(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20221011BHJP
H01L 23/14 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
H01L23/12 L
H01L23/14 S
(21)【出願番号】P 2018091208
(22)【出願日】2018-05-10
【審査請求日】2021-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】林 太郎
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-199897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向において互いに反対側を向く基板主面および基板裏面と、前記第1方向に直交する第2方向を向く基板側面とを有する基板と、
前記基板主面の一部を覆う主面電極、および、前記主面電極に繋がり、かつ、前記基板側面の一部を覆う側面電極を有する配線層と、
前記主面電極に導通し、かつ、前記基板主面に対向して前記基板に搭載された半導体素子と、
前記基板側面と同じ方向を向く樹脂側面を有し、前記半導体素子および前記主面電極を覆う封止樹脂と、
を備えており、
前記側面電極は、前記封止樹脂から露出し、かつ、前記基板側面と同じ方向を向く側面側露出面を有しており、
前記側面側露出面と前記樹脂側面とは、面一であ
り、
前記側面電極は、前記封止樹脂から露出し、かつ、前記基板裏面と同じ方向を向く裏面側露出面を有しており、
前記裏面側露出面と前記基板裏面とは、面一である、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記側面側露出面を覆う側面被覆部を含む外装めっきをさらに備える、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記外装めっきは、前記側面被覆部に繋がり、かつ、前記裏面側露出面および前記基板裏面の一部を覆う裏面被覆部をさらに含んでいる、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記外装めっきは、互いに積層されたNi層、Pd層およびAu層から構成される、
請求項2または
請求項3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記基板は、前記基板主面から前記基板裏面まで貫通し、かつ、前記封止樹脂が充填された溝を含む、
請求項1ないし
請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
第1方向において互いに反対側を向く基板主面および基板裏面と、前記第1方向に直交する第2方向を向く基板側面とを有する基板と、
前記基板主面の一部を覆う主面電極、および、前記主面電極に繋がり、かつ、前記基板側面の一部を覆う側面電極を有する配線層と、
前記主面電極に導通し、かつ、前記基板主面に対向して前記基板に搭載された半導体素子と、
前記基板側面と同じ方向を向く樹脂側面を有し、前記半導体素子および前記主面電極を覆う封止樹脂と、
を備えており、
前記側面電極は、前記封止樹脂から露出し、かつ、前記基板側面と同じ方向を向く側面側露出面を有しており、
前記側面側露出面と前記樹脂側面とは、面一であり、
前記基板は、前記基板主面から前記基板裏面まで貫通し、かつ、前記封止樹脂が充填された溝を含む、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
前記側面電極は、前記第2方向に見て、前記第1方向に延びる端縁が湾曲している、
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
第1方向において互いに反対側を向く基板主面および基板裏面と、前記第1方向に直交する第2方向を向く基板側面とを有する基板と、
前記基板主面の一部を覆う主面電極、および、前記主面電極に繋がり、かつ、前記基板側面の一部を覆う側面電極を有する配線層と、
前記主面電極に導通し、かつ、前記基板主面に対向して前記基板に搭載された半導体素子と、
前記基板側面と同じ方向を向く樹脂側面を有し、前記半導体素子および前記主面電極を覆う封止樹脂と、
を備えており、
前記側面電極は、前記封止樹脂から露出し、かつ、前記基板側面と同じ方向を向く側面側露出面を有しており、
前記側面側露出面と前記樹脂側面とは、面一であり、
前記側面電極は、前記第2方向に見て、前記第1方向に延びる端縁が湾曲している、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
前記配線層は、互いに積層された下地層およびめっき層から構成されている、
請求項1ないし
請求項8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記配線層は、主な成分が銅である、
請求項1ないし
請求項9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記主面電極と前記半導体素子との間に介在する導電性接合材をさらに備えている、
請求項1ないし
請求項10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記基板は、主な成分が真性半導体材料からなる、
請求項1ないし
請求項11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記真性半導体材料は、シリコンである、
請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
第1方向において互いに反対側を向く基板主面および基板裏面を有する基板を準備する工程と、
前記基板主面から前記第1方向に窪んだ溝部を前記基板に形成する工程と、
前記基板主面の一部を覆う主面電極、および、前記主面電極に繋がり、かつ、少なくとも前記溝部の一部を覆う溝内導電体を有する配線層を形成する工程と、
前記主面電極に導通する半導体素子を、前記基板主面に対向した姿勢で搭載する工程と、
前記半導体素子および前記主面電極を覆う封止樹脂を形成する工程と、
前記封止樹脂および前記溝内導電体を切断することで、前記第1方向に直交する第2方向を向く樹脂側面を前記封止樹脂に形成するとともに、前記溝内導電体を、前記封止樹脂から露出し、かつ、前記樹脂側面と同じ方向を向く側面側露出面を有する側面電極にする切断工程と、
を含んでおり、
前記側面側露出面は、前記樹脂側面と面一である、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記切断工程の前に、前記基板裏面側から前記基板を研削して、前記溝内導電体を前記基板裏面から露出させる研削工程を、さらに含む、
請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記切断工程は、ブレードダイシングにより行い、
前記ブレードダイシングにおいて、前記溝部の幅よりも小さい厚みのダイシングブレードを用いる、
請求項14または
請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記側面電極は、前記第1方向において前記基板裏面と同じ方向を向く裏面側露出面を有しており、
前記裏面側露出面と前記基板裏面とは、面一である、
請求項14ないし
請求項16のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記側面側露出面を覆う側面被覆部を含む外装めっきを形成する外装めっき形成工程を、さらに含む、
請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記外装めっきは、前記側面被覆部に繋がり、かつ、前記裏面側露出面および前記基板裏面の一部を覆う裏面被覆部をさらに含んでおり、
前記外装めっき形成工程において、前記側面被覆部とともに前記裏面被覆部を形成する、
請求項18に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を搭載した半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Si(シリコン)基板を微細加工し、このSi基板に各種半導体素子を搭載した、いわゆるマイクロマシン(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)が普及しつつある。たとえば、特許文献1には、Si基板上に半導体素子を搭載した従来の半導体装置が開示されている。同文献に記載の半導体装置は、Si基板(基体)、半導体素子(発光素子)および配線層(配線パターン)を備えている。Si基板には、半導体素子が搭載されている。配線層は、Si基板上に形成されており、半導体素子に導通する。配線層は、半導体装置を電子機器などの回路基板に実装する際の端子となる。配線層は、Si基板の上面に形成されている。
【0003】
上記のように構成された従来の半導体装置は、次のようにして製造されている。すなわち、従来の半導体装置の製造方法は、Siウエハに配線層を形成した後、Siウエハ上に複数の半導体素子を搭載する。そして、Siウエハをダイシングして、Siウエハを半導体素子ごとの個片に分割する。以上のようにして、従来の半導体装置が製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の半導体装置の製造方法では、配線層の形成後に、半導体素子ごとの個片にダイシングしているので、ダイシングによって形成されるSi基板の側面には配線層が形成されなかった。そのため、はんだを用いて、半導体装置を電子機器などの回路基板に実装する際に、当該はんだの接合状態を確認するためには、X線検査装置などを用いる必要があった。
【0006】
本開示は、このような事情のもとで考え出されたものであり、その目的は、電子機器などの回路基板に実装した際に、はんだの接合状態を容易に目視確認することができる半導体装置および当該半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の側面によって提供される半導体装置は、第1方向において互いに反対側を向く基板主面および基板裏面と、前記第1方向に直交する第2方向を向く基板側面とを有する基板と、前記基板主面の一部を覆う主面電極、および、前記主面電極に繋がり、かつ、前記基板側面の一部を覆う側面電極を有する配線層と、前記主面電極に導通し、かつ、前記基板主面に対向して前記基板に搭載された半導体素子と、前記基板側面と同じ方向を向く樹脂側面を有し、前記半導体素子および前記主面電極を覆う封止樹脂と、を備えており、前記側面電極は、前記封止樹脂から露出し、かつ、前記基板側面と同じ方向を向く側面側露出面を有しており、前記側面側露出面と前記樹脂側面とは、面一であることを特徴とする。
【0008】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記側面電極は、前記封止樹脂から露出し、かつ、前記基板裏面と同じ方向を向く裏面側露出面を有しており、前記裏面側露出面と前記基板裏面とは、面一である。
【0009】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記側面側露出面を覆う側面被覆部を含む外装めっきをさらに備える。
【0010】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記外装めっきは、前記側面被覆部に繋がり、かつ、前記裏面側露出面および前記基板裏面の一部を覆う裏面被覆部をさらに含んでいる。
【0011】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記外装めっきは、互いに積層されたNi層、Pd層およびAu層から構成される。
【0012】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記基板は、前記基板主面から前記基板裏面まで貫通し、かつ、前記封止樹脂が充填された溝を含む。
【0013】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記側面電極は、前記第2方向に見て、前記第1方向に延びる端縁が湾曲している。
【0014】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記配線層は、互いに積層された下地層およびめっき層から構成されている。
【0015】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記配線層は、主な成分が銅である。
【0016】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記主面電極と前記半導体素子との間に介在する導電性接合材をさらに備えている。
【0017】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記基板は、主な成分が真性半導体材料からなる。
【0018】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記真性半導体材料は、シリコンである。
【0019】
本開示の第2の側面によって提供される半導体装置の製造方法は、第1方向において互いに反対側を向く基板主面および基板裏面を有する基板を準備する工程と、前記基板主面から前記第1方向に窪んだ溝部を前記基板に形成する工程と、前記基板主面の一部を覆う主面電極、および、前記主面電極に繋がり、かつ、少なくとも前記溝部の一部を覆う溝内導電体を有する配線層を形成する工程と、前記主面電極に導通する半導体素子を、前記基板主面に対向した姿勢で搭載する工程と、前記半導体素子および前記主面電極を覆う封止樹脂を形成する工程と、前記封止樹脂および前記溝内導電体を切断することで、前記第1方向に直交する第2方向を向く樹脂側面を前記封止樹脂に形成するとともに、前記溝内導電体を、前記封止樹脂から露出し、かつ、前記樹脂側面と同じ方向を向く側面側露出面を有する側面電極にする切断工程と、を含んでおり、前記側面側露出面は、前記樹脂側面と面一である。
【0020】
前記半導体装置の製造方法の好ましい実施の形態においては、前記切断工程の前に、前記基板裏面側から前記基板を研削して、前記溝内導電体を前記基板裏面から露出させる研削工程を、さらに含む。
【0021】
前記半導体装置の製造方法の好ましい実施の形態においては、前記切断工程は、ブレードダイシングにより行い、前記ブレードダイシングにおいて、前記溝部の幅よりも小さい厚みのダイシングブレードを用いる。
【0022】
前記半導体装置の製造方法の好ましい実施の形態においては、前記側面電極は、前記第1方向において前記基板裏面と同じ方向を向く裏面側露出面を有しており、前記裏面側露出面と前記基板裏面とは、面一である。
【0023】
前記半導体装置の製造方法の好ましい実施の形態においては、前記側面側露出面を覆う側面被覆部を含む外装めっきを形成する外装めっき形成工程を、さらに含む。
【0024】
前記半導体装置の製造方法の好ましい実施の形態においては、前記外装めっきは、前記側面被覆部に繋がり、かつ、前記裏面側露出面および前記基板裏面の一部を覆う裏面被覆部をさらに含んでおり、前記外装めっき形成工程において、前記側面被覆部とともに前記裏面被覆部を形成する。
【発明の効果】
【0025】
本開示の半導体装置によれば、電子機器などの回路基板に実装した際のはんだの接合状態を上方および側方からの目視確認を容易にすることができる。また、本開示の半導体装置の製造方法によれば、電子機器などの回路基板に実装した際のはんだの接合状態を上方および側方から目視確認することができる半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態にかかる半導体装置を示す斜視図(底面側から見た斜視図)である。
【
図2】第1実施形態にかかる半導体装置を示す平面図である。
【
図3】第1実施形態にかかる半導体装置を示す底面図である。
【
図4】第1実施形態にかかる半導体装置を示す側面図である。
【
図7】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す斜視図である。
【
図8】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す平面図である。
【
図9】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図10】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す平面図である。
【
図11】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図12】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す平面図である。
【
図13】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図14】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図15】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図16】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す底面図である。
【
図17】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す平面図である。
【
図18】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図19】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す平面図である。
【
図20】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図21】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す平面図である。
【
図22】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図23】第1実施形態の変形例にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図24】第1実施形態の変形例にかかる半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図25】第1実施形態の変形例にかかる半導体装置を示す側面図である。
【
図26】第2実施形態にかかる半導体装置を示す斜視図(底面側から見た斜視図)である。
【
図27】第2実施形態にかかる半導体装置を示す底面図である。
【
図28】第2実施形態にかかる半導体装置を示す断面図である。
【
図29】第3実施形態にかかる半導体装置を示す平面図である。
【
図30】第3実施形態にかかる半導体装置を示す断面図であって、
図29のXXX-XXX線に沿う断面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の半導体装置および本開示の半導体装置の製造方法の好ましい実施の形態について、図面を参照して、以下に説明する。
【0028】
図1~
図6は、第1実施形態にかかる半導体装置を示している。第1実施形態の半導体装置A1は、基板10、配線層20、外装めっき30、半導体素子40、導電性接合材50および封止樹脂60を備えている。
【0029】
図1は、半導体装置A1を示す斜視図であって、底面側から見たときの状態を示している。
図2は、半導体装置A1を示す平面図であって、封止樹脂60を想像線(二点鎖線)で示している。
図3は、半導体装置A1を示す底面図である。
図4は、半導体装置A1を示す側面図(正面図)である。
図5は、
図2のV-V線に沿う断面図である。
図6は、
図2のVI-VI線に沿う断面図である。説明の便宜上、これらの図において、互いに直交する3つの方向を、x方向、y方向、z方向とそれぞれ定義する。x方向は、半導体装置A1の平面図(
図2参照)における左右方向である。y方向は、半導体装置A1の平面図(
図2参照)における上下方向である。z方向は、半導体装置A1の厚さ方向である。x方向およびz方向が、特許請求の範囲に記載の「第2方向」および「第1方向」にそれぞれ相当する。
【0030】
半導体装置A1は、様々な電子機器などの回路基板に表面実装する装置である。半導体装置A1は、回路基板に実装するための端子が封止樹脂60から突き出ていないリードレスパッケージ型であり、特に、封止樹脂60の各側面(後述する4つの樹脂側面63)に、それぞれ端子が配置されたQFNパッケージ型である。半導体装置A1は、z方向に見て(以下「平面視」ともいう。)、矩形状である。半導体装置A1の大きさは、特に限定されないが、平面視において0.5~10mm角である。
【0031】
基板10は、単結晶の真性半導体材料から構成される。本実施形態においては、当該真性半導体材料は、Si(シリコン)である。基板10は、
図2および
図3に示すように、平面視矩形状である。基板10のz方向寸法(厚み)は、50~200μm程度である。基板10は、基板主面11、基板裏面12および複数の基板側面13を有する。
【0032】
基板主面11および基板裏面12は、
図5および
図6に示すように、z方向において、離間しており、かつ、互いに反対側を向く。基板主面11は、
図5および
図6に示す基板10の上面であり、基板裏面12は、
図5および
図6に示す基板10の下面である。基板裏面12は、半導体装置A1が回路基板に実装された際、当該回路基板に対向する。本実施形態においては、基板裏面12は、半導体装置A1の外部に露出している。複数の基板側面13の各々は、
図5および
図6に示すように、基板主面11と基板裏面12との間に挟まれている。各基板側面13は、
図5および
図6に示すz方向の上端が基板主面11に繋がり、
図5および
図6に示すz方向の下端が基板裏面12に繋がる。各基板側面13は、平坦であり、かつ、基板主面11および基板裏面12のそれぞれに直交する。本実施形態においては、基板10は、
図2および
図3に示すように、x方向およびy方向のそれぞれ別の方を向く4つの基板側面13を有する。各基板側面13は、配線層20に覆われた領域と封止樹脂60に覆われた領域とを含んでいる。
【0033】
配線層20は、半導体装置A1の内部に配置される導電体である。配線層20は、半導体素子40に導通する。本実施形態においては、配線層20は、互いに積層された下地層およびめっき層から構成される。下地層は、互いに積層されたTi層およびCu層から構成され、その厚さは200~800nm程度である。めっき層は、下地層の外側に、下地層に接するように形成されている。めっき層は、主な成分がCuであり、その厚さは下地層よりも厚く設定されている。下地層とめっき層とは、一体となっているので、
図5に示すように、区別せずに配線層20として示している。なお、配線層20の素材や膜厚は限定されない。本実施形態においては、配線層20は、
図2および
図5に示すように、主面電極21および側面電極22を含んでいる。主面電極21と側面電極22とは繋がっており、一体的に形成されている。
【0034】
主面電極21は、配線層20のうち基板10の基板主面11の一部を覆うように形成された部分である。本実施形態においては、主面電極21の厚みは、30~40μm程度である。
【0035】
側面電極22は、配線層20のうち基板10の基板側面13の一部を覆うように形成された部分である。本実施形態においては、側面電極22の厚みは、10~30μm程度である。側面電極22は、
図5に示すように、側面側露出面221および裏面側露出面222を有している。側面側露出面221は、基板側面13と同じ方向を向く。側面側露出面221は、封止樹脂60の側面(後述する樹脂側面63)と面一である。裏面側露出面222は、基板裏面12と同じ方向を向く。裏面側露出面222は、基板裏面12と面一である。
【0036】
外装めっき30は、配線層20に導通し、外部に露出する導電体である。外装めっき30は、半導体装置A1を回路基板に実装する際の端子となる。外装めっき30は、無電解めっきにより形成されている。本実施形態においては、外装めっき30は、互いに積層されたNi層、Pd層およびAu層から構成される。外装めっき30の厚みは、3~15μm程度である。なお、外装めっき30の厚み、素材および形成方法は限定されない。たとえば、外装めっき30は、Ni層およびAu層が積層されて構成されていてもよいし、Au層のみで構成されていてもよい。
【0037】
外装めっき30は、
図3~
図6に示すように、側面被覆部31および裏面被覆部32を含んでいる。側面被覆部31と裏面被覆部32とは繋がっている。側面被覆部31は、外装めっき30のうち半導体装置A1の側面に形成された部分であり、側面電極22の側面側露出面221を覆う。裏面被覆部32は、外装めっき30のうち半導体装置A1の裏面に形成された部分であり、裏面側露出面222および基板裏面12の一部を覆う。裏面被覆部32は、裏面側露出面222から基板裏面12の一部に跨って形成されている。
【0038】
半導体素子40は、半導体装置A1の機能中枢となる素子である。半導体素子40は、たとえばLSI(Large Scale Integration)などの集積回路(IC)である。また、半導体素子40は、LDO(Low Drop Out)などの電圧制御用素子や、オペアンプなどの増幅用素子、ダイオードなどのディスクリート半導体素子であってもよい。半導体素子40は、平面視矩形状である。半導体素子40は、基板10に搭載されている。半導体素子40は、フリップチップボンディングにより搭載される。半導体素子40は、平面視において基板10に重なる。半導体素子40は、
図5および
図6に示すように、素子主面41および素子裏面42を有する。
【0039】
素子主面41および素子裏面42は、z方向において、離間しており、かつ、互いに反対側を向く。素子主面41は、基板10の基板主面11と同じ方向を向く。素子裏面42は、基板10の基板裏面12と同じ方向を向く。素子裏面42は、基板主面11に対向する。素子裏面42には、複数の電極パッド(図示略)が形成されている。当該電極パッドは、たとえばAl(アルミニウム)から構成される。
【0040】
導電性接合材50は、
図5に示すように、配線層20の主面電極21と半導体素子40の電極パッドとの間に介在する導電部材である。本実施形態においては、導電性接合材50を介して、半導体素子40の電極パッドと主面電極21とが接続されている。導電性接合材50の素材は、特に限定されないが、本実施形態においては、Sn(スズ)を含む合金からなる。このような合金を例示すると、Sn-Sb系合金またはSn-Ag系合金などの鉛フリーはんだ、あるいは、Pb(鉛)含有のはんだなどがある。導電性接合材50は、はんだペーストやAgペーストなどであってもよい。本実施形態においては、半導体素子40は、導電性接合材50により主面電極21(配線層20)に固着されている。
【0041】
封止樹脂60は、たとえば黒色のエポキシ樹脂を主剤とした合成樹脂である。封止樹脂60は、
図5および
図6に示すように、半導体素子40および配線層20の一部を覆っている。封止樹脂60は、平面視矩形状である。封止樹脂60は、平面視において基板10よりも大きい。封止樹脂60は、樹脂主面61、樹脂裏面62および複数の樹脂側面63を有している。
【0042】
樹脂主面61および樹脂裏面62は、
図4および
図6に示すように、z方向において離間しており、互いに反対側を向く。
図6に示すように、樹脂主面61は、素子主面41と同じ方向を向き、樹脂裏面62は、素子裏面42と同じ方向を向く。複数の樹脂側面63はそれぞれ、
図6に示すように、各基板側面13と同じ方向を向く。また、
図5に示すように、各樹脂側面63から配線層20(側面電極22)が露出している。各樹脂側面63は、側面電極22の側面側露出面221と面一である。
【0043】
【0044】
まず、
図7に示すように、z方向において互いに反対側を向く主面801および裏面802を有する基材800を準備する。基材800は、半導体装置A1の基板10に対応する部分の集合体である。本実施形態においては、基材800の素材は、Siの真性半導体材料である。基材800を準備する工程(基材準備工程)では、
図7に示すように、たとえば基材800としてシリコンウエハを準備する。なお、
図7に示すシリコンウエハ(基材800)には、オリフラが形成されているが、これの代わりにノッチが形成されていてもよいし、オリフラもノッチも形成されていなくてもよい。
【0045】
次いで、
図8および
図9に示すように、基材800に主面801からz方向に窪んだ溝部803を形成する。溝部803を形成する工程(溝部形成工程)では、たとえばブレードダイシングによるハーフカットダイシングを行う。本実施形態においては、
図7に示すダイシング線DLに沿って、ハーフカットダイシングを行い、基材800を切断することなく、主面801から深さが50~200μm程度の溝(溝部803)を形成する。ハーフカットダイシング(ブレードダイシング)時に用いるダイシングブレードの厚さはおよそ80~120μm程度である。よって、溝部803は、その幅がおよそ80~120μm程度である。本実施形態においては、溝部803は、
図8に示すように、各々がx方向に沿って延びる複数の筋と、各々がy方向に沿って延びる複数の筋とが交差した格子状に形成される。また、溝部803は、底面804および起立面805を有する。起立面805は、
図9に示すz方向上端が基板主面811に繋がり、
図9に示すz方向下端が底面804に繋がる。起立面805は、底面804から起立しており、本実施形態においては、底面804に直交する。また、溝部形成工程によって、主面801が複数の基板主面811に分割される。基板主面811が半導体装置A1の基板10の基板主面11に対応する。
【0046】
次いで、
図10および
図11に示すように、基材800上に配線層820を形成する。当該配線層820が、後に半導体装置A1の配線層20に対応する。配線層820を形成する工程(配線層形成工程)においては、
図10および
図11に示すように、各基板主面811の一部と溝部803の一部とを覆う導電体の膜を形成する。本実施形態においては、当該配線層820は、互いに積層された下地層およびめっき層から構成される。配線層形成工程の具体的な処理は、特に限定されないが、たとえば次のように行われる。下地層の形成は、たとえばスパッタリングやCVDなどを用いる。そして、下地層の全面を覆うように、感光性レジストを塗布し、当該感光性レジストに対して露光・現像を行うことによってパターニングを行う。このパターニングにより、下地層の一部(めっき層を形成する部分)を露出させ、下地層を導電経路とした電解めっきにより、露出した下地層の上にめっき層を形成する。当該めっき層は、主な成分がCuである。その後、レジスト層の除去およびめっき層から露出した下地層の除去を行うことで、
図10および
図11に示す配線層820が形成される。配線層形成工程によって形成された配線層820は、基板主面811の一部を覆うように形成された主面電極821、および、溝部803の一部を覆うように形成された溝内導電体823を含んでいる。
【0047】
次いで、
図12および
図13に示すように、基材800に半導体素子840を搭載する。半導体素子840が、半導体装置A1の半導体素子40に対応する。半導体素子840を搭載する工程(素子搭載工程)は、フリップチップボンディングにより行う。具体的には、配線層820の主面電極821上の一部に導電性接合材850を形成した後、半導体素子840の電極バンプ(図示略)にフラックスを塗布する。導電性接合材850の形成方法および素材は特に限定されない。本実施形態においては、導電性接合材850として、たとえばSn-Ag系合金またはSn-Sb系合金などの鉛フリーはんだを電解めっきにより形成する。この場合、スパッタリングやCVDにより、配線層820および各基板主面811の全面を覆う導電性の下地層を形成した後、当該下地層上にレジストをパターン形成する。そして、下地層を導電経路とした電解めっきにより、レジストから露出した下地層に導電性接合材850を形成した後、レジストと導電性接合材850に覆われていない下地層とを除去する。これにより、
図12および
図13に示す導電性接合材850が形成される。あるいは、導電性接合材850として、たとえばはんだペーストやAgペーストをスクリーン印刷により形成してもよい。そして、フリップチップボンダを用いて、素子裏面842を基材800(基板主面811)に対向させて、半導体素子840を導電性接合材850に仮付けする。導電性接合材850によって半導体素子840が仮付けされた状態では、導電性接合材850は、配線層820(主面電極821)と半導体素子840とに挟まれている。次いで、リフローにより導電性接合材850を溶融させた後、冷却により固化させることで、半導体素子840の搭載が完了する。
【0048】
次いで、
図14に示すように、半導体素子840および配線層820の一部(主面電極821)を覆う封止樹脂860を形成する。当該封止樹脂860が、後に半導体装置A1の封止樹脂60に対応する。本実施形態にかかる封止樹脂860は、電気絶縁性を有しており、たとえば黒色のエポキシ樹脂を主剤とした合成樹脂である。封止樹脂860を形成する工程(封止樹脂形成工程)においては、半導体素子840を露出させることなく完全に覆うように、基材800の主面801側の全面にわたって封止樹脂860を形成する。このとき、封止樹脂860は、基材800の主面801と同じ方向を向く樹脂主面861を有するとともに、溝部803にも充填された部分を有する。
【0049】
次いで、
図15および
図16に示すように、基材800を裏面802側から研削する。基材800を研削する工程(研削工程)においては、溝内導電体823が基材800から露出するまで研削する。研削工程により、溝部803よりもz方向下方に位置した基材800は削り取られ、溝部803に形成された溝内導電体823および封止樹脂860が、裏面802から露出する。また、研削工程により、基材800が半導体素子840ごとに分割され、複数の基板810が形成される。複数の基板810はそれぞれ、上記基板主面811、基板裏面812および複数の基板側面813を有している。各基板側面813は、封止樹脂860に覆われた部分と配線層820(溝内導電体823)に覆われた部分とを有している。また、研削工程によって、封止樹脂860に樹脂裏面862が形成される。樹脂裏面862は、基板裏面812と面一である。
【0050】
次いで、
図17~
図20に示すように、封止樹脂860および配線層820(溝内導電体823)の一部を切断する。切断する工程(切断工程)は、ブレードダイシングにより行う。本実施形態においては、
図17および
図18に示す切断線CLに沿って、フルカットダイシングを行うことで、半導体素子840ごとの個片に分割する。当該切断線CLは、溝部803に沿っている。当該フルカットダイシングにおいては、上記溝部形成工程で用いたダイシングブレードよりも厚さが薄いダイシングブレードを用いる。たとえば、厚さが60~80μm程度のダイシングブレードを用いる。切断工程によって、
図19および
図20に示すように、溝内導電体823が分割され、基板側面813を覆う側面電極822が形成される。当該側面電極822は、封止樹脂860の樹脂側面863から露出する側面側露出面822aおよび封止樹脂860の樹脂裏面862から露出する裏面側露出面822bを有する。また、
図19および
図20に示すように、側面側露出面822aと樹脂側面863とは面一である。裏面側露出面822bと樹脂裏面862と基板裏面812とは面一である。なお、封止樹脂形成工程と切断工程との間において、樹脂主面861側からダイシングテープを貼り付けておき、当該ダイシングテープを切断しないように切断工程(ダイシング)を行うことで、切断工程後に半導体素子840ごとの個片がバラバラにならないようにできる。
【0051】
次いで、
図21および
図22に示すように、外装めっき830を形成する。当該外装めっき830が半導体装置A1の外装めっき30に対応する。外装めっき830を形成する工程(外装めっき形成工程)は、無電解めっきによる。本実施形態においては、無電解めっきにより、Ni層、Pd層、Au層の順に各々を析出させる。このとき、封止樹脂860から露出する配線層820に接し、これを覆うようにNi層が形成される。そして、Ni層上にPd層、Pd層上にAu層が形成される。これにより、
図21および
図22に示す外装めっき830が形成される。なお、素材がシリコンである基材800(基板810)には、Ni層が析出されないので、基板裏面812には外装めっき830が形成されない。外装めっき形成工程で形成された外装めっき830は、配線層820の側面電極822を覆うように形成される。外装めっき830は、側面側露出面822aを覆う側面被覆部831と裏面側露出面822bを覆う裏面被覆部832とを含む。
【0052】
以上の工程を経ることで、
図1~
図6に示す半導体装置A1が製造される。なお、上記した半導体装置A1の製造方法は一例であって、これに限定されない。
【0053】
次に、半導体装置A1および半導体装置A1の製造方法の作用効果について説明する。
【0054】
半導体装置A1によれば、配線層20は、基板10の基板側面13を覆う側面電極22を含んでいる。そして、側面電極22の側面側露出面221は、樹脂側面63と面一であり、封止樹脂60の樹脂側面63から露出している。このような構成をとることで、はんだを用いて、半導体装置A1を回路基板に実装した際、当該はんだが半導体装置A1の側面に形成される。したがって、はんだの接合状態を、上方および側方から容易に目視確認することができる。
【0055】
半導体装置A1によれば、配線層20の側面電極22を覆う外装めっき30を備えている。外装めっき30は、配線層20よりもはんだ濡れ性が高い素材からなる。したがって、半導体装置A1を回路基板に実装する際、はんだが外装めっき30の表面に均一に広がる。そのため、当該はんだの接合強度を高めることができるので、半導体装置A1の回路基板への実装強度を高めることができる。また、配線層20の素材がCuであり、Cuは大気中での酸化によって表面に酸化膜が形成される。当該酸化膜は、Cuよりも、はんだの濡れ性が低く、かつ、導電性が低い。したがって、外装めっき30によって、配線層20(側面電極22)を覆うことで、はんだの濡れ性の低下および導電性の低下を抑制することができる。
【0056】
半導体装置A1の製造方法によれば、切断工程時のブレードダイシングにおいて、封止樹脂860および配線層820の一部を切断している。よって、当該ブレードダイシングにおいて、基材800(基板810)を切断していない。基材800は、真性半導体材料であるシリコンからなり、比較的硬い素材であるので、当該基材800をブレードダイシングすると、チッピングが発生しうる。しかしながら、本実施形態においては、当該基材800を切断しないため、上記チッピングの発生を抑制することができる。
【0057】
上記した製造方法においては、配線層形成工程によって形成される配線層820は、
図11に示す断面形状となる場合を示したが、これに限定されない。たとえば、配線層形成工程における処理方法の違いや下地層およびめっき層の析出量のばらつきなどによって、
図23に示すように、溝内導電体823(配線層820)の厚みにばらつきが生じる場合もある。また、
図24に示すように、溝部803が溝内導電体823で充填される場合もある。これらの場合であっても、後の切断工程によって溝内導電体823が切断されて、
図20に示すように側面側露出面822aを有する側面電極822が形成される。また、配線形成工程によって形成される配線層820は、その厚みにばらつきが生じるだけでなく、幅方向の寸法にもばらつきが生じうる。このように、配線層820の幅方向寸法にばらつきが生じた場合、たとえば
図25に示すように、配線層20の側面電極22において、z方向に延びる端縁221aが曲線状になる。また、外装めっき30は、側面電極22を覆うように形成されるので、
図25に示すように側面電極22の側面側露出面221に応じた形状となっている。なお、
図25においては、側面電極22は、z方向中央部の幅方向寸法d1が大きく、かつ、z方向外方部の幅方向寸法d2が小さくなるように、端縁221aが湾曲している場合を示しているが、反対に、z方向中央部の幅方向寸法が小さく、かつ、z方向外方部の幅方向寸法が大きくなるように、端縁221aが湾曲していてもよい。あるいは、端縁221aが波のように曲がっていてもよい。
【0058】
図26~
図30は、本開示の半導体装置およびその製造方法の他の実施の形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0059】
図26~
図28は、第2実施形態にかかる半導体装置を示している。第2実施形態の半導体装置A2は、半導体装置A1と比較して、外装めっき30の裏面被覆部32が、裏面側露出面222から基板裏面12の一部に跨って形成されている点で主に異なる。
【0060】
図26は、半導体装置A2を示す斜視図であって、半導体装置A2の底面側から見たときの状態を示している。
図27は、半導体装置A2を示す底面図である。
図28は、半導体装置A2を示す断面図であり、第1実施形態の
図5に対応する断面である。
【0061】
本実施形態においては、外装めっき30は、上記するように、裏面被覆部32が、裏面側露出面222から基板裏面12の一部に跨って形成されている。この裏面被覆部32は、
図27および
図28に示すように、裏面側露出面被覆部321および基板裏面被覆部322を含んでいる。裏面側露出面被覆部321は、配線層20の側面電極22の裏面側露出面222を覆う。基板裏面被覆部322は、基板10の基板裏面12の一部を覆う。
【0062】
本実施形態においては、外装めっき30の裏面被覆部32は、平面視において矩形状である。平面視において、裏面被覆部32の長手方向の寸法は、50~200μm程度である。また、裏面被覆部32は、互いに積層されたシード層および金属層から構成される。シード層は、基板裏面12の一部および裏面側露出面222に接しており、たとえばTi層およびCu層が積層されて構成されている。この場合、Ti層が基板裏面12の一部および裏面側露出面222に接しており、Ti層上にCu層が形成されている。金属層は、シード層に接しており、たとえばNi層、Pd層およびAu層が積層されて構成されている。なお、金属層の素材は、これに限定されず、Ni層およびAu層が積層されて構成されていてもよいし、Au層のみで構成されていてもよい。
【0063】
本実施形態における外装めっき30の形成方法は、特に限定されないが、たとえば次のようにして行われる。それは、研削工程後であって切断工程前に、外装めっき30を形成する部分にシード層を形成する。シード層の形成領域は、たとえば基板裏面812から露出した溝内導電体823の全面とこれに繋がる基板裏面812の一部とである。シード層の形成は、たとえば、
図15に示す状態において、スパッタリングやCVDなどより、基板810の基板裏面812側の全面に、Ti層およびCu層を形成する。そして、フォトリソグラフィにより、パターニングされた感光性レジストを形成する。そして、感光性レジストから露出するTiおよびCu層をエッチングにより除去した後、感光性レジストを除去する。これにより、基板裏面812から露出した溝内導電体823の全面とこれに繋がる基板裏面812の一部とにシード層が形成される。シード層の形成後は、上記切断工程および上記外装めっき形成工程を行うことで、
図26~
図28に示す外装めっき30が形成される。
【0064】
半導体装置A2によれば、半導体装置A1と同様に、封止樹脂60から露出する配線層20(側面電極22)を備えている。これにより、はんだを用いて、半導体装置A2を回路基板に実装した際、当該はんだが半導体装置A2の側面に形成される。したがって、はんだの接合状態を、上方および側方から容易に目視確認することができる。
【0065】
半導体装置A2によれば、外装めっき30の裏面被覆部32が、第1実施形態における裏面被覆部32よりも大きい。これにより、はんだを用いて、半導体装置A2を回路基板に実装する際に、当該はんだを接合させる面積を大きくすることができる。したがって、はんだの接合強度を高めることができるので、半導体装置A2の回路基板への実装強度を高めることができる。また、半導体装置A2においては、側面被覆部31および裏面被覆部32に跨るようにはんだフィレットが形成されやすい。
【0066】
図29および
図30は、第3実施形態にかかる半導体装置を示している。第3実施形態の半導体装置A3は、半導体装置A1と比較して、基板10において、基板主面11から基板裏面12まで貫通する溝15が形成されている点で主に異なる。
【0067】
図29は、半導体装置A3を示す平面図である。
図29においては、封止樹脂60を想像線(二点鎖線)で示している。
図30は、
図29のXXX-XXX線に沿う断面図であって、第1実施形態の
図5に示す断面に対応する。
【0068】
本実施形態においては、
図29および
図30に示すように、基板10の基板主面11には、複数の溝15が形成されている。本実施形態においては、1つのy方向に沿って延びる溝15と3つのx方向に沿って延びる溝15が形成されている。複数の溝15の各々は、基板主面11から基板裏面12まで貫通しており、封止樹脂60が充填されている。複数の溝15によって、基板10は、複数の基板10’に分割されている。各基板10’には、配線層20がそれぞれ形成されている。各配線層20は、導電性接合材50を介して、半導体素子40に導通している。複数の基板10’は、溝15に充填された封止樹脂60によって互いに絶縁されている。なお、溝15の配置および形状は限定されない。
【0069】
本実施形態における溝15の形成方法は、特に限定されないが、たとえば次のようにして行われる。それは、
図8および
図9に示す溝部形成工程において、溝部803を形成するときに、溝15に対応する溝を形成する。当該溝の形成では、溝部803と同様に、ブレードダイシングによるハーフカットダイシングを行う。当該ハーフカットダイシングにおける溝の深さは、溝部803の深さと同じである。なお、溝15を形成するためのハーフカットダイシングに用いるダイシングブレードの厚さは、溝部803を形成するときに用いるダイシングブレードの厚さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。その後は、上記第1実施形態と同じである。
【0070】
半導体装置A3によれば、半導体装置A1と同様に、封止樹脂60から露出する配線層20(側面電極22)を備えている。これにより、はんだを用いて、半導体装置A3を回路基板に実装した際、当該はんだが半導体装置A3の側面に形成される。したがって、はんだの接合状態を、上方および側方から容易に目視確認することができる。
【0071】
半導体装置A3によれば、基板10が、溝15によって、互いに絶縁された領域(複数の基板10’)に分割されている。したがって、各領域間で、基板10を介して電流経路が発生しない。これにより、半導体素子40の端子間での意図せぬ短絡を防止することができ、また、リーク電流に対するロバスト性を高めることができる。
【0072】
第1実施形態ないし第3実施形態においては、配線層20が基板10に接している場合を示したが、これに限定されず、配線層20と基板10との間に絶縁層が介在していてもよい。このような絶縁層としては、SiO2やポリイミド樹脂、フェノール樹脂などがある。たとえば、SiO2の場合、溝部形成工程後であって配線層形成工程前に、基材800を熱酸化することによって、形成することができる。よって、SiO2からなる絶縁層は、基板10の基板主面11および基板側面13を少なくとも覆っている。
【0073】
第1実施形態ないし第3実施形態においては、4つの樹脂側面63からそれぞれ配線層20(側面電極22)を露出させることで、各樹脂側面63に、端子となる外装めっき30が形成される場合を示したが、これに限定されない。たとえば、x方向を向く一対の樹脂側面63のそれぞれあるいはy方向を向く一対の樹脂側面63のそれぞれにおいて、配線層20(側面電極22)を露出させるようにしてもよい。すなわち、半導体装置A1~A3においては、いわゆるQFNパッケージ型である場合を示したが、いわゆるSONパッケージ型であってもよい。
【0074】
第1実施形態ないし第3実施形態においては、1つの樹脂側面63から2つの側面電極22が露出している場合を示したが、1つの樹脂側面63から露出する側面電極22の数はこれに限定されない。すなわち、1つの樹脂側面63から露出する側面電極22の数は、1つであってもよいし、3つであってもよいし、それ以上であってもよい。さらに、各樹脂側面63から露出する側面電極22の数は、樹脂側面63ごとに異なっていてもよい。
【0075】
本開示にかかる半導体装置およびその製造方法は、上記した実施形態に限定されるものではない。本開示の半導体装置の各部の具体的な構成および本開示の半導体装置の製造方法の各工程の具体的な処理は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0076】
A1~A3:半導体装置
10,10’:基板
11 :基板主面
12 :基板裏面
13 :基板側面
15 :溝
20 :配線層
21 :主面電極
22 :側面電極
221 :側面側露出面
221a :端縁
222 :裏面側露出面
30 :外装めっき
31 :側面被覆部
32 :裏面被覆部
321 :裏面側露出面被覆部
322 :基板裏面被覆部
40 :半導体素子
41 :素子主面
42 :素子裏面
50 :導電性接合材
60 :封止樹脂
61 :樹脂主面
62 :樹脂裏面
63 :樹脂側面
800 :基材
801 :主面
802 :裏面
803 :溝部
804 :底面
805 :起立面
810 :基板
811 :基板主面
812 :基板裏面
813 :基板側面
820 :配線層
821 :主面電極
822 :側面電極
822a :側面側露出面
822b :裏面側露出面
823 :溝内導電体
830 :外装めっき
831 :側面被覆部
832 :裏面被覆部
840 :半導体素子
842 :素子裏面
850 :導電性接合材
860 :封止樹脂
861 :樹脂主面
862 :樹脂裏面
863 :樹脂側面
CL :切断線
DL :ダイシング線