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特許7154889燃料電池モジュール及びこれに使用される流体供給装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】燃料電池モジュール及びこれに使用される流体供給装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0606 20160101AFI20221011BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20221011BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20221011BHJP
   H01M 8/2432 20160101ALI20221011BHJP
   H01M 8/2475 20160101ALI20221011BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20221011BHJP
【FI】
H01M8/0606
C01B3/38
H01M8/04 Z
H01M8/2432
H01M8/2475
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018161702
(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2019091683
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2017219680
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519322392
【氏名又は名称】森村SOFCテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】坪井 文雄
(72)【発明者】
【氏名】松尾 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】川上 晃
(72)【発明者】
【氏名】田中 修平
(72)【発明者】
【氏名】大村 肇
(72)【発明者】
【氏名】星子 琢也
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-105695(JP,A)
【文献】特開2006-185647(JP,A)
【文献】特開2017-199599(JP,A)
【文献】特開2006-273683(JP,A)
【文献】特開2016-001524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された燃料ガスと酸化剤ガスを反応させることにより発電する燃料電池モジュールであって、
複数の燃料電池セルを備えた燃料電池セルスタックと、
原燃料ガスを改質して、水素を含む燃料ガスを生成し、上記燃料電池セルスタックに供給する改質器と、
上記燃料電池セルスタックにおいて発電に使用されずに残った残余燃料ガスを燃焼させ、上記改質器を加熱する燃焼器と、
上記改質器及び上記燃焼器を収容する空間が内部に形成されたハウジングと、
を有し、
上記ハウジングの下面には、発電に使用する酸化剤ガスを加熱するための熱交換器が設けられ、
上記燃料電池セルスタックは上記ハウジングとは独立して、上記ハウジングの外部に配置されていることを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項2】
上記燃料電池セルスタックは上記ハウジングから離間して設けられている請求項1記載の燃料電池モジュール。
【請求項3】
上記燃料電池セルスタックと上記ハウジングは、上記改質器において改質された燃料ガスを上記燃料電池セルスタックに供給する燃料供給通路、及び上記燃料電池セルスタックにおいて発電に使用されずに残った上記残余燃料ガスを上記燃焼器に排出する燃料排出通路によって接続されている請求項1又は2に記載の燃料電池モジュール。
【請求項4】
上記燃料供給通路及び上記燃料排出通路は、管で構成されている請求項3記載の燃料電池モジュール。
【請求項5】
上記燃料電池セルスタックと上記ハウジングの間の空間には、上記燃料電池セルスタックを上記ハウジングから熱的に隔離する断熱材が配置されている請求項2乃至4の何れか1項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項6】
上記燃料電池セルスタックは、上記ハウジングの1つの面に対向するように配置されている請求項1乃至5の何れか1項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項7】
上記燃料電池セルスタックと上記ハウジングの間の空間には、上記燃料電池セルスタックを上記ハウジングから熱的に隔離する断熱材が配置され、
上記断熱材は上記燃料電池セルスタック及び上記ハウジングを夫々包囲するように設けられ、
上記燃料供給通路及び上記燃料排出通路は、上記断熱材を貫通して、上記燃料電池セルスタックと上記ハウジングの間に延びている請求項記載の燃料電池モジュール。
【請求項8】
上記燃料電池セルスタックと上記ハウジングは、鉛直方向に並べて配置されている請求項1乃至7の何れか1項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項9】
上記ハウジングは、上記燃料電池セルスタックの上方に配置されている請求項8記載の燃料電池モジュール。
【請求項10】
上記燃料供給通路及び上記燃料排出通路は、並べて配置された上記燃料電池セルスタックと上記ハウジングの間に挟まれた空間内に延びている請求項3又は4に記載の燃料電池モジュール。
【請求項11】
さらに、酸化剤ガスを上記燃料電池セルスタックに供給する酸化剤ガス供給通路と、上記燃料電池セルスタックにおいて発電に使用されずに残った酸化剤ガスを上記ハウジングに排出する酸化剤ガス排出通路と、を有し、上記ハウジングは、上記燃料電池セルスタックに対し、上記燃料供給通路、上記燃料排出通路、上記酸化剤ガス供給通路、及び上記酸化剤ガス排出通路のみによって連結されている請求項3又は4に記載の燃料電池モジュール。
【請求項12】
上記燃料供給通路、上記燃料排出通路、上記酸化剤ガス供給通路、及び上記酸化剤ガス排出通路の少なくとも1つは、上記ハウジング又は上記燃料電池セルスタックに対し、取り外し可能に連結されている請求項11記載の燃料電池モジュール。
【請求項13】
上記燃料電池セルスタックは、複数の平板型燃料電池セルを積層して構成された平板型セルスタックである請求項1乃至12の何れか1項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項14】
原燃料ガスを改質した燃料ガス及び加熱された発電用の酸化剤ガスを燃料電池セルスタックに供給するための流体供給装置であって、
原燃料ガスを改質して、水素を含む燃料ガスを生成する改質器と、
上記燃料電池セルスタックにおいて発電に使用されずに残った残余燃料ガスを燃焼させ、上記改質器を加熱する燃焼器と、
上記改質器及び上記燃焼器を収容する密閉空間が内部に形成されたハウジングと、
上記燃料電池セルスタックを上記ハウジングから熱的に隔離する断熱材と、を有し、
上記ハウジングの下面には、発電に使用する酸化剤ガスを加熱するための熱交換器が設けられ、
上記改質器によって生成された燃料ガスは、上記断熱材を超えて延びる燃料供給通路を介して上記燃料電池セルスタックに供給されると共に、上記残余燃料ガスは上記断熱材を超えて延びる燃料排出通路を介して上記ハウジングに排出されることを特徴とする流体供給装置。
【請求項15】
上記燃料供給通路及び上記燃料排出通路は、上記ハウジングの一側に接続されている請求項14に記載の流体供給装置。
【請求項16】
さらに、上記ハウジングから排出される排気ガスの熱により、原燃料ガスの水蒸気改質に使用する水蒸気を生成する蒸発器を有し、この蒸発器は、上記ハウジングの外部に配置されると共に、断熱材により包囲されている請求項1記載の燃料電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池モジュールに関し、特に、供給された燃料ガスと酸化剤ガスを反応させることにより発電する燃料電池モジュール及びこれに使用される流体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017-50192号公報(特許文献1)には、燃料電池モジュールが記載されている。この燃料電池モジュールは、燃料電池セルスタックと、燃焼器と、改質器と、を備えており、これらが筐体に収容されている。特許文献1記載の燃料電池モジュールにおいて、燃料電池セルスタックは、燃料電池セルを複数積層してなる積層型の燃料電池セルスタックであり、各燃料電池セルは、酸化物イオン導電体で構成された平板状の電解質の両面に、カソード電極及びアノード電極を夫々設けることにより構成されている。また、各燃料電池セルの間には、カソードセパレータとアノードセパレータが夫々配置されている。さらに、カソードセパレータには、カソード電極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス流路が形成され、アノードセパレータには、アノード電極に燃料ガスを供給する燃料ガス流路が形成されている。
【0003】
このようにして積層された複数の燃料電池セル、カソードセパレータ、及びアノードセパレータは、両端から上部エンドプレート及び下部エンドプレートによって挟まれ、積層方向に押圧固定されている。また、下部エンドプレートには、各燃料電池セルに酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス入口と、各燃料電池セルに燃料ガスを供給するための燃料ガス入口が設けられている。下部エンドプレートには、さらに、各燃料電池セルのカソード電極に供給され、発電に使用されずに残った酸化剤ガスを排出する酸化剤ガス出口と、各燃料電池セルのアノード電極に供給され、発電に使用されずに残った燃料ガスを排出する燃料ガス出口が設けられている。
【0004】
燃料ガス出口から流出した残余の燃料ガスと酸化剤ガス出口から流出した残余の酸化剤ガスは、筐体内に配置された燃焼器に導かれ、ここで燃焼される。燃焼器において生成された燃焼ガスは、燃料電池セルスタックの両側側面に夫々配置された燃焼ガス通路内に導かれ、燃焼ガス導出口を介して燃料電池セルスタックの両側側面に吹きかけられる。これにより、燃料電池セルスタックは、発電反応が可能な温度に昇温される。このように、特許文献1記載の燃料電池モジュールにおいては、筐体内に配置された燃焼器において、残余の燃料ガスを残余の酸化剤ガスにより燃焼させ、生成された燃焼ガスにより燃料電池セルスタックを直接加熱し、燃料電池セルスタックを発電反応が可能な温度に効率的に昇温させ、その温度を維持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-50192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の燃料電池モジュールにおいては、筐体内の燃料電池セルスタックが、燃焼器において生成される燃焼ガスの他、極めて高い温度に過熱する燃焼器自体からの輻射熱によっても加熱されるため、これにより燃料電池セルスタックに温度ムラが発生しやすく、均一に加熱することが困難であるという問題がある。燃料電池セルスタックに温度ムラが発生した場合には発電効率が低下すると共に、各燃料電池セルが劣化され耐用年数が短縮されてしまう場合がある。
【0007】
また、燃料電池セルスタックが燃焼器などから放射される輻射熱等によって加熱されている場合であっても、輻射熱等によって生じる温度ムラが相殺されるよう燃焼ガスの流れを設定することにより、燃料電池セルスタックの温度を均一に近づけることが考えられる。しかしながら、このように燃焼ガスの流れによって温度ムラを相殺している燃料電池モジュールでは、筐体内の燃焼器、改質器、燃料電池セルスタック等の配置が変更されたり、これらの寸法、形状が変更された場合に、筐体内の燃焼ガスの流れや、輻射熱の方向が変化して温度ムラを引き起こす可能性がある。このため、特許文献1記載の燃料電池モジュールでは、筐体内に収容された燃料電池セルスタックや燃焼器に対して、専用に筐体内の燃焼ガスの流れを設計する必要がある。即ち、筐体内に収容された燃焼器等に僅かな仕様変更があった場合でも、燃料電池セルスタックの温度ムラを避けるために、熱的なシミュレーションや試作のやり直しが必要になる。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために為されたものであり、燃料電池セルスタックの温度を十分に均一化することができる燃料電池モジュール及びこれに使用される流体供給装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、供給された燃料ガスと酸化剤ガスを反応させることにより発電する燃料電池モジュールであって、複数の燃料電池セルを備えた燃料電池セルスタックと、原燃料ガスを改質して、水素を含む燃料ガスを生成し、燃料電池セルスタックに供給する改質器と、燃料電池セルスタックにおいて発電に使用されずに残った残余燃料ガスを燃焼させ、改質器を加熱する燃焼器と、改質器及び燃焼器を収容する空間が内部に形成されたハウジングと、を有し、燃料電池セルスタックはハウジングとは独立して、ハウジングの外部に配置されていることを特徴としている。
【0010】
このように構成された本発明においては、燃料電池セルスタック、及びこれと独立して配置されたハウジングが備えられ、改質器及び燃焼器がハウジングに収容されている。改質器は、原燃料ガスを改質して燃料ガスを生成する。改質された燃料ガスは燃料電池セルスタックに供給される。燃料電池セルスタックにおいて発電に使用されずに残った残余燃料ガスは、ハウジング側に排出される。残余燃料ガスは、ハウジング内の燃焼器において燃焼されて改質器を加熱する。
【0011】
このように構成された本発明によれば、燃料電池セルスタックがハウジングとは独立して、ハウジングの外部に配置されている。このため、燃焼器等から放射された輻射熱はハウジングによって遮断され、燃料電池セルスタックは、実質的に、燃料電池セルスタックとハウジングの間を流れる流体を介してのみ熱の授受を行う。このため、燃焼器等から放射される輻射熱等に基づいて燃料電池セルスタックに温度ムラが発生することがない。また、燃料電池セルスタックは、実質的に、流体を介してのみ熱の授受を行うので、燃料電池セルスタックの温度分布は供給する流体の温度及び流量によって規定され、ハウジング内の改質器、燃焼器等の配置変更等により、燃料電池セルスタックの温度分布が影響を受けることはない。このため、燃料電池セルスタックと、ハウジング内の改質器、燃焼器等を独立して設計することが可能になり、改質器、燃焼器等の設計の自由度を広げることができる。また、改質器、燃焼器等を収容したハウジングが燃料電池セルスタックとは独立しているので、1機種のハウジングを汎用的に種々の燃料電池セルスタックと組み合わせて使用することができ、量産により製造コストを下げることができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、燃料電池セルスタックはハウジングから離間して設けられている。
【0013】
このように構成された本発明によれば、燃料電池セルスタックがハウジングから離間して設けられているので、ハウジングから熱伝導により燃料電池セルスタックに直接伝わる熱を低減することができる。これにより、ハウジング内の改質器、燃焼器等の配置変更等が、燃料電池セルスタックの温度分布に与える影響を更に低減することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、燃料電池セルスタックとハウジングは、改質器において改質された燃料ガスを燃料電池セルスタックに供給する燃料供給通路、及び燃料電池セルスタックにおいて発電に使用されずに残った残余燃料ガスを燃焼器に排出する燃料排出通路によって接続されている。
【0015】
このように構成された本発明によれば、改質された燃料ガスを、燃料供給通路を介して燃料電池セルスタックに供給し、発電に使用されずに残った残余燃料ガスを、燃料排出通路を介して燃焼器に排出することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、燃料供給通路及び燃料排出通路は、管で構成されている。
このように構成された本発明によれば、改質された燃料ガス及び残余燃料ガスを、管を介して燃料電池セルスタック及び燃焼器に夫々供給することができる。また、このように構成された本発明によれば、燃料電池セルスタックとハウジングが管を介して接続されるので、ユニオンやフランジを管に設けることにより、燃料電池セルスタックとハウジングを容易に着脱することが可能になる。
【0017】
本発明において、好ましくは、燃料電池セルスタックとハウジングの間の空間には、燃料電池セルスタックをハウジングから熱的に隔離する断熱材が配置されている。
このように構成された本発明によれば、燃料電池セルスタックとハウジングの間の空間に断熱材が配置されているので、燃料電池セルスタックとハウジングの間で直接伝わる熱を更に低減することができる。これにより、ハウジング内の改質器、燃焼器等の配置変更等が、燃料電池セルスタックの温度分布に与える影響を更に低減することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、燃料電池セルスタックは、ハウジングの1つの面に対向するように配置されている。
このように構成された本発明によれば、燃料電池セルスタックがハウジングの1つの面に対向するように配置されているので、ハウジングから燃料電池セルスタックに熱が直接伝わったとしても、燃料電池セルスタックに温度ムラが発生しにくく、ハウジングから受ける熱による悪影響を更に軽減することができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、断熱材は燃料電池セルスタック及びハウジングを夫々包囲するように設けられ、燃料供給通路及び燃料排出通路は、断熱材を貫通して、燃料電池セルスタックとハウジングの間に延びている。
このように構成された本発明によれば、燃料電池セルスタックとハウジングとの間が完全に断熱材によって熱的に分離されているため、この断熱材を貫通する各通路を通過するガスによる熱の流入を除いては、熱伝達や輻射を高水準に遮断することができる。
【0020】
本発明において、好ましくは、燃料電池セルスタックとハウジングは、鉛直方向に並べて配置されている。
このように構成された本発明によれば、燃料電池セルスタックとハウジングが、鉛直方向に並べて配置されているので、断熱材を通してハウジング内の熱が漏れた場合であっても、燃料電池セルスタックの一側のみが加熱されることがなく、燃料電池セルスタックの温度分布をより均一化することができる。
【0021】
本発明において、好ましくは、ハウジングは、燃料電池セルスタックの上方に配置されている。
一般に、燃料電池セルスタックは改質器や燃焼器を収容したハウジングよりも重量が大きい。上記のように構成された本発明によれば、ハウジングが燃料電池セルスタックの上方に並べて配置されているので、ハウジングの上方に燃料電池セルスタックを並べて配置した場合に比べ、燃料電池モジュールの安定性が良く、また、上方のハウジングを容易に支持することができる。
【0022】
本発明において、好ましくは、燃料供給通路及び燃料排出通路は、並べて配置された燃料電池セルスタックとハウジングの間に挟まれた空間内に延びている。
このように構成された本発明によれば、燃料供給通路と燃料排出通路が燃料電池セルスタックとハウジングの間に挟まれた空間内に延びているので、占有床面積を広げることなく、燃料供給通路及び燃料排出通路を設けることができる。また、燃料供給通路や、燃料排出通路を接続すべき位置が、上面視において燃料電池セルスタック側とハウジング側で異なっている場合でも、それらの間の空間内で通路を湾曲又は屈曲させることにより、通路を接続することができる。このため、単一のハウジングに対し、寸法、形状の異なる種々の燃料電池セルスタックを接続することが可能になる。
【0023】
本発明において、好ましくは、さらに、酸化剤ガスを燃料電池セルスタックに供給する酸化剤ガス供給通路と、燃料電池セルスタックにおいて発電に使用されずに残った酸化剤ガスをハウジングに排出する酸化剤ガス排出通路と、を有し、ハウジングは、燃料電池セルスタックに対し、燃料供給通路、燃料排出通路、酸化剤ガス供給通路、及び酸化剤ガス排出通路のみによって連結されている。
【0024】
このように構成された本発明によれば、ハウジングが燃料電池セルスタックに対し、燃料供給通路、燃料排出通路、酸化剤ガス供給通路、及び酸化剤ガス排出通路のみによって連結されているので、ハウジングを支持するための専用の支持部材を設ける必要がなく支持部材を介してハウジングとセルスタックとの熱伝導を防止することができる。また、各通路内には流体が流れているため、通路自体の温度は概ね中を流れる流体の温度に支配されるので、熱伝導による通路を介した熱の散逸を抑制することができる。
【0025】
本発明において、好ましくは、燃料供給通路、燃料排出通路、酸化剤ガス供給通路、及び酸化剤ガス排出通路の少なくとも1つは、ハウジング又は燃料電池セルスタックに対し、取り外し可能に連結されている。
【0026】
このように構成された本発明によれば、燃料供給通路、燃料排出通路、酸化剤ガス供給通路、及び酸化剤ガス排出通路の少なくとも1つが取り外し可能に連結されているので、ハウジング又は燃料電池セルスタックの何れか一方に不具合が生じた場合、独立してメンテナンスや交換を行うことができる。即ち、これら燃料供給通路、燃料排出通路、酸化剤ガス供給通路、及び酸化剤ガス排出通路にフランジやユニオンを設けておくことにより、これらの通路を容易に取り外し可能に連結することができる。
【0027】
本発明において、好ましくは、燃料電池セルスタックは、複数の平板型燃料電池セルを積層して構成された平板型セルスタックである。
一般に平板型セルスタックは、それ自体が密閉構造を有し、燃料ガスが流れる流路が内部に形成されているので、この流路と各通路を接続するだけで、ハウジングとの間で簡単に流体を供給したり、排出したりすることができる。これにより、燃料電池モジュールの構造をシンプルにすることができる。
【0028】
また、本発明は、原燃料ガスを改質した燃料ガス及び加熱された発電用の酸化剤ガスを燃料電池セルスタックに供給するための流体供給装置であって、原燃料ガスを改質して、水素を含む燃料ガスを生成する改質器と、燃料電池セルスタックにおいて発電に使用されずに残った残余燃料ガスを燃焼させ、改質器を加熱する燃焼器と、改質器及び燃焼器を収容する密閉空間が内部に形成されたハウジングと、燃料電池セルスタックをハウジングから熱的に隔離する断熱材と、を有し、改質器によって生成された燃料ガスは、断熱材を超えて延びる燃料供給通路を介して燃料電池セルスタックに供給されると共に、残余燃料ガスは断熱材を超えて延びる燃料排出通路を介してハウジングに排出されることを特徴としている。
【0029】
本発明の流体供給装置において、好ましくは、燃料供給通路及び燃料排出通路は、ハウジングの一側に接続されている。
【発明の効果】
【0030】
本発明の燃料電池モジュール及びこれに使用される流体供給装置によれば、燃料電池セルスタックの温度を十分に均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施形態による燃料電池モジュール全体の概略構成を示す図である。
図2】本発明の実施例による燃料電池モジュール全体を示す斜視図である。
図3】本発明の実施例による燃料電池モジュールの全断面図である。
図4】本発明の実施例による燃料電池モジュールの、図3におけるIV-IV線に沿う断面図である。
図5】本発明の実施例による燃料電池モジュールの、図3におけるV-V線に沿う断面図である。
図6】本発明の実施例による燃料電池モジュールの、図3におけるVI-VI線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態による燃料電池モジュール全体の概略構成を示す図である。
【0033】
<燃料電池モジュールの概略構成及び作用>
図1に示すように、本発明の実施形態による燃料電池モジュール1は、発電反応を行う燃料電池セルスタック2と、この燃料電池セルスタック2に、原燃料ガスを改質した燃料ガス、及び加熱した酸化剤ガスである空気を供給する流体供給装置4と、を有する。
【0034】
また、流体供給装置4はハウジング6を備えており、このハウジング6が燃料電池セルスタック2の上方に鉛直方向に並べて配置されている。これらの燃料電池セルスタック2、及びハウジング6は断熱材8によって包囲されているとともに、燃料電池セルスタック2とハウジング6との間にも設けられていることで、燃料電池セルスタック2は、ハウジング6(流体供給装置4)から熱的に隔離されている。この燃料電池セルスタック2及びハウジング6を包囲している断熱材8は、燃料電池モジュール1の最表面を構成しており、断熱材8の外側を覆う金属製の容器等は設けられていてもよいが、設けられていなくてもよい。また、ハウジング6によって密閉された空間内には、改質器36、燃焼器38が収容されている。
なお、図1においては、断熱材8はひとつづきのものとして記載しているが、複数の断熱材で構成されるものであってもよい。例えば、燃料電池セルスタック2及びハウジング6を包囲する断熱材と、燃料電池セルスタック2とハウジング6との間に設ける断熱材とは、異なる断熱材であってもよい。
さらに断熱材は、異なる断熱性能を有する部材を複数組み合わせて用いてもよく、重ねあわせや配置方法は、適宜要求される仕様に応じて設計することができる。
また、燃料電池セルスタック2とハウジング6との間に設ける断熱材は、必ずしも燃料電池セルスタック2とハウジング6との間を完全に覆うものでなくてもよく、少なくとも必要に応じて部分的に配置することで効果を奏するものである。
【0035】
改質器36は、流体供給装置4の外部から供給された原燃料ガスを水蒸気改質して、水素を豊富に含む燃料ガスを生成するように構成されている。改質器36において生成された燃料ガスは燃料電池セルスタック2に送られ、燃料電池セルスタック2において発電に使用される。この燃料ガスは、流体供給装置4のハウジング6と燃料電池セルスタック2の間に延びる燃料供給通路12を介して燃料電池セルスタック2に供給される。ここで、流体供給装置4のハウジング6は断熱材8によって包囲されているので、燃料ガスを供給する燃料供給通路12は、断熱材8を貫通して燃料電池セルスタック2へ延びている。
【0036】
燃焼器38は、燃料電池セルスタック2において発電に使用されずに残った残余燃料を燃焼させるように構成されている。燃料電池セルスタック2において発電に使用されずに残った燃料は、流体供給装置4のハウジング6と燃料電池セルスタック2の間に延びる燃料排出通路14を介してハウジング6側へ排出される。この燃料排出通路14も、流体供給装置4のハウジング6を包囲する断熱材8を貫通して燃料電池セルスタック2から流体供給装置4へ延びている。ハウジング6側へ排出された残余燃料は、ハウジング6内に収容された燃焼器38によって燃焼され、燃焼器38の上方に配置された改質器36を加熱する。これにより、改質器36内の改質触媒(図示せず)が水蒸気改質可能な温度に加熱される。
【0037】
一方、発電用の酸化剤ガスである空気も外部から流体供給装置4に供給され、ここで、燃焼器38の燃焼熱によって加熱され、高温になった状態で燃料電池セルスタック2へ供給される。燃料電池セルスタック2は、主として、高温に加熱された発電用空気の熱により、発電反応可能な温度まで加熱される。流体供給装置4において加熱された発電用の空気は、ハウジング6から延びる酸化剤ガス供給通路16を介して燃料電池セルスタック2に供給される。この酸化剤ガス供給通路16も、流体供給装置4のハウジング6を包囲する断熱材8を貫通して流体供給装置4から燃料電池セルスタック2へ延びている。
【0038】
また、燃料電池セルスタック2に供給され、発電に使用されずに残った残余の空気は、酸化剤ガス排出通路18を介してハウジング6側へ排出される。この酸化剤ガス排出通路18も、流体供給装置4のハウジング6を包囲する断熱材8を貫通して燃料電池セルスタック2から流体供給装置4へ延びている。ハウジング6側へ排出された残余空気は、ハウジング6内の燃焼器38において、燃焼に使用される。燃焼により生成された燃焼ガスは、排気ガスとして流体供給装置4から排出される。
【0039】
このように、本発明の実施形態の燃料電池モジュール1においては、残余燃料ガスが、流体供給装置4の燃焼器38において残余空気によって燃焼され、その燃焼熱によって改質器36が加熱される。一方、改質器36及び燃焼器38は流体供給装置4のハウジング6内に収容され、ハウジング6は断熱材8によって燃料電池セルスタック2から熱的に分離されている。このため、燃料電池セルスタック2は、実質的に、残余燃料の燃焼熱によって直接加熱されることはない。即ち、流体供給装置4(ハウジング6)側と、燃料電池セルスタック2の間の熱の移動は、実質的に、それらの間を流れる流体のみによって行われ、燃焼器38等から放射された輻射熱等によって、燃料電池セルスタック2が直接加熱されることはない。このため、燃料電池セルスタック2の温度は、実質的に、これに供給する流体流量、温度のみによって規定することが出来る。
【0040】
なお、燃料電池モジュールと共に使用される装置として、水蒸気改質用の水蒸気を生成する蒸発器、原燃料ガスに含まれる硫黄成分を除去する脱硫器、排気ガス中の一酸化炭素等を除去する燃焼触媒器等があるが、これらをハウジング内に収容することもできる。或いは、これらの装置をハウジングの外側に配置すると共に断熱材で被覆し、ハウジングから排出される排気ガスの熱により、これらを加熱することもできる。
【0041】
次に、図2乃至図6を参照して、本発明の実施例による燃料電池モジュールの構成を詳細に説明する。
図2は本発明の実施例による燃料電池モジュール全体を示す斜視図である。図3は、本発明の実施例による燃料電池モジュールの全断面図である。図4は、図3におけるIV-IV線に沿う断面図であり、図5は、図3におけるV-V線に沿う断面図であり、図6は、図3におけるVI-VI線に沿う断面図である。なお、図2においては、燃料電池セルスタック等を包囲する断熱材を省略して示している。
【0042】
<燃料電池モジュールの全体構成>
図2に示すように、本発明の実施例による燃料電池モジュール1は、発電反応を行う燃料電池セルスタック2と、この燃料電池セルスタック2に原燃料ガスを改質した燃料ガス、及び加熱した酸化剤ガスである空気を供給する流体供給装置4と、を有する。また、流体供給装置4は、蒸発器4a及び改質・加熱器4bから構成されている。蒸発器4aは、供給された水を蒸発させて水蒸気を生成すると共に、この水蒸気を原燃料ガスと混合するように構成されており、改質・加熱器4bは蒸発器4aから供給された混合ガスを水蒸気改質して、水素を含む燃料ガスを生成し、燃料電池セルスタック2に供給するように構成されている。
【0043】
また、改質・加熱器4bは概ね直方体形状の金属製のハウジング6によって覆われており、燃料電池セルスタック2、その上方に配置された改質・加熱器4bのハウジング6、及び蒸発器4aは、鉛直方向に並べて配置されている。これらの燃料電池セルスタック2、ハウジング6、及び蒸発器4aは断熱材8によって夫々包囲されており、燃料電池セルスタック2は、ハウジング6及び蒸発器4aから熱的に隔離されている。
【0044】
<燃料電池セルスタックの構成>
図2及び図3に示すように、本実施例においては、燃料電池セルスタック2は平板型セルスタックであり、複数の長方形の平板型燃料電池セル2aを積層して構成されている。即ち、各燃料電池セル2aは、酸化物イオン導電体で構成された平板状の電解質の両面に、燃料極及び空気極(酸化剤ガス極)の電極を夫々設けることにより構成され、各燃料電池セル2aの間にはセパレータが配置されている(以上、図示せず)。また、積層された複数の燃料電池セル2aの上端にはトップエンドプレート10aが配置され、下端にはボトムエンドプレート10bが配置されている。このように複数の燃料電池セル2aを積層して得られた燃料電池セルスタック2の内部には、各燃料電池セル2aに燃料ガスを供給するための燃料ガス供給通路(図示せず)と、酸化剤ガスである空気を供給するための酸化剤ガス供給通路(図示せず)が形成されている。また、燃料電池セルスタック2の上部及び底部からは、発電された電力を取り出すための2本のバスバー2bが夫々延びている。
【0045】
さらに、燃料電池セルスタック2のトップエンドプレート10aには、燃料供給通路12と、燃料排出通路14と、酸化剤ガス供給通路16と、酸化剤ガス排出通路18が夫々接続されている。これらの4本の通路は、燃料電池セルスタック2と改質・加熱器4bのハウジング6の間に挟まれた空間内に延びている。即ち、これらの通路は、燃料電池セルスタック2のトップエンドプレート10aの上面から上方に延び、燃料電池セルスタック2の上方に配置されたハウジング6の単一の面である底面に接続されている。従って、燃料供給通路12、燃料排出通路14、酸化剤ガス供給通路16、及び酸化剤ガス排出通路18は、燃料電池セルスタック2とハウジング6の間に配置されている断熱材8を貫通して延びでいる。なお、改質・加熱器4bのハウジング6は、燃料電池セルスタック2に対し、これら4本の通路(燃料供給通路12、燃料排出通路14、酸化剤ガス供給通路16、及び酸化剤ガス排出通路18)のみによって連結され、支持されている。
【0046】
燃料供給通路12及び燃料排出通路14は、トップエンドプレート10aの1つの短辺の近傍に並べて取り付けられ、夫々鉛直上方に直線状に延びている。改質・加熱器4bにおいて改質された燃料ガスは、燃料供給通路12を介して燃料電池セルスタック2に供給され、燃料電池セルスタック2内の燃料ガス供給通路(図示せず)を通って各燃料電池セル2aに分配される。各燃料電池セル2aにおいて発電に使用されずに残った残余の燃料ガスは、燃料電池セルスタック2内の燃料ガス排出通路(図示せず)を通って集められ、トップエンドプレート10aに取り付けられた燃料排出通路14を介して改質・加熱器4bに排出される。
【0047】
図3及び図4に示すように、酸化剤ガス供給通路16及び酸化剤ガス排出通路18は、トップエンドプレート10aの1つの長辺の近傍に並べて取り付けられ、夫々鉛直上方に延びた後、内側に向けて90度屈曲して水平方向に延び、さらに90度屈曲して鉛直上方に延びている。これら酸化剤ガス供給通路16、酸化剤ガス排出通路18の上端は、改質・加熱器4bのハウジング6の底面に、その長手方向の中心軸線上に並べて接続されている。
【0048】
改質・加熱器4bにおいて加熱された空気は、酸化剤ガス供給通路16を介して燃料電池セルスタック2に供給され、燃料電池セルスタック2内の酸化剤ガス供給通路(図示せず)を通って各燃料電池セル2aに分配される。各燃料電池セル2aにおいて発電に使用されずに残った残余の空気は、燃料電池セルスタック2内の酸化剤ガス排出通路(図示せず)を通って集められ、トップエンドプレート10aに取り付けられた酸化剤ガス排出通路18を介して改質・加熱器4bに排出される。
【0049】
また、上記のように、酸化剤ガス供給通路16及び酸化剤ガス排出通路18がハウジング6の底面に接続される位置と、それらの通路が燃料電池セルスタック2に接続される位置は、上面視において異なっているが、それらの通路をハウジング6と燃料電池セルスタック2の間の空間内で湾曲させることにより、燃料電池セルスタック2側とハウジング6側を接続することができる。従って、接続する通路を適宜変更することにより、単一のハウジング6(流体供給装置4)に、種々の燃料電池セルスタック2を接続することができる。また、各通路は、ハウジング6と燃料電池セルスタック2の間に挟まれた空間内に延びているので、占有床面積を広げることなく、燃料供給通路12、燃料排出通路14、酸化剤ガス供給通路16、及び酸化剤ガス排出通路18を設けることができる。
【0050】
さらに、燃料供給通路12、燃料排出通路14、酸化剤ガス供給通路16、及び酸化剤ガス排出通路18は、夫々、配管用ねじを使用した連結構造を有しており、連結用のナットを緩めることにより分離可能に構成されている。このように、燃料供給通路12、燃料排出通路14、酸化剤ガス供給通路16、及び酸化剤ガス排出通路18は、改質・加熱器4bのハウジング6に対し、取り外し可能に連結されている。或いは、これら4本の通路のうちの一部又は全部をハウジング6の底面から延びるように構成し、それらの通路を燃料電池セルスタック2に対して取り外し可能に連結することもできる。
【0051】
<蒸発器の構成>
次に、図2及び図3を参照して、蒸発器4aの構造を説明する。図2に示すように蒸発器4aには、水を供給するための水供給用配管20と、原燃料ガスを供給するための原燃料ガス供給配管22と、排気ガスを排出するための排気ガス排出管24が接続されている。また、改質・加熱器4bのハウジング6と、その外部の蒸発器4aとは配管により接続されており、この配管は改質・加熱器4bから蒸発器4aへ排気ガスを供給する排気ガス配管26と、この内側に配置された混合ガス導管28の二重管構造となっている(図3)。混合ガス導管28は、蒸発器4a内で生成された水蒸気と、蒸発器4aに供給された原燃料ガスを混合した混合器を改質・加熱器4b内に導入するように構成されている。また、蒸発器4aの側面周囲三辺には、蒸発器4aを補助的に加熱するための電気ヒータ29が巻回されている。
【0052】
図3に示すように、蒸発器4aは、金属板により直方体状の箱形に形成されており、内部には、蒸発室30aと、混合室30bと、排気ガス室30cが形成されている。蒸発室30aは、蒸発器4aの天井面の直下に形成された薄型の空間であり、蒸発器4aの天井面に接続された水供給用配管20及び原燃料ガス供給配管22から夫々供給された水及び原燃料ガスが蒸発室30a内に流入するように構成されている。
【0053】
混合室30bは、細い通路30dを介して蒸発室30aの下流側に連通した空間として形成されている。蒸発室30a内で生成された水蒸気と、蒸発室30a内に供給された原燃料ガスは、細い通路30dを通って混合室30b内に流入することにより混合される。混合室30bの底面には、混合ガス導管28が接続されており、混合室30b内で混合された水蒸気及び原燃料ガスは混合ガス導管28を通って改質・加熱器4b内に導入される。
【0054】
排気ガス室30cは、蒸発器4aの下部に設けられた空間であり、蒸発器4aの底面に接続された排気ガス配管26を介して排気ガスが流入するように構成されている。排気ガス室30cに流入した排気ガスは、排気ガス室30cの上側に設けられた蒸発室30aの床面を加熱して、蒸発器4aの側面端部に接続された排気ガス排出管24から排出される。蒸発室30aに供給された水は、排気ガス室30c内を流れる排気ガスによって蒸発室30aの床面が加熱されることにより蒸発される。
【0055】
排気ガス室30cの下流側は、流入した排気ガスが蒸発室30aの床面(排気ガス室30cの天井面)に沿って流れるように、薄型にされている。この薄型にされた空間には、排気ガス室30cを流れる排気ガスの熱が蒸発室30aの床面に効率良く伝わるように、伝熱用のフィン30eが配置されている。このように、排気ガス室30cの一端に接続された排気ガス配管26から流入した排気ガスは、他端に接続された排気ガス排出管24に向かって(図3の左から右へ)流れる。一方、蒸発室30aの、排気ガス排出管24側の端部に接続された水供給用配管20から供給された水は、蒸発室30a内で蒸発されながら、他端部に向かって(図3の右から左へ)流れる。このように、蒸発器4a内を流れる水蒸気と排気ガスは反対方向に流れるので、それらの間でカウンターフロー型の熱交換が行われ、効率良く熱交換がなされる。
【0056】
<改質・加熱器の構成>
次に、図2乃至図6を参照して、改質・加熱器4bの構造を説明する。
図2に示すように、改質・加熱器4bは、金属製のハウジング6によって囲まれた直方体状の箱形に形成されており、その上面には発電用の酸化剤ガスである空気を供給するための空気供給パイプ32が接続されている。また、上述したように、ハウジング6の上面には排気ガス配管26と混合ガス導管28の二重管(図3)、底面には、燃料供給通路12、燃料排出通路14、酸化剤ガス供給通路16、及び酸化剤ガス排出通路18が接続されている。また、ハウジング6の一方の側面には、点火用のセラミックヒータ34が取り付けられている。
【0057】
改質・加熱器4bは、混合ガス導管28から導入された混合ガスを水蒸気改質して燃料ガスを生成し、燃料供給通路12を介して燃料電池セルスタック2に供給すると共に、空気供給パイプ32を介して導入された空気を加熱し、酸化剤ガス供給通路16を介して燃料電池セルスタック2に供給するように構成されている。また、燃料電池セルスタック2において発電に使用されずに残った残余燃料ガス及び残余空気(残余酸化剤ガス)は、夫々、燃料排出通路14及び酸化剤ガス排出通路18を介して改質・加熱器4bに排出される。燃料排出通路14及び酸化剤ガス排出通路18を介して排出された残余燃料ガス及び残余空気は、改質・加熱器4b内で燃焼され、この燃焼熱により、空気供給パイプ32から導入された空気を加熱する。燃焼により生成された燃焼ガスは、排気ガス配管26を介して排気ガスとして蒸発器4aへ導入される。
【0058】
次に、図3乃至図6を参照して、改質・加熱器4bの内部構造を説明する。
図3に示すように、改質・加熱器4bを形成するハウジング6の内部には、改質器36と、燃焼器38を収容する密閉空間が形成されている。
【0059】
改質器36は、上面視で長方形の断面を有し、中央に長方形の開口が設けられた金属製の環状容器であり、その一端部には混合ガスを導入するための混合ガス導管28が接続され、他端部には改質された燃料ガスを流出させる燃料供給通路12が接続(図5)されている。蒸発器4aからハウジング6内に延びる混合ガス導管28は、ハウジング6内で90度屈曲され、水平方向に延びた後、鉛直下方に向けて90度屈曲して、改質器36の天井面に接続されている。燃料供給通路12は、混合ガス導管28とは反対側の端部の、改質器36の底面に接続され、ハウジング6の底面を貫通して鉛直下方に延び、燃料電池セルスタック2に接続されている。改質器36の内部には改質触媒36aが充填されている。混合ガス導管28から流入した原燃料ガスと水蒸気の混合ガスは、改質触媒36aと接触することにより水蒸気改質され、水素ガスを豊富に含む燃料ガスが生成される。改質器36内で水蒸気改質された燃料ガスは燃料供給通路12に流入し、燃料電池セルスタック2に供給される。
【0060】
燃焼器38は、燃料電池セルスタック2と隣接しているハウジング6の底壁面の内側に設けられており、燃料排出通路14を介して排出された残余燃料ガスを、酸化剤ガス排出通路18介して排出された残余空気により燃焼させるように構成されている。
【0061】
図6に示すように、燃焼器38は、残余燃料ガスマニホルド38aと、これに接続された残余燃料ガス分配管38bと、残余空気をハウジング6内に分散させる残余空気分散板38cと、を有する。
残余燃料ガスマニホルド38aは、ハウジング6の一端部の底壁面に取り付けられた箱形の部材であり、ハウジング6の底壁面に接続された燃料排出通路14からの残余燃料ガスが内部に流入するように構成されている。
【0062】
残余燃料ガス分配管38bは円形断面のパイプから構成されており、これらのパイプは残余燃料ガスマニホルド38aからハウジング6の長手方向に4本平行に延び、ハウジング6の他端部において短手方向に延びるパイプにより合流されている。残余燃料ガス分配管38bを構成するパイプの上面には、多数の細孔が設けられており、残余燃料ガスマニホルド38aから残余燃料ガス分配管38bに流入した残余燃料ガスが、これらの細孔から噴出するように構成されている。
【0063】
残余空気分散板38cは、台形断面に折り曲げられた細長い金属板から構成され(図4)、ハウジング6の底壁面の中央に長手方向に延びるように取り付けられている。ハウジング6の底壁面に接続された酸化剤ガス排出通路18は、残余空気分散板38cとハウジング6の底壁面で囲まれた台形断面の空間と連通している。また、残余空気分散板38cの両側の斜面には多数の細孔が形成されており、酸化剤ガス排出通路18から流入した残余空気は、これらの細孔からハウジング6の内部に噴射され、分散される。
【0064】
図3及び図6に示すように、ハウジング6の側壁面にはセラミックヒータ34が取り付けられており、その先端部が残余燃料ガス分配管38bの合流部の中央まで延びている。燃料電池モジュール1の起動時において、残余燃料ガス分配管38bの各細孔から残余燃料ガスが噴出し、残余空気分散板38cの各細孔から残余空気が噴出している状態でセラミックヒータ34に通電することにより、噴出している残余燃料ガスに点火することができる。これにより、ハウジング6内で燃焼器38の上方に配置された改質器36を加熱することができる。(なお、燃料電池モジュール1の起動時においては、改質器36が昇温されていないため、改質器36内で改質反応は発生せず、燃料電池セルスタック2による発電も行われていない。)
【0065】
<酸化剤ガス熱交換器の構成>
次に、図3及び図4を参照して、改質・加熱器4bに備えられた酸化剤ガス熱交換器を説明する。
図3及び図4に示すように、ハウジング6はその壁面の一部が二重壁構造に構成されており、この二重壁の内側に発電用の空気を流すことにより、燃焼器38が生成した燃焼ガスで内部を流れる空気を加熱している。即ち、ハウジング6の上面の一部、長手方向の側壁面の一部、及び底壁面の一部は、内壁板6aと、外壁板6bの二枚の金属板から形成されている。これら内壁板6aと外壁板6bの間には、伝熱用のフィン40が配置されており、内壁板6aの熱が内壁板6aと外壁板6bの間の空間に効率良く伝わるようになっている。従って、内壁板6a、外壁板6b、及び伝熱用のフィン40は、供給された酸化剤ガスである空気を、燃焼器38によって生成された燃焼ガスにより加熱して燃料電池セルスタック2に供給する酸化剤ガス熱交換器として機能する。
【0066】
空気供給パイプ32から供給された空気は、ハウジング6の上壁面を構成する内壁板6aと外壁板6bの間の空間に流入し(図3)、ここからハウジング6の短手方向に広がって、ハウジング6の側壁面を構成する内壁板6aと外壁板6bの間の空間に流入する(図4)。ハウジング6の側壁面の中に流入した空気は下方に下り、ハウジング6の底壁面を構成する内壁板6aと外壁板6bの間の空間に流入する。ハウジング6の底壁面の中に流入した空気は、ハウジング6の底壁面の短手方向中央に接続された酸化剤ガス供給通路16(図3)を通って燃料電池セルスタック2に供給される。従って、ハウジング6の上壁面、側壁面、及び底壁面の一部が酸化剤ガス熱交換器として機能し、これらの壁面に酸化剤ガス熱交換器が設けられていることになる。
【0067】
<燃料電池モジュールの作用>
次に、本発明の実施例による燃料電池モジュール1の作用を説明する。
まず、燃料電池モジュール1の起動時においては、原燃料ガス供給配管22を介して流体供給装置4の蒸発器4aに原燃料ガスが供給されると共に、空気供給パイプ32を介して発電用の空気が流体供給装置4の改質・加熱器4bに供給される。図3に示すように、供給された原燃料ガスは、蒸発器4aの蒸発室30a、混合室30bを通って混合ガス導管28に流入し、さらに、改質・加熱器4bの改質器36の中に流入する。なお、燃料電池モジュール1の起動初期においては、改質器36の温度が低いため、原燃料ガスを改質する反応は発生しない。改質器36に流入した原燃料ガスは、燃料供給通路12(図5)を通って燃料電池セルスタック2の内部に流入する。
【0068】
一方、空気供給パイプ32を介して改質・加熱器4bに供給された空気は、ハウジング6の内壁板6aと外壁板6bの間の空間を通って酸化剤ガス供給通路16(図5)を通って燃料電池セルスタック2の内部に流入する。燃料電池セルスタック2内に流入した原燃料ガス及び空気は、内部の通路を通り、燃料排出通路14及び酸化剤ガス排出通路18を介して夫々改質・加熱器4bに排出される。なお、燃料電池モジュール1の起動初期においては、燃料電池セルスタック2の温度が低いため、燃料電池セルスタック2において発電反応は発生しない。
【0069】
燃料排出通路14を通って改質・加熱器4bに流入した原燃料ガスは、燃焼器38の残余燃料ガスマニホルド38aを通って残余燃料ガス分配管38bに流入し、その細孔から噴出する。一方、酸化剤ガス排出通路18を通って改質・加熱器4bに排出された空気は、残余空気分散板38cの内側に流入し、その細孔から噴出する。また、燃料電池モジュール1の起動時においては、セラミックヒータ34に通電され、セラミックヒータ34の熱により残余燃料ガス分配管38bの細孔から噴出した原燃料ガスに点火される。これにより燃焼器38が燃焼熱を生成するようになる。
【0070】
燃焼器38が点火されると、その上方に配置された改質器36が加熱され、内部の改質触媒36aの温度が上昇する。また、燃焼により生成される燃焼ガスにより、ハウジング6の内壁板6aと外壁板6bによって構成される酸化剤ガス熱交換器が加熱され、内部を流れる空気が加熱される。加熱された空気は燃料電池セルスタック2に流入するので、この熱により燃料電池セルスタック2が加熱される。ここで、流体供給装置4のハウジング6は、断熱材8によって包囲されているので、ハウジング6からの輻射熱等による燃料電池セルスタック2の加熱は殆どなく、燃料電池セルスタック2は実質的に、流体供給装置4から供給される流体(空気及び燃料ガス)のみによって加熱される。
【0071】
また、ハウジング6内で生成された燃焼ガスは、排気ガス配管26を通って排気ガスとして蒸発器4aに流入する。蒸発器4a内に流入した排気ガスは、排気ガス室30cを通って排気ガス排出管24から排出される。この際、排気ガス室30cの上側に設けられた蒸発室30aが加熱される。このように、蒸発器4aに供給された水は、燃焼器38によって生成され、排気ガス配管26によって供給された燃焼ガスにより加熱される。蒸発室30aの温度が上昇した後、水供給用配管20からの水の供給が開始され、蒸発室30a内で水蒸気が生成されるようになる。なお、燃料電池モジュール1の起動時において、蒸発室30aの加熱を補助するために電気ヒータ29に通電を行っても良い。
【0072】
蒸発室30aにおいて水蒸気が生成されるようになると、原燃料ガスと水蒸気の混合ガスが、改質器36に供給されるようになる。また、改質器36の温度が十分に上昇すると、改質触媒36aにより水蒸気改質反応が誘発されて、原燃料ガスから水素ガスを豊富に含む燃料ガスが生成される。生成された燃料ガスは、燃料電池セルスタック2に供給される。燃料電池セルスタック2の温度が十分に上昇すると、燃料ガスと、改質・加熱器4bにおいて加熱された空気により発電反応が発生するようになる。燃料電池セルスタック2の温度が発電可能な温度まで上昇した状態において、燃料電池セルスタック2からバスバー2bを介して電力が取り出され、発電が開始される。
【0073】
<本発明の実施形態の燃料電池モジュールが奏する効果>
本発明の実施形態の燃料電池モジュール1によれば、燃料電池セルスタック2が金属製のハウジング6とは独立して、ハウジング6の外部に配置されている(図2)。このため、燃料電池セルスタック2は、実質的に、燃料電池セルスタック2とハウジング6の間を流れる流体を介してのみ熱を受ける。このため、燃焼器38等から放射される輻射熱等に基づいて燃料電池セルスタック2に温度ムラが発生することがない。また、燃料電池セルスタック2は、実質的に、流体を介してのみ加熱されるので、燃料電池セルスタック2の温度分布は供給する流体の温度及び流量によって規定され、ハウジング6内の改質器36、燃焼器38等の配置変更等により、燃料電池セルスタック2の温度分布が影響を受けることはない。このため、燃料電池セルスタック2と、ハウジング6内の改質器36、燃焼器等38を独立して設計することが可能になり、改質器36、燃焼器38等の設計の自由度を広げることができる。また、改質器36、燃焼器38等を収容したハウジング6が燃料電池セルスタック2とは独立しているので、1機種のハウジングを汎用的に種々の燃料電池セルスタックと組み合わせて使用することができ、量産により製造コストを下げることができる。
【0074】
また、本実施形態の燃料電池モジュール1によれば、燃料電池セルスタック2がハウジング6から離間して設けられているので、ハウジング6から熱伝導により燃料電池セルスタック2に直接伝わる熱を低減することができる。これにより、ハウジング6内の改質器36、燃焼器38等の配置変更等が、燃料電池セルスタック2の温度分布に与える影響を更に低減することができる。
【0075】
さらに、本実施形態の燃料電池モジュール1によれば、燃料電池セルスタック2とハウジング6の間の空間に断熱材8が配置されているので、燃料電池セルスタック2とハウジング6の間で直接伝わる熱を更に低減することができる。これにより、ハウジング6内の改質器36、燃焼器38等の配置変更等が、燃料電池セルスタック2の温度分布に与える影響を更に低減することができる。
【0076】
また、本実施形態の燃料電池モジュール1によれば、燃料電池セルスタック2がハウジング6の1つの面に対向するように配置されているので、ハウジング6から燃料電池セルスタック2に熱が直接伝わったとしても、燃料電池セルスタック2に温度ムラが発生しにくく、ハウジング6から受ける熱による悪影響を更に軽減することができる。
【0077】
さらに、本実施形態の燃料電池モジュール1によれば、燃料電池セルスタック2及びハウジング6を夫々包囲するように断熱材8が設けられており、燃料電池セルスタック2とハウジング6との間が完全に断熱材8によって熱的に分離されている。このため、この断熱材8を貫通する各通路を通過するガスによる熱の流入を除いては、熱伝達を完全に遮断することができる。
【0078】
また、本実施形態の燃料電池モジュール1によれば、燃料電池セルスタック2とハウジング6が、鉛直方向に並べて配置されているので、断熱材8を通してハウジング6内の熱が漏れた場合であっても、燃料電池セルスタック2の一側のみが加熱されることがなく、燃料電池セルスタック2の温度分布をより均一化することができる。
【0079】
さらに、本実施形態の燃料電池モジュール1によれば、重量の軽いハウジング6が重量の重い燃料電池セルスタック2の上方に並べて配置されているので、ハウジング6の上方に燃料電池セルスタック2を並べて配置した場合に比べ、燃料電池モジュール1の安定性が良く、また、上方の装置を容易に支持することができる。
【0080】
また、本実施形態の燃料電池モジュール1によれば、燃料供給通路12と燃料排出通路14が燃料電池セルスタック2とハウジング6の間の空間内に延びている(図1)ので、占有床面積を広げることなく、燃料供給通路12及び燃料排出通路14を設けることができる。また、燃料供給通路12や、燃料排出通路14を接続すべき位置が、上面視において燃料電池セルスタック2側とハウジング6側で異なっている場合でも、それらの間の空間内で通路を湾曲させることにより、通路を接続することができる。このため、単一のハウジング6に対し、寸法、形状の異なる種々の燃料電池セルスタック2を接続することが可能になる。
さらに、上述した本実施形態の燃料電池モジュール1においては、燃料供給通路12及び燃料排出通路14は、燃料電池セルスタック2とハウジング6の間の空間内に延びているが、これらの通路の何れか一方は燃料電池セルスタック2又はハウジング6の側面から延びていてもよい。また、燃料供給通路12及び燃料排出通路14は、ハウジング6の一側、又は一面から延びていてもよい。
【0081】
さらに、本実施形態の燃料電池モジュール1によれば、ハウジング6が燃料電池セルスタック2に対し、燃料供給通路12、燃料排出通路14、酸化剤ガス供給通路16、及び酸化剤ガス排出通路18のみによって連結されている(図2)ので、ハウジング6を支持するための専用の支持部材を設ける必要がなく支持部材を介して燃料電池セルスタック2とハウジング6との熱の授受を防止することができる。また、各通路内には流体が流れているため、通路自体の温度は概ね中を流れる流体の温度に支配されるので、熱伝導による通路を介した熱の散逸を抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態の燃料電池モジュール1によれば、燃料供給通路12、燃料排出通路14、酸化剤ガス供給通路16、及び酸化剤ガス排出通路18が取り外し可能に連結されている(図2)ので、ハウジング6又は燃料電池セルスタック2の何れか一方に不具合が生じた場合、独立してメンテナンスや交換を行うことができる。
【0083】
さらに、本実施形態の燃料電池モジュール1によれば、燃料電池セルスタック2が、複数の平板型の燃料電池セル2aを積層して構成された平板型セルスタックであり、それ自体が密閉構造を有し、燃料ガス及び酸化剤ガスが流れる流路が内部に形成されている。このため、これらの流路と各通路を接続するだけで、ハウジング6との間で簡単に流体を供給したり、排出したりすることができる。これにより、燃料電池モジュール1の構造をシンプルにすることができる。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、ハウジング内に改質器及び燃焼器が収容され、蒸発器はハウジングの外部に配置されていたが、蒸発器をハウジング内に収容するように本発明を構成することもできる。さらに、原燃料ガスに含まれる硫黄成分を除去する脱硫器や、排気ガス中の一酸化炭素等を除去する燃焼触媒器をハウジング内に収容するように本発明を構成することもできる。また、上述した実施形態においては、酸化剤ガス熱交換器がハウジングの外壁面と一体に構成されていたが、酸化剤ガス熱交換器をハウジングの内部に収容するように本発明を構成することもできる。さらに、上述した実施形態においては、燃料電池セルスタックの上方にハウジングが並べて配置されていたが、燃料電池セルスタックの下方にハウジングを並べて配置したり、燃料電池セルスタックの側方にハウジングを並べて配置したりすることもできる。
【符号の説明】
【0085】
1 燃料電池モジュール
2 燃料電池セルスタック
2a 燃料電池セル
2b バスバー
4 流体供給装置
4a 蒸発器
4b 改質・加熱器
6 ハウジング
6a 内壁板
6b 外壁板
8 断熱材
10a トップエンドプレート
10b ボトムエンドプレート
12 燃料供給通路
14 燃料排出通路
16 酸化剤ガス供給通路
18 酸化剤ガス排出通路
20 水供給用配管
22 原燃料ガス供給配管
24 排気ガス排出管
26 排気ガス配管
28 混合ガス導管
29 電気ヒータ
30a 蒸発室
30b 混合室
30c 排気ガス室
30d 通路
30e フィン
32 空気供給パイプ
34 セラミックヒータ
36 改質器
36a 改質触媒
38 燃焼器
38a 残余燃料ガスマニホルド
38b 残余燃料ガス分配管
38c 残余空気分散板
40 フィン
図1
図2
図3
図4
図5
図6