(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、医用画像撮像装置及び医用画像処理方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
A61B6/03 360T
A61B6/03 360D
(21)【出願番号】P 2017246007
(22)【出願日】2017-12-22
【審査請求日】2020-10-21
(31)【優先権主張番号】P 2016255027
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(72)【発明者】
【氏名】石田 克彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 達也
(72)【発明者】
【氏名】潟山 一樹
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-250716(JP,A)
【文献】特開2002-330252(JP,A)
【文献】特開2005-010884(JP,A)
【文献】特開2012-070984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像撮像装置により収集されたデータに基づき第1のマトリクスサイズで再構成された第1の医用画像から、前記第1の医用画像のうちの関心領域に関する前記第1のマトリクスサイズよりも小さい第2のマトリクスサイズを有する第2の医用画像を切り出す生成部と、
前記第1の医用画像に付帯された前記第1のマトリクスサイズの情報を含む再構成マトリクス情報を、前記第2の医用画像に付帯する付帯部と、
前記第2の医用画像を表示するとともに、前記再構成マトリクス情報と前記第2のマトリクスサイズの情報を含む画像マトリクスサイズ情報とを前記第2の医用画像に関連付けて表示する表示制御部と、
を具備し、
前記表示制御部は、前記第2の医用画像に関連する各シリーズのサムネイル画像と前記第2のマトリクスサイズの情報を含む画像マトリクスサイズ情報とを表示し、
前記生成部は、前記第2の医用画像を、前記第1の医用画像とは別のシリーズとして生成する、
医用画像処理装置。
【請求項2】
保存可能な画像マトリクスのサイズを複数の外部サーバそれぞれについて示すテーブルと、
前記複数の外部サーバのうち、所定の外部サーバへの前記第1の医用画像の転送指示があった場合、前記テーブルを参照して前記第1の医用画像が保存可能か否かを判定し、前記第1の医用画像が保存不可である場合、前記第2の医用画像を生成する処理の実行を促すメッセージを通知する通知部と、をさらに具備する請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記医用画像撮像装置は、X線コンピュータ断層撮影装置である、請求項1又は2記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、
前記第2の医用画像と共にウィンドウを表示し、
前記ウィンドウに各シリーズのサムネイル画像と前記第2のマトリクスサイズの情報を含む画像マトリクスサイズ情報とを表示する、
請求項
1記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、
前記第1の医用画像と前記第2の医用画像とを並べて表示し、
前記第1の医用画像の表示エリア内に、前記第1の医用画像に付帯された前記再構成マトリクス情報を表示し、
前記第2の医用画像の表示エリア内に、前記第2の医用画像に付帯された前記再構成マトリクス情報を表示する、
請求項
1記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
被検体を撮像する撮像部と、
前記撮像部により収集されるデータに基づいて第1のマトリクスサイズを有する第1の医用画像を再構成する再構成部と、
前記第1の医用画像から、前記第1の医用画像のうちの関心領域に関する前記第1のマトリクスサイズよりも小さい第2のマトリクスサイズを有する第2の医用画像を切り出す生成部と、
前記第1の医用画像に付帯された前記第1のマトリクスサイズの情報を含む再構成マトリクス情報を、前記第2の医用画像に付帯する付帯部と、
前記第2の医用画像を表示するとともに、前記再構成マトリクス情報と前記第2のマトリクスサイズの情報を含む画像マトリクスサイズ情報とを前記第2の医用画像に関連付けて表示する表示制御部と、
を具備し、
前記表示制御部は、前記第2の医用画像に関連する各シリーズのサムネイル画像と前記第2のマトリクスサイズの情報を含む画像マトリクスサイズ情報とを表示し、
前記生成部は、前記第2の医用画像を、前記第1の医用画像とは別のシリーズとして生成する、
医用画像撮像装置。
【請求項7】
医用画像撮像装置により収集されたデータに基づき第1のマトリクスサイズで再構成された第1の医用画像から、前記第1の医用画像のうちの関心領域に関する前記第1のマトリクスサイズよりも小さい第2のマトリクスサイズを有する第2の医用画像を切り出す
画像生成部と、
前記第1の医用画像に付帯された前記第1のマトリクスサイズの情報を含む再構成マトリクス情報を、前記第2の医用画像に付帯する付帯部と、
前記第2の医用画像を表示するとともに、前記再構成マトリクス情報と前記第2のマトリクスサイズの情報を含む画像マトリクスサイズ情報とを前記第2の医用画像に関連付けて表示する表示画面を生成する画面生成部と、
前記表示画面を表示部に表示させるために出力する出力部と、
を具備し、
前記画面生成部は、前記第2の医用画像に関連する各シリーズのサムネイル画像と前記第2のマトリクスサイズの情報を含む画像マトリクスサイズ情報とを表示し、
前記画像生成部は、前記第2の医用画像を、前記第1の医用画像とは別のシリーズとして生成する、
医用画像処理装置。
【請求項8】
医用画像撮像装置により収集されたデータに基づき第1のマトリクスサイズで再構成された第1の医用画像から、前記第1の医用画像のうちの関心領域に関する前記第1のマトリクスサイズよりも小さい第2のマトリクスサイズを有する第2の医用画像を切り出す
画像生成ステップと、
前記第1の医用画像に付帯された前記第1のマトリクスサイズの情報を含む再構成マトリクス情報を、前記第2の医用画像に付帯する
付帯ステップと、
前記第2の医用画像を表示するとともに、前記再構成マトリクス情報と前記第2のマトリクスサイズの情報を含む画像マトリクスサイズ情報とを前記第2の医用画像に関連付けて表示する表示画面を生成する
画面生成ステップと、
前記表示画面を表示部に表示させるために出力する
出力ステップと、
を具備し、
前記画面生成ステップは、前記第2の医用画像に関連する各シリーズのサムネイル画像と前記第2のマトリクスサイズの情報を含む画像マトリクスサイズ情報とを表示し、
前記画像生成ステップは、前記第2の医用画像を、前記第1の医用画像とは別のシリーズとして生成する、
医用画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像処理装置、医用画像撮像装置および医用画像処理方法に関わるものである。
【背景技術】
【0002】
CT画像、MRI画像などの医用画像の断層画像においては、512×512ピクセルの画像マトリクスのサイズを有する断層画像を標準としている。近年、医用画像の高解像度化に伴い、1024×1024ピクセルまたは2048×2048ピクセルといった画像マトリクスのサイズを有する高解像度の断層画像を得られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従前、このような高解像度化が想定されていないため、PACS(Picture Archiving and Communication System)の容量などの関係から、1024×1024ピクセルで運用できず、保管用の画像として512×512ピクセルの画像マトリクス情報を有する画像しか保存できない可能性がある。そこで、高解像度の画像を512×512ピクセルの画像に圧縮する方法もあるが、解像度が犠牲になってしまう。そこで、1024×1024ピクセルまたは2048×2048ピクセルの画像マトリクス情報から512ピクセル×512ピクセルの画像マトリクス情報で部分領域を切り出して保存する必要がある。この場合、どの画像を原画像として切り出したかが不明となる問題がある。
【0005】
本実施形態の目的は、従来に比して必要な対応を簡便に行うことができる医用画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る医用画像処理装置は、生成部および付帯部を含む。生成部は、第1の医用画像から関心領域に関する第2の医用画像を切り出す。付帯部は、前記第1の医用画像に付帯された再構成マトリクス情報を前記第2の医用画像に付帯する。
【0007】
本実施形態に係る医用画像撮像装置は、撮像部、生成部および付帯部を含む。撮像部は、第1の医用画像を撮像する。生成部は、前記第1の医用画像から関心領域に関する第2の医用画像を切り出す。付帯部は、前記第1の医用画像に付帯された再構成マトリクス情報を前記第2の医用画像に付帯する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示すブロック図。
【
図2】第1の実施形態に係る医用画像処理装置の動作を示すフローチャート。
【
図5】画像表示インタフェース画面の一例を示す図。
【
図6】原画像と関心領域画像とを並列表示させた例を示す図。
【
図7】切り出した領域の画像を保存する例を示す図。
【
図9】第2の実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示すブロック図。
【
図11】第2の実施形態に係る医用画像処理装置の動作を示すフローチャート。
【
図12】第3の実施形態に係る医用画像処理装置を含むX線CT装置を示す図。
【
図13】第4の実施形態に係る画像保管装置を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる医用画像処理装置、医用画像撮像装置および医用画像処理プログラムについて説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る医用画像処理装置を
図1のブロック図を参照して説明する。
医用画像処理装置1は、記憶回路101、処理回路110及び表示回路105を含む。また、信号のやりとりは、バス10を介して行われる。
【0011】
記憶回路101は、例えばメモリであり、画像データを記憶する。画像データは、ここでは、DICOM(digital imaging and communication in medicine)規格のデータ形式を想定し、医用画像、医用画像に付帯される付帯情報、および後述する関心領域画像(第2の医用画像)を含む。付帯情報は、画像マトリクス情報と再構成マトリクス情報とに関する情報を含む。画像マトリクス情報は、医用画像の画像マトリクスのサイズを示す。再構成マトリクス情報は、関心領域画像の基礎となる画像(原画像または第1の医用画像)の画像マトリクス情報を示し、段階的に複数回切り出されて関心領域画像が生成される場合は、大本となる医用画像の画像マトリクス情報を示す。原画像の場合、画像マトリクス情報と再構成マトリクス情報とは等しくなる。
【0012】
処理回路110は、例えばプロセッサであり、生成機能102、付帯機能103及び表示制御機能104を実行する。
生成機能102は、記憶回路101に格納される画像データを参照し、原画像から関心領域を切り出し、関心領域画像を生成する。
【0013】
付帯機能103は、生成機能102により生成された関心領域画像に対し、原画像に付帯される付帯情報を付帯する。ここでは、少なくとも再構成マトリクス情報に関する情報を付帯する。
【0014】
表示制御機能104は、インタフェース画面を表示回路105に表示させ、医用画像、付帯情報および関心領域画像の表示を制御する。表示制御機能104は、ユーザからの指示に応じて、医用画像、付帯情報および関心領域画像の表示態様を制御する。なお、表示制御機能104は、医用画像、付帯情報および関心領域画像を、ネットワーク等を介して接続される外部の表示機器に表示してもよい。
【0015】
表示回路105は、例えばディスプレイであり、医用画像、付帯情報および関心領域画像を表示する。
【0016】
第1の実施形態に係る医用画像処理装置1の動作例について
図2のフローチャートを参照して説明する。
【0017】
ステップS201では、表示制御機能104が、医用画像を選択するための選択画面を表示回路105に表示する。選択画面には、医用画像と付帯情報とが少なくとも表示される。
ステップS202では、ユーザが切り出し処理を実行したい医用画像を選択し、生成機能102が選択結果を取得する。
ステップS203では、生成機能102が、選択結果に応じて、ユーザにより選択された医用画像を原画像として原画像からの切り出し処理を行い、関心領域画像を生成する。
【0018】
ステップS204では、付帯機能103が、関心領域画像に対して、関心領域画像の画像マトリクス情報と、原画像の再構成マトリクス情報とを付帯する。なお、原画像の画像マトリクス情報も併せて付帯されてもよい。
ステップS205では、記憶回路101が、関心領域画像と、付帯された画像マトリクス情報と再構成マトリクス情報とを格納する。
ステップS206では、表示制御機能104が、関心領域画像を表示する際に、関心領域画像の画像マトリクス情報と、ステップS203で付帯された再構成マトリクス情報とを併せて表示する。
【0019】
次に、表示回路105に表示される選択画面の一例について
図3を参照して説明する。
図3は医用画像の選択画面に関するインタフェース画面である。スタディ情報表示ウィンドウ301、シリーズ情報表示ウィンドウ302、およびイメージ情報表示ウィンドウ303の各表示ウィンドウを有する。イメージ情報表示ウィンドウ303には、医用画像と、スキャン時刻、識別番号、開始位置/終了位置などの情報に加え、画像マトリクス情報304および再構成マトリクス情報305がそれぞれ対応付けられて表示される。
【0020】
なお、関心領域画像が生成された場合、原画像とは別のシリーズ情報として記憶回路101に記憶される。具体的には、関心領域画像のシリーズ情報は、原画像に関するシリーズ情報の直下に別のシリーズ情報として記憶される。
【0021】
次に、ステップS203における切り出し処理の詳細について
図4を参照して説明する。
図4は、切り出し処理に関するインタフェース画面である。ユーザは、医用画像401の表示に重畳した切り出しウィンドウ402をカーソルまたはマウスのドラッグ操作などで移動させ、関心領域が切り出しウィンドウ402内に収まる位置で確定する。これにより、関心領域画像が切り出される。切り出しウィンドウ402は、関心領域画像の画像マトリクスのサイズは512×512ピクセルを想定しているため、切り出しウィンドウ402は、512×512ピクセルの固定サイズとする。具体的には、原画像が1024×1024ピクセルの場合、原画像の4分の1の大きさが512×512ピクセルに相当する。
【0022】
次に、医用画像の表示例について
図5および
図6を参照して説明する。
図5は、画像表示インタフェース画面の一例であり、医用画像501の表示に重畳して画像選択ウィンドウ502(画像セレクタ)を表示する。画像選択ウィンドウ502には、各シリーズについて、シリーズ情報503(シリーズコメント)と医用画像のサムネイル504とを表示する。シリーズ情報503には、画像マトリクス情報505の情報を表示する。
図5の例では、画像マトリクス情報の数値をラベル表示(バッチ表示)する。なお、画像マトリクス情報に応じてラベルの表示形式(色、文字サイズなど)を変更してもよい。
【0023】
なお、切り出し処理が行われた場合、原画像のシリーズ情報およびサムネイルの直下に、別シリーズとして生成された関心領域画像のシリーズ情報およびサムネイルを表示する。
図5の例では、画像選択ウィンドウ502の一番上のシリーズ情報(1024×1024ピクセル)と対応するサムネイルとを有する医用画像を原画像として切り出し処理を行って関心領域画像を生成したとする。この場合、原画像の直下である2番目にシリーズ情報(512×512ピクセル)と対応するサムネイルとが表示されることになる。
【0024】
次に、原画像と関心領域画像とを並列表示させた例を
図6に示す。
原画像601の表示エリア内に、原画像601に付帯された再構成マトリクス情報603を表示する。同様に、関心領域画像602の表示エリア内に、関心領域画像602に付帯された再構成マトリクス情報604を表示する。
【0025】
このように再構成マトリクスの付帯情報を表示することで、異なる画像マトリクスの医用画像であっても、原画像であるか、原画像から切り出された関心領域画像であるかを容易に判別できる。
【0026】
例えば、
図6の例では、画像表示画面を見れば、原画像601の画像マトリクス情報が1024×1024ピクセルであり、関心領域画像602の画像マトリクス情報が512×512ピクセルである。一方、再構成マトリクス情報は共に1024×1024ピクセルである。これにより、関心領域画像602は、元の画像マトリクスサイズが512×512ピクセルで得られたものではなく、1024×1024ピクセルの医用画像から切り出された医用画像であるということが一見して理解できる。さらに、再構成マトリクス情報から、切り出された関心領域画像の解像度も予測できる。
【0027】
なお、原画像のどの領域を関心領域画像として切り出したかを示す画像を別途保存してもよい。切り出した領域に関する画像を保存する例を
図7に示す。
図7に示すように、例えば、生成機能102が、
図4に示す切り出しウィンドウ402が重畳された切り出し位置画像701をサムネイルとして取得し、関心領域画像に関するサムネイルの先頭に切り出し位置画像701を表示してもよい。これにより、原画像と関心領域画像との関係を容易に把握することができる。
【0028】
このように画像マトリクス情報505を表示することにより、各シリーズの医用画像がどの画像マトリクスのサイズであるかを、ユーザが容易に理解できるように提示することができる。
【0029】
なお、切り出し処理を複数回行う場合、例えば、2048×2048ピクセルから1024×1024ピクセルを切り出し、切り出された1024×1024ピクセルから512×512ピクセルをさらに切り出す場合もありうる。このような場合は、直前の切り出し元となる画像を原画像として、関心領域画像に対して原画像の再構成マトリクス情報を付帯する。つまり、再構成マトリクス情報としては、大本の医用画像の再構成マトリクス情報が引き継がれることになる。
以上に示した第1の実施形態によれば、原画像から切り出した関心領域画像に対し、原画像に付帯される付帯情報として、少なくとも再構成マトリクス情報を付帯することで、関心領域画像は、ある画像から切り出された画像であることが一見して理解できる。つまり、PACS等に保存する際に、原画像の画像マトリクス情報では保存できず、切り出し処理が必要となる場合でも、原画像がどのような画像であるかを理解できる。つまり、高解像度の画像から切り出された画像であることが容易に識別でき、読影や保存といった用途に応じて必要な対応を簡便に行うことができる。
【0030】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の概念図について
図8を参照して説明する。
図7に示すように、画像を保存する複数のサーバ、例えば、複数のPACSサーバ801、802と、ネットワーク850を介して医用画像処理装置1が通信可能に接続されるとする。
【0031】
断層像の画像マトリクス情報が複数存在する場合が想定されていない場合、PACSサーバに保存できる画像マトリクス情報が異なる場合が想定される。例えば、PACSサーバ801では、1024×1024ピクセルの高解像度の医用画像を保存できる一方、PACSサーバ802では、512×512ピクセルよりも高解像度の1024×1024ピクセルの画像は保存できないという可能性がある。
【0032】
第2の実施形態では、PACSサーバが記憶可能な画像マトリクス情報を予め保持しておき、PACSサーバが記憶できない画像マトリクス情報の医用画像を保存しようとしている場合に通知および切り出し処理を行う点が異なる。
【0033】
第2の実施形態に係る医用画像処理装置について
図9のブロック図を参照して説明する。
第2の実施形態に係る医用画像処理装置1は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置1の構成に加え、対応テーブル901、通知機能902および出力機能903を含む。
【0034】
対応テーブル901は、転送先であるPACSサーバがどの画像マトリクス情報を保存できるかを示すテーブルである。
通知機能902は、ユーザから医用画像に関するPACSサーバへの保存指示があった場合、対応テーブル901を参照して、医用画像が保存可能かどうかを判定し、保存不可である場合、ユーザに切り出し処理を促すメッセージを通知する。
出力機能903は、切り出し処理により得られた関心領域画像と付帯情報とをPACSサーバに出力する。
【0035】
次に、対応テーブル901の一例について
図10を参照して説明する。
図10に示す対応テーブル1000は、サーバIDおよび保存可能な画像マトリクスサイズを対応付けて格納する。例えば、対応テーブル1000を参照すれば、サーバID「1」のPACSサーバは、全ての画像マトリクスサイズを保存可能である一方、サーバID「3」のPACSサーバは、512×512ピクセル、1024×1024ピクセルを保存可能であるものの、2048×2048ピクセルは保存できないことが分かる。
【0036】
次に、第2の実施形態に係る医用画像処理装置1の動作について
図11のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
ステップS1101では、ユーザからのPACSサーバへの保存指示(転送指示)、また撮像処理を完了したことをトリガとして、PACSサーバへの医用画像の転送処理が起動する。
ステップS1102では、通知機能902が、転送先のPACSサーバが512×512の画像マトリクス情報以外の画像を保存可能かどうかを判定する。当該判定は、テーブルを参照して決定すればよい。保存可能であれば、ステップS1103に進み、保存可能でなければステップS1104に進む。
【0038】
ステップS1103では、PACSサーバに医用画像(原画像)および付帯情報を転送する。
ステップS1104では、通知機能902が、ユーザに対し切り取り処理を実行し、関心領域画像を生成させるためのメッセージを通知する。なお、生成機能が一定の領域を切り出して関心領域画像を生成するように予め設定してもよい。
【0039】
ステップS1105では、出力部が、PACSサーバに関心領域画像および原画像の再構成マトリクス情報を含む付帯情報を転送する。以上で、第2の実施形態に係る医用画像処理装置1の動作を終了する。
【0040】
なお、PACSサーバにおいてリアルタイムで保存可能な画像マトリクスのサイズを変更できる場合は以下のような処理を行ってもよい。例えば、PACSサーバが保存可能な画像マトリクスのサイズを示す転送制限情報を、所定間隔でまたはユーザからの保存指示があったタイミングで医用画像処理装置1に送信する。通知機能902が、転送制限情報に基づいて切り出し処理を行うかどうかを判定してもよい。
【0041】
なお、関心領域画像のPACSサーバへの転送完了をトリガとして、原画像および付帯情報を削除してもよいし、所定期間、記憶回路101で記憶した後に削除するようにしてもよい。
【0042】
以上に示した第2の実施形態によれば、転送先のサーバの保存可能状況を示す対応テーブルを参照して切り出し処理を行うことで、保存可能な画像マトリクスのサイズである医用画像(関心領域画像)を生成でき、適切にサーバに医用画像を保存することができる。すなわち、読影や保存といった用途に応じて必要な対応を簡便に行うことができる。
【0043】
(第3の実施形態)
上述した第1の実施形態および第2の実施形態に係る医用画像処理装置は、医用画像撮像装置として、例えばX線CT装置に実装されてもよい。
【0044】
第3の実施形態として、医用画像処理装置がX線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)に含まれる場合を例に説明するが、MRなど他のマルチモダリティに含まれる場合も同様に動作可能である。また、再構成処理機能を有しないワークステーションやPACS等にも適用可能である。
【0045】
第3の実施形態に係る医用画像処理装置を含むX線CT装置について
図12を参照して説明する。
図12は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。
図12に示すように、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台1200とコンソール1250とを有する。例えば、架台1200はCT検査室に設置され、コンソール1250はCT検査室に隣接する制御室に設置される。架台1200とコンソール1250とは互いに通信可能に接続されている。架台1200は、被検体PをX線でCT撮影するための撮影機構を搭載する。コンソール1250は、架台1200を制御するコンピュータである。
【0046】
図12に示すように、架台1200は、開口が形成された略円筒形状の回転フレーム1211を有する。回転フレーム1211は、回転部とも呼ばれている。
図1に示すように、回転フレーム1211には、開口を挟んで対向するように配置されたX線管1213とX線検出器1215とが取付けられている。回転フレーム1211は、アルミ等の金属により円環形状に形成された金属枠である。後述するが、架台1200は、アルミ等の金属により形成されたメインフレームを有する。メインフレームは、固定部とも呼ばれている。回転フレーム1211は、当該メインフレームにより回転可能に支持されている。
【0047】
X線管1213は、X線を発生する。X線管1213は、熱電子を発生する陰極と、陰極から飛翔する熱電子を受けてX線を発生する陽極とを保持する真空管を有する。X線管1213は、高圧ケーブルを介して高電圧発生器1217に接続されている。高電圧発生器1217は、例えば、回転フレーム1211に取付けられている。高電圧発生器1217は、架台制御回路1229による制御に従いX線管1213に印加する高電圧を発生しフィラメント加熱電流を供給する。高電圧は、X線管1213に収容された陽極と陰極との間に印加される。フィラメント加熱電流は、X線管1213の陰極に供給される。X線管1213の陽極と陰極との間に印加される高電圧は管電圧と呼ばれている。また、当該高電圧下においてフィラメント加熱電流により加熱された陰極から発生し陽極に飛翔する熱電子の流れは管電流と呼ばれている。高電圧発生器1217は、X線管1213への管電圧と管電流とをX線条件に従い調節する。
【0048】
回転フレーム1211は、回転駆動装置1221からの動力を受けて中心軸Z回りに一定の角速度で回転する。回転駆動装置1221としてダイレクトドライブモータやサーボモータ等の任意のモータが用いられる。回転駆動装置1221は、例えば、架台1200に収容されている。回転駆動装置1221は、架台制御回路1229からの駆動信号を受けて回転フレーム1211を回転させるための動力を発生する。
【0049】
回転フレーム1211の開口にはFOVが設定される。回転フレーム1211の開口内には寝台1223に支持された天板が挿入される。天板には被検体Pが載置される。寝台1223は、天板を移動自在に支持する。寝台1223には寝台駆動装置1225が収容されている。寝台駆動装置1225は、架台制御回路1229からの駆動信号を受けて天板を前後、昇降及び左右に移動させるための動力を発生する。寝台1223は、被検体Pの撮影部位がFOV内に含まれるように天板を位置決めする。
【0050】
X線検出器1215は、X線管1213から発生されたX線を検出する。具体的には、X線検出器1215は、2次元湾曲面上に配列された複数の検出素子を有している。各検出素子は、シンチレータと光電変換素子とを有する。シンチレータは、X線を光に変換する物質により形成される。シンチレータは、入射X線を、当該入射X線の強度に応じた個数の光子に変換する。光電変換素子は、シンチレータから受けた光を増幅して電気信号に変換する回路素子である。光電変換素子としては、例えば、光電子増倍管やフォトダイオード等が用いられる。なお、検出素子は、上記の通りX線を光に変換してから検出する間接検出型でも良いし、X線を直接的に電気信号に変換する直接変換型であっても良い。
【0051】
X線検出器1215にはデータ収集回路1219が接続されている。データ収集回路1219は、架台制御回路1229からの指示に従い、X線検出器1215により検出されたX線の強度に応じた電気信号をX線検出器1215から読み出し、読み出した電気信号を、ビュー期間に亘るX線の線量に応じたデジタル値を有する生データを収集する。データ収集回路1219は、再構成画像の解像度に応じて読み出した電気信号を束ねて収集する。データ収集回路1219は、例えば、生データを生成可能な回路素子を搭載したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により実現される。
【0052】
架台制御回路1229は、コンソール1250の演算回路1201からの撮影条件に従いX線CT撮影を実行するために、高電圧発生器1217、データ収集回路1219、回転駆動装置1221及び寝台駆動装置1225を同期的に制御する。ハードウェア資源として、架台制御回路1229は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の処理装置(プロセッサ)とROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置(メモリ)とを有する。また、架台制御回路1229は、ASICやフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されても良い。
【0053】
コンソール1250は、演算回路1201、表示回路1208、入力回路1209及び記憶回路1210を有する。演算回路1201、表示回路1208、入力回路1209及び記憶回路1210間のデータ通信は、バス(bus)を介して行われる。
【0054】
演算回路1201は、ハードウェア資源として、CPUあるいはMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。演算回路1201は、各種プログラムの実行により前処理機能1202、再構成機能1203、画像処理機能1204、システム制御機能1205、付帯機能1206および生成機能1207を実現する。
【0055】
前処理機能1202において演算回路1201は、架台1200から伝送された生データに対数変換等の前処理を施す。前処理後の生データは、投影データとも呼ばれる。
【0056】
再構成機能1203において演算回路1201は、前処理後の生データに基づいて被検体Pに関するCT値の空間分布を表現するCT画像を発生する。画像再構成アルゴリズムとしては、FBP(filtered back projection)法や逐次近似再構成法等の既存の画像再構成アルゴリズムが用いられれば良い。
【0057】
画像処理機能1204において演算回路1201は、再構成機能1203により再構成されたCT画像に種々の画像処理を施す。例えば、演算回路1201は、当該CT画像にボリュームレンダリングや、サーフェスボリュームレンダリング、画像値投影処理、MPR(Multi-Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して表示画像を生成する。
【0058】
システム制御機能1205において演算回路1201は、本実施形態に係る医用画像処理装置を統括的に制御する。具体的には、演算回路1201は、記憶回路1210に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってX線コンピュータ断層撮影装置の各部を制御する。システム制御機能1205において演算回路1201は、上述の実施形態に係る表示制御機能104と同様の動作を行う。
【0059】
表示回路1208および記憶回路1210はそれぞれ、上述の実施形態の表示回路105および記憶回路101と同様の動作を行う。
付帯機能1206および生成機能1207において演算回路1201はそれぞれ、上述の実施形態の付帯機能103および生成機能102と同様の動作を行う。
【0060】
なお、前処理機能1202、再構成機能1203、画像処理機能1204、システム制御機能1205、付帯機能1206および生成機能1207は、一の基板の演算回路1201により実装されても良いし、複数の基板の演算回路1201により分散して実装されても良い。
【0061】
以上に示した第3の実施形態によれば、X線CT装置においても、高解像度の画像から切り出された画像であるかどうかを容易に識別でき、読影や保存といった用途に応じて必要な対応を簡便に行うことができる。
【0062】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、画像保管装置が上述した医用画像処理装置の構成を含み、画像保管装置が画像の切り出し処理を行う点が、上述の実施形態と異なる。画像保管装置は、画像を保管するサーバである。以下では具体例として、画像保管装置はPACSサーバである場合を想定する。
【0063】
第4の実施形態に係るPACSサーバについて、
図13のブロック図を参照して説明する。
第4の実施形態に係るPACSサーバ800は、記憶回路101及び処理回路110を含む。処理回路110は、生成機能102及び付帯機能103をそれぞれ実行する。
PACSサーバ800における各回路及び機能の処理は、上述の実施形態と同様であるため説明を省略する。
以上に示した第4の実施形態によれば、PACSサーバが画像の切り出し処理を行うことで、PACSサーバから他のサーバに画像を転送する際に本実施形態に係る切り出し処理を行うなど、柔軟な処理が可能となる。すなわち、必要な対応を簡便に行うことができる。
【0064】
なお、上述した実施形態における医用画像処理装置は、検像装置に含まれてもよい。検像装置は、読影に適した順序に撮像した医用画像を並び替えるなどの検像処理を行う装置である。検像装置は、検像処理の一部として医用画像処理装置を実行させてもよい。なお、検像装置の一機能として、医用画像処理装置の機能を含み、当該機能を実行してもよい。
【0065】
加えて、実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
1…医用画像処理装置、10…バス、101…記憶回路、102,1207…生成機能、103,1206…付帯機能、104…表示制御機能、105,1208…表示回路、301…スタディ情報表示ウィンドウ、302…シリーズ情報表示ウィンドウ、303…イメージ情報表示ウィンドウ、304…画像マトリクス情報、305…再構成マトリクス情報、401,501…医用画像、402…切り出しウィンドウ、502…画像選択ウィンドウ、503…シリーズ情報、504…サムネイル、505…画像マトリクス情報、601…原画像、602…関心領域画像、603,604…再構成マトリクス情報、701…切り出し位置画像、801,802…PACSサーバ、850…ネットワーク、901,1000…対応テーブル、902…通知機能、903…出力機能、1200…架台、1201…演算回路、1202…前処理機能、1203…画像処理機能、1203…再構成機能、1204…画像処理機能、1205…システム制御機能、1209…入力回路、1210…記憶回路、1211…回転フレーム、1213…X線管、1215…X線検出器、1217…高電圧発生器、1219…データ収集回路、1221…回転駆動装置、1223…寝台、1225…寝台駆動装置、1229…架台制御回路、1250…コンソール。