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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20221011BHJP
   B65D 5/44 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
B65D5/54 301E
B65D5/54 301B
B65D5/44 N
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018175324
(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2020045148
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】長原 耕太郎
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-137117(JP,A)
【文献】特開2016-210428(JP,A)
【文献】特開2005-132407(JP,A)
【文献】実開昭48-050438(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0063008(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第19836221(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
B65D 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に対向して配置される一対の端壁(10)と、
第1方向に交差する第2方向に対向して配置される一対の側壁(11)と、
前記一対の端壁の一端部から互いに接近するように延設される一対の内フラップ(13)と、
前記一対の側壁の一端部から互いに接近するように延設され、先端同士を突き合せた状態で前記一対の内フラップに重ねられる一対の外フラップ(14)と、
前記一対の外フラップの何れか一方にて前記一対の外フラップの突き合せ部から前記一対の端壁まで貼付された粘着テープ(T)を避けた位置に開封口(20A,40A)を開口させる開封開始線(20,40)と、
前記開封開始線の一端部または両端部から第1方向に沿って延びて前記外フラップを切断する少なくとも1つの開封切断線(21,41)と、
各々の前記内フラップに補助折曲線(30)を介して連設され、各々の前記補助折曲線の両端部から前記端壁までに亘って形成された補助切断線(32,52)によって区画され、前記粘着テープの両端部が貼付される一対の開封補助片(22,42)と、を備え、
前記開封開始線および前記開封切断線に沿って切断された一方の前記外フラップの先端部が、前記粘着テープで接続された他方の前記外フラップと共に引き上げられる場合、前記補助切断線に沿って切断された前記開封補助片は、前記補助折曲線に沿って谷折りされながら立ち上げられ、前記粘着テープの両端部は、立ち上げられた前記一対の開封補助片から引き剥がされることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記開封補助片(22)には、前記端壁と前記内フラップとの境界線と、前記補助折曲線との間に第2の補助折曲線(31)が形成されており、
前記開封補助片は、一方の前記外フラップの先端部と他方の前記外フラップとを引き上げる過程において、前記補助折曲線に沿って谷折りまたは山折りされ、且つ前記第2の補助折曲線に沿って谷折りまたは山折りされることで前記補助切断線に沿って切断された後、前記補助折曲線に沿って谷折りされながら立ち上げられることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記端壁において第2方向に延びた前記補助切断線の一辺(32C)は、一方の前記外フラップ側から他方の前記外フラップ側に向かって前記内フラップに近づくように傾斜し、且つ一方の前記外フラップ側から他方の前記外フラップ側に向かって前記端壁を切断するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記開封補助片(42)は、前記補助切断線に沿って切断された後、一方の前記外フラップの先端部と他方の前記外フラップとを引き上げる過程で、前記補助折曲線に沿って谷折りされながら立ち上げられることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項5】
前記補助折曲線は、一方の前記外フラップ側から他方の前記外フラップ側に向かって第1方向外側に傾斜していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の包装箱。
【請求項6】
前記開封補助片は、前記端壁に形成された部分よりも前記内フラップに形成された部分の方が第2方向に幅広く形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の包装箱。
【請求項7】
前記開封切断線の終端部は、一方の前記外フラップの第1方向端部よりも中央側に位置し、
前記一対の開封補助片に重なる一方の前記外フラップの一対の角部には、逃し折曲線(35)を介して一方の前記外フラップに連設された一対の逃し片(23)が形成され、
前記逃し片は、前記開封補助片の立ち上げに伴って前記逃し折曲線に沿って折れながら押し上げられることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の包装箱。
【請求項8】
包装箱は、中しん(9A)にライナ(9B,9C)を貼り付けた段ボールシートから形成されており、
前記逃し片の前記中しんは、厚み方向に押し潰されていることを特徴とする請求項7に記載の包装箱。
【請求項9】
前記一対の開封補助片に重なる他方の前記外フラップの一対の角部には、第2の逃し折曲線(37)を介して他方の前記外フラップに連設された一対の第2の逃し片(24)が形成され、
前記第2の逃し片は、前記開封補助片の立ち上げに伴って前記第2の逃し折曲線に沿って折れながら押し上げられることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の包装箱。
【請求項10】
包装箱は、中しん(9A)にライナ(9B,9C)を貼り付けた段ボールシートから形成されており、
前記第2の逃し片の前記中しんは、厚み方向に押し潰されていることを特徴とする請求項9に記載の包装箱。
【請求項11】
前記一対の内フラップの先端部は、互いに離間しており、
前記開封開始線は、前記一対の内フラップの間に対応して形成され、
前記開封切断線は、前記開封開始線の両端部から第1方向に沿って延びた状態に形成され、
前記開封開始線に囲まれた開封片(26,46)を前記開封開始線に沿って切断することで前記開封口が形成され、
一方の前記外フラップを前記開封開始線および前記開封切断線に沿って切断して開封された包装箱を再封緘する場合前記開封口を有する一方の前記外フラップが内側に折り曲げられた後、前記一対の内フラップが内側に折り曲げられることで前記開封口を有する一方の前記外フラップ上に重ねられ、続いて、前記開封片を有する一方の前記外フラップが前記粘着テープで接続されている他方の前記外フラップを内側に折り曲げることで、前記開封片を有する一方の前記外フラップおよび他方の前記外フラップが前記一対の内フラップ上に重ねられ、前記開封片または前記開封片を有する一方の前記外フラップの一部が前記開封口と前記一対の内フラップとで囲まれた開口部(20B,40B)に差し込まれて前記一対の内フラップの先端部に係合することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の包装箱。
【請求項12】
前記一対の内フラップには、前記開封片の第1方向両端部または前記開封片を有する一方の前記外フラップの一部の第1方向両端部が係合する一対の切込線(53)が形成されていることを特徴とする請求項11に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、包装容器本体の開口部の対向辺に、閉めたときに先端が互いに当接する大きさの一対の蓋パネルを連設した包装容器が開示されている。一方の蓋パネルの先端部には、指穴フラップの切断線と、これに近接して開封フラップ部の切断線とが設けられている。この開封フラップ部を覆うと共に一対の蓋パネルの当接部に沿ってテープを貼ることで包装容器が封緘される。包装容器を開封するには、ユーザは、指穴フラップに親指を差し込んで開封フラップ部を開口させ、開口の縁部を手で掴んで一対の蓋パネルを開く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-238756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した包装容器では、開封フラップ部を開口させるためにテープを幅方向にちぎらなければならなかった。また、包装容器の開封時に、開封フラップ部を開口させることで蓋パネルを確り掴むことができたが、一対の蓋パネルの当接部に沿ってテープを切断しなければならず、包装容器を簡単に開封できるとは言えなかった。
【0005】
上記問題に対し、図19および図20に示すような包装箱100が提案されている。この包装箱100は、一対の端壁10と一対の側壁11とを角筒状に連設させた周壁100Wと、一対の端壁10の上端部に連設された一対の上内フラップ13と、一対の側壁11の上端部に連設された一対の上外フラップ14と、一対の端壁10の下端部に連設された一対の下内フラップ15と、一対の側壁11の下端部に連設された一対の下外フラップ16と、を含んでいる。この包装箱100は、一対の外フラップ14,16の突き合せ部から一対の端壁10まで粘着テープTを貼付して封緘される所謂A式の段ボール箱である(図19参照)。一方の上外フラップ14には、開封口を開口させる開封開始線101と、開封開始線101の両端部から長手方向に沿って延びて上外フラップ14を切断する一対の開封切断線102とが形成されている。
【0006】
この包装箱100を開封するには、ユーザは、開封開始線101で囲まれた範囲を手で押し込んで開封口を開口させ、開封口の縁部を手で掴んで引き上げる。すると、一方の上外フラップ14は一対の開封切断線102に沿って切断され、切断された一方の上外フラップ14と他方の上外フラップ14とは一対の端壁10に貼付された粘着テープTを引きちぎって開かれる。
【0007】
以上説明した包装箱100では、粘着テープTを突き合せ部に沿って切断する必要が無くなるが、端壁10と上外フラップ14との境界で粘着テープTを幅方向に引きちぎらなければ上外フラップ14を開くことができなかった。このため、粘着テープTを引きちぎるために大きな力が必要になり、特許文献1に記載の包装容器と同様に、包装箱100も簡単に開封することができなかった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、簡単に開封することができる包装箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するため、本発明の包装箱は、第1方向に対向して配置される一対の端壁と、第1方向に交差する第2方向に対向して配置される一対の側壁と、前記一対の端壁の一端部から互いに接近するように延設される一対の内フラップと、前記一対の側壁の一端部から互いに接近するように延設され、先端同士を突き合せた状態で前記一対の内フラップに重ねられる一対の外フラップと、前記一対の外フラップの何れか一方にて前記一対の外フラップの突き合せ部から前記一対の端壁まで貼付された粘着テープを避けた位置に開封口を開口させる開封開始線と、前記開封開始線の一端部または両端部から第1方向に沿って延びて前記外フラップを切断する少なくとも1つの開封切断線と、各々の前記内フラップに補助折曲線を介して連設され、各々の前記補助折曲線の両端部から前記端壁までに亘って形成された補助切断線によって区画され、前記粘着テープの両端部が貼付される一対の開封補助片と、を備え、前記開封開始線および前記開封切断線に沿って切断された一方の前記外フラップの先端部が、前記粘着テープで接続された他方の前記外フラップと共に引き上げられる場合、前記補助切断線に沿って切断された前記開封補助片は、前記補助折曲線に沿って谷折りされながら立ち上げられ、前記粘着テープの両端部は、立ち上げられた前記一対の開封補助片から引き剥がされる。
【0010】
この場合、前記開封補助片には、前記端壁と前記内フラップとの境界線と、前記補助折曲線との間に第2の補助折曲線が形成されており、前記開封補助片は、一方の前記外フラップの先端部と他方の前記外フラップとを引き上げる過程において、前記補助折曲線に沿って谷折りまたは山折りされ、且つ前記第2の補助折曲線に沿って谷折りまたは山折りされることで前記補助切断線に沿って切断された後、前記補助折曲線に沿って谷折りされながら立ち上げられることが好ましい。
【0011】
この場合、前記端壁において第2方向に延びた前記補助切断線の一辺は、一方の前記外フラップ側から他方の前記外フラップ側に向かって前記内フラップに近づくように傾斜し、且つ一方の前記外フラップ側から他方の前記外フラップ側に向かって前記端壁を切断するように形成されていることが好ましい。
【0012】
他の場合、前記開封補助片は、前記補助切断線に沿って切断された後、一方の前記外フラップの先端部と他方の前記外フラップとを引き上げる過程で、前記補助折曲線に沿って谷折りされながら立ち上げられることが好ましい。
【0013】
これらの場合、前記補助折曲線は、一方の前記外フラップ側から他方の前記外フラップ側に向かって第1方向外側に傾斜していることが好ましい。
【0014】
この場合、前記開封補助片は、前記端壁に形成された部分よりも前記内フラップに形成された部分の方が第2方向に幅広く形成されていることが好ましい。
【0015】
この場合、前記開封切断線の終端部は、一方の前記外フラップの第1方向端部よりも中央側に位置し、前記一対の開封補助片に重なる一方の前記外フラップの一対の角部には、逃し折曲線を介して一方の前記外フラップに連設された一対の逃し片が形成され、前記逃し片は、前記開封補助片の立ち上げに伴って前記逃し折曲線に沿って折れながら押し上げられることが好ましい。
【0016】
この場合、包装箱は、中しんにライナを貼り付けた段ボールシートから形成されており、前記逃し片の前記中しんは、厚み方向に押し潰されていることが好ましい。
【0017】
この場合、前記一対の開封補助片に重なる他方の前記外フラップの一対の角部には、第2の逃し折曲線を介して他方の前記外フラップに連設された一対の第2の逃し片が形成され、前記第2の逃し片は、前記開封補助片の立ち上げに伴って前記第2の逃し折曲線に沿って折れながら押し上げられることが好ましい。
【0018】
この場合、包装箱は、中しんにライナを貼り付けた段ボールシートから形成されており、前記第2の逃し片の前記中しんは、厚み方向に押し潰されていることが好ましい。
【0019】
この場合、前記一対の内フラップの先端部は、互いに離間しており、前記開封開始線は、前記一対の内フラップの間に対応して形成され、前記開封切断線は、前記開封開始線の両端部から第1方向に沿って延びた状態に形成され、前記開封開始線に囲まれた開封片を前記開封開始線に沿って切断することで前記開封口が形成され、包装箱を開封した後、前記一対の内フラップが前記開封口を有する一方の前記外フラップ上に重ねられ、前記開封片を有する一方の前記外フラップおよび他方の前記外フラップが前記一対の内フラップ上に重ねられ、前記開封片または前記開封片を有する一方の前記外フラップの一部が前記開封口と前記一対の内フラップとで囲まれた開口部に差し込まれて前記一対の内フラップの先端部に係合することが好ましい。
【0020】
この場合、前記一対の内フラップには、前記開封片の第1方向両端部または前記開封片を有する一方の前記外フラップの一部の第1方向両端部が係合する一対の切込線が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、包装箱を簡単に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る包装箱のブランクの一部を拡大して示す平面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る包装箱に開封口を開けた状態を示す斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る包装箱の開封途中を示す斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る包装箱であって、開封途中の開封補助片等を示す断面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る包装箱であって、開封補助片が立ち上げられた状態を示す斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る包装箱であって、開封補助片が立ち上げられた状態を拡大して示す斜視図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る包装箱を開封した状態を示す斜視図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る包装箱を再封緘した状態示す斜視図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る包装箱のブランクの一部を拡大して示す平面図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る包装箱に開封口等を開けた状態を示す斜視図である。
図15】本発明の第2実施形態に係る包装箱の開封途中を示す斜視図である。
図16】本発明の第2実施形態に係る包装箱であって、開封補助片が立ち上げられた状態を拡大して示す斜視図である。
図17】本発明の第2実施形態に係る包装箱を開封した状態を示す斜視図である。
図18】本発明の第2実施形態に係る包装箱を再封緘した状態示す斜視図である。
図19】従来の包装箱を示す斜視図である。
図20】従来の包装箱のブランクを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示す「Fr」は「前」を示し、「Rr」は「後」を示し、「L」は「左」を示し、「R」は「右」を示し、「U」は「上」を示し、「D」は「下」を示している。前後方向(第2方向)は左右方向(第1方向)に直交(交差)し、上下方向は前後方向と左右方向とに直交している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0024】
[第1実施形態:包装箱の概要]
図1ないし図3を参照して、包装箱1の構成について説明する。図1は包装箱1を示す斜視図である。図2は包装箱1のブランク5を示す平面図である。図3はブランク5の一部を拡大して示す平面図である。
【0025】
図1に示すように、包装箱1は、略直方体状に形成されている。包装箱1は、略角筒状の周壁1Wの上端面および下端面を閉じることで封緘されるA式の箱である。包装箱1の内部には、複数の物品(図示せず)が収容されるようになっている。
【0026】
包装箱1は、図2に示すブランク5を組み立てることで形成される。包装箱1(ブランク5)は、例えば、波状の中しん9Aの表裏に表ライナ9Bと裏ライナ9C(図6参照)とを貼り付けた紙製の両面段ボールシートから形成されている。ブランク5は、例えば、一枚の段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成されている。なお、図2は、表ライナ9B側(包装箱1の外面側)を示している。本明細書では、段ボールの中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向(中しん9A)に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。また、本明細書では、「上(天)」、「下(底)」およびこれに類する用語は、包装箱1を組み立てた状態(組立状態)における上(天)、下(底)およびこれに類する概念を指している。
【0027】
[ブランク]
図2に示すように、ブランク5は、一対の端壁10と、一対の側壁11と、継代片12と、一対の上内フラップ13(内フラップ)と、一対の上外フラップ14(外フラップ)と、一対の下内フラップ15と、一対の下外フラップ16と、を含んでいる。
【0028】
<端壁,側壁>
一対の端壁10と一対の側壁11とは、第1折曲線L1を介して交互に連設されている。端壁10は、側壁11よりも流れ方向に幅狭い略長方形状に形成されている。継代片12は、側壁11の流れ方向端部に第1折曲線L1を介して連設されている。
【0029】
<上内フラップ,上外フラップ>
一対の上内フラップ13は、一対の端壁10の段方向一端部(上端部)に第2折曲線L2を介して連設されている。上内フラップ13は、端壁10の流れ方向の寸法と略同一幅を有する略長方形状に形成されている。上内フラップ13の段方向の寸法(延出寸法)は、端壁10の流れ方向の寸法の略半分に設定されている。一対の上外フラップ14は、一対の側壁11の段方向一端部(上端部)に第2折曲線L2を介して連設されている。上外フラップ14は、側壁11の流れ方向の寸法と略同一幅を有する略長方形状に形成されている。上外フラップ14の段方向の寸法(延出寸法)は、上内フラップ13の延出寸法と略同一である。
【0030】
<下内フラップ,下外フラップ>
一対の下内フラップ15は、一対の端壁10の段方向他端部(下端部)に第3折曲線L3を介して連設されている。一対の下外フラップ16は、一対の側壁11の段方向他端部(下端部)に第3折曲線L3を介して連設されている。下内フラップ15は上内フラップ13と略同一形状に形成され、下外フラップ16は上外フラップ14と略同一形状に形成されている。
【0031】
なお、第1~第3折曲線L1~L3は、段ボールシートを裏ライナ9C側から厚み方向に直線状に潰した汎用罫線である。汎用罫線は、裏ライナ9Cを内側に向けるように段ボールシートを折曲させる機能を有している。上記した第1~第3折曲線L1~L3は、汎用罫線に限らず、汎用罫線上に複数の切目を所定間隔に形成したリード罫線等、段ボールシートを折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0032】
[開封構造]
図2に示すように、ブランク5には、封緘した包装箱1を容易に開封するための開封構造17が形成されている。開封構造17は、開封開始線20と、一対の開封切断線21と、一対の開封補助片22と、一対の逃し片23と、一対の第2の逃し片24と、一対の開封補助罫線25と、を含んでいる。開封開始線20、一対の開封切断線21および一対の逃し片23は、一方(前方)の上外フラップ14に形成されている。各開封補助片22は、端壁10から上内フラップ13に亘って形成されている。一対の第2の逃し片24および一対の開封補助罫線25は、他方(後方)の上外フラップ14に形成されている。なお、以下、説明の便宜上、一方(前方)の上外フラップ14には符号「F」を付加し、他方(後方)の上外フラップ14には符号「R」を付加し、前後両方の上外フラップ14で共通する説明には算用数字の符号を付す。
【0033】
<開封開始線>
図2および図3に示すように、開封開始線20は、上外フラップ14Fの流れ方向略中央付近に形成されている。開封開始線20は、円弧状の切目の両側に複数の略L字状の切目を所定間隔で並べたジッパーである。開封開始線20は、上外フラップ14Fの先端側から基端側(側壁11)に向かって広がる略扇形状(または略台形状)に形成されている。また、開封開始線20の流れ方向両端部は、上外フラップ14Fの先端側に向かって鋭角に屈曲している。開封開始線20は、流れ方向中央から外側に向かって上外フラップ14Fの一部を切断する機能を有している。
【0034】
開封開始線20に囲まれた範囲には、略扇形状(または略台形状)の開封片26が形成されている。上外フラップ14Fの一部である開封片26を開封開始線20に沿って切断することで、開封口20Aが上外フラップ14Fに形成される(図4参照)。開封片26は、開封開始線20の両端部の間に形成された開封折曲線27を介して上外フラップ14Fの先端側に連設されている。開封折曲線27は、汎用罫線上に複数の切目を所定間隔に形成したリード罫線である。
【0035】
<開封切断線>
一対の開封切断線21は、開封開始線20の両端部から流れ方向(第1方向)外側に延びている。各開封切断線21は、複数の略L字状の切目を所定間隔で並べたジッパーである。一対の開封切断線21は、開封開始線20の両端部から流れ方向外側に向かって僅かに上外フラップ14Fの先端側に傾斜しながら延びている。また、一対の開封切断線21の終端部(流れ方向両端部)は、上外フラップ14Fの流れ方向両端部よりも中央側に位置している。つまり、一対の開封切断線21は、上外フラップ14Fの流れ方向両端まで延びていない。一対の開封切断線21の流れ方向両端部は、上外フラップ14Fの先端側に向かって屈曲している。開封切断線21は、流れ方向中央側から外側に向かって上外フラップ14Fを切断する機能を有している。
【0036】
<開封補助片>
図2および図3に示すように、一対の開封補助片22は、それぞれ、端壁10および上内フラップ13の流れ方向略中央付近で、端壁10と上内フラップ13とを跨ぐ範囲に形成されている。図3に示すように、一対の開封補助片22は、各々の上内フラップ13に補助折曲線30を介して連設されている。一対の開封補助片22は、各々の補助折曲線30の両端部から端壁10までに亘って形成された補助切断線32によって区画されている。各開封補助片22(補助切断線32)は、上内フラップ13上の補助折曲線30から端壁10に向かって延びた略長方形状(または略舌状)に形成されている。なお、一対の開封補助片22は左右対称形状であるため、以下、1つの開封補助片22について説明する。
【0037】
(補助折曲線)
図3に示すように、補助折曲線30は、略流れ方向に沿って延びたリード罫線である。補助折曲線30は、包装箱1を組み立てた状態で、一方の上外フラップ14F側から他方の上外フラップ14R側(前方から後方)に向かって左右方向(第1方向)外側に傾斜している。
【0038】
(第2の補助折曲線)
開封補助片22には、端壁10と上内フラップ13との境界線(第2折曲線L2)と、補助折曲線30との間に第2の補助折曲線31が形成されている。第2の補助折曲線31は、第2折曲線L2から上内フラップ13の先端側に離れた位置で、第2折曲線L2と略平行に形成されている。第2の補助折曲線31の長さは、補助折曲線30の長さよりも短く形成されている。第2の補助折曲線31は、段ボールシートを表ライナ9B側から厚み方向に直線状に潰した逆罫線上に複数の切目を所定間隔に形成した逆リード罫線である。
【0039】
なお、各上内フラップ13および各上外フラップ14の流れ方向全域には、第2の補助折曲線31と同一直線状に逆罫線L4が形成されている(図2も参照)。この逆罫線L4を形成する理由は、コルゲータ(図示せず)による段ボールシートの製造過程で逆罫線L4を形成した後、刃物や抜型を用いて複数の切目を入れて第2の補助折曲線31を形成するためである。すなわち、第2の補助折曲線31の切目形成に先立って、コルゲータでは段ボールシートを流れ方向に進行させながら逆罫線L4が形成される。なお、逆罫線L4は、包装箱1に対して物品を出し入れする際に、各フラップ13,14が邪魔にならないように外側に折り曲げることにも用いられる。また、コルゲータによる段ボールシートの製造過程では、第2および第3折曲線L2,L3も逆罫線L4と同時期に形成される。
【0040】
(補助切断線)
図3に示すように、補助切断線32は、補助折曲線30の両端部から第2の補助折曲線31の両端部までの間に形成された一対の傾斜切目線32Aと、第2の補助折曲線31の両端部から端壁10まで延びた一対の平行切目線32Bと、一対の平行切目線32Bの先端部を結ぶように形成された傾斜ジッパー32Cと、を含んでいる。
【0041】
一対の傾斜切目線32Aは、補助折曲線30の両端部から第2の補助折曲線31の両端部に向かって互いに接近するように傾斜している。一対の平行切目線32Bは、第2の補助折曲線31の両端部(一対の傾斜切目線32Aの先端部)から段方向に沿って互いに略平行に延びている。傾斜切目線32Aと平行切目線32Bとは、連続するように段ボールシートを厚み方向に切断した切目である。
【0042】
傾斜ジッパー32Cは、複数の略L字状の切目を所定間隔で並べたジッパーであって、端壁10において流れ方向(第2方向)に延びた補助切断線32の一辺を構成している。傾斜ジッパー32Cは、包装箱1を組み立てた状態で、上外フラップ14F側から上外フラップ14R側(前方から後方)に向かって上内フラップ13に近づくように(上方に)傾斜している。傾斜ジッパー32Cは、ブランク5の状態で、補助折曲線30とは逆向きに傾斜している。傾斜ジッパー32Cは、前方から後方(上外フラップ14F側から上外フラップ14R側)に向かって端壁10を切断するように形成されている。
【0043】
(開封補助片の詳細な形状)
開封補助片22は、上内フラップ13に補助折曲線30を介して連設された第1補助片22Aと、第1補助片22Aに第2の補助折曲線31を介して連設された第2補助片22Bと、を有している。
【0044】
第1補助片22Aは、補助折曲線30と第2の補助折曲線31と一対の傾斜切目線32Aとで囲まれた範囲に形成されている。第1補助片22Aは、補助折曲線30から第2の補助折曲線31に向かって狭まる略台形状に形成されている。第2補助片22Bは、第2の補助折曲線31と傾斜ジッパー32Cと一対の平行切目線32Bとで囲まれた範囲に形成されている。第2補助片22Bは、第2の補助折曲線31から傾斜ジッパー32Cまで同一幅の略四角形状に形成されている。
【0045】
開封補助片22(第2補助片22B)には、中しん9Aを厚み方向に押し潰した段潰し部33が形成されている(図2図3ではハッチで示している。)。段潰し部33は、第2の補助折曲線31から第2折曲線L2を僅かに超えた辺りまでの範囲に形成されている。なお、段潰し部33は省略されてもよい。
【0046】
<逃し片>
図3に示すように、一対の逃し片23は、上外フラップ14Fの先端角部に形成されている。各逃し片23は、段方向に延びた逃し折曲線35(汎用罫線)を介して上外フラップ14Fに連設されている。詳細には、各逃し片23は、上外フラップ14Fの流れ方向外端から内側に向かって逃し切込線34(ジッパー)を入れ、上外フラップ14Fの段方向外端から逃し切込線34の終端まで逃し折曲線35を入れることで略四角形状に形成されている。各逃し片23の中央よりも僅かに流れ方向内側には、逃し折曲線35と平行に延びた逃し切目36が形成されている。また、各逃し片23の中しん9Aは、厚み方向に押し潰されている(図2図3ではハッチで示している。)。
【0047】
<第2の逃し片>
図2に示すように、一対の第2の逃し片24は、上外フラップ14Rの先端角部に形成されている。各第2の逃し片24は、第2の逃し折曲線37(汎用罫線)を介して上外フラップ14Rに連設されている。各第2の逃し片24は、上外フラップ14Rの流れ方向外端から段方向外端に向かって斜めに第2の逃し折曲線37を入れることで略三角形状に形成されている。各第2の逃し片24の中しん9Aは、厚み方向に押し潰されている(図2図3ではハッチで示している。)。
【0048】
<開封補助罫線>
一対の開封補助罫線25(汎用罫線)は、上外フラップ14Rの基端角部付近から先端に向かって互いに接近するように斜めに形成されている。
【0049】
[包装箱の封緘]
次に、図1を参照して、包装箱1の封緘手順(組立手順)について説明する。なお、包装箱1は、作業者によって手作業で組み立てられてもよいし、製函機によって自動または半自動で組み立てられてもよい。ここでは、一例として、作業者が包装箱1を組み立てる場合について説明する。また、端壁10と側壁11とは第1折曲線L1に沿って折り曲げられ、且つ継代片12は端壁10の内面に接着剤で接着されており、包装箱1は折り畳まれた状態であるものとする。
【0050】
まず、作業者は、一対の端壁10と一対の側壁11とを第1折曲線L1で略直角に折り曲げ、略角筒状の周壁1Wを形成する。この状態で、一対の端壁10は左右方向に対向して配置され、一対の側壁11は前後方向に対向して配置される。
【0051】
次に、作業者は、一対の下内フラップ15を第3折曲線L3で周壁1Wの内側に折り曲げた後、一対の下外フラップ16を第3折曲線L3で周壁1Wの内側に折り曲げる。この状態で、一対の下内フラップ15の先端部は、互いに離間している。一対の下内フラップ15は一対の端壁10の下端部から互いに接近するように延設される。一対の下外フラップ16は、一対の側壁11の下端部から互いに接近するように延設され、先端同士を突き合せた状態で一対の下内フラップ15に重ねられる。また、作業者は、一対の下外フラップ16の突き合せ部に沿って粘着テープTを貼り付ける。粘着テープTは、一対の下外フラップ16の突き合せ部から一対の端壁10の下部まで貼付される。
【0052】
以上によって、周壁1Wの下面開口が閉じられ、包装箱1の底面が形成される。作業者は、周壁1Wの上面開口から内部(底面上)に複数の物品(図示せず)を入れる。なお、物品を入れる際に、上方の各フラップ13,14が逆罫線L4で外側に折り曲げられてもよい。
【0053】
次に、作業者は、一対の上内フラップ13を第2折曲線L2で周壁1Wの内側に折り曲げた後、一対の上外フラップ14を第2折曲線L2で周壁1Wの内側に折り曲げる。この状態で、一対の上内フラップ13の先端部は、互いに離間している。一対の上内フラップ13は一対の端壁10の上端部から互いに接近するように延設される。一対の上外フラップ14は、一対の側壁11の上端部から互いに接近するように延設され、先端同士を突き合せた状態で一対の上内フラップ13に重ねられる。また、作業者は、開封開始線20を避けながら一対の上外フラップ14の突き合せ部に沿って粘着テープTを貼り付ける。粘着テープTは、一対の上外フラップ14の突き合せ部から一対の端壁10の上部まで貼付される。
【0054】
詳細には、粘着テープTは、開封開始線20(開封片26や開封折曲線27)を覆うことなく、且つ一対の開封切断線21の左右方向両外側を覆うように貼付される。つまり、開封開始線20に連続する一対の開封切断線21の左右方向内側は、粘着テープTに覆われることなく露出している。また、一対の逃し片23の逃し切込線34も、粘着テープTに覆われることなく露出している。さらに、粘着テープTの両端部は、一対の端壁10における一対の開封補助片22(第2補助片22B)に貼付される。傾斜ジッパー32Cは、粘着テープTに覆われることなく露出している。
【0055】
以上によって、周壁1Wの上面開口が閉じられ、包装箱1の天面が形成される。つまり、包装箱1は封緘された状態になる(図1参照)。この状態で、開封開始線20(開封片26)は、一対の上内フラップ13の間に対応して形成されている。開封片26の先端側は一対の上内フラップ13の先端部の間隔よりも僅かに幅広く形成され、開封片26の基端側は一対の上内フラップ13の先端部の間隔と略同じ幅に形成されている。また、上外フラップ14Fの一対の角部に形成された一対の逃し片23と、上外フラップ14Rの一対の角部に形成された一対の第2の逃し片24とは、開封補助片22(第1補助片22A)に重なっている。
【0056】
[包装箱の開封]
次に、図4ないし図9を参照して、包装箱1の開封手順について説明する。図4は包装箱1に開封口20Aを開けた状態を示す斜視図である。図5は包装箱1の開封途中を示す斜視図である。図6は包装箱1の開封途中の開封補助片22等を示す断面図である。図7は開封補助片22が立ち上げられた状態を示す斜視図である。図8は開封補助片22が立ち上げられた状態を拡大して示す斜視図である。図9は包装箱1を開封した状態を示す斜視図である。
【0057】
包装箱1は、開封構造17を用いて、粘着テープTを引きちぎることなく、一対の上外フラップ14を開くことで開封される。
【0058】
図4に示すように、ユーザは、開封片26を手(指)で押し込み、開封片26を開封開始線20に沿って切断しながら開封折曲線27で内部に折り曲げる。開封片26を押し込むことで、粘着テープTを避けた位置に開封口20Aが開口する。
【0059】
次に、図5に示すように、ユーザは、開封口20Aに手を入れ、開封折曲線27に沿った開封口20Aの縁部を把持し、前方の上外フラップ14Fの先端部を引き上げる。すると、上外フラップ14Fは、一対の開封切断線21に沿って切断される。また、粘着テープTは、一対の開封切断線21よりも左右方向両外側にて上外フラップ14Fから引き剥がされる。また、上外フラップ14Fの先端部は、粘着テープTで接続された後方の上外フラップ14Rと共に引き上げられる。この際、上外フラップ14Rが一対の開封補助罫線25に沿って山折りされて撓むため、上外フラップ14Fを一対の開封切断線21に沿って切断し易くすることができる。
【0060】
また、上外フラップ14Fの先端部と上外フラップ14R(以下、単に「上外フラップ14」ともいう。)とは、粘着テープTで一対の開封補助片22と接続されているため、上外フラップ14の引き上げに伴って、一対の開封補助片22には、粘着テープTを介して引き上げる力が作用する。なお、一対の開封補助片22の引き上げに伴う作用は同様であるため、以下、1つの開封補助片22の作用について説明する。
【0061】
図6に示すように、開封補助片22は、上外フラップ14Fの先端部と上外フラップ14Rとを引き上げる過程において、補助折曲線30に沿って谷折りされ、且つ第2の補助折曲線31に沿って山折りされる。詳細には、第1補助片22Aは、第2補助片22Bを持ち上げるように補助折曲線30に沿って上方に折れ曲がる。第2折曲線L2で折れていた第2補助片22Bは、平坦に戻りながら、内側に倒れるように傾斜ジッパー32Cに沿って折れ曲がる。つまり、第1補助片22Aと第2補助片22Bとが第2の補助折曲線31を頂点とする山型に折れ曲がる。
【0062】
この際、第2の補助折曲線31が、上方に突き出して一対の上外フラップ14の各逃し片23および各第2の逃し片24を押し上げる(図5および図6参照)。すると、各逃し片23は、逃し切込線34で上外フラップ14Fから切断され、逃し折曲線35または逃し切目36に沿って折れ曲がる(図5参照)。また、各第2の逃し片24は、第2の逃し折曲線37に沿って折れ曲がる(図6参照)。このように、各逃し片23と各第2の逃し片24とが上方に折れることで、第2の補助折曲線31の突き出しを許容することができる。
【0063】
図7に示すように、上外フラップ14と共に開封補助片22が更に引き上げられると、第2補助片22Bは、傾斜ジッパー32Cに沿って端壁10から切断される。この際、補助折曲線30は前方から後方に向かって左右方向外側に傾斜しているため、開封補助片22は後方に捩れながら立ち上げられる。このため、第2補助片22Bは、傾斜ジッパー32Cに沿って前方から後斜め上方に向かって順次切断される。
【0064】
端壁10から分離した第2補助片22Bが粘着テープTを介して上外フラップ14に引き上げられるため、開封補助片22は補助折曲線30を中心として跳ね上げられる。図8に示すように、この状態で、第2補助片22Bに貼付された粘着テープTは、内側に向けられるため、上外フラップ14から延びた粘着テープTと表面(粘着面の反対面)同士を対向させている。つまり、粘着テープTは、上外フラップ14の端部から延びた部分と第2補助片22Bに貼付された部分との境界で略V字状に屈曲している。
【0065】
ここで、仮に、上外フラップ14から延びた粘着テープTと第2補助片22Bに貼付された粘着テープTとが一直線上にある場合(図4および図5参照)、上外フラップ14を引き上げる力は、粘着テープTには粘着面と平行に作用するため、粘着テープTを容易に剥がすことはできない。
【0066】
ところが、図8に示すように、上外フラップ14の端部から延びた粘着テープTが、第2補助片22Bに貼り付く境界部分で屈曲していることで、上外フラップ14を引き上げる力は、粘着テープTの粘着面に交差する方向(粘着テープTを剥がす方向)に作用する。このため、図9に示すように、上外フラップ14の引き上げに伴って、粘着テープTの端部は、立ち上げられた第2補助片22B(開封補助片22)から引き剥がされる。なお、図9では、開封補助片22から剥がした粘着テープTを折り返して上外フラップ14の裏ライナ9Cに貼り付けている。
【0067】
以上のように、粘着テープTの両端部を一対の開封補助片22から引き剥がすことによって、粘着テープTを一切千切る(切断する)ことなく、包装箱1が開封される(図9参照)。ユーザは、開封した包装箱1から収容された物品を取り出す。
【0068】
以上説明した第1実施形態に係る包装箱1では、開封開始線20および開封切断線21に沿って切断された前方の上外フラップ14Fの先端部が、粘着テープTで接続された後方の上外フラップ14Rと共に引き上げられる構成とした(図5参照)。この構成によれば、一対の上外フラップ14の突き合せ部に沿って粘着テープTを切断することなく、粘着テープTが貼り付けられたまま上外フラップ14を引き上げることができる。
【0069】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、一対の開封補助片22は粘着テープTを介して上外フラップ14に接続されているため、補助切断線32に沿って切断された開封補助片22は、補助折曲線30に沿って折れながら立ち上げられる(図7参照)。この状態で、上外フラップ14の端部から延びた粘着テープTは、略V字状に屈曲して開封補助片22に貼付されていた(図8参照)。この構成によれば、上外フラップ14の引き上げ力が粘着テープTの粘着面に交差する方向に作用するため、当該引き上げ力によって粘着テープTを開封補助片22から引き剥がすことができる。
【0070】
以上のように、包装箱1の開封に際して、一対の上外フラップ14の突き合せ部に沿って粘着テープTを切断したり、粘着テープTを幅方向に引きちぎったりする必要が無くなるため、包装箱1を簡単に開封することができる。
【0071】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、上外フラップ14を引き上げる過程にて、開封補助片22が、補助折曲線30に沿って谷折りされ、且つ第2の補助折曲線31に沿って山折りされることで補助切断線32(傾斜ジッパー32C)に沿って切断された後、補助折曲線30に沿って谷折りされながら立ち上げられる構成とした(図6参照)。この構成によれば、上外フラップ14の引き上げと、開封補助片22の切断から立ち上げまでを連動させることができる。これにより、ユーザが開封口20Aに手を入れて上外フラップ14を掴んで引き上げることで、開封補助片22を端壁10等から自動的に切断し、且つ自動的に立ち上げることができる。
【0072】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、端壁10にて横方向に延びた補助切断線32の一辺(傾斜ジッパー32C)が、前方から後方に向かって上り勾配に形成され、前方から後方に向かって端壁10を切断する機能を有していた(図5等参照)。この構成によれば、前方の上外フラップ14Fの引き上げに連動して、端壁10を傾斜ジッパー32Cに沿って前方から後方に向かって順次切断することができる。これにより、仮に、水平に延びた補助切断線32の一辺に沿って端壁10を一度に切断する場合に比べて、小さな力で端壁10を切断することができる。
【0073】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、開封補助片22が、傾斜した補助折曲線30に沿って捩れながら立ち上げられる構成とした。この構成によれば、開封補助片22は前方から後方に向かって順次端壁10等から分断されるため、仮に、開封補助片22を真上に立ち上げる場合に比べて、開封補助片22の立ち上げに係る力(補助切断線32に沿った切断に係る力)を小さくすることができる。
【0074】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、開封補助片22は、(主に)端壁10に形成された部分(第2補助片22B)よりも上内フラップ13に形成された部分(第1補助片22A)の方が前後方向に幅広く形成されていた(図3等参照)。この構成によれば、開封補助片22を立ち上げたときにできる穴は、端壁10側よりも上内フラップ13側の方が幅広くなるため、立ち上げた第2補助片22Bが上内フラップ13側の穴(第1補助片22Aが立ち上がることで開口した穴)の縁部に引っ掛かることを抑制することができる。これにより、開封補助片22を円滑に立ち上げることができる。
【0075】
また、第1実施形態に係る包装箱1によれば、開封切断線21は上外フラップ14Fの端部まで延びていないため(図2等参照)、包装箱1の開封時に粘着テープTを上外フラップ14Fの端部から剥がすことができる。これにより、上外フラップ14Fの端部で粘着テープTが切断されることを予防することができる。また、一方の上外フラップ14の角部に形成された逃し片23が開封補助片22の立ち上げに伴って逃し折曲線35に沿って折れながら押し上げられるため、開封補助片22の立ち上がりを阻害することがない。これにより、上外フラップ14の引き上げに伴って開封補助片22を円滑に立ち上げることができる。
【0076】
また、第1実施形態に係る包装箱1によれば、後方の上外フラップ14Rの角部に形成された第2の逃し片24が開封補助片22の立ち上げに伴って第2の逃し折曲線37に沿って折れながら押し上げられるため、開封補助片22の立ち上がりを阻害することがない。これにより、上外フラップ14の引き上げに伴って、開封補助片22を円滑に立ち上げることができる。
【0077】
また、第1実施形態に係る包装箱1によれば、逃し片23および第2の逃し片24が段潰しされてコシ(剛性)を弱められているため、各逃し片23,24の端部で粘着テープTが切断されることを抑制することができる。
【0078】
[包装箱の再封緘]
ところで、開封した包装箱1から複数の物品の一部を取り出し、残りの物品を包装箱1に収容した状態で保管したい場合がある。この包装箱1は、開封した後に簡易的に再封緘するための構造を備えている。
【0079】
図10を参照して、開封した包装箱1を再封緘する手順について説明する。図10は包装箱1を再封緘した状態示す斜視図である。
【0080】
包装箱1が開封された状態において、ユーザは、開封口20Aを有する上外フラップ14Fを第2折曲線L2で周壁1Wの内側に折り曲げた後、一対の上内フラップ13を第2折曲線L2で周壁1Wの内側に折り曲げる。続いて、ユーザは、上外フラップ14Rを第2折曲線L2で周壁1Wの内側に折り曲げる。この状態で、一対の上内フラップ13が開封口20Aを有する上外フラップ14F上に重ねられ、開封片26を有する上外フラップ14Fおよび上外フラップ14Rが一対の上内フラップ13上に重ねられている。
【0081】
次に、ユーザは、開封片26を、開封口20Aと一対の上内フラップ13とで囲まれた開口部20Bに差し込む。開封片26は、開口部20Bに差し込まれて一対の上内フラップ13の先端部に係合する。具体的には、開封片26の先端部が開封口20Aに差し込まれて一対の上内フラップ13の裏面に接触し、開封片26の根本部分(開封開始線20と一対の開封切断線21との屈曲部分)が一対の上内フラップ13の先端部に噛み合っている。
【0082】
以上によって、開封された包装箱1が簡易的に再封緘された状態になる。
【0083】
以上説明した第1実施形態に係る包装箱1では、開封後に、開封口20A側の切断された上外フラップ14、一対の上内フラップ13、残りの上外フラップ14が、この順番に重ねられ、開封片26が開口部20Bに差し込まれて一対の上内フラップ13の先端部に係合する構成とした。この構成によれば、包装箱1の開封時に使用した開封口20Aや開封片26を利用して、包装箱1を再封緘することができる。なお、開封片26に代えて、開封片26を有する上外フラップの一部が開口部20Bに差し込まれて一対の上内フラップ13の先端部に係合する構成としてもよい(図示せず)。
【0084】
なお、第1実施形態に係る包装箱1では、開封切断線21が、上外フラップ14Fの流れ方向両端まで延びていなかったが、これに限らず、上外フラップ14Fの流れ方向両端まで延びていてもよい。
【0085】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、前方の上外フラップ14Fに逃し片23が形成され、後方の上外フラップ14Rに第2の逃し片24および開封補助罫線25が形成されていたが、これに限らず、逃し片23、第2の逃し片24および開封補助罫線25は省略されてもよい。また、逃し片23および第2の逃し片24は、段潰しされていたが、これに限らず、段潰しされていなくてもよい。
【0086】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、上外フラップ14を引き上げる過程で、開封補助片22が、補助折曲線30で谷折り、第2の補助折曲線31で山折りされていたが、本発明はこれに限定されない。実際には、開封補助片22が補助折曲線30および第2の補助折曲線31で谷折りされるか、山折りされるかを制御することは難しいため、開封補助片22は、補助折曲線30で山折りされる場合もあるし、第2の補助折曲線31で谷折りされる場合もある(図示せず)。すなわち、開封補助片22は、上外フラップ14を引き上げる過程において、補助折曲線30に沿って谷折りまたは山折りされ、且つ第2の補助折曲線31に沿って谷折りまたは山折りされることで補助切断線32に沿って切断される。そして、切断された開封補助片22は、補助折曲線30に沿って谷折りされながら立ち上げられることになる。
【0087】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、開封補助片22に第2の補助折曲線31を形成するために、逆罫線L4が各上内フラップ13および各上外フラップ14の流れ方向全域に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。逆罫線L4は、上方のフラップ13,14の流れ方向全域に形成されなくてもよく、開封補助片22にだけに形成されてもよい。
【0088】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、開封折曲線27や補助折曲線30はリード罫線であり、第2の補助折曲線31は逆リード罫線であったが、本発明はこれに限定されない。開封折曲線27、補助折曲線30および第2の補助折曲線31等、その他の各折曲線は、汎用罫線、逆罫線またはミシン刃線等、段ボールシートを折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0089】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、開封補助片22の補助折曲線30が傾斜していたが、これに限らず、補助折曲線30は、第2折曲線L2や第2の補助折曲線31と略平行に形成されてもよい。これと同様に、傾斜ジッパー32Cは、第2折曲線L2と略平行に形成されてもよい。
【0090】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、開封補助片22の補助切断線32が、連続的に切断された切目(傾斜切目線32A、平行切目線32B)と傾斜ジッパー32Cとで形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、補助切断線32の全部がジッパーで形成されてもよい。
【0091】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、第1補助片22Aが第2補助片22Bよりも前後方向に幅広く形成されていたが、これに限らず、第1補助片22Aと第2補助片22Bとが前後方向に略同一幅で形成されてもよい。
【0092】
[第2実施形態]
次に、図11ないし図13を参照して、第2実施形態に係る包装箱2の構成について説明する。図11は包装箱2を示す斜視図である。図12は包装箱2のブランク6を示す平面図である。図13はブランク2の一部を拡大して示す平面図である。なお、以下の説明では、第1実施形態に係る包装箱1と同一または対応する構成には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0093】
第2実施形態では、包装箱2を開封するための開封構造18が、第1実施形態に係る包装箱1の開封構造17と異なっている。
【0094】
[開封構造]
図11および図12に示すように、開封構造18は、開封開始線40と、一対の開封切断線41と、一対の開封補助片42と、一対の開封補助罫線25と、を含んでいる。開封開始線40および一対の開封切断線41は、前方の上外フラップ14Fに形成されている。各開封補助片42は、端壁10から上内フラップ13に亘って形成されている。一対の開封補助罫線25は、後方の上外フラップ14Rに形成されている。
【0095】
<開封開始線>
図12および図13に示すように、開封開始線40は、上外フラップ14Fの流れ方向略中央付近にて円弧状に形成されたジッパーである。開封開始線40は、流れ方向中央から外側に向かって上外フラップ14Fの一部を切断する機能を有している。開封開始線40に囲まれた略三日月状(または略半円形状)の開封片46を開封開始線40に沿って切断することで、開封口40Aが上外フラップ14Fに形成される(図14参照)。開封片46は、開封開始線40の両端部の間に形成された開封折曲線47(汎用罫線)を介して上外フラップ14Fの先端側に連設されている。なお、上外フラップ14Fの開封折曲線47よりも先端側には、段方向に延びた帯状の段潰し部43が形成されている。この段潰し部43は省略されてもよい。
【0096】
<開封切断線>
一対の開封切断線41は、開封開始線40の両端部から流れ方向外側に延びたジッパーである。一対の開封切断線41の流れ方向内側は、開封開始線40の両端部からクランク状に屈曲している。一対の開封切断線41は、開封開始線40の両端部から流れ方向外側に向かって僅かに上外フラップ14Fの先端側に傾斜しながら上外フラップ14Fの流れ方向両端まで延びている。開封切断線41は、流れ方向中央側から外側に向かって上外フラップ14Fを切断する機能を有している。
【0097】
<開封補助片>
図13に示すように、一対の開封補助片42は、各々の上内フラップ13に補助折曲線30を介して連設されている。一対の開封補助片42は、各々の補助折曲線30の両端部から端壁10までに亘って形成された補助切断線52によって区画されている。各開封補助片42(補助切断線52)は、上内フラップ13上の補助折曲線30から端壁10に向かって延びた略舌状に形成されている。なお、一対の開封補助片42は左右対称形状であるため、以下、1つの開封補助片42について説明する。また、開封補助片42には、第2の補助折曲線31は形成されていない。
【0098】
(補助切断線)
補助切断線52は、補助折曲線30の一端部(前端部)から第2折曲線L2までの間に形成された傾斜切目線52Aと、補助折曲線30の他端部(後端部)と傾斜切目線52Aの先端部とを結び、且つ端壁10まで延びた補助ジッパー52Bと、を含んでいる。
【0099】
傾斜切目線52Aは、補助折曲線30の前端部から前方に向かって傾斜した切目である。補助ジッパー52Bは、第2折曲線L2から下方に向かって流れ方向に狭くなる略台形状に形成されたジッパーである。補助ジッパー52Bは、流れ方向中央下部から外側上部に向かって端壁10を切断する機能を有している。
【0100】
(開封補助片の詳細な形状)
開封補助片42は、上内フラップ13に補助折曲線30を介して連設された第1補助片42Aと、第1補助片42Aに第2折曲線L2を介して連設された第2補助片42Bと、を有している。
【0101】
第1補助片42Aは、補助折曲線30と第2折曲線L2と傾斜切目線52Aとで囲まれた範囲に略三角形状に形成されている。第2補助片42Bは、第2折曲線L2と補助ジッパー52Bとで囲まれた範囲に略台形状に形成されている。
【0102】
なお、図12および図13に示すように、一対の上内フラップ13には、開封片46を有する上外フラップ14Fの一部の左右方向両端部が係合する一対の切込線53が形成されている。一対の切込線53は、上内フラップ13の先端部から基端部に向かって上外フラップ14F(前方)に傾斜したスリットである。また、一対の上内フラップ13には、一対の切込線53の終端から流れ方向に延びた一対の揺動折曲線54(リード罫線)が形成されている。
【0103】
以上説明したブランク6から包装箱2が組み立てられる。包装箱2の組立手順(封緘手順)は、第1実施形態に係る包装箱1の組立手順と同様であるため、その説明は省略する。
【0104】
[包装箱の開封]
次に、図14ないし図17を参照して、包装箱2の開封手順について説明する。図14は包装箱2に開封口40A等を開けた状態を示す斜視図である。図15は包装箱2の開封途中を示す斜視図である。図16は包装箱2の開封補助片42が立ち上げられた状態を拡大して示す斜視図である。図17は包装箱2を開封した状態を示す斜視図である。
【0105】
図14に示すように、ユーザは、一対の開封補助片42(第2補助片42B)を手(指)で押し込み、第2補助片42Bを補助ジッパー52Bに沿って切断しながら第2折曲線L2で内部に折り曲げる。次に、ユーザは、開封片46を手(指)で押し込み、開封片46を開封開始線40に沿って切断しながら開封折曲線47で内部に折り曲げる。次に、図15に示すように、ユーザは、開封片46を押し込んでできた開封口40Aに手を入れて縁部を把持し、前方の上外フラップ14Fの先端部を引き上げる。すると、上外フラップ14Fは、段潰し部43で山折りされながら一対の開封切断線41に沿って切断される。開封切断線41等で切断された上外フラップ14Fの先端部は、粘着テープTで接続された後方の上外フラップ14Rと共に引き上げられる。
【0106】
また、図15および図16に示すように、開封補助片42は、上外フラップ14Fの先端部と上外フラップ14Rとを引き上げる過程で、補助折曲線30に沿って谷折りされながら立ち上げられる。詳細には、第1補助片42Aは、第2補助片42Bを持ち上げるように補助折曲線30に沿って上方に折れ曲がり、第2折曲線L2で折れていた第2補助片42Bは、平坦に戻りながら跳ね上げられる。すると、開封補助片42全体が補助折曲線30から立ち上げられた状態になる(図16参照)。
【0107】
この状態で、粘着テープTは、上外フラップ14の端部から延びた部分と第2補助片42Bに貼付された部分との境界で略V字状に屈曲している(図16参照)。上外フラップ14を引き上げる力は、粘着テープTの粘着面に交差する方向(粘着テープTを剥がす方向)に作用するため、上外フラップ14の引き上げに伴って、粘着テープTの端部は、立ち上げられた第2補助片42B(開封補助片42)から引き剥がされる(図17参照)。
【0108】
以上説明した第2実施形態に係る包装箱2では、開封補助片42が、補助切断線52に沿って切断された後に、上外フラップ14の引き上げに伴って立ち上げられる構成とした。この構成によれば、上外フラップ14の引き上げに伴って、立ち上げられた開封補助片42に貼付された粘着テープTを引き剥がすことができる等、第1実施形態に係る包装箱1と同様の作用、効果を得ることができる。
【0109】
[包装箱の再封緘]
次に、図18を参照して、開封した包装箱2を再封緘する手順について説明する。図18は包装箱2を再封緘した状態示す斜視図である。
【0110】
第1実施形態に係る包装箱1の再封緘と同様に、ユーザは、一対の上内フラップ13を、開封口40Aを有する上外フラップ14F上に重ね、開封片46を有する上外フラップ14Fおよび上外フラップ14Rを一対の上内フラップ13上に重ねる。
【0111】
次に、ユーザは、開封片46およびこれに連なる上外フラップ14Fの一部を、開封口40Aと一対の上内フラップ13とで囲まれた開口部40Bに差し込む。詳細には、開封片46に連なる上外フラップ14Fの一部は、一対の上内フラップ13の一部を揺動折曲線54で下方に折り曲げながら開口部40Bに進入し、一対の上内フラップ13の一部を乗り越え、その裏面に接触する。また、開封片46に連なる上外フラップ14Fの左右方向両端部は、一対の上内フラップ13に形成された切込線53に噛み込まれる。
【0112】
以上によって、開封された包装箱2が簡易的に再封緘された状態になる。
【0113】
以上説明した第2実施形態に係る包装箱2によれば、上外フラップ14Fの左右方向両端部を一対の切込線53に確りと噛み合わせることができる。これにより、包装箱2を再封緘した状態を保持することができる。なお、上外フラップ14Fの左右方向両端部に代えて、開封片46を一対の切込線53に噛み込ませる構成としてもよい。また、上内フラップ13から切込線53を省略し、第1実施形態に係る包装箱1と同様に、開封片46またはこれを有する上外フラップの一部が開口部40Bに差し込まれて一対の上内フラップ13の先端部に係合する構成としてもよい(図示せず)。
【0114】
なお、第2実施形態に係る包装箱2では、開封切断線41が、上外フラップ14Fの流れ方向両端まで延びていたが、これに限らず、第1実施形態に係る包装箱1の開封切断線21と同様に、上外フラップ14Fの流れ方向両端まで延びていなくてもよい。
【0115】
また、第2実施形態に係る包装箱2では、開封折曲線47は汎用罫線であり、補助折曲線30はリード罫線であったが、本発明はこれに限定されない。開封折曲線47および補助折曲線30等の各折曲線は、段ボールシートを折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0116】
また、第2実施形態に係る包装箱2では、開封補助片42の補助折曲線30が傾斜していたが、これに限らず、補助折曲線30は、第2折曲線L2と略平行に形成されてもよい。
【0117】
また、第2実施形態に係る包装箱2では、開封補助片42の補助切断線52が、連続的に切断された切目(傾斜切目線52A)と補助ジッパー52Bとで形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、補助切断線52の全部がジッパーで形成されてもよい。
【0118】
また、第2実施形態に係る包装箱2では、第1補助片42Aが、略三角形状に形成されていたが、第1実施形態に係る包装箱1の第1補助片22Aと同様に、第2補助片42Bよりも前後方向に幅広い略台形状に形成されてもよい。
【0119】
なお、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、一対の開封切断線21,41が、開封開始線20,40の両端部から左右方向外側に向かって延びていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、開封開始線20,40が上外フラップ14Fの左側(または右側)にずれた位置に形成され、1つの開封切断線21,41が開封開始線20,40の右端部(または左端部)から右方向(または左方向)に沿って延びていてもよい(図示せず)。
【0120】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、開封構造17,18が上方の各フラップ13,14等に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、開封構造17,18は、上下両方の各フラップ13~16等に形成されてもよい。
【0121】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、開封開始線20,40、開封切断線21,41および補助切断線32,52の一部(傾斜ジッパー32C、補助ジッパー52B)がジッパーであったが、これに限らず、これらの線は、ミシン線等、段ボールシートを切断するための線であれば如何なるものでもよい。
【0122】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2は、所謂A式の段ボール箱であったが、本発明はこれに限定されない。包装箱1,2の少なくとも上面が各フラップ13,14で閉じられる形式の箱であればよく、例えば、包装箱の底面は、アメリカンロック等の組底であってもよいし、一枚の板で形成されてもよい。
【0123】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2は、紙製の両面段ボールシートで形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、段ボールシートは、中しん9Aの片面にライナを貼り付けた片面段ボールシートであってもよいし、片面段ボールシートを両面段ボールシートに貼り合せた複両面段ボールシートであってもよい。また、例えば、包装箱1,2は、紙製の段ボールシートに代えて、厚紙や樹脂製の板等で形成されていてもよい。
【0124】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る包装箱における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0125】
1,2 包装箱
9A 中しん
9B 表ライナ(ライナ)
9C 裏ライナ(ライナ)
10 端壁
11 側壁
13 上内フラップ(内フラップ)
14 上外フラップ(外フラップ)
20,40 開封開始線
20A,40A 開封口
20B,40B 開口部
21,41 開封切断線
22,42 開封補助片
23 逃し片
24 第2の逃し片
26,46 開封片
30 補助折曲線
31 第2の補助折曲線
32,52 補助切断線
32C 傾斜ジッパー(補助切断線の一辺)
35 逃し折曲線
37 第2の逃し折曲線
53 切込線
T 粘着テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20