pcを投光する。例えば、第3レーザスキャナ11Cは、光軸を垂直方向下方(-Z側)に向けた状態を角度0とした場合、車線幅方向他方側(+Y側)に光軸を-θ度傾けた位置から、車線方向一方側(-Y側)に光軸を+θ度傾けた位置までの範囲を走査面として走査を行う。即ち、第3レーザスキャナ11Cは、第1車線L1から第2車線L2にかけて走査面を有している。
第3レーザスキャナ11Cは、第1レーザスキャナ11Aと同様に、一回の走査において投光された複数の検査光Pcそれぞれの反射光を検知して、第3レーザスキャナ11Cから反射光それぞれの反射位置までの距離を計測する。そして、第3レーザスキャナ11Cは、複数の検査光Pcそれぞれの走査角度と反射位置までの距離とを対応付けたデータを「第3スキャンデータ」として第1処理装置20A及び第2処理装置20Bに出力する。
【0024】
なお、本実施形態では、第1レーザスキャナ11A及び第2レーザスキャナ11Bが第1の高さH1に配置され、第3レーザスキャナ11Cが第2の高さH2に配置される態様を例として説明するが、これに限られることはない。他の実施形態では、第1の高さH1に配置されるレーザスキャナと、第2の高さH2に配置されるレーザスキャナとが交互に並んでいればよく、例えば第1レーザスキャナ11A及び第2レーザスキャナ11Bが第2の高さH2に配置され、第3レーザスキャナ11Cが第1の高さH1に配置されてもよい。
【0025】
第1処理装置20Aは、図1に示すように、車両検知位置X0よりも車線方向下流側(-X側)のアイランドI2上に設置される。なお、図1の例では、第1処理装置20AはアイランドI2上に設置されているが、アイランドI1上に設置されていてもよい。
第1処理装置20Aは、第1レーザスキャナ11Aから取得した第1スキャンデータ、及び第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータのうち少なくとも一方に基づいて、第1車線L1を走行する車両Aの検知及び車種区分の特定を行う。
なお、第1処理装置20Aは、第1レーザスキャナ11A及び第3レーザスキャナ11Cの一方が故障した場合、他方から取得したスキャンデータのみに基づいて、車両Aの検知を行う。したがって、例えば第1処理装置20Aは、第1レーザスキャナ11Aが故障した場合、第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータのみに基づいて、第1車線L1を走行する車両Aの検知を行う。
【0026】
第2処理装置20Bは、図1に示すように、車両検知位置X0よりも車線方向下流側(-X側)のアイランドI3上に設置される。なお、図1の例では、第2処理装置20BはアイランドI3上に設置されているが、アイランドI2上に設置されていてもよい。
第2処理装置20Bは、第2レーザスキャナ11Bから取得した第2スキャンデータ、及び第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータのうち少なくとも一方に基づいて、第2車線L2を走行する車両Aの検知及び車種区分の特定を行う。
なお、第2処理装置20Bは、第2レーザスキャナ11B及び第3レーザスキャナ11Cの一方が故障した場合、他方から取得したスキャンデータのみに基づいて、車両Aの検知を行う。したがって、例えば第2処理装置20Bは、第2レーザスキャナ11Bが故障した場合、第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータのみに基づいて、第1車線L1を走行する車両Aの検知を行う。
また、本実施形態では、車線別に処理装置(第1処理装置20A及び第2処理装置20B)を備える態様について説明するが、これに限られることはない。他の実施形態では、一台の処理装置が各レーザスキャナからスキャンデータを取得し、第1車線L1及び第2車線L2のそれぞれを走行する車両Aの検知及び車種区分の特定を行うようにしてもよい。
【0027】
(車種判別装置の機能構成)
図3は、本発明の一実施形態に係る車種判別装置の機能構成を示す図である。
図3に示すように、車種判別装置10は、第1レーザスキャナ11Aと、第2レーザスキャナ11Bと、第3レーザスキャナ11Cと、第1処理装置20Aと、第2処理装置20Bとを備えている。第1レーザスキャナ11A、第2レーザスキャナ11B、及び第3レーザスキャナ11Cそれぞれの機能は上述したとおりである。
また、本実施形態において、第1レーザスキャナ11Aと、第2レーザスキャナ11Bと、第3レーザスキャナ11Cと、第1処理装置20A、20Bの機能部(後述の車両検知部201A、201B及び異常判断部202A、202B)とを総称して、車両検知器12とも表記する。
【0028】
第1処理装置20Aは、CPU21Aと、記憶部22Aとを備えている。
CPU21Aは、第1処理装置20Aの動作全体を司るプロセッサであり、所定のプログラムに基づいて動作することで、車両検知部201A(第1車線用車両検知部)、異常判断部202A(第1車線用異常判断部)、車軸数特定部203A(第1車線用車軸数特定部)、車高計測部204A(第1車線用車高計測部)、車幅計測部205A(第1車線用車幅計測部)、及び車種区分特定部206A(第1車線用車種区分特定部)としての機能を発揮する。
また、車軸数特定部203A、車高計測部204A、車幅計測部205A、及び車種区分特定部206Aとを総称して車種判別部210A(第1車線用車種判別部)とも表記する。
【0029】
車両検知部201Aは、第1レーザスキャナ11Aから取得した第1スキャンデータ、及び第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータのうち少なくとも一方に基づいて、第1車線L1を走行する車両Aを検知する。
【0030】
異常判断部202Aは、第1レーザスキャナ11Aから取得した第1スキャンデータ及び第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータに基づいて、第1レーザスキャナ11Aまたは第3レーザスキャナ11Cに異常が発生しているか否かを判断する。
具体的には、異常判断部202Aは、第1レーザスキャナ11A及び第3レーザスキャナ11Cの何れか一方からのみスキャンデータを取得した場合、スキャンデータを取得できなかったレーザスキャナにおいて異常が発生していると判断する。また、異常判断部202Aは、第1レーザスキャナ11A及び第3レーザスキャナ11Cの両方からスキャンデータを取得した場合であっても、車両検知部201Aによる検知結果が一致しない場合、何れか一方のレーザスキャナに異常が発生していると判断する。
【0031】
車種判別部210Aは、第1レーザスキャナ11Aから取得した第1スキャンデータ、及び第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータに基づいて、第1車線L1を走行する車両Aの車種区分を判別する。
【0032】
車軸数特定部203Aは、第1レーザスキャナ11Aから取得した第1スキャンデータに基づいて、第1車線L1を走行する車両Aの車軸数を特定する。
【0033】
車高計測部204Aは、第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータに基づいて、第1車線L1を走行する車両Aの車高を計測する。
【0034】
車幅計測部205Aは、第1レーザスキャナ11Aから取得した第1スキャンデータ、及び第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータに基づいて、第1車線L1を走行する車両Aの車幅を計測する。
【0035】
車種区分特定部206Aは、車軸数特定部203Aが特定した車軸数と、車高計測部204Aが計測した車高と、車幅計測部205Aが計測した車幅とに基づいて、第1車線L1を走行する車両Aの車種区分を特定する。
【0036】
記憶部22Aには、第1スキャンデータ及び第3スキャンデータが時系列に蓄積される。また、記憶部22Aには、車両検知部201Aが車両Aを検知するために用いる各種情報、及び、車種判別部210Aの各部(車軸数特定部203A、車高計測部204A、車幅計測部205A、車種区分特定部206A)が車軸数、車高、車幅を計測し、車種区分を特定するために用いる各種情報が予め記憶されている。
【0037】
第2処理装置20Bは、CPU21Bと、記憶部22Bとを備えている。
CPU21Bは、第2処理装置20Bの動作全体を司るプロセッサであり、所定のプログラムに基づいて動作することで、車両検知部201B(第2車線用車両検知部)、異常判断部202B(第2車線用異常判断部)、車軸数特定部203B(第2車線用車軸数特定部)、車高計測部204B(第2車線用車高計測部)、車幅計測部205B(第2車線用車幅計測部)、及び車種区分特定部206B(第2車線用車種区分特定部)としての機能を発揮する。
また、車軸数特定部203B、車高計測部204B、車幅計測部205B、及び車種区分特定部206Bとを総称して車種判別部210B(第2車線用車種判別部)とも表記する。
【0038】
車両検知部201Bは、第2レーザスキャナ11Bから取得した第2スキャンデータ、及び第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータのうち少なくとも一方に基づいて、第2車線L2を走行する車両Aを検知する。
【0039】
異常判断部202Bは、第2レーザスキャナ11Bから取得した第2スキャンデータ及び第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータに基づいて、第2レーザスキャナ11Bまたは第3レーザスキャナ11Cに異常が発生しているか否かを判断する。
具体的には、異常判断部202Bは、第2レーザスキャナ11B及び第3レーザスキャナ11Cの何れか一方からのみスキャンデータを取得した場合、スキャンデータを取得できなかったレーザスキャナにおいて異常が発生していると判断する。また、異常判断部202Bは、第2レーザスキャナ11B及び第3レーザスキャナ11Cの両方からスキャンデータを取得した場合であっても、車両検知部201Aによる検知結果が一致しない場合、何れか一方のレーザスキャナに異常が発生していると判断する。
【0040】
車種判別部210Bは、第2レーザスキャナ11Bから取得した第2スキャンデータ、及び第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータに基づいて、第2車線L2を走行する車両Aの車種区分を特定する。
【0041】
車軸数特定部203Bは、第2レーザスキャナ11Bから取得した第2スキャンデータに基づいて、第2車線L2を走行する車両Aの車軸数を特定する。
【0042】
車高計測部204Bは、第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータに基づいて、第2車線L2を走行する車両Aの車高を計測する。
【0043】
車幅計測部205Bは、第2レーザスキャナ11Bから取得した第1スキャンデータ、及び第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータに基づいて、第2車線L2を走行する車両Aの車幅を計測する。
【0044】
車種区分特定部206Bは、車軸数特定部203Bが特定した車軸数と、車高計測部204Bが計測した車高と、車幅計測部205Bが計測した車幅とに基づいて、第2車線L2を走行する車両Aの車種区分を特定する。
【0045】
記憶部22Bには、第2スキャンデータ及び第3スキャンデータが時系列に蓄積される。また、記憶部22Bには、車両検知部201Bが車両Aを検知するために用いる各種情報、及び、車種判別部210Bの各部(車軸数特定部203B、車高計測部204B、車幅計測部205B、車種区分特定部206B)が車軸数、車高、車幅を計測し、車種区分を特定するために用いる各種情報が予め記憶されている。
【0046】
(車両検知器の処理フロー)
図4は、本発明の一実施形態に係る車両検知器の処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図5は、本発明の一実施形態に係る車両検知器の処理の一例を示す第2のフローチャートである。
以下、図4及び図5を参照して、本実施形態に係る車両検知器12における車両検知処理及び異常検出処理の一例を説明する。ここでは、第1処理装置20Aの車両検知部201Aが、第1車線L1に車両Aが存在するか否かを判断し、また、第1レーザスキャナ11A及び第3レーザスキャナ11Cに異常が発生しているか否かを判断する処理の流れについて説明する。
まず、図4に示すように、車両検知部201Aは、第1スキャンデータ及び第3スキャンデータの両方を取得できたか否かを判断する(ステップS100)。
車両検知部201Aは、両方を取得できた場合(ステップS100:YES)、次のステップS101に進む。
一方、車両検知部201Aは、何れか一方のデータのみを取得した場合(ステップS100:NO)、図5の処理に進む。当該処理の詳細については後述する。
【0047】
次に、車両検知部201Aは、第1スキャンデータに含まれる反射位置までの距離(以下、「計測距離」と称する)のうち、基準距離r以下の計測距離があるか否かを判断する(ステップS101)。
具体的には、車両検知部201Aは、まず第1スキャンデータから、第1車線L1上の走査面(図2の走査角度0度~+θ度の範囲)に相当する「第1車線L1のスキャンデータ」を抽出する。
そして、車両検知部201Aは、図2に示すように、第1車線L1上を車両Aが走行する場合に、車両Aの車体が通過すると想定される位置までの距離を基準距離rとして予め設定する。基準距離rは、車線幅、第1レーザスキャナ11Aの設置位置等に応じて任意の値が設定される。車両検知部201Aは、基準距離rよりも短い距離が計測された場合、第1車線L1上に第1レーザスキャナ11Aの検査光Paを遮る物体、即ち車両Aがあると判断できる。
そして、車両検知部201Aは、第1スキャンデータから抽出した「第1車線L1のスキャンデータ」に、基準距離r以下の計測距離が含まれている場合(ステップS101:YES)、第1車線L1に車両Aが存在することを検知する(ステップS102)。
一方、車両検知部201Aは、第1スキャンデータから抽出した「第1車線L1のスキャンデータ」に、基準距離r以下の計測距離が含まれていない場合(ステップS101:NO)、ステップS106に進む。
【0048】
次に、車両検知部201Aは、第3スキャンデータに含まれる計測距離のうち、基準距離r以下の計測距離があるか否かを判断する(ステップS103)。
具体的には、車両検知部201Aは、まず第3スキャンデータから、第1車線L1上の走査面(図2の走査角度0度~+θ度の範囲)に相当する「第1車線L1のスキャンデータ」を抽出する。
車両検知部201Aは、ステップS101と同様に、第1車線L1上を車両Aが走行する場合に、車両Aの車体が通過すると想定される位置までの距離を基準距離rとして予め設定する。基準距離rは、ステップS101の基準距離rと異なる値が設定されてもよく、車線幅、第3レーザスキャナ11Cの設置位置等に応じて任意の値が設定される。車両検知部201Aは、基準距離rよりも短い距離が計測された場合、第1車線L1上に第1レーザスキャナ11Aの検査光Pcを遮る物体、即ち車両Aがあると判断できる。
そして、車両検知部201Aは、第3スキャンデータから抽出した「第1車線L1のスキャンデータ」に、基準距離r以下の計測距離が含まれている場合(ステップS103:YES)、第1車線L1に車両Aが存在することを検知する。この場合、異常判断部202Aは、第1スキャンデータに基づく検知結果と、第3スキャンデータに基づく検知結果が「車両の存在を検知」で一致するので、第1レーザスキャナ11A及び第3レーザスキャナ11Cの双方が正常に動作していると判断する(ステップS104)。
一方、車両検知部201Aは、第3スキャンデータから抽出した「第1車線L1のスキャンデータ」に、基準距離r以下の計測距離が含まれていない場合(ステップS103:NO)、第3スキャンデータから車両Aが検知できなかったと判断する。
例えば、レーザスキャナの発光素子又は受光素子が破損している場合、スキャンデータは出力されるものの、計測距離が無限遠(即ち、基準距離rよりも大きい値)として出力される可能性がある。このため、異常判断部202Aは、第1スキャンデータから車両Aの存在が検知されているにも関わらず、第3スキャンデータから車両Aの存在が検知できなかった場合は、第3レーザスキャナ11Cに破損等の異常が発生しており、正常なデータが出力できなくなっていると判断する(ステップS105)。
【0049】
また、第1スキャンデータから車両Aの存在を検知できなかった場合(ステップS101:NO)、車両検知部201Aは、第3スキャンデータに含まれる計測距離のうち、基準距離r以下の計測距離があるか否かを判断する(ステップS106)。
ここでは、ステップS102と同様の処理が行われるため、説明は割愛する。
車両検知部201Aは、第3スキャンデータから抽出した「第1車線L1のスキャンデータ」に、基準距離r以下の計測距離が含まれている場合(ステップS106:YES)、第1車線L1に車両Aが存在することを検知する(ステップS107)。この場合、異常判断部202Aは、第3スキャンデータから車両Aの存在が検知されているにも関わらず、第1スキャンデータから車両Aの存在が検知できなかったので、第1レーザスキャナ11Aに破損等の異常が発生しており、正常なデータが出力できなくなっていると判断する(ステップS108)。
一方、車両検知部201Aは、第3スキャンデータから抽出した「第1車線L1のスキャンデータ」に、基準距離r以下の計測距離が含まれていない場合(ステップS106:NO)、第1車線L1に車両Aが不在であることを検知する(ステップS109)。この場合、異常判断部202Aは、第1スキャンデータに基づく検知結果と、第3スキャンデータに基づく検知結果が「車両の不在を検知」で一致するので、第1レーザスキャナ11A及び第3レーザスキャナ11Cの双方が正常に動作していると判断する(ステップS110)。
【0050】
また、車両検知部201Aが第1スキャンデータ及び第3スキャンデータのうち何れか一方のデータのみを取得した場合(ステップS100:NO)、車両検知器12は、図5に示す処理を実行する。
具体的には、図5に示すように、異常判断部202Aは、第1スキャンデータのみを取得した場合(ステップS111:YES)、第3レーザスキャナ11Cに故障が発生していると判断する(ステップS112)。
この場合、車両検知部201Aは、図4のステップS101と同様の処理を行い、第1スキャンデータのみに基づいて車両の有無を判断する。即ち、車両検知部201Aは、第1スキャンデータから抽出した「第1車線L1のスキャンデータ」に、基準距離r以下の計測距離が含まれている場合(ステップS113:YES)、第1車線L1に車両Aが存在することを検知する(ステップS114)。一方、車両検知部201Aは、第1スキャンデータから抽出した「第1車線L1のスキャンデータ」に、基準距離r以下の計測距離が含まれていない場合(ステップS113:NO)、第1車線L1に車両Aが不在であることを検知する(ステップS115)。
【0051】
また、異常判断部202Aは、第3スキャンデータのみを取得した場合(ステップS111:NO)、第1レーザスキャナ11Aに故障が発生していると判断する(ステップS116)。
この場合、車両検知部201Aは、図4のステップS103又はS106と同様の処理を行い、第3スキャンデータのみに基づいて車両の有無を判断する。即ち、車両検知部201Aは、第3スキャンデータから抽出した「第1車線L1のスキャンデータ」に、基準距離r以下の計測距離が含まれている場合(ステップS117:YES)、第1車線L1に車両Aが存在することを検知する(ステップS118)。一方、車両検知部201Aは、第3スキャンデータから抽出した「第1車線L1のスキャンデータ」に、基準距離r以下の計測距離が含まれていない場合(ステップS117:NO)、第1車線L1に車両Aが不在であることを検知する(ステップS119)。
【0052】
このように、車両検知器12は、第1スキャンデータ及び第3スキャンデータを取得する度に、上述の処理を実行する。これにより、車両検知器12は、第1車線L1における車両Aの存在の有無を検知するとともに、第1レーザスキャナ11A及び第3レーザスキャナ11Cにおける故障等の異常の有無を検出することができる。
車両検知部201Aは、第1スキャンデータ及び第3スキャンデータの少なくとも一方に基づき第1車線L1に車両Aが存在することを検知している間は車種判別装置10の各部へ車両検知信号を出力し続ける。このため、車種判別装置10の各部は、車両検知信号が出力されている間は車両Aが車両検知位置X0を走行中であり、車両検知信号が出力されなくなると車両Aが車両検知位置X0を通過したことを知ることができる。
また、車両検知器12は、第2レーザスキャナ11Bから出力された第2スキャンデータと、第3レーザスキャナ11Cから出力された第3スキャンデータとに基づき、上述の処理を行うことにより、第2車線L2における車両Aの存在の有無を検知するとともに、第2レーザスキャナ11B及び第3レーザスキャナ11Cにおける故障等の異常の有無を検出することができる。
なお、異常判断部202A及び異常判断部202Bは、第1レーザスキャナ11A、第2レーザスキャナ11B、第3レーザスキャナ11Cの少なくとも一つに異常が発生していると判断した場合、不図示の監視装置等に対し、どのレーザスキャナに異常が発生したかを通知するようにしてもよい。これにより、車両検知器12の管理、メンテナンスを行う管理者は、車両検知器12の修理、交換等の作業を迅速に実施することができる。
【0053】
(車種判別装置の処理フロー)
図6は、本発明の一実施形態に係る車種判別装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図7は、本発明の一実施形態に係る車種判別装置の機能を説明するための図である。
以下、図6図7を参照して、本実施形態に係る車種判別装置10の車種判別部210A、210Bにおける車種判別処理の一例を説明する。ここでは、車種判別部210Aが第1車線L1を走行する車両Aの車種区分を判別する処理の流れについて説明する。
図6に示すように、第1処理装置20Aの車軸数特定部203Aは、車両検知部201Aが車両検知信号を出力している間に取得された第1スキャンデータに基づいて、車両Aの車軸数を特定する(ステップS200)。
具体的には、車軸数特定部203Aは、図7に示すように、第1レーザスキャナ11Aが一回の走査で投光する複数の検査光Paのうち、ある走査角度αで投光された検査光を代表検査光Pa0とする。代表検査光Pa0は、例えば、車両Aの車軸(タイヤ)が車両検知位置X0に位置しているときに車両Aの車軸上の地点c1に投光され、車両Aの車軸以外の部位が車両検知位置X0に位置しているときに車体下を通って路面上の地点c0に投光されるものが選択される。
そして、車軸数特定部203Aは、車両検知部201Aが車両検知信号を出力している間に取得された第1スキャンデータのうち、代表検査光Pa0の計測距離が地点c0までの距離よりも短いもの、即ち、車両Aの車軸が車両検知位置X0に位置しているときに取得されたスキャンデータを車軸検出データとして抽出する。この時、車軸数特定部203Aは、時系列に連続する車軸検出データを一つの車軸に属するものとしてグループ化する。
車軸数特定部203Aは、このように検出した車軸検出データのグループ数をカウントし、当該グループ数を車両Aの車軸数として特定する。
【0054】
次に、車高計測部204Aは、車両検知部201Aが車両検知信号を出力している間に取得された第3スキャンデータに基づいて、車両Aの車高を計測する(ステップS201)。
具体的には、車高計測部204Aは、図7に示すように、第3レーザスキャナ11Cが一回の走査で投光する複数の検査光Pcのうち、第1車線L1に向かって水平に投光された検査光を代表検査光Pc0とする。
そして、車高計測部204Aは、車両検知部201Aが車両検知信号を出力している間に取得された第3スキャンデータのうち、代表検査光Pc0の計測距離が基準距離r以下であるスキャンデータの有無を判断する。
少なくとも一部の第3スキャンデータにおいて、代表検査光Pc0の計測距離が基準距離r以下となっている場合、高さH2以上の位置に車両Aが存在していることがわかる。高さH2が「軽自動車」や「小型自動車」の限度高さである2mとなっていれば、車高計測部204Aは、当該車両Aの車高は「軽自動車や小型自動車の最大車高以上である」と特定する。
一方、全ての第3スキャンデータにおいて、代表検査光Pc0の計測距離が基準距離rより大きい場合、高さH2以上の位置に車両Aの車体が存在していないことがわかる。この場合、車高計測部204Aは、当該車両Aの車高は「軽自動車や小型自動車の限度高さ未満である」と特定する。
なお、車高計測部204Aは、第3スキャンデータに含まれる走査角度と計測距離とにより示される検査光Pa、Pcそれぞれの反射位置を直交系座標(YZ座標)に変換するとともに、高さ方向の値(Zの値)が最も大きいものを、車両Aの車高として特定してもよい。
【0055】
次に、車幅計測部205Aは、車両検知部201Aが車両検知信号を出力している間に取得された第1スキャンデータ及び第3スキャンデータに基づいて、車両Aの車幅を計測する(ステップS202)。
具体的には、車幅計測部205Aは、同一のタイミングで取得した第1スキャンデータと第3スキャンデータとを一つの組として、組ごとに以下の処理を行う。
車幅計測部205Aは、第1スキャンデータ及び第3スキャンデータから、第1車線L1上の走査面(図2の走査角度0度~+θ度の範囲)に相当する「第1車線L1のスキャンデータ」をそれぞれ抽出する。また、車幅計測部205Aは、第1スキャンデータ及び第3スキャンデータから抽出した「第1車線L1のスキャンデータ」に含まれる走査角度と計測距離とにより示される検査光Pa、Pcそれぞれの反射位置を直交系座標(YZ座標)に変換する。
そして、車幅計測部205Aは、第1スキャンデータから得たYZ座標のうち、最も小さいYの値(Y_min)を含む座標が、車両Aの幅方向一方側(図7の-Y側)の端部を示す座標であると判断する。また、車幅計測部205Aは、第3スキャンデータから得たYZ座標のうち、最も大きいYの値(Y_max)を含む座標が、車両Aの幅方向他方側(図7の+Y側)の端部を示す座標であると判断する。車幅計測部205Aは、Y_maxからY_minを減じて車両Aの車幅(ΔY)を算出する。
なお、車両Aの位置(X方向における位置)によって車幅が変化する可能性があるので、車幅計測部205Aは、複数の組それぞれから算出された車両の車幅(ΔY)のうち、最も大きい値を車両Aの車幅として特定する。
【0056】
次に、車種区分特定部206Aは、車軸数特定部203Aが特定した車軸数と、車高計測部204Aが計測した車高と、車幅計測部205Aが計測した車幅とに基づいて、車両Aの車種区分を特定する(ステップS203)。
車種区分特定部206Aにより特定された車種区分は、料金所に設置された不図示の料金自動収受機等に送信され、当該車種区分に基づき車両Aの利用料金が計算、収受される。
【0057】
車種判別部210Aの各部は、車両検知部201Aが第1車線L1を走行する車両Aを検知する度に、上述の処理を実行して、当該車両Aの車種区分を判別する。
また、第2処理装置20Bの車種判別部210Bの各部は、車両検知部201Bが第2車線L2を走行する車両Aを検知する度に、車種判別部210Aと同様に上述の処理を実行して、当該車両Aの車種区分を判別する。
【0058】
(車種判別装置のハードウェア構成)
図8は、本発明の一実施形態に係る車種判別装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
上述の車種判別装置10(車両検知器12)は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、CPU21A、21Bが各種処理に用いる記憶領域(記憶部22A、22B)を主記憶装置902に確保する。
【0059】
補助記憶装置903の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。補助記憶装置903は、コンピュータ900のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース904または通信回線を介してコンピュータ900に接続される外部記憶装置910であってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0060】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0061】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る車両検知器12は、第1車線L1の幅方向一方側のアイランドI1に配置された第1レーザスキャナ11Aと、第1車線L1に隣接する第2車線L2の幅方向他方側のアイランドI3に配置された第2レーザスキャナ11Bと、第1車線L1と第2車線L2との間のアイランドI2に配置された第3レーザスキャナ11Cと、を備え、第3レーザスキャナ11Cは、第1車線L1から第2車線L2にかけて走査面(スキャン範囲)を有している。
このようにすることで、車両検知器12は、第3レーザスキャナ11Cにより第1車線及L1び第2車線L2両方のレーザスキャナを冗長化することができる。即ち、本実施形態に係る車両検知器12は、車線数+1台(図1の例では車線数2+1の3台)のレーザスキャナにより、複数の車線それぞれのレーザスキャナを冗長化することができる。このため、少ないコストで冗長性を有する車両検知器12を導入することが可能となる。
【0062】
また、車両検知器12は、第1レーザスキャナ11Aから取得した第1スキャンデータと、第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータとのうち少なくとも一方に基づいて、第1車線L1を走行する車両Aを検知する車両検知部201A(第1車線用車両検知部)と、第2レーザスキャナ11Bから取得した第2スキャンデータと、第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータとのうち少なくとも一方に基づいて、第2車線L2を走行する車両Aを検知する車両検知部201B(第2車線用車両検知部)と、を更に備える。
このようにすることで、何れか一のレーザスキャナが故障した場合であっても、車両検知部201A、201Bは、故障していない他のレーザスキャナからスキャンデータを取得して、車両Aの検知を継続して行うことができる。例えば、第1レーザスキャナ11Aが故障した場合であっても、車両検知部201Aは、第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータに基づき、第1車線L1において車両Aを検知することができる。この結果、車両検知器12は、障害(故障)に対する耐久度を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態に係る車種判別装置10は、車両検知器12と、第1スキャンデータ及び第3スキャンデータのうち少なくとも一方に基づいて、第1車線L1を走行する車両Aの車種区分を特定する車種判別部210A(第1車線用車種判別部)と、第2スキャンデータ及び第3スキャンデータのうち少なくとも一方に基づいて、第2車線L2を走行する車両Aの車種区分を特定する車種判別部210B(第2車線用車種判別部)と、を備える。
従来の車種判別装置では、車両Aの車種区分を特定可能な情報を収集するために、複数のセンサ機器を設置する必要があった。しかしながら、上述の車種判別装置10は、車両検知器12が取得したスキャンデータを、車種区分を特定するための情報として用いることができるので、センサ機器の設置を省略することができる。これにより、車種判別装置10のコストを大幅に削減することができる。
【0064】
また、第3レーザスキャナ11Cは、第1レーザスキャナ11A及び第2レーザスキャナ11Bに対し、高さ方向に異なる位置に配置されている。
このようにすることで、車両検知器12は、異なる車高を有する様々な車両に対応することができる。
また、レーザスキャナを配置する高さによっては、例えば車体の影に車軸が隠れてしまう等、車両Aの一部が正確にスキャンできない死角が生じる可能性がある。しかしながら、本実施形態に係る車種判別装置10では、図2に示すように、車両Aの左右(幅方向-Y側及び+Y側)を異なる高さからスキャンすることができるので、一方のレーザスキャナ(例えば第1レーザスキャナ11A)の死角を、他方のレーザスキャナ(例えば第3レーザスキャナ11C)でカバーすることができる。これにより、車種判別装置10の各部において、車軸数、車高、及び車幅を計測する精度を向上させることができる。
【0065】
また、第3レーザスキャナ11C(または、第1レーザスキャナ及び第2レーザスキャナ)は、車軸高さに相当する第1の高さH1、または、車高に相当する第2の高さH2に配置されている。
このようにすることで、車両検知器12は、車両Aの車軸または車高に相当する高さにおけるスキャン結果を得ることができるので、様々な形状、大きさの車両Aに対応することができる。
また、第3レーザスキャナ11C(本実施形態の説明では第1レーザスキャナ11A及び第2レーザスキャナ11B)を第1の高さH1に配置することにより、車体の影に隠れてしまいやすい車軸近傍のスキャン結果を得ることができる。また、レーザスキャナは、等角度でスキャンするため、鉛直軸(上下方向)の分解能は水平に投光された検査光付近で最も高くなる。このため、第1レーザスキャナ11A及び第2レーザスキャナ11Bは、車軸に対し水平に検査光を投光できるので、車軸近傍をより正確にスキャンすることができる。これにより、車軸数特定部203A、203Bにおける車軸数を特定する精度を向上させることができる。
また、第3レーザスキャナを第2の高さH2に配置することにより、車両の車種判別に用いられる車高の閾値(本実施形態の例では2m)に車両Aの車体があるか否かを、より正確に判断することができる。これにより、車高計測部204A、204Bにおける車高を計測する精度を向上させることができる。
【0066】
また、車両検知器12は、第1レーザスキャナ11Aから取得した第1スキャンデータ及び第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータとのうち少なくとも一方に基づいて、第1レーザスキャナ11Aまたは第3レーザスキャナ11Cに異常が発生しているか否かを判断する異常判断部202Aと、第2レーザスキャナ11Bから取得した第2スキャンデータ及び第3レーザスキャナ11Cから取得した第3スキャンデータとのうち少なくとも一方に基づいて、第2レーザスキャナ11Bまたは第3レーザスキャナ11Cに異常が発生しているか否かを判断する異常判断部202Bと、を更に備える。
このようにすることで、車両検知器12は、車両Aの検知を行う度に、自動的にレーザスキャナに異常があるか否かを判断することができる。これにより、車両検知器12は、レーザスキャナの故障を迅速に検出することができる。
また、異常判断部202A及び異常判断部202Bは、第1レーザスキャナ11A、第2レーザスキャナ11B、第3レーザスキャナ11Cの少なくとも一つに異常が発生していると判断した場合、不図示の監視装置等に対し、どのレーザスキャナに異常が発生したかを通知するようにしてもよい。これにより、車両検知器12の管理、メンテナンスを行う管理者は、車両検知器12の修理、交換等の作業を迅速に実施することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、上述の実施形態では、第1レーザスキャナ11A、第2レーザスキャナ11B、及び第3レーザスキャナ11Cの走査角度(-θ度~+θ度)を同一とする態様を例として説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、車線それぞれの幅、傾き等に応じて、レーザスキャナ別に異なる走査角度を設定してもよい。
また、更に他の実施形態では、第1車線L1よりも車線幅方向一方側(図1の-Y側)に他の車線が設けられていない場合、第1レーザスキャナ11Aの走査角度を「0度~+θ度」の範囲に限定し、第1車線L1のみを走査面に含むようにしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 車種判別装置
11A 第1レーザスキャナ
11B 第2レーザスキャナ
11C 第3レーザスキャナ
12 車両検知器
20A 第1処理装置
20B 第2処理装置
22A 記憶部
22B 記憶部
201A 車両検知部(第1車線用車両検知部)
201B 車両検知部(第2車線用車両検知部)
202A 異常判断部(第1車線用異常判断部)
202B 異常判断部(第2車線用異常判断部)
203A 車軸数特定部(第1車線用車軸数特定部)
203B 車軸数特定部(第2車線用車軸数特定部)
204A 車高計測部(第1車線用車高計測部)
204B 車高計測部(第2車線用車高計測部)
205A 車幅計測部(第1車線用車幅計測部)
205B 車幅計測部(第2車線用車幅計測部)
206A 車種区分特定部(第1車線用車種区分特定部)
206B 車種区分特定部(第2車線用車種区分特定部)
210A 車種判別部(第1車線用車種判別部)
210B 車種判別部(第2車線用車種判別部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8