(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】プローブ組立体
(51)【国際特許分類】
G01R 1/073 20060101AFI20221011BHJP
G01R 1/06 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
G01R1/073 D
G01R1/06 D
(21)【出願番号】P 2018118685
(22)【出願日】2018-06-22
【審査請求日】2021-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 豊和
(72)【発明者】
【氏名】清野 洋二
(72)【発明者】
【氏名】赤平 恵
(72)【発明者】
【氏名】山口 恒
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-281360(JP,A)
【文献】特開2008-286601(JP,A)
【文献】特開2012-007987(JP,A)
【文献】特開平10-132853(JP,A)
【文献】特開昭63-273328(JP,A)
【文献】特開2019-178925(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0773732(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0083087(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/26-27、
1/06-1/073、
31/28-31/3193、
H01L 21/64-21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、
第1の接触対象と接触する第1の接触部と、第2の接触対象と接触する第2の接触部とを有する複数のプローブを、上記支持部材の長手方向に沿って配列さ
せたプローブ群と
上記プローブ群の上記各プローブの中央領域を貫通して上記各プローブを支持する複数の位置決め部材と
を備え、
上記プローブ群が、
上記中央領域から上記第1の接触部側に配置される固定孔と、上記中央領域から上記第2の接触部側に配置される位置調整孔とを有する複数の第1のプローブと、
上記中央領域から上記第1の接触部側に配置される位置調整孔と、上記中央領域から上記第2の接触部側に配置される固定孔とを有する複数の第2のプローブとを有し、
上記各第1のプローブと上記各第2のプローブとを交互に配列させ
、
上記各第1のプローブ及び上記各第2のプローブの上記位置調整孔は、長穴形状である
ことを特徴とするプローブ組立体。
【請求項2】
上記複数の位置決め部材のうち第1の位置決め部材が、交互配列する、上記各第1のプローブの上記固定孔と、上記各第2のプローブの上記位置調整孔とを貫通し、
上記複数の位置決め部材のうち第2の位置決め部材が、交互配列する、上記各第1のプローブの上記位置調整孔と、上記各第1のプローブの上記固定孔とを貫通する
ことを特徴とする請求項1に記載のプローブ組立体。
【請求項3】
上記各第1のプローブ及び上記各第2のプローブの上記位置調整孔が、上記各位置決め部材の移動を許容する可動領域を有しており、
上記複数の位置決め部材を相対移動させて、上記各第1のプローブの上記第1の接触部及び上記第2の接触部の位置と、上記各第2のプローブの上記第1の接触部及び上記第2の接触部の位置とが可変する
ことを特徴とする請求項2に記載のプローブ組立体。
【請求項4】
上記複数の位置決め部材を相対移動は、上記第1の位置決め部材を固定した状態で、上記第2の位置決め部材を移動させるものであり、上記各第2のプローブの上記第1の接触部及び上記第2の接触部の位置が可変する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のプローブ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ組立体に関し、例えば、液晶パネル、集積回路等の平板状の被検査体の検査に用いるプローブ組立体に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶パネルディスプレイ装置の製造工程では、液晶パネルディスプレイ装置に用いられる液晶パネルのガラス基板上のTFTアレイ回路の機能検査及び配線の断線、ショート検出を目的とした検査(以下、「アレイ検査」と呼ぶ)が行なわれる。一般に、アレイ検査は、液晶パネルの縁部に設けられている回路の複数の検査用テストパッド(検査端子)に、検査装置を用いて電気信号を印加して、ガラス基板上の各TFTが正しく機能するか否かを検査する。
【0003】
検査装置は、プローブユニットを備えており、プローブユニットは、液晶パネルの回路の電極と電気的に接続する複数のプローブを有するプローブ組立体を備えている(特許文献1参照)。
【0004】
図12は、従来のプローブ組立体の概要を示す図である。
図12(A)は、プローブ組立体300を上から見た図であり、
図12(B)は、プローブ組立体300を側面から見た図である。
図12で示すように、プローブ組立体300は、プローブ組立体300の本体部であって複数のプローブ304及び305を支持する支持部301と、支持部301に並列的に配置された帯状の複数のプローブ304(304-1~304-n)及びプローブ305(305-1~305-n)と、各プローブ304及び305を貫通し、各プローブ304及び305の位置を定める2個の位置決め部材303(303-1、303-2)と、位置決め部材303を保持し、支持部301に固定される一対のサイドカバー302(302-1、302-2)とを含んで構成されている。
【0005】
また、
図12では、検査用テストパッド80(80-1~80-n)が、2列千鳥配列で配置されている。この例では、プローブ組立体300には、2列千鳥配列に対応するために、大きさの異なる(接触子の位置が異なる)2種類のプローブ304及びプローブ305が使用される。即ち、1列目に配置される検査用テストパッド80(80-1、80-3、…)には、プローブ304(プローブ305より大形)が接触され、2列目に配置される検査用テストパッド80(80-2、80-4、…)には、プローブ305(プローブ304より小形)が接触されることにより、アレイ検査が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、2列千鳥配列の場合、検査用テストパッド80の端子長方向の端子ピッチ(
図12では、端子ピッチP)に応じた、適当な大きさのプローブが必要となる。即ち、端子ピッチPに合致する適当なプローブが存在しない場合には、端子ピッチPに応じたプローブを一から設計しなければならない。
【0008】
つまり、どの大きさのプローブが使用できるか否かは端子ピッチPに依存するため、プローブを事前に用意するためには検査用テストパッドの仕様が固まっている必要があった。また、事前に大量のプローブを用意し、プローブを在庫することが出来ない為、顧客要求納期に対して納期遅れを発生させるリスクが存在していた。
【0009】
そのため、検査端子の配列状態に合致したプロープの位置決めを柔軟に行なうことができるプローブ組立体が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、(1)支持部材と、(2)第1の接触対象と接触する第1の接触部と、第2の接触対象と接触する第2の接触部とを有する複数のプローブを、上記支持部材の長手方向に沿って配列されたプローブ群と(3)上記プローブ群の上記各プローブの中央領域を貫通して上記各プローブを支持する複数の位置決め部材とを備え、(4)上記プローブ群が、上記中央領域から上記第1の接触部側に配置される固定孔と、上記中央領域から上記第2の接触部側に配置される位置調整孔とを有する複数の第1のプローブと、上記中央領域から上記第1の接触部側に配置される位置調整孔と、上記中央領域から上記第2の接触部側に配置される固定孔とを有する複数の第2のプローブとを有し、上記各第1のプローブと上記各第2のプローブとを交互に配列させ、(5)上記各第1のプローブ及び上記各第2のプローブの上記位置調整孔は、長穴形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検査端子の配列状態に合致したプロープの位置決めを柔軟に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係るプローブ組立体に適用されるプローブの構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係るプローブ(基準タイプ、可動タイプ)の使用方法を説明する図である。
【
図3】実施形態に係るプローブ組立体を上から見た図である。
【
図4】実施形態に係るプローブ組立体の分解図である。
【
図5】実施形態に係る検査用テストパッドの2列千鳥配列の一例を示す図である
【
図6】実施形態に係るサイドカバー(表)の構成を示す構成図である。
【
図7】実施形態に係るサイドカバー(裏)の構成を示す構成図である。
【
図8】実施形態に係るサイドカバー(表)の
図6とは別の構成を示す構成図である。
【
図9】実施形態に係る検査装置の測定部におけるプローブユニットの構成を示す斜視図である。
【
図10】実施形態に係るプローブユニットの主な構成を示す構成図である。
【
図11】実施形態に係るプローブユニットのプローブ機構を示す側面断面図である。
【
図12】従来のプローブ組立体の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係るプローブ組立体の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
この実施形態では、本発明を利用して、液晶(LCD)パネルの検査を行なう検査装置に適用する場合を例示する。なお、被検査体は、液晶パネルに限定されるものではなく、有機EL等の平板状パネルにも適用できる。
【0015】
(A-1)実施形態の構成
[検査装置及びプローブユニット]
まず、
図9~
図11を参照して、実施形態に係る検査装置及びプローブユニットの構成を説明する。
【0016】
液晶パネルのアレイ検査を行なう検査装置は、主として、パネルセット部(図示しない)と、測定部100とを有する。
【0017】
パネルセット部は、外部からのLCDパネル5を測定部100に搬送し、測定部100における検査終了後に、LCDパネル5を外部へ搬送する装置である。
【0018】
測定部100は、パネルセット部から搬送されてきたLCDパネル5を支持して、LCDパネル5の検査を行なう装置である。
【0019】
測定部100は、
図9に示すように、プローブユニット2と、LCDパネル5を支持するワークテーブル50とを有する。また、プローブユニット2は、プローブベース3、複数のプローブ組立体1、複数の支持部4、複数の接続ケーブル部6を有して構成される。
【0020】
プローブベース3は、プローブ組立体1を支持している複数の支持部4を支持する部材である。プローブベース3は板状の部材である。プローブベース3の一端部に複数の支持部4を配列させるようにして支持しており、複数の支持部4を、ワークテーブル50上のLCDパネル5と対向する状態とする。
【0021】
各支持部4は、プローブベース3に支持された状態で、プローブ組立体1を支持する部材である。各支持部4の基端側はプローブベース3に支持された部分であり、各支持部4の先端側はプローブ組立体1を支持する部分である。
図10に示すように、支持部4は、プローブベース3に直接取り付けられて全体を支持するサスペンションブロック7と、このサスペンションブロック7の先端部に支持されるスライドブロック8と、このスライドブロック8の内側面(
図10中の下側面)に一体的に取り付けられたプローブプレート9とを備えて構成されている。
【0022】
プローブ組立体1は、LCDパネル5の回路の電極と接続している検査用テストパッド80の電極に接触して、検査用テストパッド80を介してLCDパネル5の回路に検査信号を伝えるための部材である。プローブ組立体1は、プローブプレート9の下面に取り付けられている。
【0023】
プローブ組立体1の詳細な説明については後述するが、プローブ組立体1は、少なくとも、支持部材10と、複数のプローブ11及び21を有して構成されている。支持部材10は、プローブプレート9の下面に位置しており、複数のプローブ11及び21は、支持部材10の下側に位置している。各プローブ11及び21は、板状の部材であり、
図11に示すように、LCDパネル5の回路の電極に接続している検査用テストパッド80の各電極(以下、「第1の接触対象」とも呼ぶ。)と電気的に接触する第1の先端部(以下、「第1の先端部」とも呼ぶ。)113と、接続ケーブル部6の各端子(以下、「第2の接触対象」とも呼ぶ。)と電気的に接触する第2の先端部(以下、「第2の先端部」とも呼ぶ。)114とを有している。
【0024】
接続ケーブル部6は、プローブ11及び21と外部装置(図示しない)とを電気的に接続するための部材である。具体的に、接続ケーブル部6は、プローブ11及び21の第2の先端部114とプローブベース3側の回路とに直接的に接続されており、このプローブベース3側の回路を介して外部装置と電気的に接続されている。すなわち、接続ケーブル部6は、プローブ組立体1のプローブ11及び21と外部装置とを、プローブベース3のプリント基板を介して電気的に接続している。
【0025】
図11に示すように、接続ケーブル部6は、FPCプレート51と、FPCケーブル53とを有して構成されている。
【0026】
FPCプレート51は、接続ケーブル部6をプローブ組立体1側に固定するための部材であり、プローブプレート9の下側に取り付けられている。
【0027】
FPCケーブル53は、外部装置からの電気信号をプローブ組立体のプローブ11及び21に伝えるケーブルである。FPCケーブル53の一方は、FPCプレート51に固定されてプローブ11及び21に電気的に接続され、FPCケーブル53の他方は、プローブベース3の下側に設けられたプリント基板(図示せず)に接続されている。これにより、FPCケーブル53は、このプリント基板を介して外部装置と電気的に接続されている。
【0028】
[プローブ組立体]
次に、
図1~
図8を参照して、実施形態に係るプローブ組立体1の構成を、詳細に説明する。
【0029】
プローブ組立体1は、主に、支持部材10、複数のプローブ11、複数のプローブ21、サイドカバー12及び13、2個の位置決め部材14(14-1、14-2)を有する。
【0030】
[支持部材]
支持部材10は、複数のプローブ11及び21を支持する部材である。
図4に示すように、支持部材10の下面の長手方向に伸びる端部には、複数のスリットを有するプローブ支持部101及び102が設けられている。プローブ支持部101及び102に設けられている各スリットは、プローブ支持部101とプローブ支持部102との間で対応する位置関係にあり、各プローブ11及び21の両端部が各スリットに嵌め込まれることで、各プローブ11及び21を支持することができる。
【0031】
プローブ支持部101及び102の各スリットに各プローブ11及び21の両端部が嵌られた状態で、各プローブ11及び21の固定用ガイド穴111及び位置調整用ガイド穴112(位置調整用ガイド穴211及び固定用ガイド穴212)に、位置決め部材14が挿通される。これにより、各プローブ11及び21の位置を固定することができる。
【0032】
支持部材10は、非導電性を有する部材であり、例えば、絶縁部材により形成されたものとしてもよいし、支持部材10の全部若しくはプローブ11及び21と接触する一部分の表面に絶縁層を被膜したりしてもよい。
【0033】
[プローブ]
各プローブ11及び21は、検査用テストパッド80の各電極と、接続ケーブル部6側の各端子との間で電気信号を伝える部材である。検査用テストパッド80は、液晶パネルの回路の各電極と接続しているので、各プローブ11及び21は、検査用テストパッド80の各電極を介して液晶パネルの各電極と電気的に接続する。以下、検査用テストパッド80の各電極と電気的に接触する複数のプローブをプローブ群とも呼ぶ。
【0034】
図1に示すように、プローブ組立体1では、中央領域のガイド穴の形状が異なる2種類のプローブが用いられる。
【0035】
図1(A)に示すプローブ11は、第1の先端部113と、第2の先端部114と、
固定用ガイド穴111と、
位置調整用ガイド穴112とを有する。
【0036】
第1の先端部113は、プローブ11の中央領域から前方(検査用テストパッド80側)に向けて伸びた部分の先端部であり、検査用テストパッド80の各電極と電気的に接触するものである。一方、第2の先端部114は、プローブ11の中央領域から後方(検査装置側)に向けて伸びた部分の先端部であり、検査装置と電気的に接続する各配線と電気的に接触するものである。
【0037】
第1の先端部113が検査用テストパッド80の電極に電気的に接触し、また第2の先端部114が接続ケーブル部6の端子と電気的に接触して、液晶パネルのアレイ検査に必要な電気信号が導通される。なお、各プローブ11は、導電性を有する金属板にエッチング加工を施して形成することができる。
【0038】
プローブ11は、板状の導電性を有する帯状(帯状とは、板状、ブレード状の概念も含む。)の部材である。帯状の各プローブ11の中央領域には、2個の位置決め部材14のそれぞれが貫通する固定用ガイド穴111及び位置調整用ガイド穴112が設けられている。
【0039】
プローブ11の固定用ガイド穴111及び位置調整用ガイド穴112の形状は異なる。固定用ガイド穴111及び位置調整用ガイド穴112の形状は、各位置決め部材14の断面形状に応じた形状とすることができる。この実施形態では、位置決め部材14の断面形状が円形である場合を例示するため、固定用ガイド穴111は円形としている。ただし、位置調整用ガイド穴112は長穴形状(スロット)としており、位置決め部材14が所定量移動可能な構造となっている。位置決め部材14は、位置調整用ガイド穴112の円弧141L及び141Rで係止めされる。
【0040】
また、各固定用ガイド穴111及び位置調整用ガイド穴112の径は、位置決め部材14の貫通を許容するため、位置決め部材14の断面形状の径よりもわずかに大きくすることができる。
【0041】
図1(B)に示すプローブ21は、第1の先端部113と、第2の先端部114と、
位置調整用ガイド穴211と、
固定用ガイド穴212とを有する。プローブ21の第1の先端部113及び第2の先端部114の形状は、プローブ11の先端部113及び第2の先端部114の形状と同様である。また、
位置調整用ガイド穴211の形状はプローブ11の
位置調整用ガイド穴112と同様であり、
固定用ガイド穴212の形状はプローブ11の
固定用ガイド穴111と同様である。
【0042】
図1に示すように、プローブ11及び21は、丸穴形状の
固定用ガイド穴111及び
固定用ガイド穴212と、長穴形状の位置調整用ガイド穴112及び
位置調整用ガイド穴211の配置が異なっている(丸穴と長穴が左右逆となっている)。また、プローブ11及び21は、
図4に示すように交互に複数個配置される。
【0043】
[位置決め部材]
位置決め部材14(14-1、14-2)は、支持部材10のプローブ支持部101及び102の各スリットに各プローブ11及び21が嵌合された状態で、各プローブ11及び21の各固定用ガイド穴111及び位置調整用ガイド穴112(位置調整用ガイド穴211及び固定用ガイド穴212)を貫通させて、複数のプローブ11及び21の位置決めをするものである。各位置決め部材14-1及び14-2は、絶縁部材で形成したり、又は絶縁層を被膜することにより形成したりすることができる。
【0044】
また、各位置決め部材14-1及び14-2は、長手方向に沿って長い丸棒状の部材を用いることができる。各位置決め部材14-1及び14-2の断面形状の径は、特に限定されるものではないが数mm程度とすることができ、各位置決め部材14-1及び14-2が挿通される各プローブ11及び21の固定用ガイド穴111及び位置調整用ガイド穴112(位置調整用ガイド穴211及び固定用ガイド穴212)の径も、各位置決め部材14-1及び14-2の断面形状の径よりもわずかに大きくすることができる。
【0045】
各プローブ11及び21に、2本の位置決め部材14(14-1、14-2)が貫通されることにより、検査用テストパッド80に接触する各プローブ11及び21の第1の先端部113の位置が安定(電気的接続が安定)されることになる。
【0046】
[プローブ位置調整方法]
以下、
図2、
図3を例に挙げて、検査用テストパッド80の配列の状態に合わせて、検査用テストパッド80に接触する各プローブ11及び21の第1の先端部113の位置調整の説明を行なう。
図2では、プローブ11の
固定用ガイド穴111及びプローブ21の
位置調整用ガイド穴211に位置決め部材14-2が差し込まれ、プローブ11の
位置調整用ガイド穴112及びプローブ21の
固定用ガイド穴212に位置決め部材14-1が差し込まれている例が示されている。なお、
図2では、説明を簡易にするために、1組のプローブ(1個のプローブ11と1個のプローブ21)しか示していないが、実際には
図4に示すように複数(例えば、数100)のプローブ11及び21が存在する。また、この実施形態では、
図3に示すように位置決め部材14-1が移動し、位置決め部材14-2が固定される例を示すが、変形例として、位置決め部材14-2が移動し、位置決め部材14-1が固定される構成としてもよい。
【0047】
図2(A)は、例えば、検査用テストパッド80の各電極が一列に配列される場合のプローブ11及び21の配置(位置)について示す図である。即ち、各プローブ11及び21の第1の先端部113が、横一例に同時に接触するように配置される。
図2(A)では、位置決め部材14-1はプローブ11の
位置調整用ガイド穴112の円弧141Lに係止され、プローブ21の
固定用ガイド穴212に嵌合されている例が示されている。また、位置決め部材14-2はプローブ11の
固定用ガイド穴111に嵌合され、プローブ21の
固定用ガイド穴212の円弧241Rに係止されている例が示されている。
【0048】
一方、
図2(B)は、プローブ11及び21の接触対象である各電極が千鳥状に配列(例えば、後述する
図5)されている場合のプローブ11及び21の配置(位置)について示す図である。
図2(A)の状態から
図2(B)への状態の変化は、位置決め部材14-1が移動することにより生じる。即ち、位置決め部材14-1が移動(
図2では右方向に移動量Lだけ移動)すると、プローブ21は位置決め部材14-1の移動に引きずられる形で、移動量Lだけ移動する。プローブ21が移動することにより、プローブ21のガイド穴211中の位置決め部材14-2の位置は、円弧241Rから円弧241Lへ位置することになる。
【0049】
一方、プローブ11では、
位置調整用ガイド穴112中の位置決め部材14-1が移動量Lだけ、円弧141Lから円弧141Rへ移動するが、プローブ11自体は移動しない。また、
図2に示すように、移動量Lは、位置決め部材14-1が
位置調整用ガイド穴112の円弧141Lの係止めされた位置(中心点)から円弧141Rへ係止めされた位置(中心点)に移動可能な領域である。
【0050】
この実施形態のプローブ21は移動量Lだけ移動する可動タイプであるに対して、プローブ11は、常に位置が変化しない基準タイプである。このように、プローブ組立体1が基準タイプのプローブ11と可動タイプのプローブ21を用いることにより、2列千鳥配列に対応する各プローブ11及び21の位置決め(位置調整)を柔軟に行うことができる。
【0051】
図5は、検査用テストパッドの2列千鳥配列の一例を示す図である。
図5に示すように、検査用テストパッド80が千鳥状に2列で示されている。
図5では、同一列(1列目、2列目)のテストパッド80(80-1、80-3、…)の端子幅D1方向のピッチ間隔は所定長Aであるの対して、異なる列(1列目と2列目)のピッチ間隔は所定長Aの半分となる。また、1列目のテストパッド80(80-1、80-3、…)と2列目のテストパッド80(80-2、80-4、…)の端子長D2方向のピッチ間隔は所定長Bである。
【0052】
1列目のテストパッド80(80-1、80-3、…)は各プローブ11の第1の先端部113により接触され、2列目のテストパッド80(80-2、80-4、…)は各プローブ21の第1の先端部113により接触される。
【0053】
上述のように位置決め部材14-1を移動させることにより、端子長D2方向のピッチ間隔(所定長B)に合わせて、プローブ11の第1の先端部113とプローブ21の第1の先端部113の位置(間隔)を調整できる。位置決め部材14-1の移動は、例えば、予め位置決め部材14-1をはめ込む支持穴123の位置が異なる複数のサイドカバー12及び13から適合するサイドカバー12及び13を選択して付け替えることにより行われる。
【0054】
[サイドカバー]
サイドカバー12及び13は、複数のプローブ11及び21の固定用ガイド穴111及び位置調整用ガイド穴112(位置調整用ガイド穴211及び固定用ガイド穴212)に位置決め部材14-1及び14-2が挿通された状態で、位置決め部材14-1及び14-2の抜けを防止するため、各位置決め部材14-1及び14-2の両端部を固定するものである。
【0055】
図6は、プローブ組立体1の右側に設けられたサイドカバー13の構成であり、
図4及び
図6を用いて、右側のサイドカバー13の構成を説明するが、左側のサイドカバー12も同様の構成である。
【0056】
サイドカバー13は略矩形の板状部材である。サイドカバー13は、各位置決め部材14-1及び14-2の端部を支持するため、各位置決め部材14-1及び14-2と対応する位置に2個の支持穴123(123-1、123-2)を有する。2個の支持穴123はそれぞれ、
図7に示すようにザグリ加工が施されている。すなわち、2個の支持穴123の外側面123aの開口部の径は、位置決め部材14-1及び14-2の径よりも小さくなっており、位置決め部材14-1及び14-2の抜け落ちを防止している。また、サイドカバー13の両端部付近には、支持部材10に固定するための固定部122(122-1、122-2)が設けられている。このように、複数のプローブ11の
固定用ガイド穴111及び
位置調整用ガイド穴112に位置決め部材14-1及び14-2が挿通された状態で、サイドカバー13を支持部材10に対して固定することで、固定する位置決め部材14-1及び14-2の抜けを防止することができる。
【0057】
この実施形態では、プローブ組立体1に複数のサイドカバー13から適当なサイドカバー13を適用することができる。先述の
図2で示したように、位置決め部材14-1を移動量Lだけ移動させるためには、移動量Lだけ移動させた位置に存在する支持穴123-1に位置決め部材14-1が嵌合されるサイドカバー13(
図8)を適用する。例えば、移動量Lが0.3mmの場合には、支持穴123が初期位置(
図6の状態)から0.3mm右へ移動された位置に存在するサイドカバー13をプローブ組立体1に付け代える。
【0058】
(A-3)実施形態の効果
以上のように、上記実施形態によれば以下の効果を奏する。
【0059】
上記実施形態のプローブ組立体は、交互に配列された2種類のプローブ(基準タイプ、可動タイプ)を貫通する2つの位置決め部材の一方の移動に従い、同時に可動タイプのプローブが移動するため、検査体の2列千鳥配列の状態(1列目と2列目の間隔)に合せたプローブの位置決めを柔軟に行うことができる。
【0060】
また、2種類のプローブのみを用いることによって、任意の2列千鳥配列の状態に合わせたプローブ位置の調整が行えるため、その都度プローブを設計する必要が無くなった。つまり、基準タイプ及び可動タイプのプローブを事前に大量生産し在庫することができるため、コストの低減及び顧客に対する早期提供が可能となった。
【0061】
(B)他の実施形態
上述した実施形態では、プローブ組立体1に位置決め部材14を2つ使用する例(位置決め部材14-1、位置決め部材14-2)を示したが、2以上の位置決め部材14を使用しても良い。例えば、3つの位置決め部材14を使用する場合には、
図2に示したような位置決め部材14-2と同様の機能を備える(常に固定される)位置決め部材14-3を用いる。また、プローブ11及びプローブ21には
固定用ガイド穴111及び
位置調整用ガイド穴211の左側に同様の形状のガイド穴を設ける。新たに設けたガイド穴に位置決め部材14-3を差し込むことにより、プローブ11及び21の安定性が向上する。
【符号の説明】
【0062】
1…プローブ組立体、2…プローブユニット、3…プローブベース、4…支持部、5…LCDパネル、6…接続ケーブル部、7…サスペンションブロック、8…スライドブロック、9…プローブプレート、10…支持部材、11…プローブ、12、13…サイドカバー、14(14-1、14-2)…位置決め部材、21…プローブ、50…ワークテーブル、51…FPCプレート、53…FPCケーブル、80…検査用テストパッド、100…測定部、101、102…プローブ支持部、111、212…固定用ガイド穴、113…第1の先端部、114…第2の先端部、122…固定部、123…支持穴、123a…外側面、141L、141R…円弧、211、112…位置調整用ガイド穴、241L、241R…円弧、300…プローブ組立体、301…支持部、302…サイドカバー、303…位置決め部材、304、305…プローブ。