IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星電子株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-生体信号品質評価装置及び方法 図1
  • 特許-生体信号品質評価装置及び方法 図2
  • 特許-生体信号品質評価装置及び方法 図3A
  • 特許-生体信号品質評価装置及び方法 図3B
  • 特許-生体信号品質評価装置及び方法 図4
  • 特許-生体信号品質評価装置及び方法 図5A
  • 特許-生体信号品質評価装置及び方法 図5B
  • 特許-生体信号品質評価装置及び方法 図6
  • 特許-生体信号品質評価装置及び方法 図7
  • 特許-生体信号品質評価装置及び方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】生体信号品質評価装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20221011BHJP
   A61B 5/346 20210101ALI20221011BHJP
   A61B 5/0295 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
A61B5/02 310H
A61B5/346
A61B5/0295
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018224468
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2019098183
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】10-2017-0164562
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0076515
(32)【優先日】2018-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 大 根
(72)【発明者】
【氏名】權 義 根
(72)【発明者】
【氏名】尹 勝 槿
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0180044(US,A1)
【文献】特表2003-534530(JP,A)
【文献】特表2010-504793(JP,A)
【文献】特表2012-502670(JP,A)
【文献】特開2016-045939(JP,A)
【文献】特開2014-176584(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03403574(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02
A61B 5/346
A61B 5/0295
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体信号を獲得する生体信号獲得部と、
前記獲得された生体信号から周期信号を抽出し、該抽出された周期信号間の類似度に基づいて信号品質指数を決定するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、所定距離ほど互いに離隔された周期信号間の類似度を算出し、
前記プロセッサは、異なるK値を有する2つ以上のK-隣接類似度の組み合わせに基づいて信号品質指数を決定し、
前記K値は、前記抽出された周期信号間の距離を示し、
前記K値がそれぞれIとJ(但し、I≠J)である場合、前記プロセッサは、I-隣接類似度とJ-隣接類似度とをそれぞれ計算し、前記I-隣接類似度の平均と前記J-隣接類似度の平均との積を信号品質指数として算出することを特徴とする生体信号品質評価装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記抽出された周期信号のうちの少なくとも1つが他の周期信号とは異なる周期を有する場合、前記抽出された周期信号間の類似度の算出のために前記抽出された周期信号を前処理することを特徴とする請求項1に記載の生体信号品質評価装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記抽出された周期信号が同じサンプル数(N)になるように前記抽出された周期信号のうちの少なくとも1つをリサンプリングすることを特徴とする請求項2に記載の生体信号品質評価装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記抽出された周期信号のそれぞれで類似度評価区間を決定し、前記決定された類似度評価区間で前記周期信号間の類似度を算出することを特徴とする請求項2に記載の生体信号品質評価装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記抽出された周期信号と基準信号との間の類似度を算出し、前記抽出された周期信号を重畳することで得られた前記抽出された周期信号の平均信号を基準信号として決定することを特徴とする請求項1に記載の生体信号品質評価装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記周期信号間から算出された類似度の統計情報に基づいて前記信号品質指数を決定することを特徴とする請求項1に記載の生体信号品質評価装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、少なくとも1つの周期信号を含むように信号分析区間を決定することを特徴とする請求項1に記載の生体信号品質評価装置。
【請求項8】
生体信号を獲得する生体信号獲得部と、
前記獲得された生体信号から周期信号を抽出し、前記獲得された生体信号の信号変異度に基づいて信号品質指数を決定するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記獲得された生体信号の振幅変異度及び時間変異度のうちの少なくとも1つを含む信号変異度を算出し、該算出された信号変異度に基づいて前記信号品質指数を決定し、
前記プロセッサは、前記抽出された周期信号の振幅及び周期のうちの少なくとも1つの標準偏差又は変動係数を算出し、該算出された標準偏差又は変動係数に基づいて前記信号品質指数を決定し、
前記信号品質指数は、前記周期の標準偏差又は変動係数に反比例することを特徴とする生体信号品質評価装置。
【請求項9】
前記獲得された生体信号、前記抽出された周期信号、類似度評価区間、信号分析区間、基準信号、前記周期信号間の類似度、前記信号変異度、及び前記信号品質指数のうちの少なくとも1つを出力する出力部を更に含むことを特徴とする請求項1又は8に記載の生体信号品質評価装置。
【請求項10】
前記生体信号は、心電図(ECG)、光電容積脈波(PPG)、心弾動図(BCG)、及び心音のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は8に記載の生体信号品質評価装置。
【請求項11】
生体信号を獲得する段階と、
前記獲得された生体信号から周期信号を抽出する段階と、
前記抽出された周期信号間の類似度に基づいて信号品質指数を決定する段階と、を有し、
前記信号品質指数を決定する段階は、所定距離ほど互いに離隔された周期信号間の類似度を算出する段階と、
異なるK値を有する2つ以上のK-隣接類似度の組み合わせに基づいて信号品質指数を決定する段階と、を含み、
前記K値は、前記抽出された周期信号間の距離を示し、
前記異なるK値を有する2つ以上のK-隣接類似度の組み合わせに基づいて信号品質指数を決定する段階は、前記K値がそれぞれIとJ(但し、I≠J)である場合、I-隣接類似度とJ-隣接類似度とをそれぞれ計算し、前記I-隣接類似度の平均と前記J-隣接類似度の平均との積を信号品質指数として算出する段階を含むことを特徴とする生体信号品質評価方法。
【請求項12】
前記抽出された周期信号のうちの少なくとも1つが他の周期信号とは異なる周期を有する場合、前記抽出された周期信号間の類似度の算出のために前記抽出された周期信号を前処理する段階を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の生体信号品質評価方法。
【請求項13】
前記前処理する段階は、前記抽出された周期信号が同じサンプル数(N)になるように前記抽出された周期信号のうちの少なくとも1つをリサンプリングすることを特徴とする請求項12に記載の生体信号品質評価方法。
【請求項14】
前記前処理する段階は、前記抽出された周期信号のそれぞれで類似度評価区間を決定し、前記決定された類似度評価区間で前記周期信号間の類似度を算出することを特徴とする請求項12に記載の生体信号品質評価方法。
【請求項15】
前記信号品質指数を決定する段階は、前記抽出された周期信号と基準信号との間の類似度を算出する段階を更に含み、
前記類似度を算出する段階は、前記抽出された周期信号を重畳することで得られた前記抽出された周期信号の平均信号を基準信号として決定する段階を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の生体信号品質評価方法。
【請求項16】
生体信号を獲得する段階と、
前記獲得された生体信号から周期信号を抽出する段階と、
前記獲得された生体信号の信号変異度に基づいて信号品質指数を決定する段階と、を有し、
前記信号品質指数を決定する段階は、前記獲得された生体信号の振幅変異度及び時間変異度のうちの少なくとも1つを含む信号変異度を算出し、該算出された信号変異度に基づいて前記信号品質指数を決定する段階を含み、
前記信号品質指数を決定する段階は、前記抽出された周期信号の振幅及び周期のうちの少なくとも1つの標準偏差又は変動係数を算出する段階と、
前記算出された標準偏差又は変動係数に基づいて前記信号品質指数を決定する段階と、を含み、
前記信号品質指数は、前記周期の標準偏差又は変動係数に反比例することを特徴とする生体信号品質評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体から獲得された生体信号の品質を評価する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体信号から生体情報を測定又は推定する際に、測定された生体信号品質は、測定又は推定された生体信号の信頼度に影響を及ぼす。
【0003】
生体信号の品質を評価する方法として、生体信号の周波数のスペクトルを計算し、有効生体情報が含まれる生体信号の周波数帯域における電力(power)を計算し、それ以外の周波数帯域における電力を計算して、信号対雑音比(SNR:signal to noise ratio)を通じて生体信号の品質を評価する方法がある。
【0004】
また、生体信号が0を基準に正の値と負の値とを交差する個数を算出して、ゼロ交差点が多いほど信号品質が低いと評価する方法がある。
【0005】
最近、デバイスの小型化、プロセッサの限定された演算量内で生体信号の品質を評価しながら、信号/雑音を区分する敏感度(sensitivity)及び特異度(specificity)が高い生体信号品質評価方法が研究されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-018587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、生体信号の品質及び信頼度を定量化する生体信号品質評価装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による生体信号品質評価装置は、生体信号を獲得する生体信号獲得部と、前記獲得された生体信号から周期信号を抽出し、該抽出された周期信号間の類似度に基づいて信号品質指数を決定するプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、所定距離ほど互いに離隔された周期信号間の類似度を算出し、前記プロセッサは、異なるK値を有する2つ以上のK-隣接類似度の組み合わせに基づいて信号品質指数を決定し、前記K値は、前記抽出された周期信号間の距離を示し、前記K値がそれぞれIとJ(但し、I≠J)である場合、前記プロセッサは、I-隣接類似度とJ-隣接類似度とをそれぞれ計算し、前記I-隣接類似度の平均と前記J-隣接類似度の平均との積を信号品質指数として算出することを特徴とする
【0009】
前記プロセッサは、前記抽出された周期信号のうちの少なくとも1つが他の周期信号とは異なる周期(duration)を有する場合、前記抽出された周期信号間の類似度の算出のために前記抽出された周期信号を前処理し得る。
前記プロセッサは、前記抽出された周期信号が同じサンプル数(N)になるように前記抽出された周期信号のうちの少なくとも1つをリサンプリング(resampling)し得る。
前記プロセッサは、前記抽出された周期信号のそれぞれで類似度評価区間を決定し、前記決定された類似度評価区間で前記周期信号間の類似度を算出し得る。
記プロセッサは、前記抽出された周期信号と基準信号との間の類似度を算出し、前記抽出された周期信号を重畳することで得られた前記抽出された周期信号の平均信号(average signal)を基準信号として決定し得る。
前記プロセッサは、前記周期信号間から算出された類似度の統計情報に基づいて前記信号品質指数を決定し得る。
記プロセッサは、少なくとも1つの周期信号を含むように信号分析区間を決定し得る。
また、上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による生体信号品質評価装置は、生体信号を獲得する生体信号獲得部と、前記獲得された生体信号から周期信号を抽出し、前記獲得された生体信号の信号変異度に基づいて信号品質指数を決定するプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記獲得された生体信号の振幅変異度及び時間変異度のうちの少なくとも1つを含む信号変異度を算出し、該算出された信号変異度に基づいて前記信号品質指数を決定し、前記プロセッサは、前記抽出された周期信号の振幅及び周期のうちの少なくとも1つの標準偏差又は変動係数を算出し、該算出された標準偏差又は変動係数に基づいて前記信号品質指数を決定し、前記信号品質指数は、前記周期の標準偏差又は変動係数に反比例することを特徴とする。
記生体信号品質評価装置は、前記獲得された生体信号、前記抽出された周期信号、類似度評価区間、信号分析区間、基準信号、前記周期信号間の類似度、前記信号変異度、及び前記信号品質指数のうちの少なくとも1つを出力する出力部を更に含み得る。
前記生体信号は、心電図(ECG:electrocardiogram)、光電容積脈波(PPG:photoplethysmography)、心弾動図(BCG:ballistocardiogram)、及び心音(heart sound)のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による生体信号品質評価方法は、生体信号を獲得する段階と、前記獲得された生体信号から周期信号を抽出する段階と、前記抽出された周期信号間の類似度に基づいて信号品質指数を決定する段階と、を有し、前記信号品質指数を決定する段階は、所定距離ほど互いに離隔された周期信号間の類似度を算出する段階と、異なるK値を有する2つ以上のK-隣接類似度の組み合わせに基づいて信号品質指数を決定する段階と、を含み、前記K値は、前記抽出された周期信号間の距離を示し、前記異なるK値を有する2つ以上のK-隣接類似度の組み合わせに基づいて信号品質指数を決定する段階は、前記K値がそれぞれIとJ(但し、I≠J)である場合、I-隣接類似度とJ-隣接類似度とをそれぞれ計算し、前記I-隣接類似度の平均と前記J-隣接類似度の平均との積を信号品質指数として算出する段階を含むことを特徴とする
【0011】
前記生体信号品質評価方法は、前記抽出された周期信号のうちの少なくとも1つが他の周期信号とは異なる周期を有する場合、前記抽出された周期信号間の類似度の算出のために前記抽出された周期信号を前処理する段階を更に含み得る。
前記前処理する段階は、前記抽出された周期信号が同じサンプル数(N)になるように前記抽出された周期信号のうちの少なくとも1つをリサンプリングし得る。
前記前処理する段階は、前記抽出された周期信号のそれぞれで類似度評価区間を決定し、前記決定された類似度評価区間で前記周期信号間の類似度を算出し得る。
前記信号品質指数を決定する段階は、前記抽出された周期信号と基準信号との間の類似度を算出する段階を更に含み、前記類似度を算出する段階は、前記抽出された周期信号を重畳することで得られた前記抽出された周期信号の平均信号を基準信号として決定する段階を更に含み得る。
また、上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による生体信号品質評価方法は、生体信号を獲得する段階と、前記獲得された生体信号から周期信号を抽出する段階と、前記獲得された生体信号の信号変異度に基づいて信号品質指数を決定する段階と、を有し、前記信号品質指数を決定する段階は、前記獲得された生体信号の振幅変異度及び時間変異度のうちの少なくとも1つを含む信号変異度を算出し、該算出された信号変異度に基づいて前記信号品質指数を決定する段階を含み、前記信号品質指数を決定する段階は、前記抽出された周期信号の振幅及び周期のうちの少なくとも1つの標準偏差又は変動係数を算出する段階と、前記算出された標準偏差又は変動係数に基づいて前記信号品質指数を決定する段階と、を含み、前記信号品質指数は、前記周期の標準偏差又は変動係数に反比例することを特徴とする。

【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、生体信号の品質及び信頼度を定量化し、生体信号から推定される生体情報の信頼度を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】生体信号品質評価装置の一実施形態を示すブロック図である。
図2】生体信号の分割の一例を説明する図である。
図3A】生体信号の前処理の一例を説明する図である。
図3B】生体信号の前処理の他の例を説明する図である。
図4】周期信号のK-隣接類似度を算出する一例を説明する図である。
図5A】生体信号の振幅変異度の一例を説明する図である。
図5B】生体信号の時間変異度の一例を説明する図である。
図6】生体信号品質評価装置の他の実施形態を示すブロック図である。
図7】生体信号品質評価方法の一例を示すフローチャートである。
図8】生体信号品質評価方法の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付けるに当って、同じ構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されていても、可能な限り同じ符号を有することに留意しなければならない。また、本発明を説明するに当って、関連する公知の機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にする虞があると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0015】
一方、各段階において、各段階は、文脈上明白に特定の順序を記載していない限り、明記された順序と異なって起こり得る。即ち、各段階は、明記された順序と同様に行われ、実質的に同時に行われることもあり、逆順にも行われる。
【0016】
後述する用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であって、これは、ユーザ、運用者の意図又は慣例などによって変わる。従って、その定義は、本明細書の全般に亘った内容に基づいて下されなければならない。
【0017】
本明細書において、単数の表現は、文脈上、取り立てて明示しない限り、複数の表現を含み、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在するということを指定するものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
【0018】
以下、本発明の生体信号品質評価装置及び方法を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、生体信号品質評価装置の一実施形態を示すブロック図である。生体信号品質評価装置100は、獲得された生体信号から1つ以上の周期信号を抽出し、該抽出された周期信号間の類似度、及び獲得された生体信号の信号変異度のうちの少なくとも1つに基づいて信号品質指数を決定する。
【0020】
生体信号品質評価装置100は、獲得された生体信号で信号品質指数の算出のための信号分析区間を決定し、信号分析区間内で類似度の判断のための1つ以上の周期信号を抽出する。
【0021】
生体信号品質評価装置100は、抽出された周期信号間の類似度を算出して生体信号の品質を評価する。
【0022】
生体信号は、恒常性(homeostasis)保持のために短時間に急激な変化を起こさないことから、生体信号品質評価装置100は、獲得された生体信号から抽出された周期信号の波形(waveform)間の類似度(similarity)に基づいて生体信号の品質を評価することができる。
【0023】
例えば、生体信号品質評価装置100は、生体信号品質評価のために抽出された周期信号をリサンプリングするか、或いは周期信号の一部区間を類似度評価区間として抽出する前処理を行い、前処理された周期信号の類似度を算出することにより、獲得された生体信号の品質を評価する。
【0024】
他の例として、生体信号品質評価装置100は、信号分析区間の信号変異度に基づいて、獲得された生体信号の品質を評価する。例えば、生体信号品質評価装置100は、信号分析区間で生体信号の振幅変化又は抽出された各周期信号の周期に基づいて、獲得された生体信号の信号変異度を算出し、該算出された生体信号の変異度に基づいて生体信号の品質を評価する。
【0025】
この際、生体信号品質評価装置100は、獲得された生体信号の生体信号変異度を先に算出して、変異度が低い生体信号を対象にして周期信号の類似度を算出し、或いは周期信号の類似度を先に算出し、生体信号の変異度を算出して、該算出された周期信号の類似度に信頼度を付与する。
【0026】
これに制限されず、周期信号間の類似度及び生体信号の変異度算出は、選択的、並列的、及び/又は順次に行われる。
【0027】
一方、生体信号品質評価装置100は、ソフトウェアモジュールとして具現されるか、又はハードウェアチップの形態で製作されて電子装置に搭載される。この際、電子装置は、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ノート型パソコン、PDA(Personal Digital Assistants)、PMP(Portable Multimedia Player)、ナビゲーション、MP3プレーヤー、デジタルカメラ、ウェアラブルデバイスなどを含む。しかし、電子装置は、上述した例に制限されず、多様なデバイスを含み得る。
【0028】
以下、図1図5Bを参照して、生体信号品質評価装置が行う生体信号の品質評価について詳しく説明する。
【0029】
図1を参照すると、生体信号品質評価装置100は、生体信号獲得部110及びプロセッサ120を含む。ここで、プロセッサ120は、1つ以上のプロセッサ、メモリ、及びこれらの組み合わせで構成される。
【0030】
生体信号獲得部110は、ユーザの生体信号を獲得する。
【0031】
ここで、生体信号は、心電図(ECG)、光電容積脈波(PPG)、心弾動図(BCG)、及び心音、インピーダンス心電図(ICG:impedance cardiograph)、インピーダンス光電容積脈波(IPG:impedance plethysmograph)、動脈などにおける圧力波(pressure wave)及び人の反復する動き(例:足取り、目の瞬きなど)によって発生する周期的信号及び周期性を有する体内の構成成分の変化を含む。
【0032】
例えば、生体信号獲得部110は、生体信号の測定のための1つ以上の電極、圧力センサー、分光計、身体インピーダンス測定回路、並びに光源及び検出器を含む光検出モジュールのうちの少なくとも1つを含むセンサー部を更に含み、センサー部を通じてユーザと直接インターフェースされて生体信号を獲得する。
【0033】
また、生体信号獲得部110は、外部装置と通信を行って、外部装置からユーザの生体信号データを受信する。例えば、生体信号獲得部110は、ブルートゥース(登録商標)(bluetooth(登録商標))通信、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信、近距離無線(Near Field Communication:NFC)通信、WLAN通信、ジグビー(Zigbee(登録商標))通信、赤外線(Infrared Data Association:IrDA)通信、WFD(Wi-Fi Direct)通信、UWB(ultra-wideband)通信、Ant+通信、Wi-Fi通信、RFID(Radio Frequency Identification)通信などを通じて外部装置からユーザの生体信号データを受信する。一方、外部装置は、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ノート型パソコン、PDA、PMP、ナビゲーション、MP3プレーヤー、デジタルカメラ、ウェアラブルデバイスなどを含む。しかし、外部装置は、上述した例に制限されず、ユーザの生体信号データを保存する多様なデバイスを含み得る。
【0034】
プロセッサ120は、獲得された生体信号から1つ以上の周期信号を抽出して、周期信号間の類似度、及び生体信号の変異度のうちの少なくとも1つに基づいて信号品質指数を算出する。
【0035】
例えば、プロセッサ120は、獲得された生体信号で信号品質指数の算出のための信号分析区間を決定する。
【0036】
図2は、生体信号の分割(segmentation)の一例を説明する図である。
【0037】
図1及び図2を参照すると、プロセッサ120は、獲得された生体信号で1つ以上の周期信号を含む信号分析区間を決定する。
【0038】
例えば、光電容積脈波(以下、‘PPG’と称する)の品質を評価する場合、プロセッサ120は、一般的に0.4Hz~10Hzの範囲内にあるPPG信号の周波数に基づいてPPG信号の信号分析区間を決定する。例えば、プロセッサ120は、約15回のPPG波形がPPG信号から検出されるように、PPG信号で任意の15秒区間を信号分析区間として決定する。
【0039】
しかし、これに制限されず、プロセッサ120は、プロセッサ120の演算能力及び/又はユーザの設定によって、既定の時間(例:約10秒)の間の生体信号を信号品質指数の算出のための信号分析区間として決定することができる。
【0040】
また、プロセッサ120は、生体信号で複数の信号分析区間を決定する。
【0041】
プロセッサ120は、獲得された生体信号から1つ以上の周期信号を抽出する。
【0042】
再び図1及び図2を参照すると、プロセッサ120は、獲得された生体信号が周期性を有する生体信号である場合、獲得された生体信号から、一周期単位で生体信号を分割することにより周期信号を抽出する。一例として、プロセッサ120は、獲得された生体信号から特徴点検出(例:開始点(PPG onset)、最大傾き地点(maximum slope point)、最大加速度地点(maximum point of second derivative of PPG)、接線交差地点(intersecting tangent point)など)に基づいて周期信号を抽出する。
【0043】
一方、プロセッサ120は、抽出された1つ以上の周期信号に基づいて類似度を算出するために、前処理を行う。例えば、周期信号を抽出する際に、同じ時間単位ではない生体信号の特徴点検出を通じて周期信号を抽出した場合、抽出された各周期信号の長さ(length)、周期、又は持続時間はそれぞれ異なる。
【0044】
例えば、プロセッサ120は、抽出された周期信号のうちの少なくとも何れか1つが他の周期信号とは異なる周期を有する場合、抽出された周期信号間の類似度の算出のために、抽出された周期信号を前処理する。
【0045】
図3Aは、生体信号の前処理の一例を説明する図である。
【0046】
図1及び図3Aを参照すると、プロセッサ120は、抽出された周期信号が同じサンプル数(N)になるように、抽出された周期信号のうちの少なくとも1つをリサンプリングする。例えば、生体信号獲得部110から獲得された生体信号は、同じサンプリングレート(sampling rate)でサンプリング(sampling)されて測定及び/又は受信される。この場合、抽出された周期信号のうちの少なくとも何れか1つが他の周期信号とは異なる長さ及び/又は周期を有する場合、抽出された周期信号のサンプル数(N)はそれぞれ異なり、それぞれ異なる長さ及び/又は周期を有する周期信号を比較することは、周期信号間の波形の類似度の算出に適しないこともある。
【0047】
従って、プロセッサ120は、抽出された周期信号のうちの少なくとも何れか1つが他の周期信号とは異なる長さ及び/又は周期を有する場合、抽出された各周期信号が既定のサンプル数(N)になるようにリサンプリングを行う前処理を行う。このために、プロセッサ120は、サンプリングレートを調節して各周期信号をリサンプリングする。
【0048】
例えば、第1周期信号と第2周期信号とが互いに異なる長さ及び/又は周期を有し、プロセッサ120が同じサンプリングレート(例:40Hz)で2つの信号をサンプリングする場合、第1周期信号及び第2周期信号のサンプル数(N)は互いに異なる(例えば、第1周期信号及び第2周期信号がそれぞれ1秒及び1.25秒の互いに異なる周期を有するが、40Hzの同じレートを第1周期信号及び第2周期信号に適用すると、第1周期信号では40個のサンプルを、第2周期信号では50個のサンプルが獲得される)。この際、プロセッサ120は、第1周期信号と第2周期信号とが同じサンプル数(N)(例:N=20samples)になるように、第1周期信号はサンプリングレートを20Hzでリサンプリングし、第2周期信号はサンプリングレートを16Hzに変更してリサンプリングする。
【0049】
このように、プロセッサ120は、抽出された周期信号の周期によってそれぞれ異なるサンプリングレートでリサンプリングすることにより、それぞれ周期が異なる周期信号間の類似度(R)を算出する。
【0050】
但し、これは一例であって、プロセッサ120は、必要に応じて各周期信号に対するサンプリングレートを可変的に適用してリサンプリングすることにより、抽出された周期信号のうちの少なくとも何れか1つが他の周期信号とは異なる長さ及び/又は周期を有する場合にも、同じサンプル地点(sample point)で各周期信号間の類似度を算出することができる。
【0051】
図3Bは、生体信号の前処理の他の例を説明する図である。
【0052】
例えば、プロセッサ120は、抽出された周期信号のそれぞれで類似度評価区間を決定し、該決定された類似度評価区間で周期信号の類似度を算出する。
【0053】
図1及び図3Bを参照すると、プロセッサ120は、抽出された周期信号のうちの少なくとも何れか1つが他の周期信号とは異なる長さ及び/又は周期を有する場合、各周期信号の一部領域(例:各周期信号の初期30samplesなど)を抽出し、該抽出された領域を類似度評価区間として決定する。
【0054】
但し、これに制限されるものではなく、プロセッサ120は、プロセッサ120の演算量、生体信号品質評価装置の電力供給状態(例:モバイル端末に搭載された場合、バッテリ残量など)に基づいて、各周期信号の全領域の類似度を算出する代わりに、抽出された周期信号の一部領域を類似度評価区間として決定する前処理を行い、類似度評価区間のみで各周期信号の類似度を評価することにより、プロセッサ120の限定された演算能力内で迅速な計算を行うことができる。
【0055】
この際、類似度は、相関係数(correlation coefficient)、動的整合(DTW:dynamic time warping)、各周期信号間の差(signal difference)などを含む類似度評価指標を使用して計算されるが、類似度評価指標は例示的なものであって、プロセッサ120は、各周期信号間の類似度を示す多様な類似度評価指標を使用することができる。
【0056】
説明の便宜上、抽出された周期信号のうちの少なくとも何れか1つが他の周期信号とは異なる周期を有する場合に、抽出された周期信号を前処理する例を中心に説明したが、これに制限されず、プロセッサ120は、抽出された周期信号の類似度の算出のために、抽出された周期信号を前処理することができる。
【0057】
プロセッサ120は、抽出された周期信号と、各周期信号に対するKほど離れたK-隣接周期信号及び基準信号のうちの少なくとも1つとの間の類似度を算出する。
【0058】
例えば、プロセッサ120は、抽出された周期信号のそれぞれに対してK-隣接周期信号間の類似度を算出する。
【0059】
図4は、周期信号のK-隣接類似度を算出する一例を説明する図である。
【0060】
K-隣接周期信号は、抽出された周期信号のうちの何れか1つの周期信号(例:L番目の周期信号)に対してKほど離れた周期信号(例:L+K番目の周期信号)を意味し、Kは、整数である。
【0061】
例えば、図1及び図4を参照すると、プロセッサ120は、抽出された周期信号のそれぞれと、抽出された周期信号のそれぞれからKほど離れた周期信号との間の類似度を算出する。一例として、プロセッサ120は、抽出された周期信号と、抽出された周期信号からKほど離れた周期信号との間の類似度を算出することにより、抽出された周期信号間の類似度を算出する。この際、Kが1である場合、プロセッサ120は、抽出された周期信号のそれぞれと全ての隣接する周期信号との間の類似度(R11、R12、…、R1n)を算出する。
【0062】
他の例として、プロセッサ120は、抽出された周期信号と基準信号(reference signal)との間の類似度を算出する。
【0063】
ここで、基準信号は、抽出された周期信号のうちの何れか1つの周期信号、又は抽出された周期信号を重畳することで得られた抽出された周期信号の平均信号(例:アンサンブル平均(ensemble average))である。
【0064】
例えば、プロセッサ120は、抽出された周期信号を重畳することで得られた抽出された周期信号の平均信号(例:アンサンブル平均)を基準信号として決定して、抽出された周期信号との類似度を算出する。また、プロセッサ120は、抽出された周期信号のうちから最初に抽出された周期信号を基準信号として決定し、抽出された周期信号のうちから振幅又は周期の平均値を有する何れか1つの周期信号を選択して、その周期信号を基準信号として決定する。
【0065】
プロセッサ120は、決定された基準信号と抽出された周期信号とをそれぞれ比較することにより、類似度(R1、R2、…、Rn)を算出する。
【0066】
プロセッサ120は、周期信号間から算出された類似度の統計情報及び/又は類似度の組み合わせに基づいて信号品質指数を算出する。この際、統計情報は、平均、標準偏差、分散、変動係数、及び四分偏差係数であるが、これに制限されるものではない。
【0067】
例えば、基準信号と抽出された周期信号のそれぞれとを個別的に比較して類似度(R1、R2、…、Rn)が算出された場合、プロセッサ120は、算出された類似度の平均((R1+R2+…+Rn)/n)を算出し、該算出された類似度の平均値に基づいて信号品質指数(SQI、Signal Quality Index)を決定する。
【0068】
プロセッサ120は、異なるK値を有する少なくとも2つ以上のK-隣接類似度の組み合わせに基づいて信号品質指数を算出する。例えば、図4は、K値がそれぞれ1及び3である場合の、周期信号間の類似度を算出する一例を示したものである。
【0069】
一例として、プロセッサ120は、異なるK値を有する少なくとも2つ以上のK-隣接類似度の平均値の積(例:(1-隣接類似度の平均値)*(M/2-隣接類似度の平均値)、但し、Mは抽出された周期信号の個数)、合算、割算、又は関数に適用して算出された結果を信号品質指数として決定する。
【0070】
K値がそれぞれIとJ(但し、I≠J)である場合、プロセッサ120は、I-隣接類似度(RI1、RI2、…、RIn)とJ-隣接類似度(RJ1、RJ2、…、RJn)とをそれぞれ計算し、I-隣接類似度とJ-隣接類似度との統計量(例:平均)を組み合わせて信号品質指数を算出する。例えば、プロセッサ120は、I-隣接類似度の平均((RI1、RI2、…、RIn)/n)とJ-隣接類似度の平均((RJ1、RJ2、…、RJn)/n)との積を信号品質指数として算出する。このように異なるK値を有するK-隣接類似度の組み合わせを通じて、プロセッサ120は、生体信号の品質をより明確に評価することができる。
【0071】
例えば、I-隣接類似度の平均が0.9であり、J-隣接類似度の平均が0.8である場合と、I-隣接類似度の平均とJ-隣接類似度の平均とを乗算した場合(例:組み合わせられた類似度=0.72)とを比較することで、プロセッサ120は、獲得された生体信号の周期信号が信号分析区間内でどれほど類似した波形で分布しているかをより明確に判断することができる。
【0072】
また、プロセッサ120は、算出された類似度(R1、R2、…、Rn)に基づいて、抽出された周期信号のうちから、動雑音や不整脈のように不規則(irregular)的に発生した周期信号を選択的に除去する。
【0073】
例えば、第1周期信号と第1周期信号からKほど離れた第2周期信号との間の類似度を算出する場合、プロセッサ120は、算出された類似度(R1、R2、…、Rn)のうちから既定の臨界値(例:R=0.6)以下の類似度を有する第1周期信号と第2周期信号とを選別する。プロセッサ120は、選別された第1周期信号及び第2周期信号とは異なる周期信号の関係に基づいて不規則的に発生した周期信号を判断し、不規則的に発生した周期信号を除去した後に類似度を算出する。
【0074】
他の例として、プロセッサ120は、抽出された周期信号を重畳することで得られた抽出された周期信号の平均信号を基準信号として決定して、抽出された周期信号との類似度を算出する場合、プロセッサ120は、算出された類似度(R1、R2、…、Rn)のうちから既定の臨界値(例:R=0.6)以下の類似度を有する周期信号を選別して、その周期信号のみを除去した後に類似度を算出する。
【0075】
このように、不整脈や動雑音などによる不規則な信号のみを、獲得された生体信号から除去して類似度を算出することにより、不要に生体信号を再獲得する必要がなくなり、プロセッサ120は、ユーザの生体信号品質評価の要請に応答して迅速に結果を得て、獲得された生体信号の品質評価の信頼度を保証することができる。
【0076】
但し、これは、一例であって、これに制限されず、プロセッサ120は、獲得された生体信号から不規則的に発生した周期信号のみを除去する代わりに、生体信号獲得部110を制御して生体信号を再び獲得するか、或いは獲得された生体信号で信号分析区間を再び決定することができる。
【0077】
プロセッサ120は、獲得された生体信号の信号変異度を算出する。信号変異度は、獲得された生体信号が有する特徴値の変異率を追跡して算出された値である。
【0078】
図5Aは、生体信号の振幅変異度の一例を説明する図であり、図5Bは、生体信号の時間変異度の一例を説明する図である。
【0079】
プロセッサ120は、獲得された生体信号の振幅変異度及び時間変異度のうちの少なくとも1つを含む信号変異度を算出し、該算出された信号変異度に基づいて信号品質指数を算出する。
【0080】
一例として、プロセッサ120は、獲得された生体信号から抽出された周期信号の振幅(amplitude)平均を算出し、抽出された周期信号のそれぞれの振幅と算出された振幅平均との間の差が既定の基準値を超過する場合、獲得された生体信号の品質が低いと決定する。例えば、プロセッサ120は、抽出された周期信号のそれぞれの振幅と平均振幅との間の差が20%を超過する場合、プロセッサ120は、獲得された生体信号の品質指数を0に決定する。
【0081】
他の例として、プロセッサ120は、生体信号から抽出された周期信号の振幅の標準偏差又は変動係数を算出し、該算出された振幅の標準偏差又は変動係数に基づいて生体信号の信号品質指数を算出する。この際、信号品質指数は、生体信号の振幅の標準偏差又は変動係数に反比例する。
【0082】
他の例として、プロセッサ120は、獲得された生体信号から抽出された各周期信号の平均周期(average duration)を算出し、抽出された周期信号のそれぞれの周期と算出された平均周期との間の差が既定の基準値を超過する場合、獲得された生体信号の品質が低いと決定する。例えば、抽出された周期信号のそれぞれの周期と算出された平均周期との間の差が20%を超過する場合、プロセッサ120は、獲得された生体信号の品質指数を0に決定する。
【0083】
他の例として、プロセッサ120は、生体信号から抽出された周期信号の周期の標準偏差又は変動係数を算出し、該算出された周期の標準偏差又は変動係数に基づいて生体信号の信号品質指数を算出する。この際、信号品質指数は、周期の標準偏差又は変動係数に反比例する。
【0084】
また、プロセッサ120は、信号品質指数の算出のために決定された信号分析区間内の獲得された生体信号の信号変異度を算出する。この場合、プロセッサ120は、算出された信号変異度に基づいて、決定された信号分析区間の信号品質を算出する。
【0085】
プロセッサ120は、信号品質指数に基づいて獲得された生体信号の品質を判断する。
【0086】
例えば、プロセッサ120は、類似度評価指標の種類によって信号品質指数を算出し、該算出された信号品質指数によって、獲得された生体信号の品質を評価する。例えば、類似度評価指標が相関係数(R)である場合、R=1である時に、獲得された生体信号の周期信号間の類似度が最も高い結果である。この際、信号品質指数は1に決定され、プロセッサ120は、当該結果から獲得された生体信号の品質が高いと評価する。類似度評価指標は、0から1の間の値を有する。ここで、1は最も高い相関関係を示し、0は最も低い相関関係を示す。
【0087】
また、類似度評価指標が信号差(signal difference)である場合、信号差が小さく算出されるほど、獲得された生体信号の周期信号間の類似度が最も高い結果である。この際、プロセッサ120は、信号差の値に基づいて信号品質指数を算出し、該算出された信号品質指数によって、獲得された生体信号の品質を評価する。
【0088】
また、プロセッサ120は、算出された信号品質指数に基づいて生体情報の信頼度を算出する。ここで、生体情報の信頼度は、獲得された生体信号に基づいて生体情報を推定する際の、推定された生体情報の正確性を信頼することができる程度を意味する。
【0089】
例えば、類似度評価指標が相関係数であり、これにより算出された信号品質指数が0.8である場合、プロセッサ120は、獲得された生体信号から生体情報を推定する際に、推定された生体情報は、約80%の信頼度を有すると判断する。
【0090】
他の実施形態によると、プロセッサ120は、信号変異率の程度によって生体信号の品質指数を算出する。
【0091】
例えば、プロセッサ120は、獲得された生体信号から抽出された周期信号の振幅平均を算出し、抽出された周期信号のそれぞれの振幅と算出された振幅平均との間の差が既定の基準値を超過する場合、その超過した程度によって信号品質指数を算出する。例えば、算出された振幅変異度が既定の臨界値を超過(例:抽出された周期信号のうちの何れか1つの振幅が、獲得された生体信号の振幅平均を20%超過)する場合、プロセッサ120は、信号品質指数を0に決定する。抽出された周期信号のそれぞれの振幅と算出された振幅平均との間の差が既定の基準値以内である場合、信号品質指数は、その差に反比例する。
【0092】
他の例として、プロセッサ120は、生体信号から抽出された周期信号の振幅の標準偏差又は変動係数を算出し、該算出された振幅の標準偏差又は変動係数に基づいて生体信号の信号品質指数を算出する。この際、信号品質指数は、生体信号の振幅の標準偏差又は変動係数に反比例する。
【0093】
他の例として、プロセッサ120は、獲得された生体信号から抽出された各周期信号の平均周期を算出し、抽出された周期信号のそれぞれの周期と算出された平均周期との間の差が既定の基準値を超過(例:抽出された周期信号のうちの何れか1つの周期が、獲得された生体信号の平均周期の20%を超過)する場合、プロセッサ120は、信号品質指数を0に決定する。抽出された周期信号のそれぞれの周期と算出された平均周期との間の差が既定の基準値以内である場合、信号品質指数は、その差に反比例する。
【0094】
他の例として、プロセッサ120は、生体信号から抽出された周期信号の周期の標準偏差又は変動係数を算出し、該算出された周期の標準偏差又は変動係数に基づいて生体信号の信号品質指数を算出する。この際、信号品質指数は、周期の標準偏差又は変動係数に反比例する。
【0095】
また、プロセッサ120は、獲得された生体信号の信号品質指数によって、獲得された生体信号に基づいて生体情報を測定する。
【0096】
一例として、類似度評価指標が相関係数であり、これにより算出された信号品質指数が既定の臨界値(例:R=0.6)以上である場合、プロセッサ120は、獲得された生体信号に対して‘信頼することができる’と決定し、獲得された生体信号から生体情報を測定する。例えば、獲得された生体信号がPPG信号である場合、プロセッサ120は、PPG信号から生体情報と相関度が高い1つ以上の特徴を抽出し、該抽出された特徴の組み合わせに基づいて生体情報として血圧を測定する。
【0097】
一方、このように測定された生体情報は、プロセッサ120によって信頼度が保証された生体信号のみに基づいて測定されたものであるため、測定された生体情報の信頼度が保証される。
【0098】
このように、プロセッサ120は、所定期間又は連続して獲得された生体信号の品質を評価し、品質評価結果、信頼することができる程度の生体信号のみを対象にして生体情報を測定することにより、測定される生体情報の信頼度を保証することができる。プロセッサ120は、獲得された生体信号の信号品質指数によって、生体信号獲得部110を制御して生体信号を再び獲得する。
【0099】
例えば、類似度評価指標が相関係数であり、これにより算出された信号品質指数が既定の臨界値(例:R=0.6)未満である場合、プロセッサ120は、獲得された生体信号に対して‘信頼することができない’と決定し、獲得された生体信号を例外処理する。
【0100】
この際、プロセッサ120は、生体信号獲得部110を制御して例外処理された生体信号の個数ほど生体信号を再び獲得する。
【0101】
また、プロセッサ120は、生体信号の品質評価結果によって、警告情報及び正確な生体信号の獲得のためのガイド情報を生成する。
【0102】
例えば、プロセッサ120は、抽出された周期信号のうちから異なる周期信号の関係に基づいて不規則的に発生した周期信号を特定する。不規則的に発生した周期信号が抽出された周期信号の所定比率(例:抽出された周期信号の25%)を超過する場合、プロセッサ120は、生体信号の獲得及び/又は検出状態が良好でないと判断して、警告情報を生成する。
【0103】
他の例として、プロセッサ120は、生体信号の獲得及び/又は検出状態が良好でないと判断されると、正確な生体信号の獲得のためのガイド情報を生成する。
【0104】
例えば、生体信号獲得部110が生体信号の測定のための1つ以上のセンサーを使用して被検体とインターフェースされて生体信号を直接獲得する場合、生体信号の検出状態が良好でないという意味は、被検体と生体信号獲得部110との接触状態が不良であるか、被検体の動きによるものか、又は生体信号の測定地点が間違ったということを意味する。
【0105】
これにより、プロセッサ120は、被検体、例えば生体信号品質評価装置100を使用するユーザが、安定状態で既定の測定地点に被検地点を位置させ、測定期間の間に動かないことを勧奨する生体信号測定ガイド情報を生成する。
【0106】
この際、ガイド情報は、視覚的(例:イメージ映像など)、聴覚的(例:ビープ音など)、触覚的(例:振動の強度調節など)情報を含む。一例として、プロセッサ120は、既定の測定地点に生体信号獲得部110を位置させるイメージ映像と、既定の測定地点に被検地点が正しく位置されたか否かによって振動の強度を異ならせるガイド情報を生成する。
【0107】
このように、プロセッサ120は、生体信号の品質評価結果によって、生体信号を再測定するように誘導するか、或いは品質が良くない周期信号を除去することにより、動雑音などによって発生する不規則信号を除去して良好な生体信号のみを選別する。
【0108】
図6は、生体信号品質評価装置の他の実施形態を示すブロック図である。
【0109】
図6を参照すると、生体信号品質評価装置600は、生体信号獲得部610、プロセッサ620、入力部630、保存部640、通信部650、及び出力部660を含む。ここで、生体信号獲得部610及びプロセッサ620は、図1を参照して説明した生体信号獲得部110及びプロセッサ120と実質的に同じ機能を担うため、以下、重複しない構成を中心に説明する。
【0110】
入力部630は、ユーザから多様な操作信号及び生体信号の品質評価に必要なデータを入力する。
【0111】
例えば、入力部630は、キーパッド(key pad)、ドームスイッチ(dome switch)、タッチパッド(touch pad)(定圧/静電)、ジョグホイール(Jog wheel)、ジョグスイッチ(Jog switch)、H/Wボタンなどを含む。特に、タッチパッドがディスプレイと互いにレイヤ構造を成す場合、それをタッチスクリーンと呼ぶ。
【0112】
例えば、入力部630は、ユーザに対する年齢、性別、体重、体質量指数(body mass index:BMI)及び疾患履歴のうちの1つ以上を含むユーザ特性情報、又は生体信号測定地点及び生体信号の種類を入力する。
【0113】
保存部640は、生体信号品質評価装置600の動作のためのプログラム又は命令を保存し、生体信号品質評価装置600に入力/出力されるデータを保存する。一例として、保存部640は、入力部630を通じて入力されたユーザ特性情報、生体信号獲得部610から獲得された生体信号データ、当該生体信号の類似度、信号変異度、及び信号品質指数などを保存する。
【0114】
保存部640は、フラッシュメモリタイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリ(例えば、SD又はXDメモリなど)、RAM(Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、PROM(Programmable Read-Only Memory)、磁気メモリ、磁気ディスク、光ディスクなどの少なくとも1つのタイプの記録媒体を含む。また、生体信号品質評価装置600は、インターネット上で保存部640の保存機能を担うウェブストレージ(web storage)などの外部記録媒体を運用することもできる。
【0115】
通信部650は、外部装置と通信を行う。例えば、通信部650は、入力部630を通じてユーザから入力されたユーザ特性情報、生体信号獲得部610を通じて獲得された生体信号、プロセッサ620による生体信号品質評価結果などを外部装置に伝送するか、或いは外部装置からユーザ特性情報、生体信号、及び類似度の判断のための基準信号などの多様なデータを受信する。
【0116】
この際、外部装置は、生体信号品質データベース(DB)及び/又は生体信号品質評価結果を使用する医療装置、結果物を出力するためのプリント、又は生体信号品質評価結果をディスプレイするディスプレイ装置である。それ以外にも、外部装置は、デジタルTV、デスクトップコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ノート型パソコン、PDA、PMP、ナビゲーション、MP3プレーヤー、デジタルカメラ、ウェアラブルデバイスなどであるが、これらに制限されるものではない。
【0117】
通信部650は、ブルートゥース(登録商標)通信、BLE通信、近距離無線(NFC)通信、WLAN通信、ジグビー(登録商標)通信、赤外線(IrDA)通信、WFD(Wi-Fi Direct)通信、UWB通信、Ant+通信、Wi-Fi通信、RFID通信、3G通信、4G通信、5G通信などを用いて外部装置と通信する。しかし、これは、一例に過ぎず、これらに限定されるものではない。
【0118】
出力部660は、プロセッサ620の制御によって、獲得された生体信号、抽出された周期信号、類似度評価区間、信号分析区間、周期信号間の類似度、基準信号、信号変異度、及び信号品質指数のうちの少なくとも1つを出力する。
【0119】
例えば、出力部660は、生体信号品質評価結果、獲得された生体信号の歪(distortion)を補正するためのガイド及び警告情報、獲得された生体信号の信頼度のうちの少なくとも1つ以上を聴覚的方法、視覚的方法、及び触覚的方法のうちの少なくとも1つの方法で出力する。このために、出力部660は、ディスプレイ、スピーカー、振動機などを含む。
【0120】
例えば、プロセッサ620は、生体信号品質評価結果が低いか、獲得された生体信号が歪を有するか、又は信頼度が低いと判断されると、出力部660を通じて生体信号の再測定のためのアラームを出力するか、或いは生体信号獲得部610の被検体に対する接触状態又は測定位置のうちの少なくとも1つを補正するためのガイドを生成して出力する。
【0121】
また、プロセッサ620は、獲得された生体信号の信号品質指数によって生体信号の再測定又は再獲得が必要であると判断される場合、生体信号獲得部610を制御して生体信号を再び獲得する。これに制限されず、プロセッサ620は、通信部650を通じて外部の生体信号データベース(DB)から新たな生体信号を受信することができる。
【0122】
図7は、生体信号品質評価方法の一例を示すフローチャートである。図7の生体信号品質評価方法は、図1に示した生体信号品質評価装置100によって行われる。
【0123】
図1及び図7を参照すると、生体信号品質評価装置100は、生体信号を獲得する(710段階)。
【0124】
例えば、生体信号品質評価装置100は、生体信号の測定のためのセンサーを含み、ユーザと直接インターフェースされたセンサーを通じて生体信号を獲得する。他の例として、生体信号品質評価装置100は、外部装置と通信を行って、外部装置からユーザの生体信号データを受信する。
【0125】
生体信号が獲得されると、生体信号品質評価装置100は、獲得された生体信号から、1つ以上の周期信号を抽出する(720段階)。
【0126】
一例として、生体信号品質評価装置100は、獲得された生体信号が周期性を有する生体信号である場合、獲得された生体信号から、一周期単位で生体信号を分割することにより、周期信号を抽出する。
【0127】
例えば、生体信号品質評価装置100は、獲得された生体信号から、開始点(PPG onset)、最大傾き地点、最大加速度地点、接線交差地点検出のような特徴点検出を通じて周期信号を抽出する。
【0128】
獲得された生体信号から周期信号が抽出されると、生体信号品質評価装置100は、抽出された周期信号間の類似度、及び獲得された生体信号の信号変異度のうちの少なくとも1つに基づいて信号品質指数を決定する(730段階)。
【0129】
例えば、生体信号品質評価装置100は、抽出された周期信号と、各周期信号に対するK-隣接周期信号及び基準信号のうちの少なくとも1つとの間の類似度を算出する。
【0130】
生体信号品質評価装置100は、抽出された周期信号のそれぞれに対してK-隣接周期信号間の類似度を算出する。
【0131】
例えば、生体信号品質評価装置100は、抽出された周期信号のそれぞれと、抽出された周期信号のそれぞれからKほど離れた周期信号との間の類似度を算出する。一例として、生体信号品質評価装置100は、抽出された周期信号と、抽出された周期信号からKほど離れた周期信号との間の類似度を算出することにより、抽出された周期信号間の類似度を算出する。この際、Kが1である場合、生体信号品質評価装置100は、抽出された周期信号のそれぞれと全ての隣接する周期信号との間の類似度(R11、R12、…、R1n)を算出する。
【0132】
また、生体信号品質評価装置100は、抽出された周期信号と基準信号との間の類似度を算出する。
【0133】
例えば、プロセッサ120は、抽出された周期信号を重畳することで得られた抽出された周期信号の平均信号(例:アンサンブル平均)を基準信号として決定して、抽出された周期信号との類似度を算出する。また、プロセッサ120は、抽出された周期信号のうちから最初に抽出された周期信号を基準信号として決定し、抽出された周期信号のうちから振幅又は周期の平均値を有する何れか1つの周期信号を選択して、その周期信号を基準信号として決定する。
【0134】
生体信号品質評価装置100は、決定された基準信号と抽出された周期信号とをそれぞれ比較することにより、類似度(R1、R2、…、Rn)を算出する。
【0135】
一方、生体信号品質評価装置100は、決定された基準信号と、獲得された生体信号から抽出された各周期信号とを比較することにより、算出された複数の類似度(R1、R2、…、Rn)の統計情報(例:平均、標準偏差など)を、獲得された生体信号に含まれる周期信号の類似度として決定する。
【0136】
また、生体信号品質評価装置100は、算出された複数の類似度(R1、R2、…、Rn)に基づいて、抽出された周期信号のうちから、動雑音や不整脈のように不規則的に発生した周期信号を選択的に除去する。
【0137】
例えば、生体信号品質評価装置100は、抽出された周期信号を重畳することで得られた抽出された周期信号の平均信号を基準信号として決定して、抽出された周期信号との類似度を算出する場合、生体信号品質評価装置100は、算出された類似度(R1、R2、…、Rn)のうちから既定の臨界値(例:R=0.6)以下の類似度を有する周期信号を選別して、その周期信号のみを除去して類似度を算出する。
【0138】
このように、不整脈や動雑音などによる不規則な信号のみを、獲得された生体信号から除去して類似度を算出することにより、不要に生体信号を再獲得する必要がなくなり、生体信号品質評価装置100は、ユーザの生体信号品質評価の要請に応答して迅速に結果を得て、獲得された生体信号の品質評価の信頼度を保証することができる。
【0139】
但し、これは、一例であって、これに制限されず、生体信号品質評価装置100は、獲得された生体信号から不規則的に発生した周期信号のみを除去する代わりに、生体信号を再び獲得するか、或いは獲得された生体信号で信号分析領域を再び決定して類似度を算出する。
【0140】
また、生体信号品質評価装置100は、異なるK値を有する少なくとも2つ以上のK-隣接類似度の組み合わせ、及び周期信号間から算出された類似度の統計情報のうちの少なくとも1つに基づいて信号品質指数を算出する。
【0141】
例えば、K値がそれぞれIとJ(但し、I≠J)である場合、生体信号品質評価装置100は、I-隣接類似度(RI1、RI2、…、RIn)とJ-隣接類似度(RJ1、RJ2、…、RJn)とをそれぞれ計算し、I-隣接類似度とJ-隣接類似度との統計量(例:平均)を組み合わせて信号品質指数を算出する。例えば、生体信号品質評価装置100は、I-隣接類似度の平均((RI1、RI2、…、RIn)/n)とJ-隣接類似度の平均((RJ1、RJ2、…、RJn)/n)との積を信号品質指数として決定する。このように異なるK値を有するK-隣接類似度の組み合わせを通じて、生体信号品質評価装置100は、生体信号の品質をより明確に評価することができる。
【0142】
一例として、I-隣接類似度の平均が0.9であり、J-隣接類似度の平均が0.8である場合と、I-隣接類似度の平均とJ-隣接類似度の平均とを乗算した場合(例:組み合わせられた類似度=0.72)とを比較することで、生体信号品質評価装置100は、獲得された生体信号の周期信号が信号分析区間内でどれほど類似した波形で分布しているかをより明確に判断することができる。
【0143】
一例として、生体信号品質評価装置100は、獲得された生体信号から抽出された周期信号間から算出された類似度の統計情報及び/又は類似度の組み合わせに基づいて信号品質指数を算出する。
【0144】
例えば、基準信号と抽出された周期信号のそれぞれとを個別的に比較して類似度(R1、R2、…、Rn)が算出された場合、生体信号品質評価装置100は、算出された類似度の平均((R1+R2+…+Rn)/n)を算出し、該算出された類似度の平均値に基づいて信号品質指数(SQI)を決定する。
【0145】
他の例として、生体信号品質評価装置100は、異なるK値を有する少なくとも2つ以上のK-隣接類似度の組み合わせに基づいて信号品質指数を算出する。一例として、生体信号品質評価装置100は、異なるK値を有する少なくとも2つ以上のK-隣接類似度の平均値の積(例:(1-隣接類似度の平均値)*(M/2-隣接類似度の平均値)、但し、Mは抽出された周期信号の個数)、合算、割算、又は関数に適用して算出された結果を信号品質指数として決定する。
【0146】
図8は、生体信号品質評価方法の他の例を示すフローチャートである。図8の生体信号品質評価方法は、図1及び/又は図6に示した生体信号品質評価装置(100、600)によって行われる。
【0147】
図6及び図8を参照すると、生体信号品質評価装置600は、生体信号を獲得する(810段階)。
【0148】
例えば、生体信号品質評価装置600は、生体信号の測定のためのセンサー及び/又は生体信号の受信のための通信モジュールを通じて生体信号を測定及び/又は獲得する。
【0149】
生体信号が獲得されると、生体信号品質評価装置600は、獲得された生体信号から1つ以上の周期信号を抽出する(820段階)。
【0150】
一例として、生体信号品質評価装置600は、獲得された生体信号が周期性を有する生体信号である場合、獲得された生体信号から、一周期単位で生体信号を分割することにより、周期信号を抽出する。
【0151】
生体信号品質評価装置600は、抽出された周期信号を前処理する(830段階)。
【0152】
例えば、生体信号品質評価装置600は、抽出された周期信号のうちの少なくとも何れか1つが他の周期信号とは異なる周期を有する場合、抽出された周期信号間の類似度の算出のために、抽出された周期信号を前処理する。
【0153】
以下、説明の便宜上、抽出された周期信号のうちの少なくとも何れか1つが他の周期信号とは異なる周期を有する場合、抽出された周期信号を前処理する実施形態を説明するが、これに制限されず、生体信号品質評価装置600は、抽出された周期信号の類似度の算出のために必要な場合(例:周期信号の整列(align)など)、抽出された周期信号を前処理することができる。
【0154】
例えば、生体信号品質評価装置600は、抽出された周期信号のうちの少なくとも何れか1つが他の周期信号とは異なる長さ及び/又は周期を有する場合、抽出された各周期信号が既定のサンプル数(N)になるように、各周期信号別にリサンプリングを行う前処理を行う。このために、プロセッサ120は、各周期信号をリサンプリングする際に、サンプリングレートを適切に調節してサンプリングを行う。
【0155】
他の例として、生体信号品質評価装置600は、抽出された周期信号のそれぞれで類似度評価区間を決定し、該決定された類似度評価区間で周期信号の類似度を算出する。一例として、生体信号品質評価装置600は、抽出された周期信号のうちの少なくとも何れか1つが他の周期信号とは異なる長さ及び/又は周期を有する場合、各周期信号の一部領域(例:各周期信号の初期30samplesなど)を抽出し、該抽出された領域を類似度評価区間として決定する。
【0156】
抽出された周期信号に対する前処理を行うと、生体信号品質評価装置600は、抽出された周期信号の間の類似度、及び獲得された生体信号の信号変異度のうちの少なくとも1つに基づいて信号品質指数を算出する(840段階)。
【0157】
例えば、生体信号品質評価装置600は、抽出された周期信号と、各周期信号に対するK-隣接周期信号及び基準信号のうちの少なくとも1つとの間の類似度を算出する。
【0158】
また、生体信号品質評価装置600は、抽出された周期信号のうちの何れか1つの周期信号を基準信号として決定するか、或いは抽出された周期信号を重畳することで得られた抽出された周期信号の平均信号(例:アンサンブル平均)を基準信号として決定する。
【0159】
基準信号が決定されると、生体信号品質評価装置600は、決定された基準信号と、獲得された生体信号から抽出された各周期信号とを比較することにより、類似度を算出する。
【0160】
一方、生体信号品質評価装置600は、決定された基準信号と、獲得された生体信号から抽出された各周期信号とを比較することにより、算出された複数の類似度(R1、R2、…、Rn)の統計情報(例:平均、標準偏差など)を、獲得された生体信号に含まれる周期信号の類似度として決定する。
【0161】
また、生体信号品質評価装置600は、異なるK値を有する2つ以上のK-隣接類似度の組み合わせ、及び周期信号間から算出された類似度の統計情報のうちの少なくとも1つに基づいて信号品質指数を算出する。
【0162】
例えば、生体信号品質評価装置600は、獲得された生体信号から抽出された周期信号間から算出された類似度の統計情報及び/又は類似度の組み合わせに基づいて信号品質指数を算出する。
【0163】
他の例として、生体信号品質評価装置600は、異なるK値を有する少なくとも2つ以上のK-隣接類似度の組み合わせに基づいて信号品質指数を算出する。
【0164】
生体信号品質評価装置600は、算出された信号品質指数を出力する(850段階)。
【0165】
例えば、生体信号品質評価装置600は、獲得された生体信号、抽出された周期信号、類似度評価区間、信号分析区間、周期信号の間の類似度、基準信号、信号変異度、及び信号品質指数のうちの少なくとも1つを出力する。
【0166】
本発明の一態様は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体にコンピュータ読み取り可能なコードとして具現される。プログラムを具現するコード及びコードセグメントは、当該分野のコンピュータプログラマーによって容易に推論される。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取られるデータが保存されるあらゆる種類の記録装置を含む。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスクなどを含む。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散されて、分散方式でコンピュータ読み取り可能なコードとして保存されて実行される。
【0167】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明は、生体信号品質評価装置及び方法関連の技術分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0169】
100、600 生体信号品質評価装置
110、610 生体信号獲得部
120、620 プロセッサ
630 入力部
640 保存部
650 通信部
660 出力部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8