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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】デングウイルスに対する抗体分子の製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20221011BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20221011BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61K39/395 M
A61P31/14
A61K9/08
A61K47/22
A61K47/02
A61K47/18
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/42
A61K47/36
A61K47/20
A61K47/12
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018549768
(86)(22)【出願日】2017-03-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 US2017023973
(87)【国際公開番号】W WO2017165736
(87)【国際公開日】2017-09-28
【審査請求日】2020-03-23
(31)【優先権主張番号】62/313,558
(32)【優先日】2016-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514283401
【氏名又は名称】ビステラ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ヘイ, キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】スローン, スーザン
(72)【発明者】
【氏名】シュー, ビ
【審査官】渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/122995(WO,A1)
【文献】European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics,2011年,78,p.208-212
【文献】J Excipients and Food Chem.,2010年,1(2),p.40-49
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10mg/mL~50mg/mLの抗デング抗体分子、10mM~50mMのヒスチジン、50mM~150mMの塩化ナトリウムおよび50mM~150mMのアルギニンまたはスクロースを含む製剤であって、製剤が6.0~7.0のpHを有し、前記抗体分子が、以下:
(a)
配列DVYMS(配列番号3)を含むHC CDR1と、
配列RIDPENGDTKYDPKLQG(配列番号4)を含むHC CDR2と、
配列GWEGFAY(配列番号5)を含むHC CDR3と
を含む重鎖(HC)免疫グロブリン可変領域(VH)、および
(b)
配列RASENVDKYGNSFMH(配列番号6)を含むLC CDR1と、
配列RASELQW(配列番号7)を含むLC CDR2と、
配列QRSNEVPWT(配列番号8)を含むLC CDR3と
を含む軽鎖(LC)免疫グロブリン可変領域(VL)
を含
VHが配列番号1と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
VLが配列番号2と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、
製剤。
【請求項2】
前記抗体分子が、
(i)約10mg/mL~約40mg/mLまたは約20mg/mL~約30mg/mLの濃度で存在する;
(ii)約25mg/mLの濃度で存在する;
(iii)配列番号1の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を含む;
(iv)配列番号2の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を含む;および/または、
(v)配列番号1のVHアミノ酸配列および配列番号2のVLアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記ヒスチジンが、
(i)約10mM~約25mMの濃度で存在する;
(ii)約20mM~約30mM、例えば約25mMの濃度で存在する;および/または、
(iii)約6.0~約6.5または約6.5~約7.0のpHをもたらし、場合により、約6.5のpHをもたらす、
請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
前記塩化ナトリウムが、
(i)約50mM~約100mM、約50mM~約75mM、約75mM~約100mMまたは約75mM~約150mMの濃度で存在する;
(ii)約75mM、約100mMまたは約150mMの濃度で存在する;および/または、
(iii)約150mOsm/kg~約400mOsm/kg、約200mOsm/kg~約350mOsm/kgまたは約250mOsm/kg~約300mOsm/kgの張度をもたらす、
請求項1~3のいずれかに記載の製剤。
【請求項5】
約6.0~約6.5、約6.5~約7.0、約6.0、約6.5または約7.0のpHを有する、請求項1~4のいずれかに記載の製剤。
【請求項6】
界面活性剤をさらに含み、界面活性剤は、場合により、
(i)約0.005%~約0.1%、約0.01%~約0.05%または約0.02%~約0.04%の濃度で存在する;
(ii)約0.02%の濃度で存在する;
(iii)ポリソルベート80を含む;および/または、
(iv)ポリソルベート80を含み、約0.01%~約0.05%または約0.02%~約0.04%の濃度で存在する;および/または、
(v)ポリソルベート80を含み、約0.02%の濃度で存在する、
請求項1~5のいずれかに記載の製剤。
【請求項7】
前記アルギニンまたはスクロースが、
(i)約75mM~約125mMまたは約75mM~約100mMの濃度で存在する;および/または、
(ii)約50mM~約200mMまたは約75mM~約150mM、例えば、約75mMまたは約150mMの濃度のアルギニンを含む;
請求項1~6のいずれかに記載の製剤。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の製剤であって、
(i)
(a)約10mg/mL~約50mg/mLの濃度の前記抗体分子、
(b)約10mM~約50mMの濃度のヒスチジン、
(c)約50mM~約150mMの濃度の塩化ナトリウム、および
(d)約50mM~約150mMの濃度のアルギニン
を含み、pHが、約6.0~約7.0であり、
場合により、約25mg/mLの前記抗体分子、約25mMヒスチジン、約75mM塩化ナトリウムおよび約75mMアルギニンを含み、pHが、約6.5である製剤;
(ii)
(a)約10mg/mL~約50mg/mLの濃度の前記抗体分子、
(b)約10mM~約50mMの濃度のヒスチジン、
(c)約50mM~約150mMの濃度の塩化ナトリウム、
(d)約50mM~約150mMの濃度のアルギニン、および
(e)約0.01%~約0.05%の濃度のポリソルベート80
を含み、pHが、約6.0~約7.0であり、
場合により、約25mg/mLの前記抗体分子、約25mMヒスチジン、約75mM塩化ナトリウム、約75mMアルギニンおよび0.02%ポリソルベート80を含み、pHが、約6.5である製剤;
(iii)
(a)約10mg/mL~約50mg/mLの濃度の前記抗体分子、
(b)約10mM~約50mMの濃度のヒスチジン、
(c)約50mM~約100mMの濃度の塩化ナトリウム、および
(d)約50mM~約150mMの濃度のスクロース
を含み、pHが、約6.0~約7.0であり、
場合により、約25mg/mLの前記抗体分子、約25mMヒスチジン、約75mM塩化ナトリウムおよび約100mMスクロースを含み、pHが、約6.5である製剤;または、
(iv)
(a)約10mg/mL~約50mg/mLの濃度の前記抗体分子、
(b)約10mM~約50mMの濃度のヒスチジン、
(c)約50mM~約100mMの濃度の塩化ナトリウム、
(d)約50mM~約150mMの濃度のスクロース、および
(e)約0.01%~約0.05%の濃度のポリソルベート80
を含み、pHが、約6.0~約7.0であり、
場合により、約25mg/mLの前記抗体分子、約25mMヒスチジン、約75mM塩化ナトリウム、約100mMスクロースおよび約0.02%ポリソルベート80を含み、pHが、約6.5である製剤。
【請求項9】
(i)炭水化物をさらに含み、場合により、
(a)炭水化物は、スクロース、ソルビトール、トレハロース、マンニトール、デキストラン、イノシトール、グルコース、フルクトース、ラクトース、キシロース、マンノース、マルトース、ラフィノースまたはこれらの組み合わせを含む;
(b)炭水化物は、約50mM~約150mM、約75mM~約125mM、約50mM~約100mMまたは約100mM~約150mMの濃度で存在する;
(c)炭水化物は、スクロースを、場合により、約50mM~約150mMまたは約75mM~約100mMの濃度、例えば約75mMまたは約100mMの濃度で含む;および/または、
(d)炭水化物は、ソルビトールを、場合により、約50mM~約150mMまたは約100mM~約125mM、例えば約125mMの濃度で含む;
(ii)ポリマーをさらに含み、場合により、ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、ヒドロキシルエチルデンプン(HETA)またはゼラチンである;および/または、
(iii)保存薬をさらに含み、場合により、保存薬は、ベンジルアルコール、m-クレゾールまたはフェノールである、
請求項1~8のいずれかに記載の製剤。
【請求項10】
液体製剤または凍結乾燥された製剤である、請求項1~9のいずれかに記載の製剤。
【請求項11】
前記製剤中の前記抗体分子の高分子量(HMW)種のレベルが2%未満であり、場合により、
(i)前記製剤中の前記抗体分子のHMW種のレベルが1%未満である;
(ii)前記製剤中の前記抗体分子のHMW種のレベルが5℃で1ヶ月間の貯蔵後に2%未満である;
(iii)前記製剤中の前記抗体分子のHMW種のレベルが40℃で1ヶ月間の貯蔵後に2%未満である;および/または、
(iv)前記製剤中の前記抗体分子のHMW種のレベルが動的光散乱によって決定されるものである、
請求項1~10のいずれかに記載の製剤。
【請求項12】
前記製剤中の前記抗体分子の約97%またはそれより多くが単量体として存在し、場合により、
(i)前記製剤中の前記抗体分子の約98%またはそれより多くが5℃で1ヶ月間の貯蔵後に単量体として存在する;および/または、
(ii)前記製剤中の前記抗体分子の約97%またはそれより多くが40℃で1ヶ月間の貯蔵後に単量体として存在する、
請求項1~11のいずれかに記載の製剤。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の製剤を含む容器またはデバイス。
【請求項14】
請求項1~12のいずれかに記載の製剤と、被験体への前記製剤の投与のための指示とを含む、キット。
【請求項15】
デングウイルス感染の処置または防止のための、請求項1~12のいずれかに記載の製剤。
【請求項16】
デングウイル感染の処置または防止のための医薬の製造における、請求項1~12のいずれかに記載の製剤の使用。
【請求項17】
請求項1~12のいずれかに記載の製剤を作製する方法であって、抗デング抗体分子を、緩衝剤、および張度剤または安定化剤のうち一方または両方と、任意選択でさらに、界面活性剤、炭水化物またはその両方と組み合わせ、これにより、前記製剤を作製するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2016年3月25日に出願された米国仮出願第62/313,558号の利益を主張する。上記出願の内容は、その全体が参考として本明細書に援用される。
【0002】
配列表
本願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、かつその全体が参考として本明細書に援用される配列表を含有する。2017年3月20日に作成された前記ASCIIコピーは、P2029-7010WO_SL.txtと命名され、74,975バイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
デングウイルスは、Flaviviridae科のFlavivirus属に属するプラス鎖RNAウイルスである。デングウイルスは、世界中の熱帯および亜熱帯地方を通じて広く分布し、媒介動物の蚊によってヒトに伝染する。デングウイルスは、少なくとも8ヶ国の熱帯アジア諸国における小児の入院および死亡の主因である(WHO、1997年、Dengue haemorrhagic fever: diagnosis, treatment prevention and control--第2版、Geneva: WHO)。年間推定5千万~1億症例のデング熱および500,000症例のより重症型のデングウイルス感染症、デング出血熱/デングショック症候群(DHF/DSS)を引き起こす、デングウイルスの4種の血清型(DV-1、DV-2、DV-3およびDV-4)が存在する(Gubler, D. J.およびMeltzer, M.1999年、Adv Virus Res 53巻:35~70頁)。DHF/DSSは、その第1のデングウイルス感染とは異なる血清型を有する第2のデングウイルス感染を経験する小児および成人、ならびに循環デング特異的母系抗体を依然として有する乳児の一次感染において優勢に観察される(Burke, D. S.ら1988年、Am J Trop Med Hyg 38巻:172~80頁;Halstead, S. B.ら1969年、Am J Trop Med Hyg 18巻:997~1021頁;Thein, S.ら1997年、Am J Trop Med Hyg 56巻:566~72頁)。
【0004】
デングウイルスの異なる血清型は、アミノ酸レベルで約25~40%異なり、抗原性の差を有し、この変動は、全血清型に対し有効な治療法を産み出す努力を妨げてきた。
【0005】
全4種のデングウイルス血清型は、ウイルス表面にE(エンベロープ)タンパク質を呈する。Eタンパク質は、宿主細胞へのウイルスの付着に寄与する。Eタンパク質は、DIドメイン(9ストランドのベータ-バレル)、DIIドメイン(宿主細胞との融合に関係付けられるドメイン)およびDIIIドメイン(免疫グロブリン様ドメイン)を含む。ヒトにおけるEタンパク質に対する体液性応答は、一般に、DIおよびDII領域を標的とし、その抗体の多くは、高い交差血清型反応性を示すが、中和活性は低い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Burke,D.S.ら、Am J Trop Med Hyg(1988年)38巻:172~80頁
【文献】Halstead,S.B.ら、Am J Trop Med Hyg(1969年)18巻:997~1021頁
【文献】Thein,S.ら、Am J Trop Med Hyg(1997年)56巻:566~72頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
当技術分野において、デングウイルスの新たな予防的および治療的処置(tratment)、特に、このウイルスの全4種の血清型に対し有効な処置の必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、少なくとも一部には、デングウイルス、例えば、デングウイルスEタンパク質に結合し、本明細書に開示されている機能的および構造的特性を含む抗体分子の製剤を提供する。一部の実施形態において、本抗体分子は、EDIII(Eタンパク質DIIIドメイン)の「A」ベータ-ストランドに結合する。一部の実施形態において、本抗体分子は、少なくとも1、2、3または4種のデングウイルス血清型、例えば、DV-1、DV-2、DV-3およびDV-4に結合するおよび/またはこれを中和する。一部の実施形態において、本抗体分子は、表1から選択される。一部の実施形態において、本抗体分子は、抗体A11と比較して、VH S26の欠失および/またはVH T33V置換を含む。これらの変異は、一部の実施形態において、1種または複数の特性を改善することができる、例えば、1種または複数のデングウイルス血清型、例えば、血清型DV-4に対する抗体親和性を改善することができる。一部の実施形態において、本抗体分子は、全4種のデング血清型にわたって保存されたEDIIIにおける部位を標的とする。抗体分子をコードする核酸分子、発現ベクター、宿主細胞、医薬組成物および抗体分子を作製するための方法も提供される。本明細書に開示されている抗デング抗体分子を使用して(単独で、または他の薬剤もしくは治療様式と組み合わせて)、デングウイルス、例えば、DV-1、DV-2、DV-3またはDV-4を処置、防止(prevent)および/または診断することができる。
【0009】
ある態様において、本開示は、本明細書に記載されている抗デング抗体分子、例えば、D88および緩衝剤を含む製剤、例えば、医薬製剤または組成物を特色とする。
【0010】
ある実施形態において、抗体分子は、約5mg/mL~約150mg/mL、例えば、約10mg/mL~約100mg/mL、約10mg/mL~約50mg/mL、約10mg/mL~約40mg/mL、約15mg/mL~約75mg/mL、約20mg/mL~約50mg/mL、約20mg/mL~約30mg/mL、約15mg/mL~約25mg/mL、約25mg/mL~約35mg/mL、約5mg/mL~約50mg/mL、約50mg/mL~約100mg/mL、約100mg/mL~約150mg/mL、約5mg/mL~約25mg/mL、約10mg/mL~約30mg/mL、約20mg/mL~約40mg/mL、約30mg/mL~約50mg/mL、約40mg/mL~約60mg/mL、約50mg/mL~約70mg/mL、約60mg/mL~約80mg/mL、約70mg/mL~約90mg/mL、約80mg/mL~約100mg/mL、約90mg/mL~約110mg/mL、または約100mg/mL~約120mg/mL、例えば、約150mg/mLもしくはそれ未満、約100mg/mLもしくはそれ未満、約50mg/mLもしくはそれ未満、約25mg/mLもしくはそれ未満、または約10mg/mLもしくはそれ未満、例えば、約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約35mg/mL、約40mg/mL、約45mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、または約150mg/mLの濃度で存在する。
【0011】
ある実施形態において、抗体分子は、約10mg/mL~約50mg/mL、例えば、約10mg/mL~約40mg/mL、例えば、約20mg/mL~約30mg/mL、例えば、約25mg/mLの濃度で存在する。ある実施形態において、抗体分子は、約25mg/mLの濃度で存在する。
【0012】
ある実施形態において、抗体分子は、
配列DVYMS(配列番号3)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列、ただし、Vが変化していないことを条件とする)を含むHC CDR1と、
配列RIDPENGDTKYDPKLQG(配列番号4)(または、それから1、2、3、4もしくは5アミノ酸以下が異なる配列、ただし任意選択で、Lが変化していないことを条件とする)を含むHC CDR2と、
配列GWEGFAY(配列番号5)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列)を含むHC CDR3と
を含む重鎖(HC)免疫グロブリン可変領域セグメントを含む。
【0013】
別の実施形態において、抗体分子は、
配列RASENVDKYGNSFMH(配列番号6)(または、それから1、2、3、4もしくは5アミノ酸以下が異なる配列)を含むLC CDR1と、
配列RASELQW(配列番号7)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列)を含むLC CDR2と、
配列QRSNEVPWT(配列番号8)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列)を含むLC CDR3と
を含む軽鎖免疫グロブリン(LC)可変領域セグメントを含む。
【0014】
ある実施形態において、抗体分子は、
(a)
配列DVYMS(配列番号3)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列、ただし任意選択で、
Vが変化していないことを条件とする)を含むHC CDR1と、
配列RIDPENGDTKYDPKLQG(配列番号4)(または、それから1、2、Lが変化していないことを条件とする)を含むHC CDR2と、
配列GWEGFAY(配列番号5)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列)を含むHC CDR3と
を含む重鎖(HC)免疫グロブリン可変領域セグメント; ならびに
(b)
配列RASENVDKYGNSFMH(配列番号6)(または、それから1、2、3、4もしくは5アミノ酸以下が異なる配列)を含むLC CDR1と、
配列RASELQW(配列番号7)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列)を含むLC CDR2と、
配列QRSNEVPWT(配列番号8)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列)を含むLC CDR3と
を含む軽鎖(LC)免疫グロブリン可変領域セグメント
を含む。
【0015】
ある実施形態において、抗体分子は、
(a)
配列DVYMS(配列番号3)を含むHC CDR1と、
配列RIDPENGDTKYDPKLQG(配列番号4)を含むHC CDR2と、
配列GWEGFAY(配列番号5)を含むHC CDR3と
を含む重鎖(HC)免疫グロブリン可変領域セグメント、および
(b)
配列RASENVDKYGNSFMH(配列番号6)を含むLC CDR1と、
配列RASELQW(配列番号7)を含むLC CDR2と、
配列QRSNEVPWT(配列番号8)を含むLC CDR3と
を含む軽鎖(LC)免疫グロブリン可変領域セグメント
を含む。
【0016】
ある実施形態において、抗体分子は、配列番号1の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を含む。別の実施形態において、抗体分子は、配列番号2の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を含む。さらに別の実施形態において、抗体分子は、配列番号1のVHアミノ酸配列および配列番号2のVLアミノ酸配列を含む。
【0017】
ある実施形態において、緩衝剤は、約5mM~約150mM、例えば、約10mM~約100mM、約20mM~約50mM、約1mM~約50mM、約5mM~約20mM、約10mM~約40mM、約5mM~約30mM、約10mM~約25mM、例えば、約150mMもしくはそれ未満、約100mMもしくはそれ未満、約75mMもしくはそれ未満、約50mMもしくはそれ未満、約40mMもしくはそれ未満、約30mMもしくはそれ未満、約25mMもしくはそれ未満、または約10mMもしくはそれ未満、例えば、約5mM、約10mM、約20mM、約25mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、または約150mMの濃度で存在する。
【0018】
ある実施形態において、緩衝剤は、約10mM~約50mM、例えば、約20~約40mM、例えば、約25mMの濃度で存在する。ある実施形態において、緩衝剤は、約25mMの濃度で存在する。別の実施形態において、緩衝剤は、約1mM~約50mM、例えば、約5~約20mM、例えば、約10mMの濃度で存在する。ある実施形態において、緩衝剤は、約10mMの濃度で存在する。
【0019】
ある実施形態において、緩衝剤は、クエン酸緩衝液またはリン酸緩衝液である。ある実施形態において、緩衝剤は、リン酸ナトリウムを含む。一実施形態において、緩衝剤は、約5mM~約150mM、例えば、約10mM~約50mM、例えば、約25mMの濃度のリン酸ナトリウムを含む。別の実施形態において、緩衝剤は、クエン酸ナトリウムを含む。一実施形態において、緩衝剤は、約5mM~約150mM、例えば、約5mM~約50mM、約10mM~約30mM、例えば、約10mMまたは約25mMの濃度のクエン酸ナトリウムを含む。
【0020】
別の実施形態において、緩衝剤は、ヒスチジン緩衝液である。一実施形態において、緩衝剤は、約5mM~約150mM、例えば、約10mM~約50mMまたは約20mM~約40mM、例えば、約25mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0021】
ある実施形態において、緩衝剤は、約5.5~約7.5、例えば、約6.0~約7.0、例えば、約6.3~約6.7または約6.4~約6.6、例えば、約5.5、約6、約6.5または約7のpHを提供する。一実施形態において、緩衝剤は、リン酸ナトリウムを含み、約7.0のpHをもたらす。別の実施形態において、緩衝剤は、クエン酸ナトリウムを含み、約6.0または6.5のpHをもたらす。さらなる実施形態において、緩衝剤は、ヒスチジンを含み、約6.5のpHをもたらす。別の実施形態において、緩衝剤は、アルギニンを含み、約7.0のpHをもたらす。
【0022】
ある実施形態において、製剤は、張度剤(tonicity agent)をさらに含む。
【0023】
ある実施形態において、張度剤は、約10mM~約500mM、約50mM~約200mM、例えば、約60mM~約190mM、約70mM~約180mM、約80mM~約170mM、約90mM~約160mM、約100mM~約150mM、約145mM~約155mM、約140mM~約160mM、約135mM~約165mM、約130mM~約170mM、約120mM~約180mM、約70mM~約130mM、約80~約120mM、約90~約110mM、約110mM~約190mM、約100mM~約200mM、約50mM~約100mM、約60mM~約90mM、約70mM~約80mM、約100mM~約150mM、または約120~約150mM、例えば、約200mMもしくはそれ未満、約160mMもしくはそれ未満約150mMもしくはそれ未満、約120mMもしくはそれ未満、約110mMもしくはそれ未満、約100mMもしくはそれ未満、約80もしくはそれ未満、または約75mMもしくはそれ未満、例えば、約50mM、約60mM、約70mM、約75mM、約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、約160mM、約170mM、約180mM、約190mM、または約200mMの濃度で存在する。
【0024】
ある実施形態において、張度剤は、約50mM~約200mM、約75mM~約150mM、約120mM~約180mM、例えば、約140mM~約160mM、例えば、約150mMの濃度で使用される。別の実施形態において、張度剤は、約50mM~約100mM、約60mM~約90mM、約70mM~約80mM、例えば、約75mMの濃度で使用される。別の実施形態において、張度剤は、約50mM~約200mM、約60mM~約130mM、約70mM~約120mM、約80mM~約110mM、例えば、約100mMの濃度で使用される。
【0025】
ある実施形態において、張度剤は、塩化ナトリウムを含む。ある実施形態において、張度剤は、塩化ナトリウムを含み、約140mM~約160mM、例えば、約150mMの濃度で使用される。ある実施形態において、張度剤は、塩化ナトリウムを含み、約55mM~約95mM、例えば、約75mMの濃度で使用される。ある実施形態において、張度剤は、塩化ナトリウムを含み、約80mM~約120mM、例えば、約100mMの濃度で使用される。
【0026】
ある実施形態において、張度剤は、約150mOsm/L~約400mOsm/L、約160mOsm/L~約390mOsm/L、約170mOsm/L~約380mOsm/L、約180mOsm/L~約370mOsm/L、約190mOsm/L~約360mOsm/L、約200mOsm/L~約370mOsm/L、約210mOsm/L~約360mOsm/L、約220mOsm/L~約350mOsm/L、約200mOsm/L~約350mOsm/L、約220mOsm/L~約340mOsm/L、または約220mOsm/L~約340mOsm/L、約230mOsm/L~約330mOsm/L、または約240mOsm/L~約320mOsm/L、または約250mOsm/L~約300mOsm/L、例えば、約250mOsm/L、約260mOsm/L、約270mOsm/L、約280mOsm/L、約290mOsm/L、約300mOsm/L、約310mOsm/L、約320mOsm/L、約330mOsm/L、約340mOsm/L、または約350mOsm/Lの張度を提供する。
【0027】
ある実施形態において、製剤は、張度剤を含まない。
【0028】
ある実施形態において、製剤は、約5.5~約7、例えば、約6~約6.5、例えば、約5.5、約6、約6.5または約7のpHを有する。
【0029】
ある実施形態において、製剤は、界面活性剤、例えば、非イオン性界面活性剤をさらに含む。
【0030】
ある実施形態において、界面活性剤は、約0.005%~約0.1%(w/v)、例えば、約0.01%~約0.05%、約0.015%~約0.04%、約0.02%~約0.03%、約0.01%~約0.03%、約0.02%~約0.04%、約0.01%~約0.02%、約0.02%~約0.1%、約0.005%~約0.05%、または約0.05%~約0.1%、例えば、約0.1%もしくはそれ未満、約0.075%もしくはそれ未満、約0.05%もしくはそれ未満、約0.02%もしくはそれ未満、または約0.01%もしくはそれ未満、例えば、約0.005%、約0.01%、約0.015%、約0.02%、約0.025%、約0.03%、約0.035%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、または約0.1%の濃度で存在する。
【0031】
ある実施形態において、界面活性剤は、約0.01%~約0.05%、例えば、約0.02%の濃度で存在する。
【0032】
ある実施形態において、界面活性剤はポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)である。ある実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート80であり、約0.01%および約0.05%、例えば、約0.01%~約0.03%、例えば、約0.02%の濃度で存在する。
【0033】
ある実施形態において、製剤は、界面活性剤、例えば、非イオン性界面活性剤を含まない。
【0034】
ある実施形態において、製剤は、安定化剤をさらに含む。
【0035】
ある実施形態において、安定化剤は、約50mM~約200mM、例えば、約50mM~約150mM、約60mM~約190mM、約70mM~約180mM、約75mM~約125mM、または約75mM~約100mM、約80mM~約170mM、約90mM~約160mM、約100mM~約150mM、約145mM~約155mM、約140mM~約160mM、約135mM~約165mM、約130mM~約170mM、約120mM~約180mM、約70mM~約130mM、約80~約120mM、約90~約110mM、約110mM~約190mM、約100mM~約200mM、約50mM~約100mM、約60mM~約90mM、約70mM~約80mM、約100mM~約150mM、または約150mM~約120mM、例えば、約200mMもしくはそれ未満、約160mMもしくはそれ未満約150mMもしくはそれ未満、約120mMもしくはそれ未満、約110mMもしくはそれ未満、約100mMもしくはそれ未満、約80もしくはそれ未満、または約75mMもしくはそれ未満、例えば、約50mM、約60mM、約70mM、約75mM約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、約160mM、約170mM、約180mM、約190mM、または約200mMの濃度で存在する。
【0036】
ある実施形態において、安定化剤は、約50mM~約200mM、約75mM~約150mM、約120mM~約180mM、例えば、約140mM~約160mM、例えば、約150mMの濃度で使用される。別の実施形態において、安定化剤は、約50mM~約100mM、約60mM~約90mM、約70mM~約80mM、例えば、約75mMの濃度で使用される。
【0037】
ある実施形態において、安定化剤は、アミノ酸である。ある実施形態において、アミノ酸は、グリシン、ヒスチジン、アルギニン、メチオニン、プロリン、リシン、グルタミン酸またはこれらの組み合わせである。
【0038】
ある実施形態において、安定化剤は、アルギニンを含む。ある実施形態において、安定化剤は、アルギニンを含み、約50mM~約200mMまたは約75mM~約150mMの濃度で使用される。ある実施形態において、安定化剤は、アルギニンを含み、約140mM~約160mM、例えば、約150mMの濃度で使用される。ある実施形態において、安定化剤は、アルギニンを含み、約55mM~約95mM、例えば、約75mMの濃度で使用される。ある実施形態において、製剤は、例えば、安定化剤として、ヒスチジンを含む。ある実施形態において、製剤は、約10mM~約40mM、例えば、約25mMヒスチジンを含む。
【0039】
ある実施形態において、製剤は、
(a)約10~約50mg/mL、例えば、約10~約40mg/mL、例えば、約20~約30mg/mL、例えば、約25mg/mLの濃度の本明細書に記載されている抗体分子、
(b)約10mM~約50mM、例えば、約20mM~約40mM、例えば、約25mMの濃度の緩衝剤、例えば、ヒスチジン、
(c)約50mM~約100mM、約60mM~約90mM、約70mM~約80mM、例えば、約75mMの濃度の張度剤、例えば、塩化ナトリウム、および
(d)約50mM~約200mM、例えば、約60mM~約100mM、例えば、約75mMの濃度の安定化剤、例えば、アルギニン、
を含み、製剤のpHは、約5.5~約7.0、例えば、約6.5である。
【0040】
ある実施形態において、製剤は、約25mg/mLの本明細書に記載されている抗体分子、約25mMヒスチジン、約75mM塩化ナトリウム、および約75mMアルギニンを含み、製剤のpHは、約6.5である。
【0041】
ある実施形態において、製剤は、
(a)約10~約50mg/mL、例えば、約10~約40mg/mL、例えば、約20~約30mg/mL、例えば、約25mg/mLの濃度の本明細書に記載されている抗体分子、
(b)約10mM~約50mM、例えば、約20mM~約40mM、例えば、約25mMの濃度の緩衝剤、例えば、ヒスチジン、
(c)約50mM~約100mM、約60mM~約90mM、約70mM~約80mM、例えば、約75mMの濃度の張度剤、例えば、塩化ナトリウム、
(d)約50mM~約200mM、例えば、約60mM~約100mM、例えば、約75mMの濃度の安定化剤、例えば、アルギニン、
(e)約0.01%~約0.04%、例えば、約0.02%の濃度の界面活性剤、例えば、ポリソルベート80
を含み、製剤のpHは、約5.5~約7.0、例えば、約6.5である。
【0042】
一部の実施形態において、製剤は、約25mg/mLの本明細書に記載されている抗体分子、約25mMヒスチジン、約75mM塩化ナトリウム、約75mMアルギニン、および0.02%ポリソルベート80を含み、医薬組成物のpHは、約6.5である。
【0043】
ある実施形態において、製剤は、炭水化物、例えば、ポリオールまたは糖を含む。ある実施形態において、炭水化物は、スクロース、トレハロース、マンニトール、デキストラン、ソルビトール、イノシトール、グルコース、フルクトース、ラクトース、キシロース、マンノース、マルトース、ラフィノースまたはこれらの組み合わせである。
【0044】
一部の実施形態において、炭水化物はスクロースである。一部の実施形態において、スクロースは、約50mM~約150、例えば、約60mM~約140mM、約70mM~約130mM、約80mM~約120mM、約90mM~約110mM、約75mM~約100mM、約75mM~約125mM、約50mM~約100mM、または約100mM~約150mM、約50mM~約90mM、約60mM~約80mM、例えば、約200mMもしくはそれ未満、約190mMもしくはそれ未満、約180mMもしくはそれ未満、約170mMもしくはそれ未満、約160mMもしくはそれ未満、約150mMもしくはそれ未満、約140mMもしくはそれ未満、約130mMもしくはそれ未満、約120mMもしくはそれ未満、約110mMもしくはそれ未満、約100mMもしくはそれ未満、約90mMもしくはそれ未満、約80mMもしくはそれ未満、約75mMもしくはそれ未満、または約60mMもしくはそれ未満、例えば、約200mM、約190mM、約180mM、約170mM、約160mM、約150mM、約140mM、約130mM、約120mM、約110mM、約100mM、約90mM、約80mM、約75mM、または約60mMの濃度で存在する。一部の実施形態において、スクロースは、約75mMの濃度で存在する。一部の実施形態において、スクロースは、約100mMの濃度で存在する。一部の実施形態において、スクロースは、約150mMの濃度で存在する。
【0045】
一部の実施形態において、炭水化物はソルビトールである。一部の実施形態において、ソルビトールは、約50mM~約150mM、例えば、約70mM~約140mM、約90mM~約130mM、例えば、約150mMもしくはそれ未満、約145mMもしくはそれ未満、約140mMもしくはそれ未満、約135mMもしくはそれ未満、約130mMもしくはそれ未満、約125mMもしくはそれ未満、約120mMもしくはそれ未満、約115mMもしくはそれ未満、約110mMもしくはそれ未満、約105mMもしくはそれ未満、または約100mMもしくはそれ未満、例えば、約150mM、約145mM、約140mM、約135mM、約130mM、約125mM、約120mM、約115mM、約110mM、約105mM、または約100mMの濃度で存在する。一部の実施形態において、ソルビトールは、約125mMの濃度で存在する。
【0046】
ある実施形態において、製剤は、
(a)約10~約50mg/mL、例えば、約10~約40mg/mL、例えば、約20~約30mg/mL、例えば、約25mg/mLの濃度の本明細書に記載されている抗体分子、
(b)約10mM~約50mM、例えば、約20mM~約40mM、例えば、約25mMの濃度の緩衝剤、例えば、ヒスチジン、
(c)約50mM~約100mM、約60mM~約90mM、約70mM~約80mM、例えば、約75mMの濃度の張度剤、例えば、塩化ナトリウム、および
(d)約50mM~約150mM、例えば、約90mM~約110mM、例えば、約100mMの濃度の炭水化物、例えば、スクロース
を含み、製剤のpHは、約5.5~約7.0、例えば、約6.5である。
【0047】
ある実施形態において、製剤は、約25mg/mLの本明細書に記載されている抗体分子、約25mMヒスチジン、約75mM塩化ナトリウム、および約100mMスクロースを含み、製剤のpHは、約6.5である。
【0048】
ある実施形態において、製剤は、
(a)約10~約50mg/mL、例えば、約10~約40mg/mL、例えば、約20~約30mg/mL、例えば、約25mg/mLの濃度の本明細書に記載されている抗体分子、
(b)約10mM~約50mM、例えば、約20mM~約40mM、例えば、約25mMの濃度の緩衝剤、例えば、ヒスチジン、
(c)約50mM~約100mM、約60mM~約90mM、約70mM~約80mM、例えば、約75mMの濃度の張度剤、例えば、塩化ナトリウム、
(d)約50mM~約150mM、例えば、約90mM~約110mM、例えば、約100mMの濃度の炭水化物、例えば、スクロース、および
(e)約0.01%~約0.04%、例えば、約0.02%の濃度の界面活性剤、例えば、ポリソルベート80
を含み、製剤のpHは、約5.5~約7.0、例えば、約6.5である。
【0049】
ある実施形態において、製剤は、約25mg/mLの本明細書に記載されている抗体分子、約25mMヒスチジン、約75mM塩化ナトリウム、約100mMスクロース、および約0.02%ポリソルベート80を含み、製剤のpHは、約6.5である。
【0050】
ある実施形態において、製剤は、
(a)約10~約50mg/mL、例えば、約10~約40mg/mL、例えば、約20~約30mg/mL、例えば、約25mg/mLの濃度の本明細書に記載されている抗体分子、
(b)約15mM~約50mM、例えば、約25mMの濃度の緩衝剤、例えば、クエン酸ナトリウム、
(c)約50mM~約100mM、約60mM~約90mM、約70mM~約80mM、例えば、約75mMの濃度の張度剤、例えば、塩化ナトリウム、および
(d)約50mM~約150mM、例えば、約60mM~約100mM、例えば、約75mMの濃度の炭水化物、例えば、スクロース、
を含み、製剤のpHは、約5.5~約7.0、例えば、約6.5である。
【0051】
ある実施形態において、製剤は、約25mg/mLの本明細書に記載されている抗体分子、約25mMクエン酸ナトリウム、約75mM塩化ナトリウム、および約75mMスクロースを含み、製剤のpHは、約6.5である。
【0052】
ある実施形態において、製剤は、ポリマー、例えば、親水性ポリマーをさらに含む。ある実施形態において、ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、ヒドロキシルエチルデンプン(HETA)またはゼラチンである。
【0053】
ある実施形態において、製剤は、保存薬をさらに含む。ある実施形態において、保存薬は、ベンジルアルコール、m-クレゾールまたはフェノールである。
【0054】
ある実施形態において、製剤中の高分子量(HMW)種のレベルは、例えば、貯蔵前、あるいは4℃で少なくとも約1週間の貯蔵後、または5℃で少なくとも約1週間の貯蔵後、または40℃で少なくとも約1週間、45℃で少なくとも約1週間、4℃で少なくとも約2週間、5℃で少なくとも約2週間、40℃で少なくとも約2週間、45℃で少なくとも約2週間、4℃で少なくとも約3週間、5℃で少なくとも約3週間、40℃で少なくとも約3週間、45℃で少なくとも約3週間、4℃で少なくとも約4週間、5℃で少なくとも約4週間、40℃で少なくとも約4週間、45℃で少なくとも約4週間、4℃で少なくとも約5週間、5℃で少なくとも約5週間、40℃で少なくとも約5週間、45℃で少なくとも約5週間、4℃で少なくとも約6週間、5℃で少なくとも約6週間、40℃で少なくとも約6週間、45℃で少なくとも約6週間の貯蔵後に、約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または1%未満である。ある実施形態において、HMW種のレベルは、貯蔵前に約2%未満である。ある実施形態において、HMW種のレベルは、5℃で4週間の貯蔵後に約2%未満である。
【0055】
ある実施形態において、製剤中の低分子量(LMW)種のレベルは、例えば、貯蔵前、あるいは4℃で少なくとも約1週間の貯蔵後、または5℃で少なくとも約1週間の貯蔵後、または40℃で少なくとも約1週間、45℃で少なくとも約1週間、4℃で少なくとも約2週間、5℃で少なくとも約2週間、40℃で少なくとも約2週間、45℃で少なくとも約2週間、4℃で少なくとも約3週間、5℃で少なくとも約3週間、40℃で少なくとも約3週間、45℃で少なくとも約3週間、4℃で少なくとも約4週間、5℃で少なくとも約4週間、40℃で少なくとも約4週間、45℃で少なくとも約4週間、4℃で少なくとも約5週間、5℃で少なくとも約5週間、40℃で少なくとも約5週間、45℃で少なくとも約5週間、4℃で少なくとも約6週間、5℃で少なくとも約6週間、40℃で少なくとも約6週間、45℃で少なくとも約6週間の貯蔵後に約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または1%未満である。ある実施形態において、LMW種のレベルは、貯蔵前に約1%未満である。
【0056】
ある実施形態において、製剤中のHMWおよびLMW種のレベルは、例えば、貯蔵前、あるいは4℃で少なくとも約1週間の貯蔵後、または5℃で少なくとも約1週間の貯蔵後、または40℃で少なくとも約1週間、45℃で少なくとも約1週間、4℃で少なくとも約2週間、5℃で少なくとも約2週間、40℃で少なくとも約2週間、45℃で少なくとも約2週間、4℃で少なくとも約3週間、5℃で少なくとも約3週間、40℃で少なくとも約3週間、45℃で少なくとも約3週間、4℃で少なくとも約4週間、5℃で少なくとも約4週間、40℃で少なくとも約4週間、45℃で少なくとも約4週間、4℃で少なくとも約5週間、5℃で少なくとも約5週間、40℃で少なくとも約5週間、45℃で少なくとも約5週間、4℃で少なくとも約6週間、5℃で少なくとも約6週間、40℃で少なくとも約6週間、45℃で少なくとも約6週間の貯蔵後に約30%未満、約29%未満、約28%未満、約27%未満、約26%未満、約25%未満、約24%未満、約23%未満、約22%未満、約21%未満、約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または1%未満である。ある実施形態において、HMWおよびLMW種のレベルは、貯蔵前に約2%未満である。
【0057】
ある実施形態において、製剤中の抗体分子の約90%またはそれより多く、約92%またはそれより多く、約94%またはそれより多く、約95%またはそれより多く、約96%またはそれより多く、約97%またはそれより多く、約98%またはそれより多く、あるいは約99%またはそれより多くは、例えば、貯蔵前、あるいは5℃で少なくとも約1週間、40℃で少なくとも約1週間、5℃で少なくとも約2週間、40℃で少なくとも約2週間、5℃で少なくとも約3週間、40℃で少なくとも約3週間、5℃で少なくとも約4週間、40℃で少なくとも約4週間、5℃で少なくとも約5週間、40℃で少なくとも約5週間、5℃で少なくとも約6週間、または40℃で少なくとも約6週間の貯蔵後に単量体として存在する。ある実施形態において、製剤中の抗体分子の約98%またはそれよりも多くは、貯蔵前に単量体として存在する。ある実施形態において、製剤中の抗体分子の約98%またはそれよりも多くは、5℃で4週間の貯蔵後に単量体として存在する。ある実施形態において、製剤中の抗体分子の約95%またはそれよりも多くは、40℃で4週間の貯蔵後に単量体として存在する。
【0058】
ある実施形態において、単量体種のレベルは、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、例えば、ゲル浸透高速液体クロマトグラフィ(GP HPLC)によって決定される。別の実施形態において、抗体分子の単量体性質は、サイズ排除-高速液体クロマトグラフィ(SEC-HPLC)、結合アッセイ、表面電荷アッセイ、バイオアッセイ、またはLMW種に対するHMW種の比によって決定される。別の実施形態において、HMW種のレベルは、動的光散乱によって決定される。
【0059】
ある実施形態において、例えば、5℃で4週間の貯蔵後の、製剤中の抗体分子の純度は、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%である。ある実施形態において、例えば、40℃で4週間の貯蔵後の、製剤中の抗体分子の純度は、少なくとも約80%、少なくとも約82%、少なくとも約84%、少なくとも約86%、少なくとも約88%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%である。ある実施形態において、抗体分子の純度(または不均一性)は、製剤におけるインタクトな重鎖および軽鎖(例えば、還元試料中)またはインタクトな免疫グロブリン(例えば、非還元試料中)を検出することにより決定される。
【0060】
ある実施形態において、製剤は、液体製剤である。別の実施形態において、製剤は、凍結乾燥された製剤である。
【0061】
ある実施形態において、製剤は、被験体におけるデングウイルスの処置または防止における使用のためのものである。ある実施形態において、製剤は、デングウイルスを有する被験体の処置における使用のためのものである。別の実施形態において、製剤は、被験体がデングウイルスを有することの防止における使用のためのものである。
【0062】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載されている製剤、例えば、本明細書に記載されている医薬製剤を含むデバイス、例えば、注射デバイスを特色とする。
【0063】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載されている製剤、例えば、本明細書に記載されている医薬製剤を含む容器を特色とする。
【0064】
さらに別の態様において、本開示は、本明細書に記載されている製剤、または本明細書に記載されている製剤、例えば、本明細書に記載されている医薬製剤を含む1個もしくは複数の容器と、被験体への製剤の投与のための指示とを含むキットを特色とする。
【0065】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載されている製剤を作製する方法であって、本明細書に記載されている抗体分子を、本明細書に記載されている製剤、例えば、本明細書に記載されている医薬製剤の1種または複数の(例えば、2、3、4、5種またはそれよりも多い)成分(例えば、本明細書に記載されている緩衝剤、張度剤、安定化剤、界面活性剤、炭水化物またはアミノ酸)と組み合わせるステップを含む方法を特色とする。
【0066】
また別の態様において、本開示は、デングウイルスを処置または防止する方法であって、デングウイルスを有するまたはデングウイルスを有するリスクがある被験体に、有効量の本明細書に記載されている製剤、例えば、本明細書に記載されている医薬製剤を投与し、これにより、デングウイルスを処置または防止するステップを含む方法を特色とする。
【0067】
ある態様において、本開示は、デングウイルスの処置または防止における使用のための、本明細書に記載されている製剤、例えば、本明細書に記載されている医薬製剤を特色とする。
【0068】
別の態様において、本開示は、デングウイルスの処置または防止のための医薬の製造における、本明細書に記載されている製剤、例えば、本明細書に記載されている医薬製剤の使用を特色とする。
【0069】
本明細書に開示されている製剤および使用のいずれも、デングウイルスに対する抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗デング抗体分子を含むことができる。一部の実施形態において、本抗体分子(例えば、単離された、組換えまたはヒト化抗体分子)はリスト1由来の次の特性のうち1種または複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23種または全種)を有する:
a)高親和性で、例えば、約100nM、典型的には、約10nM、より典型的には、約10~0.01nM、約5~0.01nM、約3~0.05nM、約1~0.1nM未満またはより強い、例えば、約80、70、60、50、40、30、20、10、8、6、4、3、2、1、0.5、0.2、0.1、0.05または0.01nM未満の解離定数(K)で、EDIII(例えば、いずれかのデングウイルス血清型由来、例えば、DV-1、DV-2、DV-3またはDV-4由来の1種または複数のEDIII、例えば、DV-1、DV-2、DV-3またはDV-4由来の全4種のEDIII)に結合する、
b)高親和性で、例えば、約100nM、例えば、約10nM、例えば、約10~1nM未満またはより強い、例えば、約10、8、6、5、4または3nM未満の解離定数(K)で、DV-4 EDIIIに結合する、
c)抗体A11(本明細書において4E5Aとも称される)および/または抗体4E11よりも高い親和性で、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、8、10、12、15、100、1,000、5,000または10,000倍高い親和性で、DV-4および/またはDV-3 EDIIIドメインに結合する、
d)例えば、フォーカス低下中和検査(focus reduction neutralization test)またはウイルス活性の中和を評価するための関連する検査において、デングウイルス(例えば、DV-1、DV-2、DV-3およびDV-4のうち1種または複数、例えば、DV-1、DV-2、DV-3およびDV-4の全て)を中和する、
e)例えば、フォーカス低下中和検査またはウイルス活性の中和を評価するための関連する検査において、抗体A11および/または抗体4E11と比較して改善されたIC50で、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、8、10、12、25、50、75、100または1,000倍改善されたIC50で、DV-4を中和する、
f)例えば、VHおよび/またはVLにおいて、例えば、1個または複数のCDRまたはフレームワーク領域において、A11と比べて1個または複数の位置に変異(例えば、欠失、挿入、置換、例えば、保存的置換のうち1種または複数)を有する、
g)変異(例えば、欠失、挿入、置換、例えば、保存的置換のうち1種または複数)、例えば、置換、例えば、A11と比べて重鎖CDR1領域にT33V置換を有する、
h)変異(例えば、欠失、挿入、置換、例えば、保存的置換のうち1種または複数)、例えば、A11と比べて重鎖FW1における位置26に欠失を有する、
i)変異(例えば、欠失、挿入、置換、例えば、保存的置換のうち1種または複数)例えば、置換、例えば、A11と比べた重鎖CDR1領域のT33V変異、および変異(例えば、欠失、挿入、置換、例えば、保存的置換のうち1種または複数)、例えば、A11と比べた重鎖FW1における位置26の欠失の両方を有する、
j)変異(例えば、欠失、挿入、置換、例えば、保存的置換のうち1種または複数)、例えば、置換、例えば、A11と比べて重鎖CDR1領域にT33V変異を有し、改善された(例えば、A11と比べて)、デングウイルス、例えば、DV-1、DV-2、DV-3およびDV-4のうち1種または複数(例えば、全種)への結合および/またはその中和を有する、
k)変異(例えば、欠失、挿入、置換、例えば、保存的置換のうち1種または複数)、例えば、A11と比べて重鎖FW1における位置26に欠失を有し、改善された(例えば、A11と比べて)、デングウイルス、例えば、DV-1、DV-2、DV-3およびDV-4のうち1種または複数(例えば、全種)、例えば、DV-4への結合および/またはその中和を有する、
l)変異(例えば、欠失、挿入、置換、例えば、保存的置換のうち1種または複数)、例えば、置換、例えば、A11と比べた重鎖CDR1領域のT33V変異および変異(例えば、欠失、挿入、置換、例えば、保存的置換のうち1種または複数)、例えば、A11と比べた重鎖FW1における位置26の欠失の両方を有し、改善された(例えば、A11と比べて)、デングウイルス、例えば、DV-1、DV-2、DV-3およびDV-4のうち1種または複数(例えば、全種)、例えば、DV-4への結合および/またはその中和を有する、
m)例えば、少なくとも2、3、4、5、6、8、10、12、25、50、75、100または1,000倍高い親和性で、1種または複数(1種または複数のDV-1株、1種または複数のDV-2株、1種または複数のDV-3株、1種または複数のDV-4株、例えば、DENV-4 BC2、DENV-4-Sing10、DENV-4 NewCal09、DENV-4 Phil56、DENV-4 Thailand/1997、DENV-3 Sing09、DENV-3 Nic10、DENV-4 Brazil/2011、DENV-4 Venezuela/2008、DENV-4 Colombia/1997、DENV-3 H87、DENV-3 Puerto Rico/1977、DENV-3 Cambodia/2008、DENV-2 Peru95、DENV-2 Sing08、DENV-2 NGC、DENV-2 Venezuela/2007、DENV-2 Vietnam/2007、DENV-1 Hawaii/1944、DENV-2 New Guinea/1944(NGC)、DENV-3 Philippines/1956(H87)、DENV-4 Mexico/1997(BC287/97)およびDENV-4 H241のうち1種または複数)のEDIIIへの改善された結合を呈する、
n)例えば、ウイルスの不活性化を引き起こし得る、ビリオンの表面におけるEタンパク質のネイティブ構造を破壊する、
o)EDIIIにおけるエピトープ、例えば、A11またはB11モノクローナル抗体によって認識されるエピトープと同じまたは同様のエピトープに特異的に結合する、
p)表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88と同じまたは同様の結合親和性もしくは特異性またはその両方を示す、
q)表1に記載されている抗体分子(例えば、重鎖可変領域および軽鎖可変領域)、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88と同じまたは同様の結合親和性もしくは特異性またはその両方を示す、
r)表2に示すアミノ酸配列を含む抗体分子(例えば、重鎖可変領域および軽鎖可変領域)と同じまたは同様の結合親和性もしくは特異性またはその両方を示す、
s)本明細書に記載されている抗体分子、例えば、表1から選択される抗体分子、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88である第2の抗体分子のEDIIIへの結合を阻害、例えば、競合的に阻害する、
t)本明細書に記載されている抗体分子、例えば、表1から選択される抗体分子、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88である第2の抗体分子と同じまたは重複するEDIIIに対するエピトープに結合する、
u)結合に関して競合し、本明細書に記載されている抗体分子、例えば、表1から選択される抗体分子、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88である第2の抗体分子と同じEDIIIに対するエピトープに結合する、
v)本明細書に記載されている抗体分子、例えば、表1から選択される抗体分子、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88の1種または複数の生物学的特性を有する、
w)本明細書に記載されている抗体分子、例えば、表1から選択される抗体分子、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88の1種または複数の薬物動態学的特性を有する、あるいは
x)デングウイルスの1種または複数の活性を阻害する、例えば、ウイルスを中和する(例えば、フォーカス低下中和検査またはウイルス活性の中和を評価するための関連する検査において測定される)。
【0070】
一部の実施形態において、本抗体分子は、上述のリスト1の1種または複数の機能的特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)、(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)と組み合わせて、変異(例えば、1個または複数の欠失、挿入、置換、例えば、保存的置換)、例えば、A11と比べた重鎖CDR1領域のT33V変異を有する。ある特定の実施形態において、本抗体分子は、上述のリスト1の1種または複数の機能的特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)と組み合わせて、A11と比べて重鎖FW1における位置26に変異(例えば、1個または複数の欠失、挿入、置換、例えば、保存的置換)、例えば、欠失を有する。一部の実施形態において、本抗体分子は、上述のリスト1の1種または複数の機能的特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)と組み合わせて、A11と比べた重鎖CDR1領域の変異(例えば、1個または複数の欠失、挿入、置換、例えば、保存的置換)、例えば、T33V変異およびA11と比べた重鎖FW1における位置26の変異(例えば、1個または複数の欠失、挿入、置換、例えば、保存的置換)、例えば、欠失の両方を有する。
【0071】
一部の実施形態において、本抗体分子は、上述のリスト1の1種または複数の機能的特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)、(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)と組み合わせて、A11と比べた重鎖CDR1領域のT33V変異を有する。ある特定の実施形態において、本抗体分子は、上述のリスト1の1種または複数の機能的特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)と組み合わせて、A11と比べて重鎖FW1における位置26に欠失を有する。一部の実施形態において、本抗体分子は、上述のリスト1の1種または複数の機能的特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)と組み合わせて、A11と比べた重鎖CDR1領域のT33V変異およびA11と比べた重鎖FW1における位置26の欠失の両方を有する。
【0072】
ある特定の実施形態において、本抗体分子は、上述のリスト1の1種または複数の機能的特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)、(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)と組み合わせて、A11と比べた重鎖CDR1領域のT33V変異およびA11と比べた重鎖FW1における位置26の欠失の両方を有する。例えば、本抗体分子は、高親和性で、例えば、約100nM、典型的には約10nM、より典型的には約10~0.01nM、約5~0.01nM、約3~0.05nMもしくは約1~0.1nM未満またはより強い、例えば、約80、70、60、50、40、30、20、10、8、6、4、3、2、1、0.5、0.2、0.1、0.05または0.01nM未満の解離定数(K)で、EDIII(例えば、DV-1、DV-2、DV-3またはDV-4の)と結合することができる。さらなる例として、本抗体分子は、高親和性で、例えば、約100nM、例えば、約10nM、例えば、約10~1nM未満またはより強い、例えば、約10、8、6、5、4または3nM未満の解離定数(K)で、DV-4 EDIIIに結合することができる。さらに、本抗体分子は、例えば、フォーカス低下中和検査またはウイルス活性の中和を評価するための関連する検査において、抗体A11および/または抗体4E11と比較して改善されたIC50で、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、8、10、12、100、1,000倍改善されたIC50で、DV-4を中和することができる。
【0073】
ある特定の実施形態において、親和性は、競合ELISAまたはSPRによって測定される。一部の実施形態において、親和性は、BIAcore、ELISAまたはフローサイトメトリーのうち1種または複数によって測定される。
【0074】
ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、ヒト化抗体分子であり、上述のリスト1由来の1種または複数の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)を有する。
【0075】
一部の実施形態において、本抗体分子は、高親和性で、例えば、マウス抗デング抗体分子、例えば、4E11、A11またはB11のKよりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低いKで、EDIIIに結合する。
【0076】
一部の実施形態において、本抗体分子の発現レベルは、マウス抗体分子、例えば、本明細書に記載されているマウス抗デング抗体分子の発現レベルよりも高い、例えば、少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10倍高い。一部の実施形態において、本抗体分子は、哺乳動物細胞、例えば、ヒトまたは齧歯類細胞において発現される。
【0077】
一部の実施形態において、本抗体分子は、マウス抗デング抗体分子、例えば、本明細書に記載されているマウス抗デング抗体分子のIC50よりも低い、例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低いIC50(50%阻害における濃度)で、1種または複数のデングウイルス活性を低下させる。一部の実施形態において、デングウイルス活性は、例えば、あらゆる補足材料を含むその全体が参考として明示的に本明細書に援用されるTharakaramanaら、Proc Natl Acad Sci U S A.2013年4月23日;110巻(17号):E1555~64頁、doi:10.1073/pnas.1303645110. Epub2013年4月8日に記載されているフォーカス低下中和検査において中和される。ウイルス活性の中和の評価に使用することができる他の関連する検査は、例えば、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)に基づくマイクロ中和(MN)アッセイ(例えば、Vorndamら、Am J Trop Med Hyg 2002年;66巻:208~212頁に記載)および蛍光抗体細胞選別機に基づくDC-SIGN発現体樹状細胞(DC)アッセイ(例えば、Martinら、J Virol Methods 2006年;134巻:74~85頁に記載)を含む。
【0078】
ある特定の実施形態において、本抗体分子は、例えば、本明細書に記載されている蚊モデルによって測定される通り、例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%、デングウイルスの伝染(transmission)を低下させる(例えば、被験体(例えば、ヒト)および蚊の間の伝染を低下させる)。
【0079】
他の実施形態において、本抗体分子は、例えば、本明細書に記載されている蚊モデルによって測定される通り、例えば、マウス抗デング抗体分子、例えば、本明細書に記載されているマウス抗デング抗体分子、例えば、4E11、A11またはB11よりも少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10倍高く、デングウイルスの伝染を低下させるための改善された能力を有する(例えば、被験体(例えば、ヒト)および蚊の間でデングウイルスの伝染を低下させるための改善された能力を有する)。
【0080】
他の実施形態において、本抗体分子は、例えば、本明細書に記載されている蚊モデルによって測定される通り、例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%、蚊ウイルス負荷(例えば、蚊によって保有されるウイルスの量および/または感染性)を低下させる。
【0081】
一部の実施形態において、本抗体分子は、改善された安定性を有し、例えば、マウス抗デング抗体分子、例えば、本明細書に記載されているマウス抗デング抗体分子、例えば、4E11、A11またはB11よりも少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10倍in vivoまたはin vitroで安定的である。
【0082】
一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、少なくとも1個の抗原結合性領域、例えば、本明細書に記載されている抗体、例えば、表1から選択される抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88、あるいは前述の配列のいずれかと実質的に同一の配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または1、2、3個もしくはそれを超える置換、挿入もしくは欠失、例えば、保存された置換を有する配列)由来の可変領域またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0083】
ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、本明細書に記載されている抗体、例えば、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88、あるいは前述の配列のいずれかと実質的に同一の配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または1、2、3個もしくはそれを超える置換、挿入もしくは欠失、例えば、保存された置換を有する配列)由来の少なくとも1、2、3または4個の可変領域を含む。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0084】
一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、本明細書に記載されている抗体、例えば、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88、あるいは前述の配列のいずれかと実質的に同一の配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または1、2、3個もしくはそれを超える置換、挿入もしくは欠失、例えば、保存された置換を有する配列)由来の少なくとも1または2個の重鎖可変領域を含む。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0085】
ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、本明細書に記載されている抗体、例えば、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88、あるいは前述の配列のいずれかと実質的に同一の配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または1、2、3個もしくはそれを超える置換、挿入もしくは欠失、例えば、保存された置換を有する配列)由来の少なくとも1または2個の軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0086】
ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、例えば、4E5Aおよび/もしくは4E11または表1の抗体と比べて、VH領域における位置33にバリンを含む(例えば、T33V変異)。一部の実施形態において、本抗デング抗体は、例えば、4E5Aまたは表1の抗体と比べて、VH領域にdel26(位置26における欠失)を含む。一部の実施形態において、本抗デング抗体は、例えば、4E5Aまたは表1の抗体と比べて、位置33におけるバリン(例えば、T33V変異)およびVH領域におけるdel26変異の両方を含む。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0087】
一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、本明細書に記載されている抗体、例えば、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88、あるいは前述の配列のいずれかと実質的に同一の配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または1、2、3個もしくはそれを超える置換、挿入もしくは欠失、例えば、保存された置換を有する配列)の重鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個の相補性決定領域(CDR)を含む。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0088】
ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、表3に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個のCDRを(または全CDRをまとめて)含む。一部の実施形態において、CDRのうち1種または複数(または全CDRをまとめて)は、表3に示すCDRと比べて、1、2、3、4、5、6個またはそれを超える変化、例えば、アミノ酸置換、挿入または欠失を有する。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0089】
一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、表3に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個のCDRを(または全CDRをまとめて)含む。一部の実施形態において、CDRのうち1種または複数(または全CDRをまとめて)は、表3に示すCDRと比べて、1、2、3、4、5、6個またはそれを超える変化、例えば、アミノ酸置換、挿入または欠失を有する。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0090】
一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、表3に示すアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域由来の少なくとも1、2、3、4、5または6個のCDRを(または全CDRをまとめて)含む。一部の実施形態において、CDRのうち1種または複数(または全CDRをまとめて)は、表3に示すCDRと比べて、1、2、3、4、5、6個またはそれを超える変化、例えば、アミノ酸置換、挿入または欠失を有する。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0091】
ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、本明細書に記載されている抗体、例えば、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88、あるいは密接に関係したCDR、例えば、同一の、または少なくとも1個のアミノ酸変更を有するが、2、3もしくは4個の変更(例えば、置換、例えば、保存的置換、欠失または挿入)を超えないCDR由来の全6個のCDRを含む。ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、本明細書に記載されているいずれかのCDRを含むことができる。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0092】
一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、本明細書に記載されている抗体、例えば、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88の重鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個のChothia超可変ループ、あるいはEDIIIに接触する超可変ループ由来の少なくともアミノ酸を含む。例えば、一部の実施形態において、本明細書に提供される抗体分子は、配列番号9のVHCDR1、配列番号10のVHCDR2および配列番号5のVHCDR3を有する。本明細書に提供される抗体分子は、配列番号15のVHCDR1、配列番号10のVHCDR2および配列番号5のVHCDR3を有することもできる。本明細書に提供される抗体分子は、配列番号22、24、26、28または30のVHCDR1;配列番号10のVHCDR2;および配列番号5のVHCDR3を有することもできる。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0093】
一部の実施形態において、および任意選択で本明細書に記載の重鎖CDRと組み合わせて、本抗デング抗体分子は、本明細書に記載されている抗体、例えば、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88の軽鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個のChothia超可変ループ、あるいはEDIIIに接触する超可変ループ由来の少なくともアミノ酸を含む。例えば、ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体分子は、配列番号9のVHCDR1、配列番号7のVHCDR2および配列番号8のVHCDR3を有する。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0094】
一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、本明細書に記載されている抗体、例えば、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88の重鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個のKabat超可変ループ、あるいはEDIIIに接触する超可変ループ由来の少なくともアミノ酸を含む。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0095】
一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、本明細書に記載されている抗体、例えば、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88の軽鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個のKabat超可変ループ、あるいはEDIIIに接触する超可変ループ由来の少なくともアミノ酸を含む。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0096】
ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、本明細書に記載されている抗体、例えば、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88の重鎖および軽鎖可変領域由来の少なくとも1、2、3,4、5または6個の超可変ループ、あるいはEDIIIに接触する超可変ループ由来の少なくともアミノ酸を含む。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0097】
ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、本明細書に記載されている抗体、例えば、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88の重および軽鎖可変領域由来の全6個の超可変ループ、あるいはEDIIIに接触する超可変ループまたは密接に関係した超可変ループ、例えば、同一の、または少なくとも1個のアミノ酸変更を有するが、2、3もしくは4個の変更(例えば、置換、例えば、保存的置換、欠失または挿入)を超えない超可変ループ由来の少なくともアミノ酸を含む。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0098】
一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、本明細書に記載されている抗体、例えば、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88の相当する超可変ループと同じ正準(canonical)構造、例えば、本明細書に記載されている抗体の重および/または軽鎖可変ドメインの少なくともループ1および/またはループ2と同じ正準構造を有する少なくとも1、2または3個の超可変ループを含む。例えば、超可変ループ正準構造の説明に関して、Chothiaら、(1992年)J. Mol. Biol.227巻:799~817頁;Tomlinsonら、(1992年)J. Mol. Biol.227巻:776~798頁を参照されたい。これらの構造は、これらの刊行物に記載されている表の点検により決定することができる。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0099】
ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、表3に表記されているアミノ酸配列またはそれと実質的に同一の配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または1、2、3個もしくはそれを超える置換、挿入もしくは欠失、例えば、保存された置換を有する配列)を有する重鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個の(例えば、全)CDRを含む。一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、表3に表記されているアミノ酸配列またはそれと実質的に同一の配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または1、2、3個もしくはそれを超える置換、挿入もしくは欠失、例えば、保存された置換を有する配列)を有する軽鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個の(例えば、全)CDRを含む。ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、表3に表記されているアミノ酸配列またはそれと実質的に同一の配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または1、2、3個もしくはそれを超える置換、挿入もしくは欠失、例えば、保存された置換を有する配列)を有する重および軽鎖可変領域由来の少なくとも1、2、3、4、5または6個の(例えば、全)CDRを含む。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0100】
一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、本明細書に記載の抗体、例えば、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88のアミノ酸配列またはそれと実質的に同一の配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または1、2、3個もしくはそれを超える置換、挿入もしくは欠失、例えば、保存された置換を有する配列)を有する重鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個の(例えば、全)CDRを含む。ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、本明細書に記載の抗体、例えば、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88のアミノ酸配列またはそれと実質的に同一の配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または1、2、3個もしくはそれを超える置換、挿入もしくは欠失、例えば、保存された置換を有する配列)を有する軽鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個の(例えば、全)CDRを含む。一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、例えば、表2のVLおよびVH配列における、本明細書に記載されている6個のCDRを含む。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0101】
ある特定の実施形態において、本抗体分子は、表3から選択されるVHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VLCDR1、VLCDR2およびVLCDR3を有する。6個のCDRは、全てKabat定義、全てChothia定義または一部Kabatおよび一部Chothia定義となり得る。例えば、VHCDR1は、配列番号3、9、14、15、22、24、26、28または30から選択することができ;VHCDR2は、配列番号4、10または35から選択することができ;VHCDR3は、配列番号5となることができ;VLCDR1は、配列番号6となることができ;VLCDR2は、配列番号7となることができ;VLCDR3は、配列番号8となることができる。
【0102】
ある特定の実施形態において、本抗デング抗体の軽または重鎖可変フレームワークは、(a)ヒト軽もしくは重鎖可変フレームワーク、例えば、ヒト成熟抗体、ヒト生殖系列配列またはヒトコンセンサス配列由来の軽もしくは重鎖可変フレームワーク残基由来のアミノ酸残基の少なくとも80%、85%、87%、90%、92%、93%、95%、97%、98%もしくは好ましくは100%を含む軽または重鎖可変フレームワーク;(b)ヒト軽もしくは重鎖可変フレームワーク、例えば、ヒト成熟抗体、ヒト生殖系列配列もしくはヒトコンセンサス配列由来の軽もしくは重鎖可変フレームワーク残基由来のアミノ酸残基の20%~80%、40%~60%、60%~90%もしくは70%~95%を含む軽もしくは重鎖可変フレームワーク;(c)非ヒトフレームワーク(例えば、齧歯類フレームワーク);または(d)例えば、抗原性もしくは細胞傷害性決定基を除去するように修飾された、例えば、脱免疫化(de-immunized)もしくは部分的にヒト化された非ヒトフレームワークから選択することができる。一部の実施形態において、軽または重鎖可変フレームワーク領域は、ヒト生殖系列遺伝子のVHまたはVLセグメントのフレームワークと少なくとも70、75、80、85、87、88、90、92、94、95、96、97、98、99%同一または同一の軽または重鎖可変フレームワーク配列を含む。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0103】
ある特定の実施形態において、本抗デング抗体のVH領域(例えば、その中のフレームワーク領域)は、ヒトVH領域、例えば、ヒト重鎖生殖系列にコードされるアミノ酸配列由来の1種または複数の位置、例えば、FW1、FW2、FW3およびFW4のうち1種または複数(例えば、全種)に見いだされる位置を含む。ある特定の実施形態において、任意選択で、前文に記されているVH残基と組み合わせて、本抗デング抗体のVL領域(例えば、その中のフレームワーク領域)は、ヒトVL領域、例えば、ヒト重鎖生殖系列にコードされるアミノ酸配列由来の1種または複数の位置、例えば、FW1、FW2、FW3およびFW4のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5種または全種)に見いだされる位置を含む。
【0104】
例えば、一部の実施形態において、本抗体分子は、表5のヒト生殖系列配列由来の重鎖または軽鎖FW1、FW2、FW3またはFW4領域に従った1個または複数の(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30個のまたは全)残基を含む。より具体的には、一部の実施形態において、本抗体分子は、表6のVH生殖系列配列の1個または複数の(例えば、少なくとも2、3、4、5、10もしくは15個のまたは全)VH FW1残基を有し;一部の実施形態において、本抗体分子は、表6のVH生殖系列配列の1個または複数の(例えば、少なくとも2、3、4、5、10もしくは15個のまたは全)VH FW2残基を有し;一部の実施形態において、本抗体分子は、表6のVH生殖系列配列の1個または複数の(例えば、少なくとも2、3、4、5、10もしくは15個のまたは全)VH FW3残基を有し、および一部の実施形態において、本抗体分子は、表6のVH生殖系列配列の1個または複数の(例えば、少なくとも2、3、4、5、10もしくは15個のまたは全)VH FW4残基を有する。さらに、任意選択で、前文に記す重鎖残基と組み合わせて、一部の実施形態において、本抗体分子は、表6のVL生殖系列配列の1個または複数の(例えば、少なくとも2、3、4、5、10もしくは15個のまたは全)VL FW1残基を有し;一部の実施形態において、本抗体分子は、表6のVL生殖系列配列の1個または複数の(例えば、少なくとも2、3、4、5、10もしくは15個のまたは全)VL FW2残基を有し;一部の実施形態において、本抗体分子は、表6のVL生殖系列配列の1個または複数の(例えば、少なくとも2、3、4、5、10もしくは15個のまたは全)VL FW3残基を有し、および一部の実施形態において、本抗体分子は、表6のVL生殖系列配列の1個または複数の(例えば、少なくとも2、3、4、5、10もしくは15個のまたは全)VL FW4残基を有する。ある特定の実施形態において、本抗体分子は、重鎖フレームワークVH1-1801、JH401および/または軽鎖フレームワークVk4-101、Jk202を有する。
【0105】
ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、表1のアミノ酸配列、例えば、B11、D88、A48、F38、F108またはC88、例えば、可変領域全体におけるFR領域のアミノ酸配列から少なくとも1、2、3、4、5、6、7、10、15、20個またはそれを超える変化、例えば、アミノ酸置換、挿入または欠失を有する重鎖可変ドメインを含む。一部の実施形態において、抗デング抗体分子は、表1の抗体、例えば、A11のアミノ酸配列の位置3のQ、位置5のV、位置6のEの欠失、位置12のV、位置13のK、位置20のK、位置21のV、位置24のK、位置26のSの欠失、位置33のV、位置39のR、位置41のA、位置43のG、位置49のM、位置65のL、位置68のR、位置69のV、位置71のM、位置77のT、位置82のM、位置83のE、位置85のR、位置88のR、位置90のD、位置98のAまたはVまたはS、および位置117のS、のうちの1つまたは複数(例えば、少なくとも5、10、15または20、あるいは全て)を有する重鎖可変ドメインを含む。これらの変異の1つまたは複数(例えば、全て)を有する抗体の例として、A48、B48、C88、F38、F108、およびD48が挙げられる。一部の実施形態において、ヒト化重鎖は、表1の抗体、例えば、A11のアミノ酸配列の位置3のQ、位置5のV、位置6のEの欠失、位置12のV、位置13のK、位置20のK、位置21のV、位置24のK、位置39のR、位置41のA、位置43のG、位置49のM、位置65のL、位置68のR、位置69のV、位置71のM、位置77のT、位置82のM、位置83のE、位置85のR、位置88のR、位置90のD、位置98のVまたはAまたはS、および位置117のS、のうちの1つまたは複数を含有する。これらの変異のうち1種または複数(例えば、全種)を有する抗体の例は、A68である。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0106】
ある特定の実施形態において(また、任意選択で、本明細書、例えば、前段落に記載されている重鎖置換と組み合わせて)、本抗デング抗体分子は、表1のアミノ酸配列、例えば、B11、D88、A48、F38、F108またはC88、例えば、可変領域全体におけるFR領域のアミノ酸配列から少なくとも1、2、3、4、5、6、7、10、15、20個またはそれを超えるアミノ酸変化、例えば、アミノ酸置換、挿入または欠失を有する軽鎖可変ドメインを含む。ある特定の実施形態において、抗デング抗体は、表1の抗体、例えば、B11、D88、A48、F38、F108またはC88のアミノ酸配列の位置1のD、位置2のI、位置7のS、位置17のE、位置44のP、位置62のV、位置64のD、位置72のG、位置80のS、位置81のS、位置82のL、位置83のQ、位置85のE、位置89のV、位置91のY、および位置104のQ、のうちの1つまたは複数(例えば、少なくとも5、10、15または全て)を有する軽鎖可変ドメインを含む。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0107】
一部の実施形態において、本抗デング抗体分子の重もしくは軽鎖可変ドメインまたはその両方は、本明細書に開示されているアミノ酸と実質的に同一の、例えば、本明細書に記載されている抗体、例えば、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88の可変領域と少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%またはより高く同一の、あるいは本明細書に記載されている抗体の可変領域から少なくとも1、2、3、4または5残基、ただし、40、30、20または10残基未満が異なるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0108】
ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子の重もしくは軽鎖可変領域またはその両方は、本明細書に記載されている核酸配列、あるいは、例えば、低ストリンジェンシー、中程度のストリンジェンシーもしくは高ストリンジェンシーまたは本明細書に記載されている他のハイブリダイゼーション条件下で、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88をコードする核酸配列にハイブリダイズする核酸またはその相補体にコードされるアミノ酸配列を含む。本願は、本抗デング抗体分子の重もしくは軽鎖可変領域またはその両方も開示し、これは、例えば、低ストリンジェンシー、中程度のストリンジェンシーもしくは高ストリンジェンシーまたは本明細書に記載されている他のハイブリダイゼーション条件下で、表4の核酸配列またはその相補体にコードされるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、核酸は、表4の配列またはその一部と少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%またはそれより高く同一である。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0109】
ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、少なくとも1、2、3または4個の抗原結合性領域、例えば、表2に表記されているアミノ酸配列またはそれと実質的に同一の配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、または表2に示す配列から1、2、5、10もしくは15アミノ酸残基以下が異なる配列)を有する可変領域を含む。ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88をコードするヌクレオチド配列、またはヌクレオチド配列のうちいずれか1種と実質的に同一の配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、またはヌクレオチド配列のうちいずれか1種から3、6、15、30もしくは45ヌクレオチド以下が異なる配列)を有する核酸にコードされるVHおよび/またはVLドメインを含む。一部の実施形態において、抗体分子は、この段落に記す構造的特色、およびデングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0110】
ある特定の態様において、本開示は、デングウイルスに結合することができる抗体分子であって、
(a)
配列
【化1】
(配列番号3)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列、ただし任意選択で、
【化2】
が変化していないことを条件とする)を含むCDR1と、
配列
【化3】
(配列番号4)(または、それから1、2、3、4もしくは5アミノ酸以下が異なる配列、ただし任意選択で、
【化4】
が変化していないことを条件とする)を含むCDR2と、
配列GWEGFAY(配列番号5)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列)を含むCDR3と
を含む重鎖免疫グロブリン可変領域セグメント;
(b)
配列RASENVDKYGNSFMH(配列番号6)(または、それから1、2、3、4もしくは5アミノ酸以下が異なる配列)を含むCDR1と、
配列RASELQW(配列番号7)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列)を含むCDR2と、
配列QRSNEVPWT(配列番号8)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列)を含むCDR3と
を含む軽鎖可変領域セグメント
を含む抗体分子を提供する。
【0111】
一部の実施形態において、HCDR1の
【化5】
が変化しておらず;一部の実施形態において、HCDR2の
【化6】
が変化しておらず、一部の実施形態において、HCDR1の
【化7】
およびHCDR2の
【化8】
の両方が変化していない。
【0112】
ある特定の実施形態において、本抗体分子は、配列QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKAGFNIK(配列番号11)、または配列番号11と比べて1、2、3、4もしくは5個以下の変異を有するアミノ酸配列を有するVH FW1を含む。
【0113】
ある特定の実施形態において、本抗体分子は、配列WVRQAPGQGLEWMG(配列番号84)、または配列番号84と比べて1、2、3、4もしくは5個以下の変異を有するアミノ酸配列を有するVH FW2を含む。ある特定の実施形態において、本抗体分子は、配列WVRQAPEQGLEWMG(配列番号85)、または配列番号85と比べて1、2、3、4もしくは5個以下の変異を有するアミノ酸配列を有するVH FW2を含む。
【0114】
ある特定の態様において、本開示は、デングウイルスに任意選択で結合することができる抗体分子であって、
(a)
配列番号33と比べて位置26の欠失を含むFW1と、
配列
【化9】
(配列番号14)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列、ただし任意選択で、
【化10】
が変化していないことを条件とする)を含むCDR1、または配列
【化11】
(配列番号3)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列、ただし任意選択で、
【化12】
が変化していないことを条件とする)を含むCDR1と、
配列
【化13】
(配列番号4)(または、それから1、2、3、4もしくは5アミノ酸以下が異なる配列、ただし任意選択で、
【化14】
が変化していないことを条件とする)を含むCDR2と、
配列GWEGFAY(配列番号5)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列)を含むCDR3と
を含む重鎖免疫グロブリン可変領域セグメント;ならびに
(b)
配列RASENVDKYGNSFMH(配列番号6)(または、それから1、2、3、4もしくは5アミノ酸以下が異なる配列)を含むCDR1と、
配列RASELQW(配列番号7)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列)を含むCDR2と、
配列QRSNEVPWT(配列番号8)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列)を含むCDR3と
を含む軽鎖可変領域セグメント
を含む抗体分子を提供する。
【0115】
ある特定の実施形態において、本抗体分子は、配列WVRQAPGQGLEWMG(配列番号84)、または配列番号84と比べて1、2、3、4もしくは5個以下の変異を有するアミノ酸配列を有するVH FW2を含む。ある特定の実施形態において、本抗体分子は、配列WVRQAPEQGLEWMG(配列番号85)、または配列番号85と比べて1、2、3、4もしくは5個以下の変異を有するアミノ酸配列を有するVH FW2を含む。
【0116】
ある特定の態様において、本開示は、デングウイルスに任意選択で結合することができる抗体分子であって、
(a)
配列
【化15】
(配列番号3)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列、ただし任意選択で、
【化16】
が変化していないことを条件とする)を含むCDR1と、
配列
【化17】
(配列番号4)(または、それから1、2、3、4もしくは5アミノ酸以下が異なる配列、ただし任意選択で、
【化18】
が変化していないことを条件とする)を含むCDR2と、
配列
【化19】
(配列番号5)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列、ただし任意選択で、
【化20】
が、I、K、DまたはEに置き換えられることを条件とする)を含むCDR3と
を含む重鎖免疫グロブリン可変領域セグメント;
(b)
配列
【化21】
(配列番号6)(または、それから1、2、3、4もしくは5アミノ酸以下が異なる配列、ただし任意選択で、
【化22】
が、Fに置き換えられることを条件とする)を含むCDR1と、
配列RASELQW(配列番号7)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列)を含むCDR2と、
配列QRSNEVPWT(配列番号8)(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列)を含むCDR3と
を含む軽鎖可変領域セグメント
を含む抗体分子を提供する。
【0117】
したがって、一部の実施形態において、重鎖CDR3は、
【化23】
(配列番号90)、
【化24】
(配列番号91)、
【化25】
(配列番号92)または
【化26】
(配列番号93)である。一部の実施形態において、軽鎖CDR1は、
【化27】
(配列番号94)である。言い換えれば、一部の実施形態において、抗体A11におけるアラニンである重鎖の位置105は、別の残基、例えば、I、K、DまたはEに変化させることができる。ある特定の実施形態において、抗体A11におけるチロシンである軽鎖の位置32は、別の残基、例えば、Fに変化させられる。一部の実施形態において、この段落に記載されている変異は、EDIIIに対する抗体分子の親和性および/またはデングウイルスの1種または複数の(または全)株または血清型に向けたその中和活性を改善する。
【0118】
ある特定の実施形態において、本抗体分子は、配列QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKAGFNIK(配列番号11)、または配列番号11と比べて1、2、3、4もしくは5個以下の変異を有するアミノ酸配列を有するVH FW1を含む。
【0119】
ある特定の実施形態において、本抗体分子は、配列WVRQAPGQGLEWMG(配列番号84)、または配列番号84と比べて1、2、3、4もしくは5個以下の変異を有するアミノ酸配列を有するVH FW2を含む。ある特定の実施形態において、本抗体分子は、配列WVRQAPEQGLEWMG(配列番号85)、または配列番号85と比べて1、2、3、4もしくは5個以下の変異を有するアミノ酸配列を有するVH FW2を含む。
【0120】
本明細書における態様の一部の実施形態において、本抗体分子は、デングウイルスEDIII(Eタンパク質ドメインIII)に結合することができる。ある特定の実施形態において、本抗体分子は、配列番号3~8、14および35のいずれかの配列(または、それから1、2もしくは3アミノ酸以下が異なる配列)を有する1個または複数のCDRを含む。例えば、本抗体分子は、配列番号3~8、14および35のいずれかの配列を有する少なくとも2、3、4、5または6個のCDRを含むことができる。
【0121】
一部の実施形態において、本抗体分子は、配列番号3または14のVH CDR1、配列番号4または35のVH CDR2、配列番号5のVH CDR3、配列番号6のVL CDR1、配列番号7のVL CDR2および配列番号8のVL CDR3を含む。例えば、本抗体分子は、配列番号3のVH CDR1、配列番号4のVH CDR2、配列番号5のVH CDR3、配列番号6のVL CDR1、配列番号7のVL CDR2および配列番号8のVL CDR3を含むことができる。
【0122】
一部の実施形態において、抗体分子は、配列番号1と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、99%または100%同一のVHアミノ酸配列を含む。
【0123】
一部の実施形態において、抗体分子は、配列番号80と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、99%または100%同一のVHアミノ酸配列を含む。
【0124】
一部の実施形態において、抗体分子は、配列番号16~21、24、25、27、29、31、32、33、36、80または81のいずれかと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、99%または100%同一のVHアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、抗体分子は、配列番号2または34と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、99%または100%同一のVLアミノ酸配列を含む。
【0125】
ある特定の実施形態において、本抗体分子は、Fab、F(ab’)2、Fvまたは単鎖Fv断片(scFv)である。一部の実施形態において、本抗体分子は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から選択される重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、本抗体分子は、カッパまたはラムダの軽鎖定常領域から選択される軽鎖定常領域を含む。
【0126】
本抗体分子は、単離された抗体分子および/またはヒト化抗体分子となり得る。一部の実施形態において、本抗体分子は、ヒトフレームワーク生殖系列配列に由来する1個または複数のフレームワーク領域を含有する。
【0127】
一部の実施形態において、本抗体分子は、約80、70、60、50、40、30、20、10、8、6、4、3、2、1、0.5、0.2または0.1nM未満の解離定数(K)で、デングウイルスEDIIIに結合することができる。本抗体分子は、約10、8、6、5、4または3nM未満の解離定数(K)で、デングウイルス血清型DV-4 EDIIIに結合することができる。本抗体分子は、抗体A11または抗体4E11よりも少なくとも2、3、4、5、6、8、10、12、100、1,000倍高い親和性で、DV-3またはDV-4 EDIIIドメインに結合することができる。本抗体分子は、抗体A11または抗体4E11よりも少なくとも2、3、4、5、6、8、10、12、25、50、75、100または1,000倍高い親和性で、DENV-4 BC2、 DENV-4-Sing10、DENV-4 NewCal09、DENV-4 Phil56、DENV-3 Sing09、DENV-3 Nic10、DENV-3 H87、DENV-2 Peru95、DENV-2 Sing08、DENV-2 NGC、DENV-1 Hawaii/1944、DENV-2 New Guinea/1944 (NGC)、DENV-3 Philippines/1956 (H87)、DENV-4 Mexico/1997 (BC287/97)、およびDENV-4 H241のうち1種または複数から選択されるデングウイルス株に結合することができる。本抗体分子は、フォーカス低下中和検査またはウイルス活性の中和を評価するための関連する検査においてデングウイルスを中和することができる。本抗体分子は、フォーカス低下中和検査またはウイルス活性の中和を評価するための関連する検査において、抗体A11または抗体4E11よりも多くとも2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、8分の1、10分の1、12分の1、50分の1、75分の1または100分の1のIC50で、デングウイルスを中和することができる。
【0128】
一部の態様において、本開示は、本明細書に記載されている抗体分子と、例えば、本明細書に記載されている薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤とを含む、製剤、例えば、医薬製剤または組成物を提供する。
【0129】
本開示は、例えば、本明細書に記載されている抗体分子の抗体重鎖または軽鎖可変領域をコードする核酸も提供する。本開示は、例えば、斯かる核酸を含む発現ベクターも提供する。本開示は、例えば、斯かる核酸を含む宿主細胞も提供する。本開示はその上、本明細書に記載されている抗体分子またはその断片を産生する方法であって、遺伝子発現に適した条件下で宿主細胞を培養するステップを含む方法を提供する。
【0130】
一部の態様において、本開示は、本明細書に記載されている抗体分子を含む製剤、例えば、医薬製剤または組成物を含むキットを提供する。本キットは、容器を含むことができ、この容器の中に抗体分子を配置することができる。本キットは、本抗体分子と任意選択で混合された、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤を含むこともできる。本キットは、送達デバイス、例えば、注射器または針を含む送達デバイスを含むこともできる。本キットは、使用のための指示を含むこともできる。
【0131】
ある特定の態様において、本開示は、デングウイルスを中和する方法であって、本明細書に記載されている抗体分子を含む本明細書に記載されている製剤とデングウイルスとを接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態において、デングウイルスは、血清型DV-1、DV-2、DV-3またはDV-4のものである。
【0132】
一部の態様において、本開示は、デングウイルス感染を処置する方法であって、本明細書に記載されている単離された抗体分子を含む本明細書に記載されている製剤を、それを必要とする被験体にウイルスの処置に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。本方法は、被験体に抗ウイルス剤、例えば、バラピラビル(balapiravir)、クロロキン、セルゴシビル(celgosivir)、イベルメクチンまたはCarica foliaのうち1種または複数から選択される抗ウイルス剤を投与するステップをさらに含むことができる。ある特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、第2の抗デング抗体分子、例えば、第1の抗デング抗体分子とは異なる本明細書に記載されている抗デング抗体分子である。他の実施形態において、抗ウイルス剤は、アルファ-グルコシダーゼI阻害剤(例えば、セルゴシビル)、アデノシンヌクレオシド阻害剤(例えば、NITD008);RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)阻害剤(例えば、NITD107)、宿主ピリミジン生合成、例えば、宿主ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)の阻害剤(例えば、NITD-982およびブレキナル)、ウイルスNS4Bタンパク質の阻害剤(例えば、NITD-618)およびイミノ糖(例えば、UV-4)から選択される。本方法は、被験体にワクチン、例えば、デングウイルスワクチンを投与するステップをさらに含むことができる。一部の実施形態において、抗体分子の投与は、非経口的または静脈内である。
【0133】
本開示はまた、予防的方法を提供する。一部の実施形態において、その時点ではデングウイルスに感染していない被験体に本明細書に開示されている抗体分子を含む本明細書に記載されている製剤を投与することにより、デングウイルス感染を防止する方法が提供される。例えば、ある特定の態様において、本開示は、患者のデングウイルス罹患リスクを低下させる方法であって、それを必要とする被験体に、本明細書に記載されている単離された抗体分子を含む本明細書に記載されている製剤を、ウイルス罹患リスクを低下させるのに有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。例えば、デングウイルスに罹患するリスクは、例えば、少なくとも25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%またはそれを超えて低下され得る。一部の実施形態において、本抗体分子は、デングウイルスに感染していない患者に与えられ、その結果、感染が起こった場合、疾患の経過は、抗体分子を受けていない同様の患者における疾患の経過よりも軽度となる可能性がある。例えば、本抗体分子は、デング熱発症リスクを低下させることができる(例えば、患者は、無症候性感染を経験する可能性がより高くなる)。デング熱発症リスクは、例えば、抗体分子を受けていない患者と比較して、少なくとも25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%またはそれを超えて低下され得る。一部の実施形態において、デング熱がデング出血熱へと進行するリスクは、例えば、抗体分子を受けていない患者と比較して、少なくとも25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%またはそれを超えて低下され得る。
【0134】
本開示は、デングウイルスの伝染を低下または防止する方法も提供する(例えば、被験体(例えば、ヒト)および蚊の間の伝染を低下または防止する)。ある特定の実施形態において、被験体は、デングウイルスに感染している。他の実施形態において、被験体は、その時点ではデングウイルスに感染していないが、デングウイルス感染のリスクがある。例えば、ある特定の態様において、本開示は、デングウイルスの伝染を低下または防止する(例えば、被験体(例えば、ヒト)および蚊の間でのデングウイルスの伝染を低下または防止する)方法であって、被験体に、本明細書に記載されている単離された抗体分子を含む本明細書に記載されている製剤を、デングウイルスの伝染を低下させるのに有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。例えば、被験体から蚊へのデングウイルスの伝染は、例えば、本明細書に記載されている蚊モデルによって測定される通り、例えば、抗体分子を受けていない被験体からの伝染と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低下され得る。結果として、一部の実施形態において、感染蚊から非感染被験体(例えば、ヒト)へのデングウイルスの伝染は、例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%さらに低下され得る。
【0135】
ある特定の態様において、本開示は、生物学的試料におけるデングウイルスを検出する方法であって、(i)抗体分子およびポリペプチドの相互作用が起こり得る条件下で、本明細書に記載されている抗体分子(例えば、本明細書に記載されている製剤中の)と試料または被験体(および任意選択で、参照試料または被験体)とを接触させるステップと、(ii)抗体分子および試料または被験体(および任意選択で、参照試料または被験体)の間の複合体の形成を検出するステップとを含む方法を提供する。
【0136】
一部の態様において、本開示は、抗体A11のVHと比べた位置26の欠失を有するVH領域を含む抗デング抗体分子を含む本明細書に記載されている製剤を提供する。例えば、特許請求の範囲に記載の抗デング抗体分子は、抗体A11のVHと比べて約1~30、5~30、10~30、15~30または20~25個の間の変異を有するVH領域を有することができる。
【0137】
一部の態様において、本開示は、配列番号3の配列、または配列番号3と比べて1、2、3、4、5、10もしくは15個以下の変異を有するアミノ酸配列を有するVH CDR1を含む、デングウイルスに結合することができる抗体分子を含む本明細書に記載されている製剤を提供する。一部の実施形態において、変異は、置換、例えば、保存的置換である。
【0138】
ある特定の態様において、本開示は、配列QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKAGFNIK(配列番号11)、または配列番号11と比べて1、2、3、4、5、10もしくは15個以下の変異を有するアミノ酸配列を有するVH FW1を含む、デングウイルスに結合することができる抗体分子を含む本明細書に記載されている製剤を提供する。一部の実施形態において、変異は、欠失および置換、例えば、保存的置換から独立して選択される。この段落の抗体分子は、本願を通じて、例えば、前段落に記載されている特色を有することもできる。
【0139】
一部の態様において、本開示は、配列番号4の配列、または配列番号4と比べて1、2、3、4、5、10もしくは15個以下の変異を有するアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む、デングウイルスに結合することができる抗体分子を含む本明細書に記載されている製剤を提供する。一部の実施形態において、変異は、置換、例えば、保存的置換である。この段落の抗体分子は、本願を通して、例えば、前の2段落に記載されている特色を有することもできる。
【0140】
ある特定の態様において、本開示は、配列WVRQAPGQGLEWMG(配列番号84)もしくはWVRQAPEQGLEWMG(配列番号85)、または配列番号84もしくは配列番号85と比べて1、2、3、4、5もしくは10個以下の変異を有するアミノ酸配列を有するVH FW2を含む、デングウイルスに結合することができる抗体分子を含む本明細書に記載されている製剤を提供する。一部の実施形態において、変異は、欠失および置換、例えば、保存的置換から独立して選択される。この段落の抗体分子は、本願を通じて、例えば、前段落に記載されている特色を有することもできる。
【0141】
一部の実施形態において、本抗体分子は、例えば、DV-1、DV-2、DV-3およびDV-4から選択される、2種またはそれを超える、例えば、3または4種のデングウイルス血清型のEDIIIに、前記2種またはそれを超える血清型のそれぞれに対し約80、70、60、50、40、30、20、10、8、6、4、3、2、1、0.5、0.2、0.1、0.05または0.01nM未満の解離定数(K)で結合することができる。
【0142】
一部の実施形態において、本抗体分子は、本明細書に記載されている可変領域(例えば、本明細書に開示されているFR領域)と配列が同一の、またはそれから1、2、3もしくは4アミノ酸が異なる可変領域を有する。
【0143】
一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、完全抗体またはその断片(例えば、Fab、F(ab’)2、Fvまたは単鎖Fv断片(scFv))である。ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、モノクローナル抗体または単一特異性を有する抗体である。本抗デング抗体分子は、ヒト化、キメラ、ラクダ科動物(camelid)、サメまたはin vitro作製された抗体分子となることもできる。一部の実施形態において、そのうちの抗デング抗体分子は、ヒト化抗体分子である。本抗デング抗体分子の重および軽鎖は、全長(例えば、抗体は、少なくとも1本または少なくとも2本の完全重鎖と、少なくとも1本または少なくとも2本の完全軽鎖とを含むことができる)となることができる、あるいは抗原結合性断片(例えば、Fab、F(ab’)2、Fv、単鎖Fv断片、単一ドメイン抗体、ダイアボディ(diabody)(dAb)、二価もしくは二重特異的抗体またはこれらの断片、これらの単一ドメインバリアント、またはラクダ科動物抗体)を含むことができる。
【0144】
ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDおよびIgEの重鎖定常領域から選択される;特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4の重鎖定常領域、より詳細には、IgG1またはIgG2(例えば、ヒトIgG1またはIgG2)の重鎖定常領域から選択される重鎖定常領域(Fc)を有する。一部の実施形態において、重鎖定常領域は、ヒトIgG1である。一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、例えば、カッパまたはラムダ、一部の実施形態においては、カッパ(例えば、ヒトカッパ)の軽鎖定常領域から選択される軽鎖定常領域を有する。一部の実施形態において、定常領域は、変更され、例えば、変異されて、本抗デング抗体分子の特性を修飾する(例えば、次のうち1種または複数を増加または減少させる:Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能または補体機能)。例えば、定常領域は、位置234(例えば、LからA)、235(例えば、LからA)、296(例えば、MからY)、297(例えば、NからAまたはGまたはQ)、298(例えば、SからT)、300(例えば、TからE)、477(例えば、HからK)および478(例えば、NからF)を変異させて、Fc受容体結合を変更することができる。
【0145】
一部の実施形態において、本抗体分子は、ヒト化抗体分子である。一部の実施形態において、本抗体分子は、単離されたまたは組換えである。一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、ヒトまたはヒト化フレームワーク領域とCDR(相補性決定領域)の組み合わせを含む。
【0146】
本開示は、本明細書に記載されている抗デング抗体分子の重および軽鎖可変領域ならびにCDRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸も提供する。例えば、本開示は、表1に係る抗デング抗体分子、例えば、D88、A48、F38、F108もしくはC88のそれぞれ重および軽鎖可変領域をコードする第1および第2の核酸、またはこれらと実質的に同一の配列を提供する。例えば、本核酸は、表1に係る抗デング抗体分子、例えば、D88、A48、F38、F108もしくはC88をコードするヌクレオチド配列、またはヌクレオチド配列と実質的に同一の配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、または上述のヌクレオチド配列から3、6、15、30もしくは45ヌクレオチド以下が異なる配列)を含むことができる。ある特定の実施形態において、本核酸は、表2に表記されているアミノ酸配列またはそれと実質的に相同な配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または1、2、3個もしくはそれを超える置換、挿入もしくは欠失、例えば、保存された置換を有する配列)を有する重鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個のCDRをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。ある特定の実施形態において、本核酸は、表2に表記されているアミノ酸配列またはそれと実質的に相同な配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または1、2、3個もしくはそれを超える置換、挿入もしくは欠失、例えば、保存された置換を有する配列)を有する軽鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個のCDRをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施形態において、本核酸は、表2に表記されているアミノ酸配列またはそれと実質的に相同な配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または1、2、3個もしくはそれを超える変異(例えば、置換、挿入または欠失、例えば、保存された置換)を有する配列)を有する重および軽鎖可変領域由来の少なくとも1、2、3、4、5または6個のCDRをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施形態において、この段落に記す構造的特色を有する核酸は、デングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する、抗体分子またはその部分をコードする。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0147】
本開示は、例えば、低ストリンジェンシー、中程度のストリンジェンシーもしくは高ストリンジェンシーまたは本明細書に記載されている他のハイブリダイゼーション条件下で、表1の抗体、例えば、D88、A48、F38、F108またはC88をコードする核酸配列およびその相補体にハイブリダイズする核酸配列、例えば、核酸も提供する。本願は、例えば、低ストリンジェンシー、中程度のストリンジェンシーもしくは高ストリンジェンシーまたは本明細書に記載されている他のハイブリダイゼーション条件下で、表4の核酸配列およびその相補体も開示する。一部の実施形態において、本核酸は、表4の配列、その相補体または上述の配列のいずれかの部分と少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%またはそれより高く同一である。一部の実施形態において、この段落に記す構造的特色を有する核酸は、デングウイルス、例えば、DV-4に対する改善された(例えば、A11と比べて)親和性または中和活性等、1種または複数の有利な特性を有する、抗体分子またはその部分をコードする。一部の実施形態において、有利な特性は、リスト1の特性、例えば、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)、(v)、(w)または(x)のうち1種または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16種または全種)である。
【0148】
ある特定の態様において、本開示は、本明細書に記載されている核酸を含有する宿主細胞およびベクターを特色とする。本核酸は、単一のベクターに、または同じ宿主細胞もしくは別々の宿主細胞に存在する別々のベクターに存在し得る。本宿主細胞は、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母細胞または原核細胞、例えば、E.coliとなり得る。例えば、哺乳動物細胞は、培養された細胞または細胞株となり得る。例示的な哺乳動物細胞は、ヒト細胞、例えば、HEK293細胞、リンパ球細胞株(例えば、NS0)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、COS細胞、卵母細胞およびトランスジェニック動物由来の細胞を含む。
【0149】
一部の態様において、本開示は、例えば、本明細書に記載されている製剤中に、本明細書に記載されている抗体分子を提供する方法を提供する。本方法は、EDIII抗原に特異的に結合する抗体分子を提供するステップと、抗体(例えば、定常領域、フレームワークおよび/またはCDR)に1個または複数の変異を作製するステップと、抗体分子が、EDIII抗原に特異的に結合するか評価するステップ、またはデングウイルス機能の阻害における抗体分子の有効性を評価するステップとを含むことができる。本方法は、本抗体分子を精製するステップをさらに含むことができる。例えば、本抗体分子は、例えば、親和性クロマトグラフィ、例えば、プロテインAクロマトグラフィを含む、1種または複数のクロマトグラフィステップによって精製することができる。本方法は、抗体分子を被験体、例えば、ヒトまたは非ヒト動物に投与するステップをさらに含むことができる。
【0150】
ある特定の態様において、本開示は、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤と、本明細書に記載されている抗デング抗体分子のうち少なくとも1種とを含む製剤または組成物、例えば、医薬組成物を提供する。一部の実施形態において、本抗体分子は、標識または治療剤にコンジュゲートされる。一部の実施形態において、本製剤、例えば、組成物、例えば、本医薬組成物は、さらに本明細書に記載されている通り、本抗体分子と、第2の薬剤、例えば、治療剤との組み合わせ、または前述の抗体分子のうち2種またはそれよりも多い組み合わせを含む。
【0151】
本明細書に開示されている抗体分子は、デングウイルスの1種または複数の活性を阻害することができる。例えば、本抗体分子は、ビリオンの表面におけるEタンパク質のネイティブ構造を破壊し、例えば、ウイルスの不活性化をもたらすことができる。結果として、本抗体分子は、ウイルスを中和する、宿主細胞に侵入するその能力を阻害する、またはウイルス安定性を低下させることができる。一部の実施形態において、抗体分子は、1400、1000、800、600、550、500、450、400、350、300、350、200、150、100、50または25ng/ml未満のまたはそれに等しいEC50またはFRNT50で、デングウイルスを中和する(例えば、フォーカス低下中和検査またはウイルス活性の中和を評価するための関連する検査において)。一部の実施形態において、本抗体は、20、17.6、15、10、5、4、2、1.4、1または0.50μg/mL未満のまたはそれに等しいIC50で、デングウイルスを中和する(例えば、フォーカス低下中和検査またはウイルス活性の中和を評価するための関連する検査において)。一部の実施形態において、DV-4の中和が検査され、一部の実施形態において、DV-1、DV-2またはDV-3のうち1種の中和が検査される。
【0152】
被験体は、哺乳動物、例えば、サル、霊長類、好ましくは、高等霊長類、例えば、ヒト(例えば、デングウイルスを有するまたはこれを有するリスクがある患者)となり得る。
【0153】
本開示は、被験体におけるデングウイルスを処置する方法であって、被験体に、本明細書に記載されている抗デング抗体分子、例えば、治療有効量の抗デング抗体分子またはその抗原結合性部分を投与するステップを含む方法も提供する。一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、デングウイルスを患う患者に投与され、ウイルス負荷の低下、および/または例えば、急な発熱、頭痛、筋肉および関節の疼痛、体重の減少、中枢神経系浸透および/または発疹から選択される少なくとも1種の症状の低下をもたらす。一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、デングウイルスに感染するリスクのある患者に投与され、感染リスクの低下または感染が起きた場合は感染重症度の低下をもたらす。
【0154】
本抗デング抗体分子は、全身的に(例えば、経口、非経口、皮下、静脈内、直腸、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、経皮または吸入もしくは腔内設置による)、局所的にまたは鼻、咽頭および気管支等の粘膜への適用により被験体に投与することができる。
【0155】
本明細書に記載されている方法および製剤、例えば、組成物は、他の治療様式と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態において、本明細書に記載されている方法は、本明細書に記載されている抗デング抗体分子を、デングウイルスのための第2の処置または予防薬と組み合わせて、前記障害の処置または防止に有効な量で被験体に投与するステップを含む。本抗体分子および第2の薬剤は、同時にまたは逐次的に投与することができる。
【0156】
本抗デング抗体分子および他の治療様式のいずれかの組み合わせおよび順序を使用することができる。本抗デング抗体分子および/または他の治療様式は、活性感染の期間に、または寛解もしくはより活性の低い疾患の期間に投与することができる。本抗デング抗体分子および他の治療様式は、処置前に、処置と同時発生的に、処置後に、または感染の寛解の際に投与することができる。
【0157】
一部の態様において、本開示は、例えば、in vitroまたはin vivoの試料(例えば、生物学的試料、例えば、血液または血清)におけるデングウイルスの存在を検出するための方法を提供する。本明細書における方法を使用して、評価(例えば、被験体における本明細書に記載されている障害、例えば、デングウイルスの処置もしくは進行をモニター、診断および/または病期分類)することができる。本方法は、(i)相互作用が起こり得る条件下で、本明細書に記載されている抗デング抗体分子を試料(および任意選択で、参照、例えば、対照試料)と接触させるステップ、またはこれを被験体に投与するステップと、(ii)抗体分子および試料(および任意選択で、参照、例えば、対照試料)の間の複合体の形成が為されているか検出するステップとを含むことができる。複合体の形成は、デングウイルスの存在を示し、本明細書に記載されている処置の適合性または必要を示すことができる。本方法は、例えば、免疫組織化学、免疫細胞化学、FACS、抗体分子と複合体を形成した磁気ビーズ、ELISAアッセイまたはPCR技法(例えば、RT-PCR)に関与し得る。
【0158】
典型的には、in vivoおよびin vitro診断方法において使用される本抗デング抗体分子は、検出可能な物質で直接的にまたは間接的に標識されて、結合したまたは結合していない結合剤の検出を容易にする。適した検出可能な物質は、様々な生物学的に活性な酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、常磁性(例えば、核磁気共鳴活性)材料および放射性材料を含む。
【0159】
一部の態様において、本開示は、本明細書に記載されている抗デング抗体分子と、使用のための指示とを含む、診断用または治療用キットを提供する。
【0160】
本開示は、前述の態様および/または実施形態のいずれか1種または複数のあらゆる組み合わせ、ならびに詳細な説明および実施例に表記されている実施形態のいずれか1種または複数との組み合わせを考慮する。
【0161】
本明細書における製剤、例えば、組成物および方法の他の特色、目的および利点は、記載および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0162】
図面および表を本明細書に提示する。
【0163】
図面のそれぞれをより詳細に本明細書に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0164】
図1A図1A図1Iは、数種類の抗デングEDIII抗体のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す。Kabat CDRに下線を引き、ある特定の目的の残基を囲む(優先権文書においては灰色の背景で示す)。
図1B図1A図1Iは、数種類の抗デングEDIII抗体のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す。Kabat CDRに下線を引き、ある特定の目的の残基を囲む(優先権文書においては灰色の背景で示す)。
図1C図1A図1Iは、数種類の抗デングEDIII抗体のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す。Kabat CDRに下線を引き、ある特定の目的の残基を囲む(優先権文書においては灰色の背景で示す)。
図1D図1A図1Iは、数種類の抗デングEDIII抗体のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す。Kabat CDRに下線を引き、ある特定の目的の残基を囲む(優先権文書においては灰色の背景で示す)。
図1E図1A図1Iは、数種類の抗デングEDIII抗体のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す。Kabat CDRに下線を引き、ある特定の目的の残基を囲む(優先権文書においては灰色の背景で示す)。
図1F図1A図1Iは、数種類の抗デングEDIII抗体のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す。Kabat CDRに下線を引き、ある特定の目的の残基を囲む(優先権文書においては灰色の背景で示す)。
図1G図1A図1Iは、数種類の抗デングEDIII抗体のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す。Kabat CDRに下線を引き、ある特定の目的の残基を囲む(優先権文書においては灰色の背景で示す)。
図1H図1A図1Iは、数種類の抗デングEDIII抗体のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す。Kabat CDRに下線を引き、ある特定の目的の残基を囲む(優先権文書においては灰色の背景で示す)。
図1I図1A図1Iは、数種類の抗デングEDIII抗体のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す。Kabat CDRに下線を引き、ある特定の目的の残基を囲む(優先権文書においては灰色の背景で示す)。
【0165】
図2図2A図2Bは、表7の製剤の質量オスモル濃度(図2A)およびpH(図2B)を示す。
【0166】
図3図3は、表7の製剤の外観データを示す。
【0167】
図4図4は、表7の製剤のゲル浸透高速液体クロマトグラフィ(GP HPLC)データを示す。
【0168】
図5図5は、表7の製剤の還元SDS PAGEによるIgGバンド面積の相対パーセンテージを示す。
【0169】
図6図6は、表7の製剤の非還元SDS PAGEによって視覚的に検出されたバンドの数を示す。
【0170】
図7図7は、5℃における表7の製剤の等電点電気泳動データを示す。
【0171】
図8図8は、40℃における表7の製剤の等電点電気泳動データを示す。
【0172】
図9図9は、表7の製剤の340nmおよび620nmにおける吸光度を示す。
【0173】
図10図10は、表7の製剤の動的光散乱データを示す。
【0174】
図11図11は、表7の製剤の示差走査熱量測定データを示す。
【0175】
図12図12は、表7の製剤のマイクロフロー(microflow)イメージングによる肉眼では見ることができない(sub-visible)粒子の特徴付けを示す。
【発明を実施するための形態】
【0176】
表の簡単な説明
表のそれぞれをより詳細に本明細書に記載する。
【0177】
表1は、例示的な抗デング抗体の配列の概要を述べる。
【0178】
表2は、表1の重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメイン配列のアミノ酸配列を描写する。Kabat CDRに下線を引き、Chothia CDRをイタリック体にし、ある特定の目的の残基を灰色の背景で示す。
【0179】
表3は、表1のCDRのアミノ酸配列を描写する。
【0180】
表4は、表1の抗体をコードする核酸配列の概要を述べる。
【0181】
表5は、表4に概要を述べる核酸配列を描写する。
【0182】
表6は、本願を通じて記載されている追加的なアミノ酸配列を描写する。
【0183】
表7は、実施例1の試験において解析された21種の製剤について記載する。
【0184】
表8は、実施例1の試験において使用された時点スケジュールについて記載する。
【0185】
表9は、実施例1の試験の結果の概要を述べる。
【0186】
高い親和性および特異性でデングウイルスエピトープ、例えば、EDIIIに結合する抗体分子を含む製剤が、本明細書に開示されている。本明細書に開示されている製剤は、安定性増加、分解減少、凝集減少または貯蔵寿命延長が挙げられるがこれらに限定されない、他の抗体製剤と比較して優れた特性を有する。有利には、本明細書に開示されている製剤は、デングウイルス血清型DV-1、DV-2、DV-3およびDV-4のEDIIIに高い親和性で結合する、本明細書における抗体分子のうちいくつかを含む。抗体分子をコードする核酸分子、発現ベクター、宿主細胞および抗体分子を作製するための方法も提供される。本明細書に開示されている抗デング抗体分子を使用して(単独で、または他の薬剤もしくは治療様式と組み合わせて)、デングウイルス、例えば、DV-1、DV-2、DV-3またはDV-4を処置、防止および/または診断することができる。本明細書において、DV-1、DV-2、DV-3およびDV-4は、それぞれDENV-1、DENV-2、DENV-3およびDENV-4と称されることもある。
【0187】
定義
本明細書において、冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、この冠詞の文法上の目的語の1個または2個以上(例えば、少なくとも1個)を指す。
【0188】
用語「または」は、文脈がこれ以外を明らかに示さない限り、用語「および/または」を意味するように本明細書において使用され、これと互換的に使用される。
【0189】
「約」および「およそ」は、一般に、測定の性質または精度を考慮して、測定された量に関する許容できる程度の誤差を意味する。例示的な程度の誤差は、所定の値または値の範囲の20パーセント(%)以内、典型的には、10%以内、より典型的には、5%以内である。
【0190】
本明細書に開示されている組成物および方法は、指定された配列、またはそれと実質的に同一もしくは同様の配列、例えば、指定された配列と少なくとも85%、90%、95%同一もしくはより高く同一である配列を有するポリペプチドおよび核酸を包含する。アミノ酸配列の文脈において、用語「実質的に同一」は、第1および第2のアミノ酸配列が、共通構造ドメインおよび/または共通機能活性を有することができるように、i)第2のアミノ酸配列における整列されたアミノ酸残基と同一である、またはii)その保存的置換である十分なまたは最小数のアミノ酸残基を含有する第1のアミノ酸を指すように本明細書において使用される。例えば、参照配列、例えば、本明細書に提供される配列に対し少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する共通構造ドメインを含有するアミノ酸配列。
【0191】
ヌクレオチド配列の文脈において、用語「実質的に同一」は、第1および第2のヌクレオチド配列が、共通機能活性を有するポリペプチドをコードするように、または共通構造的ポリペプチドドメインもしくは共通機能的ポリペプチド活性をコードするように、第2の核酸配列における整列されたヌクレオチドと同一である十分なまたは最小数のヌクレオチドを含有する第1の核酸配列を指すように本明細書において使用される。例えば、参照配列、例えば、本明細書に提供される配列に対し少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するヌクレオチド配列。
【0192】
用語「機能的バリアント」は、天然に存在する配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有する、または実質的に同一のヌクレオチド配列にコードされるポリペプチドを指し、天然に存在する配列の1種または複数の活性を有することができる。
【0193】
2種のアミノ酸配列または2種の核酸配列のパーセント同一性を決定するために、配列を最適な比較目的のために整列する(例えば、最適な整列のために第1および第2のアミノ酸または核酸配列の一方または両方にギャップを導入することができ、比較目的のために非相同配列を無視することができる)。好まれる実施形態において、比較目的のために整列された参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、例えば、少なくとも40%、50%、60%、例えば、少なくとも70%、80%、90%、100%である。次に、相当するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列における位置が、第2の配列における相当する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドに占有されている場合、分子は、該位置で同一である。
【0194】
2配列間のパーセント同一性は、2配列の最適な整列のために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れた、配列によって共有される同一位置の数の関数である。
【0195】
配列の比較および2配列間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。一部の実施形態において、2種のアミノ酸配列の間のパーセント同一性は、Blossum 62マトリクスまたはPAM250マトリクスのいずれかと、ギャップウェイト16、14、12、10、8、6または4および長さウェイト1、2、3、4、5または6を使用して、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comにて入手可)におけるGAPプログラムに取り込まれているNeedlemanおよびWunsch((1970年)J. Mol. Biol.48巻:444~453頁)アルゴリズムを使用して決定される。ある特定の実施形態において、2種のヌクレオチド配列の間のパーセント同一性は、NWSgapdna.CMPマトリクスならびにギャップウェイト40、50、60、70または80および長さウェイト1、2、3、4、5または6を使用して、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comにて入手可)におけるGAPプログラムを使用して決定される。適したパラメータのセットの1種(および他に指定がなければ使用するべきセット)は、ギャップペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ4およびフレームシフトギャップペナルティ5によるBlossum 62スコアリングマトリクスである。
【0196】
2種のアミノ酸またはヌクレオチド配列の間のパーセント同一性は、PAM120ウェイト残基表、ギャップ長さペナルティ12およびギャップペナルティ4を使用して、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に取り込まれているE.MeyersおよびW.Miller((1989年)CABIOS、4巻:11~17頁)のアルゴリズムを使用して決定することができる。
【0197】
本明細書に記載されている核酸およびタンパク質配列を「クエリ配列」として使用して、公開データベースに対する検索を実行して、例えば、他のファミリーメンバーまたは関係する配列を同定することができる。斯かる検索は、Altschulら(1990年)J. Mol. Biol.215巻:403~10頁のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実行することができる。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12により実行して、本明細書に記載されている核酸と相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3により実行して、本明細書に記載されているタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のためのギャップ付けした整列を得るために、Altschulら(1997年)Nucleic Acids Res.25巻:3389~3402頁に記載されている通りにGapped BLASTを利用することができる。BLASTおよびギャップ付けしたBLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。www.ncbi.nlm.nih.gov.を参照されたい。
【0198】
本明細書において、用語「低ストリンジェンシー、中程度のストリンジェンシー、高ストリンジェンシーまたは非常に高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする」とは、ハイブリダイゼーションおよび洗浄のための条件について記載する。ハイブリダイゼーション反応を行うためのガイダンスは、参考として本明細書に援用されるCurrent Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、N.Y.(1989年)6.3.1~6.3.6章に見出すことができる。この参考文献には水性および非水性方法が記載されており、いずれを使用してもよい。本明細書に参照されている特異的ハイブリダイゼーション条件を次に示す:1)6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、約45℃における低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件と、続く0.2×SSC、0.1%SDS、少なくとも50℃(洗浄の温度は、低ストリンジェンシー条件に対し55℃まで増加させることができる)における2回の洗浄;2)6×SSC、約45℃における中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件と、続く0.2×SSC、0.1%SDS、60℃における1回または複数の洗浄;3)6×SSC、約45℃における高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件と、続く0.2×SSC、0.1%SDS、65℃における1回または複数の洗浄;および好ましくは4)非常に高いストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDS、65℃と、続く0.2×SSC、1%SDS、65℃における1回または複数の洗浄。非常に高いストリンジェンシー条件(4)が適した条件であり、他に指定がなければ使用するべき条件である。
【0199】
本明細書に記載されている分子が、その機能に実質的な効果がない追加的な保存的または非必須アミノ酸置換を有し得ることが理解される。
【0200】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、同様の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えられた置換である。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ-分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。
【0201】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」(単鎖の場合)は、本明細書において互換的に使用される。
【0202】
用語「核酸」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」または「ポリヌクレオチド配列」および「ポリヌクレオチド」は、互換的に使用される。
【0203】
用語「単離された」は、本明細書において使用される場合、その本来またはネイティブ環境(例えば、天然に存在する場合は自然環境)から除去された材料を指す。例えば、生きた動物に存在する天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されていないが、ヒトの介入によって、天然の系において共存する材料の一部または全てから分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されている。斯かるポリヌクレオチドは、ベクターの一部となることができる、および/または斯かるポリヌクレオチドもしくはポリペプチドは、組成物の一部となることができ、斯かるベクターまたは組成物が、これが天然で見出される環境の一部ではないという点において、依然として単離されている。
【0204】
本明細書において、用語(例えば、デングウイルス感染を)「処置する」とは、ウイルスに感染し、ウイルスの症状を経験する被験体(例えば、ヒト)が、実施形態において、抗体分子が投与される場合に、抗体が投与されない場合よりも、重症度の低い症状を患う、および/またはより速く回復するであろうことを意味する。実施形態において、感染が処置される場合、被験体におけるウイルスを検出するアッセイは、感染に有効な処置後に少ないウイルスを検出するであろう。例えば、本明細書に記載されている抗体分子等、抗体分子を使用した診断アッセイは、感染の有効な処置のための抗体分子の投与後に、患者の生物学的試料において少ないウイルスを検出するまたは全く検出しないであろう。PCR(例えば、qPCR)等、他のアッセイを使用して、患者における処置をモニターし、例えば、患者におけるウイルス感染の処置後に、存在、減少した存在(または非存在)を検出することもできる。処置は、例えば、部分的にまたは完全に緩和、好転(ameliorate)、軽減、阻害、重症度を低下、および/または発生率を低下させることができ、任意選択で、特定の疾患、障害、および/または状態(例えば、デングウイルス)の影響または症状、特色および/または原因の1種または複数の顕在化の発病を遅延させることができる。実施形態において、処置は、関連する疾患、障害および/もしくは状態のある特定の徴候を提示しない被験体の処置である、ならびに/または疾患、障害および/もしくは状態の初期徴候のみを提示する被験体の処置である。一部の実施形態において、処置は、関連する疾患、障害および/または状態の1種または複数の確立された徴候を提示する被験体の処置である。一部の実施形態において、処置は、デングウイルスを患うと診断された被験体の処置である。
【0205】
本明細書において、用語(例えば、デングウイルス感染を)「防止する」とは、被験体(例えば、ヒト)が、ウイルスに曝露される(例えば、1日、2日、1週間、2週間、3週間または1ヶ月またはそれより)前に抗体を受けた場合、被験体が、ウイルス(例えば、デングウイルス)に感染する可能性が低いことを意味する。
【0206】
本明細書において、用語「フレームワーク」、「FW」および「FR」は、互換的に使用され、本文書およびその優先権文書において同一の意味を有する。
【0207】
本明細書における組成物および方法の様々な態様について、さらに詳細に後述する。追加的な定義は、本明細書を通じて示す。
【0208】
抗デング抗体分子
抗デング抗体の例示的な配列について、下表1~4で説明する。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【0209】
A11およびB11は、マウス抗体であり、表1の他の抗体は、ヒト化抗体である。
【0210】
【表2-1】
【表2-2】
【0211】
本願を通じて、マウス抗体A11の可変領域に基づき、アミノ酸位置の参照が為される。マウス抗体B11の可変領域は、A11と比べて位置26に欠失を有する。表1におけるヒト可変領域配列は、A11の位置6にグルタミン酸配列の欠失を有する。結果的に、A11と比べて欠失を保有する配列は、番号がずれる(offset)ナンバリング方式を使用する。例えば、A48重鎖は、A11と比べて位置6にグルタミン酸配列の欠失を有する。結果として、A48 VHの位置26(セリン)は、実際には、A48 VH配列(配列番号16)の25番目のアミノ酸である。別の例として、D88重鎖は、A11の位置6にグルタミン酸配列の欠失およびA11と比べて位置26にセリンの欠失を有する。結果として、D88 VHの位置33(バリン)は、実際には、D88 VH配列(配列番号1)の31番目のアミノ酸である。
【0212】
抗体のいくつかの構造的特色は、表2におけるVHおよびVL配列に基づき記述することができる。B11は、A11 VH領域と比べて位置26に欠失を有する。D88は、A48 VH領域と比べた位置26の欠失およびT33V変異を有するヒト化抗体である(A11ナンバリングと一致したまま)。F38は、A48 VH領域と比べた位置26の欠失ならびにT33VおよびE43G変異を有するヒト化抗体である。A48は、A11と同じCDRを有するヒト化抗体である。C88は、A48 VH領域と比べてT33V変異を有するヒト化抗体である。F108は、A48 VH領域と比べてT33VおよびE43G変異を有するヒト化抗体である。B48は、A48 VH領域と比べて位置26に欠失を有するヒト化抗体である。A68は、A48 VH領域と比べてA98V変異を有するヒト化抗体である。A100は、A48 VH領域と比べてA98S変異を有するヒト化抗体である。C58は、A48 VH領域と比べてG27YおよびF28W変異を有するヒト化抗体である。C78は、A48 VH領域と比べてK31QおよびT33V変異を有するヒト化抗体である。C68は、A48 VH領域と比べてK31SおよびT33V変異を有するヒト化抗体である。D98は、A48 VH領域と比べてG27A変異を有するヒト化抗体である。
【0213】
表1および2の抗体の他の変種が想定される。例えば、本願は、B48と比べてA98V変異を有する抗体B48+A98V;A48と比べてV2L変異を有するA48+V2L;A48と比べてInsE6変異を有するA48+InsE6;B48と比べてV2L変異を有するB48+V2L;B48と比べてInsE6変異を有するB48+InsE6;A48と比べてF28WおよびT33V変異を有するD118;A48と比べてG27A、F28WおよびT33V変異を有するD128;A48と比べてG27Y、F28AおよびT33V変異を有するD138;A48と比べてG27YおよびT33V変異を有するD148;A48と比べてG27Y、F28GおよびT33V変異を有するD158;A48と比べてF28YおよびT33V変異を有するD168;A48と比べてT33VおよびA98V変異を有するC98;A48と比べてT33VおよびA98S変異を有するC128;A48と比べてDel26、T33VおよびA98V変異を有するD178;ならびにA48と比べてDel26、T33VおよびA98S変異を有するD188を提供する。
【表3】
【表4-1】
【表4-2】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【0214】
一部の実施形態において、本抗体分子は、A11と比べてVH T33V変異を含む。より具体的には、一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、CDRのKabatまたはChothia定義を使用して、表1の抗体(例えば、D88、F38、F108またはC88)のVH領域のCDR1を含む。一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、CDRのKabatまたはChothia定義を使用して、表1の抗体(例えば、D88、A48、F38、F108またはC88)のVH領域のCDR1ならびにCDR2およびCDR3の一方または両方を含む。一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、CDRのKabatまたはChothia定義を使用して、表2のVHおよび/またはVL領域に見出される別の1、2、3、4または5(例えば、まとめて6)個のCDRと組み合わせて、表1の抗体(例えば、D88、A48、F38、F108またはC88)のVH領域のCDR1を含む。一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、配列番号3のVH CDR1を含む。例えば、本抗デング抗体分子は、表3のVH CDR2および/またはVH CDR3、例えば、配列番号4のVH CDR2および配列番号5のVH CDR3と組み合わせて、配列番号3のVH CDR1を含むことができる。さらなる例として、本抗デング抗体分子は、表2のVHおよび/またはVL領域に見出される別の1、2、3、4または5(例えば、まとめて6)個のCDRと組み合わせて、配列番号3のVH CDR1を含むことができる。
【0215】
ある特定の実施形態において、本抗体分子は、A11と比べてVH F65L変異を含む。A11のKabat定義されたCDRにおいて、位置65は、CDR残基であるが、A11のChothia定義されたCDRにおいて、位置65は、フレームワーク残基である。一部の実施形態において、デングウイルスに対する抗体分子の親和性は、F65L変異による影響を受けない。一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、CDRのKabatまたはChothia定義を使用して、表1の抗体(例えば、D88、A48、F38、F108またはC88)のVH領域のCDR2を含む。一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、CDRのKabatまたはChothia定義を使用して、表1の抗体(例えば、D88、A48、F38、F108またはC88)のVH領域のCDR2ならびにCDR1およびCDR3の一方または両方を含む。一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、CDRのKabatまたはChothia定義を使用して、表2のVHおよび/またはVL領域に見出される別の1、2、3、4または5(例えば、まとめて6)個のCDRと組み合わせて、表1の抗体(例えば、D88、A48、F38、F108またはC88)のVH領域のCDR2を含む。一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、配列番号4のVH CDR2を含む。例えば、本抗デング抗体分子は、表3のVH CDR1および/またはVH CDR3、例えば、配列番号3のVH CDR1および配列番号5のVH CDR3と組み合わせて、配列番号4のVH CDR2を含むことができる。さらなる例として、本抗デング抗体分子は、表2のVHおよび/またはVL領域に見出される別の1、2、3、4または5(例えば、まとめて6)個のCDRと組み合わせて、配列番号4のVH CDR2を含むことができる。ある特定の実施形態において、本抗体分子は、A11と比べてVH F65L変異およびVH T33V変異を含む。
【0216】
一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、A11と比べてVHにおける位置26にSの欠失(del26)を含む。一部の実施形態において、本抗体分子は、VH T33V変異および/またはVH F65L変異と組み合わせてdel26変異を含む。ある特定の実施形態において、本抗体分子は、del26変異および表3の1種または複数のCDRを含む。ある特定の実施形態において、本抗体分子は、CDRのKabatまたはChothia定義を使用して、表2のVHおよび/またはVL領域における1、2、3、4、5または6個のCDRと組み合わせて、del26変異を含む。
【0217】
国際出願公開番号WO2015/122995の実施例4に示す通り、重鎖のN末端は、変異に寛容性を示す。したがって、一部の実施形態において、重鎖配列の位置1~6は、表1の抗体と比べて1、2、3、4、5または6個の変異を有する。一部の実施形態において、抗体分子は、表2における重鎖配列の残基2、3、5または6のうち1種または複数(例えば、全種)に置換、挿入または欠失を有する。ある特定の実施形態において、本抗体分子は、表2の重鎖配列の部分、例えば、アミノ酸位置2~117、3~117、4~117、5~117、6~117、8~117または10~117を含む。
【0218】
国際出願公開番号WO2015/122995の実施例5に示す通り、VHにおける位置27および28は、変異に対し寛容性があり、一部の実施形態において、位置27および/または28の変異は、結合を増強させる。したがって、一部の実施形態において、位置27および28の一方または両方は、表1の抗体と比べて変異を有する。
【0219】
国際出願公開番号WO2015/122995の実施例5は、VHにおける位置98が、変異に対し寛容性があることも示し、一部の実施形態において、位置98の変異は、結合を増強させる。したがって、一部の実施形態において、位置98は、表1の抗体と比べて変異を有する。
【0220】
一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、表2の重鎖定常領域、軽鎖定常領域ならびに重および軽鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態において、本抗デング抗体分子は、表3の1、2、3、4、5または6個のCDRを含む重鎖定常領域、軽鎖定常領域および可変領域を含む。
【0221】
一部の実施形態において、重鎖可変領域は、表1の重鎖可変領域であり、VHにおける残基98は、いずれのアミノ酸でもよい。ある特定の実施形態において、残基98は、いずれの無電荷アミノ酸でもよい。一部の実施形態において、位置98は、A、VまたはSとなり得る。国際出願公開番号WO2015/122995の実施例5は、位置98に残基A、VまたはSを有する抗体が、EDIIIに対し優れた結合を有することを示す。
【0222】
ヒト化プロセスにおいて、様々なフレームワーク領域(例えば、VH FW1)は、マウス抗体A11またはB11由来の残基を含有するように復帰変異させることができる。より広範には、一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、表1のVH領域の全体または部分の配列を含む。例えば、一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、表1のVH領域のアミノ酸5~117、10~117、15~117、20~117、25~117、30~117または32~117を含む。一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、マウスVH FW1領域(例えば、A11またはB11に見出される)またはヒトVH FW1領域(例えば、表1の抗体に見出される、またはヒト生殖系列VH FW1配列)から選択されるVH FW1領域を含む。一部の実施形態において、VH FW1領域は、表1のVH配列のアミノ酸1~31と比べて非同一性の1、2、3または4個以下の位置を有する。
【0223】
一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、表1の抗体のVH FW2領域を含む。一部の実施形態において、VH FW2領域は、表1のVH配列のアミノ酸37~50と比べて非同一性の1、2、3または4個以下の位置を有する。デングウイルスの2種以上の血清型由来のEDIIIと交差反応することができる抗体分子は、数種類の有利な特性を有する。例えば、1種類の治療法を使用して、デングの複数の血清型を処置または診断することができる。加えて、医師は、適切な治療法を決定するために、どの血清型に患者が感染したか決定する必要がない。したがって、一部の実施形態において、本抗デング抗体分子は、高親和性で2、3、4種またはそれを超えるデングウイルス血清型に独立して結合することができる。例えば、抗体分子は、高親和性でDV-1およびDV-2;DV-1およびDV-3;DV-1およびDV-4;DV-2およびDV-3;DV-2およびDV-4;DV-3およびDV-4;またはDV-1およびDV-2およびDV-3;DV-1およびDV-2およびDV-4;DV-1およびDV-3およびDV-4;DV-2およびDV-3およびDV-4;またはDV-1およびDV-2およびDV-3およびDV-4、のEDIIIに独立して結合することができる。ある特定の実施形態において、本抗体分子は、DV-4のEDIIIおよび1種または複数の他のDV血清型のEDIIIに高親和性で独立して結合することができる。
【0224】
上述のデングウイルスの各血清型は、複数の株を含有するクラスである。本明細書に記載されている抗体分子は、反応性の十分な幅を示し、異なる血清型内の複数の株に結合する。したがって、一部の実施形態において、本明細書に記載されている抗体分子は、1種または複数の(例えば、少なくとも2、3、4、5、10、15もしくは20、25もしくは30種またはそれよりも多い)デングウイルス株、例えば、DENV-4 BC2、DENV-4-Sing10、DENV-4 NewCal09、DENV-4 Phil56、DENV-4 Thailand/1997、DENV-3 Sing09、DENV-3 Nic10、DENV-4 Brazil/2011、DENV-4 Venezuela/2008、DENV-4 Colombia/1997、DENV-3 H87、DENV-3 Puerto Rico/1977、DENV-3 Cambodia/2008、DENV-2 Peru95、DENV-2 Sing08、DENV-2 NGC、DENV-2 Venezuela/2007、DENV-2 Vietnam/2007、DENV-1 Hawaii/1944、DENV-2 New Guinea/1944(NGC)、DENV-3 Philippines/1956(H87)、DENV-4 Mexico/1997(BC287/97)、DENV-4 H241 DENV-1 Thailand/1964、DENV-1 Mexico/2007、DENV-1 Vietnam/2008およびDENV-1 Malaysia/2005から選択される株、本明細書の表6に列挙されている株(例えば、そのEDIII配列が表6に提示されている株)、ATCCに寄託されている株、World Reference Center for Emerging Viruses and Arboviruses(WRCEVA)(www.niaid.nih.gov/labsandresources/resources/dmid/wrceva/Pages/default.aspxにて利用可)に列挙されている株、ならびにCDCのDivision or Vector Borne Infectious Diseases(www2a.cdc.gov/nczved/dvbid/misc/reg.aspにて利用可)に列挙されている株に結合する、および/またはこれを中和する。
【0225】
一部の実施形態において、本抗体分子は、DV-1、DV-2、DV-3およびDV-4のうち1種または複数に高親和性で結合する。これらの血清型のそれぞれのEタンパク質のEDIIIアミノ酸配列は、一部の実施形態において、表6に示すEタンパク質配列である。
【0226】
一部の実施形態において、本明細書に開示されている抗体分子は、抗体依存性感染増強(antibody-dependent enhancement)(ADE)を活性化しない。ADEについては、Balsitisら、Lethal Antibody Enhancement of Dengue Disease in Mice Is Prevented by Fc Modification、PLoS Pathog 6巻(2号):e1000790頁、doi:10.1371/journal.ppat.1000790により詳細に記載されている。簡潔に説明すると、ADEは、異なる血清型のデングウイルスによる2回の逐次的デング感染を経験する人と、第1の感染の出現が、第2の感染をより重症にする(例えば、デング出血熱へと進行する可能性が高くなる)状況について説明する。ADEの機構は、抗デング抗体が、ウイルスおよび宿主細胞における抗体Fc受容体に同時に結合し、感染性を増加させるという可能性がある。本明細書に開示されているFRNT実験から明らかな通り、本願は、感染性を増加させるのではなく低下させる多数の抗体分子を提供する。したがって、ある特定の実施形態において、本明細書に記載されている抗体分子は、患者におけるADEを活性化しない。一部の実施形態において、本抗体は、他の抗体(例えば、患者の内在性抗体)によって誘導されるADEを阻害する。
【0227】
ある特定の実施形態において、本抗体分子は、EDIIIにおける直鎖状エピトープまたはコンフォメーショナルエピトープ(conformational epitope)に結合する。
【0228】
本明細書において、用語「抗体分子」は、少なくとも1個の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質を指す。用語、抗体分子は、例えば、全長、成熟抗体および抗体の抗原結合性断片を含む。例えば、抗体分子は、重(H)鎖可変ドメイン配列(本明細書において、VHと省略)および軽(L)鎖可変ドメイン配列(本明細書において、VLと省略)を含むことができる。別の例において、抗体分子は、2個の重(H)鎖可変ドメイン配列および2個の軽(L)鎖可変ドメイン配列を含み、これにより、抗体全体の修飾によって産生することができる、または組換えDNA技術を使用してde novo合成されるFab、Fab’、F(ab’)2、Fc、Fd、Fd’、Fv、単鎖抗体(例えばscFv)、単一可変ドメイン抗体、ダイアボディ(Dab)(二価および二重特異的)およびキメラ(例えば、ヒト化)抗体等、2個の抗原結合部位を形成する。これらの機能的抗体断片は、それらのそれぞれの抗原または受容体と選択的に結合する能力を保持する。抗体および抗体断片は、IgG、IgA、IgM、IgDおよびIgEが挙げられるがこれらに限定されない抗体のいずれかのクラス、ならびに抗体のいずれかのサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4)に由来し得る。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルとなり得る。抗体は、ヒト、ヒト化、CDR-グラフトまたはin vitro作製された抗体となることもできる。抗体は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4から選択される重鎖定常領域を有することができる。抗体は、例えば、カッパまたはラムダから選択される軽鎖を有することもできる。
【0229】
抗原結合性断片の例として、(i)Fab断片、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片;(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋によって連結された2個のFab断片を含む二価断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるダイアボディ(dAb)断片;(vi)ラクダ科動物またはラクダ化(camelized)可変ドメイン;(vii)単鎖Fv(scFv)、例えば、Birdら(1988年)Science 242巻:423~426頁;およびHustonら(1988年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85巻:5879~5883頁)を参照;(viii)単一ドメイン抗体が挙げられる。これらの抗体断片は、当業者に公知の数種類の従来技法を含む、いずれか適した方法を使用して得ることができ、断片は、インタクトな抗体と同じ様式で、有用性に関してスクリーニングすることができる。
【0230】
用語「抗体」は、インタクトな分子と共にその機能的断片を含む。抗体の定常領域を変更、例えば、変異させて、抗体の特性を修飾することができる(例えば、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能または補体機能のうち1種または複数を増加または減少させることができる)。
【0231】
本明細書に開示されている抗体は、単一ドメイン抗体となることもできる。単一ドメイン抗体は、その相補性決定領域が、単一ドメインポリペプチドの一部である抗体を含むことができる。例として、重鎖抗体、軽鎖を天然に欠く抗体、従来の4鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体、操作された抗体および抗体由来以外の単一ドメイン足場が挙げられるがこれらに限定されない。単一ドメイン抗体は、当技術のいずれか、またはいずれか将来的な単一ドメイン抗体となり得る。単一ドメイン抗体は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、魚類、サメ、ヤギ、ウサギおよびウシが挙げられるがこれらに限定されない、いずれかの種に由来することができる。一部の態様において、単一ドメイン抗体は、軽鎖を欠く重鎖抗体として公知の天然に存在する単一ドメイン抗体である。斯かる単一ドメイン抗体は、例えばWO9404678に開示されている。明確さのため、軽鎖を天然に欠く重鎖抗体に由来するこの可変ドメインは、VHHまたはナノボディとして本明細書において公知であり、4鎖免疫グロブリンの従来のVHからこれを区別する。斯かるVHH分子は、Camelidae種、例えば、ラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカおよびグアナコにおいて産生される抗体に由来することができる。Camelidae以外の他の種も、軽鎖を天然に欠く重鎖抗体を産生し得る;斯かるVHHも考慮される。
【0232】
VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域」(FR)と命名されるより保存された領域が散在した、「相補性決定領域」(CDR)と命名される超可変性の領域へと細分することができる。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、多数の方法によって正確に定義されてきた(Kabat, E. A.ら(1991年)Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication 91-3242号;Chothia, C.ら(1987年)J. Mol. Biol.196巻:901~917頁;およびOxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されるAbM定義を参照)。一般には、例えば、Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains、Antibody Engineering Lab Manual(Duebel, S.およびKontermann, R.編、Springer-Verlag、Heidelberg)を参照されたい。一部の実施形態において、次の定義が使用される:重鎖可変ドメインのCDR1のAbM定義および他のCDRに対しKabat定義。ある特定の実施形態において、全CDRに対しKabat定義が使用される。加えて、KabatまたはAbM CDRに関して記載した実施形態は、Chothia超可変ループを使用して実行することもできる。各VHおよびVLは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端へと次の順序で配置された3個のCDRおよび4個のFRを含む:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。
【0233】
本明細書において、「免疫グロブリン可変ドメイン配列」は、免疫グロブリン可変ドメインの構造を形成することができるアミノ酸配列を指す。例えば、この配列は、天然に存在する可変ドメインのアミノ酸配列の全体または一部を含むことができる。例えば、この配列は、1、2個またはそれを超えるNもしくはC末端アミノ酸を含んでいても含まなくてもよい、あるいはタンパク質構造の形成と適合性である他の変更を含んでいてよい。
【0234】
用語「抗原結合性領域」は、Eタンパク質またはそのエピトープに結合する界面を形成する決定基を含む抗体分子の一部を指す。タンパク質(またはタンパク質ミメティック(mimetic))に関して、抗原結合性領域は、典型的には、Eタンパク質に結合する界面を形成する1個または複数のループ(少なくとも、例えば、4アミノ酸またはアミノ酸模倣物(mimic)の)を含む。典型的には、抗体分子の抗原結合性領域は、少なくとも1もしくは2個のCDR、またはより典型的には、少なくとも3、4、5もしくは6個のCDRを含む。
【0235】
用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、本明細書において、単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を呈する。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術またはハイブリドーマ技術を使用しない方法(例えば、組換え方法)によって作製することができる。
【0236】
「有効なヒト」タンパク質は、中和抗体応答、例えば、ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を惹起しないタンパク質である。HAMAは、多数の状況において、例えば、抗体分子が、例えば、慢性または再発性疾患状態の処置において反復的に投与される場合に問題になることがある。HAMA応答は、血清からの抗体クリアランスの増加(例えば、Salehら、Cancer Immunol. Immunother.、32巻:180~190頁(1990年)を参照)、および同様に潜在的アレルギー反応(例えば、LoBuglioら、Hybridoma、5巻:5117~5123頁(1986年)を参照)のために、反復的抗体投与を潜在的に無効にすることができる。
【0237】
抗体分子は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体となり得る。一部の実施形態において、抗体は、組換えにより産生され得る、例えば、いずれか適したファージディスプレイまたはコンビナトリアル方法によって産生され得る。
【0238】
抗体を産生するための種々のファージディスプレイおよびコンビナトリアル方法が当該技術分野において公知である(例えば、Ladnerら、米国特許第5,223,409号;Kangら、国際公開WO92/18619;Dowerら、国際公開WO91/17271;Winterら、国際公開WO92/20791;Marklandら、国際公開WO92/15679;Breitlingら、国際公開WO93/01288;McCaffertyら、国際公開WO92/01047;Garrardら、国際公開WO92/09690;Ladnerら、国際公開WO90/02809;Fuchsら、(1991) Bio/Technology 9:1370-1372;Hayら、(1992) Hum Antibod Hybridomas 3:81-85;Huseら、(1989) Science 246:1275-1281;Griffthsら、(1993) EMBO J 12:725-734;Hawkinsら、(1992) J Mol Biol 226:889-896;Clacksonら、(1991) Nature 352:624-628;Gramら、(1992) PNAS 89:3576-3580;Garradら、(1991) Bio/Technology 9:1373-1377;Hoogenboomら、(1991) Nuc Acid Res 19:4133-4137;およびBarbasら、(1991) PNAS 88:7978-7982に記載されており、これらの全ての内容は、参考として本明細書に援用される)。
【0239】
一部の実施形態において、抗体は、完全にヒト抗体(例えば、ヒト免疫グロブリン配列から抗体を産生するように遺伝子操作された、マウスにおいて作製された抗体)または非ヒト抗体、例えば、齧歯類(マウスまたはラット)、ヤギ、霊長類(例えば、サル)、ラクダ抗体である。ある特定の実施形態において、非ヒト抗体は、齧歯類(マウスまたはラット抗体)である。齧歯類抗体を産生する方法は、当技術分野で公知である。
【0240】
ヒトモノクローナル抗体は、マウス系ではなくヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスを使用して作製することができる。目的の抗原で免疫化したこのようなトランスジェニックマウス由来の脾細胞を使用して、ヒトタンパク質由来のエピトープに対し特異的親和性を有するヒトmAbを分泌するハイブリドーマを産生する(例えば、Woodら、国際出願WO91/00906、Kucherlapatiら、PCT公開WO91/10741;Lonbergら、国際出願WO92/03918;Kayら、国際出願92/03917;Lonberg、N.ら、1994 Nature 368:856-859;Green,L.L.ら、1994 Nature Genet. 7:13-21;Morrison,S.L.ら、1994 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855;Bruggemanら、1993 Year Immunol 7:33-40;Tuaillonら、1993 PNAS 90:3720-3724;Bruggemanら、1991 Eur J Immunol 21:1323-1326を参照のこと)。
【0241】
抗体は、可変領域またはその部分、例えば、CDRが、非ヒト生物、例えば、ラットまたはマウスにおいて作製された抗体となり得る。キメラ、CDRグラフトおよびヒト化抗体も考慮される。非ヒト生物、例えば、ラットまたはマウスにおいて作製され、続いて例えば、可変フレームワークまたは定常領域が、ヒトにおける抗原性を減少するように修飾された抗体も考慮される。
【0242】
キメラ抗体は、任意の好適な組換えDNA技術によって作製することができる。いくつかが当該技術分野において公知である(Robinsonら、国際特許公開PCT/US86/02269;Akiraら、欧州特許出願第184,187号;Taniguchi,M.、欧州特許出願第171,496号;Morrisonら、欧州特許出願第173,494号;Neubergerら、国際出願WO86/01533;Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Cabillyら、欧州特許出願第125,023号;Betterら(1988 Science 240:1041-1043);Liuら、(1987) PNAS 84:3439-3443;Liuら、1987, J. Immunol. 139:3521-3526;Sunら、(1987) PNAS 84:214-218;Nishimuraら、1987, Canc. Res. 47:999-1005;Woodら、(1985) Nature 314:446-449;およびShawら、1988, J. Natl Cancer Inst. 80:1553-1559を参照のこと)。
【0243】
ヒト化またはCDRグラフト抗体は、ドナーCDRに置き換えられた少なくとも1または2、ただし一般に、全3個のレシピエントCDR(重および/または軽免疫グロブリン鎖の)を有するであろう。抗体を非ヒトCDRの少なくとも部分に置き換えることができる、あるいはCDRのほんの一部を非ヒトCDRに置き換えることができる。EDIIIへのヒト化抗体の結合に必要とされるCDRの数を置き換えることのみが必要である。一部の実施形態において、ドナーは、齧歯類抗体、例えば、ラットまたはマウス抗体となり、レシピエントは、ヒトフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークとなるであろう。典型的には、CDRを提供する免疫グロブリンは、「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供する免疫グロブリンは、「アクセプター」と呼ばれる。一部の実施形態において、ドナー免疫グロブリンは、非ヒト(例えば、齧歯類)である。アクセプターフレームワークは、典型的には、天然に存在する(例えば、ヒト)フレームワークもしくはコンセンサスフレームワーク、またはそれと約85%またはそれより高く、例えば、90%、95%、99%またはそれより高く同一の配列である。
【0244】
本明細書において、用語「コンセンサス配列」は、関係する配列のファミリーにおいて最も頻繁に存在するアミノ酸(またはヌクレオチド)から形成された配列を指す(例えば、Winnaker、From Genes to Clones(Verlagsgesellschaft、Weinheim、Germany 1987年を参照)。タンパク質のファミリーにおいて、コンセンサス配列における各位置は、ファミリーにおける該位置において最も頻繁に存在するアミノ酸によって占有される。2種のアミノ酸が、等しく頻繁に存在する場合、そのどちらがコンセンサス配列に含まれてもよい。「コンセンサスフレームワーク」は、コンセンサス免疫グロブリン配列におけるフレームワーク領域を指す。
【0245】
抗体は、いずれか適した方法によってヒト化させることができ、数種類の斯かる方法が当技術分野で公知である(例えば、その全ての内容が参考として本明細書に援用されるMorrison, S. L.、1985年、Science 229巻:1202~1207頁、Oiらによる、1986年、BioTechniques 4巻:214頁ならびにQueenらUS5,585,089、US5,693,761およびUS5,693,762を参照)。
【0246】
ヒト化またはCDRグラフト抗体は、CDRグラフト化またはCDR置換によって産生することができ、ここで、免疫グロブリン鎖の1、2または全CDRを置き換えることができる。例えば、その全ての内容が参考として本明細書に明示的に援用される米国特許第5,225,539号;Jonesら1986年 Nature 321巻:552~525頁;Verhoeyanら1988年 Science 239巻:1534頁;Beidlerら1988年 J. Immunol.141巻:4053~4060頁;Winter US5,225,539を参照されたい。Winterは、ヒト化抗体の調製に使用することができるCDRグラフト化方法について記載し(英国特許出願公開第2188638A号、1987年3月26日に出願;Winter US5,225,539)、その内容が参考として本明細書に明示的に援用される。
【0247】
特異的なアミノ酸が置換、欠失または付加されたヒト化抗体も提供される。ドナーからアミノ酸を選択するための判定基準は、例えば、その内容が参考として本明細書に援用されるUS5,585,089、例えば、US5,585,089のカラム12~16に記載されている。抗体をヒト化するための他の技法は、1992年12月23日に公開されたPadlanらEP519596A1に記載されている。
【0248】
抗体分子は、単鎖抗体となり得る。単鎖抗体(scFV)は、操作することができる(例えば、Colcher, D.ら(1999年)Ann N Y Acad Sci 880巻:263~80頁;およびReiter, Y.(1996年)Clin Cancer Res 2巻:245~52頁を参照)。単鎖抗体を二量体形成または多量体形成して、同じ標的タンパク質の異なるエピトープに対し特異性を有する多価抗体を作製することができる。
【0249】
一部の実施形態において、抗体分子は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDおよびIgEの重鎖定常領域から選択され;特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4の(例えば、ヒト)重鎖定常領域から選択される重鎖定常領域を有する。別の実施形態において、抗体分子は、例えば、カッパまたはラムダの(例えば、ヒト)軽鎖定常領域から選択される軽鎖定常領域を有する。定常領域を変更、例えば、変異させて、抗体の特性を修飾することができる(例えば、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能および/または補体機能のうち1種または複数を増加または減少させることができる)。一部の実施形態において、抗体は、エフェクター機能を有し、補体を固定することができる。他の実施形態において、抗体は、エフェクター細胞を動員しない、または補体を固定しない。ある特定の実施形態において、抗体は、Fc受容体に結合する能力が低下しているまたは能力が全くない。例えば、これは、Fc受容体への結合を支持しないアイソタイプまたはサブタイプ、断片または他の変異体となり得る、例えば、変異誘発または欠失されたFc受容体結合領域を有する。
【0250】
抗体定常領域は、一部の実施形態において変更される。抗体定常領域を変更するための方法は、当技術分野で公知である。変更された機能、例えば、細胞におけるFcR等、エフェクターリガンドまたは補体のC1成分に対する変更された親和性を有する抗体は、抗体の定常部分における少なくとも1個のアミノ酸残基を異なる残基に置き換えることにより産生することができる(例えば、その全ての内容が参考として本明細書に援用されるEP388,151A1、米国特許第5,624,821号および米国特許第5,648,260号を参照)。ヒトIgG4におけるS228P(EU命名法、Kabat命名法ではS241P)等、抗体構造を安定化するアミノ酸変異も考慮される。マウスまたは他の種の免疫グロブリンに適用されると、これらの機能を低下または排除するであろう、同様の種類の変更について記載することができる。
【0251】
一部の実施形態において、抗デング抗体分子におけるアミノ酸のみが、正準アミノ酸である。一部の実施形態において、抗デング抗体分子は、天然に存在するアミノ酸;そのアナログ、誘導体および同類物;バリアント側鎖を有するアミノ酸アナログ;および/または前述のいずれかのあらゆる立体異性体を含む。抗デング抗体分子は、アミノ酸のDまたはL光学異性体およびペプチドミメティックを含むことができる。
【0252】
抗デング抗体分子のポリペプチドは、直鎖状または分枝状となることができ、修飾されたアミノ酸を含むことができ、非アミノ酸によって中断されていてよい。抗体分子は、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分とのコンジュゲーション等の他のいずれかの操作によって修飾されていてもよい。ポリペプチドは、天然供給源から単離することができ、組換え技法によって真核生物もしくは原核生物宿主から産生することができる、または合成手順の産物となることができる。
【0253】
抗デング抗体分子は、非コンジュゲート型において単独で使用することができる、あるいは物質、例えば、毒素または部分(例えば、治療薬;放射線放出化合物;植物、真菌もしくは細菌起源の分子;または生物学的タンパク質(例えば、タンパク質毒素))または粒子(例えば、組換えウイルス粒子、例えば、ウイルスコートタンパク質により)に結合することができる。例えば、抗デング抗体は、α-、β-もしくはγ-エミッタまたはβ-およびγ-エミッタ等、放射性同位体にカップリングすることができる。
【0254】
抗体分子は、誘導体化または別の機能的分子(例えば、別のペプチドまたはタンパク質)に連結することができる。本明細書において、「誘導体化された」抗体分子は、修飾された抗体分子である。誘導体化方法として、蛍光部分、放射性核種(radionucleotide)、毒素、酵素、またはビオチン等の親和性リガンドの付加が挙げられるがこれらに限定されない。したがって、抗体分子は、免疫接着(immunoadhesion)分子を含む、本明細書に記載されている抗体の誘導体化および他の仕方で修飾された型を含むことが企図される。例えば、抗体分子は、別の抗体(例えば、二重特異的抗体またはダイアボディ)、検出可能な作用物質、毒素、医薬剤、および/または別の分子(ストレプトアビジンコア領域またはポリヒスチジンタグ等)と抗体もしくは抗体部分との会合を媒介し得るタンパク質もしくはペプチド等、1種または複数の他の分子実体に機能的に連結(化学的カップリング、遺伝的融合、非共有結合または他の仕方により)することができる。
【0255】
一部の種類の誘導体化された抗体分子は、2個またはそれを超える抗体(例えば、二重特異的抗体を作製するための同じ種類または異なる種類の)を架橋することにより産生される。適した架橋剤は、適切なスペーサーによって離間した2個の明確に異なる反応基を有するヘテロ二官能性(例えば、m-マレイミドベンゾイル(maleimidobenzoyl)-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、またはホモ二官能性(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)の架橋剤を含む。斯かるリンカーは、Pierce Chemical Company、Rockford、Illから入手できる。
【0256】
抗デング抗体分子を誘導体化(または標識)することができる有用な検出可能な作用物質は、蛍光化合物、様々な酵素、補欠分子族、発光材料、生物発光材料、蛍光放出金属原子、例えば、ユーロピウム(Eu)および他のランタニド(anthanide)ならびに放射性材料(後述)を含む。例示的な蛍光性の検出可能な作用物質は、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、5ジメチルアミン-1-ナフタレンスルホニル(napthalenesulfonyl)クロリド、フィコエリトリンその他を含む。抗体は、アルカリホスファターゼ、西洋わさびペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコースオキシダーゼその他等、検出可能な酵素により誘導体化することもできる。抗体が、検出可能な酵素により誘導体化される場合、これは、酵素が検出可能な反応産物の産生に使用する追加的な試薬を添加することにより検出される。例えば、検出可能な作用物質の西洋わさびペルオキシダーゼが存在する場合、過酸化水素およびジアミノベンジジンの添加は、検出可能な発色された反応産物をもたらす。抗体分子は、補欠分子族(例えば、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチン)により誘導体化することもできる。例えば、抗体は、ビオチンにより誘導体化し、アビジンまたはストレプトアビジン結合の間接的測定により検出することができる。適した蛍光材料の例として、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが挙げられ;発光材料の例として、ルミノールが挙げられ;生物発光材料の例として、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられる。
【0257】
標識された抗体分子は、例えば、多数の文脈において診断的におよび/または実験的に使用することができ、(i)親和性クロマトグラフィまたは免疫沈降等、標準技法による既定の抗原の単離;(ii)タンパク質の発現の存在量およびパターンを評価するための、既定の抗原の検出(例えば、細胞溶解物または細胞上清における);(iii)例えば、所定の処置レジメンの有効性を決定するための、臨床検査手順の一部としての組織におけるタンパク質レベルのモニターを含む。
【0258】
抗体分子は、別の分子実体、典型的には、標識または治療用(例えば、免疫調節性、免疫賦活性、細胞傷害性または細胞増殖抑制性)薬剤または部分にコンジュゲートすることができる。放射性同位体は、診断または治療適用において使用することができる。抗デング抗体にカップリングすることができる放射性同位体として、α-、β-もしくはγ-エミッタ、またはβ-およびγ-エミッタが挙げられるがこれらに限定されない。斯かる放射性同位体として、ヨウ素(131Iまたは125I)、イットリウム(90Y)、ルテチウム(177Lu)、アクチニウム(225Ac)、プラセオジム、アスタチン(211At)、レニウム(186Re)、ビスマス(212Biまたは213Bi)、インジウム(111In)、テクネチウム(99mTc)、リン(32P)、ロジウム(188Rh)、イオウ(35S)、炭素(14C)、トリチウム(H)、クロム(51Cr)、塩素(36Cl)、コバルト(57Coまたは58Co)、鉄(59Fe)、セレン(75Se)またはガリウム(67Ga)が挙げられるがこれらに限定されない。治療剤として有用な放射性同位元素は、イットリウム(90Y)、ルテチウム(177Lu)、アクチニウム(225Ac)、プラセオジム、アスタチン(211At)、レニウム(186Re)、ビスマス(212Biまたは213Bi)およびロジウム(188Rh)を含む。例えば、診断薬における使用のための標識として有用な放射性同位元素は、ヨウ素(131Iまたは125I)、インジウム(111In)、テクネチウム(99mTc)、リン(32P)、炭素(14C)およびトリチウム(H)または上に列挙されている治療用同位体のうち1種もしくは複数を含む。
【0259】
本開示は、放射標識された抗体分子およびこれを標識する方法を提供する。一部の実施形態において、抗体分子を標識する方法が開示されている。本方法は、抗体分子をキレート剤に接触させ、これにより、コンジュゲートされた抗体を産生するステップを含む。コンジュゲートされた抗体は、放射性同位元素、例えば、111インジウム、90イットリウムおよび177ルテチウムにより放射標識されて、これにより、標識された抗体分子を産生する。
【0260】
上に記す通り、抗体分子は、治療剤にコンジュゲートすることができる。治療活性を有する放射性同位元素については、既に言及されている。他の治療剤の例として、抗ウイルス剤が挙げられる。
【0261】
一部の態様において、本開示は、本明細書に開示されている抗体分子を提供する方法を提供する。本方法は、抗原、例えば、デングウイルスEタンパク質またはその部分を提供するステップと、抗原に特異的に結合する抗体分子を得るステップと、前記抗原および/または抗原を発現する生物、例えば、デングウイルスの活性のモジュレートにおける抗体分子の有効性を評価するステップとを含む。本方法は、その誘導体を含む抗体分子(例えば、ヒト化抗体分子)を被験体、例えば、ヒトに投与するステップをさらに含むことができる。
【0262】
本開示は、上述の抗体分子をコードする単離された核酸分子、そのベクターおよび宿主細胞を提供する。核酸分子として、RNA、ゲノムDNAおよびcDNAが挙げられるがこれらに限定されない。
【0263】
製剤
抗体分子の製剤は、例えば、本明細書に記載されている抗デング抗体分子および緩衝液を含むことができる。製剤のpHは一般に、pH5.5~7.0である。
【0264】
一部の実施形態において、製剤は、液体製剤である。一部の実施形態において、製剤は、液体として貯蔵される。他の実施形態において、製剤は、凍結乾燥された製剤である。ある特定の実施形態において、製剤は、液体として調製され、次いで例えば、貯蔵に先立ち凍結乾燥または噴霧乾燥により乾燥される。乾燥された製剤は、乾燥化合物、例えば、エアロゾル剤もしくは散剤として使用することができる、または例えば、水、緩衝液もしくは他の適切な液体を使用して、その本来のもしくは別の濃度へと再構成することができる。
【0265】
「再構成された」製剤は、再構成された製剤中にタンパク質が分散されるように、凍結乾燥されたタンパク質製剤を希釈剤に溶解することによって調製された製剤である。再構成された製剤は、目的のタンパク質で処置されるるべき患者への投与(例えば、非経口的投与)に適しており、本発明のある特定の実施形態において、皮下投与に適した製剤となることができる。本明細書における目的の「希釈剤」は、薬学的に許容され(ヒトへの投与に安全かつ無毒)、再構成された製剤の調製に有用な希釈剤である。例示的な希釈剤は、滅菌水、注射用静菌水(BWFI)、pH緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝食塩水)、滅菌食塩溶液、リンゲル溶液またはデキストロース溶液を含む。
【0266】
「凍結乾燥保護物質(lyoprotectant)」は、目的のタンパク質と組み合わせたときに、凍結乾燥およびその後の貯蔵の際のタンパク質の化学的および/または物理的不安定性を有意に防止または低下させる分子である。本明細書に記載されている製剤において使用することができる例示的な凍結乾燥保護物質として、スクロースまたはトレハロース等の糖;グルタミン酸ナトリウムまたはヒスチジン等のアミノ酸;ベタイン等のメチルアミン;硫酸マグネシウム等のリオトロピック塩(lyotropic salt);ポリオール、例えば、三価またはそれよりも高級な糖アルコール、例えば、グリセリン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトールおよびマンニトール;プロピレングリコール;ポリエチレングリコール;プルロニック;ならびにこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。典型的には、凍結乾燥保護物質は、トレハロースまたはスクロース等の非還元糖である。凍結乾燥保護物質は、予め凍結乾燥された製剤に「凍結乾燥保護量」で添加され、これは、凍結乾燥保護量の凍結乾燥保護物質の存在下でのタンパク質の凍結乾燥後に、タンパク質が、凍結乾燥および貯蔵の際のその物理的および化学的安定性ならびに完全性を基本的に保持することを意味する。
【0267】
「増量剤(bulking agent)」は、凍結乾燥された混合物に質量を加え、凍結乾燥ケーキの物理的構造に寄与する(例えば、開孔(open pore)構造を維持する基本的に均一な凍結乾燥ケーキの産生を容易にする)化合物である。本明細書に記載されている製剤において使用することができる例示的な増量剤として、マンニトール、グリシン、ポリエチレングリコールまたはソルビトール(xorbitol)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0268】
一部の実施形態において、抗デング抗体分子精製プロセスは、液体としての貯蔵に適した製剤への抗デング抗体分子の移行を可能にするように設計される。他の実施形態において、抗デング抗体分子精製プロセスは、凍結された液体としての長期貯蔵およびその後のフリーズドライのための製剤への抗デング抗体分子の移行を可能にするように設計される。
【0269】
一部の実施形態において、製剤は、特定濃度のタンパク質と共に凍結乾燥される。続いて、凍結乾燥された製剤は、適した希釈剤(例えば、水)により必要に応じて再構成して、所望の濃度、一般に、凍結乾燥前の濃度と比較して同じまたはより高い濃度となるよう、本来の製剤成分を再度可溶化することができる。凍結乾燥された製剤を再構成して、本来のフリーズドライされた液体の容量と比べた凍結乾燥物(lyophilate)に添加される水または希釈剤の量に応じて、本来の濃度(すなわち、凍結乾燥前の)とは異なる濃度を有する製剤を産生することができる。適した製剤は、抗体完全性の1種または複数のパラメータをアッセイすることにより同定することができる。アッセイされるパラメータは一般に、HMW種のパーセンテージまたはLMW種のパーセンテージである。
【0270】
HMW種またはLMW種のパーセンテージは、製剤中の総タンパク質含量のパーセンテージ、総製剤中の濃度、または経時的な(すなわち、貯蔵中の)パーセンテージ増加の変化のいずれかとして決定される。許容される製剤中のHMW種の総パーセンテージは、2℃~50℃(例えば、4℃~45℃、5℃~40℃、5℃~25℃、25℃~40℃、4℃~25℃、4℃~15℃、約4℃、約5℃、約25℃、約40℃または約45℃)における少なくとも1週間、2週間、1ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、9ヶ月間もしくは1年間の凍結乾燥物または液体としての貯蔵後に、10%以下(例えば、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下または1%以下)のHMW種である、あるいは2℃~50℃(例えば、4℃~45℃、5℃~40℃、5℃~25℃、25℃~40℃、4℃~25℃、4℃~15℃、約4℃、約5℃、約25℃、約40℃または約45℃)における少なくとも1週間、2週間、1ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、9ヶ月間もしくは1年間の凍結乾燥物または液体としての貯蔵後に、約10%以下のLMW種である。ある実施形態において、HMW種の総パーセンテージは、5%以下である。別の実施形態において、HMW種の総パーセンテージは、3%以下である。「約」とは、引用数値の±20%を意味する。よって、例えば、「約20℃」は、16℃~24℃を意味する。
【0271】
典型的には、安定性プロファイルは、冷蔵産物では2°~8℃、室温産物では25℃における10%未満のHMW/LMWである。HMW種またはLMW種は、凍結乾燥物が再構成された後に、凍結乾燥物として貯蔵された製剤においてアッセイされる。40℃または45℃は、例えば、輸送中の産物の移行の際に起こり得る非貯蔵条件への短期曝露に関する安定性を検査し、安定性を決定するために一般に使用される加速条件である。一部の実施形態において、40℃が使用される。
【0272】
アッセイされるパラメータが、HMW種またはLMW種のパーセンテージ変化である場合、貯蔵後の一方または両方の種における総タンパク質のパーセントが、貯蔵前の(例えば、製剤の調製の際の)一方または両方の種におけるパーセント総タンパク質と比較される。パーセンテージの差を決定することができる。一般に、液体製剤中のHMW種またはLMW種におけるタンパク質のパーセンテージの変化は、2℃~8℃(例えば、4℃)または25℃における約1週間、2週間、1ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、9ヶ月間または12ヶ月間、18もしくは24ヶ月間の貯蔵後に、10%以下、例えば、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下または約3%以下である。「約」とは、引用数値の±20%を意味する。よって、約10%は、8%~12%を意味する。凍結乾燥産物として貯蔵された製剤は一般に、2℃~8℃(例えば、4℃)または25℃における約1週間、2週間、1ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、9ヶ月間または12ヶ月間、18もしくは24ヶ月間の貯蔵に続く再構成後に、約5%未満、約4%未満、約3%未満もしくは約2%未満のHMW種または約5%未満、約4%未満、約3%未満もしくは約2%未満のLMW種を有する。
【0273】
抗デング抗体分子の製剤は、液体として、例えば、少なくとも2週間、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも1年間または少なくとも2年間貯蔵することができる。抗デング抗体分子の製剤は、凍結乾燥物として、例えば、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間または少なくとも5年間貯蔵することができる。
【0274】
製剤の成分および製剤中の抗デング抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗デング抗体分子の完全性をアッセイする方法に関するさらなる詳細を以下に示す。
【0275】
一部の実施形態において、本明細書に記載されている製剤は、非経口的または静脈内投与のために製剤化される。
【0276】
本明細書に記載の製剤中の抗デング抗体分子濃度は、一般に、約5mg/mL~約250mg/mL、例えば、約5mg/mL~約200mg/mL、約5mg/mL~約150mg/mL、約5mg/mL~約100mg/mL、約5mg/mL~約50mg/mL、約10mg/mL~約40mg/mL、約20mg/mL~約30mg/mL、約50mg/mL~約100mg/mL、または約150mg/mL~約200mg/mL、例えば、約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約75mg/mL、約100mg/mL、約150mg/mL、約200mg/mL、または約250mg/mLである。
【0277】
一部の実施形態において、抗体分子は、約10~約40mg/mL、例えば、約20~約30mg/mL、例えば、約25mg/mLの濃度で存在する。ある実施形態において、抗体分子は、約25mg/mLの濃度で存在する。
【0278】
範囲の文脈において、「約」は、範囲の下限引用数値の-20%および範囲の上限引用数値の+20%を意味する。範囲、例えば、約10mg/mL~約100mg/mLの文脈において、これは、8mg/mL~120mg/mLの間を意味する。一部の事例において、製剤中の抗体濃度は、例えば、1mg/mL~100mg/mL、例えば、2mg/mL~80mg/mL、5mg/mL~60mg/mL、10mg/mL~50mg/mL、15mg/mL~40mg/mL、20mg/mL~30mg/mLの間の本明細書に記載されている抗デング抗体分子、例えば、Ab D88とすることができる。斯かる抗体製剤は、治療剤として使用することができる。したがって、製剤中の抗デング抗体分子の濃度は、処置されている被験体が耐容性を示し、投与方法に適切な製剤の容量において斯かる投薬量をもたらすのに十分である。非限定的な一例において、容量限界が小さい(例えば、注射当たり約1ml~1.2ml)皮下で高投薬量を供給するために、抗体の濃度は一般に、少なくとも25mg/mLまたはそれよりも高い、例えば、100mg/mLまたはそれよりも高い、例えば、100mg/mL~500mg/mL、100mg/mL~250mg/mLまたは100mg/mL~150mg/mLである。斯かる高濃度は、例えば、適切な容量の希釈剤(例えば、注射用滅菌水、緩衝食塩水)において凍結乾燥製剤を再構成することにより達成することができる。一部の事例において、再構成された製剤は、25mg/mL~500mg/mLの間、例えば、約100mg/mL~500mg/mLの間(例えば、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mL、175mg/mL、200mg/mL、250mg/mL、275mg/mL、300mg/mL、350mg/mL、375mg/mL、400mg/mL、425mg/mL、450mg/mL、475mg/mLおよび500mg/mL)の濃度を有する。吸入による送達のため、製剤は一般に、吸息のための限られた容量のエアロゾルにおいて十分な用量をもたらすことができるように、幾分濃縮されている(例えば、約25mg/mL~500mg/mLの間、例えば、約100mg/mL~500mg/mLの間)。一部の事例において、低濃度(例えば、約0.05mg/mL~1mg/mLの間)が使用される。送達方法、例えば、ジェットネブライザーまたは定量エアロゾルに対し、送達される投薬量を適応させるための方法が当技術分野で公知である。
【0279】
緩衝液
本明細書に記載されている製剤のpHは一般に、約pH5.0~約7.5の間、例えば、約pH5.5~約6.5、約pH5.5~約6.0、約pH6.0~約6.5、約pH6.5~約7.0、pH5.5、pH6.0、pH6.5またはpH7.0である。一般に、pH5.5~pH7.0に溶液を維持することができる緩衝液が、製剤の調製に使用される。適した緩衝液は、クエン酸、HEPES、ヒスチジン、アルギニン、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、リン酸カリウム(KHPO)、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム(NaHPO)、トリス塩基およびトリス-HClを限定することなく含む。緩衝液の濃度は、約5mM~約100mMの間、例えば、約5mM~約50mMである。一部の事例において、リン酸ナトリウム緩衝液は、約25mMの濃度で使用される。一部の事例において、クエン酸ナトリウム緩衝液は、約10mMまたは25mMの濃度で使用される。他の事例において、ヒスチジン緩衝液は、約25mMの濃度で使用される。一部の事例において、アルギニン緩衝液は、約25mMの濃度で使用される。
【0280】
張度剤
張度剤は、当技術分野で公知であり、例えば、デキストロース、グリセリン、マンニトール、塩化カリウムおよび塩化ナトリウムを含む。
【0281】
張度剤は、一般に、約50mM~約200mMの濃度で使用される。例えば、張度剤は、約50mM~約200mM、例えば、約60mM~約190mM、約70mM~約180mM、約80mM~約170mM、約90mM~約160mM、約100mM~約150mM、約145mM~約155mM、約140mM~約160mM、約135mM~約165mM、約130mM~約170mM、約120mM~約180mM、約70mM~約130mM、約80~約120mM、約90mM~約110mM、約110mM~約190mM、約100mM~約200mM、約50mM~約100mM、約60mM~約90mM、約70mM~約80mM、約100mM~約150mM、または約150mM~約120mM、例えば、約200mMもしくはそれ未満、約160mMもしくはそれ未満約150mMもしくはそれ未満、約120mMもしくはそれ未満、約110mMもしくはそれ未満、約100mMもしくはそれ未満、約80もしくはそれ未満、または約75mMもしくはそれ未満、例えば、約50mM、約60mM、約70mM、約75mM約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、約160mM、約170mM、約180mM、約190mM、または約200mMの濃度で使用することができる。
【0282】
ある実施形態において、張度剤は、約50mM~約200mM、約75mM~約150mM、約120mM~約180mM、例えば、約140mM~約160mM、例えば、約150mMの濃度で使用される。別の実施形態において、張度剤は、約50mM~約100mM、約60mM~約90mM、約70mM~約80mM、例えば、約75mMの濃度で使用される。別の実施形態において、張度剤は、約50mM~約200mM、約60mM~約130mM、約70mM~約120mM、約80mM~約110mM、例えば、約100mMの濃度で使用される。ある実施形態において、張度剤は、塩化ナトリウムを含む。ある実施形態において、張度剤は、塩化ナトリウムを含み、約140mM~約160mM、例えば、約150mMの濃度で使用される。ある実施形態において、張度剤は、塩化ナトリウムを含み、約55mM~約95mM、例えば、約75mMの濃度で使用される。ある実施形態において、張度剤は、塩化ナトリウムを含み、約80mM~約120mM、例えば、約100mMの濃度で使用される。
【0283】
ある実施形態において、張度剤は、約150mOsm/kg~約400mOsm/kg、180mOsm/kg~約400mOsm/kg、約190mOsm/kg~約390mOsm/kg、約200mOsm/kg~約380mOsm/kg、約210mOsm/kg~約370mOsm/kg、約220mOsm/kg~約360mOsm/kg、約230mOsm/kg~約350mOsm/kg、約240mOsm/kg~約340mOsm/kg、約250mOsm/kg~約330mOsm/kg、約260mOsm/kg~約320mOsm/kg、約270mOsm/kg~約310mOsm/kg、約280mOsm/kg~約300mOsm/kg、または約285mOsm/kg~約295mOsm/kg、例えば、約240mOsm/kg、約250mOsm/kg、約260mOsm/kg、約270mOsm/kg、約280mOsm/kg、約290mOsm/kg、約300mOsm/kg、約310mOsm/kg、約320mOsm/kg、約330mOsm/kg、または約340mOsm/kgの張度(または容量オスモル濃度)を提供する。ある実施形態において、張度剤は、約150mOsm/kg~約400mOsm/kg、約200mOsm/kg~約350mOsm/kg、または約250mOsm/kg~約300mOsm/kgの張度(または容量オスモル濃度)を提供する。
【0284】
製剤中で使用される張度剤は、一般に、約150mOsm/L~約400mOsm/L、約160mOsm/L~約390mOsm/L、約170mOsm/L~約380mOsm/L、約180mOsm/L~約370mOsm/L、約190mOsm/L~約360mOsm/L、約200mOsm/L~約370mOsm/L、約210mOsm/L~約360mOsm/L、約220mOsm/L~約350mOsm/L、約200mOsm/L~約350mOsm/L、約220mOsm/L~約340mOsm/L、または約220mOsm/L~約340mOsm/L、約230mOsm/L~約330mOsm/L、または約240mOsm/L~約320mOsm/L、例えば、約250mOsm/L、約260mOsm/L、約270mOsm/L、約280mOsm/L、約290mOsm/L、約300mOsm/L、約310mOsm/L、約320mOsm/L、約330mOsm/L、約340mOsm/L、または約350mOsm/Lの張度(または容量オスモル濃度)を提供することができる。
【0285】
「等張性」とは、目的の製剤が、ヒトの血液と基本的に同じ浸透圧を有することを意味する。等張性製剤は一般に、約250~350mOsmの浸透圧を有するであろう。等張性は、例えば蒸気圧または氷結(ice-freezing)型浸透圧計を使用して測定することができる。
【0286】
界面活性剤
ある特定の実施形態において、製剤中に界面活性剤が含まれる。界面活性剤の例は、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート-20、ポリソルベート-40、ポリソルベート-60、ポリソルベート-65、ポリソルベート-80またはポリソルベート-85)等の非イオン性界面活性剤;ポロクサマー(例えば、ポロクサマー188);Triton(商標);ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);ラウリル(laurel)硫酸ナトリウム;オクチルグリコシドナトリウム(sodium octyl glycoside);ラウリル-スルホベタイン、ミリスチル-スルホベタイン、リノレイル-スルホベタイン、ステアリル-スルホベタイン、ラウリル-サルコシン、ミリスチル-サルコシン、リノレイル-サルコシン、ステアリル-サルコシン、リノレイル-ベタイン、ミリスチル-ベタイン、セチル-ベタイン、ラウロアミドプロピル-ベタイン、コカミドプロピル-ベタイン、リノレアミドプロピル-ベタイン、ミリスタミドプロピル-ベタイン、パルミドプロピル-ベタイン、イソステラミドプロピル-ベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル)、ミリスタミド(myristarnido)プロピル-、パルミドプロピル-またはイソステラミドプロピル-ジメチルアミン;ナトリウムメチルココイル-または二ナトリウムメチルオフェイル(ofeyl)-タウレート(taurate);ならびにMonaquat(商標)シリーズ(Mona Industries,Inc.、Paterson、N.J.)、ポリエチルグリコール、ポリプロピルグリコール、ポリオキシエチレン(polyox ethylene)-ステアレート(stearates)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、ポリオキシエチレンモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(ポロクサマー、プルロニック(Piuronic))ならびにエチレンおよびプロピレングリコールのコポリマー(例えば、プルロニック、PF68)を限定することなく含む。例えば、界面活性剤は、約0.001%~0.5%、例えば、約0.005%~0.05%、約0.005%~約0.2%および約0.01%~0.2%の量で、製剤(液体または凍結乾燥前)中に存在することができる。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート(poiysorbate)80である。一実施形態において、ポリソルベート80濃度は、約0.001~0.05%(w/v)である。一実施形態において、ポリソルベート80濃度は、約0.02%(w/v)である。
【0287】
凍結保護剤(cryoprotectant)
凍結保護剤は、当技術分野で公知であり、例えば、スクロース、トレハロース、ソルビトールおよびグリセロールを含む。生物系において低い毒性を示す凍結保護剤が一般に使用される。凍結保護剤は、約50mM~約150mMの濃度で製剤中に含まれる。
【0288】
一部の実施形態において、スクロースは、約50mM~約150mM、約60mM~約140mM、約70mM~約130mM、約80mM~約120mM、約90mM~約110mM、約50mM~約90mM、約60mM~約80mM、例えば、約200mMもしくはそれ未満、約190mMもしくはそれ未満、約180mMもしくはそれ未満、約170mMもしくはそれ未満、約160mMもしくはそれ未満、約150mMもしくはそれ未満、約140mMもしくはそれ未満、約130mMもしくはそれ未満、約120mMもしくはそれ未満、約110mMもしくはそれ未満、約100mMもしくはそれ未満、約90mMもしくはそれ未満、約80mMもしくはそれ未満、約75mMもしくはそれ未満、または約60mMもしくはそれ未満の濃度で使用される。一部の実施形態において、スクロースは、約75mMの濃度で使用される。一部の実施形態において、スクロースは、約150mMの濃度で使用される。
【0289】
一部の実施形態において、ソルビトールは、約50mM~約150mM、約70mM~約140mM、約90mM~約130mM、約150mMもしくはそれ未満、約145mMもしくはそれ未満、約140mMもしくはそれ未満、約135mMもしくはそれ未満、約130mMもしくはそれ未満、約125mMもしくはそれ未満、約120mMもしくはそれ未満、約115mMもしくはそれ未満、約110mMもしくはそれ未満、約105mMもしくはそれ未満、または約100mMもしくはそれ未満の濃度で使用される。一部の実施形態において、ソルビトールは、約125mMの濃度で使用される。
【0290】
抗デング抗体分子製剤における緩衝液として使用することができるヒスチジン緩衝液は、凍結保護剤特性を有することができる。本発明の一部の実施形態において、ヒスチジン緩衝液は、糖、例えば、スクロースまたはソルビトール等の凍結保護剤と併せて使用される。
【0291】
製剤の粘性は一般に、製剤の投与経路と適合性の粘性である。一部の実施形態において、製剤の粘性は、1cP~2cPの間である、または水と同様である(約1cP)。他の実施形態において、製剤の粘性は、約5cP~約40cPの間である。具体的な実施形態において、製剤の粘性は、1cP、2cP、3cP、4cP、5cP、10cP、15cP、20cP、25cP、30cP、35cPまたは40cPである。
【0292】
製剤への追加
製剤は、滅菌溶液または滅菌凍結乾燥物として貯蔵される。製剤における微生物の作用の防止は、製剤に少なくとも1種の抗細菌剤および/または抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールその他を含むことにより達成することもできる。一部の事例において、凍結乾燥物は、静菌水(例えば、0.9%ベンジルアルコールを含有する水)により再構成される。製剤における保存薬の包含についての考慮は、具体的な製剤および送達方法と適合性の保存薬を同定する方法と同様に、当技術分野で公知である(例えば、Guptaら(2003年)AAPS Pharm. Sci.5巻:論文8、1~9ページを参照)。「保存薬」は、希釈剤に添加して、再構成された製剤における細菌作用を基本的に低減させ、これにより、例えば複数回使用の再構成された製剤の産生を容易にすることができる化合物である。潜在的な保存薬の例として、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム(アルキル基が長鎖化合物である塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウムの混合物)および塩化ベンゼトニウムが挙げられる。他の種類の保存薬は、フェノール、ブチルおよびベンジルアルコール等の芳香族アルコール、メチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、ならびにm-クレゾールを含む。
【0293】
一部の事例において、製剤は等張性である。一般に、溶液の容量オスモル濃度/張度に寄与する当技術分野で公知のいかなる成分を製剤に加えてもよい(例えば、塩、糖、多価アルコールまたはこれらの組み合わせ)。等張性は一般に、等張性濃度の基礎製剤の成分(スクロース等)を使用して、または糖、マンニトール(manitol)もしくはソルビトール等の多価アルコール、または塩化ナトリウム等の塩等、追加的な成分を加えること、のいずれかにより達成される。
【0294】
一部の事例において、抗デング抗体分子製剤において塩が使用されて、例えば、等張性を達成する、または製剤の抗デング抗体分子の完全性を増加させる。使用に適した塩は上に記述されている。
【0295】
ある特定の実施形態において、本発明に係る医薬製剤は、安定剤(安定化剤としても公知)を含む。安定剤として、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、グロブリン、α-ラクトアルブミン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、リゾチーム、ミオグロビン、オボアルブミンおよびRNase Aが挙げられるがこれらに限定されない。例示的な安定剤は、グリシン、アラニン(α-アラニン、β-アラニン)、アルギニン、ベタイン、ロイシン、リシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、サルコシン、γ-アミノ酪酸(GABA)、オピン(アラノピン(alanopine)、オクトピンまたはストロンビン(strombine))およびトリメチルアミンN-オキシド(TMAO)等、アミノ酸およびその代謝産物も含む。一実施形態において、安定剤は、アミノ酸である。一部の実施形態において、アルギニンが使用される。例示的な安定剤は、炭水化物、例えば、スクロース、トレハロース、マンニトール、デキストラン、ソルビトール、イノシトール、グルコース、フルクトース、ラクトース、キシロース、マンノース、マルトースまたはラフィノースも含む。
【0296】
アルギニンは、一般に、約50mM~約200mMの濃度で使用される。例えば、アルギニンは、約50mM~約200mM、例えば、約60mM~約190mM、約70mM~約180mM、約80mM~約170mM、約90mM~約160mM、約100mM~約150mM、約145mM~約155mM、約140mM~約160mM、約135mM~約165mM、約130mM~約170mM、約120mM~約180mM、約70mM~約130mM、約110mM~約190mM、約100mM~約200mM、約50mM~約100mM、約60mM~約90mM、約70mM~約80mM、または約150mM~約120mM、例えば、約200mMもしくはそれ未満、約160mMもしくはそれ未満約150mMもしくはそれ未満、約120mMもしくはそれ未満、約110mMもしくはそれ未満、約100mMもしくはそれ未満、約80もしくはそれ未満、または約75mMもしくはそれ未満、例えば、約50mM、約60mM、約70mM、約75mM約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、約160mM、約170mM、約180mM、約190mM、または約200mMの濃度で使用することができる。
【0297】
ある実施形態において、アルギニンは、約50mM~約200mM、約75mM~約150mM、約120mM~約180mM、例えば、約140mM~約160mM、例えば、約150mMの濃度で使用される。別の実施形態において、アルギニンは、約50mM~約100mM、約60mM~約90mM、約70mM~約80mM、例えば、約75mMの濃度で使用される。
【0298】
ある特定の実施形態において、本発明に係る医薬製剤は、金属キレート剤を含む。金属キレート剤として、EDTAおよびEGTAが挙げられるがこれらに限定されない。
【0299】
製剤を作製する方法
ある態様において、本開示は、本明細書に記載されている製剤を作製する方法を提供する。本方法は、本明細書に記載されている抗デング抗体分子(例えば、D88)を、本明細書に記載されている緩衝剤、および本明細書に記載されている張度剤または本明細書に記載されている安定化剤の一方または両方と、任意選択でさらに、本明細書に記載されている界面活性剤、炭水化物またはその両方と組み合わせ、これにより、製剤を作製するステップを含む。
【0300】
ある実施形態において、本方法は、本明細書に記載されている抗デング抗体分子と、(a)緩衝剤(例えば、ヒスチジンまたはクエン酸ナトリウム)、(b)張度剤(例えば、塩化ナトリウム)および(c)安定化剤(例えば、アルギニンまたはスクロース)とを含み、製剤は、10mg/mL~50mg/mLの抗デング抗体分子、10mM~50mMの緩衝剤(例えば、ヒスチジンまたはクエン酸ナトリウム)、50mM~150mMの張度剤(例えば、塩化ナトリウム)および50mM~150mMの安定化剤(例えば、アルギニンまたはスクロース)を含み、製剤は、6~7のpH(例えば、pH6.5)を有する。
【0301】
ある実施形態において、本方法は、抗体分子を、界面活性剤、例えば、ポリソルベート80と組み合わせるステップをさらに含む。ある実施形態において、製剤は、0.01%~0.05%(例えば、0.02%)ポリソルベート80を含む。
【0302】
例示的な製剤
例示的な抗デング抗体分子製剤は、表7に記載されている。
【0303】
ある実施形態において、製剤は、10mg/mL~50mg/mLの本明細書に記載されている抗デング抗体分子、10mM~50mMヒスチジンまたはクエン酸ナトリウム、50mM~150mM塩化ナトリウムおよび50mM~150mMアルギニンまたはスクロースを含み、製剤は、6~7のpHを有する。
【0304】
例えば、製剤F1~F21は、25mg/mL抗体D88を含有し;製剤F8~F17は、25mMヒスチジンpH6.5を含有し;製剤F1は、10mMクエン酸ナトリウムpH6.0を含有し、製剤F2~F5は、25mMクエン酸ナトリウムpH6.5を含有し;製剤F2、F5、F6、F7およびF12~F21は、75mM NaClを含有し、製剤F1は、100mM NaClを含有し、製剤F8~F9は、150mM NaClを含有し;製剤F18~F21は、25mMアルギニンを含有し、製剤F2、F6、F12およびF13は、75mMアルギニンを含有し、製剤F3、F4、F10およびF11は、150mMアルギニンを含有し;製剤F5およびF7は、75 スクロースを含有し、製剤F14、F15、F18およびF19は、100mMスクロースを含有し;製剤F1は、6.0のpHを有し、製剤F2~F5およびF8~F17は、6.5のpHを有し、製剤F6~F7およびF18~F21は、7.0のpHを有する。
【0305】
ある実施形態において、抗体分子は、
(a)
配列DVYMS(配列番号3)を含むHC CDR1と、
配列RIDPENGDTKYDPKLQG(配列番号4)を含むHC CDR2と、
配列GWEGFAY(配列番号5)を含むHC CDR3と
を含む重鎖(HC)免疫グロブリン可変領域セグメント、および
(b)
配列RASENVDKYGNSFMH(配列番号6)を含むLC CDR1と、
配列RASELQW(配列番号7)を含むLC CDR2と、
配列QRSNEVPWT(配列番号8)を含むLC CDR3と
を含む軽鎖(LC)免疫グロブリン可変領域セグメント
を含む。
【0306】
ある実施形態において、製剤は、配列番号1の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を含む。ある実施形態において、製剤は、配列番号2の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を含む。ある実施形態において、製剤は、配列番号1のVHアミノ酸配列および配列番号2のVLアミノ酸配列を含む。
【0307】
ある実施形態において、製剤は、10mg/mL~40mg/mLの抗体分子を含む。ある実施形態において、製剤は、25mg/mLの抗体分子を含む。
【0308】
ある実施形態において、製剤は、10mM~50mMヒスチジンを含む。ある実施形態において、製剤は、20mM~40mMヒスチジンを含む。ある実施形態において、製剤は、25mMヒスチジンを含む。
【0309】
ある実施形態において、製剤は、10mM~50mMクエン酸ナトリウムを含む。ある実施形態において、製剤は、10mM~30mMクエン酸ナトリウムを含む。ある実施形態において、製剤は、25mMクエン酸ナトリウムを含む。
【0310】
ある実施形態において、製剤は、75mM~150mM塩化ナトリウムを含む。ある実施形態において、製剤は、75mM塩化ナトリウムを含む。
【0311】
ある実施形態において、製剤は、50mM~150mMアルギニンを含む。ある実施形態において、製剤は、75mM~150mMアルギニンを含む。ある実施形態において、製剤は、75mMアルギニンを含む。
【0312】
ある実施形態において、製剤は、50mM~150mMスクロースを含む。ある実施形態において、製剤は、75mM~100mMスクロースを含む。ある実施形態において、製剤は、100mMスクロースを含む。
【0313】
ある実施形態において、製剤は6.5のpHを有する。
【0314】
ある実施形態において、製剤は、ポリソルベート80をさらに含む。ある実施形態において、製剤は、0.01%~0.05%ポリソルベート80を含む。ある実施形態において、製剤は、0.02%ポリソルベート80を含む。例えば、製剤F1、F4、F9、F11、F13、F15、F17、F19およびF21は、ポリソルベート80を含有する。
【0315】
ある実施形態において、製剤は、10mg/mL~50mg/mLの抗デング抗体分子、10mM~50mMヒスチジン、50mM~150mM塩化ナトリウムおよび50mM~150mMスクロースを含み、製剤は、6~7のpHを有する。ある実施形態において、製剤は、25mg/mLの抗デング抗体分子、25mMヒスチジン、75mM塩化ナトリウムおよび100mMスクロースを含み、製剤は、6.5のpHを有する。
【0316】
ある実施形態において、製剤は、10mg/mL~50mg/mLの抗デング抗体分子、10mM~50mMヒスチジン、50mM~150mM塩化ナトリウム、50mM~150mMスクロース、0.01%~0.05%ポリソルベート80を含み、製剤は、6~7のpHを有する。ある実施形態において、製剤は、25mg/mLの抗デング抗体分子、25mMヒスチジン、75mM塩化ナトリウム、100mMスクロース、0.02%ポリソルベート80を含み、製剤は、6.5のpHを有する。
【0317】
ある実施形態において、製剤は、10mg/mL~50mg/mLの抗デング抗体分子、10mM~50mMヒスチジン、50mM~150mM塩化ナトリウムおよび50mM~150mMアルギニンを含み、製剤は、6~7のpHを有する。ある実施形態において、製剤は、約25mg/mLの抗デング抗体分子、25mMヒスチジン、75mM塩化ナトリウムおよび75mMアルギニンを含み、製剤は、6.5のpHを有する。
【0318】
ある実施形態において、製剤は、10mg/mL~50mg/mLの抗デング抗体分子、10mM~50mMヒスチジン、50mM~150mM塩化ナトリウム、50mM~150mMアルギニン、0.01%~0.05%ポリソルベート80を含み、製剤は、6~7のpHを有する。ある実施形態において、製剤は、25mg/mLの抗デング抗体分子、25mMヒスチジン、75mM塩化ナトリウム、75mMアルギニン、0.02%ポリソルベート80を含み、製剤は、6.5のpHを有する。
【0319】
ある実施形態において、製剤は、10mg/mL~50mg/mLの抗デング抗体分子、10mM~50mMクエン酸ナトリウム、50mM~150mM塩化ナトリウムおよび50mM~150mMスクロースを含み、製剤は、6~7のpHを有する。ある実施形態において、製剤は、25mg/mLの抗デング抗体分子、25mMクエン酸ナトリウム、75mM塩化ナトリウムおよび75mMスクロースを含み、製剤は、6.5のpHを有する。
【0320】
ある実施形態において、クエン酸ナトリウムは、例えば、適切な濃度および/またはpHにおけるリン酸ナトリウムに置き換えることができる。例えば、製剤F6~F7は、リン酸ナトリウムを含有する。ある実施形態において、スクロースは、例えば、適切な濃度におけるソルビトールに置き換えることができる。例えば、製剤F16、F17、F20およびF21は、ソルビトールを含有する。
【0321】
ある実施形態において、製剤は、液体製剤である。
【0322】
ある実施形態において、抗デング抗体分子製剤は、pH6.5において、約25mg/mLの本明細書に記載されている抗デング抗体分子(例えば、D88)、約25mMヒスチジン、約75mM塩化ナトリウムおよび約75mMアルギニンを含むまたはこれからなる。ある実施形態において、抗デング抗体分子製剤は、pH6.5において、約25mg/mLの本明細書に記載されている抗デング抗体分子(例えば、D88)、約25mMヒスチジン、約75mM塩化ナトリウム、約75mMアルギニンおよび0.02%ポリソルベート80を含むまたはこれからなる。さらなる実施形態において、抗デング抗体分子製剤は、pH6.5において、約25mg/mLの本明細書に記載されている抗デング抗体分子(例えば、D88)、約25mMヒスチジン、約75mM塩化ナトリウムおよび約100mMスクロースを含むまたはこれからなる。さらなる実施形態において、抗デング抗体分子製剤は、pH6.5において、約25mg/mLの本明細書に記載されている抗デング抗体分子(例えば、D88)、約25mMヒスチジン、約75mM塩化ナトリウム、約100mMスクロースおよび約0.02%ポリソルベート80を含むまたはこれからなる。別の実施形態において、抗デング抗体分子製剤は、pH6.5において、約25mg/mLの本明細書に記載されている抗デング抗体分子(例えば、D88)、約25mMクエン酸ナトリウム、約75mM塩化ナトリウムおよび約75mMスクロースを含むまたはこれからなる。
【0323】
一部の実施形態において、本開示は、表7に記載されている任意の製剤を提供する。ある実施形態において、製剤は、表7に記載されているF1である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF2である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF3である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF4である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF5である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF6である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF7である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF8である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF9である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF10である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF11である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF12である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF13である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF14である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF15である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF16である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF17である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF18である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF19である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF20である。別の実施形態において、製剤は、表7に記載されているF21である。
【0324】
貯蔵および調製方法
液体
一部の事例において、抗体を含有する製剤は、液体として貯蔵される。したがって、製剤が、4℃または室温を含む斯かる条件下で比較的安定であることが望ましい。製剤の適合性を決定する一方法は、試料製剤を、撹拌または貯蔵(例えば、4℃、25℃または45℃で)にある期間(例えば、1週間、2週間または4週間)付し、撹拌または貯蔵後に蓄積したLMW種および/またはHMW種の量を決定し、これを、撹拌または貯蔵手順前の試料に存在するLMW種またはHMW種の量と比較することである。LMWまたはHMW種の増加は、安定性減少を示す。
【0325】
凍結
一部の事例において、抗体を含有する製剤は、貯蔵のために凍結される。したがって、製剤が、凍結融解サイクル下を含む斯かる条件下で比較的安定であることが望ましい。製剤の適合性を決定する一方法は、試料製剤を、少なくとも2回、例えば、3、4、5、8、10回またはそれよりも多いサイクルの凍結(例えば、-20℃または-80℃における)および融解(例えば、37℃水浴における急速融解または2°~8℃における緩徐融解による)に付し、凍結融解サイクル後に蓄積したLMW種および/またはHMW種の量を決定し、これを、凍結融解手順前の試料に存在するLMW種またはHMW種の量と比較することである。LMWまたはHMW種の増加は、安定性減少を示す。
【0326】
凍結乾燥
製剤は、凍結乾燥後に貯蔵することができる。したがって、凍結乾燥後の製剤のタンパク質成分の安定性に関する製剤の検査は、製剤の適合性の決定に有用である。方法は、試料製剤が凍結の代わりに凍結乾燥され、その本来の容量へと再構成され、LMW種および/またはHMW種の存在に関して検査されることを除いて、凍結に関しての上記の方法と同様である。凍結乾燥された試料製剤は、凍結乾燥されなかった対応する試料製剤と比較される。対応する試料と比較した、凍結乾燥された試料におけるLMWまたはHMW種の増加は、凍結乾燥された試料における安定性減少を示す。
【0327】
一般に、凍結乾燥プロトコールは、凍結乾燥器への試料の投入、予冷期間、凍結、真空開始、一次乾燥温度へのランピング、一次乾燥、二次乾燥温度へのランピング、二次乾燥、および試料に栓をすることを含む。凍結乾燥プロトコールのために選択することができる追加的なパラメータは、真空(例えば、ミクロン単位で)およびコンデンサー温度を含む。温度についての好適なランピング速度は、約0.1℃/min.~2℃/min.、例えば、0.1℃/min.~1.0℃/min.、0.1℃/min.~0.5℃/min.、0.2℃/min.~0.5℃/min.、0.1℃/min.、0.2℃/min.、0.3℃/min.、0.4℃/min.、0.5℃/min.、0.6℃/min.、0.7℃/min.、0.8℃/min.、0.9℃/min.、および1.0℃/minである。凍結乾燥サイクルのために好適な棚温度(shelf temperature)は、一般に、約-55℃~-5℃、-25℃~-5℃、-20℃~-5℃、-15℃~-5℃、-10C~-5℃、-10℃、-11℃、-12℃、-13℃、-14℃、-15℃、-16℃、-17℃、-18℃、-19℃、-20℃、-21℃、-22℃、-23℃、-24℃、または-25℃である。棚温度は、一次乾燥および二次乾燥で異なることができ、例えば、一次乾燥は、二次乾燥よりも低い温度で行うことができる。非限定的な例において、一次乾燥は、0℃で実行することができ、二次乾燥は、25℃で実行することができる。
【0328】
一部の事例において、凍結の間および真空開始前に、アニーリング(annealing)プロトコールが使用される。このような場合、アニーリング時間が選択される必要があり、温度は一般に、組成物のガラス転移温度を上回る。一般に、アニーリング時間は、約2~15時間、約3~12時間、約2~10時間、約3~5時間、約3~4時間、約2時間、約3時間、約5時間、約8時間、約10時間、約12時間、または約15時間である。アニーリングのための温度は、一般に、約-35℃~約-5℃、例えば、約-25℃~約-8℃、約-20℃~約-10℃、約-25℃、約-20℃、約-15℃、約0℃、または約-5℃である。一部の場合において、アニーリング温度は、一般に、-35℃~5℃、例えば、25℃~-8℃、-20℃~-10℃、-25℃、-20℃、-15℃、0℃、または5℃である。
【0329】
一般に、凍結乾燥サイクルは、10時間~100時間、例えば、20時間~80時間、30時間~60時間、40時間~60時間、45時間~50時間、50時間~65時間実行することができる。
【0330】
抗体製剤の貯蔵のための温度範囲の非限定的な例は、約-20℃~約50℃、例えば、約-15℃~約30℃、約-15℃~約20℃、約5℃~約25℃、約5℃~約20℃、約5℃~約15℃、約2℃~約12℃、約2℃~約10C、約2℃~約8℃、約2℃~約6℃、2C、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、10℃、15℃、または25℃である。貯蔵温度にもかかわらず、ある特定の事例において、試料は、斯かる組成物に予想され得る貯蔵および運搬条件の際に一過的に生じ得る温度変化において安定である。
【0331】
噴霧乾燥
一部の事例において、製剤は、噴霧乾燥され、次いで貯蔵される。噴霧乾燥は、当技術分野で公知の方法を使用して行われ、液体または凍結噴霧乾燥を使用するように修飾することができる(例えば、Niro Inc.(Madison、WI)、Upperton Particle Technologies(Nottingham、England)もしくはBuchi(Brinkman Instruments Inc.、Westbury、NY)、または米国特許出願公開第2003/0072718号および同第2003/0082276号由来の方法等の方法を使用)。
【0332】
抗体分子完全性の決定
LMW種およびHMW種の蓄積は、抗体安定性の有用な尺度である。製剤におけるLMWまたはHMWのいずれかの蓄積は、製剤の一部として貯蔵されたタンパク質の不安定性を示す。サイズ排除クロマトグラフィとHPLCを使用して、LMWおよびHMW種の存在を決定することができる。斯かる測定に適したシステムは、当技術分野で公知であり、例えば、HPLCシステム(Waters、Milford、MA)がある。当技術分野で公知の他のシステムを使用して、製剤における抗体の完全性を評価することができ、例えば、SDS-PAGE(HMWおよびLMW種をモニターするため)、抗体活性のバイオアッセイ、酵素結合免疫吸着測定法、精製された標的タンパク質(例えば、デング)に結合する能力、およびカチオン交換-HPLC(CEX-HPLC;バリアントを検出し、表面電荷をモニターするため)がある。一例において、バイオアッセイは、異なる濃度の製剤化された抗体分子の存在下でデング依存性活性の阻害が試験されて生物活性を実証する、細胞に基づくアッセイである。
【0333】
製造品
本願はまた、本明細書に記載されている製剤を含み、製剤の使用のための指示を提供する製造品を提供する。製造品は、製剤の含有に適した容器を含むことができる。適した容器は、次のものに限定されないが、ボトル、バイアル、シリンジ、試験管、ネブライザー(例えば、超音波または振動メッシュネブライザー)、i.v.溶液バッグまたは吸入器(例えば、定量吸入器(MDI)または乾燥粉末吸入器(DPI))となることができる。容器は、ガラス、金属、またはポリカーボネート、ポリスチレンもしくはポリプロピレン等のプラスチック等、いずれか適した材料で作ることができる。一般に、容器は、製剤から有意な量のタンパク質を吸着せず、製剤の成分と反応性ではない材料のものである。一部の実施形態において、容器は、West 4432/50 1319シリコン処理グレーストッパーまたはWest 4023 Durafluorストッパーを備える透明ガラスバイアルである。一部の実施形態において、容器は、シリンジである。具体的な実施形態において、製剤は、予め充填されたシリンジ内に、約6.5のpHにおける約25mg/mLの本明細書に記載されている抗体分子、約25mMヒスチジン、約75mM塩化ナトリウムおよび約100mMスクロースを含む。ある特定の実施形態において、シリンジは、自動注入器デバイスによる使用に適する。
【0334】
ネブライザーの例として、非限定的な例において、ジェットネブライザー、超音波ネブライザーおよび振動メッシュネブライザーが挙げられる。これらのクラスは、液体からエアロゾルを作製するために異なる方法を使用する。一般に、これらの製剤におけるタンパク質の完全性を維持することができるいずれかのエアロゾル生成デバイスが、本明細書に記載されている製剤の送達に適する。
【0335】
例えば医薬品として被験体への投与に使用されるべき製剤は、滅菌されていなければならない。これは、当技術分野で公知の方法を使用して、例えば、液体の製剤化、または凍結乾燥および再構成の前または後の、滅菌濾過膜を通した濾過により達成される。あるいは、構造を損傷しないのであれば、製剤の成分は、オートクレーブによって滅菌し、次いで濾過滅菌または放射線滅菌された成分と組み合わせて、製剤を産生することができる。
【0336】
動物モデル
本明細書に記載されている抗体分子および製剤は、動物モデルにおいて評価することができる。例えば、動物モデルを使用して、デングウイルス感染、複製および/または伝染の低下における本明細書に記載されている抗体分子または製剤の有効性を検査することができる。本明細書に記載されている抗体分子または製剤の評価に使用することができる例示的な動物モデルとして、AG129マウスモデル(例えば、Tharakaramanら、Proc Natl Acad Sci U S A.2013年;110巻(17号):E1555~64頁;Johnsonら、J Virol.1999年;73巻(1号):783~6頁に記載);非マウス適応マウスモデル(例えば、TanらPLoS Negl Trop Dis.2010年;4巻(4号):e672頁に記載されている非マウス適応DENV-2 D2Y98Pマウスモデル);ヒト化マウスモデル(例えば、Sridharanら、J Virol.2013年;87巻(21号):11648~58頁に記載);非ヒト霊長類モデル(例えば、GoncalvezらProc Natl Acad Sci U S A.2007年;104巻(22号):9422~7頁に記載);および蚊モデル(例えば、VuらPLoS Negl Trop Dis.2010年;4巻(7号):e757頁に記載)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0337】
I型およびII型インターフェロン受容体の両方を欠くAG129マウス株は、ウイルス血症および他の疾患徴候を含む、デングの臨床症例において観察されるある特定の疾患症状発現を再現する動物モデルである(Tharakaramanら、Proc Natl Acad Sci U S A.2013年;110巻(17号):E1555~64頁;JohnsonらJ Virol.1999年;73巻(1号):783~6頁)。このモデルは、抗ウイルス処置の評価において有用であり、原理研究の証明において使用することもできる。簡潔に説明すると、AG129(IFN-α/βおよびIFN-γ受容体を欠損)マウスを、デングウイルスでチャレンジし、候補治療抗体分子を投与する。典型的には、ウイルス血症(血液試料におけるウイルス力価)が、実験のエンドポイントである。ウイルス血症は、例えば、定量的RT-PCRにより測定することができる。例示的なAG129マウスモデルは、国際出願公開番号WO2015/122995の実施例10に記載されている。
【0338】
非マウス適応マウスモデルは、例えば、腹腔内に投与するとAG129マウスにおいて高度に感染性である非マウス適応DEN2ウイルス株(D2Y98P)を使用して作製することができる(Tanら、PLoS Negl Trop Dis.2010年;4巻(4号):e672頁)。高用量のD2Y98Pによる感染は、サイトカインストーム、大規模臓器損傷および重症血管漏出を誘導し、ウイルス血症のピークにおける動物の出血および急死をもたらすことができる。低用量のD2Y98Pによる感染は、ヒトにおける疾患動態と同様に、関連臓器における無症候性ウイルス播種および複製に続く、ウイルスクリアランスの数日後の動物の非麻痺性死亡をもたらすことができる。出血は観察されなかったが、脾臓損傷、肝臓機能不全および血管透過性増加を瀕死の動物において観察することができ、デングショック症候群における主要特色であるインタクトな血管完全性を示唆する。
【0339】
ヒト化マウスモデルは、例えば、有意なレベルのヒト血小板、単球/マクロファージおよび肝細胞を発生するNOD-scid Il2rg-/-(NSG)マウスへのヒトCD34胎児肝臓細胞の養子移入により作製することができる(SridharanらJ Virol.2013年;87巻(21号):11648~58頁)。DENV血清型2(DENV-2)等、デングウイルスによるこれらのマウスの感染は、ヒトにおけるデングウイルス感染のある特定の特徴的特色、例えば、一過性白血球減少症および血小板減少症を再捕捉することができる。
【0340】
非ヒト霊長類モデルは、GoncalvezらProc Natl Acad Sci U S A.2007年;104巻(22号):9422~7頁に記載されている通り、例えば、DENV負荷後の若齢アカゲザルにおいて作製することができる。感染したサルのウイルス血症力価は、例えば、定量的PCRまたはフォーカス形成単位(FFU)アッセイによって決定することができる。
【0341】
蚊モデルを使用して、デングウイルスに対する抗体の阻害活性、例えば、ウイルス感染の中和または感染した被験体および蚊の間の伝染の低下を評価することもできる。デングウイルスは、蚊に伝染されるRNAウイルスである。ある特定のデングウイルスは、より高い確率のヒトから蚊への伝染をもたらし得るin vivo適応度(fitness)利点を生じることができる(Vuら、PLoS Negl Trop Dis.2010年;4巻(7号):e757頁)。蚊モデルを確立するために、ウイルスおよび抗体を含有する血液を蚊に給餌することができる。蚊の腹部におけるウイルス負荷は、qRT-PCRによって測定することができる。例示的な蚊モデルは、国際出願公開番号WO2015/122995の実施例13に記載されている。
【0342】
医薬組成物およびキット
一部の態様において、本開示は、薬学的に許容される担体と共に製剤化された、本明細書に記載されている抗デング抗体分子を含む組成物、例えば、薬学的に許容される組成物を提供する。本明細書において、「薬学的に許容される担体」は、生理的に適合性のありとあらゆる溶媒、分散媒、等張性および吸収遅延剤その他を含む。担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口的、直腸、脊髄または表皮投与(例えば、注射または注入による)に適することができる。ある特定の実施形態において、医薬組成物における抗体分子の約5%未満、例えば、約4%、3%、2%または1%未満が、凝集体として存在する。他の実施形態において、医薬組成物における抗体分子の少なくとも約95%、例えば、少なくとも約96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%またはそれよりも多くが、単量体として存在する。一部の実施形態において、抗体凝集体または単量体のレベルは、クロマトグラフィ、例えば、高速サイズ排除クロマトグラフィ(HP-SEC)によって決定される。
【0343】
本明細書に示される組成物は、種々の形態となり得る。これらは、例えば、液体の溶液(例えば、注射用および注入用(infusible)溶液)、分散物または懸濁物、リポソームおよび坐剤等、液体、半固体および固体剤形を含む。適した形態は、企図される投与様式および治療適用に依存する。典型的な適した組成物は、注射用または注入用溶液の形態である。適した一投与様式は、非経口的(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。一部の実施形態において、抗体分子は、静脈内注入または注射によって投与される。ある特定の実施形態において、抗体は、筋肉内または皮下注射によって投与される。
【0344】
語句「非経口的投与」および「非経口的に投与される」は、本明細書において、経腸および局所的投与以外の、通常、注射による投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内(intrasternal)注射および注入を限定することなく含む。
【0345】
治療組成物は、典型的には、製造および貯蔵条件下で無菌かつ安定的となるべきである。組成物は、溶液、マイクロエマルション、分散物、リポソーム、または高抗体濃度に適した他の秩序構造として製剤化することができる。無菌注射用溶液は、必要に応じて上に列挙されている成分のうち1種または組み合わせと共に、適切な溶媒において要求される量の活性化合物(すなわち、抗体または抗体部分)を取り込み、続いて濾過滅菌することにより調製することができる。一般に、分散物は、基本分散媒および上に列挙されるもののうち要求される他の成分を含有する無菌ビヒクルに活性化合物を取り込むことにより調製される。無菌注射用溶液の調製のための無菌粉末の場合、好まれる調製方法は、以前に滅菌濾過したその溶液から活性成分といずれか追加的な所望の成分との粉末を生じる真空乾燥およびフリーズドライである。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティングの使用により、分散物の場合は要求される粒子サイズの維持により、また、界面活性剤の使用により維持することができる。注射用組成物の延長された吸収は、組成物に、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを含むことによりもたらすことができる。
【0346】
本明細書に記載されている抗体分子を含む製剤、例えば、医薬製剤または組成物は、種々の方法によって投与することができる。そのいくつかは当技術分野で公知であり、多くの治療適用のため、適切な投与経路/様式は、静脈内注射または注入である。例えば、抗体分子は、約1~100mg/m、好ましくは、約5~50mg/m、約7~25mg/m、より好ましくは、約10mg/mの用量に達する、10mg/min未満;好ましくは、5mg/min未満のまたはそれに等しい速度で静脈内注入によって投与することができる。当業者に認められる通り、投与経路および/または様式は、所望の結果に応じて変動するであろう。ある特定の実施形態において、活性化合物は、インプラント、経皮パッチおよびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤等、急速な放出から化合物を保護する担体と共に調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル(polyorthoester)およびポリ乳酸等、生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。斯かる製剤の調製のための多くの方法に特許が付与されている、または当業者であれば一般に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J. R. Robinson編、Marcel Dekker, Inc.、New York、1978年を参照されたい。
【0347】
ある特定の実施形態において、抗体分子は、例えば、不活性希釈剤または同化可能な食用担体と共に経口投与することができる。抗体分子(および必要に応じて他の成分)は、硬もしくは軟殻ゼラチンカプセルに封入する、錠剤に圧縮する、または被験体の食事に直接的に取り込むこともできる。経口治療投与のため、抗体分子は、賦形剤と共に取り込み、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、カシェ剤その他の形態で使用することができる。非経口的投与以外によって抗体分子を投与するために、その不活性化を防止する材料で化合物をコートする、またはその材料と化合物を同時投与することが必要となり得る。治療組成物は、医療用デバイスにより投与することもでき、そのいくつかは当技術分野で公知である。
【0348】
投薬レジメンは、所望の応答(例えば、治療応答)をもたらすように調整される。例えば、単一ボーラスを投与しても、複数の分割された用量を時間をわたり投与しても、または治療状況の緊急事態によって示される通りに用量を比例的に低下もしくは増加させてもよい。投与を容易にするために、また、投薬量の均一性のために、投薬量単位形態で非経口的組成物を製剤化することが特に有利である。投薬量単位形態は、本明細書において使用する場合、処置しようとする被験体のための単位投薬量として適する物理的に別々の単位を指す;各単位は、要求される薬学的担体に関連して所望の治療効果を産生するように計算された活性化合物の既定の量を含有する。投薬量単位形態の仕様は、(a)抗体分子の特有の特徴および達成するべき特定の治療効果、ならびに(b)個体における感受性の処置のための斯かる抗体分子の配合の技術分野に固有の限界によって指示され、これらに直接的に依存する。
【0349】
抗体分子の治療または予防有効量の例示的な非限定的な範囲は、0.1~20mg/kg、より好ましくは、1~10mg/kgである。抗体分子は、約1~100mg/m、好ましくは約5~50mg/m、約7~25mg/m、より好ましくは、約10mg/mの用量に達する、10mg/min未満、好ましくは、5mg/min未満のまたはそれに等しい速度で静脈内注入により投与することができる。投薬量の値は、緩和しようとする状態の種類および重症度と共に変動し得ることに留意されたい。いずれか特定の被験体のため、具体的な投薬レジメンは、個体の必要および組成物の投与または投与を監督する者の専門家判断に従って時間をわたり調整するべきであり、本明細書に表記されている投薬量範囲が、単なる例示であり、請求される組成物の範囲または実施の限定を企図しないことをさらに理解されたい。
【0350】
本明細書における医薬製剤または組成物は、「治療有効量」または「予防有効量」の抗体分子を含むことができる。「治療有効量」は、必要な投薬量および期間において、所望の治療結果を達成するのに有効な量を指す。治療有効量の修飾抗体または抗体断片は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重、ならびに個体における所望の応答を誘発する抗体または抗体部分の能力等の因子に従って変動し得る。治療有効量は、治療的に有益な効果が、抗体分子のいかなる毒性または有害効果も上回る量でもある。「治療的に有効な投薬量」は、好ましくは、未処置被験体と比べて、測定可能なパラメータを少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約60%、なおより好ましくは少なくとも約80%阻害する。測定可能なパラメータは、例えば、ウイルス負荷、発熱、頭痛、筋肉または関節の疼痛、皮膚発疹、出血、血小板レベル低下および血圧低下となり得る。測定可能なパラメータを阻害する抗体分子の能力は、デング熱における有効性を予測する動物モデル系において評価することができる。あるいは、組成物のこの特性は、デングウイルスを中和する抗体分子の能力を試験することにより、例えば、in vitroでフォーカス形成をアッセイすることにより評価することができる。
【0351】
「予防有効量」は、必要な投薬量および期間において、所望の予防結果を達成するのに有効な量を指す。典型的には、予防用量は、疾患に先立ちまたはそのより早期に被験体において使用されるため、予防有効量は、治療有効量に満たないであろう。
【0352】
本明細書に記載されている抗体分子を含む製剤を含むキットも本開示の範囲内にある。本キットは、使用のための指示;他の試薬、例えば、標識、治療剤、または標識もしくは治療剤に抗体をキレート化または他の方法でカップリングするのに有用な薬剤、または放射線防護組成物;投与のための抗体分子を調製するためのデバイスまたは他の材料;薬学的に許容される担体;および被験体への投与のためのデバイスまたは他の材料を含む1種または複数の他の要素を含むことができる。
【0353】
核酸
本開示はまた、本明細書に記載されている抗デング抗体分子の重鎖および軽鎖可変領域ならびにCDRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされる抗デング抗体分子の製剤を特色とする。例えば、本開示は、本明細書に開示されている抗体分子、例えば、表1の抗体または抗体の部分、例えば、表2の可変領域のうち1種または複数から選択される抗デング抗体分子のそれぞれ重および軽鎖可変領域をコードする第1および第2の核酸を特色とする。本核酸は、本明細書における表におけるアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一の配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、または本明細書における表に示す配列から3、6、15、30もしくは45ヌクレオチド以下が異なる配列)のうちいずれか1種をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0354】
ある特定の実施形態において、本核酸は、本明細書における表に表記するアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同な配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または1個もしくは複数の置換、例えば、保存された置換を有する配列)を有する重鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個のCDRをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施形態において、本核酸は、本明細書における表に表記されるアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同な配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または1個もしくは複数の置換、例えば、保存された置換を有する配列)を有する軽鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個のCDRをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施形態において、本核酸は、本明細書における表に表記されているアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同な配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または1個もしくは複数の置換、例えば、保存された置換を有する配列)を有する重および軽鎖可変領域由来の少なくとも1、2、3、4、5または6個のCDRをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0355】
ある特定の実施形態において、本核酸は、本明細書における表5に表記されているヌクレオチド配列、それと実質的に相同な配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または本明細書に記載されているストリンジェンシー条件下でハイブリダイズすることができる配列)を有する重鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個のCDRをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施形態において、本核酸は、本明細書における表5に表記されているヌクレオチド配列、またはそれと実質的に相同な配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または本明細書に記載されているストリンジェンシー条件下でハイブリダイズすることができる配列)を有する軽鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個のCDRをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。ある特定の実施形態において、本核酸は、本明細書における表5に表記されているヌクレオチド配列、またはそれと実質的に相同な配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または本明細書に記載されているストリンジェンシー条件下でハイブリダイズすることができる配列)を有する重および軽鎖可変領域由来の少なくとも1、2、3、4、5または6個のCDRをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0356】
ある特定の実施形態において、本核酸は、本明細書における表5に表記されているヌクレオチド配列、またはそれと実質的に相同な配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または本明細書に記載されているストリンジェンシー条件下でハイブリダイズすることができる配列)を含む。一部の実施形態において、本核酸は、本明細書における表5に表記されているヌクレオチド配列の部分、またはそれと実質的に相同な配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または本明細書に記載されているストリンジェンシー条件下でハイブリダイズすることができる配列)を含む。この部分は、例えば、可変領域(例えば、VHまたはVL);1、2もしくは3個またはそれを超えるCDR;あるいは1、2、3もしくは4個またはそれを超えるフレームワーク領域をコードすることができる。
【0357】
本明細書に開示されている核酸は、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドまたはこれらのアナログを含む。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖のいずれであってもよく、一本鎖の場合、コード鎖または非コード(アンチセンス)鎖となり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログ等、修飾ヌクレオチドを含むことができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識成分とのコンジュゲーションによる等、重合後にさらに修飾することができる。核酸は、組換えポリヌクレオチド、またはゲノム、cDNA、半合成もしくは合成起源のポリヌクレオチドとなることができ、これらは天然には存在しない、または非天然配置で別のポリヌクレオチドに連結される。
【0358】
一部の態様において、本願は、本明細書に記載されている核酸を含有する宿主細胞およびベクターを特色とする。核酸は、より詳細に後述する通り、同じ宿主細胞もしくは別々の宿主細胞に存在する単一のベクターまたは別々のベクターに存在し得る。
【0359】
ベクター
本明細書に記載されている抗体分子をコードするヌクレオチド配列を含むベクターから産生された抗デング抗体分子の製剤が、本明細書にさらに提供される。一部の実施形態において、本ベクターは、本明細書に記載されている抗体分子をコードするヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本ベクターは、本明細書に記載されているヌクレオチド配列を含む。ベクターとして、ウイルス、プラスミド、コスミド、ラムダファージまたは酵母人工染色体(YAC)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0360】
多数のベクター系を用いることができる。例えば、ベクターの1クラスは、例えば、ウシパピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス(ラウス肉腫ウイルス、MMTVまたはMOMLV)またはSV40ウイルス等、動物ウイルスに由来するDNAエレメントを利用する。ベクターの別のクラスは、セムリキ森林ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルスおよびフラビウイルス等、RNAウイルスに由来するRNAエレメントを利用する。
【0361】
その上、その染色体にDNAを安定に組み込んだ細胞は、トランスフェクトされた宿主細胞の選択を可能にする1種または複数のマーカーを導入することにより選択することができる。マーカーは、例えば、栄養要求性宿主に原栄養性、殺生物剤抵抗性(例えば、抗生物質)または銅等の重金属に対する抵抗性その他をもたらすことができる。選択マーカー遺伝子は、発現させようとするDNA配列に直接的に連結しても、あるいは同時形質転換により同じ細胞に導入してもよい。追加的なエレメントは、mRNAの最適な合成にも必要とされ得る。これらのエレメントは、スプライスシグナル、ならびに転写プロモーター、エンハンサーおよび終結シグナルを含むことができる。
【0362】
発現ベクターまたは構築物を含有するDNA配列が、発現のために調製されたら、発現ベクターは、適切な宿主細胞にトランスフェクトまたは導入することができる。例えば、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、レトロウイルス形質導入、ウイルストランスフェクション、遺伝子銃、脂質に基づくトランスフェクションまたは他の従来技法等、様々な技法を用いてこれを達成することができる。プロトプラスト融合の場合、細胞を培地において育成し、適切な活性に関してスクリーニングする。
【0363】
得られたトランスフェクトされた細胞を培養し、産生された抗体分子を回収するための方法および条件は、当業者に公知であり、本記載に基づき、用いられる特異的発現ベクターおよび哺乳動物宿主細胞に応じて変動または最適化され得る。
【0364】
細胞
本開示はまた、本明細書に記載されている抗体分子をコードする核酸を含む宿主細胞から産生された抗デング抗体分子の製剤を提供する。例えば、本宿主細胞は、表5の核酸、それと実質的に相同な配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%もしくはそれを超えて同一の、および/または本明細書に記載されているストリンジェンシー条件下でハイブリダイズすることができる配列)、または前記核酸のうち1種の部分を含むことができる。その上、本宿主細胞は、表2もしくは表3のアミノ酸配列をコードする核酸、それと実質的に相同な配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%またはそれを超えて同一の配列)、または前記配列のうち1種の部分を含むことができる。
【0365】
一部の実施形態において、本宿主細胞は、抗体分子をコードする核酸を含むように遺伝子操作されている。
【0366】
ある特定の実施形態において、本宿主細胞は、発現カセットを使用することにより遺伝子操作される。語句「発現カセット」は、斯かる配列に適合性の宿主における遺伝子の発現に影響を与えることができるヌクレオチド配列を指す。斯かるカセットは、プロモーター、イントロンありまたはなしのオープンリーディングフレームおよび終結シグナルを含むことができる。例えば、誘導性プロモーター等、発現をもたらすために必要なまたは役立つ追加的な因子を使用することもできる。
【0367】
本開示は、本明細書に記載されているベクターを含む宿主細胞も提供する。
【0368】
細胞は、真核細胞、細菌細胞、昆虫細胞またはヒト細胞となることもできるが、これらに限定されない。適した真核細胞として、Vero細胞、HeLa細胞、COS細胞、CHO細胞、HEK293細胞、BHK細胞およびMDCKII細胞が挙げられるがこれらに限定されない。適した昆虫細胞として、Sf9細胞が挙げられるがこれらに限定されない。
【0369】
抗デング抗体分子の製剤の使用
本明細書に開示されている抗体分子を含む製剤は、in vitroおよびin vivo薬学的有用性(例えば、治療上および予防上、ならびに/または診断上の有用性)を有する。一部の実施形態において、抗体分子は、デングウイルスを中和する。例えば、このような分子は、培養中の、in vitroもしくはex vivoの細胞に、または被験体、例えば、ヒト被験体に例えばin vivoで投与して、デングウイルスを中和することができる。したがって、一部の態様において、本開示は、被験体におけるデングウイルス感染を処置する方法であって、デングウイルス感染が処置されるように、本明細書に記載されている抗体分子の本明細書に記載されている製剤を被験体に投与するステップを含む方法を提供する。例えば、このような製剤は、培養中の細胞に、例えばin vitroもしくはex vivoで、または被験体に、例えばin vivoで投与して、デングウイルス感染を処置、防止および/または診断することができる。
【0370】
本明細書において使用される場合、用語「被験体」は、ヒトおよび非ヒト動物を含むように企図される。一部の実施形態において、被験体は、ヒト被験体、例えば、デングウイルスに感染したまたはデングウイルスに感染するリスクがあるヒト患者である。用語「非ヒト動物」は、非ヒト霊長類等、哺乳動物および非哺乳動物を含む。一部の実施形態において、被験体は、ヒトである。本明細書に記載されている方法および組成物は、デングウイルスに感染したヒト患者の処置に適する。デングウイルスに感染した患者は、ウイルスに曝露されたが、(少なくとも一時的に)無症候性である患者、デング熱を有する患者、デング出血熱を有する患者およびデングショック症候群を有する患者を含む。
【0371】
デングウイルスを処置する方法
デングウイルスは、ウイルス表面にE(エンベロープ)タンパク質を呈する。Eタンパク質は、宿主細胞へのウイルスの付着に寄与する。Eタンパク質は、DIドメイン(9ストランドのベータ-バレル)、DIIドメイン(宿主細胞との融合に関係付けられる疎水性ドメイン)およびDIIIドメイン(細胞外ドメイン)を含む。理論に拘束されることを望まないが、一部の実施形態において、本明細書に記載されている抗体分子は、そのEタンパク質DIII(EDIII)ドメインに結合することにより、例えば、ウイルスが宿主細胞と融合するのを防止する、ウイルスが宿主細胞に結合するのを防止する、Eタンパク質の構造を破壊する、またはウイルスを不安定化することにより、デングウイルスを中和することができる。
【0372】
デング熱は、デングウイルスに起因する、通常は蚊媒介性の感染性疾患である。初期感染に続き、多くの場合、通常4~7日間の短い無症候性期間となる。感染した患者は、デング熱のいかなる症状も発症しない場合もある。しかし、デング熱を症状発現する患者において、特徴的な症状は、急な発熱(40℃を超えることもある)、頭痛、筋肉および関節の疼痛ならびに発疹である。感染の発熱期(febrile phase)において、発熱、疼痛および頭痛が症状発現する。一部の患者において、発熱期に続いて、救急期(critical phase)(デングショック症候群およびデング出血熱を伴う)となり、患者は、胸部および腹腔における液体貯留(fluid accumulation)、循環からの液体の枯渇、重要臓器への不適切な血液供給ならびに出血を患う場合がある。これに続いて、回復期(recovery phase)となる。一部の実施形態において、本明細書における抗体分子は、無症候性期間、発熱期、救急期および/または回復期の患者に投与される。
【0373】
デングウイルスは、典型的には、身体検査および患者の報告した症状に基づき診断される。患者が、発熱と、悪心/嘔吐、発疹、全身性疼痛、白血球細胞レベル低下または陽性駆血帯(positive tourniquet)検査から選択される少なくとも2種の症状とを呈する場合、可能性の高い診断を為すことができる。デング熱を示す追加的な検査は、白血球細胞数低下、低血小板レベル、代謝性アシドーシス、肝臓からのアミノトランスフェラーゼレベル上昇、血液濃縮、低アルブミン血症、超音波による液体検出(デングショック症候群を示唆)、20mmHgを下回る脈圧(デングショック症候群を示す)、毛細血管再充満遅延(delayed capillary refill)(末梢血管崩壊を示す)の検査を含む。したがって、一部の実施形態において、抗体分子は、上述の判定基準を満たす患者に投与される。
【0374】
本明細書に記載されているある特定の抗体分子は、デングウイルスの少なくとも2、3または4種の血清型を処置することができる。したがって、ある特定の実施形態において、デングウイルスの血清型を決定するための検査が行われない場合、例えば、デングウイルスの血清型が不明となり得る場合、本抗体分子は、デングウイルスに感染したまたは感染リスクがある患者に投与される。一部の実施形態において、デングウイルスは、血清型DV-1、DV-2、DV-3またはDV-4のものである。
【0375】
本抗体分子は、典型的には、患者が回復するまで、患者の系において抗体の治療的に有効なレベルを維持する頻度で投与される。例えば、本抗体分子は、少なくとも約1、2、5、10、20、30または40個の抗体が、各ビリオンに結合するのに十分な血清濃度を達成する頻度で投与することができる。一部の実施形態において、本抗体分子は、1、2、3、4、5、6または7日毎に投与される。
【0376】
様々な製剤および抗体分子を投与する方法は、当技術分野で公知であり、後述されている。使用されている抗体分子の適した投薬量は、被験体の年齢および体重ならびに使用されている特定の薬物に依存するであろう。
【0377】
本抗体分子は、それらのみで、または第2の薬剤、例えば、抗ウイルス剤、毒素もしくはタンパク質、例えば、第2の抗デング抗体とコンジュゲートして使用することができる。この方法は、抗体分子を単独で、または第2の薬剤とコンジュゲートして、斯かる処置を必要とする被験体に投与するステップを含む。抗体分子を使用して、種々の治療剤、例えば、毒素もしくは抗ウイルス剤またはこれらの混合物を送達することができる。
【0378】
併用療法
本抗デング抗体分子を含む製剤は、他の治療法と組み合わせて使用することができる。例えば、併用療法は、1種または複数の追加的な治療剤、例えば、抗ウイルス剤(他の抗デング抗体を含む)、ワクチン(デングウイルスワクチンを含む)または免疫応答を増強する薬剤と同時製剤化および/または同時投与した抗デング抗体分子を含むことができる。他の実施形態において、本抗体分子は、静脈内湿潤化(intravenous hydration)、解熱剤(アセトアミノフェン等)または輸血等、他の治療的処置様式と組み合わせて投与される。斯かる併用療法は、投与される治療剤のより低い投薬量を有利に利用し、これにより、様々な単独療法に伴う可能性のある毒性または合併症を回避することができる。
【0379】
「組み合わせて」投与するとは、本明細書において、2種(またはそれを超える)異なる処置が、被験体の疾患罹患の経過の前または最中に被験体に送達されることを意味する。一実施形態において、2種またはそれを超える処置は、予防的に、例えば、被験体がデングウイルスに感染または診断される前に送達される。別の実施形態において、2種またはそれを超える処置は、被験体がデングウイルスと診断された後に送達される。一部の実施形態において、重複が存在するように、一方の処置の送達は、第2の送達が始まるときに依然として行われている。これは本明細書において、「同時」または「同時発生的送達」と称されることもある。他の実施形態において、一方の処置の送達は、他方の処置の送達が始まる前に終わる。いずれかの事例の一部の実施形態において、組み合わせた投与のため、処置はより有効である。例えば、第2の処置は、より有効である、例えば、より少ない第2の処置により等価な効果が観察される、または第2の処置は、第1の処置の非存在下で第2の処置が投与された場合にみられるものよりも優れた程度まで症状を低下させる、または第1の処置により類似の状況が観察される。一部の実施形態において、送達は、症状のまたは障害に関する他のパラメータ低下が、他方の非存在下で送達される一方の処置により観察されるものよりも優れているようなものである。2種の処置の効果は、部分的に相加的、全面的に相加的または相加的を超えるものとなり得る。送達は、送達される第1の処置の効果が、第2の処置が送達されるときに依然として検出可能であるようなものとなり得る。
【0380】
抗ウイルス剤は、例えば、バラピラビル、クロロキン、セルゴシビル、イベルメクチンまたはCarica foliaとなり得る。
【0381】
ワクチンは、例えば、生きた弱毒化組換えデング血清型1、2、3および4ウイルス(例えば、臨床治験NCT01488890、Sanofi Pasteurによる);CYD四価デングワクチン(例えば、臨床治験NCT01943825、Sanofi Pasteurによる)、キメラデング血清型(1、2、3、4)(例えば、臨床治験NCT00730288、Sanofiによる)、CYDデングワクチン(例えば、臨床治験NCT00993447、Sanofiによる)、生きた四価弱毒化デングワクチン(例えば、臨床治験NCT00322049、GlaxoSmithKlineによる)、四価デングワクチン(TVDV)(例えば、臨床治験NCT01502358、U.S.Army Medical Research and Materiel Commandによる)、キメラ四価デング(血清型1、2、3、4)(例えば、臨床治験NCT00842530、Sanofi Pasteurによる)、デング凍結乾燥ワクチン(例えば、臨床治験NCT01696422、Butantan Instituteによる)、ChimeriVax(商標)四価デングワクチン(例えば、臨床治験NCT00617344、Sanofiによる)、二価CYD-1、3デング(Vero)(例えば、臨床治験NCT00740155、Sanofi Pasteurによる)、二価CYD-2、4デング(Vero)(例えば、臨床治験NCT00740155、Sanofi Pasteurによる)、四価ブレンドVDV-2/CYD-1、3、4デング(Vero)(例えば、臨床治験NCT00740155、Sanofi Pasteurによる)、四価CYD-1、2、3、4デング(Vero)(例えば、臨床治験NCT00740155、Sanofi Pasteurによる)、rDEN1delta30もしくはrDEN2/4delta30(ME)(例えば、臨床治験NCT00458120、National Institute of Allergy and Infectious Diseasesによる)、修飾された生きた四価キメラデングワクチン(SCまたはID)(例えば、臨床治験NCT01110551、National Institute of Allergy and Infectious Diseasesによる)、デングワクチン(例えば、臨床治験NCT00384670、United States Army Medical Materiel Development Activityによる)、デングウイルスサブタイプ2の調査用ワクチン(例えば、NCT01073306、National Institute of Allergy and Infectious Diseasesによる)、F17(例えば、NCT01843621、U.S.Army Medical Research and Materiel Commandによる)、トランスフェクション後F17もしくはトランスフェクション後F19(例えば、臨床治験NCT00468858、U.S.Army Medical Research and Materiel Commandによる)、DENVax(例えば、臨床治験NCT01511250、Inviragen Inc.による)、D1ME(デング-1プレメンブラン(premembrane)/エンベロープDNAワクチン)(例えば、臨床治験NCT00290147、U.S.Army Office of the Surgeon Generalによる)、DEN1の調査用ワクチン(例えば、臨床治験NCT01084291、National Institute of Allergy and Infectious Diseasesによる)、生きた弱毒化四価デングワクチン(例えば、臨床治験NCT00350337、Walter Reed Army Institute of Researchによる)、rDEN4delta30-200,201(例えば、臨床治験NCT00270699、National Institute of Allergy and Infectious Diseasesによる)、TetraVax-DV-TV003もしくはrDEN2Δ30-7169(例えば、臨床治験NCT02021968、National Institute of Allergy and Infectious Diseasesによる)、TetraVax-DV、任意選択で混合物における(例えば、臨床治験NCT01436422、National Institute of Allergy and Infectious Diseasesによる)、DEN4ワクチン候補(例えば、臨床治験NCT00919178、National Institute of Allergy and Infectious Diseasesによる)、rDEN4delta30-4995(例えば、臨床治験NCT00322946、National Institute of Allergy and Infectious Diseasesによる)、rDEN3delta30/31-7164(例えば、臨床治験NCT00831012、National Institute of Allergy and Infectious Diseasesによる)、TDENV-PIV(例えば、臨床治験NCT01702857、U.S.Army Medical Research and Materiel Commandによる)、DENV-1 PIV(例えば、臨床治験NCT01502735、U.S.Army Medical Research and Materiel Commandによる)、rDEN3-3’D4delta30(例えば、臨床治験NCT00712803、National Institute of Allergy and Infectious Diseasesによる)、V180(例えば、臨床治験NCT01477580、Merck Sharp&Dohme Corp.による)またはDEN1-80E(例えば、臨床治験NCT00936429、Hawaii Biotech,Inc.による)となり得る。
【0382】
他の治療法は、例えば、高張乳酸ナトリウム、活性化組換えヒト第VII因子または抗d(例えば、臨床治験NCT01443247、Postgraduate Institute of Medical Education and Researchによる)となり得る。
【0383】
ある特定の実施形態において、追加的な抗ウイルス剤は、第2の抗デング抗体分子、例えば、第1の抗デング抗体分子とは異なる抗デング抗体分子である。組み合わせて使用することができる例示的な抗デング抗体分子として、これらに限定されないが、以下が挙げられる:表1に列挙されている抗体(例えば、D88、F38、A48、C88、F108、B48、A68、A100、C58、C78、C68、D98、A11(モノクローナル抗体4E5Aとしても公知(Tharakaramanら、Proc Natl Acad Sci U S A. 2013; 110(17):E1555-64))またはB11の2つまたはそれより多くの任意の組合せ;モノクローナル抗体4E11(Thullierら、J Biotechnol. 1999; 69(2-3):183-90);ヒト抗体14c10(HM14c10)(Teohら、Sci Transl Med. 2012 Jun 20;4(139):139ra83);ヒトモノクローナル抗体1F4、2D22および5J7(de Alwisら、Proc Natl Acad Sci U S A. 2012; 109(19):7439-44);ヒトモノクローナル抗体DV1.1、DV1.6、DV3.7、DV4.4、DV5.1、DV6.1、DV7.5、DV8.1、DV10.16、DV13.4、DV13.8、DV14.5、DV14.5、DV15.7、DV16.5、DV16.8、DV17.6、DV18.21、DV18.4、DV19.3、DV20.1、DV21.1、DV21.5、DV22.3、DV22.3 LALA、DV23.13、DV25.5、DV27.2、DV28.1、DV28.8、DV34.4、DV35.3、DV38.1、DV51.6、DV52.1、DV53.4、DV54.7、DV55.1、DV56.12、DV54.7、DV57.4、DV59.3、DV60.3、DV61.2、DV62.5、DV63.1、DV64.3、DV65.5、DV66.1、DV67.9、DV68.2、DV69.6、DV70.1、DV71.1、DV74.4、DV75.9、DV76.5、DV77.5、DV78.6、DV79.3、DV82.11、DV82.11 LALA、DV86.2、DV87.1、DV87.1 LALA、DV90.3、DV257.13、DV291.7、DV415.8およびDV470.12(Beltramelloら、Cell Host Microbe. 2010; 8(3):271-83);ヒトモノクローナル抗体3-147、58/5、2F5、2G4、5F9および135.3(Dejnirattisaiら、Science. 2010; 328(5979):745-8);mAb 2H12(Midgleyら、J Immunol. 2012; 188(10):4971-9);ヒト化モノクローナル抗体1A5(Goncalvezら、Proc Natl Acad Sci U S A. 2007; 104(22):9422-7);ならびにヒトモノクローナル抗体1C19(Smithら、MBio. 2013; 4(6):e00873-13);またはLai,C.およびPurcell,R.によるWO05/056600(例えば、抗体1A5および5H2;Lanzavecchia,A.らによるWO2010/043977;DimitrovらによるWO2013/173348;MacaryらによるUS2013/0259871;FinkらによるWO2013/089647;SetthapramoteらによるWO2013/035345;Han-Chung WuらによるUS8,637,035;またはSasisekharan,R.らによるWO2014/025546に開示されている任意の抗体;あるいは前記抗体のいずれかの誘導体(例えば、そのヒトまたはヒト化形態)の任意の組合せ。
【0384】
本明細書に記載されている抗デング抗体と組み合わせて使用することができる他の治療剤として、例えば、アルファ-グルコシダーゼI阻害剤(例えば、Rathoreら、Antiviral Res.2011年;92巻(3号):453~60頁に記載されているセルゴシビル);アデノシンヌクレオシド阻害剤(例えば、Yinら、Proc Natl Acad Sci U S A.2009年;106巻(48号):20435~9頁に記載されているNITD008);NS3および/またはその補助因子NS2Bの阻害剤(例えば、NS3内のNS2B結合ポケットを遮断する化合物、例えば、Lescarら、Antiviral Res.2008年;80巻(2号):94~101頁に記載されている[5-アミノ-1-(フェニル)スルホニル-ピラゾール-3-イル]化合物);RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)阻害剤(例えば、Nobleら、J Virol.2013年;87巻(9号):5291~5頁に記載されているNITD107);宿主ピリミジン生合成、例えば、宿主ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)の阻害剤(例えば、Wangら、J Virol.2011年;85巻(13号):6548~56頁に記載されているNITD-982およびブレキナル);ウイルスNS4Bタンパク質の阻害剤(例えば、Xieら、J Virol.2011年;85巻(21号):11183~95頁に記載されているNITD-618);およびイミノ糖(例えば、Perryら、Antiviral Res.2013年;98巻(1号):35~43頁に記載されているUV-4)も挙げられるがこれらに限定されない。
【0385】
診断方法
一部の態様において、本開示は、in vitro(例えば、血液試料等、生物学的試料における)またはin vivo(例えば、被験体におけるin vivoイメージング)でデングウイルスEタンパク質の存在を検出するための診断方法を提供する。本方法は、(i)試料を本明細書に記載されている抗体分子に接触させるステップ、または被験体に抗体分子を投与するステップと、(任意選択で)(ii)参照試料、例えば、対照試料(例えば、血漿または血液等、対照生物学的試料)または対照被験体を本明細書に記載されている抗体分子に接触させるステップと、(iii)抗体分子と、試料もしくは被験体または対照試料もしくは被験体との間の複合体の形成を検出するステップであって、対照試料または被験体と比べた試料または被験体における複合体の形成の変化、例えば、統計的に有意な変化が、試料におけるデングウイルスの存在を示すステップとを含む。抗体分子は、検出可能な物質で直接的にまたは間接的に標識して、結合した抗体または結合していない抗体の検出を容易にすることができる。適した検出可能な物質は、上述のおよびより詳細に後述する様々な酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料および放射性材料を含む。
【0386】
ポリペプチドの検出に使用される試料を指す場合、用語「試料」として、細胞、細胞溶解物、細胞のタンパク質もしくは膜抽出物、血液等の体液または組織試料が挙げられるがこれらに限定されない。
【0387】
抗体分子およびデングウイルスタンパク質の間の複合体形成は、デングウイルスタンパク質に結合した抗体分子または結合していない抗体分子のいずれかを測定または可視化することにより検出することができる。いずれか適した検出アッセイを使用することができ、従来の検出アッセイは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)または組織免疫組織化学を含む。抗体分子の標識の代替として、デングウイルスタンパク質の存在は、検出可能な物質で標識した標準および非標識抗体分子を利用した競合イムノアッセイにより試料においてアッセイすることができる。このアッセイにおいて、生物学的試料、標識された標準および抗体分子が組み合わされ、非標識結合分子に結合した標識された標準の量が決定される。試料におけるデングウイルスタンパク質の量は、抗体分子に結合した標識された標準の量に反比例する。
【実施例
【0388】
(実施例1 抗体製剤のスクリーニング)
本実施例は、本明細書に記載されている例示的な抗デング抗体分子、例えば、D88に関するスクリーニング試験の概要を述べる。適した製剤成分および候補製剤を検査した。
【0389】
方法
試験において使用した製剤成分および候補製剤を表7に示す。全製剤は、25mg/mLのD88抗デング抗体を含有する。時点スケジュールを表8に示す。
【表7-1】
【表7-2】
【表8】
【0390】
2つの時点、時間0および1ヶ月で、製剤の試料を解析した。
【0391】
結果
試験対照(10mMクエン酸ナトリウムpH6.0、100mM NaCl、0.02%ポリソルベート80)と共に、21種の候補製剤を調製し、解析した。製剤の質量オスモル濃度を図2Aに示す。製剤のpHを図2Bに示す。
【0392】
外観、ゲル浸透高速液体クロマトグラフィ、還元SDS PAGE、非還元SDS PAGE、等電点電気泳動、光学密度、動的光散乱、示差走査熱量測定、およびマイクロフローイメージング(MFI)による肉眼では見ることができない粒子の特徴付けに従って製剤を解析した。結果の概要を表9に示す。左の欄には行った検査を示し、右の欄にはこの検査の結果に基づき示唆される製剤を示す。
【表9】
【0393】
外観に従って製剤をスコア化した。5℃で、処置なし、もしくは撹拌(水平プレート振盪機における200rpmで、24時間、周囲温度)あり、または凍結融解(3サイクルの-65℃およびそれ未満)ありで、時間0の試料をスコア化した。5℃、および40℃、処置なしで、1ヶ月の試料をスコア化した。全試料は、透明無色液体または僅かに乳白色、淡黄色液体としてスコア化した。粒子状物質にも従って試料をスコア化した。全試料は、目に見える粒子を含まなかった、または粒子が殆どなかったとしてスコア化した。図3は、外観スコア化のデータを示す。
【0394】
ゲル浸透高速液体クロマトグラフィ(GP HPLC)によっても試料を解析した。図4は、GP HPLCによる単量体、凝集体および断片のパーセンテージを示す。5℃、処置なし、撹拌ありまたは凍結融解ありで、時間0の試料を解析した。5℃、および40℃、処置なしで、1ヶ月の試料を解析した。GP HPLCに基づき示唆される候補は、F2~F5およびF10~F21であった。
【0395】
還元および非還元SDS PAGEによっても試料を解析した。図5は、還元SDS PAGEによるIgGバンド面積の相対パーセンテージを示し、図6は、非還元SDS PAGEによって視覚的に検出されたバンドの数を示す。5℃、処置なしで、または凍結融解ありで、時間0の試料を解析した。5℃、および40℃、処置なしで、1ヶ月の試料を解析した。還元および非還元SDS PAGEに基づき示唆される候補は、F2~F5およびF8~F21であった。
【0396】
等電点電気泳動によって試料を解析した。図7は、5℃、処置なし、撹拌ありまたは凍結融解ありで貯蔵された試料のバンドの数およびpI範囲を示す。図8は、40℃で貯蔵された試料のバンドの数およびpI範囲を示す。pIマーカーに対し開始および終了時の両方で視覚的にpI範囲を決定した。等電点電気泳動に基づき示唆される候補は、F6、F7およびF21を除く全製剤であった。
【0397】
図9は、異なる製剤の340nmおよび620nmにおける吸光度を示す。5℃、処置なしで、または凍結融解ありで、時間0の試料を解析した。5℃、および40℃、処置なしで、1ヶ月の試料を解析した。吸光度に基づき示唆される候補は、全製剤(F1~F21)であった。
【0398】
動的光散乱を行った。強度によるRh(nm)、%多分散性およびHMW種Rh(nm)を決定した。5℃、処置なしで、または凍結融解ありで、時間0の試料を解析した。5℃、および40℃、処置なしで、1ヶ月の試料を解析した。結果を図10に示す。動的光散乱に基づき示唆される候補は、F5、F7およびF18~F21、または代替では、他の全製剤であった。
【0399】
示差走査熱量測定(DSC)も行った。図11において、製剤毎に3種の異なるアンフォールディング事象における融解温度を示す。DSCに基づき示唆される候補は、F5、F7およびF18~F21、または代替では、他の全製剤であった。
【0400】
マイクロフローイメージングによる肉眼では見ることができない粒子の特徴付けも行った。結果を図12に示す。5℃、処置なしによる時間0および1ヶ月の試料を解析した。≧1μm、≧2μm、≧5μm、≧10μmおよび≧25μmの粒子が報告される。肉眼では見ることができない粒子の特徴付けに基づき示唆される候補は、F16を除く全製剤であった。
【0401】
本試験で得られた情報に基づき、本明細書に記載されている抗デング抗体のために選択された製剤の1種は、pH6.5のヒスチジンを含む。この製剤における使用のために選択された賦形剤は、塩化ナトリウム、スクロースおよび0.02%ポリソルベート80であった。あるいは、この製剤における使用のために選択された賦形剤は、塩化ナトリウム、アルギニンおよび0.02%ポリソルベート80であった。
【0402】
表9に示し、本明細書に記載されている個々の検査方法から示唆される候補の全体的評価に基づき、この選択を行った。各方法から選択された示唆される候補は、試験開始と比較して、+5℃で1ヶ月間の貯蔵後に、ならびに撹拌および凍結融解試験の終わりに、産物に著明な変化が殆どまたは全く生じなかったことを示した。加えて、これらの示唆される製剤中で貯蔵された産物は、高温で貯蔵された場合の他の製剤と比較した最小の変化も実証した。
【0403】
全体的データは、ヒスチジンが、クエン酸塩、リン酸塩およびアルギニンと比較して、より望ましい緩衝液イオンであることを示した。また、pH6.5は、pH7.0と比較して、より望ましいpHであった。
【0404】
製剤F14およびF15から賦形剤を選択した。
【0405】
製剤F14(25mMヒスチジンpH6.5、75mM NaCl、100mMスクロース)は、DSCおよびDLSを除く全検査方法に選択された候補であった。F14に匹敵するデータを有する他の候補(F5、F12、F13)が存在した。肉眼では見ることができない粒子の解析のデータを含む全体的結果に基づく最終候補の1種としてF14を選択した。データは、F14が、最低粒子計数の1種を有することを示した(T=0およびT=1Mにおける≧10μmおよび≧25μm)。+40℃ T=1Mにおける全製剤のDLSデータにおいて、F19およびF21のみが、高分子量種(HMWS)を呈さなかった。しかし、これが加速温度下であり、F14が、+5℃撹拌、凍結融解またはT=0、およびT=1M+5℃試料でいかなるHMWSも呈さなかったため、F14は、可能な候補として考慮された。代替候補と比較して融解温度に大きな差がなかったため、DSCデータにおいても、F14は、候補として考慮された。
【0406】
全検査方法のデータがF14と同様であったため、製剤F15(25mMヒスチジンpH6.5、75mM NaCl、100mMスクロース、0.02%ポリソルベート80)も製剤における使用に選択した。ポリソルベート80(界面活性剤として)は、表面およびストレス誘導性凝集からタンパク質を保護することができる。F14における単一のHMWSと比較して、F15においてDLSによって+40℃で2種のHMWSが検出された。+40℃、T=1Mに利用できる確証的な肉眼では見ることができない粒子データは存在しなかったが、賦形剤としてポリソルベート80を含むことの公知の肯定的な効果を踏まえて、この製剤を選択した。
【0407】
本試験に基づき選択された他の製剤は、例えば、製剤F12(25mMヒスチジンpH6.5、75mM NaCl、75mMアルギニン)およびF13(25mMヒスチジンpH6.5、75mM NaCl、75mMアルギニン、0.02%ポリソルベート80)を含む。
【0408】
抗体配列、組成物、方法および実施例が挙げられるがこれらに限定されない、さらなる開示は、国際出願公開番号WO2015/122995に開示されている。前述の刊行物の内容は、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0409】
参照による援用
本明細書に言及されているあらゆる刊行物、特許および受託番号は、あたかも個々の刊行物または特許のそれぞれが、参考として本明細書に援用されると特にかつ個々に示されているかのように、これによりここに本明細書の一部を構成するものとしてそれらの内容全体を援用する。
【0410】
均等物
本明細書における組成物および方法の具体的な実施形態を記述してきたが、上述の明細書は、説明的であって制限的ではない。本発明の多くの変種は、本明細書および後述する特許請求の範囲の概説により、当業者であれば明らかとなるであろう。本発明の全範囲は、斯かる変種と共に、その均等物の全範囲および本明細書と共に、特許請求の範囲の参照により決定されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
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