(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
F16L 55/00 20060101AFI20221011BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20221011BHJP
【FI】
F16L55/00 D
G01K1/14 E
(21)【出願番号】P 2018062099
(22)【出願日】2018-03-28
【審査請求日】2021-01-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 依史
(72)【発明者】
【氏名】小高 義紀
(72)【発明者】
【氏名】鐘ヶ江 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-215609(JP,A)
【文献】特表2010-532452(JP,A)
【文献】実公昭63-011966(JP,Y2)
【文献】特開平11-211578(JP,A)
【文献】実開平01-167651(JP,U)
【文献】国際公開第2015/161929(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/00
G01K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に第一開口および第二開口を有する筒状に形成され、前記第一開口側を第一配管の端部に接続され、前記第二開口側を第二配管の端部に接続され、前記第一開口と前記第二開口との間で流体を流通させ、流通する前記流体が接触する内周面を有する樹脂製の筒本体と、
前記筒本体の筒状部分のうち流通する前記流体が内周面に接触する部分に埋設され、前記筒本体を流通する前記流体の温度を検出する温度検出素子と、
前記温度検出素子に電気的に接続され、前記筒本体の外側に露出する端子と、
前記温度検出素子と前記端子とを電気的に接続し、少なくとも一部が前記筒本体に埋設される電気配線と、
を備え
、
前記筒本体は、
前記第一配管が前記第一開口から内挿された状態において、流路方向において前記第一配管と重なる範囲である第一筒部と、
前記第二配管を前記第二開口側の外周側に嵌装した状態において、流路方向において前記第二配管と重なる範囲であり、流通する前記流体が内周面に接触する第二筒部と、
前記第一筒部と前記第二筒部とを流路方向において接続し、流通する前記流体が内周面に接触する第三筒部と、
を備え、
前記第三筒部は、
前記第一開口側に位置し、前記第一筒部に接続され、大径流路を形成する大径筒部と、
前記第二開口側に位置し、前記第二筒部に接続され、小径流路を形成する小径筒部と、
を備え、
前記大径筒部の厚みは、前記小径筒部の厚みより厚く形成され、
前記温度検出素子は、前記第一筒部および前記第二筒部を除く範囲であり、前記第三筒部の範囲における前記大径筒部と前記小径筒部との境界部分のうち前記大径筒部側であって前記小径筒部よりも厚みが厚い部位に埋設される、コネクタ。
【請求項2】
前記コネクタは、前記筒本体の筒状外面に一体に成形され、前記筒本体の前記筒状外面から外方に張り出し、前記第一開口と前記第二開口との間での流路方向において前記温度検出素子の位置と同位置に設けられた端子収容部を、さらに備え、
前記端子は、前記端子収容部に収容され、
前記電気配線の一部は、前記端子収容部に埋設されている、請求項
1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記
第三筒部は、屈曲部を有する筒状に形成され、
前記温度検出素子は、
前記第三筒部の前記屈曲部に埋設され、
前記端子収容部は、前記屈曲部の外面に一体に成形される、請求項
2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記小径筒部は、前記大径筒部の側周面に接続され、
前記温度検出素子は、前記大径筒部と前記小径筒部との境界部分
うち前記大径筒部側であって前記大径筒部の底面に埋設されている、請求項
3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記小径筒部は、前記大径筒部の側周面に接続され、
前記大径筒部の
側周面の径方向厚みは、前記小径筒部の
側周面の径方向厚みより厚く形成され、
前記温度検出素子は、前記大径筒部と前記小径筒部との前記境界部分のうち前記大径筒部側
であって前記大径筒部の側周面に埋設されている、請求項
3に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記温度検出素子は、前記
第三筒部の内側に露出して設けられており、前記第一開口と前記第二開口とを接続する主流路から分岐する孔に露出している、請求項1-
5の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記温度検出素子は、前記
第三筒部の内面を形成する材料により被覆されており、前記
第三筒部の内側に露出していない、請求項1-
5の何れか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1-3には、第一配管と第二配管とを接続するコネクタにおいて、コネクタ内を流通する流体の温度等を検出する検出素子を備える構成が開示されている。特許文献1,2に開示のコネクタは、流体を流通させる筒本体と、筒本体の外面から径方向外方に張り出して形成された検出素子収容部と、検出素子収容部に収容された検出素子と、検出素子収容部に収容され検出素子に接続された端子とを備える。
【0003】
特許文献3に開示のコネクタは、流体を流通させる筒本体と、筒本体の内周面から径方向内方に突出して設けられた検出素子と、筒本体の外面から径方向外方に張り出して形成された端子収容部と、端子収容部に収容され検出素子に接続された端子とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-215609号公報
【文献】特開2012-220025号公報
【文献】特許第5354393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1,2に開示のコネクタによれば、検出素子が、筒本体の外面から径方向外方に張り出して形成された検出素子収容部に、収容されている。従って、コネクタが大型化する。さらに、コネクタのハウジング(筒本体および検出素子収容部)の形状が複雑となり、高コストとなる。また、特許文献3に開示のコネクタによれば、検出素子が、筒本体の内周面から径方向内方に突出している。そのため、検出素子が筒本体における流体の流通を阻害するおそれがある。さらに、検出素子は、流通する流体の圧力を直接受けるため、検出素子を支持する部分の剛性を高くする必要がある。そのため、高コストとなる。
【0006】
本発明は、温度検出素子の配置構成を簡易な構成とすることにより、低コスト化を図ることができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコネクタは、両端に第一開口および第二開口を有する筒状に形成され、前記第一開口側を第一配管の端部に接続され、前記第二開口側を第二配管の端部に接続され、前記第一開口と前記第二開口との間で流体を流通させ、流通する前記流体が接触する内周面を有する樹脂製の筒本体と、前記筒本体の筒状部分のうち流通する前記流体が内周面に接触する部分に埋設され、前記筒本体を流通する前記流体の温度を検出する温度検出素子と、前記温度検出素子に電気的に接続され、前記筒本体の外側に露出する端子と、前記温度検出素子と前記端子とを電気的に接続し、少なくとも一部が前記筒本体に埋設される電気配線とを備える。
前記筒本体は、前記第一配管が前記第一開口から内挿された状態において、流路方向において前記第一配管と重なる範囲である第一筒部と、前記第二配管を前記第二開口側の外周側に嵌装した状態において、流路方向において前記第二配管と重なる範囲であり、流通する前記流体が内周面に接触する第二筒部と、前記第一筒部と前記第二筒部とを流路方向において接続し、流通する前記流体が内周面に接触する第三筒部と、を備え、前記第三筒部は、前記第一開口側に位置し、前記第一筒部に接続され、大径流路を形成する大径筒部と、前記第二開口側に位置し、前記第二筒部に接続され、小径流路を形成する小径筒部と、を備え、前記大径筒部の厚みは、前記小径筒部の厚みより厚く形成され、前記温度検出素子は、前記第一筒部および前記第二筒部を除く範囲であり、前記第三筒部の範囲における前記大径筒部と前記小径筒部との境界部分のうち前記大径筒部側であって前記小径筒部よりも厚みが厚い部位に埋設される。
【0008】
温度検出素子は、筒本体に埋設されている。つまり、温度検出素子は、筒本体の筒状部分のうち流通する流体が内周面に接触する部分を構成する領域に配置されている。従って、温度検出素子は、筒本体の外面から径方向外方に位置するものでもなく、筒本体の内周面から径方向内方に位置するものでもない。温度検出素子が、筒本体の外面から径方向外方に位置していないため、コネクタの小型化を図ることができる。さらに、温度検出素子が、筒本体の内周面から径方向内方に位置していないため、筒本体を流通する流体の流通を阻害することもない。特に、温度検出素子が筒本体の内周面から径方向内方に突出させる場合に比べて、温度検出素子を支持する部位の剛性を考慮する必要がない。そのため、コネクタを簡易な構成とすることができる。このことからも、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一実施形態のコネクタを含み、第一配管および第二配管を接続する前におけるコネクタの斜視図である。
【
図2】第一配管および第二配管を接続した状態において、流路方向におけるコネクタの断面図である。
【
図3】流路方向におけるコネクタの筒本体の断面図である。
【
図6】第二実施形態のコネクタを含み、第一配管および第二配管を接続した状態において、流路方向におけるコネクタの断面図である。
【
図7】第三実施形態のコネクタを含み、第一配管および第二配管を接続した状態において、流路方向におけるコネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<1.第一実施形態>
(1-1.コネクタ1の構成)
第一実施形態のコネクタ1の構成について、
図1-
図3を参照して説明する。コネクタ1は、例えば自動車の燃料配管を構成するために用いられる。コネクタ1は、燃料配管の他にも種々の配管に適用可能である。本実施形態においては、コネクタ1は、燃料を流通させるための流路を形成する。
図1および
図2に示すように、コネクタ1の第一端側に、第一配管2の端部が挿入されると共に、コネクタ1の第二端側に、第二配管3の端部が外装される。このようにして、コネクタ1は、第一配管2と第二配管3とを接続し、第一配管2と第二配管3との間で流体を流通させる。
【0011】
第一配管2は、
図1に示すように、例えば金属により形成され、且つ、筒状に形成されている。第一配管2の端部は、先端から軸方向に距離を隔てた位置に径方向外側に突出形成された環状フランジ2a(ビードとも称する)と、環状フランジ2aより先端側の小径部位である先端部2bとを備える。第二配管3は、樹脂により形成され、且つ、薄肉筒状に形成されている。
【0012】
コネクタ1は、筒本体10と、リテーナ20と、シールユニット30と、温度検出ユニット40とを備える。筒本体10は、両端に第一開口11aおよび第二開口12aを有する筒状に形成されている。従って、筒本体10は、第一開口11aと第二開口12aとの間で流体(燃料)を流通させる。換言すると、筒本体10は、第一開口11aと第二開口12aとの間で流体を流通するための構造物である。本実施形態においては、筒本体10は、屈曲部15を有する筒状に形成されている。特に、筒本体10は、L字状に屈曲された形状を有する。ただし、筒本体10は、屈曲部15を有することなく、直線状に形成されるようにしてもよい。また、筒本体10は、樹脂により一体成形されている。特に、筒本体10は、射出成形により一体成形されている。筒本体10は、例えばガラス繊維強化ポリアミド製である。
【0013】
図3に示すように、筒本体10は、流路方向に区分した場合、第一筒部11、第二筒部12、および、第三筒部13を備える。流路方向において、第一筒部11と第三筒部13とが連続しており、第三筒部13と第二筒部12とが連続している。つまり、流路方向において、第一筒部11と第二筒部12との間に第三筒部13が挟まれている。
【0014】
第一筒部11は、第一開口11aを備える部分であって、直線筒状に形成されている。第一開口11aは、第一配管2の端部である先端部2bおよび環状フランジ2aが内挿される開口である。第一筒部11は、
図2および
図3に示すように、第一配管2の端部が第一開口11aから内挿された状態において、流路方向において第一配管2と重なる範囲である。つまり、第一筒部11の内周面は、全長において、第一配管2の外周面と径方向において対向する。
【0015】
第一筒部11は、第一開口11a側にリテーナ配置部11bを備える。リテーナ配置部11bは、径方向に貫通する孔を有し、リテーナ20を配置する部位である。リテーナ20に対して、径方向に係止可能に構成されている。第一筒部11は、リテーナ配置部11bに対して第一開口11aとは反対側に、シール部11cを備える。シール部11cは、円筒形状に形成されている。シール部11cの内周側には、シールユニット30が配置される。
【0016】
第二筒部12は、第二開口12aを備える部分であって、直線筒状に形成されている。第二開口12aは、第二配管3の端部が外装される側の開口である。第二筒部12は、
図2および
図3に示すように、第二配管3の端部を第二筒部12の第二開口12a側の外周側に嵌装した状態において、流路方向において第二配管3と重なる範囲である。つまり、第二筒部12の外周面は、全長において、第二配管3の内周面と径方向において対向する。
【0017】
第二筒部12の内周面は、円筒状に形成されている。そして、第二筒部12の内周面は、流体が直接接触する面を構成する。つまり、第二筒部12の内周面には、径方向内方に突出する部材等、何ら存在しないため、流体の流通を阻害することはない。さらに、第二筒部12の内周面の直径は、第一筒部11の内周面の直径より小さい。第二筒部12の内周面の直径は、第一配管2の内径と同等に形成されている。
【0018】
一方、第二筒部12の外周面は、第二配管3を外装した状態で抜けないようにするために、流路方向断面において凹凸状に形成されている。ここで、第二筒部12は、第二配管3より変形しにくい材料により形成されている。従って、第二筒部12に第二配管3が外装された状態において、第二筒部12は、ほとんど変形せず、第二配管3が拡径する。つまり、第二配管3が、第二筒部12の外周面の凹凸に倣って変形する。
【0019】
第三筒部13は、第一筒部11における第一開口11aとは反対側と、第二筒部12における第二開口12aとは反対側とを、流路方向において接続する。第三筒部13は、上述した屈曲部15を有する部分である。第三筒部13は、第一配管2も第二配管3も存在しない範囲である。従って、第三筒部13の内周面は、流体が直接接触する面を構成する。つまり、第三筒部13の内周面には、径方向内方に突出する部材等、何ら存在しないため、流体の流通を阻害することはない。さらに、第三筒部13の外面は、コネクタ1以外の配管により被覆される構成ではない。
【0020】
また、第三筒部13は、大径筒部13aと小径筒部13bとを備える。大径筒部13aは、第一筒部11と同軸に接続される。従って、大径筒部13aは、第三筒部13において第一開口11a側に位置する。大径筒部13aの内周面の直径は、第一筒部11における第一配管2の最先端(先端部2bの開口を有する部分)が内挿される部位の内周面の直径と同等である。従って、大径筒部13aは、第三筒部13において大径流路を形成する。
【0021】
小径筒部13bは、第二筒部12と同軸に接続される。従って、小径筒部13bは、第三筒部13において第二開口12a側に位置する。小径筒部13bの内周面の直径は、第二筒部12の内周面の直径と同等である。従って、小径筒部13bは、第三筒部13において小径流路を形成する。
【0022】
さらに、大径筒部13aの径方向厚みは、小径筒部13bの径方向厚みより厚く形成されている。また、本実施形態においては、大径筒部13aと小径筒部13bとが角度を有して接続されている。詳細には、小径筒部13bの先端が、大径筒部13aの側面に接続されている。
【0023】
リテーナ20は、例えばガラス繊維強化ポリアミド製である。リテーナ20は、筒本体10のリテーナ配置部11bに保持される。リテーナ20は、作業者による押し込み操作および引き抜き操作によって、リテーナ配置部11bの径方向に移動可能である。第一配管2が第一筒部11の正規位置に挿入された場合に、リテーナ20が
図1に示す初期位置から
図2に示す確認位置へ移動可能となる。従って、作業者は、リテーナ20が押し込み操作できる場合には、第一配管2が第一筒部11の正規位置に挿入されたことを確認できる。
【0024】
さらに、リテーナ20が確認位置へ押し込み操作された状態において、リテーナ20は、第一配管2の環状フランジ2aに配管引き抜き方向に係止して、リテーナ20は第一配管2を抜け止めする。つまり、作業者は、リテーナ20を押し込み操作することによって、第一配管2が第一筒部11の正規位置に挿入され、かつ、第一配管2がリテーナ20によって抜止されていることを、確認することができる。
【0025】
シールユニット30は、例えば、フッ素ゴム製の環状シール部材31,32と、環状シール部材31,32の軸方向の間に挟まれるようにして樹脂製のカラー33と、環状シール部材31,32及びカラー33を第一筒部11のシール部11cに位置決めする樹脂製のブッシュ34とから構成される。シールユニット30の内周側には、
図2に示すように、第一配管2の先端部2bが挿入され、第一配管2の環状フランジ2aはシールユニット30より第一開口11a側に位置する。
【0026】
温度検出ユニット40は、筒本体10を流通する流体の温度を検出するためのユニットである。温度検出ユニット40は、
図2に示すように、温度検出素子41、端子収容部42、および、端子43を備える。
【0027】
温度検出素子41は、例えばサーミスタ等である。温度検出素子41は、筒本体10の筒状部分に埋設されており、筒本体10を流通する流体の温度を検出する。特に、温度検出素子41は、筒本体10のうち、第一筒部11を除く範囲であり、残りの部分である第二筒部12または第三筒部13の範囲に埋設されるようにするとよい。第一筒部11には、内周側に第一配管2が存在している。そのため、温度検出素子41が第一筒部11に埋設された場合には、第一配管2が介在する影響を受けるおそれがある。そのため、温度検出素子41は、第一筒部11以外の範囲、すなわち、第二筒部12または第三筒部13の範囲に埋設するとよい。
【0028】
特に、本実施形態においては、
図2に示すように、温度検出素子41は、第一筒部11および第二筒部12を除く範囲であり、第三筒部13の範囲に埋設している。第二筒部12には、第二配管3が外装されている。そのため、温度検出素子41に接続される電気配線の配策が容易ではない。そこで、第一配管2も第二配管3も存在しない範囲である第三筒部13の範囲が、好適である。
【0029】
より詳細には、温度検出素子41は、第三筒部13のうち、大径筒部13aと小径筒部13bとの境界部分に埋設されている。換言すると、温度検出素子41は、大径筒部13aのうち第一筒部11より遠い側、若しくは、小径筒部13bのうち第二筒部12より遠い側に埋設されている。ここで、流体の流量が変化することが、第三筒部13の内周面における流体の検出温度に影響を及ぼすおそれがある。ただし、大径筒部13aと小径筒部13bの境界部分においては、流体の流速が大きく変化する。そのため、流通する流体の流量が変化したとしても、流体の流速の変化によって、第三筒部13の内周面における流体の検出温度への影響を抑制することができる。つまり、温度検出素子41が境界部分に埋設されることで、高精度に流体温度を検出できる。
【0030】
特に、本実施形態においては、第三筒部13は、屈曲部15を有する。つまり、温度検出素子41は、屈曲部15に埋設されていることになる。屈曲部15においては、流体の流速が大きく変化する領域となる。このことからも、流通する流体の流量が変化したとしても、流体の流速の変化によって、屈曲部15を有する第三筒部13の内周面における流体の検出温度への影響を抑制することができる。つまり、温度検出素子41が境界部分に埋設されることで、高精度に流体温度を検出できる。
【0031】
さらに、温度検出素子41は、第三筒部13における大径筒部13aと小径筒部13bとの境界部分のうち、大径筒部13a側に埋設されている。大径筒部13aの径方向厚みは、小径筒部13bの径方向厚みより厚い。従って、温度検出素子41が大径筒部13aに埋設されることで、温度検出素子41の保持力を高くすることができると共に、温度検出素子41を埋設したとしてもコネクタ1としての強度を十分に確保することができる。
【0032】
端子収容部42は、筒本体10の筒状外面に一体に成形され、筒本体10の筒状外面から外方に張り出すように設けられる。端子収容部42は、筒本体10と同種の材料により形成されており、筒本体10の成形と同時に射出成形により成形される。端子収容部42の外形は、例えば直方体状としている。ただし、端子収容部42の外形は、直方体に限られることなく、任意の形状とすることができる。
【0033】
端子収容部42は、筒本体10のうち第三筒部13の筒状外面に設けられており、温度検出素子41の近傍に設けられている。詳細には、端子収容部42は、第三筒部13のうち大径筒部13aの筒状外面に設けられている。つまり、端子収容部42は、第一開口11aと第二開口12aとの間での流路方向において、温度検出素子41と同位置に設けられている。端子収容部42の厚みは、第三筒部13の大径筒部13aの厚みと同等に形成されている。本実施形態においては、端子収容部42は、第三筒部13の大径筒部13aの底面側の外面から外方に向かって張り出すように設けられている。
【0034】
端子43は、端子収容部42に収容されている。端子43は、温度検出素子41に電気的に接続されている。つまり、端子43と温度検出素子41とは、図示しない電気配線によって接続されている。電気配線は、筒本体10および端子収容部42に埋設されている。つまり、電気配線は、筒本体10および端子収容部42を射出成形により成形する際に埋設されている。さらに、端子43は、筒本体10の外側に露出する。詳細には、端子43は、端子収容部42内において、外側に露出している。端子43は、相手部材である電気コネクタの端子に電気的に接続可能な形状に形成されている。なお、端子43が端子収容部42の外側に露出する方向は、
図2に示す方向に限られず、任意の方向とすることができる。
【0035】
(1-2.温度検出素子41の配置の詳細)
温度検出素子41は、上述したように、筒本体10の第三筒部13に埋設されている。この態様として、
図4に示す第一例の態様と、
図5に示す第二例の態様とが存在する。
【0036】
図4に示す第一例の態様においては、温度検出素子41は、筒本体10の第三筒部13の内周面に露出して設けられており、第一開口11aと第二開口12aとを接続する主流路から分岐する孔13cに露出している。温度検出素子41および孔13cが、第三筒部13の厚み方向に位置するため、孔13cの長さは、第三筒部13の厚みより短い。さらに、孔13cの大きさは、第三筒部13の流路の大きさよりも小さい。温度検出素子41が、流体に直接接触することが可能となるため、より高精度に流体の温度を検出することができる。
【0037】
また、
図5に示す第二例の態様においては、温度検出素子41は、筒本体10の第三筒部13の内周面を形成する材料により被覆されており、筒本体10の内周側に露出していない。つまり、温度検出素子41は、第三筒部13の厚み方向において、流体に接触する内周面より外側に位置する。さらに、温度検出素子41は、第三筒部13の厚み方向において、筒状部分の外面よりも内側に位置する。
【0038】
(1-3.効果)
以上説明したように、温度検出素子41は、筒本体10に埋設されている。つまり、温度検出素子41は、筒本体10の筒状部分を構成する領域に配置されている。従って、温度検出素子41は、筒本体10の外面から径方向外方に位置するものでもなく、筒本体10の内周面から径方向内方に位置するものでもない。温度検出素子41が、筒本体10の外面から径方向外方に位置していないため、コネクタ1の小型化を図ることができる。さらに、温度検出素子41が、筒本体10の内周面から径方向内方に位置していないため、筒本体10を流通する流体の流通を阻害することもない。特に、温度検出素子41が筒本体10の内周面から径方向内方に突出させる場合に比べて、温度検出素子41を支持する部位の剛性を考慮する必要がない。そのため、コネクタ1を簡易な構成とすることができる。このことからも、低コスト化を図ることができる。
【0039】
<2.第二実施形態>
第二実施形態のコネクタ100について、
図6を参照して説明する。
図6に示すように、端子収容部42は、第一実施形態と同様に、筒本体10のうち第三筒部13の筒状外面に設けられており、温度検出素子41の近傍に設けられている。詳細には、端子収容部42は、第三筒部13のうち大径筒部13aの筒状外面に設けられている。つまり、端子収容部42は、第一開口11aと第二開口12aとの間での流路方向において、温度検出素子41と同位置に設けられている。ただし、第二実施形態においては、端子収容部42は、第三筒部13の大径筒部13aの周面側の外面から外方に向かって張り出すように設けられている。この構成においても、第一実施形態のコネクタ1と同様の効果を奏する。
【0040】
<3.第三実施形態>
第三実施形態のコネクタ200について、
図7を参照して説明する。
図7に示すように、コネクタ200は、直線状に形成されている。つまり、第三筒部13が、直線状に形成されている。そして、第三筒部13の大径筒部13aと小径筒部13bとは、同軸上に形成されている。ただし、大径筒部13aと小径筒部13bとは、非同軸上であって、平行に形成されるようにしてもよい。また、本実施形態においても、温度検出素子41は、第三筒部13の大径筒部13aに埋設されており、端子収容部42も、同様に、大径筒部13aに一体成形されている。この構成においても、第一実施形態のコネクタ1に対して、屈曲部15を有すること以外の構成による効果と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0041】
1,100,200:コネクタ、 2:第一配管、 2a:環状フランジ、 2b:先端部、 3:第二配管、 10:筒本体、 11:第一筒部、 11a:第一開口、 11b:リテーナ配置部、 11c:シール部、 12:第二筒部、 12a:第二開口、 13:第三筒部、 13a:大径筒部、 13b:小径筒部、 13c:孔、 15:屈曲部、 20:リテーナ、 30:シールユニット、 31,32:環状シール部材、 33:カラー、 34:ブッシュ、 40:温度検出ユニット、 41:温度検出素子、 42:端子収容部、 43:端子