(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】製造が単純化された潤滑ノズル
(51)【国際特許分類】
F01M 1/08 20060101AFI20221011BHJP
F01P 3/08 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
F01M1/08 A
F01P3/08 B
(21)【出願番号】P 2018541663
(86)(22)【出願日】2017-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2017053562
(87)【国際公開番号】W WO2017140817
(87)【国際公開日】2017-08-24
【審査請求日】2020-01-30
(32)【優先日】2016-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515280296
【氏名又は名称】ボンタ サントル エール エ デー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペロット,ステファン,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】トーピュー アンソニー,レイモンド,アーサー
(72)【発明者】
【氏名】モハメド ディラン
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0193964(US,A1)
【文献】特開2012-021503(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0092265(US,A1)
【文献】特開平07-063029(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0095910(US,A1)
【文献】特開2014-206165(JP,A)
【文献】特開2009-013800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 1/08
F01P 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑ノズルであって、
第1端部(101a)を含む金属製のスプレーノズル本体(101)を備えており、前記第1端部(101a)が接触面(101d)を有し、前記スプレーノズル本体(101)が、前記接触面(101d)上に開口している軸方向チャネルを含み、これによりオイル入口(103)を形成しており、前記スプレーノズル本体(101)が、さらに、前記軸方向チャネルに連通している横方向チャネル(104)を含み、前記スプレーノズル本体(101)が、さらに、側面(101c)を介して前記第1端部(101a)に接続された第2端部(101b)を含み、前記横方向チャネル(104)が前記側面(101c)上に開口してオイル出口(105)を形成しており、
前記潤滑ノズルが、さらに、前記スプレーノズル本体(101)の前記接触面(101d)上に開口している保持ねじ(110)を備え、当該保持ねじ(110)が、前記スプレーノズル本体(101)の前記接触面(101d)をエンジンブロックに対して不浸透的にクランプすること、及び、前記スプレーノズル本体(101)の前記オイル入口(103)をケーシングのオイル供給口に不浸透的に接続することを意図されており、
前記潤滑ノズルが、さらに、前記スプレーノズル本体(101)が挿入される穴(107)を含む配向プレート(106)を備え、
前記スプレーノズル本体(101)が前記穴(107)内部に取り付けられ、この取り付けが、前記スプレーノズル本体(101)が前記配向プレート(106)の第1面(106a)に当接手段(101f,107a,110a)を介して当接するように、且つ、前記本体の前記接触面(101d)が、前記配向プレート(106)の、前記第1面(106a)とは反対側の第2面(106b)と面一であるように行われ、前記スプレーノズル本体(101)及び前記配向プレート(106)が、第1相補的配向手段を含み、当該第1相補的配向手段が、前記オイル出口(105)が前記第1相補的配向手段に対する予め決められた配向に従って配向されるように係合し、前記配向プレート(106)が、さらに、前記プレートを前記エンジンブロック上に配向するように設計された第2配向手段を含み、前記配向プレート(106)がプラスチック材料で形成されていて、
前記ノズルが、第1端部及び第2端部を含む噴射管(112)を備え、前記噴射管の第1端部が前記オイル出口(105)に不浸透的に接続されており、且つ、前記前記噴射管の第2端部が、前記潤滑ノズル(100)の動作中にオイルジェットを方向付けて、
前記第1相補的配向手段が、前記配向プレート(106)の前記第1面(106a)上に配置された横方向当接部を含み、前記横方向当接部が、前記オイル出口が予め決められた方向に向けられるように前記噴射管(112)をガイドするよう配置されていることを特徴とする、前記潤滑ノズル。
【請求項2】
前記当接手段が前記保持ねじ(110)のねじ頭部(110a)を、前記保持ねじ(110)が前記接触面(101d)を前記エンジンブロックに対してクランプするときに当該ねじ頭部(110a)が前記配向プレート(106)の前記第1面(106a)上に支持されるように含んでいる、請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記当接手段が前記側面(101c)上に形成された第1ショルダ(101f)を含み、前記第1ショルダ(101f)が、前記配向プレート(106)の前記穴(107)内部への前記スプレーノズル本体(101)の取り付け及び当接を確実にする、請求項1に記載のノズル。
【請求項4】
前記当接手段が、前記第1ショルダ(101f)に対して相補的な、前記配向プレート(106)の前記穴(107)の内面上に形成された第2ショルダ(107a)をさらに含む、請求項3に記載のノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストン冷却スプレーノズル、及び/又は、内燃エンジンのチェーン潤滑ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
図1a及び
図1bに示されているスプレーノズルは、例えば、内燃エンジンのピストンヘッド上のオイル噴霧装置である。
【0003】
また、スプレーノズル10は、内燃エンジンのチェーン上にオイルを分与することも意図され得る。
【0004】
この点において、当業者に公知の潤滑ノズル10は、ピストンヘッドを冷却し、又は、内燃エンジンのチェーンを潤滑することを意図されており、スプレーノズル10は、
第1の端部を含む金属製のスプレーノズル本体11を備え、前記第1端部が接触面13を有し、前記スプレーノズル本体11は、前記接触面13上に開口している軸方向チャネル12を含み、これによりオイル入口を形成しており、前記スプレーノズル本体11は、さらに、軸方向チャネル12に連通している横方向チャネルを含み、前記スプレーノズル本体11が、さらに、側面15を介して前記第1端部に接続された第2の端部を含み、前記横方向チャネルが前記側面15上に開口してオイル出口を形成しており、前記潤滑ノズルは、さらに、
前記スプレーノズル本体11の前記接触面13上に開口している保持ねじ16を備え、当該保持ねじが、前記スプレーノズル本体の前記接触面13を内燃エンジンのブロックに対して不浸透的にクランプすること、及び、前記スプレーノズル本体11の前記オイル入口を前記ブロックのオイル供給口に不浸透的に接続することを意図されており、前記潤滑ノズルは、さらに、
前記スプレーノズルが挿入される穴を含む配向プレート17を備えている。
【0005】
しかし、前記装置は満足できるものではない。
【0006】
より具体的には、潤滑ノズルは、動作中、冷却及び/又は潤滑される部品に対するオイルジェットの適切な方向を保証するために、エンジンブロックの内部に正確に配置及び配向されなければならない。
【0007】
また、エンジンブロック内のスプレーノズルの組立体は、スプレーノズルが周囲のエンジン部品に衝突しないことを保証しなければならない。
【0008】
これを達成するために、スプレーノズル本体11のオイル出口を配向プレートに対して配向させる工程が、一般に、潤滑ノズルの部品をろう付けすることにより行われ、その後、潤滑ノズルは内燃エンジン内に配置され、保持ねじ16を用いて固定される。
【0009】
スプレーノズル本体と配向プレートとを互いに堅固に連結するために、はんだ付け工程が用いられ、これにより、内燃エンジンの内部のスプレーノズルの配向の安定性を保証する。
【0010】
従って、この構成は、金属材料の使用を必要とし、潤滑ノズルの重量を著しく増加させる。
【0011】
さらに、ろう付け工程は、このようなスプレーノズルの製造を複雑にし、とりわけ、非常にコスト高である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的の1つは、製造が単純化された潤滑ノズルを提案することである。
【0013】
本発明の別の目的は、従来技術のスプレーノズルよりも重量が低減されたスプレーノズルを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的は、以下を備える潤滑ノズルにより、少なくとも部分的に達成される。
この潤滑ノズルは、第1の端部を含む金属製のスプレーノズル本体を備え、前記第1端部が接触面を有し、前記スプレーノズル本体が、前記接触面上に開口している軸方向チャネルを含み、これによりオイル入口を形成しており、前記スプレーノズル本体が、さらに、前記軸方向チャネルに連通している横方向チャネルを含み、前記スプレーノズル本体が、さらに、側面を介して前記第1端部に接続された第2の端部を含み、前記横方向チャネルが前記側面上に開口してオイル出口を形成しており、
前記潤滑ノズルが、さらに、前記スプレーノズル本体の前記接触面上に開口している保持ねじを備え、当該保持ねじが、前記スプレーノズル本体の前記接触面をエンジンブロックに対して不浸透的にクランプすること、及び、前記スプレーノズル本体の前記オイル入口を前記ケーシングのオイル供給口に不浸透的に接続することを意図されており、
前記潤滑ノズルが、さらに、前記スプレーノズルが挿入される穴を含む配向プレートを備えている。
前記スプレーノズル本体が前記穴内部に取り付けられ、この取り付けは、前記スプレーノズル本体が前記配向プレートの第1の面に当接手段を介して当接するように、且つ、前記本体の前記接触面が、前記配向プレートの、前記第1面とは反対側の第2の面と面一であるように行われる。前記スプレーノズル本体及び前記配向プレートは、第1の相補的配向手段を含む。当該第1相補的配向手段は、前記オイル出口が前記第1配向手段に対する予め決められた配向に従って配向されるように係合する。前記配向プレートは、さらに、前記プレートを前記エンジンブロック上に配向するように設計された第2の配向手段を含む。
【0015】
特に有利な一実施形態によれば、前記配向プレートはプラスチック材料で形成される。
【0016】
別の実施形態によれば、前記当接手段は、前記保持ねじのねじ頭部を含み、前記保持ねじが、前記接触面を前記エンジンブロックに対してクランプするときに、当該ねじ頭部が前記配向プレートの前記第1の面上に支持されるようになっている。
【0017】
一実施形態によれば、前記当接手段は、前記スプレーノズル本体の前記側面上に形成された第1のショルダを含み、当該ショルダは、前記スプレーノズル本体の、前記配向プレートの前記穴内部への取り付け及び当接を確実にするためのものである。
【0018】
前記当接手段は、さらに、第2のショルダを含み得る。第2ショルダは、前記第1ショルダに対して相補的であり、前記配向プレートの前記穴の内面上に形成されている。
【0019】
一実施形態によれば、前記スプレーノズルは、第1の端部及び第2の端部を含む噴射管を備え、前記第1端部は前記オイル出口に不浸透的に接続され、前記第2端部は、前記潤滑ノズルの動作中にオイルジェットを方向付けるためのものである。
【0020】
一実施形態によれば、前記第1の相補的配向手段は、前記スプレーノズル本体の前記側面上と、前記配向プレートの前記穴の内面上とに形成されている。
【0021】
例えば、前記第1相補的配向手段は、前記スプレーノズル本体の前記側面上に形成された平坦なセクションと、前記穴の内面上に形成された平坦なセクションとを含み、これらの平坦なセクションは、前記オイル出口を前記配向プレートに対して配向させるために、互いに接触して配置されるためのものである。
【0022】
一実施形態によれば、前記第1相補的配向手段は、前記配向プレートの前記第1面上に配置された横方向当接部を含み、当該横方向当接部は、前記オイル出口が予め決められた方向に向けられるように前記噴射管をガイドするように配置されている。
【0023】
一実施形態によれば、前記第2配向手段は、前記配向プレートの前記第2面上に配置されたラグを含み、当該ラグは、前記エンジンブロックの配向穴に挿入されるためのものである。
【0024】
別の実施形態によれば、前記配向プレートの前記第1面と前記第2面とが、第2の側面を介して接続されており、前記第2配向手段は、前記第2側面上に形成された少なくとも1つの平坦なセクションを含み、当該平坦なセクションは、前記エンジンブロック上に形成された平坦なセクションに接触するためのものである。
【0025】
本発明は、添付の図面を参照しつつ以下の説明を読むことにより、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1a】先行技術による公知の潤滑ノズルの斜視図である。
【
図1b】先行技術による公知の潤滑ノズルの、保持ねじを取り外した後の部分分解斜視図である。
【
図2】本発明によるスプレーノズル本体の斜視図である。
【
図4a】本発明による潤滑ノズルの、スプレーノズル本体の取り付け及び当接が単一のショルダを用いて達成されている様子を示す長手方向断面図である。
【
図4b】本発明による潤滑ノズルの、スプレーノズル本体の取り付け及び当接が、スプレーノズル本体の側面上の1つのショルダと、穴の内面上の1つのショルダとを用いて達成されている様子を示す長手方向断面図である。
【
図4c】本発明による潤滑ノズルの、スプレーノズル本体の取り付け及び当接が、配向プレートの第1面上に支持されている保持ねじのねじ頭により達成されている様子を示す長手方向断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態による潤滑ノズルの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図2~
図5は、ピストンを冷却するために、又は、内燃エンジンのチェーンを潤滑するのに適した、本発明による潤滑ノズルの一実施形態を示す。
【0028】
潤滑ノズル100は、スプレーノズル本体101を備えている。
【0029】
スプレーノズル本体101は金属材料からつくられ得る。例えば、非限定的に、スプレーノズル本体101は、鋼製であり得る。
【0030】
スプレーノズル本体101は、第1の端部101a、及び、第2の端部101bを有する。第1端部は接触面101dを有し、第2端部は露出面101eを有する。接触面101dと露出面101eとは、側面101cにより接続されている。
【0031】
側面101cは、回転対称であり得る。
【0032】
スプレーノズル本体101は、
図2の軸XX’に沿って配向された軸方向チャネル102を含む。
【0033】
軸方向チャネル102は、スプレーノズル本体101の接触面101d上に開口している。軸方向チャネル102と接触面101dとの交差部が、開口部(オイル入口103と称する)を形成している。スプレーノズル本体101の接触面101dは、エンジンブロックの面要素に接触して配置されることが意図されている。エンジンブロックの面要素は、オイル入口103に接続されるためのオイルフィードを含む。
【0034】
また、軸方向チャネル102は、第2端部101b上にも開口し得る。
【0035】
スプレーノズル本体101は、さらに、横方向チャネル104を備えている。横方向チャネル104は軸方向チャネル102と連通しており、側面101上に開口している。横方向チャネル104と側面101cとの交差部が、開口部(オイル出口105と称する)を形成している。
【0036】
潤滑ノズル100は、さらに、配向プレート106(
図3)を備えている。配向プレート106は、第1の面106a及び第2の面106bを含み、面106aと面106bとは、第2の側面106cにより互いに接続されている。
【0037】
有利には、配向プレート106は、プラスチック材料(例えば、充填された熱可塑性材料)からつくられることができ、有利には、ガラス繊維充填ポリアミドからつくられ得る。プラスチック材料は、潤滑ノズル100を先行技術における公知のノズルよりも軽量にするという利点を有する。さらに、プラスチック材料からつくられた(特には熱可塑性材料からつくられた)配向プレート106は、連続して多数回繰り返され得る射出/成形法を用いて容易に製造され得る。
【0038】
配向プレート106は、任意の材料、例えば、金属合金からつくられ得る。
【0039】
配向プレート106は、配向プレート106の端から端まで貫通している穴107を有する。より詳細には、穴107は、第1の面106a上及び第2の面106b上に開口している。
【0040】
穴107は、スプレーノズル本体101を収容するためのものである。より詳細には、スプレーノズル本体101は、穴107の内部にあって第1面106aに当接するように取り付けられる。取り付け及び当接は、当接手段を用いて達成される。当接手段は、ノズル100が、例えばエンジンのブロックに取り付けられたときに、配向プレートの、スプレーノズル本体101の軸XX’に沿ったいかなる動きも防止するのに適している。
【0041】
取り付け及び当接は、スプレーノズル本体101の側面101cのいわゆる第1ショルダ101fを用いて行われ得る。
【0042】
図4aに示されている有利な一実施形態において、側面101cの第1のショルダ101fが第1面106aに支持されており、従って、穴107の内面108は、追加のショルダを全く必要としない。
【0043】
別の有利な実施形態において(
図4b)、穴107の内面108は、第1ショルダの形状に対して相補的な形状のショルダ(第2ショルダ107aと称する)をさらに備えている。この構成において、第1ショルダは第2ショルダ上に支持されており、スプレーノズル本体が第1面106aに当接するように取り付けられることを保証する。
【0044】
スプレーノズル本体101を、第1面106aに当接するように取り付けることは、ショルダの形成に限定されない。例えば、側面101c及び内面108が円錐形状であってもよい。
【0045】
以下に記載する詳細な説明の残りを、
図4cを参照しつつ読むと、第1面106aに当接するようなスプレーノズル本体101の取り付けは、保持ねじ110を用いて達成されることが分かるであろう。
【0046】
さらに、本発明によれば、スプレーノズル本体101の接触面101dは、配向プレート106の第2面106bと面一である。
【0047】
また、本発明によれば、配向プレート106及びスプレーノズル本体101は、オイル出口105を配向させるための第1の相補的配向手段を含む。
【0048】
前記第1相補的配向手段は、オイル出口105を配向プレート106に対して配向させるためのものである。配向プレート106は、さらに、前記配向プレート106をエンジンブロックの内側に向けさせるための第2の配向手段を含む。
【0049】
このように、第1相補的配向手段及び第2配向手段は、オイル出口105をエンジンブロックに対して配向するのに適している。
【0050】
ここで、第1相補配向手段について説明する。
【0051】
第1の実施形態によれば、第1相補的配向手段は、非円形の穴107の内面108から形成され得る(図示せず)。例えば、穴108の内面は、1以上の平坦なセクションを含み得る。さらに、スプレーノズル本体101の側面101cの、穴107の内面108に接触する部分が、穴107の内面108の1以上の平坦なセクションに接続されるための1以上の平坦なセクションをさらに含み得る。このようにして、平坦なセクションが、穴107内部のスプレーノズル本体101の平坦なセクションと相互ロックすることが、オイル出口105が配向プレート106に対して配向されることを可能にする。
【0052】
第2の代替的及び/又は補完的な実施形態によれば、スプレーノズル本体101は、オイル出口105に不浸透的に接続された噴射管112(
図4b)を備え得る。そして、噴射管112は、第1の端部及び第2の端部を含み、第1端部はオイル出口105に不浸透的に接続され、第2端部は、潤滑ノズルの動作中にオイルジェットを方向付けるためにある。噴射管112は、有利には、配向プレート106の第1面106a上に載置され得る。さらに、横方向当接部が、第1面106a上と、噴射管112の両側とに、スプレーノズル本体101が穴107内に挿入されたときにスプレーノズル本体101が配向プレート106に対して回転運動しないように配置されている。
【0053】
換言すれば、噴射管112は、横方向当接部によりガイドされる。横方向当接部は、例えば、噴射管112を受け入れるための溝により形成され得る(
図3)。こうして、このような構成が、オイル出口105が配向プレート106に対して配向されることを可能にする。
【0054】
配向プレート106は、さらに、前記プレート106をエンジンブロックに対して配向するための第2の配向手段を含む。
図3に示されている第2の配向手段は、例えば、ラグ(突起)109を含むことができ、ラグ109は、プレート106の第2面106b上に配置され、エンジンブロック(図示せず)の穴に挿入されるためにある。
【0055】
或いは、
図5に示されているように、第2配向手段は、プレート106の側面106cに形成された平坦なセクションをさらに含み得る。配向プレート106が、複数の平坦なセクション(例えば2つ、3つ、又は4つの平坦なセクション)を、前記プレートが正方形の形状になるように有してもよい。
【0056】
また、エンジンブロック上にも、配向プレート106の側面106cに形成された平坦なセクションと係合するための補完的な形状(例えば平坦な形状)が形成される。
【0057】
こうして、エンジンブロックに対する配向プレート106の配向、及び、前記プレート106に対するオイル出口105の配向が、オイル出口105の、エンジンブロック内部での正確な配向を可能にする。
【0058】
第1相補的配向手段及び第2配向手段は、スプレーノズル本体101の、配向プレート106に対する、及び、エンジンブロックに対する配向を固定するためにろう付けすることを必要としない。
【0059】
ノズル100は、さらに、スプレーノズル本体101の接触面101d上に開口している保持ねじ110を備えている。保持ねじ110は、スプレーノズル本体101の接触面101dを内燃エンジンのケーシングに対して不浸透的にクランプすること、及び、スプレーノズル本体101のオイル入口103を前記ケーシングのオイル供給口に不浸透的に接続するためのものである。
【0060】
有利には、保持ねじ110は、軸方向チャネル102と同軸に、オイル入口103にてスプレーノズル本体101の接触面101d上に開口するように取り付けられている。保持ねじをエンジンのオイル供給穴にクランプすることにより、潤滑ノズル100を安定した位置に保持することが可能である。
【0061】
また、保持ねじ110は、オイルがエンジン供給穴から軸方向チャネルに流れるようにすることにも適している。この目的のために、凹部115(
図4a)を、保持ねじ110の回転軸に沿って、ねじ山の長さに沿って形成できる。保持ねじ110は中空であってもよく、すなわち、保持ねじ110の容積内に保持ねじ110の回転軸に沿って、オイルをオイル入口から横方向チャネル104にガイドするために形成されたチャネルを含み得る。
【0062】
保持ねじは、スプレーノズル本体101の端から端を通って、すなわち、スプレーノズル本体101の露出面101eから接触面101dを通って貫通できる。
【0063】
図4a及び
図4bに示されている当接手段の実施形態の代替例として、
図4cが、当接手段の別の実施形態を示している。この実施形態において、当接手段は、保持ねじ110のねじ頭110aを含む。保持ねじ110が接触面101dを、例えばエンジンブロックに対してクランプすると、保持ねじのねじ頭110aは、配向プレートの第1の面106aに支持されて、配向プレートの、スプレーノズル本体101の軸XX’に沿ったいかなる動きも防止する。
【0064】
特に有利には、接触面101dを配向プレート106の第2面106bと面一にすることにより、保持ねじ110がスプレーノズル本体101の接触面101dを内燃エンジンのケーシングに対して不浸透的にクランプするときに、前記プレートに加えられる応力が最小限になる。
【0065】
こうして、前記プレートに加えられる応力の最小化が、プラスチック材料、例えば、ガラス繊維充填熱可塑性材料の使用を可能にする。さらに、配向プレート106の製造のためにプラスチック材料を使用する場合、保持ねじのクランピングを、前記プレート106に加えられる応力がプラスチック材料の弾性限界よりも小さくなるように調節できる。
【0066】
また、プラスチック材料からつくられた配向プレート106の使用は、本発明によるノズル100の機械的強度及び/又は機能の低下に影響を与えない。
【0067】
ここで、本件は、
図4bのノズル100の組立について説明する。
【0068】
この組立は、スプレーノズル本体101を設置することを含む。次いで、噴射管112もオイル出口穴105に挿入される。
【0069】
次いで、噴射管112/スプレーノズル本体101組立体を、噴射管112がスプレーノズル本体101上に永久的且つ不浸透的に固定されるように、ろう付けする。ろう付けステップは、当業者に公知の技術を用いて行われるため、本明細書においては説明しない。
【0070】
噴射管112/スプレーノズル本体101組立体を、配向プレート106の第1面106aを介して穴107に挿入し、これにより、組立体は前記第1面106aに当接する。この当接機能は、上述したように、第1ショルダ101fにより得られ、また、第2ショルダ107aにより得られ得る。オイル出口105は、スプレーノズル本体101を穴107内に挿入しているときに、配向プレート106に対して第1の相補的配向手段により配向される。オイル出口は、例えば、噴射管112を2つの横方向当接部間に、又は溝の内側に設置することにより配向され得る。噴射管112は、オイルジェットを方向付けるように曲げられ得る。
【0071】
最後に、スプレーノズル本体101、噴射管112、及び配向プレート106を備えた組立体は、エンジンブロック上に、配向プレートのオイル入口103が前記エンジンのオイル供給口に接続されるように組み付け得る。
【0072】
組立段階中、配向プレート106は、エンジンケーシングに対して、第2配向手段を用いて配向される。例えば、ラグ109が、エンジンのケーシングに形成された穴に挿入される。
【0073】
そして、このようにして形成されたノズルを、クランプねじ110により安定的に固定する。
【0074】
この製造方法に必要な組立工程は、先行技術の公知のノズルと比較して、より少ない。
【0075】
また、本発明によるノズル100は、プラスチック材料を用いた配向プレート106の製造を可能にし、これにより製造コストを低減する。
【符号の説明】
【0076】
100 潤滑ノズル
101 スプレーノズル本体
101a 第1の端部
101b 第2の端部
101c 側面
101d 接触面
101e 露出面
101f 第1のショルダ
102 軸方向チャネル
104 横方向チャネル
106 配向プレート
106a 第1の面
106b 第2の面
106c 側面
107 穴
107a 第2のショルダ
108 穴の内面
109 第2の配向手段(ラグ)
110 保持ねじ
112 噴射管