特許 7154993 カップ部を有する衣類

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-10-07

(45)【発行日】2022-10-18

(54)【発明の名称】カップ部を有する衣類

(51)【国際特許分類】

   A41C 3/04 20060101AFI20221011BHJP

【ＦＩ】

A41C3/04 A

【請求項の数】 4

(21)【出願番号】P 2018235029

(22)【出願日】2018-12-17

(65)【公開番号】P2020097797

(43)【公開日】2020-06-25

【審査請求日】2021-11-04

【新規性喪失の例外の表示】特許法第３０条第２項適用 株式会社ルシアンによる各店舗への納品

(73)【特許権者】

【識別番号】715003523

【氏名又は名称】株式会社ルシアン

(74)【代理人】

【識別番号】100142365

【弁理士】

【氏名又は名称】白井 宏紀

(74)【代理人】

【識別番号】100146064

【弁理士】

【氏名又は名称】吉田 玲子

(72)【発明者】

【氏名】小野 弘美

【審査官】森本 哲也

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１３－０９１８６０（ＪＰ，Ａ）

【文献】登録実用新案第３１９５９５５（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２００９－０６８１４１（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ａ４１Ｃ ３／０４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

乳房を収容可能なカップ部を有する衣類であって、
一対のカップ部、カップ支持部、肩ストラップ、およびバック布を備え、
前記カップ支持部は、前記一対のカップ部の下縁に設けられ、
前記肩ストラップは、前記一対のカップ部の上部に設けられ、
前記バック布は、前記カップ部の脇側に設けられ、
前記カップ部は、表布と、脱着可能な成形部材と、前記成形部材を保持するための保持部とを有しており、
前記成形部材は、吸液パッドを貼付固定可能であり、
前記吸液パッドは、前記成形部材に貼付固定されて一体化した状態で前記保持部と表布との間に挿入され、
前記保持部は、前記カップ部の周縁部を囲み、装着時に前記吸液パッドが前記乳房の乳首部分に当接する位置に開口部を有しており、
前記保持部は、第１の保持部と第２の保持部との２つの部材からなり、
前記第１の保持部と前記第２の保持部とは、前記カップ部の周縁部を囲むように、各保持部の端部の少なくとも一部が重なるように対向して配置されており、
前記第１の保持部および前記第２の保持部のバストトップ点側の縁部は、前記衣類を構成する他の部材に固定されておらず、
前記各保持部の端部における重なり部分が、一方の端部の重なり部分は前記第１の保持部が上側となるように重なり、他方の端部の重なり部分は前記第２の保持部が上側となるように重なっていることを特徴とするカップ部を有する衣類。

【請求項2】

前記第１の保持部は、前記カップ部の脇側に設けられる脇側保持部であり、
前記第２の保持部は、前記カップ部の前側に設けられる前側保持部であり、
前記脇側保持部と前記前側保持部とは、前記カップ部の上部および下部において少なくとも一部が重なるように配置されている、請求項１記載のカップ部を有する衣類。

【請求項3】

前記保持部は、前記表布に比べて伸縮性が低いことを特徴とする、請求項１または２記載のカップ部を有する衣類。

【請求項4】

衣類が授乳用ブラジャーである、請求項１から３のいずれか一項に記載のカップ部を有する衣類。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、カップ部を有する衣類に関し、特に、出産後における授乳期において好適に着用することができる授乳用ブラジャー等のカップ部を有する衣類に関するものである。

【背景技術】

【0002】

授乳用ブラジャー等のカップ部を有する衣類は、カップ部の内側に母乳吸収用パッドなどを装着して使用されることが多い。使い捨ての母乳吸収用パッドは、通常、カップ部の内側に両面テープなどの取り外し可能な部材によって固定されて使用され、適宜取替えられている。この両面テープの粘着性はそれほど強くなく、また、授乳時に母乳吸収用パッドが折り曲がってしまうことで更に粘着性が弱まり、母乳吸収用パッドが剥がれてしまうという現象が起こりやすかった。その場合、動いている間に母乳吸収用パッドがどんどん上にずれ上がって来て、ブラジャーの上辺部分から飛び出してしまったり、母乳吸収用パッドが乳頭部から外れて母乳で衣類を汚してしまうといった課題があった。そこで、母乳吸収用パッドのずれを防止し、母乳を確実に母乳吸収用パッドに吸収させることのできる授乳用ブラジャーが提案されている（例えば、特許文献１参照。）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２００９－６８１４１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

従来の授乳用ブラジャーでは、使い捨ての母乳吸収用パッドがずれないために保持部を設けるといった工夫はされている。しかし、授乳用ブラジャーを着用したままの状態で紙パッドを交換しようとすると、紙パッドを装着するときに、保持部内に装着が困難である。例えば、固定用のテープが互いにくっついたり、所望の位置以外の場所にくっついたりすることもある。固定用テープは、ブラジャーの貼り付け位置の生地等を傷めない程度に考慮された貼り付け強度となっているため、一旦他の場所に貼り付いてしまうと、再貼付では十分な貼り付け強度が得られない場合もある。また、これらの使い捨ての母乳吸収用パッドは、紙やフィルム等の素材から作られているが、母乳吸収用パッドの端部が肌に当たって不快感がある、との問題もあった。また、授乳時にカップ部分を動かして乳房を露出するときに、紙パッドがゴワゴワして邪魔である。その時に固定用のテープが剥がれ、紙パッドがずれたり外れたりしやすいという課題もある。

【0005】

本発明は、パッド装着時の装着感に優れるとともに、パッドの着脱を簡便にかつ確実に行うことが可能である、カップ部を有する衣類を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

前記目的を達成するために、本発明のカップ部を有する衣類は、
乳房を収容可能なカップ部を有する衣類であって、
一対のカップ部、カップ支持部、肩ストラップ、およびバック布を備え、
前記カップ支持部は、前記一対のカップ部の下縁に設けられ、
前記肩ストラップは、前記一対のカップ部の上部に設けられ、
前記バック布は、前記カップ部の脇側に設けられ、
前記カップ部は、表布と、脱着可能な成形部材と、前記成形部材を保持するための保持部
とを有しており、
前記成形部材は、吸液パッドを貼付固定可能であり、
前記吸液パッドは、前記成形部材に貼付固定されて一体化した状態で前記保持部と表布と
の間に挿入され、
前記保持部は、前記カップ部の周縁部を囲み、装着時に前記吸液パッドが前記乳房の乳首
部分に当接する位置に開口部を有しており、
前記保持部は、第１の保持部と第２の保持部との２つの部材からなり、
前記第１の保持部と前記第２の保持部とは、前記カップ部の周縁部を囲むように、各保持部の端部の少なくとも一部が重なるように対向して配置されており、
前記第１の保持部および前記第２の保持部のバストトップ点側の縁部は、前記衣類を構成する他の部材に固定されておらず、
前記各保持部の端部における重なり部分が、一方の端部の重なり部分は前記第１の保持部が上側となるように重なり、他方の端部の重なり部分は前記第２の保持部が上側となるように重なっていることを特徴とする。

【発明の効果】

【0007】

本発明のカップ部を有する衣類は、パッド装着時の装着感に優れるとともに、パッドの着脱を簡便にかつ確実に行うことが可能である。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】図１は、本発明のカップ部を有する衣類の一例である、第１の実施形態に係るブラジャーを示す正面図である。

【図2】図２は、前記第１の実施形態に係るブラジャーのカップ部付近を背面側から見た図である。

【図3】図３は、成形部材および吸液パッドの装着状態を説明するための図である。

【図4】図４は、前記第１の実施形態に係るブラジャーのカップ部の構造を説明するための概略断面図である。

【図5】図５は、本発明のカップ部を有する衣類のその他の例である、第２の実施形態に係るキャミソールを示す斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

本発明のカップ部を有する衣類において、前記第１の保持部は、前記カップ部の脇側に設けられる脇側保持部であり、前記第２の保持部は、前記カップ部の前側に設けられる前側保持部であり、前記脇側保持部と前記前側保持部とは、前記カップ部の上部および下部において少なくとも一部が重なるように配置されていることが好ましい。

【0012】

本発明のカップ部を有する衣類において、前記保持部は、前記表布に比べて伸縮性が低いことが好ましい。

【0013】

本発明のカップ部を有する衣類は、授乳用ブラジャーであることが好ましい。

【0014】

本発明のカップ部を有する衣類について、例をあげて説明する。ただし、本発明は、以下の例に限定および制限されない。

【0015】

（第１の実施形態）
図１および図２に、本発明のカップ部を有する衣類の第１の実施形態に係るブラジャー１００を示す。図１はブラジャー１００を表側から見た正面図である。図２は、ブラジャー１００のカップ部付近を背面側から見た図である。本実施形態のブラジャー１００は、一対のカップ部１０１、カップ支持部１０２、肩ストラップ１０３およびバック布１０４を主要構成要素とする、授乳用ブラジャーである。カップ支持部１０２は、一対のカップ部１０１の下縁に設けられ、肩ストラップ１０３は、一対のカップ部１０１の上部に設けられ、バック布１０４は、カップ部１０１の脇側に設けられている。そして、カップ部１０１は、表布１０５と、脱着可能な成形部材１０６と、成形部材１０６を保持するための保持部１０７とを有している。

【0016】

保持部１０７は、カップ部１０１の周縁部を囲み、カップ部の中央部付近に開口部１０８を有している。この開口部１０８は、ブラジャー１００を装着したときに、乳房の乳首付近の部分が当接する位置に設けられている。この開口部１０８から、成形部材１０６を、保持部１０７と表布１０５との間のスペースに挿入して装着したり、取り出したりすることができる。

【0017】

授乳用ブラジャーは、一般に、使い捨ての母乳吸収用パッド等の吸液パッドを装着して着用される。本発明においては、成形部材１０６は、吸液パッド１０９を貼付固定可能である。吸液パッド１０９は、成形部材１０６に貼付固定されて一体化した状態で保持部１０７と表布１０５との間に挿入される。図３は、成形部材および吸液パッドの装着状態を説明するための図である。また、図４は、前記第１の実施形態に係るブラジャーのカップ部の構造を説明するための概略断面図である。吸液パッド１０９は、成形部材１０６の内側（着用時に肌に触れる側）に貼付される（図４左図、中央図）。吸液パッド１０９が成形部材１０６とともに保持部１０７と表布１０５との間に挿入された状態（図４右図）では、開口部１０８から吸液パッド１０９の表面が露出しており、吸液パッド１０９が着用者の乳首部分に当接する。

【0018】

吸液パッドが、紙や不織布製である場合、その周縁部は圧着されてカットされているため硬く、肌に当たるとチクチクする、という意見が多く聞かれていた。また、ブラジャー等の衣類に直接吸液パッドを貼付した場合、動いているうちにずれ上がり、ブラジャーの上辺部分からはみ出したり、吸液パッドの吸液面が乳頭部から外れることによって衣類を汚すことがある、というち意見も多くあった。本発明のように、吸液パッド１０９を成形部材１０６とともに保持部１０７と表布１０５との間に挿入する構造であると、吸液パッド１０９の周囲が布で覆われるため肌に当たらず、また、吸液パッド１０９がブラジャーに内蔵されるため、ずれ上がらない。

【0019】

従来、吸液パッドは両面テープ等の固定用テープでカップ部の内側に装着されていたが、特に授乳用のブラジャーの場合、カップ部の裏側には、柔らかく、綿が多く毛羽があるような生地が使用されていることが多く、固定用テープでは吸液パッドをしっかりと密着させて貼り付けることが困難であった。特に、着用中に吸液パッドを交換する場合には、作業がしにくかった。また、一旦貼り付けても、剥がれやすかった。本発明では、ブラジャー１００から成形部材１０６を抜き取って、成形部材１０６に吸液パッド１０９を直接貼るため、ブラジャー１００を着用中であっても、貼り付ける相手方の成形部材１０６を手に取って、しっかりと密着させることができる。また、本実施形態において、成形部材１０６は、直接肌に触れない構造となるため、肌触りを必ずしもよいものとする必要がない。そのため、成形部材１０６の吸液パッド１０９貼付面は、例えば毛羽の少ない生地を用いる等、固定用テープを貼り付けやすく剥がれにくい素材とすることも可能である。

【0020】

本実施形態において、保持部１０７は、第１の保持部１０７Ａと第２の保持部１０７Ｂとの２つの部材からなる。第１の保持部１０７Ａと第２の保持部１０７Ｂとは、カップ部１０１の周縁部を囲むように、各保持部の端部の少なくとも一部が重なるように対向して配置されている。第１の保持部１０７Ａおよび第２の保持部１０７Ｂは、下縁部においてカップ支持部１０２に固定され、脇側縁部および前中心側縁部では表布１０５あるいはバック布１０４に固定されているが、バストトップ点側の縁部は、ブラジャー１００を構成する他の部材に固定されていない。このような構造の保持部１０７（１０７Ａ，１０７Ｂ）であると、各保持部を左右に開くことで、開口部１０８を大きく広げることができる。そのため、中央付近に穴のあいた、いわゆるドーナツ形状の開口部に比べて、成形部材および吸液パッドの脱着を容易に行うことができ、好ましい。

【0021】

図２においては、第１の保持部１０７Ａは、カップ部１０１の脇側に設けられる脇側保持部であり、第２の保持部１０７Ｂは、カップ部１０１の前側に設けられる前側保持部である。脇側保持部（第１の保持部１０７Ａ）と前側保持部（第２の保持部１０７Ｂ）とは、カップ部１０１の上部および下部において少なくとも一部が重なるように配置されている。このように、少なくとも一部が重なるように配置することによって、成形部材１０６（および吸液パッド１０９）が挿入された状態での、授乳時等における成形部材１０６（および吸液パッド１０９）の脱落を防ぐことができる。

【0022】

本実施形態では、第１の保持部１０７Ａと第２の保持部１０７Ｂとは、左右に開くことのできる形状であるが、これに限定されるものではない。第１の保持部１０７Ａおよび第２の保持部１０７Ｂは、バストトップ点側の縁部が、他の部材に固定されていなければよく、例えば、上下に配置して上下方向に開く態様とすることも可能である。

【0023】

また、本実施形態では、第１の保持部１０７Ａと第２の保持部１０７Ｂとの重なり部分は、上部においては、第１の保持部１０７Ａが上側（肌側）となるように重なっており、下部においては、第２の保持部１０７Ｂが上側（肌側）となるように重なっている。このように互い違いに重なりを設けることによって、他の部材に固定されていない各保持部の部分の生地のたるみを防ぐことができる。また、バストの容量が大きく、バストの高さが高い時は各保持部が左右に広がり、授乳後、バストの容量が小さく、バストの高さが低くなった時は各保持部の広がりが少し閉じてバストに沿う。このようにバストの容量の変化が生じる際にも、各保持部が突っ張ったり、たるみによるしわが発生することを防止し、着用時のシルエットが良好となることに加え、フィット感も良く、肌当たりも良くなる。

【0024】

保持部１０７は、表布１０５に比べて伸縮性が低いことが好ましい。カップ部１０１を構成する表布１０５としては、伸縮性のある素材を使用することができる。表布１０５は高い伸縮性を有していることで、授乳前後のバストの大きさの変化にも対応し、身体への馴染みを良好なものにすることができる。一方で、保持部１０７は、表布１０５に比べて伸縮性を低くすることで、表布１０５が身体に馴染み伸びた状態となっても、成形部材１０６（および吸液パッド１０９）を一定の位置に固定させることができる。表布１０５としては、ベア天竺、ツーウェイトリコット、パワーネット等を用いることができる。保持部１０７を低伸縮性とする場合、用いることのできる素材としては、天竺、メッシュ、トリコット、トリコネット等があげられる。

【0025】

保持部１０７は、吸水速乾性の生地を用いると、授乳時等に母乳が保持部１０７表面に付着して濡れることがあっても、速やかに吸水して乾くので、肌触りを良く着用し続けることができ、好ましい。

【0026】

表布１０５は、本実施形態のように、左右別々に用意したものを、前中心部分で重ね合わせるように配置すると、授乳時に乳房を片側ずつ露出させやすく好ましい。しかし、本発明はこれに限られず、左右別々に用意した表布を連結してもよいし、左右のバストを含む胸部を覆うような一体のデザインのものを用いてもよい。

【0027】

本実施形態のブラジャー１００においては、一対の肩ストラップ１０３は、一対のカップ部１０１（表布１０５）と一体に形成されている。そして、一対の肩ストラップ１０３は、背中側においてバック布１０４と一体に形成されており、肩ストラップ１０３の背中側の部材が、カップ部１０１の脇側で連結されている。ここで、肩ストラップ１０３は、カップ部１０１を肩から吊り下げるものであればよく、本実施形態のブラジャー１００のようにタンクトップのような幅の広い、いわゆるラウンドタイプのストラップには限定されない。また、同じ生地で一体に形成される態様に限られず、例えば、紐や布テープ等の別の素材用いたものであってもよい。肩ストラップ１０３の態様は、一対のカップ部１０１に対応して一対の肩ストラップ１０３がそれぞれカップ部１０１上部とバック布１０４とに連結される態様に限定されず、例えば、背中側で２本の肩ストラップ１０３が一体となりバック布１０４に取り付けられる態様であってもよい。また、カップ部１０１のみに肩ストラップ１０３が取り付けられている、いわゆる「ホルターネック」タイプであってもよい。肩ストラップ１０３の取り付け位置は、カップ部１０１の形状やカップ部を有する衣類のデザインによって決定することができる。

【0028】

カップ支持部１０２は、アンダーバストに沿う位置に設けられる。カップ支持部１０２は、カップ部１０１と別部材で形成されてもよいし、一体で形成されてもよい。カップ支持部１０２に、例えば伸縮性のテープ等を配置することによって、着用時のズレ上がり等を防ぎ、良好な着用感を得ることができる。

【0029】

本例のブラジャーでは、着脱自在な連結係止部１１０を背中心付近に有している態様としているが、連結係止部１１０を有していないバック布１０４とすることもできる。連結係止部１１０としては、ホック（例えば、フック・アンド・アイ（鈎ホック））、グリッパー、ボタン、紐、面ファスナーなどを、デザインや用途に応じて適宜選択して使用することができる。なお、上記のフック・アンド・アイやグリッパー、ボタンを用いる場合には、複数の留め位置を予め設けておくことにより、締め付け具合を微調整できるようにしておくことも好ましい。なお、上記以外の他の種類の係止具を使用してもよい。また、バック布が連結係止部を有さないフロントホックタイプや、バック布または前側部分を結んで係止するタイプであってもよい。

【0030】

本実施形態では、第１の保持部１０７Ａと第２の保持部１０７Ｂとの上部の重なり部分において、第１の保持部１０７Ａ上辺と第２の保持部１０７Ｂの上辺とは、取扱い性の観点から、縫着されていることが好ましい。しかし、前記縫着部分は、表布１０５には縫着（固定）されていないことが好ましい。前述のように、表布１０５と保持部１０７との伸縮性が異なる場合、固定箇所が設けられることで、身体への馴染みに影響が出る場合がある。また、伸縮性の差の有無にかかわらず、前記箇所で表布１０５との縫着がない場合、表側から見たときの縫目をなくすことができ、外観を良好にすることができる。

【0031】

（第２の実施形態）
図５に、本発明のカップ部を有する衣類のその他の例である、第２の実施形態に係るキャミソール２００の斜視図を示す。このキャミソール２００のブラジャー相当部分は、図１で説明した第１の実施形態のブラジャー１００とほぼ同一の概念のもとに設計されている。本態様においては、キャミソール２００は、カップ支持部１０２の下側に、身頃２２０を有している。その他の態様は図１に示したブラジャー１００と実質上同一であり、同一部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略している。ここでは、第１の実施形態に係るブラジャー１００とほぼ同一概念のもとに設計されたブラジャー相当部分を有するキャミソールについて説明したが、本発明はこれに限定されず、他の実施形態に係るブラジャー相当部分を有するキャミソールとすることもできる。

【0032】

以上、実施の形態の具体例として、ブラジャーおよびキャミソールをあげて本発明を説明したが、本発明のカップ部を有する衣類は、これらの具体例で記載されたもののみに限定されるものではなく、種々の態様が可能である。例えば、上記の実施形態のような衣類以外にも、ボディースーツ、ブラスリップ、その他各種のカップ部を有する衣類に適用できる。また、実施の形態の具体例として、授乳用ブラジャーをあげて本発明を説明したが、本発明のカップ部を有する衣類は、手術後等、胸部に吸液パッドを装着する必要がある場合の用途にも適用可能である。

【符号の説明】

【0033】

１００ ブラジャー
１０１ カップ部
１０２ カップ支持部
１０３ 肩ストラップ
１０４ バック布
１０５ 表布
１０６ 成形部材
１０７ 保持部
１０７Ａ 第１の保持部
１０７Ｂ 第２の保持部
１０８ 開口部
１０９ 吸液パッド
１１０ 連結係止部
２００ キャミソール
２２０ 身頃

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】