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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】固体撮像素子および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/369 20110101AFI20221011BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
H04N5/369
H01L27/146 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018556564
(86)(22)【出願日】2017-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2017043159
(87)【国際公開番号】W WO2018110303
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】P 2016242145
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】田代 睦聡
(72)【発明者】
【氏名】飯田 聡子
(72)【発明者】
【氏名】坂野 頼人
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-205639(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158439(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/111629(WO,A1)
【文献】特開2009-130679(JP,A)
【文献】特開2004-282554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-5/378
H01L 27/14-27/148
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が配列された画素領域を有し、
前記画素は、
光電変換部と、
転送トランジスタと、
前記光電変換部からの電荷を、前記転送トランジスタを通じて受け取る複数のフローティングディフュージョン部と、
前記複数のフローティングディフュージョン部をリセットするリセットトランジスタと、
前記複数のフローティングディフュージョン部の接続をオン/オフ制御する分離トランジスタと、
前記複数のフローティングディフュージョン部の電位に対応する信号を出力する増幅トランジスタと
を備え、
前記リセットトランジスタのドレイン側の電源は、高電位と低電位とに制御されることで前記複数のフローティングディフュージョン部の電位制御が可能に構成されており、
前記増幅トランジスタは、前記複数のフローティングディフュージョン部の電位制御により、オン/オフを切り替え、
小容量時の基準電位読み出しの前において、
前記分離トランジスタは、ドレイン側がフローティング状態でゲートをオンし、高容量時の基準電位読み出しを行う
固体撮像素子。
【請求項2】
高容量時の基準電位読み出し後に、
前記分離トランジスタは、ドレイン側がフローティング状態でゲートをオフし、小容量時の基準電位読み出しを行う
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記複数のフローティングディフュージョン部に寄生するノードが利用されて、前記分離トランジスタのオン時の前記複数のフローティングディフュージョン部の電位が降下される
請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記増幅トランジスタのソース側に読み出し行を選択する選択トランジスタを
さらに備える請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記増幅トランジスタのドレイン側に読み出し行を選択する選択トランジスタを
さらに備える請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
複数の画素が配列された画素領域を有し、
前記画素は、
光電変換部と、
転送トランジスタと、
前記光電変換部からの電荷を、前記転送トランジスタを通じて受け取る複数のフローティングディフュージョン部と、
前記複数のフローティングディフュージョン部をリセットするリセットトランジスタと、
前記複数のフローティングディフュージョン部の接続をオン/オフ制御する分離トランジスタと、
前記複数のフローティングディフュージョン部の電位に対応する信号を出力する増幅トランジスタと
を備え、
前記リセットトランジスタのドレイン側の電源は、高電位と低電位とに制御されることで前記複数のフローティングディフュージョン部の電位制御が可能に構成されており、
前記増幅トランジスタは、前記複数のフローティングディフュージョン部の電位制御により、オン/オフを切り替え、
小容量時の基準電位読み出しの前において、
前記分離トランジスタは、ドレイン側がフローティング状態でゲートをオンし、高容量時の基準電位読み出しを行う固体撮像素子と、
前記固体撮像素子から出力される出力信号を処理する信号処理回路と、
入射光を前記固体撮像素子に入射する光学系と
を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像素子および電子機器に関し、特に、光電変換した殆どすべての電荷を高容量時信号に活用することができるようにした固体撮像素子および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来4Tr.型の画素回路に対して、フローティングディフュージョン(FD)に接続トランジスタと容量を追加し、電荷電圧変換ゲインを切り替えて2回の読み出しを行うことでダイナミックレンジを拡大するセンサが知られている。(例えば、特許文献1)
【0003】
通常のCMOSイメージセンサ(CIS)では、フォトダイオード(PD)で発生した電子を単一のFDで電荷電圧変換する。この時のFDの容量は電荷電圧変換ゲイン(CG)および飽和電荷数(Qs)に関係があり、これらのパラメータにトレードオフが発生する。例えば、容量を小さくした場合、1電子あたりが発生する電圧は大きくなるためCGは高くなるのだが、少ない電子で大きな電圧が発生するため容量は満たされやすくなりQsは小さくなってしまう。容量を大きくした場合には逆のことが発生する。このトレードオフはCISのダイナミックレンジを律速する。
【0004】
特許文献1においてはこのトレードオフを、
・FDの容量をトランジスタスイッチと追加した容量にて切り替えること
および、
・2回の読み出し動作を行うこと
で解決している。
【0005】
FDは極力小さくすることで、CGを高くする。その分、FDでのQsは小さくなってしまうが、容量と接続することで容量を大きくしQsを大きくできる。それぞれの状態で読み出し動作を行い、小容量時の信号を低照度領域に、高容量時の信号を高照度領域に使用することでトレードオフを解消し、ダイナミックレンジを拡大しうる。特に、低照度状態の高感度化がメリットである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-119349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の読み出し動作では、十分にダイナミックレンジ拡大の恩恵を得られない。小容量モードで読み出した電荷を高容量時の基準電位に用いている(またはリセットしている)ため、大容量モードの信号電荷に寄与しない(信号電荷の損失があった)。
【0008】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、光電変換した殆どすべての電荷を高容量時信号に活用することができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本技術の一側面の固体撮像素子は、複数の画素が配列された画素領域を有し、前記画素は、光電変換部と、転送トランジスタと、前記光電変換部からの電荷を、前記転送トランジスタを通じて受け取る複数のフローティングディフュージョン部と、前記複数のフローティングディフュージョン部をリセットするリセットトランジスタと、前記複数のフローティングディフュージョン部の接続をオン/オフ制御する分離トランジスタと、前記複数のフローティングディフュージョン部の電位に対応する信号を出力する増幅トランジスタとを備え、前記リセットトランジスタのドレイン側の電源は、高電位と低電位とに制御されることで前記複数のフローティングディフュージョン部の電位制御が可能に構成されており、前記増幅トランジスタは、前記複数のフローティングディフュージョン部の電位制御により、オン/オフを切り替え、小容量時の基準電位読み出しの前において、前記分離トランジスタは、ドレイン側がフローティング状態でゲートをオンし、高容量時の基準電位読み出しを行う。
【0025】
本技術の一側面においては、リセットトランジスタのドレイン側の電源は、高電位と低電位とに制御されることで複数のフローティングディフュージョン部の電位制御が可能に構成されており、増幅トランジスタにより、前記複数のフローティングディフュージョン部の電位制御により、オン/オフが切り替えられ、小容量時の基準電位読み出しの前において、分離トランジスタによりドレイン側がフローティング状態でゲートがオンされ、高容量時の基準電位読み出しが行われる。
【発明の効果】
【0026】
本技術によれば、光電変換した殆どすべての電荷を高容量時信号に活用することができる。
【0027】
なお、本明細書に記載された効果は、あくまで例示であり、本技術の効果は、本明細書に記載された効果に限定されるものではなく、付加的な効果があってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本技術を適用した固体撮像素子の概略構成例を示すブロック図である。
図2】第1の実施の形態に係る固体撮像素子の画素の等価回路を示す図である。
図3図2の固体撮像素子の駆動方法を説明する図である。
図4】第2の実施の形態に係る固体撮像素子の画素の等価回路を示す図である。
図5図4の固体撮像素子の駆動方法を説明する図である。
図6】第3の実施の形態に係る固体撮像素子の画素の等価回路を示す図である。
図7図6の固体撮像素子の駆動方法を説明する図である。
図8】第4の実施の形態にかかる固体撮像素子の画素の等価回路を示す図である。
図9図8の固体撮像素子の駆動方法を説明する図である。
図10】第5の実施の形態にかかる固体撮像素子の画素の等価回路を示す図である。
図11】第6の実施の形態にかかる固体撮像素子の画素の等価回路を示す図である。
図12】本技術を適用した固体撮像素子の構成例を示す模式図である。
図13】本技術を適用したイメージセンサの使用例を示す図である。
図14】本技術を適用した電子機器の構成例を示すブロック図である。
図15】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図16】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
図17】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図18】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
0.固体撮像素子の概略構成例
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.第4の実施の形態
5.第5の実施の形態
6.第6の実施の形態
7.固体撮像素子の配置例
8.イメージセンサの使用例
9.電子機器の例
10.内視鏡手術システムへの応用例
11.移動体への応用例
【0030】
<0.固体撮像素子の概略構成例>
図1は、本技術の各実施の形態に適用されるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)固体撮像素子の一例の概略構成例を示している。
【0031】
図1に示されるように、固体撮像素子(素子チップ)1は、半導体基板11(例えばシリコン基板)に複数の光電変換素子を含む画素2が規則的に2次元的に配列された画素領域(いわゆる撮像領域)3と、周辺回路領域とを有して構成される。
【0032】
画素2は、光電変換素子(例えば、PD(Photo Diode))と、複数の画素トランジスタ(いわゆるMOSトランジスタ)を有してなる。複数の画素トランジスタは、例えば、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、および増幅トランジスタの3つのトランジスタで構成することができ、さらに選択トランジスタを追加して4つのトランジスタで構成することもできる。
【0033】
また、画素2は、画素共有構造とすることもできる。画素共有構造は、複数のフォトダイオード、複数の転送トランジスタ、共有される1つのフローティングディフュージョン、および、共有される1つずつの他の画素トランジスタから構成される。フォトダイオードは、光電変換素子である。
【0034】
周辺回路領域は、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、水平駆動回路6、出力回路7、および制御回路8から構成される。
【0035】
制御回路8は、入力クロックや、動作モード等を指令するデータを受け取り、また、固体撮像素子1の内部情報等のデータを出力する。具体的には、制御回路8は、垂直同期信号、水平同期信号、およびマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、および水平駆動回路6の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、制御回路8は、これらの信号を垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、および水平駆動回路6に入力する。
【0036】
垂直駆動回路4は、例えばシフトレジスタによって構成され、画素駆動配線を選択し、選択された画素駆動配線に画素2を駆動するためのパルスを供給し、行単位で画素2を駆動する。具体的には、垂直駆動回路4は、画素領域3の各画素2を行単位で順次垂直方向に選択走査し、垂直信号線(VSL)9を通して各画素2の光電変換素子において受光量に応じて生成した信号電荷に基づいた画素信号をカラム信号処理回路5に供給する。
【0037】
カラム信号処理回路5は、画素2の例えば列毎に配置されており、1行分の画素2から出力される信号を画素列毎にノイズ除去等の信号処理を行う。具体的には、カラム信号処理回路5は、画素2固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling)や、信号増幅、A/D(Analog/Digital)変換等の信号処理を行う。カラム信号処理回路5の出力段には、水平選択スイッチ(図示せず)が水平信号線10との間に接続されて設けられる。
【0038】
水平駆動回路6は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路5の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路5の各々から画素信号を水平信号線10に出力させる。
【0039】
出力回路7は、カラム信号処理回路5の各々から水平信号線10を通して順次に供給される信号に対し、信号処理を行って出力する。出力回路7は、例えば、バッファリングだけを行う場合もあるし、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理等を行う場合もある。
【0040】
入出力端子12は、外部と信号のやりとりをするために設けられる。
【0041】
<1.第1の実施の形態>
[固体撮像素子の構成例]
本技術に係る固体撮像素子の実施の形態は、複数の画素が2次元行列状に配列された画素領域を有し、画素が次の要素を備える。画素は、物理量を検出し、物理量に応じた電荷を蓄える蓄積部、すなわち光電変換部となるフォトダイオードPDと、フォトダイオードPDから電荷を転送する転送トランジスタを備える。また、画素は、フォトダイオードPDからの電荷を、転送トランジスタを通じて受け取る複数の検出部、すなわち複数のフローティングディフュージョン部FDと、フローティングディフュージョン部FDをリセットするリセットトランジスタを備える。さらに、画素は、複数のフローティングディフュージョン部FD間の接続をオン・オフ制御する分離トランジスタと、フローティングディフュージョン部FDの電位に対応する信号を出力する増幅トランジスタを備える。
【0042】
図2は、第1の実施の形態に係る固体撮像素子の画素の等価回路を示す図である。本実施の形態では、2つのフローティングディフュージョン部FD1、FD2を有して構成される。画素2は、1つのフォトダイオード(PD)50と、各1つの転送トランジスタ(TRG)51、リセットトランジスタ(RST)52、増幅トランジスタ(AMP)53、選択トランジスタ(SEL)54および分離トランジスタ(FDG)55と、2つの第1フローティングディフュージョン部(FD1)61および第2フローティングディフュージョン部(FD2)62を備える。図2の例においては、選択トランジスタ54は、増幅トランジスタ53のドレイン側に配置されている。
【0043】
フォトダイオード50は、転送トランジスタ51を介して第1フローティングディフュージョン部61に接続される。第1フローティングディフュージョン部61は、増幅トランジスタ53のゲートに接続されると共に、分離トランジスタ55を介して第2フローティングディフュージョン部62に接続される。第2フローティングディフュージョン部62は、リセットトランジスタ52に接続されると共に、容量素子(C)63に接続される。容量素子63の他端は接地される。この例では、第2フローティングディフュージョン部62は、寄生容量だけでなく、容量素子63によりトータルの容量を稼いでいる。容量素子63は、例えば、ポリシリコンなどで形成しても良いし、他の例では、容量素子63をあらわに作らず拡散層の寄生容量を利用するだけでも良い。一例として、容量素子63は、ポリシリコン膜―ゲート酸化膜―Si基板の構造で構成してもよいし、1層目ポリシリコン膜―SiNなどの層間膜―2層目ポリシリコン膜の構造で構成してもよい。増幅トランジスタ53は、そのドレインが選択トランジスタ54に接続され、そのソースが垂直信号線9に接続される。なお、図2においては、例えば、FDの寄生するノードとして、FDブースト64が、ドレインとソース間に示されているが、本技術において用いられるFDの寄生するノードは、FDブースト64に限定されない。さらに、リセットトランジスタ52および選択トランジスタ54のそれぞれのドレインが電源Vddに接続される。
【0044】
高容量と小容量の読み出しを好適にするためには、第2フローティングディフュージョン部62は、第1フローティングディフュージョン部61の2倍乃至20倍程度の容量を有することが望ましい。そして、第2フローティングディフュージョン部62の容量は、フォトダイオード50の飽和電荷を丁度受け切れる程度がよい。
【0045】
転送トランジスタ51のゲートは、転送線71に接続される。分離トランジスタ55のゲートは、分離線72に接続される。選択トランジスタ54のゲートは選択線73に接続される。リセットトランジスタ52のゲートは、リセット線74に接続される。
【0046】
上記画素2においては、選択トランジスタ54がオン状態のとき、増幅トランジスタ53は第1フローティングディフュージョン部61の電位に対応した信号を垂直信号線(VSL)9に出力する。また、増幅トランジスタ53は、分離トランジスタ55がオンした状態では、接続された第1及び第2フローティングディフュージョン部61及び62の電位に対応した信号を垂直信号線(VSL)9に出力する。この垂直信号線(VSL)9が前述したように後段回路であるカラム処理回路に接続され、垂直信号線9に出力された信号がカラム処理回路に取り込まれる。リセットトランジスタ52は、第1、第2フローティングディフュージョン部61、62の電荷を電源Vdd、すなわち電源配線に排出して第1、第2フローティングディフュージョン部61、62をリセットする。
【0047】
[駆動方法]
第1の実施の形態の固体撮像素子は、図3に示される駆動方法により駆動するように構成される。図3の例において、SELは、選択トランジスタ54の駆動タイミングを表し、RSTは、リセットトランジスタ52の駆動タイミングを表し、FDGは、分離トランジスタ55の駆動タイミングを表し、TRGは、転送トランジスタ51の駆動タイミングを表す。FDは、第1及び第2フローティングディフュージョン部61及び62の電位変動を表し、VSLは、垂直信号線9の電位変動を表す。
【0048】
まず、読み出し動作を開始するにあたり、リセットトランジスタ52と分離トランジスタ55とがオン状態となることで、FD(以下、第1及び第2フローティングディフュージョン部61及び62をまとめてFDと称する)のリセットが行われる。リセットトランジスタ52がオフ状態となった後、分離トランジスタ55とがオン状態のままで、選択トランジスタ54による行選択動作が行われるので、垂直信号線(VSL)9の電位変動がFDに伝搬され、FDの電位を高電位化することができる。
【0049】
その後、高容量時の基準電位読み出し(Low P相)が行われ、分離トランジスタ55がオフ状態となることで、小容量時の基準読み出し(High P相)が行われる。
【0050】
転送トランジスタ51がオン状態になると、フォトダイオード50の電荷が第1フローティングディフュージョン部61に転送され、転送トランジスタ51がオフ状態になる、小容量時のデータ読み出し(High D相)が行われる。その後、分離トランジスタ55がオン状態中に、転送トランジスタ51がオン状態となり、オフ状態となったときに、高容量時のデータ読み出し(Low D相)が行われる。データの読み出し後、選択トランジスタ54と分離トランジスタ55がオフされる。
【0051】
ここで、例えば、小容量時に読み出した電荷を高容量時の基準電位に用いる(またはリセットする)駆動方法の場合、信号電荷の損失があり、大容量時の信号電荷に寄与しなかった。これに対して、図3の駆動方法においては、高容量時の基準電位読み出し(Low P相)は、小容量時の基準読み出し(High P相)の前に行われるようにした。
【0052】
これにより、フォトダイオード50で蓄積した電荷がすべて信号電荷に寄与するため、ダイナミックレンジの拡大の恩恵を最大限活用できる。
【0053】
また、例えば、選択トランジスタ54による行選択動作と、FDのリセット動作とを同時に行う駆動方法の場合、行選択時に発生する垂直信号線(VSL)9の電位変動を、FDに伝搬することが困難であった(すなわち、FDがリセット電圧に固定されていた)。
【0054】
これに対して、図3の駆動方法においては、リセットトランジスタ52によるリセット動作の後に、選択トランジスタ54による行選択動作が行われるので、垂直信号線(VSL)9の電位変動を、FD(a第1、第2フローティングディフュージョン部61、62)に伝搬し、フローティングディフュージョンの電位を高電位化することができる。
【0055】
これにより、第1、第2フローティングディフュージョン部61、62がチャージインデクションにより低電位化する影響をキャンセルでき、転送の阻害を回避することができる。
【0056】
しかしながら、図3の駆動方法では、増幅トランジスタ53のゲート容量が、そのまま、垂直信号線(VSL)9に追加されてしまうため、垂直信号線(VSL)9の負荷の増大を防ぐことは困難であった。
【0057】
<2.第2の実施の形態>
[固体撮像素子の構成例]
図4は、第2の実施の形態に係る固体撮像素子の画素の等価回路を示す図である。
【0058】
図4の画素2の回路構成は、図2の画素2の回路構成と基本的に同じ構成をしている。すなわち、図4の画素2は、1つのフォトダイオード(PD)50と、各1つの転送トランジスタ(TRG)51、リセットトランジスタ(RST)52、増幅トランジスタ(AMP)53、選択トランジスタ(SEL)55および分離トランジスタ(FDG)55と、2つの第1フローティングディフュージョン部(FD1)61および第2フローティングディフュージョン部(FD2)62を備える点は、図2の画素2と共通している。ただし、図4の画素2の回路構成は、リセットトランジスタ53のドレイン側の共通電源VDDが、独立したVDRに入れ替わった点が図2の画素2の回路構成と異なっている。また、このリセット用の独立電源VDRは、高電位と低電位の2値をとり得る。すなわち、リセット用の独立電源VDRは、FDの電位制御が可能に構成されている。
【0059】
[駆動方法]
第2の実施の形態の固体撮像素子は、図5に示される駆動方法により駆動するように構成される。図5の例において、VDRは、リセット用の独立電源VDRの駆動タイミングを表す。SELは、選択トランジスタ54の駆動タイミングを表し、RSTは、リセットトランジスタ52の駆動タイミングを表し、FDGは、分離トランジスタ55の駆動タイミングを表し、TRGは、転送トランジスタ51の駆動タイミングを表す。FDは、第1及び第2フローティングディフュージョン部61及び62の電位変動を表し、VSLは、垂直信号線9の電位変動を表す。
【0060】
図5の駆動方法においては、VDRの駆動と、読み出しの後にFD(第1及び第2フローティングディフュージョン部61及び62)のリセットとが追加されている。
【0061】
具体的には、まず、読み出し動作を開始するにあたり、FDのリセットが行われる。このとき、VDRは高電位状態にあり、FDは高電位にリセットされる。後述するが、前フレームの読み出し動作の最後に、VDRの低電位によりFDが低電位にリセットされ、増幅トランジスタ53がOFFの状態となっている。そのため、この高電位でのリセット動作は、FDのリセットを行う他に、増幅トランジスタ53をON状態にする効果も有する。
【0062】
その後、図3の駆動方法と同様に、読み出し動作を順次行う。選択トランジスタ54の読み出しを終えた後、VDRを低電位状態にしてFDのリセットが行われる。増幅トランジスタ53がOFF状態になるため、他の行の読み出し期間中に垂直信号線(VSL)9に増幅トランジスタ53のゲートの容量が重畳することを防ぎ、垂直信号線(VSL)9の負荷を軽減することができる。
【0063】
ここで、図2および図4の回路構成の場合、選択トランジスタ54が増幅トランジスタ53のドレイン側に接続しているため、図3の駆動方法では、増幅トランジスタ53のゲート容量が垂直信号線(VSL)9の負荷に重畳してしまうことで、垂直信号線(VSL)9のセトリング(電位静定)に時間がかかるため、フレームレートが律速されていた。
【0064】
これに対して、図5の駆動方法を用いることにより、増幅トランジスタ53のON/OFFを切り替えることが可能となり、垂直信号線(VSL)9の負荷を軽減し、フレームレートの律速を解消することができる。
【0065】
<3.第3の実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図6は、第3の実施の形態に係る固体撮像装置の画素の等価回路を示す図である。
【0066】
図6の画素2の回路構成は、選択トランジスタ54が除かれた点が、図4の回路構成と異なっている。図6の画素2は、1つのフォトダイオード(PD)50と、各1つの転送トランジスタ(TRG)51、リセットトランジスタ(RST)52、増幅トランジスタ(AMP)53、および分離トランジスタ(FDG)55と、2つの第1フローティングディフュージョン部(FD1)61および第2フローティングディフュージョン部(FD2)62を備える点は、図4の回路構成と共通している。
【0067】
[駆動方法]
第3の実施の形態の固体撮像装置は、図7に示される駆動方法により駆動するように構成される。図7の例において、VDRは、リセット用の独立電源VDRの駆動タイミングを表す。RSTは、リセットトランジスタ52の駆動タイミングを表し、FDGは、分離トランジスタ55の駆動タイミングを表し、TRGは、転送トランジスタ51の駆動タイミングを表す。FDは、第1及び第2フローティングディフュージョン部61及び62の電位変動を表し、VSLは、垂直信号線9の電位変動を表す。
【0068】
図7の駆動方法は、選択トランジスタ54の駆動が除かれた以外、図5の駆動方法から、何も変更はない。すなわち、まず、読み出し動作を開始するにあたり、FDのリセットが行われる。このとき、VDRは高電位状態にあり、FDは高電位にリセットされる。後述するが、前フレームの読み出し動作の最後に、VDRの低電位によりFDが低電位にリセットされ、増幅トランジスタ53がOFFの状態となっている。そのため、この高電位でのリセット動作は、FDのリセットを行う他に、増幅トランジスタ53をON状態にする効果も有する。
【0069】
その後、図3の駆動方法と同様に、読み出し動作を順次行う。読み出しを終えた後、VDRを低電位状態にしてFDのリセットが行われる。増幅トランジスタ53がOFF状態になるため、他の行の読み出し期間中に垂直信号線(VSL)9に増幅トランジスタ53のゲートの容量が重畳することを防ぎ、垂直信号線(VSL)9の負荷を軽減することができる。
【0070】
以上のように、第3の実施形態においては、FD電位の制御により、増幅トランジスタ53のONとOFFとを切り替えて行選択を行うことが可能となり、その結果、選択トランジスタ54の除去が可能となった。
【0071】
一方で、第3の実施の形態においては、第1および第2の実施の形態で効果であった垂直信号線(VSL)9の電位変動を利用したFD電位の高電位化には注意が必要となる。すなわち、読み出し動作の冒頭にFDを高電位でリセットするタイミングにおいて、行選択も開始されるので、垂直信号線(VSL)9の電位変動が開始してしまう。この電位変動が静定するより早くFDリセットを終えて、FDに垂直信号線(VSL)9の電位変動を伝搬しなければならない。よって、リセットトランジスタ52のONの期間はリセット動作に十分な期間を確保した上で、極力短い時間とする必要がある。
【0072】
以上のように、本技術によれば、フォトダイオードで光電変換したほとんどすべての電荷を高容量時信号に活用することができ、FD低容量化による高感度化および接続容量によるQs増加の効果を最大限得られ、ダイナミックレンジの拡大に貢献することができる。
【0073】
また、本技術によれば、垂直信号線の電位変動を利用してFD電位を高電位化するようにしたので、FDがリセット直後に低電位化してしまうのを抑制し、低照度領域での線形性を担保することができる。
【0074】
さらに、本技術によれば、FDの低電位リセットによる各行の増幅トランジスタのゲート容量が垂直信号線に重畳することを防ぎ、垂直信号線の負荷を軽減することでフレームレートの向上に貢献することができる。
【0075】
<4.第4の実施の形態>
[固体撮像素子の構成例]
図8は、第4の実施の形態にかかる固体撮像素子の画素の等価回路を示す図である。
【0076】
図8の画素2の回路構成は、選択トランジスタ54と増幅トランジスタ53とが逆の位置に配置されている点が、図2の画素2の回路構成と異なっている。図8の画素2は、1つのフォトダイオード50と、各1つの転送トランジスタ51、リセットトランジスタ52、増幅トランジスタ53、選択トランジスタ54および分離トランジスタ55と、第1のフローティングディフュージョン部61および第2のフローティングディフュージョン部62を備える点は、図2の画素2と共通している。また、図2の回路構成と同様に、転送トランジスタ51のゲートは、転送線(TRX)71に接続されている。分離トランジスタ55のゲートは、分離(FDG)線72に接続されている。選択トランジスタ54のゲートは選択(SEL)線73に接続されている。リセットトランジスタ52のゲートは、リセット(RES)線74に接続されている。
【0077】
[駆動方法]
第4の実施の形態の固体撮像装置は、図9に示される駆動方法により駆動するように構成される。図9の例において、SELは、選択トランジスタ54の駆動タイミングを表し、RSTは、リセットトランジスタ52の駆動タイミングを表し、FDGは、分離トランジスタ55の駆動タイミングを表し、TRL(TRX)は、転送トランジスタ51の駆動タイミングを表す。また、VSLは、垂直信号線9の電位変動を表す。なお、VSLにおける点線は、本技術の駆動方法の場合のVSL(実線)と比較するために、例えば、特許文献1に記載の駆動方法の場合のVSLを表している。
【0078】
まず、読み出し動作を開始するにあたり、選択線73により選択トランジスタ54がオンされ、分離線72とリセット線74により、分離トランジスタ55とリセットトランジスタ52とが同時にオンされることで、FD(第1のフローティングディフュージョン部61および第2のフローティングディフュージョン部62)の電位がリセットされる。その後、分離トランジスタ55がオフした後、リセットトランジスタ52がオフされると、この状態をコンパータの基準電位としてオートゼロ(高容量時と小容量時のAZ)が実施される。
【0079】
リセットトランジスタ52がオフの状態で、分離トランジスタ55をオンすることにより、分離トランジスタ55とFDとの間の寄生容量とFDの電荷が、分離トランジスタ55のチャネルに誘起されることにより、FD電位が上昇することになる。この状態で、高容量時(Low P相)の基準電位読み出しが行われ、分離トランジスタ55がオフ状態とされる。
【0080】
これより、分離トランジスタ55とFDとの間の寄生容量とFDの電荷が、FDに注入される(チャージインジェクション)ことによりFD電位が下降する。この状態で、小容量時(High P相)の基準電位読み出しが行われる。
【0081】
このとき、FD電位はLow P相で上昇し、High P相で、Low P相と同様の下降を示すことから、FD電位の増減はほぼ0となり、FD電位の低下は回避される。
【0082】
続けて、転送トランジスタ51のゲートがオン状態にされて、フォトダイオード50の電荷が読み出され、小容量時(High D相)の信号電位読み出しが行われる。さらに、分離トランジスタ55がオン状態にされて、再度転送トランジスタ51のゲートがオンされて、すべてのPD電荷を読み出すことができ、これが、高容量時(Low D相)の信号電位読み出しとなる。
【0083】
しかしながら、リセットトランジスタ52がオフ状態で、分離トランジスタ55がオン、オフすることによるチャージインジェクションの量を制御することは困難であり、これと共にFD電位の上昇・下降も同じく制御することは困難である。
【0084】
そこで、第4の実施例の駆動を実施すれば、分離トランジスタ55がオン,オフ前後の電位変動は0となり、結局FD電位低下は起こらないが、分離トランジスタ55がオン状態になることによるFD電位の振りあがりが大きすぎる場合にFD電位低下は起こることがある。それは、コンパレータのDレンジをはずして本来のLow P相電位を検出できなかったり、画素電源電圧以上に昇圧された場合も本来のLow P相電位を検出できないからである。
【0085】
[変形例]
なお、第4の実施例の回路構成や駆動に変更はないが、第1の変形例として、分離トランジスタ55のオフ時の負バイアスを調整することで、チャージインジェクションの量を制御することができる。
【0086】
また、第4の実施例の回路構成や駆動に変更はないが、第2の変形例として、分離トランジスタ55のしきい値Vthを調整することで、チャージインジェクションの量を制御することができる。
【0087】
さらに、第4の実施例の回路構成において、FDに寄生するノード(例えば、図2のFDブースト64)を利用して、分離トランジスタ55のオン時のFD電位を効果させることができる。
【0088】
<5.第5の実施の形態>
[固体撮像素子の構成例]
図10は、第5の実施の形態にかかる固体撮像素子の画素の等価回路を示す図である。
【0089】
図10の画素2の回路構成は、増幅トランジスタ53のソース側に配置されていた選択トランジスタ54が増幅トランジスタのドレイン側に配置されている点のみが、図8の画素2の回路構成と異なっている。図8の画素2は、1つのフォトダイオード50と、各1つの転送トランジスタ51、リセットトランジスタ52、増幅トランジスタ53、選択トランジスタ54、分離トランジスタ55と、フローティングディフュージョン部(FD)61および第2のフローティングディフュージョン部62を備える点は、図8の回路構成と共通している。
【0090】
選択トランジスタ54が、増幅トランジスタ53のドレイン側に配置されている場合の回路構成であっても、駆動方法は、図9を参照して上述した第4の実施の形態の駆動方法と基本的に同じ動作をし、同じ効果を有するので、その説明は繰り返しになるので省略される。
【0091】
<6.第6の実施の形態>
[固体撮像素子の構成例]
図11は、第6の実施の形態にかかる固体撮像素子の画素の等価回路を示す図である。図11の等価回路は、選択トランジスタが除かれて、リセット電位で行選択が行われる場合の例が示されている。
【0092】
図11の画素2の回路構成は、選択トランジスタ54が除かれて、回路81を介して入力される選択線73により、リセットトランジスタ52の電源が、回路81にVDDHまたはVDDLが印加されることで、選択/非選択が決まる点のみが、図8の画素2の回路構成と異なっている。例えば、(VDDH/VDDL=3.3V/1.2V)程度である。図8の画素2は、1つのフォトダイオード(PD)50と、各1つの転送トランジスタ51、リセットトランジスタ52、増幅トランジスタ53、および分離トランジスタ55と、フローティングディフュージョン部61および第2のフローティングディフュージョン部62を備える点は、図8の回路構成と共通している。
【0093】
図11に示されるように、選択トランジスタ54が除かれた場合の回路構成であっても、駆動方法は、図9を参照して上述した第4の実施の形態の駆動方法と基本的に同じ動作をし、同じ効果を有するので、その説明は繰り返しになるので省略される。すなわち、選択トランジスタがなく、リセット電位で行選択を行う場合でも、選択行においては、図9のSELの駆動タイミングと同じである。
【0094】
以上のようにすることで、第4乃至第6の実施の形態に記載の技術によれば、フォトダイオードで光電変換したほとんどすべての電荷を高容量時信号に活用することができ、FD低容量化による高感度化および接続容量によるQs増加の効果を最大限得られ、ダイナミックレンジの拡大に貢献することができる。
【0095】
また、分離トランジスタのオン/オフの順番を変更し、FD電位の高電位化を行うことで、FDのリセット直後の低電位化を容易に回避し、低照度領域での線形性を担保することができる。
【0096】
なお、本技術は、上述した固体撮像素子だけでなく、大小画素、画素共有、積層型CISの固体撮像素子にも適用することができる。積層型CISの固体撮像素子の場合の回路構成は、次の図12に示されるように、上下チップに任意に配置可能である。
【0097】
<7.固体撮像素子の配置例>
図12は、図1の固体撮像素子1の配置例を示す図である。
【0098】
固体撮像素子1の画素領域11、制御回路102、および信号処理回路を含むロジック回路103の配置は、例えば、図12のA乃至図12のCに示す第1乃至第3の配置のいずれかにすることができる。
【0099】
即ち、固体撮像素子1の画素領域11、制御回路102、およびロジック回路103の配置は、図12のAに示すように、全てを1つの半導体基板111に配置する第1の配置にすることができる。
【0100】
また、固体撮像素子1の画素領域11、制御回路102、およびロジック回路103の配置は、図12のBに示すように、積層される2つの半導体基板112と半導体基板113のうちの一方に画素領域11と制御回路102を配置し、他方にロジック回路103を配置する第2の配置にすることができる。図12のBの例では、画素領域11と制御回路102は半導体基板112に配置され、ロジック回路103は半導体基板113に配置されている。
【0101】
さらに、固体撮像素子1の画素領域11、制御回路102、およびロジック回路103の配置は、図12のCに示すように、積層される2つの半導体基板114と半導体基板115のうちの一方に画素領域11を配置し、他方に制御回路102とロジック回路103を配置する第3の配置にすることができる。図12のCの例では、画素領域11は半導体基板114に配置され、制御回路102とロジック回路103は半導体基板115に配置されている。
【0102】
<8.イメージセンサの使用例>
図13は、上述の固体撮像素子を使用する使用例を示す図である。
【0103】
上述した固体撮像素子(イメージセンサ)は、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0104】
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0105】
<9.電子機器の例>
<電子機器の構成例>
【0106】
さらに、本技術は、固体撮像素子への適用に限られるものではなく、撮像装置にも適用可能である。ここで、撮像装置とは、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等のカメラシステムや、携帯電話機等の撮像機能を有する電子機器のことをいう。なお、電子機器に搭載されるモジュール状の形態、すなわちカメラモジュールを撮像装置とする場合もある。
【0107】
ここで、図14を参照して、本技術の電子機器の構成例について説明する。
【0108】
図14に示される電子機器300は、固体撮像素子(素子チップ)301、光学レンズ302、シャッタ装置303、駆動回路304、および信号処理回路305を備えている。固体撮像素子301としては、上述した本技術の固体撮像素子1が設けられる。
【0109】
光学レンズ302は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像素子301の撮像面上に結像させる。これにより、固体撮像素子301内に一定期間信号電荷が蓄積される。シャッタ装置303は、固体撮像素子301に対する光照射期間および遮光期間を制御する。
【0110】
駆動回路304は、固体撮像素子301の信号転送動作、シャッタ装置303のシャッタ動作、および図示せぬ発光部の発光動作を制御する駆動信号を供給する。駆動回路304は、図示せぬCPUにより設定されたパラメータを用いて各動作を制御する。駆動回路304から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像素子301は信号転送を行う。信号処理回路305は、固体撮像素子301から出力された信号に対して各種の信号処理を行う。信号処理が行われた映像信号は、メモリなどの記憶媒体に記憶されたり、モニタに出力される。
【0111】
<10.内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0112】
図15は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0113】
図15では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0114】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0115】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0116】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0117】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0118】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0119】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0120】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0121】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0122】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0123】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0124】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0125】
図15は、図14に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0126】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0127】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0128】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0129】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0130】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0131】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0132】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0133】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0134】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0135】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0136】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0137】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0138】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0139】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0140】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0141】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0142】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、内視鏡11100や、カメラヘッド11102(の撮像部11402)、CCU11201の画像処理部11412、光源装置11203等に適用され得る。具体的には、例えば、図1図2図4図6図8乃至図10の固体撮像素子1は、撮像部11402に適用することができる。撮像部11402および画像処理部11412に本開示に係る技術を適用することにより、フォトダイオードで光電変換したほとんどすべての電荷を高容量時信号に活用することができるため、術者が術部を確実に確認することが可能になる。
【0143】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0144】
<11.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0145】
図16は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0146】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図16に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0147】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0148】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0149】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0150】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0151】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0152】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0153】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0154】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12030に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0155】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図16の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0156】
図17は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0157】
図17では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0158】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0159】
なお、図17には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0160】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0161】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0162】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0163】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0164】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031(撮像部12101ないし12104含む)に適用され得る。具体的には、例えば、図1図2図4図6図8乃至図10の固体撮像素子1は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、フォトダイオードで光電変換したほとんどすべての電荷を高容量時信号に活用することができるため、例えば、車載器において、より鮮明な画像を得るという格別な効果を得ることができる。
【0165】
なお、本明細書において、上述した一連の処理を記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0166】
また、本開示における実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0167】
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。つまり、本技術は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0168】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、開示はかかる例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有するのであれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例また修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0169】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 複数の画素が配列された画素領域を有し、
前記画素は、
光電変換部と、
転送トランジスタと、
前記光電変換部からの電荷を、前記転送トランジスタを通じて受け取る複数のフローティングディフュージョン部と、
前記複数のフローティングディフュージョン部をリセットするリセットトランジスタと、
前記複数のフローティングディフュージョン部の接続をオン/オフ制御する分離トランジスタと、
前記複数のフローティングディフュージョン部の電位に対応する信号を出力する増幅トランジスタと、
前記増幅トランジスタのドレイン側に読み出し行を選択する選択トランジスタと
を備え、
前記選択トランジスタは、前記リセットトランジスタによるリセット後に読み出し行を選択し、
前記転送トランジスタは、小容量時の基準電位読み出しの前に、高容量時の基準電位読み出しを行う
固体撮像素子。
(2) 前記リセットトランジスタのドレイン側の電源は、前記複数のフローティングディフュージョン部の電位制御が可能に構成されており、
前記リセットトランジスタは、読み出し動作後に、前記複数のフローティングディフュージョン部を低電位にリセットする
前記(1)に記載の固体撮像素子。
(3) 複数の画素が配列された画素領域を有し、
前記画素は、
光電変換部と、
転送トランジスタと、
前記光電変換部からの電荷を、前記転送トランジスタを通じて受け取る複数のフローティングディフュージョン部と、
前記複数のフローティングディフュージョン部をリセットするリセットトランジスタと、
前記複数のフローティングディフュージョン部の接続をオン/オフ制御する分離トランジスタと、
前記複数のフローティングディフュージョン部の電位に対応する信号を出力する増幅トランジスタと、
前記増幅トランジスタのドレイン側に読み出し行を選択する選択トランジスタと
を備え、
前記選択トランジスタは、前記リセットトランジスタによるリセット後に読み出し行を選択し、
前記転送トランジスタは、小容量時の基準電位読み出しの前に、高容量時の基準電位読み出しを行う固体撮像素子と、
前記固体撮像素子から出力される出力信号を処理する信号処理回路と、
入射光を前記固体撮像素子に入射する光学系と
を有する電子機器。
(4) 複数の画素が配列された画素領域を有し、
前記画素は、
光電変換部と、
転送トランジスタと、
前記光電変換部からの電荷を、前記転送トランジスタを通じて受け取る複数のフローティングディフュージョン部と、
前記複数のフローティングディフュージョン部をリセットするリセットトランジスタと、
前記複数のフローティングディフュージョン部の接続をオン/オフ制御する分離トランジスタと、
前記複数のフローティングディフュージョン部の電位に対応する信号を出力する増幅トランジスタと
を備え、
前記リセットトランジスタのドレイン側の電源は、前記複数のフローティングディフュージョン部の電位制御が可能に構成されており、
前記増幅トランジスタは、前記複数のフローティングディフュージョン部の電位制御により、オン/オフを切り替え、
前記転送トランジスタは、小容量時の基準電位読み出しの前に、高容量時の基準電位読み出しを行い、
前記リセットトランジスタは、読み出し動作後に、前記複数のフローティングディフュージョン部を低電位にリセットする
固体撮像素子。
(5) 複数の画素が配列された画素領域を有し、
前記画素は、
光電変換部と、
転送トランジスタと、
前記光電変換部からの電荷を、前記転送トランジスタを通じて受け取る複数のフローティングディフュージョン部と、
前記複数のフローティングディフュージョン部をリセットするリセットトランジスタと、
前記複数のフローティングディフュージョン部の接続をオン/オフ制御する分離トランジスタと、
前記複数のフローティングディフュージョン部の電位に対応する信号を出力する増幅トランジスタと
を備え、
前記リセットトランジスタのドレイン側の電源は、前記複数のフローティングディフュージョン部の電位制御が可能に構成されており、
前記増幅トランジスタは、前記複数のフローティングディフュージョン部の電位制御により、オン/オフを切り替え、
前記転送トランジスタは、小容量時の基準電位読み出しの前に、高容量時の基準電位読み出しを行い、
前記リセットトランジスタは、読み出し動作後に、前記複数のフローティングディフュージョン部を低電位にリセットする固体撮像素子と、
前記固体撮像素子から出力される出力信号を処理する信号処理回路と、
入射光を前記固体撮像素子に入射する光学系と
を有する電子機器。
(6) 複数の画素が配列された画素領域を有し、
前記画素は、
光電変換部と、
転送トランジスタと、
前記光電変換部からの電荷を、前記転送トランジスタを通じて受け取る複数のフローティングディフュージョン部と、
前記複数のフローティングディフュージョン部をリセットするリセットトランジスタと、
前記複数のフローティングディフュージョン部の接続をオン/オフ制御する分離トランジスタと、
前記複数のフローティングディフュージョン部の電位に対応する信号を出力する増幅トランジスタと
を備え、
小容量時の基準電位読み出しの前において、
前記分離トランジスタは、ドレイン側がフローティング状態でゲートをオンし、
前記転送トランジスタは、高容量時の基準電位読み出しを行う
固体撮像素子。
(7) 高容量時の基準電位読み出し後に、
前記分離トランジスタは、ドレイン側がフローティング状態でゲートをオフし、
前記転送トランジスタは、小容量時の基準電位読み出しを行う
前記(6)に記載の固体撮像素子。
(8) 前記分離トランジスタは、オフ時の負バイアスが調整される
前記(7)に記載の固体撮像素子。
(9) 前記分離トランジスタのしきい値が調整される
前記(7)に記載の固体撮像素子。
(10) 前記複数のフローティングディフュージョン部に寄生するノードが利用されて、前記分離トランジスタのオン時の前記複数のフローティングディフュージョン部の電位が効果される
前記(7)に記載の固体撮像素子。
(11) 前記増幅トランジスタのソース側に読み出し行を選択する選択トランジスタを
さらに備える前記(6)乃至(10)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(12) 前記増幅トランジスタのドレイン側に読み出し行を選択する選択トランジスタを
さらに備える前記(6)乃至(10)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(13) 前記リセットトランジスタのドレイン側の電源は、前記複数のフローティングディフュージョン部の電位制御が可能に構成されており、
前記増幅トランジスタは、前記複数のフローティングディフュージョン部の電位制御により、オン/オフを切り替える
前記(6)乃至(10)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(14) 複数の画素が配列された画素領域を有し、
前記画素は、
光電変換部と、
転送トランジスタと、
前記光電変換部からの電荷を、前記転送トランジスタを通じて受け取る複数のフローティングディフュージョン部と、
前記複数のフローティングディフュージョン部をリセットするリセットトランジスタと、
前記複数のフローティングディフュージョン部の接続をオン/オフ制御する分離トランジスタと、
前記複数のフローティングディフュージョン部の電位に対応する信号を出力する増幅トランジスタと
を備え、
小容量時の基準電位読み出しの前において、
前記分離トランジスタは、ドレイン側がフローティング状態でゲートをオンし、
前記転送トランジスタは、高容量時の基準電位読み出しを行う固体撮像素子と、
前記固体撮像素子から出力される出力信号を処理する信号処理回路と、
入射光を前記固体撮像素子に入射する光学系と
を有する電子機器。
【符号の説明】
【0170】
1 固体撮像素子, 2 画素, 3 画素領域, 9 垂直信号線, 50 フォトダイオード, 51 転送トランジスタ, 52 リセットトランジスタ, 53 増幅トランジスタ, 54 選択トランジスタ, 55 分離トランジスタ, 61 第1フローティングディフュージョン部, 62 第2フローティングディフュージョンン部, 63 容量素子, 64 FDブースト, 71 転送線, 72 分離線, 73 選択線, 74 リセット線, 300 電子機器, 301 固体撮像素子, 302 光学レンズ, 303 シャッタ装置, 304 駆動回路, 305 信号処理回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18