(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20221011BHJP
F25D 21/08 20060101ALI20221011BHJP
F25D 21/10 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
F25D21/08 A
F25D21/10 A
(21)【出願番号】P 2019013737
(22)【出願日】2019-01-30
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角谷 彰規
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-186182(JP,A)
【文献】特開2001-255050(JP,A)
【文献】特開2011-169559(JP,A)
【文献】特開平10-292967(JP,A)
【文献】特開2007-017045(JP,A)
【文献】特開2000-146411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00-11/04
F25D 21/00-21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を内部に有する冷蔵庫本体と、
圧縮機と、前記圧縮機から吐出される冷媒が供給され前記貯蔵室を冷却する蒸発器と、を有する冷凍サイクルと、
前記蒸発器の温度を検出する蒸発器温度センサと、
前記蒸発器に付着した霜を除去する除霜運転を実行する除霜手段と、
前記冷凍サイクル、前記蒸発器温度センサ及び前記除霜手段を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、第1除霜開始条件を満たすと前記除霜運転を開始
し、
前記第1除霜開始条件が、前記蒸発器温度センサの検出温度が所定温度以下である時間の積算時間が所定時間以上になることである冷蔵庫
において、
前記制御部は、
前記貯蔵室内を冷却する通常冷却運転と、
前記通常冷却運転より低温に前記貯蔵室内を冷却する低温冷却運転と、
が実行可能であり、
前記除霜運転の実行中に冷却開始条件を満たすと前記除霜運転を終了して前記蒸発器に冷媒を供給して前記貯蔵室を冷却する冷却優先条件と、
前記除霜運転の実行中に冷却開始条件を満たしても前記除霜運転を終了させる所定の条件である除霜終了条件を満たすまで前記除霜運転を実行し、前記除霜終了条件を満たしてから前記蒸発器に冷媒を供給して前記貯蔵室を冷却する除霜優先条件と、
が選択可能であり、
低温冷却実施条件を満たすと、前記通常冷却運転に代えて前記低温冷却運転を実行する低温モードを設定し、
前記低温モードの設定中に前記除霜運転を開始した場合と、前記低温モードが設定されていない時に前記除霜運転を開始した場合とで、前記除霜運転を終了する条件が異なり、
前記低温モードが設定されていない時に前記除霜運転を開始した場合、前記冷却優先条件と前記除霜優先条件とを切り換えて採用し、
前記低温モードの設定中に前記除霜運転を開始した場合、前記低温モードが設定されていない時に前記除霜優先条件から前記冷却優先条件へ切り換えるタイミングであっても、前記低温モードの設定中は前記除霜優先条件を維持する
冷蔵庫。
【請求項2】
貯蔵室を内部に有する冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室の開口部を開閉する扉と、
圧縮機と、前記圧縮機から吐出される冷媒が供給され前記貯蔵室を冷却する蒸発器と、を有する冷凍サイクルと、
前記扉の開閉を検出する扉センサと、
前記蒸発器に付着した霜を除去する除霜運転を実行する除霜手段と、
前記冷凍サイクル、前記扉センサ及び前記除霜手段を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、第1除霜開始条件を満たすと前記除霜運転を開始
し、
前記第1除霜開始条件が、前記扉センサが検出した前記扉の開閉回数が所定回数以上になること、または前記扉センサが検出した前記扉の開放時間の積算時間が所定時間以上になることである冷蔵庫
において、
前記制御部は、
前記貯蔵室内を冷却する通常冷却運転と、
前記通常冷却運転より低温に前記貯蔵室内を冷却する低温冷却運転と、
が実行可能であり、
前記除霜運転の実行中に冷却開始条件を満たすと前記除霜運転を終了して前記蒸発器に冷媒を供給して前記貯蔵室を冷却する冷却優先条件と、
前記除霜運転の実行中に冷却開始条件を満たしても前記除霜運転を終了させる所定の条件である除霜終了条件を満たすまで前記除霜運転を実行し、前記除霜終了条件を満たしてから前記蒸発器に冷媒を供給して前記貯蔵室を冷却する除霜優先条件と、
が選択可能であり、
低温冷却実施条件を満たすと、前記通常冷却運転に代えて前記低温冷却運転を実行する低温モードを設定し、
前記低温モードの設定中に前記除霜運転を開始した場合と、前記低温モードが設定されていない時に前記除霜運転を開始した場合とで、前記除霜運転を終了する条件が異なり、
前記低温モードが設定されていない時に前記除霜運転を開始した場合、前記冷却優先条件と前記除霜優先条件とを切り換えて採用し、
前記低温モードの設定中に前記除霜運転を開始した場合、前記低温モードが設定されていない時に前記除霜優先条件から前記冷却優先条件へ切り換えるタイミングであっても、前記低温モードの設定中は前記除霜優先条件を維持する
冷蔵庫。
【請求項3】
前記蒸発器で冷却された空気を前記貯蔵室へ送風する蒸発器ファンを備え、
前記除霜手段は、前記蒸発器への冷媒の供給を低減しつつ、前記蒸発器ファンを駆動して前記蒸発器に付着した霜を融解する請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1除霜開始条件と異なる条件からなる第2除霜開始条件を満たすと前記除霜運転を開始し、
前記第1除霜開始条件を満たして前記除霜運転を開始した場合と、前記第2除霜開始条件を満たして前記除霜運転を開始した場合とで、前記除霜運転を終了する条件が異なる
請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記貯蔵室は、第1貯蔵室と、前記第1貯蔵室より低温に冷却される第2貯蔵室と、を備え、
前記蒸発器は、前記第1貯蔵室を冷却する第1蒸発器と、前記第2貯蔵室を冷却する第2蒸発器と、を備え、
前記第1蒸発器で冷却された空気を前記第1貯蔵室へ送風する第1蒸発器ファンと、前記第2蒸発器を加熱する除霜ヒータと、を備え、
前記除霜運転は、前記第1蒸発器への冷媒の供給を低減しつつ、前記第1蒸発器ファンを駆動して前記第1蒸発器に付着した霜を融解する第1除霜運転と、前記除霜ヒータを通電して前記第2蒸発器に付着した霜を融解する第2除霜運転と、を備え、
前記制御部は、前記第2除霜運転の実行中に前記第1除霜運転を実行する
請求項1~
4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1除霜開始条件を満たすと前記第1除霜運転及び前記第2除霜運転を開始し、少なくとも前記第2除霜運転が終了するまで前記第1除霜運転を実行する
請求項
5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記制御部は、
前記除霜運転を終了させる所定の条件である除霜終了条を備え、
前記第2除霜運転の終了後に前記除霜終了条件を満たすと前記第1除霜運転を終了する
請求項
6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1除霜開始条件と異なる条件からなる第2除霜開始条件を満たすと前記第1除霜運転及び前記第2除霜運転を開始し、前記第1除霜運転の開始後に前記除霜終了条件を満たすと前記第1除霜運転を終了する
請求項
5~7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の冷蔵庫では、冷凍サイクルを構成している蒸発器が低温になると、蒸発器の外面に霜が付着する。蒸発器に霜が付着(着霜)すると蒸発器の冷却能力が低下することが知られている。したがって蒸発器の霜が付着するのを防止したり、蒸発器に付着した霜を除去(除霜)することが、冷蔵庫の性能向上に重要である。このため、ヒータによって蒸発器を加熱したり、ファンによって氷点より高い温度の空気を蒸発器へ送風することで、蒸発器の着霜を防止したり、除霜が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、除霜は貯蔵室の冷却運転を中断して行われるため、過度に除霜運転を行うと除霜運転に伴い貯蔵室を適切に冷却することができない。そこで、除霜運転を適切に行うことができる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室を内部に有する冷蔵庫本体と、圧縮機と、前記圧縮機から吐出される冷媒が供給され前記貯蔵室を冷却する蒸発器とを有する冷凍サイクルと、前記蒸発器の温度を検出する蒸発器温度センサと、前記蒸発器に付着した霜を融解する除霜運転を実行する除霜手段と、前記冷凍サイクル、前記蒸発器温度センサ及び前記除霜手段を制御する制御部とを備え、前記制御部は、第1除霜開始条件を満たすと前記除霜運転を開始し、前記第1除霜開始条件が、前記蒸発器温度センサの検出温度が所定温度以下である時間の積算時間が所定時間以上になることである冷蔵庫において、前記制御部は、前記貯蔵室内を冷却する通常冷却運転と、前記通常冷却運転より低温に前記貯蔵室内を冷却する低温冷却運転と、が実行可能であり、前記除霜運転の実行中に冷却開始条件を満たすと前記除霜運転を終了して前記蒸発器に冷媒を供給して前記貯蔵室を冷却する冷却優先条件と、前記除霜運転の実行中に冷却開始条件を満たしても前記除霜運転を終了させる所定の条件である除霜終了条件を満たすまで前記除霜運転を実行し、前記除霜終了条件を満たしてから前記蒸発器に冷媒を供給して前記貯蔵室を冷却する除霜優先条件と、が選択可能であり、低温冷却実施条件を満たすと、前記通常冷却運転に代えて前記低温冷却運転を実行する低温モードを設定し、前記低温モードの設定中に前記除霜運転を開始した場合と、前記低温モードが設定されていない時に前記除霜運転を開始した場合とで、前記除霜運転を終了する条件が異なり、前記低温モードが設定されていない時に前記除霜運転を開始した場合、前記冷却優先条件と前記除霜優先条件とを切り換えて採用し、前記低温モードの設定中に前記除霜運転を開始した場合、前記低温モードが設定されていない時に前記除霜優先条件から前記冷却優先条件へ切り換えるタイミングであっても、前記低温モードの設定中は前記除霜優先条件を維持する冷蔵庫である。
【0006】
他の実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室を内部に有する冷蔵庫本体と、前記貯蔵室の開口部を開閉する扉と、圧縮機と、前記圧縮機から吐出される冷媒が供給され前記貯蔵室を冷却する蒸発器とを有する冷凍サイクルと、前記扉の開閉を検出する扉センサと、前記蒸発器に付着した霜を融解する除霜運転を実行する除霜手段と、前記冷凍サイクル、前記扉センサ及び前記除霜手段を制御する制御部とを備え、前記制御部は、第1除霜開始条件を満たすと前記除霜運転を開始し、前記第1除霜開始条件が、前記扉センサが検出した前記扉の開閉回数が所定回数以上になること、または前記扉センサが検出した前記扉の開放時間の積算時間が所定時間以上になることである冷蔵庫において、前記制御部は、前記貯蔵室内を冷却する通常冷却運転と、前記通常冷却運転より低温に前記貯蔵室内を冷却する低温冷却運転と、が実行可能であり、前記除霜運転の実行中に冷却開始条件を満たすと前記除霜運転を終了して前記蒸発器に冷媒を供給して前記貯蔵室を冷却する冷却優先条件と、前記除霜運転の実行中に冷却開始条件を満たしても前記除霜運転を終了させる所定の条件である除霜終了条件を満たすまで前記除霜運転を実行し、前記除霜終了条件を満たしてから前記蒸発器に冷媒を供給して前記貯蔵室を冷却する除霜優先条件と、が選択可能であり、低温冷却実施条件を満たすと、前記通常冷却運転に代えて前記低温冷却運転を実行する低温モードを設定し、前記低温モードの設定中に前記除霜運転を開始した場合と、前記低温モードが設定されていない時に前記除霜運転を開始した場合とで、前記除霜運転を終了する条件が異なり、前記低温モードが設定されていない時に前記除霜運転を開始した場合、前記冷却優先条件と前記除霜優先条件とを切り換えて採用し、前記低温モードの設定中に前記除霜運転を開始した場合、前記低温モードが設定されていない時に前記除霜優先条件から前記冷却優先条件へ切り換えるタイミングであっても、前記低温モードの設定中は前記除霜優先条件を維持する冷蔵庫である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態の冷蔵庫の概略構成を示す縦断面図
【
図2】本発明の第1実施形態の冷蔵庫における冷凍サイクル装置を示す模式図
【
図3】本発明の第1実施形態の冷蔵庫の電気的構成を示すブロック図
【
図4】本発明の第1実施形態の冷蔵庫における冷却運転及び除霜運転を示すタイミングチャート
【
図5】第1除霜開始条件を満たして第1除霜運転を開始してから終了するまでの制御を示すフロー図
【
図7】本発明の第2実施形態の冷蔵庫における冷却運転及び除霜運転を示すタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態の冷蔵庫1について図面に基づき説明する。
【0009】
(1)冷蔵庫1の構成
図1に示すように、冷蔵庫1は、前面に開口する断熱箱体からなる冷蔵庫本体2を備える。冷蔵庫本体2は鋼板製の外箱2aと真空成形により設けられる合成樹脂製の内箱2bとの間隙に真空断熱パネルやウレタンフォームなどの断熱材2cを配置し、前面を開口し内部を貯蔵空間とした縦長の断熱箱体からなる。冷蔵庫本体2の内部に形成された貯蔵空間は、断熱仕切壁によって上方の冷蔵空間と下方の冷凍空間に断熱区画されている。
【0010】
単一の内箱2bで形成された冷蔵空間には、複数の載置棚を設けた冷蔵室3と貯蔵容器である下部ケースと上部ケースを備えた野菜室4とを隣接状態で上下に区分配置している。
【0011】
冷蔵室3及び野菜室4は、冷蔵温度帯(例えば、0~4℃)に冷却される貯蔵室である。冷蔵室3の前面開口部は、該開口部を幅方向に区分する観音開き式の左右一対の断熱性の冷蔵室扉3aにより閉塞される。この冷蔵室扉3aは、冷蔵庫本体の左右両側に設けたヒンジにより回動自在に枢支されている。冷蔵室扉3aの前面には、使用者から冷蔵庫1の設定等を受け付けたり、冷蔵庫1の設定状況等を表示する操作表示部7と、冷蔵庫1の周囲の外気温を検出する外気温センサ8が設けられている。
【0012】
冷蔵室3の内部は、複数の棚板3bによって上下に複数段に区画されている。最下段の棚板3bの下方空間は、引出容器を収納するチルド室3cが設けられており、冷蔵室3内に設けられた小貯蔵室を構成する。
【0013】
冷蔵室3の背面には、冷蔵室3の庫内温度を測定するための冷蔵温度センサ24が設けられている。また、冷蔵室3の前面開口部の周縁部には、冷蔵室扉3aの開閉を検知する扉センサ9が設けられている。
【0014】
野菜室4の前面開口部には、引出し式の断熱性の野菜扉4aが設けられている。この野菜扉4aの背面部には、貯蔵容器を構成する上下2段の収納ケースが連結されている。
【0015】
断熱仕切壁の下方の冷凍空間は、冷凍温度帯(例えば、-18℃~-20℃)に冷却保持される空間であり、製氷室5、小冷凍室と、主冷凍室6とを備える。製氷室5及び小冷凍室は、断熱壁を介して野菜室4の下方に左右に並べて設けられている。製氷室5及び小冷凍室の下方には、下部ケースと上部ケースを備えた主冷凍室6が配置されている。
【0016】
製氷室5、小冷凍室及び主冷凍室6は、貯蔵容器を引き出し式の扉5a、6aに連結保持し、貯蔵室内に設けたレール機構により引き出し式で閉塞されている。
【0017】
また、主冷凍室6の背面には、主冷凍室6の庫内温度を測定するための冷凍温度センサ26が設けられている。
【0018】
冷蔵室3と野菜室4に跨る冷蔵空間の背部には、冷気ダクト12と蒸発器カバー13と送風機カバー14によって冷蔵室3及び野菜室4と区画された冷蔵蒸発器空間Srが設けられている。この冷蔵蒸発器空間には、冷蔵蒸発器10と冷蔵ファン11が配設されている。冷蔵ファン11は、冷蔵蒸発器10で冷却した冷蔵蒸発器空間Sr内の空気を冷気ダクト12を介して冷蔵室3及び野菜室4に供給することで、冷蔵室3及び野菜室4を冷却する。
【0019】
冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室5、小冷凍室、主冷凍室6)の背部には、冷気ダクトを形成するカバー体17によって冷凍温度帯の貯蔵室と区画された冷凍蒸発器空間Sfが設けられている。
【0020】
冷凍蒸発器空間Sfの内部には、冷蔵蒸発器10より低い温度に冷却される冷凍蒸発器15と冷凍ファン16が設けられている。冷凍蒸発器空間Sfに設けられた冷凍ファン16は、冷凍蒸発器15で冷却した冷凍蒸発器空間Sf内の空気をダクトを介して製氷室5、小冷凍室及び主冷凍室6に供給することで、製氷室5、小冷凍室及び主冷凍室6を冷却する。
【0021】
また、冷凍蒸発器空間Sfには、冷凍蒸発器15の下方に除霜ヒータ18と除霜水を受ける排水樋(不図示)が配設される。冷凍蒸発器15の除霜は、除霜ヒータ18による輻射熱で冷凍蒸発器15を加熱することで行う。この時、融解した除霜水は排水樋により、外部に排出される。
【0022】
冷蔵庫本体2の背面下部の外側には内方に凹陥する機械室19が形成されている。この機械室19には、冷凍サイクル装置の一環をなす圧縮機20、凝縮器21、冷却ファン(不図示)、除霜水を蒸発させる蒸発皿22を配設している。
【0023】
また、冷蔵庫本体2の外側、例えば、冷蔵庫本体2の天井壁の上面後部には、冷蔵庫1を制御するマイコン等を実装した制御基板からなる制御部23が設けられている。
【0024】
(2)冷凍サイクル
次に、冷蔵庫1の冷凍サイクルについて
図2を参照して説明する。冷凍サイクルは、高温高圧の冷媒ガスを吐出する圧縮機20と、該圧縮機20から吐出される冷媒ガスを受けて放熱液化する凝縮器21と、該凝縮器21の出口側に放熱パイプ28を介して接続され冷媒流路を切り替える切替弁29と、冷蔵蒸発器10及び冷凍蒸発器15と、これらの蒸発器10,15にそれぞれ設けられた冷蔵減圧装置30及び冷凍減圧装置31とを備え、これらを配管で接続して構成されている。
【0025】
詳細には、圧縮機20は、インバータ制御によって運転周波数(1秒間当りの回転数)を変えることにより単位時間当たりに吐出する冷媒量を変更できる能力可変型の圧縮機であり、高温、高圧の気体状の冷媒を送り出す。
【0026】
圧縮機20の吐出側には、凝縮器21と放熱パイプ28と切替弁29の入口側が直列に接続されている。切替弁29の一方の出口には、冷蔵減圧装置30と冷蔵蒸発器10とを直列に連結した冷蔵冷媒流路が接続されている。切替弁29の他方の出口には、冷凍減圧装置31と冷凍蒸発器15とを直列に連結した冷凍冷媒流路が冷蔵冷媒流路と並列に接続されている。そして、冷蔵蒸発器10の出口側に接続された配管と冷凍蒸発器15の出口側に接続された配管とが合流し、圧縮機20の吸込側に接続され冷媒回路が構成されている。
【0027】
冷蔵蒸発器10には、冷蔵蒸発器10の温度を検出する冷蔵蒸発器温度センサ36が設けられ、冷凍蒸発器15には、冷凍蒸発器15の温度を検出する冷凍蒸発器温度センサ37が設けられている(
図2参照)。
【0028】
このような冷凍サイクル装置では、サイクル内に封入された冷媒が、圧縮機20で圧縮されて高温高圧の気体状の冷媒に変化し、放熱しながら凝縮器21及び放熱パイプ28を流れる。
【0029】
放熱パイプ28を流れた液体状の冷媒は、機械室19に位置する切替弁29に導かれ、制御部23の指令に基づき、切替弁29によって冷蔵減圧装置30と冷凍減圧装置31に切り替えて供給され、各減圧装置30、31で気化し易いように減圧される。減圧装置30、31を通過することで減圧され液状となった冷媒は、冷蔵蒸発器10又は冷凍蒸発器15で気化し、周囲から熱を奪うことにより冷蔵蒸発器10及び冷凍蒸発器15を低温化し、冷気を生成して貯蔵空間を冷却する。蒸発器10,15を通過したガス冷媒は、サクションパイプ32を通って再び圧縮機20に吸入され、一連の冷凍サイクルが繰り返される。
【0030】
(3)冷蔵庫1の電気的構成
冷蔵庫本体2の上部に設けられた制御部23には、
図3に示すように、操作表示部7、外気温センサ8、扉センサ9、冷蔵ファン11、冷凍ファン16、除霜ヒータ18、圧縮機20、冷蔵温度センサ24、冷凍温度センサ26、切替弁29、冷蔵蒸発器温度センサ36、冷凍蒸発器温度センサ37等の冷蔵庫本体2の内側又は外側に設けられた電気部品が電気接続されている。
【0031】
そして、制御部23は、各種センサから入力される信号や、使用者の操作によって操作表示部7から入力される信号などが入力されると、予めメモリに記憶された制御プログラムに基づいて、冷蔵ファン11、冷凍ファン16、除霜ヒータ18、圧縮機20及び切替弁29の動作を制御することで、圧縮機20や冷蔵ファン11及び冷凍ファン16の運転、除霜ヒータ18の電源のオンオフや、切替弁29による冷蔵蒸発器10と冷凍蒸発器15への冷媒切換え、操作表示部7の表示など、冷蔵庫1の動作全般を制御する。
【0032】
(4)冷蔵庫1の冷却運転
冷蔵庫1では、冷蔵温度センサ24及び冷凍温度センサ26によって検出された冷蔵空間の庫内温度及び冷凍空間の庫内温度に基づいて、冷蔵温度帯の冷蔵室3、野菜室4を冷却する冷蔵冷却運転と、冷凍温度帯の製氷室5、小冷凍室、主冷凍室6を冷却する冷凍運転とを切り替えて実行する。
【0033】
ここでは冷蔵庫1が実行する冷却運転の一例として、
図4に示すような場合、つまり、冷蔵冷却運転、冷凍冷却運転、冷媒回収運転をこの順番で順次実行し、冷媒回収運転の終了後、再び、冷蔵冷却運転、冷凍冷却運転、冷媒回収運転を順次実行するように、各運転を繰り返し実行する場合について説明する。
【0034】
なお、本実施形態の冷蔵庫1では、圧縮機20を常時駆動して、冷凍冷却運転、冷媒回収運転、冷蔵冷却運転及び低温冷却運転のいずれかの運転を常時実行することが原則であるが、冷蔵空間及び冷凍空間の温度が双方ともOFF温度Tr2、Tf2以下であり、PID計算がある一定値以下になったときに圧縮機20を停止してもよい。
【0035】
(4-1)冷蔵冷却運転
制御部23は、冷蔵冷却開始条件を満たすと、圧縮機20を所定周波数で駆動しつつ切替弁29の冷蔵冷媒流路側の出口を開放して冷蔵蒸発器10に冷媒を流し、さらに冷蔵ファン11を回転させて冷蔵冷却運転を開始する。冷蔵冷却開始条件の一例を挙げると、例えば、冷蔵温度センサ24の検出温度が冷蔵空間に対して設定されているON温度Tr1(例えば、5℃)以上になる場合がある。
【0036】
冷蔵冷却運転では、冷蔵蒸発器10に流れ込んだ低圧、低温の冷媒が気化することで冷蔵蒸発器空間Srで冷気を生成する。生成した冷気は、冷蔵ファン11の送風作用により冷蔵室3及び野菜室4内を循環し、所定の冷蔵温度帯になるように冷蔵室3及び野菜室4を冷却する。
【0037】
冷蔵室3及び野菜室4内を循環した冷気は、冷蔵室3及び野菜室4の背面に設けられた吸込口から冷蔵蒸発器空間Srに戻り、冷蔵蒸発器10により冷却され、その後、再び冷蔵室3及び野菜室4へ送風される。
【0038】
そして、冷蔵冷却運転の実行中に冷蔵冷却終了条件が満たされると、制御部23は、冷蔵冷却運転を終了する。冷蔵冷却終了条件の一例を挙げると、例えば、(1)冷蔵温度センサ24の検出温度が冷蔵空間に対して設定されているOFF温度Tr2(例えば、2℃)に達した時、(2)冷蔵冷却運転を開始してから最長冷却時間(例えば、40分間)以上が経過した時、(3)冷凍温度センサ26の検出温度が冷凍空間に対して設定されているON温度Tf1(例えば、-18℃)以上になった時、のいずれかの場合がある。
【0039】
そして、冷蔵冷却運転を終了すると、制御部23は、圧縮機20を所定周波数で駆動しつつ切替弁29の冷凍冷媒流路側の出口を開放して冷凍蒸発器15に冷媒を流し、さらに冷凍ファン16を回転させて冷凍冷却運転を開始する。
【0040】
(4-2)冷凍冷却運転
冷凍冷却運転では、冷凍蒸発器15に流れ込んだ低圧、低温の冷媒が気化することで冷凍蒸発器空間Sfで冷気を生成する。生成された冷気は、冷凍ファン16の送風作用により製氷室5、小冷凍室及び主冷凍室6内を循環し、所定の冷凍温度帯になるように製氷室5、小冷凍室及び主冷凍室6を冷却する。
【0041】
製氷室5、小冷凍室及び主冷凍室6内を循環した冷気は、主冷凍室6の背面に設けられた吸込口から冷凍蒸発器空間Sfに戻り、冷凍蒸発器15により冷却され、その後、再び製氷室5、小冷凍室及び主冷凍室6へ送風される。
【0042】
そして、冷凍冷却運転の実行中に冷凍冷却終了条件が満たされると、制御部23は、冷凍冷却運転を終了する。冷凍冷却終了条件の一例を挙げると、例えば、(1)冷凍温度センサ26の検出温度が冷凍空間に対して設定されているOFF温度Tf2(例えば、-21℃)に達した時、(2)冷凍運転を開始してから最長冷却時間(例えば、90分間)以上が経過した時、(3)冷蔵温度センサ24の検出温度が冷蔵空間に対して設定されているON温度Tr1(例えば、5℃)以上になった時、のいずれかの場合がある。
【0043】
(4-3)冷媒回収運転
冷凍冷却運転を終了すると、制御部23は、冷媒回収運転を開始する。冷媒回収運転では、制御部23が、切替弁29の冷蔵冷媒流路側及び冷凍冷媒流路側の出口をいずれも閉止(全閉)し、冷蔵蒸発器10及び冷凍蒸発器15への冷媒供給を遮断した状態で、圧縮機20を駆動することで、冷凍蒸発器15から圧縮機20へ冷媒を回収する。また、制御部23は、冷媒回収運転において、冷蔵ファン11及び冷凍ファン16を停止させる。
【0044】
そして、制御部23は、冷媒回収運転を開始してから所定時間(例えば、1分間)経過すると、冷媒回収運転を終了する。冷媒回収運転を終了すると、制御部23は、再び、冷蔵冷却運転、冷凍冷却運転、冷媒回収運転を順次実行する。
【0045】
(4-4)低温冷却運転
また、冷蔵庫1では、所定の低温冷却実施条件を満たすと、制御部23が低温モードを設定し、上記の冷蔵冷却運転に代えて、冷蔵室3内に設けられたチルド室3cを通常の冷蔵冷却運転より低温に冷却する低温冷却運転を実行する。低温冷却実施条件の一例を挙げると、例えば、使用者が操作表示部7から所定操作を行って低温冷却運転を指示した時がある。
【0046】
低温冷却運転を実行する場合、制御部23は、圧縮機20を所定の周波数で動作させつつ、切替弁29の冷蔵冷媒流路側の出口を開放して冷蔵蒸発器10に冷媒を流し、さらに冷蔵ファン11を回転させる。その際、制御部23は、冷蔵冷却運転に比べて、圧縮機20の運転周波数を大きく設定するとともに、冷蔵ファン11の回転数を小さく設定する。
【0047】
これらの制御の結果、冷蔵蒸発器10は、流れ込んだ冷媒が気化することで冷蔵蒸発器空間Srの空気を冷却して冷蔵蒸発器空間Srで冷気を生成し、生成した冷気を冷蔵室3及び野菜室4へ供給する。低温冷却運転では、冷蔵冷却運転より圧縮機20の運転周波数が大きく設定され、かつ、冷蔵冷却運転より冷蔵ファン11の回転数を小さく設定されているため、冷蔵蒸発器10の冷却能力が高くなり通常の冷蔵冷却運転より低温(例えば、冷蔵冷却運転より約1~5℃低い温度)の冷気が生成されるとともに、冷蔵蒸発器10で生成された空気の拡散が抑えられる。その結果、冷蔵冷却運転において生成される冷気より低温の冷気を冷蔵室3の下方に設けられたチルド室3cに集中させて、冷蔵冷却運転より低温にチルド室3cを冷却する。
【0048】
低温冷却運転において冷蔵室3及び野菜室4内を循環した冷気は、冷蔵冷却運転と同様、冷蔵室3及び野菜室4の背面に設けられた吸込口から冷蔵蒸発器空間Srに戻り、冷蔵蒸発器10により冷却され、その後、再び冷蔵室3及び野菜室4へ送風される。
【0049】
上記した低温冷却運転を実施する低温モードは、所定の低温冷却解除条件を満たすまで実施される。つまり、低温冷却実施条件が設定されてから低温冷却解除条件を満たすまでの間、低温冷却運転、冷凍冷却運転及び冷媒回収運転をこの順序で繰り返し実行する。そして、低温冷却解除条件を満たすと、低温冷却運転に代えて通常の冷蔵冷却運転を実行するようになり、冷蔵冷却運転、冷凍冷却運転及び冷媒回収運転を順次実行するようにこれらの運転を繰り返し実行する。
【0050】
低温冷却終了条件の一例を挙げると、例えば、使用者が操作表示部7から所定操作を行って低温冷却運転の終了を指示した時がある。
【0051】
(5)除霜運転
冷蔵庫1では、冷蔵冷却運転、冷凍冷却運転及び冷媒回収運転を切り替えて順次実行する中で、所定の除霜開始条件を満たすと、第1除霜運転と第2除霜運転を実行する。
【0052】
なお、第1除霜運転や第2除霜運転を開始するタイミングは、所定の除霜開始条件を満たした後に実行中の運転が完了してから次の運転へ切り換える前に第1除霜運転及び第2除霜運転を実行してもよく、あるいは除霜開始条件を満たすと実行中の運転を中止して直ちに第1除霜運転及び第2除霜運転を実行してもよい。
【0053】
(5-1)第1除霜運転
第1除霜運転は、冷蔵蒸発器10に付着した霜を融解により除去するとともに、融解した霜の水分を冷蔵空間へ供給することで、冷蔵空間を加湿する運転である。具体的には、制御部23が、切替弁29の冷蔵冷媒流路側の出口を閉塞したり、圧縮機20を停止又は運転周波数を低減したりすることで、冷蔵蒸発器10への冷媒供給を停止又は低減しつつ、冷蔵ファン11を駆動する。
【0054】
これらの制御の結果、冷蔵蒸発器空間Sr内に導入された冷蔵空間内の空気が、霜の付着した冷蔵蒸発器10と熱交換した後、再び冷蔵室3及び野菜室4に戻される。これにより、冷蔵蒸発器10の温度を上昇させて冷蔵蒸発器10に付着した霜を融解するとともに、融解した霜の水分を気化して冷蔵蒸発器空間Sr内の空気とともに冷蔵室3及び野菜室4へ送風することで、冷蔵室3及び野菜室4を加湿する。
【0055】
なお、第1除霜運転における冷蔵ファン11の回転数は、冷蔵冷却運転における冷蔵ファン11より低速に設定することが好ましい。
【0056】
(5-2)第2除霜運転
第2除霜運転は、冷凍蒸発器15に付着した霜を融解により除去する運転である。具体的には、制御部23が、切替弁29の冷凍冷媒流路側の出口を閉塞したり、圧縮機20を停止したりすることで、冷凍蒸発器15への冷媒供給を停止しつつ、冷凍ファン16を停止し、除霜ヒータ18を通電状態とする。これらの制御により、除霜ヒータ18による輻射熱で冷凍蒸発器15が加熱され、冷凍蒸発器15に付着した霜を融解する。
【0057】
(6)第1除霜開始条件及び第2除霜開始条件
冷蔵庫1は、第1除霜運転及び第2除霜運転を開始する条件として、第1除霜開始条件と第2除霜開始条件とを備えている。
【0058】
第1除霜開始条件の一例を挙げると、例えば、(1)冷蔵蒸発器温度センサ36の検出温度Tsが所定温度(例えば、ー10℃)以下である時間の積算時間が所定時間(例えば、180分間)以上に達した時、(2)扉センサ9が検出した冷蔵室扉3aの開閉回数が所定回数(例えば、50回)以上に達した時、(3)扉センサ9が検出した冷蔵室扉3aの開放時間の積算時間が所定時間(例えば、2分間)以上に達した時、のいずれかの場合がある。
【0059】
第2除霜開始条件の一例を挙げると、例えば、(1)冷蔵冷却運転及び冷凍冷却運転を実行した時間の積算値が所定時間(例えば、8時間)に達した時、(2)前回の第2除霜運転を実行してからの経過時間が所定時間(例えば、24時間)に達した時、のいずれかの場合がある。
【0060】
制御部23は、第1除霜開始条件を満たした場合も、第2除霜開始条件を満たした場合も、第1除霜運転及び第2除霜運転を同時に開始して、冷蔵蒸発器10及び冷凍蒸発器15の除霜を実行する(
図4のt1)。
【0061】
(7)第2除霜運転の終了
制御部23は、第2除霜終了条件を満たすと、除霜ヒータ18への通電を停止して第2除霜運転を終了する。
【0062】
第2除霜終了条件の一例を挙げると、冷凍蒸発器温度センサ37で検出される冷凍蒸発器15の温度Tgが所定温度Tg1(例えば、Tg1=10℃)に達した時などが挙げられる。
【0063】
なお、本実施形態では、第1除霜開始条件及び第2除霜開始条件のいずれの条件を満たして第2除霜運転を開始した場合であっても、同じ条件に基づいて第2除霜運転を終了する。
【0064】
(8)第1除霜運転の終了
制御部23は、所定の除霜終了条件を満たすと第1除霜運転を終了するが、第1除霜開始条件を満たして第1除霜運転を開始した場合と、第2除霜開始条件を満たして第1除霜運転を開始した場合とで、第1除霜運転を終了する除霜終了条件が異なる。
【0065】
(8-1)第1除霜開始条件を満たして第1除霜運転を開始した場合
第1除霜開始条件を満たして第1除霜運転を開始した場合、制御部23は、少なくとも第2除霜運転が終了するまで第1除霜運転を実施し、その後、第1除霜終了条件を満たしたか否か判断し、第1除霜終了条件を満たすと第1除霜運転を終了する。
【0066】
つまり、
図5に示すように、第1除霜開始条件を満たして第1除霜運転及び第2除霜運転を開始すると(ステップS1)、制御部23は第2除霜終了条件を満たしたか否か判定する(ステップS2)。ステップS2において、第2除霜終了条件を満たしていない場合は、ステップS2に戻って第2除霜運転を継続し、第2除霜終了条件を満たしていると、ステップS3へ進んで、除霜ヒータ18への通電を停止して第2除霜運転を終了する。なお、ステップS2及びS3の間、制御部23は第1除霜運転を実行している。
【0067】
そして、第2除霜運転が終了すると、制御部23は、第1除霜終了条件を満たしたか否か判定し(ステップS4)、第1除霜終了条件を満たしていない場合は第1除霜運転を継続し、第1除霜終了条件を満たしていると、ステップS5へ進んで、冷蔵ファン11の回転を停止して第1除霜運転を終了する。
【0068】
第1除霜終了条件の一例を挙げると、冷蔵蒸発器温度センサ36で検出される冷蔵蒸発器10の温度が所定温度Ts1(例えば、Ts1=3℃)に達した時などが挙げられる。
【0069】
(8-2)第2除霜開始条件を満たして第1除霜運転を開始した場合
第2除霜開始条件を満たして第1除霜運転を開始した場合、制御部23は、第1除霜運転を終了する条件として、冷却優先条件と除霜優先条件とを交互に切り替えて採用する。
【0070】
(8-2-1)冷却優先条件
冷却優先条件では、第1除霜終了条件を満たし冷蔵蒸発器10の除霜の必要性が無くなった場合、及び冷蔵冷却開始条件を満たし冷蔵空間の冷却が必要になった場合のいずれか一方の場合に、第1除霜運転を終了する。
【0071】
すなわち、
図6に示すように、第2除霜開始条件を満たして第1除霜運転及び第2除霜運転を開始すると(ステップS11)、制御部23は冷蔵冷却開始条件を満たしたか否か判定する(ステップS12)。ステップS12において、冷蔵冷却開始条件を満たした場合は、制御部23は第1除霜運転を終了し(ステップS13)、その後、冷蔵冷却運転を開始する。つまり、第1除霜終了条件を満たす前に冷蔵冷却開始条件を満たすと、制御部23は、冷蔵ファン11を回転させたままで、圧縮機20を起動して所定周波数で駆動しつつ、切替弁29の冷蔵冷媒流路側の出口を開放して冷蔵蒸発器10に冷媒を流すことで、冷蔵室3及び野菜室4を冷却する。
【0072】
また、ステップS12において冷蔵冷却開始条件を満たしていない場合は、ステップS14へ進んで第1除霜終了条件を満たしたか否か判定する。ステップS14において、第1除霜終了条件を満たしていない場合はステップS12に戻り、第1除霜終了条件を満たしている場合は冷蔵ファン11の回転を停止して第1除霜運転を終了する(ステップS13)。
【0073】
(8-2-2)除霜優先条件
除霜優先条件では、第1除霜運転の実行中に冷蔵冷却開始条件を満たしたかどうかに関わらず、第1除霜終了条件を満たすまで第1除霜運転を継続して実行し、第1除霜終了条件を満たすと第1除霜運転を終了する。つまり、第1除霜運転の実行中に冷蔵冷却開始条件を満たし冷蔵空間の冷却が必要になっても、直ちに第1除霜運転を終了させて冷蔵冷却運転を開始せず、第1除霜終了条件を満たすまで第1除霜運転を継続して実行する。なお、除霜優先条件では、第2除霜運転の状態(第2除霜運転の実行中や停止中)に関わらず、第1除霜終了条件を満たすと第1除霜運転を終了する。
【0074】
図4に示す除霜運転は、冷蔵庫1が実行する除霜運転の一例を示しており、第2除霜開始条件を満たして第1除霜運転及び第2除霜運転を同時に開始し、その後、除霜優先条件を満たして第1除霜運転を終了する場合を示す(
図4のt1~t4)。
【0075】
つまり、まず、第2除霜開始条件を満たして第1除霜運転及び第2除霜運転を同時に開始して冷蔵蒸発器10及び冷凍蒸発器15の除霜を実行する(
図4のt1)。その後、
図4のt2において、冷蔵温度センサ24の検出温度がON温度Tr1以上となり冷蔵冷却開始条件を満たしたが第1除霜終了条件(除霜優先条件)を満たしていないため、制御部23は第1除霜運転を継続する。その後、冷蔵蒸発器温度センサ36で検出される冷蔵蒸発器10の温度が所定温度Ts1に達すると、第1除霜終了条件(除霜優先条件)を満たしたとして第1除霜運転を終了する(
図4のt3)。その後、冷凍蒸発器温度センサ37で検出される冷凍蒸発器15の温度が所定温度Tg1に達すると、第2除霜終了条件を満たしたとして、第2除霜運転を終了する(
図4のt4)。
【0076】
(9)第1除霜運転及び第2除霜運転の終了後の制御
第1除霜開始条件又は第2除霜開始条件を満たして第1除霜運転及び第2除霜運転を開始した後、第1除霜運転及び第2除霜運転の両運転が終了すると、制御部23は、
図4に示すように、除霜復帰運転及び残氷判定運転を順次行う(
図4のt4~t7)。
【0077】
第1除霜運転及び第2除霜運転の実行中、冷蔵空間及び冷凍空間が冷却されておらず各空間の温度が上昇している。そこで、第1除霜運転及び第2除霜運転が終了すると、制御部23は、冷凍冷却運転(
図4のt4~t5)及び冷蔵冷却運転(
図4のt5~t6)を順次行う除霜復帰運転を実行し、冷蔵空間及び冷凍空間をそれぞれ所定の温度帯へ冷却する。
【0078】
なお、除霜復帰運転における冷凍冷却運転時及び冷蔵冷却運転は、通常の冷凍冷却運転時及び冷蔵冷却運転に比べて、圧縮機20の運転周波数を大きく設定したり、冷凍ファン16や冷蔵ファン11の回転数を大きく設定して、冷凍空間及び冷蔵空間を急速に冷却してもよい。
【0079】
除霜復帰運転が終了すると、制御部23は、残氷判定運転を実行する(
図4のt6~t7)。具体的には、制御部23は、除霜復帰運転の終了後に冷凍冷却運転を開始し、冷凍冷却終了条件が満たされるまで冷凍冷却運転を実行する。そして、制御部23は、残氷判定運転を開始してから冷凍冷却終了条件が満たされ冷凍冷却運転を終了するまでの時間(冷凍冷却運転の実行時間)mを測定する。冷凍蒸発器15で発生した冷熱の影響を受けて冷蔵蒸発器10が冷却されることがあるため、制御部23は、残氷判定運転において測定された冷凍冷却運転の実行時間mが所定時間より長い場合、冷蔵蒸発器10に着霜が発生しやすい状況にあると判断する。
【0080】
そして、残氷判定運転が終了すると、制御部23は、冷媒回収運転を実行した後、冷蔵冷却運転、冷凍冷却運転、冷媒回収運転を順次実行することで、冷蔵空間及び冷凍空間冷却と、冷蔵蒸発器10及び冷凍蒸発器15の除霜を行う。
【0081】
(10)効果
以上のような本実施形態の冷蔵庫1では、冷蔵蒸発器10に付着した霜を融解する第1除霜運転を開始する第1除霜開始条件として、冷蔵蒸発器温度センサ36の検出温度が所定温度以下である時間の積算時間が所定時間以上になることを採用しているため、冷蔵蒸発器10に累積した着霜量を推定することができ、冷蔵蒸発器10に付着した霜の量に応じた適切なタイミングで第1除霜運転を開始することができる。
【0082】
また、本実施形態の冷蔵庫1では、冷蔵蒸発器10に付着した霜を融解する第1除霜運転を開始する第1除霜開始条件として、扉センサ9が検出した冷蔵室扉3aの開閉回数が所定回数以上になることや、扉センサ9が検出した冷蔵室扉3aの開放時間の積算時間が所定時間以上になることを採用しているため、冷蔵室3内へ進入した庫外空気量を推定することができ、冷蔵蒸発器10に付着した霜の量に応じた適切なタイミングで第1除霜運転を開始することができる。
【0083】
また、本実施形態の冷蔵庫1では、第1除霜開始条件を満たすと、圧縮機20を停止して冷蔵蒸発器10への冷媒供給を停止しつつ、冷蔵ファン11を駆動するため、冷蔵蒸発器10を除霜することができるとともに、融解した霜の水分を冷蔵空間へ供給することで、冷蔵空間を加湿することができる。
【0084】
また、本実施形態では、第1除霜開始条件を満たして第1除霜運転を開始した場合と、第1除霜開始条件と異なる条件からなる第2除霜開始条件を満たして第1除霜運転を開始した場合とで、第1除霜運転を終了する条件が異なるため、冷蔵蒸発器10の着霜状態に応じて第1除霜運転の実行時間を決定することができ、冷蔵空間や冷凍空間の冷却運転と第1除霜運転とをバランスよく実行して冷蔵庫の性能を向上することができる。
【0085】
また、本実施形態では、第1除霜開始条件を満たすと、除霜ヒータ18を通電して冷凍蒸発器15に付着した霜を融解する第2除霜運転と、冷蔵ファン11を駆動して冷蔵蒸発器10に付着した霜を融解する第1除霜運転とを実行する。このように第2除霜運転の実行中に第1除霜運転を実行することで、第2除霜運転により生じる除霜ヒータ18の熱の影響を受けて冷蔵蒸発器10が除霜されやすくなり、第1除霜運転の実行時間を短縮することができる。
【0086】
(第1実施形態の変更例)
上記した第1実施形態では、第1除霜開始条件が、冷蔵蒸発器10を除霜する第1除霜運転を開始する条件である場合について説明したが、製氷室5、小冷凍室及び主冷凍室6などの冷凍空間を冷却する冷凍蒸発器15を除霜する第2除霜運転を開始する条件であってもよい。つまり、冷凍蒸発器温度センサ37の検出温度が所定温度以下である時間の積算時間が所定時間以上になる、主冷凍室6の扉6aの開閉を検出する扉センサが検出した扉6aの開閉回数が所定回数以上になる、または当該扉センサが検出した扉6aの開放時間の積算時間が所定時間以上になる、と冷凍蒸発器15を除霜する第2除霜運転を開始してもよい。
【0087】
また、上記した第1実施形態では、第1除霜開始条件を満たすと、冷蔵蒸発器10への冷媒供給を停止しつつ冷蔵ファン11を駆動して冷蔵蒸発器10を除霜する場合について説明したが、冷蔵蒸発器10近傍に設けた除霜ヒータの通電のより冷蔵蒸発器10を除霜してもよい。
【0088】
また、上記した第1実施形態では、冷蔵空間と冷凍空間とをそれぞれ別個の蒸発器10,15によって冷却する冷蔵庫について説明したが、1つの蒸発器で冷蔵空間と冷凍空間を冷却する冷蔵庫における蒸発器の除霜を開始する条件として、上記した第1除霜開始条件を採用してもよい。
【0089】
また、上記した第1実施形態では、第1除霜開始条件を満たすと、第1除霜運転とともに第2除霜運転を開始する場合について説明したが、第2除霜運転を開始することなく、第1除霜運転のみを開始してもよい。
【0090】
また、上記した第1実施形態では、第2除霜開始条件を満たして第1除霜運転を開始すると、第1除霜運転を終了する条件として冷却優先条件と除霜優先条件とを交互に切り換えて採用する場合について説明したが、採用する条件を切り換えるタイミングは、特に限定されない。例えば、冷却優先条件及び除霜優先条件の一方の条件を複数回採用する毎に他方の条件を1回採用するように条件を切り換えるなど、任意のタイミングで冷却優先条件と除霜優先条件を切り換えて採用することができる。
【0091】
また、所定の判定条件を満たしている間、所定の判定条件を満たしていない通常時と異なる条件で第1除霜運転を終了させてもよい。
【0092】
例えば、所定の判定条件を満たしていない通常時であれば除霜優先条件から冷却優先条件へ切り換えるタイミングであっても、低温モードの設定中では除霜優先条件を維持してもよい。また、所定の判定条件を満たしていない通常時には、第1除霜運転を終了する条件として、冷却優先条件と除霜優先条件を交互に切り換えて採用し、所定の判定条件を満たしている間は、第1除霜運転を終了する条件として、冷却優先条件及び除霜優先条件のいずれか一方のみを採用したり、いずれか一方の条件を他方の条件より多く採用したりしてもよい。つまり、所定の判定条件を満たしている間、所定の判定条件を満たしていない通常時に比べて、冷却優先条件及び除霜優先条件のいずれか一方の条件を採用する割合が多くなるように条件を採用してもよい。
【0093】
このような判定条件の一例を挙げると、通常の冷蔵冷却運転に代えて低温冷却運転を実施する低温モードを設定した場合や、外気温センサ8が検出する冷蔵庫1の周囲の外気温が所定温度以上である場合や、残氷判定運転において測定された冷凍冷却運転の実行時間mが所定時間より長い場合がある。これらの場合には、第2除霜開始条件を満たして開始した第1除霜運転を終了する条件として、冷却優先条件と除霜優先条件とを切り替えて採用することなく除霜優先条件のみを採用したり、通常時に比べて除霜優先条件を採用する割合が多くなるように条件を採用してもよい。
【0094】
また、上記した判定条件を判断するタイミングは、任意タイミングで行うことができる。例えば、第1除霜運転及び第2除霜運転の両運転が終了した時や、残氷判定運転中などに、上記した判定条件を満たしているか否か判断してもよい。
【0095】
(第2実施形態)
第2実施形態について、主に
図7に基づいて第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の構成のものについては、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0096】
上記の第1実施形態では、冷蔵冷却運転、冷凍冷却運転及び冷媒回収運転を切り替えて順次実行する中で、第1除霜開始条件と第2除霜開始条件を満たすと、実行中の運転が完了して次の運転へ切り替える前に制御部23が第1除霜運転と第2除霜運転を実行する場合について説明した。本実施形態では、第1実施形態のような第1除霜開始条件や第2除霜開始条件を満たして第1除霜運転と第2除霜運転を実行する場合に加え、冷凍冷却運転の実行中に第1除霜運転を実行する。
【0097】
(1)冷凍冷却運転中に実行する第1除霜運転
冷蔵庫1において、冷蔵冷却運転、冷凍冷却運転及び冷媒回収運転を切り替えて順次実行する中で、冷蔵冷却運転を終了して冷凍冷却運転を開始すると、制御部23は、第1除霜運転を開始する。冷凍冷却運転の実行中、切替弁29の冷凍冷媒流路側の出口が開放され、冷蔵冷媒流路側の出口が閉塞されているため、制御部23は、冷凍冷却運転を開始すると冷蔵ファン11を回転駆動することで、冷凍冷却運転とともに第1除霜運転を実行する。
【0098】
これらの制御の結果、冷凍空間を冷却しながら、冷蔵蒸発器10に付着した霜の融解と、融解した霜の水分による冷蔵空間の加湿を行う。
【0099】
(2)冷凍冷却運転中に実行する第1除霜運転の終了条件
制御部23は、冷凍冷却運転中に実行する第1除霜運転を終了する条件として、冷却優先条件と除霜優先条件とを切り替えて採用する。
【0100】
冷却優先条件及び除霜優先条件は、上記の第1実施形態における冷却優先条件及び除霜優先条件と同様の条件である。
【0101】
つまり、冷凍冷却運転中に実行する第1除霜運転を終了する条件として冷却優先条件を選択した場合、制御部23は、第1除霜終了条件及び冷蔵冷却開始条件のいずれか一方を満たすと第1除霜運転を終了する。
【0102】
一方、冷凍冷却運転中に実行する第1除霜運転を終了する条件として除霜優先条件を選択した場合、制御部23は、第1除霜運転の実行中に冷蔵冷却開始条件を満たしたかどうかに関わらず、第1除霜終了条件を満たすまで第1除霜運転を継続して実行し、第1除霜終了条件を満たすと、制御部23は第1除霜運転を終了する。
【0103】
冷却優先条件と除霜優先条件を切り換えるタイミングは、特に制限はなく、任意のタイミングで冷却優先条件と除霜優先条件を切り換えて採用することができる。
【0104】
(3)冷凍冷却運転中に実行する第1除霜運転の制御方法
次に、冷凍冷却運転中に実行する第1除霜運転の具体的な制御方法の一例を
図7のタイムチャートを参照して説明する。
【0105】
この例では、ある冷蔵冷却運転の開始時(
図7のt0)から残氷判定運転の終了時(
図7のt12)までの間、除霜優先条件に基づいて第1除霜運転の終了を判断し、残氷判定運転の終了後に第1除霜運転を終了する条件を除霜優先条件から冷却優先条件に切り換え、残氷判定運転終了後から次の残氷判定運転が終了するまで冷却優先条件に基づいて第1除霜運転の終了を判断する場合について説明する。
【0106】
まず、冷蔵冷却運転の開始した後、冷蔵冷却終了条件を満たすと、制御部23は、冷蔵冷却運転を終了して冷凍冷却運転を開始するとともに、第1除霜運転を開始する(
図7のt1)。
【0107】
そして、第1除霜運転の開始後、制御部23は、除霜優先条件を満たすまで、つまり、第1除霜終了条件を満たすまで第1除霜運転を継続して実行する。そのため、冷凍冷却運転中に冷蔵温度センサ24の検出温度が冷蔵空間に対して設定されているON温度Tr1以上に達し、冷蔵冷却開始条件を満たしても、制御部23は、冷凍冷却運転を終了して冷媒回収運転及び冷蔵冷却運転へ移行することなく第1除霜運転を継続する(
図7のt2)。
【0108】
なお、この時、冷凍冷却運転は、所定の冷凍冷却終了条件(例えば、冷凍温度センサ26の検出温度が冷凍空間に対して設定されているOFF温度Tf2に達した時や、冷凍運転を開始してから最長冷却時間以上が経過した時など)を満たすまで継続してもよい。
【0109】
そして、第1除霜終了条件を満たすと、制御部23は、第1除霜運転を終了し(
図7のt3)、その後、冷媒回収運転(
図7のt3~t4)及び冷蔵冷却運転(
図7のt4~t5)を実行する。そして、冷蔵冷却終了条件が満たされると、制御部23は、冷蔵冷却運転を終了して再び冷凍冷却運転を開始するととに、第1除霜運転を開始する(
図7のt5)。
【0110】
そして、冷凍冷却運転の実行中に第1除霜開始条件又は第2除霜開始条件を満たすと、制御部23は、冷凍冷却運転の終了後に第1除霜運転及び第2除霜運転を開始する(
図7のt6)。
【0111】
図7は、第2除霜開始条件を満たして第1除霜運転及び第2除霜運転を同時に開始した場合を示す。第2除霜開始条件を満たして第1除霜運転を開始した場合、制御部23は、第1除霜運転を終了する条件として、冷却優先条件と除霜優先条件を切り換えて採用するが、その際、残氷判定の終了後に採用した条件(ここでは、除霜優先条件)に基づいて第1除霜運転の終了を判断する。
【0112】
つまり、制御部23は、冷蔵蒸発器温度センサ36で検出される冷蔵蒸発器10の温度が所定温度Ts1に達すると、除霜優先条件(第1除霜終了条件)を満たしたとして、第2除霜運転を継続したままで第1除霜運転を終了する(
図7のt7)。その後、冷凍蒸発器温度センサ37で検出される冷凍蒸発器15の温度が所定温度Tg1に達すると、第2除霜終了条件を満たしたとして、制御部23は、第2除霜運転を終了する(
図7のt8)。
【0113】
そして、第1除霜運転及び第2除霜運転が終了すると、制御部23は、除霜復帰運転及び残氷判定運転を順次行う(
図7のt8~t12)。
【0114】
除霜復帰運転では、冷凍冷却運転を実行するが(
図7のt8~t9)、この時、第1除霜運転を実行してから冷蔵冷却運転を一度も実行していない。そのため、制御部23は、除霜復帰運転において実行する冷凍冷却運転では第1除霜運転を実行しない。
【0115】
除霜復帰運転が終了すると、制御部23は、残氷判定運転において冷凍冷却運転とともに第1除霜運転を開始し(
図7のt10)、その後、除霜優先条件を満たすと第1除霜運転を終了し(
図7のt11)、冷凍冷却終了条件を満たすと残氷判定運転(冷凍冷却運転)を終了する(
図7のt12)。
【0116】
そして、残氷判定運転が終了すると、制御部23は、第1除霜運転を終了する条件を除霜優先条件から冷却優先条件に切り換え、その後、冷媒回収運転、冷蔵冷却運転及び冷凍冷却運転を繰り返して実行する(
図7のt12~t21)。その際、制御部23は、冷凍冷却運転とともに第1除霜運転を実行する(
図7のt14~t15,t18~t19)。
【0117】
図7に示す場合、残氷判定運転後に行う最初の冷凍冷却運転(
図7のt14~t16)では、冷凍冷却終了条件を満たす前に第1除霜終了条件を満たしたため(つまり、冷却優先条件を満たしたため)、制御部23は、冷凍冷却運転を継続しつつ第1除霜運転を終了し(
図7のt15)、その後、冷凍冷却終了条件を満たすと冷凍冷却運転を終了する(
図7のt16)。
【0118】
また、その後に実行される冷凍冷却運転(
図7のt18~t19)では、第1除霜終了条件を満たす前に冷蔵冷却開始条件を満たしたため(つまり、冷却優先条件を満たしたため)、制御部23は、冷蔵冷却運転を開始するために冷凍冷却運転を終了するとともに、第1除霜運転を終了する(
図7のt19)。
【0119】
そして、冷蔵冷却運転、冷凍冷却運転及び冷媒回収運転を切り替えて順次実行する中で、再び、第1除霜開始条件又は第2除霜開始条件を満たすと、制御部23は、第1除霜運転及び第2除霜運転の実行、除霜復帰運転及び残氷判定運転を順次行い、残氷判定運転の終了後、第1除霜運転を終了する条件を冷却優先条件から除霜優先条件に切り換える。
【0120】
以後、制御部23は、上記のように各種運転を繰り返し実行することで、冷蔵空間及び冷凍空間の冷却と、冷蔵蒸発器10及び冷凍蒸発器15の除霜を行う。
【0121】
(4)効果
本実施形態では、冷凍冷却運転の実行中に第1除霜運転を実行するため、冷蔵蒸発器10を除霜するために冷蔵庫1の冷却運転を停止させる必要がなくなる、あるいは、冷却運転を停止させる時間が短くなくなり、冷蔵庫内を効率よく冷却することができる。
【0122】
また、本実施形態では、冷凍冷却運転の実行中に行う第1除霜運転が、冷蔵蒸発器10への冷媒供給を停止しつつ冷蔵ファン11を駆動して行われるため、冷蔵蒸発器10を除霜することができるとともに、融解した霜の水分を冷蔵空間へ供給することで、冷蔵空間を加湿することができる。
【0123】
しかも、本実施形態では、冷凍冷却運転が行われる毎に第1除霜運転を行い、前回の第1除霜運転から今回の第1除霜運転を実行するまでの時間が比較的短いため、冷蔵空間を頻繁に加湿することができ、冷蔵空間内を所定の湿度雰囲気に保ちやすくなる。
【0124】
また、本実施形態では、冷凍冷却運転の実行中に行う第1除霜運転を終了する条件として、冷却優先条件と除霜優先条件とを切り替えて採用するため、冷蔵冷却運転より冷蔵蒸発器10の除霜を優先させたり、冷蔵蒸発器10の除霜より冷蔵冷却運転を優先させることができ、冷蔵庫の使用状況や設置環境に合わせて効率的に冷蔵庫を制御することができる。
【0125】
(第2実施形態の変更例)
上記した第2実施形態では、第1除霜開始条件を満たすと、冷蔵蒸発器10への冷媒供給を停止しつつ冷蔵ファン11を駆動して冷蔵蒸発器10を除霜する場合について説明したが、冷蔵蒸発器10の近傍に設けた除霜ヒータの通電のより冷蔵蒸発器10を除霜してもよい。
【0126】
また、上記した第2実施形態では、第1除霜運転を終了する条件として、残氷判定運転後に除霜優先条件及び冷却優先条件を交互に切り換えて採用する場合について説明したが、所定の判定条件を満たしている間、所定の判定条件を満たしていない通常時と異なる条件で第1除霜運転を終了させてもよい。
【0127】
例えば、所定の判定条件を満たしていない通常時であれば除霜優先条件から冷却優先条件へ切り換えるタイミングであっても、低温モードの設定中では除霜優先条件を維持してもよい。また、所定の判定条件を満たしていない通常時には、第1除霜運転を終了する条件として、冷却優先条件と除霜優先条件を交互に切り換えて採用し、所定の判定条件を満たしている間は、第1除霜運転を終了する条件として、冷却優先条件及び除霜優先条件のいずれか一方のみを採用したり、いずれか一方の条件を他方の条件より多く採用したりしてもよい。つまり、所定の判定条件を満たしている間、所定の判定条件を満たしていない時に比べて、冷却優先条件及び除霜優先条件のいずれか一方の条件を採用する割合が多くなるように条件を採用してもよい。
【0128】
上記した所定の判定条件の一例を挙げると、(a)通常の冷蔵冷却運転に代えて低温冷却運転を実施する低温モードを設定した場合や、(b)外気温センサ8が検出する冷蔵庫1の周囲の外気温が所定温度以上である場合や、(c)残氷判定運転において測定された冷凍冷却運転の実行時間mが所定時間より長い場合がある。(a)~(c)の場合、第1除霜運転を終了する条件として、冷却優先条件と除霜優先条件とを切り替えて採用することなく、除霜優先条件のみを採用したり、あるいは、除霜優先条件を複数回採用する毎に冷却優先条件を1回採用するなど、冷却優先条件より除霜優先条件を多く採用してもよい。
【0129】
上記(a)~(c)の場合に除霜優先条件のみを採用したり、あるいは、冷却優先条件より除霜優先条件を多く採用することで、冷蔵蒸発器10に着霜しやすい冷蔵庫の使用状況や設置環境においても冷蔵冷却運転と第1除霜運転とを効率的に実行することができる。
【0130】
また、本実施形態では、残氷判定運転が終了する時に冷却優先条件と除霜優先条件を切り換える場合について説明したが、第1除霜運転を終了する条件に採用する条件を切り換えるタイミングは、特に限定されず任意のタイミングで冷却優先条件と除霜優先条件を切り換えて採用することができる。
【0131】
また、本実施形態では、冷凍冷却運転時に第1除霜運転を行う場合について説明したが、冷蔵蒸発器10に冷媒が供給されていない時であれば任意のタイミングで第1除霜運転を実行することができる。
【0132】
(その他の変更例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0133】
1…冷蔵庫、2…冷蔵庫本体、2a…外箱、2b…内箱、2c…断熱材、3…冷蔵室、3a…冷蔵室扉、3b…棚板、3c…チルド室、4…野菜室、5…製氷室、6…主冷凍室、7…操作表示部、8…外気温センサ、9…扉センサ、10…冷蔵蒸発器、11…冷蔵ファン、14…送風機カバー、15…冷凍蒸発器、18…除霜ヒータ、20…圧縮機、21…凝縮器、23…制御部、24…冷蔵温度センサ、26…冷凍温度センサ、28…放熱パイプ、29…切替弁、36…冷蔵蒸発器温度センサ、37…冷凍蒸発器温度センサ、Sr…冷蔵蒸発器空間、Sf…冷凍蒸発器空間