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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】血圧測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
A61B5/022 300F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018204204
(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公開番号】P2020068993
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】西田 知之
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴史
(72)【発明者】
【氏名】田原 知里
(72)【発明者】
【氏名】有馬 悠一郎
(72)【発明者】
【氏名】永野 敬太郎
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-102859(JP,A)
【文献】国際公開第2007/074589(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/080299(WO,A1)
【文献】特表2018-521761(JP,A)
【文献】特開昭60-126138(JP,A)
【文献】国際公開第2016/101888(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の外郭ケースを含むケースを備え、
生体の装着する部位の周方向に倣って湾曲し、厚み方向に前記外郭ケースの一端に並ぶ第1対向部を有するカーラと、
樹脂材料で形成された二枚のシート部材で形成され、流体により膨張し、前記カーラ側に配置される前記シート部材の前記第1対向部に対向する第2対向部が、他の部位よりも幅方向に広いカフと、
を備える血圧測定装置。
【請求項2】
前記第1対向部は、前記カーラの他の部位よりも幅方向に広い形状に構成される、請求項1に記載の血圧測定装置。
【請求項3】
前記第2対向部の、前記他の部位よりも前記幅方向に突出する部分を前記第1対向部との間に狭持するカバー部材を備える、請求項2に記載の血圧測定装置。
【請求項4】
前記カバー部材は、突部を有し、
前記第2対向部は、前記突部の一部を配置する孔を有し、
前記第1対向部は、前記突部の一部が嵌合する嵌合部を有する
請求項3に記載の血圧測定装置。
【請求項5】
前記ケースは、前記外郭ケースの前記一端を覆う裏蓋を備え、
第1対向部は、前記裏蓋に接続される
請求項1に記載の血圧測定装置。
【請求項6】
前記第1対向部は、前記外郭ケースの前記一端を覆う
請求項2に記載の血圧測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧を測定する血圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧の測定に用いる血圧測定装置は、医療設備においてのみならず、家庭内においても、健康状態を確認する手段として利用されている。血圧測定装置は、例えば、生体の上腕又は手首等に巻き付けたカフを膨張及び収縮させ、圧力センサによりカフの圧力を検出することで、動脈壁の振動を検出して血圧を測定する。
【0003】
このような血圧測定装置として、例えば、カフとカフに流体を供給する装置本体とが一体に構成された所謂一体型と呼ばれるものが知られている。このような血圧測定装置は、カフに皺や折れ等が発生すると、測定した血圧測定結果の精度が低下する、という問題がある。また、血圧測定装置は、血管の圧閉方向にカフが膨張し、カフが手首に密着することが求められる。
【0004】
そこで、血圧測定装置は、膨張したカフを上腕や手首に密着させるために、ベルトとカフの間にカーラを用いる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような血圧測定装置は、カーラにカフを、例えば、両面テープ等の接着層により接着して固定させることで、カーラにカフを一体に構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-102743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した血圧測定装置は、カフ及びカーラの接合強度を向上することが求められている。この為、カフやカーラに設ける接合代を大きくすることで、接合強度を向上することが考えられる。
【0007】
しかしながら、上述した血圧測定装置は、昨今、手首に装着するウェアラブルデバイスも考えられている。この為、カフやカーラに設ける接合代を大きくすることで、血圧測定装置が大型化することは好ましくない。
【0008】
そこで本発明は、血圧測定装置の大型化を防止しつつ、カフとカーラの接合強度を向上可能な血圧測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様によれば、筒状の外郭ケースを含むケースと、生体の装着する部位の周方向に倣って湾曲し、厚み方向に前記外郭ケースの一端に並ぶ第1対向部を有するカーラと、樹脂材料で形成された二枚のシート部材で形成され、流体により膨張し、前記カーラ側に配置される前記シート部材の前記第1対向部に対向する第2対向部が、他の部位よりも幅方向に広いカフと、を備える血圧測定装置が提供される。
【0010】
ここで、流体とは、液体及び空気を含む。
【0011】
この態様によれば、カフの、幅方向に広い第2対向部をカーラに接合することで接合代が増えるので、カフ及びカーラの接合強度を向上できる。
上記一態様の血圧測定装置において、前記第1対向部は、前記カーラの他の部位よりも幅方向に広い形状に構成される、血圧測定装置が提供される。
この態様によれば、カーラにおいて接合面積を増加する第1対向部を、外郭ケースの端部に厚み方向に対向する領域とすることで、接合面積を増加することによる血圧測定装置の大型化を防止できる。すなわち、カーラの第1対向部、及びカフの第2対向部が、外郭ケースに厚み方向に並ぶので、血圧測定装置1の外観が、第1対向部及び第2対向部により大きく変化することがない。このように、血圧測定装置の大型化を防止できる。
【0012】
上記一態様の血圧測定装置において、前記第2対向部の、前記他の部位よりも前記幅方向に突出する部分を前記第1対向部との間に狭持するカバー部材を備える、血圧測定装置が提供される。
【0013】
この構成によれば、カフは、カーラに対する直接接合、及び、カバー部材を介したカーラに対する間接接合により接合される。この為、カフ及びカーラの接合強度を向上できる。
【0014】
上記一態様の血圧測定装置において、前記カバー部材は、突部を有し、前記第2対向部は、前記突部の一部を配置する孔を有し、前記第1対向部は、前記突部の一部が嵌合する嵌合部を有する、血圧測定装置が提供される。
【0015】
この態様によれば、カバー部材の突部が、カーラの孔に嵌ることで、カバー部材及びカーラの固定強度が向上するので、カフ及びカーラの接合強度が向上する。
【0016】
上記一態様の血圧測定装置において、前記ケースは、前記外郭ケースの前記一端を覆う裏蓋を備え、前記第1対向部は、前記裏蓋に接続される、血圧測定装置が提供される。
【0017】
この態様によれば、ケースの組み立てを、カーラに対して独立して行うことが可能となるので、血圧測定装置の製造の自由度が向上する。
【0018】
上記一態様の血圧測定装置において、前記第1対向部は、前記外郭ケースの前記一端を覆う、血圧測定装置が提供される。
【0019】
この態様によれば、カーラが、外郭ケースの裏蓋を兼ねることから、血圧測定装置の部品数を削減できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、カフとカーラの接合強度を向上可能な血圧測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
図2】同血圧測定装置の構成を示す斜視図。
図3】同血圧測定装置の構成を分解して示す斜視図。
図4】同血圧測定装置を手首に装着した状態を示す説明図。
図5】同血圧測定装置の構成を示すブロック図。
図6】同血圧測定装置の装置本体及びカーラの構成を示す斜視図。
図7】同血圧測定装置のカフ構造体の構成を示す平面図。
図8】同血圧測定装置のカフ構造体の他の構成を示す平面図。
図9】同血圧測定装置のベルト、カーラ、カフ構造体の構成を示す断面図。
図10】同血圧測定装置のカーラ、カフ構造体の構成を示す断面図。
図11】同血圧測定装置の甲カフの第18シート部材の構成を示す平面図。
図12】同血圧測定装置のカーラ、カフ構造体の構成を示す断面図。
図13】同血圧測定装置を手首に装着した状態で、カフ構造体を膨張させたときの構成を示す説明図。
図14】同血圧測定装置を手首に装着した状態で、カフ構造体を膨張させたときの構成を示す断面図。
図15】同血圧測定装置の使用の一例を示す流れ図。
図16】同血圧測定装置を手首に装着する一例を示す斜視図。
図17】同血圧測定装置を手首に装着する一例を示す斜視図。
図18】同血圧測定装置を手首に装着する一例を示す斜視図。
図19】本発明の第2の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
図20】同血圧測定装置の構成を示す断面図。
図21】第3の実施形態に係る血圧測定装置の要部の構成を示す下面図。
図22】同要部の構成を示す断面図。
図23】第3の実施形態に係る血圧測定装置の変形例の要部の構成を示す断面図。
図24】第3の実施形態に係る血圧測定装置の変形例の構成を手首側から見た下面図。
図25】同要部の構成を示す断面図。
図26】第3の実施形態に係る血圧測定装置の変形例の要部の構成を手首側から見た下面図。
図27】同要部の構成を示す断面図。
図28】第3の実施形態に係る血圧測定装置の変形例の要部の構成を手首側から見た下面図。
図29】同要部の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る血圧測定装置1の一例について、図1乃至図18を用いて以下例示する。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る血圧測定装置1の構成を、ベルト4を閉じた状態で示す斜視図である。図2は、血圧測定装置1の構成を、ベルト4を開いた状態で示す斜視図である。図3は、血圧測定装置1の構成を示す分解斜視図である。図4は、血圧測定装置1を手首200に装着した状態を断面で示す説明図である。図5は、血圧測定装置1の構成を示すブロック図である。図6は、血圧測定装置1の装置本体3及びカーラ5の構成を示す斜視図である。図7は、血圧測定装置1のカフ構造体6の構成を示す平面図である。図8は、血圧測定装置1のカフ構造体6の他の構成を示す平面図である。図9は、血圧測定装置1の平カフ71側における、ベルト4、カーラ5及びカフ構造体6の構成を図7中IX-IX線断面で示す断面図である。図10は、血圧測定装置1の甲カフ74側における、カーラ5及びカフ構造体6の構成を示す断面図である。図11は、血圧測定装置1の甲カフ74の第18シート部材106lの構成を示す平面図である。図12は、血圧測定装置1の甲カフ74側における、カーラ5及びチューブ92を省略したカフ構造体6の構成を図7中XII-XII線断面で示す断面図である。図13は、血圧測定装置1を手首200に装着した状態で、カフ構造体6を膨張させたときの構成を示す説明図である。図14は、血圧測定装置1を手首に装着した状態で、カフ構造体6を膨張させたときの構成を図7中XIV-XIV線断面で示す断面図である。
【0024】
血圧測定装置1は、生体に装着する電子血圧測定装置である。本実施形態においては、生体の手首200に装着するウェアラブルデバイスの態様をもつ電子血圧測定装置を用いて説明する。
【0025】
図1乃至図3に示すように、血圧測定装置1は、装置本体3と、手首に装置本体3を固定するベルト4と、ベルト4及び手首の間に配置されるカーラ5と、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74を有するカフ構造体6と、装置本体3及びカフ構造体6を流体的に接続する流体回路7と、カーラ5及びカフ構造体6を接合する接合部材8と、を備えている。
【0026】
図1乃至図5に示すように、装置本体3は、例えば、ケース11と、表示部12と、操作部13と、ポンプ14と、流路部15と、開閉弁16と、圧力センサ17と、電力供給部18と、振動モータ19と、制御基板20と、を備えている。装置本体3は、ポンプ14、開閉弁16、圧力センサ17及び制御基板20等によって、カフ構造体6に流体を供給する。
【0027】
図1乃至図3に示すようにケース11は、外郭ケース31と、外郭ケース31の上部開口を覆う風防32と、外郭ケース31の内部の下方に設けられた基部33と、外郭ケース31の下方を覆う裏蓋35と、を備えている。
【0028】
外郭ケース31は、円筒状に形成される。外郭ケース31は、外周面の周方向で対称位置にそれぞれ設けられた一対のラグ31aと、2つの一対のラグ31a間にそれぞれ設けられるバネ棒31bと、を備えている。風防32は、例えば、円形状のガラス板である。
【0029】
基部33は、表示部12、操作部13、ポンプ14、開閉弁16、圧力センサ17、電力供給部18、振動モータ19及び制御基板20を保持する。また、基部33は、例えば、ポンプ14及びカフ構造体6を流体的に連続する流路部15の一部を構成する。
【0030】
裏蓋35は、外郭ケース31の生体側の端部を覆う。裏蓋35は、例えば4つのビス35a等によって外郭ケース31又は基部33の生体側の端部に固定される。裏蓋35の裏面35bの面形状は、外郭ケース31が円筒状に形成されることから、円形状に構成される。また、裏蓋35の径は、外郭ケース31の径よりも小さい。換言すると、裏蓋35の、カーラ5の幅方向に沿う長さは、外郭ケース31の、カーラ5の幅方向に沿う長さよりも短い。
【0031】
表示部12は、外郭ケース31の基部33上であって、且つ、風防32の直下に配置される。表示部12は、電気的に制御基板20に接続される。表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。表示部12は、日時や最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数等の測定結果を含む各種情報を表示する。
【0032】
操作部13は、使用者からの指令を入力可能に構成される。例えば、操作部13は、図5に示すように、ケース11に設けられた複数の釦41と、釦41の操作を検出するセンサ42と、表示部12又は風防32に設けられたタッチパネル43と、を備える。操作部13は、使用者が操作することで、指令を電気信号に変換する。センサ42及びタッチパネル43は、電気的に制御基板20に接続され、電気信号を制御基板20へ出力する。
【0033】
複数の釦41は、例えば3つ設けられる。釦41は、基部33に支持されるとともに、外郭ケース31の外周面から突出する。複数の釦41及び複数のセンサ42は、基部33に支持される。タッチパネル43は、例えば、風防32に一体に設けられる。
【0034】
ポンプ14は、例えば圧電ポンプである。ポンプ14は、空気を圧縮し、流路部15を介して圧縮空気をカフ構造体6に供給する。ポンプ14は、電気的に制御基板20に接続される。
【0035】
流路部15は、図5に示すように、ポンプ14から平カフ71及び甲カフ74へつながる流路、及び、ポンプ14からセンシングカフ73へつながる流路を構成する。また、流路部15は、平カフ71及び甲カフ74から大気へつながる流路、及び、センシングカフ73から大気へつながる流路を構成する。流路部15は、基部33等に設けられた中空部、溝及びチューブ等により構成された空気の流路である。
【0036】
開閉弁16は、流路部15の一部を開閉する。開閉弁16は、例えば、図5に示すように、複数設けられ、各開閉弁16の開閉の組み合わせによりポンプ14から平カフ71及び甲カフ74へつながる流路、ポンプ14からセンシングカフ73へつながる流路、平カフ71及び甲カフ74から大気へつながる流路、及び、センシングカフ73から大気へつながる流路を選択的に開閉する。例えば、開閉弁16は、2つ用いられる。
【0037】
圧力センサ17は、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74の圧力を検出する。圧力センサ17は、電気的に制御基板20に接続される。圧力センサ17は、検出した圧力を電気信号に変換し、制御基板20へ出力する。圧力センサ17は、例えば、図5に示すように、ポンプ14から平カフ71及び甲カフ74へつながる流路、及び、ポンプ14からセンシングカフ73へつながる流路に設けられる。これらの流路は平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74と連続することから、これら流路内の圧力が平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74の内部空間の圧力となる。
【0038】
電力供給部18は、例えば、リチウムイオンバッテリ等の二次電池である。電力供給部18は、制御基板20に電気的に接続される。電力供給部18は、制御基板20に電力を供給する。
【0039】
図5及び図6に示すように、制御基板20は、例えば、基板51と、加速度センサ52と、通信部53と、記憶部54と、制御部55と、を備えている。制御基板20は、加速度センサ52、通信部53、記憶部54及び制御部55が基板51に実装されることで構成される。
【0040】
基板51は、ケース11の基部33にビス等によって固定される。
【0041】
加速度センサ52は、例えば、3軸加速度センサである。加速度センサ52は、装置本体3の互いに直交する3方向の加速度を表す加速度信号を制御部55に出力する。例えば、加速度センサ52は、検出された加速度から血圧測定装置1を装着した生体の活動量を測定するために用いられる。
【0042】
通信部53は、外部の装置と無線又は有線によって情報を送受信可能に構成される。通信部53は、例えば、制御部55によって制御された情報や測定された血圧値及び脈拍等の情報を、ネットワークを介して外部の装置へ送信し、また、外部の装置からネットワークを介してソフトウェア更新用のプログラム等を受信して制御部に送る。
【0043】
本実施形態において、ネットワークは、例えばインターネットであるが、これに限定されず、病院内に設けられたLAN(Local Area Network)等のネットワークであってもよく、また、USB等の所定の規格の端子を有するケーブルなどを用いた外部の装置との直接的な通信であってもよい。このため、通信部53は、無線アンテナ及びマイクロUSBコネクタ等の複数を含む構成であってもよい。
【0044】
記憶部54は、血圧測定装置1全体及び流体回路7を制御するためのプログラムデータ、血圧測定装置1の各種機能を設定するための設定データ、圧力センサ17で測定された圧力から血圧値や脈拍を算出するための算出データ等を予め記憶する。また、記憶部54は、測定された血圧値や脈拍等の情報を記憶する。
【0045】
制御部55は、単数又は複数のCPUにより構成され、血圧測定装置1全体の動作、及び、流体回路7の動作を制御する。制御部55は、表示部12、操作部13、ポンプ14、各開閉弁16及び各圧力センサ17に電気的に接続されるとともに、電力を供給する。また、制御部55は、操作部13及び圧力センサ17が出力する電気信号に基づいて、表示部12、ポンプ14及び開閉弁16の動作を制御する。
【0046】
例えば、制御部55は、図5に示すように、血圧測定装置1全体の動作を制御するメインCPU(Central Processing Unit)56及び流体回路7の動作を制御するサブCPU57を有する。例えば、メインCPU56は、圧力センサ17が出力する電気信号から、最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数などの測定結果を求め、この測定結果に対応した画像信号を表示部12へ出力する。
【0047】
例えば、サブCPU57は、操作部13から血圧を測定する指令が入力されると、ポンプ14及び開閉弁16を駆動して平カフ71及びセンシングカフ73に圧縮空気を送る。また、サブCPU57は、圧力センサ17が出力する電気信号に基づいて、ポンプ14の駆動及び停止、並びに、開閉弁16の開閉を制御する。サブCPU57は、ポンプ14及び開閉弁16を制御することで、圧縮空気を平カフ71及びセンシングカフ73に選択的に送るとともに、平カフ71及びセンシングカフ73を選択的に減圧する。
【0048】
図1乃至図3に示すように、ベルト4は、一方の一対のラグ31a及びバネ棒31bに設けられた第1ベルト61と、他方の一対のラグ31a及びバネ棒31bに設けられた第2ベルト62と、を備える。ベルト4は、カーラ5を介して手首200に巻き付けられる。
【0049】
第1ベルト61は、所謂親と呼ばれ、帯状に構成される。第1ベルト61は、一方の端部に設けられ、第1ベルト61の長手方向に直交する第1孔部61aと、他方の端部に設けられ、第1ベルト61の長手方向に直交する第2孔部61bと、第2孔部61bに設けられた尾錠61cと、を有する。第1孔部61aは、バネ棒31bを挿入可能、且つ、バネ棒31bに関して第1ベルト61が回転可能な内径を有する。即ち、第1ベルト61は、一対のラグ31aの間であって、且つ、バネ棒31bに第1孔部61aが配置されることで、外郭ケース31に回転可能に保持される。
【0050】
第2孔部61bは、第1ベルト61の先端に設けられる。尾錠61cは、矩形枠状の枠状体61dと、枠状体61dに回転可能に取り付けられたつく棒61eと、を有する。枠状体61dは、つく棒61eが取り付けられた一辺が第2孔部61bに挿入され、第1ベルト61に関して回転可能に取り付けられる。
【0051】
第2ベルト62は、所謂剣先と呼ばれ、枠状体61dに挿入可能な幅を有する帯状に構成される。また、第2ベルト62は、つく棒61eが挿入される小孔62aを複数有する。また、第2ベルト62は、一方の端部に設けられ、第2ベルト62の長手方向に直交する第3孔部62bを有する。第3孔部62bは、バネ棒31bを挿入可能、且つ、バネ棒31bに関して第2ベルト62が回転可能な内径を有する。即ち、第2ベルト62は、一対のラグ31aの間であって、且つ、バネ棒31bに第3孔部62bが配置されることで、外郭ケース31に回転可能に保持される。
【0052】
このようなベルト4は、第2ベルト62が枠状体61dに挿入され、小孔62aにつく棒61eが挿入されることで、第1ベルト61及び第2ベルト62が一体に接続され、外郭ケース31とともに、手首200の周方向に倣った環状となる。
【0053】
カーラ5は、図4に示すように、手首の周方向に沿って湾曲する帯状に構成される。カーラ5は、一端と他端が離間して形成される。カーラ5は、例えば、一端側の外面が装置本体3の裏蓋35に固定される。カーラ5は、一端及び他端が裏蓋35よりも突出した位置に配置される。また、カーラ5は、所定の距離だけ離間して一端及び他端が隣接する。
【0054】
また、カーラ5は、血圧測定装置1を手首200に装着したときに、一端及び他端が手首200の一方の側方へ位置するように、裏蓋35に固定される。
【0055】
具体例として、図3に示すように、カーラ5は、第1対向部5aを有する。第1対向部5aは、裏蓋35に対向する。換言すると、第1対向部5aは、外郭ケース31の軸方向に、外郭ケースの端部に並ぶ。
【0056】
第1対向部5aは、ビス35a等を用いて裏蓋35に固定される。なお、カーラ5は、一例としてビス35a等を用いて裏蓋35と共に、外郭ケース31又は基部33の生体側の端部に固定される。なお、裏蓋35は、ビス35aにより、カーラ5と共に外郭ケース31または基部33の生体側の端部に固定される構成を説明したが、これに限定されない。カーラ5は、他の例では、接着剤や両面テープ等により構成される接着層により、裏蓋35の裏面35bに固定されてもよい。なお、裏面35bは、手首200側の面である。
【0057】
第1対向部5aは、カーラ5の第1対向部5a以外の部位に比較して幅が広い形状に構成される。第1対向部5aの面形状は、一例として、裏蓋35の裏面35bの面形状より小さく構成される。すなわち、第1対向部5aの面形状は、円形状に構成される裏面35bの面形状より、小さい円形状に構成される。
【0058】
第1対向部5aは、具体例として、カーラ5の幅方向の両側のそれぞれに、カーラ5の長手方向で第1対向部5aの両側の部分に比較して幅方向に突出する第1羽部5bを有する。第1羽部5bのそれぞれは、縁部が幅方向外側に突出する円弧状に形成される形状に構成される。このように、第1対向部5aは、2つの第1羽部5bを有することから、カーラ5の長手方向で第1対向部5aの両側の部分に比較して、幅方向に広い形状に構成される。
【0059】
具体例として、図1及び図2図4に示すように、カーラ5は、例えば、手首の周方向に対して直交する方向からの側面視、換言すると手首200の長手方向からの側面視で手首200の周方向に沿って湾曲する形状を有する。カーラ5は、例えば、装置本体3から手首200の手の甲側及び手首200の一方の側方側を通って手首200の手の平側へと渡り、手首200の他方の側方側へと延びる。即ち、カーラ5は、手首200の周方向に沿って湾曲することで、手首200の周方向の大半に渡って配置されるとともに、両端が所定の間隔を有して離間する。
【0060】
カーラ5は、可撓性及び形状保持性を有する硬さを有する。ここで、可撓性とは、カーラ5にベルト4の外力が印加されたときに径方向に形状が変形することをいう。例えば、可撓性とは、ベルト4によってカーラ5が押圧されたときに、手首に近接するか、手首の形状に沿うか、又は、手首の形状に倣うように側面視の形状が変形することをいう。また、形状保持性とは、外力が印加されないときに、カーラ5が予め賦形された形状を維持できることをいう。例えば、形状保持性とは、本実施形態においてはカーラ5の形状が手首の周方向に沿って湾曲する形状を維持できることである。
【0061】
カーラ5は、内周面にカフ構造体6が配置され、そして、カーラ5の内周面形状に沿ってカフ構造体6を保持する。具体例として、カーラ5は、平カフ71及び甲カフ74が内周面に配置され、接合部材8により、平カフ71及び甲カフ74が接合される。
【0062】
カーラ5は、樹脂材料で形成される。カーラ5は、例えば、熱可塑性樹脂材料、具体例として、ポリプロピレンによって形成される。カーラ5は、例えば、厚さが1mm程度に形成される。
【0063】
図1乃至図4図7乃至図14に示すように、カフ構造体6は、平カフ(カフ)71と、背板72と、センシングカフ73と、甲カフ(カフ)74と、を備えている。カフ構造体6は、カーラ5に固定される。カフ構造体6は、平カフ71、背板72及びセンシングカフ73が積層してカーラ5に配置され、甲カフ74が平カフ71、背板72及びセンシングカフ73と離間してカーラ5に配置される。
【0064】
具体例として、カフ構造体6は、カーラ5の内面に、平カフ71、背板72、センシングカフ73及び甲カフ74が配置される。カフ構造体6は、カーラ5の手首200の手の平側の内面に、カーラ5の内面から生体側に向かって、平カフ71、背板72及びセンシングカフ73の順に積層して固定される。また、カフ構造体6は、カーラ5の手首200の手の甲側の内面に甲カフ74が配置される。カフ構造体6の各部材は、積層方向に隣接する部材に両面テープや接着剤等によって固定される。
【0065】
平カフ71は、所謂押圧カフである。平カフ71は、流路部15を介してポンプ14に流体的に接続される。平カフ71は、膨張することで背板72及びセンシングカフ73を生体側に押圧する。平カフ71は、複数の、例えば二層の空気袋81と、二層の空気袋81のうちカーラ5側に配置される空気袋81に設けられる複数の挿入孔82と、を含む。
【0066】
ここで、空気袋81とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は液体袋等の流体袋であってもよい。複数の空気袋81は、積層され、積層方向に流体的に連通する。
【0067】
空気袋81は、一方向に長い矩形状に構成される。空気袋81は、例えば、一方向に長い二枚のシート部材86を組み合わせ、縁部を熱により溶着することで構成される。即ち、空気袋81は、四辺の周縁部が溶着された溶着部81aを有する。
【0068】
具体例として、二層の空気袋81は、図7及び図9に示すように、生体側から、第1シート部材86aと、第1シート部材86aと一層目の空気袋81を構成する第2シート部材86bと、第2シート部材86bと一体に接着される第3シート部材86cと、第3シート部材86cと二層目の空気袋81を構成する第4シート部材86dと、を備える。なお、二層の空気袋81は、隣り合う空気袋81の各シート部材86が両面テープ、接着剤等による接着又は溶着等により接合されることで一体に構成される。
【0069】
第1シート部材86a及び第2シート部材86bは、四辺の周縁部が溶着されることで空気袋81を構成する。第2シート部材86b及び第3シート部材86cは、対向して配置され、それぞれ、二つの空気袋81を流体的に連続させる複数の開口86b1、86c1を有する。
【0070】
第3シート部材86c及び第4シート部材86dは、四辺の周縁部が溶着されることで空気袋81を構成する。
【0071】
背板72は、接着剤層や両面テープ等により平カフ71の第1シート部材86aの外面に貼付される。背板72は、樹脂材料で板状に形成される。背板72は、例えば、ポリプロピレンからなり、厚さが1mm程度の板状に形成される。背板72は、形状追従性を有する。
【0072】
ここで、形状追従性とは、配置される手首200の被接触箇所の形状を倣うように背板72が変形可能な機能をいい、手首200の被接触箇所とは、背板72が対向する手首200の領域をいい、ここでの接触とは、直接的な接触及びセンシングカフ73を介した間接的な接触の双方を含む。
【0073】
例えば、図9に示すように、背板72は、背板72の両主面に長手方向に対して直交する方向に延びる複数の溝72aを有する。図9に示すように、溝72aは、背板72の両主面にそれぞれ複数設けられる。両主面に設けられた複数の溝72aは、背板72の厚さ方向においてそれぞれ対向する。また、複数の溝72aは、背板72の長手方向に等間隔に配置される。
【0074】
背板72は、複数の溝72aを有する部位が溝72aを有さない部位に比べて薄肉となることで、複数の溝72aを有する部位が変形しやすいことから、手首200の形状に倣って変形し、手首の周方向に延在する形状追従性を有する。背板72は、手首200の手の平側を覆う長さに形成される。背板72は、手首200の形状に沿った状態で、平カフ71からの押圧力をセンシングカフ73の背板72側の主面に伝達する。
【0075】
センシングカフ73は、背板72の生体側の主面に固定される。センシングカフ73は、図9及び図14に示すように、手首200の動脈210が存する領域に直接接触する。ここで、動脈210とは、橈骨動脈及び尺骨動脈である。センシングカフ73は、背板72の長手方向及び幅方向で、背板72と同一形状か、又は、背板72よりも小さい形状に形成される。センシングカフ73は、膨張することで手首200の手の平側の動脈210が存する領域を圧迫する。センシングカフ73は、膨張した平カフ71により、背板72を介して生体側に押圧される。
【0076】
具体例として、センシングカフ73は、一つの空気袋91と、空気袋91と連通するチューブ92と、チューブ92の先端に設けられた接続部93と、を含む。センシングカフ73は、空気袋91の一方の主面が背板72に固定される。例えば、センシングカフ73は、背板72の生体側の主面に両面テープや接着剤層等により貼付される。
【0077】
ここで、空気袋91とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は液体袋等であってもよい。
【0078】
空気袋91は、一方向に長い矩形状に構成される。空気袋91は、例えば、一方向に長い二枚のシート部材96を組み合わせ、縁部を熱により溶着することで構成される。具体例として、空気袋91は、図14に示すように、生体側から第5シート部材96a及び第6シート部材96bを備える。
【0079】
例えば、第5シート部材96a及び第6シート部材96bは、第5シート部材96a及び第6シート部材96bの一辺に、空気袋91の内部空間と流体的に連続するチューブ92が配置され、溶着により固定される。例えば、第5シート部材96a及び第6シート部材96bは、第5シート部材96a及び第6シート部材96b間にチューブ92が配置された状態で四辺の周縁部を溶着して空気袋91を成形することで、チューブ92が一体に溶着される。
【0080】
チューブ92は、空気袋91の長手方向の一方の端部に設けられる。具体例として、チューブ92は、空気袋91の装置本体3に近い端部に設けられる。チューブ92は、先端に、接続部93を有する。チューブ92は、流路部15に接続され、装置本体3と空気袋91との間の流路を構成する。接続部93は、流路部15に接続される。接続部93は、例えばニップルである。
【0081】
甲カフ74は、所謂引っ張りカフである。甲カフ74は、流路部15を介してポンプ14に流体的に接続される。甲カフ74は、膨張することで手首200から離間するようにカーラ5を押圧することで、ベルト4及びカーラ5を手首200の手の甲側に引っ張る。甲カフ74は、複数の、例えば六層の空気袋101と、空気袋101と連通するチューブ102と、チューブ102の先端に設けられた接続部103と、を含む。
【0082】
また、甲カフ74は、膨張方向、本実施形態においては、カーラ5及び手首200の対向する方向で、膨張時の厚さが、平カフ71の膨張方向における膨張時の厚さ、及び、センシングカフ73の膨張方向における膨張時の厚さよりも厚く構成される。即ち、甲カフ74の空気袋101は、平カフ71の空気袋81及びセンシングカフ73の空気袋91よりも多い層構造を有し、カーラ5から手首200に向かって膨張したときの厚さが平カフ71及びセンシングカフ73よりも厚い。
【0083】
ここで、空気袋101とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は液体袋等の流体袋であってもよい。複数の空気袋101は、積層され、積層方向に流体的に連通する。
【0084】
空気袋101は、一方向に長い矩形状に構成される。空気袋101は、例えば、一方向に長い二枚のシート部材106を組み合わせ、縁部を熱により溶着することで構成される。即ち、空気袋101は、四辺の周縁部が溶着された溶着部101aを有する。
【0085】
具体例として、六層の空気袋101は、図10に示すように、生体側から、第7シート部材106aと、第8シート部材106bと、第9シート部材106cと、第10シート部材106dと、第11シート部材106eと、第12シート部材106fと、第13シート部材106gと、第14シート部材106hと、第15シート部材106iと、第16シート部材106jと、第17シート部材106kと、第18シート部材106lと、を備えている。なお、六層の空気袋101は、隣り合う空気袋101の各シート部材106が両面テープ、接着剤等による接着又は溶着等により接合されることで一体に構成される。
【0086】
第7シート部材106a及び第8シート部材106bは、四辺の周縁部が溶着されることで、一層目の空気袋101を構成する。第8シート部材106b及び第9シート部材106cは、対向して配置され、一体に接着される。第8シート部材106b及び第9シート部材106cは、隣り合う空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106b1、106c1を有する。第9シート部材106c及び第10シート部材106dは、四辺の周縁部が溶着されることで、二層目の空気袋101を構成する。
【0087】
第10シート部材106d及び第11シート部材106eは、対向して配置され、一体に接着される。第10シート部材106d及び第11シート部材106eは、隣り合う空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106d1、106e1を有する。第11シート部材106e及び第12シート部材106fは、四辺の周縁部が溶着されることで、三層目の空気袋101を構成する。
【0088】
第12シート部材106f及び第13シート部材106gは、対向して配置され、一体に接着される。第12シート部材106f及び第13シート部材106gは、隣り合う空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106f1、106g1を有する。第13シート部材106g及び第14シート部材106hは、四辺の周縁部が溶着されることで、四層目の空気袋101を構成する。
【0089】
第14シート部材106h及び第15シート部材106iは、対向して配置され、一体に接着される。第14シート部材106h及び第15シート部材106iは、隣り合う空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106h1、106i1を有する。第15シート部材106i及び第16シート部材106jは、四辺の周縁部が溶着されることで、五層目の空気袋101を構成する。
【0090】
第16シート部材106j及び第17シート部材106kは、対向して配置され、一体に接着される。第16シート部材106j及び第17シート部材106kは、隣り合う空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106j1、106k1を有する。第17シート部材106k及び第18シート部材106lは、矩形枠状に周縁部が溶着されることで、六層目の空気袋101を構成する。第18シート部材106lは、カーラ5側に配置される。
【0091】
また、例えば、第17シート部材106k及び第18シート部材106lの一辺に、空気袋101の内部空間と流体的に連続するチューブ102が配置され、溶着により固定される。例えば、第17シート部材106k及び第18シート部材106lは、第17シート部材106k及び第18シート部材106lの間にチューブ102が配置された状態で矩形枠状に周縁部を溶着して空気袋101を成形することで、チューブ102が一体に溶着される。
【0092】
例えば、このような六層目の空気袋101は、平カフ71の二層目の空気袋81と一体に構成される。即ち、第17シート部材106kは、第3シート部材86cと一体に構成され、第18シート部材106lは、第4シート部材86dと一体に構成される。
【0093】
より詳細に述べると、第3シート部材86c及び第17シート部材106kは、一方向に長い矩形状のシート部材を構成し、第18シート部材106l及び第4シート部材86dは、一方向に長い矩形状のシート部材を構成する。そして、これらシート部材を重ね合わせて、一方の端部側を矩形枠状であって、且つ、他方の端部側の一辺の一部を除いて溶着する。これにより、平カフ71の二層目の空気袋81が構成される。そして、他方の端部側を矩形枠状であって、且つ、一方の端部側の一辺の一部を除いて溶着することで、甲カフ74の六層目の空気袋101が構成される。また、二層目の空気袋81及び六層目の空気袋101は、それぞれ対向する側の一辺の一部が溶着されないことから、流体的に連続する。
【0094】
また、図11及び図12に示すように、第18シート部材106lは、カーラ5の第1対向部5aに接合される第2対向部107を有する。
【0095】
第2対向部107は、第18シート部材106lの、第1対向部5aに対向する部分であり、第18シート部材106lの、第1対向部5aに対向しない部位に比較して、幅方向に広い形状に構成される。
【0096】
さらに、第2対向部107の面形状は、第1対向部5aの面形状より、大きい形状に構成される。具体例として、第2対向部107は、第18シート部材106lの長手方向で第2対向部107の両側の部分に比較して、幅方向に延出する第2羽部107aを有する。
【0097】
第2羽部107aは、第18シート部材106lの幅方向で両側に1つずつ形成される。第2羽部107aは、一例として、第1対向部5aの第1羽部5bの円弧状の縁よりも大径の円弧状の縁を有する形状に構成される。
【0098】
第2対向部107は、第1対向部5aに、接着材や両面テープ等により構成される接着層108により、接着されることで接合される。第2羽部107aの面形状が、第1羽部5bの面形状よりも大きい形状に構成されることから、第2羽部107aは、接着層108により接着されることで、第1羽部5bの裏面5c、第1羽部5bの側面5d、及び裏蓋35の裏面35bに接合される。第2対向部107の第2羽部107aを除いた領域は、第1対向部5aの第1羽部5bを領域に、接着層108により接着されることで接合される。
【0099】
なお、第2羽部107aは、その一部が裏蓋35の裏面35bに接合される構成を説明したが、これに限定されない。他の例では、第2羽部107aは、第1対向部5aのみに接合される構成であってもよい。
【0100】
チューブ102は、六層の空気袋101のうち一つの空気袋101に接続されるとともに、空気袋101の長手方向の一方の端部に設けられる。具体例として、チューブ102は、六層の空気袋101のカーラ5側であって、且つ、装置本体3に近い端部に設けられる。チューブ102は、先端に、接続部103を有する。チューブ102は、流体回路7のうち、装置本体3と空気袋101との間の流路を構成する。接続部103は、例えばニップルである。
【0101】
なお、これらの説明のように、本実施形態において、甲カフ74は、一部が平カフ71と一体に構成され、平カフ71と流体的に連続する構成を説明したが、これに限定されず、例えば、図8に示すように、甲カフ74は、平カフ71と別体に構成され、平カフ71と流体的に非連続であってもよい。このような構成とする場合には、平カフ71は、センシングカフ73及び甲カフ74と同様に、さらにチューブ、接続部を設け、また、流体回路7においても、平カフ71へ流体を供給する流路、逆止弁及び圧力センサを接続する構成とすればよい。
【0102】
また、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74を形成する各シート部材86、96、106は、熱可塑性樹脂材料により形成される。熱可塑性樹脂材料は、熱可塑性エラストマーである。シート部材86、96、106を構成する熱可塑性樹脂材料としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(Thermoplastic PolyUrethane、以下TPUと表記する)、塩化ビニル樹脂(PolyVinyl Chloride)、エチレン酢酸ビニル樹脂(Ethylene-Vinyl Acetate)、熱可塑性ポリスチレン系樹脂(Thermoplastic PolyStyrene)、熱可塑性ポリオレフィン樹脂(Thermoplastic PolyOlefin)、熱可塑性ポリエステル系樹脂(ThermoPlastic Polyester)及び熱可塑性ポリアミド樹脂(Thermoplastic PolyAmide)を用いることができる。
【0103】
例えば、シート部材86、96、106は、Tダイ押し出し成形や射出成形等の成形方式が用いられる。シート部材86、96、106は、各成形方式で成形された後、所定の形状にサイジングされ、そして、サイジングした個片を溶着等により接合することで袋状構造体81、91、101を構成する。溶着の方式としては、高周波ウェルダーやレーザー溶着が用いられる。
【0104】
流体回路7は、ケース11、ポンプ14、流路部15、開閉弁16、圧力センサ17、平カフ71、センシングカフ73、及び、甲カフ74によって構成される。流体回路7に用いられる二つの開閉弁16を第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bとし、二つの圧力センサ17を第1圧力センサ17A及び第2圧力センサ17Bとして、以下、流体回路7の具体例を説明する。
【0105】
流体回路7は、図5に示すように、例えば、ポンプ14から平カフ71及び甲カフ74を連続する第1流路7aと、第1流路7aの中途部が分岐されることで構成され、ポンプ14からセンシングカフ73を連続する第2流路7bと、第1流路7aと大気を接続する第3流路7cと、を備えている。また、第1流路7aは、第1圧力センサ17Aを含む。第1流路7a及び第2流路7bの間には第1開閉弁16Aが設けられる。第2流路7bは、第2圧力センサ17Bを含む。第1流路7a及び第3流路7cの間には、第2開閉弁16Bが設けられる。
【0106】
このような流体回路7は、第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bが閉じることで、第1流路7aのみがポンプ14と接続し、ポンプ14及び平カフ71が流体的に接続される。流体回路7は、第1開閉弁16Aが開き、そして、第2開閉弁16Bが閉じることで、第1流路7a及び第2流路7bが接続され、ポンプ14及び甲カフ74、甲カフ74及び平カフ71、並びに、ポンプ14及びセンシングカフ73が流体的に接続される。流体回路7は、第1開閉弁16Aが閉じ、そして、第2開閉弁16Bが開くことで、第1流路7a及び第3流路7cが接続され、平カフ71、甲カフ74及び大気が流体的に接続される。流体回路7は、第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bが開くことで、第1流路7a、第2流路7b及び第3流路7cが接続され、平カフ71、センシングカフ73、甲カフ74及び大気が流体的に接続される。
【0107】
次に、血圧測定装置1を使用した血圧値の測定の一例について、図15乃至図18を用いて説明する。図15は、血圧測定装置1を用いた血圧測定の一例を示す流れ図であり、ユーザの動作及び制御部55の動作の双方を示す。また、図16乃至図18は、ユーザが手首200に血圧測定装置1を装着する一例を示す。
【0108】
先ず、ユーザは、手首200に血圧測定装置1を装着する(ステップST1)。具体例として、例えば、ユーザは、図26に示すように、手首200の一方をカーラ5内に挿入する。
【0109】
このとき、血圧測定装置1は、装置本体3及びセンシングカフ73がカーラ5の相対する位置に配置されることから、センシングカフ73を手首200の手の平側の動脈210が存する領域に配置される。これにより、装置本体3及び甲カフ74は、手首200の手の甲側に配される。次いで図17に示すように、ユーザが血圧測定装置1を配した手とは反対の手によって、第1ベルト61の尾錠61cの枠状体61dに第2ベルト62を通す。次いで、ユーザは、第2ベルト62を引っ張り、カーラ5の内周面側の部材、即ち、カフ構造体6を手首200に密着させ、小孔62aにつく棒61eを挿入する。これにより、図18に示すように、第1ベルト61及び第2ベルト62が接続され、血圧測定装置1が手首200に装着される。
【0110】
次に、ユーザは、操作部13を操作して、血圧値の測定開始に対応した指令の入力を行う。指令の入力操作が行われた操作部13は、測定開始に対応した電気信号を制御部55へ出力する(ステップST2)。制御部55は、当該電気信号を受信すると、例えば、第1開閉弁16Aを開くとともに、第2開閉弁16Bを閉じ、ポンプ14を駆動し、第1流路7a及び第2流路7bを介して平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74へ圧縮空気を供給する(ステップST3)。これにより、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74は膨張を開始する。
【0111】
第1圧力センサ17A及び第2圧力センサ17Bは、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74の圧力をそれぞれ検出し、この圧力に対応した電気信号を制御部55へ出力する(ステップST4)。制御部55は、受信した電気信号に基づいて、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74の内部空間の圧力が血圧測定のための所定の圧力に達しているか否かを判断する(ステップST5)。例えば、平カフ71及び甲カフ74の内圧が所定の圧力に達しておらず、且つ、センシングカフ73の内圧が所定の圧力に達した場合には、制御部55は、第1開閉弁16Aを閉じ、第1流路7aを介して圧縮空気を供給する。
【0112】
平カフ71及び甲カフ74の内圧並びにセンシングカフ73の内圧が、全て所定の圧力に達した場合には、制御部55は、ポンプ14の駆動を停止する(ステップST5でYES)。このとき、図13及び図14に示すように、平カフ71及び甲カフ74は十分に膨張しており、膨張した平カフ71は、背板72を押圧する。また、甲カフ74は、手首200から離間する方向に、カーラ5を押圧することから、ベルト4、カーラ5及び装置本体3は、手首200から離間する方向に移動し、結果、平カフ71、背板72、センシングカフ73及びフラット板75が手首200側に引っ張られる。加えて、甲カフ74の膨張によってベルト4、カーラ5及び装置本体3が手首200から離間する方向に移動するときに、ベルト4及びカーラ5が、手首200の両側方に向かって移動し、手首200の両側方に密着した状態で、ベルト4、カーラ5及び装置本体3が移動する。このため、手首200の皮膚に密着したベルト4及びカーラ5は、手首200の両側方の皮膚を手の甲側に引っ張る。
【0113】
さらに、センシングカフ73は、内圧が血圧を測定するために要する圧力となるように所定の空気量が供給され、膨張しており、そして、平カフ71に押圧された背板72によって手首200に向かって押圧される。このため、センシングカフ73は、手首200内の動脈210を押圧し、図14に示すように動脈210を閉塞する。
【0114】
また、制御部55は、例えば、第2開閉弁16Bを制御し、第2開閉弁16Bの開閉を繰り返すか、又は、第2開閉弁16Bの開度を調整することで、平カフ71の内部空間の圧力を加圧させる。この加圧の過程において第2圧力センサ17Bが出力する電気信号に基づいて、制御部55は、最高血圧及び最低血圧等の血圧値や心拍数等の測定結果を求める(ステップST6)。制御部55は、求めた測定結果に対応した画像信号を、表示部12へ出力し、測定結果を表示部12に表示する(ステップST7)。また、制御部55は、血圧測定終了後、第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bを開く。
【0115】
表示部12は、画像信号を受信すると、当該測定結果を画面に表示する。使用者は、表示部12を視認することで、当該測定結果を確認する。なお、使用者は、測定終了後、小孔62aからつく棒61eを外し、枠状体61dから第2ベルト62を外し、カーラ5から手首200を抜くことで、手首200から血圧測定装置1を取り外す。
【0116】
このように構成された第1の実施形態に係る血圧測定装置1は、カーラ5の第1対向部5aが第1羽部5bを有し、甲カフ74のカーラ5側に配される第18シート部材106lの第2対向部107が、第2羽部107aを有する。そして、第2羽部107aは、接着層108により第1羽部5bに接着されることで、接合される。このように、羽部5b,107aにより、甲カフ74及びカーラ5を接合する接合面積が増加する。この為、血圧測定装置1は、甲カフ74及びカーラ5の接合強度を向上できる。さらに、第1羽部5b及び第2羽部107を用いることで、カーラ5及び甲カフ74の一部のみ接合代を増加する構成となるので、血圧測定装置1の大型化を防止できる。
【0117】
さらに、第2対向部107の面形状が第1対向部5aの面形状よりも広い形状に形成され、第2羽部107aの一部が裏蓋35にも固定される構成を採用することで、甲カフ74を直接ケース11に接合できるので、甲カフ74のケース11に対する固定強度を向上できる。
【0118】
上述したように本実施形態に係る血圧測定装置1によれば、甲カフ74及びカーラ5の接合強度を向上することが可能となる。
[第2の実施形態]
次に、血圧測定装置1の第2の実施形態について、図19及び図20を用いて説明する。なお、第2の実施形態に係る血圧測定装置1は、カーラ5及び裏蓋35が一体に形成される構成であり、この点で、上述した第1の実施形態に係る血圧測定装置1と異なる。この為、第2の実施形態の血圧測定装置1の構成のうち、上述した第1の実施形態に係る血圧測定装置1と同様の構成については同一符号を付して説明するとともに、その説明及び図示を適宜省略する。なお、第2の実施形態において、カーラ5及び裏蓋35が一体に形成された形状を有するカーラを、カーラ5Aと称する。
【0119】
図19は、第2の実施形態に係る血圧測定装置1の構成を分解して示す斜視図である。図20は、第2の実施形態に係る血圧測定装置1の構成を示す断面図である。
【0120】
図19及び図20に示すように、ケース11は、外郭ケース31と、外郭ケース31の上部開口を覆う風防32と、外郭ケース31の内部の下方に設けられた基部33と、を備えている。
【0121】
カーラ5Aは、図19に示すように、手首の周方向に沿って湾曲する帯状に構成される。カーラ5Aは、一端と他端が離間して形成される。カーラ5Aは、外郭ケース31の生体側の端部を覆う蓋部5eを有する。
【0122】
カーラ5Aは、一端及び他端が蓋部5eよりも突出した位置に配置される。また、カーラ5Aは、所定の距離だけ離間して一端及び他端が隣接する。
【0123】
蓋部5eは、ビス35a等を用いて、外郭ケース31又は基部33の生体側の端部に固定される。また、蓋部5eは、血圧測定装置1を手首200に装着したときに、カーラ5Aの一端及び他端が手首200の一方の側方へ位置するように、カーラ5Aに設けられている
【0124】
蓋部5eは、カーラ5Aの蓋部5e以外の部位に比較して幅が広い形状に構成される。蓋部5eの面形状は、一例として、円形状に構成される。蓋部5eは、具体例として、幅方向で両側のそれぞれに、カーラ5Aの長手方向で蓋部5eの両側の部分に比較して幅方向外側に突出する第3羽部5fを有する形状に構成される。蓋部5eは、2つの第3羽部5fを有することから、カーラ5Aの長手方向で蓋部5eの両側の部分に比較して、幅方向に広い形状に構成される。第3羽部5fは、一例として、幅方向外側に突出する円弧状の縁を有する形状に構成される。
【0125】
図19及び図20に示すように、蓋部5eの第3羽部5fの手首200側の裏面5gの円弧状の縁には、切欠部5hが形成される。裏面5gに切欠部5hが形成されることから、裏面5gの縁の近傍は、段に構成される。
【0126】
このように構成された裏面5gは、例えば、第1の実施形態に係る血圧測定装置1の裏蓋35fとカーラ5の第1対向部5aとの一体物の手首200側の面と同形状に構成される。なお、第3羽部5fは、その面形状が、縁が円弧状形状に構成されることに限定されない。第3羽部5fは、例えば、面形状が矩形状に構成されてもよい。
【0127】
また、カーラ5Aは、例えば、手首の周方向に対して直交する方向からの側面視、換言すると手首200の長手方向からの側面視で手首200の周方向に沿って湾曲する形状を有する。カーラ5Aは、例えば、装置本体3から手首200の手の甲側及び手首200の一方の側方側を通って手首200の手の平側へと渡り、手首200の他方の側方側へと延びる。即ち、カーラ5は、手首200の周方向に沿って湾曲することで、手首200の周方向の大半に渡って配置されるとともに、両端が所定の間隔を有して離間する。
【0128】
カーラ5Aは、可撓性及び形状保持性を有する硬さを有する。ここで、可撓性とは、カーラ5Aにベルト4の外力が印加されたときに径方向に形状が変形することをいう。例えば、可撓性とは、ベルト4によってカーラ5Aが押圧されたときに、手首に近接するか、手首の形状に沿うか、又は、手首の形状に倣うように側面視の形状が変形することをいう。また、形状保持性とは、外力が印加されないときに、カーラ5Aが予め賦形された形状を維持できることをいう。例えば、形状保持性とは、本実施形態においてはカーラ5Aの形状が手首の周方向に沿って湾曲する形状を維持できることである。
【0129】
カーラ5Aは、内周面にカフ構造体6が配置され、そして、カーラ5の内周面形状に沿ってカフ構造体6を保持する。具体例として、カーラ5は、平カフ71及び甲カフ74が内周面に配置され、接合部材8により、平カフ71及び甲カフ74が接合される。
【0130】
カーラ5Aは、樹脂材料で形成される。カーラ5Aは、例えば、熱可塑性樹脂材料、具体例として、ポリプロピレンによって形成される。カーラ5は、例えば、厚さが1mm程度に形成される。
【0131】
このように構成されたカーラ5Aは、例えば、第1の実施形態に係る血圧測定装置1の裏蓋35及び対向部5aが一体に形成された構成を有する。
【0132】
第18シート部材106lは、カーラ5Aの蓋部5eに接合される第2対向部107Aを有する。第2対向部107Aは、第18シート部材106lの、蓋部5eに対向する部分であり、第18シート部材106lの、蓋部5eに対向しない部位に比較して、幅方向に広い形状に構成される。
【0133】
さらに、第2対向部107Aの面形状は、蓋部5eの面形状より、例えば、大きい形状に構成される。具体例として、第2対向部107Aは、第18シート部材106lの長手方向で第2対向部107Aの両側の部分に比較して、幅方向に延出する第2羽部107a1を有する。第2羽部107aは、第18シート部材106lの幅方向で両側に1つずつ形成される。第2羽部107a1は、一例として、面形状で蓋部5eの第3羽部5fの縁の円弧よりも大径の円弧状の縁を有する形状に構成される。
【0134】
第2対向部107Aは、蓋部5eに、接着材や両面テープ等により構成される接着層108により、接着されることで接合される。第2対向部107Aの面形状が、第1対向部5aの面形状よりも大きい形状に構成されることから、第2羽部107a1は、接着層108により接着されることで、蓋部5eの第3羽部5fに接合される。さらに、一例として、第2羽部107a1は、第3羽部5fの切欠部5hにも接合される。第2対向部107Aの第2羽部107a1を除いた領域は、蓋部5eの第3羽部5fを除いた領域に、接着層108により接着されることで接合される。
【0135】
なお、第2羽部107a1は、その一部が蓋部5eの切欠部5hに接合される構成を説明したが、これに限定されない。他の例では、第2羽部107a1は、第3羽部5fの手首200側の裏面5gのうち、切欠部5h以外の領域に接合される形状を有する構成であってもよい。
【0136】
このように構成された第2の実施形態に係る血圧測定装置1は、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、血圧測定装置1を構成する部品数を少なくできる。
[第3の実施形態]
次に、血圧測定装置1の第3の実施形態について、図21及び図22を用いて説明する。なお、第3の実施形態に係る血圧測定装置1は、甲カフ74の第18シート部材106lの第2羽部107a1を、カーラ5Aの蓋部5eの第3羽部5fとの間に狭持するカバー部材110を備える構成であり、この点で、上述した第2の実施形態に係る血圧測定装置1と異なる。
【0137】
この為、第3の実施形態の血圧測定装置1の構成のうち、上述した第1の実施形態に係る血圧測定装置1と同様の構成については同一符号を付して説明するとともに、その説明及び図示を適宜省略する。
【0138】
図21は、甲カフ74の2つの第2羽部107a1のうち一方の近傍を手首200側から見た下面図である。図22は、甲カフ74の2つの第2羽部107aのうち一方を示す断面図であり、図21に示すXXII-XXII線断面で示す断面図である。図21及び図22に示すように、血圧測定装置1は、第2の実施形態の構成に加えて、さらに、2つのカバー部材110を備える。
【0139】
第2羽部107a1の縁は、第3羽部5fの裏面5gの縁の切欠部5hの内径よりも小さい径を有する円弧に構成される。第2羽部107a1は、接着層108により、第3羽部5fの手首200側の裏面5gの切り欠き5gを除いた領域に接着されることで接合される。
【0140】
カバー部材110は、第2羽部107a1を、第3羽部5fとの間に狭持する。カバー部材110の面形状は、外縁の一部が円弧状に形成され、残りの部分が直線状に形成される形状に構成される。カバー部材110は、円弧状に形成される縁を、蓋部5eの円弧状の縁に対向させる。カバー部材110の、円弧状の縁の径は、蓋部5eの円弧状の縁の径と同径である。
【0141】
カバー部材110は、円弧状の縁に構成された縁部111を有する。カバー部材110は、縁部111の高さが、他部に比較して高く形成されている。縁部111は、蓋部5eの切欠部5hに配置される。ここで言う高さは、カバー部材110の手首200側の裏面112からの高さである。
【0142】
また、縁部111の高さは、縁部111の先端が接着層108により切欠部5hに接合されたときに、カバー部材110の縁部111以外の領域、及び蓋部5eの第3羽部5fの切欠部5h以外の領域の間に、2つの接着層108、及び第2羽部107a1を挟持可能な寸法を有する。
【0143】
このように構成されたカバー部材110では、縁部111が接着層108により、蓋部5eの切欠部5hに接着されることで接合される。また、カバー部材110の蓋部5e側の面のうち、縁部111以外の領域は、接着層108により、第2羽部107a1に接着されることで接合される。
【0144】
このように構成された第3の実施形態にかかる血圧測定装置1は、第2の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、第2羽部107a1がカバー部材110とカーラ5に接着されて狭持されることにより、甲カフ74及びカーラ5の接合強度をより一層向上できる。
【0145】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、血圧測定装置1の血圧測定時における第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bの開閉のタイミングは、上述した例に限定されず、適宜設定できる。また、血圧測定装置1は、血圧測定を平カフ71の加圧過程において測定した圧力で血圧を算出する例を説明したがこれに限定されず、減圧過程で血圧を算出してもよく、また、加圧過程及び減圧過程の双方で血圧を算出してもよい。
【0146】
また、上述した例では、平カフ71は、空気袋81を各シート部材86によって形成する構成を説明したがこれに限定されず、例えば、平カフ71の変形や膨張を管理するために、さらに、空気袋81は他の構成を含んでいても良い。
【0147】
また、上述した例では、背板72は、複数の溝72aを有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、背板72は、変形しやすさ等を管理するために、複数の溝72aの数や深さ等を適宜設定可能であり、また、変形を抑制する部材を含む構成であってもよい。
【0148】
また、上述した第3の実施形態では、蓋部5eは、切欠部5hを有する構成を説明したが、これに限定されない。例えば、図23に示す変形例のように、蓋部5eは、切欠部5hを有さない構成であってもよい。
【0149】
また、上述した第3の実施形態では、カバー部材110は、接着層108による接着により蓋部5eに接合される構成を説明したが、これに限定されない。例えば、図24及び図25に示す変形例のように、カバー部材110は、さらに、一部が嵌め合いにより蓋部5eに固定される構成であってもよい。図24は、2つの第2羽部107a1のうち一方の近傍を手首200側から見た下面図である。図25は、甲カフ74の2つの第2羽部107a1のうち一方の近傍の構成を示す断面図であり、図24に示すXXV-XXV線断面で示す断面図である。
【0150】
具体例として、図24及び図25に示すように、蓋部5eの第3羽部5fの手首200側の裏面5gには、孔5iが形成される。孔5iは、例えば複数、一例として2つ形成されている。これら2つの孔5iは、例えばカーラ5の長手方向に並んで配置されている。孔5iは、例えば、半円状に構成される。
【0151】
第2羽部107a1及び接着層108の、孔5iと対向する部位にはそれぞれ、孔107b及び孔108aが形成される。
【0152】
カバー部材110の第2羽部107a1の孔107bに対向する部位にはそれぞれ、突部113が形成される。突部113は、孔107b,108aに挿通される。さらに、突部113は、孔108aを通過した先端側の部分が、孔5iに嵌る。突部113は、例えば、軸方向に直交する断面が孔5iに嵌る半円状に形成される、柱状に構成される。突部113の一部は、孔107b,108aに配置される。また、突部113の孔108aを通過した部分は、孔5iに嵌合する。
【0153】
このように、突部113が孔5iに嵌合することにより、カバー部材110が機械的にカーラ5Aに固定されることから、カバー及びカーラ5の固定強度を向上することが可能となる。なお、図24及び図25に示す変形例では、蓋部5eの裏面5gの円弧状の縁は、一例として、切欠部5hを有さない構成である。
【0154】
また、上述した第3の実施形態では、カバー部材110は、接着層108により接着されることで、蓋部5eに接合される構成が説明されたが、これに限定されない。例えば、図26及び図27に示す変形例のように、カバー部材110は、蓋部5eに、溶着により接合されてもよい。図26は、甲カフ74の2つの第2羽部107a1のうち一方の近傍を手首200側から見た下面図である。図27は、甲カフ74の2つの第2羽部107a1のうち一方の近傍の構成を示す断面図であり、図26に示すXXVII-XXVII線断面で示す断面図である。
【0155】
図26及び図27に示すように、第3羽部5fの裏面5gは、円弧状の縁部が、他に比較してカバー部材110側に突出する突部5jに構成される。突部5jの高さは、裏面5gの突部5j以外の領域及びカバー部材110の間に、第2羽部107a1、及び2つの接着層108を挟持可能な寸法を有する。カバー部材110の縁部111は、第3羽部5fの縁部に、溶着されることで、接合される。溶着の手段は、一例として、熱圧着である。
【0156】
また、上述した第3の実施形態では、カバー部材110が蓋部5eに接着層108により接着されることで接合される構成が説明されたが、これに限定されない。例えば、図28及び図29に示す変形例のように、カバー部材110は、接着層108により接合に加えて、さらに、外郭ケース31内に嵌合することで、外郭ケース31に固定されてもよい。
【0157】
図28は、甲カフ74の2つの第2羽部107a1のうちの一方の近傍を手首200側から見た下面図である。図29は、甲カフ74の2つの第2羽部107a1のうちの一方の近傍の構成を示す断面図であり、図28に示すXXIV-XXIV線断面で示す断面図である。
【0158】
具体例として、第3羽部5fの裏面5gは、蓋部5eの第3羽部5fより幅方向で内側の裏面よりも、一段低い形状に構成される。すなわち、図29に示すように、裏面5gは、蓋部5eの裏面のうち第3羽部5fより幅方向で内側の領域に比較して、上方に位置する。
【0159】
さらに、蓋部5eの円弧面に構成される第3羽部5fの側面5kは異なる径を有する複数円弧面部を有する。さらなる具体例として、側面5kは、第1円弧面部5k1と、第2円弧面部5k2と、第3円弧面部5k3と、を有する。
【0160】
第1円弧面部5k1は、側面5kのうち、最も大径状に構成される部分である。第2円弧面部5k2は、第1円弧面部5k1の曲率中心と同じ軸上に曲率中心を有する円弧面に構成される。第2円弧面部5k2は、第1円弧面部5k1よりも小径の円弧面に構成される。第3円弧面部5k3は、第1円弧面部5k1の曲率中心と同軸上に曲率中心を有する円弧面に構成される。第3円弧面部5k3は、第2円弧面部5k2よりも小径の円弧面に構成される。
【0161】
また、側面5kが、円弧面部5k1,5k2,5k3を有することから、第3羽部5fの裏面5gは、中央に配置される第1裏面部5g1と、第1裏面部5g1より外側に配置される第2裏面部5g2と、を有する。
【0162】
第2羽部107a1は、接着層108により、第1裏面部5g1と、第2裏面部5g2とに、接着されることで接合される。
【0163】
カバー部材110は、具体例として、縁部111が、第2羽部107a1の、第2裏面部5g2に接合された領域に、接着層108により接着されることで、接合される。カバー部材110の縁部111以外の領域は、第2羽部107aの、第1の裏面部5b1に接合された領域に、接着層108により接着されることで接合される。
【0164】
外郭ケース31は、カバー部材110の一部、及び蓋部5eを内部に嵌合する。
【0165】
このように、カバー部材110の一部、及び蓋部5eが外郭ケース31内に嵌合することで、カーラ5A及びケース11の固定強度、並びに、カバー部材110及びケース11の固定強度を向上することが可能となる。さらに、カバー部材110と蓋部5eとの接合部が外郭ケース31により覆われるので、カバー部材110と蓋部5eとの接合部にシール性を向上できる。ここで言う接合部は、縁部111の線端面、接着層108、及び、第2裏面部5g2を含む部分である。
【0166】
また、上述した第3の実施形態では、第2羽部107aは、接着層108により蓋部5eに接合される構成を説明したが、これに限定されない。例えば、第2羽部107aは、蓋部5eに、接合部材により接合されてもよい。接合部材とは、二つの部材を機械的に接合する部材であり、例えば、カシメ用の突起、リベット、縫製用の糸等を含む。
【0167】
また、上述した、図21乃至図29に示された変形例は、カーラ5Aが蓋部5eを有する構成が説明されたが、これに限定されない。図21乃至図29に示された変形例は、第1の実施形態と同様に、裏蓋35を有するケース11と、第1対向部5aを有するカーラ5とを備える構成であってもよい。
また、上述した、第1乃至第3の実施形態、及び、図21乃至図29に示す第3の実施形態の変形例では、カーラ5が厚み方向に外郭ケース31の端部に並んで他の部位よりも幅方向に広い第1対向部5aを有し、第18シート部材106lがカーラ5の第1対向部5aに対向して他の部位よりも幅方向に広い第2対向部107を有する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、カーラ5の第1対向部5aが他の部位と幅方向に同じ幅を有する構成であってもよい。この構成であっても、第18シート部材106lの第2対向部107によって、接合代が増えるので、甲カフ74及びカーラ5の接合強度を向上できる。
【0168】
即ち、上述した各実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【符号の説明】
【0169】
1…血圧測定装置
3…装置本体
4…ベルト
5、5A…カーラ
5a…第1対向部
5a1…第1羽部
5e…蓋部
5f…第3羽部
5g…裏面
5g1…第1裏面部
5g2…第2裏面部
5i…孔
5j…突部
6…カフ構造体
7…流体回路
7a…第1流路
7b…第2流路
7c…第3流路
11…ケース
12…表示部
13…操作部
14…ポンプ
15…流路部
16…開閉弁
16A…第1開閉弁
16B…第2開閉弁
17…圧力センサ
17A…第1圧力センサ
17B…第2圧力センサ
18…電力供給部
19…振動モータ
20…制御基板
31…外郭ケース
31a…ラグ
31b…バネ棒
32…風防
33…基部
35…裏蓋
35a…ビス
41…釦
42…センサ
43…タッチパネル
51…基板
52…加速度センサ
53…通信部
54…記憶部
55…制御部
61…第1ベルト
61a…第1孔部
61b…第2孔部
61c…尾錠
61d…枠状体
61e…つく棒
62…第2ベルト
62a…小孔
62b…第3孔部
71…平カフ(カフ)
71A…押圧カフ
72…背板
72a…溝
73…センシングカフ
74…甲カフ(カフ)
75…フラット板
76…袋状カバー体
81…空気袋(袋状構造体)
81a…溶着部
82…挿入孔
86…シート部材
86a…第1シート部材
86b…第2シート部材
86b1…開口
86c…第3シート部材
86c1…開口
86d…第4シート部材
91…空気袋(袋状構造体)
92…チューブ
93…接続部
96…シート部材
96a…第5シート部材
96b…第6シート部材
101…空気袋(袋状構造体)
101a…溶着部
102…チューブ
103…接続部
106…シート部材
106a…第7シート部材
106b…第8シート部材
106b1…開口
106c…第9シート部材
106c1…開口
106d…第10シート部材
106d1…開口
106e…第11シート部材
106e1…開口
106f…第12シート部材
106f1…開口
106g…第13シート部材
106g1…開口
106h…第14シート部材
106h1…開口
106i…第15シート部材
106i1…開口
106j…第16シート部材
106j1…開口
106k…第17シート部材
106k1…開口
106l…第18シート部材
107、107A…第2対向部
107a…第2羽部
107a1…第2羽部
107b…孔
108…接着層
110…カバー部材
111…縁部
113…突部
200…手首
210…動脈
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