(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】製氷装置
(51)【国際特許分類】
F25C 1/25 20180101AFI20221011BHJP
F25C 1/10 20060101ALI20221011BHJP
F25C 1/24 20180101ALI20221011BHJP
【FI】
F25C1/25 305G
F25C1/10 301A
F25C1/24 306C
(21)【出願番号】P 2019012390
(22)【出願日】2019-01-28
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 俊二
(72)【発明者】
【氏名】原田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】林 勝彦
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-57897(JP,A)
【文献】特開平9-61024(JP,A)
【文献】特開2000-283614(JP,A)
【文献】特開平9-170859(JP,A)
【文献】特開2014-105946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/25
F25C 1/10
F25C 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷皿と、
前記製氷皿から氷を取り出す機構である離氷機構と、
前記離氷機構を駆動する駆動部と、
前記製氷皿および前記駆動部を支持するフレームと、を備え、
前記フレームには、外部から供給された水を前記製氷皿に誘導する水路部が設けられ、
前記フレームには、前記水路部に水を供給する別体の水路部材である給水アダプタが装着されることを特徴とする製氷装置。
【請求項2】
前記給水アダプタは、
前記水路部上に配置される吐水部と、
前記フレームから外側に突き出すように配置される水受け部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の製氷装置。
【請求項3】
前記給水アダプタは、前記フレーム上の異なる複数の位置に装着可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製氷装置。
【請求項4】
前記水路部は、
前記製氷皿に水を注ぐ通水口と、
前記通水口に水を送る傾斜面であるスロープと、を有し、
前記給水アダプタは、前記スロープに水を供給することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の製氷装置。
【請求項5】
前記給水アダプタは、前記フレーム上の装着位置を前記スロープに沿ってスライドさせることが可能であることを特徴とする請求項4に記載の製氷装置。
【請求項6】
前記水路部は、前記スロープの中ほどから前記フレームの外側に突き出した水路である給水口をさらに有し、
前記給水アダプタは、前記スロープにおける前記給水口の形成位置よりも上流側に装着されることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の製氷装置。
【請求項7】
前記水路部は水路の側壁である側壁部を有し、
前記製氷機構は、
前記製氷皿を裏返すように回転させる前記駆動部と、
回転中の前記製氷皿の一部に接触して前記製氷皿の回転を部分的に妨げるブロック部と、を有し、
前記水路部および前記ブロック部は前記フレームと一体化されており、
前記ブロック部は前記水路部の下に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の製氷装置。
【請求項8】
前記給水アダプタは弾性変形可能なアーム部を有し、
前記アーム部には、フックまたは穴もしくは凹部である第1嵌合部が設けられ、
前記フレームには、前記第1嵌合部と対になる形状の第2嵌合部が形成され、
前記給水アダプタは、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とがはめ込まれることで、前記フレームに装着されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の製氷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動製氷技術に関し、特に、外部から水の供給を受けて氷を生成する製氷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、複数のセルに区切られた製氷皿で氷を生成し、製氷皿をひねって氷を取り出す製氷装置が開示されている。特許文献1の製氷装置では、外部から供給された水は直接製氷皿に注がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷凍庫内に設置される製氷装置には、通常、氷を生成するための水が冷凍冷蔵庫など上位の装置から供給される。ここで、例えば製氷装置にそのフレームから外側に突き出した給水口を設ける必要がある場合、その製氷装置を適用可能な冷凍庫が給水口の位置により制限され、製氷装置の汎用性が損なわれるという問題がある。
【0005】
このような問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、フレームから外側に突き出した給水構造を備えつつ、多様な冷凍庫に適用可能な製氷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の製氷装置は、製氷皿と、前記製氷皿から氷を取り出す機構である離氷機構と、前記離氷機構を駆動する駆動部と、前記製氷皿および前記駆動部を支持するフレームと、を備え、前記フレームには、外部から供給された水を前記製氷皿に誘導する水路部が設けられ、前記フレームには、前記水路部に水を供給する別体の水路部材である給水アダプタが装着されることを要旨とする。
【0007】
フレームに設けられた水路部と水の供給源とを接続する水路を別体の給水アダプタとすることにより、給水アダプタのみを変更・交換することで多様な冷凍庫に本発明の製氷装置を適用させることが可能となる。
【0008】
また、本発明において、前記給水アダプタは、前記水路部上に配置される吐水部と、前記フレームから外側に突き出すように配置される水受け部と、を有することが好ましい。水受け部がフレームから外側に突き出している場合でも、給水アダプタのみを変更・交換することで多様な冷凍庫に本発明の製氷装置を適用させることができる。
【0009】
また、本発明において、前記給水アダプタは、前記フレーム上の異なる複数の位置に装着可能であることが好ましい。給水アダプタの装着位置が複数あることにより、給水アダプタの位置を付け替えることで本発明の冷凍装置を異なる仕様の冷凍庫に適用させることができる。
【0010】
また、本発明において、前記水路部は、前記製氷皿に水を注ぐ通水口と、前記通水口に水を送る傾斜面であるスロープと、を有し、前記給水アダプタは、前記スロープに水を供給することが好ましい。水路部がスロープを有することにより、給水アダプタからスロープ上のどこに水を供給してもその水を通水口に誘導することができる。これにより給水アダプタの装着位置の自由道が高められる。
【0011】
また、本発明において、前記給水アダプタは、前記フレーム上の装着位置を前記スロープに沿ってスライドさせることが可能であることが好ましい。給水アダプタがスロープに沿ってスライド可能であることにより、冷凍庫の仕様に合わせて給水アダプタの装着位置を柔軟に調節することが可能となる。
【0012】
また、本発明の製氷装置は、前記水路部が前記スロープの中ほどから前記フレームの外側に突き出した水路である給水口をさらに有し、前記給水アダプタは、前記スロープにおける前記給水口の形成位置よりも上流側に装着される構成としてもよい。水路部のスロープが、水路部に備え付けられた給水口の位置よりもさらに上流側まで延びていることにより、例えば、想定される主モデルの冷凍庫には給水アダプタを用いることなく製氷装置を設置し、それ以外のモデルでは給水アダプタを用いるという使い分けが可能となる。
【0013】
また、本発明において、前記水路部は水路の側壁である側壁部を有し、前記製氷機構は、
前記製氷皿を裏返すように回転させる前記駆動部と、回転中の前記製氷皿の一部に接触して前記製氷皿の回転を部分的に妨げるブロック部と、を有し、前記水路部および前記ブロック部は前記フレームと一体化されており、前記ブロック部は前記水路部の下に設けられていることが好ましい。製氷皿の一部をフレームに接触させ、製氷皿をひねって氷を取り出す製氷装置では、製氷皿をひねるときにフレームに相応の外力が加えられる。水路部の側壁部とブロック部とを上下に配置することにより、ブロック部が設けられた面の剛性が高められ、ブロック部に製氷皿が押し付けられることによるフレームの歪み軽減される。
【0014】
また、本発明において、前記給水アダプタは弾性変形可能なアーム部を有し、前記アーム部には、フックまたは穴もしくは凹部である第1嵌合部が設けられ、前記フレームには、前記第1嵌合部と対になる形状の第2嵌合部が形成され、前記給水アダプタは、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とがはめ込まれることで、前記フレームに装着されることが好ましい。いわゆるスナップフィット構造を用いて給水アダプタをフレームに装着することにより、給水アダプタをフレームに簡便に着脱することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
このように、本発明の製氷装置によれば、製氷装置がそのフレームから外側に突き出した給水構造を備える場合でも、多様な冷凍庫にこれを適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態にかかる製氷装置の外観を示す斜視図である。
【
図7】製氷装置の離氷動作を説明する背面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明にかかる製氷装置の実施形態について説明する。以下に説明する製氷装置Uは、その上位装置である図示しない冷凍冷蔵庫の冷凍室内に設置され、冷凍冷蔵庫から水の供給を受けて自動的に氷を製造する装置である。
【0018】
以下の説明における「上下」とは、各図に描かれた座標軸のZ軸に平行な方向を意味しており、Z1側を「上」、Z2側を「下」とする。「前後」とは、同座標軸のX軸に平行な方向を意味しており、X1側を「前」、X2側を「後ろ」とする。同様に、「左右」とは、同座標軸のY軸に平行な方向を意味しており、Y1側を「右」、Y2側を「左」とする。また、「水平」とは、同座標軸に示されるXY平面方向を意味している。
【0019】
(構成概要)
図1は、製氷装置Uの外観を示す斜視図である。
図2は、製氷装置Uの分解斜視図である。製氷装置Uは、主に、製氷皿2と、製氷皿2を回転させる駆動部である駆動ユニット1と、これら製氷皿2および駆動ユニット1を支持するフレーム3と、フレーム3に装着された別体の水路部材である給水アダプタ5と、により構成されている。
【0020】
本形態の製氷装置Uは、いわゆる「ひねり式」の製氷装置である。製氷装置Uが設置される冷凍室には、図示しない貯氷容器が製氷装置Uの下に配置される。製氷装置Uは、製氷皿2をひねることで製氷皿2から氷を取り出し、貯氷容器内に落下させる。以下の説明では、製氷皿2から氷を取り出す動作を「離氷動作」といい、製氷皿2から氷を取り出す機構を「離氷機構」という。詳しくは後段で述べるが、本形態の製氷装置Uの離氷機構は、駆動ユニット1と、フレーム3に設けられたブロック部321(
図7参照)とにより構成されている。
【0021】
上位装置である冷凍冷蔵庫は製氷装置Uの給水アダプタ5に水を供給し、供給された水は給水アダプタ5からフレーム3の上面に設けられた水路部4を通って製氷皿2に充填される。冷凍冷蔵庫に搭載された制御装置は、製氷皿2の温度をその下面に取り付けられたサーミスタで監視しており、製氷皿2の温度が規定値に至ったことを検知すると製氷皿2をひねって氷を取り出す。離氷動作が完了し、製氷皿2が当初の水平配置に復帰すると、冷凍冷蔵庫は次の水を製氷皿2に充填する。
【0022】
(駆動ユニット)
駆動ユニット1は駆動源であるモータを有するモータユニットである。駆動ユニット1の前面には、製氷皿2の背面に嵌合される非円形の軸体である出力軸11が前方に突き出すように設けられている。
【0023】
駆動ユニット1の右側(Y1側)の面には、貯氷容器内の氷量を検査するアーム部材である検氷アーム12が取り付けられている。検氷アーム12は、その基端部から先端に向かって次第に上下に広がった側面視略扇形の板状部材である。検氷アーム12の基端部は駆動ユニット1に接続されており、駆動ユニット1は検氷アーム12の基端部を中心として検氷アーム12を上下に旋回させる。駆動ユニット1は、離氷動作が開始されると、製氷皿2から氷を取り出す前に検氷アーム12を貯氷容器内に下ろして貯氷容器内の氷量を検査し、貯氷容器の空間に余裕があることを確認した上で離氷動作を続行する。
【0024】
駆動ユニット1の上面の左右両端からは、平板形状の凸部である嵌合片13が前方に突き出している。フレーム3は、嵌合片13の形状に対応した凹部である嵌合スロット39を有している。駆動ユニット1は、嵌合片13がフレーム3の嵌合スロット39に差し込まれることでフレーム3の後端部分に固定される。
【0025】
(製氷皿)
製氷皿2は弾性変形可能な樹脂製の貯水容器である。製氷皿2は複数のセル21に区切られている。製氷皿2の右側(Y1側)半体の前端には、セル21よりも前方に張り出した注水部である水受け部24が設けられている。給水アダプタ5から供給された水は水路部4を通って製氷皿2の水受け部24に注がれる。各セル21には、その前後または左右に隣接するセル21とセル内の空間を連通させるスリット21aが形成されており、これにより、水受け部24に供給された水はすべてのセル21に均等に行き渡る。
【0026】
製氷皿2の背面には駆動ユニット1の出力軸11と同形状の軸穴23が形成されており、軸穴23に出力軸11が嵌合されることで製氷皿2は出力軸11の回転とともに回転する。製氷皿2の前面には前方に突き出した軸体である軸部22が設けられており、軸部22はフレーム3に形成された軸受部37に回転可能に支持される。
【0027】
(フレーム)
フレーム3は、駆動ユニット1および製氷皿2を支持し、給水アダプタ5が装着される枠体である。フレーム3の上面における左側(Y2側)の端部には、製氷装置Uを冷凍室の壁面にねじ固定するための2つの取付部39が設けられている。
【0028】
フレーム3は、フレーム3の前面を構成する板状部である壁部31を有している。壁部31は格子状に肉抜きが施され、その上部には、給水アダプタ5から供給された水を製氷皿2に誘導する水路部4が形成されている。製氷皿2の軸部22を支持する軸受部37は、壁部31を前後に貫通するように形成されている。
【0029】
(水路部)
図3は水路部4の外観を示す斜視図である。
図4は水路部4の整流構造を示す平面図である。以下、
図3および
図4を参照し、製氷装置Uの水路部4について説明する。
【0030】
本形態の水路部4は、フレーム3の壁部31の一部であり、壁部31の上部を構成している。水路部4は、給水アダプタ5から供給された水を製氷皿2に誘導する水路である。
【0031】
本形態の水路部4は、製氷皿2に水を注ぐ開口部である通水口43と、通水口43に水を送る傾斜面であるスロープ42と、を有している。また、水路部4は、その水路を区画する側壁である側壁部41に囲まれており、これにより水路部4は上方が開放された凹溝形状の水路を形成している。
【0032】
本形態のスロープ42は、左側(Y2側)が上流、右側(Y1側)が下流となるように左右方向に延びる傾斜面である。給水アダプタ5はスロープ42に水を供給し、スロープ42に注がれた水はスロープ42を下って通水口43に至り、通水口43から製氷皿2の水受け部24に吐き出される。
【0033】
図4に示されるように、本形態のスロープ42は、メインスロープ421、排水部422、第1整流部423、および第2整流部424を有している。
【0034】
メインスロープ421は、スロープ42の主要部であり、スロープ42の上流側の端部から下流側に向かって延びる傾斜面である。本形態では、給水アダプタ5はメインスロープ421の上流側の端部に装着されており、外部から供給された水は給水アダプタ5を通ってメインスロープ421に注がれる。
【0035】
排水部422は、メインスロープ421の下流側に連続して設けられた傾斜面である。排水部422は、その面位置がメインスロープ421から段状に低くされており、前側(X1側)から後ろ側(X2側)に向かって次第に低くなるように傾斜している。排水部422の下流は通水口43につながっている。
【0036】
本形態のスロープ42は、メインスロープ421から右方向(Y1方向)に流れてきた水を、排水部422で後方(X2方向)への水流に変えて通水口43から排出する。そのため、右方向(Y1方向)への慣性を保った水が通水口43に至った場合、その水は通水口43から製氷皿2の水受け部24には注がれず、通水口43から右方向(Y1方向)に吐き出される。特に、本形態の通水口43はスロープ42の側壁部41に直接形成された穴であり、また、本形態の水路部4には、排水部422でその向きが変えられた水流を安定させるための余剰な水路は設けられていない。
【0037】
そこで、本形態のスロープ42には、水流の右方向(Y1方向)への慣性を消失させ、水が通水口43から右方向(Y1方向)に漏出することを防ぐための整流構造として、第1整流部423および第2整流部424が設けられている。
【0038】
第1整流部423は、後ろ側(X2側)に向かって低くなるように傾斜し、排水部422に対して後方(X2方向)に流れる水を送る傾斜面である。第1整流部423は、メインスロープ421の中ほどからその下流側に向かって、メインスロープ421の水路幅を前側(X1側)から次第に狭めるように形成されている。これによりメインスロープ421を流れてきた水の一部はその流れが後方(X2方向)に矯正されるとともに、排水部422の前側(X1側)の端部に後方(X2方向)に流れる水が注がれる。
【0039】
第2整流部424は、排水部422よりも右側(Y1側)に形成された急な傾斜面である。第2整流部42は、左側(Y2側)に向かって低くなるように、つまり排水部422側に向かって低くなるように形成されている。メインスロープ421からの勢いで排水部422を飛び越えて第2整流部424に衝突した水は、メインスロープ421の水流に対して逆流するように排水部422に注がれる。
【0040】
このように、メインスロープ421から排水部422に流入した水は、第1整流部423および第2整流部424から排水部422に流入した水により、その右方向(Y1方向)への慣性が相殺される。これにより通水口43から吐出される水が整流され、右方向(Y1方向)への水の漏出が抑えられる。
【0041】
さらに、本形態の水路部4の側壁部41には、第1整流部423および第2整流部424による整流効果をより確実なものにするガイド部411が設けられている。ガイド部411は、側壁部41のうち通水口43の左側(Y2側)に隣接する部位であり、メインスロープ421を流れてきた水が排水部422をすり抜けて通水口43から右方向(Y1方向)に漏出することを防止する。ガイド部411の内壁面は、メインスロープ421の下流側に向かって次第に前方(X1方向)に張り出すように形成されている。これにより、メインスロープ421を流れてきた水は、ガイド部411により通水口43から遠ざかる方向に誘導され、排水部422において第1整流部423や第2整流部424から流れてきた水と十分に混合される。
【0042】
さらに、通水口43の出口には、その右側(Y1側)に、吐き出された水が右側(Y1側)に飛散することを阻止する板状部である防水壁431が形成されている。
【0043】
また、本形態の水路部4には、給水アダプタ5とは別に、スロープ42の中ほどから前方(X1方向)に突き出した水路である給水口44が形成されている。外部から給水口44に供給された水は傾斜面441を下ってスロープ42に注がれる。なお、本形態では給水口44は使用されておらず、外部から供給された水は給水アダプタ5を経てメインスロープ421に注がれる。本形態の製氷装置Uは、想定される主モデルの冷凍冷凍庫には給水アダプタ5を用いることなくこれを設置することが可能であり、それ以外のモデルに製氷装置Uを適用させる際に給水アダプタ5が使用される。つまり本形態の冷凍冷蔵庫は想定される主モデル以外のモデルである。
【0044】
なお、水路部4の給水口44は省略可能であり、常に給水アダプタ5を使って水路部4に水を供給する構成としてもよい。その場合、給水アダプタ5を給水口44の位置にも装着可能とすればよい。給水アダプタ5をフレーム3上の異なる複数の位置に装着可能とすることにより、給水アダプタ5の位置を適宜付け替えることで異なる仕様の冷凍冷凍庫に製氷装置Uを適用させることができる。また、給水アダプタ5がスロープ42上のどこに水を供給してもその水は通水口43に誘導される。このことによっても給水アダプタ5の装着位置の自由度が高められる。
【0045】
(給水アダプタ)
図5は給水アダプタ5の構造を示す斜視図である。
図6は製氷装置Uの正面図である。以下、
図3から
図6を参照して給水アダプタ5の構造について説明する。
【0046】
給水アダプタ5は、主に、メインスロープ421上に設置される吐水部51と、フレーム3から前方(X1方向)に突き出すように配置される水受け部52と、により構成される。これらの境界は厳密なものではなく、吐水部51は水路部4に水を吐き出す部分、水受け部52は外部から水の供給を受ける部分という程度の意味である。
【0047】
水受け部52は、その底面であり吐水部51側(X2側)に向かって低くなる傾斜面522を有している。吐水部51は、その底面でありスロープ42の下流側(Y1側)に向かって低くなる傾斜面511を有している。水受け部52の傾斜面522と吐水部51の傾斜面511との間には垂直面である段差面512が設けられ、これにより吐水部51の傾斜面511は水受け部52の傾斜面522から段状に低くされている。かかる段差は、吐水部51をスロープ42の面に近い位置まで下げるためのものである。給水アダプタ5の傾斜面511,522は、水路を区画する側壁である側壁部55に囲まれており、これにより給水アダプタ5は、上方が開放された凹溝形状の水路を形成している。
【0048】
図3に示されるように、給水アダプタ5の段差面512は、スロープ42の側壁部41に沿って側壁部41に対して平行に配置されている。より具体的には、給水アダプタ5はメインスロープ421の上流側の端部に装着されており、段差面512はその裏側(X1側)の面がメインスロープ421の前側(X1側)の側壁部41に接触または近接する位置に配置されている。同様に、給水アダプタ5の吐水部51を区画する側壁部55のうち、段差面512の向かい側の面を構成する側壁部55も、後ろ側(X2側)の側壁部41に接触または近接する位置に配置されている。これにより給水アダプタ5の吐水部51の前後方向(X方向)の幅が最大限に広く確保されており、水受け部52から吐水部51に流れ込んだ水が段差面512の向かい側の側壁部41にあたって飛散することが防止されている。
【0049】
水受け部52は、その延出方向側の端部を塞ぐ側壁部55に、冷凍冷蔵庫の給水パイプPが配置される切欠き部551が形成されている。水受け部52は、その下流側の水路幅が吐水部51の上流側に向かって次第に狭められており、水受け部52に供給された水は吐水部51の上流側に送られる。吐水部51に注がれた水は吐水部51の傾斜面511を下り、開口部である吐水口513からスロープ42に流出する。
【0050】
また、給水アダプタ5の側壁部55の外面には、下方に延出した弾性変形可能なアーム部53が形成されている。これらアーム部53の先端には後方(X2方向)に突き出したフック531(第1嵌合部)が形成されており、かかるフック531がフレーム3に掛けられることで給水アダプタ5はフレーム3に装着される。
【0051】
より具体的には、給水アダプタ5の側壁部55の外面のうち、吐水部51よりもやや水受け部側52の左右の外面には、それぞれ一本ずつアーム部53が形成されている。そして、給水アダプタ5の後ろ側(X2側)の面には、アーム部53と、フック部を備えず鉤状に下方に屈曲したアーム部54と、がそれぞれ一本ずつ形成されている。
図6に示すように、給水アダプタ5の左右の面に設けれたアーム部53は、水路部4のスロープ42の下面4bに沿うように、左側(Y2側)のアーム部53は短く、右側(Y1側)のアーム部53は長く形成されている。これらアーム部53のフック531もスロープ42の下面4b(第2嵌合部)の傾きに合わせて斜めに形成されている。一方、給水アダプタ5のX2側の面に形成されたアーム部53とアーム部54は、
図3に示すように、アーム部53は水路部4の側壁部41に沿って形成されたリブ53に設けられた穴に挿通されており、そのフック531は同リブ53の裏側(第2嵌合部)に掛けられている。アーム部54は、水路部4の側壁部41に掛けられ、側壁部41に係合することで、給水アダプタ5の下方(Z2方向)および前方(X1方向)への傾きを阻止している。
【0052】
本形態の給水アダプタ5は、フック531がこれと対になるフレーム3上の部位に掛けられることでフレーム3に装着される。これにより給水アダプタ5をフレーム3に簡便に着脱することが可能とされている。なお、本発明の第1嵌合部はフック531の形態には限られない。例えばアーム部53の先端に設けられた穴や凹部を、フレーム3側に設けられたこれと対になる形状の第2嵌合部にはめ込む構成としてもよい。
【0053】
このように、本形態の製氷装置Uは、フレーム3に設けられた水路部4と、水の供給源である冷凍冷蔵庫とを接続する水路を別体の給水アダプタ5とすることにより、フレーム3から外側に突き出した水路を製氷装置U側に設ける必要がある場合でも、給水アダプタ5のみを変更・交換することで多様な冷凍冷蔵庫に製氷装置Uを適用させることが可能とされている。
【0054】
(離氷動作)
図7は製氷装置Uの離氷動作を説明する背面視断面図である。
図7(a)は製氷皿2が水平に配置された状態を示す図、
図7(b)は、離氷動作時の製氷皿2の配置を示す図である。
【0055】
フレーム3の壁部31には、その背面に、上下に柱状に延びるリブ32が設けられている。リブ32の下端には、回転中の製氷皿2の水受け部24の底面24aに接触して製氷皿2回転を部分的に妨げるブロック部321が形成されている。本形態の離氷機構は、かかるブロック部321と、製氷皿2を回転させる駆動ユニット1とにより構成されている。
【0056】
冷凍冷蔵庫の制御装置は、製氷皿2の温度が規定値に至り、氷が生成されたことを検知すると、離氷動作を開始すべく駆動ユニット1を作動させる。駆動ユニット1は、製氷皿2を回転させる前に検氷アーム12を貯氷容器内に下ろして氷量を検査し、貯氷容器の空間に余裕があることを確認した上で製氷皿2を
図7視時計回りに回転させる。
【0057】
製氷皿2が所定量回転すると、水受け部24の底面24aがブロック部321の対向面に接触する。駆動ユニット1はそこからさらに製氷皿2を回転させ、製氷皿2をひねるように変形させる。これにより製氷皿2の氷は各セル21から押し出され、製氷装置Uの下に配置された貯氷容器に落下する。
【0058】
本形態のリブ32は壁部31の一部であり、ブロック部321はそのリブ32の下端部分である。よって、製氷皿2をブロック部321に接触させてひねるときには、壁部31には相応の力が加えられる。本形態では壁部31の上部に水路部4が一体化されており、水路部4が有する側壁部41の作用により壁部31の上下方向に対する剛性が高められている。そして、ブロック部321はその水路部4(側壁部41)の下に配置されている。これにより、ブロック部321に製氷皿2が押し付けられることによるフレーム3の歪みが軽減されている。
【0059】
駆動ユニット1は、製氷皿2から氷を取り出した後、製氷皿2を
図7視反時計回りに回転させ、製氷皿2を水平配置に戻す。冷凍冷蔵庫の制御装置は一連の離氷動作が完了したことを検知すると、次の水を製氷皿2に充填する。
【0060】
(変形例)
図8は製氷装置Uの変形例である製氷装置Vの正面図である。なお、以下の説明では、上記実施形態と同様または同一の構成については、上記実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0061】
上記実施形態の製氷装置Uでは、フレーム3上の給水アダプタ5の装着位置は固定されている。本変形例の製氷装置Vでは、給水アダプタを装着する位置の自由度が高められている。
【0062】
本変形例の水路部4には給水口44は設けられていない。本変形例の水路部4の外面には、左右に延びるレール部411が形成されている。レール部411は水路部4の側壁部41が段状に凹んだ部分である。
図8には水路部4の正面側のみが表されているが、水路部4の背面側にも同様のレール部411が形成されている。
【0063】
本変形例の給水アダプタ5は、左右の面に形成されたアーム部53がどちらも同じ長さであり、これらアーム部53のフック531はレール部411に掛けられている。なお、
図8には給水アダプタ5の正面側のみが表されているが、給水アダプタ5の背面にも、対応するレール部411にフック531を掛けるように2本のアーム部53が形成されている。なお、本変形例では給水アダプタ5の背面にアーム部54は設けられていない。また、給水アダプタ5の背面のアーム部53はリブ35の穴には挿通されておらず左右に自由に移動させることができる。これにより給水アダプタ5はレール部411に沿ってその装着位置を左右にスライドさせることが可能とされている。
【0064】
このように、本変形例の給水アダプタ5は、水路部4のスロープ42に沿って左右にスライド可能であることから、設置対象の冷凍冷凍庫の仕様に合わせて給水アダプタ5の装着位置を柔軟に微調節することが可能とされている。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態の製氷装置Uはひねり式の製氷装置であるが、フレーム3に設けられた水路部4および給水アダプタ5の組み合わせは、製氷皿2をひねることなくセル21から氷をかき出すように取り出すいわゆるかき出し式の製氷装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
U,V:製氷装置,1:駆動ユニット(駆動部),11:出力軸,2:製氷皿,21:セル,22:軸部,23:軸穴,24:水受け部,24a:底面,3:フレーム,31:壁部,32:リブ,321:ブロック部,35:リブ,37:軸受部,4:水路部,41:側壁部,411:レール部,42:スロープ,421:メインスロープ,422:排水部,423:第1整流部,424:第2整流部,43:通水口,44:給水口,441:傾斜面,5:給水アダプタ,51:吐水部,511:傾斜面,512:段差面,513:吐水口,52:水受け部,521:傾斜面,53:アーム,531:フック,54:アーム,55:側壁部,551:切欠き部