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特許7154761メラミンホルムアルデヒドを有さないマイクロカプセルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】メラミンホルムアルデヒドを有さないマイクロカプセルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/18 20060101AFI20221011BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20221011BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20221011BHJP
   B01J 13/22 20060101ALI20221011BHJP
   C08G 18/02 20060101ALI20221011BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20221011BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20221011BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
B01J13/18
A61K8/81
A61K8/92
A61Q13/00 102
B01J13/22
C08G18/02
C11B9/00 Z
C11D3/50
C11D17/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017538689
(86)(22)【出願日】2016-01-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2016051349
(87)【国際公開番号】W WO2016116604
(87)【国際公開日】2016-07-28
【審査請求日】2018-12-28
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】15152351.1
(32)【優先日】2015-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アルノー ストリュイゥ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ ピション
(72)【発明者】
【氏名】クローディ ベルアール
【合議体】
【審判長】亀ヶ谷 明久
【審判官】瀬下 浩一
【審判官】関根 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-93570(JP,A)
【文献】特表2014-524499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J13/02-22
C11B 9/
D06M
A61K 8/
A61Q
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程、
1)香油又はフレーバー油と、少なくとも3つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートとを混和して、油相を形成する工程、但し油相は実質的にジイソシアネートを有さない、
2)イオン性界面活性剤又はイオン性コロイド安定剤を水中で溶解して、水相を形成する工程、
3)油相を水相に添加して、水中油系分散液を形成する工程、ここで液滴の平均サイズは、1~500μmである、
5)硬化工程を実施して、マイクロカプセルスラリーを形成する工程
を含む、メラミン-ホルムアルデヒドを有さないマイクロカプセルを製造するための方法であって、少なくとも3つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートが、油相の1~15質量%である量で存在し、水相は、実質的にメラミン-ホルムアルデヒドを有さず、アミン又はポリアミンは、前記方法のあらゆる段階で添加されないことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
液滴の平均サイズが5~50μmである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、非イオン多糖、カチオンポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを添加して、マイクロカプセルに外側のコーティングを形成する工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
さらに、カプセルスラリーを乾燥させて、乾燥したマイクロカプセルを得る工程を含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも3つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートが、油相の2~8質量%である量で存在することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも3つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートが、油相の2~6質量%である量で存在することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
油相が、実質的に、少なくとも3つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートを有する香油又はフレーバー油からなることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
硬化工程を、50~130℃の温度で15分~8時間実施することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
硬化工程を、50~95℃の温度で30分~4時間実施することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
硬化工程を、75~90℃の温度で1時間~4時間実施することを特徴とする、請求項8又は9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メラミン-ホルムアルデヒドを有さないマイクロカプセルの製造のための新規の方法に関する。前記方法により得られるマイクロカプセルは本発明の目的でもある。前記カプセルを含む付香組成物及び消費者製品、特にホームケア製品又はパーソナルケア製品の形での着香消費者製品も、本発明の一部である。
【背景技術】
【0002】
香料産業により直面する問題の1つに、芳香性化合物の揮発性、特に「トップノート」の揮発性による、芳香性化合物によって提供される嗅覚に関する利益の比較的早い損失がある。揮発分の放出速度を調整するために、デリバリーシステム、例えば香料を含有するマイクロカプセルは、トリガーとなった場合にコアペイロードを保護し、そして後に放出することを要求する。これらのシステムに関する香料産業からの重要な要求は、物理的に分離又は分解することなく、魅力的なベースにおいて懸濁液を維持することである。これは、デリバリーシステムについての安定性に関する性能と言われる。例えば、高レベルの強い界面活性洗剤を含有するフレグランス付けされたパーソナルクレンザー及び家庭用クレンザーは、マイクロカプセルの安定性について非常に厳しい。
【0003】
メラミン-ホルムアルデヒド樹脂から形成されたアミノプラストマイクロカプセルは、疎水性活性物質をカプセル化して、前記活性物質を保護し、そしてそれらの制御された放出を提供するために広く使用されている。しかしながら、カプセル、例えばアミノプラストカプセルは、界面活性剤を含む消費者製品、例えば香料消費者製品において、特に高温での長期貯蔵後に使用される場合に、安定性の問題に悩まされる。かかる製品において、カプセル壁が無傷のままであるにもかかわらず、カプセル化された活性物質は、製品ベース中でカプセル化された活性物質を可溶化できる界面活性剤の存在によってカプセル壁から拡散することによりカプセルから漏れる傾向がある。漏れの現象は、活性物質を保護し、その制御された放出を提供するカプセルの効率を減少させる。
【0004】
多様な方策には、油状物のコアをベースとしたマイクロカプセルの安定性を改良することが記載されている。化学基、例えばポリアミン及びポリイソシアネートでのカプセル壁の架橋は、マイクロカプセルの安定性を改良する方法として記載されている。国際公開第2011/154893号(WO2011/154893)は、例えば、特定の相対濃度で芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートの組合せを使用するポリウレアマイクロカプセルの製造のための方法を開示している。アミノプラストと比較して、ポリウレアをベースとしたマイクロカプセルは、メラミン-ホルムアルデヒドを有さない追加の利点が存在する。しかしながら、これらのカプセルは、脆くないが、機械的特性に関して常に十分ではなく、取扱中、及び例えば擦ることによる意図的な破壊後に知覚されるにおい強度によって示されるそれらの嗅覚的な性能にネガティブに影響しうる。
【0005】
したがって、メラミン-ホルムアルデヒドを有さず、同時に、魅力的な媒体、例えば界面活性剤をベースとする消費者製品において、現行のポリウレアをベースとするカプセルよりも嗅覚的に機能するが、現行のメラミン-ホルムアルデヒド及び/又はポリウレアをベースとするカプセルと同様に安定である、先行技術から公知のカプセルに対して代替的なカプセルを提供する必要が未だある。
【0006】
一方で、いくつかの先行技術は、ポリアミンを添加せずに製造したポリウレアをベースとするマイクロカプセルを記載している。特に、国際公開第号97/44125(WO97/44125)は、ポリウレアを、必須成分として記載された芳香族ジイソシアネートのみから形成してカプセル壁を形成している、界面重合法により製造したマイクロカプセルを開示している。この開示において、3個以上のイソシアネート基を有する芳香族ポリイソシアネートが任意に存在するが、架橋剤としてのみ使用されている。しかしながら、ジイソシアネートは非常に反応性であり、したがってポリマー壁の形成に魅力的であることが公知であるが、安全性の観点から、必ずしも適切な成分であるとは考えられない。Ken TeraoらからのColloids and Surfaces B: Biointerfaces 37 (2004) 129.132におけるエタノール中でポリエチレングリコールにグラフトしたポリ(ウレアウレタン)マイクロカプセルの単一粒子光散乱研究において、カプセル化された油状物の量と比較して、カプセル壁を形成する高レベルのトリイソシアネートの使用に基づくカプセルが、エイジングに対して乏しい油状物の保持率を示したことが、さらに教示されている。より詳述すれば、この文献にしたがって、たとえ当量のポリイソシアネートに近いものを使用して、厚いカプセル壁を通して漏れる低い傾向を示すことが予測された大きく高いlogP分子(ジ-2-エチルヘキシルフタレート)をカプセル化しても、得られるカプセルは、有機溶剤中に置いた場合に乏しい貯蔵安定性を示し、カプセルからの(ジ-2-エチルヘキシルフタレート)の非常に高い漏れを有し、したがって、使用したポリイソシアネート(トリイソシアネート)が、潜在的に漏れを引き起こす可能性のある丈夫な媒体、有機溶剤または高レベルの界面活性剤を含む水溶液中でコア油の漏れを防止することができる壁を得るのに適していないことを示唆している。したがって、それらの先行技術は、興味のある媒体及び良好な嗅覚的な性能において香料保持の観点で提供されるカプセルが、前記欠点を示すジイソシアネート以外のポリイソシアネートの使用に基づいて得られることの開示も示唆もない。
【発明の概要】
【0007】
先行技術に基づいて予想されうるものとは反対に、香油をカプセル化する提供されるマイクロカプセルが、ジイソシアネート以外のポリイソシアネートから実質的に形成された壁を有して得られることが見出された。したがって、本発明の方法は、追加の架橋剤なしに、少なくとも3つのイソシアネート官能基、好ましくは芳香族を含むポリイソシアネートから実質的に形成された重合させたポリイソシアネートからなり、かつジイソシアネートを有さない膜を有するカプセルを製造することを可能にする、前記問題の解決策を提供する。予期せずに、かかるポリイソシアネートの使用量が非常に制限されていても、それらのカプセルは、安定性及び嗅覚的な性能の観点で高い性能を示す。
【0008】
第一の態様において、本発明は、
1)香油又はフレーバー油と、少なくとも3つのイソシアネート官能基、好ましくは芳香族基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートとを混和して、油相を形成する工程、但し油相は実質的にジイソシアネートを有さない、
2)イオン性界面活性剤又はイオン性コロイド安定剤を水中で溶解して、水相を形成する工程、
3)油相を水相に添加して、水中油系分散液を形成する工程、ここで液滴の平均サイズは、1~500μm、好ましくは5~50μmである、
4)硬化工程を実施して、マイクロカプセルスラリーを形成する工程
を含む、メラミン-ホルムアルデヒドを有さないマイクロカプセルの製造方法に関し、該方法は、少なくとも1つのポリイソシアネートが、油相の1~15%である量で存在し、水相は、実質的にメラミン-ホルムアルデヒドを有さず、アミン又はポリアミンは、前記方法のあらゆる段階で添加されないことを特徴とする。
【0009】
第二の態様において、本発明は、前記で定義された方法により得られるメラミン-ホルムアルデヒドを有さないマイクロカプセルに関する。
【0010】
第三の態様において、本発明は、
(i)前記で定義された香料マイクロカプセル、
(ii)香料キャリヤー及び香料補助成分からなる群から選択される少なくとも1つの成分、及び
(iii)任意に少なくとも1つの香料補助剤
を含む付香組成物に関する。
【0011】
第四及び第五の態様において、本発明は、マイクロカプセル又は前記のような付香組成物を含有する、液体又は粉末の形での、界面活性剤をベースとする着香製品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】香料Aを含む油相中でのパーセンテージでのポリイソシアネートの作用としての本発明によるカプセルの嗅覚的な性能(香料強度)を示す図。
図2】香料Bを含む油相中でのパーセンテージでのポリイソシアネートの作用としての本発明によるカプセルの嗅覚的な性能(香料強度)を示す図。
図3】油相中でのパーセンテージでのポリイソシアネートの作用としての、43℃での布地用柔軟剤中での貯蔵に対するカプセル化された香料Aの漏れを示す図。
図4】油相中でのパーセンテージでのポリイソシアネートの作用としての、43℃での布地用柔軟剤中での貯蔵に対するカプセル化された香料Bの漏れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特に明記されない限り、パーセンテージ(%)は、組成物の質量百分率を示すことを意味する。
【0014】
「実質的にメラミン-ホルムアルデヒドを有さない」に関しては、水相が、カプセル壁の性質を実質的に改質する、ポリイソシアネートとさらに反応しやすい量のメラミン-ホルムアルデヒドを含有しないことを意味する。
【0015】
「香油又はフレーバー油」に関しては、単一の付香もしくはフレーバー付与する化合物、又はいくつかの付香もしくはフレーバー付与する化合物の混合物を意味する。
【0016】
明確化のために、本発明における「分散液」の表現に関しては、粒子が、種々の組成物の連続相中で分散される、特に懸濁液又はエマルションを包含する系を意味する。
【0017】
本発明の記載内容において、追加の架橋剤又は追加の架橋作用剤は、ポリマー鎖を互いに連結できるスペーサーを示すことを意味する。
【0018】
良好な性能、すなわち界面活性剤をベースとする製品における安定性とにおいの知覚との適切なバランスを有する、メラミン-ホルムアルデヒドを有さないマイクロカプセルが、制限された量で使用される特定のポリイソシアネートの界面重合に基づいた方法に対して、追加の架橋剤、すなわち(ポリ)アミンの添加なしに得られることを見出した。これは、これまでポリアミンを添加することなくポリウレアをベースとするカプセルを記載している唯一の方法が、その反応性により必須成分としてジイソシアネートを使用していたか、又はトリイソシアネートの使用を教示しておらず、得られたカプセルが、貯蔵に対して特に高い油漏れで低い性能を有すると記載されている事実の点で、非常に驚くべきことである。
【0019】
したがって、本発明は、第一の態様において、
1)香油又はフレーバー油と、少なくとも3つのイソシアネート官能基、好ましくは芳香族基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートとを混和して、油相を形成する工程、但し油相は実質的にジイソシアネートを有さない、
2)イオン性界面活性剤又はイオン性コロイド安定剤を水中で溶解して、水相を形成する工程、
3)油相を水相に添加して、水中油系分散液を形成する工程、ここで液滴の平均サイズは、1~500μm、好ましくは5~50μmである、
4)硬化工程を実施して、マイクロカプセルスラリーを形成する工程、
5)任意に、最終の分散液を乾燥して、少なくとも1つの乾燥したコア-シェルマイクロカプセルを得る工程
を含む、メラミン-ホルムアルデヒドを有さないマイクロカプセルの製造方法に関し、該方法は、少なくとも1つのポリイソシアネートが、油相の1~15%である量で存在し、水相は、実質的にメラミン-ホルムアルデヒドを有さず、アミン又はポリアミンは、前記方法のあらゆる段階で添加されないことを特徴とする。
【0020】
ジイソシアネートの不在下で、少なくとも3つのイソシアネート官能基を含むポリイソシアネート、好ましくは芳香族化合物が、油相中での制限された量での存在でさえも、良好な特性でカプセル壁を提供するために十分な効率で重合できたことを見出している。
【0021】
したがって、前記プロセスの1つの工程において、香油又はフレーバー油は、少なくとも3つの官能基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート、好ましくは芳香族化合物と一緒に添加されて、油相を形成するが、油相は実質的にジイソシアネートを有さない。
【0022】
「香油」(又は「香料」)に関して、ここでは、約20℃で液体である成分又は組成物を意味する。前記実施形態のいずれか1つにしたがって、工程1)においてポリイソシアネートが溶解されている前記香油は、付香組成物の形での付香成分のみ又は付香成分の混合物であってよい。「付香成分」について、ここでは、心地よい効果を付与、改良、改質又は調整するために付香調製物又は付香組成物中で使用される化合物を意味する。言い換えれば、付香成分であると考えられるべきかかる成分は、ポジティブな又は好ましい方法で組成物のにおいを、主な目的として、少なくとも付与する、高める又は調整することができ、単に1つのにおいを有するだけでないと当業者によって認識される必要がある。付香成分は、主な目的よりもさらなる利益のためにも使用されうる。さらなる利益、例えば悪臭を抑制する特性を有する付香成分は、「付香成分」の定義にも含まれる。
【0023】
いずれにしても網羅することはできないであろう油相中に存在する付香成分の性質及びタイプは、ここでより詳細な記載を保証するものではなく、当業者は、一般の知識に基づいて、及び任意の使用又は適用及び所望された感覚刺激性効果にしたがって、前記ベースを選択することができる。一般的な用語で、これらの付香成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素又は硫黄の複素環化合物及び精油と多様な化学品種に属し、かつ該付香補助成分は、天然又は合成由来のものであってよい。これらの補助成分の多くは、いずれにしても、参考文献、例えばS. ArctanderによるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、又はその最新版において、又は同様の種類の他の著作において、並びに香料の分野における豊富な特許文献において挙げられている。前記成分は、制御された方法で種々のタイプの付香成分を放出することが公知の化合物であってもよい。
【0024】
付香成分は、香料産業において現在使用している溶剤中で溶解されてよい。前記溶剤は好ましくはアルコールではない。かかる溶剤の例は、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、Abalyn(登録商標)(ロジン樹脂、Eastman社から入手可能)、ベンジルベンゾエート、エチルシトレート、リモネン又は他のテルペン、もしくはイソパラフィンである。好ましくは、前記溶剤は、非常に疎水性であり、高次に立体障害されているもの、例えばAbalyn(登録商標)又はベンジルベンゾエートである。好ましくは、香料は、30%未満の溶剤を含む。より好ましくは、香料は、20%未満、及びさらにより好ましくは10%未満の溶剤を含み、全てのこれらのパーセンテージは、香料の全質量に対する質量で定義される。より好ましくは、香料は実質的に溶剤を有さない。
【0025】
本発明の実施態様のいずれか1つにしたがって、香油は、工程3)の後に得られた分散液の全質量に対して、約10質量%~60質量%(w/w)、又はさらに20質量%~45質量%(w/w)を示す。
【0026】
「フレーバー成分又はフレーバー組成物」に関して、ここでは、その感覚刺激特性、特にそのフレーバー及び/味を付与、改良、改質又は調整する(例えば三叉神経活性の場合に)ために食用組成物又は咀嚼可能な生成物に添加されることを意図した、フレーバー配合物の製造のための、フレーバー成分、又はフレーバー成分、溶剤もしくは現在使用されている補助剤の混合物を意味する。フレーバー成分は、当業者に周知であり、かつそれらの性質は、本明細書における詳細な記載を保証せず、あらゆる場合において網羅することはできず、その際当業者は、一般の知識に基づいて、及び任意の使用又は適用及び達成するために所望された感覚刺激性効果にしたがって、前記ベースを選択することができる。それらのフレーバー成分の多くは、参考文献において、例えばS. ArctanderによるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, N.J., USAの本又はその最新版において、又は同様の他の研究、例えばFenaroli's Handbook of Flavor Ingredients, 1975, CRC Press or Synthetic Food Adjuncts, 1947, by M. B. Jacobs, can Nostrand Co., Incにおいて挙げられている。溶剤及び補助剤又はフレーバー配合物の製造のために現在使用されるものは当業者に周知である。
【0027】
カプセル化されることにより利益が得られてよい代わりの疎水性成分が、香料又はフレーバー、もしくは香料又はフレーバーとの組合せの代わりに使用されてよい。かかる成分の制限のない例は、化粧品成分、スキンケア成分、悪臭の抑制剤、殺菌剤、殺真菌剤、医薬又は農薬成分、消毒剤、昆虫忌避剤又は昆虫誘引剤を含む。
【0028】
本発明によって使用される適したポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、及びそれらの混合物を含む。前記ポリイソシアネートは、少なくとも3つ、しかし6つまで、又はさらに4つのみのイソシアネート官能基を含む。特定の一実施形態にしたがって、トリイソシアネート(3つのイソシアネート官能基)が使用される。
【0029】
一実施形態にしたがって、前記ポリイソシアネートは芳香族ポリイソシアネートである。「芳香族ポリイソシアネート」の用語は、ここでは、芳香族部分を含むあらゆるポリイソシアネートを包含することを意味する。好ましくは、芳香族部分は、フェニル、トルイル、キシリル、ナフチル又はジフェニル部分であり、より好ましくは、トルイル又はキシリル部分である。好ましい芳香族ポリイソシアネートは、ジイソシアヌレートのビウレット、ポリイソシアヌレート及びトリメチロールプロパン付加物であり、より好ましくは、前記特定の芳香族部分の1つを含有する。より好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート(商標名Desmodur(登録商標)RCでBayer社から市販されている)、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商標名Desmodur(登録商標)L75でBayer社から市販されている)、キシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商標名Takenate(登録商標)D-110NでMitsui Chemicals社から市販されている)である。最も好ましい一実施形態において、芳香族ポリイソシアネートは、キシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である。
【0030】
他の実施形態にしたがって、前記ポリイソシアネートは脂肪族ポリイソシアネートである。「脂肪族ポリイソシアネート」の用語は、あらゆる芳香族部分を含まないポリイソシアネートとして定義される。好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(Mitsui Chemicals社から市販されている)又はヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(商標名Desmodur(登録商標)N 100でBayer社から市販されている)であり、中でもヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットがさらにより好ましい。
【0031】
他の実施形態にしたがって、前記少なくとも1つのポリイソシアネートは、双方とも少なくとも2つ又は3つのイソシアネート官能基を含む、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートとの混合物、例えばヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレートとの混合物、及びヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物の形である。最も好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。好ましくは、混合物として使用される場合に、脂肪族ポリイソシアネートと芳香族ポリイソシアネートとのモル比は、80:20~10:90の範囲である。
【0032】
本発明の方法において使用される少なくとも1つのポリイソシアネートは、油相の1~15質量%、好ましくは2~8質量%、より好ましくは2~6質量%を示す量で存在する。
【0033】
特定の一実施形態にしたがって、油相は、実質的に、少なくとも3つのイソシアネート官能基を有するポリイソシアネートと、香油又はフレーバー油とからなる。
【0034】
他の工程において、イオン性界面活性剤又はpH>5でイオン性のコロイド状安定剤を、水中でそれぞれ可溶化させて、水相を形成する。適したイオン性界面活性剤は、制限されることなく、アニオン性界面活性剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム)を含む。pH>5でイオン性の適したコロイド状安定剤は、制限されることなく、アクリルアミドとアクリル酸とのコポリマー(例えばCiba社製のAlcapsol(登録商標)144)、例えばアクリル酸とアクリルアミドとのモノマー混合物から製造される酸/アクリルアミドコポリマー(ここで、アクリル酸含有率は、30%~70%の範囲である)、スルホネート基を有するアクリル酸コポリマー(例えば、ナトリウムポリスチレンスルホネート)、及びビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー(一度加水分解される)からなる群から選択されるものを含む。本発明の実施形態のいずれか1つにしたがって、前記安定剤はイオン性界面活性剤、例えばアクリルアミドとアクリル酸とのコポリマーである。
【0035】
本発明の前記実施態様のいずれか1つにしたがって、分散液は、約0.1%~5%(w/w)の少なくとも1つの安定剤を含み、パーセンテージは、工程3)後に得られる分散液の全質量に対するw/wで表される。本発明のさらに他の態様において、分散液は約0.1%~2%(w/w)の少なくとも1つの安定剤を含む。本発明のさらに他の態様において、分散液は約0.1%~1%(w/w)の少なくとも1つの安定剤を含む。
【0036】
本発明の方法の次の工程において、油相が水相に添加されて分散液を形成し、その際、平均の液滴サイズは、1~500μm、好ましくは5~50μmである。これに続いて硬化工程4)が実施され、スラリー又は液体分散液の形でのマイクロカプセルになる。好ましい一実施形態にしたがって、前記工程は、50~130℃である温度で、場合により圧力下で、15分~8時間実施される。より好ましくは、50~90℃で、30分~4時間実施される。最も好ましくは、75~90℃で、1~4時間実施される。
【0037】
本発明の特定の一実施形態にしたがって、工程4)の終わりで、本発明のスラリーに、非イオン性多糖、カチオンポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを添加して、マイクロカプセルに外側のコーティングを形成してもよい。
【0038】
非イオン性多糖ポリマーは、当業者に周知であり、例えば、国際公開第2012/007438号(WO2012/007438)29頁1~25行目において、並びに国際公開第2013/026657号(WO2013/026657)2頁12~19行目及び4頁3~12行目において記載されている。好ましい非イオン性多糖は、ローカストビーンガム、キシログルカン、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される。
【0039】
カチオンポリマーは、当業者に周知であり、例えば国際公開第2008/098387号(WO2008/098387)5頁10~30行目において記載されている。好ましいカチオンポリマーは、少なくとも0.5meq/g、より好ましくは少なくとも約1.5meq/gの、しかし好ましくは約7meq/g未満、好ましくは約6.2meq/g未満のカチオン電荷密度を有する。カチオンポリマーのカチオン電荷密度を、窒素測定のための化学試験下でUS薬局方において記載されているKjeldahl法によって測定してよい。好ましいカチオンポリマーは、ポリマー主鎖の一部を形成し、又は直接それらに連結された側鎖置換基(side substituent)によって運ばれてよい、第一級、第二級、第三級及び/又は第四級アミン基を含む単位を含むものから選択される。カチオンポリマーの質量平均(Mw)分子量は、好ましくは、10000~2Mダルトン、より好ましくは50000~1.5Mダルトンである。特定の例として、Salcare(登録商標)SC60(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとアクリルアミドとのカチオンコポリマー、供給源:BASF)又はLuviquat(登録商標)、例えばPQ 11N、FC 550又はSupreme(ポリクオタニウム-11~68又はビニルピロリドンの四級化コポリマー、供給源:BASF)、又はJaguar(登録商標)(C13S又はC17、供給源:Rhodia)を挙げてよい。
【0040】
本発明の前記実施形態のいずれかにしたがって、約0%~5%(w/w)、又はさらに約0.1%~2%(w/w)の前記ポリマー量を添加し、その際パーセンテージは、工程4)の後に得られるスラリーの全質量に対するw/wで示される。前記添加したポリマーの一部のみが、マイクロカプセルのシェル中に導入されること/該シェル上に堆積することは、当業者に明確に理解される。
【0041】
代わりに、任意の工程5)において、前記プロセスによって得られたスラリーを、乾燥、例えば噴霧乾燥させ、例えば粉末形でのマイクロカプセルを提供してよい。かかる乾燥を実施するための当業者に公知のあらゆる標準の方法も適用できることが理解される。特に、好ましくは、ポリマー性キャリヤー材料、例えばポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然又は加工デンプン、植物ゴム、ペクチン、キサンタン、アルギネート、カラゲナン、又はセルロース誘導体の存在下でスラリーを噴霧乾燥させて、粉末形でのマイクロカプセルを提供してよい。
【0042】
前記プロセスにより得られるカプセルは、本発明の目的でもある。膜を形成するポリイソシアネートの性質にも関わらず、及びプロセス中に使用される限定量のポリイソシアネートを考慮して該膜が比較的薄い事実にもかかわらず、本発明のカプセルは、刺激のある媒体中での安定性の点で非常に良好な性能、及び良好なにおい性能に変換する良好な機械的特性を示す。これに関して、理想的な状況は、マイクロカプセルが最良の安定性、すなわち最良のにおい性能、すなわち擦る前と擦った後の両方の適用における香料の強度と組み合わせた適用における最も低い香りの漏れを示すものであるが、異なるシナリオは、適用に依存して非常に興味深く、かつより高いにおい性能を有する僅かに低い安定性のカプセルが非常に有用であり、したがってにおい性能が僅かに低下したより安定したカプセルであってよい。本発明のカプセルは、ポリイソシアネートの割合及び香油の性質に依存して変動する香料の漏れ/におい性能の側面を有する。当業者は、適用の必要性に依存して、良好なバランスを選択することができる。本発明のカプセルは、メラミン-ホルムアルデヒドを有さない追加の利点が存在する。
【0043】
本発明の他の目的は、
(i)前記で定義された香料マイクロカプセル
(ii)香料キャリヤー、香料補助成分及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの成分
(iii)任意に少なくとも1つの香料補助剤
を含む付香組成物である。
【0044】
液体香料キャリヤーとしては、制限のない例として、乳化系、すなわち溶剤及び界面活性剤系、又は香料において慣用的に使用される溶剤を挙げてよい。香料において慣用的に使用される溶剤の性質及びタイプの詳細な説明は網羅できない。しかしながら、制限のない例として、最も慣用的に使用される溶剤、例えばジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、ベンジルベンゾエート、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノール又はクエン酸エチルを挙げられる。香料キャリヤー及び香料補助成分の双方を含む組成物に関して、前記したものよりも適した他の香料キャリヤーは、エタノール、水/エタノール混合物、リモネン、又は他のテルペン、イソパラフィン、例えば商標名Isopar(登録商標)(供給源:Exxon Chemical)又はグリコールエーテル及びグリコールエーテルエステル、例えば商標名Dowanol(登録商標)(供給源:Dow Chemical Company)で公知のものであってもよい。さらに、「香料補助成分」に関しては、ここでは、心地よい効果を付与するための付香調製物又は組成物において使用され、前記で定義されたようにマイクロカプセルではない化合物を意味する。言い換えれば、付香補助成分であると考えられるべきかかる補助成分は、ポジティブな又は好ましい方法で組成物のにおいを付与又は改質することができ、かつ単に1つのにおいを有するだけでないと当業者によって認識される必要がある。
【0045】
いずれにしても網羅することはできないであろう前記付香組成物中に存在する付香補助成分の性質及びタイプは、ここでより詳細な記載を保証するものではなく、その際当業者は、一般の知識に基づいて、及び任意の使用又は適用及び所望された感覚刺激性効果にしたがって、前記ベースを選択することができる。一般的な用語で、これらの付香補助成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素又は硫黄の複素環化合物及び精油と多様な化学品種に属し、かつ該付香補助成分は、天然又は合成由来のものであってよい。これらの補助成分の多くは、いずれにしても、参考文献、例えばS. ArctanderによるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、又はその最新版において、又は同様の種類の他の著作において、並びに香料の分野における豊富な特許文献において挙げられている。前記補助成分は、制御された方法で種々のタイプの付香成分を放出することが公知の化合物であってもよい。
【0046】
「香料補助剤」に関しては、ここで、追加の付加効果、例えば色、特定の耐光性、化学安定性等を付与することができる成分を意味する。付香ベースにおいて慣用的に使用される補助剤の性質及びタイプの詳細な説明は網羅することはできないが、しかし該成分が当業者に周知であることを挙げるべきである。
【0047】
好ましくは、本発明による付香組成物は、0.05~30質量%、好ましくは0.1~30質量%の前記で定義したマイクロカプセルを含む。
【0048】
本発明のマイクロカプセルは、好ましくは、現在の香料、すなわちファイン香料又は機能性香料の全ての分野において使用されうる。したがって、本発明の他の目的は、付香成分として、前記で定義したマイクロカプセル又は前記で定義した付香組成物を含む付香消費者製品によって示される。
【0049】
本発明のマイクロカプセルは、したがって、そのままで、又は付香消費者製品中で本発明の付香組成物の一部として添加されうる。
【0050】
明確性の理由から、「付香消費者製品」に関しては、少なくとも1つの心地よい付香効果を、付香効果が適用される表面(例えば皮膚、髪、織物、又は家の表面)に提供することが期待された消費者製品を意味することに注意すべきである。言い換えれば、本発明による付香消費者製品は、機能的な配合物、並びに場合により所望の消費者製品に対応する追加の有効物質、例えば洗剤又はエアフレッシュナー、及び嗅覚的に有効な量の本発明の化合物の少なくとも1つを含む、着香消費者製品である。
【0051】
いずれにしても網羅することはできないであろう香料消費者製品の成分の性質及びタイプは、ここでより詳細な記載を保証するものではなく、その際当業者は、一般的な知識に基づいて、及び該製品の性質及び所望の効果にしたがって、香料消費者製品の成分の性質及びタイプを選択することができる。本発明のマイクロカプセルに導入されうる消費者製品の配合物は、かかる製品に関する豊富な文献において見出される。それらの配合物は、本明細書の詳細な記載を保証せず、あらゆる場合に網羅されていない。かかる消費者製品を配合する当業者は、当業者の一般の知識及び入手可能な文献に基づいて適した成分を完全に選択することができる。
【0052】
特に、かかる配合物の例は、かかる製品に関する特許及び特許出願明細書において、例えば、国際公開第2008/016684号(WO2008/016684)、米国特許出願公開第2007/0202063号(US2007/0202063)、国際公開第2007/062833号(WO2007/062833)、国際公開第2007/062733号(WO2007/062733)、国際公開第2005/054422号(WO2005/054422)、欧州特許第1741775号(EP1741775)、英国特許第2432843号(GB2432843)、英国特許第2432850号(GB2432850)、英国特許第2432851号(GB2432851)、英国特許第2432852号(GB2432852)、国際公開第9850011号(WO9850011)、国際公開第2013174615号(WO2013174615)又は国際公開第2012084904号(WO2012084904)において見出される。
【0053】
適した香料消費者製品の制限のない例は、香料、例えばファイン香料、コロン又はアフターシェービングローション;布地用ケア製品、例えば液体又は固形洗剤、錠剤及びポッド、布地用柔軟剤、ドライヤーシート、布地用リフレッシャー、アイロン水、又は漂白剤;ボディケア製品、例えばヘアケア製品(例えばシャンプー、ヘアコンディショナー、カラーリング剤又はヘアスプレー)、化粧品配合物(例えばバニシングクリーム、ボディローション、又はデオドラント又は発汗抑制剤)、又はスキンケア製品(例えば着香石鹸、シャワー用又はバス用のムース、オイルもしくはゲル、ボディウォッシュ、バスソルト、又は衛生製品);エアケア製品、例えばエアフレッシュナー又は「すぐに使用できる」粉末エアフレッシュナー;又はホームケア製品、例えば全ての目的のクレンザー、液体又は粉末又は錠剤の皿洗い用製品、トイレクレンザー又は種々の表面を洗浄する製品、例えば織物又は硬質表面(床、タイル、石床等)の処理/リフレッシュを目的としたスプレー及びワイプであってよい。
【0054】
好ましくは、消費者製品は、0.05質量%、好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは0.2~5質量%の本発明のマイクロカプセルを含み、その際、これらの全てのパーセンテージは、消費者製品の全質量に対する質量として定義される。もちろん、前記濃度は、それぞれの製品において所望される嗅覚効果にしたがって適合されてよい。
【0055】
本発明のカプセルは、著しい量の界面活性剤を含有する消費者製品において特に及び有利に安定であることが証明されており、より詳述すれば、それらは、1種類の粒子のみが使用されるカプセルと比較して改善された安定性を示した。
【0056】
本発明を、実施例によりさらに説明する。請求される本発明は、これらの実施例により何ら制限されるものではないことを理解する。
【実施例
【0057】
実施例1
カプセルA~Uの製造
注:
カプセルA~F及びI~M及びO~Uは本発明によるカプセルである。
カプセルG、H及びNは、比較の目的のためのものであり本発明の範囲外である。
【0058】
マイクロカプセルA~Uを、次の成分で製造した:
表1:カプセルA~Uの組成
【表1】
1)表3、表4、表5又は表6を参照
2)Takenate(登録商標)D-110N(キシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物);Mitsui Chemicals社からの供給源及び商標名、75%ポリイソシアネート/25%酢酸エチル
3)AlcapsolTM;Ciba社からの供給源及び商標名、水中で20%溶液
4)Salcare(登録商標)SC60;Ciba社からの供給源及び商標名(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー)、水中で3%溶液。
【0059】
マイクロカプセルA~Uの製造プロセス:
種々の量のポリイソシアネート(キシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、Takenate(登録商標)D-110N、Mitsui Chemicalsからの供給源及び商標名)を以下の表2において定義した量で、20.74gの香油A、B、C又はD(表3、4、5及び6において定義された組成)と混和することにより、油相を製造した。
【0060】
カプセルスラリーを製造するために、アクリルアミド/アクリル酸のコポリマーを、水中で溶解し、水相を形成した。そして、香料/ポリイソシアネートのプレミックスの油相を、この溶液に添加し、そして酢酸でpHを5に調整した。90℃まで温度を2時間上昇させ、カプセルを硬化させた。この時点で、カプセルが形成され、架橋され、そして安定であった。そして、水中で3%のSalcare(登録商標)SC60溶液を上記混合物中に90℃で添加し、そして1時間90℃で反応させた。その混合物を室温まで冷却させた。最終のpHを、水酸化ナトリウムで7に調整した。
【0061】
カプセルH(本発明の範囲外)について、温度を90℃に上昇させる前に、ポリアミン(グアニジンカーボネート)を水相に添加し、その結果境界面でポリイソシアネートと反応してポリウレアが形成された。カプセルHは、本発明の範囲外である。
【0062】
カプセルA~Uのカプセル壁を製造するために使用したポリイソシアネートの変量を以下の表2において要約する:
表2:カプセルA~Uを製造するために20.74gの香油A、B、C又はDと混合したTakenate D-110Nの変量
【表2-1】
【表2-2】
純粋なポリイソシアネート=使用したTakenate(登録商標)D-110N量の75%。
【0063】
カプセル化及びTakenate(登録商標)D-110Nを使用してカプセル壁をもたらした後の、鉱油中での未反応のポリイソシアネートの残留レベルは非常に少なく、したがって、カプセルの内側のコアは、実質的に香油から形成されていた。
【0064】
表3:香料Aの組成
【表3】
1) 供給源:Firmenich SA(Geneva、Switzerland)
2) 2-メチル-1,3-ジオキサラン-2-アセテートジエチル;IFF(USA)からの供給源及び商標名
3) 4-メチル-3-デセン-5-オール;Givaudan SA(Vernier、Switzerland)からの供給源及び商標名
4) 2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート;IFF(USA)からの供給源及び商標名
5) 3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール;Givaudan SA(Vernier、Switzerland)からの供給源及び商標名
6) 供給源:Firmenich SA(Geneva、Switzerland)
7) メチルジヒドロジャスモネート;Firmenich SA(Geneva、Switzerland)からの供給源及び商標名
8) 2-アセトナフトン-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロトラメチル;IFF(USA)からの供給源及び商標名
9) 1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-シクロペンタ-g-2-ベンゾピラン;IFF(USA)からの供給源及び商標名。
【0065】
表4:香料Bの組成
【表4】
1) 供給源:Firmenich SA(Geneva、Switzerland)
2) 2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート;IFF(USA)からの供給源及び商標名。
【0066】
表5:香料Cの組成
【表5】
1) 供給源:Firmenich SA(Geneva、Switzerland)
2) 4-メチル-3-デセン-5-オール;Givaudan SA(Vernier、Switzerland)からの供給源及び商標名
3) 3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール;Givaudan SA(Vernier、Switzerland)からの供給源及び商標名。
【0067】
表6:香料Dの組成
【表6】
1)2) 供給源:Firmenich SA(Geneva、Switzerland)
3) メチルジヒドロジャスモネート;Firmenich SA(Switzerland)からの供給源及び商標名
4) 1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン;IFF(USA)からの供給源及び商標名
5) ペンタデセノリド;Firmenich SA(Switzerland)からの供給源及び商標名。
【0068】
実施例2
実施例1にしたがって製造したカプセルについてのカプセル化の収率
カプセル化プロセスの効率を、カプセル化されていない香油の量を測定し、カプセル化収率、すなわち硬化工程の終わりでカプセル化された導入された香油の割合を減算することにより評価した。この目的のために、本発明のカプセルの水性分散液を、カプセル化された香料の漏れを誘発しないが、カプセル化されていない全ての香油を抽出するのに適している溶剤で素早く洗浄した。硬化工程の終わりでカプセル化されていない最初の香料のパーセンテージ(カプセル化されていない%)を、検量曲線に対するGC-MS分析により測定した。そして、カプセル化の収率を、100%-カプセル化されていない%として算出した。
【0069】
表7:香油A中でのTakenate(登録商標)(%)の作用としての本発明のカプセルA~F及びG(本発明ではない)のカプセル化の収率
【表7】
【0070】
結果は、良好なカプセル化が本発明に従ったカプセルで達せられたことを示す。非常に僅かなポリイソシアネートが非常に良好なカプセル化の収率を得るために鉱油中で必要とされる。カプセル化の収率は、香油A中で1.5%のみのトリイソシアネートで既に92%であり、2%より多くのトリイソシアネートを香油A中で使用した場合にはカプセル化の収率は100%近くにまで達する。一方で、カプセル化の収率がカプセルG(香油中で0.5%のトリイソシアネート)について60%のみであるように、本発明の範囲外の香油A中のトリイソシアネート濃度ではカプセル化の収率における急な降下がある。
【0071】
表8:香油B中でのTakenate(登録商標)(%)の作用としての本発明によるカプセルI~M及びN(本発明ではない)のカプセル化の収率
【表8】
【0072】
香料Aに関して、本発明のカプセルI~Mは、カプセル壁のための単独のモノマーとして(ポリアミンの不在で)トリイソシアネートで製造された。さらに、香油中で1.5%のトリイソシアネートで99%より多くのカプセル化の収率を得る、非常に良好なカプセル化の収率をもたらすために、非常に僅かなTakenate(登録商標)D-110Nが香油B中で必要とされた。しかしながら、カプセル化の収率がカプセルNについて75%のみであるように本発明の範囲外ではカプセル化の効率における急な降下がある。
【0073】
表9:香油C中でのTakenate(登録商標)(%)の作用としての本発明によるカプセルO~Sのカプセル化の収率
【表9】
【0074】
香料A及びBに関して、本発明のカプセルO~Sは、カプセル壁のための単独のモノマーとして(ポリアミンの不在で)トリイソシアネートで製造された。さらに、香油中で1.5%のトリイソシアネートで99%より多くのカプセル化の収率を得る、非常に良好なカプセル化の収率をもたらすために、非常に僅かなTakenate(登録商標)D-110Nが香油C中で必要とされた。
【0075】
表10:香油D中でのTakenate(登録商標)(%)の作用としての本発明によるカプセルT~Uのカプセル化の収率
【表10】
【0076】
香料A、B及びCに関して、本発明のカプセルT及びUは、カプセル壁のための(香油中で5%使用した)単独のモノマーとして(ポリアミンの不在で)トリイソシアネートで製造された。
【0077】
実施例3
カプセルを含む布地用柔軟剤
濃縮した着香していない布地用柔軟剤ベースを、表11に挙げた成分を、示した量で混和することにより製造した。パーセンテージは、着香していない布地用柔軟剤ベースの全質量に対する質量で定義される。
【0078】
表11:濃縮した着香していない布地用柔軟剤ベースの配合(pH~2.85)
【表11】
1) アンモニウムメチルビス[エチル(スルフ)]-2-ヒドロキシエチルメトスルフェート;供給源:Stepan
2) 1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンの20%のジプロピレングリコール水溶液;供給源:Avecia。
【0079】
柔軟剤A~Nを、緩やかな撹拌下で、表11の着香していない布地用柔軟剤ベース中の柔軟剤の全質量に対して、0.45質量%でカプセルA~Nを添加することにより製造した。
【0080】
実施例4
本発明によるカプセルの嗅覚的な性能及び本発明ではないカプセルとの比較
本発明のカプセルA~G、及びG(本発明の範囲外)(全てカプセル化した香料Aを有する)の嗅覚的な性能を、実施例3の布地用柔軟剤中で評価した。
【0081】
綿のテリータオル(20枚、18cm×18cm、それぞれ約30g)を、洗濯機(Miele Novotronic W300-33CH)中で40℃で短いサイクルのプログラムを使用して、着香していない洗剤(標準の粉末洗剤)30gで洗浄した。続いて、洗浄を、900rpmで、12.7gの柔軟剤A~Gで洗い流した。そして、テリータオルを24時間乾燥させ、そして評価した。
【0082】
柔軟剤A~Gで処理した乾燥したタオルに対する香料の知覚濃度を、20人の訓練したパネリストの調査団によって評価した。調査団に、擦る前に、最初に、非常に優しい取扱いで、タオルを手に取り、そしてにおいを嗅ぐために鼻に持って行き、そして第二段階で、彼らの手でタオルを擦ることにより、タオルを評価することを要求した。双方の段階で、1~10の範囲の尺度(1はにおいを感じず、10は非常に強くにおいを感じた)で香料の知覚の強度の割合を彼らに聞いた。結果を以下の表12に要約する。
【0083】
表12:香油A中でのトリイソシアネート(%)の作用としての、実施例3の布地用柔軟剤における本発明のカプセルA~F、及びG(本発明の範囲外)の嗅覚的な性能
【表12】
【0084】
結果を図1で示す。
【0085】
嗅覚的に、本発明により製造した、すなわち油中で少なくとも1%の濃度でカプセル壁のための単独のモノマーとしてトリイソシアネートのみを使用して製造した、全てのカプセルA~Fは、擦る前に幾らかの中程度の影響の要求されたプロフィールを示し、擦った後に強く増幅される(摩擦効果)。最も良い嗅覚的な性能は、2%~6%のポリイソシアネートを香油中に添加した場合に得られた。
【0086】
本発明の範囲外である非常に低い濃度のトリイソシアネートを使用したカプセルGは、本発明のカプセルA~Fよりも嗅覚的に弱く、擦る前及び擦った後の双方で乏しい影響を示す。
【0087】
カプセルI~M(本発明により製造したが、今回はカプセル化した香料Bを有する)の嗅覚的な性能も、カプセルA~G(カプセル化した香油Aを有する)の嗅覚的な性能に関して上述したものと同様のプロトコルを使用して、実施例3の布地用柔軟剤において評価した。それらを、本発明の範囲外のトリイソシアネートの濃度を使用して製造したカプセルNの嗅覚的な性能と比較した。結果を以下の表13に要約する。
【0088】
表13:香油B中でのトリイソシアネート(%)の作用としての、実施例3の布地用柔軟剤における本発明のカプセルI~M、及びN(本発明の範囲外)の嗅覚的な性能
【表13】
【0089】
結果を図2で示す。
【0090】
さらに、カプセル壁のための単独のモノマーとして少なくとも1%のトリイソシアネートで本発明により製造した全てのカプセルI~Mは、擦る前に幾らかの中程度の効果の要求されたプロフィールを示し、擦った後に強く増幅される(摩擦効果)。最も良い嗅覚的な影響は、1.5%~5%のポリイソシアネートを香油中に添加した場合に得られた。
【0091】
カプセルGに関して、本発明の範囲外であるポリイソシアネートの濃度を使用して製造したカプセルNは、本発明のカプセルI~Mよりも嗅覚的に弱く、擦る前及び擦った後の双方で著しく乏しい影響を示す。
【0092】
実施例5
実施例3の布地用柔軟剤における本発明によるカプセルの貯蔵安定性
実施例3の布地用柔軟剤におけるカプセルA~F(本発明により製造した)の貯蔵安定性を、1ヶ月までの間で35℃又は43℃で評価した。カプセルG(本発明の範囲外である)の貯蔵安定性も評価した。経時的にカプセルから漏れた香料Aの量を、溶剤抽出及びGC-MS分析により測定した。結果を以下の表14に要約する。
【0093】
表14:実施例3の布地用柔軟剤における、本発明のカプセルA~F及びG(本発明の範囲外)の貯蔵安定性:35℃又は43℃での柔軟剤における貯蔵に対する経時的に漏れる香料のパーセンテージ
【表14】
【0094】
結果を図3で示す。
【0095】
ポリイソシアネートを香油中で多く添加すれば、より安定性は良好になり(壁が厚くなる)、低いTakenate(登録商標)D-110N値での安定性において急激に増加し、香油中の4%より多くのTakenate(登録商標)D-110Nは横ばいである(全てのカプセルは非常に安定している)。本発明により製造したカプセルA~Fは、高温で、2週間後に40%未満又は4週間後に65%未満の漏れを示し、一方で、本発明の範囲外で、カプセル壁は、貯蔵に対して非常に高い香料の漏れ(本発明の範囲外のカプセルGについて43℃で2週間後及び4週間後にそれぞれ76%及び85%)をもたらす。
【0096】
香料Aについて、カプセル化の効率、安定性及び性能の最適条件は、カプセル化されるべき香油Aに添加された約3%~6%の純粋なポリイソシアネートに等しい、カプセル化されるべき香油中で約4%~8%のTakenate(登録商標)D-110Nである。
【0097】
本発明によるカプセルI~Mの貯蔵安定性も、実施例3の布地用柔軟剤において、
1ヶ月までの間で35℃又は43℃で評価した。カプセルN(本発明の範囲外である)の貯蔵安定性も評価した。経時的にカプセルから漏れた香料Bの量を、溶剤抽出及びGC-MS分析により測定した。結果を以下の表15に要約する。
【0098】
表15:実施例3の布地用柔軟剤における貯蔵に対する、本発明のカプセルI~M及びN(本発明の範囲外)の貯蔵安定性:43℃での柔軟剤における貯蔵に対する経時的に漏れる香料の%
【表15】
【0099】
43℃での漏れは、本発明により製造した全てのカプセルI~Mについて極めて低いことが見出され、対照的に、非常に高い香料の漏れが本発明の範囲外のカプセルNについて観察された。
【0100】
結果を図4で示す。
【0101】
さらに、より多くのポリイソシアネートを香油中に添加すると、より安定性が高くなる(壁が厚くなる)。既に香油中で1.5%だけのトリイソシアネートで、安定性が非常に良好であり、10%未満の香料が、43℃での1ヶ月の貯蔵にわたりカプセルから漏れる。
【0102】
この香料Bに関して、最良の嗅覚的な性能は、香油中での約2~5%のTakenate(登録商標)D-110Nにより達せられ、良好なカプセル化の効率、安定性及び性能の最適条件は、カプセル化されるべき香油中で約2~5%のTakenate(登録商標)D-110Nである。Takenate(登録商標)D-110Nが75%のみの純粋なポリイソシアネートであるため、これは、この香料について良好な貯蔵安定性と良好な嗅覚的な影響の最良の組合せを達成するためにカプセル化されるべき香油B中で要求される1.5%~3.75%の純粋なポリイソシアネートと同等である。
【0103】
実施例6
本発明によるカプセルと、ポリアミン(グアニジン)をコモノマーとしてTakenate D-110Nと一緒に使用したカプセルとの比較例
カプセルCを、カプセルH(実施例1を参照)と比較した。カプセルHは、本願発明の範囲外であり、コモノマーとしてポリアミン(グアニジン)を添加することを含むプロセスで製造する。
【0104】
表16:実施例3の布地用柔軟剤中で一度添加した、本発明のカプセルC(ポリアミンを使用していない)とカプセルH(プロセス中でグアニジンを添加)とのカプセル化の効率及び貯蔵安定性
【表16】
【0105】
結果は、カプセル化の効率及び分析的な安定性(柔軟剤中での貯蔵に対する香料の漏れ)の点で、ポリアミンの添加がない場合に、性能が低下しないことを示す。
【0106】
分析的に、香油中で5%のTakenate(登録商標)で製造したカプセルからの香料の漏れは、35℃での貯蔵と同様であり、43℃での最も激しい貯蔵のために水相でポリアミンを使用した場合に、非常に僅かに優れているのみである。
【0107】
嗅覚的な影響に関して、比較結果を表17に示す。
【0108】
表17:実施例3の布地用柔軟剤中で一度添加した、本発明のカプセルC(ポリアミンを使用していない)とカプセルH(プロセス中でグアニジンを添加)の嗅覚的な性能
【表17】
【0109】
双方のカプセルC及びHは、強く、非常に類似した摩擦効果を示す。
【0110】
実施例7
香料源としてマイクロカプセルのみを含有するマイクロカプセル粉末の製造
水150グラム、本発明のマイクロカプセル91グラム、及びデンプンとマルトデキストリンとの混合物100グラムの水溶液を製造する。pHを、溶液に純粋なクエン酸を添加して、pH4に設定する。そして、その溶液を、Silverson L4RT高剪断ミキサーを使用して激しく撹拌する。
【0111】
マイクロカプセル分散液を、SODEVA装置(Buechi Spray Dryer Model B 290を置くほうがよい)で噴霧乾燥した。噴霧乾燥器中の流入空気の温度は185℃~190℃であり、流出空気は95℃~105℃であった。二方向噴霧ノズル(biphase spray nozzle)をノズル直径0.7mmで使用した。
【0112】
実施例8
本発明によるカプセルとアミノプラストベースのカプセル、及び本発明によるカプセルとポリウレアベースのカプセルの、貯蔵安定性及び嗅覚的な性能の比較
合成カプセルVアミノプラスト(本発明の一部ではない)
油相を、ポリイソシアネート(キシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、Takenate(登録商標)D-110N、供給源:Mitsui Chemicals社)と、表18において挙げた成分を含有する香油とを混和することにより製造した。油相は、2%のTakenate(登録商標)D-110N及び98%の香油からなった。
【0113】
カプセルスラリーを形成するために、アクリルアミド及びアクリル酸コポリマー及びメラミン-ホルムアルデヒド樹脂を、水中で溶解し、水相を形成した。そして、香料のプレミックス油状物を、この溶液に添加し、そして酢酸でpHを5に調整した。90℃まで温度を2時間上昇させ、カプセルを硬化させた。この時点で、カプセルが形成され、架橋され、そして安定であった。そして、水中で3%のSalcare(登録商標)SC60(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー)溶液を上記混合物中に90℃で添加し、そして1時間90℃で反応させた。そして、エチレンウレア(水中で50質量%)の溶液を添加し、残りの遊離ホルムアルデヒドを取り除き、そしてその混合物を室温まで冷却させた。最終のpHを、水酸化ナトリウムで7に調整した。
【0114】
表18:主要なアミノプラストカプセルVの組成
【表18】
1) AlcapsolTM(Ciba社からの商標)、水中で20%溶液
2) Cytec社製のCymel(登録商標)385(上記を参照)及びCymel 9370(高次メチル化メラミン)の90/10ブレンド、双方共に水中で70%溶液
3) Ciba社製のSalcare(登録商標)SC60(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー)、水中で3%溶液。
【0115】
アニオン性ポリウレアカプセルW~Z(本発明の一部ではない)を、実施例3の布地用柔軟剤中で使用する場合に、布地上で貯蔵安定性と嗅覚的な性能の最良のバランスであった、国際公開第2011/154893号(WO2011/154893)のカプセルGを再現することにより製造した。
【0116】
表19:アニオン性ポリウレアカプセルW~Z(使用した香料に依存する)の組成
【表19】
1) ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(供給源Bayer社)
2) キシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(供給源:Mitsui Chemicals社)
3) 実施例1の表3、4、5又は6の、カプセルWについて付香組成物A、カプセルXについて付香組成物B、カプセルYについて付香組成物C、又はカプセルZについて付香組成物D
4) Mowiol(登録商標)18-88、供給源:Fluka社
5) テトラエチルアンモニウムクロリド(50%水溶液)、供給源:Fluka社
6) 供給源:Acros Organics社。
【0117】
Desmodur(登録商標)N100及びTakenate D-110Nを香料中で溶解した。この油相を、スクレーパ攪拌機(scrapped stirrer)及びIka-ローター/ステーター系(6500~24000rpm)を備えた1リットルのガラス製二重ジャケット反応器中に導入した。油相を、スクレーパ撹拌機で5分間50rpmで撹拌した。
【0118】
安定剤溶液の全質量に対して1質量%で安定剤水溶液を、脱イオン水543.5g中でポリビニルアルコールを溶解することにより製造した。この溶液を、室温で反応器中に導入し、そしてスクレーパ撹拌機を停止した。
【0119】
そして、プレエマルションを、13500rpmで10分間Ika-ローター/ステーター系で水性相中で香料相を分散することにより製造した。
【0120】
一度エマルションを製造し、撹拌を、プロセスの終わりまで200rpmでスクレーパ撹拌機で続けた。
【0121】
テトラエチルアンモニウムクロリド溶液をエマルションに添加した。そして、脱イオン水19g中でのグアニジンカーボネートの溶液を1時間にわたって反応器に添加した。そして、反応混合物の温度を1時間にわたって室温から70℃までゆっくりと上昇させた。そして温度を2時間70℃で維持した。そして撹拌スピードを100rpmに落とし、そしてカプセル懸濁液を室温まで冷却させた。
【0122】
カプセル懸濁液中の香料の含有量は、懸濁液の全質量に対して約40%であった。
【0123】
カチオン性ポリウレアカプセルWW~ZZ(本発明の一部ではない)を、布地用柔軟剤中で使用する場合に布地上で、及びボディケア適用で使用する場合に髪又は皮膚上で、貯蔵安定性と嗅覚的な性能の最良のバランスであった、国際公開第2009/153695号(WO2009/153695)の実施例4を再現することにより製造した。
【0124】
表20:カチオン性ポリウレアカプセルWW~ZZの組成
【表20】
1) ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(供給源Bayer社)
2) 実施例1の表3、4、5又は6の、カプセルWWについて付香組成物A、カプセルXXについて付香組成物B、カプセルYYについて付香組成物C、又はカプセルZZについて付香組成物D
3) Mowiol(登録商標)18-88、供給源:Fluka社
4) ポリクオタニウム-44、BASF社
5) テトラエチルアンモニウムクロリド(50%水溶液)、供給源:Fluka社
6) 供給源:Acros Organics社。
【0125】
Desmodur(登録商標)N100を香料中で溶解した。この油相を、スクレーパ攪拌機(scrapped stirrer)及びIka-ローター/ステーター系(6500~24000rpm)を備えた1リットルのガラス製二重ジャケット反応器中に導入した。油相を、スクレーパ撹拌機で5分間50rpmで撹拌した。
【0126】
安定剤水溶液を、安定剤溶液の全質量に対して、ポリビニルアルコールを0.25質量%で及びLuviquat Ultra Careを1%で、脱イオン水570.7g中でポリビニルアルコール及びluviquatを溶解することにより製造した。この溶液を、室温で反応器中に導入し、そしてスクレーパ撹拌機を停止した。
【0127】
そして、プレエマルションを、13500rpmで10分間Ika-ローター/ステーター系で水性相中で香料相を分散することにより製造した。
【0128】
一度エマルションを製造し、撹拌を、プロセスの終わりまで200rpmでスクレーパ撹拌機で続けた。
【0129】
テトラエチルアンモニウムクロリド溶液をエマルションに添加した。そして、脱イオン水19g中でのグアニジンカーボネートの溶液を1時間にわたって反応器に添加した。そして、反応混合物の温度を1時間にわたって室温から70℃までゆっくりと上昇させた。そして温度を2時間70℃で維持した。そして撹拌スピードを100rpmに落とし、そしてカプセル懸濁液を室温まで冷却させた。
【0130】
カプセル懸濁液中の香料の含有量は、懸濁液の全質量に対して約40%であった。
【0131】
実施例3の布地用柔軟剤におけるカプセルの貯蔵安定性
実施例3の布地用柔軟剤におけるカプセルC(本発明)、V、W及びWW(本発明の範囲外)の貯蔵安定性を、1ヶ月までの間で43℃で評価した。経時的にカプセルから漏れた香料Aの量を、溶剤抽出及びGC-MS分析により測定した。結果を以下の表21に要約する。
【0132】
表21:実施例3の布地用柔軟剤における貯蔵に対する、本発明のカプセルCとアミノプラストカプセルV、アニオン性ポリウレアカプセルW及びカチオン性ポリウレアカプセルWWの貯蔵安定性:43℃での柔軟剤における貯蔵に対する経時的に漏れる香料Aのパーセンテージ
【表21】
【0133】
本発明のカプセルCの43℃での布地用柔軟剤における貯蔵安定性は、先行技術に記載されたカプセル(メラミン-ホルムアルデヒドカプセルV、アニオン性ポリウレアカプセルW及びカチオン性ポリウレアカプセルWW)の安定性に匹敵しており、実際には僅かに優れている。
【0134】
本発明のカプセルC(カプセル化した香料Aを有する)の嗅覚的な性能も、カプセルA~G(カプセル化した香油Aを有する)の嗅覚的な性能に関して上述したものと同様のプロトコルを使用して、実施例3の布地用柔軟剤中で、アニオン性ポリウレアカプセルW及びカチオン性ポリウレアカプセルWWの性能に匹敵した。スラリー投与量を、それぞれのカプセルC、W又はWWについて調整し、その結果試験した全ての3つの柔軟剤は、同量のカプセル化した香料A(0.05%)を含んでいた。結果を表22において要約する。
【0135】
表22:アニオン性ポリウレアカプセルW及びカチオン性ポリウレアカプセルWWと比較した、実施例3の布地用柔軟剤における本発明のカプセルCの嗅覚的な性能
【表22】
【0136】
布地用柔軟剤中で0.05%のカプセル化された香料Aの同様の投与量で、本発明のカプセルCの嗅覚的な性能は、主要なアニオン性ポリウレアカプセルW及び主要なカチオン性ポリウレアカプセルWWに対して明らかに改良されている。
【0137】
実施例9
カプセルを含有する濃縮液体洗剤
液体洗剤O~Sを、着香していない濃縮液体洗剤ベース中の洗剤の全質量に対して、カプセルO~Sを0.3質量%で添加することにより製造した。このベース(pH~8)は、5%~15%の非イオン性界面活性剤(例えばアルコールエトキシレート)及びアニオン性界面活性剤(例えばナトリウムアルキルベンゼンスルホネート及びナトリウムアルキルエーテルスルフェート)を含み、5%未満の脂肪石鹸も有する。
【0138】
実施例10
濃縮液体洗剤における本発明によるカプセルの嗅覚的な性能
カプセルO~S(全てカプセル化された香油Cを有する)の嗅覚的な性能を、実施例9の液体洗剤で評価した。
【0139】
布地(綿のテリータオル2.5kg)を、標準の欧州の水平軸基で40℃で洗浄した。それらを、洗浄の開始時に新たに製造した洗剤80gを洗剤用の引き出しに分注した。洗浄後に、布地をつり干しし、そして綿タオルのにおい強度を、1日乾燥した後に、20人の訓練したパネリストの調査団により評価した。パネリストに、手で布地を優しく擦った後に、タオルのにおい強度を1から7の尺度で評価するように求め、1は無臭に相応し、7は非常に強いにおいに相当した。結果を表23において示す。
【0140】
表23:香油C中でのトリイソシアネート(%)の作用としての、濃縮液体洗剤におけるカプセルO~Sの嗅覚的な性能
【表23】
【0141】
嗅覚的に、本発明にしたがって製造した、例えば油中で少なくとも1.5%の濃度でカプセル壁のための単独のモノマーとしてトリイソシアネートのみを使用して製造した、全てのカプセルO~Sは、擦る前に幾らかの中程度の効果の要求されたプロフィールを示し、擦った後に強く増幅される(摩擦効果)。最も良い嗅覚的な性能は、3%~10%のポリイソシアネートを香油中に添加した場合に得られた。
【0142】
実施例11
濃縮液体洗剤における本発明のカプセルの貯蔵安定性
実施例9の液体洗剤におけるカプセルO~S(本発明にしたがって製造した)の貯蔵安定性を評価した。カプセルを含有する洗剤を4週間37℃で貯蔵し、そしてカプセルから漏れた香料の量を、溶剤抽出及びGC-MS分析により測定した。結果を以下の表24に要約する。
【0143】
表24:液体洗剤(LD)O~Sにおける本発明のカプセルの貯蔵安定性
【表24】
【0144】
より多くのポリイソシアネートを香油中に添加すると、より安定性が高くなる(壁が厚くなる)。本発明にしたがって製造したカプセルO~Sは、37℃での貯蔵の4週間後に40%未満の漏れを示す。
【0145】
香料Cについて、カプセル化の効率、安定性及び性能の最適条件は、カプセル化されるべき香油中で3%~10%のTakenate(登録商標)D-110Nである。Takenate(登録商標)D-110Nが75%のみの純粋なポリイソシアネートであるため、これは、この香料について良好な貯蔵安定性と良好な嗅覚的な影響の最良の組合せを達成するためにカプセル化されるべき香油C中で要求される2.25%~7.50%の純粋なポリイソシアネートと同等である。
【0146】
実施例12
本発明によるカプセルとポリウレアベースのカプセルとの、貯蔵安定性及び嗅覚的な性能の比較
実施例9の液体洗剤におけるカプセルの貯蔵安定性
実施例9の液体洗剤におけるカプセルQ(本発明)、Y及びYY(本発明の範囲外、実施例8において記載される)の貯蔵安定性を、1ヶ月までの間で37℃で評価した。経時的にカプセルから漏れた香料Cの量を、溶剤抽出及びGC-MS分析により測定した。結果を以下の表25に要約する。
【0147】
表25:実施例9の液体洗剤における貯蔵に対する、本発明のカプセルQとポリウレアカプセルY及びYYの貯蔵安定性:37℃での液体洗剤における貯蔵に対する経時的に漏れる香料Cのパーセンテージ
【表25】
【0148】
本発明のカプセルQの37℃での液体洗剤における貯蔵安定性は、先行技術に記載されたカプセル(アニオン性ポリウレアカプセルY及びカチオン性ポリウレアカプセルYY)の安定性に匹敵しており、実際には僅かに優れている。
【0149】
本発明のカプセルQ(カプセル化した香料Cを有する)の嗅覚的な性能も、カプセルO~S(カプセル化した香油Cを有する)の嗅覚的な性能に関して上述したものと同様のプロトコルを使用して、実施例9の液体洗剤において、アニオン性ポリウレアカプセルY及びカチオン性ポリウレアカプセルYYの性能に匹敵した。
【0150】
表26:アニオン性ポリウレアカプセルY及びカチオン性ポリウレアカプセルYYと比較した、実施例9の液体洗剤における本発明のカプセルQの嗅覚的な性能
【表26】
【0151】
液体洗剤で0.1%のカプセル化された香料Cの同様の投与量で、本発明のカプセルQの嗅覚的な性能は、主要なアニオン性ポリウレアカプセルY及び主要なカチオン性ポリウレアカプセルYYに対して明らかに改良されている。
【0152】
実施例13
本発明のカプセルを含有するロールオン制汗性デオドラント製品
表27:制汗性ロールオン用のエマルション配合物の組成
【表27】
【0153】
ロールオンの全質量に対して1質量%でカプセルI及びK~Nを表27の着香していないロールオンベース中に添加することにより、ロールオンI~Nを製造した。
【0154】
実施例14
制汗性ロールオンにおける本発明によるカプセルの嗅覚的な性能
本発明のカプセルI及びK~M、及びN(本発明の範囲外)の嗅覚的な性能を、実施例13の制汗性ロールオン用エマルション配合物中で評価した。
【0155】
0.15gの製品を、紙製ブロッター(4.5cm×12cm)上に拡げ、そして評価前に1時間室温で乾燥させた。
【0156】
前記ロールオン配合物で処理したブロッターに対する香料の知覚濃度を、10人の訓練したパネリストの調査団によって評価した。調査団に、1本の指でブロッターを優しく擦らせ、そして、1~7の範囲の尺度(1はにおいを感じず、7は非常に強くにおいを感じた)で香料の知覚の強度の割合を彼らに聞いた。
【0157】
結果を以下の表28に要約する。
【0158】
表28:香油B中でのトリイソシアネート(%)の作用としての、実施例13のロールオンにおける本発明のカプセルI及びK~M、及びN(本発明の範囲外)の嗅覚的な性能
【表28】
【0159】
嗅覚的に、本発明に従って製造した、例えば油中で少なくとも1%の濃度でカプセル壁のための単独のモノマーとしてトリイソシアネートのみを使用して製造した、全てのカプセルI~Mは、擦る前に幾らかの中程度の効果の要求されたプロフィールを示し、擦った後に強く増幅される(摩擦効果)。最も良い嗅覚的な性能は、2%~5%のポリイソシアネートを香油中に添加した場合に得られた。
【0160】
本発明の範囲外である非常に低い濃度のイソシアネートを使用したカプセルNは、本発明のカプセルI~Mよりも嗅覚的に弱く、特に擦った後に乏しい影響を示す。
【0161】
実施例15
表29:実施例13のロールオンにおける貯蔵に対する、本発明のカプセルI~M及びN(本発明の範囲外)の貯蔵安定性:45℃でのロールオンにおける貯蔵に対する経時的に漏れる香料の%
【表29】
【0162】
45℃での漏れは、本発明により製造した全てのカプセルI~Mについて極めて低いことが見出され、対照的に、非常に高い香料の漏れが本発明の範囲外のカプセルNについて観察された。
【0163】
実施例16
本発明によるカプセルとポリウレアベースのカプセルとの、貯蔵安定性及び嗅覚的な性能の比較
実施例13のロールオンおけるカプセルK(本発明)、X及びXX(本発明の範囲外、実施例8において記載される)の貯蔵安定性を、1ヶ月までの間で37℃で評価した。経時的にカプセルから漏れた香料Bの量を、溶剤抽出及びGC-MS分析により測定した。結果を以下の表30に要約する。
【0164】
表30:実施例13のロールオンおける貯蔵に対する、本発明のカプセルKとポリウレアカプセルX及びXXの貯蔵安定性:45℃でのロールオンにおける貯蔵に対する経時的に漏れる香料Bのパーセンテージ
【表30】
【0165】
本発明のカプセルKの45℃でのロールオンにおける貯蔵安定性は、先行技術に記載されたカプセルX及びXX(ポリウレアカプセル)の安定性に匹敵する。
【0166】
本発明のカプセルK(カプセル化した香料Bを有する)の嗅覚的な性能も、カプセルI~N(カプセル化した香油Bを有する)の嗅覚的な性能に関して上述したものと同様のプロトコルを使用して、実施例13のロールにおいて、アニオン性ポリウレアカプセルX及びカチオン性ポリウレアカプセルXXの性能に匹敵した。
【0167】
表31:アニオン性ポリウレアカプセルX及びカチオン性ポリウレアカプセルXXと比較した、実施例13のロールオンにおける本発明のカプセルKの嗅覚的な性能
【表31】
【0168】
ロールオン中で0.4%のカプセル化された香料Kの同様の投与量で、本発明のカプセルKの嗅覚的な性能は、主要なアニオン性ポリウレアカプセルX及び主要なカチオン性ポリウレアカプセルXXに対して明らかに改良されている。
【0169】
実施例17
本発明のカプセルを含有するボディウォッシュ製品及びそれらの嗅覚的な性能
以下で示した成分を以下で示した量で有するボディウォッシュ配合物を製造した。
【0170】
表32:ボディウォッシュ配合物の組成
【表32】
1) ポリアクリレート-1クロスポリマー、供給源及び商標:Noveon社
2) ナトリウムC12-C15パレススルフェート、供給源及び商標:Zschimmer&Schwarz社
3) コカミドプロピルベタイン、供給源及び商標:Goldschmidt AG
4) DMDMヒダントイン及びヨードプロピニルブチルカルバメート:供給源及び商標:Lonza社。
【0171】
実施例18
実施例17のボディウォッシュにおけるカプセルの貯蔵安定性
実施例17のボディウォッシュおけるカプセルT及びU(本発明)、Z及びZZ(本発明の範囲外、実施例8において記載される)の貯蔵安定性を、1ヶ月までの間で45℃で、及び1週間50℃で評価した。経時的にカプセルから漏れた香料Dの量を、溶剤抽出及びGC-MS分析により測定した。結果を以下の表33に要約する。
【0172】
表33:実施例17のボディウォッシュおける貯蔵に対する、本発明のカプセルT及びUとポリウレアカプセルZ及びZZの貯蔵安定性:45℃及び50℃でのボディウォッシュにおける貯蔵に対する経時的に漏れる香料Dのパーセンテージ
【表33】
【0173】
本発明のカプセルT及びUの40℃及び50℃でのボディウォッシュにおける貯蔵安定性は、アニオン性ポリウレアカプセルZ及びカチオン性ポリウレアカプセルZZにおいて記載されたカプセルの安定性に匹敵し、貯蔵に対するこれらの種々のカプセルからの香料の漏れは検出されない。
【0174】
実施例17において製造したボディウォッシュ中で、カプセルをそれぞれ分散させた。
【0175】
ボディウォッシュを前腕に適用し、実施例17からのボディウォッシュ1gをそれぞれマイクロピペットで適用し、そして、前腕上で10秒間泡を生成した。そして、腕を38℃で流水中で10秒間すすぎ、最後にタオルで乾燥させた。
【0176】
そして、腕を指で擦った後に腕上で知覚された香料の強度を1から7の範囲の尺度(1は無臭を意味し、7は非常に強い臭気を意味する)で評価するように頼んだ4名の訓練されたパネリストからなる専門家の調査団により、目隠しで評価した。適用後すぐに(フレッシュ)、及び数時間(適用後4時間および6時間)にも評価を行った。
【0177】
表34:アニオン性ポリウレアカプセルZ及びカチオン性ポリウレアカプセルZZと比較した、実施例17のボディウォッシュにおける本発明のカプセルT及びUの嗅覚的な性能
【表34】
【0178】
ボディウォッシュ中で0.25%のカプセル化された香料Dの同様の投与量で、本発明のカプセルT及びUの嗅覚的な性能は、主要なアニオン性ポリウレアカプセルZ及び主要なカチオン性ポリウレアカプセルZZに対して明らかに改良されている。
【0179】
実施例19
本発明のカプセルを含有するヘアシャンプー製品及びそれらの嗅覚的な性能
表35:ヘアシャンプー配合物の組成
【表35】
1) グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、供給源及び商標:Rhodia社(France)
2) ココ-ベタイン、供給源及び商標:Cognis社(Germany)
3) ナトリウムラウレススルフェート、供給源及び商標:Cognis社(Germany)
4) ジメチコン及びラウレス-23及びラウレス-4及びサリチル酸、供給源及び商標:Dow Corning社(UK)
5) グリコールジステアレート、供給源及び商標:Cognis社(Germany)
6) ココアミドMPA、供給源及び商標:Degussa社(Germany)
7) DMDMヒダントイン及びヨードプロピニルブチルカルバメート:供給源及び商標:Lonza社(UK)。
【0180】
本発明のカプセルT及びU、並びにZ及びZZ(本発明の範囲外、実施例8において記載される)の嗅覚的な性能を、表35における前記ヘアシャンプー配合物中で評価した。前記で製造したシャンプー中で、カプセルをそれぞれ分散させた。10gの髪見本を2.5gのカプセルを含有するこのシャンプー配合物で洗浄し、37℃の水道水で30秒間すすぎ、同様の洗浄/すすぎの操作を2回繰り返した。そして、髪見本を、6時間室温で乾燥させて評価した。
【0181】
実施例20
実施例19のヘアシャンプーにおけるカプセルの貯蔵安定性
実施例19のヘアシャンプーおけるカプセルT及びU(本発明)、並びにZ及びZZ(本発明の範囲外、実施例8において記載される)の貯蔵安定性を、1ヶ月までの間で45℃で評価した。経時的にカプセルから漏れた香料Dの量を、溶剤抽出及びGC-MS分析により測定した。結果を以下の表36に要約する。
【0182】
表36:実施例19のヘアシャンプーにおける貯蔵に対する、本発明のカプセルT及びUとポリウレアカプセルZ及びZZの貯蔵安定性:45℃でのヘアシャンプーにおける貯蔵に対する経時的に漏れる香料Dのパーセンテージ
【表36】
【0183】
本発明のカプセルT及びUの45℃でのボディウォッシュにおける貯蔵安定性は、アニオン性ポリウレアカプセルZ及びカチオン性ポリウレアカプセルZZにおいて記載されたカプセルの安定性に匹敵し、貯蔵に対するこれらの種々のカプセルからの香料の漏れは検出されない。
【0184】
前記ヘアシャンプー配合物で洗浄した髪見本に対する香料の知覚濃度を、10人の訓練したパネリストの調査団によって評価した。調査団に、3回髪見本を優しく櫛ですかせ、そして、1~7の範囲の尺度(1はにおいを感じず、7は非常に強くにおいを感じた)で香料の知覚の強度の割合を彼らに聞いた。
【0185】
表37:実施例19のヘアシャンプーにおける本発明のカプセルT及びUとポリウレアカプセルZ及びZZとの嗅覚的な性能
【表37】
【0186】
ヘアシャンプー中で0.2%のカプセル化された香料Dの同様の投与量で、本発明のカプセルT及びUの嗅覚的な性能は、主要なアニオン性ポリウレアカプセルZ及び主要なカチオン性ポリウレアカプセルZZに対して明らかに改良されている。
【0187】
実施例21
本発明のカプセルを含有するリンスオフヘアコンディショナー製品及びそれらの嗅覚的な性能
表38:内部のROCベースの組成
【表38】
1) ヒドロキシエチルセルロース、供給源及び商標:Hercules社(Germany)
2) セテアリルアルコール及びジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトスルフェーと及びセテアレス-20、供給源及び商標:Cognis社(Switzerland)
3) アモジメチコン及びトリデセス-6、供給源及び商標:Rhodia社(France)
4) ベヘントリモニウムクロリド、供給源及び商標:Clariant社(Germany)
5) セチルエステル、供給源及び商標:Croda社(UK)
6) セチルアルコール、供給源及び商標:Croda社(UK)
7) メチルパラベン、供給源及び商標:NIPA社(Switzerland)。
【0188】
カプセルT及びU(本発明)、並びにZ及びZZ(本発明の範囲外、実施例8において記載される)の嗅覚的な性能を、前記リンスオフヘアコンディショナー配合物中で評価した。前記リンスオフヘアコンディショナー製品中で、カプセルをそれぞれ分散させた。最初に、10gの髪見本を2.5gの実施例19)のシャンプー配合物(着香しておらずカプセルを有さないで洗浄し、37℃の水道水で30秒間すすぎ、0.5gのカプセルを有する前記リンスオフヘアコンディショナーを拡げた。そして、髪見本を、37℃の水道水で30秒間すすぎ、6時間室温で乾燥させて評価した。
【0189】
実施例22
実施例21のリンスオフヘアコンディショナーにおけるカプセルの貯蔵安定性
実施例21のリンスオフヘアコンディショナーおけるカプセルT及びU(本発明)、Z及びZZ(本発明の範囲外、実施例8において記載される)の貯蔵安定性を、1ヶ月までの間で45℃で評価した。経時的にカプセルから漏れた香料Dの量を、溶剤抽出及びGC-MS分析により測定した。結果を以下の表39に要約する。
【0190】
表39:実施例21のリンスオフヘアコンディショナーにおける貯蔵に対する、本発明のカプセルT及びUとポリウレアカプセルZ及びZZの貯蔵安定性:45℃でのリンスオフヘアコンディショナーにおける貯蔵に対する経時的に漏れる香料Dのパーセンテージ
【表39】
【0191】
本発明のカプセルT及びUの40℃でのリンスオフヘアコンディショナーにおける貯蔵安定性は、アニオン性ポリウレアカプセルZ及びカチオン性ポリウレアカプセルZZにおいて記載されたカプセルの安定性に匹敵し、貯蔵に対するこれらの種々のカプセルからの香料の漏れは検出されない。
【0192】
前記リンスオフヘアコンディショナー配合物で洗浄した髪見本に対する香料の知覚濃度を、10人の訓練したパネリストの調査団によって評価した。調査団に、3回髪見本を優しく櫛ですかせ、そして、1~7の範囲の尺度(1はにおいを感じず、7は非常に強くにおいを感じた)で香料の知覚の強度の割合を彼らに聞いた。
【0193】
表40:実施例21のリンスオフコンディショナーにおける本発明のカプセルT及びUとポリウレアカプセルZ及びZZとの嗅覚的な性能
【表40】
【0194】
リンスオフヘアコンディショナー中で0.2%のカプセル化された香料Dの同様の投与量で、本発明のカプセルT及びUの嗅覚的な性能は、主要なアニオン性ポリウレアカプセルZ及び主要なカチオン性ポリウレアカプセルZZに対して明らかに改良されている。
【0195】
実施例23
本発明のカプセルを含有するリーブオンヘアコンディショナー製品及びそれらの嗅覚的な性能
表41:リーブオンヘアコンディショナー配合物の組成
【表41】
1) アモジメチコン及びトリデセス-6、供給源及び商標:Rhodia社(France)
2) ナトリウムアクリレートコポリマー及び鉱油及びPPG-1トリデセス-6、供給源及び商標:Ciba社(現在はBASF社)(Germany)
3) PEG-150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマー、供給源及び商標:Rohm&Haas社(Germany)
4) ジメチコンコポリマー、供給源及び商標:Wackherr(Germany)
5) ブチルパラベン及びエチルパラベン及びメチルパラベン及びプロピルパラベン及びフェノキシエタノール、供給源及び商標:Clariant(Germany)。
【0196】
カプセルT及びU(本発明)、Z及びZZ(本発明の範囲外、)の嗅覚的な性能を、表41における前記リーブオンヘアコンディショナー配合物中で評価した。前記リーブオンヘアコンディショナー製品中で、カプセルをそれぞれ分散させた。最初に、10gの髪見本を2.5gの実施例19)のシャンプー配合物(着香しておらずカプセルを有さないで洗浄し、37℃の水道水で30秒間すすぎ、0.5gのカプセルを有する前記リーブオンヘアコンディショナーを拡げた。髪見本を、6時間室温で乾燥させて評価した。
【0197】
実施例24
実施例23のリーブオンヘアコンディショナーにおけるカプセルの貯蔵安定性
実施例23のリーブオンヘアコンディショナーおけるカプセルT及びU(本発明)、Z及びZZ(本発明の範囲外、実施例8において記載される)の貯蔵安定性を、1ヶ月までの間で45℃で評価した。経時的にカプセルから漏れた香料Dの量を、溶剤抽出及びGC-MS分析により測定した。結果を以下の表42に要約する。
【0198】
表42:実施例23のリーブオンヘアコンディショナーにおける貯蔵に対する、本発明のカプセルT及びUとポリウレアカプセルZ及びZZの貯蔵安定性:45℃でのリーブオンヘアコンディショナーにおける貯蔵に対する経時的に漏れる香料Dのパーセンテージ
【表42】
【0199】
本発明のカプセルT及びUの45℃でのリーブオンヘアコンディショナーにおける貯蔵安定性は、アニオン性ポリウレアカプセルZ及びカチオン性ポリウレアカプセルZZにおいて記載されたカプセルの安定性に匹敵し、貯蔵に対するこれらの種々のカプセルからの香料の漏れは検出されない。
【0200】
前記リーブオンヘアコンディショナー配合物で洗浄した髪見本に対する香料の知覚濃度を、10人の訓練したパネリストの調査団によって評価した。調査団に、3回髪見本を優しく櫛ですかせ、そして、1~7の範囲の尺度(1はにおいを感じず、7は非常に強くにおいを感じた)で香料の知覚の強度の割合を彼らに聞いた。
【0201】
表43:実施例23のリーブオンコンディショナーにおける本発明のカプセルT及びUとポリウレアカプセルZ及びZZとの嗅覚的な性能
【表43】
【0202】
リーブオンヘアコンディショナー中で0.2%のカプセル化された香料Dの同様の投与量で、本発明のカプセルT及びUの嗅覚的な性能は、主要なアニオン性ポリウレアカプセルZ及び主要なカチオン性ポリウレアカプセルZZに対して、擦る前に優れており、櫛ですいた後は同等である。
図1
図2
図3
図4